JP2013206553A - 正極活物質、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れたサイクル特性を持つ正極活物質及びリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】 層状の結晶構造を有する正極活物質は、下記組成式(1)で表され、
LiNiCoMn ・・・(1)
[上記式(1)中、元素MはAl、Si、Zr、Ti、Fe、Mg、Nb、Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1]
前記、正極活物質は、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物と、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるフッ素化合物とを含有する混合相にて被覆されることを特徴とする正極活物質。
【選択図】 図1

Description

本発明は、正極活物質、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の実用化の鍵を握るモータ駆動用電源などの車載電源として、リチウムイオン二次電池の開発が鋭意行われている。しかしながら、車載電源として電池を広く普及するためには、電池を高性能にして、より安くする必要がある。また、電気自動車の一充電走行距離をガソリンエンジン車に近づける必要があり、より高エネルギーの電池が望まれている。
電池のエネルギー密度を高めるためには、正極と負極の単位質量あたりに蓄えられる電気量を大きくする必要がある。この要請に応えられる可能性のある正極材料(正極用活物質)として、いわいる固溶体系正極が検討されている。なかでも、電気化学的に不活性の層状のLiMnOと、電気化学的に活性な層状のLiAO(Aは、Co、Niなどの遷移金属)との固溶体(いわゆるLi過剰層状正極材料)は、200mAh/gを超える大きな電気容量を示しうる高容量正極材料の候補として期待されている(下記特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載のLiMnOを用いた固溶体系の正極では、放電容量は大きいものの、所定の充放電電位で使用すると、サイクル特性が充放電の繰り返しで容易に劣化してしまうという問題があった。
このような問題を回避するために、特許文献2では、正極活物質の表面を酸化物で被覆することなどが開示されているものの、上記の従来法では、十分なサイクル特性が得られなかった。
特開平9−55211号公報 特開2008−41570号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れたサイクル特性を持つ正極活物質、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる正極活物質は、層状の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表される、正極活物質であり、
LiNiCoMn ・・・(1)
[上記式(1)中、元素Mは、Al、Si、Zr、Ti、Fe、Mg、Nb、Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1]
上記、正極活物質は、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる金属酸化物と、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるフッ素化合物と、を含有する混合相にて被覆されることを特徴とする。
上記本発明にかかる正極活物質は、サイクル特性に優れるものである。
これは必ずしも明確ではないが、正極活物質の表面に存在する上記混合相が、電解液と活物質が反応してしまった際に生成する過剰なSEI(Solid Electrolyte Interface)層の生成を抑制したと思われる。これにより高いサイクル特性を示したと考えられる。
本発明にかかる正極活物質は、1次粒子が凝集した2次粒子を構成し、上記混合相は1次粒子間の粒界に存在しているのが好ましい。
さらに本発明にかかる正極活物質では、上記混合相が上記正極活物質の1次粒子間の粒界に存在すると共に、2次粒子の表面及び内部全体にわたって存在していることが好ましい。
本発明にかかる正極活物質は、上記フッ素化合物が、HZrF、ZrF、ZrF、HSiF、SiF、SiF、HTiF、TiF、HSnF、SnF、SnF、ZnF、HAlF、AlFのうち、いずれか1種を含むことが好ましい。
また、本発明にかかる正極活物質は、混合相にホウ素をさらに含有することが好ましい。
これは必ずしも明確ではないが、本発明にかかる正極活物質では、混合相にホウ素が存在することで、充放電において、活物質から酸素の放出が生じた場合でも、混合相が酸素を吸収することが期待でき、それがサイクル特性の向上につながるものと考えられる。
また、上記正極活物質に含まれるホウ素量は、正極活物質全体に対して、30〜5000ppmであることが好ましい。
本発明にかかるリチウムイオン二次電池は、正極集電体と、正極活物質を含む正極活物質層と、を有する正極と、負極集電体と、負極活物質を含む負極活物質層と、を有する負極と、正極と負極との間に位置するセパレータと、負極、正極、及びセパレータに接触している電解質と、を備え、正極活物質は上述した正極活物質であることを特徴とする。
このリチウムイオン二次電池によれば、優れたサイクル特性を持つ二次電池を提供することができる。
本発明によれば、優れたサイクル特性を持つ正極活物質、及びリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる正極活物質を備えるリチウムイオン二次電池の模式断面図である。 本発明の一実施形態にかかる正極活物質のTEM像である。
以下、本発明の一実施形態にかかる正極活物質、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池について説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
(活物質)
本実施形態にかかる活物質は、層状の結晶構造を有し、下記組成式(1)で表される、正極活物質であり、
LiNiCoMn ・・・(1)
[上記式(1)中、元素MはAl、Si、Zr、Ti、Fe、Mg、Nb、Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1]
前記、正極活物質は、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる金属酸化物と、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるフッ素化合物と、を含有する混合相にて被覆されることを特徴とする。
正極活物質の表面を金属酸化物及びフッ素化合物が被覆することで、サイクル特性に優れた正極活物質が得られる。
これは必ずしも明確ではないが、正極活物質の表面に存在する上記混合相は、電解液と正極活物質が反応してしまった際に生成する過剰なSEI(Solid Electrolyte Interface)層の生成を抑制したと思われる。これにより高いサイクル特性を示したと考えられる。
本実施形態では、上述したサイクル特性において、高電位条件下においても優れたサイクル特性を示した。さらに、初回の充放電効率も同時に向上した。これはフッ素化合物が寄与することにより、導電性が向上し、初回充放電効率が向上した可能性が考えられる。
また本実施形態にかかる正極活物質は、1次粒子を凝集した2次粒子を構成し、上記混合相は1次粒子間の粒界に存在しているのが好ましい。
上記形態により、初回充放電効率が高くなると考えられる。これは、上記混合相が、電解液と正極活物質との反応により生成してしまうLiFの様なSEI層の生成を抑制したと考えられ、初回充放電時の不可逆容量が小さくなり、初回充放電効率が高くなったと考えられる。
もちろん、この混合相の粒界への浸入度合いは、電解液との反応を抑制する観点において、2次粒子の中心部まで完全に浸入する必要性はなく、表面近傍の粒界のみ浸入されていても良い。
さらに本実施形態にかかる正極活物質は、上記混合相が上記正極活物質の1次粒子間の粒界に存在すると共に、2次粒子の表面及び内部の全体にわたって存在していることが好ましい。
上記混合層中の金属酸化物としては、具体的には、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、等の群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに、ZrO、TiO、SiO、SnO、Al、ZnO、等の群から選択される1種の材料のみを含有することが好ましい。
ここで、言うまでもないが、上記材料は、酸素が一部欠損していても、酸素の一部が他の元素で置換されていても良い。また一部Liを含有していても良い。
また、フッ素化合物としては、フッ化ジルコニウム、フッ化チタン、フッ化ケイ素、フッ化アルミニウム、フッ化亜鉛、フッ化スズ、等の群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに具体的には、HZrF、ZrF、ZrF、HSiF、SiF、SiF、HTiF、TiF、HSnF、SnF、SnF、ZnF、HAlF、AlF、等の群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。もちろん上記以外の、フッ素化合物を含有していてもよい。
また、混合層中に含まれる上記金属酸化物の量は、50質量%〜95質量%が好ましく、57質量%〜82質量%が更に好ましい。
本実施形態にかかる正極活物質は、混合相にホウ素をさらに含有することが好ましい。
さらに、このホウ素は、混合相中に酸化物またはフッ化物の形態で存在すると考えられる。
これは必ずしも明確ではないが、本実施形態にかかる正極活物質では、混合相にホウ素が存在することで、充放電において、活物質から酸素放出が生じた場合でも、混合相が酸素を吸収することが期待でき、それがサイクル特性の向上につながるものと考えられる。
また、上記正極活物質に含まれるホウ素量は、正極活物質全体に対して、30〜5000ppmであることが好ましい。さらに1000〜5000ppmであることが好ましく、1500〜3000ppmであることがより好ましい。
本実施形態にかかる正極活物質は、上記混合相が0.5〜100nmの厚みの膜で構成されていることが好ましい。膜厚は、0.5nm以下だと、電解液との反応抑制効果が低下する可能性があり、100nm以上だと、電池容量が低下する可能性がある。
なお、本実施形態における混合相の被覆は、必ずしも活物質粒子の周りを完全に覆う必要はなく、一部露出していてもかまわない。また、混合相は、上記金属酸化物と上記フッ素化合物とが混合されていれば良く、一部固溶体になっていても良い。この様な混合状態は例えばX線回折法や、電子線回折法により、上記金属酸化物と上記フッ素化合物に起因した回折パターンが2つ出るため確認できる。
(正極活物質の製造方法)
上述した混合相は、上記正極活物質に対して、以下に記載の液相析出法を用い、正極活物質2次粒子の表面、または表面及び内部に被覆される。
金属フルオロ錯体を含有する溶液に、正極活物質の粒子を浸漬し、必要に応じて下記の化学式(a)の平衡反応が右に進むように補足剤と言われるHBOの様な材料を添加するものである。この方法は、液相析出法と言われている。
MFx(x−2n)+nHO=MO+xF+2nH ・・・(a)
BO+4H+4F=HBF+3HO ・・・(b)
Al+6H+6F=HAlF+3/2H ・・・(c)
補足剤としては、例えば、ホウ酸(HBO)、アルミニウム(Al)などを好ましく用いることができる。ホウ酸は、(b)式のようにフッ素イオンと反応しHBFとなる。フッ素イオンが消費されると(a)の平衡が右に進み、正極活物質を被覆する金属酸化物としてのMO生成が促進される。また、Alもまた(c)式のようにフッ素イオンと反応しHAlFとなる。その結果(a)式において、金属酸化物(以下、場合によりフルオロ錯体由来の金属酸化物と呼ぶ。)としてのMOが生成する方向に平衡反応が進むことになる。
金属フルオロ錯体の金属(上述のM)としては、ジルコニウム、シリコン、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム等が挙げられる。
具体的には、金属フルオロ錯体として、フッ化ジルコン酸(HZrF)、フッ化ケイ酸(HSiF)、フッ化チタン酸(HTiF)、フッ化アルミン酸(HAlF)フッ化スズ酸(HSnF)、またはこれらの塩、フッ化ジルコニウム(ZrF、ZrF)、フッ化ケイ素(SiF、SiF)、フッ化スズ(SnF、SnF)、フッ化チタン(TiF)、フッ化亜鉛(ZnF)、フッ化アルミニウム(AlF)等からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものであることが好ましい。
また、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、等の塩を用いてもよく、その場合には、例えば、KZrF、KSiF、KTiF、KSnF、KAlF、KZnF、CaZrF、CaSiF、CaTiF、CaSnF、 CaAlF、(NHZrF、(NHSiF、(NHTiF、(NHSnF、(NHAlF、(NHZnFなどが挙げられる。
さらに、上記金属フルオロ錯体は、例えば、フルオロ錯体ではない金属化合物をフッ酸(HF)水溶液、フッ化水素アンモニウム(NHF・HF)水溶液等に溶解させることによっても得ることができる。例えばオキシ水酸化鉄(FeOOH)や、水酸化コバルト(Co(OH))をNHF・HF水溶液に溶解させると、水溶液中でFeF 3−、CoF 4−のような金属フルオロ錯体になるので、正極活物質の処理に利用可能である。
液相析出法においては、水溶液中の金属フルオロ錯体の濃度は、0.001〜1M程度が好ましい。尚、言うまでもないが、M=mol/Lである。
捕捉剤としては、ホウ酸(HBO)、アルミニウム(Al)、塩化第1鉄(FeCl)、塩化第2鉄(FeCl)、水酸化ナトリウム(NaOH)、アンモニア(NH)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)等などを用いることができる。
捕捉剤を使う場合の濃度は、処理溶液において0.001〜1M程度とすることが好ましい。
正極活物質のさらに詳しい製造方法としては、まず、金属フルオロ錯体を含有する水溶液を準備する。そして、正極活物質を金属フルオロ錯体を含む水溶液と接触させる。具体的には、金属フルオロ錯体を含む水溶液中に正極活物質の粒子を投入し、必要に応じて攪拌等すればよい。
このとき、正極活物質から水溶液中にわずかに溶出するLiイオンが、金属酸化物に移動し、Liイオン成分を含んだ金属酸化物となっていても良い。
この様にして、正極活物質の表面を被覆後、前記正極活物質に対し、熱処理をする工程を含むが、600℃以下であることが好ましい。600℃より高温で加熱すると、被覆した粒子が粒成長することで、正極活物質への被覆率が極端に低下する可能性がある。
(リチウムイオン二次電池)
図1に示すように、本実施形態にかかるリチウムイオン二次電池100は、互いに対向する板状の負極20及び板状の正極10と、負極20と正極10との間に隣接して配置される板状のセパレータ18と、を備える電池要素30と、リチウムイオンを含む電解質溶液と、これらを密閉した状態で収容するケース50と、負極20に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される負極リード62と、正極10に一方の端部が電気的に接続されると共に他方の端部がケースの外部に突出される正極リード60とを備える。
負極20は、負極集電体22と、負極集電体22上に形成された負極活物質層24と、を有する。また、正極10は、正極集電体12と、正極集電体12上に形成された正極活物質層14と、を有する。セパレータ18は、負極活物質層24と正極活物質層14との間に位置している。
正極活物質層14は、正極活物質を含有し、その正極活物質は、上述した通り、層状の結晶構造を有すると共に、上述した組成式(1)で示されるものである。
一方、負極活物質層24は、負極活物質を含有し、その負極活物質としては、リチウムイオンを析出又は吸蔵することのできる公知の材料が利用できる。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料、SiやSb、Sn系などの合金系材料、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−スズ、リチウム−アルミニウム−スズ、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、酸化ケイ素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。
正極活物質層14及び負極活物質層24には、上記主要構成成分の他に、導電助剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電助剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウイスカー、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金、等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料が挙げられる。これらの導電助剤を単独で用いてもよく、これらの混合物を用いてもよい。
特に、導電助剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが好ましい。導電助剤の添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、0.5重量%〜30重量%がより好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると、必要炭素量を削減できるため好ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、2〜30重量%がより好ましい。
増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極活物質層または負極活物質層の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極活物質層または負極活物質層は、主要構成成分およびその他の材料を混練して合剤とし、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン等の有機溶媒に混合させた後、得られた混合液を集電体の上に塗布し、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
電極の集電体としては、鉄、銅、ステンレス、ニッケルおよびアルミを用いることができる。また、その形状として、シート、発泡体、メッシュ、多孔体およびエキスパンド格子などを用いることができる。さらに、集電体には任意の形状で穴を開けて使用してもよい。
電解質は、一般にリチウムイオン二次電池等への使用が提案されているものが使用可能である。電解質に用いる溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、電解液と固体電解質とを組み合わせて使用することができる。固体電解質としては、結晶質または非晶質の無機固体電解質を用いることができる。
電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiAsF、LiPF等が挙げられる。これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。特に、本実施形態の活物質においては、LiBF、LiAsF、LiPFのようなFを含む電解質塩と化学反応し難く、耐久性が高く好ましい。
また、電解質には、上述した材料の他に常温溶融塩あるいはイオン性液体を用いてもよい。
電解質における電解質塩の濃度としては、0.1〜5Mが好ましく、0.5〜2.5Mがさらに好ましい。これにより、高い電池特性を有するリチウムイオン二次電池を確実に得ることができる。
リチウムイオン二次電池用セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。リチウムイオン二次電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、等が挙げられ、またはこれらの混合物や、共重合体、等を挙げることができる。
リチウムイオン二次電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
したがって、リチウムイオン二次電池の形状も、図1に示すものに限定されない。例えば、リチウムイオン二次電池の形状が角形、楕円形、コイン形、ボタン形、シート形、等であってもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[正極活物質の作製]
Li1.2Ni0.17Co0.08Mn0.55が生成するよう調整した前駆体を乳鉢で10分程度粉砕した後、900℃で10時間大気中において焼成して、リチウム化合物(正極活物質)を得た。
誘導結合プラズマ法(ICP法)による組成分析の結果、実施例1のリチウム化合物(正極活物質)の組成は、Li1.2Ni0.17Co0.08Mn0.55であることが確認された。
[正極活物質の作製]
水にSnF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた(以下、この溶液をLPD処理溶液と呼ぶ)。この溶液を40℃に維持した状態で、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、正極活物質を取り出し、60℃で乾燥させ、表面処理された正極活物質を作製した。またこのLPD処理溶液をガラス基板上に付着させたものをXRDで測定したところ、SnOであった。
表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラフでフッ素量を分析したところ320ppmであった。さらにICP法によりホウ素量を分析したところ、432ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、活物質を被覆する膜の厚みを確認したところ5nmであった。
さらに反射電子像を用いて、正極活物質の2次粒子の断面を観察したところ、2次粒子を構成している正極活物質内部の1次粒子間の粒界まで浸透し、その内部の1次粒子を被覆していることを確認した。
さらにToF−SIMSで確認したところ、酸化スズ及びフッ化スズとみられるスペクトルが観測された。
[正極の作製]
実施例1の正極活物質と、導電助剤と、バインダーを含む溶媒とを混合して、正極用塗料を調製した。正極用塗料を正極集電体であるアルミニウム箔(厚み20μm)にドクターブレード法で塗布後、100℃で乾燥し、圧延した。これにより、正極活物質層及び正極集電体から構成される正極を得た。導電助剤としては、カーボンブラック(電気化学工業(株)製、DAB50)及び黒鉛(ティムカル(株)製、KS−6)を用いた。バインダーを含む溶媒としては、PVDFを溶解したN−メチル−2−ピロリドン(呉羽化学工業(株)製、KF7305)を用いた。
[負極の作製]
実施例1の正極活物質の代わりに天然黒鉛を用い、導電助剤としてカーボンブラックだけを用いたこと以外は、正極用塗料と同様の方法で、負極用塗料を調製した。負極用塗料を負極集電体である銅箔(厚み16μm)にドクターブレード法で塗布後、100℃で乾燥し、圧延した。これにより、負極活物質層及び負極集電体から構成される負極を得た。
[リチウムイオン二次電池の作製]
上述した通り作製した正極、負極とセパレータ(ポリオレフィン製の微多孔質膜)を所定の寸法に切断した。なお、正極と、負極には、外部引き出し端子を溶接するために電極用塗料を塗布しない部分を設けておいた。その後、正極、負極、セパレータをこの順序で積層した。正極、負極には、それぞれ、外部引き出し端子としてアルミニウム箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)、ニッケル箔(幅4mm、長さ40mm、厚み100μm)を超音波溶接した。この外部引き出し端子に、ポリプロピレン(PP)を巻き付け熱接着させた。正極、負極、セパレータを積層した電池要素を封入する電池外装体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)層、Al層及びポリプロピレン(PP)層から構成されるアルミニウムラミネート材料を用いた。PET層の厚さは12μm、Al層の厚さは40μm、PP層の厚さは50μmであった。電池外装体を作製では、PP層を外装体の内側に配置させた。この外装体の中に電池要素を入れ電解液を適当量添加し、外装体を真空密封した。これにより、実施例1のリチウム化合物を用いたリチウムイオン2次電池を作製した。なお、電解液としては、エチレンカーボンネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒にLiPFを濃度1M(1mol/L)で溶解させたものを用いた。混合溶媒におけるECとDMCとの体積比は、EC:DMC=30:70とした。
[電気特性の測定]
実施例1の電池を、電流値として30mA/gにて4.6Vまで定電流で充電した後、電流値として30mA/gにて2.0Vまで定電流放電した。実施例1の初回充放電効率は87.0%であった。初回充放電効率とは充放電1サイクル目の0.1Cの放電容量に対する0.1Cの充電容量の比である。このサイクルを20サイクル繰返すサイクル試験を行った。試験は25℃で行った。実施例1の電池の初期放電容量を100%とすると、20サイクル後の放電容量は93.4%であった。本明細書では、初期放電容量を100%としたときの、20サイクル後の放電容量の割合をサイクル特性とし、表1中ではサイクル維持率として記載した。サイクル特性が高いことは、20サイクル後の放電容量が高いまま維持されていることを言い、電池が充放電サイクルにおける耐久性に優れていることを示す。
(実施例2)
実施例2では、水にKZrF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、200℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ580ppmであった。また、ICP法により ホウ素量を分析したところ、852ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し膜厚を確認したところ10nmであった。
さらに反射電子像により、正極活物質の2次粒子の断面観察を行ったところ、2次粒子を構成している正極活物質内部の1次粒子間の粒界まで浸透し、その内部の1次粒子を被覆していることを確認した。
またToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムと見られるスペクトルが観測された。
(実施例3)
実施例3では、水にKZrF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、600℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラフでフッ素量を分析したところ540ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、900ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて膜厚を確認したところ30nmであった。さらに反射電子像により、正極活物質の2次粒子の断面観察を行ったところ、2次粒子中心部の1次粒子粒界を被覆していることを確認した。
またToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムとみられるスペクトルを観測した。
(実施例4)
実施例4では、水にKTiF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、200℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ400ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、850ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化チタン及びフッ化チタンとみられるスペクトルを観測した。
(実施例5)
実施例5では、水にKAlF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、500℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ720ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、1300ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ30nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化アルミニウム及びフッ化アルミニウムとみられるスペクトルを観測した。
(実施例6)
実施例6では、水にKSiF(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、300℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ540ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、760ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化ケイ素及びフッ化ケイ素とみられるスペクトルを観測した。
(実施例7)
実施例7では、水にZnF・4HO(森田化学工業製)とHBO(関東化学製)とLiNO(関東化学製)を、それぞれ0.02Mとなるように溶解させた。この溶液に、上記正極活物質を投入し、1時間攪拌した。その後、400℃で熱処理した。
こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ600ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、1200ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化亜鉛及びフッ化亜鉛とみられるスペクトルを観測した。
(比較例1)
比較例1では、実施例1に記載のLPD処理溶液にて被覆処理を行わなかったこと以外実施例1と同様の正極活物質を準備した。その材料を用いて電池を作製し、実施例と同様の評価をした。
(比較例2)
比較例2では、特許文献2に記載の乾式混合方法としてボールミルを用いてZrOを1質量%混合した。その後、300℃で熱処理した。この方法によってできた正極活物質は表面にFを含んでいなかった。この材料を用いて電池を作製し、実施例と同様の評価をした。
(実施例8)
実施例8では、実施例1と同様の方法で、Li1.2Ni0.11Co0.07Mn0.62を作製した。熱処理温度を250℃とした以外は実施例2と同様の方法で表面処理をおこなった。こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ620ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、802ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムとみられるスペクトルを観測した。
(実施例9)
実施例9では、実施例1と同様の方法で、Li1.2Ni0.25Co0.07Mn0.48を作製した。実施例2と同様の方法で表面処理をおこなった。こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ520ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、780ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ10nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムとみられるスペクトルを観測した。
(実施例10)
実施例10では、実施例1と同様の方法で、Li1.2Ni0.17Co0.15Mn0.48を作製した。熱処理温度を300℃とした以外は実施例2と同様の方法で表面処理をおこなった。こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ610ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、800ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムとみられるスペクトルを観測した。
(実施例11)
実施例11では、実施例1と同様の方法で、Li1.05Ni0.30Co0.25Mn0.40を作製した。実施例2と同様の方法で表面処理をおこなった。こうして表面処理された正極活物質に対して、イオンクロマトグラムでフッ素量を分析したところ720ppmであった。さらにICP法により ホウ素量を分析したところ、740ppmであった。
また活物質に対して、TEMを用いて観察し、膜厚を確認したところ20nmであった。さらにToF−SIMSにより、酸化ジルコニウム及びフッ化ジルコニウムとみられるスペクトルを観測した。
実施例1と同様の方法で、実施例2〜11並びに比較例1、2の電池の初回充放電効率及びサイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
表1
実施例1〜7、及び比較例1〜2によれば、LPD処理溶液により処理され金属酸化物及びフッ化合物が被覆された正極活物質を使用したリチウムイオン二次電池はサイクル特性が優れていることが確認できた。さらに初回充放電効率も同時に向上していることがわかった。
また、実施例1〜7は、驚くべきことに比較的高電位条件(4.6V)でのサイクル特性であっても、高いレベルの特性を維持していた。
本発明に係る正極活物質は、リチウムイオン二次電池以外の電気化学素子の電極材料としても用いることができる。このような、電気化学素子としては、リチウムイオン二次電池や、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等の電気化学キャパシタ等も含まれる。これらの電気化学素子は、自走式のマイクロマシン、ICカードなどの電源や、プリント基板上又はプリント基板内に配置される分散電源の用途に使用することが可能である。
10・・・正極、20・・・負極、12・・・正極集電体、14・・・正極活物質層、18・・・セパレータ、22・・・負極集電体、24・・・負極活物質層、30・・・電池要素、50・・・ケース、60、62・・・リード、100・・・リチウムイオン二次電池。

Claims (5)

  1. 層状の結晶構造を有する正極活物質は、下記組成式(1)で表され、
    LiNiCoMn ・・・(1)
    [上記式(1)中、元素MはAl、Si、Zr、Ti、Fe、Mg、Nb、Ba及びVからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、1.9≦(a+b+c+d+y)≦2.1、1.0<y≦1.3、0<a≦0.3、0<b≦0.25、0.3≦c≦0.7、0≦d≦0.1、1.9≦x≦2.1]
    前記、正極活物質は、Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなる金属酸化物と、
    Ti、Zr、Si、Sn、Al、Znからなる群から選択される少なくとも1種の金属からなるフッ素化合物と、
    を含有する混合相にて被覆されることを特徴とする正極活物質。
  2. 前記正極活物質は、1次粒子が凝集した2次粒子を構成し、前記混合相は1次粒子間の粒界に有することを特徴とする請求項1に記載の正極活物質。
  3. 前記フッ素化合物は、HZrF、ZrF、ZrF、HSiF、SiF、SiF、HTiF、TiF、HSnF、SnF、SnF、ZnF、HAlF、AlFのうち、いずれか1種を含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか一項に記載の正極活物質。
  4. 前記混合相はホウ素をさらに含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の正極活物質。
  5. 正極集電体と、正極活物質を含む正極活物質層と、を有する正極と、
    負極集電体と、負極活物質を含む負極活物質層と、を有する負極と、
    前記正極と前記負極との間に位置するセパレータと、
    前記負極、前記正極、及び前記セパレータに接触している電解質と、を備え、
    前記正極活物質が請求項1乃至4のいずれか一項に記載の正極活物質を含む、
    リチウムイオン二次電池。


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