JP2020194708A - 非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高率放電性能に優れる非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合すること、及び上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層することを備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm2以上であり、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極を有する電極体及び電極間に介在する非水電解質を備え、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。
近年、地球温暖化に対処するために二酸化炭素量を低減することが求められており、環境負荷の少ない電気自動車(Electric Vehicle:EV)やプラグインハイブリッド自動車(Plug−in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)開発が進められている。そこで、非水電解質二次電池は、これらの次世代エコカーの電源装置にも利用されつつあり、いわゆる大容量タイプのリチウムイオン電池が提案されている(特許文献1参照)。
特開2010−146808号公報
しかしながら、一般に大容量タイプのリチウムイオン電池は高いエネルギー密度を得るため、電極合剤層の単位面積当たりの質量が大きい。そのため、大電流で放電した際には、電極間の厚さ方向におけるリチウムイオンの濃度分布が大きくなりやすく、十分な放電性能が得られないおそれがある。また、高出力用途の蓄電素子においては、高率放電性能のさらなる向上が要求されている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、高率放電性能に優れる非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合すること、及び上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層することを備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子の製造方法である。
本発明の他の一態様は、正極基材と、この正極基材上に積層される正極合剤層とを有する正極を備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記正極合剤層は、走査型電子顕微鏡により観察される上記正極合剤層の断面において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子と、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子とを含み、上記小径正極活物質粒子の平均空隙率が、上記大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子である。
本発明によれば、高率放電性能に優れる非水電解質蓄電素子の製造方法及び非水電解質蓄電素子を提供できる。
本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を示す外観斜視図である。 本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。 実施例1に係る正極合剤層の走査型電子顕微鏡による断面画像である。 正極合剤層の単位面積当たりの質量と非水電解質蓄電素子の高率放電性能との関係を示すグラフである。
本発明の一態様は、平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合すること、及び上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層することを備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子の製造方法である。
当該非水電解質蓄電素子の製造方法は、正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径を有する上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きいことで、高率放電性能に優れる大容量タイプの非水電解質蓄電素子を製造できる。このような効果が生じる理由としては、例えば以下のように推測される。
非水電解質蓄電素子の放電性能は、主に正極活物質表面への電荷担体(例えばリチウムイオン二次電池の場合、リチウムイオン)の供給速度の影響が大きい。そのため、大容量タイプの非水電解質蓄電素子のように正極合剤層の単位面積当たりの質量が大きい場合、大電流での放電時に電荷担体の供給が追随せず、電極間の厚さ方向における電荷担体の濃度分布が大きくなりやすく、十分な放電性能が得られないおそれがある。これに対して、当該非水電解質蓄電素子の製造方法では、正極合剤層に用いる平均粒子径が小さい正極活物質粒子の平均空隙率を大きくすることで、平均粒子径が小さい正極活物質粒子の非水電解質に対する接触面積が大きくなる(例えば保液性が向上する)。その結果、正極活物質表面への電荷担体の供給が容易となり、電極間の厚さ方向における電荷担体の濃度分布が低減され、高率放電性能に優れる非水電解質蓄電素子を製造できると考えられる。ただし、上記理由のみに限定的に解釈されるものではない。
上記「平均粒子径P1」及び「平均粒子径P2」とは、JIS−Z−8819−2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となるメジアン径(D50)を意味する。上記平均粒子径P1及び平均粒子径P2は、具体的には以下の方法による測定値とすることができる。測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社の「SALD−2200」)、測定制御ソフトとしてWing SALD−2200を用いて測定する。散乱式の測定モードを採用し、測定試料が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、累積度50%にあたる粒子径を平均粒子径とする。なお、上記測定に基づく平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:以下、SEMともいう。)画像から、極端に大きい粒子及び極端に小さい粒子を避けて100個の粒子を抽出して測定する平均粒子径とほぼ一致することが確認されている。なお、このSEM画像からの測定における各粒子の径はフェレー径とし、各粒子の体積はフェレー径を直径とする球として算出する。
また、「正極合剤層の単位面積当たりの質量」における「単位面積」とは、正極基材との積層面における単位面積をいう。本明細書において「空隙率」とは、正極活物質粒子の見かけの断面積(すなわち空隙を含む断面積)に対する、該粒子の内部に形成された空隙の断面積の割合をいう。「平均空隙率」とは、複数個の正極活物質粒子の空隙率の平均値をいう。平均空隙率は、例えば次の方法により求められる。すなわち、SEMを用いて、一視野内に正極活物質粒子を所定個数(例えば10個〜100個)程度観察可能な倍率に設定し、正極活物質粒子の断面SEM画像を撮像する。SEMの観察条件は特に限定されないが、通常は1000倍〜5000倍(例えば2000倍)の倍率である。次いで、取得したSEM画像から、色調や濃淡の違いに基づいて、正極活物質粒子の断面と、粒子内の空隙とを区別(典型的には二値化処理)する。そして、正極活物質粒子の断面において、正極活物質粒子の見かけの断面積(粒子の全体面積)S1と、粒子内の空隙が占める面積S2とから、(S2/S1)×100により得られた値を空隙率として算出する。上記所定個数の粒子の空隙率を算術平均することにより、平均空隙率を求めることができる。なお、各粒子の空隙率および平均空隙率は、一般的な画像解析ソフトウエアを用いて求めることができる。
上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)が、3.30以上7.00以下であることが好ましい。上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)が上記範囲であることで、非水電解質蓄電素子の高率放電性能をより高めることができる。
上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)が、質量比で1.5以上9.0以下であることが好ましい。上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)が、質量比において上記範囲であることで、非水電解質蓄電素子の高率放電性能をより高めることができる。
本発明の他の一態様は、正極基材と、この正極基材上に積層される正極合剤層とを有する正極を備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記正極合剤層は、走査型電子顕微鏡により観察される上記正極合剤層の断面において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子と、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子とを含み、上記小径正極活物質粒子の平均空隙率が、上記大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子である。
当該非水電解質蓄電素子は、正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、平均粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子の平均空隙率が、平均粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きいことで、高率放電性能に優れる。このような効果が生じる理由としては、例えば以下のように推測される。
当該非水電解質蓄電素子では、正極合剤層に含まれる上記小径正極活物質粒子の平均空隙率を大きくすることで、上記小径正極活物質粒子の非水電解質に対する接触面積が大きくなる。その結果、正極活物質表面への電荷担体の供給が容易となり、電極間の厚さ方向における電荷担体の濃度分布が低減され、当該非水電解質蓄電素子が高率放電性能に優れると考えられる。ただし、上記理由のみに限定的に解釈されるものではない。
<非水電解質蓄電素子の製造方法>
本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子の製造方法は、平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合すること(以下、混合工程ともいう。)、及び上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層すること(以下、正極合剤層積層工程ともいう。)を備える。また、当該非水電解質蓄電素子の製造方法及は、その他の工程として、例えば負極を形成すること(以下、負極形成工程ともいう。)、電極体を形成すること(以下、電極体形成工程ともいう。)、上記電極体が収容されたケースに非水電解質を注入すること(以下、非水電解質注入工程ともいう。)等を備える。以下、当該非水電解質蓄電素子の製造方法(以下、当該製造方法ともいう。)の一例として、非水電解質二次電池(特にリチウムイオン二次電池)の製造方法について説明するが、本発明の適用対象を限定する意図ではない。
[混合工程]
混合工程では、第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径を有する第2正極活物質粒子とを混合する。
(第1正極活物質粒子)
第1正極活物質粒子は、第2正極活物質粒子よりも平均粒子径が小さい。また、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい。
上記第1正極活物質粒子を構成する正極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。正極活物質としては、例えば、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物、ポリアニオン化合物、カルコゲン化合物、硫黄等が挙げられる。α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物として、例えば、Li[LiNi1−x]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγCo(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiCo(1−x)]O(0≦x<0.5)、Li[LiNiγMn(1−x−γ)]O(0≦x<0.5、0<γ<1)、Li[LiNiγMnβCo(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)、Li[LiNiγCoβAl(1−x−γ−β)]O(0≦x<0.5、0<γ、0<β、0.5<γ+β<1)等が挙げられる。スピネル型結晶構造を有するリチウム遷移金属酸化物として、LiMn,LiNiγMn(2−γ)等が挙げられる。ポリアニオン化合物として、LiFePO,LiMnPO,LiNiPO,LiCoPO,Li(PO,LiMnSiO,LiCoPOF等が挙げられる。カルコゲン化合物として、二硫化チタン、二硫化モリブデン、二酸化モリブデン等が挙げられる。これらの材料中の原子又はポリアニオンは、他の元素からなる原子又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。これらの材料は表面が他の材料で被覆されていてもよい。
上記正極活物質は、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
好ましい一態様では、第1正極活物質粒子を構成する正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物により構成されている。例えば、上記リチウム遷移金属複合酸化物として、Li以外に、少なくともニッケル(Ni)を構成元素として含むニッケル含有リチウム遷移金属複合酸化物、少なくともコバルト(Co)を構成元素として含むコバルト含有リチウム遷移金属複合酸化物、少なくともマンガン(Mn)を構成元素として含むマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物等が例示される。上記ニッケル含有リチウム遷移金属複合酸化物は、層状のα−NaFeO型(すなわち空間群R3−mに帰属可能なX線回折パターンの)結晶構造を有するものであり得る。上記コバルト含有リチウム遷移金属複合酸化物は、層状のα−NaFeO型結晶構造を有するものであり得る。上記マンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物は、層状のα−NaFeO型結晶構造またはスピネル型結晶構造を有するものであり得る。
ここに開示されるリチウム遷移金属複合酸化物の好適例として、Li以外に、ニッケル、コバルト及びマンガンを構成元素として含む層状のニッケルコバルトマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。これらの遷移金属元素のうちの主成分がNiであるか、あるいはNiとCoとMnとを概ね同程度の割合で含有するリチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。ここで、Niを主成分とするニッケルコバルトマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物とは、該複合酸化物に含まれる遷移金属元素の総モル数のうち50モル%以上(例えば60モル%以上)がNiであるリチウム遷移金属複合酸化物をいう。Liを除く金属元素(例えば、Li以外に、Ni、Co及びMnのみを構成元素として含むリチウム遷移金属複合酸化物の場合、Ni、Co及びMn)の総和に対するNiのモル比率(Ni/Me比)は、例えば0.10以上であり得る。高エネルギー密度化の観点から、上記Ni/Me比は、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上である。上記Ni/Me比は、例えば0.50以上としてもよく、0.70以上としてもよい。また、上記Ni/Me比の上限としては、Ni/Me<1.0であれば特に限定されないが、好ましくは0.95以下、より好ましくは0.90以下である。上記Ni/Me比は、例えば0.70以下としてもよく、0.50以下としてもよい。Liを除く金属元素の総和に対するCoのモル比率(Co/Me比)は、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.60以下、さらに好ましくは0.40以下である。上記Co/Me比は、例えば0.30以下としてもよく、0.15以下としてもよい。また、上記Co/Me比の下限としては、0<Co/Meであれば特に限定されないが、好ましくは0.050以上、より好ましくは0.080以上である。上記Co/Me比は、例えば0.15以上としてもよく、0.30以上としてもよい。Liを除く金属元素の総和に対するMnのモル比率(Mn/Me比)は、好ましくは0.80以下、より好ましくは0.60以下、さらに好ましくは0.40以下である。上記Mn/Me比は、例えば0.30以下としてもよく、0.15以下としてもよい。また、上記Mn/Me比の下限としては、0<Mn/Meであれば特に限定されないが、好ましくは0.050以上、より好ましくは0.080以上である。上記Mn/Me比は、例えば0.15以上としてもよく、0.30以上としてもよい。
ここに開示される第1正極活物質粒子を構成するリチウム遷移金属複合酸化物の好ましい組成として、下記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物が例示される。
LiM1M2 (I)
上記一般式(I)中、M1は、Ni、Co及びMnからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。M2は、Al、Mg、Zr、Ca、K、Na、Si、B、F、Bi、Er及びLuからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。M2は、Zrであってもよい。aは、0.80≦a≦1.3を満たす実数であり得る。bは、0.70≦b≦1.1を満たす実数であり得る。cは、0≦c≦0.050を満たす実数であり得る。cは、実質的に0(すなわち、M2を含有しない酸化物)であってもよい。なお、上記リチウム遷移金属複合酸化物を示す化学式は、最初の充電処理(すなわち、正極、負極、電解質等の電池構成要素を組み立てた後に初めて行う充電処理)が行われる前の状態の組成を示すものとする。
上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1は、第2正極活物質粒子の平均粒子径P2よりも小さければよく、特に限定されない(すなわちP1<P2)。第1正極活物質粒子の平均粒子径P1の下限としては、製造容易性や取り扱い性等の観点から、例えば0.5μmが好ましく、1.0μmがより好ましい。いくつかの態様において、平均粒子径P1は、例えば1.5μm以上であってもよく、典型的には2.0μm以上(例えば2.5μm以上)であってもよい。一方、上記平均粒子径P1は、10.0μm未満が好ましい。上記平均粒子径P1の上限としては、8.0μmがより好ましく、6.0μmがさらに好ましい。いくつかの態様において、平均粒子径P1は、例えば6.0μm以下であってもよく、5.0μm以下(例えば4.0μm以下)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、第1正極活物質粒子の平均粒子径P1が0.5μm以上10.0μm未満(さらには1.5μm以上5μm以下)である態様で好ましく実施され得る。上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1を上記範囲とすることにより、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
上記第1正極活物質粒子の平均空隙率A1は上記第2正極活物質粒子の平均空隙率A2よりも大きければよい。正極活物質粒子の非水電解質に対する接触面積を大きくする等の観点から、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率A1の下限としては、概ね5%である。いくつかの態様において、第1正極活物質粒子の平均空隙率A1は、例えば10%以上であってもよく、15%以上(例えば20%以上)であってもよい。一方、耐久性を高める等の観点から、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率A1の上限としては、概ね70%である。いくつかの態様において、第1正極活物質粒子の平均空隙率A1は、例えば60%以下であってもよく、50%以下(例えば40%以下)であってもよい。上記第1正極活物質粒子の平均空隙率A1が上記範囲であることで、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
(第2正極活物質粒子)
上記第2正極活物質粒子は、上記第1正極活物質粒子よりも平均粒子径が大きい。
第2正極活物質粒子を構成する正極活物質としては、上記第1正極活物質粒子として例示したものと同様の正極活物質を用いることができる。例えば、第2正極活物質粒子を構成する正極活物質は、第1正極活物質粒子を構成する正極活物質と同じ金属元素を含むものであり得る。第2正極活物質粒子を構成する正極活物質は、上記第1正極活物質粒子を構成する正極活物質と同じであってもよく、異なっていてもよい。好ましい一態様では、第2正極活物質粒子を構成する正極活物質は、第1正極活物質粒子を構成する正極活物質と同一組成である。ここでいう「正極活物質が同一組成」の概念には、正極活物質に含有されている複数の金属元素のそれぞれの含有割合が、±10モル%(好ましくは±5モル%、より好ましくは±3モル%、さらに好ましくは±1モル%)の範囲内で異なる態様が含まれ得る。このように、第1正極活物質粒子と第2正極活物質粒子とで同一組成の正極活物質を用いることで、上記正極活物質を用いることによる利点をより良く活かすことができる。また、充放電サイクル後の抵抗増加をより良く抑制することができる。好ましい一態様では、第2正極活物質粒子は、Li以外に、ニッケル、コバルト及びマンガンを構成元素として含む層状のニッケルコバルトマンガン含有リチウム遷移金属複合酸化物により構成されている。また、好ましい一態様では、第2正極活物質粒子は、上記一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物により構成されている。
上記第2正極活物質粒子としては、その平均粒子径P2が第1正極活物質粒子のP1より大きければよく、特に限定されない(すなわちP2>P1)。第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の下限としては、正極活物質層の充填性を高める等の観点から、10.0μmが好ましく、11.0μmがより好ましく、12.0μmがさらに好ましい。いくつかの態様において、平均粒子径P2は、例えば13.0μm以上であってもよく、典型的には14.0μm以上(例えば14.5μm以上)であってもよい。一方、第2正極活物質粒子の平均粒子径の上限としては、出力特性等の観点から30.0μmが好ましく、25.0μmがより好ましく、20.0μmがさらに好ましい。いくつかの態様において、平均粒子径P2は、例えば18.0μm以下であってもよく、典型的には16.0μm以下(例えば15.5μm以上)であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、第2正極活物質粒子の平均粒子径P2が10.5μm以上30μm以下(さらには12.0μm以上18.0μm以下)である態様で好ましく実施され得る。上記第2正極活物質粒子の平均粒子径を上記範囲とすることにより、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)は、1.00よりも大きければよく、特に限定されない。第1正極活物質粒子と第2正極活物質粒子とを併用することによる効果をより発揮させる観点から、平均粒子径の割合(P2/P1)の下限としては、例えば1.50(典型的には2.50)であり得る。例えば、上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)は、好ましくは3.30以上、より好ましくは4.00以上、さらに好ましくは4.50以上である。一方、上記P2/P1の上限としては、例えば20.0(典型的には15.0、例えば10.0)であり得る。例えば、上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)は、好ましくは7.00以下、より好ましくは6.50以下、さらに好ましくは6.00以下である。第1正極活物質粒子と第2正極活物質粒子とを特定の平均粒子径比となるように組み合わせて用いることにより、大径の第2正極活物質粒子の周囲に小径の第1正極活物質粒子が適切に配置される。そのため、正極合剤層全体で正極活物質表面への電荷担体の供給が容易となり、電極間の厚さ方向における電荷担体の濃度分布が効果的に低減され、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
第2正極活物質粒子の平均粒子径P2は、第1正極活物質粒子の平均粒子径P1より3.0μm以上大きいことが好ましく、5.0μm以上(例えば7.0μm以上、典型的には10μm以上)大きいことがより好ましい。また、第2正極活物質粒子の平均粒子径P2から第1正極活物質粒子の平均粒子径P1を減じた値(すなわち、P2−P1)は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下である。
上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1:質量基準)は特に限定されない。好ましい一態様では、上記第2正極活物質粒子の含有量W2は、上記第1正極活物質粒子の含有量W1よりも大きい。すなわち、含有量の割合(W2/W1)は、質量比で1.0超であることが好ましい。第1正極活物質粒子と第2正極活物質粒子とを併用することによる効果をより発揮させる観点から、上記含有量の割合(W2/W1)の下限としては、質量比で1.2(典型的には1.4)であり得る。例えば、上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)は、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.3以上、特に好ましくは3.0以上である。一方、上記含有量の割合(W2/W1)の上限としては、例えば30(典型的には25、例えば20)であり得る。例えば、上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)は、好ましくは15.0以下、より好ましくは9.0以下、さらに好ましくは7.0以下、特に好ましくは5.0以下である。第1正極活物質粒子と第2正極活物質粒子との含有量を特定の質量比となるように組み合わせて用いることにより、大径の第2正極活物質粒子の周囲に小径の第1正極活物質粒子が適切に配置される。そのため、正極合剤層全体で正極活物質表面への電荷担体の供給が容易となり、電極間の厚さ方向における電荷担体の濃度分布が効果的に低減され、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
上記第2正極活物質粒子の平均空隙率A2は上記第1正極活物質粒子の平均空隙率A1よりも小さければよい。上記第2正極活物質粒子の平均空隙率A2の上限としては、概ね20%である。いくつかの態様において、耐久性を高める等の観点から、第2正極活物質粒子の平均空隙率A2は、例えば15%以下であってもよく、8%以下であってもよく、5%以下であってもよい。上記第2正極活物質粒子の平均空隙率A2の下限としては、概ね0%である。いくつかの態様において、第1正極活物質粒子の保液性を高める等の観点から、第2正極活物質粒子の平均空隙率A2は、例えば1%以上であってもよく、3%以上であってもよく、5%以上(例えば10%以上)であってもよい。上記第2正極活物質粒子の平均空隙率A2が上記範囲であることで、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
第1正極活物質粒子の平均空隙率A1は、第2正極活物質粒子の平均空隙率A2より1%以上大きいことが好ましく、2%以上大きいことがより好ましい。いくつかの態様において、第1正極活物質粒子の平均空隙率A1は、第2正極活物質粒子の平均空隙率A2より5%以上大きくてもよく、10%以上大きくてもよい。また、第1正極活物質粒子の平均空隙率A1から第2正極活物質粒子の平均粒子径A2を減じた値(すなわち、A1−A2)は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下である。いくつかの態様において、上記減じた値(A1−A2)は、例えば40%以下であってもよく、30%以下であってもよい。
[正極合剤層積層工程]
上記正極合剤層は、正極活物質を含むいわゆる正極合剤から形成される。正極合剤層積層工程では、上記混合工程により得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層する。
正極合剤層の積層方法は特に限定されるものではない。例えば、湿式または乾式の紛体混合機を用いて後述する正極合剤を製造した後に、上記正極基材に塗工し、所定の温度域で熱処理する方法などが挙げられる。
(正極基材)
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085、A3003等が例示できる。
(正極合剤)
正極合剤層を形成する正極合剤は、上記混合工程により得られた上記第1正極活物質粒子及び上記第2正極活物質粒子の混合物を含む。また、上記正極合剤は、上記混合物の他に、必要に応じて、導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。
上記導電剤としては、当該製造方法により製造される非水電解質蓄電素子の性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、炭素質材料、金属、導電性セラミックス等が挙げられる。炭素質材料としては、黒鉛化炭素、非黒鉛化炭素、グラフェン系炭素等が挙げられる。非黒鉛化炭素としては、カーボンナノファイバー、ピッチ系炭素繊維、カーボンブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。グラフェン系炭素としては、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン等が挙げられる。導電材の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。導電剤としては、これらの材料の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、これらの材料を複合化して用いてもよい。例えば、カーボンブラックとCNTとを複合化した材料を用いてもよい。これらの中でも、電子伝導性及び塗工性の観点よりカーボンブラックが好ましく、中でもアセチレンブラックが好ましい。導電剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める導電剤の割合は、例えば1.0質量%〜20質量%とすることができ、2質量%〜15質量%(例えば3質量%〜6質量%)とすることが好ましい。
上記バインダーとしては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。バインダーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるバインダーの割合は、例えば0.50質量%〜15.0質量%とすることができ、1.0質量%〜10.0質量%(例えば1.5質量%〜3.0質量%)とすることが好ましい。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。増粘剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める増粘剤の割合は、例えば8.0質量%以下とすることができ、5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記増粘剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
上記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、アルミノケイ酸塩等の無機酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、炭酸カルシウム等の炭酸塩、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウム等の難溶性のイオン結晶、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物、タルク、モンモリロナイト、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカ等の鉱物資源由来物質又はこれらの人造物等が挙げられる。フィラーを使用する場合、正極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、例えば8.0質量%以下とすることができ、5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、正極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。
正極合剤層の単位面積当たりの質量の下限としては、1.4g/100cmである。高容量化等の観点から、正極合剤層の単位面積当たりの質量は、好ましくは2.0g/100cm以上、より好ましくは2.5g/100cm以上、さらに好ましくは2.8g/100cm以上、特に好ましくは3.2g/100cm以上である。一方、上記単位面積当たりの質量の上限としては特に限定されないが、前述した効果(例えば非水電解質蓄電素子の高率放電性能向上効果)をより確実に発揮させる等の観点から、10.0g/100cmが好ましく、5.0g/100cmがより好ましく、3.6g/100cmがさらに好ましい。正極合剤層の単位面積当たりの質量が上記範囲であることで、非水電解質蓄電素子の高率放電性能を向上できる。
正極合剤層の密度の下限としては、1.0g/cmが好ましく、2.0g/cmがより好ましく、2.5g/cmがさらに好ましい。一方、この密度の上限としては、6.0g/cmが好ましく、5.0g/cmがより好ましく、4.0g/cmがさらに好ましい。ここで、「正極合剤層の密度」(g/cm)は、正極合剤層の単位面積当たりの質量及び充放電前の正極合剤層の平均厚さから算出する。ここで、正極合剤層の平均厚さは、両面に正極合剤が塗布されている正極極板の場合は、(充放電前の正極極板の平均厚さ−集電体箔の平均厚さ)÷2)により算出する。
正極合剤層の多孔度の上限としては、60%が好ましく、50%がより好ましく、45%がさらに好ましい。正極合剤層の多孔度は、好ましくは40%以下、より好ましくは35%以下である。いくつかの態様において、正極合剤層の多孔度は、例えば32%以下であってもよく、典型的には30%以下であってもよい。一方、この多孔度の下限としては、5%が好ましく、10%がより好ましく、15%がさらに好ましい。正極合剤層の多孔度は、好ましくは18%以上、より好ましくは20%以上である。いくつかの態様において、正極合剤層の多孔度は、例えば25%以上であってもよく、典型的には28%以上であってもよい。正極合剤層の多孔度を上記範囲とすることで、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
正極合剤層の「多孔度」とは、正極合剤層を構成する各成分の真密度から算出される正極合剤層の真密度と充填密度とから、下記式により求められる値をいう。上記充填密度とは、正極合剤層の質量を正極合剤層の見かけの体積で除した値をいう。上記見かけの体積とは、空隙部分を含む体積をいい、正極合剤層においては、平均厚さと面積との積として求めることができる。
なお、後述する負極合剤層の多孔度についても同様である。
多孔度(%)=100−(充填密度/真密度)×100
正極合剤層は、正極基材に直接又は中間層を介して積層されてもよい。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極合剤層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
このようにして、正極基材及び正極合剤層を有する正極が形成される。
[負極形成工程]
負極形成工程では、負極基材及び負極合剤層を有する負極を形成する。
上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
負極合剤層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極合剤層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、バインダー、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極合剤層と同様のものを用いることができる。
負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えば
Si、Sn等の金属又は半金属;
Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;
ポリリン酸化合物;
黒鉛(グラファイト)、非黒鉛質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料;
LiTi12、LiTiO2、TiNb等のチタン含有酸化物;
等が挙げられる。
さらに、負極合剤は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、Sn、Sr、Ba、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
負極合剤層中の負極活物質の含有量は特に限定されないが、その下限としては、50質量%が好ましく、80質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。一方、この含有量の上限としては、99質量%が好ましく、98質量がより好ましい。
負極合剤層においてバインダーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるバインダーの割合は、例えば0.50質量%〜15質量%とすることができ、1.0質量%〜10質量%(例えば1.5質量%〜3.0質量%)とすることが好ましい。負極合剤層において増粘剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める増粘剤の割合は、例えば0.10質量%〜10質量%とすることができ、0.20質量%〜5.0質量%(例えば0.30質量%〜1.0質量%)とすることが好ましい。負極合剤層においてフィラーを使用する場合、負極合剤層全体に占めるフィラーの割合は、例えば8.0質量%以下とすることができ、5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記フィラーを含まない態様で好ましく実施され得る。負極合剤層において導電剤を使用する場合、負極合剤層全体に占める導電剤の割合は、例えば8.0質量%以下とすることができ、5.0質量%以下(例えば1.0質量%以下)とすることが好ましい。ここで開示される技術は、負極合剤層が上記導電剤を含まない態様で好ましく実施され得る。
負極合剤層の単位面積当たりの質量の下限としては、0.10g/100cmが好ましく、0.30g/100cmがより好ましく、0.50g/100cmがさらに好ましく、0.80g/100cmがよりさらに好ましい。一方、上記単位面積当たりの質量の上限としては、5.0g/100cmが好ましく、4.0g/100cmがより好ましく、3.0g/100cmがさらに好ましく、2.5g/100cmがよりさらに好ましい。ここで、「負極合剤層の単位面積当たりの質量」における「単位面積」とは、負極基材との積層面における単位面積をいう。
負極合剤層の密度の下限としては、0.30g/cmが好ましく、0.80g/cmがより好ましく、1.0g/cmがさらに好ましい。一方、この密度の上限としては、5.0g/cmが好ましく、3.0g/cmがより好ましく、2.0g/cmがさらに好ましい。
負極合剤層の多孔度の上限としては、50%が好ましく、40%がより好ましい。一方、この多孔度の下限としては、10%が好ましく、30%がより好ましい。負極合剤層の多孔度を上記範囲とすることで、良好な高充填状態及びイオン拡散性をバランスよく発揮させることができる。
負極合剤層は、負極基材に直接又は中間層を介して積層されてもよい。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。また、負極合剤層の上面に、少なくとも無機粒子とバインダーとを有する負極オーバーコート層を設けてもよい。負極オーバーコート層を設けることにより、イオン伝導性の向上や短絡の可能性の低下などの効果が得られる。ここで開示される技術は、上記中間層を有さない態様で好ましく実施され得る。
[電極体形成工程]
電極体形成工程では、上記正極及び上記負極を用いて電極体を形成する。電極体形成工程では、通常、セパレータを介して上記正極及び負極を積層又は巻回することにより、交互に重畳された電極体を形成する。
(セパレータ)
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質(典型的には非水電解液)の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。また、これらの樹脂を複合してもよい。その他、多孔質樹脂フィルムと無機多孔層とを有する複合セパレータ等であってもよい。
上記電極体は、ケースに収容される。ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属ケース、樹脂ケース等を用いることができる。
[非水電解質注入工程]
非水電解質注入工程では、上記電極体が収容されたケースに非水電解質を注入する。
(非水電解質)
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質蓄電素子に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。なお、上記非水電解質は、固体電解質等であってもよい。非水電解質が固体電解質の場合には、正極合剤層に含まれる上記小径正極活物質粒子の平均空隙率を大きくすることで、上記小径正極活物質粒子の周囲に存在できる固体電解質の量が多くなり、正極活物質表面への電荷担体の供給が容易となる。このことにより、非水電解質蓄電素子の高率放電性能を向上させることができる。
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiPF(C、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体などを用いることもできる。
上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより非水電解質二次電池を得ることができる。
当該非水電解質蓄電素子の製造方法によれば、高率放電性能がより優れる非水電解質蓄電素子を製造できる。
<非水電解質蓄電素子>
ここに開示される非水電解質蓄電素子は、平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合する混合工程と、上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層する正極合剤層積層工程を経て製造されたものである。ここで、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量は1.4g/100cm以上であり、かつ、上記第1正極活物質粒子の平均空隙率は、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい。そのため、得られた非水電解質蓄電素子は、より良好な性能を示す(例えば高率放電性能に優れる)ものであり得る。
ここに開示される技術によると、正極基材と、この正極基材上に積層される正極合剤層とを有する正極を備え、上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、上記正極合剤層は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される上記正極合剤層の断面において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子と、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子とを含み、上記小径正極活物質粒子の平均空隙率が、上記大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きいことを特徴とする非水電解質蓄電素子が提供され得る。
ここで、上記SEM観察に基づく正極活物質粒子の粒子径は、粒子のフェレー径である。小径正極活物質粒子および大径正極活物質粒子の平均空隙率は、例えば次の方法により求められる。すなわち、走査型電子顕微鏡により観察される正極合剤層の断面において、正極活物質粒子を所定個数(例えば10個〜100個)程度観察し、その粒子径を画像解析により算出する。SEMの観察条件は特に限定されないが、通常は1000倍〜5000倍(例えば2000倍)の倍率である。そして、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子を抽出し、その平均空隙率を前述の方法により算出するものとする。また、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子を抽出し、その平均空隙率を前述の方法により算出するものとする。
当該非水電解質蓄電素子は、正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、走査型電子顕微鏡により観察される上記正極合剤層の断面において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子の平均空隙率が、平均粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きいことで、厚さ方向における電荷担体の濃度分布がより良く低減される結果、高率放電性能により優れる大容量タイプの蓄電素子を実現できる。
これらの当該非水電解質蓄電素子を構成する各要素についての詳細は上述したとおりである。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。また、上記実施形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池(特にリチウムイオン二次電池)である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質二次電池1の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質二次電池1は、電極体2が電池容器3に収納されている。電極体2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。また、電池容器3内に、上記非水電解質が注入されている。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(正極の作製)
正極活物質である第1正極活物質粒子として、平均粒子径が3μmのα−NaFeO型結晶構造を有するNCM(LiNi0.6Mn0.2Co0.2)を用いた。
第2正極活物質粒子として、平均粒子径が15μmであり、かつ、平均空隙率が第1正極活物質粒子よりも小さいα−NaFeO型結晶構造を有するNCM(LiNi0.6Mn0.2Co0.2)を用いた。また、第1正極活物質粒子に対する第2正極活物質粒子の含有量の割合は質量比で4.0であり、第1正極活物質粒子に対する第2正極活物質粒子の平均粒子径の比は5.00である。なお、第1正極活物質粒子及び第2正極活物質粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定に基づく上述の方法に準じて求めたものである。
分散媒としてN−メチルピロリドンを用い、正極活物質粒子、導電剤としてのアセチレンブラック、及びバインダーとしてのポリビニリデンフルオライドを固形分換算で94:4:2の質量比で混合し、正極合剤ペーストを得た。この正極合剤ペーストを正極基材としてのアルミニウム箔(厚さ0.015mm)の両面それぞれに塗布し、乾燥することにより正極合剤層を作製した。その後、電極密度が3.06g/cmとなるまでプレスを行い、正極を得た。得られた正極の正極合剤層の多孔度は30%であった。また、正極合剤層の単位面積当たりの質量は、2.5g/100cmであった。得られた正極合剤層の断面SEM画像を図3に示す。図3に示すように、本例では、正極合剤層の断面SEM画像において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子の平均空隙率が、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい。
(負極の作製)
負極活物質として黒鉛、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを固形分換算での質量比率98:1.5:0.6で用い、水を分散媒とした負極合剤ペーストを作製した。この負極合剤ペーストを負極基材としての銅箔(厚さ0.008mm)の両面それぞれに塗布し、乾燥することにより負極合剤層を作製した。その後、電極密度が1.42g/cmとなるまでプレスを行い、負極を得た。得られた負極の負極合剤層の多孔度は34%であった。また、負極合剤層の単位面積当たりの質量は、1.5g/100cmであった。
(非水電解質の調製)
EC、EMC及びDMCを体積比率として30:30:40で混合した非水溶媒にLiPF6を1.0mol/Lとなるように溶かした非水電解質を調製した。
(非水電解質蓄電素子の作製)
セパレータとして、ポリエチレン製のセパレータを用いた。このセパレータを介して、上記正極と上記負極とを積層することにより電極体を作製した。この電極体を金属製のケースに収納し、内部に上記非水電解質を注入した後、封口し、試験用セルである実施例1の非水電解質蓄電素子を得た。
Figure 2020194708
[実施例2〜実施例16、比較例1〜比較例3及び参考例1〜参考例2]
電極の構成、用いた第1正極活物質粒子及び第2正極活物質の平均粒子径P1、P2、平均空隙率、並びに第1正極活物質粒子に対する第2正極活物質粒子の含有量の割合及び正極合剤層の多孔度を表1〜表5に記載のようにしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜実施例16、比較例1〜比較例3および参考例1〜参考例2の非水電解質蓄電素子を得た。
[評価]
(正極合剤層の多孔度)
上述の通り、「多孔度」は、つぎの式で算出した。
多孔度(%)=100−(充填密度/真密度)×100
ここで、「正極合剤層の真密度」(g/cm)は、正極合剤層を構成する各成分、正極活物質、導電助剤、バインダーの各々の真密度から算出することにより求めた。
(空隙率)
第1正極活物質粒子および第2正極活物質粒子の空隙率は、前述の方法により算出した。具体的には、画像解析ソフトとしてpopimagingを用いてコントラスト調整、色濃度変更、平均化処理等を行った後に白黒の2値画像を作成し、白塗り部(空隙)の面積を測定することにより空隙率を求めた。
(高率放電性能)
25℃において、0.2CA(1.8A)で100%SOCまで充電を行った。
そして、100%SOCから0%SOCまで、1CA(9A)で放電した際の放電容量をE1とし、5CA(45Ah)で放電した際の放電容量をE2とし、下記式で算出した値を高率放電性能とした。
高率放電性能=E2/E1×100(%)
上記評価結果を下記表2〜表5及び図4に示す。
Figure 2020194708
上記表2及び図4に示されるように、参考例1及び参考例2は、正極合剤層の単位面積当たりの質量が1.3g/100cmである。かかる参考例1及び参考例2では、第1正極活物質粒子および第2正極活物質粒子の平均空隙率にかかわらず、良好な高率放電性能が得られた。一方、正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、かつ、第2正極活物質粒子の平均空隙率が、第1正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい比較例1〜比較例3は、高率放電性能が劣っていた。これに対し、正極合剤層の単位面積当たりの質量が1.4g/100cm以上であり、かつ、第1正極活物質粒子の平均空隙率が、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径を有する第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい実施例1〜実施例3は、高率放電性能に優れていた。
Figure 2020194708
上記表3に示されるように、第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)が、3.30以上7.00以下である実施例1及び実施例5〜実施例6は、上記P2/P1が、3.30未満である実施例4及び7.00超である実施例7と比較して高率放電性能がより優れていた。
Figure 2020194708
上記表4に示されるように、第1正極活物質粒子の含有量W1に対する第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)が、質量比で1.5以上9.0以下である実施例1及び実施例8〜実施例10は、上記W2/W1が、質量比で9.0超である実施例11よりも高率放電性能がより優れていた。
Figure 2020194708
上記表5に示されるように、正極合剤層の多孔度が20%以上35%以下である実施例1及び実施例13〜実施例15は、上記多孔度が20%未満である実施例12及び35%超である実施例16と比較して高率放電性能がより優れていた。
以上の結果から、当該非水電解質蓄電素子の製造方法により得られた非水電解質蓄電素子は、高率放電性能に優れることが示された。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車などの電源として使用される非水電解質二次電池をはじめとした非水電解質蓄電素子に適用できる。
ここに開示される技術の好ましい適用対象として、大型のリチウムイオン二次電池が挙げられる。例えば、電池容量が5.0Ah以上(例えば5.0Ah以上100Ah以下、さらには9.0Ah以上、特には20Ah以上、例えば30Ah以上)の大容量タイプであって、かつ、3C以上(例えば3C〜50C)さらには5C以上(例えば5C〜40C)の大電流での放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定される大型のリチウムイオン二次電池が例示される。本発明に係る非水電解質蓄電素子は、高率放電性能に優れるため、上述した大型のリチウムイオン二次電池に好適に適用され得る。
1 非水電解質二次電池
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (4)

  1. 平均粒子径P1を有する第1正極活物質粒子と、この第1正極活物質粒子よりも大きい平均粒子径P2を有する第2正極活物質粒子とを混合すること、及び
    上記混合することにより得られた混合物を用いて正極合剤層を正極基材上に積層すること
    を備え、
    上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、
    上記第1正極活物質粒子の平均空隙率が、上記第2正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子の製造方法。
  2. 上記第1正極活物質粒子の平均粒子径P1に対する上記第2正極活物質粒子の平均粒子径P2の割合(P2/P1)が、3.30以上7.00以下である請求項1に記載の非水電解質蓄電素子の製造方法。
  3. 上記第1正極活物質粒子の含有量W1に対する上記第2正極活物質粒子の含有量W2の割合(W2/W1)が、質量比で1.5以上9.0以下である請求項1又は請求項2に記載の非水電解質蓄電素子の製造方法。
  4. 正極基材と、この正極基材上に積層される正極合剤層とを有する正極を備え、
    上記正極合剤層の単位面積当たりの質量が、1.4g/100cm以上であり、
    上記正極合剤層は、走査型電子顕微鏡により観察される上記正極合剤層の断面において、粒子径が10μm未満の小径正極活物質粒子と、粒子径が10μm以上の大径正極活物質粒子とを含み、
    上記小径正極活物質粒子の平均空隙率が、上記大径正極活物質粒子の平均空隙率よりも大きい非水電解質蓄電素子。
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