JP2014072025A - 非水電解質二次電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池性能が向上した非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、正極1と、活物質としてチタン酸リチウムを含む負極2と、正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3と、非水電解液15とを備える。非水電解液15は、ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む。本発明の非水電解質二次電池は、初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の非水電解質二次電池は、正極1と、活物質としてチタン酸リチウムを含む負極2と、正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3と、非水電解液15とを備える。非水電解液15は、ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む。本発明の非水電解質二次電池は、初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池及びその製造方法に関する。
近年、高エネルギー密度の蓄電デバイスとして、リチウム一次電池、リチウムイオン二次電池及びリチウムポリマー二次電池などが実用化されている。
中でも、リチウムイオン二次電池は、モバイル機器の電源としてだけでなく、ハイブリッド自動車及び電気自動車、並びに家庭用蓄電などの用途での蓄電池としても注目され、開発が進められている。これらの用途では、低温や高温などの過酷な環境下で使用される場合もあり、そのような状況での急速充放電特性及び長期にわたる信頼性が要求される。
リチウムイオン二次電池は、正極及び負極にリチウムイオンを吸蔵放出可能な材料を用い、電気的な接触を防ぐためのセパレータとリチウムイオン伝導性の電解質とを介して、正極及び負極を互いに対向させた構成を有している。電池内では電解質を通して、充電時には正極からリチウムイオンを放出し負極で吸蔵、逆に放電時には正極が負極から放出されたリチウムイオンを吸蔵する反応が起こっている。この時、外部回路を通して電池内部でのリチウムイオンの移動に相当する電子の受け渡しを行って、充放電が行われている。
従来、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な負極活物質として、炭素系の材料が一般に用いられている。しかしながら、炭素材料を用いた負極では、リチウムイオンの吸蔵放出の反応電位が0.3V(vs.Li/Li+)以下と低く、リチウムの溶解析出電位に近いため、特に反応性の低下する低温環境下での急速充電時において負極表面への金属リチウムの析出が起こりやすい。負極上への金属リチウムの析出は、内部短絡の原因となるだけでなく、失活化することで容量低下の原因ともなり、電池の動作不良や性能劣化を引き起こす可能性がある。
そこで、炭素材料に代わる負極活物質としてチタン酸リチウムをはじめとする酸化物系材料の検討が行われている。チタン酸リチウムは、正極活物質として用いられるマンガン酸リチウムと同様のスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物であり、可逆的にリチウムイオンを吸蔵放出することができる。チタン酸リチウムは、マンガン酸リチウムとは異なり、約1.5V(vs.Li/Li+)と低い電位で可逆的にリチウムと反応するので、負極活物質として用いることができる。また、この電位での充放電反応時の体積変化が非常に小さいので、チタン酸リチウムは、充放電を繰り返す二次電池用の電極材料として優れた特性を有することが期待できる。
このチタン酸リチウムをリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いることが、既に提案されている。具体的には、一般式LiaTi3-aO4(式中、aは0<a<3の数を示す)で表されるチタン酸リチウム化合物を負極に用い、一般式:LiCobNi1-bO2(0≦b≦1)、LiAlcCodNi1-c-dO2(0≦c≦1、0≦d≦1、0≦c+d≦1)、で表される化合物を正極に用いた非水二次電池が提案されている。
同時に、チタン酸リチウムは、リチウムとの反応電位が約1.5V(vs.Li/Li+)と、リチウムの溶解析出電位よりも十分に貴である。このことから、チタン酸リチウムは、上述の炭素材料の様な金属リチウムの析出を抑制することができ、電池の信頼性をより高めることができる。
また、炭素材料を用いた負極では、その反応電位の低さから非水電解質を還元分解して表面に反応生成物から成る被膜を形成する。この被膜は、初期充放電時に形成されると、その後の非水電解質との過剰な反応などの副反応を抑制する効果があり、炭素材料を用いる上で必要な反応である。しかし、その抑制効果は完全なものではなく、微量ではあるが副反応は継続的に起こる。そのため、充放電を繰り返し長期にわたって電池を使用する場合には、たとえ微少量であっても継続的に起こる反応の影響が大きく現れ、電池の可逆容量の低下や内部抵抗の増加による出力特性の劣化を招く。
チタン酸リチウムを負極活物質に用いた場合にも、その表面に、非水電解質の反応生成物からなる被膜や、非水電解質の吸着による被膜が形成される場合がある。このような被膜は、リチウムの脱挿入反応を円滑にしたり、電解液との反応を抑制したりする、保護被膜として機能することができる。
例えば特許文献1では、非水電解液にビニレンカーボネート及びプロパンスルトンを添加して負極活物質表面に被膜を形成させることで、負極活物質と電解液との反応を抑制し、高温保存時におけるガス発生を低減する技術を提案している。
チタン酸リチウムを負極活物質に用いる場合に、その表面に形成される被膜は、炭素材料の被膜と比較すると少量である。したがって、チタン酸リチウムを負極活物質に用いる場合、リチウムの脱挿入反応を円滑にしたり、電解液との反応を抑制したりするというような、被膜によって得られる効果はまだ不十分である。したがって、チタン酸リチウムが負極活物質に用いられる非水電解質二次電池においては、この被膜を適切に制御して、電池性能をさらに向上させることが求められている。
本発明は、電池性能が向上した非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備え、
初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである、
非水電解質二次電池を提供する。
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備え、
初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである、
非水電解質二次電池を提供する。
本発明によれば、電池性能が向上した非水電解質二次電池を提供できる。
本発明者らは、チタン酸リチウムを負極活物質に用いる非水電解質二次電池において、負極活物質の表面に形成される被膜と、非水電解液に添加剤として含まれる物質との関係に着目して、種々の検討を行った。例えば、ホウ弗化リチウムは、高率放電時の初期の電圧降下を抑制できる。しかし、ホウ弗化リチウムを含む非水電解液の場合、放電中期〜末期では放電維持電圧が低下する。すなわち、ホウ弗化リチウムは、放電中期〜末期ではその効果が半減する。また、LiPO2F2は、低温放電や高率放電時の分極を低減し、電池容量を増大させることができる。このような場合、互いの短所を補うことができる複数の添加剤を同時に用いることによって、電池性能のさらなる向上の実現を試みることが一般的である。
しかし、本発明者らは、単独添加では電池性能を向上させる上記添加剤であっても、複数の添加剤が共存すると、電池性能が向上しない、又は悪化するという課題を見出した。
そこで、本発明者らは、このような課題に対して種々の検討を行い、複数の添加剤を非水電解液中に共存させた場合においても電池性能が向上した、本発明の非水電解質二次電池を提供するに至った。さらに、本発明者らは、そのような非水電解質二次電池の製造方法を提供するにも至った。
本発明の第1の態様は、
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備え、
初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである、
非水電解質二次電池を提供する。
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備え、
初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである、
非水電解質二次電池を提供する。
第1の態様に係る非水電解質二次電池は、非水電解液中に単に共存させるだけでは電池性能改善効果を発揮しない添加剤(ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2)を混合して用いているにも関わらず、高率放電や低温放電時の初期分極を低減しつつ、より大きな電池容量を持つ、優れた電池性能を実現できる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記所定時間が5時間以上である、非水電解質二次電池を提供する。初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で5時間以上保持することにより、非水電解質二次電池の電池性能をより安定的に向上させることができる。
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、前記非水溶媒が環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む、非水電解質二次電池を提供する。高誘電率を有する環状カーボネートと低粘性の鎖状カーボネートとが混合して用いられることにより、非水電解質二次電池の電池性能をより向上させることができる。
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記非水溶媒における前記環状カーボネートの体積比率が20%以上である、非水電解質二次電池を提供する。環状カーボネートの体積比率が20%以上である非水溶媒を用いることにより、非水電解質二次電池の電池性能をより向上させることができる。
本発明の第5の態様は、第3又は第4の態様において、前記環状カーボネートがプロピレンカーボネートである、非水電解質二次電池を提供する。ガス発生が少なく、安定なプロピレンカーボネートを含む非水溶媒を用いることにより、非水電解質二次電池の信頼性や安全性をより向上させることができる。
本発明の第6の態様は、第3〜第5の態様の何れか1つの態様において、前記鎖状カーボネートが、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選択される少なくとも何れか1種である、非水電解質二次電池を提供する。ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及び/又はジエチルカーボネートを含む非水溶媒を用いることにより、非水電解質二次電池の電池性能をより向上させることができる。
本発明の第7の態様は、第1〜第6の態様の何れか1つの態様において、前記非水電解液における前記ホウ弗化リチウムの重量比率が3%以下である、非水電解質二次電池を提供する。重量比率が3%以下となるように、非水電解液にホウ弗化リチウムを添加することにより、放電初期の分極をより確実に低減し、電池性能を向上させることができる。
本発明の第8の態様は、第1〜第7の態様の何れか1つの態様において、前記非水電解液における前記LiPO2F2の重量比率が0.1%以上1.5%以下である、非水電解質二次電池を提供する。重量比率が0.1%以上1.5%以下となるように、非水電解液にLiPO2F2を添加することにより、充放電時の分極をより確実に低減し、電池性能を向上させることができる。
本発明の第9の態様は、
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記非水電解質二次電池の初回充電工程を含み、
前記初回充電工程が、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で、前記非水電解質二次電池を所定時間保持する処理を含む、
非水電解質二次電池の製造方法を提供する。
正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記非水電解質二次電池の初回充電工程を含み、
前記初回充電工程が、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で、前記非水電解質二次電池を所定時間保持する処理を含む、
非水電解質二次電池の製造方法を提供する。
第9の態様に係る製造方法によれば、非水電解液中に単に共存させるだけでは電池性能改善効果を発揮しない添加剤(ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2)を混合して用いているにも関わらず、高率放電や低温放電時の初期分極を低減しつつ、より大きな電池容量を持つ、優れた電池性能を有する非水電解質二次電池を製造できる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。
まず、本発明の非水電解質二次電池の一実施形態であるリチウムイオン二次電池について、その一構成例を説明する。
図1(a)は、本実施形態のリチウムイオン二次電池の斜視図である。図1(b)は、図1(a)におけるI−I線に沿った断面を示している。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電極群13と、電極群13を収納する電池ケース14と、電池ケース14内に充填された非水電解液15とを備える。電極群13における正極は、正極リード11に接続されている。電極群13における負極は、負極リード12に接続されている。正極リード11及び負極リード12は、電池ケース14の外部に引き出されている。
図1(c)は電極群13の断面を拡大して示している。図1(c)に示すように、電極群13は、正極1と、負極2と、正極2と負極2との間に設けられたセパレータ3とを備えている。正極1は、例えば、アルミニウム箔からなる正極集電体1aと、正極集電体1aの表面に配置された、例えばニッケルコバルト酸リチウム(LixCoyNi1-yO2)を含有する正極合剤層1bとを有している。一方、負極2は、例えば、アルミニウム箔からなる負極集電体2aと、負極集電体2aの表面に配置されたチタン酸リチウム(例えばLi4Ti5O12)を含有する負極合剤層2bとを有している。セパレータ3は、例えばセルロース繊維を用いて抄紙したシートからなる。
正極合剤層1bの正極活物質としては、LixCoyNi1-yO2以外のリチウム含有遷移金属酸化物を用いてもよい。例えば、LiCoO2、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyM1-yOz、LixNi1-yMyOz、LixMn2O4、LixMn2-yMyO4(Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb及びBから選択される少なくとも一種である。x、y及びzは、x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=1.7〜2.3を満たす。)が挙げられる。これらの材料以外でも、充電時の正極1の電位がリチウム基準で4Vを超えるような材料であれば、正極活物質として好ましい。また、正極活物質として、複数の異なった材料を混合して用いてもよい。正極活物質が粉末である場合には、平均粒径は特に限定はされないが、例えば0.1〜30μmの平均粒径を有する粉末が好ましい。正極合剤層1bは、通常50〜200μm程度の厚さを有するが、特に厚さに制約はない。正極合剤層1bは、0.1〜50μmの厚さを有していてもよい。なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定された値である。
正極合剤層1bは、前記酸化物以外の導電剤及び結着剤の両方を含んでいてもよいし、いずれか一方のみを含んでいてもよい。又は、正極合剤層1bは、導電剤及び結着剤のいずれも含んでおらず、正極活物質のみから構成されていてもよい。
正極合剤層1b用の導電剤は、正極1の充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、黒鉛類、カ−ボンブラック類、炭素繊維及び金属繊維などの導電性繊維類、金属粉末類、導電性ウィスカー類、導電性金属酸化物、又は、有機導電性材料などを単独で用いてもよいし、これらの混合物を用いてもよい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、正極活物質に対して1〜50重量%が好ましく、特に1〜30重量%が好ましい。
正極合剤層1bに用いられる結着剤には、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を用いることができる。好ましい結着剤としては、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)などのフッ素系樹脂及びその共重合体樹脂、ポリアクリル酸及びその共重合体樹脂などである。
導電剤及び結着剤の他にも、フィラー、分散剤、イオン伝導体、圧力増強剤及びその他の各種添加剤を用いることができる。フィラーは、リチウムイオン二次電池内で化学変化を起こさない材料であれば何でもよい。
正極集電体1aの材料は、正極1の充放電電位において化学変化を起こさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタン、炭素及び導電性樹脂などを用いることができる。また、正極集電体1aの表面には、表面処理により凹凸を付けることが望ましい。形状は、フォイルの他、フィルム、シート、ネット、パンチングメタル、エキスパンドメタル、多孔質体、発泡体、繊維群、不織布体、及びそれらの成形体などのいずれであってもよい。正極集電体1aの厚さは、特に限定されないが、一般には1〜500μmである。
負極合剤層2bに含まれる負極活物質は、チタン酸リチウムを含んでおり、例えばスピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。スピネル構造を有するチタン酸リチウムとしては、Li4Ti5O12の組成を有するチタン酸リチウムを挙げることができる。チタン酸リチウムをリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いた場合、充放電反応に伴いLi4+xTi5O12(0≦x≦3)の状態をとる。
チタン酸リチウムの粒子は、不純物相として、アナターゼ型酸化チタン(TiO2)やルチル型酸化チタン(TiO2)、Li2TiO3及び/又はLi2Ti3O7を含でいてもよい。このような不純物相を含んでいても、本実施形態の効果を得ることができる。また、構成要素の一部の元素を異種元素で置換したチタン酸リチウムも、好適に本実施形態の負極活物質として用いることができる。これは、本実施形態により得られる効果が、主としてチタン酸リチウム粒子の表面状態に関しており、チタン酸リチウムの厳密な組成状態の影響はきわめて小さいためである。
負極集電体2aとしては、アルミニウム箔が好ましいが、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔などを用いてもよい。また、負極集電体2aは、前記の正極集電体1aと同様の形状であってもよい。
セパレータ3としては、セルロース繊維を用いて抄紙したシートだけでなく、非水電解液で濡らすことができ、その電解液を保持するものであれば、不織布シート、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる微多孔膜シート、及びこれらを複合化させたシートを用いることができる。もちろん、これら以外にも、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いることが可能な材料を使用することができる。
非水電解液15は、電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む。電解質としては、ホウ弗化リチウムを除く電解質材料が含まれる。電解質材料は、一般にリチウムイオン二次電池に用いられる公知の電解質材料の中から、適宜選択することができる。なお、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2は、添加剤として、非水電解液15に含まれる。
非水溶媒は、一般にリチウムイオン二次電池に用いられる環状カーボネートを体積比率で20%以上含む、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合物が好ましい。例えば、ポリエチレンカーボネート(PC)(市販バッテリーグレード)とジメチルカーボネート(DMC)(市販バッテリーグレード)とが、2:1の比率で混合された非水溶媒を用いることができる。この非水溶媒に、電解質(支持電解質塩)として、例えば1.4mol/Lの濃度でLiPF6(市販バッテリーグレード)が溶解されている溶液を、非水電解液15として用いることができる。さらに本実施形態では、非水電解液15に、ホウ弗化リチウムとLiPO2F2とが、添加剤としてさらに含まれる。
本実施形態では、非水電解液15の一例として、上記非水溶媒及び上記支持電解質塩の組み合わせを用いたが、一般にリチウムイオン二次電池に用いられる溶媒であれば、他の組み合わせを用いてもよい。例えば、ポリエチレンカーボネートの一部をエチレンカーボネート及びフルオロエチレンカーボネートなどの他の環状カーボネートに置き換えてもよい。また、ジメチルカーボネートの一部又は全部を、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートなどの他の鎖状カーボネートに置き換えてもよい。また、ガンマブチロラクトンなどの環状エステル、及び、メチルプロピオネートなどの鎖状エステルを、添加して用いてもよい。支持電解質塩としても、LiClO4など、リチウムイオン電池用電解液の支持電解質塩として用いることができるリチウム塩であれば、他のリチウム塩を用いてもよい。もちろん、これらの非水溶媒及び支持電解質塩に限定されない。
なお、本実施形態では、シート型のリチウムイオン二次電池を一例として説明したが、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、他の形状を有していてもよい。例えば、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、円筒形及び角形形状を有していてもよい。また、電気自動車等に用いる大型の形状を有していてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いることができる。また、これら以外の機器にも用いることができる。
次に、本実施形態における一例のリチウムイオン二次電池において、正極活物質及び負極活物質と、非水電解液に添加剤として含まれるホウ弗化リチウム又はLiPO2F2との反応性について説明する。
<正極活物質と非水電解液との反応性>
ここでは、LixCoyNi1-yO2を正極活物質とした正極板と、Li金属の負極板とを、セルロース製の薄膜シート6枚を介して対向させて、図1に示す電池を作製した。プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)を体積比2:1で混合した非水溶媒に1.4mol/LのLiPF6を電解質として溶解させ、さらに添加剤としてホウ弗化リチウムを0.4mol添加した非水電解液を、作製した電池に注液した。この電池を5μV/secで4.3Vまで充電しながら応答電流を測定することにより、図4に示すサイクリックボルタンメトリーの結果を得た。
ここでは、LixCoyNi1-yO2を正極活物質とした正極板と、Li金属の負極板とを、セルロース製の薄膜シート6枚を介して対向させて、図1に示す電池を作製した。プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)を体積比2:1で混合した非水溶媒に1.4mol/LのLiPF6を電解質として溶解させ、さらに添加剤としてホウ弗化リチウムを0.4mol添加した非水電解液を、作製した電池に注液した。この電池を5μV/secで4.3Vまで充電しながら応答電流を測定することにより、図4に示すサイクリックボルタンメトリーの結果を得た。
添加剤としてLiPO2F2を含む電解液は、以下のように調整した。700gのDMCに1.5molのLiPF6を溶解させ、1.0molのH2O及び0.5molの四塩化珪素を添加して、室温で2時間攪拌した。次に、40℃で真空減圧した後、沈殿物を濾別して、LiPF6とLiPO2F2を含むDMC溶液を得た。得られた溶液をNMRにて解析すると、0.96molのLiPF6と0.53molのLiPO2F2を含んでいた。この溶液にLiPF6とPCとを加え攪拌して、1.4mol/LのLiPF6と、0.18mol/LのLiPO2F2を含む、PCとDMCの体積比率2:1の溶液を得た。この溶液を、ホウ弗化リチウムが0.4mol添加された上記非水電解液の代わりに非水電解液として用いて、同様にサイクリックボルタンメトリーを測定した。また、PCとDMCを体積比2:1で混合した非水溶媒に1.4mol/LのLiPF6を電解質として溶解させたもの、すなわち添加剤無しの非水電解液についても、同様にサイクリックボルタンメトリーを測定した。これらの測定結果も図4に示す。
図4に示すように、ホウ弗化リチウムを添加した非水電解液を用いた場合には、添加剤無しの非水電解液のように3.74V付近では反応電流が流れず、ピークが3.8V付近にシフトした。ホウ弗化リチウムを添加した非水電解液を用いた場合には、添加剤無しの非水電解液を用いた場合と比較して、正極活物質との反応電位が貴な方向に移動していることから、3.74V付近までは、正極活物質の表面でホウ弗化リチウムが活物質の反応を妨げる何等かの状態を形成していると予測される。なお、LiPO2F2が添加された非水電解液の場合は、添加剤無しの場合と同様に3.74V付近で反応電流が流れた。
<負極活物質と非水電解液との反応性>
ここでは、Li4Ti5O12を負極活物質とした負極板と、Li金属の負極板とを、セルロース製の薄膜シート6枚を介して対向させて、図1に示す電池を作製した。PCに1.4mol/LのLiPF6を溶解させ、ホウ弗化リチウムを0.4mol添加した電解液を、作製した電池に注液し、5μV/secで1.2Vまで放電しながら応答電流を測定することにより、図5に示すサイクリックボルタンメトリーの結果を得た。さらに、ホウ弗化リチウムの代わりにLiPO2F2を含む電解液及び添加剤を添加しない電解液においても、同様にサイクリックボルタンメトリーを測定した。これらの測定結果を図5に示す。また、図6は、図5を拡大したものである。
ここでは、Li4Ti5O12を負極活物質とした負極板と、Li金属の負極板とを、セルロース製の薄膜シート6枚を介して対向させて、図1に示す電池を作製した。PCに1.4mol/LのLiPF6を溶解させ、ホウ弗化リチウムを0.4mol添加した電解液を、作製した電池に注液し、5μV/secで1.2Vまで放電しながら応答電流を測定することにより、図5に示すサイクリックボルタンメトリーの結果を得た。さらに、ホウ弗化リチウムの代わりにLiPO2F2を含む電解液及び添加剤を添加しない電解液においても、同様にサイクリックボルタンメトリーを測定した。これらの測定結果を図5に示す。また、図6は、図5を拡大したものである。
図6に示すように、ホウ弗化リチウムを添加した場合には、1.7V以上で添加剤無し及びLiPO2F2が添加された電解液よりも大きな反応電流が流れた。このことから、1.7V以上ではホウ弗化リチウムが何等かの反応を起こして、負極活物質の表面に被膜を形成していると考えられる。なお、LiPO2F2が添加された非水電解液の場合、該当電圧域では添加剤無しの場合とほぼ同様であった。したがって、Li金属に対する負極の単極電位が1.7V以上の領域では、ホウ弗化リチウムのみが反応し、LiPO2F2は反応していないと考えられる。
以上の結果から、例えば正極活物質にLixCoyNi1-yO2、負極活物質にLi4Ti5O12を用いた電池では、正極が3.74V以下、負極が1.7V以上までの充電状態であれば、ホウ弗化リチウムのみが反応し、LiPO2F2は反応していないと考えられる。
サイクリックボルタンメトリーを測定した正極および負極を組み合わせて作製した電池において、正極および負極の単極電位を確認したところ、2.03Vの充電状態で、正極電位は3.75V、負極電位は1.72Vであった。正極および負極の単極電位の差が電池電圧となるが、負極単極電位を1.7V付近とするためには、用いる正極活物質の種類や、極板に塗布する量により異なる。
以下に本発明の実施例を詳細に説明する。
1.電池の作製
(比較例1)
<正極の作製>
正極活物質としてLiNi0.80Co0.15Al0.05O2(平均粒径10.8μm、BET法による比表面積0.48m2/g)を準備した。100重量部の活物質に、導電材であるアセチレンブラック(AB)を5重量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3重量部、及び適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌・混合して、スラリー状の正極合剤を得た。なお、PVdFは、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解した状態で用いた。
(比較例1)
<正極の作製>
正極活物質としてLiNi0.80Co0.15Al0.05O2(平均粒径10.8μm、BET法による比表面積0.48m2/g)を準備した。100重量部の活物質に、導電材であるアセチレンブラック(AB)を5重量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3重量部、及び適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌・混合して、スラリー状の正極合剤を得た。なお、PVdFは、あらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解した状態で用いた。
次に、図1(c)に示すように、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体1aの片面に、前記スラリー状正極合剤(正極活物質層1b)を塗布し、塗膜を乾燥し、ローラーで圧延した。
正極活物質として用いたLiNi0.80Co0.15Al0.05O2の調製法は以下の通りである。濃度1mol/Lの硫酸ニッケル水溶液に、所定比率の硫酸コバルトを加え、金属塩水溶液を調製した。この金属塩水溶液を50℃に維持した状態で低速で攪拌しながら、水酸化ナトリウムを30重量%含むアルカリ溶液をpHが12になるように滴下して、水酸化物の沈殿を得た。この沈殿物をろ過及び水洗した後、空気中で80℃に加熱することにより乾燥した。
次に、得られた水酸化物を30℃の反応槽内の水中で攪拌し、反応槽にNaAlO2を所定量添加して十分に攪拌した。その後、反応槽内の溶液を、pHが9になるまで硫酸を用いて中和した。その結果、Alを含む化合物である水酸化アルミニウムが水酸化物の表面に均一に析出した。その後、水分を除去し、空気雰囲気中、700℃で10時間焼成し、3元系の酸化物である[Ni0.80Co0.15Al0.05]Oを得た。粉末X線回折により、得られた酸化物が単一相を有することを確認した。
さらに、得られた酸化物に、Ni、Co及びAlを合わせたモル数とLiのモル数との比が1:1になるように水酸化リチウム一水和物の粉末を混合した。この混合物を、酸素雰囲気中で750℃まで10時間で昇温し、750℃で熱処理を36時間行うことにより、目的とするLiNi0.80Co0.15Al0.05O2を得た。粉末X線回折(リガク製)により、得られたLiNi0.80Co0.15Al0.05O2が単一相の六方晶層状構造であることを確認した。粉砕及び分級の処理を行った後、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製)による観察から、0.2μm〜1.0μm程度の一次粒子が多数凝集してほぼ球状あるいは楕円体状の二次粒子を形成していることを確認した。なお、平均粒径は、散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製)を用いて求めた。
得られた極板を、図2に示す寸法に打ち抜いて、リード取り付け部であるタブの部分の正極合剤層1bを剥離し正極1を得た。正極合剤層1bが設けられた正極集電体1aは30mm×40mmの長方形状を有していた。
<負極の作製>
まず、負極活物質としてLi4Ti5O12(平均粒径≦1μm、BET法による比表面積4m2/g)を準備した。負極活物質として用いたLi4Ti5O12の調製法は以下の通りである。なお、ここでの平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定した値である。
まず、負極活物質としてLi4Ti5O12(平均粒径≦1μm、BET法による比表面積4m2/g)を準備した。負極活物質として用いたLi4Ti5O12の調製法は以下の通りである。なお、ここでの平均粒径は、レーザー回折・散乱法を用いた粒度分布測定装置で測定した値である。
市販試薬であるLiOH・H2OとTiO2の原料粉末を、Li/Tiのモル混合比が化学量論比よりも3%Li過剰となるように秤量し、これらを乳鉢で混合した。原料のTiO2には、アナターゼ型の結晶構造を有し、平均粒径が約0.3μmのものを用いた。
混合後の原料粉末をAl2O3製のるつぼに入れ、大気雰囲気中で850℃の熱処理を12時間行うことで、目的とするLi4Ti5O12を得た。
熱処理後の材料をるつぼから取り出して乳鉢にて粉砕し、Li4Ti5O12の粗粉末を得た。得られたLi4Ti5O12粗粉末の粉末X線回折(リガク製)測定を行ったところ、スピネル型構造からなる単相の回折パターンが得られた。さらに、Li/Tiモル比率をICP発光分光分析法(Thermo Fisher Scientific製)により分析したところLi/Ti=4.2/5.0であった。
続いて、得られたチタン酸リチウムを用いて、ジェットミル粉砕及び分級の処理を行った。得られた粉末は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製)による観察から、粒径が0.7μm程度の単粒子に粉砕されていることを確認した。
次に、上記の方法により得られたLi4Ti5O12粉末を用いて負極を作製した。100重量部の活物質に、導電材であるアセチレンブラック(AB)を7重量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を7重量部、及び適量のN−メチル−2−ピロリドンを加え、攪拌・混合して、スラリー状の負極合剤を得た。
次に、図1(c)に示すように、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる集電体2aの片面に、前記スラリー状の負極合剤を塗布し、塗膜を乾燥し、ローラーで圧延することによって、負極合剤層2bを得た。
得られた極板を、図3に示す寸法に打ち抜いて、リード取り付け部であるタブの部分の負極合剤層2bを剥離して、負極2を得た。負極合剤層2bが設けられた負極集電体2aは、30mm×40mmの長方形状を有していた。
<電解液の調製>
まず、混合溶媒を調製した。プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、体積比でPC:DMC=2:1となるように混合した。この混合溶媒に、1.4mol/Lの濃度となるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を電解質として加えて溶解させた。
まず、混合溶媒を調製した。プロピレンカーボネート(PC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、体積比でPC:DMC=2:1となるように混合した。この混合溶媒に、1.4mol/Lの濃度となるように六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を電解質として加えて溶解させた。
<組み立て>
得られた正極1及び負極2を、セパレータ3を介して積層し、図1(c)に示すような電極群13を作製した。セパレータ3としては、厚さ20μmのセルロース製薄膜シートを用いた。
得られた正極1及び負極2を、セパレータ3を介して積層し、図1(c)に示すような電極群13を作製した。セパレータ3としては、厚さ20μmのセルロース製薄膜シートを用いた。
次に、図1(a)に示すように、電極群13の正極1にアルミニウム製正極リード11を、負極2にアルミニウム製負極リード12を溶接した。その後、電極群13を、3方向が開口している厚さ0.12mmのアルミラミネートフィルム製電池ケース14の内部に収容し、ポリプロピレン製のテープで電池ケース14の内面に固定した。正極リード11及び負極リード12が出ている開口部を含む開口部を熱溶着し、1つの開口部のみを熱溶着せずに残して、電池ケース14を袋状とした。熱溶着していない開口部から、電解液15を注入し、減圧及び脱気後、減圧状態で開口部を熱溶着することにより、電池内部を密封した。組み立てた電池を2.7Vで充電した時の設計容量は50mAhであった。作製した電池を電池Aとする。
電池Aを絶縁した金属板で挟んで加圧したまま固定した後、25℃で5時間保持した。その後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電して30分休止するサイクルを3回繰り返した。すなわち、電池Aでは、初回充電で2.7Vの充電が行われた。
(比較例2)
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.4molのホウ弗化リチウム(LiBF4)を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Bを得た。
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.4molのホウ弗化リチウム(LiBF4)を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Bを得た。
(比較例3)
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.18molのLiPO2F2を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Cを得た。
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.18molのLiPO2F2を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Cを得た。
(比較例4)
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.4molのホウ弗化リチウム(LiBF4)及び0.18molのLiPO2F2を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Dを得た。
電池Aで用いた電解液の代わりに、電池Aの電解液にさらに0.4molのホウ弗化リチウム(LiBF4)及び0.18molのLiPO2F2を添加剤として溶解させた電解液を用いた以外は、比較例1と同様にして、電池Dを得た。
(実施例1)
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで1.90Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池1を作製した。すなわち、電池1では、初回充電で1.90Vの予備充電が行われた。
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで1.90Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池1を作製した。すなわち、電池1では、初回充電で1.90Vの予備充電が行われた。
(実施例2)
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで1.95Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池2を作製した。すなわち、電池2では、初回充電で1.95Vの予備充電が行われた。
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで1.95Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池2を作製した。すなわち、電池2では、初回充電で1.95Vの予備充電が行われた。
(実施例3)
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.00Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池3を作製した。すなわち、電池3では、初回充電で2.00Vの予備充電が行われた。
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.00Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池3を作製した。すなわち、電池3では、初回充電で2.00Vの予備充電が行われた。
(実施例4)
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.05Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池4を作製した。すなわち、電池4では、初回充電で2.05Vの予備充電が行われた。
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.05Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池4を作製した。すなわち、電池4では、初回充電で2.05Vの予備充電が行われた。
(実施例5)
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.10Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池5を作製した。すなわち、電池5では、初回充電で2.10Vの予備充電が行われた。
電池Dと同様にして得た電池を、初回充放電時に、最大電流2.5mAで2.10Vまで充電し、5時間経過した後、電流値10mAで2.7Vまで定電流充電し、30分の休止の後、1.5Vまで定電流放電し30分休止した。2サイクル目以降は比較例1と同様に充放電を行って、電池5を作製した。すなわち、電池5では、初回充電で2.10Vの予備充電が行われた。
2.電池の評価
<高率放電特性の評価>
作製した電池A〜D及び電池1〜5について、高率放電特性の評価を行った。
<高率放電特性の評価>
作製した電池A〜D及び電池1〜5について、高率放電特性の評価を行った。
25℃の環境下において、最大電流50mAで、2.7Vの定電圧充電を行った。電流値が5mAとなった時点で充電終止とした。30分の休止の後、10mAで1.5Vまで定電流放電して、設計容量で動作していることを確認した。このとき得られた放電容量を0.2C放電容量とした。
次に、同様の方法で充電し、30分休止した後、250mAで1.5Vまで定電流放電して、電池容量を測定した。このとき得られた放電容量を5C高率放電容量とした。
各電池の0.2C放電容量に対する5C高率放電容量の割合を5C高率放電特性(5C高率放電特性=5C高率放電容量/0.2C放電容量)とし、その百分率を表1に示す。
表1の結果から、添加剤を用いていない電池Aに対して、LiBF4を単独で添加した電池B及びLiPO2F2を単独で添加した電池Cは、5C高率放電特性が向上した。それにも拘らず、LiBF4とLiPO2F2とを両方添加した電池Dでは、5C高率放電特性は向上しなかった。しかし、この電池Dと同じであるが、初回充電時に1.90〜2.10Vで5時間保持した電池1〜5では、いずれも、添加剤の単独効果以上(電池B及び電池C以上)の電池性能が認められた。
本発明によれば、高率放電特性に優れる非水電解質二次電池が実現できる。本発明は、特にチタン酸リチウムを負極活物質として用いるリチウムイオン二次電池に用いられる。
1 正極
1a 正極集電体
1b 正極合剤層
2 負極
2a 負極集電体
2b 負極合剤層
3 セパレータ
11 正極リード
12 負極リード
13 電極群
14 電池ケース
15 非水電解液
1a 正極集電体
1b 正極合剤層
2 負極
2a 負極集電体
2b 負極合剤層
3 セパレータ
11 正極リード
12 負極リード
13 電極群
14 電池ケース
15 非水電解液
Claims (9)
- 正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備え、
初回充電時に、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で所定時間保持されたものである、
非水電解質二次電池。 - 前記所定時間が5時間以上である、
請求項1に記載の非水電解質二次電池。 - 前記非水溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む、
請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池。 - 前記非水溶媒において、前記環状カーボネートの体積比率が20%以上である、
請求項3に記載の非水電解質二次電池。 - 前記環状カーボネートは、プロピレンカーボネートである、
請求項3又は4に記載の非水電解質二次電池。 - 前記鎖状カーボネートは、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネートからなる群から選択される少なくとも何れか1種である、
請求項3〜5の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。 - 前記非水電解液において、前記ホウ弗化リチウムの重量比率が3%以下である、
請求項1〜6の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。 - 前記非水電解液において、前記LiPO2F2の重量比率が0.1%以上1.5%以下である、
請求項1〜7の何れか1項に記載の非水電解質二次電池。 - 正極と、
活物質としてチタン酸リチウムを含む負極と、
前記正極と前記負極との間に配置されたセパレータと、
ホウ弗化リチウムを除く電解質、非水溶媒、ホウ弗化リチウム及びLiPO2F2を含む非水電解液と、
を備えた非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記非水電解質二次電池の初回充電工程を含み、
前記初回充電工程が、リチウム金属に対する前記負極の単極電位が1.7V以上となる電圧領域で、前記非水電解質二次電池を所定時間保持する処理を含む、
非水電解質二次電池の製造方法。
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