JP2013174629A - 定着装置、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】潤滑剤が含浸されたシート状部材22が、ニップ部の位置で固定部材と定着ベルトとの間に幅方向にわたって介在されるように設置されている。そして、シート状部材22は、ニップ部の位置に、定着ベルトの走行によって幅方向一端側に含浸された潤滑剤を幅方向他端側に向けて移動させる流路22dが形成されている。
【選択図】図12
Description
そして、ヒータによって加熱されたパイプ状の加熱部材によって定着ベルトが加熱されて、ニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像がニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着されることになる。
また、本願において、「幅方向」とは、搬送方向に対して直交する方向であって、定着ベルトや加圧回転体の回転軸方向と同じ方向であるものと定義する。
図1〜図13にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1に示すように、本実施の形態1における画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱可能(交換可能)に設置されている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78及び第1転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(1次転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。
こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上でおこなわれる、一連の作像プロセスが終了する。
ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、等で構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架・支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。
こうして、中間転写ベルト78上でおこなわれる、一連の転写プロセスが終了する。
詳しくは、給紙部12には、転写紙等の記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された記録媒体Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。
こうして、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2〜図4等を参照して、定着装置20は、定着部材としての定着ベルト21(ベルト部材)、固定部材26(ニップ部形成部材)、補強部材23、加熱手段としてのヒータ25(熱源)、加圧回転体としての加圧ローラ31、温度センサ40、シート状部材22(潤滑剤供給部材)、両面テープ49、ネジ24、板状部材28(固定板)、反射部材27、等で構成される。
定着ベルト21の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料やポリイミド等の樹脂材料で形成されている。
定着ベルト21の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム、等のゴム材料で形成されている。弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト21表面の微小な凹凸が形成されなくなり、記録媒体P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
定着ベルト21の離型層は、層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)、等の材料で形成されている。離型層を設けることで、トナーT(トナー像)に対する離型性(剥離性)が担保される。
定着ベルト21の内部(内周面側)には、固定部材26、ヒータ(加熱手段)、補強部材23、反射部材27、シート状部材22、両面テープ49(貼着手段)、ネジ24、板状部材28(固定板)、等が固設されている。
ここで、固定部材26は、定着ベルト21の内周面21aに摺接するように固定されている。そして、固定部材26が定着ベルト21を介して加圧ローラ31に圧接することで、記録媒体Pが搬送されるニップ部が形成される。図3及び図5を参照して、固定部材26は、その幅方向両端部が、定着装置20の側板43に固定支持されたフランジ29(保持部材)に回転可能に保持されている。なお、固定部材26やフランジ29の構成については、後でさらに詳しく説明する。
そして、定着ベルト21は、その内部に設置されたヒータ25(加熱手段)の輻射熱により直接的に加熱される。
なお、本実施の形態1では、定着ベルト21の内周面側に1本のヒータ25を設置したが、定着ベルト21の内周面側に複数のヒータを設置することもできる。
特に、本実施の形態1における定着装置20は、定着ベルト21がヒータ25(加熱手段)によって直接的に加熱されるように構成されているため、定着ベルト21の加熱効率がさらに向上するとともに、定着装置21をさらに低コスト化・小型化することができる。
なお、本実施の形態における定着装置20において、フランジ29のストッパ部29bの位置に、定着ベルト21の端部の磨耗を軽減するために、PEEK、PPS、PAI、PTFE等の低摩擦性・耐熱性材料からなるスリッピング部材(リング状部材)を、フランジ29とは別部材として設置することもできる。
このように、本実施の形態1における定着装置20は、従来の定着装置(特許文献1等の定着装置である。)に比べて、定着ベルト21のさらなる加熱効率の向上や装置の低コスト化・小型化等を目的として、パイプ状の加熱部材を取り外して、パイプ状の加熱部材を介することなく定着ベルト21を加熱手段(ヒータ25)によって直接的に加熱する構成を採用している。具体的に、定着ベルト21の内周面21aをフランジ29で保持する構成を採用している。
そして、補強部材23が固定部材26及び定着ベルト21を介して加圧ローラ31に当接することで、ニップ部において固定部材26が加圧ローラ31の加圧力を受けて大きく変形する不具合を抑止している。本実施の形態1において、補強部材23は、ヒータ25が位置する側に凹部が対向するように形成された略コの字状の板状部材である。この補強部材23は、上述した機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが好ましい。
なお、補強部材23の構成については、後でさらに詳しく説明する。
なお、補強部材23における、ヒータ25に対向する面の一部又は全部に、鏡面処理を施したり断熱部材を設けたりした場合であっても、同じような効果を得ることができる。
また、本実施の形態1では、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径とほぼ同等になるように形成したが、定着ベルト21の直径が加圧ローラ31の直径よりも小さくなるように形成することもできる。その場合、ニップ部における定着ベルト21の曲率が加圧ローラ31の曲率よりも小さくなるために、ニップ部から送出される記録媒体Pが定着ベルト21から分離され易くなる。
なお、本実施の形態1では、ニップ部を形成する固定部材26の形状を凹状に形成したが、ニップ部を形成する固定部材26の形状を平面状に形成することもできる。すなわち、固定部材26の摺接面(加圧ローラ31に対向する面である。)が平面形状になるように形成することができる。これにより、ニップ部の形状が記録媒体Pの画像面に対して略平行になって、定着ベルト21と記録媒体Pとの密着性が高まるために定着性が向上する。さらに、ニップ部の出口側における定着ベルト21の曲率が大きくなるために、ニップ部から送出された記録媒体Pを定着ベルト21から容易に分離することができる。
ここで、図4、図8、図9等を参照して、シート状部材22は、ニップ部の位置と、周方向上流側(ニップ部の位置に対して定着ベルト21の走行方向上流側に対応した位置である。)の位置と、が両面テープ49を介して固定部材26に幅方向にわたって固定(貼着)されている。これにより、定着ベルト21が図4の反時計方向に回転しても、その回転に沿うようにシート状部材22が固定部材26から剥離する不具合が確実に防止される。
なお、本実施の形態1において、シート状部材22は、ニップ部の位置(摺接面)に、定着ベルト21の走行によって幅方向一端側に含浸された潤滑剤を幅方向他端側に向けて移動させるための織り目(流路)が形成されているが、これについては後で詳しく説明する。
本実施の形態1では、定着ベルト21(内周面21a)の周方向の比較的広い範囲に対向するようにヒータ25が設置されているため、加熱待機時(プリント動作待機時)においても定着ベルト21を周方向に温度ムラなく加熱できる。したがって、プリント要求を受けた後、速やかにプリント動作をおこなうことができる。このとき、従来のオンデマンド方式の定着装置(例えば、特許第2884714号公報参照。)では、ニップ部で加熱待機時に加圧ローラを変形させたまま熱を与えてしまうと、加圧ローラのゴムの材質によっては、熱劣化を起こして加圧ローラの寿命が短くなってしまったり、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生してしまったりする(ゴムの圧縮永久ひずみは、ゴムの変形に加熱が加わることにより増大する。)。そして、加圧ローラに圧縮永久ひずみが発生すると、加圧ローラの一部が凹んだ状態になり、所望のニップ幅が得られないため、定着不良が発生したり、回転時に異音が生じたりする。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、加熱待機時に熱が固定部材26に達しにくくなる。したがって、加熱待機時に加圧ローラ31が変形した状態で高温加熱される不具合が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
これに対して、本実施の形態1では、固定部材26とヒータ25との間に、ヒータ25の熱を遮るように補強部材23(及び、反射部材27)が設置されているために、ヒータ25の熱がニップ部の潤滑剤に達しにくくなる。したがって、潤滑剤の高温による劣化が軽減されて、上述の問題が生じるのを抑止することができる。
装置本体1の電源スイッチが投入されると、ヒータ25に電力が供給されるとともに、加圧ローラ31の図2中の矢印方向の回転駆動が開始される。これにより、ニップ部における加圧ローラ31との摩擦力によって、定着ベルト21も図2中の矢印方向に従動(回転)する。
その後、給紙部12から記録媒体Pが給送されて、2次転写ローラ89の位置で、記録媒体P上に未定着のカラー画像が担持(転写)される。未定着画像T(トナー像)が担持された記録媒体Pは、不図示のガイド板に案内されながら図2の矢印Y10方向に搬送されて、圧接状態にある定着ベルト21及び加圧ローラ31のニップ部に送入される。
そして、ヒータ25によって加熱された定着ベルト21による加熱と、補強部材23によって補強された固定部材26と加圧ローラ31との押圧力とによって、記録媒体Pの表面にトナー像Tが定着される。その後、ニップ部から送出された記録媒体Pは、矢印Y11方向に搬送される。
先に説明したように、本実施の形態1における定着装置20には、ニップ部の位置で固定部材26と定着ベルト21との間に幅方向にわたって介在されるように、固定部材26の周方向に沿ってシート状部材22(低摩擦材料からなり潤滑剤が含浸されている。)が覆設されている。
このシート状部材22は、厚さが150〜500μmの範囲内で設定され、PTFE等のフッ素樹脂からなる繊維材料で形成され、粘度が50〜1000csの範囲内で設定された潤滑剤(シリコーンオイル等である。)が繊維内に含浸されている。
なお、図12は、シート状部材22の一部(ニップ部の位置であって、定着ベルト21との摺接面である。)と、ニップ部に向けて白矢印方向に搬送される記録媒体Pと、を模式的に示す上面図である。また、図12において、符号22dを付した複数の線分は、織り目の方向を示すものであるが、これを簡単のため「織り目」を示すものとする。
具体的に、図12に示すように、ニップ部に向けて記録媒体Pが通紙されるとき(装置20が稼働しているとき)、図12に示すシート状部材22(ニップ部)に対して定着ベルト21も下方から上方に向けて移動することになる。このとき、シート状部材22(ニップ部)には加圧ローラ31と固定部材26とによる加圧力が作用しているため、定着ベルト21の走行(回転)にともないシート状部材22に図12の下方から上方に向けて絞りこむような力が作用する。そして、この絞り込む力によって、シート状部材22に含浸された潤滑剤の一部が、織り目22d(凹部)に沿って、図12の右側に向けて移動することになる(黒矢印方向の移動である)。
加圧ローラ31は、ニップ部の位置を通過する記録媒体Pにシワが生じないように、鼓状に形成されている。すなわち、加圧ローラ31は、幅方向両端部の外径が幅方向中央部の外径に比べて若干大きくなるように形成されている。そのため、定着装置20の稼働停止時には、ニップ部において加圧ローラ31による加圧力は、幅方向中央部に比べて幅方向両端部が高くなる。しかし、本実施の形態1における定着装置20は、稼働時において、加圧ローラ31の幅方向他端側に設置されたギア45のみを駆動源として加圧ローラ31及び定着ベルト21が駆動されるため、ニップ部において加圧ローラ31による加圧力は、幅方向他端側(駆動部側である。)が最も高くなる。特に、本実施の形態1におけるギア45は、ハスバ歯車であって、駆動機構の駆動ギア(ギア45に噛合する装置本体1側のハスバ歯車である。)からニップ部側に近づく方向の力を受けるため、そのような傾向が顕著になる。
そのため、本実施の形態1では、稼働時に、ニップ部において加圧ローラ31による加圧力が高くなる幅方向他端側に、織り目22d(流路)による潤滑剤の移動により、シート状部22に含浸された潤滑剤量を増量している。これにより、シート状部材22によって定着ベルト21と固定部材26とのニップ部における摺動抵抗を減ずる機能が局所的に低下してしまうという不具合を軽減することができる。すなわち、定着ベルト21や固定部材26の磨耗劣化が進んでしまう不具合を効率的に抑止することができる。
なお、定着装置20の稼働が終了して稼働停止したときには、毛細管現象によってニップ部の幅方向他端側に移動した潤滑剤が再びニップ部の幅方向一端側に戻るとともに、ニップ部以外の位置に含浸された潤滑剤がニップ部の幅方向一端側に移動することになるため、ニップ部の幅方向一端側の潤滑剤が枯渇してしまうことはない。
そして、本実施の形態1では、図4に示すように、固定部材26に、補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する突出部26a、26bが、記録媒体Pの搬送方向(又は、定着ベルト21の回転方向)に沿って複数列設けられている。具体的に、複数列の突出部として、記録媒体Pの搬送方向に対する上流側において補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する上流側突出部26aと、記録媒体Pの搬送方向に対する下流側において補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する下流側突出部26bと、が形成されている。すなわち、固定部材26には、補強部材23に対向する側において搬送方向に離間した2列の突出部26a、26b(上流側端部と下流側端部との距離がBに設定されている。)が設けられていて、これらの2列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触することになる。
すなわち、固定部材26が搬送方向上流側や搬送方向下流側に偏って補強部材23に当接する場合や、補強部材23に当接する固定部材26の当接幅(距離B)が狭小である場合などには、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23との当接部を支点として、図4の時計方向又は反時計方向に回転しやすく(倒れやすく)なってしまうことになる。これに対して、本実施の形態では、固定部材26が搬送方向上流側や搬送方向下流側に偏って補強部材23に当接することなく、補強部材23に当接する固定部材26の当接幅(距離B)が充分大きく設定されているため、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってバランスよく支持されて、補強部材23との当接部を支点として固定部材26が倒れにくくなる。
なお、本実施の形態1では、複数列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ面接触するように構成したが、上述した効果をさらに確実にするために、複数列の突出部26a、26bが補強部材23の対向面23aにそれぞれ線接触や点接触(又は、それに近い状態で接触)するように構成することもできる。また、本実施の形態1では、複数列の突出部として上流側突出部26aと下流側突出部26bとの2列の突出部を設けたが、複数列の突出部として3列以上の突出部を設けることもできる。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
A<B<C
なる関係が成立するように形成されている。
さらに、搬送方向に対して、ニップ部の範囲(図4中のAの範囲である。)が上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)に含まれるとともに、上流側当接部から下流側当接部までの範囲(図4中のBの範囲である。)が補強部材23の対向面23aの範囲(図4中のCの範囲である。)に含まれるように形成されている。
換言すると、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向(図4の上下方向である。)の範囲内に、ニップ幅の範囲が内包されている。さらに、補強部材23の対向面23aの搬送方向の範囲内に、補強部材23に当接する固定部材26の搬送方向の範囲が内包されている。
このような構成により、ニップ部で圧接力を受けた固定部材26が補強部材23によってさらにバランスよく支持されやすくなって、固定部材26の倒れがさらに生じにくくなる。
詳しくは、図10に示すように、シート状部材22は、単独の部品として展開したときの形状が矩形である。そして、矩形のシート状部材22の両端には、それぞれ、複数の穴部22a、22b(突出部26a、26bに嵌合する穴部である。)と、ネジ用穴部22c(ネジ24のネジ部を挿通させるための穴部である。)と、が形成されている。
そして、シート状部材22は、固定部材26に覆設されるときに、矩形の両端が上流側突出部26aと下流側突出部26bとの間(複数列の突出部の間)で折り重なって重合部(図8において破線で囲んだ領域であって、図10におけるハッチング領域である。)が形成されることになる。
そして、図8に示すように、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26に対して板状部材28(固定板)が複数のネジ24によって固定される。詳しくは、シート状部材22の重合部を挟み込むように固定部材26上に重合部を介して板状部材28が載置され、板状部材28のネジ用穴部28c(図11を参照できる。)と、シート状部材22のネジ用穴部22cと、を挿通させて固定部材26の雌ネジ部26c(図9(C)を参照できる。)にネジ24のネジ部が螺合される。ここで、複数のネジ24は、そのネジ頭の高さが突出部26a、26bの高さを超えて補強部材23に接触しないように形成されている。
特に、本実施の形態1では、シート状部材22の重合部を、板状部材28で挟んで、幅方向にほぼ均等に配列された複数のネジ24で板状部材28を固定部材26に締結しているため、他の固定保持方法(例えば、重合部を接着剤で接着する場合や、重合部をフック形状にして突出部26a、26bに引っ掛ける場合等である。)に比べて、固定部材26に対してシート状部材22を安定的かつ強固に固定することができる。
また、シート状部材22が設置された状態の固定部材26を、サブ・アッセンブリされた1つの部品単位で管理することができるため、製造時や保守メンテナンス時における部品管理性や組立て性を向上させることができる。
また、シート状部材22は、幅方向にほぼ等間隔で分割された複数の突出部26a、26bに嵌合して保持されるため、シート状部材22が摺接力を受けても複数の穴部22a、22bに均等に力がかかりやすく、局所的な応力集中によってシート状部材22が損傷する不具合を軽減することができる。
先に説明したように、加圧ローラ31は鼓状に形成されているため、定着装置20の稼働停止時においてニップ部における加圧力は、幅方向中央部に比べて幅方向両端部が高くなる。このような傾向は、定着装置20の稼働時においても残存するため、特に、ニップにおける荷重偏差が幅方向一端側と他端側とでほとんど生じない場合(例えば、幅方向両端部にそれぞれギアが設けられて、定着装置20の駆動がとられる場合などである。)には、図13の構成が有用になる。すなわち、稼働時に、ニップ部において加圧力の低い幅方向中央部に含浸された潤滑剤が、流路22eを移動して、加圧力の高い幅方向両端部にそれぞれ移動することになる(図13の黒矢印方向の移動である。)。これにより、定着ベルト21と固定部材26とのニップ部における摺動抵抗を効率的かつ安定的に減ずることができる。
また、シート状部材22に形成する流路22eのパターンは、図13のもの(又は、図12のもの)に限定されることなく、ニップ部における加圧力の分布に基いて、加圧力の低い位置から加圧力の高い位置に向けてバランスよく潤滑剤が流動するように(加圧力の高い位置の潤滑剤量が多くなるように)、最適化することができる。
図14にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図14は、実施の形態2における定着装置を示す構成図であって、前記実施の形態1における図2に相当する図である。本実施の形態2における定着装置は、定着ベルト21が電磁誘導によって加熱される点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
また、図示は省略するが、本実施の形態2でも、前記実施の形態1と同様に、低摩擦材料からなり潤滑剤が含浸されたシート状部材22が固定部材26に覆設されていて、シート状部材22の摺接面において潤滑剤が不足しがちな部分に向けて潤滑剤を移動させるための流路22d(織り目)が設けられている。
また、固定部材26に、補強部材23に当接するように補強部材23の対向面23aに向けて突出する複数列の突出部(上流側突出部26aと下流側突出部26bとである)が形成されている。
一方、定着ベルト21には、前記実施の形態1で説明した基材層、弾性層、離型層とは別に、誘導加熱部50によって電磁誘導加熱される発熱層(例えば、弾性層と離型層との間に形成することもできるし、基材層を発熱層として用いることもできる。)が形成されている。発熱層の材料としては、ニッケル、ステンレス、鉄、銅、コバルト、クロム、アルミニウム、金、白金、銀、スズ、パラジウム、これらのうち複数の金属からなる合金、等を用いることができる。
定着ベルト21が図14中の矢印方向に回転駆動されると、定着ベルト21は誘導加熱部50との対向位置で加熱される。詳しくは、励磁コイルに高周波の交番電流を流すことで、定着ベルト21の周囲に磁力線が双方向に交互に切り替わるように形成される。このとき、定着ベルト21の発熱層の表面に渦電流が生じて、発熱層自身の電気抵抗によってジュール熱が発生する。このジュール熱によって、発熱層が電磁誘導加熱されて、定着ベルト21が加熱される。
なお、定着ベルト21を効率的に電磁誘導加熱するためには、誘導加熱部50を定着ベルト21の周方向全域に対向するように構成することが好ましい。
このような場合にも、シート状部材22の摺接面において潤滑剤が不足しがちな部分に向けて潤滑剤を移動させるための流路を設けることで、本実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
20 定着装置、
21 定着ベルト(定着部材)、
22 シート状部材、
22d 織り目(流路)、
22e 溝部(流路)、
23 補強部材、
24 ネジ(固定ネジ)、
25 ヒータ(加熱手段)、
26 固定部材、
26a 上流側突出部、 26b 下流側突出部、
28 板状部材(固定板)、
29 フランジ(保持部材)、
31 加圧ローラ(加圧回転体)。
Claims (13)
- 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、
潤滑剤が含浸されるとともに、前記ニップ部の位置で前記固定部材と前記定着ベルトとの間に幅方向にわたって介在されたシート状部材と、
を備え、
前記シート状部材は、前記ニップ部の位置に、前記定着ベルトの走行によって幅方向一端側に含浸された潤滑剤を幅方向他端側に向けて移動させる流路が形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記流路は、前記定着ベルトの走行方向に沿って前記幅方向一端側から前記幅方向他端側に向けて斜め方向に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記加圧回転体又は前記定着ベルトを駆動する駆動部が前記幅方向他端側に設置されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
- 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、
潤滑剤が含浸されるとともに、前記ニップ部の位置で前記固定部材と前記定着ベルトとの間に幅方向にわたって介在されたシート状部材と、
を備え、
前記シート状部材は、前記ニップ部の位置に、前記定着ベルトの走行によって幅方向中央部に含浸された潤滑剤を幅方向両端部に向けて移動させる流路が形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記流路は、前記定着ベルトの走行方向に沿って前記幅方向中央部から前記幅方向両端部に向けて斜め方向に形成されたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
- 所定方向に走行してトナー像を加熱して溶融するとともに、可撓性を有する無端状の定着ベルトと、
前記定着ベルトの内周面側に固設されて、当該定着ベルトを介して加圧回転体に圧接して記録媒体が搬送されるニップ部を形成する固定部材と、
潤滑剤が含浸されるとともに、前記ニップ部の位置で前記固定部材と前記定着ベルトとの間に幅方向にわたって介在されたシート状部材と、
を備え、
前記シート状部材は、前記ニップ部の位置に、稼動時における前記加圧回転体による加圧力の低い位置に含浸された潤滑剤を前記定着ベルトの走行によって前記加圧力の高い位置に向けて移動させる流路が形成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記シート状部材は、繊維材料で形成され、
前記流路は、前記繊維材料の織り目であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。 - 前記流路は、前記シート状部材の表面に形成した溝部であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の定着装置。
- 前記シート状部材は、低摩擦材料からなり、前記固定部材の周方向に沿って覆設されたことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記定着ベルトの内周面側に固設されて、前記定着ベルトの内側から前記固定部材に当接して当該固定部材を補強する補強部材を備え、
前記固定部材は、前記補強部材に当接するように前記補強部材の対向面に向けて突出する突出部を記録媒体の搬送方向に沿って複数列具備し、
前記シート状部材は、前記複数列の突出部に嵌合する複数の穴部を具備し、前記複数列の突出部を除く位置で周方向に沿って前記固定部材に密着するように設置されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。 - 前記シート状部材は、単独の部品として展開したときの形状が矩形であって、前記固定部材に覆設されたときに前記矩形の両端が前記複数列の突出部の間で折り重なって重合部が形成され、
前記シート状部材の前記重合部を挟み込むように前記固定部材に対して板状部材が複数のネジによって固定されたことを特徴とする請求項10に記載の定着装置。 - 前記定着ベルトの幅方向両端部を保持する保持部材と、
前記定着ベルトに対向又は接触して前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置。 - 請求項1〜請求項12のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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