JP2011080091A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械的強度に優れ、耐熱性があり、屈折率が小さく、アッベ数が大きく、複屈折が小さく、透明性に優れたポリカーボネートを提供する。
【解決手段】分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを溶融重縮合して得られ、還元粘度が0.40dl/g以上1.70以下であり、蟻酸含有量が5重量ppm未満であることを特徴とするポリカーボネート。
【選択図】 図1
Description
また、従来のポリカーボネートは一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたポリカーボネートの提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたポリカーボネートの開発が求められている。
イソソルビド等の複素環式構造を有するモノマーから成るポリカーボネートは、透明性が高く、耐熱性に優れ、屈折率が小さく、アッベ数が小さいことから、光学補償フィルム等の用途への展開が期待されている。しかしながら、このような構造を有するポリカーボネートは、従来のビスフェノール構造からなる芳香族ポリカーボネートに比べると、反応性に劣る一方で、熱安定性が悪く、従来の製造方法では、成形材料として求められる分子量のものを得るためには、色調や透明性等の性能を犠牲にせざるを得なかった。さらに、重合反応中の熱劣化により蟻酸等の副生を招き、それがポリマー中に残存し、成型時に揮発して金型やロールの腐食等、種々の問題を起こすという問題があった。
[1]少なくとも二器の反応器を直列に用いて、分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合してポリカーボネートを製造するに際し、反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.10dl/g以下のときは80℃以下とし、還元粘度が0.10dl/gを超え0.40dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とすることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
[2]第1段目の反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.10dl/g以下のときは80℃以下とし、還元粘度が0.10dl/gを超え0.40dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とする、[1]に記載の方法。
[3]最終段の反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.30dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.30dl/gを超え0.40dl/g以下のときは50℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とする、[1]または[2]に記載の方法。
[6]分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含む、[1]から[5]のいずれかに
記載のポリカーボネートの方法。
[8]加熱媒体の温度が270℃以下である、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[10]末端フェニル基濃度が30μeq/g以上である、[9]に記載のポリカーボネート。
[11]フェノール含有量が500重量ppm以下である、[9]または[10]に記載のポリカーボネート
[12]分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物が、下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含む、[9]から[11]のいずれかに記載のポリカーボネート
[15]還元粘度が0.40dl/g以上1.70以下であり、蟻酸含有量が5重量ppm未満である、[14]に記載のポリカーボネート。
[16]末端フェニル基濃度が30μeq/g以上である、[14]または[15]に記載のポリカーボネート。
[17]フェノール含有量が500重量ppm以下である、[14]から[16]のいずれかに記載のポリカーボネート。
[18]下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造を含む、[14]から[17]のいずれかに記載のポリカーボネート
用途に応じてガラス転移温度を、例えば45℃から155℃まで調整できるので、柔軟性が必要な、フィルム、シート分野、耐熱性が必要な、ボトル、容器分野、さらには、カメラレンズ、ファインダーレンズ、CCDやCMOS用レンズなどのレンズ用途、液晶やプラズマディスプレイなどに利用される位相差フィルム、拡散シート、偏光フィルムなどの光学用フィルム;シート、光ディスク、光学材料、光学部品、色素、電荷移動剤等を固定化するバインダー用途といった幅広い分野への材料提供が可能である。
]のとおり、本発明の方法(I)及び(II)により得られることを特徴とするものである。
ジヒドロキシ化合物(I)における「連結基−CH2−O−」とは、水素原子以外の原子と互いに結合して分子を構成する構造を意味する。この連結基において、少なくとも酸素原子が結合し得る原子又は炭素原子と酸素原子が同時に結合し得る原子としては、炭素原子が最も好ましい。ジヒドロキシ化合物(I)中の「連結基−CH2−O−」の数は、1以上、好ましくは2〜4である。
られる。
HOCH2−R1−CH2OH (II)
HO−R2−OH (III)
(式(II),(III)中、R1,R2は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、又は炭素
数6〜20のシクロアルコキシル基を示す。)
ジオールは、一般式(III)において、R2が下記一般式(IIIa)(式中、R3は炭素数1〜12のアルキル基または水素原子を示す。)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオールなどが挙げられる。
ール、ペンタシクロペンタデカンジオールとしては、一般式(III)において、R2が下
記一般式(IIIb)(式中、nは0又は1を示す。)で表される種々の異性体を包含する。
、トリシクロテトラデカンジオールとしては、一般式(III)において、R2が下記一般
式(IIIc)(式中、mは0、又は1を示す。)で表される種々の異性体を包含する。この
ようなものとしては、具体的には、2,6−デカリンジオール、1,5−デカリンジオール、2,3−デカリンジオールなどが用いられる。
としては、一般式(III)において、R2が下記一般式(IIId)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、2,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオールなどが用いられる。
としては、一般式(III)において、R2が下記一般式(IIIe)で表される種々の異性体を包含する。このようなものとしては具体的には、1,3−アダマンタンジオールなどが用いられる。
これら脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらオキシアルキレングリコール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロ パン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジエトキシジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。
これら芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これら環状エーテル構造を有するジオール類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
に一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が少なく脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が多いと分子量が上がりにくくなる傾向がある。
用される。第1族金属化合物及び/又は第2族金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、第1族金属化合物及び/又は第2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
本発明の方法(I)においては、少なくとも2器の反応器を直列に用いる2段階以上の多段工程で、上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、重合触媒の存在下で反応させる(溶融重縮合)ことによりポリカーボネートが製造される。
具体的には、第1段目の反応は、通常140〜280℃、好ましくは180〜240℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、通常210〜280℃、好ましくは220〜260℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。本発明における圧力とは、真空を基準に表した、いわゆる絶対圧力を指す。発生したフェノールは、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジフェニルやビスフェノールA等の原料として再利用することが好ましい。
特に限定されないが、第1段目の反応器は竪型攪拌反応器が1器以上、第2段の反応器は
横型攪拌反応器が1器以上であることが好ましい。反応器の連結は、直接でも、必要に応
じて、予熱器等を介して行っても良い。
される。
本発明の方法(I)は、原料モノマーとして前記ジヒドロキシ化合物、例えば、イソソルビドと脂環式ジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル化合物であるジフェニルカーボネート(DPC)をそれぞれ溶融状態にて、原料混合溶融液を調製し(原料調製工程)、これらの化合物を、重合触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによって行われる。反応方式は、バッチ式、連続式、又はバッチ式と連続式の組合せのいずれでもよい。反応器は、複数器の竪型攪拌反応器(第1段
目の重縮合工程)及びこれに続く少なくとも1器の横型攪拌反応器(第2段目の重縮合工程)が用いられる。通常、これらの反応器は直列に設置され、連続的に処理が行われる。
(原料調製工程)
ポリカーボネートの原料として使用する前記ジヒドロキシ化合物、炭酸ジエステル化合物とは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の攪拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドと脂環式ジヒドロキシ化合物を用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常90℃〜180℃、好ましくは100℃〜120℃の範囲から選択される。
先ず、上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合物を、溶融下に、垂直回転軸と、この垂直回転軸に取り付けられた攪拌翼とを具備する竪型反応器に供給して、温度150℃〜270℃で重縮合反応を行い、還元粘度が0.03〜0.40dl/gであるポリカーボネートを得る。
平均滞留時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間である。また、還元粘度は、好ましくは0.03〜0.40dl/g、より好ましくは0.03〜0.38dl/gである。
0dl/gを超えるときは40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下とする。竪型攪拌反応器を複数設置する場合は、槽毎に段階的に温度を上昇させ、段階的に圧力を減少させた設定とすることが好ましい。
次に、第1段目の重縮合工程で得られたポリカーボネートを、水平回転軸と、この水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼を有し、かつ水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直径をDとしたときにL/Dが1〜15である横型攪拌反応器に供給して、温度210℃〜280℃で重縮合反応を行い、上記還元粘度が0.20〜1.70dl/gであるポリカーボネートを得る。
ここで、反応器としては、例えば、攪拌槽型反応器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板型反応器等が用いられる。
、通常、予め水溶液として準備される。触媒水溶液の濃度は特に限定されず、触媒の水に対する溶解度に応じて任意の濃度に調整される。また、水に代えて、アセトン、アルコール、トルエン、フェノール等の他の溶媒を選択することもできる。触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
次に、図面に基づき、本実施の形態が適用される本発明の方法(I)の一例を具体的に説明する。
図1は、本発明の方法(I)で用いる製造装置の一例を示す図である。図
1に示す製造装置において、本発明のポリカーボネートは、原料の前記ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化合物を調製する原料調製工程(図1の「原調工程」)と、これらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる第1段目、第2段目重縮合工程を経て製造される。
その後、反応を停止させ、重合反応液中の未反応原料や反応副
生物を脱揮除去する工程(図示せず)や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程(図示せず)、ポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程(図示せず)を経て、ポリカーボネートのペレットが成形される。
また、原料混合槽2aには、供給口1a−1から、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネート(DPC)が溶融状態で供給され、供給口1b、1cからは、それぞれ前記ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドと脂環式ジヒドロキシ化合物が溶融状態で供給され、溶融したDPCと混合される。
第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b及び第3竪型攪拌反応器6cには、マックスブレンド翼7a,7b,7cがそれぞれ設けられている。第4竪型攪拌反応器6dにはヘリカルリボン翼7dが設けられている。また、第5横型攪拌反応器9aには、攪拌翼10aが設けられている。
また11a、11b、11c、11d、11eの予熱器が設けられている。また21b、21c、21dのギアポンプが設けられている。
い凝縮器で凝縮した留出物の一部または全部を、第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6bに還流させると原料モル比の制御が容易になるため好ましい。また、第3竪型攪拌反応器6c、第4竪型攪拌反応器6dと第5横型攪拌反応器9aとに、それぞれ取り付けられた凝縮器81c,81d,81eの下流側にはコールドトラップ(図示せず)が設けられ、副生物が連続的に固化回収される。
本実施の形態では、本発明のジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合は、以下の手順に従い開始される。
先ず、図1に示す連続製造装置において、直列に接続された5器の反応器(第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b、第3竪型攪拌反応器6c、第4竪型攪拌反応器6d、第5横型攪拌反応器9a)を、予め、エステル交換反応に基づく溶融重縮合に応じた内温と圧力とに、それぞれ設
定する。
(予熱器11a)180℃〜230℃
(第1竪型攪拌反応器6a) 内温:150℃〜250℃、圧力:常圧〜13.3kPa、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器11b)200℃〜250℃
(第2竪型攪拌反応器6b) 内温:180℃〜250℃、圧力:70kPa〜10k
Pa、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器11c)230℃〜270℃
(第3竪型攪拌反応器6c) 内温:220℃〜270℃、圧力:10kPa〜0.1
kPa、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器11d)230℃〜270℃
(第4竪型攪拌反応器6d) 内温:220℃〜270℃、圧力:1000Pa〜1P
a、加熱媒体の温度220℃〜280℃
(予熱器11e)230℃〜270℃
(第5横型攪拌反応器9a) 内温:220℃〜270℃、圧力:500Pa〜1Pa
、加熱媒体の温度220〜280℃
続いて、前述した5器の反応器の内温と圧力が、それぞれの設定値の−5%〜+5%の範囲内に達した後に、別途、原料混合槽2aで調製した原料混合溶融液を、第1竪型攪拌反応器6a内に連続供給する。また、原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型攪拌反応器6a内に触媒供給口5aから触媒を連続供給し、エステル交換反応に基づく溶融重縮合を開始する。
ここで、第1竪型攪拌反応器6aにおける平均滞留時間は、特に限定されないが、通常30分〜120分である。
3〜0.40dl/g、さらに好ましくは0.05〜0.40dl/gであるポリカーボネートを得る。
押出機と異なりスクリュウ部分を有していない。本発明の方法(I)においては、このような横型攪拌反応器を少なくとも1器用いることが好ましい。
度が0.20〜1.70dl/g、好ましくは0.35〜1.60dl/g、さらに好ましくは0.45〜1.00dl/gであるポリカーボネートを得る。
尚、各反応器において溶融重縮合反応と同時に副生するフェノールは、各反応器に取り付けられた留出管(8a,8b,8c,8d,8e)により系外に留去される。
このため、各反応器における重合反応液の平均滞留時間は、溶融重縮合の開始直後から定常運転時と同等となる。その結果、重合反応液は必要以上な熱履歴を受けることがなく、得られるポリカーボネート樹脂中に生じる結晶化異物、ゲルまたはヤケ等の異物が低減する。また色調も良好となる。
本発明の方法(II)においても、本発明の方法(I)と同様に、上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合溶融液を調製し(原料調製工程)、これらの化合物を、重合触媒の存在下、溶融状態で複数の反応器を用いて多段階で重縮合反応をさせる(重縮合工程)ことによりポリカーボネートが製造される。
第1段目、第2段目の重縮合工程後、反応を停止させ、重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程、得られたポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程等を適宜追加してもよい。
次に、製造方法の各工程についてさらに具体的に説明する。
ポリカーボネートの原料として使用する前記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の攪拌槽型の装置を用いて、原料混合溶融液として調製される。溶融混合の温度は、例えば、ジヒドロキシ化合物としてイソソルビドと脂環式ジヒドロキシ化合物を用い、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合は、通常90℃〜180℃、好ましくは100℃〜120℃の範囲から選択される。
先ず、上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合物を、溶融下に、垂直回転軸と、この垂直回転軸に取り付けられた攪拌翼とを具備する竪型反応器に供給して、通常、温度140℃〜280℃で重縮合反応を行い、還元粘度が0.03〜0.40dl/gであるポリカーボネートを得る。
この反応は、通常1槽以上、好ましくは2槽〜6槽の多槽方式で連続的に行われる。反応温度は、好ましくは180℃〜260℃、特に好ましくは180℃〜240℃、圧力は、常圧〜1.3Paである。多槽方式の連続反応の場合、各槽の温度を順次上げ、各槽の圧力を順次下げることが好ましい。
平均滞留時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは、0.5〜3時間である。また、還元粘度は、好ましくは0.03〜0.40dl/g、より好ましくは0.03〜0.38dl/gである。
次に、第1段目の重縮合工程で得られたポリカーボネートを、水平回転軸と、この水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼を有し、かつ水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直径をDとしたときにL/Dが1〜15である横型攪拌反応器に供給して、温度210℃〜280℃で重縮合反応を行い、還元粘度が0.20〜1.70dl/gであるポリカーボネートを得る。
この反応は、通常1器以上、好ましくは1〜3器の横型攪拌反応器で連続的に行われる。横型反応器のL/Dは、好ましくは2〜14である。また、反応温度は、好ましくは220〜270℃、より好ましくは220〜260℃、圧力は、通常13.3kPa〜1.3Pa、好ましくは1kPa〜1.3Pa、平均滞留時間は、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは0.5〜3時間である。さらに還元粘度は、好ましくは0.35〜1.60dl/g、より好ましくは0.45〜1.00dl/gである。
触媒の溶解に使用する水の性状は、含有される不純物の種類ならびに濃度が一定であれば特に限定されないが、通常、蒸留水や脱イオン水等が好ましく用いられる。
次に、図面に基づき、本発明の方法(II)の一例を具体的に説明する。
図2は、本発明の方法(II)で用いたポリカーボネートの製造装置の一例を示す図である。図2に示す製造装置において、原料の前記ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステル化
合物を調製する原料調製工程(図2の「原調工程」)と、これらの原料を溶融状態で複数の反応器を用いて重縮合反応させる第1段目、第2段目の重縮合工程を経てポリカーボネートが製造される。
その後、反応を停止させ、重合反応液中の未反応原料や反応副生物を脱揮除去する工程(図示せず)や、熱安定剤、離型剤、色剤等を添加する工程(図示せず)、ポリカーボネートを所定の粒径のペレットに形成する工程(図示せず)を経て、ポリカーボネートのペレットが成形される。
また、原料混合槽2aには、供給口1a−1から、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネート(DPC)が溶融状態で供給され、供給口1b、1cからは、それぞれ、ジヒドロキシ化合物であるイソソルビドと脂環式ジヒドロキシ化合物が溶融状態で供給され、溶融したDPCと混合される。
第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b及び第3竪型攪拌反応器6cには、マックスブレンド翼7a,7b,7cがそれぞれ設けられている。第4竪型攪拌反応器6dにはヘリカルリボン翼7dが設けられている。また、第5横型攪拌反応器9aには、攪拌翼10aが設けられている。
次に、原料混合溶融液は、原料供給ポンプ4aを経由して第1竪型攪拌反応器6aに連続的に供給される。また触媒として、水溶液状の炭酸セシウムが、原料混合溶融液の移送配管途中の触媒供給口5aから連続的に供給される。
次に、第1竪型攪拌反応器6aより排出された重合反応液は、引き続き、第2竪型攪拌反応器6b、第3竪型攪拌反応器6c、第4竪型攪拌反応器6d、第5横型攪拌反応器9aに順次連続供給され、重縮合反応が進行する。各反応器における反応条件は、重縮合反応の進行とともに高温、高真空、低攪拌速度となるようにそれぞれ設定される。重縮合反応の間、各反応器における平均滞留時間は、例えば、60分程度になるように液面レベルを制御し、また各反応器においては、副生するフェノールが留出管8b,8c,8d,8eから留出される。
い凝縮器で凝縮した留出物の一部または全部を、第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6bに還流させると、原料モル比の制御が容易になるため好ましい。また、第3竪型攪拌反応器6c、第4竪型攪拌反応器6dと第5横型攪拌反応器9aとにそれぞれ取り付けられた凝縮器81c,81d,81eの下流側にはコールドトラップ(図示せず)が設けられ、副生物が連続的に固化回収される。
本実施の形態では、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応に基づく溶融重縮合は、以下の手順に従い開始される。
先ず、図2に示す連続製造装置において、直列に接続された5器の反応器(第1竪型攪拌反応器6a、第2竪型攪拌反応器6b、第3竪型攪拌反応器6c、第4竪型攪拌反応器6d、第5横型攪拌反応器9a)を、予め、エステル交換反応に基づく溶融重縮合に応じた内温と圧力とに、それぞれ設定する。
ここで、各反応器の内温と圧力とは、特に限定されないが、通常、以下の通りである。(第1竪型攪拌反応器6a)
内温:150℃〜250℃、圧力:常圧〜13.3kPa
(第2竪型攪拌反応器6b)
内温:180℃〜250℃、圧力:70kPa〜10kPa
(第3竪型攪拌反応器6c)
内温:220℃〜270℃、圧力:10kPa〜0.1kPa
(第4竪型攪拌反応器6d)
内温:220℃〜270℃、圧力:1000Pa〜1Pa
(第5横型攪拌反応器9a)
内温:220℃〜270℃、圧力:500Pa〜1Pa
ここで、第1竪型攪拌反応器6aにおける平均滞留時間は、特に限定されないが、通常30分〜120分である。
/g、より好ましくは0.05〜0.40dl/gであるポリカーボネートを得る。
量%以上のステンレス、ガラス、ニッケル、タンタル、クロム、テフロン(登録商標)のうち1種または2種以上から構成されていることが好ましい。本発明においては、接液部の表面材料が上記物質から構成されていればよく、上記物質と他の物質とからなる張り合わせ材料、あるいは上記物質を他の物質にメッキした材料などを表面材料として用いることができる。
次に、上記第1段目の重縮合反応工程で得られたポリカーボネートを水平回転軸と、この水平介軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼とを有し、かつ水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直径をDとしたときにL/Dが1〜15である横型攪拌反応器9aに供給して、後述するような第2段目の重縮合反応を行なうに適した温度・圧力条件下で、副生するフェノールおよび一部未反応モノマーを、ベント用導管8eを介して系外に除去して重縮合反応を行なう。
この第2重縮合反応工程では、還元粘度が、通常0.2〜1.70dl/g、好ましくは0.35〜1.60dl/g、より好ましくは0.45〜1.00dl/gであるポリカーボネートを得る。
尚、各反応器において溶融重縮合反応と同時に副生するフェノールは、各反応器に取り付けられた留出管(8a,8b,8c,8d,8e)により系外に留去される。
このため、各反応器における重合反応液の平均滞留時間は、溶融重縮合の開始直後か
ら定常運転時と同等となる。その結果、重合反応液は必要以上な熱履歴を受けることがなく、得られるポリカーボネート樹脂中に生じる結晶化異物、ゲルまたはヤケ等の異物が低減する。また色調も良好となる。
特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。 これらの亜リン酸化合物は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
重結合が存在することがあり、特に上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物をモノマー成分の少なくとも1つとする場合、このユニットが脱水して生成したと考えられる下記構造式(A)で表される二重結合を有する末端が存在する。
ましくは0.40dl/g以上、より好ましくは0.42dl/g以上であり、また、通常2.00dl/g以下、好ましくは1.60dl/g以下、特に好ましくは1.00dl/g以下であることが好ましい。このポリカーボネートの還元粘度が極端に低いものではレンズ等に成形した時の機械的強度が弱い。また、ポリカーボネートの還元粘度が大きくなると、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の複屈折率が大きくなり易い傾向がある。
ことができる。
重量部が好ましい。
また、本発明のポリカーボネートには、本発明の目的を損なわない範囲で、光安定剤を配合することができる。
押出機での脱揮工程や混練工程は必要に応じて、横型攪拌反応器に連結して連続的に実施しても良い。
ィルム状にする工程では、塵埃等が入り込まないように留意して行う事が望まれる。このクリーン度は、通常コンパクトディスク用の場合には、JIS−B9920で規定されるクリーン度として、クラス6であり、更に高度な情報記録用の場合にはクラス5以下である。
アッベ屈折計(アタゴ社製「DR−M4」)で、波長656nm(C線)、589nm(D線)、546nm(e線)、486nm(F線)の干渉フィルターを用いて、各波長の屈折率、nC、nD、ne、nFを測定した。
測定試料は樹脂を160〜200℃でプレス成形し、厚み80μmから500μmのフィルムを作製し、得られたフィルムを幅約8mm、長さ10から40mmの短冊状に切り出し、測定試験片とした。
測定は、界面液として1−ブロモナフタレンを用い、20℃で行った。
アッベ数νdは次の式で計算した。
νd=(1−nD)/(nC−nF)
アッベ数が大きいほど、屈折率の波長依存性が小さくなり、例えば単レンズにした際の波長による焦点のずれが小さくなる。
示差走査熱量計(メトラー社製「DSC822」)を用いて、試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS−K7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度である、補外ガラス転移開始温度を求めた。
カラーメーター(日本電色社製「300A」)を用いて、チップカラーを測定した。
ガラスセルに、チップを所定量入れ、反射測定で測定し、b値を測定した。
この数値が小さいほど、黄色みが小さい。
中央理化社製DT−504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、溶媒として、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンの重量比1:1混合溶媒を用い、温度30.0℃±0.1℃で測定した。濃度は1.00g/dlになるように、精密に調整した。
サンプルを120℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。
溶媒の通過時間t0、溶液の通過時間tから、下記式:
ηrel=t/t0
より相対粘度ηrelを求め、相対粘度ηrelから、下記式:
ηsp=(η−η0)/η0=ηrel−1
より比粘度ηspを求めた。
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、下記式:
ηred=ηsp/c
より還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。
この数値が高いほど分子量が大きい。
セイコー電子社製「TG−DTA」(SSC−5200、TG/DTA220)を用い、試料10mgをアルミニウム製容器に載せ、窒素雰囲気下(窒素流量200ml/分)で昇温速度10℃/分で30℃から450℃まで測定し、5%重量が減少した際の温度を求めた。
この温度が高いほど、熱分解しにくい。
カスタム・サイエンティフィック(Custom Scientific)社製ミニマックス射出成形機「CS−183MMX」を用いて、温度240から300℃で、長さ31.5mm、幅6.2mm、厚さ3.2mmの試験片を射出成形し、深さ1.2mmのノッチをノッチングマシンで付け、試験片とした。
この試験片について、カスタム・サイエンティフィック社製ミニマックスアイゾット衝撃試験機「CS−183TI型」を用いて、23℃におけるノッチ付きのアイゾット衝撃強度を測定した。この数値が大きいほど、耐衝撃強度が大きく、割れにくい。
上記射出成形機を用いて温度240℃から300℃で、平行部長さ9mm、平行部直径1.5mmの引張試験片を射出成形し、カスタム・サイテンティフィック社製引張試験機「CS−183TE型」を用いて、引張速度1cm/分の条件で引張試験を行い、降伏時伸び、引張降伏強さ、引張降伏弾性率、及び破断時伸びそれぞれ測定した。
それぞれの数値が大きいほど、強さ、伸びがある。
下記の方法で1H−NMRを測定し定量した。
・サンプル調製
ポリマーを25mgから30mg秤量し、重クロロホルム0.7mLに室温で溶解した。重クロロホルムは銀箔の安定剤が入っているものを使用した。
溶解した液を外径5mmのNMR管に詰め、Bruker社製NMR(AVANCE400)を用いて、400MHz、45°パルス、照射時間4秒、待ち時間6秒、積算256回で測定を行った。
4.70ppmから4.46ppmのイソソルビドの主鎖に由来するシグナルの積分値を100とした。次に2.70ppmから0.50ppmのトリシクロデカンジメタノール(TCDDM)の主鎖に由来するシグナルの積分値を求め、積分値(1)とする。この領
域に重なる水の積分値は補正した。
7.44ppmから7.34ppmのフェニル末端に由来するシグナルの積分値を求め、積分値(2)とする。6.63ppmから6.60ppmのイソソルビド末端が脱水した
構造の二重結合に由来するシグナルの積分値を求め、積分値(3)とする。
これらの積分値から次の式を用いてフェニル末端基濃度およびイソソルビド二重結合末端の量を算出した。
:μeq/g)
イソソルビド二重結合末端基濃度={積分値(3)/(100×イソソルビド主鎖ユニットの式量+積分値(1)/14×TCDDM主鎖ユニットの式量+積分値(2)/2×フェニル末端ユニットの式量+積分値(3)×イソソルビド二重結合末端ユニットの式量)}×106(単位:μeq/g)
イソソルビド主鎖ユニットの式量=172.14
TCDDM主鎖ユニットの式量=222.28
フェニル末端ユニットの式量=93.10
イソソルビド二重結合末端ユニットの式量=155.13
<サンプル作製>
80℃で5時間真空乾燥をしたポリカーボネート樹脂サンプル4.0gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200〜250℃で、予熱1〜3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスにて圧力20MPaで3分間加圧冷却してシートを作製した。このシートから幅5mm、長さ20mmにサンプルを切り出した。
<測定>
He−Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製「DVE−3」)を組み合わせた装置を用いて測定した。(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93−97(1991)を参照。)
切り出したサンプルを粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。
光弾性係数Cは、貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式より求めた。
C=O’/E’
測定装置として、新東科学社製表面測定機「トライポギア、タイプ14DR」を用い、JIS−K5600に準拠して下記条件で測定した。
荷重 750g
測定スピード30mm/min
測定距離 7mm
鉛筆として三菱鉛筆社製UNIを用いた。
鉛筆硬度としては4H,3H,2H,H,F,HB,B、2B,3B,4Bを用いた。
5回測定し、2回以上、傷がついた鉛筆硬度のひとつ柔らかい硬度を測定物質の鉛筆硬度とした。
下記の要領でイオンクロマトグラフィーにより測定した。即ち、イソソルビド約0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容した。標準試料には蟻酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムの一致するピークを蟻酸として、ピーク面積から絶対検量線法で定量した。
装置は、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いた。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いた。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/min、恒温槽温度35℃で測定した。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には12.5mM−H2SO4水溶液を
用いた。
試料1gを精秤した後、クロロホルム10mlに溶解し、純水20mlを添加して十分攪拌して得られた水相を、上記(12)と同様の方法でイオンクロマトグラフィーを測定し、求めた。
試料1.25gを塩化メチレン7mlに溶解した後、総量が25mlになるようにアセトンを添加して再沈殿処理を行った。溶液を0.2μmディスクフィルターでろ過して、液体クロマトグラフィーにてフェノールの定量を行った後、残留量を算出した。
・装置:島津製作所製
システムコントローラ CBM−20A
ポンプ LC−10AT
カラムオーブン CTO−10Avp
検出器 SPD−10Avp
分析カラム:SUPELCO Ascentis Express C18(5cm×3.0mm、粒子サイズ2.7μm)
オーブン温度:40℃
・検出器:UV213nm
・溶離液:A)0.1%リン酸水溶液/アセトニトリル=5/1
B)アセトニトリル
(B液を3%から95%までグラジエント)
・試料注入量:3μl
のである。実施例におけるイソソルビドの蒸留方法は次の通りである。
<イソソルビドの蒸留>
安定剤としてリン酸水素2Naを30重量ppm含むイソソルビド(ISOB:融点66℃)500重量部をあらかじめ窒素気流下、攪拌翼を具備した容器に仕込み、熱媒で加熱した。溶融が始まり攪拌が可能になった時点で攪拌を開始し、全量を均一に溶融させ、内温を80℃にした。続いて、該容器の圧力を徐々に下げ、加温を行った。内圧133〜266Pa、内温160℃になった時点で溜出が始まり、初留を25.5重量部採取した後、主留として403.5重量部、後留として28.5重量部採取し、残りは釜残として容器中に残した。蒸留終了後、窒素を入れ、常圧に戻した。得られた蒸留品を窒素気流下で冷却した後、粉砕して蒸留精製したイソソルビドを得た。このものは、アルミラミネート袋に窒素気流下で、エージレス(三菱ガス化学社製)を同封して室温にてシール保管した。
前述した図1に示すように、竪型攪拌反応器4器及び横型攪拌反応器1器を有する連続製造装置により、以下の条件でポリカーボネートを製造した。
先ず、以下のように、各反応器、各予熱器を、表1のとおり、予め反応条件に応じた内温・圧力に設定した。表1中、温度差は各重合反応器内のポリマー温度と各重合反応器に供給される加熱媒体の温度差である。
続いて、この原料混合溶融液を、140℃に加熱した原料導入管を介して、前述した所定温度・圧力の±5%の範囲内に制御した第1竪型攪拌反応器6a内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けたバルブ(図示せず)の開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。
また、上記原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型攪拌反応器6a内に触媒供給口5aから触媒として炭酸セシウム水溶液を、全ジヒドロキシ成分1モルに対し、1.0μモルの割合で連続供給した。
重合反応の間、各反応器の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また、重合反応と同時に副生するフェノールの留去を行った。
第1竪型攪拌反応器6a、第4竪型攪拌反応器6d、および第5横型攪拌反応器9eの条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に重合反応を行った。得られたポリカーボネートの還元粘度は0.56、ガラス転移温度(Tig)は129℃、カラーb値は5.0、蟻酸含有量は2重量ppm未満、末端フェニル基濃度は95μeq/g、イソソルビド末端二重結合は3.0μeq/g、フェノール含有量は50重量ppm、5%熱減量温度は350℃であった。これらの結果をまとめて表1に示した。また、光弾性係数、d線の屈折率、アッベ数は実施例1と同じであった。
予熱器11aを用いず、第1竪型攪拌反応器6a、第4竪型攪拌反応器6d、および第5横型攪拌反応器9eの条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に重合反応を行った。得られたポリカーボネートの還元粘度は0.56、ガラス転移温度(Tig)は129℃、カラーb値は6.7、蟻酸含有量は4重量ppm、末端フェニル基濃度は45μeq/g、イソソルビド末端二重結合は8.5μeq/g、フェノール含有量は72重量ppm、5%熱減量温度は345℃であった。これらの結果をまとめて表1に示した。また、光弾性係数、d線の屈折率、アッベ数は実施例1と同じであった。
予熱器11a、11b、11c、11d、11eを用いず、反応条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に重合反応を行った。
予熱器11d、11eを用いず、第4竪型攪拌反応器6d、および第5横型攪拌反応器9eの条件を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に重合反応を行った。得られたポリカーボネートの還元粘度は0.55、ガラス転移温度(Tig)は129℃、カラーb値は10.5、蟻酸含有量は8重量ppm、末端フェニル基濃度は25μeq/g、イソソルビド末端二重結合は15.0μeq/g、フェノール含有量は150重量ppm、5%熱減量温度は338℃であった。これらの結果をまとめて表1に示した。
前述した図2に示すように、竪型攪拌反応器4器及び横型攪拌反応器1器を有する連続製造装置により、以下の条件でポリカーボネートを製造した。
先ず、各反応器を、表2のとおり、予め反応条件に応じた内温・圧力に設定した。
続いて、この原料混合溶融液を、140℃に加熱した原料導入管を介して、前述した所定温度・圧力の±5%の範囲内に制御した第1竪型攪拌反応器6a内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けたバルブ(図示せず)の開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。
また、上記原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型攪拌反応器6a内に触媒供給口5aから触媒として炭酸セシウム水溶液を、全ジヒドロキシ成分1モルに対し、1.0μモルの割合で連続供給した。
重合反応の間、第1竪型攪拌反応器6aおよび第2竪型攪拌反応器6bの平均滞留時間が60分になるように、第4竪型攪拌反応器6dおよび第5横型攪拌反応器9aの平均滞留時間が45分になるように液面レベルを制御し、また、重合反応と同時に副生するフェノールの留去を行った。
竪型2槽の反応槽からなるバッチ式重合装置を用いて、ポリカーボネートを製造した。原料調製槽に、イソソルビド(ISOB)26.6重量部に対して、トリシクロデカンジメタノール(TCDDM)15.3重量部、ジフェニルカーボネート(DPC)58.0重量部、を槽内温度100℃以下で投入した。窒素雰囲気下に加圧、減圧を繰り返し、窒素置換した。原料調製槽を加熱する熱媒の温度は240℃から250℃とした。
)を反応槽に投入し、重合反応を開始した。次いで、圧力を常圧から13.3kPaに60分で減圧し、その後保持した。減圧開始と同時に、反応槽内温度を150から220℃まで90分で上昇させながら、発生するフェノールを反応槽外へ抜き出し、220℃、13.3kPaに到達した後、120分保持した。該プレポリマーの還元粘度は0.15dl/gであった。
1b、1c 原料(ジヒドロキシ化合物)供給口
2a 原料混合槽
3a アンカー型攪拌翼
4a 原料供給ポンプ
5a 触媒供給口
6a 第1竪型攪拌反応器
6b 第2竪型攪拌反応器
6c 第3竪型攪拌反応器
6d 第4竪型攪拌反応器
7a,7b,7c マックスブレンド翼
7d ヘリカルリボン翼
8a,8b,8c,8d,8e 留出管
9a 第5横型攪拌反応器
10a 攪拌翼
81a,81b,81c,81d,81e 凝縮器
82a,82b,82c,82d,82e 減圧装置
11a、11b、11c、11d、11e 予熱器
21b、21c、21c ギアポンプ
Claims (20)
- 少なくとも二器の反応器を直列に用いて、分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合してポリカーボネートを製造するに際し、反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.10dl/g以下のときは80℃以下とし、還元粘度が0.10dl/gを超え0.40dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とすることを特徴とするポリカーボネートの製造方法。
- 第1段目の反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.10dl/g以下のときは80℃以下とし、還元粘度が0.10dl/gを超え0.40dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とする、請求項1に記載の方法。
- 最終段の反応器におけるポリマー温度と加熱媒体の温度差を、生成したポリカーボネートの還元粘度が0.30dl/g以下のときは60℃以下とし、還元粘度が0.30dl/gを超え0.40dl/g以下のときは50℃以下とし、還元粘度が0.40dl/gを超えるときは40℃以下とする、請求項1または2に記載の方法。
- 分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを、加熱媒体により加熱しながら溶融重縮合してポリカーボネートを製造する方法であって、
上記ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの混合物を、溶融下に、垂直回転軸と、この垂直回転軸に取り付けられた攪拌翼とを具備する竪型反応器に供給して、温度150℃〜270℃で重縮合反応を行い、還元粘度が0.03〜0.40dl/gであるポリカーボネートを得る第1段目の重縮合工程と、
第1段目の重縮合工程で得られたポリカーボネートを、水平回転軸と、この水平回転軸にほぼ直角に取り付けられた相互に不連続な攪拌翼を有し、かつ水平回転軸の長さをLとし、攪拌翼の回転直径をDとしたときにL/Dが1〜15である横型攪拌反応器に供給して、温度210℃〜270℃で重縮合反応を行い、還元粘度が0.20〜1.70dl/gであるポリカーボネートを得る第2段目の重縮合工程を有することを特徴とするポリカーボネートの製造方法。 - ジヒドロキシ化合物が、さらに、脂環式ジヒドロキシ化合物、脂肪族ジヒドロキシ化合物、オキシアルキレングリコール類、芳香族ジヒドロキシ化合物及び環状エーテル構造を有するジオール類よりなる群から選ばれる少なくとも1種のジヒドロキシ化合物を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
- 全ジヒドロキシ化合物に対する一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物の割合が10モル%以上である、請求項6に記載の方法。
- 加熱媒体の温度が270℃以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
- 分子内に少なくとも一つの連結基−CH2−O−を有するジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と、炭酸ジエステルとを溶融重縮合して得られ、還元粘度が0.40dl/g以上1.70以下であり、蟻酸含有量が5重量ppm未満であることを特徴とするポリカーボネート。
- 末端フェニル基濃度が30μeq/g以上である、請求項9に記載のポリカーボネート。
- フェノール含有量が500重量ppm以下である、請求項9または10に記載のポリカーボネート
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の方法により得られることを特徴とするポリカーボネート。
- 還元粘度が0.40dl/g以上1.70以下であり、蟻酸含有量が5重量ppm未満である、請求項14に記載のポリカーボネート。
- 末端フェニル基濃度が30μeq/g以上である、請求項14または15に記載のポリカーボネート。
- フェノール含有量が500重量ppm以下である、請求項14から16のいずれか1項に記載のポリカーボネート。
- 請求項9から19のいずれか1項に記載のポリカーボネート又はその組成物からなることを特徴とする成形物。
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