JP2010525821A - 修飾IFNβポリペプチドおよびこれらの使用 - Google Patents

修飾IFNβポリペプチドおよびこれらの使用 Download PDF

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Abstract

修飾IFNβポリペプチドおよびそれらの使用を提供する。

Description

発明の詳細な説明
〔発明の分野〕
本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を少なくとも1つ用いて必要に応じて修飾されているIFNβポリペプチドに関する。
〔発明の背景〕
インターフェロンは、多様な真核細胞によって分泌されるサイトカインの公知のファミリーである。インターフェロンは、種々の生物活性(抗ウイルス性、免疫調節性(immunomodulatory)、免疫調節性(immunoregulatory)、抗腫瘍性および抗増殖性の活性が挙げられる)を有している。そして、疾患(例えば、がんおよび種々のウイルス性疾患)を処置する治療薬として利用されている。インターフェロンは、種々の疾患の処置における有用性について証明されており、多発性硬化症およびウイルス性肝炎の処置において一般的に使用されている。現在のインターフェロンの最も一般的な治療用途は、C型肝炎および多発性硬化症の処置である。インターフェロンは、類似の構造的特徴を有するタンパク質の集合を表す成長ホルモン(GH)スーパーファミリーのメンバーである(Bazan, F. Immunology Today 11 : 350-354 (1990); Mott, H. R. and Campbell, I. D. Current Opinion in Structural Biology 5: 114-121 (1995); Silvennoinen, O. and IhIe, J. N. (1996) SIGNALING BY THE HEMATOPOIETIC CYTOKINE RECEPTORS)。このタンパク質のファミリーに属するメンバーは、4つのらせん束(helical bundle)を有している。これまでに同定されていないこのファミリーのメンバーが多く存在するが、このファミリー(“GHスーパージーンファミリー”)に属するいくつかのメンバーとしては、成長ホルモン、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、インターロイキン−2(IL−2)、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12(p35サブユニット)、IL−13、IL−15、オンコスタチン M、毛様体神経栄養因子、白血病抑制因子、αインターフェロン、βインターフェロン、γインターフェロン、ωインターフェロン、τインターフェロン、εインターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)およびカーディオトロピン−1(CT−1)が挙げられる。GHスーパージーンファミリーのメンバーは、それらがアミノ酸配列同一性またはDNA配列同一性を少ししか有していないにもかかわらず、類似の二次構造および三次構造を有する。共通の構造的特徴によって、ジーンファミリーの新たなメンバーを容易に同定できる。4つのらせん束およびインターフェロンポリペプチドについて、国際公開第2005/074650号パンフレット(発明の名称“Modified Human Four Helical Bundle Polypeptides and Their Uses”)、国際公開第2005/074524号パンフレット(発明の名称“Modified Human Interferon Polypeptides and Their Uses”)、国際公開第2006/133089号パンフレットおよび国際公開第2006/133088号パンフレット(発明の名称“Improved Human Interferon Polypeptides and Their Uses”)に記載されている。これらの文献は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
インターフェロンとしては、多くの関連タンパク質(例えば、インターフェロン−α(IFN−α)、インターフェロン−β(IFN−β)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、インターフェロン−κ(IFN−κ、またインターフェロン−εまたはIFN−εとして知られている)、インターフェロン−τ(IFN−τ)、およびインターフェロン−ω(IFN−ω))が挙げられる。これらのインターフェロンタンパク質は、種々の細胞種において産生される:IFN−α(白血球)、IFN−β(線維芽細胞)、IFN−γ(リンパ球)、IFN−εもしくはκ(ケラチン合成細胞)、IFN−ω(白血球)、およびIFN−τ(栄養芽細胞)。IFN−α、IFN−β、IFN−εもしくはκ、IFN−ωおよびIFN−τは、I型インターフェロンに分類され、IFN−γはII型インターフェロンに分類される。インターフェロンαは、多くの遺伝子ファミリーによってコードされているが、他のインターフェロンは、ヒトゲノムにおいて単一の遺伝子にによってそれぞれがコードされていると思われる。さらに、ヒトの集団の異なる個体間において、インターフェロン配列に対立因子の変異がいくつか存在する。
インターフェロンは、ウイルスに侵入された細胞またはある種の他の物質にさらされた細胞によって放出される比較的小さな、短鎖の糖タンパク質である。現在、インターフェロンは、3つの大きなクラス((1)白血球インターフェロン(インターフェロン−α、α−インターフェロン、IFN−α)、(2)線維芽細胞インターフェロン(インターフェロン−β、β−インターフェロン、IFN−β)および(3)(インターフェロン−γ、γ−インターフェロン、IFN−γ)によって表される)にグループ化されている。ウイルス感染に応じて、リンパ球は、α−インターフェロン(ωインターフェロン、IFN−ωとともに)を主に合成する。一方、線維芽細胞の感染は、通常、β−インターフェロンの産生を誘導する。IFNαおよびIFNβは、約20〜30パーセントのアミノ酸配列相同性を有している。ヒトIFN−βの遺伝子は、イントロンを欠失しており、ヒトIFN−αと29%のアミノ酸配列同一性を有するタンパク質をコードしている。これは、IFN−αおよびIFN−βが共通の祖先から生じていることを示唆している(Taniguchi et al., Nature 285 547-549 (1980))。それに対して、IFN−γはミトゲンに応じてリンパ球によって合成される。参照によってその全体が本明細書に組み込まれるPestka et al. in Annu. Rev. Immunol. (2004) 22:929-79には、インターフェロン(IFN−α、β、ε、κ、ω、σ、τおよびγ)およびインターフェロン様分子を含むクラス2 α−らせんサイトカイン、ならびにリガンド、受容体およびこれらの分子によって用いられるシグナル伝達経路について記載されている。インターフェロン様分子は、例えば、リミチン、IL−28A、IL−28BおよびIL−29である。インターフェロンは、異なる種および多くの対立因子バリアントを有している。さらに新規な活性および変異配列を有するインターフェロンが、種々の疾患にかかっている患者に由来する細胞から単離されている。
インターフェロンは、当初、インターフェロン産生を向上させる誘導剤を任意に用いて、天然に存在する起源(例えば、軟層の白血球および線維芽細胞)から得られた。また、インターフェロンは組換えDNA技術によって産生されている。成熟IFNβのクローニングおよび発現について、Goeddel et al., Nucleic Acids Res. 8, 4057 (1980)に記載されている。
すべてのI型インターフェロンは、共通の受容体(IFNAR1およびIFNAR2サブユニットから構成されるI型IFN−R)と結合すると思われる。厳密な結合様式および下流のシグナル伝達カスケードは、I型インターフェロンの間でやや異なっている。しかし、通常、インターフェロン受容体に対するインターフェロンの結合に続いて、JAK/STATシグナル伝達経路が活性化される。それから、STAT転写因子が核に移行して、抗ウイルス活性、抗腫瘍活性および免疫調節性活性を有する多くのタンパク質の発現を起こす。
天然に存在するI型インターフェロンの性質は、治療用途に最適とはいえない。I型インターフェロンは、注射部位反応および多くの他の副作用を誘導する。天然に存在するI型インターフェロンは、免疫原性が高く、かなりの割合の患者において中和抗体および非中和抗体を誘発させる。インターフェロンは、皮下注射部位からほとんど吸収されず、血清半減期が短い。最後に、I型インターフェロンは、原核生物の宿主において可溶化状態において発現されない。したがって、I型インターフェロンは、より高価かつ困難なリフォールディング手法または哺乳類における発現手法を必要とする。
市販のIFN製品の特定の例としては、IFNγ−1b(アクトイミューン(Actimmune)(登録商標))、IFNβ−1a(アボネックス(Avonex)(登録商標)およびレビフ(Rebif)(登録商標)、IFNβ−1b(ベータセロン(Betaseron)(登録商標))、IFNアルファコン−1、(インファージェン(Infergen)(登録商標))、IFNα−2(イントロン A(Intron A)(登録商標))、IFNα−2a(ロフェロン−A(Roferon-A)(登録商標))、ペグインターフェロンα−2a(ペガシス(PEGASYS)(登録商標))およびペグインターフェロンα−2b(PEG−イントロン(PEG-Intron)(登録商標))が挙げられる。IFNタンパク質のPEG付加種の製造に関連する問題のいくつかについて、Wang et al. (2002) Adv. Drug Deliv. Rev. 54:547-570;およびPedder, S.C. Semin Liver Dis. 2003;23 Suppl 1 :19-22に記載されている。Wang et al.は、PEG−イントロン(登録商標)の位置異性体を性質決定し、Pedder at al. は、ペガシス(登録商標)をPEG−イントロン(登録商標)と比較して、使用されたPEG付加成分の不安定性および製剤に対する効果について説明した。ペガシス(登録商標)は、9つの識別可能な異性体(抗ウイルス活性が異なる特定の異性体)から構成されている(Foser et al., Pharmacogenomics J 2003; 3:312)。現在、多くのIFN製品が市販されているが、インターフェロン療法にとって未だに不適当である。本発明は、向上した性質を有するインターフェロンタンパク質の同定を目的としている。多くのグループが向上した性質を有する修飾インターフェロンを生成している。以下の参考文献のすべては、それらの全体が参照によって特に組み込まれる。
不要な分子内または分子間のジスルフィド結合の形成を最小化するために、システイン減少バリアントが生成されている(参照によってその全体が組み込まれる、米国特許第4,518,584号明細書;米国特許第4,588,585号明細書;および米国特許第4,959,314号明細書)。酸化の受け易さを最小化するために、メチオニン減少バリアントが生成されている(参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第260350号明細書)。
調節された活性を有するインターフェロンが生成されている(参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,514,729号明細書;米国特許第4,738,844号明細書;米国特許第4,738,845号明細書;米国特許第4,753,795号明細書;米国特許第4,766,106号明細書;国際公開第00/78266号パンフレット)。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,545,723号明細書および米国特許第6,127,332号明細書には、インターフェロンの101位に置換を有する変異体が開示されている。1つ以上のインターフェロンに由来する配列を含んでいるキメラインターフェロンが作製されている(参照によって組み込まれる、Chang et. al. Nature Biotech. 17: 793-797 (1999)、米国特許第4,758,428号明細書;米国特許第4,885,166号明細書;米国特許第5,382,657号明細書;米国特許第5,738,846号明細書)。また、インターフェロンβの49位および51位に置換を有する変異体について説明されている(参照によって組み込まれる米国特許第6,531,122号明細書)。IFNβのバリアントおよび接合物の発現および生成について、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,144,574号明細書および米国特許第6,531,111号明細書に記載されている。説明されている修飾としては、糖鎖形成部位のIFNβへの導入またはポリペプチドからの除去、糖鎖形成部位近辺の置換、リジンまたはシステインに対する接合、ならびにアミノ酸の導入および除去が挙げられる。
増強された安定性を有するインターフェロンβについて記載されている(参照によって組み込まれる国際公開第00/68387号パンフレット)。当該インターフェロンβは疎水性の中心領域が合理的な設計法を用いて最適化された。また、インターフェロンの安定性または溶解性を向上させる代替の製剤が開示されている(参照によって組み込まれる、米国特許第4,675,483号明細書;米国特許第5,730,969号明細書;米国特許第5,766,582号明細書;国際公開第02/38170号パンフレット)。
向上された溶解性を有するインターフェロンβの変異体について説明されている(参照によって組み込まれる国際公開第98/48018号パンフレット)。当該変異体において、ロイシン残基およびフェニルアラニン残基のいくつかが、セリン残基、スレオニン残基またはチロシン残基に置換されている。溶解性を向上させる修飾について、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0054053号明細書に開示されている。
低下した免疫原性を有するインターフェロンαおよびインターフェロンβのバリアントについて説明されている(参照によって組み込まれる国際公開第02/085941号パンフレットおよび国際公開第02/074783号パンフレットを参照のこと)。
免疫原性は、現状のインターフェロン(インターフェロンβが挙げられる)のを用いた治療薬における主な制限である。免疫応答は非ヒトのタンパク質に対して典型的に最も激しいが、ヒトタンパク質に基づく治療薬(例えば、インターフェロンβ)にも免疫原性がしばしば認められる。免疫原性は、外来物として識別される物質に対する一連の複合的な応答であり、中和抗体および非中和抗体の産生、免疫複合体の形成、補体の活性化、肥満細胞の活性化、炎症ならびに過敏症を包含し得る。多くの患者はIFNβに対する中和抗体を生じる(Int. Arch. Allergy Immunol. 118:368 371, 1999)。IFNβ−中和抗体の生成がIFNβに対する生物学的反応を低下させ、処置効果が低下する傾向にあることが示されている(Neurol. 50:1266 1272, 1998)。また、中和抗体は他の疾患の処置に関してIFNβの治療有効性を妨げる(Immunol. Immuther. 39:263 268, 1994)。
種々の要因(タンパク質配列、投与の経路および頻度、ならびに患者の個体群が挙げられる)がタンパク質の免疫原性に寄与している。関連するタンパク質治療薬であるインターフェロンαの免疫原性には、凝集が関わっている(Braun et. al. Pharm. Res. 1997 14: 1472-1478)。他の研究によって、DR15 MHC対立因子の存在が中和抗体形成に対する感受性を増大させ、また、同じ対立因子が多発性硬化症にかかり易くさせることについて示唆されている(Stickler et. al. Genes Immun. 2004 5: 1-7)。
また、凝集がインターフェロン(特にインターフェロンβ)の免疫原性を導き得るので、溶解性を向上させるために改変されたバリアントは、低下した免疫原性を有し得る。不要な分子間または分子内のジスルフィド結合の形成を最小化するために、システインを低減させたバリアントが生成されており(参照によって組み込まれる、米国特許第4,518,584号明細書;米国特許第4,588,585号明細書;米国特許第4,959,314号明細書);当該バリアントは凝集に関して低い傾向を示す。向上した安定性を有するインターフェロンβバリアントは、疎水性の中心領域が合理的な設計法を用いて最適化されることによって、製造されており(参照によって組み込まれる国際公開第00/68387号パンフレット);いくつかの場合に、溶解性が安定性の向上によって増強され得る。また、インターフェロンの安定性および溶解性を向上させる他の製剤が開示されている(参照によって組み込まれる、米国特許第4,675,483号明細書;米国特許第5,730,969号明細書;米国特許第5,766,582号明細書;国際公開第02/38170号パンフレット)。向上した溶解性を有するインターフェロンβの変異体について記載されており、当該変異体において、いくつかのロイシン残基およびフェニルアラニン残基が、セリン残基、スレオニン残基またはチロシン残基に置換されている(参照によって組み込まれる国際公開第98/48018号パンフレット)。
インターフェロンは、ポリエチレングリコール(“PEG”)の付加によって修飾されている(参照によってその全体が組み込まれる、米国特許第4,917,888号明細書;米国特許第5,382,657号明細書;米国特許第6,962,978号明細書;米国特許第99/55377号明細書;国際公開第02/09766号パンフレット;国際公開第00/23114号パンフレットを参照すればよい)。PEG付加によって血清中半減期および溶解性が向上し得る。いくつかの場合に、PEG付加は、抗体アグレトープに対する接近を立体的に遮断することによって、中和抗体を生じる患者の割合が減少させることが認められている(例えば、Hershfield et. al. PNAS 1991 88:7185-7189 (1991); Bailon. et al. Biocoηjug. Chem. 12: 195-202(2001); He et al. Life Sci. 65: 355-368 (1999)を参照すればよい)。
また、野生型タンパク質と比べて低下した親和性を有してクラスII MHC対立因子に結合すると予想されるインターフェロンβバリアントが生成されており;両方の例において、アラニン変異は結合能を低下させるために使用された(参照によって組み込まれる上述の国際公開第02/074783号パンフレット)。IFNβの一部に対応する合成ペプチドに対する抗体の免疫原性について、Redlich et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (1991) 88:4040-4044に記載されている。
種々の方法が、タンパク質の免疫原性を調節するために開発されており;好ましい手法は、MHC結合アグレトープを除去することによってT細胞活性化を妨害することである。この手法は、T細胞受容体結合または抗体結合を回避することよりも制御し易い。これは、MHC分子の多様性がわずかに10以下の対立因子を有するのに対して、抗体のレパートリーがおおよそ10と見積もられ、T細胞のレパートリーはさらに大きいためである。タンパク質内のクラスII MHC結合ペプチドを同定して、これを除去または修飾することによって、免疫原性の分子的機序が回避され得る。より小さな免疫原性を生じさせる目的にとっての当該アグレトープの排除について、これまでに説明されており;例えば、参照によって組み込まれる国際公開第98/52976号パンフレットおよび国際公開第02/079232号パンフレットを参照すればよい。
免疫原性を低下させると予想される、MHC結合アグレトープにおける多くの変異が同定され得る一方において、これらのアミノ酸置換のほとんどが非常に好ましくない。結果として、上述の方法を用いて同定された、免疫原性が低下した配列のほとんどすべてが、タンパク質の構造および/または機能と不適合である。免疫原性を低下させる実行可能な手法であるMHCアグレトープの除去のためには、タンパク質の構造、安定性および生物活性を維持させる同時の試みが重要である。
免疫原性は、種々の方法におけるインターフェロン治療薬の有効性および安全性を制限し得る。治療有効性は、中和抗体の形成によって直接的に低減され得る。また、有効性は、中和抗体または非中和抗体に対する結合によって血清半減期が変わり得るので、間接的に低減され得る。不要な免疫応答は、注射部位応答の形態(遅延型過敏症)を取り得る。また、抗インターフェロンβ中和抗体が内因性のインターフェロンβと交差反応し、その機能を阻害する可能性がある。
低下した免疫原性を有する新規なインターフェロンタンパク質が必要とされている。低下した免疫原性を有するインターフェロンのバリアントは、インターフェロン反応性障害の処置における利用を見出し得る。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0054053号明細書には、野生型IFNβと比べて、調節された免疫原性を有するIFNβタンパク質のバリアントについて記載されている。
結果として、向上した特性を有するインターフェロンタンパク質の開発および発見が必要とされている。向上した特性としては、向上した有効性、低下した副作用、低下した免疫原性、向上した溶解性、および増強された原核生物発現が挙げられる。注射の頻度がより少ない、および/または中和抗体を生じる危険性が少ないインターフェロンポリペプチドが必要性とされている。改良されたインターフェロン治療薬は、種々の疾患および障害の処置に有用であり得る。種々の疾患としては、自己免疫疾患、ウイルス感染、および炎症性疾患、細胞増殖性疾患、細菌感染、受精率の向上およびがん、他の疾患障害および移植拒絶反応が挙げられる。また、インターフェロンは、ある種の動物において妊娠を促進させるために使用され得る。
インターフェロンファミリーのメンバーであるヒトインターフェロンβの使用は、多発性硬化症の処置において最も確立されている。近年、組換えインターフェロンβの2つの形態が、この疾患の処置に関して欧州および米国において認可されている。1つの形態は、インターフェロン−β−1a(商標登録されており、mfg. バイオジェン(Biogen)(ケンブリッジ、マサチューセッツ州)からアボネックス(AVONEX)(登録商標)として販売されているか;またはmfg. メルク セロノ(Merck Serono)からレビフ(REBIF)(登録商標)として販売されている)である。以下において、インターフェロン−β−1aは、“インターフェロン−ベータ−1a”、“IFN−ベータ−1a”、“IFN−β−1a”もしくは“インターフェロン−β−1a”、またはハイフンありおよびハイフンなしの形態と交換可能に使用されている。最近市場に出回っているアボネックスの製剤は、30μg/投与(200MIU/mg)を有しており、週に4回にわたって筋肉内に投与される、CHO(チャイニーズハムスターの卵巣)由来のIFN−β 1aを提供する。最近市場に出回っているレビフの製剤は、44μg/投与(270MIU/mg)を有しており、週に1回にわたって筋肉内に投与される、CHO由来のIFN−β 1aを提供する。他の形態は、インターフェロン−β−1b(以下“インターフェロン−β−1b”)(商標登録されており、バーレックス(Berlex)(リッチモンド、カリフォルニア州)からベータセロン(BETASERON)(登録商標)として販売されている)である。最近市場に出回っているベータセロンの製剤は、250μg/投与(32MIU/mg)を有しており、1日おきに、または日に3回にわたって筋肉内に投与される、E. coil由来のIFN−β 1bを提供する。インターフェロンβ−1aは、天然のヒト遺伝子配列を用いて哺乳類細胞において製造され、糖鎖付加されている。一方、インターフェロンβ−1bは、修飾ヒト遺伝子配列を用いてE. coil細菌において製造されており、糖鎖付加されていない。当該修飾ヒト遺伝子配列は、17位のアミノ酸位置においてシステインをセリンにする置換(C17S)を含んでいる。通常の副作用としては、発熱、頭痛、倦怠感、不安症、うつ病、肝臓の異常および注射部位反応が挙げられる。Yong et al. Neurology (1998) 51 :682- 689には、多発性硬化症の処置におけるインターフェロンβの使用について記載されており、MSに由来する身体障害の蓄積率が低下することについて示されている。
糖鎖付加ヒトインターフェロンβの結晶構造が、Karpusas et al. in Proc Natl Acad Sci 1997 94:11813-11818によって示されている。このタンパク質は、単一の部位(Asn80)において糖鎖付加されている。このタンパク質は、E. coilにおいて生成される場合に凝集する傾向を有している(Mitsui et al. Pharmacol Ther 1993 58:93-132)。Karpusas et al.には、チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞におけるヒトインターフェロンβの製造およびブルーセファロースおよびSP−セファロース(イオン交換)を用いた分泌タンパク質の精製について記載されている。
αインターフェロンおよびβインターフェロンは、帯状疱疹ヘルペスによる急性ウイルス疾患(T. C. Merigan et al, N. Engl. J. Med. 298, 981-987 (1978); E. Heidemann et al., Onkologie 7, 210-212 (1984))、慢性のウイルス感染(例えば、C型肝炎ウイルスおよびB型肝炎ウイルスの感染)(R. L. Knobler et al., Neurology 34(10): 1273-9 (1984); M. A. Faerkkilae et al., Act. Neurol. Sci. 69, 184-185 (1985))の処置に使用されている。
ヒトIFNβは、約22kDaの分子量を有する、166アミノ酸残基からなる調節性ポリペプチドである。ヒトIFNβは、ウイルス感染または他の作用因子に対するばくろに応じて、身体のほとんどの細胞(特に線維芽細胞)において産生される。IFNβは、細胞表面の多量体化受容体と結合し、産生性の受容体との結合によって細胞内現象のカスケードが起こって、IFNβ誘導性遺伝子の発現を引き起こす。これによって、抗ウイルス性、抗増殖性および免疫調節性として分類され得る作用を次々に生じる。
ヒトIFNβのアミノ酸配列は、公知である(参照によって本明細書に組み込まれる、Taniguchi, Gene 10:11-15, 1980、欧州特許第83069号明細書、欧州特許第41313号明細書および米国特許第4,686,191号明細書)。ヒトおよびマウスのIFNβの結晶構造は、参照によって本明細書に組み込まれる、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:11813-11818, 1997; J. MoI. Biol. 253:187-207, 1995;米国特許第5,602,232号明細書;米国特許第5,460,956号明細書;米国特許第5,441,734号明細書;米国特許第4,672,108号明細書に記載されており、Cell MoI. Life Sci. 54:1203-1206, 1998に述べられている。IFNβのバリアントについての報告がある(参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第95/25170号パンフレット、国際公開第98/48018号パンフレット、米国特許第6,572,853号明細書、米国特許第5,545,723号明細書、米国特許第4,914,033号明細書、欧州特許第260350号明細書、米国特許第4,588,585号明細書、米国特許第4,769,233号明細書、Stewart et al, DNA Vol. 6 no. 2 1987 pp. 119-128、Runkel et al, 1998, J. Biol. Chem. 273, No. 14, pp. 8003-8008)。参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,966,843号明細書、米国特許第5,376,567号明細書、米国特許第5,795,779号明細書、米国特許第7,144,574号明細書には、CHO細胞におけるIFNβの発現について記載されている。特定の糖鎖付加パターンを有するIFNβ分子およびそれらの調整方法について報告がある(欧州特許第287075号明細書および欧州特許第529300号明細書)。
IFNβ1aおよびIFNβ1b構造および機能は、Pharmaceut. Res. 15:641-649, 1998において比較されている。多発性硬化症の進行が、IFNβを用いて妨げられることについて示されている。多発性硬化症は、再発性であり、中枢神経系の進行性の炎症性変性疾患である。IFNβが有し得る他の影響としては、MSにおけるIFNβの機序を説明する、白血球の増殖および抗原提示に対する抑制作用、抗炎症性の表現型に対するサイトカイン産生プロファイルの変調、ならびにT細胞基質の金属プロテアーゼ活性を抑制することによるT細胞移動能の低下が挙げられる(Neurol. 51 :682-689, 1998)。
IFNβは、多くの疾患(これらに限定されないが、骨肉種、基底細胞がん、子宮頚部形成異常、神経膠腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、乳がん、黒色腫、およびウイルス感染(これらに限定されないが、パピローマウイルス、ウイルス性肝炎、陰部ヘルペス、ヘルペス性帯状疱疹、ヘルペス性角膜炎、単純ヘルペス、ウイルス性脳炎群、サイトメガロウイルス性肺炎、およびライノウイルスが挙げられる)が挙げられる)の処置に使用され得る。現在のIFNβ治療薬の副作用としては、注射部位反応、発熱、悪寒、筋痛、関節痛、および他のインフルエンザ様症状が挙げられる(Clin. Therapeutics, 19:883-893, 1997)。
現在のIFNβ製品にともなう多数の副作用、頻繁な注入との関連、IFNβの所望の治療効果を妨げる中和抗体の生成の危険性、および付随性の向上した治療効果をともなうより最適なIFNβ濃度を得る見込みを考慮して、改良されたIFNβ様分子が必要とされている。
機能アッセイにおけるインターフェロン−β−1aおよびインターフェロン−β−1bの相対的なインビトロの有効性が比較されており、インターフェロン−β−1aの特異的活性が、インターフェロン−β−1bの特異的活性の約10倍であることが示された(Runkel et al., 1998, Pharm. Res. 15: 641-649)。これらの活性の違いについて構造的な基準を同定するために設計された研究から、特異的活性に影響するこれらの製品の間における唯一の公知の構造的差異として、糖鎖付加が同定された。炭水化物の作用が、構造上の安定性の役割を介して非常に明らかになった。炭水化物の安定化作用は、熱変性試験およびSEC分析において明らかになった。また、糖鎖の欠失は、凝集の増加および熱変性に対する感受性の向上と相関した。PNGase Fを用いてインターフェロン−β−1aから炭水化物を酵素的に除去することによって、脱糖鎖産物の多数の沈殿が引き起こされた。
本発明のインターフェロンβ分子は、それらの生物活性のすべてまたはほとんどを維持し得、以下の特性:半減期の向上を導くために改変された薬物動態および薬理、組織分布に関する改変(例えば、より長期間にわたって脈管構造に留まる能力)、溶液における向上した安定性、低下した免疫原性、タンパク質分解性消化および続いて起こる活性の消失に対する保護を生じ得る。そのような分子は、製薬技術および治療薬技術における実質的な進歩であり、インターフェロンがいくらか効用を有する種々の疾患(例えば、多発性硬化症、繊維症、他の炎症性疾患もしくは自己免疫疾患、がん、肝炎および他のウイルス疾患)の管理に大きく貢献する。特に、より長期間にわたって脈管構造に留まる能力によって、インターフェロンβを使用して、血管新生の阻害および血液脳関門の通過を可能にする。非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるインターフェロンβと他の分子(これに限定されないが、ポリマーが挙げられる)とによって形成される接合物によって、当該接合物の調節された熱安定性を生じ得る。そのような調節された熱安定性は、吸入を介した投与に後ほど使用する粉末形態のインターフェロンを調合する場合に、利点であり得る。
親水性ポリマーであるポリ(エチレングリコール)(略してPEG)の共有結合を介した連結は、水溶性、生体利用効率、血清中半減期もしくは治療半減期を向上させる方法、生物活性を調節する方法、または多くの生物学的に活性な分子(タンパク質、ペプチドおよび非常に高い疎水性の分子が挙げられる)の循環時間を延長させる方法である。PEGは、人工移植片に関する医薬品、ならびに生物適合性、毒性がないことおよび免疫原性がないことが重要な他の用途において広範に使用されている。PEGの所望の特性を最大化するために、生物学的に活性な分子に連結されたPEGまたはポリマーの総分子量および水和状態は、PEGポリマー連結と典型的に関連する有利な特性を与えるほど十分に高くなければならない。当該有利な特性は、例えば、親分子の生物活性に悪影響を及ぼすことなく水溶性および循環半減期を向上させることである。
PEG誘導体は、反応性の化学官能基(例えば、リジン残基、システイン残基、ヒスチジン残基、N末端部分および糖部分)を介して生物学的に活性な分子にしばしば連結される。タンパク質および他の分子は、ポリマー連結に好適な少数の反応性部位をしばしば有する。しばしば、ポリマー連結を介した修飾に最も好適な部位は、受容体結合において重要な役割を果たし、分子の生物活性の維持に必須である。結果として、生物学的に活性な分子におけるそのような反応性部位にポリマー鎖を無差別に連結することは、ポリマー修飾分子の生物活性を相当に低下させるか、または完全に消失させてしまう(R. Clark et al., (1996), J. Biol. Chem., 271 :21969-21977)。標的分子に対して所望の利点を与えるために十分なポリマーの分子量を有する接合物を形成するために、従来技術の手法は、標的分子に対してポリマーの多くのアームを無作為に連結することを一般に含んでおり、これによって、親分子の生物活性の低下または完全な消失の危険性が増す。
PEG誘導体をタンパク質に連結する部位を形成する反応性部位は、タンパク質の構造によって決まる。タンパク質(酵素が挙げられる)は、一般構造NH−CHR−COOHを有するαアミノ酸の種々の配列から構成されている。1つのアミノ酸のαアミノ部分は、隣接するアミノ酸のカルボキシル部分(−COOH)と結合して、−(NH−CHR−CO)−と表され得るアミド結合を形成する。ここで、“n”は数百または数千であり得る。Rによって表される断片は、タンパク質の生物活性およびPEG誘導体の連結にとっての反応性部位を含み得る。
例えば、アミノ酸リジンの場合、ε位およびα位に−NH部分が存在する。ε−NHは塩基性のpH条件において反応しない。PEGを用いたタンパク質誘導体化の分野における技術の多くは、タンパク質に存在するリジン残基のε−NHに連結するためのPEG誘導体の開発に向けられている("Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation", Nektar Molecular Engineering Catalog, 2003, pp. 1-17)。しかし、これらのPEG誘導体のすべては、タンパク質の表面に多くのリジン残基がしばしば存在する場合に、選択的に導入され得ないという一般的な制限を有している。これは、リジン残基がタンパク質の活性に重要である場合、リジン残基が酵素活性部位に存在している場合、または例えばリジン残基が他の生物活性分子と当該タンパク質との相互作用を媒介する役割を果たす場合(リジン残基が受容体結合部位のような場合)、相当な制限になり得る。
タンパク質にPEG付加する既存の方法における他の等しく重要な問題は、PEG誘導体が、所望される部位以外との副反応を受け得ることである。ヒスチジンは、構造的に−N(H)と表される反応性イミノ部分を含んでいる。しかし、ε−NHと反応する化学的に反応性の種の多くは、−N(H)とも反応し得る。同様に、アミノ酸システインの側鎖は、−SHと表される自由なスルフィドリル基を有している。また、いくつかの場合において、リジンのε−NH基を対象としているPEG誘導体は、システイン、ヒスチジンまたは他の残基と反応する。これは、複合体、PEG誘導体化生理活性分子の異種混合物、および標的化された生理活性分子の活性を破壊する可能性を生じ得る。化学官能基をタンパク質内の単一の部位に導入可能なことによって、タンパク質表面の特定の(明確かつ予測可能な)部位において生理活性分子と1つ以上のPEG誘導体を選択的に連結可能な、PEG誘導体の開発が望まれている。
リジン残基に加えて、当該技術における多くの試みが、他のアミノ酸側鎖(システイン、ヒスチジンおよびそのN末端が挙げられる)を標的とする活性化PEG試薬の開発に向けてなされている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,610,281号明細書および"Polyethylene Glycol and Derivatives for Advanced PEGylation", Nektar Molecular Engineering Catalog, 2003, pp. 1-17を参照すればよい。システイン残基は、部位特異的変異生成および当該分野において公知の他の技術を用いてタンパク質の構造に対して部位特異的に導入されて、これによって生じる自由なスルフィドリル部分がチオール反応性官能基を有するPEG誘導体と反応し得る。しかし、この手法は、自由なスルフィドリル基の導入によって、生成するタンパク質の発現、フォールディングおよび安定性を悪化させるという点において、困難をともなう。したがって、タンパク質に対する1つ以上のPEGポリマーの選択的な結合を可能にし、これと同時にスルフィドリルおよび一般にタンパク質に見られる他の化学官能基と適合する(すなわち、所望ではない側鎖に連結されない)、生理活性分子に対する化学官能基の導入法が所望される。
当該技術の試料から分かるように、タンパク質の側鎖(特にリジンアミノ酸側鎖上の−NH部分およびシステイン側鎖上の−SH部分)に連結するために開発されているこれらの誘導体の多くは、合成および使用において問題があることが示されている。いくつかは、加水分解を受けるので、水性環境(例えば、血流)において変質するか、分解するか、または不安定であるような、タンパク質との不安定な結合を形成する。いくつかは、安定であるが、結合の形成前に加水分解を受ける結合を形成する。これは、PEG誘導体における反応性基が、タンパク質と連結する前に不活性化され得ることを意味する。いくつかは、幾分か毒性であり、このためインビボにおける使用にあまり好適ではない。いくつかは、反応が緩慢過ぎて実用に際して有用ではない。いくつかは、タンパク質の活性を担う部位と結合することによって、タンパク質の活性を消失させる。いくつかは、それらが結合する部位に特異的ではなく、所望の活性の消失および結果の再現性不足を生じ得る。ポリ(エチレングリコール)部分を用いてタンパク質を修飾することに関連する課題を解決するために、より安定なPEG誘導体(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,602,498号明細書)、または分子およびその表面のチオール部分と選択的に反応するPEG誘導体(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,610,281号明細書)が開発されている。選択的に反応して安定な化学結合を形成する必要があるまで、生理学的環境において化学的に不活性であるPEG誘導体が、当該技術において明らかに必要とされている。
最近、タンパク質の部位特異的修飾に関連する多くの制限の克服を可能にする、タンパク質科学における全体に新たな技術が報告されている。新たな構成要素が、原核生物の大腸菌(E. coil)(例えば、L. Wang, et al., (2001), Science 292:498-500)、および真核生物の酵母(S. cerevisiae)(例えば、J. Chin et al., Science 301:964-7 (2003))のタンパク質生合成機構に対して加えられている。これらの構成要素は、特に、インビボにおけるタンパク質に対する遺伝的にコードされないアミノ酸の組み込みを可能にしている。新規な化学的、物理的または生物学的特性を有する多くの新たなアミノ酸(光親和性標識し、光異性化可能なアミノ酸、光架橋(photocrosslinking)アミノ酸(例えば、Chin, J. W., et al. (2002) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 99:11020-11024;およびChin, J. W., et al., (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027を参照すればよい)、ケトアミノ酸、重原子含有アミノ酸、および糖鎖付加アミノ酸が挙げられる)が、この方法論を用いて、アンバーコドンTAGに応じてE. coilおよび酵母においてタンパク質に対して効率的かつ高い忠実度を有して組み込まれている。例えば、J. W. Chin et al., (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027;J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), ChemBioChem 3(1 1):1135-1137;J. W. Chin, et al., (2002), PNAS United States of America 99:1 1020-1 1024;およびL. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1 : 1-1 1を参照すればよい。参考文献のすべては、参照によってその全体が組み込まれる。これらの研究は、タンパク質に見られず、遺伝的にコードされる一般的な20のアミノ酸に見られる官能基のすべてに対して不活性であり、効率的にかつ選択的に反応して安定な共有結合を形成するために使用され得る化学官能基(例えば、ケトン基、アルキン基およびアジド部分)を、選択的かつ日常的に導入することが可能であることを証明している。
遺伝的にコードされないアミノ酸をタンパク質に組み込む能力は、天然に存在する官能基(例えば、リジンのイプシロン−NH、システインのスルフィドリル−SH、ヒスチジンのイミノ基など)にとっての有益な代替物を提供できる化学官能基の導入を可能にする。ある種の化学官能基は、一般的な20の遺伝的にコードされるアミノ酸に見られる官能基に対して不活性であるが、明確にかつ効率的に反応して安定な結合を形成することについて知られている。例えば、アジド基およびアセチレン基は、触媒量の銅が存在する水性条件においてヒュイゲン(Huisgen)[3+2]付加環化反応を受けることが当該技術において知られている。例えば、Tornoe, et al., (2002) J. Ore. Chem. 67:3057-3064;およびRostovtsev, et al., (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41 :2596-2599を参照すればよい。例えば、タンパク質構造にアジド部分を導入することによって、タンパク質に見られるアミン、スルフィドリル、カルボキシル基およびヒドロキシル基に対して化学的に不活性であるが、アセチレン部分と速やかにかつ効率的に反応して付加環化生成物を形成する官能基を組み込むことができる。重要なことに、アセチレン部分の非存在下において、アジドは化学的に不活性のままであり、他のタンパク質側鎖の存在および生理学的条件において非反応性を維持する。
本発明は、特にIFNβポリペプチドの活性および生成と関連する問題に対処するものであり、また向上した生物学的または薬理的な特性(例えば、向上した抗ウイルス活性および向上した治療的半減期)を有するIFNβポリペプチドの生成に対処するものである。
〔発明の概要〕
本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上含んでいるIFNβポリペプチドを提供する。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは1つ以上の翻訳後修飾を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に連結されている。いくつかの実施形態において、二官能性ポリマー、二官能性リンカーまたは少なくとも1つのさらなるIFNβポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNβのC17S変異形態に1つ以上の翻訳後修飾を含んでいる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、リンカーを有する水溶性ポリマーに連結されているか、または水溶性ポリマーと結合されている。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、二官能性ポリマーである。いくつかの実施形態において、二官能性ポリマーが第2のポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドがIFNβポリペプチドである。また、本発明は、IFNβにおけるC17S変異以外の、上述の実施形態のそれぞれを包含する。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる水溶性ポリマーに連結されている、2つ以上のアミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸が非天然にコードされるアミノ酸である。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる水溶性ポリマーに連結されている少なくとも2つのアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドは、C17S変異を含んでいる。他の実施形態において、17位における他の任意の変異が、IFNβポリペプチドにおける非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上にさらに含められている。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、以下の位置:(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)のうち1つ以上において置換されている。いくつかの実施形態において、これらの組み込みの1つが17位に存在する。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、インターフェロンβにおける二次構造に対応する以下の領域:配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸に由来するヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)の1つ以上における任意の位置に組み込まれている。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、インターフェロンβの25−35残基、80−100残基および121−135残基(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸に由来するインターフェロンβにおける41−49残基からなる群から選択される位置において置換されている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの位置の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの位置の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの位置の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの位置の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:36位、111位(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、天然アミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸のC17S置換(17位のシステインをセリンに置換)を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、シグナル配列における非天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列における非天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列における天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上が配列番号4のリーダー配列もしくはシグナル配列または他のIFNβ配列に組み込まれている。また、本発明は、IFNβにおけるC17S変異以外の、上述の実施形態のそれぞれを包含する。
いくつかの実施形態において、以下の位置の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が水溶性ポリマーに連結されている。当該位置としては、これらに限定されないが、1位より前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸、または他のIFNβ配列における対応するアミノ酸)が挙げられる。
いくつかの実施形態において、以下の領域の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。当該領域としては、これらに限定されないが、配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸に由来するヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの25−35残基、80−100残基および121−135残基(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)が挙げられる。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの41−49残基(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の位置:36位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、シグナル配列またはリーダー配列(配列番号4または他のIFNβ配列)における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。また、本発明は、IFNβにおけるC17S変異以外の、上述の実施形態のそれぞれを包含する。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNポリペプチド受容体または結合パートナー(これらに限定されないが、タンパク質、ポリペプチド、小分子または核酸が挙げられる)に対するIFNβポリペプチドの親和性を調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの安定性と比較して、IFNβポリペプチドの安定性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。安定性および/または溶解性は、当業者に公知の多くの異なるアッセイを用いて測定され得る。当該アッセイとしては、これらに限定されないが、SE−HPLCおよびRP−HPLCが挙げられる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの免疫原性と比較して、IFNβポリペプチドの免疫原性調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの血清中半減期または循環時間と比較して、IFNβポリペプチドの血清中半減期または循環時間を調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの水溶性と比較して、IFNβポリペプチドの水溶性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの溶解性と比較して、宿主細胞において産生されるIFNβポリペプチドの溶解性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの発現または合成と比較して、IFNβポリペプチドの宿主細胞における発現またはインビトロ合成を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。この置換を含んでいるIFNβポリペプチドは、アゴニスト活性を保持しており、宿主細胞における発現レベルを保持しているか、または向上させられている。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβのプロテアーゼ耐性と比較して、IFNβポリペプチドのプロテアーゼ耐性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβと相互作用したときの受容体の活性と比較して、IFN受容体のシグナル伝達活性を調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの結合と比較して、他の分子(例えば、受容体)に対するIFNβポリペプチドの結合を調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの抗ウイルス活性と比較して、IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性を調節する、置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの抗ウイルス活性と比較して、IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、置換、付加または欠失なしの対応するIFNβの適合性と比較して、薬学的な保存剤(例えば、m−セルロース、フェノール、ベンジルアルコール)とのIFNβポリペプチドの適合性を向上させる、置換、付加または欠失を含んでいる。この向上された適合性によって、保存中にタンパク質の生理化学特性および生物活性を維持する、保存用の薬学的製剤の調製が可能になる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を用いることによって、1つ以上の改変された結合が生じる。分子内結合が多くの様式において生じ得る。当該様式としては、これらに限定されないが、好適な条件におけるタンパク質における2つのアミノ酸の間の反応(1つまたは両方のアミノ酸が非天然にコードされるアミノ酸であり得る);好適な条件におけるリンカー、ポリマーまたは他の分子を用いた2つのアミノ酸(いずれもが天然にコードされ得るか、もしくは非天然にコードされ得る)による反応が挙げられる。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドにおける1つ以上のアミノ酸置換は、天然にコードされるアミノ酸または非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を用いられ得る。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドにおけるアミノ酸置換には、少なくとも1つの置換に非天然にコードされるアミノ酸が用いられるという条件において、天然に存在するアミノ酸または非天然に存在するアミノ酸が用いられ得る。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドにおけるアミノ酸置換には、天然に存在するアミノ酸の1つ以上が用いられ得、さらに少なくとも1つの置換には、非天然にコードされるアミノ酸が用いられる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基またはアルキン基を含んでいる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はカルボニル基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、以下の構造:
Figure 2010525821
(ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであり;Rが、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであり;RがH、アミノ酸、ポリペプチドまたはアミノ末端修飾基であり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端修飾基である)
を有している。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はアミノキシ基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はヒドラジド基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はヒドラジン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はセミカルバジド基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は基を含んでいる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はアジド基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、以下の構造:
Figure 2010525821
(ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキルもしくは置換アリールであるか、または存在せず;Xが、O、NもしくはSであるか、または存在せず;mが0〜10であり;Rが、H、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)
有している。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸はアルキン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、以下の構造:
Figure 2010525821
(ここで、ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;Xが、O、NもしくはSであるか、または存在せず;mが0〜10であり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり;RがH、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)
を有している。
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、アゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストである。いくつかの実施形態において、IFNβのアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストは、水溶性ポリマーに連結された非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーがポリ(エチレングリコール)を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβのアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニスト、部分アンタゴニスト、またはインバースアゴニストは、非天然にコードされるアミノ酸および1つ以上の翻訳後修飾、リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子を含んでいる。
また、本発明は、配列番号2とストリンジェントな条件においてハイブリダイズするポリヌクレオチドを含んでいるか、または配列番号3もしくは4のポリペプチドをコードする核酸を含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、配列番号2とストリンジェントな条件においてハイブリダイズするポリヌクレオチド、または配列番号3もしくは4に示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとストリンジェントな条件においてハイブリダイズするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。ここで、当該核酸に含まれているポリヌクレオチドは、少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる。また、本発明は、配列番号1、3または4に示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。また、本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上有しており、配列番号1、3または4に示されるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる、単離された核酸を提供する。当業者であれば、多くの異なるポリヌクレオチドが本発明のポリペプチドのいずれかをコードし得ることを容易に理解する。
いくつかの実施形態において、セレクターコドンは、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドン、5塩基コドン、および4塩基コドンからなる群から選択される。
また、本発明は、水溶性ポリマーに連結されているIFNβポリペプチドの製造方法を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の方法は、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる単離されたIFNβポリペプチドを、非天然にコードされるアミノ酸と反応する部分を含んでいる水溶性ポリマーと接触させることを包含している。いくつかの実施形態において、IFNβに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸は、水溶性ポリマーと反応性であると同時に、一般的な20のアミノ酸のいずれとも非反応性である。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸は、リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子と反応性であると同時に、一般的な20のアミノ酸のいずれとも非反応性である。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されているIFNβポリペプチドは、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基を含んでいるポリ(エチレングリコール)と、カルボニル含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって作製されている。いくつかの実施形態において、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基は、ポリ(エチレングリコール)分子とアミド結合を介して連結されている。いくつかの実施形態において、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基は、ポリ(エチレングリコール)分子にカルバメート結合を介して連結されている。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されているIFNβポリペプチドは、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基を含んでいる非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるポリペプチドと、カルボニル基を含んでいるポリ(エチレングリコール)を反応させることによって作製される。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されているIFNβポリペプチドは、アジド部分をを含んでいるポリ(エチレングリコール)と、アルキン含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジド基またはアルキン基は、ポリ(エチレングリコール)とアミド結合を介して連結されている。
いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーに連結されているIFNβポリペプチドは、アルキン部分を含んでいるポリ(エチレングリコール)と、アジド含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって作製される。いくつかの実施形態において、アジド基またはアルキン基は、ポリ(エチレングリコール)にアミド結合を介して連結されている。
いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、約0.1kDaから約100kDaの分子量を有する。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は、約0.1kDaから約50kDaの分子量を有する。
いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)分子は分枝状ポリマーである。いくつかの実施形態において、ポリ(エチレングリコール)の分枝状ポリマーのそれぞれの分枝鎖が、約1kDaから約100kDaまたは約1kDaから約50kDaの分子量を有する。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに連結されている水溶性ポリマーは、ポリアルキレングリコール部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基またはアルキン基を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸はカルボニル基を含んでおり、水溶性ポリマーは、アミノオキシ部分、ヒドラジド部分、ヒドラジン部分またはセミカルバジド部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸はアルキン部分を含んでおり、水溶性ポリマーはアジド部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸はアジド部分を含んでおり、水溶性ポリマーはアルキン部分を含んでいる。
また、本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチド、および薬学的に受容可能な担体を含んでいる組成物を提供する。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は水溶性ポリマーに連結されている。
また、本発明は、セレクターコドンを含んでいるIFNβポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいる細胞を提供する。いくつかの実施形態において、当該細胞は、IFNβポリペプチド内に非天然にコードされるアミノ酸を組み込むための直交性のRNAシンセターゼおよび/または直交性のtRNAを含んでいる。
また、本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを製造する方法を提供する。いくつかの実施形態において、当該方法は、セレクターコドンと、直交性のRNAシンセターゼと、直交性のtRNAとを含んでいる、IFNβポリペプチドをコードする単一または複数のポリヌクレオチドを含んでいる細胞を、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる該IFNβポリペプチドの発現を可能にする条件下にて培養すること;ならびに当該細胞および/または培養培地からIFNβポリペプチドを精製することを包含する。
また、本発明は、IFNβの治療半減期、血清中半減期または循環時間を向上させる方法を提供する。また、本発明は、IFNβの免疫原性を調節する方法を提供する。いくつかの実施形態において、当該方法は、天然に存在するIFNβにおける1つ以上のアミノ酸のいずれかを非天然にコードされるアミノ酸に置換すること、および/またはリンカー、ポリマー、水溶性ポリマーもしくは生物学的に活性な分子にIFNβポリペプチドを連結することを包含する。
また、本発明は、本発明のIFNβ分子の有効量を用いて、処置を必要とする患者を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、当該方法は、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチド、および薬学的に受容可能な担体を含んでいる薬学的組成物の治療に関する有効量(therapeutic ally-effective amount)を患者に投与することを包含する。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは糖鎖付加されている。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは糖鎖付加されていない。
また、本発明が、少なくとも1つのアミノ酸が非天然にコードされるアミノ酸によって置換されている点を除いて、配列番号1、3、4に示されている配列または任意の他のIFNβポリペプチド配列を含んでいる。また、本発明は、配列番号1、3または4に示されるIFNβポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーはポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基またはアルキン基を含んでいる。
また、本発明は、配列番号1、3、4に示される配列もしくは任意の他のIFNβポリペプチド配列を含んでいるIFNβポリペプチド、および薬学的に受容可能な担体を含んでいる、薬学的組成物を提供する。ここで、少なくとも1つのアミノ酸が非天然にコードされるアミノ酸によって置換されている。また、本発明は、配列番号1、3、4に示される配列、および薬学的に受容可能な担体を含んでいるIFNβポリペプチドを含んでいる薬学的組成物を提供する。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は糖鎖部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは糖鎖部分を介して当該ポリペプチドに連結されている。いくつかの実施形態において、リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子が、糖鎖部分を介してIFNβポリペプチドに連結されている。
また、本発明は、単一のアミノ酸における共有結合によってIFNβポリペプチドに連結されているIFNβポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーは、ポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる。いくつかの実施形態において、共有結合によって水溶性ポリマーに連結されているアミノ酸は、ポリペプチド内に存在する非天然にコードされるアミノ酸である。
本発明は、少なくとも1つのリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を含んでいるIFNβポリペプチドを提供する。ここで、上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子は、リボソームによって当該ポリペプチド内に組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸の官能基を介して、当該ポリペプチドと結合されている。いくつかの実施形態において、当該ポリペプチドはモノPEG付加されている。また、本発明は、非天然にコードされるアミノ酸と結合されているリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を含んでいるIFNβポリペプチドを提供する。ここで、上記非天然にコードされるアミノ酸は、当該ポリペプチド内のあらかじめ選択された部位に対してリボソームによって組み込まれている。
本発明の範囲内には、IFNβのコード領域とつながっているIFNβのリーダー配列もしくはシグナル配列、およびIFNβのコード領域とつながっている異種のシグナル配列が含まれる。選択される異種のリーダー配列またはシグナル配列は、例えば宿主細胞の分泌系によって認識されかつ処理されて、宿主細胞によって分泌され、シグナルペプチドによって切断される配列である。本発明のIFNβを用いて障害または疾患を処置する方法は、シグナルペプチドまたはリーダーペプチドを有するか、または有していないIFNβを用いて処置することが含まれていることが意図される。
また、本発明は、細胞における抗ウイルス活性を増強させる方法を提供し、当該方法は、上記細胞に有効量のIFNβを投与して、抗ウイルス活性を誘導することを包含する。
他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいるIFNβポリペプチドを他の分子(これに限定されないが、PEGが挙げられる)に接合することによって、非天然にコードされるアミノ酸に対する接合に利用される、特有の化学反応に起因して、実質的に精製されたIFNβを提供する。非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいるIFNβポリペプチドを他の分子(例えば、PEGが挙げられる)に接合することは、実質的に純粋なIFNβを提供する接合工程の前または後において実施される他の精製技術をともなって実施され得る。
〔図面の簡単な説明〕
図1−IFNβの結晶構造のモデルが示されている。示されている部位のそれぞれは、非天然にコードされるアミノ酸によって置換されている。
図2−IFNβの結晶構造のモデルが示されている。非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換のために選択された部位が示されている。
図3−本発明のIFNβポリペプチドの発現のSDS−PAGE分析が示されている。
図4−本発明のIFNβポリペプチドの発現のSDS−PAGE分析が示されている。
図5−本発明のPEG付加の前または後におけるIFNβポリペプチドが示されている。
図6A−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27の3μg/kg投与群から得られた薬物動態のグラフ。
図6B−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27の3μg/kg投与群から得られた薬物動態のグラフ。
図7A−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27の50μg/kg投与群から得られた薬物動態のグラフ。
図7B−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27のM36−30Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフ。
図8A−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27のM36−40Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフ。
図8B−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27のF111−30Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフ。
図9A−測定された血清中のIFNβ濃度を時間単位の経過期間に関してng/ml単位において示している、実施例27のF111−40Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフ。
図9B−対照に対する本発明のIFNβバリアントいくつかのCmax(血清中のIFNβのCmax/投与量)を示している、実施例27から得られたデータのグラフ。
図10A−対照に対する本発明のIFNβバリアントいくつかのAUC(血清中のIFNβのAUC/投与量)を示している、実施例27から得られた曲線(AUC)データの下にある面積のグラフ。
図10B−異なる投与濃度における本発明のIFNβバリアントおよび対照を用いた投与後から168時間目における血清中のIFNβ濃度を示している、実施例27から得られたデータの棒グラフ。
図11A−プラシーボおよび対照に対する本発明のIFNβバリアントのいくつかのネオプレチン応答(血清中のネオプレチン/時間)を示している、実施例27から得られたデータのグラフ。
図11B−プラシーボおよび対照に対する本発明のIFNβバリアントのいくつかの15μg/kgの投与群におけるネオプレチン応答(血清中のネオプレチン/時間)を示している、実施例27から得られたデータのグラフ。
図12A−プラシーボおよび対照に対する本発明のIFNβバリアントのいくつかの50μg/kgの投与群におけるネオプレチン応答(血清中のネオプレチン/時間)を示している、実施例27から得られたデータのグラフ。
図12B−プラシーボおよび対照に対する本発明のIFNβバリアントのいくつかの50μg/kgの投与群に関する血清中濃度対投与量の測定曲線の下にある面積(血清中のネオプレチンのAUC/投与量)を示している、実施例27から得られたデータのグラフ。
図13A−プラシーボ、対照およびM36−30Kの3つの異なる投与レベルを用いた投与後の168時間目に示される、実施例27から得られた血清中のネオプレチンレベル。
図13B−プラシーボ、対照およびM36−40Kの3つの異なる投与レベルを用いた投与後の168時間目に示される、実施例27から得られた血清中のネオプレチンレベル。
図13C−プラシーボ、対照およびF111−30Kの3つの異なる投与レベルを用いた投与後の168時間目に示される、実施例27から得られた血清中のネオプレチンレベル。
図13D−プラシーボ、対照およびF111−40Kの3つの異なる投与レベルを用いた投与後の168時間目に示される、実施例27から得られた血清中のネオプレチンレベル。
図14−実施例27に開示されている手法によって得られたRebif、およびBLAのネオプレチンのAUC/投与量を示すグラフ。
図15A−静脈内投与後のアカゲザルにおける、抗ウイルス活性によって測定される血清中のIFNβ1a(グラフにおける塗りつぶしの記号および実線)、およびネオプレチン濃度(グラフにおける塗りつぶしなしの記号および破線)を示すグラフ。
図15B−静脈内投与後のアカゲザルにおける、抗ウイルス活性によって測定される血清中のIFNβ1a(グラフにおける塗りつぶしの記号および実線)、およびネオプレチン濃度(グラフにおける塗りつぶしなしの記号および破線)を示すグラフ。
図15C−EMCウイルスに感染させたヒト肺がん細胞(A549)を用いた抗ウイルスアッセイにおいて評価された、未処理およびPEG付加のIFNβ1aの抗ウイルス活性を示すグラフ。ウイルスとともにインキュベーションしてから2日後に、生存細胞がXTTを用いて染色され、プレートが450nmにおいて読み込まれた細胞の生存率を反映する吸光度がy軸に示されている。サンプルは2連において分析された。
図16A−Rebif、および投与レベルが3μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、経過期間ごとにおけるOAS1遺伝子発現の(投与前を基準にした)誘導倍率を示す、実施例27から得られたデータのグラフ。
図16B−溶媒、Rebif、および3つの異なる投与レベルの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、経過期間ごとにおけるOAS1遺伝子発現の(投与前を基準にした)誘導倍率を示す、実施例27から得られたデータのグラフ。
図17A−溶媒、Rebif、および投与レベルが15μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、経過期間ごとにおけるOAS1遺伝子発現の(投与前を基準にした)誘導倍率を示す、実施例27から得られたデータのグラフ。
図17B−溶媒、Rebif、および投与レベルが50μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、経過期間ごとにおけるOAS1遺伝子発現の(投与前を基準にした)誘導倍率を示す、実施例27から得られたデータのグラフ。
図18−溶媒、対照、および本発明の異なる4つのIFNβ1aバリアントの投与レベルごとにおけるOAS1遺伝子発現の誘導倍率の曲線の下にある面積を示す、実施例27から得られたデータのグラフ。
図19−投与後の最初の24時間目における注射部位反応のパーセンテージの棒グラフ。
図20−異なる処置群のそれぞれに関する実施例27から得られたデータの表(N.S.は“有意差なし”を示す)。
図21−異なる処置群のそれぞれに関する実施例27から得られたデータの表(N.S.は“有意差なし”を示す)。
図22−メチオニンの酸化が予想される部位を有するIFNβの結晶構造のモデルが示されている。M36およびM117は酸化を受け易い。M1は、E. coilにおいて産生される場合にわずかに酸化を受け易いが、切断を受ける(しかし、完全にはプロセシングされ得ない)。M62は酸化を受けにくい部位である。
図23−脱アミド化が予想される部位を有するIFNβの結晶構造のモデルが示されている。M36およびN25はいずれも可能性のある部位である。N25は公知の脱アミド化部位である。
図24−実施例28に記載の方法を用いて分析された、IFN M36pAFのクロマトグラム。
図25−実施例28に記載の方法を用いて分析された、PEG40 M36pAFのクロマトグラム。
図26−実施例28に記載の方法を用いて分析された、IFN M36pAFおよびPEG40 M36pAFのオーバーレイクロマトグラム。
図27−実施例28に記載の方法を用いて分析された、ジスルフィド結合が還元されたIFN M36pAF。
図28−実施例28に記載の方法を用いて分析された、ジスルフィド結合が還元されたPEG40 M36pAF。
〔定義〕
本発明が本明細書に記載されている特定の方法論、手順、細胞株、構築物、および試薬に制限されず、よって変更可能であることが、理解されるべきである。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態のみを説明ことを目的としており、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される本発明の範囲を制限することを意図しないことが、理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるときに、単数形“a”、“an”、および“the”は、前後関係から1つのものを明確に示している場合を除いて、複数を指すことを含む。したがって例えば、“IFN ベータ”、“IFNβ”または“IFN βポリペプチド”ならびにハイフンありおよびハイフンなしの種々の形式に対する言及は、1つ以上の当該タンパク質に対する言及であり、当業者に知られるこれらの等価物などを含む。
他に明示されていない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に通常に理解されるような、同じ意味を有する。任意の方法、装置および物質、本明細書に記載されているそれらの類似物または等価物が、本発明の実施または試験に使用され得るが、好ましい方法、装置および材料は、これから説明される。
本明細書に述べられている公報および特許は、例えば、現在、説明されている本発明と関連して使用され得る公報に説明されている構築物および方法論を説明し、開示することを目的として、参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書において議論される公報において、本願の出願日の前における開示内容が単に規定される。本明細書において、発明者が、先の発明によって当該開示に先立つために、または任意の他の理由によって、権利を与えられないという承認として解釈されるべきではない。
“実質的に精製された”という用語は、天然に存在する環境(すなわち、天然の細胞、またはIFNβポリペプチドが組換え的に産生される場合における宿主細胞)において見られるような、当該タンパク質と付随するか、または相互作用する化合物を実質的にまたはほとんど含み得ない、IFNβポリペプチドを指す。細胞性物質を実質的に含み得ないIFNβポリペプチドとしては、混入しているタンパク質が、(乾燥重量として)約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約4%未満、約3%未満、約2%未満、または約1%未満である、タンパク質の調製物が挙げられる。IFNβポリペプチドまたはこれらのバリアントが、宿主細胞において組換え的に産生される場合に、タンパク質は、細胞の乾燥重量の約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約4%、約3%、約2%、または約1%もしくはそれ未満において存在し得る。IFNβポリペプチドまたはこれらのバリアントが、宿主細胞において組換え的に産生される場合に、タンパク質は、細胞の乾燥重量の約5g/l、約4g/l、約3g/l、約2g/l、約1g/l、約750mg/l、約500mg/l、約250mg/l、約100mg/l、約50mg/l、約10mg/l、または約1mg/lもしくはそれ未満において培養培地に存在し得る。したがって、本発明の方法によって産生される“実質的に精製された”IFNβポリペプチドは、適切な方法(例えば、SDS/PAGE分析、RP−HPLC、SEC、およびキャピラリー電気泳動)によって決定されるときに、少なくとも約30%、少なくとも35約%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%の純度、詳細には少なくとも約75%、80%、85%の純度、そしてより詳細には少なくとも約90%の純度、少なくとも約95%の純度、少なくとも約99%またはそれ以上の純度を有する。
“組換え宿主細胞”または“宿主細胞”は、挿入に使用される方法(例えば、直接的な取り込み、形質導入、f−交配(f-mating)、または組換え宿主細胞を作り出すために使用される他の公知の方法)にかかわらず、外来性のポリヌクレオチドを含む細胞を指す。外来性のポリヌクレオチドは、組み込まれないベクター(例えば、プラスミド)として維持され得るか、または宿主のゲノムに組み込まれ得る。
本明細書において使用されるときに、“培地”または“培養液”という用語は、任意の宿主細胞(細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞、植物宿主細胞、真核生物宿主細胞、哺乳類宿主細胞、CHO細胞、原核生物宿主細胞、E. coil、またはシュードモナス属の宿主細胞が挙げられる)、および細胞内容物を保持し得るか、または含有し得る任意の培養培地、溶液、固体、半固体、または固定担体を含む。したがって、上記当該用語は、宿主細胞が培養されている培地(例えば、IFNβポリペプチドが分泌されている培地(増殖段階の前または後のいずれかにおける培地))を包含し得る。また、上記当該用語は、“IFNβ”ポリペプチドが細胞内において産生され、宿主細胞が溶解されるか、または崩壊させられてIFNβポリペプチドを放出する場合に、宿主細胞溶解液を含有する緩衝液または試薬を包含し得る。
タンパク質のフォールディングに関して本明細書において使用されるときに、“還元剤”は、還元状態においてスルフィドリル基を維持し、分子内または分子間のジスルフィド結合を還元する、任意の化合物または物質として定義される。好適な還元剤としては、これらに限定されないが、ジチオスレイトール(DTT)、2−メルカプトエタノール、ジチオエリスリトール、システイン、システアミン(2−アミノエタンチオール)、および還元グルタチオンが挙げられる。広範な還元剤が本発明の方法および組成物における使用に好適であることは、当業者にとって直ちに明らかになる。
タンパク質のフォールディングに関して本明細書において使用されるときに、“酸化剤”は、酸化される化合物から電子を除去できる、任意の化合物または物質として定義される。好適な酸化剤としては、これらに限定されないが、酸化グルタチオン、シスチン、シスタミン、酸化ジチオスレイトール、酸化エリスレイトール、および酸素が挙げられる。広範な酸化剤が本発明の方法における使用に好適であることは、当業者にとって直ちに明らかになる。
本明細書において使用されるときに、“変性剤(denaturing agent)”“変性剤(denaturant)”は、タンパク質の可逆的な変性を引き起こす、任意の化合物または物質として定義される。変性剤または変性剤の強さは、特定の変性剤または変性剤の性質および濃度の両方によって決定される。好適な変性剤または変性剤は、カオトロープ、界面活性剤、有機溶媒、水混和性溶媒、リン脂質、または当該試薬の2つ以上の組合せであり得る。好適なカオトロープとしては、これらに限定されないが、尿素、グアジニン、およびチオシアン酸ナトリウムが挙げられる。有用な界面活性剤としては、これらに限定されないが、ドデシル硫酸ナトリウム、またはポリオキシエチレンエーテル(例えば、TweenまたはTriton界面活性剤)といった強力な界面活性剤、サルコシル(Sarkosyl)、穏やかな非イオン性界面活性剤(例えば、ジギトニン)、N−>2,3−(ジオレイオキシ)−プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムといった穏やかなカチオン性界面活性剤、穏やかなイオン性界面活性剤(例えば、コール酸ナトリウムまたはデオキシコール酸ナトリウム)または両性イオン性界面活性(これらに限定されないが、スルホベタイン(ツヴァイッタージェント)、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−1−プロパン硫酸塩(CHAPS)、3−(3−クロルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸塩(CHAPSO)が挙げられる)が挙げられ得る。アセトニトリル、低級アルカノール(特にエタノールまたはイソプロパノールといったC−Cアルカノール)、または低級アルカンジオール(特にエチレングリコールといったC−Cアルカンジオール)といった、水混和性の有機溶媒が、変性剤として使用され得る。本発明において有用なリン脂質は、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルイノシトールといった天然に存在するリン脂質であり得るか、またはジヘキサノイルホスファチジルコリンもしくはジヘプタノイルホスファチジルコリンといった合成リン脂質誘導体またはバリアントであり得る。
本明細書において使用されるときに“リフォールディング”は、ジスルフィド結合含有ポリペプチドを、不適切に折りたたまれた状態または変性された状態から、ジスルフィド結合に関して本来の立体構造または適切に折りたたまれた立体構造に変形させる、任意の過程、反応または方法を説明する。
本明細書において使用されるときに“コフォールディング(cofolding)”は、お互いに相互作用する少なくとも2つのポリペプチドを用いて、変性されたポリペプチドまたは不適切に折りたたまれたポリペプチドを本来の適切に折りたたまれたポリペプチドに変形させる、リフォールディングの過程、反応、または方法を特に指す。
本明細書において使用されるときに“IFNβポリペプチド”、“IFNベータ”または“IFNβ”ならびにこれらのハイフンの付いていない様式は、IFNβの少なくとも1つの生物活性を有するこれらのポリペプチドおよびタンパク質だけでなく、1aおよび1bフォーム、aおよびbフォーム、これらのIFNβ類似物、IFNβアイソフォーム、IFNβ模倣物、IFNβ断片、ハイブリッドIFNβタンパク質、融合タンパク質、オリゴマーおよびマルチマー、相同物、糖鎖付加様式バリアント、バリアント、スプライシングバリアント、ならびに突然変異タンパク質を含む。当該これらのIFNβ類似物、IFNβアイソフォーム、IFNβ模倣物、IFNβ断片、ハイブリッドIFNβタンパク質、融合タンパク質、オリゴマーおよびマルチマー、相同物、糖鎖付加様式バリアント、バリアント、スプライシングバリアント、ならびに突然変異タンパク質は、同じ生物活性であるかにかかわらず、さらにこれらの合成または製造の方法にかかわらない。これらの合成または製造の方法としては、これらに限定されないが、組換え法(cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたは核酸の他の形態から産生される)、インビボ法、インビトロ法、核酸分子の微量注入法、合成法、遺伝子導入法、および遺伝子活性化法が挙げられる。“IFNβポリペプチド”、“IFNベータ”および“IFNβ”は、アミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有するIFNβポリペプチドを包含する。
本明細書において使用されるときに、“インターフェロン”または“IFN”は、インターフェロン(これらに限定されないが、IFNα、IFNβ、IFNγ、IFNω、IFNεもしくはIFNτまたはリミチンといったインターフェロン様サイトカイン、ならびにIFN類似物、IFNアイソフォーム、IFN模倣物、IFN断片、ハイブリッドIFNタンパク質、これらの融合タンパク質、オリゴマーおよびマルチマー、相同物、糖鎖型バリアント、バリアント、スプライシングバリアントが挙げられる)の生物学的活性を少なくとも1つ有するこれらのポリペプチドおよびタンパク質を包含する。当該IFN類似物、IFNアイソフォーム、IFN模倣物、IFN断片、ハイブリッドIFNタンパク質、これらの融合タンパク質、オリゴマーおよびマルチマー、相同物、糖鎖付加様式バリアント、バリアント、スプライシングバリアント、ならびに突然変異タンパク質は、同じ生物活性であるか否か、そしてこれらの合成または製造の方法にかかわらない。これらの合成または製造の方法としては、これらに限定されないが、組換え法(cDNA、ゲノムDNA、合成DNAまたは核酸の他の形態から産生される)、インビボ法、インビトロ法、核酸分子の微量注入法、合成法、遺伝子導入法、および遺伝子活性化法が挙げられる。リミチンといったインターフェロン様サイトカインは、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,414,150号明細書;米国特許第4,456,748号明細書;米国特許第4,727,138号明細書;米国特許第4,762,791号明細書;米国特許第4,929,554号明細書;米国特許第5,096,705号明細書;米国特許第4,695,623号明細書;米国特許第4,614,651号明細書;米国特許第4,678,751号明細書;米国特許第4,925,793号明細書;米国特許第5,460,811号明細書;米国特許第5,120,832号明細書;米国特許第4,780,530号明細書;米国特許第4,908,432号明細書;米国特許第4,970,161号明細書;米国特許第4,973,479号明細書;米国特許第4,975,276号明細書;米国特許第5,098,703号明細書;米国特許第5,278,286号明細書;米国特許第5,661,009号明細書;米国特許第6,372,206号明細書;米国特許第6,433,144号明細書;米国特許第6,472,512号明細書;米国特許第6,572,853号明細書;米国特許第6,703,225号明細書;米国特許第6,200,780号明細書;米国特許第6,299,869号明細書;米国特許第6,300,475号明細書;米国特許第6,323,006号明細書;米国特許第6,350,589号明細書;米国特許第5,705,363号明細書;米国特許第5,738,845号明細書;米国特許第5,789,551号明細書;米国特許第6,117,423号明細書;米国特許第6,174,996号明細書;米国特許第5,540,923号明細書;米国特許第5,541,293号明細書;米国特許第5,541,312号明細書;米国特許第5,554,513号明細書;米国特許第5,593,667号明細書に記載されているそれらである。IFNの特定の例としては、これらに限定されないが、IFNγ−1b(アクトイミューン(登録商標))、IFNβ−1a(アボネックス(登録商標)およびレビフ(登録商標)、IFNβ−1b(ベータセロン(登録商標))、コンセンサスIFN、IFNアルファコン−1、(インファージェン(登録商標))、IFNα−2(イントロン A(登録商標))、IFNα−2a(ロフェロン−A(登録商標))、ペグインターフェロンα−2a(ペガシス(登録商標))およびペグインターフェロンα−2b(PEG−イントロン(登録商標))が挙げられる。内因性のヒトIFNの発現に関して修飾された細胞の特定の例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,610,830号明細書;米国特許第6,482,613号明細書;米国特許第6,489,144号明細書;米国特許第6,159,712号明細書;米国特許第5,814,485号明細書;米国特許第5,710,027号明細書;米国特許第5,595,888号明細書;米国特許第4,966,843号明細書に記載されている。また、GHファミリーのメンバーの発現に関しては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,716,606号明細書;米国特許第6,379,661号明細書;米国特許第6,004,548号明細書;米国特許第5,830,705号明細書;米国特許第5,582,823号明細書;米国特許第4,810,643号明細書;および米国特許第6,242,218号明細書を参照すればよい。
IFNβの種々のアミノ酸位置における置換について説明されている。当該置換としては、薬学的安定性を調節する置換、アゴニスト活性を向上させる置換、プロテアーゼ耐性を向上させる置換、ポリペプチドをアンタゴニストに転換させる置換などが挙げられ、これらの置換は“IFNβポリペプチド”または“IFNβ”という用語に包含される。1つ以上のアミノ酸置換を含んでいるIFNβポリペプチドについて、米国特許出願公開第2005/0054053号明細書に記載されている。1位、2位、3位、4位、5位、6位、8位、9位、12位、15位、16位、22位、28位、30位、32位、36位、42位、43位、46位、47位、48位、49位、51位、92位、93位、96位、100位、101位、104位、111位、113位、116位、117位、120位、121位、124位、130位、148位、および155位からなる群から選択される位置に少なくとも1つの修飾を含んでいる、調節された免疫原性を示すIFNβバリアントについて記載されている。5位、8位、15位、47位、111位、116位、および120位の残基に対する修飾は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、およびリジンからなる群から選択される置換変異であり得る。これらのバリアントが、低下された免疫原性を導く向上された溶解性を表すことについて記載されている。L5A、L5D、L5E、L5K、L5N、L5Q、L5R、L5S、L5T、F8A、F8D、F8E、F8K、F8N、F8Q、F8R、F8S、S12E、S12K、S12Q、S12R、W22E、L28Q、Y30H、L32A、E43K、E43R、L47K、Y92Q、E104R、E104K、E104H、E104Q、E104A、F111N、R113D、R113E、R113Q、R113A、L116D、L116E、L116N、L116Q、L116R、M117R、L120D、L120R、L130R、V148AおよびY155Sからなる群から選択される1つの修飾は、本発明のポリペプチド内に存在し得る。C17S置換についてはこれまでに記載されている。米国特許出願公開第2005/054053号明細書には、C17S置換に加えてL5Q置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号19)、C17S置換に加えてL5QおよびF8E置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号20)、C17S置換に加えてL5Q、F8EおよびF111N置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号21)、C17S置換に加えてL5Q、F8EおよびL116E置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号22)、C17S置換に加えてF8E、F111NおよびL116E置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号23)、C17S置換に加えてL5Q、F8E、F111NおよびL116E置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号24)、ならびにC17S置換に加えてL5Q、F8E、L47K、F111N、L116EおよびL116E置換を有するIFNβバリアント(米国特許出願公開第2005/054053号明細書の配列番号25)について記載されている。
さらなる局面において、低下した免疫原性を有するタンパク質は、ヒトのクラスIIMHC対立因子の少なくとも1つに対する低下した結合能を示す。この実施形態において(および他の調節された免疫原性バリアントに関して)、少なくとも1つのアミノ酸修飾が、以下の位置:アグレトープ1(3−11残基);アグレトープ2(5−13残基);アグレトープ3(8−16残基);アグレトープ4(9−17残基);アグレトープ5(15−23残基);アグレトープ6(22−30残基);アグレトープ7(30−38残基);アグレトープ8(36−44残基);アグレトープ9(47−55残基);アグレトープ10(57−65残基);アグレトープ11(60−68残基);アグレトープ12(63−71残基);アグレトープ13(70−78残基);アグレトープ14(79−87残基);アグレトープ15(95−103残基);アグレトープ16(122−130残基);アグレトープ17(125−133残基);アグレトープ18(129−137残基);アグレトープ19(130−138残基);アグレトープ20(143−151残基);アグレトープ21(145−153残基);アグレトープ22(146−154残基);アグレトープ23(148−156残基);アグレトープ24(151−159残基);アグレトープ25(154−162残基);アグレトープ26(156−164残基);アグレトープ27(157−165)の少なくとも1つにおいてなされ得る。また、バリアントは、これらのアグレトープの2つ以上においてアミノ酸置換を含んでいる。
さらなる本発明は、バリアントタンパク質をコードする組換え核酸、当該バリアント核酸を含んでいる発現ベクター、当該バリアント核酸および/または当該発現ベクターを含んでいる細胞、ならびにバリアントタンパク質を製造する方法を提供する。さらなる局面において、本発明は、薬学的担体を一般に有するバリアントタンパク質の治療有効量を患者に投与することによって、インターフェロン応答性疾患を処置することを提供する。さらなる局面において、本発明は、MHCクラスIIエピトープを改変することによって、インターフェロン(特にIFNβ)の免疫原性を調節する(特に免疫原性を低下させる)方法を提供する。
参照によってその全体が組み込まれる米国特許第7,144,574号明細書に記載されているIFNβ変異体としては、以下の修飾:糖鎖付加されているか、または糖鎖付加されていないD110F;C17S;Q49N;Q51T;F111N;R113T;K19R;K33R;K45R;Q51S;R113S;Q48F;Q48V;Q48W;Q48Y;D110V;D110W;D110Yの1つ以上を含んでいるポリペプチドが挙げられる。参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2005/016371号パンフレットには、選択的に酸化されるIFNβ1bポリペプチドについて記載されている。他の変体としては、これらに限定されないが、25位におけるアスパラギンが脱アミド化されている未処理のインターフェロンβを含んでいる類似物(国際公開第2006/053134号パンフレットを参照すればよい)、および国際公開第2006/049423号パンフレットに記載されているような異なる糖鎖を有する類似物が挙げられる(いずれの文献も参照によって本明細書に組み込まれる)。IFNβのE. coil発現にとってのコドンの最適化について国際公開第2006/015165号パンフレットに記載されている。
リーダー配列を欠失しているIFNβの配列に関しては、本明細書の配列番号1および3を参照すればよい。リーダー配列を有しているIFNβの配列に関しては、本明細書の配列番号4を参照すればよい。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドは、配列番号1、3、4またはIFNβポリペプチドの他の配列と実質的に同一である。変異を含んでいるIFNβポリペプチドをコードする核酸分子、ならびにIFNβポリペプチドの発現方法および精製方法については、参照によってその全体が本明細書組み込まれる米国特許第4,462,940号明細書;米国特許第4,518,584号明細書;米国特許第5,702,699号明細書;米国特許第6,962,978号明細書;米国特許第5,814,485号明細書;米国特許第6,887,462号明細書;米国特許第6,800,735号明細書;米国特許第6,514,729号明細書米国特許出願公開第US2002/0137895号明細書米国特許出願公開第US2004/0115169号明細書および米国特許出願公開第US2005/0054053号明細書に記載のように公知である。
また、“IFNβポリペプチド”という用語は、天然に存在するIFNβの薬学的に受容可能な塩およびプロドラッグ、ならびに天然に存在するIFNβの薬学的に受容可能な塩、多形体、水和物、溶媒和物、生物学的に活性な断片、生物学的に活性なバリアントおよび立体異性体のプロドラッグだけでなく、天然に存在するIFNβのアゴニストバリアント、模倣物バリアントおよびアンタゴニストバリアントならびにこれらのポリペプチド融合物を含む。アミノ末端、カルボキシル末端またはその両方に追加のアミノ酸を有する融合物は、“IFNβポリペプチド”という用語に包含される。例示的な融合物としては、これらに限定されないが、例えば、メチオニルIFNβ、精製用の融合物(ポリヒスチジンまたはアフィニティーエピトープとの融合物が挙げられる)、血清アルブミン結合ペプチドとの融合物、および血清タンパク質(例えば、血清アルブミン)との融合物が挙げられる。上記メチオニルIFNβにおいて、メチオニンが、リーダーペプチドもしくはシグナルペプチドまたはこれらの部分を欠いているIFNβの成熟形態の組換え発現から生じるIFNβのN末端に対して連結されている(メチオニンが、組換え発現から生じるIFNβのN末端に対して連結されている)。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,750,373号明細書には、新規タンパク質を選択する方法について記載されている。新規タンパク質は、例えば、それぞれの受容体分子に対する変更された結合特性を有する成長ホルモンおよび抗体断片バリアントである。当該方法は、糸状ファージM13のジーンIIIコートタンパク質のカルボキシ末端に対する、所望のタンパク質をコードする遺伝子の融合を包含する。IFNβおよび1つ以上の他の分子を備えるキメラ分子が生成され得る。上記キメラ分子は、IFNβ分子および他の分子の一方または両方の特定の領域または断片を含み得る。そのような断片のいずれかは、標準的な生化学的方法によってタンパク質から調製され得るか、または当該断片をコードするポリヌクレオチドを発現させることによって調製され得る。IFNβまたはこれらの断片は、ヒト血清アルブミン(HSA)、Fcまたはこれらの断片を有する融合タンパク質として産生され得る。そのような融合構築物は、真核宿主細胞におけるIFNβまたはこれらの断片の発現の増強に好適である。例示的なHSA部分は、米国特許第5,766,883号明細書および国際公開第97/24445号パンフレットに開示されているとおり、N末端のポリペプチド(1〜369、1〜419および1位のアミノ酸に始まる中程度の長さ)を含んでいる。他のキメラポリペプチドとしては、HSAのC末端およびN末端のそれぞれにつながれたIFNβを有するHSAタンパク質またはこれらの断片が挙げられ得る。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,876,969号明細書には、当該HSA構築物について記載されている。他の融合は、(a)免疫グロブリンのFc部分;(b)免疫グロブリンのFc部分の類似物;および(c)免疫グロブリンのFc部分の断片と、IFNβとの融合によって作製され得る。米国特許出願公開第2005/0054053号明細書には、環状に置換されているIFNβならびに免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの領域を有するIFNβについて記載されている。
種々の文献に、ポリマー接合または糖鎖付加によるポリペプチドの修飾について開示されている。“IFNβポリペプチド”という用語は、PEGといったポリマーに対して接合されるポリペプチドを含み、システイン残基、リジン残基または他の残基の付加的な誘導体を1つ以上包含し得る。さらに、IFNβポリペプチドは、リンカーまたはポリマーを備え得、ここで、リンカーまたはポリマーが接合されるアミノ酸が、本発明に係る非天然アミノ酸であり得るか、またはリジンもしくはシステインに対する結合といった当該技術において公知の技術を利用して、天然にコードされるアミノ酸に対して接合され得る。
未処理のIFNβまたはこれらのC17Sバリアントのポリマー修飾について報告されている(参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第229108号明細書、米国特許第5,382,657号明細書;欧州特許第593868号明細書;米国特許第4,917,888号明細書および国際公開第99/55377号パンフレット)。また、インターフェロンβ1aについて、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,962,978号明細書に記載されている。非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上含んでいるインターフェロンのポリマー接合物について、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第US2005/0220762号明細書;国際公開第2006/133089号パンフレット;および国際公開第2006/133088号パンフレットに記載されている。Basu et al. in Bioconjugate Chem 2006 17:618-630において、モノPEG付加または多数のPEG付加の部位選択的な20を超えるインターフェロンβ1bポリペプチドの安定性、溶解性、凝集、免疫原性および薬物動態が評価された。接合物はリジン残基またはN末端に形成された。
PEG付加IFN分子の例としては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,524,570号明細書;米国特許第6,250,469号明細書;米国特許第6,180,096号明細書;米国特許第6,177,074号明細書;米国特許第6,042,822号明細書;米国特許第5,981,709号明細書;米国特許第5,951,974号明細書;米国特許第5,908,621号明細書;米国特許第5,738,846号明細書;米国特許第5,711,944号明細書;米国特許第5,382,657号明細書に記載の分子が挙げられる。IFNβは、成長ホルモンスーパーファミリーに属するポリペプチドの一例として記載されている。国際公開第00/23114号パンフレットには、糖鎖付加およびPEG付加のIFNβが開示されている。国際公開第00/23472号パンフレットには、IFNβ融合タンパク質が開示されている。米国特許第4,904,584号明細書には、PEG付加のリジン低下ポリペプチドが開示されている。ここで、少なくとも1つのリジン残基が、欠失されているか、または任意の他のアミノ酸残基に置換されている。国際公開第99/67291号パンフレットには、PEGを用いてタンパク質を接合する処理について開示されている。ここで、当該タンパク質における少なくとも1つのアミノ酸残基が欠失され、タンパク質は、当該タンパク質に対する接合を実現するために十分な条件においてPEGと接触させられる。国際公開第99/03887号パンフレットには、成長ホルモンスーパーファミリーに属するポリペプチドのPEG付加バリアントが開示されている。ここで、システイン残基によって、当該ポリペプチドの特定の領域における非必須なアミノ酸が置換されている。国際公開第00/26354号パンフレットには、少なくとも1つの付加的な糖鎖付加部位を含んでいる対応する親ポリペプチドと比較して、低下したアレルゲン性を有する糖鎖付加ポリペプチドバリアントの製造方法が開示されている。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,218,092号明細書に記載の技術にしたがって修飾され得る多くのポリペプチドのうちの1つとして、IFNβが開示されている。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,218,092号明細書には、未処理のポリペプチドと比べて少なくとも1つの付加的な炭化水素鎖の導入を可能にする、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)および他のポリペプチドの修飾について開示されている。
また、“IFNβポリペプチド”という用語は、糖修飾化IFNβ(例えば、これらに限定されないが、任意のアミノ酸位置において糖修飾されたポリペプチド、当該ポリペプチドのN結合型またはO結合型の糖修飾形態)を含む。また、単一のヌクレオチド変更を含むバリアントは、IFNβポリペプチドの生物学的に活性なバリアントと見做される。さらに、スプライシングバリアントも含まれる。また、“IFNβポリペプチド”という用語は、IFNβポリペプチドのヘテロダイマー、ホモダイマー、ヘテロマルチマーまたはホモマルチマーを含む。IFNβポリペプチドのヘテロダイマー、ホモダイマー、ヘテロマルチマーまたはホモマルチマーは、1つ以上の任意のIFNβポリペプチド、および任意の他のポリペプチド、タンパク質、含水炭素、ポリマー、小分子、リンカー、リガンドもしくは任意の種類の他の生物学的に活性な分子から構成される。IFNβポリペプチドのヘテロダイマー、ホモダイマー、ヘテロマルチマーまたはホモマルチマーを構成する分子は、化学的手法によって連結されるか、または融合タンパク質として発現される。IFNβポリペプチドのヘテロダイマー、ホモダイマー、ヘテロマルチマーまたはホモマルチマーは、例えば、生物活性をまだ維持している特定の欠失または他の修飾を含有するポリペプチド類似物を含み得る。
本明細書に記載のIFNβにおけるアミノ酸位置に関するすべての言及は、特に断りがない限り(すなわち、アミノ酸位置の比較が配列番号3、4または他のIFNβ配列に基づいている場合に)、配列番号1における位置に基づいている。例えば、配列番号1の1位におけるアミノ酸はメチオニンであり、対応するメチオニンは配列番号4において22位に位置している。配列番号1における位置と対応するアミノ酸位置が、任意の他のIFNβ分子(例えば、配列番号3および4)において容易に同定されることは、当業者であれば十分に理解される。配列番号1、3、4または任意の他のIFNβ配列における位置と対応するアミノ酸位置が、任意の他のIFNβ分子(例えば、IFNβの融合体、バリアント、断片など)において容易に同定されることは、当業者であれば十分に理解される。例えば、BLASTといった配列整列化プログラムは、配列番号1、3、4または任意の他のIFNβ配列における位置と対応する、タンパク質における特定の位置を整列化および同定するために使用され得る。また、配列番号1、3、4または任意の他のIFNβ配列を参照して本明細書において記載されているアミノ酸の置換、欠失または付加は、本明細書に記載されているか、または当該技術において公知のIFNβの融合体、バリアント、断片などにおける対応する位置の置換、欠失または付加を指すこと、および本発明によって明白に包含されることを意図される。
“IFNβポリペプチド”または“IFNβ”という用語は、1つ以上のアミノ酸の置換、付加または欠失を有するIFNβポリペプチドを包含する。本発明のIFNβポリペプチドは、1つ以上の非天然アミノ酸修飾とともに、1つ以上の天然アミノ酸を用いた修飾を含み得る。天然に存在するIFNβポリペプチドにおける多種多様なアミノ酸位置における例示的な置換が記載されている。当該置換としては、薬物の安定性を調節する置換、およびIFNβポリペプチドの1つ以上の生物活性を調節する置換が挙げられる。IFNβポリペプチドの1つ以上の生物活性を調節する置換は、これらに限定されないが、例えばアゴニスト活性を増強させる置換、ポリペプチドの溶解性を向上させる置換、プロテアーゼに対する感受性を低減させる置換、ポリペプチドをアンタゴニストに転換する置換である。これらの置換を含むIFNβポリペプチドが、“IFNβポリペプチド”という用語に包含される。いくつかの実施形態において、IFNβアンタゴニストは、水溶性ポリマーに連結された非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる。非天然にコードされるアミノ酸は、当該IFNβアンタゴニストにおける、IFNβ分子の受容体結合領域に存在する。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNβポリペプチドの生物活性を調節する、置換、付加または欠失をさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性を調節する、置換、付加または欠失をさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性を向上させる、置換、付加または欠失をさらに含んでいる。例えば、付加、置換または欠失は、IFNβの1つ以上の特性または活性を調節し得る。例えば、付加、置換または欠失は、IFN受容体に対する親和性を調節し得るか、ポリペプチドの安定性を調節し得るか、プロテアーゼによる切断を調節し得るか、投与量を調節し得るか、放出もしくは生体利用効率を調節し得るか、精製を容易にし得るか、または特定の投与経路を改善もしくは変更し得る。同様に、IFNβポリペプチドは、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリHisが挙げられる)もしくは他の親和性に基づく配列(これらに限定されないが、FLAG、ポリHis、GSTなどが挙げられる)、または連結分子(これに限定されないが、ビオチンが挙げられる)を含んでいる。当該連結分子は、検出(これに限定されないが、GFPが挙げられる)、精製またはポリペプチドの他の性質を改善する分子である。
また、“IFNβポリペプチド”という用語は、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーおよびへテロマルチマーを包含する。ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーおよびへテロマルチマーは、(1)同じかもしくは異なる非天然にコードされるアミノ酸側鎖に対してか、または天然にコードされるアミノ酸に対して、非天然にコードされるアミノ酸側鎖を介して直接に連結されているか、あるいは(2)リンカーを介して間接的に連結されている。例示的なリンカーとしては、これらに限定されないが、小有機分子、種々の長さの水溶性ポリマー(例えば、ポリ(エチレングリコール)またはポリデキストラン)、または種々の長さのポリペプチドが挙げられる。
“非天然にコードされるアミノ酸”は、一般的な20のアミノ酸の1つまたはピロールリジンまたはセレノシステインではない、アミノ酸を指す。“非天然にコードされるアミノ酸”という用語と同意語として使用される他の当該用語は、“非天然アミノ酸(non-natural amino acid)”、“非天然アミノ酸(unnatural amino acid)”、“非天然に存在するアミノ酸”、ならびに種々のこれらのハイフンで結んだ様式およびハイフンで結んでいない様式である。また、“非天然にコードされるアミノ酸”という用語は、天然にコードされるアミノ酸(これらに限定されないが、一般的な20のアミノ酸またはピロールリジンまたはセレノシステインが挙げられる)の修飾(例えば、翻訳後修飾)によって生じるが、転写複合体によって伸張するポリペプチド鎖に天然に組み込まれないアミノ酸を含むが、これらに限定されない。当該非天然にコードされるアミノ酸の例としては、これらに限定されないが、N−アセチルグルコサミニル−L−セリン、N−アセチルグルコサミニル−L−スレオニン、およびO−ホスホチロシンが挙げられる。
“アミノ末端修飾基”は、ポリペプチドアミノ末端に対して連結され得る任意の分子を指す。同様に、“カルボキシル末端修飾基”は、ポリペプチドのカルボキシル末端に対して連結し得る任意の分子を指す。末端修飾基としては、これらに限定されないが、水溶性ポリマー、ペプチドまたはタンパク質(例えば、血清アルブミン、またはペプチドの血中半減期を増加させる他の分子)が挙げられる。
本明細書において使用される場合に、“生物学的に活性な分子”、“生物学的に活性な部分”または“生物学的に活性な作用物”という用語は、生体(これらに限定されないが、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、菌類、植物、動物およびヒトが挙げられる)に関する、生物学的な系、経路、分子、または相互作用の任意の物理的または生化学的な特性に影響を及ぼし得る、任意の分子を意味する。特に、本明細書に使用されるときの、生物学的に活性な分子としては、これらに限定されないが、ヒトもしくは他の動物における疾患の診断、治療、鎮静、処置もしくは予防、またはそうでなければヒトまたは他の動物の肉体的もしくは精神的な健康を増進することを対象にした任意の物質が挙げられる。生物学的に活性な分子の例としては、これらに限定されないが、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬、ワクチン、免疫原、習慣性の強い薬、習慣性の弱い薬、炭水化物、無機の原子または分子、色素、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、類毒素、毒素、真核細胞および原核細胞、ウイルス、多糖類、ウイルス、細菌細胞、昆虫細胞、動物細胞または任意の他の細胞もしくは細胞種から得られた(か、または由来する)核酸またはこれらの部分、リポソーム、微小粒子、およびミセル体が挙げられる。IFNβポリペプチドは、ミセル製剤に加えられ得る(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,833,948号明細書を参照すればよい)。本発明をともなった使用に好適な生物学的に活性な作用物の分類としては、これらに限定されないが、薬物、プロドラッグ、放射性核種、画像診断薬剤、ポリマー、抗生物質、殺真菌剤、抗ウイルス薬、抗炎症誘発因子、抗腫瘍薬、心血管作動薬、抗不安薬、ホルモン、成長因子、ステロイド剤、および微生物由来毒素などが挙げられる。
“二官能性ポリマー”は、他の部分と特異的に反応して、共有的または非共有的な結合を形成可能な2つの別個の官能基を備えるポリマーを指す。当該部分としては、これに限定されないが、アミノ酸側鎖基が挙げられる。二官能性リンカーは、特定の生物活性成分における官能基と反応性である1つの官能基、および第2の生物学的成分における官能基と反応性である他の官能基を有している。そして、当該二官能性リンカーは、第1の生物活性成分、二官能性リンカーおよび第2の生物活性成分を包含する接合物の形成に使用され得る。ペプチドに対して種々の化合物を結合させる多くの手法およびリンカー分子が知られている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、欧州特許出願公開第188,256号明細書;米国特許第4,671,958号明細書、米国特許第4,659,839号明細書、米国特許第4,414,148号明細書、米国特許第4,699,784号明細書;米国特許第4,680,338号明細書;および米国特許第4,569,789号明細書を参照すればよい。“多官能性リンカー”は、他の部分と特異的に反応して、共有的または非共有的な結合を形成可能な2つ以上の別個の官能基を備えるポリマーを指す。当該部分としては、これに限定されないが、アミノ酸側鎖基が挙げられる。二官能性ポリマーまたは多官能性ポリマーは、任意の所望の長さもしくは分子量であり得、IFNβに連結される1つ以上の分子と、その受容体またはIFNβとの間に所望される特定の空間または高次構造を供給するために選択され得る。
置換基が左から右に書かれる従来の化学式によって特定される場合に、それらは、右から左に構造を記載することによって生じる化学的に同一な置換基を等しく包含する(例えば、構造−CHO−は構造−OCH−と等価である)。
“置換基”という用語は、これに限定されないが、“非干渉性の置換基”を含む。“非干渉的な置換基”は、安定な化合物を産生するこれらの基である。安定な非干渉的な置換基またはラジカルとしては、これらに限定されないが、ハロ、C−C10アルキル、C10アルケニル、C10アルキニル、C−C10アルコキシ、C−C12アラルキル、C−C12アルカリル、C−C12シクロアルキル、C−C12シクロアルケニル、フェニル、置換フェニル、トルオイル、キシレニル、ビフェニル、C−C12アルコキシアルキル、C−C12アルコキシアリール、C−C12アリールオキシアルキル、C−C12アリール、C−Cアルキルスルフィニル、C−C12アルキルスルフォニル、−−(CH−−O−−(C−C10アルキル)(ここで、mは1から8までである)、アリール、置換アリール、置換アルコキシ、フルオロアルキル、ヘテロ環ラジカル、置換ヘテロ環ラジカル、ニトロアルキル、−−NO、−−CN、−−NRC(O)−−(C−C10アルキル)、−−C(O)−−(C−C10アルキル)、C−C10アルキルチオアルキル、−−C(O)O−−(C−C10アルキル)、−−OH、−−SO、=S、−−COOH、−−NR、カルボニル、−−C(O)−−(C−C10アルキル)−CF3、−−C(O)−CF3、−−C(O)NR2、−−(C−C10アリール)−S−−(C−C10アリール)、−−C(O)−−(C−C10アリール)、−−(CH−−O−−(−−(CH−−O−−(C−C10アルキル)(ここで、mのそれぞれは1から8までである)、−−C(O)NR、−−C(S)NR、−−SONR、−−NRC(O)NR、−−NRC(S)NR、これらの塩などが挙げられる。本明細書において使用されるときに、Rのそれぞれは、H、アルキルもしくは置換アルキル、アリールもしくは置換アリール、アラルキル、またはアルカリルである。
“ハロゲン”という用語は、フッ素、塩素、ヨウ素、および臭素を含む。
それ自身によってか、または他の置換基の一部として“アルキル”という用語は、特に断りがない限りにおいて、完全に飽和され得るか、一価不飽和され得るか、または多価不飽和され得る、直鎖状もしくは分枝状の鎖、または環状炭化水素ラジカル、またはこれらの組合せを意味し、所望の炭素原子数(すなわち、C−C10は1から10の炭素を意味する)を有する2価または多価のラジカルを含み得る。飽和炭化水素ラジカルの例としては、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えばn−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、およびn−オクチルなどの、類似物および異性体といった基が挙げられる。不飽和アルキル基は1つ以上の2重結合または3重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例としては、これらに限定されないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびにより高級な類似物および異性体が挙げられる。また、“アルキル”という用語は、特に断りがない限りにおいて、“ヘテロアルキル”といった以下においてより詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことを意図される。炭化水素基に限定されるアルキル基は、“ホモアルキル”と称される。
それ自身によってか、または他の置換基の一部として“アルキレン”という用語は、これらに限定されないが、構造−CHCH−および−CHCHCHCH−によって例示されるような、アルカンから得られる2価のラジカルを意味し、“ヘテロアルキル”として以下に記載されているこれらの基をさらに包含する。典型的に、アルキル(またはアルキレン)基は、1から24の炭素原子を有するとともに、本明細書に記載される方法および組成物の特定の実施形態であるこれらの基は、10以下の炭素原子を有する。“低級アルキル”または“低級アルキレン”は、8以下の炭素原子を一般的に有する、より短い鎖状のアルキル基またはアルキレン基である。
“アルコキシ”、“アルキルアミノ”および“アルキルチオ”(またはチオアルコキシ)という用語は、それらの従来の意味において使用され、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子をそれぞれ介して分子の残余部分に対して連結されるこれらのアルキル基を指す。
それ自身によってか、または他の用語との組合せにおいて、“ヘテロアルキル”という用語は、特に断りがない限りにおいて、一定の数の炭素原子、ならびにO、N、SiおよびSからなる群から選択される少なくとも1つの異種原子(ここで、窒素原子および硫黄原子は任意に酸化され、窒素異種原子は任意に4級化される)から構成される安定な直鎖状もしくは分枝状の鎖、または環状炭化水素ラジカルを意味する。(複数の)異種原子、O、NおよびSおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置においてか、アルキル基が分子の残余部に対して連結される位置において位置され得る。例としては、これらに限定されないが、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH−)CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCHおよび−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。最大で2つの異種原子が、例えば、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHといったように連続し得る。同様に、それ自身によってか、または他の置換基の一部として、“ヘテロアルキレン”という用語は、これらに限定されないが、−CH−CH−S−CH−CH−および−CH−S−CH−CH−NH−CH−に例示されるような、ヘテロアルキルから得られる2価のラジカルを意味する。また、ヘテロアルキレン基に関して、同じかまたは異なる異種原子は、鎖の末端のいずれかまたは両方を占有し得る(これらに限定されないが、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノ、およびアミノオキシアルキレンなどが挙げられる)。まださらに、アルキレン連結基およびへテロアルキレン連結基に関して、連結基の方向は、連結基の式が書かれている方向によって意味されない。例えば、式−C(O)R’は、−C(O)R’およびR’C(O)−の両方を意味する。
それら自身によってか、または他の用語との組合せにおいて、“シクロアルキル”および“ヘテロシクロアルキル”という用語は、特に断りがない限りにおいて、“アルキル”および“ヘテロアルキル”ぞれぞれの環状の型を表す。したがって、シクロアルキルまたはへテロシクロアルキルは、飽和環結合、部分的に不飽和の環結合および完全に不飽和の環結合を包含する。付加的に、ヘテロシクロアルキルに関して、異種原子は、異種原子が分子の残余部に対して連結される位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、およびシクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、および2−ピペラジニルなどが挙げられる。付加的に、当該用語は、二環式環構造および三環式環構造を包含する。同様に、それ自身によってか、または他の置換基の一部として、“ヘテロシクロアルキレン”という用語は、ヘテロシクロアルキルから得られる2価のラジカルを意味し、それ自身によってか、または他の置換基の一部として、“シクロアルキレン”という用語は、シクロアルキルから得られる2価のラジカルを意味する。
本明細書において使用されるときに、“水溶性ポリマー”という用語は、水性溶媒に可溶性の任意のポリマーを指す。IFNβポリペプチドに対する水溶性ポリマーの連結は、変化(これらに限定されないが、増強されたかもしくは調節された血中半減期、または非修飾形態と比べて増強されたかもしくは調節された治療半減期、調節された免疫原性、調節された物理的な会合特性(例えば、凝集および多量体形成)、変更された受容体結合、1つ以上の結合パートナーに対する変更された結合、ならびに変更された二量体化もしくは多量体化が挙げられる)を生じ得る。水溶性ポリマーは、特有の生物活性を有し得るか、または有し得ず、他の物質に対するIFNβの結合用のリンカーとして利用され得る。ここで、他の物質としては、これらに限定されないが、1つ以上のIFNβポリペプチド、または1つ以上の生物学的に活性な分子が挙げられる。好適なポリマーとしては、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、モノC1−C10アルコキシ誘導体もしくはモノC1−C10アリールオキシ誘導体(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,252,714号明細書に記載されている)、モノメトキシポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアミノ酸、ジビニルエーテルマレイン酸無水物、N−(2−ヒドロキシプロピル)−メタクリルアミド、デキストラン、デキストラン誘導体(硫化デキストランが挙げられる)、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共ポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、ヘパリン、ヘパリン断片、多糖、オリゴ糖、グリカン、セルロースおよびセルロース誘導体(これらに限定されないが、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースが挙げられる)、スターチおよびスターチ誘導体、ポリペプチド、ポリアルキレングリコールおよびこれらの誘導体、ポリアルキレングリコールおよびこれらの誘導体、ポリビニルエチルエーテル、ならびにα−ベータ−ポリ[(2−ヒドロキシエチル)−DL−アスパルトアミドなどのコポリマー、あるいはこれらの混合物が挙げられる。当該水溶性ポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリエチレングリコールおよび血清アルブミンが挙げられる。
本明細書において使用されるときに、“ポリアルキレングリコール”または“ポリ(アルキレングリコール)”という用語は、ポリエチレングリコール(ポリ(エチレングリコール))、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびこれらの誘導体を指す。“ポリアルキレングリコール”という用語は、直鎖状および分枝状のポリマーの両方、および0.1kDaから100kDaの間の平均分子量を包含する。他の例示的な実施形態は、例えば、株式会社シェアーウォーター(Shearwater)のカタログ“Polyethylene Glycol and Derivatives for Biomedical Applications”(2001)といった商業的な業者のカタログに挙げられている。
“アリール”という用語は、特に断りがない限りにおいて、ともに融合されるか、または共有的に結合される単環または多環(これらに限定されないが、1から3つの環が挙げられる)であり得る、多価不飽和の芳香族炭化水素置換基を意味する。“ヘテロアリール”という用語は、N、O、およびSからなる選択される1から4つの異種原子を含有するアリール基(または環)(ここで、窒素原子および硫黄原子は任意に酸化され、(複数の)窒素原子は任意に4級化されている)を指す。ヘテロアリール基は、異種原子を介して分子の残余部に対して連結され得る。アリール基またはへテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上述のアリール環系およびヘテロアリール環系のそれぞれに関する置換基は、以下に記載される受容可能な置換基の群から選択される。
簡潔に言うと、他の用語との組合せにおいて使用される場合の、“アリール”という用語(これらに限定されないが、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキルが挙げられる)は、上記において定義されるようなアリール環およびヘテロアリール環の両方を包含する。したがって、“アリールアルキル”という用語は、アリール基がアルキル基に対して連結されている、これらのラジカル(これらに限定されないが、ベンジル、フェネチル、およびピリジルメチルなどが挙げられる)であって、当該アルキル基が、炭素原子が例えば、酸素原子によって置換されているこれらのアルキル基(これに限定されないが、メチレン基が挙げられる)を含むこれらのラジカル(これらに限定されないが、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、および3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなどが挙げられる)を包含することを意図される。
上述の用語のそれぞれ(これらに限定されないが、“アルキル”、“ヘテロアルキル”、“アリール”および“ヘテロアリール”が挙げられる)は、示されているラジカルの置換形態および非置換形態の両方を包含することが意図される。それぞれの種類のラジカルにとっての例示的な置換基が以下に規定される。
アリールラジカルおよびへテロアリールラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびへテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれるこれらの基が挙げられる)にとっての置換基は、これらに限定されないが、0から(2m’+1)までの範囲にある数における(ここで、m’は当該ラジカルにおける炭素原子の総数である)、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NOから選択される多様な群の1つ以上であり得る。R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれは、水素、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール(これに限定されないが、1−3のハロゲンに置換されるアリールが挙げられる)、置換もしくは非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を独立して指す。本発明の化合物が1つ以上のR基を含む場合に、例えば、R基のそれぞれは、2つ以上のこれらの基が存在する場合に、R’、R’’、R’’’およびR’’’’基のそれぞれであるように、独立して選択される。R’およびR’’が、同じ窒素原子に連結される場合に、それらは、5−、6−、7−員環を形成するために窒素原子と組わ合せられ得る。例えば、−NR’R’’は、これらに限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことを意図される。置換基の上述の議論から、当業者は、“アルキル”という用語が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル基(これらに限定されないが、−CFおよび−CHCFが挙げられる)およびアシル(これらに限定されないが、−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなどが挙げられる))に対して結合される炭素原子を含むことを意図されることを理解する。
アルキルラジカルに関して記載される置換基と同様に、アリール基およびへテロアリール基にとっての置換基は、変更され、これらに限定されないが、0から芳香族環系における空いている原子価の総数までの範囲にある数において、ハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−NRSOR’、−CNおよび−NO、−R’、−N、−CH(Ph)、フルオロ(C−C)アルコキシ、ならびにフルオロ(C−C)アルキルから選択され;ここで、R’、R’’、R’’’およびR’’’’が独立して、水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択される。本発明の化合物が、2つ以上のR基を含む場合に、例えば、R基のそれぞれは、2つ以上のこれらの基が存在する場合に、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれであるように、独立して選択される。
本明細書において使用されるときに、“調節された血中半減期”という用語は、その非修飾形態に比べて、調節されたIFNβの循環半減期における正または負の変化を意味する。血中半減期は、IFNβの投与後における種々の時点において血液試料を採取すること、および試料のそれぞれにおける分子の濃度を決定することによって測定される。時間と血清濃度の相関関係によって、血中半減期の算出が可能になる。増強された血中半減期は、少なくとも約2倍を好ましく有するが、例えば、十分な投与計画を可能にするか、または毒作用を避ける場合には、より小さな増強が有用であり得る。いくつかの実施形態において、増強は少なくとも約3倍、少なくとも約5倍または少なくとも約10倍である。
本明細書において使用されるときに、“調節された治療半減期”という用語は、その非修飾形態に比べて、治療有効量のIFNβの半減期における正または負の変化を意味する。治療半減期は、投与後における種々の時点において分子の薬物動態特性および/または薬理学的特性を測定することによって測定される。増強された治療半減期は、特に利益をもたらす投与計画または特に利益をもたらす総投与量を好ましく可能にするか、または好ましくない影響を好ましく回避する。いくつかの実施形態において、増強された治療半減期は、増強された有効性、修飾された分子のその標的に対する増強されたかもしくは低減された結合、プロテアーゼといった酵素による分子の増強されたかもしくは低減された崩壊、あるいは非修飾分子の作用の他の要因もしくは機序の増強もしくは低減、または分子の受容体媒介クリアランスの増強もしくは低減を生じる。
核酸またはタンパク質に対して適用される場合に“単離された”という用語は、核酸またはタンパク質が、天然の状態において会合される少なくともいくつかの細胞性構成要素から遊離していることか、または核酸もしくはタンパク質がインビボもしくはインビトロにおける産物の濃度よりも濃縮されていることを表す。それは、均質な状態にあり得る。単離された物質は、乾燥状態もしくは半乾燥状態、または溶液(これに限定されないが、水性溶液が挙げられる)内のいずれかにあり得る。それは、付加的な薬学的に受容可能な担体および/または賦形剤を包含する薬学的組成物の構成要素であり得る。純度および均質性は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーといった分析化学的技術を用いて、典型的に決定される。調製物に存在する優勢種であるタンパク質は、実質的に精製されている。特に、単離された遺伝子は、遺伝子に隣接し、所定の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームから分離されている。“精製されている”という用語は、核酸またはタンパク質が電気泳動ゲルにおいて実質的に1つのバンドを生じることを表す。特に、それは、核酸またはタンパク質が、少なくとも約85%の純度、少なくとも約90%の純度、少なくとも99%かそれ以上の純度であることを意味し得る。
“核酸”という用語は、1本鎖の形態または2本鎖の形態のいずれかにおける、デオキシリボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオシド、リボヌクレオチド、またはリボヌクレオシド、ならびにこれらのポリマーを指す。特に断りがない限りにおいて、当該用語は、基準の核酸と同様の結合特性を有し、天然に存在するヌクレオチドと同様の様式において代謝される天然ヌクレオチドの公知の類似物を含有する、核酸を包含する。また、特に断りがない限りにおいて、当該用語は、オリゴヌクレオチド類似物(PNA(ペプチド核酸)、アンチセンス技術において使用されるDNAの類似物(ホスホロチオネート、およびホスホロアミデートなど)が挙げられる)を指す。また、特に断りがない限りにおいて、特定の核酸配列は、これらの保存的に修飾されたバリアント(これに限定されないが、変性コドン置換が挙げられる)および相補的な配列、これらと同様に明確に示されている配列を暗に包含する。特に、変性コドン置換は、1つ以上の選択された(またはすべての)コドンの3番目の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基に置換される配列を、生成することによって達成され得る(Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991); Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985) ;Rossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994))。
“ポリペプチド”、“ペプチド”および“タンパク質”という用語は、本明細書において交換可能に使用されて、アミノ酸残基のポリマーを指す。すなわち、ポリペプチドを対象とする記載は、ペプチドの記載およびタンパク質の記載に等しく適用され、逆の場合も同様である。当該用語は、天然に存在するアミノ酸ポリマーおよび1つ以上の残基が非天然にコードされるアミノ酸であるアミノ酸ポリマーに対して適用される。本明細書において使用されるときに、当該用語は、任意の長さ(全長のタンパク質が挙げられる)のアミノ酸鎖を包含し、ここでアミノ酸残基は、共有的なペプチド結合によって連結されている。
“アミノ酸”という用語は、天然に存在するアミノ酸および非天然に存在するアミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と類似の様式に機能するアミノ酸類似物およびアミノ酸模倣物を指す。天然にコードされるアミノ酸は、一般的な20のアミノ酸(アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)およびピロールリジンおよびセレノシステインである。アミノ酸類似物は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本の化学構造を有する化合物(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルフォキシド、メチオニンメチルスルフォニウム)に対して結合されているα炭素)を指す。当該類似物は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本の化学構造を維持している。アミノ酸に対する言及は、例えば、天然に存在するタンパク新生のL−アミノ酸;D−アミノ酸、アミノ酸バリアントおよび誘導体などの化学修飾アミノ酸;例えばβアラニン、オルニチンなどの天然に存在する非タンパク新生のアミノ酸;ならびにアミノ酸の特性を示すことが当該分野に公知の性質を有する化学合成された化合物を包含する。非天然に存在するアミノ酸の例としては、これらに限定されないが、α−メチルアミノ酸(例えばα−メチルアラニン)、D−アミノ酸、ヒスチジン様アミノ酸(例えば、2−アミノ−ヒスチジン、β−ヒドロキシ−ヒスチジン、ホモヒスチジン、α−フルオロメチル−ヒスチジンおよびα−メチルヒスチジン)、付加的なメチレンを側鎖に有するアミノ酸(“ホモ”アミノ酸)、ならびにスルホン酸基と置換されているカルボン酸を側鎖に有するアミノ酸(例えばシステイン酸が挙げられる)。本発明のタンパク質への非天然アミノ酸(これらに限定されないが、合成非天然アミノ酸、置換アミノ酸、または1つ以上のDアミノ酸が挙げられる)の組込みは、多くの異なる手法において有利であり得る。Dアミノ酸含有ペプチドなどは、Lアミノ酸含有の等価物と比べてインビトロまたはインビボにおける向上した安定性を示す。したがって、Dアミノ酸を組み込んでいるペプチドなどの構築は、より優れた細胞内安定性が所望されるか、または必要とされる場合に特に有用であり得る。より詳細には、Dペプチドなどは、内因性のペプチダーゼおよびプロテアーゼに対して耐性なので、これらの特性が所望される場合に分子の向上した生体利用効率および延長されたインビボ半減期を提供する。さらに、Dペプチドなどは、ヘルパーT細胞に対する主要組織適合複合体クラスII−拘束性提示について非能率的に処理され得るので、組織全体における液性免疫応答をあまり誘導しない。
アミノ酸は、本明細書において、国際純正および応用化学連合−国際生化学連合生化学命名委員会によって推奨される、一般的に知られる3文字表記、または1文字表記のいずれかによって示される。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般的に受け容れられている1文字符号によって示される。
“保存的に修飾されたバリアント”は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に対して適用される。特定の核酸配列に関して、“保存的に修飾されたバリアント”は、同一もしくは本質的に同一なアミノ酸配列をコードするか、または核酸がアミノ酸配列をコードしない場合に実質的に同一な、それらの核酸を指す。遺伝暗号の縮重のために、非常に多数の機能的に同一な核酸が、所定のタンパク質のいずれかをコードする。実際に、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUのすべては、アミノ酸のアラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定される任意の位置において、コドンは、コードされるポリペプチドを変更せずに、記載されている対応するコドンのうちいずれかのコドンに変更され得る。このような核酸の変異は、保存的に修飾される変異の1種である、“サイレント変異である”。また、ポリペプチドをコードする本明細書におけるすべての核酸配列は、核酸のすべての見込みのあるサイレント変異について説明している。当業者は、核酸におけるコドンのそれぞれ(通常、メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および通常、トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除いて)が修飾されて、機能的に同一な分子を産生し得ることを認識する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸のサイレント変異のそれぞれは、記載されている配列のそれぞれにおいて暗に示されている。
アミノ酸配列については、当業者は、コードされるアミノ酸における単一のアミノ酸または低い割合のアミノ酸を変更するか、付加するかもしくは欠失する核酸配列、ペプチド配列、ポリペプチド配列またはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が、化学的に類似のアミノ酸とのアミノ酸の欠失、アミノ酸の付加、またはアミノ酸の置換を結果として生じる場合に、“保存的に修飾されるバリアント”であることを認識する。機能的に類似のアミノ酸を規定する保存的な置換の表は、当業者に公知である。当該保存的に修飾されたバリアントは、加えて、本発明の多形バリアント、種間相同物、および対立因子を除外しない。
機能的に類似のアミノ酸を規定する保存的な置換の表は、当業者に公知である。以下の8つの群のそれぞれ:
(1)アラニン(A)、グリシン(G);
(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
(4)アルギニン(R)、リジン(L);
(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
(6)フェニルアラニン(P)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
(7)セリン(S)、スレオニン(T);および
(8)システイン(C)、メチオニン(M)
は、他の1つのアミノ酸に対して保存的な置換であるアミノ酸を含む(例えば、Creighton, Proteins: Structures and Molecular Properties (W H Freeman & Co.; 2nd edition (December 1993)を参照すればよい。
2つ以上の核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における、“同一の”または“同一性の”割合は、同じである2つ以上の配列または部分配列を指す。配列は、以下の配列比較演算手順(または当業者に利用可能な他の演算手順)の1つを用いてか、もしくは手動の整列化および目視検査によって測定されるような比較領域または所望の領域の全体にわたって最大の一致に関して比較され、整列される場合に同じである割合(すなわち、特定の領域の全体にわたって、約60%の同一性、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の同一性)であって、それらがアミノ酸残基またはヌクレオチドの当該割合を有する場合に、“実質的に同一”である。また、この定義は、試験配列の相補性を指す。同一性は、少なくとも約50のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域の全体にわたってか、または75−100のアミノ酸もしくはヌクレオチドの長さである領域の全体にわたってか、または特に特定されないが、ポリヌクレオチドもしくはポリペプチドの全体の配列にわたって存在し得る。ヒト以外の種に由来する類似物を含む、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチド配列またはこれらの断片を有する標識化プローブを用いて、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件においてライブラリをスクリーニングするステップ、ならびに当該ポリヌクレオチド配列を含む全長のcDNAおよびゲノムクローンを単離するステップを包含する処理によって取得され得る。このようなハイブリダイゼーション技術は、当業者によく知られている。
配列比較に関して、1つの配列は、比較される試験配列に対して基準配列としての役目を典型的に果たす。配列比較演算手順を用いる場合に、試験配列および基準配列はコンピュータに入力され、必要に応じて配列調整が指示され、配列演算手順プログラムが指示される。初期設定のプログラム変数が使用され得るか、または代替の変数が指示され得る。それから、配列比較演算手順は、プログラム変数に基づいて基準配列と比較した、試験配列に関する配列同一性の割合を算出する。
本明細書において使用されるときに、“比較領域”は、配列が、2つの配列が最適に整列化された後における連続する位置の同じ数の基準領域に対して比較され得る、20から600、通常には約50から約200、より通常には約100から約150からなる群から選択される多くの連続する位置のいずれか1つの区分に対する言及を含む。比較に関する配列の整列化の方法は、当業者にとって公知である。比較に関する配列の最適な整列化は、これらに限定されないが、Smith and Waterman (1970) Adv. Appl. Math. 2:482cの局部的な相同性演算手順、Needleman and Wunsch (1970) J. Mol. Biol. 48:443の相同性整列化演算手順、Pearson and Lipman (1988) Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85:2444の類似性に関する検索方法、これらの演算手順のコンピュータ化された実施(the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または手動の整列化および目視検査(例えば、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (1995 supplement) を参照すればよい)が挙げられる演算方法によって、実施され得る。
配列同一性および配列類似性の割合の決定に好適な演算手順の一例は、BLASTおよびBLAST2.0演算手順である(それぞれ、Altschul et al. (1997) Nuc. Acids Res. 25:3389-3402, and Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されている)。BLAST分析を実施するソフトウェアは、ncbi.nlm.nih.govにおけるワールドワイドウェブにおいて利用可能な全米バイオテクノロジー情報センターを通して公然に利用可能である。BLAST演算手順の変数W、TおよびXは、整列化の感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド用)は、11のワード長(W)、期待値(E)または10、M=5、N=−4を初期設定として、両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列に関して、BLASTPプログラムは、3のワード長、および10の期待値(E)を初期設定として、BLOSUM62 採点マトリクス(Henikoff and Henikoff (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915参照すればよい) 50の位置合わせ(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4および両方の鎖の比較を使用する。BLAST演算手順は、無効にされる“低い複雑性”のフィルタを用いて典型的に実施される。
また、BLAST演算手順は、2つの配列間の類似性の統計的な分析を実施する(例えば、Karlin and Altschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照すればよい)。BLAST演算手順によって与えられる類似性の指標の1つは、2つのヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の間の適合が偶然に生じる確率の指標を提供する、最小の総和確率(P(N))である。例えば、核酸は、基準核酸に対する試験核酸の比較において最小の総和確率が約0.2未満、または約0.01未満、または約0.001未満である場合に、基準配列に対して類似であると見做される。
“〜に対して選択的に(または特異的に)ハイブリダイズする”という表現は、配列が複合混合物(これらに限定されないが、全体の細胞またはライブラリのDNAまたはRNAが挙げられる)内に存在する場合に、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件において、特定のヌクレオチド配列に対してのみ結合すること、2重鎖化すること、またはハイブリダイズすることを指す。
“ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件”という表現は、当該技術において知られるように、低いイオン強度および高い温度の条件における、DNA、RNA、PNA、もしくは他の核酸模倣物、またはこれらの組合せのハイブリダイゼーションを指す。典型的に、ストリンジェントな条件において、プローブは、核酸の複合混合物(これらに限定されないが、全体の細胞またはライブラリのDNAまたはRNAが挙げられる)においてその標的配列に対してハイブリダイズするが、複合混合物における他の配列とはハイブリダイズしない。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる環境において異なる。より長い配列は、より高い温度において特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに対する広範に渡る指針は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology--Hybridization with Nucleic Probes, “Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays” (1993)に見られる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度 pHにおいて、特定の配列に関する熱溶融点(T)よりも約5−10℃低く選択される。Tは、標的に対して相補的なプローブの50%が、平衡状態において標的配列とハイブリダイズする(標的配列がTmにおいて過剰に存在し、プローブの50%が平衡状態にあるような)、温度である(規定のイオン強度、pH、および核酸の濃度の条件下)。ストリンジェントな条件は、塩濃度がpH7.0において約1.0M未満のナトリウムイオン濃度、典型的に約0.01から1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、短いプローブ(これらに限定されないが、10から50のヌクレオチドが挙げられる)に関して温度が少なくとも約30℃、および長いプローブ(これらに限定されないが、50を超えるヌクレオチドが挙げられる)に関して少なくとも約60℃である条件であり得る。また、ストリンジェントな条件は、ホルムアミドといった不安定化剤の添加を伴って達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションに関して、正のシグナルは、バックグラウンドの少なくとも2倍の、任意にバックグラウンドの10倍のハイブリダイゼーションであり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のとおり:65℃において0.2×SSC、および0.1%のSDSにおける洗浄を伴う、42℃においてインキュベートする50%のホルムアミド、5×SSC、および1%のSDSか、または65℃においてインキュベートする5×SSC、1%SDSであり得る。当該洗浄は、5、15、30、60、120分、またはそれ以上にわたって実施され得る。
本明細書において使用されるときに、“真核生物”という用語は、動物(これらに限定されないが、哺乳類、昆虫、爬虫類、鳥類などが挙げられる)、繊毛虫類、植物(これらに限定されないが、単子葉植物、双子葉植物、藻類などが挙げられる)、菌類、酵母、鞭毛虫、微胞子虫、原生生物といった、真核生物界の系統学的な領域に属する生体を指す。
本明細書において使用されるときに、“非真核生物”という用語は、非真核生物の生体を指す。例えば、非真核生物の生体は、系統学的な領域の真正細菌(これらに限定されないが、エシェリキア コリ、テルムス テルモフィルス、バチルス ステアロテルモフィルス、シュードモナス フルオレセンス、シュードモナス アエルギノーザ、シュードモナス プティダなどが挙げられる)、または系統学的な領域の古細菌(これらに限定されないが、メタノコッカス ジャンナスキー、メタノバクテリウム テムモアウトトゥロフィクム、ハロバクテリウム(例えば、ハロフェラックス ボルカニーおよびハロバクテリウム種のNRC−1)、アルカエオグロブス フルギダス、ピロコッカス フリオスス、ピロコッカス ホリコシー、アエウロピルム ペルニクスなどが挙げられる)に属することができる。
本明細書において使用されるときに、“対象”という用語は、処置、観察または実験の対象である動物、いくつかの実施形態において哺乳類、および他の実施形態においてヒトを指す。動物は、コンパニオンアニマル(例えばイヌおよびネコなど)、家畜(例えばウシ、ヒツジ、ブタ、およびウマなど)、または実験動物(例えばラット、マウスおよびテンジクネズミなど)であり得る。
本明細書において使用されるときに、“有効量”という用語は、処置されるべき疾患、健康状態または不調の症状の1つ以上をある程度まで和らげる、投与される修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドの量を指す。本明細書に記載されている修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドは、予防処置、処置の促進および/または治療処置を目的として投与され得る。
“増強”または“増強すること”は、所望の効能を、有効性または持続期間に関して向上するか、または延ばすことを意味する。したがって、治療薬の効能を増強することに関して、“増強すること”という用語は、系における他の治療薬の効能を、有効性または持続期間に関して、向上させるか、または延ばすことを指す。本明細書において使用されるときに、“増強有効量”は、所望の系におけるもう1つの治療薬の効能を十分に増強する量を指す。患者に使用される場合に、この使用に有効な量は、疾患、不調もしくは健康状態の重篤度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する応答、ならびに処置する医師の判断に依存する。
本明細書において使用されるときに、“修飾”という用語は、ポリペプチドの長さに対する変更、アミノ酸配列の長さに対する変更、ポリペプチドの化学構造に対する変更、ポリペプチドの翻訳同時修飾、またはポリペプチドの翻訳後修飾といった所定のポリペプチドに対してなされる、任意の改変を指す。ポリペプチドについて議論されている“(修飾)”形態という用語は、任意に修飾されており、すなわち、議論の項目におけるポリペプチドが修飾され得るか、または修飾され得ない。
“翻訳後修飾”という用語は、ポリペプチド鎖に組み込まれた後に当該アミノ酸に生じる、天然または非天然のアミノ酸の任意の修飾を指す。当該用語は、ほんの一例として、インビボにおける翻訳同時修飾、インビトロにおける翻訳同時修飾(例えば、細胞外における翻訳系)、インビボにおける翻訳後修飾、およびインビトロにおける翻訳後修飾を包含する。
予防的な適用において、IFNβポリペプチドを含有する組成物は、特定の疾患、不調または健康状態に影響を受けやすいか、またはさもなければその危険性が高い患者に対して投与される。そのような量は、“予防有効量”と定義される。また、この利用において、正確な量は、患者の健康状態および体重などに依存する。日常的な実験による当該予防有効量(例えば、用量の段階的増大の臨床試験)の決定は、当業者の範囲内にあると十分に見做される。
“保護”という用語は、ある反応条件における化学的に反応性の官能基の反応を防ぐ“保護基”または保護部分の存在を指す。保護基は、保護される化学的に反応性の基の種類に依存して変わる。例えば、化学的に反応性の基がアミンまたはヒドラジドである場合に、保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)からなる群から選択され得る。化学的に反応性の基がチオールである場合に、保護基はオルトピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性の基がブタン酸もしくはプロピオン酸といったカルボキシル酸、またはヒドロキシル基である場合に、保護基は、ベンジル基またはメチル、エチルもしくはtert−ブチルといったアルキル基であり得る。また、当該分野において公知の他の保護基(NvocおよびMeNvocといった感光性基が挙げられる)が、本明細書に記載される方法および組成物においてか、またはともに使用され得る。また、当該技術において公知の保護基が、本明細書に記載される方法および組成物においてか、またはともに使用され得る。
ほんの一例として、封鎖基/保護基は、
Figure 2010525821
から選択され得る。
他の保護基は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Greene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999に記載されている。
治療的適用において、修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを含有する組成物は、すでに疾患、健康状態または不調になっている患者に対して、疾患、不調または障害の症状を治療するか、または少なくとも部分的に進行を押さえるために十分な量において、患者に対して投与される。当該量は、“治療有効量”であると定義され、疾患、不調もしくは障害の重篤度および経過、以前の治療、患者の健康状態および薬物に対する応答、ならびに処置する医師の判断に依存する。日常的な実験によって当該治療有効量を(例えば、用量の段階的増大の臨床試験)を決定することは、当業者の範囲内にあると十分に見做される。
“処置”という用語は、予防的処置および/または治療的処置のいずれかを指して使用される。
本明細書に示される非天然にコードされるアミノ酸ポリペプチドは、天然に通常に見られる原子量または質量数とは異なる、原子量または質量数を有する原子によって置換された1つ以上の原子を有する同位体標識された化合物を包含し得る。本化合物に組み込まれ得る同位元素の例としては、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clのそれぞれといった、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位元素が挙げられる。本明細書に記載されるある特定の同位体標識された化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用であり得る。同位体標識された化合物は、例えば、Hおよび14Cといった放射性同位元素が組み込まれている化合物である。さらに、重水素(すなわち、H)といった同位体との置換は、より優れた代謝安定性(例えば、インビボにおける増強された半減期または低減された要求用量)を結果として生じるある治療的利点を与えることができる。
異性体のすべて(これらに限定されないが、ジアステレオ異性体、光学異体、およびこれらの混合物が挙げられる)は、本明細書において記載される組成物の一部として見做される。付加的なまたはさらなる実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸ポリペプチドは、所望の効果(所望の治療効果が挙げられる)を生じるために、それから使用される代謝物の産生を必要とする生体に対する投与の後すぐに代謝される。さらなるまたは付加的な実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の活性な代謝物である。
いくつかの状況において、非天然にコードされるアミノ酸は、互変異性体として存在し得る。さらに、本明細書に記載される非天然にコードされるアミノ酸ポリペプチドは、水、およびエタノールといった薬学的に受容可能な溶媒と溶媒和された形態だけでなく、溶媒和されていない形態に存在し得る。また、溶媒和された形態は、本明細書に開示されていると見做される。当業者は、本明細書における化合物のいくつかが、種々の互変異性体において存在できることを認識する。当該互変異性体のすべては、本明細書に記載される組成物の一部と見做される。
特に断りがない限りにおいて、当業者の範囲内にある質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が、採用される。
〔詳細な説明〕
<I.序文>
非天然アミノ酸を少なくとも1つ含んでいるIFNβ分子が、本発明において提供される。本発明のある特定の実施形態において、非天然アミノ酸を少なくとも1つ有しているIFNβポリペプチドは、少なくとも1つの翻訳後修飾を包含する。1つの実施形態において、IFNβの少なくとも1つの翻訳後修飾は、分子(これらに限定されないが、標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、樹脂、第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似物、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補足因子、脂肪酸、含水炭素、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖鎖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、抑制性リボ核酸、生体適合物質、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属含有部分、放射性部分、新規な官能基、他の分子と共有的にかもしくは非共有的に相互作用する基、光ケージド部分、化学線励起部分、光異性体化可能な部分、ビオチン、ビオチン類似物、ビオチン類似物、重元素を組み込む部分、化学的に切断可能な基、光切断可能な基、延長された側鎖、炭素結合型の糖、酸化還元的に活性な物質、アミノチオ酸、毒性部分、同位体的標識部分、生物物理学的なプローブ、リン光基、化学発光基、電子高密度基、磁性基、挿入基、発色団、エネルギー転移物質、生物学的に活性な物質、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノ伝達物質、放射性ヌクレオチド、中性子捕獲物質、または上述のものの任意の組合せもしくは特定の反応性にとって好適であることが当業者に知られている化学方法論に利用される第1の反応性基を備える少なくとも1つの非天然アミノ酸に対して反応性の第2の基を備える、他に所望する任意の化合物もしくは物質が挙げられる)の連結を含む。例えば、第1の反応性基が、アルキニル部分(これに限定されないが、非天然アミノ酸p−プロパルギルオキシフェニルアラニン(ここでまた、プロパルギル基は、ときにアセチレン部分と呼ばれる)における、が挙げられる)であり、第2の反応性基がアジド部分であり、[3+2]付加環化化学方法論が利用される。他の例において、第1の反応性基が、アジド部分(これに限定されないが、非天然アミノ酸p−アジド−L−フェニルアラニンが挙げられる)であり、第2の反応性基がアルキニル部分である。本発明の修飾されたIFNβポリペプチドのある特定の実施形態において、少なくとも1つの翻訳後修飾を備える、少なくとも1つの非天然アミノ酸(これに限定されないが、ケト基を含有する非天然アミノ酸が挙げられる)が、使用される(ここで、少なくとも1つの翻訳語後修飾が、糖鎖部分を含んでいる)。ある特定の実施形態において、翻訳後修飾は、真核細胞または非真核細胞のインビボにおいてなされる。リンカーポリマー、水溶性ポリマー、または他の分子は、ポリペプチドに対して分子を連結し得る。分子はポリペプチドに対して直接に連結され得る。
ある特定の実施形態において、タンパク質は、1つの宿主細胞によってインビボにおいてなされる少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、ここで、当該翻訳後修飾は他の宿主によって通常になされない。ある特定の実施形態において、タンパク質は、真核細胞によってインビボにおいてなされる少なくとも1つの翻訳修飾を含み、ここで、当該翻訳後修飾は非真核細胞によって通常になされない。翻訳後修飾の例としては、これらに限定されないが、糖鎖付加、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、および糖脂質結合修飾などが挙げられる。
ある実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、または糖脂質連結修飾のために、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加のために非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、または糖脂質連結修飾のために、天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加のために天然にコードされるアミノ酸の1つ以上を含んでいる。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチドの糖鎖付加を増強させる1つ以上の欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の異なるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の異なるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、1つ以上の欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の非天然にコードされるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の天然にコードされるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の異なるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の天然にコードされるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、ポリペプチド内の非天然にコードされるアミノ酸における糖鎖付加を増強させる、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の付加および/または置換を含んでいる。
1つの実施形態において、翻訳後修飾は、GlcNAc−アスパラギン酸結合によるアスパラギン酸に対するオリゴ糖(これに限定されないが、オリゴ糖が(GlcNAc−Man)−Man−GlcNAc−GlcNAcなどを包含する場合が挙げられる)の連結を包含する。他の実施形態において、翻訳後修飾は、GalNAc−セリン、GalNAc−スレオニン、GlcNAc−セリン、またはGlcNAc−スレオニン結合による、セリンまたはスレオニンに対するオリゴ糖(これらに限定されないが、Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどが挙げられる)の連結を包含する。ある特定の実施形態において、本発明のタンパク質またはポリペプチドは、分泌シグナル配列もしくは局在配列、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、および/またはGST融合などを包含し得る。分泌シグナル配列の例としては、これらに限定されないが、原核生物の分泌シグナル配列、真核生物の分泌シグナル配列、細菌発現用の5’が最適化された真核生物の分泌シグナル配列、新規な分泌シグナル配列、ペクチン酸塩リアーゼ分泌シグナル配列、Omp A分泌シグナル配列、およびファージの分泌シグナル配列が挙げられる。分泌シグナル配列の例としては、これらに限定されないが、STII(原核生物)、Fd GIIIおよびM13(ファージ)、Bgl2(酵母)、ならびにトランスポゾンから得られるシグナル配列blaが挙げられる。任意の当該配列は、修飾(これらに限定されないが、1つのシグナル配列を異なるシグナル配列に置換すること、あるリーダー配列を異なるリーダー配列に置換することなどが挙げられる)されてポリペプチドに所望の結果を提供し得る。
所定のタンパク質またはポリペプチドは、少なくとも1つの、少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つの、少なくとも5つの、少なくとも6つの、少なくとも7つの、少なくとも8つの、少なくとも9つの、または10もしくはそれ以上の非天然アミノ酸を含有できる。非天然アミノ酸は、同じであるか、または異なり得る(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なる非天然アミノ酸を備えるタンパク質における1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の異なる部位にあり得る)。ある特定の実施形態において、タンパク質の天然に存在する型に存在する特定のアミノ酸のすべてではないが、少なくとも1つが、非天然アミノ酸に置換されている。
本発明は、非天然にコードされるアミノ酸を少なくとも1つ備えるIFNβを用いた方法および組成物を提供する。IFNβに対する非天然にコードされるアミノ酸の少なくとも1つの導入は、通常に存在する20のアミノ酸と反応しないが、1つ以上の非天然にコードされるアミノ酸と反応する(限定されないが、これが挙げられる)、特定の化学反応を含む接合化学的性質の適用を可能にする。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβは、ポリエチレングリコール(PEG)といった水溶性ポリマーに対して、非天然にコードされるアミノ酸の側鎖を介して連結される。本発明は、PEG誘導体を用いてタンパク質を選択的に修飾する高効率な方法を提供する。当該方法は、遺伝的にコードされないアミノ酸のセレクターコドンに応じたタンパク質への効率的な組込み、および好適な反応性の分子を用いたこれらのアミノ酸の一連の修飾を含むタンパク質を、他の分子に連結することに関する。ここで、遺伝的にコードされないアミノ酸としては、これらに限定されないが、天然に組み込まれる20のアミノ酸に見られない官能基または置換基(これらに限定されないが、ケトン、アジドまたはアセチレン部分が挙げられる。またここで、他の分子としては、これらに限定されないが、ポリマー、リンカーまたは生物学的に活性な分子が挙げられる。組み込まれると、それから、アミノ酸側鎖は、非天然にコードされるアミノ酸に存在する特定の官能基または置換基にとって好適であると当業者に知られる、化学方法論を利用することによって修飾され得る。多種多様な公知の化学方法論が、水溶性ポリマーをタンパク質に組み込むために、本発明における使用にとって好適である。当該方法論としては、これに限定されないが、ヒュイゲン[3+2]付加環化反応(これらに限定されないが、アセチレン誘導体またはアジド誘導体のそれぞれとの、ヒュイゲン[3+2]付加環化反応が挙げられる)が挙げられる(例えば、Padwa, A. in Comprehensive Organic Synthesis, Vol. 4, (1991) Ed. Trost, B. M., Pergamon, Oxford, p. 1069-1109;およびHuisgen, R. in 1,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry, (1984) Ed. Padwa, A., Wiley, New York, p. 1-176を参照すればよい)。
ヒュイゲン[3+2]付加環化法が求核置換反応よりむしろ付加環化に関するので、タンパク質は非常に高い選択性をともなって修飾され得る。反応は、室温および水性条件において、非常に良好な位置選択性(1,4>1,5)をともなって、反応混合物に触媒量のCu(I)塩を添加することによって実施され得る。例えば、Tornoe, et al., (2002) J. Org. Chem. 67:3057-3064; and, Rostovtsev, et al., (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41:2596-2599および国際公開第03/101972号パンフレットを参照すればよい。[3+2]付加環化を介して本発明のタンパク質に加えられ得る分子としては、好適な官能基または置換基(これらに限定されないが、アジド誘導体またはアセチレン誘導体が挙げられる)を有する実質的に任意の分子が挙げられる。これらの分子は、アセチレン基またはアジド基を有する非天然アミノ酸のそれぞれに対して加えられ得る。アセチレン基を有する非天然アミノ酸としては、これに限定されないが、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンが挙げられる。アジド基を有する非天然アミノ酸としては、これに限定されないが、p−アジド−フェニルアラニンが挙げられる。
ヒュイゲン[3+2]付加環化から生じる5員環は、還元性環境において一般的に不可逆的であり、水性環境において長期間にわたって加水分解に対して安定である。結果として、多種多様な物質の物理的および化学的な特性が、本発明の活性PEG誘導体をともなう厳しい水性条件において修飾され得る。さらに重要なことに、アジド部分およびアセチレン部分が互いに特異的である(そして、例えば遺伝的にコードされる一般的な20のアミノ酸のいずれとも反応しない)ので、タンパク質は非常に高い選択性をともなって1つ以上の特定の部位において修飾され得る。
また、本発明は、PEG誘導体の加水分解に対して安定な水溶性の誘導体を提供し、1つ以上のアセチレン部分またはアジド部分を有する親水性ポリマーに関する。アセチレン部分を含有するPEGポリマー誘導体は、セレクターコドンに応じてタンパク質に選択的に導入されているアジド部分と結合する高い選択性を有する。同様に、アジド部分を含有するPEGポリマー誘導体は、セレクターコドンに応じてタンパク質に選択的に導入されているアセチレン部分と結合する高い選択性を有する。
より詳細には、アジド部分は、これらに限定されないが、アルキルアジド、アリールアジドおよびこれらのアジドの誘導体を包含する。アルキルアジドおよびアリールアジドの誘導体は、アセチレン特異的な反応性が維持される限りにおいて、他の置換基を含み得る。アセチレン部分は、アルキルアセチレン、アリールアセチレンおよびそれぞれの誘導体を包含する。アルキルアセチレンおよびアリールアセチレンの誘導体は、アジド特異的な反応性が維持される限りにおいて、他の置換基を含み得る。
本発明は、他の物質(これらに限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;放射性核種;細胞毒性化合物;薬物;親和性標識;光親和性標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似物;抗体もしくは抗体断片;金属キレート剤;補足因子;脂肪酸;含水炭素;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;糖鎖;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;抑制性リボ核酸;生体適合物質;ナノ粒子;スピン標識;蛍光団;金属含有部分;放射性部分;新規な官能基;他の分子と共有的にかもしくは非共有的に相互作用する基;光ケージド部分;化学線励起部分;光異性体化可能な部分;ビオチン;ビオチン類似物;ビオチン類似物;重元素を組み込む部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;延長された側鎖;炭素結合型の糖;酸化還元的に活性な物質;アミノチオ酸;毒性部分;同位体的標識部分;生物物理学的なプローブ;リン光基;化学発光基;電子高密度基;磁性基;挿入基;発色団;エネルギー転移物質;生物学的に活性な物質;検出可能な標識;小分子;量子ドット;ナノ伝達物質;放射性ヌクレオチド;中性子捕獲物質;または上述のものの任意の組合せ、もしくは他に所望される任意の化合物もしくは物質が挙げられる)との、多種多様な官能基、置換基または部分を有する物質の接合物を提供する。また、本発明は、対応するアセチレンまたはアジド部分を有するPEGポリマー誘導体との、アジドまたはアセチレン部分を有する物質の接合物を包含する。例えば、アジド部分を含有するPEGポリマーは、アセチレン官能性基を有する遺伝的にコードされないアミノ酸を含有するタンパク質における位置において、生物学的に活性な分子に対いて連結され得る。PEGおよび生物学的に活性な分子が連結される結合としては、これに限定されないが、ヒュイゲン[3+2]付加環化産物が挙げられる。
PEGを用いて生体材料の表面を修飾し得ることは、当該技術において十分に確立されている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,610,281号明細書;Mehvar, R., J. Pharm Pharm ScL, 3(1):125-136 (2000)を参照すればよい。また、本発明は、1つ以上のアジド反応性部位もしくはアセチレン反応性部位を有する表面、およびヒュイゲン[3+2]付加環化結合を介して当該表面に結合されている本発明のアジドもしくはアセチレン含有ポリマーを備えている生体材料を含む。また、生体材料および他の物質は、アジド結合またはアセチレン結合以外の結合を介してアジドまたはアセチレン活性化ポリマーに対して結合され得る。当該結合は、例えば、後の反応に利用可能なアジド部分またはアセチレン部分を残しておくための、カルボン酸、アミン、アルコールまたはチオール部分を含んでいる結合である。
本発明は、本発明のアジド含有ポリマーおよびアセチレン含有ポリマーを合成する方法を包含する。アジド含有PEG誘導体の場合には、アジドは、ポリマーの炭素原子に対して直接に結合され得る。他の方法として、アジド含有PEG誘導体は、生成されるポリマーがその末端にアジド部分を有するように、1つの末端にアジド部分を有する連結剤を従来の活性化ポリマーに連結させることによって調製され得る。アセチレン含有PEG誘導体の場合には、アセチレンは、ポリマーの炭素原子に対して直接に結合され得る。他の方法として、アセチレン含有PEG誘導体は、生成されるポリマーがその末端にアセチレン部分を有するように、1つの末端にアセチレン部分を有する連結剤を従来の活性化ポリマーに連結させることによって調製され得る。
より詳細には、アジド含有PEG誘導体の場合には、少なくとも1つの活性ヒドロキシ部分を有する水溶性ポリマーは、より反応性の高い部分を有する置換ポリマーを生成するための反応を受ける。より反応性の高い部分は、例えば、水溶性ポリマー上にあるメシレート基、トレシレート基、トシレート基またはハロゲン離脱基である。ハロゲン化スルフォニル酸、ハロゲンおよび他の離脱基を含有するPEG誘導体の調製および使用は、当業者にとって公知である。それから、生成される置換ポリマーは、ポリマーの末端においてアジド部分をより反応性の高い部分に置換するための反応を受ける。他の方法としては、少なくとも1つの活性な求核部分または求電子部分を有する水溶性ポリマーは、1つの末端にアジド部分を有する連結剤との反応を受ける。当該連結剤は、1つの末端にアジド部分を有しているので、PEGポリマーと連結剤との間に共有結合が形成され、アジド部分がポリマーの末端に配置されることを可能にする。求核部分および求電子部分は当業者に公知であり、これらとしては、アミン、チオール、ヒドラジド、ヒドラジン、アルコール、カルボン酸塩、アルデヒド、ケトンおよびチオエステルなどが挙げられる。
より詳細には、アセチレン含有PEG誘導体の場合には、少なくとも1つの活性なヒドロキシ部分を有する水溶性ポリマーは、アセチレン部分を含有する前駆体からハロゲンまたは活性な離脱基を置換するための反応を受ける。他の方法としては、少なくとも1つの活性な求核部分または求電子部分を有する水溶性ポリマーは、1つの末端にアセチレン部分を有する連結剤との反応を受ける。当該連結剤は、1つの末端にアセチレン部分を有しているので、PEGポリマーと連結剤との間に共有結合が形成され、アセチレン部分がポリマーの末端に配置されることを可能にする。PEG誘導体の有機合成、調製および使用に関する、ハロゲン部分、活性化脱離基、求核部分および求電子部分の使用は、当該分野において十分に確立されている。
また、本発明は、修飾されたタンパク質に他の物質を加えるためにタンパク質を選択的に修飾する方法を提供する。他の物質としては、これに限定されないが、水溶性ポリマー(例えば、アジド部分もしくはアセチレン部分を含有するPEGおよびPEG誘導体)が挙げられる。アジド含有PEG誘導体およびアセチレン含有PEG誘導体を使用して、表面を修飾し得、分子の特性を調節し得る。ここで、当該特性としては、生体利用効率、安定性、溶解性および欠失した免疫原性が重要である。同時に、タンパク質に対してPEG誘導体をより選択的に連結させる手段は、当該技術において以前から公知であった。
<II.インターフェロンβ>
IFNβの市販の調製物は、多発性硬化症の症状の増悪速度を遅らせるために有効であることが示されており、より多くの患者が、プラシーボ処理の患者と比べて長期にわたって増悪しない状態を維持する。さらに、障害の蓄積速度が低下する(Neurol. 51 :682-689, 1998)。現在3つの製品が、ベータセロン(登録商標)(インターフェロンβ1b、非糖鎖付加であり、組換え細菌細胞を用いて製造されており、N末端メチオニンの欠失およびC17S変異を有している)、ならびにアボネックス(登録商標)およびレビフ(登録商標)(インターフェロンβ1a、糖鎖付加されており、組換え哺乳類細胞を用いて製造されている)の名称において販売されている。
さらに多くのIFNファミリーが将来において発見されると思われる。IFNファミリーの新たなメンバーは、予想されるタンパク質配列のコンピュータ支援の2次および三次構造分析を介して、さらに特定の標的に結合する分子を同定するために設計された選択技術によって、同定され得る。
したがって、IFNファミリーの記載は、例示的な目的およびほんの一例として与えられ、本明細書に記載の方法、組成物、戦略および技術の範囲を制限するものではない。さらに、本願におけるIFNに対する言及は、IFNファミリーに属する任意のメンバーの例のような総称を使用することを意図される。したがって、IFNβポリペプチドまたはIFNβタンパク質に関して記載されている修飾および化学的性質は、IFNファミリーに属するメンバーのいずれ(本明細書に特に記載のものが挙げられる)に対しても等しく適用されることが理解される。
<III.本発明とともに使用する一般的な組み換え核酸法>
本発明の多くの実施形態において、所定のIFNβポリペプチドをコードする核酸は、単離され、クローン化され、しばしば組換え法を用いて変更される。当該実施形態は、これらに限定されないが、IFNβポリペプチドから得られるバリアント、誘導体、発現カセット、または他の配列の、タンパク質発現または生成の間を含めて使用される。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする配列は、異種のプロモータに対して作動可能に連結される。
非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、親ポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて合成され得る(これに限定されないが、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有し、それから関連する(複数の)アミノ酸残基の導入(すなわち、組み込みまたは置換)または除去(すなわち、欠失または置換)をもたらすようにヌクレオチド配列を変えている、が挙げられる)。ヌクレオチド配列は、従来の方法に従った部位特異的な変異生成によって簡便に修飾され得る。代替可能に、ヌクレオチド配列は、化学合成(これらに限定されないが、オリゴヌクレオチド合成機を用いること、および好ましくは組換えポリペプチドが産生される宿主細胞に好まれるこれらのコドンを選択すること、が挙げられる)によって調製され得る(ここで、オリゴヌクレオチドは、所望のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいて設計される)。例えば、所望のポリペプチドの部分をコードする種々の小さなオリゴヌクレオチドが、合成され得、PCR、ライゲーションまたはライゲーション鎖反応によって集められ得る。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Barany, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 88: 189-193 (1991) ;米国特許第6,521,427号明細書を参照すればよい。
本発明は、組換え遺伝学の分野における通常の技術を利用する。本発明において使用する一般的な方法を開示する基本的な教科書としては、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual (3rd ed. 2001);Kriegler, Gene Transfer and Expression: A Laboratory Manual (1990);およびCurrent Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds., 1994))が挙げられる。
分子生物学的な技術について記載している一般的な教科書としては、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger);Sambrook et al., Molecular Cloning - A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vol. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989 (“Sambrook”)およびCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (supplemented through 1999) (“Ausubel”))が挙げられる。これらの教科書は、変異生成、ベクター、プロモータおよび他の関連性のある多くの原理(これらに限定されないが、非天然アミノ酸、直交性のtRNA、直交性のシンセターゼ、およびこれらの対を含むタンパク質産生用のセレクターコドンを含む、遺伝子またはポリヌクレオチドの生成と関連性のあるもの、が挙げられる)の利用について記載している。
多様な種類の変異生成が、本発明において種々の目的に使用される。当該目的としては、これらに限定されないが、シンセターゼをコードするポリヌクレオチドを変異させること、tRNAのライブラリを産生すること、シンセターゼのライブラリを産生すること、セレクターコドンを産生すること、所定のタンパク質またはポリペプチドにおける非天然アミノ酸をコードするセレクターコドンを挿入することが挙げられる。変異生成としては、これらに限定されないが、部位特異的変生成、無作為点変異生成、相同性組換え、DNAシャッフリングもしくは他の反復的な変異生成法、キメラ構築、鋳型を含有するウラシルを用いた変異生成、オリゴヌクレオチド特異的変異生成、ホスホロチオネート修飾DNA変異生成、もしくはギャップ2本鎖DNAを用いた変異生成など、PCT媒介変異生成、またはこれらの任意の組合わせが挙げられる。付加的な好適な方法としては、点不一致対、修復欠失宿主株を用いた変異生成、制限選択および制限精製、欠失変異生成、全体の遺伝子合成による変異生成、ならびに2本鎖切断修復などが挙げられる。また、これに限定されないが、キメラ構築に関する変異生成が本発明に包含される。1つの実施形態において、変異生成は、天然に存在する分子、または変更されるかもしくは変異された天然に存在する分子の公知の情報(これらに限定されないが、配列、配列比較、物理的性質、2次、3次もしくは4次の構造、または結晶構造などが挙げられる)よって導かれ得る。
本明細書に見られる教科書および例は、これらの手法について記載している。付加的な情報は、以下の公刊物および引用文献:Ling et al., Approaches to DNA mutagenesis: an overview, Anal Biochem. 254(2): 157-178 (1997);Dale et al., Oligonucleotide-directed random mutagenesis using the phosphorothioate method, Methods Mol. Biol. 57:369-374 (1996) ;Smith, In vitro mutagenesis, Ann. Rev. Genet. 19:423-462 (1985);Botstein & Shortle, Strategies and applications of in vitro mutagenesis, Science 229:1193-1201 (1985);Carter, Site-directed mutagenesis, Biochem. J. 237:1-7 (1986) ;Kunkel, The efficiency of oligonucleotide directed mutagenesis, in Nucleic Acids & Molecular Biology (Eckstein, F. and Lilley, D.M.J. eds., Springer Verlag, Berlin) (1987);Kunkel, Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492 (1985);Kunkel et al., Rapid and efficient site-specific mutagenesis without phenotypic selection, Methods in Enzymol. 154, 367-382 (1987);Bass et al., Mutant Trp repressors with new DNA-binding specificities, Science 242:240-245 (1988);Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis using M13-derived vectors: an efficient and general procedure for the production of point mutations in any DNA fragment, Nucleic Acids Res. 10:6487-6500 (1982);Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis of DNA fragments cloned into M13 vectors, Methods in Enzymol. 100:468-500 (1983);Zoller & Smith, Oligonucleotide-directed mutagenesis: a simple method using two oligonucleotide primers and a single-stranded DNA template, Methods in Enzymol. 154:329-350 (1987);Taylor et al., The use of phosphorothioate-modified DNA in restriction enzyme reactions to prepare nicked DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8749-8764 (1985) ;Taylor et al., The rapid generation of oligonucleotide-directed mutations at high frequency using phosphorothioate-modified DNA, Nucl. Acids Res. 13: 8765-8785 (1985) ;Nakamaye & Eckstein, Inhibition of restriction endonuclease Nci I cleavage by phosphorothioate groups and its application to oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 14: 9679-9698 (1986) ;Sayers et al., 5’-3’ Exonucleases in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis, Nucl. Acids Res. 16:791-802 (1988) ;Sayers et al., Strand specific cleavage of phosphorothioate-containing DNA by reaction with restriction endonucleases in the presence of ethidium bromide, (1988) Nucl. Acids Res. 16: 803-814;Kramer et al., The gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed mutation construction, Nucl. Acids Res. 12: 9441-9456 (1984) ;Kramer & Fritz Oligonucleotide-directed construction of mutations via gapped duplex DNA, Methods in Enzymol. 154:350-367 (1987);Kramer et al., Improved enzymatic in vitro reactions in the gapped duplex DNA approach to oligonucleotide-directed construction of mutations, Nucl. Acids Res. 16: 7207 (1988) ;Fritz et al., Oligonucleotide-directed construction of mutations: a gapped duplex DNA procedure without enzymatic reactions in vitro, Nucl. Acids Res. 16: 6987-6999 (1988) ;Kramer et al., Different base/base mismatches are corrected with different efficiencies by the methyl-directed DNA mismatch-repair system of E. coil, Cell 38:879-887 (1984) ;Carter et al., Improved oligonucleotide site-directed mutagenesis using M13 vectors, Nucl. Acids Res. 13: 4431-4443 (1985) ;Carter, Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors, Methods in Enzymol. 154: 382-403 (1987);Eghtedarzadeh & Henikoff, Use of oligonucleotides to generate large deletions, Nucl. Acids Res. 14: 5115 (1986) ;Wells et al., Importance of hydrogen-bond formation in stabilizing the transition state of subtilisin, Phil. Trans. R. Soc. Lond. A 317: 415-423 (1986);Nambiar et al., Total synthesis and cloning of a gene coding for the ribonuclease S protein, Science 223: 1299-1301 (1984);Sakmar and Khorana, Total synthesis and expression of a gene for the alpha-subunit of bovine rod outer segment guanine nucleotide-binding protein (transducin), Nucl. Acids Res. 14: 6361-6372 (1988) ;Wells et al., Cassette mutagenesis: an efficient method for generation of multiple mutations at defined sites, Gene 34:315-323 (1985) ;Grundstrom et al., Oligonucleotide-directed mutagenesis by microscale 'shot-gun' gene synthesis, Nucl. Acids Res. 13: 3305-3316 (1985) ;Mandecki, Oligonucleotide-directed double-strand break repair in plasmids of Escherichia coli: a method for site-specific mutagenesis, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:7177-7181 (1986) ;Arnold, Protein engineering for unusual environments, Current Opinion in Biotechnology 4:450-455 (1993) ;Sieber, et al., Nature Biotechnology, 19:456-460 (2001) ;W. P. C. Stemmer, Nature 370, 389-91 (1994) ;およびI. A. Lorimer, I. Pastan, Nucleic Acids Res. 23, 3067-8 (1995) に見出される。上述の方法に関する付加的な詳細は、種々の変異生成方法に伴う問題を解決する有用な管理についても記載している、Methods in Enzymology Volume 154に見出され得る。
オリゴヌクレオチド(例えば、本発明の変異生成(例えば、シンセターゼのライブラリを変異すること、またはtRNAを変えること)に利用する)は、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Letts. 22(20):1859-1862, (1981) に記載されている固相ホスホラミダイトトリエステル法にしたがって(例えば、Needham-VanDevanter et al., Nucleic Acids Res., 12:6159-6168 (1984)に記載されているような自動化合成機を用いて)、典型的に化学合成される。
また、本発明は、直交性のtRNA/RS対を介した非天然アミノ酸のインビボにおける組み込み用の、真核生物宿主細胞、非真核生物宿主細胞、および生体に関する。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明のポリヌクレオチドを含む構築物(これに限定されないが、クローニングベクターまたは発現ベクターであり得る本発明のベクターが挙げられる)を用いて、遺伝的に改変される(これらに限定されないが、形質転換されるか、形質導入されるか、またはトランスフェクトされる、が挙げられる)。例えば、直交性のtRNA、直交性のtRNAシンセターゼ、および誘導体化されるタンパク質に関するコーディング領域は、所望の宿主細胞において機能的な遺伝子発現制御エレメントに対して作動可能に連結される。ベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ファージ、細菌、ウイルス、裸のポリヌクレオチド、または接合されたポリヌクレオチドの形態であり得る。ベクターは、標準的な方法(エレクトロポレーション(Fromm et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 5824 (1985) )、ウイルスベクターによる感染、および/または小さなビーズもしくは粒子のマトリクスの内部、または表面のいずれかに核酸を有する小粒子による高速弾丸侵入(high velocity ballistic penetration)(Klein et al., Nature 327, 70-73 (1987) )などが挙げられる)によって細胞および/または微生物に導入される。インビトロにおける細胞内への核酸の移入に好適な技術としては、リポソームの微量注入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈降法などが挙げられる。インビボ遺伝子移入技術としては、これらに限定されないが、ウイルスベクター(一般にレトロウイルス)を用いたトランスフェクションおよびウイルス被覆リポソーム媒介トランスフェクションが挙げられる(Dzau et al., Trends in Biotechnology 11 :205-210 (1993))。いくつかの状況において、標的細胞を標的化する試薬(例えば、細胞表面膜タンパク質または標的細胞に特異的な抗体、標的細胞上における受容体にとってのリガンド)を有する核酸の供給源を提供することが所望され得る。リポソームが採用される場合、エンドサイトーシスに関連する細胞表面膜タンパク質と結合するタンパク質が、標的化および/または取り込みの容易化のために使用され得る。当該タンパク質は、例えば、特定の細胞種に向性を有するカプシドタンパク質またはこれらの断片、循環に吸収されるタンパク質に対する抗体、細胞内局在を標的化し、細胞内半減期を向上させるタンパク質である。
改変された宿主細胞は、例えば、スクリーニング段階、プロモータの活性化または形質転換体の選択といった活性に適するように修飾された、従来の培養液において培養され得る。これらの細胞は、遺伝子導入生体において任意に培養され得る。他の有用な参考文献(これらに限定されないが、細胞の単離および培養にとって(例えば、後の核酸単離にとって)の、が挙げられる)としては、Freshney (1994) Culture of Animal Cells, a Manual of Basic Technique, third edition, Wiley- Liss, New York およびこれに引用されている参考文献;Payne et al. (1992) Plant Cell and Tissue Culture in Liquid Systems John Wiley & Sons, Inc. New York, NY;Gamborg and Phillips (eds.) (1995) Plant Cell, Tissue and Organ Culture;Fundamental Methods Springer Lab Manual, Springer-Verlag (Berlin Heidelberg New York)ならびにAtlas and Parks (eds.) The Handbook of Microbiological Media (1993) CRC Press, Boca Raton, FLが挙げられる。
標的の核酸を細胞に導入する種々のよく知られる方法が、本発明に使用される任意の方法に利用可能である。これらとしては、DNAを含有する細菌の原形質体との受容細胞の融合、エレクトロポレーション、粒子衝撃法(projectile bombardment)、およびウイルスベクターを用いた感染(以下にさらに論じられている)などが挙げられる。細菌細胞は、本発明のDNA構築物を含有するプラスミドの数を増幅するために使用され得る。細菌は、対数期まで増殖され、細菌内におけるプラスミドは、当該技術において公知の種々の方法(例えば、実際には、Sambrookを参照すればよい)によって単離され得る。さらに、細菌からのプラスミドの精製にとってのキットは、市販されている(例えば、いずれもファルマシア バイオテック(Pharmacia Biotech)から得られるイージープレップ(EasyPrep)(商標)、フレキシプレップ(FlexiPrep)(商標);ストラタジーン(Stratagene)から得られるストラタクリーン(StrataClean)(商標);およびキアゲン(Qiagen)から得られるキアプレップ(QIAprep)(商標))。それから、単離されかつ精製されたプラスミドは、さらに操作されて他のプラスミドを産生するか、細胞のトランスフェクトに使用されるか、または関連するベクターに組み込まれて生体に感染させられる。典型的なベクターは、特定の標的核酸の発現の制御に有用な、転写ターミネータおよび翻訳ターミネータ、転写開始配列および翻訳開始配列、ならびにプロモータを含む。ベクターは、少なくとも1つの独立したターミネータ配列を含有する遺伝的な発現カセット、真核生物もしくは原核生物もしくはこの両方におけるカセットの複製を可能にする配列(これに限定されないが、シャトルベクターが挙げられる)、および原核生物系もしくは真核生物系の両方にとっての選択マーカーを任意に包含する。ベクターは、原核生物、真核生物または両方における複製および組み込みに好適である。例えば、Gillam & Smith, Gene 8:81 (1979);Roberts, et al., Nature, 328:731 (1987); Schneider, E., et al., Protein Expr. Purif. 6(1):10-14 (1995);Ausubel, Sambrook, Berger (すべて上述されている)を参照すればよい。クローニングに有用な細菌およびバクテリオファージのカタログは、例えば、ATCCによって提供される(例えば、ATCCによって公開されるThe ATCC Catalogue of Bacteria and Bacteriophage (1992) Gherna et al. (eds))。また、配列決定、クローニング、および分子生物の他の局面に関する付加的な基本的な手法ならびに基礎になる論理的な考察は、Watson et al. (1992) Recombinant DNA Second Edition Scientific American Books, NYに見出される。さらに、実質的に任意の核酸(および実質的に任意の標識核酸)は、任意の多様な市販の出所(例えば、ザ ミッドランド サーティファイド リエージェント カンパニー(the Midland Certified Reagent Company)(ミッドランド(Midland)、TX、ワールドワイドウェブのmcrc.comにおいて利用可能である)、ザ グレート アメリカン ジーン カンパニー(The Great American Gene Company)(ロマーナ(Ramona)、CA、ワールドワイドウェブのgenco.comにおいて利用可能である)、エクスプレスジーン インク(ExpressGen Inc.)(シカゴ(Chicago)、IL、ワールドワイドウェブのexpressgen.comにおいて利用可能である)、オペロン テクノロジーズ インク(Operon Technologies Inc.)(アラメダ(Alameda)、CA)および多くの他社)から、特別にまたは通常に注文され得る。
(セレクターコドン)
本発明のセレクターコドンは、タンパク質の生合成機構の遺伝学的なコドンの枠組みを拡張する。例えば、セレクターコドンとしては、固有の3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えば、ストップコドン(アンバーコドン(UAG)、オーカーコドン、またはオパールコドン(UGA)が挙げられるが、これらに限定されない))、非天然コドン、4塩基以上のコドン、またはレアコドン(rare codon)などが挙げられるが、これらに限定されない。所望の遺伝子またはポリヌクレオチドに導入され得るセレクターコドンの数が、広範である(少なくともIFNβポリペプチドの部分を少なくともコードする単一のポリヌクレオチドにおける1以上、2以上、3以上、4、5、6、7、8、9、10以上が挙げられるが、これらに限定されない)ことは、当業者にとってただちに明らかである。
1つの実施形態において、方法は、インビボにおける1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みに用のストップコドンである、セレクターコドンの使用に関する。例えば、ストップコドン(UAGが挙げられるが、これに限定されない)を認識するO−tRNAが産生され、所望の非天然アミノ酸と共にO−RSによってアミノアシル化される。このO−tRNAは、天然に存在する宿主のアミノアシル−tRNAシンセターゼによって認識されない。従来の部位特異的な突然変異生成は、所定のポリペプチドにおける所定の部位に対するストップコドン(TAGが挙げられるが、これに限定されない)の導入に使用され得る。例えば、Sayers, J.R.,ら (1988), 5'-3' Exonuclease in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis. Nucleic Acids Res. 16:791-802を参照すればよい。O−RS、O−tRNAおよび所定のポリペプチドをコードする核酸がインビボにおいて組み合せられると、非天然アミノ酸がUAGコドンに応じて組み込まれて、特定の位置に非天然アミノ酸を含有するポリペプチドを生じさせる。
非天然アミノ酸のインビボにおける組込みは、宿主細胞を大きく乱すことなくなされ得る。例えば、UAGコドンの抑制効率が、O−tRNA(これに限定されないが、アンバーサプレッサtRNAが挙げられる)と、(ストップコドンに対して結合し、リボソームからの成長しつつあるペプチドの放出を開始する)真核細胞放出因子(これに限定されないが、eRFが挙げられる)との間の競合に依存するので、抑制効率は、これらに限定されないが、O−tRNAおよび/またはサプレッサtRNAの発現レベルを増強することによって、調節され得る。
また、非天然アミノ酸は、レアコドンを用いてコードされ得る。例えば、インビボタンパク質合成反応においてアルギニン濃度が低下すると、レアアルギニンコドンであるAGGは、アラニンと共にアシル化される合成tRNAによるAlaの挿入に有効であることが証明されている。例えば、Ma et al., Biochemistry. 32:7939 (1993)を参照すればよい。この場合において、合成tRNAは、エシェリキア コリにおいて微量種として天然に存在するtRNAArgと競合する。いくつかの生体は、トリプレットコドンのすべてを使用しない。ミクロコッカス ルテウスにおける割り当てのないコドンAGAは、インビトロの転写/翻訳の抽出物におけるアミノ酸の挿入に利用されている。例えば、owal and Oliver, Nucl. Acid. Res.. 25:4685 (1997) を参照すればよい。本発明の構成要素は、インビボにおいてこれらのレアコドンを使用するために生成され得る。
また、セレクターコドンは、拡張されたコドン(4以上の塩基コドン(例えば、4、5、6以上の塩基コドン)が挙げられるが、これらに限定されない)を備える。4塩基コドンの例としては、AGGA、CUAG、UAGA、およびCCCUなどが挙げられるが、これらに限定されない。5塩基コドンの例としては、AGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、およびUAGGCなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法および組成物の特徴は、フレームシフト抑圧に基づいて延長されたコドンの使用を含む。4以上の塩基コドンは、同じタンパク質に1つまたは複数の非天然アミノ酸(例として挙げられるが、これらに限定されない)を挿入可能である。例えば、突然変異されたO−tRNA(特別なフレームシフトサプレッサtRNAが挙げられるが、これに限定されない)の存在下において、アンチコドンループ(少なくとも8−10ntのアンチコドンループが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、4以上の塩基コドンが単一のアミノ酸として読まれる。他の実施形態において、アンチコドンループは、少なくとも4塩基コドン、少なくとも5塩基コドン、または少なくとも6塩基コドン(例として挙げられるが、これらに限定されない)を翻訳可能である。見込みのある4塩基コドンが256あるので、複数の非天然アミノ酸は、4以上の塩基コドンを用いて、同じ細胞において翻訳され得る。Anderson et al, (2002) Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size, Chemistry and Biology. 9:237-244;Magliery, (2001) Expanding the Genetic Code: Selection of Efficient Suppressors of Four-base Codons and Identification of "Shifty" Four-base Codons with a Library Approach in Escherichia coli, J. MoI. Biol. 307: 755-769を参照すればよい。
例えば、4塩基コドンは、インビトロ生合成方法を用いた、タンパク質への非天然アミノ酸の組込みに使用されている。例えば、Ma et al, (1993) Biochemistry. 32:7939、およびHohsaka et al, (1999) L Am. Chem. Soc. 121: 34を参照すればよい。CGGGおよびAGGUは、化学的にアシル化された2つのフレームシフトサプレッサtRNAを用いて、インビトロにおいて、ストレプトアビジンに2−ナフチルアラニンおよびリジンNBD誘導体を同時に組み込むために使用された。例えば、Hohsaka et al, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121: 12194を参照すればよい。インビボにおける研究において、Moore et alは、NCUAアンチコドンを有するtRNALeu誘導体のUAGNコドン(NはU、A、GまたはCであり得る)を抑圧する能力を試験し、クワドルプレットUAGAが、0または−1フレームの状態に少なく翻訳して、13から26%効率において、UCUAアンチコドンを有するtRNALeuによって翻訳され得ることを見出した。例えば、Moore et al, (2000) J. MoI. Biol., 298:195を参照すればよい。1つの実施形態において、レアコドンまたはナンセンスコドンに基づいて延長されたコドンは、読み過ごしのミスセンス、および他の不要な部位におけるフレームシフト抑圧を低減し得る本発明の方法および組成物に、使用され得る。
また、所定の系に関して、内在性の系が天然塩基コドンを使用しない(またはまれにしか使用しない)場合に、セレクターコドンは、天然の3塩基コドンの1つを含むことができる。例えば、これとしては、天然の3塩基コドンを認識するtRNAを欠如している系、および/または3塩基コドンがレアコドンである系が挙げられる。
セレクターコドンは非天然塩基対を任意に含む。これらの非天然塩基対は、存在する遺伝子アルファベットをさらに拡張する。追加の塩基対の1つは、64から125までトリプレットの数を増加させる。第3の塩基対の性質の例としては、安定かつ選択的な塩基対形成、ポリメラーゼによる高い忠実度を伴ったDNAへの効率的な酵素的組み込み、および新生の非天然塩基対の合成後における効率的な連続するプライマー伸張が挙げられる。方法および組成物に適合し得る非天然塩基対の記述の例としては、例えば、Hirao et al, (2002) An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein, Nature Biotechnology, 20:177-182が挙げられる。また、Wu, Y., et al, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:14626-14630を参照すればよい。他の関連する刊行物は、以下に載せられている。
インビボにおける使用法に関して、非天然ヌクレオシドは、膜透過性であり、リン酸化されて対応する3リン酸塩を形成する。その上に、増加した遺伝情報は、安定であり、細胞性の酵素によって破壊されない。Bennerおよびその他によるこれまでの試みは、もっとも注目すべき例であるイソ−C:イソ−G対という、基準のWatson-Crick対における水素結合様式とは異なる、水素結合様式を巧く活用した。例えば、Switzer et al, (19S9) J. Am. Chem. Soc, 11 1 :8322;およびPiccirilli et al, (1990) Nature, 343:33;Kool, (2000) Curr. 0 Opin. Chem. Biol., 4:602を参照すればよい。これらの塩基は、通常、ある程度まで天然塩基と誤対合し、酵素的に修復され得ない。Koolおよび共同研究者は、塩基間の疎水性パッキング相互作用(hydrophobic packing interactions)が水素結合と入れ替わって、塩基対の形成を生じることができることを証明した。例えば、Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602、およびGuckian and Kool, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 2825を参照すればよい。上述した条件のすべてを満たす非天然塩基対を開発する試みにおいて、Schultz、Romesbergおよび共同研究者らは、一連の非天然疎水性塩基を体系的に合成し、研究している。PICS:PICS自己対は、天然塩基対より安定であることが見出されており、Escherichia coliのDNAポリメラーゼ Iのクレノー酵素(Klenow fragment)(KF)によって、DNAに効率的に組み込まれ得る。例えば、McMinn et al, (1999) J. Am. Chem. Soc. 121: 11585-6;およびOgawa et al, (2000) J. Am. Chem. Soc. 122:3274;を参照すればよい。3MN:3MN自己対は、生物学的機能に対して十分な効率性および選択性を伴って、KFによって合成され得る。例えば、Ogawa et al, (2000) J. Am. Chem. Soc, 122:8803を参照すればよい。しかし、両方の塩基は、さらなる複製に対してターミネータとして作用する。近年、突然変異体DNAポリメラーゼは、PICS:PICS自己対の複製に使用され得るように、発展されている。その上に、7AI自己対は複製され得る。例えば、Tae et al, (2001) J. Am. Chem. Soc. 123:7439を参照すればよい。また、Cu(II)との結合によって安定な対を形成する新規な金属塩基対であるDipic:Pyが、開発されている。例えば、Meggers et al, (2000) J. Am. Chem. Soc 122:10714を参照すればよい。拡張されたコドンおよび非天然コドンが、天然コドンに対して本来的に直交性であるので、本発明の非天然アミノ酸に関する方法は、この性質を活かして非天然アミノ酸用の直交性のtRNAを生成し得る。
また、翻訳回避系(translational bypassing system)が、所望のポリペプチドにおける非天然アミノ酸の組み込みに使用され得る。翻訳回避系において、大きな配列が遺伝子に組み込まれるが、タンパク質に翻訳されない。当該配列は、リボソームに当該配列を跳び越えさせ、挿入の下流にある翻訳を再開させる合図としての機能を果たす構造を含む。
ある種の実施形態において、本発明の方法および/または組成物における所定のタンパク質またはポリペプチド(またはこれらの一部)は、核酸によってコードされている。典型的に、核酸は、少なくとも1つのセレクターコドン、少なくともつ2のセレクターコドン、少なくとも3つのセレクターコドン、少なくとも4つのセレクターコドン、少なくとも5つのセレクターコドン、少なくとも6つのセレクターコドン、少なくとも7つのセレクターコドン、少なくとも8つのセレクターコドン、少なくとも9つのセレクターコドン、少なくとも10またはそれ以上のセレクターコドンを備える。
所定のタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子は、例えば、非天然アミノ酸を組込むための1つ以上のセレクターコドンを含めるために、当業者に公知の方法、および本明細書に記載されている方法を用いて、突然変異生成され得る。例えば、所定のあるタンパク質に関する核酸は、1つ以上の非天然アミノ酸の組み込みを提供する1つ以上のセレクターコドンを含めるために、突然変異される。本発明は、そのようなバリアント(例えば非天然アミノ酸を含む、突然変異体、任意のタンパク質の型が挙げられるが、これらに限定されない)いずれかを含む。また同様に、本発明は、対応する核酸(すなわち、1つ以上の非天然アミノ酸をコードする1つ以上のセレクターコドンを有する核酸)を含む。
所定のタンパク質(例えば、IFNβポリペプチド)をコードする核酸分子は、ポリペプチドの所望される任意の位置にシステインを導入する突然変異を容易にし得る。システインは、反応性分子、水溶性ポリマー、タンパク質、または多種多様な他の分子を、所定のタンパク質に導入するために広く使用される。ポリペプチドの所望の位置へのシステインの組み込みに好適な方法は、当業者に公知であり(例えば、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,608,183号明細書に記載の方法)、標準的な技術である。
<IV.非天然にコードされるアミノ酸>
非常に広範な非天然にコードされるアミノ酸が、本発明における使用に好適である。任意の多様な非天然にコードされるアミノ酸が、IFNβポリペプチドに導入され得る。一般的に、導入された非天然にコードされるアミノ酸は、一般的な20の遺伝的にコードされるアミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン)に対して化学的に、実質的に不活性である。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、一般的な20のアミノ酸に見られない官能基と効率的かつ選択的に反応して安定な接合物を形成する側鎖官能基(これらに限定されないが、アジド、ケトン、アルデヒドおよびアミノオキシ基が挙げられる)を含む。例えば、アジド官能基を含有する非天然にコードされるアミノ酸を含むIFNβポリペプチドは、ポリマー(これに限定されないが、ポリ(エチレングリコール)が挙げられる)、または代替可能に、ヒュイゲン[3+2]付加環化産物を形成するためのアジドおよびアルキン官能基の選択的な反応を結果として生じる安定な接合物を形成するための、アルキン部分を含有する第2のポリペプチドと反応し得る。
α−アミノ酸の一般的な構造は、以下の式I:
Figure 2010525821
のように示される。
非天然にコードされるアミノ酸は、典型的に、上述の式を有する構造のいずれかであり(ここで、R基は20の天然アミノ酸に使用される官能基以外の任意の置換基である)、本発明における利用に好適であり得る。本発明の非天然にコードされるアミノ酸が、側鎖の構造においてのみ天然アミノ酸と典型的に異なるので、非天然にコードされるアミノ酸は、それらが天然に存在するポリペプチドにおいて形成される同じ様式において、他のアミノ酸(これらに限定されないが、天然または非天然にコードされるアミノ酸が挙げられる)とアミド結合を形成する。しかし、非天然にコードされるアミノ酸は、これらを天然のアミノ酸と区別する側鎖基を有する。例えば、Rは、アルキル−、アリール−、アシル−、ケト−、アジド−、ヒドロキシル−、ヒドラジン、シアノ−、ハロ−、ヒドラジド−、アルケニル、アルキル、エーテル、チオール、セレノ−、スルフォニル−、ボレート、ボロネート、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、ヘテロ環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、もしくはアミノ基、またはこれらの組合わせを、任意に備える。本発明における使用に好適であり得る他の所定の非天然に存在するアミノ酸としては、これらに限定されないが、光活性化架橋を備えるアミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規な官能基を有するアミノ酸、他のと共有的または非共有的に相互作用するアミノ酸、光ケージドおよび/または光異性体化アミノ酸、ビオチンまたはビオチン誘導体を備えるアミノ酸、糖置換化セリンといった糖鎖付加アミノ酸、他の炭水化物によって修飾されたアミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコールまたはポリエーテルを備えるアミノ酸、重元素置換アミノ酸、化学的に切断可能なおよび/または光切断可能なアミノ酸、天然アミノ酸と比べて延長された側鎖(これらに限定されないが、ポリエーテルまたは長鎖炭化水素(これらに限定されないが、約5または約10を越える炭素が挙げられる)が挙げられる)を有するアミノ酸、炭素結合型の糖含有アミノ酸、酸化還元的に活性なアミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、ならびに1つ以上の毒性部分を備えるアミノ酸が挙げられる。
本発明における使用に好適であり得、水溶性ポリマーとの反応に有用である例示的な非天然にコードされるアミノ酸としては、これらに限定されないが、カルボニル反応性基、アミノオキシ反応性基、ヒドラジン反応性基、ヒドラジド反応性基、セミカルバジド反応性基、アジド反応性基およびアルキン反応性基を有するアミノ酸が挙げられる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、糖鎖部分を備える。そのようなアミノ酸の例としては、これらに限定されないが、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−ガラクトサミニル−L−セリン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−スレオニン、N−アセチル−L−グルコサミニル−L−アスパラギンおよびO−マンノサミニル−L−セリンが挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例としては、アミノ酸と糖鎖との間に天然に存在するN型またはO型の結合が、自然には通常は見られない共有結合(これらに限定されないが、アルケン、オキシム、チオエーテルおよびアミドなどが挙げられる)によって置換されている場合の例が挙げられる。また、そのようなアミノ酸の例としては、2−デオキシ−グルコース、および2−デオキシガラクトースといった、天然に存在するタンパク質に通常は見られない糖鎖が挙げられる。
本明細書に規定される非天然にコードされるアミノ酸の多くは、市販されている(例えば、シグマアルドリッチ(Sigma-Aldrich)(セントルイス(St.Louis)、MO、USA)、ノババイオケム(Novabiochem)(EMD Biosciences部門、ダームシュタット(Darmstadt)、ドイツ)、またはペプテック(Peptech)(バーリントン(Burlington)、MA、USA)から得られる)。市販されていない非天然にコードされるアミノ酸は、本明細書に規定されているようにか、または当業者にとって公知の標準的な方法を用いて任意に合成される。有機合成技術に関しては、例えば、Organic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.);Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York);およびAdvanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts A and B, 1990, Plenum Press, New York)を参照すればよい。また、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書を参照すればよい。また、新規な側鎖を含有する非天然アミノ酸に加えて、本発明における使用に好適であり得る非天然アミノ酸は、これらに限定されないが、式IIおよびIII:
Figure 2010525821
(ここで、Zは、OH、NH、SH、NH−R’、またはS−R’を典型的に備え;同じかまたは異なり得るXおよびYは、SまたはOを典型的に備え、任意に同じであるか、または異なるRおよびR’は、水素だけでなく式Iを有する非天然アミノ酸に関して上述したR基にとっての置換基の同じ一覧から任意に選択される)
の構造が挙げられる修飾された骨格構造を任意に備える。例えば、本発明の非天然アミノ酸は、式IIおよびIIIによって示されるようなアミノ基またはカルボキシル基において置換基を任意に備える。この種の非天然アミノ酸としては、これらに限定されないが、一般的な20の天然アミノ酸または非天然アミノ酸に対応する側鎖を有する(限定されないが、これらが挙げられる)、α−ヒドロキシ酸、α−チオ酸、α−アミノチオカルボキシレートが挙げられる。さらに、α−炭素における置換基としては、これらに限定されないが、D−グルタメート、D−アラニン、D−メチル−O−チロシン、およびアミノブチル酸などといったL、D、またはα−α−2置換アミノ酸が任意に挙げられる。他の構造的な代替物としては、プロリン類似物ならびに3、4、5、6、7、8および9員環のプロリン類似物といった環状アミノ酸、これらと同様に置換β−アラニンおよびγ−アミノブチル酸といったβおよびγアミノ酸が挙げられる。
多くの非天然アミノ酸は、チロシン、グルタミンおよびフェニルアラニンといった天然アミノ酸に基づいており、本発明における使用に好適である。チロシン類似物としては、これらに限定されないが、置換チロシンが、ケト基(これに限定されないが、アセチル基が挙げられる)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン基、ヒドロキシアミン基、チオール基、カルボキシ基、イソプロピル基、メチル基、C−C20の直鎖状または分枝状の炭化水素、飽和もしくは不飽和の炭化水素、O−メチル基、ポリエーテル基、ニトロ基、またはアルキニル基など(限定されないが、これらが挙げられる)を備える場合の、パラ位置換チロシン、オルト位置換チロシン、およびメタ位置換チロシンが挙げられる。さらにまた、多置換アリール環が意図される。本発明における利用に好適なグルタミン類似物としては、これらに限定されないが、α−ヒドロキシ誘導体、γ−置換誘導体、環状誘導体、およびアミド置換グルタミン誘導体が挙げられる。本発明における利用に好適なフェニルアラニン類似物の例としては、これらに限定されないが、置換基が、ヒドロキシ基、メトキシ基、メチル基、アリル基、アルデヒド、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(これに限定されないが、アセチル基が挙げられる)、ベンゾイル、またはアルキニル基など(限定されないが、これらが挙げられる)を備える場合の、パラ位置換フェニルアラニン、オルト位置換フェニルアラニン、およびメタ位置換フェニルアラニンが挙げられる。本発明における利用に好適な非天然アミノ酸の特定の例としては、これらに限定されないが、p−アセチル−L−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−ドーパ、フッ化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨード−フェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、およびp−プロパルギルオキシ−フェニルアラニンなどが挙げられる。本発明における使用に好適な非天然アミノ酸の変形の構造の例は、例えば、“In vivo incorporation of unnatural amino acids”と表題が付けられた国際公開第2002/085923号パンフレットに規定されている。また、付加的なメチオニン類似物に関しては、参照によって本明細書に組み込まれる、Kiick et al., (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99:19-24を参照すればよい。参照によって本明細書に組み込まれる国際出願番号第PCT/US06/47822号(発明の名称:"Compositions Containing, Methods Involving, and Uses of Non- natural Amino Acids and Polypeptides")には、芳香族アミン部分(これに限定されないが、p−アミノ−フェニルアラニンが挙げられる)の還元性アルキル化、および還元性アミン化について記載されている。
1つの実施形態において、非天然アミノ酸(例えば、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン)を含むIFNβポリペプチドの組成物が、提供される。また、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンを備える種々の組成物(これらに限定されないが、タンパク質および/または細胞が挙げられる)が、提供される。1つの局面において、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンを備える組成物は、直交性のtRNAをさらに含む。非天然アミノ酸は、直交性のtRNAに対して共有結合的に(限定されないが、これが挙げられる)結合され得る(これらに限定されないが、アミノアシル結合を介して直交性のtRNAに対して共有結合的に結合される、直交性のtRNAの末端リボース糖の3’OHまたは2’OHに対して共有結合的に結合されるなど、が挙げられる)。
タンパク質に組み込まれ得る非天然アミノ酸を介する化学部分は、タンパク質の種々の利点および操作を提供する。ケト官能基の固有の反応性は、インビボおよびインビトロにおける、多くのヒドラジン含有試薬またはヒドロキシアミン含有試薬のいずれかを用いた、タンパク質の選択的な修飾を可能にする。非天然アミノ酸は、例えば、重水素X線構造データの位相合わせに有用であり得る。また、非天然アミノ酸を用いた重水素の部位特異的な導入は、重水素にとっての位置の選択に選択性および自由度を提供する。光反応性非天然アミノ酸(これらに限定されないが、ベンゾフェノンおよびアリールアジド(これに限定されないが、フェニルアジドが挙げられる)側鎖を有するアミノ酸が挙げられる)は、例えば、タンパク質のインビボおよびインビトロにおける効率的な光架橋を可能にする。光反応性アミノ酸の例としては、これらに限定されないが、p−アジド−フェニルアラニンおよびp−ベンゾイル−フェニルアラニンが挙げられる。光反応性アミノ酸を有するタンパク質は、その結果、光反応性基を供給する一時的な制御の励起によって、自由自在に光架橋され得る。1つの例において、非天然アミノ酸のメチル基は、核磁気共鳴および振動顕微鏡の利用を伴う(限定されないが、これらが挙げられる)、局所的な構造および動態のプローブとして、放射線標識されたメチル基(限定されないが、これが挙げられる)に置換され得る。アルキニル官能基またはアジド官能基は、例えば、[3+2]付加環化反応を介したタンパク質の選択的な修飾を可能にする。
アミノ末端においてポリペプチドに組み込まれる非天然アミノ酸は、20の天然のアミノ酸に用いられる官能基以外の任意の置換基であるR基、およびα−アミノ酸に通常に存在するNH基とは異なる第2の反応性基から構成され得る(式Iを参照すればよい)。類似の非天然アミノ酸が、カルボキシル末端において、α−アミノ酸に通常に存在するCOOH基と異なる第2の反応性基を用いて、組み込まれ得る(式1を参照すればよい)。
本発明の非天然アミノ酸は、一般的な20のアミノ酸において有効ではない付加的な特性を与えるために、選択され得るか、または設計され得る。例えば、非天然アミノ酸は、タンパク質(例えば、それらが組み込まれる)の生物学的特性を修飾するために、任意に設計され得るか、または選択され得る。例えば、以下の性質:毒性、体内分布、溶解性、安定性(例えば、熱、加水分解、酸化、および酵素的分解に対する耐性など)、精製および処理の容易さ、構造性質、分光性質、化学的および/または光化学的な性質、触媒活性、酸化還元電位、半減期、ならびに他の分子と反応する(例えば、共有結合的にか、または非共有結合的に)能力などは、タンパク質への非天然アミノ酸の包含によって任意に修飾され得る。
(非天然アミノ酸の構造および合成:カルボニル基、カルボニル様基、マスクしたカルボニル基、保護カルボニル基およびヒドロキシルアミン基)
いくつかの実施形態において、本発明は、オキシム結合によって水溶性ポリマー(例えば、PEG)に連結されているIFNβを提供する。
非天然にコードされるアミノ酸の多くの種類は、オキシム結合の形成に適切である。これらとしては、カルボニル、ジカルボニル、またはヒドロキシルアミン基を含む非天然にコードされるアミノ酸が挙げられるが、これに限定されない。そのようなアミノ酸は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、および”Compositions containing, methods involving, and uses of non-natural amino acids and polypeptides”と題される国際公開第2006/069246号パンフレットに記載されている。また、非天然にコードされるアミノ酸は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,083,970号明細書および米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。
本発明のいくつかの実施形態は、1つ以上の位置においてアミノ酸パラアセチルフェニルアラニンを用いて置換されている、IFNβポリペプチドを利用する。p−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンおよびm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンの合成は、参照によって組み込まれるZhang, Z.et al,. Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)に記載されている。他のカルボニル含有アミノ酸またはジカルボニル含有アミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。さらに、本明細書に含まれる非天然アミノ酸の限定しない例示的な合成は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,083,970号明細書の図4、24−34および36−39に示されている。
求電子性反応性基を有するアミノ酸は、とりわけ、求核付加反応を介して分子を連結するための多様な反応を可能にする。そのような求電子性反応性基のとしては、カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)、カルボニル様基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)と類似の反応性を有し、カルボニル基と構造的に類似している)、マスクされたカルボニル基(カルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)に容易に変えられ得る)、または保護されたカルボニル基(脱保護によってカルボニル基(ケト基およびジカルボニル基が挙げられる)と同様の反応性を有する)が挙げられる。そのようなアミノ酸としては、式(IV):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Jは、
Figure 2010525821
であり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
R’’のそれぞれは独立して、H、アルキル、置換アルキル、または保護基であるか、または2つ以上のR’’基が存在する場合に、2のR’’はヘテロシクロアルキルを任意に形成し;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
およびRのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、低級アルキル、または置換低級アルキルであるか、RとRと、または2のR基は、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを任意に形成するか;
または−A−B−J−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基が挙げられる)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基が挙げられる)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基が挙げられる)を含む、二環式または三環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成するか;
または−J−R基は、少なくとも1つのカルボニル基(ジカルボニル基が挙げられる)、保護されたカルボニル基(保護されたジカルボニル基が挙げられる)、またはマスクされたカルボニル基(マスクされたジカルボニル基が挙げられる)を含む、単環式または二環式のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを共に形成し;
Aがフェニレンであり、RのそれぞれがHである場合に、Bは存在するという条件;およびAが−(CH−であり、RのそれぞれがHである場合に、Bは−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件;およびAとBとが存在せず、RのそれぞれがHである場合に、Rはメチルではないという条件を有する)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(V):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Aがフェニレンである場合に、Bは存在するという条件;およびAが−(CH−である場合に、Bは−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件;およびAとBとが存在しない場合に、Rはメチルでないという条件と有する)
の構造を有するものが挙げられる。
さらに、式(VI):
Figure 2010525821
(ここで、
Bは、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換低級へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれ独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)R’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’(ここで、Rのそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択される)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護基であるか、カルボキシル保護されているか、またはそれらの塩である。さらに、以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る)
が挙げられる。
さらに、式(VII):
Figure 2010525821
(ここで、
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)R’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択される;かつnは0から8であり;
Aが−(CH−である場合に、Bは、−NHC(O)(CHCH)−ではないという条件を有する)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とをされているか、またはそれらの塩である)が挙げられる。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(VIII):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級へテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンまたは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)N(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(IX):
Figure 2010525821
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、または置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)2、、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’からなる群から選択される(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とをされているか、またはそれらの塩である)が挙げられる。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(X):
Figure 2010525821
(ここで、Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択され;かつnは0から8である)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とをされているか、またはそれらの塩である)が挙げられる。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
モノカルボニル構造の他に、本明細書に記載の非天然アミノ酸は、ジカルボニル基、ジカルボニル様基、マスクされたジカルボニル基、および保護されたジカルボニル基といった基を含み得る。
例えば、式(XI)の構造を有する以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換へテロアルキレン、低級へテロシクロアルキレン、置換低級へテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、−C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである)
が挙げられる。
さらに、式(XII):
Figure 2010525821
Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
ここで、Rのそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択される)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とをされているか、またはそれらの塩である)。さらに、非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIII)の構造を有する以下のアミノ酸が挙げられる:
Figure 2010525821
(ここで、Bは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、低級ヘテロアルキレン、置換低級ヘテロアルキレン、−O−、−O−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S−、−S−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−S(O)k−(ここで、kは1、2または3である)、−S(O)k(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)−、−C(O)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(S)−、−C(S)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)−、−NR’−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−C(O)N(R’)−、−CON(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−CSN(R’)−、−CSN(R’)−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)CO−(アルキレンもしくは置換アルキレン)−、−N(R’)C(O)O−、−S(O)kN(R’)−、−N(R’)C(O)N(R’)−、−N(R’)C(S)N(R’)−、−N(R’)S(O)kN(R’)−、−N(R’)−N=、−C(R’)=N−、C(R’)=N−N(R’)−、−C(R’)=N−N=、−C(R’)−N=N−、および−C(R’)−N(R’)−N(R’)−(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択されるリンカーであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’からなる群から選択され(ここで、R’それぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである);かつnは0から8である)
が挙げられる。
さらに、以下のアミノ酸:
Figure 2010525821
(ここで、そのような化合物は、任意にアミノ保護されているか、任意にカルボキシル保護されているか、任意にアミノ保護とカルボキシル保護とをされているか、またはそれらの塩である)が挙げられる。さらに、これらの非天然アミノ酸および以下の非天然アミノ酸のいずれかが、非天然アミノ酸ポリペプチドに組み込まれ得る。
さらに、式(XIV):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつLは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XIV−A):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XIV−B):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XV):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつnは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XV−A):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレン;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XV−B):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;かつCR基のそれぞれにおけるRおよびRのそれぞれは独立して、H、アルコキシ、アルキルアミン、ハロゲン、アルキル、アリールからなる群から選択されるか、または任意のRおよびRが、=Oもしくはシクロアルキルを共に形成し得るか、またはR基に隣接する任意のものが、共にシクロアルキルを形成し得る)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XVI):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
は、C、S、またはS(O)であり;かつLは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XVI−A):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XVI−B):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Rは、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
Lは、アルキレン、置換アルキレン、N(R’)(アルキレン)またはN(R’)(置換アルキレン)である(ここで、R’は、H、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XVII):
Figure 2010525821
(ここで、
Aは、任意であり、存在する場合に、低級アルキレン、置換低級アルキレン、低級シクロアルキレン、置換低級シクロアルキレン、低級アルケニレン、置換低級アルケニレン、アルキニレン、低級ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、低級ヘテロシクロアルキレン、置換低級ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、置換アリーレン、ヘテロアリーレン、置換ヘテロアリーレン、アルカリレン、置換アルカリレン、アラルキレン、または置換アラルキレンであり;
Mは、
Figure 2010525821
であり(ここで、(a)は、A基との結合を表し、(b)は、それぞれのカルボニル基との結合を表し、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルから選択されるか、またはRとRと、もしくは2つのR基、もしくは2つのR基は、任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H,ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XVIII):
Figure 2010525821
(ここで、
Mは、
Figure 2010525821
であり(ここで、(a)は、A基との結合を表し、(b)は、それぞれのカルボニル基との結合を表し、RおよびRは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、もしくは置換シクロアルキルであるか、またはRとRと、もしくは2つのR基、もしくは2つのR基は、任意にシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルを形成する);
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、結合、C(R)(R)、O、またはSであり、Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;
は、任意であり、存在する場合に、H、アミノ保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチド;であり;かつ
は、任意であり、存在する場合に、OH、エステル保護基、樹脂、アミノ酸、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドであり;
のそれぞれは独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、−N(R’)、−C(O)kR’(ここで、kは1、2または3である)、−C(O)N(R’)、−OR’、および−S(O)kR’(ここで、R’のそれぞれは独立して、H、アルキル、または置換アルキルである)からなる群から選択される)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XIX):
Figure 2010525821
(ここで、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルであり;かつ
は、O、またはSである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XX):
Figure 2010525821
(ここで、
Rは、H、ハロゲン、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、または置換シクロアルキルである)
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
さらに、式(XXI):
Figure 2010525821
の構造を有するアミノ酸が挙げられる。
いくつかの実施形態において、非天然アミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性のカルボニル官能基、またはジカルボニル官能基を生成する。例えば、接合反応に有用なアルデヒド官能性基は、隣接するアミノ基およびヒドロキシル基を有する官能性基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合に、例えば、N末端セリンまたはスレオニン(通常に存在し得るか、または化学的もしくは酵素的な消化を介して露出され得る)は、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化的切断条件下における、アルデヒド官能性基の生成に使用され得る。例えば、Gaertner, et. al., Bioconjug. Chem. 3: 262−268 (1992);Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3: 138−146 (1992);Gaertner et al., J. Biol. Chem. 269:7224−7230 (1994)を参照すればよい。しかし、当該技術において公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端におけるアミノ酸に対して限定される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基およびアミノ基を有する非天然アミノ酸は、“マスクされた”アルデヒド官能性基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5−ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンに対して隣接するヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成するための反応条件は、典型的に、ポリペプチド内の他の部位において酸化をさせるための穏やかな条件下において、過剰なモル濃度のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加を含む。酸化反応のpHは、典型的に約7.0である。典型的な反応は、ポリペプチドの緩衝化溶液に対して、約1.5モル濃度過剰なメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に続いて、暗所における10分間にわたるインキュベーションを含む。例えば、米国特許第6,423,685号明細書を参照すればよい。
カルボニル官能性基またはジカルボニル官能性基は、穏やかな条件の下に水性溶液においてヒドロキシルアミン含有試薬と選択的に反応して、生理学的条件下において安定な対応するオキシム連結を形成し得る。例えば、Jencks, W. P., J. Am. Chem. Soc. 81, 475−481 (1959);Shao, J. and Tarn, J. P., J. Am. Chem. Soc. 1 17:3893− 3899 (1995)を参照すればよい。さらに、カルボニル基またはジカルボニル基の固有の反応性が、他のアミノ酸側鎖の存在下において選択的な修飾を可能にする。例えば、Cornish, V. W., et al., J. Am. Chem. Soc. 118:8150−8151 (1996);Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138−146 (1992);Mahal, L. K., et al., Science 276:1125−1128 (1997)を参照すればよい。
(非天然アミノ酸:ヒドロキシルアミン含有アミノ酸の構造および合成)
米国仮特許出願第60/638,418号明細書は、参照によってその全体が組み込まれる。したがって、米国仮特許出願第60/638,418号明細書におけるセクションV(“非天然アミノ酸”と題される)、パートB(“非天然アミノ酸(ヒドロキシアミン含有アミノ酸)の構造および合成”と題される)に与えられた開示内容は、当該開示内容が本明細書に示されているも同然に、本明細書に記載されている非天然アミノ酸、非天然アミノ酸ポリペプチド、および修飾された非天然アミノ酸ポリペプチドを作製する、精製する、性質決定する、および使用する方法、組成物(式I−XXXVが挙げられる)、技術および戦略に対して完全に適用される。米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、および、”Compositions containing, methods involving, and uses of non-natural amino acids and polypeptides”と題される国際公開第2006/069246号パンフレットもまた、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
(非天然アミノ酸の化学合成)
本発明における使用に好適な非天然アミノ酸の多くは、例えば、シグマ(USA)またはアルドリッチ(Aldrich)(ミルウォーキー(Milwaukee)、WI、USA)から市販されている。市販されていない非天然アミノ酸は、本明細書に規定されているように、または多様な公開物に規定されているように、または当業者に公知の標準的な方法を用いて、任意に合成される。有機合成技術に関しては、例えば、Organic Chemistry by Fessendon and Fessendon, (1982, Second Edition, Willard Grant Press, Boston Mass.);Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York);およびAdvanced Organic Chemistry by Carey and Sundberg (Third Edition, Parts A and B, 1990, Plenum Press, New York)を参照すればよい。非天然アミノ酸の合成について記載している付加的な公開物としては、例えば、“In vivo incorporation of Unnatural Amino Acids”と題される国際公開第2002/085923号パンフレット;Matsoukas et al, (1995) J. Med. Chem., 38, 4660-4669;King, F.E. & Kidd, D.A.A. (1949) A New Synthesis of Glutamine and of γ- Dipeptides of Glutamic Acid from Phthylated Intermediates. J. Chem. Soc. 3315-3319;Friedman, O.M. & Chatterrji, R. (1959) Synthesis of Derivatives ofGlutamine as Model Substrates for Anti- Tumor Agents. J. Am. Chem. Soc. 81, 3750-3752;Craig, J.C. et al. (1988) Absolute Configuration of the Enantiomers of 7-Chloro-4 [[4-(diethylamino)-l-methylbutyl]amino]quinolim (Chloroquine). J. Org. Chem. 53, 1167-1170;Azoulay, M., Vilmont, M. & Frappier, F. (1991) Glutamine analogues as Potential Antimalarials, Eur. J. Med. Chem. 26, 201-5;Koskinen, A.M.P. & Rapoport, H. (1989) Synthesis of 4-Substituted Prolines as Conformationally Constrained Amino Acid Analogues. J. Org. Chem. 54, 1859-1866;Christie, B.D. & Rapoport, H. (1985) Synthesis of Optically Pure Pipecolates from L-Asparagine. Application to the Total Synthesis of (+)-Apovincamine through Amino Acid Decarbonylation and Iminium Ion Cyclization. J. Org. Chem. 50:1239-1246;Barton et al, (1987) Synthesis of Novel alpha-Amino-Acids and Derivatives Using Radical Chemistry: Synthesis of L- and D-alpha-Amino-Adipic Acids, L-alpha- aminopimelic Acid and Appropriate Unsaturated Derivatives. Tetrahedron 43:4297-4308;およびSubasinghe et al, (1992) Quisqualic acid analogues: synthesis of bela-heterocyclic 2- aminopropanoic acid derivatives and their activity at a novel quisqualate-senitized site. J. Med. Chem. 35:4602-7が挙げられる。また、参照によって本明細書に組み込まれる“Protein Arrays”と題される米国特許第2004/0198637号明細書を参照すればよい。
(A.カルボニル反応性基)
カルボニル反応性基を有するアミノ酸は、求核性の付加を介して分子(PEGまたは他の水溶性分子が挙げられるが、これらに限定されない)を連結するための多様な反応、または特にアルドール縮合反応を可能にする。
例示的なカルボニル含有アミノ酸は、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは0−10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;Rは、H、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリールであり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Rは単純アルキル(すなわち、メチル、エチルまたはプロピル)であり、ケトン部分は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Rは単純アルキル(すなわち、メチル、エチルまたはプロピル)であり、ケトン部分は、アルキル側鎖に対してメタ位に位置されている。
p−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンおよびm−アセチル−(+/−)−フェニルアラニンの合成は、参照によって本明細書に組み込まれる、Zhang, Z.et al, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003)に記載されている。他のカルボニル含有アミノ酸は、当業者によって同様に調製され得る。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸を含むポリペプチドは、化学的に修飾されて、反応性のカルボニル官能基を生成する。例えば、接合反応に有用なアルデヒド官能性基は、隣接するアミノ基とヒドロキシル基とを有する官能性基から生成され得る。生物学的に活性な分子がポリペプチドである場合に、例えば、N末端のセリンまたはスレオニン(通常に存在し得る、または化学的もしくは酵素的な消化を介して露出され得る)は、過ヨウ素酸塩を用いた穏やかな酸化切断条件においてアルデヒド官能性基を生成するために使用され得る。例えば、Gaertner, et ah, Bioconjug. Chem. 3: 262-268 (1992) ;Geoghegan, K. & Stroh, J., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) ;Gaertner et al, J. Biol. Chem. 269:7224-7230 (1994) を参照すればよい。しかし、当該技術において公知の方法は、ペプチドまたはタンパク質のN末端におけるアミノ酸に制限される。
本発明において、隣接するヒドロキシル基とアミノ基とを有する非天然にコードされるアミノ酸アミノ酸は、“マスクされた”アルデヒド官能性基としてポリペプチドに組み込まれ得る。例えば、5−ヒドロキシリジンは、イプシロンアミンと隣接するヒドロキシル基を有する。アルデヒドを生成する反応条件は、典型的に、ポリペプチド内の他の部位における酸化を回避するための穏やかな反応条件において、過剰なモル濃度のメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に関する。酸化反応のpHは、典型的に約7.0である。典型的な反応は、ポリペプチド緩衝化溶液に対する、1.5モル濃度を超えるメタ過ヨウ素酸ナトリウムの添加に続いて、暗所における約10分間のインキュベーションに関する。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,423,685号明細書を参照すればよい。
カルボニル官能性基は、水性溶液における穏やかな条件の下に、ヒドラジン含有試薬、ヒドラジド含有試薬、ヒドロキシルアミン含有試薬、またはセミカルバジド含有試薬と選択的に反応して、生理学的条件においてそれぞれに対して安定な対応するヒドラゾン、オキシム、またはセミカルバゾン連結を形成し得る。例えば、Jencks, W. P., J. Am. Chem. Soc. 81, 475-481 (1959) ;Shao, J. and Tarn, J. P., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995) を参照すればよい。さらに、カルボニル基の固有な反応性は、他のアミノ酸側鎖の存在下において選択的な修飾を可能にする。例えば、Cornish, V. W., et al, J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151 (1996) ;Geoghegan, K. F. & Stroh, J. G., Bioconjug. Chem. 3:138-146 (1992) ;Mahal, L. K., et al, Science 276:1125-1128 (1997) を参照すればよい。
(B.ヒドラジン反応性基、ヒドラジド反応性基またはセミカルバジド反応性基)
求核性基(例えば、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド)を含む非天然にコードされるアミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマー(限定されないが、これらが挙げられる)との接合物を形成するための多様な求電子基との反応を可能にする。
例示的なヒドラジン含有アミノ酸、ヒドラジド含有アミノ酸、またはセミカルバジド含有アミノ酸は、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは0−10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであるか、または存在しないかであり;Xは、O、NまたはSであるか、または存在しないかであり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)。
いくつかの実施形態において、nは4であり、Rは存在せず、XはNである。いくつかの実施形態において、nは2であり、Rは存在せず、Xは存在しない。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、酸素原子は、アリール環上における芳香族貴基に対してパラに位置されている。
ヒドラジド含有アミノ酸、ヒドラジン含有アミノ酸、またはセミカルバジド含有アミノ酸は、市販の供給源から利用可能である。例えば、L−グルタミン酸−γ−ヒドラジドは、シグマケミカル(Sigma Chemical)(セントルイス(St. Louis)、MO)から入手可能である。市販されていない他のアミノ酸は、当業者によって調製され得る。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,281,211号明細書を参照すればよい。
ヒドラジド、ヒドラジンまたはセミカルバジド反応性基を有する非天然にコードされるアミノ酸を含む、ポリペプチドは、アルデヒドまたは類似の化学反応性を有する他の官能基を含む多様な分子と効率的かつ選択的に反応し得る。例えば、Shao, J. and Tarn, J., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995)を参照すればよい。ヒドラジド、ヒドラジンおよびセミカルバジド官能基の固有な反応性は、一般的な20のアミノ酸に存在する求核性基(セリンもしくはスレオニンのヒドロキシ基、またはリジンとN末端とのアミノ基が挙げられるが、これらに限定されない)と比較して、アルデヒド、ケトンおよび他の求電子性基に対してより著しい反応を起こさせる。
(C.アミノオキシ含有アミノ酸)
アミノオキシ(ヒドロキシアミンとも呼ばれる)基を含む非天然にコードされるアミノ酸は、PEGまたは他の水溶性ポリマー(限定されないが、これらが挙げられる)との接合物を形成するための求電子性基との反応を可能にする。ヒドラジン、ヒドラジドおよびセミカルバジドと同様に、アミノオキシ基の増強された求核性は、アミノオキシ基がアルデヒドまたは類似の化学反応性を有する他の官能基と効率的かつ選択的に反応することを可能にする。例えば、Shao, J. and Tarn, J., J. Am. Chem. Soc. 117:3893-3899 (1995);H. Hang and C. Bertozzi, Ace. Chem. Res. 34: 727-736 (2001) を参照すればよい。ヒドラジン基との反応の結果は、対応するヒドラゾンであるが、これに対してオキシムは、一般的にカルボニル含有基(例えば、ケトン)とアミノオキシ基の反応から生じる。
例示的なアミノオキシを含むアミノ酸は、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは0−10であり、Rは、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、N、またはSであるか、または存在せず;mは0−10であり;YはC(O)であるか、または存在せず;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、Yは存在する。いくつかの実施形態において、nは2であり、RおよびXは存在せず、mは0であり、Yは存在しない。
アミノオキシ含有アミノ酸は、容易に入手可能なアミノ酸前駆体(ホモセリン、セリンおよびスレオニン)から容易に調製され得る。例えば、M. Carrasco and R. Brown, J. Org. Chem. 68: 8853-8858 (2003) を参照すればよい。ある種のアミノオキシ含有アミノ酸(例えば、L−2−アミノ−4−(アミノオキシ)ブチル酸)は、天然の供給源から単離されている(Rosenthal, G, Life Sci. 60: 1635-1641 (1997))。他のアミノオキシ含有アミノ酸は、当業者によって調製され得る。
(D.アジド反応性基およびアルキン反応性基)
アジド官能基およびアルキン官能基の固有な反応性は、ポリペプチドおよび他の生体分子の選択的な修飾にとって、それらを極めて有効にさせる。有機アジド、特にアルファティックアジド、およびアルキンは、通常の反応性の化学的条件に対して一般的に安定である。特に、アジド官能基およびアルキン官能基の両方は、天然に存在するポリペプチドに見られる一般的な20のアミノ酸の側鎖(すなわち、R基)に対して不活性である。しかし、非常に近づくと、アジド基およびアルキン基の“ばね荷重”性質が現れ、それらは、ヒュイゲン(Huisgen)[3+2]付加環化反応を介して選択的かつ効率的に反応して、対応するトリアゾールを生成する。例えば、Chin J., et al, Science 301 :964-7 (2003);Wang, Q,, et al, J. Am. Chem. Soc. 125, 3192-3193 (2003) ;Chin, J. W., et al, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002) を参照すればよい。
ヒュイゲン付加環化反応が、求核置換よりむしろ選択的な付加環化反応に関与するので(例えば、Padwa, A., in COMPREHENSIVE ORGANIC SYNTHESIS, Vol. 4, (ed. Trost, B. M., 1991), p. 1069-1109;Huisgen, R. in 1,3-DIPOLAR CYCLOADDITION CHEMISTRY, (ed. Padwa, A., 1984), p. 1-176を参照すればよい)、アジド含有側鎖およびアルキン含有側鎖を有する非天然にコードされるアミノ酸の組み込みは、結果として生じるポリペプチドが、非天然にコードされるアミノ酸の位置において修飾されること、を可能にする。アジド含有ポリペプチドまたはアルキン含有ポリペプチドに関する付加環化反応は、室温において水性条件の下に、Cu(II)(触媒量のCuSOの形態が挙げられるが、これに限定されない)の付加によって、インシチュ(in situ)においてCu(II)をCu(I)に還元する触媒量の還元物質の存在下において、達成され得る。例えば、Wang, Q., et al, J. Am. Chem. Soc. 125, 3192-3193 (2003) ;Tornoe, C. W., et al, J. Org. Chem. 67:3057-3064 (2002) ;Rostovtsev, et al, Angew. Chem. Int. Ed. 41:2596-2599 (2002) を参照すればよい。例示的な還元物質としては、アスコルビン酸塩、金属銅、キニーネ、ヒドロキノン、ビタミンK、グルタチオン、システイン、Fe2+、Co2+および印加された電位が挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの場合において、アジドとアルキンとの間におけるヒュイゲン[3+2]付加環化反応が所望される場合に、IFNβポリペプチドは、アルキン部分を含む非天然にコードされるアミノ酸を含み、当該アミノ酸に連結されるべき水溶性ポリマーは、アジド部分を含む。また代替可能に、逆反応(すなわち、アミノ酸上におけるアジド部分および水溶性ポリマー上に存在するアルキン部分を用いる)が達成され得る。
また、アジド官能基は、アリールエステルを含む水溶性ポリマーと選択的に反応し、アリールホスフィン部分を用いて適切に機能付与されて、アミド連結を生成する。アリールホスフィン基はインシチュにおいてアジドを還元し、それから結果として生じたアミンは近接するエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。例えば、E. Saxon and C. Bertozzi, Science 287, 2007-2010 (2000) を参照すればよい。アジド含有アミノ酸は、アルキルアジド(2−アミノ−6−アジド−1−ヘキサン酸が挙げられるが、これに限定されない)またはアリールアジド(p−アジド−フェニルアラニン)のいずれかであり得る。
アリールエステルおよびホスフィン部分を含む、例示的な水溶性ポリマーは、以下のように示さ表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、Xは、O、N、またはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、Rは、H、アルキル基、アリール基、置換アルキル基および置換アリール基であり得る)。例示的なR基としては、−CH、−C(CH、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−C(O)R’、−CONR’R’’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CN、および−NOが挙げられるが、これらに限定されない。R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれは独立して、水素基、置換もしくは非置換のヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基(1−3のハロゲンと置換されたアリールが挙げられるが、これに限定されない)、置換もしくは非置換のアルキル基、アルコキシ基もしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が2つ以上のR基を含む場合に、例えば、2つ以上のこれらの基が存在する場合に、R基のそれぞれは、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれであるように、独立して選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に結び付けられている場合に、それらは、窒素原子と組み合わさって、5員環、6員環、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むが、これらに限定されないことが意図される。置換体の上述の議論から、当業者は、“アルキル”という用語が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(−CFおよび−CHOCHが挙げられるが、これらに限定されない)およびアシル(−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなどが挙げられるが、これらに限定されない))と結合された炭素原子を含むことを意図されることを理解する。
また、アジド官能基は、チオエステルを含む水溶性ポリマーと選択的に反応し、アリールホスフィン部分を用いて適切に機能付与されて、アミド結合を生成し得る。アリールホスフィン基は、インシチュにおいてアジドを還元し、それから結果として生じるアミンは、チオエステル結合と効率的に反応して、対応するアミドを生成する。チオエステル部分およびホスフィン部分を含む例示的な水溶性ポリマーは、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは1−10であり、XはO、N、またはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーである)。
例示的なアルキン含有アミノ酸は、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは0−10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、NまたはSであるか、存在せず;mは0−10であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である)。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは存在せず、mは0であり、アセチレン部分はアルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは1であり、プロパルギルオキシ基は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている(すなわち、プロパルギル−チロシン)。いくつかの実施形態において、nは1であり、RおよびXは存在せず、mは0である(すなわち、プロパリルグリシン)。
アルキン含有アミノ酸は、市販されている。例えば、プロパルギルグリシンは、ペプテック(Peptech)(バーリントン(Burlington)、MA)から市販されている。代替可能に、アルキン含有アミノ酸は、標準的な方法にしたがって調製され得る。例えば、p−プロパルギルオキシフェニルアラニンは、例えば、Deiters, A.et al, J. Am. Chem. Soc. 125: 11782-11783 (2003) に記載されているように合成され得、4−アルキニル−L−フェニルアラニンは、Kayser, B., et al, Tetrahedron 53(7): 2475-2484 (1997) に記載されているように、合成され得る。他のアルキン含有アミノ酸は、当業者によって調製され得る。
例示的なアジド含有アミノ酸は、以下のように表され得る:
Figure 2010525821
(ここで、nは0−10であり;Rは、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであるか、または存在せず;Xは、O、NまたはSであるか、または存在せず;mは0−10であり;Rは、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり、Rは、H、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端修飾基である)。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、Xは存在せず、mは0であり、アジド部分は、アルキル側鎖に対してパラに位置されている。いくつかの実施形態において、nは0−4であり、RおよびXは存在せず、m=0である。いくつかの実施形態において、nは1であり、Rはフェニルであり、XはOであり、mは2であり、β−アジドエトキシ部分は、アルキル側鎖に対してパラ位に位置されている。
アジド含有アミノ酸は、商業的な供給源から入手可能である。例えば、4−アジドフェニルアラニンは、ケム−インペックスインターナショナル(Chem-Impex International)、(ウッドデール(Wood Dale)、IL)から入手され得る。市販されていないこれらのアジド含有アミノ酸に関して、アジド基は、適切な脱離基(ハロゲン化物、メシラート、トシレートが挙げられるが、これらに限定されない)の排除を介した、または適切に保護されたラクトンの開環を介した(限定されないが、これらが挙げられる)、当業者に公知の標準的な方法を用いて、比較的容易に調製され得る。例えば、Advanced Organic Chemistry by March (Third Edition, 1985, Wiley and Sons, New York)を参照すればよい。
(E.アミノチオール反応性基)
ベータ置換アミノチオール官能基の固有な反応性は、チアゾリジンの形成を介した、アルデヒド基を含むポリペプチドおよび他の生体分子の選択的な修飾にとって、それらを極めて有効にする。例えば、Shao and J. Tarn, J. Am. Chem. Soc. 1995, 1 17 (14) 3893-3899を参照すればよい。いくつかの実施形態において、ベータ置換アミノチオールアミノ酸は、IFNβポリペプチドに組み込まれ得、それからアルデヒド官能性基を含む水溶性ポリマーと反応し得る。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマー、薬剤接合物または他のペイロード(payload)は、チアゾリジンの形成を介したベータ置換アミノチオールアミノ酸を含むIFNβポリペプチドに対して連結され得る。
(F.付加的な反応性基)
本発明に係るIFNβに組み込まれ得る、付加的な反応性基および非天然にコードされるアミノ酸(これに限定されいないが、パラ−アミノ−フェニルアラニンが挙げられる)は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる以下の特許出願:米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、米国特許仮出願第60/755,388号明細書、米国特許仮出願第60/755,711号明細書、米国特許仮出願第60/755,018号明細書、国際特許出願第PCT/US06/49397号明細書、国際公開第2006/069246号パンフレット、米国特許仮出願第60/753,041号明細書、米国特許仮出願第60/753,040号明細書、国際特許出願第PCT/US06/47822号明細書、米国特許仮出願第60/882,819号明細書、米国特許仮出願第60/882,500号明細書、米国特許仮出願第60/870,594号明細書において記載されている。また、これらの出願には、PEGまたは他のポリマーに存在し得る反応基(連結のためのヒドロキシルアミン(アミノオキシ)基が挙げられるが、これに限定されない)について言及されている。
(非天然アミノ酸の細胞取り込み)
細胞による非天然アミノ酸の取り込みは、タンパク質への取り込みを目的として(限定されないが、これが挙げられる)、非天然アミノ酸を設計および選択するときに典型的に考慮される1つの課題である。例えば、α−アミノ酸の高い電荷密度は、これらの化合物が細胞透過性ではあり得ないことを示唆する。天然アミノ酸は、タンパク質に基づく輸送系の収集を介して真核細胞に取り込まれる。非天然アミノ酸が少しでも細胞によって取り込まれるならば、これを評価する急速なふるいが行われ得る。例えば、“Protein Arrays”と題される米国出願公開第2004/198637号明細書(参照によってその全体が本明細書に組み入れられる)、およびLiu, D.R. & Schultz, P.G. (1999) Progress toward the evolution of an organism with an expanded genetic code. PNAS United States 96:4780-4785 における、例えば、毒性アッセイを参照すればよい。取り込みは、多様なアッセイを用いて容易に分析されるが、細胞性の取り込み経路に受け容れられる非天然アミノ酸の設計ための代替案は、インビボにおいてアミノ酸を作り出す生合成経路を提供することである。
(非天然アミノ酸の生合成)
多くの生合成経路が、アミノ酸および他の化合物を産生するために細胞にすでに存在している。特定の非天然アミノ酸用の生合成方法は、天然(細胞内が挙げられるが、これに限定されない)に存在し得ない一方において、本明細書に記載の方法および組成物は、そのような方法を提供する。例えば、非天然アミノ酸用の生合成経路は、新しい酵素の添加、または存在する宿主細胞経路の改変によって宿主細胞において生成され得る。追加の新しい酵素は、天然に存在する酵素または人工的に発展させた酵素であり得る。例えば、p−アミノフェニルアラニンの生合成(“In vivo incorporation of unnatural amino acids”と題される国際公開第2002/085923号パンフレットにおける一例に示されるように)は、他の生物に由来する公知の酵素の組合わせの追加を基にしている。これらの酵素に関する遺伝子は、当該遺伝子を備えるプラスミドを用いた真核細胞の形質転換によって、当該細胞に導入され得る。細胞において発現される場合に、当該遺伝子は、所望の化合物を合成する酵素経路を提供する。任意に添加されるこの種の酵素の例は、以下の実施例において与えられる。追加の酵素の配列は、例えば、ジーンバンクに見出される。また、人工的に発展させた酵素は、同様の方法において細胞の中に加えられ得る。この方法において、細胞性機構、および細胞資源は、非天然アミノ酸を産生するために操作される。
多様な方法が、生合成経路に使用するための新規な酵素の産生、または存在する経路の発展に利用可能である。例えば、マキシゲン(Maxygen)(www.maxigen.comにおけるワールドワイドウェブ上において利用可能である)によって開発されたような(限定されないが、これが挙げられる)、反復的な組換えは、新規の酵素および経路の開発に使用され得る。例えば、Stemmer (1994), Rapid evolution of a protein in vitro by DNA shuffling, Nature 370(4):389- 391、およびStemmer, (1994), DNA shuffling by random fragmentation and reassembly: In vitro recombination for molecular evolution, Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 91:10747-10751を参照すればよい。同様に、ジェネンコア(Genencor)(genencor.comにおけるワールドワイドウェブ上において利用可能である)によって開発されたデザインパス(DesignPath)(登録商標)は、代謝経路操作(細胞において非天然アミノ酸を作り出す経路の操作が挙げられるが、これに限定されない)に任意に使用される。この技術は、新しい遺伝子(機能的なゲノミクスを介して同定された遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに分子進化および設計の組合わせを用いて、宿主生物に存在する経路を再構築する。また、ディバーサコーポレーション(Diversa Corporation)(diversa.comにおけるワールドワイドウェブ上において利用可能である)は、新しい経路を作り出すための(限定されないが、これが挙げられる)、遺伝子および遺伝子経路のライブラリを迅速にスクリーニングする技術を提供する。
典型的に、本発明の設計された生合成経路を用いて産生された非天然アミノ酸は、タンパク質の効率的な生合成に十分な濃度(天然の細胞における量が挙げられるが、これに限定されない)に産生されるが、他のアミノ酸の濃度に影響する、または細胞性の資源を使い果たす程ではない。この方法においてインビボにおいて生成される典型的な濃度は、約10mMから0.05mMである。特定の経路に関して所望される酵素の生成に使用される遺伝子を備えるプラスミドを用いて、細胞が形質転換され、非天然アミノ酸が生成されると、インビボにおける選択は、リボソームタンパク質の合成および細胞増殖の両方に対して、非天然アミノ酸の産生をさらに最適化するために、任意に使用される。
(非天然アミノ酸を有するポリペプチド)
非天然アミノ酸の組み込みは、多様な目的(タンパク質構造および/または機能の変化の修正、大きさの変更、酸性度の変更、求核性の変更、水素結合の変更、疎水性の変更、プロテアーゼ標的部位の接触性の変更、部分に対する標的化の変更(タンパク質アレイ用が挙げられるが、これらに限定されない)、生物学的に活性な分子の付加、ポリマーの付与、放射性核種の付与、血中半減期の調節、組織透過性(例えば、腫瘍)の調節、活性な輸送の調節、組織、細胞もしくは器官の特徴または分布の調節、免疫原性の調節、プロテアーゼ耐性の調節などが挙げられるが、これらに限定されない)のためになされ得る。非天然アミノ酸を含むタンパク質は、増強されたかもしくはまったく新しい触媒的、または生物学的な性質を有し得る。例えば、以下の性質:毒性、体内分布、構造的性質、分光性質、化学的および/または光化学的な性質、触媒能、半減期(血中半減期が挙げられるが、これに限定されない)、ならびに他の分子との共有結合的または非共有結合的な(限定されないが、これらが挙げられる)反応能などは、タンパク質への非天然アミノ酸の含有によって任意に修飾される。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含むタンパク質を含む、組成物は、新規の治療、診断、触媒酵素、産業的なタンパク質(抗体が挙げられるが、これに限定されない)、ならびにタンパク質の構造および機能に関する研究(限定されないが、これらが挙げられる)に有用である。例えば、Dougherty, (2000) Unnatural Amino Acids as Probes of Protein Structure and Function, Current Opinion in Chemical Biology, 4:645-652を参照すればよい。
本発明の1つの局面において、少なくとも1(少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10以上が挙げられるが、これらに限定されない)の非天然アミノ酸を有する、少なくとも1つのタンパク質を含む。非天然アミノ酸は、同じであり得るか、異なり得る(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の異なる、または同じ非天然アミノ酸を含むポリペプチドにおける、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、もしくはそれ以上の異なる部位があり得ることが挙げられるが、これらに限定されない)。他の局面において、タンパク質に存在する特定のアミノ酸の、すべてではないが、少なくとも1つが非天然アミノ酸と置換されているタンパク質を含む。2つ以上の非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質に関して、当該非天然アミノ酸は同一であり得るか、異なり得る(タンパク質が2つ以上の異なる種類の非天然アミノ酸を含み得るか、2つの同じ非天然アミノ酸を含み得ることが挙げられるが、これらに限定されない)。3つ以上の非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質に関して、当該非天然アミノ酸は、同じであり得るか、異なり得るか、または少なくとも1つの非天然アミノ酸と複数の同種の非天然アミノ酸との組合せであり得る。
少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質またはポリペプチドは、本発明の特徴である。また、本発明は、本発明の組成物および方法を用いて産生された少なくとも1つの非天然アミノ酸を有する、タンパク質またはポリペプチドを包含する。また、賦形剤(薬学的に受容可能な賦形剤が挙げられるが、これに限定されない)は、タンパク質と共に存在し得る。
非天然アミノ酸を有する所定のタンパク質またはポリペプチドを、真核細胞において産生することによって、タンパク質またはポリペプチドは、翻訳後修飾を典型的に含む。ある特定の実施形態において、タンパク質は、少なくとも1つの非天然アミノ酸、および真核細胞によってインビボにおいてなされた少なくとも1つの翻訳後修飾を含み、ここで、当該翻訳後修飾は、原核細胞によってなされない。例えば、翻訳後修飾としては、糖鎖形成、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾、および糖鎖形成などが挙げられるが、これらに限定されない。1つの局面において、翻訳後修飾としては、GlcNAc−アスパラギン連結による、アスパラギンに対するオリゴ糖((GlcNAc−Man)−Man−GlcNAc−GlcNAcが挙げられるが、これに限定されない)の付加が挙げられる。真核細胞のN結合型オリゴ糖のいくつかの例を載せている表1を参照すればよい(付加的な残基が存在し得るが、示されていない)。他の局面において、翻訳後修飾としては、GalNAc−セリン連結もしくはGalNAc−スレオニン連結、またはGlcNAc−セリン連結もしくはGlcNAcスレオニン連結による、セリンまたはスレオニンに対するオリゴ糖(Gal−GalNAc、Gal−GlcNAcなどが挙げられるが、これらに限定されない)の付加が挙げられる。
Figure 2010525821
さらにもう1つの局面において、翻訳後修飾としては、前駆体(カルシトニン前駆体、カルシトニン遺伝子関連ペプチド前駆体、プレプロ副甲状腺ホルモン(preproparathyriod hormone)、プレプロインシュリン、プロインシュリン、プレプロオピオメラノコルチン、およびプロオピオメラノコルチンなどが挙げられるが、これらに限定されない)のタンパク質分解性のプロセシング、多サブユニットタンパク質への集合もしくは巨大分子への集合、細胞における他の部位への移動(細胞小器官(例えば、小胞体、ゴルジ装置、核、リソソーム、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、葉緑体、液胞など)または分泌経路の通過が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられる。ある特定の実施形態において、タンパク質は、分泌配列または局在化配列である、エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、またはGST融合などを備える。
非天然アミノ酸の利点1つは、非天然アミノ酸が、付加的な分子の付加に使用され得る付加的な化学部分を与えることである。これらの修飾は、真核細胞もしくは原核細胞のインビボまたはインビトロにおいてなされ得る。したがって、ある特定の実施形態において、翻訳後修飾は非天然アミノ酸を介する。例えば、翻訳後修飾は、求核−求電子反応を介し得る。タンパク質の選択的な修飾に現在、使用されるほとんどの反応は、求核反応パートナーと求電子反応パートナーとの間における共有結合(α−ハロケトンのヒスチジン側鎖またはシステイン側鎖との反応が挙げられるが、これらに限定されない)の形成に関する。これらの場合における選択性は、タンパク質における求核性残基の数および接触性によって決定される。本発明のタンパク質において、より選択的な他の反応は、例えば、非天然ケトアミノ酸の、ヒドラジドまたはアミノオキシ化合物との反応に使用され得る。例えば、すべてが参照によって本明細書に組み込まれる、Cornish et al, (1996) J. Am. Chem. Soc. 118:8150-8151;Mahal et al, (1997) Science. 276:1125-1128;Wang et al, (2001) Science 292:498-500;Chin et al, (2002) J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027;Chin et al, (2002) Proc. Natl. Acad. ScL 99: 11020-11024;Wang et al, (2003) Proc. Natl. Acad. ScL 100:56-61;Zhang et al, (2003) Biochemistry. 42:6735-6746;およびChin et al, (2003) Science. 301:964-7を参照すればよい。これは、多くの試薬(蛍光団、架橋剤、糖誘導体および細胞毒性分子が挙げられるが、これらに限定されない)を用い実質的に任意のタンパク質の選択的な標識を可能にする。また、参照によって本明細書に組み込まれる、“Glycoprotein synthesis”と題される米国特許第6,927,042を参照すればよい。また、アジドアミノ酸を介した(限定されないが、これが挙げられる)翻訳後修飾は、トリアリールホスフィン試薬を用いた(限定されないが、これが挙げられる)シュタウディンガー連結を介してなされ得る。例えば、Kiick et al, (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligation, PNAS 99: 19-24を参照すればよい。
本発明は、タンパク質にアジド部分またはアルキニル部分(限定されないが、これらが挙げられる)を含む非天然アミノ酸の、セレクターコドンに応じた遺伝子的組み込みに関する、タンパク質の選択的な修飾のための他の高効率な方法を提供する。それから、これらのアミノ酸側鎖は、アジド誘導体またはアルキニル誘導体(限定されないが、これらが挙げられる)を別々に用いて、ヒュイゲン[3+2]付加環化反応(限定されないが、これが挙げられる)(例えば、Padwa, A. in Comprehensive Organic Synthesis. Vol. 4. (1991) Ed. Trost, B. M., Pergamon, Oxford, p. 1069-1109;およびHuisgen, R. in 1 ,3-Dipolar Cycloaddition Chemistry. (1984) Ed. Padwa, A., Wiley, New York, p. 1-176を参照すればよい)によって修飾され得る。この方法は、求核性置換よりむしろ付加環化に関するので、タンパク質は極めて高い選択性を有して修飾され得る。この反応は、反応混合物に対する触媒量のCu(I)塩の添加によって、水性条件の下に室温において、優れた位置選択性(1,4>1,5)を有して達成され得る。例えば、Tornoe et al, (2002) J. Org. Chem. 67:3057-3064;およびRostovtsev et al, (2002) Angew. Chem. Int. Ed. 41: 2596-2599を参照すればよい。使用され得る他の方法は、テトラシステインモチーフを有するビス砒素化合物におけるリガンド交換である(例えば、Griffin et al, (1998) Science 281 :269-272を参照すればよい)。
[3+2]付加環化を介して本発明のタンパク質に加えられ得る分子としては、アジド誘導体またはアルキニル誘導体を有する実質的に任意の分子が挙げられる。分子としては、色素、蛍光団、架橋剤、糖誘導体、ポリマー(ポリエチレングリコールの誘導体が挙げられるが、これに限定されない)、光架橋剤、細胞毒性化合物、親和性標識、ビオチンの誘導体、樹脂、ビーズ、もう1のタンパク質もしくはポリペプチド(もしくはそれ以上)、ポリヌクレオチド(DNA、RNAなどが挙げられるが、これらに限定されない)、金属キレート剤、補足因子、脂肪酸、および炭水化物などが挙げられるが、これらに限定されない。これらの分子は、アルキニル基(p−プロパルギルオキシフェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)またはアジド基(p−アジド−フェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)を別々に有する非天然アミノ酸に加えられ得る。
<V.非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドのインビボ生成>
本発明のIFNβポリペプチドは、天然に存在する系にコードされないアミノ酸を加えるか、または置換するために、修飾されたtRNAおよびtRNAシンセターゼを用いてインビボにおいて生成され得る。
天然に存在する系にコードされないアミノ酸を使用するtRNAおよびtRNAシンセターゼを生成する方法は、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書に記載されている。これらの方法は、翻訳系に対して内在性のシンセターゼおよびtRNAと独立して機能する(そして、このためにときに“直交性の(orthogonal)”と呼ばれる)、翻訳機構の生成に関与する。典型的に、当該翻訳系は、直交性のtRNA(O−tRNA)および直交性のアミノアシルtRNAシンセターゼ(O−RS)を含む。典型的に、O−RSは、翻訳系における少なくとも1つの非天然に存在するアミノ酸と共にO−tRNAを好ましくアミノアシル化し、O−tRNAは、当該系における他のtRNAによって認識されない、少なくとも1つのセレクターコドンを認識する。したがって、当該翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応じて、当該系において産生されるタンパク質に非天然にコードされるアミノ酸を挿入して、これによってコードされたポリペプチドにおける所定の位置にアミノ酸を“置換する”。
広範な直交性のtRNAおよびアミノアシルtRNAは、ポリペプチドに特定の合成アミノ酸を挿入する当該技術において説明されており、一般的に本発明における使用に好適である。例えば、ケト特異的O−tRNA/アミノアシルtRNAシンセターゼは、Wang, L.et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 100:56-61 (2003) 、およびZhang, Z.et al, Biochem. 42(22):6735-6746 (2003)に記載されている。例示的なO−RSまたはこれらの一部は、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書(それぞれ、参照によって本明細書に組み込まれる)に開示されている、ポリヌクレオチド配列にコードされ、アミノ酸配列を含む。また、O−RSと共に使用するための対応するO−tRNA分子は、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,045,337号明細書および米国特許第7,083,970号明細書に記載されている。O−tRNA/アミノアシル−tRNAシンセターゼ対の付加的な例は、国際公開第2005/007870号パンフレット、国際公開第2005/007624号パンフレットおよび国際公開第2005/019415号パンフレットに記載されている。
アジド特異的なO−tRNA/アミノアシルtRNAシンセターゼの系の例が、Chin, J. W., et al, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002) に記載されている。p−アジド−L−Phe用の例示的なO−RS配列としては、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,083,970号明細書に記載されているように、配列番号14−16および29−32のヌクレオチド配列、ならびに配列番号46−48および61−64のアミノ酸配列が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の使用に好適な例示的なO−tRNA配列としては、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,083,970号明細書に開示されているように、配列番号1−3のヌクレオチド配列が挙げられるが、これらに限定されない。特定の非天然にコードされるアミノ酸に対して特異的なO−tRNA/アミノアシルtRNAシンセターゼの他の例が、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。S.セレビジアエにおいてケト含有アミノ酸およびアジド含有アミノ酸の両方を組み込む、O−RSおよびO−tRNAについて、Chin, J. W.et al, Science 301 :964-967 (2003). に記載されている。
様々な他の直交性の対が報告されている。S.セレビジアエのtRNAおよびシンセターゼから由来する、グルタミニル系(例えば、Liu, D. R., and Schultz, P. G. (1999) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 96:4780-4785を参照すればよい)、アスパルチル系(例えば、Pastrnak, M.et al, (2000) HeIv. Chim. Acta 83:2277-2286を参照すればよい)、およびチロシル系(例えば、Ohno, S.et al, (1998) J. Biochem. (Tokyo. Jpn.) 124:1065-1068;およびKowal, A. K.et al, (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98:2268-2273を参照すればよい)が、E. coilにおける非天然アミノ酸の見込みのある組み込みについて記載されている。E. coilのグルタミニルシンセターゼ(例えば、Kowal, A. K.et al, (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98:2268-2273を参照すればよい)、およびチロシルシンセターゼ(例えば、Edwards, H., and Schimmel, P. (1990) MoI. Cell. Biol. 10:1633-1641を参照すればよい)に由来する系は、S.セレビジアエにおける使用に関して記載されている。E. coilのチロシル系は、哺乳類細胞における、3−ヨード−L−チロシンのインビボにおける組み込みに使用されている。Sakamoto, K.et al, (2002) Nucleic Acids Res. 30:4692-4699を参照すればよい。
O−tRNA/アミノアシルtRNAシンセターゼの使用は、非天然にコードされるアミノ酸をコードする特異的なコドンの選択に関与する。任意のコドンが使用され得るが、一般的にO−tRNA/アミノアシルtRNAシンセターゼが発現されている細胞において、まれにしか使用されないか、または決して使用されないコドンを選択することが好ましい。例えば、例示的なコドンとしては、ナンセンスコドン(例えば、ストップコドン(アンバー、オーカー、およびオパール))、4以上の塩基コドン、ならびにまれにしか使用されない、または使用されない他の天然の3塩基コドンが挙げられる。
特異的なセレクターコドンは、当該技術において公知の突然変異生成方法(部位特異的突然変異生成法、カセット突然変異生成法、制限選択突然変異生成法などが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、IFNβポリヌクレオチドのコード配列における適切な位置に導入され得る。
タンパク質の生合成機構の構成要素(例えば、非天然アミノ酸を組み込むために使用され得るO−RS、O−tRNAおよびO−tRNA/O−RS対)を生成する方法は、Wang, L., et al Science 292: 498-500 (2001);Chin, J. W.et al, J. Am. Chem. Soc. 124:9026-9027 (2002) ;Zhang, Z.et al, Biochemistry 42: 6735-6746 (2003) に記載されている。非天然アミノ酸のインビボにおける組み込みのための方法および組成物は、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,045,337号明細書に記載されている。また、生体のインビボにおける翻訳系に使用する、直交性のtRNA−tRNAシンセターゼ対を選択する方法は、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,045,337号明細書、および米国特許第7,083,970明細書に記載されている。その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、“Site Specific Incorporation of Keto Amino Acids into proteins”と題される国際公開第04/035743号パンフレットには、ケトアミノ酸の組み込み用の直交性のRSおよびtRNA対について記載されている。その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、“Expanding the Eukaryotic Genetic Code”と題される国際公開第04/094593号パンフレットには、真核宿主細胞における非天然にコードされるアミノ酸の組み込み用の直交性のRSおよびtRNA対について記載されている。
少なくとも1つの組換え直交性のアミノアシルtRNAシンセターゼ(O−RS)を産生する方法は:(a)第1の生物(原核生物(例えば、メタノコッカス ジャナスキー、メタノバクテリウム テルモアウトトゥロフィクム、ハロバクテリウム、エシェリキア コリ、A. フンギドゥス、P. フリオシス、P. ホリコシー、A. ペルニクス、またはT. テルモフィルスなど)または真核生物が挙げられるが、これらに限定されない)から、少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンセターゼから誘導体化された(任意に突然変異した)RSのライブラリを生成すること;(b)非天然アミノ酸および天然アミノ酸の存在下において直交性のtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する構成要素のためのRS(任意に突然変異したRS)のライブラリを選択(および/またはスクリーニング)し、これによって活性な(任意に突然変異した)RSのプールを提供すること;および/または(c)非天然アミノ酸の非存在下においてO−tRNAを好ましくアミノアシル化する活性なRS(突然変異体RSが挙げられるが、これに限定されない)のプールを、(任意にネガティブ選択を介して)選択し、これによって少なくとも1つの組換えO−tRNAを提供することを包含し;ここで、少なくとも1つの当該組換えO−RSは、非天然アミノ酸と共に当該O−RSを好ましくアミノアシル化する。
1つの実施形態において、RSは不活性RSである。不活性RSは、活性なRSを突然変異させることによって生成され得る。例えば、不活性RSは、異なるアミノ酸(アラニンが挙げられるが、これに限定されない)に対して、少なくとも約1つ、少なくとも約2つ、少なくとも約3つ、少なくとも約4つ、少なくとも約5つ、少なくとも約6つ、または少なくとも約10以上のアミノ酸を突然変異することによって生成され得る。
突然変異体RSのライブラリは、当該分野において公知の多様な技術(三次元のRS構造に基づいた合理的な設計、または無作為のもしくは合理的な技術におけるRSヌクレオチドの突然変異生成法が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて生成され得る。例えば、突然変異体RSは、部位特異的突然変異生成法、無作為の突然変異生成法、多様性生成組換え突然変異、キメラ構築、合理的な設計、ならびに本明細書に記載されているか、もしくは当該技術において公知の他の方法によって、生成され得る。
1つの実施形態において、活性な構成要素(非天然アミノ酸および天然アミノ酸の存在下において直交性のtRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する構成要素が挙げられるが、これに限定されない)のためのRS(任意に突然変異したRS)のライブラリを選択(および/またはスクリーニング)することは:スクリーニングマーカー(抗生物質耐性遺伝子などが挙げられるが、これに限定されない)、および(任意に突然変異した)RSのライブラリを、複数の細胞に導入すること(ここで、ポジティブ選択および/またはスクリーニングマーカーは、少なくとも1つのセレクターコドン(アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドンが挙げられるが、これらに限定されない)を備える);選択薬剤の存在下において複数の細胞を成長させること;ポジティブ選択またはスクリーニングマーカーにおける少なくとも1つのセレクターコドンを抑圧することによって、選択薬剤および/またはスクリーニング薬剤の存在下において、生存する(または特異的な反応を示す)細胞を同定し、これによって活性な(任意に突然変異した)RSのプールを含むポジティブに選択された細胞の一部を提供することを含む。任意に、選択薬剤および/またはスクリーニング薬剤の濃度は、変更され得る。
1つの局面において、ポジティブ選択マーカーは、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子であり、セレクターコドンは、CAT遺伝子におけるアンバーストップコドンである。任意に、ポジティブ選択マーカーはβ−ラクタマーゼ遺伝子であり、セレクターコドンはβ−ラクタマーゼ遺伝子におけるアンバーストップコドンである。他の局面において、ポジティブ選択マーカーは、蛍光もしくは発光のスクリーニングマーカー、または親和性に基づくスクリーニングマーカー(細胞表面マーカーが挙げられるが、これに限定されない)を備える。
1つの実施形態において、非天然アミノ酸の非存在下においてO−tRNAを好ましくアミノアシル化する活性なRS(任意に突然変異した)に関するプールの、ネガティブ選択またはネガティブスクリーニングは:ポジティブ選択またはスクリーニングマーカーからの活性な(任意に突然変異した)RSのプールと共に、ネガティブ選択マーカー、またはネガティブスクリーニングマーカーを、第2の生物の複数の細胞に導入すること(ここで、ネガティブ選択マーカー、またはネガティブスクリーニングマーカーは、少なくとも1つのセレクターコドン(抗生物質耐性遺伝子(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない)を備える);ならびに非天然アミノ酸、およびスクリーニング薬剤もしくは選択薬剤を補った第1の培地において生存するか、または特異的なスクリーニング反応を示すが、非天然アミノ酸およびスクリーニング薬剤もしくは選択薬剤を補っていない第2の培地において生存できないか、または特異的なスクリーニング反応を示さない細胞を同定し、これによって少なくとも1つの組換えO−RSを有する生存細胞または選別された細胞を提供することを含む。例えば、CAT同定手順は、適切なO−RS組換え体の決定において、ポジティブ選択および/またはネガティブ選択として任意に役割を果たす。例えば、クローンのプールは、非天然アミノ酸を有するか、または有しないCAT(少なくとも1つのセレクターコドンを備える)を含む成長プレート上において、任意に複製される。したがって、非天然アミノ酸を含むプレート上において排他的に成長するコロニーは、組換えRSを含んでいるとみなされる。1つの局面において、選択(および/またはスクリーニング)薬剤の濃度は、変更される。いくつかの実施形態において、第1および第2の生物は異なる。したがって、第1および/または第2の生物は、原核生物、真核生物、哺乳類、エシェリキア コリ、菌類、酵母、アルカエバクテリウム、ユウバクテリウム、植物、昆虫、原生生物などを任意に含む。他の実施形態において、スクリーニングマーカーは、蛍光もしくは発光のスクリーニング、または親和性に基づくスクリーニングマーカーを含む。
他の実施形態において、活性な(任意に突然変異した)RSに関するプールのスクリーニングまたは選択(ネガティブ選択が挙げられるが、これに限定されない)は:ポジティブ選択の段階(b)から活性な突然変異体RSのプールを単離することと;ネガティブ選択マーカー、またはネガティブスクリーニングマーカー(ここで、ネガティブ選択マーカー、またはネガティブスクリーニングマーカーは、少なくとも1つのセレクターコドン(少なくとも1つのセレクターコドンを備える毒性マーカー遺伝子(リボヌクレアーゼバルナーゼ(barnase)遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない)を備える)、ならびに活性な(任意に突然変異した)RSのプールを、第2の生物の複数の細胞に導入することと;非天然アミノ酸を補っていない第1の培地において生存するか、または特異的なスクリーニング反応を示すが、非天然アミノ酸を補った第2の培地において生存できないか、または特異的なスクリーニング反応を示さない細胞を同定し、これによって非天然アミノ酸に特異的な少なくとも1つの組換えO−RSを有する生存細胞、または選別細胞を提供することとを含み、ここで、少なくとも1つの組換えO−RSは非天然にコードされるアミノ酸に特異的である。1つの局面において、少なくとも1つのセレクターコドンは、約2つ以上のセレクターコドンを備える。そのような実施形態は、少なくとも1つのセレクターコドンが約2つ以上のセレクターコドンを備える場合、ならびに第1および第2の生物が異なる場合(それぞれの生物が、任意に原核生物、真核生物、哺乳類、エシェリキア コリ、菌類、酵母、アルカエバクテリウム、ユウバクテリウム、植物、昆虫、原生生物など(限定されないが、これらが挙げられる)である場合が挙げられるが、これらに限定されない)を任意に含むことができる。また、いくつかの局面は、ネガティブ選択マーカーが、リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子(少なくとも1つのセレクターコドンを備える)を備える場合を含む。他の局面は、スクリーニングマーカーが蛍光もしくは発光のスクリーニングマーカー、または親和性に基づくスクリーニングマーカーを任意に備える場合を含む。本明細書における実施形態において、スクリーニングおよび/または選択は、スクリーニングおよび/または選択のストリンジェンシー(stringency)の変動を任意に含む。
他の実施形態において、直交性の組換えアミノアシルtRNAシンセターゼ(O−RS)少なくとも1つを産生する方法は:(d)少なくとも1つの組み換えO−RSを単離すること;(e)少なくとも1つの組み換えO−RSから誘導体化されたO−RS(任意に突然変異した)の第2のセットを生成すること;ならびに(f)O−tRNAを好ましくアミノアシル化する能力を備える突然変異したO−RSが得られるまで、段階(b)および(c)を繰り返すことをさらに含む。段階(d)−(f)は、任意に繰り返される(少なくとも2回が挙げられるが、これに限定されない)。1つの局面において、少なくとも1つの組換えO−RSから誘導体化された突然変異したO−RSの第2のセットは、突然変異生成法(無作為の突然変異生成法、部位特異的突然変異生成法、組換え、またはこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない)によって生成され得る。
選択/スクリーニングの段階(上述した方法における、ポジティブ選択/スクリーニングの段階(b)か、ネガティブ選択/スクリーニングの段階(c)か、ポジティブおよびネガティブ選択/スクリーニングの段階(b)および(c)の両方かのいずれかが挙げられるが、これらに限定されない)のストリンジェンシーは、選択/スクリーニングのストリンジェンシーの変更を任意に含む。他の実施形態において、ポジティブ選択/スクリーニングの段階(b)か、ネガティブ選択/スクリーニングの段階(c)か、ポジティブおよびネガティブ選択/スクリーニングの段階(b)および(c)の両方かのいずれかは、蛍光標示式細胞分取器(FACS)によって検出されるか、または発光によって検出されるレポーターを使用することを含む。レポーターは、細胞表面、またはファージディスプレイなどに並び、非天然アミノ酸または類似体に関する親和性、または触媒活性に基づいて選択される。1つの実施形態において、突然変異したシンセターゼは、細胞表面またはファージディスプレイなどに提示される。
組換え直交性のtRNA(O−tRNA)を産生する方法は:(a)第1の生物に由来する少なくとも1つのtRNA(サプレッサtRNAが挙げられるが、これに限定されない)から誘導体化された突然変異体tRNAのライブラリを生成すること;(b)第1の生物に由来するRSの非存在下において、第2の生物に由来するアミノアシルtRNAシンセターゼ(RS)によってアミノアシル化される(任意に突然変異した)tRNAに関するライブラリを選択(ネガティブ選択が挙げられるが、これに限定されない)、またはスクリーニングし、これによってtRNA(任意に突然変異した)のプールを提供すること;ならびに(c)導入された直交性のRS(O−RS)によってアミノアシル化される構成要素に関するtRNA(任意に突然変異した)のプールを選択またはスクリーニングし、これによって少なくとも1つの組換えO−tRNAを提供することを含み;ここで、少なくとも1つの組換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第2の生物に由来するRSによって効率的に認識されず、O−RSによって好ましくアミノアシル化される。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのtRNAは、サプレッサtRNAであり、および/または、天然および/または非天然の塩基の固有な3塩基コドンを備えるか、ナンセンスコドン、レアコドン、非天然コドン、少なくとも4塩基を備えるコドン、アンバーコドン、オーカーコドン、もしくはオパールストップコドンである。1つの実施形態において、組換えO−tRNAは、向上した直交性を備えている。いくつかの実施形態において、O−tRNAが修飾を必要とせずに、第2の生物から第1の生物に任意に取り込まれることが理解される。多様な実施形態において、第1および第2の生物は、同じであるか、または異なり、原核生物(メタノコッカス ジャナスキー、メタノバクテリウム テルモアウトトゥロフィクム、エシェリキア コリ、ハロバクテリウムなどが挙げられるが、これらに限定されない)、真核生物、哺乳類、菌類、酵母、アルカエバクテリウム、ユウバクテリウム、植物、昆虫、原生生物など(限定されないが、これらが挙げられる)から任意に選択される。付加的に、組換えtRNAは、天然にか、または遺伝子操作を介してインビボにおいて生合成される非天然アミノ酸によって、任意にアミノアシル化される。非天然アミノ酸は、少なくとも第1または第2の生物に使われる成長培地に任意に加えられる。
1つの局面において、アミノアシルtRNAシンセターゼによってアミノアシル化される(任意に突然変異した)tRNAに関するライブラリの選択(ネガティブ選択が挙げられるが、これに限定されない)またはスクリーニング(段階(b))は:毒性マーカー遺伝子(ここで、毒性マーカー遺伝子が、少なくとも1つのセレクターコドンを備える(または少なくとも1つのセレクターコドンを備える毒性マーカー遺伝子が、毒性薬剤もしくは静止薬剤の産生を導く遺伝子か、生物に必須の遺伝子を備える))、および(任意に突然変異した)tRNAのライブラリを、第2の生物に由来する複数の細胞に導入すること;ならびに生存細胞を選択すること(ここで、生存細胞は、少なくとも1つの直交性のtRNAまたは非機能的tRNAを備える(任意に突然変異した)tRNAのプールを含む)を含む。例えば、生存細胞は、比較比率細胞密度アッセイ(comparison ratio cell density assay)を用いることによって選択され得る。
他の局面において、毒性マーカー遺伝子は、2つ以上のセレクターコドンを含み得る。当該方法の他の実施形態において、毒性マーカー遺伝子は、少なくとも1つのアンバーコドンを備えるリボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子である。リボヌクレアーゼバルナーゼ遺伝子は、2つ以上のアンバーコドンを任意に含み得る。
1つの実施形態において、導入された直交性のRS(O−RS)によってアミノアシル化される構成要素に関する(任意に突然変異した)tRNAのプールの選択またはスクリーニングは:ポジティブ選択マーカー遺伝子またはポジティブスクリーニングマーカー遺伝子(ここで、ポジティブマーカー遺伝子は、薬剤耐性遺伝子(少なくとも1つのセレクターコドン(例えば、少なくとも1つのアンバーストップコドン)を備えるβ−ラクタマーゼ遺伝子が挙げられるが、これに限定されない)、または生物に必須の遺伝子、またはO−RSと共に毒性薬剤の無毒化を導く遺伝子を備える)、および(任意に突然変異した)tRNAのプールを、第2の生物に由来する複数の細胞に導入すること;ならびに選択薬剤またはスクリーニング薬剤(抗生物質が挙げられるが、これに限定されない)の存在下において成長された、生存細胞または選択細胞を同定し、これによって少なくとも1つの組換えtRNAを備える細胞のプールを提供すること(ここで、少なくとも組換えtRNAは、O−RSによってアミノアシル化され、少なくとも1つのセレクターコドンに応じて、ポジティブマーカー遺伝子によってコードされる転写産物にアミノ酸を挿入する)を含むことができる。他の実施形態において、選択薬剤および/またはスクリーニング薬剤の濃度は、変更される。
特定のO−tRNA/O−RS対を生成する方法が提供される。方法は:(a)第1の生物に由来する少なくとも1つのtRNAから誘導体化された突然変異体tRNAのライブラリを生成すること;(b)第2の生物に由来するアミノアシルtRNAシンセターゼ(RS)によってアミノアシル化される(任意に突然変異した)tRNAに関するライブラリを、第1の生物に由来するRSの非存在下において、ネガティブ選択またはネガティブスクリーニングし、これによって(任意に突然変異した)tRNAのプールを提供すること;(c)導入された直交性のRS(O−RS)によってアミノアシル化される構成要素に関する(任意に突然変異した)tRNAのプールを選択またはスクリーニングし、これによって少なくとも1つの組換えO−tRNAを提供することを含む。少なくとも1つの組換えO−tRNAは、セレクターコドンを認識し、第2の生物に由来するRSによって効率的に認識されず、O−RSによって好ましくアミノアシル化される。また、当該方法は、(d)第3の生物に由来する少なくとも1つのアミノアシルtRNAシンセターゼ(RS)から誘導体化された(任意に突然変異した)RSのライブラリを生成すること;(e)少なくとも1つの組換えO−tRNAを好ましくアミノアシル化する構成要素に関する突然変異体RSのライブラリを、非天然にコードされるアミノ酸および天然アミノ酸の存在下において選択またはスクリーニングし、これによって活性な(任意に突然変異した)RSのプールを提供すること;ならびに(f)少なくとも1つの組換えO−tRNAを好ましくアミノアシル化する活性な(任意に突然変異した)RSに関するプールを、非天然にコードされるアミノ酸の非存在下において、ネガティブ選択またはネガティブスクリーニングし、これによって少なくとも1つの特異的なO−tRNA/O−RS対を提供すること(ここで、少なくとも1つのO−tRNA/O−RS対は、非天然にコードされるアミノ酸および少なくとも1つの組換えO−tRNAに対して特異的な、少なくとも1つの組換えO−RSを備える)を含む。当該方法によって産生される特異的なO−tRNA/O−RS対が包含される。例えば、特異的なO−tRNA/O−RS対としては、mutRNATyr−mutTyrRS対(例えば、mutRNATyr−SS12TyrRS対)、mutRNALeu−mutLeuRS対、mutRNAThr−mutThrRS対、またはmutRNAGlu−mutGluRS対などが挙げることができるが、これらに限定されない。付加的に、そのような方法は、第1および第3の生物が同じ生物(メタノコッカス ジャナスキーが挙げられるが、これに限定されない)である場合を含む。
また、第2の生物のインビボにおける翻訳系に使用するための直交性のtRNA−tRNAシンセターゼ対を選択する方法が、本発明に含まれる。当該方法は:マーカー遺伝子、第1の生物から単離されたか、誘導体化されたtRNAおよびアミノアシルtRNAシンセターゼ(RS)を、第2の生物に由来する第1の細胞のセットに導入すること;第2の生物に由来する二重の細胞セットにマーカー遺伝子およびtRNAを導入すること;ならびに二重の細胞セットにおいて生存することができない第1のセットにおける生存細胞を選択すること、または二重の細胞セットにおいて特異的なスクリーニング反応を示すことができないそのような反応を示す細胞を選択すること(ここで、第1のセットおよび二重の細胞セットは、選択薬剤またはスクリーニング薬剤の存在下において成長され、ここで、生存細胞または選択細胞は、第2の生物のインビボにおける翻訳系に使用するための直交性のtRNA−tRNAシンセターゼ対を備える)を含む。1つの実施形態において、比較、および選択もしくはスクリーニングは、インビボ相補的アッセイを含む。選択薬剤またはスクリーニング薬剤の濃度は、変更され得る。
本発明の生物は、多様な生物および多様な組合せを含む。例えば、本発明の方法の第1および第2の生物は、同じであり得るか、または異なり得る。1つの実施形態において、生物は、任意に原核生物(メタノコッカス ジャナスキー、メタノバクテリウム テルモアウトトゥロフィクム、ハロバクテリウム、エシェリキア コリ、A.フンギドゥス、P. フリオスス、P. ホリコシー、A. ペルニクス、またはT. テルモフィルスなどが挙げられるが、これらに限定されない)である。代替可能に、生物は、任意に真核生物(植物(複合体植物(例えば、単子葉植物または双子葉植物)が挙げられるが、これらに限定されない)、藻類、原生生物、菌類(酵母が挙げられるが、これに限定されない)、または動物(哺乳類、昆虫、節足動物などが挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない)などである。他の実施形態において、第2の生物は、原核生物(メタノコッカス ジャナスキー、メタノバクテリウム テルモアウトトゥロフィクム、ハロバクテリウム、エシェリキア コリ、A. フンギドゥス、ハロバクテリウム、A.フンギドゥス、P. フリオスス、P. ホリコシー、A. ペルニクス、またはT. テルモフィルスなどが挙げられるが、これらに限定されない)である。代替可能に、第2の生物は、真核生物(酵母、動物細胞、植物細胞、菌類、または哺乳類細胞などが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。多様な実施形態において、第1および第2の生物は異なる。
<VI.IFNβポリペプチドにおける非天然にコードされるアミノ酸の位置>
本発明は、IFNβポリペプチドに対する非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の組込みを意図する。非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、ポリペプチドの活性を破壊しない特定の位置に組み込まれ得る。これは、“保存的な”置換(疎水性のアミノ酸を用いた疎水性アミノ酸の置換、大きなアミノ酸を用いた大きなアミノ酸の置換、親水性のアミノ酸を用いた親水性アミノ酸の置換が挙げられるが、これらに限定されない)、および/または活性に不要な位置に非天然アミノ酸の挿入することによって達成され得る。
広範な生化学的および構造的な手法は、IFNβポリペプチド内における非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換を目的とする、所望の部位の選択に採用され得る。ポリペプチド鎖の任意の部位が、非天然にコードされるアミノ酸を組み込むための選択に好適であり、選択は、任意の目的もしくは特に所望ではない目的に関して、合理的な設計、または無作為の選択に基づき得ることは、当業者にとって容易に理解される。所望の部位の選択は、任意の所望の性質、または活性を有するIFNβ分子を産生するためであり得る。当該任意の所望の性質または活性としては、アゴニスト、スーパーアゴニスト、インバースアゴニスト、アンタゴニスト、受容体結合修飾物質、受容体活性修飾物質、ダイマーもしくはマルチマー形成、本来の分子と比較して活性もしくは性質に対して変化がないこと、またはポリペプチドの物理的もしくは化学的な性質(例えば、溶解性、凝集または安定性)を操作することなどが挙げられる。例えば、IFNβポリペプチドの生物活性に必要なポリペプチドにおける位置は、当該分野において公知の点突然変異分析、アラニン走査、生物活性に関する飽和変異生成およびスクリーニング、あるいは相同物スキャニング法を用いて同定され得る。IFNβポリペプチドを修飾する残基を同定するために使用され得る他の方法としては、これらに限定されないが、配列プロファイリング(Bowie and Eisenberg, Science 253(5016): 164-70, (1991))、回転異性体ライブラリ選択(Dahiyat and Mayo, Protein Sci 5(5): 895-903 (1996); Dahiyat and Mayo, Science 278(5335): 82-7 (1997); Desjarlais and Handel, Protein Science 4: 2006-2018 (1995); Harbury et al, PNAS USA 92(18): 8408-8412 (1995); Kono et al., Proteins: Structure, Function and Genetics 19: 244-255 (1994); HellingaおよびRichards, PNAS USA 91 : 5803-5807 (1994))、残基対ポテンシャル(residue pair potentials)(Jones, Protein Science 3: 567-574, (1994))、プロテインデザインオートメーション(Protein Design Automation)(登録商標)を用いた合理的な設計(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,188,965号明細書;米国特許第6,269,312号明細書;米国特許第6,403,312号明細書;国際公開第98/47089号パンフレットを参照すればよい)が挙げられる。IFNβ生物活性にとって重要な残基、薬物の安定性に関わる残基、抗体エピトープ、または受容体結合残基が変異され得る。参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,580,723号明細書;米国特許第5,834,250号明細書;米国特許第6,013,478号明細書;米国特許第6,428,954号明細書;および米国特許第6,454,561号明細書には、標的物質と共にポリペプチドの活性に影響する活性ドメインの同定によって、ポリペプチド(例えば、IFNβ)の構造および機能を体系的に解析する方法について記載されている。Runkel et al. Biochemistry (2000) 39:2538-2551には、受容体結合および生物学的活性に関わる領域を同定するための、ヒトIFNβ1aの変異性のモノクロナル抗体分析について記載されている。Basu et al. Bioconjugate Chem (2006) 17:618-630には、IFNβの部位特異的変異生成およびPEGポリマーを用いて作製される異なる接合物について記載されている。アラニン走査突然変異生成法、または相同物スキャニング突然変異生成法によって、生物活性に重要であるとして同定されたもの以外の残基は、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換にとって、良好な候補物であり得る。また代替可能に、生物活性に重要であるとして同定された部位は、この場合もやはり、ポリペプチドに求められる所望の活性に依存して、非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換にとって、良好な候補物であり得る。他の代替可能物は、ポリペプチド鎖の各位置における、非天然にコードされるアミノ酸を用いた連続する置換を簡単に行い、ポリペプチドの活性に関する影響を観察するためのものである。非天然にコードされるアミノ酸を用いた任意のポリペプチドへの置換に関する位置を選択する、任意の手段、技術または方法が、本発明における使用に好適であることは、当業者にとってたやすく理解される。
また、欠失を含んでいるIFNβポリペプチド変異体の構造および活性は、非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換を許容できると思われるタンパク質の領域を決定するために試験され得る。同様の手法において、プロテアーゼ消化およびモノクロナル抗体が、IFN受容体との結合を担っているIFNβの領域を同定するために使用され得る。非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換を許容できると思われる残基が排除されると、残りの位置のそれぞれにおける提唱されている置換の影響について試験され得る。モデルは、他のIFNファミリーのメンバーおよびIFN受容体の3次元結晶構造から生成され得る。プロテインデータバンク(PDB、rcsb.org上のワールドワイドウェブにおいて利用可能である)は、巨大分子のタンパク質および核酸の3次元結晶構造を含んでいる集中化されたデータベースである。モデルは、3次元構造が利用可能ではない場合に、ポリペプチドの二次構造および三次構造の調査を可能にする。したがって、当業者は、非天然にコードされるアミノ酸を用いて置換し得るアミノ酸位置を容易に同定し得る。
いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドは、ポリペプチドの二次構造を破壊しないタンパク質の領域に位置される、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上含む。
非天然にコードされるアミノ酸の組み込みの例示的な残基は、受容体結合領域として見込のある領域以外にある残基であり得る。また、当該残基は、完全または部分的に溶媒にさらされ得る残基である。また、当該残基は、近傍の残基と最小の水素結合相互作用を有するか、または近傍の残基と水素結合相互作用を有しない残基である。また、当該残基は、近傍の反応性残基に対して最小にさらされ得る残基である。また、当該残基は、露出表面の1つ以上に存在し得る残基である。また、当該残基は、第2のIFNβ、またはこれらの他の分子もしくは断片と並ぶ、単一または複数の部位であり得る残基である。また、当該残基は、IFNβの3次元構造、二次構造、三次構造または4次構造によって予想されるような、自由度の高い領域または構造的に堅固な領域に存在し得る残基である。また、当該残基は、その受容体と結合するか、もしくは結合しない残基、または他の生物学的に活性な分子と結合するか、もしくは結合しない残基である。また、当該残基は
完全な構造の自由度または堅固さを所望のとおりに変更することによって、IFNβ自身、または1つ以上のIFNβを含むダイマーもしくはマルチマーの高次構造を修飾し得る残基である。
当業者であれば、IFNβのそのような分析によって、タンパク質の三次構造内に覆われるアミノ酸残基と比較して表面に露出されるアミノ酸残基の決定が可能なことを認識する。したがって、表面に露出した残基であるアミノ酸を非天然にコードされるアミノ酸に置換することは、本発明の一実施形態である。
非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβにおける以下の位置:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、
インターフェロンβにおける二次構造に対応する以下の領域:配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸に由来するヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)の1つ以上における任意の位置に組み込まれる。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、インターフェロンβの25−35残基、80−100残基および121−135残基(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換される。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、インターフェロンβの41−49残基(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換される。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸のC17S置換(17位におけるシステインをセリンに置換する)を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸のC17S置換(17位におけるシステインをセリンに置換する)、および非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列において非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列において非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上の置換、付加または欠失を含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸1つ以上が、配列番号4のリーダー配列もしくはシグナル配列または他のIFNβ配列に組み込まれている。
IFNβまたはIFNファミリーのメンバーの結晶構造、ならびにIFN受容体との相互作用の試験は、あるアミノ酸残基が溶媒と完全または部分的に溶媒と接触可能である側鎖を有することを示し得る。これらの位置における非天然にコードされるアミノ酸の側鎖は、タンパク質の表面から外側に、そして溶媒の中に向かっている。
いくつかの実施形態において、以下の位置:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の領域:配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸に由来するヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの25−35残基、80−100残基および121−135残基(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの41−49残基の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、シグナル配列またはリーダー配列(配列番号4または他のIFNβ配列)における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。
広範な非天然にコードされるアミノ酸は、IFNβポリペプチドの所定の位置に対して置換され得るか、またはIFNβポリペプチドの所定の位置に組み込まれ得る。一般的に、特定の非天然にコードされるアミノ酸は、その受容体を伴うIFNβポリペプチドの3次元結晶構造の調査、非天然にコードされるアミノ酸に基づく保存的な置換に対する好ましさ、およびIFNβポリペプチドへ導入するために所望する特定の接合化学的性質に基づいて、組み込みのために選択される。非天然にコードされるアミノ酸に基づく保存的な置換は、すなわち、Phe、TysまたはTrpに対するアリールに基づく非天然にコードされるアミノ酸(例えば、p−アセチルフェニルアラニンまたはO−プロパルギルチロシン)の置換である。すなわち、Phe、TysまたはTrpに対するアリールに基づく非天然にコードされるアミノ酸(例えば、p−アセチルフェニルアラニンまたはO−プロパルギルチロシン)の置換は、例えば、アルキル部分を有する水溶性ポリマーとのヒュイゲン[3+2]環付加をもたらすこと、またはホスフィン部分を順番に組み込むアリールエステルを有する水溶性ポリマーとのアミド結合形成を望む場合には、4−アジドフェニルアラニンの導入である。
1つの実施形態において、方法は、非天然アミノ酸をポリペプチドに組み込むことをさらに含み、ここで、非天然アミノ酸は、第1の反応性基;および第2の反応性基を含む分子(標識、色素、ポリマー、水溶性ポリマー、ポリエチレングリコールの誘導体、光架橋剤、放射性核種、細胞毒性化合物、薬物、親和性標識、光親和性標識、反応性化合物、樹脂、もう1のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似物、抗体もしくは抗体断片、金属キレート剤、補足因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、アンチセンスポリヌクレオチド、糖鎖、水溶性デンドリマー、シクロデキストリン、抑制性リボ核酸、生体材料、ナノ粒子、スピン標識、蛍光団、金属含有部分、放射性部分、新規な官能基、他の分子と共有結合的または非共有結合的に相互作用する基、光ケージド(photocaged)部分、化学線励起可能な部分、光異性化可能な部分、ビオチン、ビオチンの誘導体、ビオチン類似物、重原子組み込み部分、化学切断可能な基、光切断可能な部分、延長された側鎖、炭素結合型の糖、酸化還元反応活性剤、アミノチオ酸、毒性部分、同位体標識部分、生物物理学プローブ、燐光基、化学発光基、電子密度基、磁性基、挿入基、発色団、エネルギー転移剤、生物学的に活性な薬剤、検出可能な標識、小分子、量子ドット、ナノトランスミッター、放射性ヌクレオチド、放射性伝達物質、中性子捕獲物質、または上述のものの任意の組合せ、または他の所望の化合物もしくは物質が挙げられるが、これらに限定されない)とのタンパク質の接続を含む。第1の反応性基は、第2の反応性基と反応して、[3+2]環付加を介して非天然アミノ酸に分子を付与する。1つの実施形態において、第1の反応性基はアルキニル部分またはアジド部分であり、第2の反応性基はアジド部分またはアルキニル部分である。例えば、第1の反応性基がアルキニル部分(p−プロパルギルフェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)であり、第2の反応性基はアジド部分である。他の例において、第1の反応性基はアジド部分(p−アジド−L−フェニルアラニンが挙げられるが、これに限定されない)であり、第2の反応性基はアルキニル部分である。
いくつかの場合において、非天然にコードされるアミノ酸置換は、IFNβポリペプチド内の他の付加、置換または欠失と組み合せられて、IFNβポリペプチドの他の生物学的特色に影響を及ぼす。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、IFNβの抗ウイルス活性を増強させ得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、IFNβポリペプチドの安定性(タンパク質分解性の消化に対する耐性が挙げられるが、これに限定されない)を増強し得るか、またはその受容体に対するIFNβポリペプチドの親和性を増強し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、IFNβポリペプチドの薬物の安定性を増強し得る。いくつかの場合において、他の付加、置換または欠失は、IFNβポリペプチドの溶解性(E. coilまたは他の宿主細胞において発現される場合が挙げられるが、これらに限定されない)を増強し得る。いくつかの実施形態において、付加、置換または欠失は、E. coilまたは他の組換え宿主細胞における発現の後における、ポリペプチドの溶解性を増強し得る。いくつかの実施形態において、部位は、E. coilまたは他の組換え宿主細胞における発現の後における、ポリペプチドの溶解性の増強を生じる非天然アミノ酸の組み込みに関する他の部位に加えて、天然にコードされるアミノ酸、または非天然アミノ酸を用いた置換に関して選択される。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、IFNβポリペプチドの受容体、結合タンパク質、関連リガンドに対する親和性を調節するか、IFN受容体に対する結合後におけるシグナル伝達を調節するか、受容体ダイマー形成を調節(低減または増強が挙げられるが、これらに限定されない)するか、受容体ダイマーを安定化するか、循環半減期を調節するか、放出もしくは生物学的利用性を調節するか、精製を容易にするか、または特定の投与経路を改善もしくは変更する、他の付加、置換または欠失を含む。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、受容体に対するIFNβバリアントの親和性を増強する付加、置換または欠失を含む。同様に、IFNβポリペプチドは、化学的もしくは酵素的な切断配列、プロテアーゼ切断配列、反応性基、抗体結合ドメイン(FLAGまたはポリ−Hisが挙げられるが、これらに限定されない)もしくは他の親和性に基づく配列、または連結分子(これに限定されないが、ビオチンが挙げられる)を含み得る。当該連結分子は、検出(GFPが挙げられるが、これに限定されない)、精製、組織もしくは細胞膜を介した輸送、プロドラッグの放出もしくは活性化、IFNβポリペプチドの大きさの低下またはポリペプチドの他の特色を向上させる。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の置換は、IFNβアンタゴニストを生成する。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、受容体結合と関連する領域に置換されているか、または付加されている。いくつかの実施形態において、IFNβアンタゴニストは、IFNβにアンタゴニストとしての機能を生じさせる少なくとも1つの置換を含んでいる。いくつかの実施形態において、IFNβアンタゴニストは、IFNβ分子の受容体結合領域において水溶性ポリマーに連結されている非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる。
いくつかの場合において、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のアミノ酸が、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上用いて置換される。いくつかの場合において、IFNβポリペプチドは、天然アミノ酸に対する非天然にコードされるアミノ酸の、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の置換を、さらに含む。例えば、いくつかの実施形態において、IFNβにおける1つ以上の残基が、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上によって置換される。いくつかの場合において、非天然にコードされる残基の1つ以上は、1つ以上の低分子量の直鎖状または分枝状のPEGに連結されることによって、結合親和性が増強され、単一の高分子量のPEGに連結される種と血清半減期が同等になる。
いくつかの実施形態において、IFNβの2つ以下の残基が非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上と置換されている。
<VII.非真核生物および真核生物における発現>
クローニングされたIFNβポリヌクレオチドを高レベルで発現させるために、一般的に、本発明のIFNβポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを、直接転写にとっての強力なプロモータ、転写/翻訳ターミネータ、さらにタンパク質をコードする核酸用であれば、翻訳開始用のリボソーム結合部位を含む発現ベクターにサブクローニングする。適切な細菌プロモータは、当業者に公知であり、Sambrook et alおよびAusubel et alに説明されている。
本発明のIFNβポリペプチドの発現を目的とした細菌発現系は、例えば、E. coil、バチルス種、およびサルモネラ(Palva et al, Gene 22:229- 235 (1983)、Mosbach et al, Nature 302:543-545 (1983))において、利用可能であるが、これらに限定されない。そのような発現系用のキットは市販されている。また、哺乳類細胞、酵母、および昆虫細胞にとっての真核発現系は、当業者に公知であり、市販もされている。直交性のtRNAおよびアミノアシル化tRNAシンセターゼ(上述されている)を使用して、本発明のポリペプチドが発現される場合において、発現用の宿主細胞は、直交型の構成要素を使用する該宿主細胞の能力に基づいて選択される。例示的な宿主細胞としては、グラム陽性細菌(例えば、B. ブレビス、B. サブチリス、またはストレプトミセスが挙げられるが、これらに限定されない)、およびグラム陰性細菌(E. coil、シュードモナス フルオレセンス、シュードモナス アエルギノーザ、シュードモナス プティダ)だけでなく、酵母および他の真核細胞が挙げられる。O−tRNA/O−RSの対を含む細胞は、本明細書に記載されているように使用され得る。
本発明の真核生物の宿主細胞、または非真核生物の宿主細胞は、非常に有用な量の非天然アミノ酸を含むタンパク質を合成する能力を提供する。1つの局面において、組成物は、例えば、非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質の、少なくとも10マイクログラム、少なくとも50マイクログラム、少なくとも75マイクログラム、少なくとも100マイクログラム、少なくとも200マイクログラム、少なくとも250マイクログラム、少なくとも500マイクログラム、少なくとも1ミリグラム、少なくとも10ミリグラム、少なくとも100ミリグラム、少なくとも1グラム、もしくはそれ以上を含んでいるか、またはインビボタンパク質産生方法(組換えタンパク質の産生および精製についての詳細が本明細書に与えられている)を用いて達成され得る量を任意に含んでいるが、これらに限定されない。他の局面において、タンパク質は、例えば、細胞溶解液、緩衝液、薬学的緩衝液または他の液体懸濁液(例えば、1nlから100lまでの任意の量などであるが、これらに限定されない)の中に、例えば、1リットルごとに少なくとも10マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも50マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも75マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも100マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも200マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも250マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも500マイクログラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも1ミリグラムのタンパク質、1リットルごとに少なくとも10ミリグラムのタンパク質、またはそれ以上の濃度において任意に組成物に存在するが、これらに限定されない。少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む真核細胞におけるタンパク質の大量(通常に、インビボ翻訳が挙げられる他の方法を用いて可能な量よりも多いが、これに限定されない)の産生は、本発明の1つの特徴である。
本発明の真核生物の宿主細胞、または非真核生物の宿主細胞は、非常に有用な量に非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質を生合成する能力を提供する。例えば、非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質は、細胞抽出物、細胞溶解液、培地、および/または緩衝液などの中に、例えば、少なくとも10μg/リットル、少なくとも50μg/リットル、少なくとも75μg/リットル、少なくとも100μg/リットル、少なくとも200μg/リットル、少なくとも250μg/リットル、少なくとも500μg/リットル、少なくとも1mg/リットル、少なくとも2mg/リットル、少なくとも3mg/リットル、少なくとも4mg/リットル、少なくとも5mg/リットル、少なくとも6mg/リットル、少なくとも7mg/リットル、少なくとも8mg/リットル、少なくとも9mg/リットル、少なくとも10mg/リットル、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900mg/リットル、1g/リットル、5g/リットル、10g/リットル、またはそれ以上の濃度において、産生され得る。
IFNβの発現にとって好適な多くのベクターは市販されている。真核生物宿主にとって有用な発現ベクターとしては、これらに限定されないが、SV40由来の発現制御配列を含んでいるベクター、ウシパピローマウイルス、アデノウイルスおよびサイトメガロウイルスが挙げられる。このようなベクターとしては、がpCDNA3.1(+)Hyg(インビトロジェン、チャールズバッド、カリフォルニア州、USA)およびpCI−neo(ストラタジーン、ラ ホーヤ、カリフォルニア州、USA)挙げられる。細菌プラスミド、宿主範囲のより広いプラスミド、ファージDNA、および他のDNAファージが使用され得る。細菌プラスミドは、例えば細菌由来のプラスミド(pBR322、pET3aおよびpET12aが挙げられる)である。宿主範囲のより広いプラスミドは、例えばRP4である。ファージDNAは、例えばファージラムダの多くの誘導体(例えばNM989)である。他のDNAファージは、例えばM13および糸状一本鎖DNAファージである。2μプラスミドおよびこれらの誘導体、POT1ベクター(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,931,373号明細書)、Okkels, Ann. New York Aced. Sci. 782, 202 207, 1996に記載のpJSO37ベクター、ならびにpPICZ A、BまたはC(インビトロジェン)が、酵母宿主細胞に対して使用され得る。昆虫細胞用のベクターとしては、これらに限定されないが、pVL941、pBG311(Cate et al., "Isolation of the Bovine and Human Genes for Mullerian Inhibiting Substance And Expression of the Human Gene In Animal Cells", Cell, 45, pp. 685 98 (1986))、pBluebac 4.5およびpMelbac(インビトロジェン、チャールズバッド、カリフォルニア州)が挙げられる。
また、IFNβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、シグナルペプチドをコードする配列を含み得るか、または含み得ない。シグナルペプチドは、ポリペプチドがその発現される細胞から分泌される場合に存在する。当該シグナルペプチドは、任意の配列であり得る。シグナルペプチドは原核生物または真核生物であり得る。Coloma, M (1992) J. Imm. Methods 152:89 104には、哺乳類細胞に使用されるシグナルペプチド(マウスのIgカッパ軽鎖シグナルペプチド)について記載されている。他のシグナルペプチドとしては、これらに限定されないが、S.セレビジアエ由来のα因子(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,870,008号明細書)、マウス唾液アミラーゼのシグナルペプチド(O. Hagenbuchle et al., Nature 289, 1981, pp. 643-646)、修飾カルボキシペプチダーゼシグナルペプチド(L. A. Vails et al., Cell 48, 1987, pp. 887-897)、酵母BAR1シグナルペプチド(参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第87/02670号パンフレット)、および酵母アスパラギン酸プロテアーゼ(YAP3)シグナルペプチド(M. Egel-Mitani et al., Yeast 6, 1990, pp. 127-137を参照すればよい)が挙げられる。
好適な哺乳類宿主細胞の例は、当業者にとって公知である。当該宿主細胞は、チャイニーズハムスター子宮頸がん(CHO)細胞(例えばCHO−K1;ATCC CCL−61)、サバンナモンキー細胞(COS)(例えばCOS1(ATCC CRL−1650)、COS7(ATCC CRL−1651))、マウス細胞(例えばNS/O)、乳児ハムスターの腎臓(BHK)細胞株(例えばATCC CRL−1632またはATCC CCL−10)、ヒト細胞(例えばHEK293(ATCC CRL−1573)、および組織培養における植物細胞)であり得る。これらの細胞株およびその他は、好適な受託機関(例えばAmerican Type Culture Collection、ロックビル、Md)から入手可能である。IFNβポリペプチドの向上した糖化を提供するために、哺乳類宿主細胞は、シアルトランスフェラーゼ(例えば1,6−シアルトランスフェラーゼ(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,047,335に記載のようなシアルトランスフェラーゼ))を発現するように改変される。
哺乳類宿主細胞に外因性のDNAを導入する方法としては、これらに限定されないが、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、ウイルスベクター、ならびにリポフェクタミン(Lipofectamin)2000を用いたLife Technologies Ltd, Paisley, UKおよびFuGENE6を用いたRoche Diagnostics Corporationに説明されているトランスフェクション法が挙げられる。これらの技術は、当該分野において公知であり、Ausbel et al. (eds.), 1996, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, USAに説明されている。哺乳類細胞の培養は、確立されている方法(例えば、Animal Cell Biotechnology, Methods and Protocols, Edited by Nigel Jenkins, 1999、Human Press Inc. Totowa, N. J., USA and Harrison Mass.およびRae IF, General Techniques of Cell Culture, Cambridge University Press 1997に開示されている方法)にしたがって実施され得る。
(I.発現系、培養および単離)
任意の数の適切な発現系において、IFNβポリペプチドを発現させ得る。該発現系としては、例えば、酵母、昆虫、哺乳類、および細菌などが挙げられる。典型的な発現系の例を以下に示す。
酵母
本明細書で用いられるときに、“酵母”という用語は、IFNβポリペプチドをコードする遺伝子を発現可能な、様々な酵母のいずれかものを含む。当該酵母としては、子嚢胞子を生じる(ascosporogenous)酵母(エンドミセタレス)、担子胞子を生じる(basidiosporogenous)酵母、および不完全真菌(ブラストミセス)の群に属する酵母などが挙げられるが、これらに限定されない。子嚢胞子を生じる酵母は、2のファミリー(スペルモフトラセアエおよびサッカロミセタセアエ)に分けられる。後者は、4のサブファミリー(シゾサッカロミコイデアエ(シゾサッカロミセス属など)、ナドソニオイデアエ、リポミコイダエ、およびサッカロミコイデアエ(ピチア属、クリュイベロミセス属、およびサッカロミセス属など)から構成されている。担子胞子を生じる酵母には、ロイコスポリディウム属、ロードスポリディウム属、スポリディオボルス属、フィロバシディウム属、およびフィロバシディエラ属が含まれる。不完全真菌(ブラストミセテス)の群に属する酵母は、2のファミリースポロボロミセタセアエ(スポロボロミセス属およびブレラ属など)、およびクリプトコッカセアエ(カンディダ属など)に分けられる。
本発明と一緒に使用するための特に所定のものとして、ピチア属、クリュイベロミセス属、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、ハンセヌラ属、トルロプシス属、およびカンディダ属に含まれる種であり、例えば、P. パストリス、P. グイレリモンディー、S.セレビジアエ、S.カルスベルジェニス、S.ディアスタティクス、S. ドウグラシイ、S. クリュイベリ、S. ノルベンシス、S. オビフォルミス、K. ラクティス、K. フラジリス、C. アルビカンス、C. マルトーサ、およびH. ポリモルファが挙げられるが、これらに限定されない。
IFNβポリペプチドの発現に好適な酵母の選択は、当業者の技術範囲にある。発現用の酵母宿主の選択において、好適な宿主は、例えば、良好な分泌能、低いタンパク質分解活性、良好な分泌能、良好な可溶化タンパク質産生、および総合的な強健さを有することが示されている酵母であり得る。酵母は、一般的に様々な供給源から入手でき、例えば、カリフォルニア大学生物物理学および医学物理学分野(Department of Biophysics and Medical Physics, University of California)のYeast Genetic Stock Center (バークレイ(Berkeley)、CA)、およびthe American Type Culture Collection(“ATCC”)(マナッサ(Manassas)VA)などから入手できる。
“酵母宿主”または“酵母宿主細胞”という用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容物として使用し得るか、または使用されている酵母を含む。この用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAを受け容れている元々の酵母宿主細胞の子孫を含んでいる。1つの親細胞の子孫が、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体(complement)において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致しなくてもよいことは理解される。関連する性質(例えば、IFNβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在)により特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。
発現ベクターおよび形質転換ベクター(染色体外レプリコンまたは組み込みベクターなど)は、多くの酵母宿主を形質転換するために開発された。例えば、発現ベクターは、S.セレビジアエ (Sikorski et al, GENETICS (1989) 122:19、Ito et al, J. BACTERIOL. (1983) 153:163、Hinnen et al, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1978) 75:1929)、C. アルビカンス(Kurtz et al, MOL. CELL. BIOL. (1986) 6:142)、C. マルトーサ(Kunze et al, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141)、H. ポリモルファ(Gleeson et al, J. GEN. MICROBIOL. (1986) 132:3459、Roggenkamp et al, MOL. GENETICS AND GENOMICS (1986) 202:302)、K. フラジリス(Das et al, J. BACTERIOL. (1984) 158:1165)、K. ラクティス(De Louvencourt et al, J. BACTERIOL. (1983) 154:737、Van den Berg et al, BIOTECHNOLOGY (NY) (1990) 8:135)、P. グイレリモンディー(Kunze et al, J. BASIC MICROBIOL. (1985) 25:141)、P. パストリス(米国特許第5,324,639号明細書、米国特許第4,929,555号明細書、および米国特許第4,837,148号明細書、Cregg et al, MOL. CELL. BIOL. (1985) 5:3376、シゾサッカロミセス ポンベ(Beach et al, NATURE (1982) 300:706)、およびY. リポリティカ(Davidow et al, CURR. GENET. (1985) 10:380 (1985)、Gaillardin et al, CURR. GENET. (1986) 10:49)、A. ニドゥランス(Balance et al, BIOCHEM. BIOPHYS. RES. COMMUN. (1983) 112:284-89、Tilburn et al, GENE (1983) 26:205-221、およびYelton et al, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1984) 81:1470-74)、A. ニガー(Kelly and Hynes, EMBO J. (1985) 4:475-479)、T. reesia (欧州特許出願公開第0244234号明細書)、および糸状菌(例えば、ニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラディウム(国際公開第91/00357号パンフレット)など)に対して開発された。なお、各文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
酵母ベクターの制御配列は、当業者に公知であり、アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)(欧州特許出願公開第0284044号明細書)、エノラーゼ、グルコキナーゼ、グルコース−6リン酸イソメラーゼ、グリセルアルデヒド−3−リン酸−デヒドロゲナーゼ(GAPまたはGAPDH)、ヘキソキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、3−ホスホグリセリン酸ムターゼ、およびピルビン酸キナーゼ(PyK)(欧州特許出願公開第0329203号明細書)といった遺伝子に由来するプロモータ領域などが挙げられるが、これに限定されない。また、酸性ホスファターゼをコードしている酵母のPHO5遺伝子は、有用なプロモータ配列を提供し得る(Miyanohara et al, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1983) 80:1)。酵母宿主との使用に適切な他のプロモータ配列には、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman et al, J. BIOL. CHEM. (1980) 255:12073)、および他の解糖系の酵素(例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、およびホスホグルコースイソメラーゼ(例えば、Holland et al, BIOCHEMISTRY (1978) 17:4900、Hess et al, J. ADV. ENZYME REG. (1969) 7:149)が含まれ得る。増殖条件によって制御される転写の付加的な利点を有する、酵母の誘導性プロモータは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ、窒素代謝に関連する分解酵素、ならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素にとってのプロモータ領域を含んでいてもよい。酵母発現への使用に適切なベクターおよびプロモータが、欧州特許出願公開第0073657号明細書に、さらに記載されている。
また、酵母エンハンサーを、酵母プロモータと共に用い得る。さらに、合成プロモータもまた、酵母プロモータとして機能し得る。例えば、酵母プロモータの上流活性化配列(UAS)を、別の酵母プロモータの転写活性化領域につなぎ、合成混成プロモータを作製してもよい。混成プロモータとしては、例えば、GAPの転写活性化領域に連結されたADH調節配列が挙げられる。米国特許第4,880,734号明細書、および米国特許第4,876,197号明細書を参照すればよく、これらの文献は参照によって本明細書に組み込まれる。混成プロモータの他の例としては、解糖系酵素の遺伝子(例えば、GAPまたはPyK)の転写活性化領域と組み合せたADH2、GAL4、GAL10、またはPHO5遺伝子の調節配列から成るプロモータが挙げられる。欧州特許出願公開0164556号明細書を参照すればよい。さらに、酵母プロモータは、酵母のRNAポリメラーゼとの結合能および転写開始能を有する、非酵母由来の天然に存在するプロモータを含んでいてもよい。
酵母発現ベクターの一部を構成し得る他の制御要素としては、例えば、GAPDHまたはエノラーゼ遺伝子に由来するターミネータ(Holland et al, J. BlOL. CHEM. (1981) 256:1385)が挙げられる。さらに、2μプラスミドの起点に由来する複製起点は、酵母に適切である。酵母に使用する適切な選択遺伝子は、酵母プラスミドに存在するtrp1遺伝子である。Tschumper et al, GENE (1980) 10:157、Kingsman et al, GENE (1979) 7:141を参照すればよい。trp1遺伝子は、トリプトファン存在下において増殖能を欠如している酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。同様にLeu2欠損酵母株(ATCC20,622または38,626)は、Leu2遺伝子を有する公知のプラスミドにより補完される。
外因性DNAを酵母宿主に導入する方法は、当業者に公知の技術であり、通常、アルカリ性陽イオンを用いて処理されたスフェロプラスト、または無処置の酵母宿主細胞のいずれかの形質転換が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、酵母の形質転換は、Hsiao et al, PROC. NATL. ACAD. SCI. USA (1979) 76:3829およびVan Solingen et al, J. BACT. (1977) 130:946に記載の方法にしたがって、実施され得る。しかし、また、例えば、核注入、エレクトロポレーション、または原形質融合によってDNAを細胞に導入する他の方法も、SAMBROOK et al, MOLECULAR CLONING: A LAB. MANUAL (2001)に通常に記載されているように、使用され得る。それから、酵母宿主細胞を当業者に公知の標準技術を用いて培養してもよい。
酵母宿主細胞において異種タンパク質を発現させる他の方法は、当業者に公知の技術である。一般的に、米国特許出願公開第2002/0055169号明細書、米国特許第6,361,969号明細書、米国特許第6,312,923号明細書、米国特許第6,183,985号明細書、米国特許第6,083,723号明細書、米国特許第6,017,731号明細書、米国特許第5,674,706号明細書、米国特許第5,629,203号明細書、米国特許第5,602,034号明細書、および米国特許第5,089,398号明細書、米国再発行特許発明第RE37,343号明細書、および米国再発行特許発明第RE35,749号明細書、国際公開第99/07862号パンフレット、国際公開第98/37208号パンフレット、および国際公開第98/26080号パンフレット、欧州特許出願公開第0946736号明細書、欧州特許出願公開第0732403号明細書、欧州特許出願公開第0480480号明細書、欧州特許出願公開第0460071号明細書、欧州特許出願公開第0340986号明細書、欧州特許出願公開第0329203号明細書、欧州特許出願公開第0324274号明細書、および欧州特許出願公開第0164556明細書を参照すればよい。また、Gellissen et al, ANTONIE VAN LEEUWENHOEK (1992) 62(l-2):79-93、Romanos et al, YEAST (1992) 8(6):423-488、Goeddel, METHODS IN ENZYMOLOGY (1990) 185:3-7を参照すればよい。上記文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
酵母宿主株は、当業者に公知である標準の給飼バッチ発酵方法(feed batch fermentation method)を用いて、増幅段階の間に酵母宿主株を発酵槽において成長させてもよい。上記発酵方法は、特定の酵母宿主の炭素利用経路、または発現制御の様式の差異に原因して、適合されてもよい。例えば、サッカロミセス酵母宿主の発酵は、1つのグルコース飼料、複合的な窒素源(カゼイン加水分解物など)、および複数のビタミン補助物を必要としてもよい。これに対し、メチロトローフ酵母であるP. パストリスは、グリセロール、メタノール、および微量の無機化合物飼料を必要としてもよく、最適な成長および発現については単純なアンモニウム(窒素)塩だけを必要とする。例えば、米国特許第5,324,639号明細書、Elliott et al, J. PROTEIN CHEM. (1990) 9:95、およびFieschko et al, BIOTECH. BIOENG. (1987) 29:1113を参照すればよい。なお、これら文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
しかし、上記発酵方法は、用いられる酵母宿主株とは無関係な特定の共通の特徴を有していてもよい。例えば、成長限界栄養素(通常は炭素)を、発酵槽に増幅段階の間に添加して、最大限の成長を可能にしてもよい。さらに、発酵方法は、一般的に、十分な量の炭素、窒素、基本塩、リン、および他の微量栄養素(ビタミン、微量無機物、および塩など)を含むように調製された発酵培地を用いてもよい。ピチアを伴ったに使用に適切な発酵培地の例が、米国特許第5,324,639号明細書、および米国特許第5,231,178号明細書に記載されている。なお、これら文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
バキュロウイルス感染昆虫細胞
“昆虫宿主”または“昆虫宿主細胞”という用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAの受容物として使用し得るか、または使用されている昆虫をいう。この用語は、トランスフェクトされた元々の昆虫宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫が、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことは理解される。関連する性質により特徴付けられる親細胞と十分に類似する親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。ここで、関連する性質は、例えば、IFNβポリペプチドをコードしているヌクレオチド配列の存在である。IFNβのバキュロウイルス発現について、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,144,574号明細書に記載されている。
IFNβポリペプチドの発現に好適な昆虫細胞の選択は、当業者に公知である。いくつかの昆虫種は、当該分野において十分に説明されており、アエデス アエジプティ、ボンビックス モリ、ドロソフィラ メラノガスター、スポドプテラ フルギペルダ、およびトリコプルシア ニを含めて、市販されている。発現用の昆虫宿主の選択において、適切な宿主は、特に、良好な分泌能、低いタンパク質分解活性、および総合的な強健さを有することが示されている宿主であり得る。昆虫は、Insect Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California(バークレイ、CA)、およびthe American Type Culture Collection (“ATCC”)(マナッサ、VA)を含む、様々な供給源から通常に入手することができるが、これらに限定されない。
一般的に、バキュロウイルス−感染昆虫の発現系の構成要素は、バキュロウイルスのゲノム断片、および発現される異種遺伝子の挿入に便利な制限酵素認識部位の両方を含むトランスファーベクター(普通は細菌のプラスミド);当該トランスファーベクターにおけるバキュロウイルスに特異的な断片に対して、相同な配列を有する(これにより、バキュロウイルスゲノムに対する異種遺伝子の相同組換えが可能になる)野生型バキュロウイルス;ならびに適切な昆虫宿主細胞および成長培地を含んでいる。ベクターの構築、細胞のトランスフェクション、プラークの選択、または培養における細胞の成長などに用いられる材料、方法および技術は公知であり、これらの技術が記載されている手引書が利用可能である。
異種遺伝子をトランスファーベクターに挿入した後に、当該ベクターおよび野生型ウイルスゲノムを、当該ベクターと当該ウイルスゲノムとが組み換えを起こす昆虫宿主細胞に、トランスフェクションする。パッケージングされた組換えウイルスが発現され、組換え体プラークが同定および精製される。バキュロウイルス/昆虫細胞発現系にとっての材料および方法は、例えば、インビトロジェン Corp(チャールズバッド、CA)が提供している、キットの様式において市販されている。これらの技術は、一般的に当業者に公知であり、SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)に十分に記載されている。なお、この文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。また、RICHARDSON, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY: BACULOVIRUS EXPRESSION PROTOCOLS (1995)、AUSUBEL et al, CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY 16.9-16.11 (1994)、KLNG AND POSSEE, THE BACULOVIRUS SYSTEM: A LABORATORY GUIDE (1992)およびO’REILLY et al, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS: A LABORATORY MANUAL (1992)を参照すればよい。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系を用いた、様々な異種タンパク質の製造は、実際に、当業者に公知である。例えば、米国特許第6,368,825号明細書、米国特許第6,342,216号明細書、米国特許第6,338,846号明細書、米国特許第6,261,805号明細書、米国特許第6,245,528号明細書、米国特許第6,225,060号明細書、米国特許第6,183,987号明細書、米国特許第6,168,932号明細書、米国特許第6,126,944号明細書、米国特許第6,096,304号明細書、米国特許第6,013,433号明細書、米国特許第5,965,393号明細書、米国特許第5,939,285号明細書、米国特許第5,891,676号明細書、米国特許第5,871,986号明細書、米国特許第5,861,279号明細書、米国特許第5,858,368号明細書、米国特許第5,843,733号明細書、米国特許第5,762,939号明細書、米国特許第5,753,220号明細書、米国特許第5,605,827号明細書、米国特許第5,583,023号明細書、米国特許第5,571,709号明細書、米国特許第5,516,657号明細書、米国特許第5,290,686号明細書、国際公開第02/06305号パンフレット、国際公開第01/90390号パンフレット、国際公開第01/27301号パンフレット、国際公開第01/05956号パンフレット、国際公開第00/55345号パンフレット、国際公開第00/20032号パンフレット、国際公開第99/51721号パンフレット、国際公開第99/45130号パンフレット、国際公開第99/31257号パンフレット、国際公開第99/10515号パンフレット、国際公開第99/09193号パンフレット、国際公開第97/26332号パンフレット、国際公開第96/29400号パンフレット、国際公開第96/25496号パンフレット、国際公開第96/06161号パンフレット、国際公開第95/20672号パンフレット、国際公開第93/03173号パンフレット、国際公開第92/16619号パンフレット、国際公開第92/03628号パンフレット、国際公開第92/01801号パンフレット、国際公開第90/14428号パンフレット、国際公開第90/10078号パンフレット、国際公開第90/02566号パンフレット、国際公開第90/02186号パンフレット、国際公開第90/01556号パンフレット、国際公開第89/01038号パンフレット、国際公開第89/01037号パンフレット、国際公開第88/07082号パンフレットを参照すればよい。なお、各文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。
バキュロウイルス/昆虫細胞発現系に有用なベクターは、公知であり、例えば、バキュロウイルスのオートグラファカリフォルニカ核多角体ウイルス(AcNPV)に由来する、ヘルパー非依存性のウイルスベクターである昆虫の発現およびトランスファーベクターを含む。この系に由来するウイルス発現ベクターは、一般的に、異種遺伝子の発現を誘導するために、ウイルスの強力なポリへドリン遺伝子プロモータを利用する。一般的には、O’Reilly et al, BACULOVIRUS EXPRESSION VECTORS: A LABORATORY MANUAL (1992)を参照すればよい。
外来の遺伝子をバキュロウイルスのゲノムに挿入する前に、上記構成要素(プロモータ、リーダー(必要に応じて)、所定のコード配列、および転写終結配列を含んでいる)は、通常、中間置換コンストラクト(Intermediate transplacement construct)(トランスファーベクター)に集められる。中間置換コンストラクトは、細菌などの宿主において安定な維持が可能な染色体外エレメント(例えば、プラスミド)といった、レプリコンにおいてしばしば維持される。レプリコンは1つの複製系を有し、このため、クローニングおよび増幅に適切な宿主における当該レプリコンの維持を可能にする。より具体的には、プラスミドは、ポリヘドリンポリアデニル化シグナル(Miller, ANN. REV. MICROBIOL. (1988) 42:177)と、E. coilにおける選択および増殖に関する、原核生物のアンピシリン耐性(amp)遺伝子と複製起点と、を含有する。
AcNPVへ外来遺伝子を導入するために一般的に使用されるトランスファーベクターの1つは、pAc373である。当業者に公知である他の多くのベクターもまた設計されており、例えば、pVL985が挙げられる。pVL985では、ポリヘドリン開始コドンがATGからATTに変えられ、ATTの下流の32塩基対にBamHIクローニング部位が導入されている(Luckow and Summers, VIROLOGY 170:31 (1989)を参照すればよい)。他の市販されているベクターとしては、例えば、PBlueBac4.5/V5-His、pBlueBacHis2、pMelBac、pBlueBac4.5(Invitrogen Corp., Carlsbad, CA)が挙げられる。
異種遺伝子を挿入した後に、トランスファーベクターおよび野生型バキュロウイルスのゲノムを、昆虫細胞宿主に同時トランスフェクションする。異種DNAをバキュロウイルスの所望の部位に導入するための方法は、当該分野において公知である。例えば、SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)、Smith et al, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156、Luckow and Summers, VIROLOGY (1989) 170:31を参照すればよい。例えば、挿入は、2重交差型相同組換えによって、ポリへドリン遺伝子などの遺伝子の中にあり得る。また、挿入は、所望のバキュロウイルス遺伝子中に設けられた、制限酵素認識部位の中にあり得る。例えば、Miller et al, BIOESSAYS (1989) 11(4):91を参照すればよい。
トランスフェクションを、エレクトロポレーションにより達成してもよい。TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)、Mann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501を参照すればよい。代替可能に、リポソームを使用して、組換え発現ベクターとバキュロウイルスとを用いて昆虫細胞をトランスフェクションしてもよい。例えば、Liebman et al., BIOTECHNIQUES (1999) 26(1):36、Graves et al, BIOCHEMISTRY (1998) 37:6050、Nomura et al, J. BIOL. CHEM. (1998) 273(22): 13570、Schmidt et al, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1998) 12:323、Siffert et al, NATURE GENETICS (1998) 18:45、TILKINS et al, CELL BIOLOGY: A LABORATORY HANDBOOK 145-154 (1998) 、Cai et al, PROTEIN EXPRESSION AND PURIFICATION (1997) 10:263、Dolphin et al, NATURE GENETICS (1997) 17:491、Kost et al, GENE (1997) 190:139、Jakobsson et al, J. BlOL. CHEM. (1996) 271:22203、Rowles et al, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(37): 22376、Reverey et al, J. BIOL. CHEM. (1996) 271(39) :23607- 10、Stanley et al, J. BlOL. CHEM. (1995) 270:4121、Sisk et al, J. VlROL. (1994) 68(2):766、およびPeng et al, BIOTECHNIQUES (1993) 14(2):274を参照すればよい。市販されているリポソームとしては、例えば、セルフェクチン(Cellfectin)(登録商標)、およびリポフェクチン(Lipofectin)(登録商標)(インビトロジェン、チャールズバッド、CA)が挙げられる。また、リン酸カルシウムトランスフェクションを用いてもよい。TROTTER AND WOOD, 39 METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY (1995)、Kitts, NAR (1990) 18(19):5667、およびMann and King, J. GEN. VIROL. (1989) 70:3501を参照すればよい。
バキュロウイルス発現ベクターは、たいていは、バキュロウイルスプロモータを含んでいる。バキュロウイルスプロモータは、バキュロウイルスのRNAポリメラーゼが結合でき、コード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始する任意のDNA配列である。プロモータは、コード配列の5’末端近傍にたいてい配置される、転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、バキュロウイルスのプロモータは、エンハンサーと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、存在する場合は、構造遺伝子から遠位に存在する。また、発現は、調節されてもよいし、恒常的であってもよい。
ウイルス感染サイクルの後期に多量に転写される構造遺伝子は、特に有用なプロモータ配列を提供する。例としては、ウイルスポリヘドリンタンパク質をコードする遺伝子由来の配列(FRIESEN et al, The Regulation of Baculovirus Gene Expression in THE MOLECULAR BIOLOGY OF BACULOVIRUSES (1986)、欧州特許出願公開第0127839号明細書、および欧州特許出願公開第0155476号明細書)、およびp10タンパク質をコードする遺伝子由来の配列(Vlak et al, J. GEN. VlROL. (1988) 69:765)が挙げられる。
新しく形成されたバキュロウイルス発現ベクターは、感染性の組換えバキュロウイルスにパッケージングされる。その後、成長したプラークが当業者に公知の方法により精製されもよい。Miller et al, BIOESSAYS (1989) 11(4):91、SUMMERS AND SMITH, TEXAS AGRICULTURAL EXPERIMENT STATION BULLETIN NO. 1555 (1987)を参照すればよい。
組換えバキュロウイルス発現ベクターは、いくつかの昆虫細胞へ感染させるために開発されている。例えば、取り分け、アエデス アエジプティ(ATCC番号CCL−125)、ボンビックス モリ(ATCC番号CRL−8910)、ドロソフィラ メラノガスター(ATCC番号1963)、スポドプテラ フルギペルダ、およびトリコプルシア ニのための組換えバキュロウイルスが開発されている。国際公開第89/046,699号パンフレット、Wright, NATURE (1986) 321:718、Carbonell et al, J. VlROL. (1985) 56:153、Smith et al, MOL. CELL. BIOL. (1983) 3:2156を参照すればよい。一般的には、Fraser et al, IN VITRO CELL. DEV. BIOL (1989) 25:225を参照すればよい。より具体的には、バキュロウイルス発現ベクターの系に用いられる細胞株としては、通常、Sf9(スポドプテラ フルギペルダ)(ATCC番号CRL−1711)、Sf21(スポドプテラ フルギペルダ)(インビトロジェン Corp、カタログ番号11497-013 (チャールズバッド、CA))、Tri−368(トリコプルシア ニ)、およびハイ−ファイブ(High-Five)(登録商標)BTI−TN−5B1−4(トリコプルシア ニ)が挙げられるが、これらに限定されない。
バキュロウイルス/発現における異種ポリペプチドの直接発現および融合発現の両方にとっての細胞および培地は、市販されている。また、細胞培養技術は、当業者に公知である。
(E. coil、シュードモナス種および他の原核生物)
細菌における発現技術は、当業者に公知である。様々なベクターが、細菌宿主における使用に利用可能である。これらベクターは、1コピーベクター、またはコピー数が少ない多コピー型ベクター(low multicopy vectors)もしくはコピー数が多い多コピー型ベクター(high multicopy vectors)であってもよい。ベクターは、クローニングおよび/または発現に役立ち得る。ベクター、ベクターに関する豊富な文献、多くの市販のベクター、ならびにベクターとその制限酵素地図とその特徴とについて記載している手引書も同等に考慮して、本明細書では、これ以上論じる必要は無い。よく知られているように、ベクターは、通常は選択を可能にするマーカーを含んでいる。このマーカーは、細胞毒性剤への耐性、原栄養性、または免疫を提供し得るものである。しばしば、異なる特徴を提供する複数のマーカーが存在する。
細菌プロモータは、細菌のRNAポリメラーゼと結合可能な、およびコード配列(例えば、構造遺伝子)をmRNAへと下流(3’)へ転写開始できる任意のDNA配列である。プロモータは、コード配列の5’末端近傍にたいてい配置される転写開始領域を有している。この転写開始領域は、通常、RNAポリメラーゼ結合部位と転写開始部位とを含んでいる。また、細菌プロモータは、オペレーターと呼ばれる2次ドメインを有していてもよい。この2次ドメインは、RNA合成が始まる隣接したRNAポリメラーゼ結合部位と重複してもよい。遺伝子リプレッサータンパク質が、オペレーターに結合することにより、特定の遺伝子の転写を阻害し得るように、オペレーターは、負に調節される(誘導性の)転写を可能にする。恒常的発現は、負の調節エレメント(オペレーターなど)が無いときに起こり得る。さらに、正の調節が、遺伝子アクチベータータンパク質の結合配列によりもたらされてもよい。該結合配列は、存在する場合は、通常、RNAポリメラーゼ結合配列よりも遠位(5’)に存在する。遺伝子アクチベータータンパク質としては、例えば、カタボライト活性化タンパク質(CAP)が挙げられる。このCAPは、エシェリキア コリ(E. coil)のlacオペロンの転写開始を助ける(Raibaud et al, ANNU. REV. GENET. (1984) 18:173)。したがって、制御された発現は、正または負のいずれかであってもよく、これによって転写を増強または低減させてもよい。
代謝経路の酵素をコードしている配列は、特に有用なプロモータを提供する。この配列としては、例えば、ガラクトース、ラクトース(lac)(Chang et al, NATURE (1977) 198:1056)、およびマルトースなどの糖代謝酵素に由来するプロモータ配列が挙げられる。例としては、トリプトファン(trp)などの生合成酵素に由来するプロモータ配列が挙げられる(Goeddel et al, Nuc. ACIDS RES. (1980) 8:4057、Yelverton et al, NUCL. ACIDS RES. (1981) 9:731、米国特許第4,738,921号明細書、欧州公開第036776号明細書、欧州公開第121775号明細書)。なお、これら文献は、参照によって本明細書に組み込まれる。また、β−ガラクトシダーゼ(bla)のプロモータ系(Weissmann (1981) The cloning of interferon and other mistakes. In Interferon 3 (Ed. I. Gresser) )、バクテリオファージ ラムダのPL(Shimatake et al, NATURE (1981) 292:128)、およびT5(米国特許第4,689,406号明細書)のプロモータ系も、有用なプロモータ配列を提供する(なお、これら文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)。本発明の好ましい方法は、IFNβポリペプチドを高レベルに誘導するためのT7プロモータなどの強力なプロモータを利用する。そのようなベクターの例は、当業者に公知であり、pET29のシリーズ(ノバゲン(Novagen))、および国際公開第99/05297号明細書に記載のpPOPベクターなどが挙げられる(なお、上記文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)。そのような発現系は、宿主細胞の生存能力または成長パラメータに支障をきたすことなく、宿主において、IFNβポリペプチドを高レベルに産生する。pET19(ノバゲン)は、他の公知のベクターである。
また、天然に生じない合成プロモータも、細菌プロモータとして機能する。例えば、1つの細菌またはバクテリオファージのプロモータの転写活性化配列を、別の細菌またはバクテリオファージのプロモータのオペロン配列に結合して、合成混成プロモータを作製してもよい(米国特許第4,551,433号明細書(なお、この文献は、参照によって本明細書に組み込まれる))。例えば、tacプロモータは、trpプロモータ配列と、lacリプレッサーにより調節されるlacオペロン配列とを含む混成trp−lacプロモータである(Amann et al, GENE (1983) 25:167、de Boer et al, PROC. NATL. ACAD. SCI. (1983) 80:21)。さらに、細菌プロモータは、細菌のRNAポリメラーゼとの結合能、および転写開始能を有する非細菌起源の天然に存在するプロモータを含んでいてもよい。また、非細菌起源の天然に存在するプロモータを、適合するRNAポリメラーゼに結合させることによって、原核生物におけるいくつかの遺伝子を高レベルに発現させることができる。バクテリオファージのT7RNAポリメラーゼ/プロモータ系は、共役型プロモータ系の例である(Studier et al, J. MOL. BIOL. (1986) 189:113、Tabor et al, Proc Natl. Acad. Sci. (1985) 82:1074)。さらに、混成プロモータは、バクテリオファージプロモータと、E. coilのオペレーター領域とを含んでいてもよい(欧州公開第267851号明細書)。
また、機能性プロモータ配列に加えて、効率的なリボソーム結合部位が、外来遺伝子を原核細胞において発現させるために有効である。E. coilにおいて、リボソーム結合部位は、シャイン−ダルガルノ(SD)配列と呼ばれ、開始コドン(ATG)と、該開始コドンから3〜11ヌクレオチド上流に位置した、長さ3〜9ヌクレオチドの配列とを含んでいる(Shine et al, NATURE (1975) 254:34)。SD配列は、SD配列とE. coilの16S rRNAの3’との間において塩基対を形成することにより、mRNAとリボソームとの結合を促進すると考えられている(Steitz et al Genetic signals and nucleotide sequences in messenger RNA, In Biological Regulation and Development: Gene Expression (Ed. R. F. Goldberger, 1979) )。真核性遺伝子および原核性遺伝子を、弱いリボソーム結合部位により発現すること(Sambrook et al Expression of cloned genes in Escherichia coli, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 1989)。
“細菌宿主”または“細菌宿主細胞”という用語は、組換えベクターまたは他のトランスファーDNAにとっての受容物として使用され得るか、または使用されている細菌のことをいう。この用語は、トランスフェクションされている元々の細菌宿主細胞の子孫を含む。1つの親細胞の子孫が、形態、ゲノムDNAまたは全DNAの補体において、偶発的な突然変異、または計画的な突然変異に起因して、元々の親細胞と必ずしも完全に一致していなくてもよいことは理解される。関連する性質(例えば、IFNβポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の存在)により特徴付けられる親細胞と十分に類似する、親細胞の子孫は、この定義によって意図される子孫に含まれる。
IFNβポリペプチドの発現に適切な細菌宿主の選択は、当業者に公知である。発現のための細菌宿主の選択において、適切な宿主は、取り分け、良好な封入体形成能、低いタンパク質分解活性、および全体的に強健さを有することが示されている宿主であってもよい。細菌宿主は、一般的に、様々な供給源から入手することができ、例えば、Bacterial Genetic Stock Center, Department of Biophysics and Medical Physics, University of California(バークレイ、CA)、およびthe American Type Culture Collection(“ATCC”)(マナッサ、VA)から入手することができるが、これらに限定されない。K株に由来する細菌(W3110など)、またはB株に由来する細菌(BL21など)が、一般的に産業的/製薬的な発酵に用いられる。これらの株は、成長パラメータが、極めてよく知られており、強健であるから特に有用である。さらに、これらの株は、安全性および環境的理由にとって商業的に重要な、非病原性である。好適なE. coil宿主の他の例としては、BL21、DH10Bまたはこれらの派生物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法のもう1つ別の実施形態では、E. coil宿主は、プロテアーゼが欠失した株(OMP−、およびLON−が挙げられるが、これらに限定されない)である。本発明の方法のもう1つ別の実施形態では、宿主細胞株は、シュードモナス種(シュードモナス フルオレセンス、シュードモナス アエルギノーザ、およびシュードモナス プティダが挙げられるが、これらに限定されない)である。MB101株と命名されたシュードモナス フルオレセンスの1つの次亜種は、組換え体の製造に有用であることが知られており、治療用タンパク質の製造過程に利用可能である。シュードモナスの発現系の例としては、宿主株としてThe Dow Chemical Companyから入手可能な系が挙げられる(ミッドランド、MI(ワールドワイドウェブのdow.comにおいて利用できる))。
組換え宿主細胞株が、確立されれば(すなわち、発現コンストラクトが、宿主細胞に導入され、適切な発現コンストラクトを有する宿主細胞が単離されれば)、当該組換え宿主細胞株が、IFNβポリペプチドの産生に適切な条件下において培養される。当業者にとって明らかなように、組換え宿主細胞株の培養方法は、利用される発現コンストラクトの性質、および宿主細胞の個性に依存する。組換え宿主株は、当業者に公知の方法を用いて培養される。組換え宿主細胞は、通常、炭素、窒素および無機塩の吸収可能な供給源、ならびに任意に、ビタミン、アミノ酸、成長因子、および当業者にとって公知の他のタンパク質性の培養補助物を含む液体培養基において一般的に培養される。また、宿主細胞の培養のための液体培養基は、望ましくない微生物および/または化合物の成長を阻害するための抗生物質、または抗真菌剤(発現ベクターを含む宿主細胞を選択するための抗生物質が挙げられるが、これに限定されない)を、任意に含み得る。
組換え宿主細胞は、バッチ式もしくは連続式のいずれかにおいて、細胞の回収(IFNβポリペプチドが細胞内に蓄積する場合に)、または培養上清の回収のいずれかを伴う、バッチ式または連続式において培養され得る。原核生物の宿主細胞における産生にとって、バッチ式培養および細胞収集が好ましい。
本発明のIFNβポリペプチドは、組換え系における発現の後に、普通は、精製される。IFNβポリペプチドは、技術にとって公知の様々な方法によって、宿主細胞または培地から精製され得る。細菌宿主細胞において産生されたIFNβポリペプチドは、(封入体の形態において)溶解性に乏しいか、または不溶性であり得る。本発明の1つの実施形態において、当該技術において公知の方法だけでなく、本明細書に記載された方法を利用して、アミノ酸の置換が、組換えによって製造されたタンパク質の溶解性の向上を目的として、選択されるIFNβポリペプチドにおいて容易に行われ得る。不溶性のタンパク質の場合に、当該タンパク質は、宿主細胞溶解液から遠心分離によって回収され得、さらに続く細胞のホモジナイゼーション(homogenization)が行われ得る。溶解性に乏しいタンパク質の場合、化合物(ポリエチレンイミン(PEI)が挙げられるが、これに限定されない)は、部分的に可溶性のタンパク質の沈殿を引き起こすために加えられ得る。それから、沈殿したタンパク質は、遠心分離によって好都合に回収され得る。当業者にとって公知の様々な方法により、組換え宿主細胞が崩壊またはホモジナイズされて、当該細胞内から封入体が放出され得る。宿主細胞の崩壊またはホモジナイゼーションは、よく知られる技術(酵素的細胞崩壊、超音波処理、ダウンス型ホモジナイゼーション(dounce homogenization)、または高圧放出崩壊が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて実施され得る。本発明の方法の1つの実施形態では、高圧放出技術を、E. coil宿主細胞の崩壊に使用することによって、IFNβポリペプチドの封入体を放出させる。IFNβポリペプチドの封入体を取り扱うときに、繰り返しのホモジナイゼーション時間を最小化することが好都合である。これにより、可溶化、器械的なせん断またはタンパク質分解などの要因による損失を無くし、封入体の収量が最大になる。
不溶性のまたは沈殿したIFNβポリペプチドは、当該技術にとって公知の、適切な多くの可溶化試薬のいずれかを用いて可溶化され得る。好ましくは、IFNβポリペプチドは、尿素またはグアジニン塩酸塩を用いて可溶化され得る。バッチの大きさが都合よく扱いやすいものを用いて、大規模なバッチが産生され得るように、可溶化されたIFNβポリペプチドの容積は、最小化されるべきである。組換え宿主細胞が一度に数千リットルの容積であるバッチにおいて成長され得るとき、この要因は、大規模な工業的設定において重要であり得る。また、特にヒトへの製薬利用のために大規模な工業的設定においてIFNβポリペプチドを製造するとき、機械および容器か、またはタンパク質産物自体かのいずれかを損傷するおそれのある過酷な化学物質の回避は、可能であれば、避けられるべきである。穏やかな変性試薬である尿素を、過酷な変性試薬であるグアニジン塩酸塩の代わりに、IFNβポリペプチド封入体の可溶化に使用できることが、本発明の方法に示されている。尿素の使用は、ポリペプチドの製造過程および精製過程に利用されるステンレス鋼の設備に対する損傷の危険度を有為に低減すると同時に、IFNβポリペプチド封入体を効率的に可溶化する。
可溶性IFNβタンパク質の場合、IFNβは、細胞膜周辺腔または培地に分泌され得る。さらに、可溶性のIFNβは宿主細胞の細胞質に存在し得る。精製工程の実施前に可溶性IFNβを濃縮することが所望される。当業者に公知の標準的な技術が、例えば細胞溶解物または培養培地からの可溶性IFNβの濃縮に使用され得る。さらに、当業者に公知の技術が、宿主細胞の崩壊ならびに宿主細胞の細胞質または細胞集変質からの可溶性IFNβの放出に使用され得る。
IFNβポリペプチドが融合タンパク質として産生されるとき、融合配列は除去され得る。融合配列の除去は、酵素的切断または化学的切断によって果たされ得る。融合配列の酵素的除去は、当業者に公知の方法を用いて果たされ得る。融合配列の除去にふさわしい酵素の選択は、融合の個性によって決定され、反応条件は、当業者にとって明らかなような酵素の選択によって特定される。化学的切断は、当業者に公知の試薬(臭化シアン、TEVプロテアーゼ、および他の試薬が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて果たされ得る。切断されたIFNβポリペプチドは、当業者に公知の方法によって、切断された融合配列から精製され得る。そのような方法は、当業者にとって明らかなように、融合配列およびIFNβポリペプチドの個性および性質によって決定される。精製方法としては、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、もしくは透析、またはこれらの任意の組合せが挙げられ得るが、これらに限定されない。
また、IFNβは、タンパク質溶液からDNAを除去するために、精製され得る。DNAは、当業者に公知の任意の適切な方法(例えば、沈殿またはイオン交換クロマトグラフィー)によって除去され得るが、核酸沈殿試薬(例えば、硫酸プロタミンが挙げられるが、これに限定されない)を用いた沈殿によって除去され得る。IFNβポリペプチドは、標準的なよく知られた方法(遠心分離またはろ過が挙げられるが、これらに限定されない)を用いて、沈殿されたDNAから分離され得る。IFNβポリペプチドがヒトの治療に用いられる設定、および本発明の方法が薬学的に許容可能なレベルまで宿主細胞のDNAを低減する設定において、宿主核酸分子の除去は重要な要因である。
また、小規模または大規模な発酵方法は、タンパク質発現(発酵槽、振とうフラスコ、流動床バイオリアクター、中空糸バイオリアクター、ローラーボトル培養系、および攪拌タンクバイオリアクター系が挙げられるが、これらに限定されない)に使用され得る。これらの方法のそれぞれは、バッチ処理、給飼バッチ処理、連続様式処理において実施され得る。
本発明のヒトIFNβポリペプチドは、当該分野における標準的な方法を用いて、通常に回収され得る。例えば、培地または細胞溶解液は、細胞破片を除去するために遠心分離またはろ過され得る。上清は、濃縮され得るか、またはさらなる精製用の調製物を適当な状態にする適切な緩衝液において、所望の容積に希釈もしくは透析され得る。本発明のIFNβポリペプチドのさらなる精製としては、原型の形態から脱アミド化され、短縮されたIFNβポリペプチドバリアントの形態の分離が挙げられる。
以下の例示的な手法のいずれかは、本発明のIFNβポリペプチドの精製に採用され得る。当該手法は、アフィニティークロマトグラフィー;陰イオン交換クロマトグラフィーもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー(DEAE SEPHAROSEを用いたものが挙げられるが、これに限定されない);シリカ上におけるクロマトグラフィー;高速液体クロマトグラフィー(HPLC);逆相HPLC;ゲルろ過(SEPHADEX G-75を用いたものが挙げられるが、これに限定されない);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー;金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;等電点電気泳動(chromatofocusing);置換クロマトグラフィー;電気泳動的手法(分離用の等電点電気泳動(isoelectric focusing)が挙げられるが、これに限定されない)、差別的溶解性(differential solubility)(硫酸アンモニウム沈殿が挙げられるが、これに限定されない)、SDS−PAGEまたは抽出である。
本発明のタンパク質(非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質、非天然アミノ酸を含んでいるペプチド、非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質に対する抗体、非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質にとっての結合パートナーなどが挙げられるが、これらに限定されない)は、当業者に公知の、使用される標準的な手法にしたがって、部分的または実質的に均質に精製される。したがって、本発明のポリペプチドは、当業者に公知の任意の多くの方法(硫酸アンモニウム沈殿もしくはエタノール沈殿、酸抽出もしくは塩基抽出、カラムクロマトグラフィー、アフィニティーカラムクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーもしくは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、およびゲル電気泳動などが挙げられるが、これらに限定されない)によって、回収および精製され得る。タンパク質をリフォールディング(refolding)する工程は、必要に応じて、正確に折りたたまれた成熟タンパク質を作製するときに、使用され得る。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、アフィニティークロマトグラフィー、または他の適切な方法は、高い純度が所望される場合に、最終的な精製工程において採用され得る。1つの実施形態において、非天然アミノ酸(または非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質もしくはペプチド)に対して作製された抗体は、1つ以上の非天然アミノ酸を含んでいるタンパク質またはペプチドの親和性に基づく精製などのための精製試薬として使用され得る。必要に応じて、部分的にまたは均質にまで精製されると、ポリペプチドは、多種多様な有用物(例えば、アッセイの構成要素、治療学、予防法、診断学、研究試薬として、および/または抗体生成用の抗原としてであるが、これらに限定されない)に関して、任意に使用される。本発明のポリペプチドに対して生成された抗体は、一般的な手順を用いてポリペプチドもしくはエピトープを有する断片、または細胞を動物に投与することによって取得され得る。動物は非ヒトの動物であることが好ましい。当業者であれば、種々の公知技術を用いて抗体を生成し得る。また、遺伝子導入されたマウスまたは他の動物(他の哺乳類が挙げられる)が、ヒト化抗体を発現するために使用され得る。上述の抗体は、ポリペプチドを発現するクローンを単離するか、もしくは同定するために、またはポリペプチドを精製するために使用され得る。また、本発明のポリペプチドに対する抗体は、疾患を処置するために使用され得る。
また、本発明のポリペプチドおよびポリヌクレオチドは、ワクチンとして使用され得る。したがって、さらなる局面において、本発明は、哺乳類における免疫応答を誘導して、上述の動物を保護する方法に関する。当該方法は、抗体および/またはT細胞免疫応答(例えば、サイトカイン産生T細胞または細胞毒性T細胞が挙げられる)を生じさせるに十分な本発明のポリペプチドを哺乳類に接種することを包含する。ここで、当該疾患は、個体においてすでに確立されているか、または確立していない。また、哺乳類における免疫応答は、ベクターを介して本発明のポリペプチドを送達することを包含する方法によって誘導され得る。当該ベクターは、本発明の疾患から上述の動物を保護する抗体を産生するような免疫応答をインビボにおいて誘導するために、ポリヌクレオチドの発現を導き、上記ポリペプチドをコードしている。上記ベクターを投与する1つの方法は、粒子またはその他のものにベクターを入れた皮膜物として、所望の細胞への投与を促進することである。そのような核酸縛たーは、DNA、RNA、修飾された核酸、またはDNA/RNAの混成物を備え得る。ワクチンとしての使用に関して、ポリペプチドまたは拡散ベクターは、、ワクチン調合物(組成物)として通常に提供される。調合物は、安定な担体をさらに備え得る。ポリペプチドが胃において分解され得るので、ポリペプチドは非経口的に投与(例えば、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、または皮内注射)され得る。非経口的投与に好適な調合物は、水性および非水性の無菌の注射溶液剤;ならびに水性および非水性の無菌の懸濁物を含んでいる。当該注射溶液剤は、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤および調合物を受容者の血液と等張にする溶質を含有し得る。当該懸濁物は、懸濁剤または増粘剤を含み得る。また、ワクチン調合物は、当該調合物の免疫原性を増強させる当業者に公知の免疫賦活系を含み得る。投与量は、ワクチンの特定の活性に依存し、通常の実験によって容易に決定され得る。
本明細書に言及されている他の参考文献に加えて、様々な精製/タンパク質フォールディング方法は、当業者に公知である(例えば、R. Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y. (1982)、Deutscher, Methods in Enzymology Vol. 182: Guide to Protein Purification. Academic Press, Inc. N.Y. (1990) 、Sandana, (1997) Bioseparation of Proteins, Academic Press, Inc.、Bollag et al (1996) Protein Methods, 2nd Edition Wiley-Liss, NY、Walker, (1996) The Protein Protocols Handbook Humana Press, NJ, Harris and Angal, (1990) Protein Purification Applications: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England、Harris and Angal, Protein Purification Methods: A Practical Approach IRL Press at Oxford, Oxford, England、Scopes, (1993) Protein Purification: Principles and Practice 3rd Edition Springer Verlag, NY、Janson and Ryden, (1998) Protein Purification: Principles, High Resolution Methods and Applications, Second Edition Wiley-VCH, NY、およびWalker (1998), Protein Protocols on CD-ROM Humana Press, NJならびにこれらに引用されている参考文献に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない)。
真核生物の宿主細胞または非真核生物の宿主細胞において、非天然アミノ酸を用いて所定のタンパク質またはポリペプチドを産生することの1つの利点は、通常、該タンパク質または該ポリペプチドが、それらの本来の立体構造に折りたたまれることである。しかし、本発明のある特定の実施形態において、当業者は、合成、発現および/または精製の後に、タンパク質またはポリペプチドが、関連するポリペプチドの所望の立体構造とは異なる立体構造を有することが可能であることを認識している。本発明の1つの局面において、発現されたタンパク質またはポリペプチドは、任意に変性され、それから復元される。これは、当該分野において公知の方法を利用して(所定のタンパク質またはポリペプチドに対するシャペロニンの添加によってか、カオトロピック剤(例えば、グアニジンHCl)にタンパク質を可溶化することによってか、またはタンパク質二硫化物異性化酵素を用いてなどが挙げられるが、これらに限定されない)果たされ得る。
一般的には、発現したポリペプチドを変性または還元して、その後に当該ポリペプチドを好ましい立体構造へとリフォールディングさせることが望ましいことがある。例えば、グアニジン、尿素、DTT、DTE、および/またはシャペロニンは、所定の転写産物に加えられ得る。タンパク質の還元、変性および復元の方法は、当業者に公知である(Debinski,et al, (1993) J. Biol. Chem., 268: 14065- 14070)、Kreitman and Pastan (1993) Bioconiug. Chem.. 4: 581-585、およびBuchner,et al, (1992) Anal. Biochem., 205: 263-270を参照すればよい)。Debinski, et alは、例えば、グアニジン−DTEにおける封入体タンパク質の変性および還元を記載している。タンパク質は、還元剤(酸化型グルタチオンおよびL−アルギニンを含有する還元剤が挙げられるが、これらに限定されない)においてリフォールディングされ得る。リフォールディング剤は、流されるか、またはそうでなければ、移動されて、1つ以上のポリペプチドもしくは他の発現産物と接触させられ得る。また、その逆もあり得る。
IFNβポリペプチドを原核生物において産生する場合、そのように産生されるIFNβポリペプチドは、誤って折りたたまれることがある。このため、ポリペプチドの生物活性が、欠如または低減されていることがあり得る。タンパク質の生物活性は、“リフォールディング”によって復帰され得る。通常、誤って折りたたまれたIFNβポリペプチドは、例えば、1つ以上のカオトロピック剤(例えば、尿素および/またはグアニジン)およびジスルフィド結合を還元可能な還元剤(例えば、ジチオスレイトール(DTT)、または2メルカプトエタノール(2−ME))を用いて、ポリペプチド鎖が可溶化(IFNβポリペプチドも不溶性である場合に)、アンフォールディング(unfolding)および還元されることによってリフォールディングされ得る。それから、穏やかな濃度のカオトロープ(chaotorope)において、ジスルフィド結合の強化を可能にする酸化剤(例えば、酸素、シスチンまたはシスタミン)が添加される。IFNβポリペプチドは、当該分野において公知の標準的な方法(例えば、米国特許第4,511,502号明細書、米国特許第4,511,503号明細書、および米国特許第4,512,922号明細書に記載の方法、これらの文献は、参照によって本明細書に組み込まれる)を用いてリフォールディングされ得る。また、IFNβポリペプチドは、他のタンパク質と共同して折りたたまれて、異種ニ量体または異種多量体を形成し得る。
リフォールディングまたはコフォールディングの後に、IFNβポリペプチドは、さらに精製され得る。IFNβポリペプチドの精製は、当業者に公知の多様な技術(疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、および親和性クロマトグラフィーが挙げられるが、これらに限定されない)を用いて果たされ得る。また、付加的な精製は、精製されたタンパク質の乾燥または沈殿の段階を含み得る。
精製の後に、IFNβは、当該分野において公知の任意の多様な方法(ダイアフィルトレーションおよび透析が挙げられるが、これらに限定されない)によって、異なる緩衝液に交換され得る、および/または濃縮され得る。単一の精製タンパク質として与えられるIFNβは、凝集および沈殿に供され得る。
精製IFNβは、少なくとも90%の純度(逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、またはドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって測定されるような)、または少なくとも95%の純度、または少なくとも98%の純度、または少なくとも99%の純度、またはそれ以上の純度であり得る。IFNβの正確な数値的な純度に関係なく、当該IFNβは、薬学的産物としての使用、またはさらなる処理(例えば、水溶性ポリマー(例えば、PEG)との接合)にとって十分な純度であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明IFNβは、薬物動態に関して線形的なCmaxおよびAUCを有している。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、等しい投与量のレビフの60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%以上のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、等しい投与量のレビフの100%以上のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、等しい投与量のレビフの105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、またはそれ以上のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、等しい投与量のアボネックスまたは投与された他の対照の100%以上のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、等しい投与量のアボネックスまたは投与された他の対照の105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、195%、200%、またはそれ以上のCmaxを有する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬物動態は、週に1回の相対成長的な投与に対応するに十分なPKの谷のレベルを有する。
いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬力学は、ネオプレチンを誘導し、1週間にわたってネオプレチンを維持する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドは、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、またはそれ以上にわたって、維持されたネオプレチンレベルを誘導する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬力学は、OAS1遺伝子の発現を陽性対照(現在注目されているIFNβ治療薬)以上に誘導し、1週間にわたって発現レベルを維持する。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドの薬力学は、OAS1遺伝子の発現を陽性対照(現在注目されているIFNβ治療薬)以上に誘導し、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間、またはそれ以上にわたって、発現レベルを維持する。本発明のいくつかの実施形態において、注射部位反応は、等しい投与量の実施例27における陽性対照と同等である。本発明のいくつかの実施形態において、注射部位反応は、等しい投与量の実施例27における陽性対照よりも良好である。他の実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドによって引き起こされる注射部位反応は、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%より少ない。
ある種のIFNβ分子は、(賦形剤、担体および安定剤、ならびに血清アルブミンなど以外の)他の活性成分もしくはタンパク質の非存在下において治療薬として使用され得るか、またはそれらは、他のタンパク質もしくはポリマーと共に複合化され得る。
(一般的な精製法)
様々な単離工程のいずれか1つは、IFNβを含むか、または任意の単離工程から結果として生じるIFNβポリペプチド混合物における、細胞溶解液、抽出物、培地、封入体、宿主細胞の細胞膜周辺腔、宿主細胞の細胞質、または他の材料に対して実施され得る。当該任意の単離工程としては、アフィニティークロマトグラフィーか、イオン交換クロマトグラフィーか、疎水性相互作用クロマトグラフィーか、ゲルろ過クロマトグラフィーか、高速液体クロマトグラフィー(“HPLC”)か、逆相HPLC(“PR−HPLC”)か、発泡床吸着(expanded bed adsorption)か、それらの任意の組合せおよび/または繰り返し、ならびに任意の適切な順序でのそれらの任意の組合せおよび/または繰り返しが挙げられる。
本明細書に記載されている技術の実施に使用される設備、および他の必要な材料は、市販されている。ポンプ、フラクションコレクター、モニター、記録器、および全体のシステムが、例えば、アプライド バイオシステム(Applied Biosystems)(フォスターシティー(Foster City)、CA)、バイオラッドラボラトリー(ハーキュリーズ(Hercules)、CA)、およびアマシャムバイオサイエンス(ピスカタウェイ(Piscataway)、NJ)から市販されている。また、クロマトグラフィーの材料(交換基質材料、溶剤および緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない)は、そのようは企業から入手可能である。
本明細書に記載されているカラムクロマトグラフィー手法における平衡および他の工程(例えば、洗浄および溶出)は、特殊な設備(例えば、ポンプ)を用いてより速く実施され得る。市販のポンプとしては、ハイロードポンプ(HILOAD(登録商標) Pump)P−50、ペリスタルティックポンプ(Peristaltic Pump)、ポンプP−901、およびポンプP−903(アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。
フラクションコレクターの例としては、レディフラック フラクションコレクター(REDIFRAC Fraction Collector)、FRAC−100およびFRAC−200フラクションコレクター、ならびにスーパーフラック フラクションコレクター(SUPERFRAC(登録商標) Fraction Collector)(アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ)が挙げられるが、これらに限定されない。また、混合器は、pH勾配および直線的な濃度勾配の形成に利用可能である。市販の混合器としては、グラジエントミキサー(Gradient Mixer)GM−1およびインラインミキサーズ(In-Line Mixers)(アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ)が挙げられる。
クロマトグラフィー過程は、任意の市販のモニターを用いて監視され得る。そのようなモニターは、UV、pHおよび導電率のような情報の収集に使用され得る。検出器の例としては、モニター(Monitor) UV−1、ユビコード(UVICORD(登録商標)) S II、モニター UV−M II、モニター UV−900、モニター UPC−900、モニター pH/C−900、およびコンダクティヴィティーモニター(Conductivity Monitor)(アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ)が挙げられる。実際に、全体のシステムは、市販されている(例えば、アマシャムバイオサイエンス(ピスカタウェイ、NJ)から提供されているアクタ(AKTA(登録商標))システムズが挙げられる)。
本発明の1つの実施形態において、例えば、IFNβポリペプチドは、尿素において精製されたIFNβポリペプチド結果物の第1の変性によって、還元および変性され、続いて適切なpHにおいて還元剤(例えば、DTT)を含む緩衝液に希釈され得る。他の実施形態において、IFNβポリペプチドは、約2Mから約9Mの範囲にある濃度の尿素において変性され、続いて約5.0から約8.0の範囲にあるpHのTRIS緩衝液に希釈される。それから、この実施形態のリフォールディング混合物は、インキュベートされ得る。1つの実施形態において、リフォールディング混合物は、室温において4から24時間、インキュベートされる。還元されかつ変性されたIFNβポリペプチド混合物は、それからさらに単離または精製され得る。
本明細書に述べられているように、第1のIFNβポリペプチド混合物のpHは、次の任意の単離工程を実施する前に調整され得る。また、第1のIFNβポリペプチド混合物、またはこれらの続きの混合物のいずれかは、当該分野において公知の技術を用いて濃縮され得る。さらに、第1のポリペプチド混合物、またはこれらの続きの混合物のいずれかを含む溶出緩衝液は、当業者に公知の技術を用いて、次の単離工程に好適な緩衝液に交換され得る。
(イオン交換クロマトグラフィー)
イオン交換クロマトグラフィーが、1つの実施形態において、そして任意の付加的な工程として、第1のIFNβポリペプチド混合物に対して実施され得る。一般的に、ION EXCHANGE CHROMATOGRAPHY: PRINCIPLES AND METHODS(カタログ番号18−1114−21、アマシャムバイオサイエンス(ピスカタウェイ、NJ))を参照すればよい。市販のイオン交換カラムとしては、ハイトラップ(HITRAP(登録商標))カラム、ハイプレップ(HIPREP(登録商標))カラム、およびハイロード(HILOAD(登録商標))カラム((アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ))が挙げられる。そのようなカラムは、強い陰イオン交換体(例えば、Qセファロースファストフロウ(Q SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow)、Qセファロースハイパフォーマンス(Q SEPHAROSE(登録商標) High Performance)、およびQセファロース(Q SEPHAROSE(登録商標))XL);強い陽イオン交換体(例えば、SPセファロースハイパフォーマンス(SP SEPHAROSE(登録商標) High Performance)、SPセファロースファストフロウ(SP SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow)、およびSPセファロース(SP SEPHAROSE(登録商標))XL);弱い陰イオン交換体(例えば、デアエセファロースファストフロウ(DEAE SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow));および弱い陽イオン交換体(例えば、CMセファロースファストフロウ(CM SEPHAROSE(登録商標) Fast Flow))(アマシャムバイオサイエンス、ピスカタウェイ、NJ)を利用している。陰イオン交換カラムクロマトグラフィーまたは陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、実質的に精製されたIFNβポリペプチドを単離するために、精製過程の任意の工程において、IFNβポリペプチドに対して実施され得る。陽イオン交換クロマトグラフィー工程は、任意の適切な陽イオン交換基質を用いて実施され得る。有用な陽イオン交換基質としては、繊維状の、多孔質の、非多孔質の、微粒子状の、ビーズ状の、または架橋された陽イオン交換基質材料が挙げられるが、これらに限定されない。当該陽イオン交換基質材料としては、セルロース、アガロース、デキストラン、ポリアクリレート、ポリビニル、ポリスチレン、シリカ、ポリエーテル、または上述のものの何れかの混合材料が挙げられるが、これらに限定されない。
陽イオン交換基質は、強いまたは弱い陽イオン交換体を含む、任意の適切な陽イオン交換体であり得る。強い陽イオン交換体は、広いpH範囲にわたってイオン化を維持し得、このようにして、広いpH範囲にわたってIFNβポリペプチドと結合可能であり得る。しかし、弱い陽イオン交換体は、pHに応じてイオン化を失い得る。例えば、弱い陽イオン交換体は、pHが約pH4またはpH5より下に低下すると、電荷を失い得る。適切な陽イオン交換体としては、荷電した官能基(例えば、スルホプロピル(SP)、メチルスルホネート(S)、またはスルホエチル(SE))が挙げられるが、これに限定されない。陽イオン交換基質は、好ましくは約2.5から約6.0のIFNβ結合pH範囲を有する、強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、強い陽イオン交換体は、約2.5から約5.5のIFNβ結合pH範囲を有し得る。陽イオン交換基質は、約3.0のIFNβ結合pHを有する強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、陽イオン交換基質は、好ましくは約6.0から約8.0のIFNβ結合pH範囲を有する、強い陽イオン交換体であり得る。陽イオン交換基質は、好ましくは約8.0から約12.5のIFNβ結合pH範囲を有する強い陽イオン交換体であり得る。代替可能に、陽イオン交換体は、好ましくは約8.0から約12.0のIFNβ結合pH範囲を有する強い陽イオン交換体であり得る。
IFNβを装填する前に、陽イオン交換基質は、例えば、カラム容積の数倍の希釈液、弱酸(例えば、カラム容積の4倍のpH3、20mMの酢酸)を用いて、平衡化され得る。平衡化に続いて、IFNβが加えられてもよく、カラムは、やはり弱酸(例えば、弱い酢酸溶液またはリン酸溶液)を用いた実質的に精製されたIFNβの溶出前に、1回から数回ほど洗浄されてもよい。例えば、カラム容積のおよそ2−4倍のpH3、20mMの酢酸は、カラムの洗浄に使用され得る。また、例えば、カラム容積の2−4倍の、pH5.5、0.05Mの酢酸ナトリウム、または0.1Mの塩化ナトリウムと混合されたpH5.5、0.05Mの酢酸ナトリウムを用いた付加的な洗浄が、使用され得る。代替可能に、当該分野において公知の方法を用いて、陽イオン交換基質は、カラム容積の数倍の希釈液、弱塩基を用いて平衡化され得る。
代替可能に、実質的に精製されたIFNβは、基質からIFNβポリペプチドを移動させるほど十分に低いpHまたはイオン強度を有する緩衝液と、陽イオン交換基質とを接触させることによって、溶出され得る。溶出緩衝液のpHは、約pH2.5から約pH6.0までの範囲であり得る。より詳細には、溶出緩衝液のpHは、約pH2.5から約pH5.5、約pH2.5から約pH5.0までの範囲であり得る。溶出緩衝液は約3.0のpHを有し得る。また、溶出緩衝液の量は、広範に変化してもよく、通常、カラム容積の約2倍から約10倍の範囲にある。
陽イオン交換基質に対するIFNβポリペプチドの吸着に続いて、実質的に精製されたIFNβポリペプチドは、当該基質からIFNβポリペプチドを移動させるほど十分に高いpHまたはイオン強度を有する緩衝液と、基質を接触させることによって溶出され得る。実質的に精製されたIFNβポリペプチドの高pH溶出における使用に適した緩衝液としては、少なくとも約5mMから少なくとも約100mMの濃度範囲にある、クエン酸塩、リン酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、HEPESおよびMES緩衝液が挙げられ得るが、これらに限定されない。
(逆相クロマトグラフィー)
RP−HPLCは、当業者に公知の適切なプロトコールにしたがって、タンパク質を精製するために、実施され得る。例えば、Pearson et al, ANAL BIOCHEM. (1982) 124:217-230 (1982)、Rivier et al, J. CHROM. (1983) 268:112-119、Kunitani et al, J. CHROM. (1986) 359:391-402を参照すればよい。RP−HPLCをIFNβポリペプチドに対して実施して、実質的に精製されたIFNβポリペプチドを単離し得る。この点に関して、多種多様な長さ(少なくともCから少なくともC30まで、少なくともCから少なくともC20まで、または少なくともCから少なくともC18までの長さが挙げられるが、これらに限定されない)を有するアルキル官能基を用いた、シリカ誘導体化樹脂が使用され得る。代替可能に、ポリマー化樹脂が使用され得る。例えば、スチレンポリマー樹脂である、トソハースアンバークローム(TosoHaas Amberchrome)CG1000sd樹脂が使用され得る。また、多種多様なアルキル鎖を有するシアノ樹脂またはポリマー化樹脂が、使用され得る。さらに、RP−HPLCカラムは、溶媒(例えば、エタノール)を用いて洗浄され得る。ソース(Source)RPカラムは、RP−HPLCカラムの他の例である。
イオン対化剤および有機緩和剤(例えば、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、またはエタノール)を含む適切な溶出緩衝液が、IFNβポリペプチドをPR−HPLCカラムから溶出するために、使用され得る。最も一般的に使用されるイオン対化剤の例としては、酢酸、蟻酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、ヘプタフルオロブチル酸、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、酢酸トリエチルアンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。溶出は、分離時間の短縮、およびピーク幅の縮小に好ましい勾配条件を有する、1つ以上の勾配条件または定組成条件を用いて実施され得る。他の方法は、異なる溶媒濃度範囲を有する2の勾配の使用に関する。本明細書における使用に適した溶出緩衝液の例としては、酢酸アンモニウム溶液およびアセトニトリル溶液が挙げられるが、これらに限定されない。
(疎水性相互作用クロマトグラフィー精製技術)
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、IFNβポリペプチドに対して実施されてもよい。一般的に、HYDROPHOBIC INTERACTION CHROMATOGRAPHY HANDBOOK: PRINCIPLES AND METHODS (カタログ番号18−1020−90、アマシャムバイオサイエンス、(ピスカタウェイ、NJ))を参照すればよく、これは参照によって本明細書に組み込まれる。適切なHIC基質としては、アルキル置換基質もしくはアリール置換基質(例えば、ブチル置換基質、ヘキシル置換基質、オクチル置換基質、またはフェニル置換基質(アガロース基質、架橋アガロース基質、セファロース基質、セルロース基質、シリカ基質、デキストラン基質、ポリスチレン基質、ポリ(メタクリレート)基質が挙げられる))、および混合形式基質(ポリエチレンアミン樹脂基質、またはブチル置換ポリ(メタクリレート)基質もしくはフェニル置換ポリ(メタクリレート)基質が挙げられるが、これらに限定されない)が挙げられるが、これらに限定されない。疎水性相互作用クロマトグラフィーに関する市販の原料としては、ハイトラップ(登録商標)、ハイプレップ(登録商標)およびハイロード(登録商標)が挙げられるが、これらに限定されない。
簡単に説明すると、装填の前に、HICカラムは、当業者に公知の標準的な緩衝液(例えば、酢酸溶液/塩化ナトリウム溶液、または硫酸アンモニウムを含むHEPES)を用いて、平衡化され得る。硫酸アンモニウムは、HICカラム装填用の緩衝液として使用され得る。それから、IFNβポリペプチドの装填した後に、カラムは、不要な物質を取り除くための標準的な緩衝液と条件とを用いて洗浄され得るが、IFNβポリペプチドはカラムに保持されている。IFNβポリペプチドは、カラム容積の約3倍から約10倍の標準的な緩衝液(例えば、とりわけ、EDTAと平衡化緩衝液より低濃度の硫酸アンモニウムとを含むHEPES緩衝液、または酢酸/塩化ナトリウム緩衝液)を用いて溶出され得る。また、例えば、リン酸カルシウムを用いた減少直線塩勾配は、IFNβ分子の溶出に使用され得る。それから、この溶出物は、例えば、ダイアフィルトレーション、または限外ろ過といったろ過によって濃縮されてもよい。ダイアフィルトレーションは、IFNβポリペプチドの溶出に使用される塩を除くために利用され得る。
(他の精製技術)
例えば、ゲルろ過(参照によって本明細書に組み込まれるGEL FILTRATION: PRINCIPLES AND METHODS(カタログ番号18−1022−18、アマシャムバイオサイエンス(ピスカタウェイ、NJ))、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー(好適な基質としては、HAウルトロゲル(HA−Ultrogel)、ハイリソリューション(High Resolution)(カルバイオケム(Calbiochem))、CHT セラミックヒドロキシアパタイト(Ceramic Hydroxyapatite(バイオラッド))、バイオ−ゲルHTPヒドロキシアパタイト(Bio-Gel HTP Hydroxyapatite(バイオラッド))が挙げられるが、これらに限定されない)、HPLC、発泡床吸着、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、および凍結乾燥などを用いたさらに他の単離工程は、任意の過剰の塩を除去するために、および次の単離工程もしくは最終的な製剤の調合でさえ好適な緩衝液に交換するために、第1のIFNβポリペプチド混合物、または続くこれらの混合物のいずれかに対して実施され得る。
IFNβポリペプチド(実質的に精製されたIFNβポリペプチドを含む)の収率は、当業者に公知の技術を用いて、本明細書に記載されている各工程において、観察されてもよい。また、そのような技術は、最後の単離工程の後に、実質的に精製されたIFNβポリペプチドの収率を評価するために使用され得る。例えば、IFNβポリペプチドの収率は、陽イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過だけでなく、様々なアルキル鎖長を有する様々な逆相高圧液体クロマトグラフィーのいずれか(例えば、シアノPR−HPLC、C18RP−HPLC)を用いて、観察されてもよい。
本発明の特定の実施形態において、各精製工程の後におけるIFNβの収率は、各精製工程にとっての開始物質におけるIFNβの、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約99.99%であり得る。
精製は、標準的な技術(例えば、SDS−PAGE)を用いてか、ウエスタンブロットおよびELISAアッセイを用いた、IFNβポリペプチドの測定によって、判定され得る。例えば、ポリクローナル抗体は、陰性対照酵母発酵および陽イオン交換回収から単離されたタンパク質に対して生成され得る。また、抗体は、宿主細胞タンパク質の汚染の存在に対するプローブに使用され得る。
PR−HPLC材料であるVydac C4(ビダック(Vydac))は、シリカゲル粒子、C4−アルキル鎖を支持する表面からなる。タンパク質性不純物からのIFNβポリペプチドの分離は、疎水性相互作用の強度における差に基づいている。溶出は、希釈されたトリフルオロ酢酸におけるアセトニトリル勾配を用いて実施される。調製用HPLCは、ステンレス鋼カラム(2.8から3.2リットルのVydac C4シリカゲルを用いて充填されている)を用いて実施される。ヒドロキシアパタイトウルトロゲルの溶出物は、トリフルオロ酢酸を加えることによって酸性化され、Vydac C4カラム上に装填される。洗浄および溶出について、希釈されたトリフルオロ酢酸におけるアセトニトリル勾配が使用される。画分は、回収され、ただちにリン酸緩衝液を用いて中性化される。IPC限界内にあるIFNβポリペプチド画分は、プールされる。
デアエセファロース(ファルマシア)材料は、セファロースビーズの表面と共有的に結合されるジエチルアミノエチル(DEAE)基からなる。DEAE基に対するIFNβポリペプチドの結合は、イオン性相互作用によって媒介される。アセトニトリルおよびトリフルオロ酢酸は、保持されることなくカラムを通過する。これらの物質が洗い流された後に、微量の不純物は、低pHの酢酸緩衝液を用いてカラムを洗浄することによって除去される。それから、カラムは、中性のリン酸緩衝液を用いて洗浄され、IFNβポリペプチドは、向上されたイオン強度を有する緩衝液を用いて溶出される。カラムは、デアエセファロースファストフロウを用いて充填されている。カラム容積は、3−10mgのIFNβポリペプチド/1mlのゲルの範囲におけるIFNβポリペプチドの装填を保障するために調節される。カラムは、水および平衡化緩衝液(リン酸ナトリウム/カリウム)を用いて洗浄される。HPLC溶出物のプールされた画分は装填され、カラムは平衡化緩衝液を用いて洗浄される。それから、カラムは、洗浄緩衝液(酢酸ナトリウム緩衝液)により洗浄された後に、平衡化緩衝液により洗浄される。続いて、IFNβポリペプチドは、溶出緩衝液(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム/カリウム)を用いてカラムから溶出され、主要な溶出プロファイルにしたがって、単一の画分に回収される。デアエセファロースカラムの溶出物は、特定の伝導性に調節される。結果として生じる製剤原料は、テフロン(Teflon)(登録商標)ボトルの中に無菌的にろ過され、−70℃において保存される。
採用され得る付加的な方法としては、エンドトキシンを除去する工程が挙げられるが、これに限定されない。エンドトキシンは、例えば、エシェリキア コリといったグラム陰性の宿主細胞の外膜に見られるリポ多糖(LPSs)である。エンドトキシンレベルを低減する方法は、当業者に公知であり、当該方法としては、シリカ支持体、ガラス粉末、またはヒドロキシアパタイトを用いた精製技術、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ならびにこれらの方法の組合せなどが挙げられるが、これらに限定されない。修飾および付加的な方法は、汚染物(例えば、所定のポリペプチドからの共遊走タンパク質)を除去するために要求され得る。エンドトキシンレベルを測定する方法は、当業者に公知であり、カブトガニ血球抽出液(LAL)アッセイを含むが、これに限定されない。エンドセーフ(Endosafe(商標))−PTSアッセイは、LAL試薬、発色体基質、および対照標準エンドトキシンを用いて前装填されたカートリッジを利用する、手持ち式の分光光度計を伴う比色分析の単一チューブ系である。代替可能な方法としては、比濁法であり、96ウェル形式を使用する動力学的(Kinetic)LAL法が挙げられる。
多種多様な方法および手法は、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上含んでいるIFNβポリペプチドの収率および純度を評価するために使用されてもよく、当該方法および手法としては、ブラッドフォードアッセイ、SDS−PAGE、銀染色SDS−PAGE、クーマシーブルー染色SDS−PAGE、質量分析(MALDI−TOFが挙げられるが、これに限定されない)、および当業者に公知のタンパク質性質決定に関する他の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
付加的な方法としては、タンパク質染色法と伴った、SDS−PAGE、免疫ブロッティング、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化−質量分析(MALDI−MS)、液体クロマトグラフィー/質量分析、等電点電気泳動、分析陰イオン交換、等電点電気泳動、および円偏光二色性が挙げられるが、これらに限定されない。
<VIII.代替系における発現>
種々の戦略が、非組換え宿主細胞、変異された宿主細胞、または無細胞系においてタンパク質に非天然アミノ酸を導入するために使用されている。また、これらの系は、本発明のIFNβポリペプチドの作製における使用に好適である。Lys、CysおよびTyrといった反応性の側鎖を有するアミノ酸誘導体化は、リジンのN−アセチル−リジンへの転換を生じる。また、化学合成は、非天然アミノ酸を組み込むための簡単な方法を提供する。酵素的ライゲーションおよび化学的ライゲーションの最近の発展に伴って、巨大タンパク質の作製が可能である。例えば、P. E. Dawson and S. B. H. Kent, Annu. Rev. Biochem, 69:923 (2000) を参照すればよい。化学的なペプチドライゲーションおよび本来の化学的ライゲーションは、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,184,344号明細書、米国特許出願公開第2004/0138412号明細書、米国特許出願公開第2003/0208046号明細書、国際公開第02/098902号パンフレット、および国際公開第03/042235号パンフレットに記載されている。所望の非天然アミノ酸をと共に化学的にアシル化されたサプレッサtRNAが、タンパク質生合成を支持することができるインビトロ抽出物に添加される、通常のインビトロ生合成方法は、実質的に任意の大きさを有する種々のタンパク質に100を越える非天然アミノ酸を部位特異的に組み込むために、使用されている。例えば、V. W. Cornish, D. Mendel and P. G. Schultz, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1995, 34:621 (1995); C.J. Noren, S.J. Anthony-Cahill, M.C. Griffith, P.G. Schultz, A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science 244:182-188 (1989); and, J.D. Bain, C.G. Glabe, T.A. Dix, A.R. Chamberlin, E.S. Diala, Biosynthetic site-specific incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J. Am. Chem. Soc. 111:8013-8014 (1989)を参照すればよい。広範な官能基が、タンパク質の安定性、タンパク質のフォールディング、酵素機序、およびシグナル伝達の研究を目的として、タンパク質に組み込まれている。
選択圧(selective pressure)組み込みと呼ばれる、インビボの方法が、野生型シンセターゼの乱交雑を活用するために開発された。例えば、N. Budisa, C. Minks, S. Alefelder, W. Wenger, F. M. Dong, L. Moroder and R. Huber, FASEB J., 13:41 (1999) を参照すればよい。特定の天然アミノ酸を供給する関連代謝経路が断たれている栄養要求株は、天然アミノ酸の制限された濃度を含有する最小培地において増殖される一方において、標的遺伝子の転写が抑制されている。増殖定常期に入ると、天然アミノ酸が枯渇して、非天然アミノ酸類似物と置き換えられる。組換えタンパク質の発現の誘導は、非天然なる維持物を含有するタンパク質の蓄積を生じる。例えば、この戦略を用いて、o、mおよびp−フルオロフェニルアラニンが、タンパク質に組み込まれており、容易に同定され得るUVスペクトルにおける2つの特性の肩を示し(例えば、C. Minks, R. Huber, L. Moroder and N. Budisa, Anal. Biochem., 284:29 (2000)を参照すればよい);トリフルオロメチオニンは、19F NMRによってチトオリゴ糖との相互作用を研究するための、バクテリオファージのT4ライソザイムにおいてメチオニンを置換するために使用されており(例えば、H. Duewel, E. Daub, V. Robinson and J. F. Honek, Biochemistry, 36:3404 (1997) を参照すればよい);かつトリフルオロロイシンは、ロイシンの代わりに組み込まれて、ロイシンジッパータンパク質の増強された熱的および化学的な安定性を生じている。例えば、Y. Tang, G. Ghirlanda, W. A. Petka, T. Nakajima, W. F. DeGrado and D. A. Tirrell, Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 40:1494 (2001)を参照すればよい。さらに、セレノメチオニンおよびテルルメチオニンが、種々の組換えタンパク質に組み込まれて、X線結晶解析における位相の解像を容易にしている。例えば、W. A. Hendrickson, J. R. Horton and D. M. Lemaster, EMBO J., 9:1665 (1990) ;J. O. Boles, K. Lewinski, M. Kunkle, J. D. Odom, B. Dunlap, L. Lebioda and M. Hatada, Nat. Struct. Biol., 1:283 (1994) ;N. Budisa, B. Steipe, P. Demange, C. Eckerskorn, J. Kellermann and R. Huber, Eur. J. Biochem., 230:788 (1995);およびN. Budisa, W. Karnbrock, S. Steinbacher, A. Humm, L. Prade, T. Neuefeind, L. Moroder and R. Huber, J. Mol. Biol., 270:616 (1997) を参照すればよい。また、アルケンまたはアルキン官能基を有するメチオニン類似物は、効率的に組み込まれて、化学的手段によるタンパク質の付加的な修飾を可能にしている。例えば、J. C. van Hest and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 428:68 (1998);J. C.. van Hest, K. L. Kiick and D. A. Tirrell, J. Am. Chem. Soc., 122:1282 (2000);およびK. L. Kiick and D. A. Tirrell, Tetrahedron, 56:9487 (2000) ;参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,586,207号明細書;米国特許出願公開第2002/0042097号明細書を参照すればよい。
この方法の成功は、タンパク質翻訳の忠実度を保証するために一般的に必要とする、非天然アミノ酸類似物のアミノアシルtRNAによる認識に依存する。この方法の有効範囲を拡張するための1つの方法は、制限された数の場合に達成されている、アミノアシルtRNAの基質特異性を緩和することである。例えば、エシェリキア コリのフェニルアラニルシンセターゼ(PheRS)におけるGlyによるAla294の置換が、基質結合ポケットの大きさを増し、p−Cl−フェニルアラニン(p−Cl−Phe)によるtRNAPheのアシル化を生じる。M. Ibba, P. Kast and H. Hennecke, Biochemistry, 33:7107 (1994) を参照すればよい。この変異PheRSを内部に有するエシェリキア コリ株は、フェニルアラニンの代わりに、p−Cl−フェニルアラニンまたはp−Br−フェニルアラニンの組み込みを可能にする。例えば、M. Ibba and H. Hennecke, FEBS Lett., 364:272 (1995);およびN. Sharma, R. Furter, P. Kast and D. A. Tirrell, FEBS Lett., 467:37 (2000)を参照すればよい。同様に、エシェリキア コリのチロシル−tRNAシンセターゼのアミノ酸結合部位付近の点変異Phe130Serは、アザチロシンがチロシンよりも効率的に組み込まれることを可能にすることを、示された。F. Hamano-Takaku, T. Iwama, S. Saito-Yano, K. Takaku, Y. Monden, M. Kitabatake, D. Soll and S. Nishimura, J. Biol. Chem., 275:40324 (2000) を参照すればよい。
インビボにおける非天然アミノ酸を組み込むための他の戦略は、校正機序を有するシンセターゼを修飾することである。これらのシンセターゼは、同種のアミノ酸と構造的に類似するアミノ酸を、区別できず、それゆえ当該類似するアミノ酸を活性化する。この誤りは、tRNAから誤って荷電されたアミノ酸を脱アシル化する別の部位において補正されて、タンパク質翻訳の忠実度を維持している。シンセターゼの校正活性が無効にされると、誤って活性化される構造的類似物が、編集機能を免れ得、組み込まれ得る。この方法は、バリル−tRNAシンセターゼ(ValRS)を用いて最近に証明されている。V. Doring, H. D. Mootz, L. A. Nangle, T. L. Hendrickson, V. de Crecy-Lagard, P. Schimmel and P. Marliere, Science, 292:501 (2001) を参照すればよい。ValRSは、Cys、Thr、アミノブチレート(Abu)と共にtRNAValを誤ってアシル化でき;その後に、これらの非同種のアミノ酸が編集ドメインによって加水分解される。エシェリキア コリの染色体の無作為変異生成の後に、ValRSの編集部位に変異を有している変異体エシェリキア コリ株が、選択された。この編集欠損ValRSは、Cysと共にtRNAValを不正確に荷電する。また、AbuがCys(Cysの−SH基がAbuにおいて−CH3に置換される)を立体的に集合させるので、変異体ValRSは、この変異体エシェリキア コリ株がAbuの存在下において増殖されると、タンパク質にAbuを組み込む。質量分析解析は、バリンのやく24%が本来のタンパク質におけるバリンの位置のそれぞれにおいて、Abuに置換されることを示している。
また、固相合成法および固相半合成法は、新規のアミノ酸を含有する多くの他の合成を可能にしている。例えば、以下の刊行物および引用される参考文献:Crick, F.H.C., Barrett, L. Brenner, S. Watts-Tobin, R. General nature of the genetic code for proteins. Nature, 192:1227-1232 (1961); Hofmann, K., Bohn, H. Studies on polypeptides. XXXVI. The effect of pyrazole-imidazole replacements on the S-protein activating potency of an S-peptide fragment, J. Am Chem, 88(24):5914-5919 (1966); Kaiser, E.T. Synthetic approaches to biologically active peptides and proteins including enyzmes, Acc Chem Res, 22:47-54 (1989); Nakatsuka, T., Sasaki, T., Kaiser, E.T. Peptide segment coupling catalyzed by the semisynthetic enzyme thiosubtilisin, J Am Chem Soc, 109:3808-3810 (1987); Schnolzer, M., Kent, S B H. Constructing proteins by dovetailing unprotected synthetic peptides: backbone-engineered HIV protease, Science, 256(5054):221-225 (1992); Chaiken, I.M. Semisynthetic peptides and proteins, CRC Crit Rev Biochem, 11(3):255-301 (1981); Offord, R.E. Protein engineering by chemical means? Protein Eng., 1(3):151-157 (1987); and, Jackson, D.Y., Burnier, J., Quan, C., Stanley, M., Tom, J., Wells, J.A. A Designed Peptide Ligase for Total Synthesis of Ribonuclease A with Unnatural Catalytic Residues, Science, 266(5183):243 (1994)を参照すればよい。
化学的修飾は、インビトロにおいてタンパク質に種々の非天然な側鎖(補足因子、スピン標識およびオリゴヌクレオチドが挙げられる)を導入するために、使用されている。例えば、Corey, D.R., Schultz, P.G. Generation of a hybrid sequence-specific single-stranded deoxyribonuclease, Science, 238(4832):1401-1403 (1987); Kaiser, E.T., Lawrence D.S., Rokita, S.E. The chemical modification of enzymatic specificity, Annu Rev Biochem, 54:565-595 (1985); Kaiser, E.T., Lawrence, D.S. Chemical mutation of enyzme active sites, Science, 226(4674):505-511 (1984); Neet, K.E., Nanci A, Koshland, D.E. Properties of thiol-subtilisin, J Biol. Chem, 243(24):6392-6401 (1968); Polgar, L. et M.L. Bender. A new enzyme containing a synthetically formed active site. Thiol-subtilisin. J. Am Chem Soc, 88:3153-3154 (1966); and, Pollack, S.J., Nakayama, G. Schultz, P.G. Introduction of nucleophiles and spectroscopic probes into antibody combining sites, Science, 242(4881):1038-1040 (1988)を参照すればよい。
代替可能に、化学的に修飾されたアミノアシル−tRNAを採用する生合成方法は、インビトロにおいて合成されるタンパク質に種々の生物物理的なプローブを組み込むために使用されている。以下の刊行物および引用される参考文献:Brunner, J. New Photolabeling and crosslinking methods, Annu. Rev Biochem, 62:483-514 (1993); and, Krieg, U.C., Walter, P., Hohnson, A.E. Photocrosslinking of the signal sequence of nascent preprolactin of the 54-kilodalton polypeptide of the signal recognition particle, Proc. Natl. Acad. Sci, 83(22):8604-8608 (1986)を参照すればよい。
これまでに、所望のアンバーナンセンス変異を含有する遺伝子を用いて計画されたタンパク質合成反応に対して、化学的にアミノアシル化されたサプレッサtRNAを加えることによって、非天然アミノ酸がインビトロにおいて部位特異的に組み込まれ得ることは、示されている。これらの方法を用いて、特定のアミノ酸に対して栄養要求性株を用いて、一般的な20のアミノ酸の多くを構造的に近い相同物(例えば、フェニルアラニンに対するフルオロフェニルアラニン)に置換することができる。例えば、Noren, C.J., Anthony-Cahill, Griffith, M.C., Schultz, P.G. A general method for site-specific incorporation of unnatural amino acids into proteins, Science, 244: 182-188 (1989); M.W. Nowak, et al., Science 268:439-42 (1995); Bain, J.D., Glabe, C.G., Dix, T.A., Chamberlin, A.R., Diala, E.S. Biosynthetic site-specific Incorporation of a non-natural amino acid into a polypeptide, J. Am Chem Soc, 111:8013-8014 (1989); N. Budisa et al., FASEB J. 13:41-51 (1999); Ellman, J.A., Mendel, D., Anthony-Cahill, S., Noren, C.J., Schultz, P.G. Biosynthetic method for introducing unnatural amino acids site-specifically into proteins, Methods in Enz., vol. 202, 301-336 (1992); and, Mendel, D., Cornish, V.W. & Schultz, P.G. Site-Directed Mutagenesis with an Expanded Genetic Code, Annu Rev Biophys. Biomol Struct. 24, 435-62 (1995)を参照すればよい。
例えば、UAGストップコドンを認識するサプレッサtRNAが、調製され、非天然アミノ酸と共に化学的にアミノアシル化された。従来の部位特異的変異生成が、タンパク質遺伝子における所定の部位に、ストップコドンTAGを導入するために使用された。例えば、Sayers, J.R., Schmidt, W. Eckstein, F. 5'-3' Exonucleases in phosphorothioate-based olignoucleotide-directed mutagensis, Nucleic Acids Res, 16(3):791-802 (1988)を参照すればよい。アミノアシル化サプレッサtRNAおよび変異体遺伝子が、インビトロの転写/翻訳系において組み合せられる場合に、特定の位置においてアミノ酸を含有するタンパク質を生じさせる、非天然アミノ酸がUAGコドンに応じて組み込まれた。[H]−Pheを用いた実験およびα−ヒドロキシ酸を用いた実験は、所望のアミノ酸のみがUAGコドンによって特定される位置に組み込まれ、このアミノ酸が、タンパク質における任意の他の部位に組み込まれないことを証明した。例えば、Noren, et al, supra; Kobayashi et al., (2003) Nature Structural Biology 10(6):425-432; and, Ellman, J.A., Mendel, D., Schultz, P.G. Site-specific incorporation of novel backbone structures into proteins, Science, 255(5041):197-200 (1992)を参照すればよい。
tRNAは、任意の方法または技術(これらに限定されないが、化学的または酵素的なアミノアシル化が挙げられる)よって所望のアミノ酸と共にアミノアシル化され得る。
アミノアシル化は、アミノアシルtRNAシンセターゼによってか、または他の酵素的分子(これに限定されないが、リボザイムが挙げられる)によって達成され得る。“リボザイム”という用語は、“触媒RNA”と交換可能である。Cechおよび共同研究者(Cech, 1987, Science, 236:1532-1539; McCorkle et al., 1987, Concepts Biochem. 64:221-226)は、触媒としての役割を果たす天然に存在するRNA(リボザイム)の存在を証明した。しかし、これらの天然RNA触媒は、切断およびスプライシングに関してリボ核酸基質に対してのみ役割を果たすことを示されているが、リボザイムの人工的発展の最近の成果は、種々の化学反応に対する触媒の能力範囲を拡張している。研究によって、それら自身の(2’)3’末端におけるアミノアシル−RNAを触媒することができるRNA分子(Illangakekare et al., 1995 Science 267:643-647)、および1つのRNA分子から他のRNA分子までアミノ酸を運ぶことができるRNA分子(Lohse et al., 1996, Nature 381:442-444)が同定されている。
参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書は、リボザイムの構築方法、ならびに天然にコードされるアミノ酸および非天然にコードされるアミノ酸を伴うtRNAのアミノアシル化における、それらの使用に関して記載している。tRNAをアミノアシル化できる酵素分子(これに限定されないが、リボザイムが挙げられる)の基材に固定化された形態は、アミノアシル化産物の効率的な親和性精製を可能にし得る。好適な基材の例としては、アガロースビーズ、セファロースビーズ、および磁性ビーズが挙げられる。アミノアシル化用の基材固定化形態の製造および利用について、参照によって本明細書に組み込まれる、Chemistry and Biology 2003, 10:1077-1084および米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されている。
化学的アミノアシル化法としては、これらに限定されないが、アミノアシル化においてシンセターゼの利用を避けるために、Hechtおよび共同研究者(Hecht, S. M. Acc. Chem. Res. 1992, 25, 545; Heckler, T. G.; Roesser, J. R.; Xu, C.; Chang, P.; Hecht, S. M. Biochemistry 1988, 27, 7254; Hecht, S. M.; Alford, B. L.; Kuroda, Y.; Kitano, S. J. Biol. Chem. 1978, 253, 4517)によって、Schultz, Chamberlin, Dougherty and others (Cornish, V. W.; Mendel, D.; Schultz, P. G. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1995, 34, 621; Robertson, S. A.; Ellman, J. A.; Schultz, P. G. J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 2722; Noren, C. J.; Anthony-Cahill, S. J.; Griffith, M. C.; Schultz, P. G. Science 1989, 244, 182; Bain, J. D.; Glabe, C. G.; Dix, T. A.; Chamberlin, A. R. J. Am. Chem. Soc. 1989, 111, 8013; Bain, J. D. et al. Nature 1992, 356, 537; Gallivan, J. P.; Lester, H. A.; Dougherty, D. A. Chem. Biol. 1997, 4, 740; Turcatti, et al. J. Biol. Chem. 1996, 271, 19991; Nowak, M. W. et al. Science, 1995, 268, 439; Saks, M. E. et al. J. Biol. Chem. 1996, 271, 23169; Hohsaka, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 34)によって紹介された方法が挙げられる。当該方法または他の化学的アミノアシル化方法が、tRNA分子をアミノアシル化するために使用され得る。
触媒RNAを生成する方法は、無作為化されたリボザイム配列の別々のプールを生成すること、定方向の進化を実施すること、所望のアミノアシル化活性に関してプールをスクリーニングすること、および所望のアミノアシル化活性を示すこれらのリボザイムの配列を選択することを含み得る。
リボザイムは、アシル化活性を容易にするモチーフおよび/または領域(例えば、GGUモチーフおよびUが豊富な領域)を備えることができる。例えば、Uが豊富な領域がアミノ酸基質の認識を容易にできること、およびGGUモチーフがtRNAの3’末端と塩基対を形成できることは、報告されている。組み合せて、GGUモチーフおよびUが豊富な領域は、アミノ酸およびtRNAの両方の同時認識を容易にし、同時にこれによって、tRNAの3’末端のアミノアシル化を容易にする。
リボザイムは、tRNAAsn CCCGと接合され、部分的に無作為化されたr24miniを用いたインビトロにおける選択に続いて、活性なクローンに見出されるコンセンサス配列の体系的な改変によって生成され得る。この方法によって得られる例示的なリボザイムは、“Fx3 リボザイム”と呼ばれ、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0228593号明細書に記載されており、同種の非天然アミノ酸と共に荷電される、種々のアミノアシルtRNAの合成にとっての多方面な触媒としての機能を果たす。
基板上に対する固定化は、tRNAの効率的な親和性精製を可能にするために使用され得る。好適な基盤の例としては、アガロース、セファロース、および磁性ビーズが挙げられる。リボザイムは、RNAのリボソーム上における3’シス−ジオールが対応するジアルデヒドを産生するために過ヨウ素酸塩を用いて酸化されて、樹脂上のRNAの固定化を容易にし得るように、RNAの化学構造を利用することによって樹脂上に固定され得る。多様な種類の樹脂(安価なヒドラジド樹脂が挙げられる)が、使用され得、ここで、還元的なアミノ化が、還元的アミン化が樹脂とリボザイムとの間における相互作用を不可逆的な結合にさせる。アミノアシルtRNAは、このカラム上(on-column)の技術によって非常に容易にされ得る。Kourouklis et al. Methods 2005; 36:239-4には、カラムに基づいたアミノアシル化系について記載されている。
アミノアシル化tRNAの単離は、種々の方によって達成され得る。1つの好適な方法は、緩衝液(例えば、10mMのEDTAを有する酢酸ナトリウム、50mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)、12.5mMのKCl、pH7.0、10mMEDTAを含有する緩衝液、または単にEDTA緩衝化水(pH7.0))を用いてカラムからアミノアシル化tRNAを溶出することである。
アミノアシル化tRNAは、tRNAが翻訳反応によって作製されるポリペプチドにおける最適な位置においてアミノアシル化されるアミノ酸を組み込むために、翻訳反応に加えられ得る。本発明のアミノアシル化tRNAが使用され得る翻訳系の例としては、これに限定されないが、細胞溶解液が挙げられる。細胞溶解液は、投入するmRNAから得られるポリペプチドのインビボ翻訳に必要な反応成分を提供する。当該反応成分の例としては、これらに限定されないが、rRNA、アミノ酸、tRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子および延長因子、ならびに翻訳に関連する付加的な因子が挙げられる。付加的に、翻訳系は、処理単位(batch)翻訳または区画化翻訳であり得る。処理単位翻訳の系は、単一の区画において反応成分を組み合せる一方において、区画化翻訳の系は、翻訳効率を抑制し得る反応産物から翻訳反応成分を分ける。当該翻訳系は、市販されている。
さらに、複合された転写/翻訳系が、使用され得る。複合された転写/翻訳系は、反応成分によって次々に翻訳される対応するmRNAへの、投入するDNAの転写の両方を可能にする。市販の複合された転写/翻訳の例は、ラピッドトランスレーションシステム(Rapid Translation System)(RTS、Rche(ロシュ))である。系としては、リボソームおよび翻訳因子といった翻訳の成分を供給するE. coilの溶菌液を含有する混合物が挙げられる。付加的に、RNAポリメラーゼは、翻訳において使用するmRNA鋳型への、挿入するDNAの転写に含められる。RTSは、反応区画(供給/排泄区画および転写/翻訳区画が挙げられる)の間に挿入される膜を用いて反応成分の区画化を使用できる。
tRNAのアミノアシル化は、他の物質(これらに限定されないが、トランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、触媒抗体、および多機能タンパク質などが挙げられる)によって実施され得る。
Stephan in Scientist 2005 Oct 10; pages 30-33 には、タンパク質に非天然にコードされるアミノ酸を組み込む方法について記載されている。Lu et al. in Mol Cell. 2001 Oct;8(4):759-69には、タンパク質が、非天然アミノ酸を含有する合成ペプチドに対して化学的に連結される方法(タンパク質連結と言われる)について記載されている。
また、微量注入技術は、タンパク質への非天然アミノ酸の組み込みに使用されている。例えば、M. W. Nowak, P. C. Kearney, J. R. Sampson, M. E. Saks, C. G. Labarca, S. K. Silverman, W. G. Zhong, J. Thorson, J. N. Abelson, N. Davidson, P. G. Schultz, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Science, 268:439 (1995) ;およびD. A. Dougherty, Curr. Opin. Chem. Biol., 4:645 (2000) を参照すればよい。アフリカツメガエルの卵母細胞は、インビトロにおいて作製された2つのRNA種:所定のアミノ酸位置にUAGストップコドンを有する標的タンパク質をコードするmRNA、および所望の非天然アミノ酸と共にアミノアシル化されたアンバーサプレッサtRNAを用いて共注入された。それから、卵母細胞の翻訳機構は、UAGによって特定される位置に非天然アミノ酸を挿入する。この方法は、一般的にインビトロの系に受け容れられない、内在性膜タンパク質(integral membrane protein)の構造−機能研究を可能にしている。例としては、蛍光共鳴エネルギー転移によって距離を測定するための、タキキニン ニューロキニン−2受容体への蛍光アミノ酸の組み込み(例えば、G. Turcatti, K. Nemeth, M. D. Edgerton, U. Meseth, F. Talabot, M. Peitsch, J. Knowles, H. Vogel and A. Chollet, J. Biol. Chem., 271:19991 (1996) を参照すればよい);イオンチャネルにおける表面露出残基を同定するための、ビオチン化アミノ酸の使用(例えば、J. P. Gallivan, H. A. Lester and D. A. Dougherty, Chem. Biol., 4:739 (1997) を参照すればよい);実時間におけるイオンチャネルの立体配置の変化を観察するための、閉じ込めたチロシン類似物の使用(例えば、J. C. Miller, S. K. Silverman, P. M. England, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Neuron, 20:619 (1998) を参照すればよい);およびそれらのゲート機構を調べるためにイオンチャネル骨格を変更するための、αヒドロキシアミノ酸の使用が挙げられる。例えば、P. M. England, Y. Zhang, D. A. Dougherty and H. A. Lester, Cell, 96:89 (1999) ;およびT. Lu, A. Y. Ting, J. Mainland, L. Y. Jan, P. G. Schultz and J. Yang, Nat. Neurosci., 4:239 (2001)を参照すればよい。
インビボにおいてタンパク質に非天然アミノ酸を組み込む能力は、広範な利点(これらに限定されないが、変異タンパク質の高い収率、技術的な容易さ、細胞またはおそらくは生体における変異タンパク質を研究する見込み、ならびに治療的な処置および診断的な利用におけるこれらのタンパク質の利用が挙げられる)を提供する。種々の大きさ、酸性度、求核性、疎水性および他の特性を有する非天然アミノ酸をタンパク質に含める能力は、タンパク質の機能を調べること、および新規の性質を有する新たなタンパク質もしくは生体を作り出すことの両方を目的として、タンパク質の構造を合理的かつ体系的に操作するわれわれの能力を非常に拡張できる。
パラ−F−Pheを部位特異的に組み込むための1つの試みにおいて、酵母アンバーサプレッサtRNAPheCUA/フェニルアラニル−tRNA対は、p−F−Phe耐性の、Phe要求性のエシェリキア コリ株において使用された。例えば、R. Furter, Protein Sci., 7:419 (1998) を参照すればよい。
また、無細胞(インビトロ)翻訳系を用いて、本発明のIFNβポリペプチドの発現を得ることは、可能であり得る。翻訳系は、細胞性および無細胞であり得、原核生物および真核生物であり得る。細胞性翻訳系としては、これに限定されないが、所望の核酸配列が、mRNAに転写され得、mRNAが翻訳され得る透過処理された細胞および培養細胞といった、全細胞調製物が挙げられる。無細胞翻訳系は、市販されており、多くの異なる種類および系がよく知られている。無細胞翻訳系の例としては、これらに限定されないが、エシェリキア コリの溶菌液といった原核生物溶菌液、ならびに大麦抽出物、昆虫細胞溶解液、ウサギの網赤血球溶解液、ウサギの卵母細胞溶解液およびヒト細胞溶解液といった真核生物溶解液が挙げられる。真核細胞の抽出物または溶解液は、結果タンパク質が糖鎖付加されるか、リン酸化されるか、またはそれとは別に修飾される場合に、当該修飾が真核生物の系においてのみ可能であるため、好ましくあり得る。これらの抽出物および溶解液のいくつかは、市販されている(プロメガ(Promega)、マディソン(Madison)、Wis.;ストラタジーン、ラ ジョラ(La Jolla)、 Calif.;アマシャム(Amersham)、アーリントン ハイト(Arlington Heights)、Ill.;ギブコ(GIBCO)/BRL、グランド アイランド(Grand Island)、N.Y)。また、ミクロソーム膜を含有するイヌの膵臓抽出物といった膜性抽出物は、分泌型タンパク質の翻訳にとって有用に、利用可能である。鋳型としてmRNA(インビトロ翻訳)または鋳型としてDNA(インビトロ転写および翻訳を組み合せた)のいずれかを含み得るこれらの系において、インビトロ合成は、リボソームによって指揮される。相当な努力が、無細胞タンパク質発現系の発展に対して注がれている。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 74 :309-316 (2001);Kim, D.M. and J.R. Swartz, Biotechnology Letters, 22, 1537-1542, (2000);Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology Progress, 16, 385-390, (2000);Kim, D.M., and J.R. Swartz, Biotechnology and Bioengineering, 66, 180-188, (1999);およびPatnaik, R. and J.R. Swartz, Biotechniques 24, 862-868, (1998);米国特許第6,337,191号明細書;米国特許出願公開第2002/0081660号明細書;国際公開第00/55353号パンフレット国際公開第90/05785号パンフレットを参照すればよい。非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドの発現に適用され得る他の方法としては、mRNA−ペプチド融合技術が挙げられる。例えば、R. Roberts and J. Szostak, Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 94:12297-12302 (1997) ;A. Frankel, et al., Chemistry & Biology 10:1043-1050 (2003) を参照すればよい。この方法において、ピューロマイシンに対して連結されたmRNAの鋳型は、リボソーム上において翻訳される。1つ以上のtRNA分子が修飾されると、非天然アミノ酸が、同様にペプチドに組み込まれ得る。最後のmRNAコドンが読まれた後に、ピューロマイシンは、ペプチドのC末端を捕捉する。結果のmRNA−ペプチド接合物は、インビトロアッセイにおいて興味深い性質を有することを見出されている場合に、その同一性は、mRNA配列から容易に明らかにされ得る。この方法において、所望の性質を有するポリペプチドを同定するために、非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上備えるIFNβポリペプチドのライブラリをスクリーニングし得る。より最近に、精製成分を用いたインビトロリボソーム翻訳は、非天然にコードされるアミノ酸に置換されたペプチドの合成を可能にすることを、報告されている。例えば、A. Forster et al., Proc. Natl Acad. Sci. (USA) 100:6353 (2003)を参照すればよい。
また、再生翻訳系が使用され得る。また、精製翻訳因子の混合物だけでなく、溶解液の組合せ、または開始因子−1(IF−1)、IF−2、IF−3(αまたはβ)、伸張因子 T(EF−Tu)、もしくは終結因子といった精製翻訳因子を補った溶解液が、mRNAをタンパク質に翻訳するために上手く使用されている。また、無細胞系は、転写/翻訳系と組合せら得る(ここで、言及によって本明細書によって特に組み込まれる、Current Protocols in Molecular Biology (F. M. Ausubel et al. editors, Wiley Interscience, 1993) に記載されているように、DNAが系に導入され、mRNAに転写され、mRNAが翻訳される)。真核生物転写系において転写されるRNAは、ある特定の翻訳系において有利であり得る、異核RNA(hnRNA)の形態であり得るか、または5’末端キャップ(7−メチルグアノシン)および3’末端ポリAを尾部につないだRNAの形態であり得る。例えば、キャップつきのmRNAは、網赤血球溶解液の系において高い効率を有して翻訳される。
<XI.IFNβポリペプチドに連結される巨大分子ポリマー>
本明細書に記載されている非天然アミノ酸ポリペプチドの種々の修飾は、本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略を用いてもたらされ得る。これらの修飾は、ポリペプチドに対する非天然アミノ酸に対するさらなる機能性(これらに限定されないが、標識;色素;ポリマー;水溶性ポリマー;ポリエチレングリコールの誘導体;光架橋剤;放射性核種;細胞毒性化合物;薬物;親和性標識;光親和性標識;反応性化合物;樹脂;第2のタンパク質もしくはポリペプチドもしくはポリペプチド類似物;抗体もしくは抗体断片;金属キレート剤;補足因子;脂肪酸;含水炭素;ポリヌクレオチド;DNA;RNA;アンチセンスポリヌクレオチド;糖鎖;水溶性デンドリマー;シクロデキストリン;抑制性リボ核酸;生体適合物質;ナノ粒子;スピン標識;蛍光団;金属含有部分;放射性部分;新規な官能基;他の分子と共有的にかもしくは非共有的に相互作用する基;光ケージド部分;化学線励起部分;光異性体化可能な部分;ビオチン;ビオチン類似物;ビオチン類似物;重元素を組み込む部分;化学的に切断可能な基;光切断可能な基;延長された側鎖;炭素結合型の糖;酸化還元的に活性な物質;アミノチオ酸;毒性部分;同位体的標識部分;生物物理学的なプローブ;リン光基;化学発光基;電子高密度基;磁性基;挿入基;発色団;エネルギー転移物質;生物学的に活性な物質;検出可能な標識;小分子;量子ドット;ナノ伝達物質;放射性ヌクレオチド;中性子捕獲物質;または上述のものの任意の組合せ、もしくは他に所望される任意の化合物もしくは物質が挙げられる)の組み込みを含む。本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略の具体的な、非限定的な例として、以下の記載は、それらに関して本明細書に記載されている組成物、方法、技術および戦略が、他の機能性(これらに限定されないが、上記に挙げたそれらが挙げられる)を加えることにも適用可能である(必要に応じて、当業者が本明細書における開示を用いてなし得る適切な改変を伴って)という理解を含めて、非天然アミノ酸ポリペプチドに対する巨大分子を加えることを中心に扱う。
広範な巨大分子ポリマーおよび他の分子は、IFNβポリペプチドの生物学的な性質を調節するためか、および/またはIFNβ分子に対して新たな生物学的な性質を与えるために、本発明のIFNβポリペプチドに対して連結され得る。これらの巨大分子ポリマーは、天然にコードされるアミノ酸を介してか、非天然にコードされるアミノ酸、または天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸の任意の置換基、または天然アミノ酸もしくは非天然アミノ酸に対して加えられる任意の置換基もしくは官能基を介して、IFNβポリペプチドに対して連結され得る。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間の広い範囲(限定されないが、これらが挙げられる)であり得る。ポリマーの分子量は、約100Daから約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da,5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマーの分子量は、約10,000Daから約40,000Daの間である。
本発明は、ポリマー:タンパク質の接合物の実質的に均質な調整物を提供する。本明細書において使用されるときに、“実質的に均質な”は、ポリマー:ポリペプチドの接合物がタンパク質の総量の半分より多く観察されることを意味する。ポリマー:タンパク質の接合物は、生物活性を有し、本明細書において規定される“実質的に同質な”PEG付加IFNβポリペプチド調整物は、均質な調整物の利点(例えば、1組の薬物動態に対する1組の予想における臨床的な適用における容易さ)を示すために十分に均質であるそれらである。
また、ポリマー:タンパク質の接合物分子の混合物を調製するために選択し得、本明細書に規定されている利点は、混合物に含まれるモノ−ポリマー:タンパク質の接合物の比率を選択し得ることである。したがって、必要に応じて、種々の数(すなわち、ジ−、トリ−、テトラ−など)のポリマー部分に連結した状態の様々なタンパク質の混合物を調製し得、本発明の方法を用いて調製されたモノ−ポリマー:タンパク質の接合物と上記接合物を組み合せ得、所定の割合のモノ−ポリマー:タンパク質の接合物を有する混合物を有し得る。
選択されるポリマーは、ポリマーが連結されるタンパク質が水性環境(例えば、生理学的環境)において沈殿しないように、水溶性ポリマーであり得る。ポリマーは、分枝状であり得るか、または非分枝状であり得る。最終産物の調製物の治療的利用に関して、ポリマーは薬学的に受容可能である。
ポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリエーテルおよびアルコキシキャップしたこれらの類似物(例えば、ポリオキシエチレン グリコール、ポリオキシエチレン/プロピレン グリコール、およびメトキシもしくはエトキシキャップしたこれらの類似物、特にポリオキシエチレン グリコール、また後者は、ポリエチレングリコールまたはPEGとして知られる);ポリビニルピロリドン;ポリビニルアルキル エーテル;ポリオキサゾリン、ポリアルキル オキサゾリンおよびポリヒドロキシアルキル オキサゾリン;ポリアクリルアミド、ポリアルキル アクリルアミド、およびポリヒドロキシアルキル アクリルアミド(例えば、ポリヒドロキシアルキルメタクリルアミドおよびこれらの誘導体);疎水性ペプチド配列;多糖およびこれらの誘導体(これらに限定されないが、デキストランおよびデキストラン誘導体(例えば、カルボキシメチルデキストラン、硫酸デキストラン、アミノデキストラン)が挙げられる);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチル セルロース、ヒドロキシアルキル セルロース);キチンおよびその誘導体(例えば、キトサン、スクシニル キトサン、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサン);ヒアルロン酸およびその誘導体;スターチ;アルギン酸塩;硫酸コンドロイチン;アルブミン;プルランおよびカルボキシメチル プルラン;ポリアミノ酸およびこれらの誘導体(例えば、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリアスパルトアミド);マレイン酸無水物共ポリマー(例えば、スチレン マレイン酸無水物共ポリマー、ジビニルエチルエーテル マレイン酸無水物共ポリマー);ポリビニル アルコール;これらのコポリマー;これらの三元ポリマー;これらの混合物;ならびに上述の誘導体が挙げられる。
タンパク質分子に対するポリエチレングリコールの比率は、反応混合物におけるそれらの濃度のように、変化する。一般的に、最適な比率(余剰の未反応のタンパク質またはポリマーが最小である反応の効率に関する)は、選択されるポリエチレングリコールの分子量によって、有用な反応性基の利用可能な数に基づいて決定され得る。分子量に関連するときに、タンパク質に対して連結されるのは、典型的により分子量の高いポリマー、より少ない数のポリマー分子である。同様に、ポリマーの分枝は、これらの要素を最適化する場合に、計算に入れられるべきである。一般的に、分子量が高いほど(分枝が多いほど)、ポリマー:タンパク質の割合が高くなる。
本明細書において使用されるとき、およびPEG:IFNβポリペプチドの接合物について検討される場合に、“治療有効量”は、患者に対して所望の利益を与える量を指す。当該量は、個体間において変わり、要素(これらに限定されないが、患者の全体的な体調および処置されるべき健康状態の根本的な原因が挙げられる)の数に依存する。IFNβポリペプチドの治療に使用する量は、受容可能な変化の割合を示し、有益な水準において所望の応答を維持する。本組成物の治療有効量は、公然に利用可能な材料および手法を用いて当業者によって容易に確かめられ得る。
水溶性ポリマーは、任意の構造的な形態(これらに限定されないが、直鎖、分岐鎖または分枝鎖が挙げられる)であり得る。水溶性ポリマーは、典型的にポリ(エチレングリコール)(PEG)といったポリ(アルキレングリコール)であるが、他の水溶性ポリマーもまた採用され得る。ほんの一例として、PEGは、本発明のある特定の実施形態を説明するために使用される。
PEGは、市販されているか、または当業者に公知の方法(Sandler and Karo, Polymer Synthesis, Academic Press, New York, Vol. 3, pages 138-161)にしたがって、エチレングリコールの開環重合によって調製され得る、よく知られている水溶性ポリマーである。“PEG”という用語は、PEGの大きさまたは末端における修飾に関係なく、任意のポリエチレングリコール分子を包含するために広く使用され、IFNβポリペプチドに対して連結されるときに、式:
XO−(CHCHO)−CHCH−Y
(ここで、nは2から10,000であり、Xは、Hまたは末端修飾(これらに限定されないが、C1−4アルキル、保護基、または末端官能基が挙げられる)である)
によって表され得る。
いくつかの場合において、本発明において使用されるPEGは、ヒドロキシまたはメトキシを有する末端において終結する(すなわち、XはHかCHである(“メトキシPEG”))。代替可能に、PEGは、これによって二官能性ポリマーを形成する、反応性基を有して終結できる。典型的な反応性基は、通常に見られる20のアミノ酸における官能基と反応するために通常に使用されるこれらの反応性基(これらに限定されないが、マレイミド基、活性化カルボン酸塩(これに限定されないが、p−ニトロフェニルエステルが挙げられる)、活性化エステル(これらに限定されないが、N−ヒドロキシスクシニミド、p−ニトロフェニルエステルが挙げられる)、およびアルデヒドが挙げられる)だけでなく、一般的な20のアミノ酸に対して不活性であるが、非天然にコードされるアミノ酸に存在する補完的な官能基と特に反応する官能基(これらに限定されないが、アジド基、アルキン基が挙げられる)を含むことができる。ここで留意すべきは、上記式においてYによって示されているPEGの他の末端が、天然に存在するアミノ酸または非天然にコードされるアミノ酸を介してIFNβポリペプチドに対して直接にかまたは間接的に連結していることである。実際に、Yは、ポリペプチドのアミン基(これらに限定されないが、リジンまたはN末端のイプシロンアミンが挙げられる)に対する、アミド結合、カルバメート結合または尿素結合であり得る。代替可能に、Yは、チオール基(これに限定されないが、システインのチオール基が挙げられる)に対するマレイミド結合であり得る。代替可能に、Yは、一般的な20のアミノ酸を介して通常には接近できない残基に対する結合であり得る。例えば、PEGにおけるアジド基は、IFNβポリペプチドのけるアルキン基と反応して、ヒュイゲン[3+2]環付加産物を形成し得る。代替可能に、PEGにおけるアルキン基は、非天然にコードされるアミノ酸に存在するアジド基と反応して、同様の産物を形成し得る。いくつかの実施形態において、強い求核基(これらに限定されないが、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシアミン、セミカルバジドが挙げられる)は、非天然にコードされるアミノ酸に存在するアルデヒド基またはケトン基と反応して、必要に応じていくつかの場合において適切な還元剤を用いた処理によってさらに還元される、ヒドラゾン、オキシムまたはセミカルバゾンを形成し得る。代替可能に、強い求核基は、非天然にコードされるアミノ酸を介してIFNβポリペプチドに組み込まれ得、水溶性ポリマーに存在するケトン基またはアルデヒド基と好適に反応するために使用され得る。
PEGに関する任意の分子量が、実際に所望されるように、約100ダルトン(Da)から100,000Daまたは必要に応じてそれ以上(これらに限定されないが、0.1−50kDaまたは10−40kDaが挙げられる)まで(これらが挙げられるが、限定されない)、使用され得る。PEGの分子量は、広範(これらに限定されないが、約100Daから約100,000Daの間が挙げられる)であり得る。PEGは、約100Daから約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、PEGは、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGは、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGは、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGは、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGは、約10,000Daから約40,000Daの間である。また、分枝鎖のPEG(これに限定されないが、1−100kDa(これらに限定されないが、1−50kDaまたは5−20kDaが挙げられる)の範囲の分子量を有する鎖のそれぞれを有するPEG分子が挙げられる)が、使用され得る。分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Daから約100,000Daまたはそれ以上の間(これらが挙げられるが、限定されない)であり得る。分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Daから約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、および1,000Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、分枝鎖のPEGの鎖のそれぞれの分子量は、約5,000Daから約20,000Daの間である。広範なPEGが、参照によって本明細書に組み込まれる、Shearwater Polymers, Inc. catalog, Nektar Therapeutics catalog(これが挙げられるが、限定されない)に記載されている。
一般的に、PEGの少なくとも1つの末端は、非天然にコードされるアミノ酸との反応に利用可能である。例えば、アミノ酸側鎖との反応にとってのアルキン部分およびアジド部分は、本明細書に記載されるような非天然にコードされるアミノ酸に対してPEGを連結させるために使用され得る。非天然にコードされるアミノ酸がアジドを備える場合に、そのときPEGは、ヒュイゲン[3+2]環付加産物の形成をもたらすためのアルキン部分、またはアミド結合の形成をもたらすための活性化PEG種(すなわち、エステル、カルボン酸塩)のいずれかを典型的に含有する。代替可能に、非天然にコードされるアミノ酸がアルキンを備える場合に、そのときPEGは、[3+2]ヒュイゲン環付加産物の形成をもたらすためのアジド部分を典型的に含有する。非天然にコードされるアミノ酸がカルボニル基を備える場合に、PEGは、対応するヒドラゾン、ヒドロキシアミン、またはセミカルバゾン結合のそれぞれをもたらすために、強力な求核基(これらに限定されないが、ヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシアミン、またはセミカルバジド基能性基が挙げられる)を典型的に備える。他の代替物において、上記において説明される反応性基の逆の方向性が、使用され得る(すなわち、非天然にコードされるアミノ酸におけるアジド基が、アルキンを含有するPEG誘導体と反応され得る)。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体を有するIFNβポリペプチドバリアントは、非天然にコードされるアミノ酸の側鎖に存在する化学的な官能性基と反応性である、化学的な官能性基を含有する。
本発明は、いくつかの実施形態において、約800Daから約100,000Daまでの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格を備える、アジド含有ポリマーおよびアセチレン含有ポリマーを提供する。水溶性ポリマーのポリマー骨格は、ポリ(エチレングリコール)であり得る。しかし、広範な水溶性ポリマー(これらに限定されないが、ポリ(エチレン)グリコールおよび他の関連するポリマー(ポリ(デキストラン)およびポリ(プロピレングリコール))が挙げられる)がまた、本発明の実践における使用に好適であること、PEGまたはポリ(エチレングリコール)という用語が、そのような分子のすべてを包含しかつ含むことを意図されることは、理解されるべきである。PEGという用語としては、これに限定されないが、その形態のいずれか(これらに限定されないが、二官能性のPEG、多腕のPEG、誘導体化PEG、分岐状のPEG、分枝状のPEG、ぶら下がりのPEG(すなわち、ポリマー骨格に対してぶら下がっている1つ以上の官能基を有するPEGまたは関連ポリマー)、またはこれらに分解可能な結合を有するPEGが挙げられる)であるポリ(エチレングリコール)が挙げられる。
PEGは、典型的に、透明であり、無色であり、無臭であり、水溶性であり、熱に安定であり、多くの化学物質に対して不活性であり、加水分解されないかまたは劣化されず、一般的に無毒である。ポリ(エチレングリコール)は、生体適合性である(PEGが、損傷の原因になることなく、生きている組織または生体と共存可能であることを意味する)と見做される。より詳細には、PEGは、実質的に非免疫原性である(PEGが身体に免疫応答を生じさせる傾向を示さないことを意味する)。身体においていくつかの所望の機能を有する分子(例えば、生物学的に活性な分子)に対して連結される場合に、PEGは、物質をマスクする傾向にあり、生体が物質の存在に寛容であり得るように任意の免疫応答を低減可能か、または除去できる。PEG接合物は、実質的な免疫応答を生じないか、または凝固もしくは他の好ましくない影響の原因にならない傾向を示す。式−−CHCHO−−(CHCHO)−−CHCH−−(ここでnは約3から4000、典型的に約20から約2000である)を有するPEGは、本発明における使用に好適である。約800Daから約100,000Daまでの分子量を有するPEGは、本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー骨格として特に有用である。PEGの分子量は、広範(これに限定されないが、約100Daから約100,000Daまたはそれ以上の間が挙げられる)であり得る。PEGの分子量は、約100Daから約100,000Daの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、PEGの分子量は、約10,000Daから約40,000Daの間である。
ポリマー骨格は、直鎖状または分枝状であり得る。分枝状のポリマー骨格は、一般的に当該技術において公知である。典型的に、分枝状のポリマーは、中心の分枝核部分および中心の分枝核に対して連結された複数の直鎖状のポリマー鎖を有する。PEGは、種々のポリオール(例えば、グリセロール、グリセロールオリゴマー、ペンタエリスリトールおよびソルビトール)に対するエチレンオキシドの付加によって調製され得る、分枝状の形態において通常に使用される。また、中心の分枝核部分は、リジンといった種々のアミノ酸から誘導体化され得る。分枝状のポリ(エチレングリコール)は、R(−PEG−OH)(Rは、グリセロール、グリセロールオリゴマー、またはペンタエリスリトールといった核部分から誘導体化され、mは腕の数を表す)として通常の形態において表され得る。また、多腕のPEG分子(例えば、言及によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;米国特許第5,229,490号明細書;米国特許第4,289,872号明細書;米国特許出願公開第2003/0143596号明細書;国際公開第96/21469号パンフレット;および国際公開第93/21259に号パンフレットに記載されるようなそれら)は、ポリマー骨格として使用され得る。
また、分枝状のPEGは、PEG(−−YCHZ(ここで、Yは結合基であり、Zは所定の長さの原子の鎖によってCHに対して連結される活性化末端基である)によって表される分岐状のPEGの形態であり得る。
まださらなる分枝状の形態、ぶら下がりのPEGは、PEG鎖の末端ではなくPEG骨格に沿ってある、カルボキシルといった反応性基を有する。
またPEGのこれらの形態に加えて、ポリマーは、骨格において弱い結合または分解可能な結合を有して、調製され得る。例えば、PEGは、ポリマー骨格に加水分解を受けやすいエステル結合を有して調製され得る。以下に示すように:
−PEG−CO−PEG−+HO → PEG−COH+HO−PEG−
この加水分解は、ポリマーのより低い分子量の断片への切断を結果として生じる。ポリ(エチレングリコール)またはPEGという用語が、当該技術において公知の形態のすべて(これらに限定されないが、本明細書に開示されるそれらが挙げられる)を表すか、または含むことは、当業者によって理解される。
また、他のポリマーは、本発明における使用にとって好適である。いくつかの実施形態において、水溶性ポリマーであり、2から約300の末端を有するポリマー骨格は、本発明において特に有用である。好適なポリマーの例としては、これらに限定されないが、ポリ(プロピレングリコール)(“PPG”)、これらの共ポリマー(これに限定されないが、エチレングリコールおよびプロピレングリコールの共ポリマーが挙げられる)、これらの三元ポリマー、およびこれらの混合物などといった、他のポリ(アルキレングリコール)が挙げられる。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、変えることができるが、典型的に約800Daから約100,000Daまで、しばしば約6,000Daから約80,000Daまでの範囲である。ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約800Daから約100,000Daまでの間(これらに限定されないが、100,000Da、95,000Da、90,000Da、85,000Da、80,000Da、75,000Da、70,000Da、65,000Da、60,000Da、55,000Da、50,000Da、45,000Da、40,000Da、35,000Da、30,000Da、25,000Da、20,000Da、15,000Da、10,000Da、9,000Da、8,000Da、7,000Da、6,000Da、5,000Da、4,000Da、3,000Da、2,000Da、1,000Da、900Da、800Da、700Da、600Da、500Da、400Da、300Da、200Da、および100Daが挙げられる)であり得る。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約100Daから約50,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約100Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約1,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約5,000Daから約40,000Daの間である。いくつかの実施形態において、ポリマー骨格のそれぞれの鎖の分子量は、約10,000Daから約40,000Daの間である。
当業者は、水溶性ポリマーに関して上記に挙げたものが、決して網羅的なものではなく、単に例示であること、および上述のような品質を有するポリマー材料のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
本発明のいくつかの実施形態において、ポリマー誘導体は、ポリマー骨格が、官能基を用いて官能性化されたか、または活性化された少なくとも2つの末端、おそらく約300もの末端を有することを意味する、“多官能性”である。多官能性ポリマー誘導体としては、これに限定されないが、2つの末端(末端のそれぞれが、同じであり得るか、または異なり得る官能基に対して結合されている)を有する直鎖状のポリマーが挙げられる。
1つの実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−POLY−B−N=N=N
(ここで、
N=N=Nはアジド部分であり;
Bは、存在し得るかまたは存在し得ない連結部分であり;
POLYは、水溶性の非抗原性のポリマーであり;
Aは、存在し得るかまたは存在し得ず、Bと同じであり得るか、または異なり得る連結部分であり;かつ
Xは第2の官能基である)
を有する。
AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、18まで含有する多重官能性化アルキル基を含み、1−10の間の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素または硫黄といった異種原子は、アルキル鎖に含まれ得る。また、アルキル鎖は、異種原子において枝分かれされ得る。AおよびBに関する結合部分の他の例は、これに限定されないが、10まで含有する多重官能性化アリール基を含み、5−6の間の炭素原子を含有し得る。アリール基は、1つ以上の炭素原子、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を用いて置換され得る。好適な連結基の他の例としては、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書;米国特許第5,643,575号明細書;および米国特許出願公開第2003/0143596号明細書に記載されているこれらの連結基が挙げられる。当業者は、連結部分に関して上記に挙げたものが、決して網羅的ではなく、単に例示であること、および上述の品質を有する結合部分のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
Xとしての使用に好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステル)、活性化カルボネート(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカルボネート)、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、トレシレート、アルケン、ケトンおよびアジドなどが挙げられる。当業者によって理解されるように、選択されるX部分は、アジド基との反応が生じないように、アジド基とコンパティブル(compatible)であるべきである。アジド含有ポリマー誘導体は、第2の官能基(すなわち、X)がまた、アジド部分であることを意味する同種二官能性であり得るか、または第2の官能基が異なる官能基であることを意味する異種二官能性であり得る。
“保護された”という用語は、特定の反応条件下における化学的に反応性の官能基の反応を妨げる保護基または保護部分の存在を指す。保護基は、保護される化学的に反応性の基の種類に依存して変わる。例えば、化学的に反応性の基がアミンまたはヒドラジドである場合に、保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)の群から選択され得る。化学的に反応性の基がチオールである場合に、保護基は、オルトピリジルジスルフィドであり得る。化学的に反応性の基がカルボキシル酸(例えば、ブタン酸またはプロピオン酸)またはヒドロキシル基である場合に、保護基は、ベンジル基またはメチル、エチルもしくはtert−ブチルといったアルキル基であり得る。また、当該技術において公知の他の保護基は、本発明に使用され得る。
文献における特定の末端官能基の例としては、これらに限定されないが、N−スクシニミジルカルボネート(例えば、米国特許第5,281,698号明細書、米国特許第5,468,478号明細書を参照すればよい)、アミン(例えば、Buckmann et al. Makromol. Chem. 182:1379 (1981), Zalipsky et al. Eur. Polym. J. 19:1177 (1983)を参照すればよい)、ヒドラジド(例えば、Andresz et al. Makromol. Chem. 179:301 (1978) を参照すればよい)、スクシニミジルプロピオネートおよびスクシニミジルブタノエート(例えば、Olson et al. in Poly(ethylene glycol) Chemistry & Biological Applications, pp 170-181, Harris & Zalipsky Eds., ACS, Washington, D.C., 1997を参照すればよく;また、米国特許第5,672,662号明細書を参照すればよい)、スクシニミジルスクシネート(例えば、Abuchowski et al. Cancer Biochem. Biophys. 7:175 (1984)およびJoppich et al. Makromol. Chem. 180:1381 (1979)を参照すればよい)、スクシニミジルエステル(例えば、米国特許第4,670,417号明細書を参照すればよい)、ベンゾトリアゾールカルボネート(例えば、米国特許第5,650,234号明細書を参照すればよい)、グリシジルエステル(例えば、Pitha et al. Eur. J Biochem. 94:11 (1979)、Elling et al., Biotech. Appl. Biochem. 13:354 (1991)を参照すればよい)、オキシカルボニルイミダゾール(例えば、Beauchamp, et al., Anal. Biochem. 131:25 (1983), Tondelli et al. J. Controlled Release 1:251 (1985) を参照すればよい)、p−ニトロフェニルカルボネート(例えば、Veronese, et al., Appl. Biochem. Biotech., 11: 141 (1985);およびSartore et al., Appl. Biochem. Biotech., 27:45 (1991)を参照すればよい)、アルデヒド(例えば、Harris et al. J. Polym. Sci. Chem. Ed. 22:341 (1984) 、米国特許第5,824,784号明細書、米国特許第5,252,714号明細書を参照すればよい)、マレイミド(例えば、Goodson et al. Biotechnology (NY) 8:343 (1990) 、Romani et al. in Chemistry of Peptides and Proteins 2:29 (1984) を参照すればよい)、オルトピリジル−ジスルフィド(例えば、Woghiren, et al. Bioconj. Chem. 4:314(1993) を参照すればよい)、アクリロール(例えば、Sawhney et al., Macromolecules, 26:581 (1993) を参照すればよい)、ビニルスルホン(例えば、米国特許第5,900,461号明細書を参照すればよい)が挙げられる。上述の参考文献および特許文献のすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。
本発明のある特定の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−−(CHCHO)−−CHCH−N=N=N
(ここで、
Xは上述のような官能基であり;かつ
nは約20から約4000までである)
を有するポリマー骨格を備える。
他の実施形態において、本発明のポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−−(CHCHO)−−CHCH−O−(CH−W−N=N=N
(ここで、
Wは1−10の炭素原子を備える脂肪族または芳香族の連結部分であり;
nあは約20から約4000までであり;かつ
Xは上述のような官能基である)
を有するポリマー骨格を備える。mは1から10である。
本発明のアジド含有PEG誘導体は、当該技術において公知の種々の方法および/または本明細書に開示されている種々の方法によって調製され得る。以下に示されている1つの方法において、約800Daから約100,000Daまでの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格であり、第1の官能基に対して結合される第1の末端および好適な脱離基に対して結合される第2の末端を有するポリマー骨格は、アジドアニオン(好適な対イオン(ナトリウム、カリウム、およびtertブチルアンモニウムなどが挙げられる)と一対にされ得る)と反応させられる。脱離基は、求核置換を受け、アジド部分によって置換され、所望のアジド含有PEGポリマーを生じる。
X−PEG−L+N → X−PEG−N
に示されているように、本発明における使用に好適なポリマー骨格は、式X−PEG−L(ここで、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xはアジド基と反応しない官能基であり、Lは好適な脱離基である)を有する。好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アセタール、アルケニル、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、マレイミド、ジチオピリジン、およびビニルピリジン、およびケトンが挙げられる。好適な脱離基の例としては、これらに限定されないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート、およびトシレートが挙げられる。
本発明のアジド含有ポリマー誘導体を調製する他の方法において、アジド官能性基をを有する結合剤は、約800Daから約100,000Daまでの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格と接触され、ここで、上記結合剤は、PEGポリマーにおける化学的な官能性基と選択的に反応してアジド含有ポリマー誘導体産物を形成する化学的な官能性基を有し、ここで、アジドは、結合剤よってポリマー骨格から離されている。
例示的な反応手順が、以下に示されている:
X−PEG−M+N−リンカー−N=N=N → PG−X−PEG−リンカー−N=N=N
(ここで、
PEGは、ポリ(エチレングリコール)であり、Xはアルコキシまたは上述のような官能基といったキャップ形成基であり;かつ
Mはアジド官能性基と反応しないが、Nの官能基と効率的かつ選択的に反応する官能基である)。
好適な官能基の例としては、これらに限定されないが、Nがアミンである場合にカルボキシル酸、カルボネートまたは活性エステルであるM;Nがヒドラジドまたはアミノオキシ部分である場合にケトンであるM;Nが求核基である場合に脱離基であるMが挙げられる。
粗製産物の精製は、公知の方法(これに限定されないが、必要に応じてクロマトグラフィーに続く産物の沈殿が挙げられる)によって達成され得る。
より詳細な例は、アミンの1つがtert−ブチル−Bocといった保護基部分によって保護され、結果として生じる1保護されたPEGジアミンがアジド官能性基を有する連結部分と反応される、PEGジアミンの場合に関して、以下に示されている:
BocHN−PEG−NH+HOC−(CH−N=N=N。
この場合には、アミン基は、チオニル塩化物もしくはカルボジイミド試薬、およびN−ヒドロキシスクシニミドもしくはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールといった種々の活性剤を用いて、カルボキシル酸基に対して結合されて、モノアミンPEG誘導体とアジド担持連結部分との間にアミド結合を作り出し得る。アミド結合の形成が上手く行った後に、結果として生じるN−tert−ブチル−Boc−保護されたアジド含有の誘導体は、生体活性分子を修飾するために直接に使用され得るか、または他の有用な官能基を組み込むために、さらに合成され得る。例えば、N−t−Boc基は、強酸を用いた処理によて加水分解されて、オメガ−アミノ−PEG−アジドを生成する。結果として生じるアミンは、合成の手がかりとして使用されて、有益な異種二官能性試薬にとっての、マレイミド基、活性化ジスルフィド、および活性化エステルなどといった他の有用な官能性基を組み込み得る。
異種二官能性誘導体は、ポリマーの末端のそれぞれに対して異なる分子を連結させることが所望される場合に、特に有用である。例えば、オメガ−N−アミノ−N−アジドPEGは、活性化された求核基(例えば、アルデヒド、ケトン、および活性化カルボネートなど)を有する分子の、PEGの1つの末端に対する連結、およびアセチレン基を有する分子の、PEGの他の末端に対する連結を可能にする。
本発明の他の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−A−POLY−B−C≡C−R
(ここで、
RはHもしくはアルキル、アルキレン、アルコキシ、またはアリールもしくは置換アリールであり得;
Bは、存在し得るか、または存在し得ない連結部分であり;
POLYは、水溶性の非抗原性ポリマーであり;
Aは、存在し得るか、または存在し得ず、Bと同じであり得るか、または異なり得る連結部分であり;かつ
Xは第2の官能基である)
を有する。
AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、18まで含有する多機能化アルキル基を含み、1−10の間の炭素原子を含有し得る。窒素、酸素または硫黄といった異種原子は、アルキル鎖と共に含まれ得る。また、アルキル鎖は、異種原子において分岐され得る。AおよびBに関する連結部分の例は、これらに限定されないが、10まで含有する多機能化アルキル基を含み、5−6の間の炭素原子を含有し得る。アリール基は、1つ以上の炭素原子、窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を用いて置換され得る。好適な連結基の他の例としては、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第5,932,462号明細書および米国特許第5,643,575号明細書および米国特許出願公開第2003/0143596号明細書に記載されているそれらが挙げられる。当業者は、連結部分に関して上記に挙げたものが、決して網羅的なものではなく、単に例示であること、および上述のような品質を有する連結部材料のすべてが、本発明における使用に好適であると考えらえることを認識する。
Xとしての利用に好適な官能基の例としては、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、活性化エステル(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルエステルおよび1−ベンゾトリアゾリルエステル)、活性なカルボネート(例えば、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネートおよび1−ベンゾトリアゾリルカルボネート)、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボキシル酸、保護されたカルボキシル酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレート、アルケン、ケトン、およびアセチレンが挙げられる。理解されるように、選択されるX部分は、アセチレン基との反応が生じないように、アセチレン基とコンパティブルであるべきである。アセチレン含有ポリマー誘導体は、第2の官能基(すなわち、X)がまた、アセチレン部分であることを意味する同種二官能性であり得るか、または第2の官能基が異なる官能基であることを意味する異種二官能性であり得る。
本発明の他の実施形態において、ポリマー誘導体は、構造:
X−CHCHO−−(CHCHO)−−CHCH−O−(CH−C≡CH
(ここで、
Xは上述のような官能基であり;
nは約20から約4000であり;かつ
mは1から10の間である)
を有するポリマー骨格を備える。異種二官能性PEGポリマーのそれぞれの詳細な例が以下に示される。
本発明のアセチレン含有PEG誘導体は、当業者に公知の方法および/または本明細書に開示されている方法を用いて調製され得る。1つの方法において、約800Daから約100,000Daまでの平均分子量を有する水溶性ポリマー骨格であり、第1の官能基に対して結合される第1の末端および好適な求核基に対して結合される第2の末端を有するポリマー骨格は、PEGにおける求核基との反応に好適であるアセチレン基および脱離基の両方を有する化合物と反応される。求核部分を有するPEGポリマーおよび脱離基を有する分子が組み合せられると、脱離基は、求核置換を受け、求核部分によって置換され、所望のアセチレン含有ポリマーを生じる。
X−PEG−Nu+L−A−C → X−PEG−Nu−A−C≡CR’
に示されるように、反応における使用に好ましいポリマー骨格は、式X−PEG−Nu(ここで、PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Nuは求核部分であり、XはNu、Lまたはアセチレン官能性基と反応しない官能基である)を有する。
Nuの例としては、これらに限定されないが、SN2−型機序を介して主に反応する、アミン、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィドリル、イミノ、カルボキシレート、ヒドラジド、アミノオキシ基が挙げられる。Nuの付加的な例としては、求核付加反応を介して主に反応する、これらの官能基が挙げられる。L基の例としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、メシレート、トレシレート、およびトシレートおよび求核置換を受けると予想される他の基、これらと同様にケトン、アルデヒド、チオエステル、オレフィン、アルファ−ベータ不飽和カルボニル基、カルボネートおよび求核基によって付加を受けると予想される他の求核性基が挙げられる。
本発明の他の実施形態において、Aは、1−10の間の炭素原子の脂肪酸リンカー、または6−14の間の炭素原子の置換アリール環である。Xはアジド基と反応しない官能基であり、Lは好適な脱離基である。
本発明のアセチレン含有ポリマー誘導体を調製する他の方法において、約800Daから約100,000Daまでの平均分子量を有し、1つの末端に保護された官能基もしくはキャップ形成剤のいずれかを有し、もう一方の末端に好適な脱離基を有するPEGポリマーは、アセチレンアニオンによって接触される。
例示的な反応手順は、以下に示される:
X−PEG−L+−C≡CR’ → X−PEG−C≡CR’
(ここで、
PEGはポリ(エチレングリコール)であり、Xはキャップ形成基(例えば、アルコキシまたは上述のような官能基)であり;かつ
R’はH、アルキル、アルコキシ、アリールもしくはアリールオキシ基、または置換アルキル、置換アルコキシル、置換アリールもしくは置換アリールオキシ基のいずれかである)。
上述の例において、脱離基Lは、十分な濃度のアセチレンアニオンと接触されれる場合に、SN2−型置換を受けるために十分に反応性でなければならない。アセチレンアニオンによる脱離基のSN2置換の達成に要求される反応条件は、当業者に公知である。
粗製産物の精製は、当該分野に公知の方法(これに限定されないが、必要に応じて、クロマトグラフィーに続く沈殿が挙げられる)によって通常に達成され得る。
水溶性ポリマーは、本発明のIFNβポリペプチドに対して連結され得る。水溶性ポリマーは、IFNβポリペプチドに組み込まれた非天然にコードされるアミノ酸、もしくは非天然にコードされるアミノ酸もしくは天然にコードされるアミノ酸の任意の官能基もしくは置換基か、または非天然にコードされるアミノ酸もしくは天然にコードされるアミノ酸に付加された任意の官能基もしくは置換基、を介して連結され得る。代替可能に、水溶性ポリマーは、天然に存在するアミノ酸(これらに限定されないが、システイン、リジンまたはN末端残基のアミノ酸が挙げられる)を介して、非天然にコードされるアミノ酸を組み込んでいる、IFNβポリペプチドに対して連結され得る。いくつかの場合において、本発明のIFNβポリペプチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10の非天然アミノ酸を備え、ここで、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、(複数の)水溶性ポリマー(これらに限定されないが、PEGおよび/またはオリゴ糖が挙げられる)に対して連結される。いくつかの場合において、本発明のIFNβポリペプチドは、水溶性ポリマーに対して連結された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の非天然にコードされるアミノ酸を、さらに備える。いくつかの場合において、本発明のIFNβポリペプチドは、水溶性ポリマーに対して連結された非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上、および水溶性ポリマーに対して連結された天然に存在するアミノ酸の1つ以上を備える。いくつかの場合において、本発明に使用される水溶性ポリマーは、その非接合形態と比べて、IFNβポリペプチドの半減期を増強する。
本発明のIFNβポリペプチドに対して連結される水溶性ポリマーの数(すなわち、PEG付加または糖鎖付加の程度)は、変更された(これらに限定されないが、増強されたか、または低減された、が挙げられる)薬理的特性、薬物動態的特性、または薬力学特性(例えば、インビボにおける半減期)を与えるために、調節され得る。いくつかの実施形態において、IFNβの半減期は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90パーセント、2倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、50倍、または少なくとも約100倍に、非修飾のポリペプチドを超えて増強される。
(強求核性基(すなわちヒドラジド、ヒドラジン、ヒドロキシアミンまたはセミカルバジド)を含有するPEG誘導体)
本発明の1つの実施形態において、カルボニル含有の非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、PEG骨格に対して直接に連結されている末端のヒドラジン、ヒドロキシアミン、ヒドラジドまたはセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシルアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均分子量は5−40kDaの間である))
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドラジン含有PEG誘導体またはヒドラジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000であり、Xは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、カルボニル含有アミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、アミド結合を用いてPEG骨格に連結される、末端のヒドロキシアミン、ヒドラジド、ヒドラジン、またはセミカルバジド部分を含有するPEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシアミン末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均分子量は5−40kDaの間である))
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドラジン含有PEG誘導体またはヒドラジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000であり、Xは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジド含有PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、カルボニル含有アミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、末端のヒドラジン、ヒドロキシアミン、ヒドラジドまたはセミカルバジド部分を含有する分枝状のPEG(10−40kDa(そして5−20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する分枝状のPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。
本発明の他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、分枝状構造を有するPEG誘導体を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、ヒドラジン末端PEG誘導体またはヒドラジド末端PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)]CH(CH−X−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000であり、Xは任意に、存在し得るかまたはし得ないカルボニル基(C=O)である)
を有する。
いくつかの実施形態において、セミカルバジド基を含有するPEG誘導体は、構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−NH−CH−CHCH−X−(CH−NH−C(O)−NH−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは2−10であり、nは100−1,000である)
を有する。
いくつかの実施形態において、ヒドロキシアミン基を含有するPEG誘導体は、構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−C(O)−NH−CH−CHCH−X−(CH−O−NH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、Xは任意にNH、O、S、C(O)であるか、または存在せず、mは2−10であり、nは100−1,000である)
を有する。
水溶性ポリマーがIFNβポリペプチドに対して連結される程度および部位は、IFNβポリペプチド受容体に対するIFNβポリペプチドの結合を調節できる。いくつかの実施形態において、連結は、IFNβポリペプチドが、IFNβポリペプチド受容体を、平衡化結合アッセイ(例えば、Spencer et al., J. Biol. Chem., 263:7862-7867 (1988) に記載されているとおりである)によって測定されるときに約400nM以下のKを有して、150nM以下のKを有して、そしていくつかの場合において100nM以下のKを有して、結合するように配置される。
ポリマーの活性化およびペプチドの接合に関する、方法および化学反応は、文献に記載され、当該技術において公知である。ポリマーの活性化に通常に使用される方法としては、これらに限定されないが、シアン、臭化物、過ヨウ素酸塩、グルタルアルデヒド、ビエポキシド、エピクロロヒドリン、ジビニルスルホン、カルボジイミド、ハロゲン化スルホニル、トリクロロトリアジンなどを有する官能基の活性化が挙げられる(R. F. Taylor, (1991), Protein Immobilisation. Fundamental and Applications, Marcel Dekker, N.Y.; S. S. Wong, (1992), Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking, CRC Press, Boca Raton; G. T. Hermanson et al., (1993), Immobilized Affinity Ligand Techniques, Academic Press, N.Y.; Dunn, R.L., et al., Eds. POLYMERIC DRUGS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, ACS Symposium Series Vol. 469, American Chemical Society, Washington, D.C. 1991を参照すればよい)。
PEGの官能性化および接合に関する種々の概説および研究論文が利用可能である。例えば、Harris, Macromol. Chem. Phys. C25: 325-373 (1985); Scouten, Methods in Enzymology 135: 30-65 (1987); Wong et al., Enzyme Microb. Technol. 14: 866-874 (1992); Delgado et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 9: 249-304 (1992); Zalipsky, Bioconjugate Chem. 6: 150-165 (1995) を参照すればよい。
また、ポリマーを活性化する方法は、国際公開第94/17039号パンフレット、米国特許第5,324,844号明細書、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット、米国特許第5,219,564号明細書、米国特許第5,122,614号明細書、国際公開第90/13540号パンフレット、米国特許第5,281,698号明細書、および国際公開第93/15189号パンフレットに見出され得、活性化ポリマーと酵素(これらに限定されないが、凝結因子VIII(国際公開第94/15625号パンフレット)、ヘモグロビン(国際公開第94/09027号パンフレット)、酸素運搬タンパク質(米国特許第4,412,989号明細書)、リボヌクレアーゼおよび超酸化物不均化酵素(Veronese at al., App. Biochem. Biotech. 11: 141-52 (1985))が挙げられる)との間における接合に関して見出され得る。引用された参考文献および特許文献のすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。
非天然にコードされるアミノ酸(例えば、p−アジド−L−フェニルアラニン)を含有するIFNβポリペプチドのPEG付加(すなわち、任意の水溶性ポリマーの付加)は、任意の従来の方法によって実施される。例えば、IFNβポリペプチドは、アルキン末端化mPEG誘導体を用いて修飾される。簡単に言うと、過剰のmPEG(5000)−O−CH−C≡CHが、室温において攪拌しながら、p−アジド−L−Phe含有IFNβポリペプチドの水性溶液に対して加えられる。典型的に、水性溶液は、反応が実施されるべきpH(一般的に約pH4−10)に近いpKを有する緩衝液を用いて、緩衝化される。pH7.5におけるPEG付加に好適な緩衝液の例としては、例えば、これらに限定されないが、HEPES、リン酸塩、ホウ酸塩、TRIS−HCl、EPPS、およびTESが挙げられる。pHは、継続的に観察され、必要に応じて調節される。反応は放置されて、1−48時間にわたって典型的に続けられる。
反応産物は、続いて疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけられて、遊離mPEG(5000)−O−CH−C≡CH、ならびにブロックされていないPEGが分子の両方の末端において活性化される場合に形成し、これによってIFNβバリアント分子を架橋し得る、IFNβポリペプチドバリアントの任意の高分子量複合体から、PEG付加IFNβポリペプチドを分離する。疎水性相互作用クロマトグラフィーの条件は、遊離mPEG(5000)−O−CH−C≡CHがカラムをとおり抜ける一方において、PEG付加IFNβポリペプチドバリアント複合体が、1つ以上のPEG基に対して接合された1つのIFNβポリペプチドバリアント分子を含有する所望の形態の後に、溶出するような条件である。好適な条件は、所望の接合物に対する架橋化複合体の相対的な大きさに依存して変わり、当業者によって容易に決定される。所望の接合物を含有する溶出物は、限外ろ過によって濃縮され、ダイアフィルトレーションによって脱塩化される。
必要に応じて、疎水性相互作用クロマトグラフィーから得られたIFNβポリペプチドは、当業者に公知の1つ以上の手法(これらに限定されないが、アフィニティークロマトグラフィー;アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー(これに限定されないが、デアエ セファロース(DEAE SEPHAROSE)を用いる、が挙げられる);シリカ上におけるクロマトグラフィー;逆相HPLC;ゲルろ過(これに限定されないが、セファデックス(SEPHADEX) G−75を用いる、が挙げられる);疎水性相互作用クロマトグラフィー;サイズ排除クロマトグラフィー、金属キレートクロマトグラフィー;限外ろ過/ダイアフィルトレーション;エタノール沈殿;硫酸アンモニウム沈殿;等電点電気泳動;置換クロマトグラフィー;電気泳動手法(これに限定されないが、分離用の等電点電気泳動が挙げられる)、差別的溶解性(これに限定されないが、硫酸アンモニウム沈殿が挙げられる)、または抽出が挙げられる)によってさらに精製され得る。見かけの分子量は、球状タンパク質標準との比較によるGPCによって、見積モル濃度れ得る(Preneta, AZ in Protein purification methods, a practical approach (Harris & Angal, Eds.) IRL Press 1989, 293-306)。IFNβ−PEG接合物は、タンパク質分解(これに限定されないが、トリプシン切断が挙げられる)に続く質量分析によって評価され得る。Pepinsky RB., et al., J. Pharmcol. & Exp. Ther. 297(3):1059-66 (2001)。
本発明のIFNβポリペプチドのアミノ酸に対して連結された水溶性ポリマーは、制限されることなく、さらに誘導体化され得るか、または置換され得る。
(アミン含有PEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、IFNβポリペプチドは、非天然にコードされるアミノ酸の側鎖に存在するアルキン部分と反応するアジド部分を含有するPEG誘導体を用いて、修飾される。一般的に、PEG誘導体は、1−100kDaを有し、いくつかの実施形態において10−40kDaの範囲にある平均分子量を有する。
いくつかの実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−N
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均分子量は5−40kDaの間である))
を有する。
他の実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−N
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、pは2−10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均分子量は5−40kDaの間である))
を有する。
本発明の他の実施形態において、アルキン含有アミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、末端アジド部分を含有する分枝状のPEG誘導体(10−40kDa(そして5−20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する分枝状のPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、アジド末端PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)]CH(CH−X−(CH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、pは2−10であり、nは100−1,000であり、Xは任意に、いずれの場合においても存在し得るかまたは存在し得ない、O、N、Sまたはカルボニル基(C=O)である)
を有する。
(アルキン含有PEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、IFNβポリペプチドは、非天然にコードされるアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアルキン部分を含有する、PEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−C≡CH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、nは100−1,000である(すなわち、平均分子量は5−40kDaの間である))
を有する。
本発明の他の実施形態において、アルキン含有の非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、アミド結合を用いてPEGに対して連結される末端のアジドまたは末端のアルキン部分を含有する、PEG誘導体を用いて修飾される。
いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−C≡CH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、pは2−10であり、nは100−1,000である)
を有する。
本発明の他の実施形態において、アジド含有アミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、末端のアルキン部分を含有する分枝状のPEG誘導体(10−40kDa(そして5−20kDaであり得る)の範囲にある分子量を有する分枝状のPEGのそれぞれの鎖を伴う)を用いて修飾される。例えば、いくつかの実施形態において、アルキン末端PEG誘導体は、以下の構造:
[RO−(CHCHO)−O−(CH−NH−C(O)]CH(CH−X−(CHC≡CH
(ここで、Rは単純なアルキル(メチル、エチル、プロピルなど)であり、mは2−10であり、pは2−10であり、nは100−1,000であり、XはO、N、Sまたはカルボニル基(C=O)であるか、または存在しない)
を有する。
(ホスフィン含有PEG誘導体)
本発明の他の実施形態において、IFNβポリペプチドは、活性化官能基(これらに限定されないが、エステル、カルボネートが挙げられる)を含有し、非天然にコードされるアミノ酸の側鎖に存在するアジド部分と反応するアリールホスフィン基をさらに備える、PEG誘導体を用いて修飾される。一般的に、PEG誘導体は、1−100kDa、そしていくつかの実施形態において10−40kDaの範囲の平均分子量を有する。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
Figure 2010525821
(ここで、nは1−10であり、XはO、NまたはSであり得るか、または存在し得ず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーである)
を有する。
いくつかの実施形態において、PEG誘導体は、構造:
Figure 2010525821
(ここで、XはO、NまたはSであるか、または存在せず、Phはフェニルであり、Wは水溶性ポリマーであり、RはH、アルキル、アリール、置換アルキル、および置換アリール基であり得る)。例示的なR基としては、これらに限定されないが、−CH、−C(CH、−OR’,−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−C(O)R’、−CONR’R’’、−S(O)R’、−S(O)NR’R’’、−CNおよび−NOが挙げられる。R’、R’’、R’’’およびR’’’’は互いに独立して、水素、置換もしくは非置換のヘテロアルキル、置換もしくは非置換のアリール(これらに限定されないが、1−3のハロゲンを用いて置換されているアリールが挙げられる)、置換もしくは非置換のアルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ、またはアルキルアリール基を指す。本発明の化合物が1つ以上のR基を含む場合に、例えば、R基のそれぞれは独立して、2つ以上のこれらの基が存在する場合に、R’、R’’、R’’’およびR’’’’のそれぞれであるように選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子に連結される場合に、それらは、窒素原子と組み合わさって、5−、6−または7−員環を形成し得る。例えば、−NR’R’’は、これらに限定されないが、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニル含むことを意図される。置換基の上述の議論から、当業者は、“アルキル”という用語が、水素基以外の基(例えば、ハロアルキル(これらに限定されないが、−CFおよび−CHCFが挙げられる)およびアシル(これらに限定されないが、−C(O)CH、−C(O)CF、および−C(O)CHOCHなどが挙げられる))に対して結合される炭素原子を含めた基を包含することを意図される。
(他のPEG誘導体および一般的なPEG付加技術)
IFNβポリペプチドに対して連結され得る他の例示的なPEG分子だけでなく、PEG付加方法としては、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2004/0001838号明細書;米国特許出願公開第2002/0052009号明細書;米国特許出願公開第2003/0162949号明細書;米国特許出願公開第2004/0013637号明細書;米国特許出願公開第2003/0228274号明細書;米国特許出願公開第2003/0220447号明細書;米国特許出願公開第2003/0158333号明細書;米国特許出願公開第2003/0143596号明細書;米国特許出願公開第2003/0114647号明細書;米国特許出願公開第2003/0105275号明細書;米国特許出願公開第2003/0105224号明細書;米国特許出願公開第2003/0023023号明細書;米国特許出願公開第2002/0156047号明細書;米国特許出願公開第2002/0099133号明細書;米国特許出願公開第2002/0086939号明細書;米国特許出願公開第2002/0082345号明細書;米国特許出願公開第2002/0072573号明細書;米国特許出願公開第2002/0052430号明細書;米国特許出願公開第2002/0040076号明細書;米国特許出願公開第2002/0037949号明細書;米国特許出願公開第2002/0002250号明細書;米国特許出願公開第2001/0056171号明細書;米国特許出願公開第2001/0044526号明細書;米国特許出願公開第2001/0021763号明細書;米国特許第6,646,110号明細書;米国特許第5,824,778号明細書;米国特許第5,476,653号明細書;米国特許第5,219,564号明細書;米国特許第5,629,384号明細書;米国特許第5,736,625号明細書;米国特許第4,902,502号明細書;米国特許第5,281,698号明細書;米国特許第5,122,614号明細書;米国特許第5,473,034号明細書;米国特許第5,516,673号明細書;米国特許第5,382,657号明細書;米国特許第6,552,167号明細書;米国特許第6,610,281号明細書;米国特許第6,515,100号明細書;米国特許第6,461,603号明細書;米国特許第6,436,386号明細書;米国特許第6,214,966号明細書;米国特許第5,990,237号明細書;米国特許第5,900,461号明細書;米国特許第5,739,208号明細書;米国特許第5,672,662号明細書;米国特許第5,446,090号明細書;米国特許第5,808,096号明細書;米国特許第5,612,460号明細書;米国特許第5,324,844号明細書;米国特許第5,252,714号明細書;米国特許第6,420,339号明細書;米国特許第6,201,072号明細書;米国特許第6,451,346号明細書;米国特許第6,306,821号明細書;米国特許第5,559,213号明細書;米国特許第5,747,646号明細書;米国特許第5,834,594号明細書;米国特許第5,849,860号明細書;米国特許第5,980,948号明細書;米国特許第6,004,573号明細書;米国特許第6,129,912号明細書;国際公開第97/32607号パンフレット、欧州特許出願公開第229,108号明細書、欧州特許出願公開第402,378号明細書、国際公開第92/16555号パンフレット、国際公開第94/04193号パンフレット、国際公開第94/14758号パンフレット、国際公開第94/17039号パンフレット、国際公開第94/18247号パンフレット、国際公開第94/28024号パンフレット、国際公開第95/00162号パンフレット、国際公開第95/11924、WO95/13090号パンフレット、国際公開第95/33490号パンフレット、国際公開第96/00080号パンフレット、国際公開第97/18832号パンフレット、国際公開第98/41562号パンフレット、国際公開第98/48837号パンフレット、国際公開第99/32134号パンフレット、国際公開第99/32139号パンフレット、国際公開第99/32140号パンフレット、国際公開第96/40791号パンフレット、国際公開第98/32466号パンフレット、国際公開第95/06058号パンフレット、欧州特許出願公開第439 508号明細書、国際公開第97/03106号パンフレット、国際公開第96/21469号パンフレット、国際公開第95/13312号パンフレット、欧州特許出願公開第921 131号明細書、国際公開第98/05363号パンフレット、欧州特許出願公開第809 996号明細書、国際公開第96/41813号パンフレット、国際公開第96/07670号パンフレット、欧州特許出願公開第605 963号明細書、欧州特許出願公開第510 356号明細書、欧州特許出願公開第400 472号明細書、欧州特許出願公開第183 503号明細書および欧州特許出願公開第154 316号明細書に記載されているそれらが挙げられる。本明細書に記載されているPEG分子のいずれもが、任意の形態(これらに限定されないが、単鎖、分枝状鎖、多腕鎖、単官能性、二官能性、多官能性、またはこれらの組合せが挙げられる)において使用され得る。
付加的なポリマーおよびPEG誘導体について、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる以下の特許出願:米国特許出願公開第2006/0194256号明細書、米国特許出願公開第2006/0217532号明細書、米国特許出願公開第2006/0217289号明細書、米国仮特許出願第60/755,338号明細書、米国仮特許出願第60/755,711号明細書、米国仮特許出願第60/755,018号明細書、国際特許出願番号第PCT/US06/49397号明細書、国際公開第2006/069246号パンフレット、米国仮特許出願第60/743,041号明細書、米国仮特許出願第60/743,040号明細書、国際特許出願番号第PCT/US06/47822号明細書、米国仮特許出願第60/882,819号明細書、米国仮特許出願第60/882,500号明細書、および米国仮特許出願第60/870,594号明細書に記載されている。付加的なポリマーおよびPEG誘導体としては、これに限定されないが、ヒドロキシルアミン(アミノオキシ)PEG誘導体が挙げられる。
(異種のFc融合タンパク質)
上述のインターフェロンβ化合物は、免疫グロブリンのFc部分に対して、直接にか、またはペプチドリンカーを介して融合され得る。免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって互いに保持されるポリペプチド鎖を含んでいる、一般に2つの軽鎖および2つの重鎖を有している分子である。鎖のそれぞれにおいて、1つのドメイン(V)は、分子の抗体特異性に依存する可変性のアミノ酸配列を有している。他のドメイン(C)は、同じ分類の分子に共通するかなり定常性のアミノ酸配列を有している。
本明細書において使用されるときに、免疫グロブリンのFc部分は、免疫学の分野における用語に共通して与えられている意味を有する。特に個の用語は、抗体から2つの抗原結合領域(Fab断片)を除去することによって得られる抗体断片を指す。Fab断片wお除去する1つの方法は、パパインプロテアーゼを用いて免疫グロブリンを消化することである。したがって、Fc部分は、両方の重鎖に由来する定常領域のおおよそ等しい大きさの断片から形成される。ここで、方の重鎖は、非共有結合的な相互作用およびジスルフィド結合を介して会合している。Fc部分は、ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを介した抗体に対する伸張を有する。ヒトおよびマウスにおける代表的なヒンジ領域は、その教示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Antibody Engineering, A Practical Guide, Borrebaeck, C. A. K., ed., W. H. Freeman and Co., 1992に見出され得る。Fc部分は、1つ以上の糖鎖付加部位をさらに含んでいる。ヒンジ領域、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含んでいる多くの代表的なFc部分のアミノ酸配列は、当該分野において公知である。
異なるエフェクター機能および薬物動態を有するヒト免疫グロブリンのFc部分には5種類:IgG、IgA、IgM、IgDおよびIgEが存在する。IgGは血清中に豊富な免疫グロブリンである。また、IgGは免疫グロブリンのいずれよりも血清中において最も長い半減期(23日)を有する。他の免疫グロブリンとは異なり、IgGは、Fc受容体との結合後に効率的に再循環される。4つのIgGサブクラス:G1、G2、G3およびG4があり、それぞれが異なるエフェクター機能を有している。G1、G2およびG3はC1qおよび結合補体と結合するが、G4は結合できない。G3はG1よりもC1qと効率的に結合できるが、G1は補体指向性の細胞溶解の媒介により有能である。G2は補体との結合効率が非常に悪い。IgGにおける結合部位はCH2ドメインのカルボキシル末端に位置している。
IgGサブクラスのすべては、Fc受容体(CD16、CD32、CD64)と結合可能であり、G1およびG3がG2およびG4よりも効率的である。IgGのFc受容体結合領域は、CH2ドメインのヒンジ領域およびカルボキシル末端領域の両方に位置する残基によって形成されている。
IgAは、J鎖によってともに保持されているモノマーおよびダイマーの形態の両方において存在する。IgAは血清中に最も豊富に存在するが、その半減期はわずか6日に過ぎない。IgAは3つエフェクター機能を有している。IgAは、食作用および脱顆粒のそれぞれを促進する、マクロファージおよび好酸球上のIgA特異的受容体と結合する。また、IgAは未知の代替経路を介して補体と結合する。
IgMは、ペンタマーまたはヘキサマーのいずれか(いずれもJ鎖によって保持されている)として発現される。IgMの半減期は5日である。IgMはCH3ドメインに位置する結合部位を介してC1qと弱く結合する。IgDは血清中における半減期が3日である。IgDは、このIgが担っているエフェクター機能が何であるか明確になっていない。IgEは2.5日の半減期を有するモノマーIgである。IgEは脱顆粒を促進し、炎症誘発性物質の放出を生じる2つのFc受容体と結合する。
所望のインビボにおける効果に依存して、本発明の異種融合タンパク質は、上述のアイソタイプのいずれかを含み得るか、または変異Fc領域を含み得る。ここで、補体および/またはFc受容体との結合機能が改変されている。したがって、本発明の異種融合タンパク質は、インターフェロンβ化合物と融合された、免疫グロブリンのFc部分全体、免疫グロブリンのFc部分の断片、またはこれらの類似物を含み得る。
本発明の融合タンパク質は、短鎖タンパク質または重鎖ポリペプチドからなり得る。2つ以上のFc融合タンパク質は、それらがFc領域の間に天然に形成されるジスルフィド結合を介して相互作用するように、作製され得る。これらのマルチマーは、インターフェロンβ化合物に対して異種であり得るか、またはそれらが融合タンパク質のFc部分のC末端に融合される異なるインターフェロンβ化合物を含み得る。
融合タンパク質の最終的な構造とは関係なく、Fc領域またはFc様領域はN末端において融合されたインターフェロンβ化合物のインビボ血漿半減期を延長するために機能する。また、本発明のインターフェロンβ化合物は、インターフェロンβの生物学的活性を少なくとも1つ維持しているべきである。治療半減期または循環半減期の向上は、本明細書に記載の方法または当該分野において公知の方法を用いて証明され得る。ここで、融合タンパク質の半減期は、インターフェロンβ化合物単独の半減期と比較されている。生物学的活性は、当該分野において公知のインビトロ法およびインビボ法によって決定される。
タンパク質文化によって産生されるIgGのFc領域は、IgG分子およびFab断片が急速に分解されるのと同様のインビボ半減期を有しているので、延長した半減期と関連する配列がCH2ドメインおよび/またはCH3ドメインに存在すると考えられる。さらに、親和性の高いFc受容体まC1qとを有して結合しないIgGバリアントの分解速度は、親の野生型抗体の排除速度と識別できないことが、文献において示されている。これは、分解部位がFc受容体またはC1q結合と関連する部位とは異なることを示しいる(Wawrzynczak et al., (1992) Molecular Immunology 29:221]. )。マウスIgG領域を用いた部位特異的変異生成の研究によって、分解速度を制御するIgG1のFc領域の部位がCH2−CH3ドメインの接合域に位置していることが示唆された。Fc領域は、癒合タンパク質の半減期を最適化するために分解部位において修飾され得る。本発明の融合タンパク質に使用されるFc領域は、IgG1またはIgG4のFc領域に由来し得、ヒンジ領域を含むCH2ドメインCH3ドメインの両方を含み得る。
Fc−IFNβ融合タンパク質について、参照によって組み込まれる国際公開第2006/000448号パンフレットに記載されている。
(異種のアルブミン融合タンパク質)
本明細書に記載のインターフェロンβは、アルブミンまたはこれらの類似物、断片、もしくは誘導体と、直接に融合され得るか、またはペプチドリンカー、水溶性リンカー、もしくはプロドラッグリンカーを介して融合され得る。一般的に、本発明の融合タンパク質の一部であるアルブミンタンパク質は、任意の種(ヒトが挙げられる)からクローン化されたアルブミンに由来し得る。ヒト血清アルブミン(HSA)は、66500の分子量を有する、585アミノ酸の短鎖の非糖鎖付加ポリペプチド鎖からなる。ヒトHSAのアミノ酸配列は公知である(参照によって本明細書に組み込まれる、See Meloun, et al. (1975) FEBS Letters 58:136; Behrens, et al. (1975) Fed. Proc. 34:591; Lawn, et al. (1981) Nucleic Acids Research 9:6102-6114; Minghetti, et al. (1986) J. Biol. Chem. 261 :6747を参照すればよい)。アルブミンの種々の多形バリアントならびに類似物および断片について、Weitkamp, et al., (1973) Ann. Hum. Genet. 37:219に記載されている。例えば、欧州特許第322,094号明細書におけるHSAの短鎖形態。HSAのこれらの断片のいくつか(HSA(1−338)、HSA(1−389)、ならびにHSA(1−419)および1−369と1−419との間の断片が挙げられる)が開示されている。欧州特許第399,666号明細書には、HSA(1−177)、ならびにHSA(1−200)および1−177と1−200との間の断片を含むアルブミン断片が開示されている。
本発明の異種融合タンパク質が、任意のアルブミンタンパク質(断片、類似物および誘導体が挙げられる)と結合されているインターフェロンβ化合物を含んでいることについて理解される。ここで、当該融合タンパク質が生物学的に活性であり、インターフェロンβ化合物単独より長い血漿半減期を有している。したがって、融合タンパク質のアルブミン部分は、未処理のヒトアルブミンの半減期と等しい半減期を有している必要はない。所定の未処理のヒトアルブミンおよびインターフェロンβ化合物の半減期に対して、より長い半減期または中間の半減期を有している断片、類似物および誘導体は、公知であるか、または生成され得る。
本発明の異種融合タンパク質は、融合タンパク質のインターフェロンβ化合物および/またはFc部分もしくはアルブミン部分に保存的なアミノ酸置換を有している、タンパク質を包含する。“保存的な置換”は、同じ正味の電荷ならびにおおよそ同じ大きさおよび形状を有する、他のアミノ酸を用いたアミノ酸の置換である。脂肪族または置換脂肪族のアミノ酸側鎖を有するアミノ酸は、炭素原子および異種原子の総数が約4以下だ異なる場合に、おおよそ同じ大きさを有する。それらは、それらの側鎖における分枝の数が1以下だけ異なる場合に、おおよそ同じ形状を有する。それらの側鎖にフェニル基または置換フェニル基を有するアミノ酸は、おおよそ同じ大きさおよび形状を有すると考えられる。本明細書において特に断りがなければ、保存的な置換は天然アミノ酸に対して好ましくなされる。
野生型のアルブミンタンパク質および免疫グロブリンタンパク質は、種々の供給源から取得され得る。例えば、これらのタンパク質は、検出可能なレベルにおいて布袋のmRNAを発現する組織または細胞から調製されたcDNAライブラリから取得され得る。ライブラリは、特に所望されるタンパク質の公開されたDNA配列またはタンパク質を用いて設計されたプローブを用いてスクリーニングされ得る。例えば、免疫グロブリンの軽鎖または重鎖の定常領域について、Adams, et al. (1980) Biochemistry 19:2711-2719; Goughet, et al. (1980) Biochemistry 19:2702-2710; Dolby, et al. (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:6027-6031 ; Rice et al. (1982) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:7862-7862; Falkner, et al. (1982) Nature 298:286-288; and Morrison, et al. (1984) Ann. Rev. Immunol. 2:239-256に記載されている。アルブミンのタンパク質配列およびDNA配列を開示しているいくつかの文献としては、Meloun, et al. (1975) FEBS Letters 58: 136; Behrens, et al. (1975) Fed. Proc. 34:591 ; Lawn, et al. (1981) Nucleic Acids Research 9:6102-6114; and Minghetti, et al. (1986) J. Biol. Chem. 261 :6747が挙げられる。
(本発明の異種融合タンパク質の特性)
本発明の融合タンパク質を性質決定するための多くの方法が存在する。これらの方法のいくつかとしては、これらに限定されないが、タンパク質染色法と組み合わせたSDS−PAGEまたは抗IgG抗体もしくは抗HSA抗体を用いた免疫ブロットが挙げられる。他の方法としては、例えば、マトリックス支援レーザイオン化質量分析(MALDI−MS)、液体クロマトグラフィー/質量分析、等電点電気泳動、分析陰イオン交換クロマトグラフィー、円偏向二色性が挙げられる。
(血清アルブミンに対する向上した親和性)
また、種々の生物学的に活性な分子が本発明のIFNβポリペプチドに対して融合されて、生物学的に活性な分子の半減期を調節し得る。いくつかの実施形態において、分子が本発明のIFNβポリペプチドに対して連結されるか、または融合されて、動物における内因性の血清アルブミンに対する親和性を増強し得る。
例えば、いくつかの場合において、IFNβおよびアルブミン結合配列の組換え融合体が作製される。例示的なアルブミン結合配列としては、これらに限定されないが、ストレプトコッカスのタンパク質Gから得られるアルブミン結合ドメイン(例えば、Makrides et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 277:534-542 (1996)およびSjolander et al., J, Immunol. Methods 201:115-123 (1997)を参照すればよい)、または例えば、Dennis, et al., J. Biol. Chem. 277:35035-35043 (2002) に記載されているペプチドといったアルブミン結合ペプチドが挙げられる。
他の実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドは、脂肪酸を用いてアシル化される。いくつかの場合において、脂肪酸は血清アルブミンに対する結合を促進する。例えば、Kurtzhals, et al., Biochem. J. 312:725-731 (1995) を参照すればよい。
他の実施形態において、本発明のIFNβポリペプチドは、血清アルブミン(これに限定されないが、ヒトアルブミンが挙げられる)と直接に融合される。当業者であれば、広範な生物学的に活性な分子がまた、本発明におけるIFNβに対して連結されて、血清アルブミンまたは他の血清成分との結合を調節し得ることを認識する。
<X.IFNβポリペプチドのグリコシル化>
本発明は、糖付加残基を有する非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上組み込んでいる、IFNβポリペプチドを包含する。糖付加残基は、天然(これに限定されないが、N−アセチルグルコサミンが挙げられる)、または非天然(これに限定されないが、3−フルオロガラクトースが挙げられる)であり得る。糖は、N型もしくはO型の糖鎖結合(これに限定されないが、N−アセチルガラクトース−L−セリンが挙げられる)、または非天然の結合(これらに限定されないが、オキシムまたは対応するC型−またはS型のグリコシドが挙げられる)のいずれかによって、非天然にコードされるアミノ酸に対して連結され得る。
糖(これに限定されないが、グリコシルが挙げられる)部分は、インビボまたはインビトロにおいて、IFNβポリペプチドに対して付加され得る。本発明のいくつかの実施形態において、カルボニル含有の非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、オキシム結合を介して対応する糖鎖付加ポリペプチドを生成するためのアミノオキシ基を有する、糖誘導体を用いて修飾される。非天然にコードされるアミノ酸に対して連結されると、糖は、IFNβポリペプチドに対して結合されるオリゴ糖を生成するための糖転移酵素および他の酵素を用いた処理によって、さらに合成され得る。例えば、H. Liu, et al. J. Am. Chem. Soc. 125: 1702-1703 (2003) を参照すればよい。
本発明のいくつかの実施形態において、カルボニル含有の非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、アミノオキシ誘導体として調製される所定の構造を有するグリカンを用いて、直接に修飾される。当業者は、他の官能性基(これらに限定されないが、アジド、ヒドラジド、ヒドラジン、およびセミカルバジドが挙げられる)が、非天然にコードされるアミノ酸に対する糖の連結に対して使用され得ることを認識する。
本発明のいくつかの実施形態において、アジド含有またはアルキニル含有の非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、それから、アルキニルまたはアジド誘導体のそれぞれ(これらに限定されないが、が挙げられる)を用いた、ヒュイゲン[3+2]環付加反応によって(限定されないが、これが挙げられる)、修飾される。この方法は、タンパク質が非常に高い選択性を有して修飾されることを可能にする。
国際公開第2007/022799号パンフレットには、無血清の培養条件における組換えヒトIFNβの製造方法および固有の糖鎖様式を用いたIFNβ精製方法について開示されている。
<XI.IFNβのダイマーおよびマルチマー>
また、本発明は、IFNβおよびIFNβ類似物の組合せ(例えば、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはへテロマルチマー(すなわち、トリマー、テトラマーなど))を提供する。ここで、非天然にコードされるアミノ酸を含有するIFNβは、IFNβまたはこれらのIFNβバリアントではない他のIFNβもしくはIFNβバリアントまたは任意の他のポリペプチドと、直接にか、またはリンカーを介して結合されている。モノマーと比べて増大した分子量に起因して、IFNβのダイマーまたはマルチマーの接合物は、新たなまたは所望の特性を示し得る。当該特性としては、これらに限定されないが、モノマーのIFNβと比べて異なる薬物動態、異なる薬力学、調節された治療半減期、または調節された血清中半減期が挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明のIFNβのダイマーは、IFN受容体のシグナル伝達を調節する。他の実施形態において、本発明のIFNβのダイマーまたはマルチマーは、IFN受容体のアンタゴニスト、アゴニストまたは調節因子として機能する。
いくつかの実施形態において、IFNβ含有のダイマーまたはマルチマーに存在する1つ以上のIFNβ分子は、水溶性ポリマーに連結された非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる。
いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチドは、これらに限定されないが、Asn−Lysアミド結合またはCys−Cysジスルフィド結合を介して直接に連結されている。いくつかの実施形態において、IFNβポリペプチド、および/または連結されたIFNβ以外の分子は、異なる非天然にコードされるアミノ酸を含んでいて、2量体化を容易にする。これに限定されないが、第1のIFNβポリペプチドの非天然にコードされるアミノ酸におけるアルキンおよび第2の分子の非天然にコードされるアミノ酸におけるアジドが、ヒュイゲン[3+2]付加環化を介して接合されることによって、2量体化を容易にすることが挙げられる。代替可能に、ケトン含有非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチド、および/または連結されたIFNβ以外の分子は、ヒドロキシアミン含有非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる第2のポリペプチドに対して接合される。これらのポリペプチドは、対応するオキシムの形成を介して反応させられる。
代替可能に、2つのIFNβポリペプチド、および/またはIFNβ以外の分子はリンカーを介して連結される。任意のヘテロ−またはホモ−二官能性リンカーが使用されて、同じか、または異なる1次配列を有する2つの分子、および/またはIFNβ以外の分子を連結する。いくつかの場合において、IFNβおよび/または連結されたIFNβ以外の分子をつなぐためにともに使用されるリンカーは、二官能性のPEG試薬であり得る。高分子量または低分子量のリンカーが使用されて、IFNβに連結された全体との間、またはもしあれば連結された全体とその結合パートナーとの間における所望の空間的関係ならびに立体配置を提供し得る。また、より長い分子長または短い分子長を有するリンカーが使用されて、IFNβに連結された全体との間、またはもしあれば連結された全体とその結合パートナーとの間の所望の空間または自由度を提供し得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、ダンベル構造を有する水溶性の二官能性リンカーを提供する。当該ダンベル構造は、(a)ポリマー骨格の少なくとも第1の末端にあるアジド、ヒドラジン、ヒドラジド、ヒドロキシアミンまたはカルボニルを含有する部分;(b)ポリマー骨格の第2の末端にある少なくとも1つの第2の官能基を含んでいる。第2の官能基は、第1の官能基と同じであり得るか、または異なり得る。いくつかの実施形態において、第2の官能基は、第1の官能基と反応性ではない。いくつかの実施形態において、本発明は、分枝状の分子構造の少なくとも1つのアームを含んでいる水溶性化合物を提供する。例えば、分枝状の分子構造は樹状であり得る。
いくつかの実施形態において、本発明は、1つ以上のIFNβポリペプチドを含んでいるマルチマーを提供する。当該IFNβポリペプチドは、以下の構造:
R−(CHCHO)−O−(CH−X
(ここで、nは約5から3000であり、mは2から10であり、Xは、アルキン、ヒドラジン、ヒドラジド、アミノオキシ基、ヒドロキシアミン、アセチルまたはカルボニルを含有する部分であり得、Rは、Xと同じであるか、または異なるキャップ形成基、官能基または脱離基である)
を有する水溶性活性化ポリマーと反応させることによって形成される。Rは、例えば、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、アルコキシル、N−ヒドロキシスクシニミジルエステル、1−ベンゾトリアゾリルエステル、N−ヒドロキシスクシニミジルカルボネート、1−ベンゾイミダゾリルカルボネート、アセタール、アルデヒド、アルデヒド水和物、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、活性化スルホン、アミン、アミノオキシ、保護されたアミン、ヒドラジド、保護されたヒドラジド、保護されたチオール、カルボン酸、保護されたカルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、ビニルスルホン、ジチオピリジン、ビニルピリジン、ヨードアセトアミド、エポキシド、グリオキサール、ジオン、メシレート、トシレート、およびトレシレート、アルケン、およびケトンからなる群から選択される官能基であり得る。
<XII.IFNβポリペプチド活性およびIFNβポリペプチドのIFN受容体に対する親和性の測定>
IFNβポリペプチド活性は、標準的なインビトロアッセイもしくはインビボアッセイ、または公知のインビトロアッセイもしくはインビボアッセイを用いて測定され得る。IFNβポリペプチドは、当該分野において公知の好適な方法によって生物活性について分析され得る。そのようなアッセイとしては、これらに限定されないが、インターフェロン応答性遺伝子の活性化、受容体結合アッセイ、抗ウイルス活性アッセイ、細胞変性作用阻害アッセイ(Familletti et. al., Meth. Enzymol. 78:387-394)、抗増殖性アッセイ(Aebersold and Sample, Meth. Enzymol. 119:579-582)、免疫調節性アッセイ(米国特許第号4,914,033明細書;米国特許第4,735,795号明細書)およびに記載のようなMHC分子の誘導を評価するアッセイ(例えば、Hokland et al, Meth. Enzymol. 119:688-693)が挙げられる。
IFNβポリペプチドは、インターフェロン感受性シグナル伝達経路の活性化能について分析され得る。その一例は、インターフェロン刺激応答配列(interferon-stimulated response element)(ISRE)アッセイである。I型のインターフェロン受容体を恒常的に発現する細胞(例えばHela細胞、293T細胞)は、ISRE−ルシフェラーゼベクター(pISRE−luc、クロンテック)を用いて一過性にトランスフェクションされる。トランスフェクション後に細胞は、インターフェロンβポリペプチドを用いて処理される。タンパク質濃度の値(例えば0.001〜10ng/ml)について、用量応答曲線を生成するために試験される。インターフェロンβポリペプチドがIFN受容体と結合し、IFN受容体を活性化させる場合に、生成されるシグナル伝達カスケードによってルシフェラーゼ発現が誘導される。発光は、例えばトップカウント(TopCount)(商標)もしくはフュージョン(Fusion)(商標)のマイクロプレートリーダーおよびステディ(Steady)−Gloルシフェラーゼアッセイ(プロメガ)多くの方法において測定され得る。
IFNβポリペプチドは、I型インターフェロン受容体(IFNAR)との結合能について分析され得る。IFN受容体は、当業者に公知の方法および技術を用いて調製され得る。hIFN受容体は、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,566,132号明細書;米国特許第5,889,151号明細書;米国特許第5,861,258号明細書;米国特許第5,731,169号明細書;米国特許第5,578,707号明細書に記載のように調製され得る。例えば、hIFNまたはhIFN結合に応答して、成長またはMHCクラスIもしくはII抗原の産生を調節する細胞または細胞株(これらに限定されないが、IFN受容体を含んでいる細胞(例えばヒトリンパ芽球状のダウディ細胞)、または組換えIFN受容体産生細胞が挙げられる)は、hIFN受容体結合を評価するために使用され得る。非天然アミノ酸を含んでいる非PEG付加またはPEG付加のIFNβポリペプチドに関して、その受容体に対するIFNβの親和性が、ビアコア(BIAcore)(商標) バイオセンサ(ファルマシア)を用いて測定され得る。好適な結合アッセイとしては、これらに限定されないが、ビアコアアッセイ(Pearce et al., Biochemistry 38:81-89 (1999))およびアルファスクリーン(AlphaScreen)(商標)アッセイ(パーキンエルマー(PekinElmer))が挙げられる。アルファスクリーンアッセイ(商標)は、供与物ビーズが一重項酸素を放出させるために680nmにおけるレーザによって励起される、ビーズを用いた非放射性のルミネセンス近接アッセイである。一重項酸素が、発散し、受容物ビーズの表面におけるチオキセン誘導体と反応して、600nm以下における蛍光発光を導く。この蛍光発光は、供与物ビーズおよび受容物ビーズが、ビーズのそれぞれがリガンドおよび受容体に連結されている場合に生じる分子相互作用によって、非常に近接した状態になるときにのみ発生する。このリガンド−受容体相互作用は、受容体結合バリアントを用いて競合されると同時に、非結合バリアントは競合しない。
本発明のhIFN類似物を作製するために使用される方法にかかわらず。当該類似物は生物活性に関してアッセイにかけられる。トリチウム化チミジンアッセイが細胞分裂の程度を確認するために採用され得る。しかし、他の生物学的アッセイが所望の活性を確かめるために使用され得る。IFNβポリペプチドは、抗ウイルス活性および/または抗増殖性活性について分析され得る。抗増殖性アッセイは当業者にとって公知である。Basu et al. in Bioconjugate Chem (2006) 17:618-630には、増殖を調べるためにA549細胞およびMTTを用いた抗増殖性アッセイについて記載されている。また、生物学的アッセイ(例えばウイルスの複製の阻害能を評価するアッセイ)によって、IFN活性の指標が提供される。また、当業者に公知のアッセイが、本発明のIFNβポリペプチドの生物活性および起こり得る副作用を評価するために使用され得る。
参照によって本明細書に組み込まれる、Platanias et al. in Experimental Hematology 1999; 27:1583-1592にはインターフェロンによって活性化されるシグナル経路(ジャック−スタット(Jak-Stat)経路)について論じられている。インターフェロン受容体結合の下流にあるシグナル伝達および経路を評価するアッセイは、本発明のIFNポリペプチドを評価するために使用され得る。
ウイルス複製アッセイまたはインビボ研究は、抗ウイルス活性を検査するために本発明bのIFNβポリペプチドを用いて実施され得る。ウイルス複製アッセイは、当業者に公知であり、HCV(C型肝炎ウイルス)、VSV(水疱性口内炎ウイルス)、またはEMCV(脳心筋炎ウイルス)に関し得る。また、VSVを用いて感染させた細胞(例えば乳児ハムスターの腎臓BHK21細胞)の細胞変性作用(CPE)の低下がIFNβポリペプチドを用いて測定され得る。種々の細胞株および演算手法がCPEアッセイにおける有効性を決定するために使用され得る。比較は、公知の参照基準を用いてなされ、内部単位が算出され得る。他のインビボアッセイが生物活性を確かめるために使用され得る。生物活性についての試験は、所望の結果に関する分析(例えば、(非改変IFNβaと比べた)生物活性の増大もしくは低下、(非改変IFNβと比べた)異なる生物活性増大もしくは低下、受容体親和性分析、または血清中半減期分析)を一般的に提供すべきである。
他のアッセイとしては、これらに限定されないが、抗ウイルス活性の抗体中和化、タンパク質キナーゼの誘導、少アデニルの2,5−Aシンセターゼもしくはホスホジエステラーゼの活性(参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第41313号明細書);免疫調節性アッセイ(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,753,795号明細書)、成長阻害アッセイ、およびインターフェロン受容体を発現する細胞を用いた結合アッセイ(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,1445,74号明細書)が挙げられる。
IFNβポリペプチドの作製に使用されるかかわらず、IFNβポリペプチドは生物活性についてのアッセイにかけられる。生物活性についての試験は、所望の結果に関する分析(例えば、(修飾IFNβaと比べた)生物活性の増大もしくは低下、(修飾IFNβと比べた)異なる生物活性増大もしくは低下、受容体もしくは結合パートナーの親和性分析、(修飾IFNβaと比べた)IFNβ自身もしくはその受容体の立体配置もしくは構造の変化、または血清中半減期分析)を一般的に提供すべきである。
アッセイの方法論に関する参照の上記集合は、網羅的なものではなく、当業者であれば、所望の最終結果について試験するために好適な他のアッセイを認識する。そのようなアッセイに対する変更は、当業者に公知である。
(ポリペプチドに対する抗体形成の測定および免疫原性に関する前臨床試験)
抗体形成を測定し、評価するためのアッセイとしては、これらに限定されないが、生物学的検定法および結合アッセイが挙げられる。生物学的検定法としては、これらに限定されないが、中和抗体を検出するために動物の対象または患者から得られた血清を使用するアッセイが挙げられる。外因性分子の生物活性を中和する血清の能力が測定される。細胞を用いた生物検定法は、例えば、増殖、細胞毒性、シグナル伝達、またはサイトカイン放出を測定し得る。中和抗体および非中和抗体の両方を検出する結合アッセイは、外因性タンパク質と結合する血清の能力を測定する。そのような抗体を測定する方法としては、これに限定されないが、ELISAが挙げられる。これらの抗体の存在の意義について、参照によって本明細書に組み込まれるSchellekens, H et al. Clinical Therapeutics 2002; 24(l l):1720-1740において議論されている。
また、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるSchellekens, H et al. Clinical Therapeutics 2002; 24(l l):1720-1740には、非ヒトの霊長類および外因性のヒトタンパク質を発現する遺伝子導入マウスにおける動物試験法、ならびにインビトロ試験法について論じられている。参照によって本明細書に組み込まれるWhiteley et al. in J. Clin. Invest. 1989; 84:1550-1554には、ヒトインスリンを用いた免疫原性試験における遺伝子導入マウスの使用について論じられている。参照によって本明細書に組み込まれる〜には、免疫原性の検出および測定のための多くの技術(例えば、表面プラズモン共鳴(SPR;ビアコア)、放射性免疫沈降法(RIPA)、免疫アッセイ(例えば固相結合免疫アッセイ)、架橋および競合ELISA、ならびに免疫ブロッティング)について論じられている。他の技術としては、これに限定されないが、電気化学ルミネセンス(ECL)が挙げられる。
参照によって本明細書に組み込まれるChirino et al. DDT 2004; 9(2): 82-90には、タンパク質治療薬の免疫原性を調べるためのエクスビボT細胞活性化アッセイについて記載されている。抗原提示細胞による野生型およびバリアントのインターフェロンタンパク質の取込みが測定されている。エクスビボT細胞活性化アッセイは、免疫原性を実験的に定量するために使用され得る。この方法において、対応供与者から得られた抗原提示細胞および未処置のT細胞は、所望のペプチドまたは全タンパク質を用いて1回以上にわたって抗原投与される。それから、T細胞活性化が、多くの方法を用いて(例えばサイトカイン産生の評価またはトリチウム化チミジンの取込みの測定によって)検出され得る。他の好適なT細胞アッセイとしては、Meidenbauer, et al. Prostate 43, 88-100 (2000); Schultes, B. C and Whiteside, T. L., J. Immunol. Methods 279, 1-15 (2003); and Stickler, et al., J. Immunotherapy, 23, 654-660 (2000)に開示されているアッセイが挙げられる。上述のT細胞活性化アッセイに使用されるPBMCの供与者は、インターフェロン応答性疾患の処置を必要とする患者において一般的である、クラスIIMHC対立因子を含み得る。例えば、ほとんどの疾患および障害について、その集団において優勢な対立因子のすべてを含んでいる供与者を試験することが所望される。しかし、特定のMHC対立因子と関連する疾患または障害に関して、インターフェロン応答性疾患に対する感受性を与える対立因子に対するスクリーニングに焦点を合わせることが、より定説であり得る。インターフェロンβに対する免疫応答を生じているPBMC供与者または患者のMHCハプロタイプは、応答を生じていない患者のMHCハプロタイプと比較され得る。このデータは、前臨床的および臨床的な研究の指針にするために、ならびにインターフェロン治療薬に対して好ましくまたは好ましくなく応答すると特に思われる患者の同定を補助するために使用され得る。免疫原性は、遺伝子導入マウスの系において測定され得る。例えば、ヒトクラスIIMHC分子の全長または一部を発現しているマウスが使用され得る。免疫原性は、1匹以上の動物(げっ歯類および霊長類が挙げられる)にインターフェロンβバリアントを投与すること、および抗体形成を評価することによって試験され得る。非ヒトの霊長類におけるMHC分子の配列、これによってペプチド結合特異性が、ヒトの配列およびペプチド結合特異性と非常に類似し得るので、明確にされているMHCハプロタイプを有する非ヒトの霊長類は、特に有用であり得る。同様に、ヒトMHCペプチド結合ドメインを発現する遺伝的に改変されたマウスモデルが使用され得る(例えば、Sonderstrup et. al. Immunol. Rev. 172: 335-343 (1999) and Forsthuber et. al. J. Immunol. 167: 119-125 (2001)を参照すればよい)。
本発明のポリペプチドを評価するさらなる方法は当業者に公知である。
<XIII.有効性、機能的インビボ半減期および薬物動態特性>
本発明の重要な局面は、水溶性ポリマー部分に対するポリペプチドの接合を有するか、または有しないIFNβポリペプチドの構築によって得られる、延長された生物学的半減期である。IFNβポリペプチドの血中濃度の急速な減少は、接合および非接合のIFNβポリペプチドおよびこれらのバリアントを用いた処置に対する生物学的応答を評価することを重要にさせている。本発明の接合および非接合のIFNβポリペプチドおよびこれらのバリアントは、例えば皮下投与または静脈内投与を介した投与の後においても血中半減期を延長し得ており、例えば、ELISA法および一次スクリーニングアッセイによる測定を可能にしている。市販の供給源(例えば、インビトロジェン(チャールズバッド、CA))から得られるELISAまたはRIAキットが使用され得る。インビボにおける生物学的半減期の測定は、本明細書に記載されているように実施される。
非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドの有効性および機能的なインビボ半減期は、Clark, R., et al., J. Biol. Chem. 271(36): 21969-21977 (1996) に記載されている手順にしたがって決定され得る。
非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドに関する薬物動態要素は、通常のオスのスピローグダウリーマウス(処理群ごとにN=5の動物)において評価され得る。動物は、静脈内に25ug/ラットまたは皮下に50ug/ラットの単回用量のいずれかを受け、およそ5−7の血液試料が、水溶性ポリマーに対して接合されていない、非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドに関して約6時間、および非天然にコードされるアミノ酸を備え、水溶性ポリマーに対して接合されているIFNβポリペプチドに関して約4日の範囲に一般的に及ぶ、予め決められた時間経過にしたがって採られる。IFNβポリペプチドに関する薬物動態のデータは、多様な種においてよく研究されており、非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドについて得られたデータに対して直接に比較され得る。Mordenti J., et al., Pharm. Res. 8(11):1351-59 (1991)を参照すればよい。
Basu et al. in Bioconjugate Chem (2006) 17:618-630には、マウスおよびラットにおけるIFNβポリペプチドの薬物動態および免疫原性の研究について記載されている。また、薬物動態パラメータは、霊長類(例えばカニクイザル)において評価され得る。一般に、単回注射によって皮下または血管内のいずれかに投与され、血清中IFNβレベルが一定の期間にわたって評価される。
本発明に係るIFNβポリペプチドの特定の活性は、当該技術において公知の方法によって決定され得る。本発明にしたがって得られ、精製されたIFNβポリペプチド変異体、またはこれらの断片の生物活性は、本明細書に記載されているか、もしくは言及されている方法または当業者に公知の方法によって試験され得る。
IFNβポリペプチドは、疾患の動物モデル(例えばマウスまたはラットの多発性硬化症のEAEモデル)を処置する有効性について分析され得る。動物モデル(例えば一般的に使用される実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデル)は、本発明のポリペプチドの有効性を明らかにするために使用され得る。EAEモデルにおいて、ミエリンまたはミエリン由来タンパク質を用いた免疫化が、ヒトにおける多発性硬化症の炎症性および神経性の特徴の大部分を模倣する疾患を引き起こす。EAEは、マウス、ラット、ウサギおよびマーモセットにおいて使用されている(Cannella et al. PNAS, 95, 10100 5, 1998, Zaprianova et al. Morfologiia, 112, 25 8, 1997, Hassouna et al. J. Urology, 130, 806 10, 1983, Genain & Hauser J. MoI. Med. 75, 187 97, 1997)。他のモデルとしては、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)モデル(Murray et al. J. Neurosci. 18, 7306 14, 1998)が挙げられ、当該モデルがIFNβの有効性を明らかにするために使用され得る。
<XIV.投与および薬学的組成物>
本発明のポリペプチド(これらに限定されないが、IFNβ、シンセターゼ、1つ以上の非天然アミノ酸タンパク質などが挙げられる)は、好適な薬学的担体と組み合せて(限定されないが、これが挙げられる)、治療的使用に任意に採用される。当該組成物は、例えば、治療有効量の化合物、および薬学的に受容可能な担体もしくは賦形剤を備える。当該担体または賦形剤としては、これらに限定されないが、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノール、および/またはこれらの組合せが挙げられる。調合物は、投与形態に合わせて作製される。一般的に、タンパク質を投与する方法は、当業者に公知であり、本発明のポリペプチドの投与に適用され得る。組成物は、酸付加塩および塩基付加塩の両方を含むことが意図される薬学的に受容可能な塩として表されるような、水溶性の形態であり得る。
本発明の1つ以上のポリペプチドを備える治療組成物は、当業者に公知の方法にしたがって、有効性を確かめ、用量を評価するために、疾患の1つ以上のインビトロおよび/またはインビボにおける動物モデルにおいて、任意に試験され得る。特に、用量は、天然アミノ酸相同物に対する本明細書における非天然アミノ酸の活性、安定性またはたの好適な測定(1つ以上の非天然アミノ酸を含めるために修飾されたIFNβポリペプチドの、天然アミノ酸のIFNβポリペプチドに対する比較および1つ以上の非天然アミノ酸を含むために修飾されているIFNβポリペプチドの、現在利用可能なIFNβ処置に対する比較)(すなわち、比較アッセイ)によって最初に決定され得る。
投与は、血液または組織細胞と最終的に接触する分子の導入に通常に使用される任意の経路による。本発明の非天然アミノ酸ポリペプチドは、1つ以上の薬学的に受容可能な担体を任意に伴って、任意の好適な様式において投与される。本発明に関する当該ポリペプチドの患者に対する投与の好適な方法が利用可能であり、そして、2つ以上の経路が特定の組成物を投与するために使用されるが、特定の経路は、他の経路よりも即時のかつ効果的な作用または反応をしばしば提供できる。
薬学的に受容可能な担体は、投与される特定の組成物よって、これと同様に組成物を投与するために使用される方法によって、部分的に決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の広範な好適な調合物がある。
本発明のIFNβポリペプチドは、タンパク質またはペプチドにとって任意の好適な従来の経路(これに限定されないが、非経口的(例えば、注入(これらに限定されないが、皮下的、静脈内的、または注入もしくは点滴の任意の他の形態が挙げられる))が挙げられる)によって投与され得る。ポリペプチド組成物は、多くの経路(これらに限定されないが、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、経皮、皮下、局所、舌下、または直腸の手段が挙げられる)によって投与され得る。また、修飾されたか、または非修飾の非天然アミノ酸ポリペプチドの組成物は、リポソームを介して投与され得る。当該投与経路および調合物は、当業者にとって公知である。非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、単独にか、または他の好適な成分(例えば、薬学的担体)と組み合せて使用され得る。また、非天然にコードされるアミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、他の薬剤と組み合せて使用され得る。
また、単独の、または他の好適な組成物との組合せの、非天然アミノ酸を備えるIFNβポリペプチドは、吸入を介して投与されるためのエアロゾル調合物(すなわち、それらは“霧状化”され得る)に作製され得る。エアロゾル調合物は、圧縮化可能な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、および窒素など)に配合され得る。
例えば、関節内(関節における)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、および皮下の経路といった、非経口投与に好適な調合物としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および意図される受容物の血液と等張な調合物にさせる溶液を含有できる、水性および非水性の等張無菌注入溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤、および防腐剤を含むことができる、水性および非水性の無菌懸濁液が挙げられる。IFNβの調合物は、容器(例えば、アンプルおよびバイアル)に密封された単回用量または多回用量において提供され得る。
非経口投与および静脈内投与は、投与の好ましい方法である。特に、天然アミノ酸相同物治療に関してすでに使用中の投与の経路(これらに限定されないが、EPO、GH、G−CSF、GM−CFS、IFN、インターロイキン、抗体、抗体断片、FGFおよび/または任意の他の薬学的送達タンパク質にとって使用される経路が挙げられる)が、現在使用中の調合物と共に、本発明のポリペプチドにとっての投与および調合物の好適な経路を提供する。
本発明に照らして、患者に投与される用量は、長期間にわたって患者に有益な治療応答または他の好適な活性を示すために十分な用途に依存する量である。用量は、特定のベクターもしくは調合物の有効性、および採用される非天然アミノ酸ポリペプチドの安定性もしくは血中半減期、および患者の状態、これらと同様に処置される患者の体重または表面積によって決定される。また、用量の大きさは、特定の患者における特定のベクター、または調合物などの投与に付随する任意の副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
疾患(これらに限定されないが、がん、遺伝疾患、糖尿病、またはAIDSなどが挙げられる)の処置または予防において投与されるベクターまたは調合物の有効量の決定において、医師は、循環血漿濃度、調合物の毒性、疾患の進行、および/または該当する場合に、抗非天然アミノ酸ポリペプチド抗体の産生を評価する。
例えば70キログラムの患者に投与される用量は、現在使用されている治療タンパク質の用量と同等な範囲において、関連組成物の変更された活性または血中半減期に関して典型的に調節される。本発明のベクターまたは調合物は、従来公知の任意の治療(抗体投与、ワクチン投与、細胞毒性物質の投与、天然アミノ酸ポリペプチドの投与、核酸の投与、ヌクレオチド類似物の投与、および生体反応調節因子の投与が挙げられる)による処置条件を補うことができる。
投与に関して、本発明の調合物は、関連調合物のLD−50もしくはED−50よって、および/または患者の集団および全体的な健康状態に対して適用されるような(これが挙げられるが、限定されない)、種々の条件における非天然アミノ酸ポリペプチドの任意の副作用の観察によって、決定される割合において投与される。投与は、単回用量または分けられた用量を介して達成され得る。
調合物の注入を受ける患者が熱を出すか、寒気を覚えるか、または筋肉痛を覚える場合には、彼/彼女は、適量のアスピリン、イブプロフェン、アセトアミノフェン、または他の痛覚/熱制御薬を受ける。注入に対する反作用(例えば、熱、筋肉痛、および悪寒)を経験する患者は、さらなる注入の30分前に、アスピリン、アセトアミノフェン、または(これが挙げられるが、限定されない)ジフェンヒドラミンのいずれかを用いて前投与される。メペリジンは、解熱剤および抗ヒスタミン剤にすぐに反応しないひどい悪寒および筋肉痛に対して使用される。細胞注入は、反作用の重篤度に依存して速度を落とされるか、または中断される。
本発明のヒトIFNβポリペプチドは、哺乳類の対象に対して直接に投与され得る。投与は、対象に対するIFNβポリペプチドの導入に通常に使用される経路のうちいずれかによる。本発明の実施形態に係るIFNβポリペプチド組成物としては、経口、直腸、局所、吸入(これに限定されないが、エアロゾルを介した吸入が挙げられる)、頬側(これに限定されないが、舌下が挙げられる)、膣、非経口(これらに限定されないが、皮下、筋肉内、皮内、間接内、胸膜内、腹腔内、大脳内、動脈内、胸膜内、または静脈内が挙げられる)、局所(すなわち、皮膚および気道の表面を含む粘膜の表面の両方)、肺、眼内、鼻腔内および経皮の投与に好適なそれらが挙げられるが、所定の場合のいずれかにおける最も好適な経路は、処置される性質および重篤度に依存する。投与は、局所的であるか、または全身性であるかのいずれかであり得る。化合物の調合物は、容器(例えば、アンプルおよびバイアル)に密閉された単回用量または多回用量に存在し得る。本発明のIFNβポリペプチドは、薬学的に受容可能な担体を伴った、単回用量の形態(これらに限定されないが、溶液、懸濁液、または乳液が挙げられる)における混合物に調製され得る。また、本発明のIFNβポリペプチドは、連続的な注入(これに限定されないが、浸透圧ポンプといったミニポンプを用いた注入が挙げられる)、単回の大量瞬時投与、または緩徐に放出する徐放性製剤調合物によって投与され得る。
投与に好適な調合物としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および調合物に等張性を与える溶液を含有できる、水性および非水性の溶液、等張無菌溶液、ならびに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および防腐剤を含むことができる、水性および非水性の無菌懸濁液が挙げられる。溶液および懸濁液は、これまでに記載したような、無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。
凍結乾燥は、所定のタンパク質調製物から水を取り除く役割を果たす、タンパク質を提供する技術に通常に採用される。凍結乾燥(freeze-drying)、または凍結乾燥(lyophilization)は、乾燥される物質がまず凍結され、それから氷または凍結した溶媒が真空条件における昇華によって除去される過程である。賦形剤が、凍結乾燥過程における安定性の上昇および/または保存状態における凍結乾燥産物の安定性の向上を目的として、凍結乾燥前の調合物に含められ得る。Pikal, M. Biopharm. 3(9)26-30 (1990)およびArakawa et al. Pharm. Res. 8(3):285-291 (1991)。
また、製薬の噴霧乾燥は、当業者に公知である。例えば、Broadhead, J. et al., "The Spray Drying of Pharmaceuticals," in Drug Dev. Ind. Pharm, 18 (11 & 12), 1169-1206 (1992)を参照すればよい。小分子製薬に加えて、種々の生体物質は、噴霧乾燥されており、これらとしては、酵素、血清、血漿、微生物および酵母が挙げられる。噴霧乾燥は、1段階の過程において液体の製薬調製物を高純度の粉末、ほこりのない粉末、または凝集粉に転換できるので、有用な技術である。基本的な技術は、以下の4つの段階:(a)供給溶液の水煙への霧状化;(b)水煙−空気接触;(c)水煙の乾燥;および(d)乾燥空気からの乾燥産物の分離を包含する。参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,235,710号明細書および米国特許第6,001,800号明細書には、噴霧乾燥による組換えエリスロポエチンの調製物に関して記載されている。
本発明の薬学的組成物および調合物は、薬学的に受容可能な担体、賦形剤、または安定化剤を備え得る。薬学的に受容可能な担体は、投与される特定の組成物によって、これと同様に、組成物の投与に使用される特定の方法によって、部分的に決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の広範な好適な調合物(薬学的に受容可能な担体、賦形剤、または安定化剤を任意に含む)がある(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed. 1985)を参照すればよい)。
好適的な担体としては、これらに限定されないが、コハク酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、HEPES、クエン酸塩、ヒスチジン、イミダゾール、酢酸塩、重炭酸塩および他の有機酸を含有する緩衝液;抗酸化剤(これに限定されないが、アスコルビン酸が挙げられる);低分子量ポリペプチド(これらに限定されないが、10残基未満のそれらが挙げられる);タンパク質(これらに限定されないが、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンが挙げられる);親水性ポリマー(これに限定されないが、ポリビニルピロリドンが挙げられる);アミノ酸(これらに限定されないが、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、ヒスチジンもしくはヒスチジン誘導体、メチオニン、グルタミン酸塩、またはリジンが挙げられる);単糖類、2糖類、他の糖(これらに限定されないが、トレハロース、スクロース、グルコース、マンノース、またはデキストリンが挙げられる);キレート剤(これらに限定されないが、EDTAおよびエデンテート(edentate)2ナトリウムが挙げられる);2価の金属イオン(これらに限定されないが、亜鉛、コバルト、または銅が挙げられる);糖アルコール(これらに限定されないが、マンニトールまたはソルビトールが挙げられる);塩形成対イオン(これらに限定されないが、ナトリウムおよび塩化ナトリウムが挙げられる);微結晶性セルロース、ラクトース、コーンスターチおよびたのスターチといった充填剤;甘味剤および香料添加剤;着色剤;および/または非イオン性界面活性剤(これに限定されないが、トウィーン(Tween)(商標)(これらに限定されないが、トウィーン80(ポリソルベート 80)およびトウィーン20(ポリソルベート 20)、Pluronics(商標)および他のプルロン酸(これに限定されないが、および他のプルロン酸(これに限定されないが、プルロン酸 F86(ポロオキサマー(poloxamaer)188)が挙げられる)が挙げられる)が挙げられる)、またはPEGが挙げられる)が挙げられる。好適な界面活性剤としては、これらに限定されないが、例えば、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)(すなわち、(PEO−PPO−PEO))、またはポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(プロピレンオキシド)(すなわち、(PPO−PEO−PPO))、またはこれらの組合せに基づいたポリエーテルが挙げられる。PEO−PPO−PEOおよびPPO−PEO−PPOは、Pluronics(商標)、R−Pluronics(商標)、Tetronics(商標)およびR−Tetronics(商標)(BASF Wyandotte Corp.、Wyandotte、Mich.)という商品名において市販されており、言及によってその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第4,820,352号明細書にさらに記載されている。他のエチレン/プロピレンブロックポリマーは、好適な界面活性剤であり得る。界面活性剤または界面活性剤の組合せは、1つ以上の負荷(これに限定されないが、攪拌から生じる負荷が挙げられる)に対してPEG付加IFNβを安定化させるために、使用され得る。上述のうちのいくつかは、“充填剤”と呼ばれ得る。また、いくつかは、“強直性変更剤(tonicity modifier)”と呼ばれ得る。また、抗菌性防腐剤が、産物の安定性および抗菌有効性を目的として適用され得;防腐剤としては、これらに限定されないが、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、メタクレゾール、メチル/プロピル パラベン、クレゾール、およびフェノール、またはこれらの組合せが挙げられる。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,144,574号明細書には、本発明の薬学的組成物および製剤ならびに他の輸送調整物において好適であり得る付加的な材料について記載されている。
また、本発明のIFNβポリペプチド(これらに限定されないが、PEGといった水溶性ポリマーに対して連結されるそれらが挙げられる)は、徐放性の系の一部によってか、または一部として投与され得る。徐放性組成物としては、これに限定されないが、成形された品の形態(これらに限定されないが、フィルム、またはマイクロカプセルが挙げられる)における半透過性のポリマーマトリクスが挙げられる。徐放性のマトリクスとしては、生体適合性材料から得られるもの(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langer et al., J. Biomed. Mater. Res., 15: 267-277 (1981); Langer, Chem. Tech., 12: 98-105 (1982) )、エチレンビニルアセテート(上述のLanger et al)またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシブチル酸(欧州特許出願公開第133,988号明細書)、ポリラクチド(ポリ酪酸)(米国特許第3,773,919号明細書;欧州特許出願公開第58,481号明細書)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチド−コ−グリコリド(酪酸およびグリコリドの共ポリマー)のポリ無水物、L−グルタミン酸およびガンマ−エチル−L−グルタミン酸塩の共ポリマー(Sidman et al., Biopolymers, 22, 547-556 (1983) )、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、硫酸コンドロイチン、カルボキシル酸、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、アミノ酸(例えば、フェニルアラニン、チロシン、イソロイシン)、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンならびにシリコン)が挙げられる。また、徐放性組成物は、リポソームに取り込まれる化合物が挙げられる。化合物を含有するリポソームは、それ自体が公知の方法によって調製される(独国特許出願公開第3,218,121号明細書;Eppstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82: 3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 77: 4030-4034 (1980);欧州特許出願公開第52,322号明細書;欧州特許出願公開第36,676号明細書;米国特許第4,619,794号明細書;欧州特許出願公開第143,949号明細書;米国特許第5,021,234号明細書;日本国出願公開第83−118008号明細書;米国特許第4,485,045号明細書および米国特許第4,544,545号明細書;および欧州特許出願公開第102,324号明細書)。引用された参考文献および特許文献のすべては、参照によって本明細書に組み込まれる。
リポソームに取り込まれたIFNβポリペプチドは、例えば、独国特許出願公開第3,218,121号明細書;Eppstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 82: 3688-3692 (1985);Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 77: 4030-4034 (1980);欧州特許出願公開第52,322号明細書;欧州特許出願公開第36,676号明細書;米国特許第4,619,794号明細書;欧州特許出願公開第143,949号明細書;米国特許第5,021,234号明細書;日本国出願第83−118008号明細書;米国特許第4,485,045号明細書および米国特許第4,544,545号明細書;および欧州特許出願公開第102,324号明細書に記載されている方法によって調製され得る。組成物およびリポソームの大きさは、公知であるか、または経験的に当業者によって容易に決定され得る。リポソームのいくつかの例が、例えば、Park JW, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:1327-1331 (1995) ;Lasic D and Papahadjopoulos D (eds): Medical Applications of Liposomes (1998);Drummond DC, et al., Liposomal drug delivery systems for cancer therapy, in Teicher B (ed): Cancer Drug Discovery and Development(2002);Park JW, et al., Clin. Cancer Res. 8:1172-1181 (2002); Nielsen UB, et al., Biochim. Biophys. Acta 1591(1-3):109-118 (2002);Mamot C, et al., Cancer Res. 63: 3154-3161 (2003)に記載されている。引用された参考文献および特許文献のすべてが、参照によって本明細書に組み込まれる。IFNβの多くの製剤(これらに限定されないが、鼻腔内製剤、ヒドロゲル製剤および液体製剤が挙げられる)について説明されている(参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第2005/120551号パンフレット、国際公開第2005/110466号パンフレットおよび国際公開第2005/058346号パンフレットを参照すればよい)。他の製剤について、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第95/31479号パンフレットおよび国際公開第95/31213号パンフレットに記載されている。
本発明に照らして、患者に対して投与される用量は、長期間にわたって対象において有益な応答を引き起こすに十分な量であるべきである。一般的に、投与ごとに非経口的に投与される、本発明のIFNβポリペプチドの治療有効量の総計は、患者の体重の約0.01ug/kg/日から約100ug/kg/日まで。または約0.05mg/kg/日から約1mg/kg/日の範囲であるが、これは治療の自由裁量に従う。また、投与の頻度は、治療の自由裁量に従い、ヒトにおける利用を承認されている、市販のIFNβポリペプチド産物よりも、高い頻度であり得るか、または低い頻度であり得る。一般的に、本発明のPEG付加IFNβポリペプチドは、上述の投与経路のうちのいずれかによって投与され得る。
<XV.本発明のIFNβの治療的使用>
本発明のIFNβポリペプチドは、広範な疾患の処置に有用である。
本発明のIFNβポリペプチドは、多発性硬化症にかかっている個体に対して投与され得る。本発明のIFNβポリペプチドは、種々の悪性腫瘍、がん、腫瘍または腫瘍性血管新生(例えば、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、基底細胞がん、卵巣がん、子宮頚部形成異常、頚がん、咽頭乳頭腫症、菌状息肉腫、神経膠腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、ホジキン病、黒色腫、乳がん、非小細胞肺がん、悪性黒色腫(補佐剤、末期および予防)、カルチノイド、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、カポジ肉腫、慢性骨髄性白血病、腎細胞がん、再発性の表在性膀胱がん、結腸直腸がん、有毛細胞白血病、および骨肉種)の処置に使用され得る。IFNβは、種々のウイルス感染(これらに限定されないが、ウイルス性肝炎、ヘルペス性の帯状疱疹および陰部疱疹、パピローマウイルス、ウイルス性脳炎、サイトメガロウイルス肺炎、ヘルペス性角膜炎、単純ヘルペス、ライノウイルス慢性持続性肝炎、慢性活動性HCV(I型)、慢性活動性HCV(II型)およびB型慢性肝炎、潰瘍性大腸炎、ギランバレー症候群、神経膠腫、突発性肺繊維症、異常な細胞増殖が挙げられる)、または免疫修飾に対する治療薬として使用され得る。
本発明のIFNβポリペプチドは、多発性硬化症(MS)(例えば、MSの一般的に認識されている4つの種類(良性の再発性弛張性MS(RRMS)、原発性進行性MS(PPMS)および続発性進行性MS(SPMS)、単一症状のMS)のいずれか)、がんもしくは腫瘍、肝炎(例えば、B型肝炎およびC型肝炎)、またはヘルペス感染の処置(IL−10を用いる処置と任意に組み合せられる後者の処置)に使用され得る。
また、本発明は、IFNβ1aに対する循環抗体(例えば、アボネックス(商標)およびレビフ(商標))、またはIFNβ1bに対する循環抗体(例えば、ベータセロン(商標))を有する哺乳類を処置する方法を包含する。当該方法は、上記抗体との低下した反応性を有するか、または上記抗体と非反応性であるIFNβポリペプチドの有効量を投与することに関する。処置される哺乳類は、上述した疾患のいずれか、またはIFNβが有用な処置剤である障害のいずれかにかかっていてもよい。また、本発明に包含されるのは、IFNβ1aに対する循環抗体(例えば、アボネックス(商標)およびレビフ(商標))、またはIFNβ1bに対する循環抗体(例えば、ベータセロン(商標))を有する、哺乳類の処置に使用する薬学的製品の製造方法である。当該循環抗体との低下した反応性を有するか、または当該循環抗体と非反応性である(例えば、反応が少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%(すなわち非反応性)だけ低減されている)本発明のIFNβポリペプチドは、注入可能な製剤または他の好適な製剤に調合される。市販のIFNβ調整物(レビフ(登録商標)、ベータセロン(登録商標)、アボネックス(登録商標))のいずれかを用いて処置されていることに応じて哺乳類において形成された抗体(特に中和抗体)は、“循環抗体”と呼ばれ得る。
参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第207/042602号パンフレットには、虚血再灌流障害または多臓器不全の予防または処置に対するIFNβの使用について記載されている。種々の障害(腹部障害、腸閉塞、心血管の外科的処置および身体機能の甚だしい低下状態が挙げられる)は、腸管の虚血再灌流障害(IRI)を導き得る。また、局所的な障害の原因に加えて、IRIは、多臓器不全と呼ばれる症候群を生じる隔たった臓器における全身性の炎症性応答を誘発する。この症候群において、特に肺が損傷を受け易い。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2004/0105843号明細書には、患者における酸素症/虚血と関連する血流抵抗性に対するインターフェロンβの使用について記載されている。
参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2007/025991号パンフレットには、ステロイド化合物およびインターフェロンβタンパク質の逐次投与または同時投与を包含する、脱髄性視神経炎(DON)の患者を処置する方法について記載されている。また、初期のON(視神経炎)の徴候を示す患者は、IFNβ処置によって恩恵を受けると思われた。
参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2006/064026号パンフレットには、IFNαを用いた処置をこれまでに受けていないHCVが感染した個体を処置するためのIFNβの使用について記載されている。
国際公開第2003/075944には、脳卒中または一過性の虚血性発作の処置用のIFNβ様ポリペプチドについて記載されている。IFNβが他の物質と組み合わせて使用され得る。組合せとしては、炎症性腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎およびクローン氏病)を処置する因子XIIIと併せたインターフェロンβ;リバビリンを伴ったIFNβ(参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第2004/017921号パンフレット;国際公開第2004/002500号パンフレット;国際公開第2004/075903号パンフレット)が挙げられる。IFNβポリペプチドは、CMLの単独療法、B細胞リンパ腫の単独療法、濾胞性リンパ腫の治療、C型肝炎の単独療法、多発性骨髄腫の単独療法、または腎がんの単独療法に使用され得る。IFNβポリペプチドは、CMLの治療に対してシタラビンと組み合せて、B細胞リンパ腫の治療に対してドキソルビシンを用いる療法と組み合わせて、濾胞性リンパ腫の治療においてCHOP様領域に対する添加剤として、C型肝炎の治療に対してリバビリンと組み合わせて、多発性骨肉種の治療に対してVBMCP、BCNUもしくはVBMCP+HiCyと組み合わせて、または腎がんの治療に対してビンブラスチン、フロクスウイリジン、5−フルオロウラシルまたはIL−10と組み合わせて使用され得る。
IFNβの平均量は、変化し得、特に有資格医師の推奨および処方に基づくべきである。IFNβの正確な量は、処置される障害、処置される患者の状態、および組成物における他の成分の正確な種類のような要因に影響を受ける優先度の問題である。また、本発明は他の活性薬の治療有効量の投与を提供する。投与されるべき量は、IFNβを用いた療法に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。
本発明の薬学的組成物は、従来の手法において製造され得る。
〔実施例〕
以下の実施例は、例示のために提示されており、請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
〔実施例1〕
本実施例において、非天然にコードされるアミノ酸のIFNβへの組込み部位を選択する基準の見込みのある多くの集合のいくつかについて説明する。
PDBのID 1AU1を有する結晶構造の解析に基づいて、7つの部位:28位、36位、76位、80位、107位および111位が非天然にコードされるアミノ酸p−アセチルフェニルアラニンを用いた置換用に選択された(図1を参照すればよい)。残基80(N80)は、糖鎖付加部位である。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上がIFNβの以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上において組み込まれる。いくつかの実施形態において、以下の位置:28位、36位、76位、80位、107位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が水溶性ポリマーに連結されている。
個々の分析において、平均のCx値がPDBのID 1AU1を有する結晶構造に基づくインターフェロンβについて算出された。Cxプログラム(Pintar et al. (2002) Bioinformatics, 18, pp 980)を用いて各タンパク質原子に関する突出の程度が評価された。Karpusas, M., Nolte, M., Benton, C.B., Meier, W., Lipscomb, W.N., Goelz, S. Proc Natl Acad Sci 1997 94:11813-11818には、ヒトインターフェロンβの結晶構造について記載されいている。以下の基準によって非天然にコードされるアミノ酸の導入に関して、インターフェロンβの各位置を評価した。(a)構造解析に基づいてIFN受容体の結合を妨げない残基、(b)アラニンスキャニング変異生成または相同性スキャニング変異生成によって影響を受けない残基、(c)表面に露出し、周囲の残基と最小のファンデルワールス力または水素結合相互作用を示す残基、(d)インターフェロンβバリアントにおいて欠失されているか、または可変性である残基、(e)非天然にコードされるアミノ酸を用いた置換によって保存的な変化を生じる残基、および(f)自由度の高い領域または構造的に堅固な領域に見られる残基。
以下に異なるヘリックスと関連する残基:残基2−22(ヘリックスA);残基51−71(ヘリックスB);残基80−107(ヘリックスC);残基118−136(ヘリックスD);および残基139−162(ヘリックスE)を示す。ABループは、部分−AB1(残基23−35);AB2(残基36−40);およびAB3(残基41−50)として表され得る。インターフェロンβは、80位(Asn80)において糖鎖付加される。自由なシステインは、インターフェロンβの野生型配列において17位(Cys17)にある。中和抗体結合領域は残基41−49である。IFN受容体(IFNα R2)に対する推定の2つの結合領域:(1)残基25−35および(2)残基121−135がある。IFNα R1に対する推定の結合領域は残基80−100である。
いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、以下の位置:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上において組み込まれている。
いくつかの実施形態において、インターフェロンβにおける二次構造に対応する以下の領域:ヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における任意の位置に組み込まれている。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、インターフェロンβの残基25−35、80−100および121−135(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている。他の実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸は、インターフェロンβの残基41−49(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。図1、図2および表2を参照すればよい。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上は、IFNβの以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上に組み込まれている。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、天然アミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸のC17S置換(17位のシステインをセリンに置換)を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸のC17S置換(17位のシステインをセリンに置換)、ならびにシグナル配列における天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失の1つ以上を含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列における非天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号4のシグナル配列における天然にコードされるアミノ酸の置換、付加または欠失を1つ以上含んでいる。いくつかの実施形態において、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上が、配列番号4または他のIFNβ配列のリーダー配列またはシグナル配列において組み込まれている。
いくつかの実施形態において、以下の位置:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸、または他のIFNβ配列における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が水溶性ポリマーに連結されている。
いくつかの実施形態において、以下の領域:ヘリックスA(2−22);ヘリックスB(51−71);ヘリックスC(80−107);ヘリックスD(118−136);ヘリックスE(139−162);ABループのAB1(23−35);ABループのAB2(36−40);ABループのAB3(41−50)(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの残基25−35、80−100および121−135(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。他の実施形態において、以下の領域:インターフェロンβの残基41−49(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の位置:8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ((配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、以下の位置:15位、42位、80位、108位、111位、155位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ((配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つ以上における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。いくつかの実施形態において、シグナル配列またはリーダー配列(配列番号4または他のIFNβ配列)における非天然にコードされるアミノ酸が、水溶性ポリマーに連結されている。
リーダー配列/ペプチドまたはシグナル配列/ペプチドなしの、C17S置換を有するIFNβのアミノ酸配列は、配列番号1に示されている。リーダー配列/ペプチドまたはシグナル配列/ペプチド、ならびにC17S置換なしのIFNβのアミノ酸配列は、配列番号3に示されている。リーダー配列/ペプチドまたはシグナル配列/ペプチドを有し、C17S置換なしのIFNβのアミノ酸配列は、配列番号4に示されている。
Figure 2010525821
〔実施例2〕
本実施例は、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドのE. coilにおけるクローニングおよび発現について詳述する。また、本実施例は、修飾IFNβポリペプチドの生物活性を評価する方法について説明する。
IFNβをクローニングする方法は当業者に公知である。IFNβのポリペプチド配列およびポリヌクレオチド配列、ならびに宿主細胞におけるIFNβのクローニング、この他にIFNβの精製について、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Goeddel et al., Nucleic Acids Res. 8, 4057 (1980), 米国特許第7,144,574号明細書;米国特許第6,531,111号明細書;米国特許第4,966,843号明細書;米国特許第5,376,567号明細書;米国特許第5,795,779号明細書;米国特許第7,144,574号明細書;米国特許第4,462,940号明細書;米国特許第4,894,330号明細書;米国特許第4,518,584号明細書;米国特許第5,702,699号明細書;米国特許第6,962,978号明細書;米国特許第5,814,485号明細書;米国特許第6,887,462号明細書;米国特許第6,800,735号明細書;米国特許第6,514,729号明細書;ならびに米国特許出願公開第US2002/0137895号明細書、米国特許出願公開第US2004/0115169号明細書、および米国特許出願公開第US2005/0054053号明細書に詳述されている。
リーダー配列またはシグナル配列なしの、C17S置換を有するIFNβをコードするcDNAが配列番号2に示されている。野生型IFN遺伝子に対する修飾が、最初の4コドンにおいてA−Tをより豊富にさせるために、5’末端に施された。5’末端におけるこれらの修飾は、アミノ酸配列を変更させなかった。この配列によってコードされるポリペプチドは配列番号1に示されている。
配列番号3は、リーダー配列またはシグナル配列ならびにC17S置換なしのIFNβのアミノ酸配列である。
配列番号4は、リーダー配列またはシグナル配列を有し、C17S置換なしのIFNβのアミノ酸配列である。
直交性のtRNA(O−tRNA)および直交性のアミノアシルtRNAシンセターゼ(O−RS)を含んでいる導入した翻訳系が、非天然にコードされるアミノ酸を含有するIFNβの発現に使用される。O−RSは、非天然にコードされるアミノ酸とともにO−tRNAを好ましくアミノアシル化する。翻訳系は、コードされたセレクターコドンに応じて、非天然にコードされるアミノ酸をIFNβのなかに順々に挿入する。好適なO−RS配列およびO−tRNA配列について、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2006/068802号パンフレット(発明の名称:“Compositions of Aminoacyl- tRNA Synthetase and Uses Thereof”(E9-配列番号5およびE9-配列番号24のD286R変異体))、および国際公開第2007/021297号パンフレット(発明の名称:“Compositions of tRNA and Uses Thereof”(F13;配列番号6))に記載されている。
Figure 2010525821
修飾IFNβポリヌクレオチド配列および直交性のtRNAシンセターゼ/tRNA対(所望の非天然にコードされるアミノ酸に特異的な)を含んでいるプラスミドを用いたE. coilの形質転換によって、非天然にコードされるアミノ酸のIFNβポリペプチドに対する、部位特異的な組込みが可能になる。IFNβポリペプチドの発現は、T7プロモータの制御下にあった。
(パラ−アセチル−フェニルアラニン(pAF)を用いた抑制)
発現コンストラクトは、配列版g脳3に示されるポリペプチド配列に基づいて生成された。各コンストラクトは、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位のいずれか1つに非天然にコードされるアミノ酸の置換を有するIFNβポリペプチドを生成する、アンバーストップコドンを有していた。
BL21DE3 E. coi細胞は、IFNβポリペプチドの発現用プラスミドによって形質転換された。パラ−アセチル−フェニルアラニン(pAF)が細胞に加えられ、タンパク質発現が誘導された。IFNβポリペプチド発現のSDS−PAGE分析について、図3に示されており、IFNβポリペプチドは矢印を用いて印が付されている。レーン1−元の野生型IFNβポリペプチド(CODA、ヒルズ、CAから入手されらポリヌクレオチド配列);レーン2−L28pAF;レーン3−M36pAF;レーン4−S76pAF;レーン5−N80pAF;レーン6−E107pAF;レーン7−K108pAF;レーン8−F111pAF;レーン9−最適化された5’末端を有する野生型IFNβ。pAFによって置換されたIFNβポリペプチドに関して、L28pAFは、例えば28位(ロイシン)(置換前の元の配列については配列番号3を参照すればよい)にパラ−アセチルフェニルアラニン置換を有するIFNβポリペプチドを指す。図3に示されている以下のIFNポリペプチド:L28pAF;M36pAF;S76pAF;N80pAF;E107pAF;K108pAF;およびF111pAFは、C17S置換を有していない。CODAから入手されたポリヌクレオチド配列は、未処理のIFNβポリヌクレオチド配列ではなかったが、当該ポリヌクレオチド配列から生じるIFNβアミノ酸配列はもとのままであった。レーン9に示されているサンプルに関して、IFNβポリヌクレオチド配列の最初の4コドンが、よりA−Tリッチになるように修飾されていたが、IFNβアミノ酸配列は変わらなかった。
また、W3110−B2 E. coil細胞は、IFNbポリペプチド発現用のプラスミドによって形質転換された。T7ポリメラーゼの発現は、アラビノース誘導プロモータの制御下にあった。パラ−アセチル−フェニルアラニン(pAF)が細胞に加えられ、タンパク質発現がアラビノース(最終濃度0.2%)の添加によって誘導された。培養物は、37℃において5時間にわたってインキュベートされた。1リットルのフラスコ培養物から、100〜200mgの封入体が単離された。図4は、W3110−B2 E. coil細胞における抑止物に由来する総溶解物(TL)、上清(S)およびペレット(P)のSDS−PAGE分析を示している。レーン1および8−マーカー;レーン2−ポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有する野生型IFNβのTL;レーン3−ポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有する野生型IFNβのS;レーン4−ポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有する野生型IFNβのP;レーン5−N80pAFおよびポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有するIFNβのTL;レーン6−N80pAFおよびポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有するIFNβのS;レーン7−N80pAFおよびポリヌクレオチド配列にA−T富化修飾を有するIFNβのP。C17S置換をコードするコンストラクトはなかった。
(付加的な構築物)
発現コンストラクトが、A−T富化5’末端を有し、C17S変異および非天然アミノ酸置換用のセレクターコドンをコードしているIFNβポリヌクレオチド配列を用いて生成された。これらのコンストラクトを用いて生成されたIFNβポリペプチドが単離され、PEG付加された。
(封入体調製物の可溶化)
細胞のペーストを、最終の固形分濃度が10%になるまで、4℃の封入体(IB)緩衝液I(50mMのTris pH8.0;100mMのNaCl;1mMのEDTA;1%のTriton X−100;4℃)に対して混合することによって再懸濁された。細胞は、合計2回にわたってマイクロフリューダイザーに再懸濁物を通すことによって、溶解された。サンプルは、遠心分離(14000g;15分;4℃)され、上清がデカンタされた。封入対ペレットは、追加のIB緩衝液I(50mMのTris pH8.0;100mMのNaCl;1mMのEDTA;1%のTriton X−100;4℃)に再懸濁されることによって洗浄され、再懸濁物が合計2回にわたってマイクロフリューダイザーに通された。サンプルは、遠心分離(14000g;15分;4℃)され、上清がデカンタされた。封入体ペレットは、1/2量の緩衝液II(50mMのTris pH8.0;100mMのNaCl;1mMのEDTA;4℃)に再懸濁された。それから、封入体は適当な容器に等分して入れられた。サンプルは、遠心分離(14000g;15分;4℃)され、上清がデカンタされた。封入体は可溶化されるか、または次の使用まで−80℃に保存された。
(封入体の可溶化)
封入体は、最終濃度が10〜15mg/mlになるまで、可溶化緩衝液(20mMのTris、pH8.0;8Mのグアジニン;10mMのβ−ME)において可溶化された。それから、可溶化された封入体は、1時間にわたってか、または完全に可溶化するまで常に攪拌しながら室温においてインキュベートされた。それから、サンプルは遠心分離(10000g;20分;4℃)されて、非可溶化物が除去された。それから、各サンプルのタンパク質濃度は、タンパク質濃度が高い場合に、さらなる可溶化緩衝液を用いた希釈によって調整された。
(リフォールディング)
リフォールディングは、最終のタンパク質濃度が0.5mg/mlになるまで20mMのTris、pH8.0;60%のスクロース;4℃においてサンプルを希釈することによって実施された。リフォールディングは4℃において5日間にわたって放置された。
(精製)
リフォールディング物は、ミリQ HOを用いて1:1に希釈された。希釈物は、0.22μmのPESフィルターに通されてろ過され、20mMのTris、pH8.0;0.15MのNaCl(緩衝液A)に平衡化されたブルーセファロース(Blue Sepharose)FFカラム(GEヘルスケア)にかけられた。フローの前に、カラムは、カラムの5倍量の30%の緩衝液B(20mMのTris、pH8.0;2MのNaCl;50%のエチレングリコール)を用いて洗浄された。IFNβポリペプチドは、カラムの10倍量の100%の緩衝液Bを用いてカラムを洗浄することによって溶出された。
(PEG付加および精製)
IFNβプールが採取され、ミリQ水を用いて10倍に希釈された。各サンプルのpHは50%の氷酢酸を用いて4.0に調整された。サンプルは、1.0mg/mlまで濃縮された。1:12モルの過剰の活性化PEG(ヒドロキシアミンPEG)が各サンプルに加えられた。それから、サンプルは48〜72時間にわたって27℃においてインキュベートされた。サンプルが採取され、水を用いて8〜10倍に希釈され(m/S)、緩衝液A(50mMのNaAc、pH6.0;50mMのNaCl;0.05%のツバイッタージェント(Zwittergent)3−14)において平衡化されたSP HP カラム(GEヘルスケア)にかけられた。IFNβの画分がプールされ、IFNβ保存緩衝液(20mMのNaAc、pH5.0;150mMのNaCl;0.05%のツバイッタージェント(Zwittergent)3−14)において平衡化されたスーパーデックス(Sperdex)200サイジングカラムにかけられた。PEG付加物が回収され、4℃において保存された。
図5はPEG付加の前および後のIFNβポリペプチドを示している。レーン1:C17S置換を有するIFNβ、レーン2:C17S置換およびL28pAF置換を有するIFNβ、レーン3:C17S置換およびM36pAF置換を有するIFNβ、レーン4:C17S置換およびS76pAF置換を有するIFNβ、レーン5:C17S置換およびF111pAF置換を有するIFNβ、レーン6:C17S置換およびL28pAF−30K PEG有するIFNβ、レーン7:C17S置換およびM36pAF−30K PEGを有するIFNβ、レーン8:C17S置換およびS76pAF−30K PEGを有するIFNβ、レーン9:C17S置換およびF111pAF−30K PEGを有するIFNβ。PEG付加分子はpAFに関して示されている位置において接合された。これらのIFNβポリペプチドのすべてのポリヌクレオチドは、上述の5’末端におけるA−T富化修飾を有していた。
(ビアコア(Biacore)試験(受容体結合アッセイ))
IFNAR2細胞外ドメインの配列(配列LLPPGQを終端に有する206アミノ酸からなる)がクローンMHS1011−61064(オープンバイオシステムズ(OpenBiosystems)、ハンツビル、AL)から増幅された。この挿入物は、pET20発現ベクター(ノバゲン)のT7プロモータの下流にクローン化された。タンパク質発現は、BL21(DE3)細胞(ノバゲン)において0.4mMのIPTGを用いて誘導された。
発現されたタンパク質が不溶性であったので、封入体が溶解細胞から精製され、6MのGndClにおいて可溶化された。5mlの等分量(50mg量)が10mMのDTTを用いて45分間にわたって37℃において還元された。それから、混合物は、50mMのTris、pH8.0;20mMのNaCl;0.5Mmのアルギニン;10%のグリセロール;4℃からなる200mlのリフォールディング緩衝液に注入され、穏やかに攪拌しながらオーバーナイトにおいてインキュベートされた。
それから、リフォールディング反応物は、アミコン(Amicon)攪拌細胞を用いて25mlまで濃縮され、オーバーナイトにおいて20mMのTris、OH8;20mMのNaCl;10%グリセロールに対して透析された。モノマーのリフォールディングIFNAR ECDがAKTA FPLCシステム(アマシャム)を用いてHP Qセファロース上において精製された。精製IFNAR ECDが、製造者によって推奨されているリジン特異的な結合手法を用いてCM5ビアコアチップ上に固定化された。約200RUの機能的なタンパク質が固定化された。HBS−EP緩衝液(ビアコア)における種々の濃度を有するIFNβバリアントが、固定化されたIFNAR2を含有するフローセルおよび固定化されたウシ血清アルブミンを含有する対照フローセルを通して、50mcl/分の流速において注入された。生成されたセンソグラム(Sensogram)は、1:1の相互作用モデルに適合されて、ビアエバリュエーション(BiaEvaluation)ソフトウェア(ビアコア)を用いてkon、koffおよびkを算出した。インターフェロン製品であるペガシス(登録商標)およびロフェロン(登録商標)が対照サンプルとして含められた。表4は、IFNβポリペプチドをIFNβポリペプチドを用いて得られた平均Kを示している。
Figure 2010525821
(VSV抗ウイルスアッセイ)
IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性は、種々のアッセイによって測定され得る。IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性は、水疱性口内炎ウイルス(VSV)を用いて決定された。このアッセイにおける培養培地は、10%のFBS、1%のペニシリン/ストレプトマイシン、5mLのHEPESを含むDMEMである。付加的な試薬がFBSおよびフェノールレッドなしのRPMIに含められた。使用されたMTTストックの濃度は、PBSにおいて5mg/mlであった。このストック溶液は2週間にわたってのみ4℃において保存された。
ヒトWISH細胞が50μlの培養培地において30000細胞/ウェルにおいて播かれた。2日後に、培養培地におけるIFNβポリペプチドの2倍の系列希釈が実施された。C17S天然アミノ酸置換を有するIFNβがこれらの実験の対照として使用された。100μlの希釈IFNβポリペプチドが3連において、ウェルの最終量が150μlになるまでWISH細胞に加えられた。細胞およびIFNβポリペプチドはCOインキュベーターにおいて6時間にわたって37℃においてインキュベートされた。この6時間のインキュベーションの後に、10000PFUのVSVが、50μlの培地においてウェルごとに加えられた;20μlのVSVが96ウェルプレートごとに5mlの培地に希釈された。培地は、感染後45時間後に吸引によって除去された。このプレートは、ペーパータオル上において穏やかにタップされて、残りの培地を取り除いた。
フェノールレッドおよびFBSなしのRPMIにおいて調製された、50μlの1mg/mlのMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)が、5mg/mlのMTTストック溶液から加えられた。通常、1mg/mlのMTTはアッセイごとにあらたに調製された。次に、プレートがCOインキュベーターにおいて3時間にわたって37℃においてインキュベートされた。MTTは吸引によって慎重に取り除かれた。50μlのイソプロパノールがウェルごとに加えられた。プレートはプレートシェーカー上に30〜40秒にわたって振とうされて、MTTの形成を完了させた。プレートは、690nmを基準波長として用いて、560nmにおいて読み取られた。データがプロットされ、IC50がシグマプロットプログラムを用いて算出された。
表5はIFNβポリペプチドの抗ウイルス活性をまとめたものである。2番目の縦の欄は、各化合物に関するIC50値を示している。2つの分子((C17S)M36pAF−30K PEGおよび(C17S)F111pAF−30K PEG)は、野生型分子((C17S)−IFNβ)を超えて増強した抗ウイルス活性を有していた。
Figure 2010525821
〔実施例3〕
本実施例において、カルボニル含有アミノ酸の導入およびこれに続くアミノオキシ含有PEGとの反応について詳述する。
本実施例において、ケトンを含有する非天然アミノ酸を組み込んでいるIFNβポリペプチドの生成方法を示す。当該非天然アミノ酸は、おおよそ分子量5000のアミノオキシ含有PEGと後ほど反応させるられる。以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)のいずれかは、以下の構造:
Figure 2010525821
を有する非天然にコードされるアミノ酸を用いて個別に置換されている。
IFNβに対するp−アセチル−フェニルアラニンの部位特異的な組込みに利用される配列は、実施例2において上述した、配列番号(IFNβ)、配列番号6もしくは7(muttRNA、M.ジャナスキー mtRNATyr CUA)、および配列番号24、5、19、20、21(TyrRS LW1、5または6)である。
修飾を受けると、カルボニル含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは3であり、Nはおおよそ5000の分子量である)
のアミノオキシ含有PEGと反応させられる。25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH6.0、25mMのHEPES(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または10mMの酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において10mg/mlの濃度に溶解された、p−アセチルフェニルアラニンを含んでいる精製IFNβは、10〜100倍の過剰量のアミノオキシ含有PEGと反応させられ、それから10〜16時間にわたって室温において攪拌される(Jencks, W. J Am. Chem. Soc. 1959, 81, pp 475)。それから、PEG−IFNβは直後の精製および分析に適した緩衝液に希釈される。
〔実施例4〕
アミド結合を介してPEGに連結されたヒドロキシアミン基からなる、PEGとの接合物。
以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、Nはおおよそ5000の分子量である)
を有するPEG試薬は、実施例3に記載の手法を用いてケトン含有非天然にコードされるアミノ酸と結合される。反応、精製および分析の条件は実施例3に記載の通りである。
〔実施例5〕
本実施例において、2つの異なる非天然にコードされるアミノ酸をIFNβポリペプチドに導入する方法について詳述する。
本実施例において、以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)のうち2つの位置に、ケトン官能性基を含んでいる非天然にコードされるアミノ酸を組み込んでいるIFNβポリペプチドを生成する方法を示す。IFNβポリペプチドは、セレクターコドンが核酸内の2つの異なる位置に導入されている点を除いて、実施例1および2に記載の通りに調製される。
〔実施例6〕
本実施例は、ヒドラジド含有PEGに対するIFNβポリペプチドの接合およびこれに続くインシチュ還元について詳述する。
カルボニル含有アミノ酸を組み込んでいるIFNβポリペプチドは、実施例2および3に記載の手法にしたがって調製される。修飾を受けると、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−X−NH−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは2であり、Nはおおよそ10000の分子量であり、Xはカルボニル(C=O)である)
ヒドラジド含有PEGは、IFNβポリペプチドに対して接合される。p−アセチルフェニルアラニンを含有する精製IFNβは、25mMのMES(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH6.0、25mMのHEPES(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH7.0、または10mMの酢酸ナトリウム(シグマケミカル、セントルイス、MO)pH4.5において0.1〜10mg/mlの濃度に溶解され、1〜100倍の過剰量のヒドラジド含有PEGと反応させられ、対応するヒドラゾンが、ストックの1MのNaCNBH(シグマケミカル、セントルイス、MO)の添加によってインシチュ還元され、1〜50mMの最終濃度までHOに溶解される。反応は、18〜24時間にわたって室温から4℃において暗所にて行われる。反応は、Trisの最終濃度が50mMでpHが約7.6になるまで1MのTris(シグマケミカル、セントルイス、MO)を添加すること、または直後の精製に適した緩衝液に希釈することによって停止される。
〔実施例7〕
本実施例において、IFNβポリペプチドに対するアルキン含有アミノ酸の導入およびmPEGを用いた誘導体化について詳述する。
以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)は、以下の非天然にコードされるアミノ酸:
Figure 2010525821
を用いてそれぞれ置換される。
IFNβへのp−プロパルギル−チロシンの部位特異的組込みに利用される配列は、実施例2において上述した、配列番号(IFNβ)、配列番号7(muttRNA、M.ジャナスキー mtRNATyr CUA)、および配列番号12、13もしくは14である。プロパルギルチロシンを含有するIFNβポリペプチドは、E. coilにおいて発現され実施例3に記載の条件を用いて精製される。
プロパルギルチロシンを含有する精製IFNβは、PB緩衝液(100mMのリン酸ナトリウム、0.15MのNaCl、pH8)において0.1〜10mg/mlの濃度に溶解され、10〜100倍の過剰量のアジド含有PEGが反応混合物に加えられる。それから触媒量のCuSOおよびCuワイヤが反応混合物に加えられる。混合物がインキュベート(これらに限定されないが、室温もしくは37℃において約4時間にわたるインキュベートまたは4℃におけるオーバーナイトにわたるインキュベートが挙げられる)された後に、HOが加えられ、混合物は透析膜に通してろ過される。サンプルは、これに限定されないが、実施例3に記載の手法と類似の手法によって、PEG付加に関して分析され得る。
本実施例において、PEGは、以下の構造:
R−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)(CH−N
(ここで、Rはメチルであり、nは4であり、Nは10000の分子量である)
を有している。
〔実施例8〕
本実施例において、プロパルギルチロシンを用いたIFNβポリペプチドにおける巨大な疎水性アミノ酸の置換について詳述する。
IFNβの以下の領域:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)の1つに存在するPhe残基、Trpまたは残基Tyr残基は、実施例7に記載のようないアkの非天然にコードされるアミノ酸:
Figure 2010525821
を用いて置換される。
修飾を受けると、PEGは、アルキン含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドバリアントに対して結合される。PEGは以下の構造:
Me−PEG(N)−O−(CH−N
を有しており、結合手順は実施例7の手順に従う。これによって、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドが生成される。当該非天然にコードされるアミノ酸は、天然に存在する巨大な疎水性アミノ酸の1つとおおよそ等電子配置であり、ポリペプチド内の異なる部位においてPEG誘導体を用いて修飾される。
〔実施例9〕
本実施例において、1つ以上のPEGリンカーを介して隔てられている、IFNβポリペプチドのホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーの生成について詳述する。
実施例7において生成されたアルキン含有IFNβポリペプチドバリアントは、以下の形態:
−(CH−C(O)−NH−(CH−O−PEG(N)−O−(CH−NH−C(O)−(CH−N
(ここで、nは4であり、PEGはおおよそ5000の平均分子量を有している)
を有する二官能性PEGと反応させられて、対応するIFNβポリペプチドホモダイマーを生成する。ここで、2つのIFNβ分子はPEGによって物理的に隔てられている。類似の様式において、IFNβポリペプチドは1つ以上の他のポリペプチドと結合されて、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーを形成し得る。結合、精製および分析は、実施例7および3に記載のように実施される。
〔実施例10〕
本実施例において、IFNβポリペプチドに対する糖鎖部分の結合について詳述する。
以下の残基:1位より前(すなわちN末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわちタンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基に任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3、4における対応するアミノ酸)のうちの1つが、以下の非天然にコードされるアミノ酸:
Figure 2010525821
を用いて置換される。
修飾を受けると、カルボニル含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドバリアントは、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)のβ結合型アミノオキシ類似物と反応させられる。IFNβポリペプチドバリアント(10mg/ml)およびアミノオキシサッカライド(21mM)が、100mMの酢酸ナトリウム水溶液(pH5.5)において混合され、7〜26時間にわたって37℃においてインキュベートされる。第2の糖類が、UDPグルコース(16mM)およびβ−1,4−ガラシトシルトランスフェラーゼ(0.4ユニット/ml)とともに糖鎖接合IFNβポリペプチド(5mg/ml)をHEPES緩衝液(pH7.4)において、48時間にわたって周囲温度においてインキュベートすることによって、まず酵素的に結合される(Schanbacher et al. J Biol. Chem. 1970, 245, 5057-5061)。
〔実施例11〕
本実施例において、PEG付加IFNβポリペプチドアンタゴニストの生成について詳述する。
ある残基(これらに限定されないが、IFN受容体結合に関与する残基が挙げられる)が、実施例3に記載のような以下の非天然にコードされるアミノ酸:
Figure 2010525821
を用いて置換される。
修飾を受けると、カルボニル含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドバリアントは、以下の形態:
R−PEG(N)−O−(CH−O−NH
(ここで、Rはメチルであり、nは4であり、Nはおおよそ20000の分子量を有している)
のアミノオキシ含有PEG誘導体と反応させられて、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドアンタゴニストを生成する。当該非天然にコードされるアミノ酸はポリペプチド内の単一の部位においてPEG誘導体を用いて修飾されている。結合、精製、分析は実施例3のように実施される。
〔実施例12:IFNβ分子が直接に連結されているIFNβポリペプチドのホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーの生成〕
IFNβ分子が直接に連結されているIFNβポリペプチドホモダイマー、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーの生成。
アルキン含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドバリアントは、アジド含有アミノ酸を含んでいる他のIFNβポリペプチドバリアントに対して直接に連結され得る。類似の手法にお「いて、IFNβポリペプチドは、1つ以上の他のポリペプチドと結合されて、ヘテロダイマー、ホモマルチマーまたはヘテロマルチマーを形成する。結合、精製および分析は実施例3、6および7のように実施される。
〔実施例13〕
PEG−OH+Br−(CH)n−C≡CR’(A) → PEG−O−(CH−C≡CR’(B)
ポリアルキレングリコール(P−OH)は、ハロゲン化アルキル(A)と反応して、エーテル(B)を形成する。これらの化合物において、mは1〜9の整数であり、R’は、直鎖状または分枝鎖状の飽和または不飽和のC1〜C20アルキル基またはへテロアルキル基であり得る。また、R’は、飽和もしくは不飽和のC3〜C7環状アルキル基もしくは環状ヘテロアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基もしくはヘテロアリール基、または置換もしくは非置換のアルカリル基(アルキルは飽和または不飽和のC1〜C20アルキルである)もしくはへテロアルカリル基であり得る。天啓的に、PEG−OHは、500〜40000ダルトン(Da)の分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)またはモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)である。
〔実施例14〕
mPEG−OH+Br−CH−C=CH → mPEG−O−CH−C≡CH
20000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH 20kDa;2.0g、1mmol、サンバイオ)は、THF(35ml)におけるNaH(12mg、0.5mmol)を用いて処理された。プロパルギルブロマイドの溶液が、80質量%溶液としてキシレン(0.56ml、5mmol、50当量、アルドリッチ)に溶解され、それから、触媒量のKIが溶液に加えられ、生じた混合物が加熱されて2時間にわたって還流された。それから、水(1ml)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25ml)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥されて、容積がおおよそ2mlまで減らされた。生じた沈殿物が回収され、冷したジエチルエーテルを用いて数回にわたって洗浄され、乾燥されてプロパルギル−O−PEGを生じた。
〔実施例15〕
mPEG−OH+Br−(CH−C≡CH → mPEG−O−(CH−C≡CH
20000Daの分子量を有するmPEG−OH(mPEG−OH 20kDa;2.0g、1mmol、サンバイオ)は、THF(35ml)におけるNaH(12mg、0.5mmol)を用いて処理された。それから、15等量の5−ブロモ−1−ペンチン(0.53ml、5mmol、アルドリッチ)および触媒量のKIが混合物に加えらた。生じた混合物が加熱されて16時間にわたって還流された。それから、水(1ml)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25ml)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥されて、容積がおおよそ2mlまで減らされた。このCHCl溶液は、ジエチルエーテル(150ml)に滴下して加えられた。生じた沈殿物が回収され、冷したジエチルエーテルを用いて数回にわたって洗浄され、乾燥されて対応するアルキンを生じた。5−クロロ−1−ペンチンは類似の反応に使用され得る。
〔実施例16〕
(1)m−HOCHOH+NaOH+Br−CH−C≡CH → m−HOCHO−CH−C=CH
(2)m−HOCHO−CH−C≡CH+MsCl+N(Et) → m−MsOCHO−CH−C=CH
(3)m−MsOCHO−CH−C=CH+LiBr → m−Br−CHO−CH−C=CH
(4)mPEG−OH+m−Br−CHO−CH−C=CH → mPEG−O−CH−CO−CH−C=CH
THF(50ml)および水(1ml)における3−ヒドロキシベンジルアルコール(2.4g、20mmol)の溶液に対して、粉末の水酸化ナトリウム(1.5g、37.5mmol)がまず加えられ、それから80質量%溶液としてキシレン(0.56ml、5mmol、50当量、アルドリッチ)に溶解されたプロパルギルブロマイドの溶液が加えられた。反応混合物は過熱されて6時間にわたって還流された。混合物に対して10%のクエン酸(2.5ml)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物は、酢酸エチル(3×15ml)を用いて抽出され、混合性の有機層が飽和NaCl溶液(10ml)を用いて洗浄され、MgSO4をに通して乾燥され、濃縮されて3−プロパルギロキシベンジルアルコールを得た。
塩化メタンスルホニル(2.5g、15.7mmol)およびトリエチルアミン(2.8ml、20mmol)が、CHClにおける化合物3(2.0g、11mmol)の溶液に対して0℃において加えられ、反応物は、16時間にわたって冷却装置に置かれた。通常の操作によって淡黄色の油状物としてメシレートが得られた。この油状物(2.4g、9.2mmol)がTHF(20ml)に溶解され、LiBr(2.0g、23.0mmol)が加えられた。反応混合物は過熱されて1時間にわたって還流され、それから室温まで冷却された。混合物に対して水(2.5ml)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物が、酢酸エチル(3×15ml)を用いて抽出され、混合性の有機層が、飽和NaCl溶液(10ml)を用いて洗浄され、無水NaSOに通して乾燥され、濃縮されて所望の臭化物を生じた。
mPEG−OH 20kDa(1.0g、0.05mmol、サンバイオ)がTHF(20ml)に溶解され、溶液が氷槽において冷却された。NaH(6mg、0.25mmol)が数分間にわたって激しく攪拌しながら加えられ、その後に、上記において得られた臭化物(2.55g、11.4mmol)および触媒量のKIが加えられた。冷却槽がどけられ、生じた混合物が過熱されて12時間にわたって還流された。水(1.0ml)が混合物に加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25ml)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積が約2mlまで減らされた。エーテル溶液(150ml)に滴下して加えられることによって、白色の沈殿物を生じ、この沈殿物が回収されてPEG誘導体を生じた。
〔実施例17〕
mPEG−NH+X−C(O)−(CH−C≡CR’ → mPEG−NH−C(O)−(CH−C≡CR’
また、末端にアルキンを含有するポリ(エチレングリコール)ポリマーは、末端に官能基を含んでいるポリ(エチレングリコール)ポリマーを上記において示したようなアルキン官能性基をを含有する反応性分子と結合させることによって取得され得る。nは1〜10である。R’はHまたはC1〜C4の小さなアルキル基であり得る。
〔実施例18〕
(1)HOC−(CH−C≡CH+NHS+DCC → NHSO−C(O)−(CH−C≡CH
(2)mPEG−NH+NHSO−C(O)−(CH−C≡CH → mPEG−NH−C(O)−(CH−C≡CH
4−ペンチン酸(2.943g、3.0mmol)がCHCl溶液(25ml)に溶解された。N−ヒドロキシスクシニミド(3.80g、3.3mmol)およびDCC(4.66g、3.0mmol)が加えられ、溶液はオーバーナイトにわたって室温において攪拌された。生じた粗製NHSエステル7がさらに精製することなく以下の反応に使用された。
5000Daの分子量を有するmPEG−NH(mPEG−NH、1g、サンバイオ)がTHF(50ml)に溶解され、混合物は4℃に冷却された。NHSエステル7(400mg、0.4mmol)が何度かに分けて激しく攪拌しながら加えられた。混合物は、室温まで温めながら3時間にわたって攪拌された。それから、水(2ml)がが加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(50ml)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積が約2mlまで減らされた。このCHCl溶液がエーテル(150ml)に滴下して加えられた。生じた沈殿物が回収され、真空条件において乾燥された。
〔実施例19〕
本実施例において、ポリ(エチレングリコール)のメタンスルホニルエステルの調製について説明する。ポリ(エチレングリコール)のメタンスルホニルエステルは、またポリ(エチレングリコール)のメタンスルホン酸塩またはメシレートと呼ばれ得る。対応するトシレートおよびハロゲン化物は類似の手法によって調製され得る。
mPEG−OH+CHSOCl+N(Et) → mPEG−O−SOCH → mPEG−N
150mlのトルエンにおけるmPEG−OH(分子量=3400、25g、10mmol)が、窒素雰囲気において2時間にわたって共沸によって蒸留され、溶液は室温まで冷却された。40mlの無水CHClおよび2.1mlの無水トリエチルアミン(15mmol)が溶液に加えられた。溶液は氷槽において冷却され、1.2mlの蒸留塩化メタンスルホン酸が滴下して加えられた。溶液は、室温の窒素雰囲気においてオーバーナイトにわたって攪拌され、反応は2mlの無水エタノールの添加によって停止された。混合物は、真空条件において蒸発させられて、主にトルエン以外の溶媒を除去し、ろ過され、真空条件においてふたたび濃縮され、それから100mlのジエチルエーテルにおいて沈殿させられた。ろ過物が冷したジエチルエーテルを用いて数回にわたって洗浄され、真空条件において乾燥されてメシレートを生じた。
メシレート(20g、8mmol)が75。mlのTHFに溶解され、応益が4℃まで冷却された。冷却した溶液に対してアジ化ナトリウム(1.56g、24mmol)が加えられた。反応物は過熱されて、2時間にわたって窒素雰囲気において還流された。それから、溶媒が蒸発させられ、残余物がCHCl(50ml)を用いて希釈された。有機画分がNaCl溶液を用いて洗浄され、無水MgSOに通して乾燥された。容積が減らされ、生成物が150mlの冷却した無水エーテルに加えることによって沈殿させられた。
〔実施例20〕
(1)N−C−COH → N−CCHOH
(2)N−CCHOH → Br−CH−C−N
(3)mPEG−OH+Br−CH−C−N → mPEG−O−CH−C−N
4−アジドベンジルアルコールは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,998,595号明細書に記載の方法を用いて生成され得る。塩化メタンスルホン酸(2.5)g、15.7mmolおよびトリエチルアミン(2.8ml、20mmol)が、CHClにおける4−アジドベンジルアルコール(1.75g、11.0mmol)の溶液に対して0℃において加えられた。通常の操作によって淡黄色の油状物としてメシレートが生じた。この油状物(9.2mmol)がTHF(20ml)に溶解され、LiBr(2.0g、23.0mmol)が加えられた。反応混合物が加熱されて1時間にわたって還流され、それから室温まで冷却された。混合物に対して水(2.5ml)が加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物は酢酸エチル(3×15ml)を用いて洗浄され、混合性の有機層がNaCl溶液(10ml)を用いて洗浄され、無水NaSOに通して乾燥され、濃縮されて所望の臭化物を生じた。
mPEG−OH 20kDa(2.0g、0.1mmol、サンバイオ)がTHF(35ml)におけるNaH(12mg、0.5mmol)を用いて処理され、臭化物(3.32g、15mmol)が触媒量のKIとともに、混合物に対して加えられた。生じた混合物が加熱されて12時間にわたって還流された。水(1.0ml)が混合物に対して加えられ、溶媒が真空条件において除去された。残余物に対してCHCl(25ml)が加えられ、有機層が分離され、無水NaSOに通して乾燥され、容積が約2mlまで減らされた。エーテル溶液(150ml)に滴下して加えられることによって沈殿物を生じた。この沈殿物が回収されて、mPEG−O−CH−C−Nを生じた。
〔実施例21〕
NH−PEG−O−CHCHCOH+N−CHCHCO−NHS → N−CHCH−C(O)NH−PEG−O−CHCHCO
NH−PEG−O−CHCHCOH(分子量3400Da、2.0g)が、NaHCOの飽和水溶液(10ml)に溶解され、溶液が0℃まで冷却された。3−アジド−1−N−ヒドロキシスクシニミドプロピオネート(5等量)が攪拌しながら加えられた。3時間後に20mlのHOが加えられ、混合物は室温においてさらに45分間にわたって攪拌された。pHは0.5規定のHSOを用いて3に調節され、NaClが約15質量%の濃度まで加えられた。反応混合物は、CHCl(100ml×3)を用いて抽出され、NaSOに通して乾燥され、濃縮された。冷却したジエチルエーテルを用いた沈降の後に、生成物がろ過によって回収され、真空条件において乾燥されてω−カルボキシ−アジドPEG誘導体を生じた。
〔実施例22〕
mPEG−OMs+HC≡CLi → mPEG−O−CH−CH−C≡C−H
当該分野において公知のように調製され、−78℃まで冷却されたTHFにおけるリチウムアセチリドの溶液(4等量)に対して、THFに溶解させたmPEG−OMsの溶液を滴下して激しく攪拌しながら加えた。3時間後に、反応物が室温まで温められて、1mlのブタノールを加えることによって反応が停止された。それから、20mlのHOが加えられ、混合物は室温においてさらに45分間にわたって攪拌された。pHは0.5規定のHSOを用いて3に調節され、NaClが約15質量%の濃度まで加えられた。反応混合物は、CHCl(100ml×3)を用いて抽出され、NaSOに通して乾燥され、濃縮された。冷却したジエチルエーテルを用いた沈降の後に、生成物が回収され、真空条件において乾燥されて1−(ブト−3−イニルオキシ)−メトキシポリエチレングリコール(mPEG)を生じた。
〔実施例23〕
アジドおよびアセチレンを含有するアミノ酸は、L. Wang, et al., (2001), Science 292:498-500, J. W. Chin et al., Science 301 :964-7 (2003)), J. W. Chin et al., (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027; J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), Chem Bio Chem 3(11):1135-1137; J. W. Chin, et al., (2002), PNAS United States of America 99:11020-11024: and, L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Conim., 1 :1-11に記載の方法を用いてタンパク質のなかに部位特異的に組み込まれ得る。アミノ酸が組み込まれると、付加環化反応が、2mMPEG誘導体、1mMのCuSO、1mg以下のCuワイヤの存在下において、4時間にわたってpH8のリン酸緩衝液(PB)における0.01mMのタンパク質に対して実施される。
〔実施例24〕
本実施例において、p−アセチル−D,L−フェニルアラニン(pAF)およびm−PEG−ヒドロキシアミン誘導体の生成について説明する。
ラセミ体のpAFは、Zhang, Z., Smith, B. A. C, Wang, L., Brock, A., Cho, C. & Schultz, P. G., Biochemistry, (2003) 42, 6735-6746 に記載されている手法を用いて合成される。
m−PEG−ヒドロキシアミン誘導体を合成するために、以下の手順が行われる。1時間にわたって室温(RT)において攪拌されている、ジクロロメタン(DCM、70ml)における(N−t−Boc−アミノオキシ)酢酸(0.382g、2.0mmol)および1,3−ジイソプロピルカルボジイミド(0.16ml、1.0mmol)の溶液に対して、メトキシ−ポリエチレングリコールアミン(m−PEG−NH、7.5g、0.25mmol、分子量30K、バイオベクトラから入手)およびジイソプロピルエチルアミン(0.1ml、0.5mmol)が加えられる。反応はRTにおいて48時間にわたって攪拌され、それから約100mlまで濃縮される。混合物は冷却したエーテル(800ml)に滴下して加えられる。t−Boc保護化生成物が沈降され、ろ過によって回収され、エーテル(3×100mL)によって洗浄される。DCM(100ml)に再溶解させること、およびエーテル(800ml)において2回にわたって沈降させることによってさらに精製される。生成物は、真空条件において乾燥されて、7.2g(96%)を生じる(NMRおよびニンヒドリン試験によって確認された)。
上記において得られた保護化生成物(7.0g)の脱Bocが、0℃において1時間にわたって、それからRTにおいて1.5時間にわたって50%TFA/DCM(40ml)において実施された。真空条件においてほとんどのTFAを除去した後に、ヒドロキシアミン誘導体のTFA塩が、残余物に4規定のHClのジオキサン(1ml)溶液を加えることによって、HCl塩に転換される。沈殿物がDCM(50ml)に溶解されて、エーテル(800ml)において再沈殿される。最終生成物(6.8g、97%)が、ろ過によって回収され、エーテル(3×100ml)を用いて洗浄され、真空条件において乾燥され、窒素雰囲気において保存される。他のPEG(5K、20K)のヒドロキシアミン誘導体は、同じ手法を用いて合成される。
〔実施例25:実施例25:PEG付加IFNβのインビボ試験〕
PEG−IFNβ、非修飾IFNβおよび緩衝溶液がマウスまたはラットに投与される。結果は、非修飾IFNβと比べて、本発明のPEG付加IFNβの優れた活性および延長された半減期を示す。同様に、修飾IFNβ、非修飾IFNβおよび緩衝溶液がマウスまたはラットに投与される。
(薬物動態分析)
国際公開第2005/091944号パンフレットには、本発明のIFNβ化合物に対して実施され得る薬物動態研究について記載されている。本発明のIFNβポリペプチドは、マウスに対して静脈内経路または皮下経路によって投与される。動物は、投与前、および投与後の時点に採血される。血漿は各サンプルから回収され、放射性免疫アッセイによって分析される。排泄半減期が算出され、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドと、野生型のIFNβまたは本発明のIFNβポリペプチドの種々の形態との間において比較され得る。同様に、本発明のIFNβポリペプチドは、カニクイザルに投与され得る。動物は、投与前および投与後の時点において採血される。血漿は、各サンプルから回収され、放射性免疫アッセイによって分析される。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,962,978号明細書には、霊長類におけるIFNbの薬力学および薬物動態の研究について記載されている。
本発明のポリペプチドは疾患の動物モデル(例えば、多発性硬化症に関するマウスまたはラットのEAEモデル)に投与され得る。動物モデル(例えば、通常に使用される実験的な自己免疫脳脊髄炎(EAE)モデル)は、本発明のポリペプチドの有効性を確かめるために使用され得る。EAEモデルにおいて、ミエリンタンパク質またはミエリン誘導体タンパク質を用いた免疫化によって、ヒトにおける多発性硬化症の炎症性および神経変性の特徴を模倣する疾患が引き起こされる。EAEは、マウス、ラット、ウサギおよびマーモセットにおいて使用されている(Cannella et al. PNAS, 95, 10100 5, 1998, Zaprianova et al. Morfologiia, 1 12, 25 8, 1997, Hassouna et al. J. Urology, 130, 806 10, 1983, Genain & Hauser J. MoI. Med. 75, 187 97, 1997)。他のモデルとしては、タイラーマウス脳脊髄炎ウイルス(TMEV)モデル(Murray et al. J. Neurosci. 18, 7306 14, 1998)が挙げられ、当該モデルがIFNβの有効性を明らかにするために使用され得る。
〔実施例26〕
非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるPEG付加IFNβの安全性および/または有効性の人臨床試験。
(目的)
皮下に投与された非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるPEG付加組換えヒトIFNβの安全性および薬物動態を観察すること。
(患者)
20〜40歳および体重60〜90kgの範囲にある健康な18人の有志者が研究に加えられる。彼らは、以下の任意の徴候:高血圧;任意の主要な血液疾患の既往歴;深刻な肝疾患、腎疾患、心疾患、胃腸疾患、代謝疾患、神経疾患の既往歴;貧血またはてんかん発作の既往歴;細菌または哺乳類由来の産物、PEGまたはヒト血清アルブミンに対する公知の感受性;カフェイン含有飲料の習慣的かつ大量の消費家;任意の他の臨床試験への関与、または試験開始までの30日以内において輸血されたかもしくは献血された血液を有すること;試験開始までの3ヶ月以内にIFNβのばくろを受けたこと;試験開始までの7日以内に病気にかかったこと;ならびに試験開始までの14日以内に試験前の身体検査または臨床検査の評価に対して有為な異常を有していることを有しているべきではない。すべての被験者は、安全性に関して評価可能であり、薬物動態分析にとってのすべての血液採取物が予定通りに採取される。すべての試験は、制度上の倫理委員会の承認および患者の同意のもとに実施される。
(試験計画)
これは、健康な男性の有志者における第1相の、単一施設における、非盲検の、無作為化された、2期にわたる交差試験である。18人の被験者は、2つの処理系列群(9人の被験者/群)の1つに無作為に割り当てられる。IFNβは、非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβおよび市販の製品(例えば、ベータセロン(登録商標)、レビフ(登録商標)、またはアボネックス(登録商標))の等量を用いて、太股の上部に対して皮下注射による大量瞬時投与として、2つの別々の投与期間にわたって投与される。市販製品の投与の量および頻度は包装の表示に従う。市販の製品を用いた付加的な投与、投与頻度または所望される他の要因は、被験者の付加的な群に含むことによって試験に加えられ得る。各投与期間は14日間の洗い流し期間をによって分けられる。被験者は、2つの投与期間のそれぞれ(2つの投与期間に挟まれた期間ではない)について、投与前の少なくとも12時間、および投与後の少なくとも72時間にわたって試験施設に留めおかれる。PEG付加IFNβについても同様に試験されるべき、付加的な投与、頻度または他の要因がある場合に、被験者の付加的な群が加えられ得る。IFNβの試験調合物は、非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβである。
(血液採取)
血液の系列は、IFNβ投与の前および後に、直接に血管に穿刺することによって引き出される。血清中のIFNβ濃度の決定するための静脈血サンプル(5mL)は、投与の約30、20および10分前(3つの基準サンプル);投与の30分後、1、2、5、8、12、15、18、24、30、36、48、60、および72時間後に得られる。各血清サンプルは2つに等分される。すべての血清サンプルは−20℃において保存される。血清サンプルはドライアイス上に乗せられる。空腹時の臨床検査試験(血液学、血清生化学、尿検査)が、1日目における初回投与の直前、4日目の朝、16日目における投与の直前、および19日目の朝に実施される。
(生物分析法)
ELISAキットが血清中のIFNβ濃度の決定に使用される。
(安全性測定)
生命徴候は、各投与(1日目および16日目)の直前、各投与から6、24、48、および72時間目に記録される。安全性の決定は、有害事象の発生および種類ならびに臨床検査試験の基準線からの変化に基づいている。さらに、試験前における生命徴候(血圧および身体検査の結果が挙げられる)の測定からの変化が評価される。
(データ解析)
投与後の血清中濃度値は、投与後の値のそれぞれから基準線のIFNβ濃度の平均値を引くことによって、投与前のIFNβ濃度の基準値に関して補正される。基準線のIFNβ濃度の平均値は、投与までの10、20および30分前において回収された3つのサンプルからIFNβレベルを平均化することによって得られる。投与前のIFNβ濃度は、それらがアッセイの定量レベルよりも下回っている場合、平均値の算出に含められない。薬物動態パラメータは、基準線のIFNβ濃度に関して補正された血清濃度のデータから決定される。薬物動態パラメータは、バイオバルソフト最新バージョンを用いたディジタルイクイップメントコーポレーション VAX8600コンピュータシステムにおけるモデル独立法によって算出される。以下の薬物動態パラメータ:ピーク血清濃度(Cmax)、ピーク血清濃度までの時間(tmax);直線台形法を用いて算出された時点0から最後の血液サンプリング時点まで(AUC0−72)の濃度−時間曲線の下にある領域(AUC);および末梢排泄半減期(t1/2)が決定された。排泄速度定数は、ログ−リニアの濃度−時間プロットの末端の直線領域における連続的な複数のデータ点の直線回帰によって見積もられる。薬物動態パラメータの平均値、標準偏差(SD)、および変動係数(CV)が各処置について算出される。パラメータの平均の割合(保存した調合物/保存していない調合物)が算出される。
(安全性の結果)
有害事象の発生は、処置群を越えて等しく分配される。基準線、試験前の臨床検査試験または血圧から臨床的に有為な変化はなく、試験前の身体検査結果および生命徴候の測定から顕著な変化はない。2つの処置群に関する安全性の特性は同様と思われる。
(薬物動態の結果)
非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβを受けた後の18人の被験者全員における、各時点の血清中のIFNβ濃度の平均−時間特性(基準線のIFNβレベルに関して補正されていない)が測定された。すべての被験者は、正常な生理学的範囲内の、投与前の基準線のIFNβ濃度を有しているはずである。薬物動態パラメータは、基準線のIFNβ濃度の平均値に関して補正された血清データから決定され、Cmaxおよびtmaxが決定される。選択された任意の(複数の)臨床比較対象に関するtmaxの平均は、非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβに関するtmaxよりも有為に短い。前臨床の(複数の)比較対象に関する末梢半減期の値は、非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβに関する末梢半減期より有為に短い。
本試験は健康な男性の被験者において実施されているが、同様の吸収特性および安全性が、他の患者の集団において見込まれる。他の患者の集団は、例えば、がんまたは慢性腎不全の男性または女性の患者、小児腎不全患者、自家の先天的な生体プログラムを有する患者、緊急を要しない手術を予定している患者である。
結論として、非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβの皮下投与される単回投与は、安全であり、男性の健康な被検体によって十分に許容される。有害事象の相対的な発生、臨床検査値、生命徴候および身体検査の結果に基づいて、IFNβの市販の形態の安全性および非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβの安全性は、同等である。非天然にコードされるアミノ酸を備えているPEG付加IFNβは、患者および保健医療提供者に対して大きな臨床有用性を提供し得る。
〔実施例27:霊長類試験−インターフェロンβの正確なPK/PD〕
カニクイザルに対する皮下への単回投与後における4つのインターフェロンβ1b類似物の14日間の研究。
(目的)
溶媒対照およびレビフ(登録商標)対照と比べて、単回の皮下投与後における4つのインターフェロンβ類似物に対するカニクイザルにおける薬物動態および血液学応答を評価すること。
順化は、試験日A1に始めた(連続する数字は、その後の日を示す)。投与日はD1と示される(連続する数字はその後の日を示す)。使用される試験物質は、レビフ(15μg/kg)、M36−30K(3、15および50μg/kg)、M36−40K(3、15および50μg/kg)、F111−30K(3、15および50μg/kg)およびF111−40K(3、15および50μg/kg)であった。使用される溶媒(IFB製剤2007)は、は、10mMのアスパラギン酸、9%のトレハロース、pH4.0である。
使用された保存条件は、−60℃またはそれ以下であり、使用された操作手引きは、SNBL USA SOPsに規定されている標準的な研究室の予防措置であった。
(試験物質または対照物質/溶媒の調製)
試験物質
試験物質は2〜8℃においてオーバーナイトにわたって融かした。バイアルを5〜6回にわたって穏やかに反転させることによって試験物質を慎重に混合した。溶液は振動および攪拌しない。混合後、ただちに希釈手順を実施する。
試験物質投与溶液が、スポンサーによって0.02mg/mlの濃度に調合されているストック試験物質から調製される。試験物質投与溶液が、系列希釈によって調製される。無菌の容器は、最終濃度および総量が記載されたラベルが付され、調製の間は氷上に置かれる。適量の溶媒がまず加えられ、それから適当なサイズのピペットを用いて試験物質溶液の適量が、前に加えた溶媒が入ったラベルつきのバイアルにゆっくりと加えられる。気泡を入れずに、泡立ちを避ける。5〜10回のアップダウンのピペッティングによってよく混合する。容器を7〜10回にわたって反転させることによって最終溶液を混合する。
陽性対照物質:
使用前に5〜6回にわたってバイアルを穏やかに反転させることによって、陽性対照物質を混合する。
溶媒:
溶媒溶液は2〜8℃においてオーバーナイトにわたって融かした。バイアルを5〜6回にわたって穏やかに反転させることによって試験物質を慎重に混合した。
(試験系)
種:
カニクイザル(Macaca fascicularis)(パーパスブレッド(Purpose-bred)のカニクイザル)は、系統発生学および生理学の分析を容易にする、ヒトの近縁種であり、非臨床的な毒性評価に一般的に使用される種である。さらにこの種は、試験物質に対する薬理応答を示す。
Figure 2010525821
(環境条件)
動物は、温度および湿度の監視環境において飼われている。温度および相対湿度の目標範囲は、それぞれ18〜29℃および30〜70%である。60分間未満にわたって目標の湿度範囲から外れたときの苦痛は、偶発的であると考えられ、記録されない。自動照明システムによって12時間の日中周期が与えられる。暗周期は、研究および設備に関する活動度に関して妨げられ得る。
また、動物は、米国の動物保護法および"The Guide for the Care and Use of Laboratory Animals" (National Research Council 1996)に記載の勧告にしたがって、ケージにおいて個々に飼われる。
(食餌および給水)
動物は、SNBL USA SOPsにしたがって、日に2回食餌が与えられる。動物は、特定の手法によって要求されるとき(例えば、血清生化学のための採血の前、尿採取の前、または麻酔を含む手法が実施される場合)に、絶食させられ得る。食餌は、混入物に関して通常に分析され、製造者の説明書に基づいている。混入物は、研究の結果を妨害するレベルにおいて存在しないと予想される。食餌分析の記録は、試験設備記録に残される。
新鮮な飲料水が、すべての動物に自由に与えられる。水は混入物について通常に分析されており、エンリッチメントトイ(enrichment toys)および製品の処理(produce traets)がSNBL USA SOPsにしたがって通常に供給されている。
(実験計画)
(動物の選択)
適当な数の動物がSNBL USAストックから選択された。動物は、獣医によって健康に関して検査され、血清生化学、血液学および凝集のスクリーニングを受けた。健康であることが確認された49匹のオスは、研究に割り当てられた。PEの間にさらに1mlの血液が採取され、血清に関して処理され、ウイルス性スクリーニングのためにスポンサーに送られる。
42匹のオスが、スポンサーの判断において特定の研究群に割り当てられ、残りの動物が予備として利用された。
(無作為化)
体重に基づく層化任意手法が研究群への動物の割り当てに使用された。
(順化期間)
検疫を済ませた動物は、少なくとも投与開始前の14日間にわたって研究部屋に対して順化させられた。順化データは、予備を含めてすべての動物から集められた。すべての動物は、研究の実施に影響し得る行動異常性に関して評価された。割り当てられた動物は、順化期間に生じた結果に基づいて、必要に応じて予備の動物と交換され得る。予備の動物はD1以降に研究から外された。
動物は、群に割り当てられ、以下の表に示すように処置された。
Figure 2010525821
注:総投与量(ml)は、最も新しい体重に基づいて算出された。
(試験物質および対照物質の投与)
表6の群の割り当てに記載された研究の投与レベルは、カニクイザルを用いた以前の研究に基づいて選択され、予想される人間に対する投与量の付近から、予想される人間に対する投与量の数倍の範囲であった。
(投与経路および投与頻度)
すべての群は、クリップによって挟まれた背中の肩甲骨間領域の皮下に投与された。この投与経路は、ヒトにおける投与の提案されている経路と一致しており、調査に関して適切な血清中レベル、関連する薬理活性および薬物動態を提供すると予想される。投与回数は1回である。
(観察および調査法)
図6〜21および本実施例に含まれる表を通して示されるデータは、この手順を用いて実施された観察および試験を表している。臨床的な観察は、A2に開始して各動物に対して1日に2回、実施された。最初の観察は、部屋の清掃前の朝に実施された。2回目の観察は、朝の観察から4時間目以降であった。動物に対する臨床観察が動物の状態の悪化を示している場合、獣医による評価が実施され、研究の指導者に通知された。注入部位はD1から開始して、各動物に対して日に1回、評価された。PKおよびネオプレチンの時点は、投与後から3、6、12、24、48、72、96、120、144、168、216、264および336時間目であった。PDの時点は、投与から−1、2、3、5、9、11および15日後(−1は投与前の日数)であった。血液学の時点は、1−、2、5、8、11、15日後;免疫原性および臨床化学の時点は、−1および15日後であった。ケージサイドの観察:毎日の確認および1日に2回のISR確認。
(体重)
各動物は、最初の順化週の間、投与の前日、および研究の生存期間の最後に測定された。
4.7.研究室手法。
回数の表。
研究日 ヘム。
EDTA(1.3ml) ケム。
SST(1.0ml) PK。
SST(1.0ml) PD/qPCR。
Figure 2010525821
(血液採取)
通常の血液回収/採取の方法および検体処理:
血液は、拘束した意識のある動物の末梢静脈血管から静脈注射によって回収された。可能なかぎり、血液は一回の引き出しによって回収し、それから適宜分けられた。検体(パクスジーンの例外がある)は、SNBL USA SOPsにしたがって血清または血漿に加工された。
(血液学)
サンプル量が1.3mlの血液が、動物/群のすべてから回収され、抗凝固性EDTAが加えられ、それからサンプルが分析され、血液学パラメータがアドビア(Advia)自動分析器を用いて測定された。
(血液学パラメータ)
以下のパラメータが測定され、正常な範囲と比較された。
(キシビオンコード(Xybion code))白血球細胞(WBC)、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、平均赤血球容積(MCV)、平均赤血球血色素量(MCH)、平均赤血球素濃度(MCHC)、赤血球粒度分布幅(RDW)、血小板(PLT)、平均血小板容積(MPV)、網状赤血球パーセント(RET%)、網状赤血球の絶対値(RETA)、および特異な白血球細胞のカウント(絶対値)(好中球の絶対値(NEUA)、リンパ球の絶対値(LYMA)、単核球の絶対値(MONA)、好酸球の絶対値(EOSA)、好塩基球の絶対値(BASA)が挙げられる)。
(血液生化学測定)
血清生化学測定に関して、すべての動物/群に対して行われ、オーバーナイトの絶食および1mlのサンプル量の血液が要求された。抗凝固剤は使用され得ないが、血清分離チューブが使用され、化学的なパラメータはオリンパス自動化分析器を用いて決定された。パラメータとしては、(キシビオンコード)アルブミン(ALB)、アルカリンホスファターゼ(ALP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸トランスフェラーゼ(AST)、総ビリルビン(TBIL)、カルシウム(Ca)、総コレステロール(TCho)、クレアチンキナーゼ(CK)、クレアチニン(CRN)、γグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、グルコース(GLU)、無機リン(IP)、総タンパク質(TP)、トリグリセリド(TRIG)、血中尿素窒素(BUN)、グロブリン(GLOB)、アルブミン/グロブリン濃度比(A/G)、塩化物(Cl)、カリウム(K)およびナトリウム(Na)が挙げられる。
(試料の処理および保存)
血清は、およそ等量に2つに分けられ、それぞれマトリクスブランドのバイアルに移され、−20℃以下に保存される。
薬物動態および定量的ポリメラーゼ連鎖反応が表7に記載の頻度においてすべての動物/群に対して実施され、回収はSNBL USAの標準的な操作手順を用いて行った。サンプル量は、抗凝固剤処理のパクスジーンチューブにおいておよそ2.5mlの血液であり−15℃から−25℃に保存された。
(霊長類試験からのデータ)
Figure 2010525821
Figure 2010525821
市販の製品の現在の治療投与量に基づき、体表面積にあわせて調整して、ベータセロン=32MIU/mg、レビフ=270MIU/mg、およびアボネックス=200MIU/mgである。
Figure 2010525821
Figure 2010525821
Figure 2010525821
*ボンフェローニ多重比較とともに一元配置ANOVAを用いた有意差(p>0.05)
処理後8日目におけるMHCHの差は、33.9±0.9g/dl(レビフ)に対して31.5±0.8g/dl(溶媒対照)である。
8日目におけるすべての群の平均は32.6±0.6g/dlである。履歴基準範囲は30.3±1.11g/dlである。
3μg/kgのレビフ(人間に対する投与量と同等)のAUC=13.6ng*時間/ml、1週間に3回投与されたもの=40.8ng*時間/ml、3μg/kgのM36−40Kを単回投与した場合のAUCは、レビフを毎週投与したAUCの19倍に等しかった。
白血球細胞に関して、レビフ、M36−30K(15および50μg/kgの投与量)、M36−40K(15および50μg/kgの投与量)、F111−30K(50μg/kgの投与量)およびF111−40K(3および50μg/kgの投与量)において、いくらか有意な好中球の減少が見られた。しかし、−1日目における範囲は1.92〜5.66(10^3/μl)であり、SNBLから得た履歴の範囲は5.37±2.75(10^3/μl)であり、すべての群は、処理後15日目までに投与前の水準に戻った(そしてそのうちのほとんどは、処理後5日目までに投与前の水準に戻った)。
臨床化学に関して、対照の値からの有意差がなく、1つの群において血清ALTが増加する傾向があった。F111−30Kは、処理後−1日目から15日目まですべての群において増加した。しかし、すべての群において標準偏差が非常に大きく、SNBLから得られた履歴の範囲は、36±12U/L(F111−30K(3μg/kg投与):36〜49U/L;F111−30K(15μg/kg投与):34〜60U/L;F111−30K(50μg/kg投与):32〜57U/L)であった。そして、肝機能を測定において関連する他の変化はなかった。
〔実施例28〕
(目的)
以下の方法が、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)によって、非PEG付加インターフェロンβおよび40KPEG付加インターフェロンβ(PEG−IFB)の、相対的な純度および予想される化学的劣化(すなわち酸化)、ならびに処理に関連する不純物を評価するために使用された。
(原理)
RP−HPLCは、相対的な疎水性に基づいて分子を分離する技術である。サンプルは、炭化水素鎖と共有結合しているシリカの固定相を通過させられる。所望の分子は、固定相によって妨げられ、勾配移動相を用いて溶出される。クロマトグラフの溶出時間は、特定の分子にとって固有のものである。この方法によって、構造修飾(例えば酸化)に関する滞留挙動および疎水性におけるわずかな差に基づいて、IFBおよびPEG−IFBがアイソフォームから分離される。
(意図)
この方法は、IFBおよびPEG−IFBの同定および純度評価を補助するものである。いくつかの部分的な劣化生成物、および処理に関連する不純物がこの技術を用いて観察可能である。特定のメチオニン酸化部位および予想される脱アミド化を部分的に分析することのみがこの技術を用いて可能である。
(範囲)
見かけの注入量=10μg
線形性は50〜150%の見かけの注入量を用いて実現した
1.材料および機器
調節可能なP20、P200、P1000のピペットマン、またはその等価物
使い捨てのP20、P200、P1000のピペットチップ
HPLCバイアルおよびキャップ(オールテックの100μlスクリューキャップポリプロピレンバイアル#12962、TEEリニアキャップ#73048、オープンホールスクリューキャップ#73044、またはその等価物)
清潔な1Lおよび2Lのガラス瓶
カラム−アジレントゾルバックス300SB−C3、4.6×150mm、3.5ミクロン、300Å(P.N.863973−909)
直線勾配を実施可能な高圧液体クロマトグラフィー装置(例えば、真空脱ガス器、4つ一組のポンプ、温度自動調節の自動サンプル採取器、温度自動調節のカラム室、ダイオードアレイ検出器(DAD)およびケムステーションクロマトグラフィーソフトウェアを備えている、アジレント1100HPLC)
2.試薬
a.水、ミリQ品質、またはその等価物
b.特に断りがない限り、固体の化学物質は、分析等級またはそれ以上の等級であり、溶媒はHPLC等級またはそれ以上の等級である。特に断りがない限り、試薬の保存および手順のステップは室温において行われる.
c.アンブルックス化学物質の例:
i.アセトニトリル、フィッシャーA998、HPLC等級、またはその等価物
ii.トリフルオロ酢酸、ハロカーボンUN2699、バイオグレード(Biograde)、またはその等価物
d.移動相A:0.1%(体積/体積)TFAのHO溶液
e.移動相B:0.1%(体積/体積)TFAのアセトニトリル溶液
サンプル
a.10μgのタンパク質を入れるために十分なサンプル溶液の体積を有する注入物
手法
a.機器は以下の条件に設定され得る.
i.カラム:アジレントゾルバックス300SB−C、4.6×150mm、3.5ミクロン、300Å
ii.自動サンプル採取器の温度:4℃
iii.流速:1.0ml/分
iv.ポンプの設定:
Figure 2010525821
注入器の設定:
注入:標準的な注入
注入体積:変動する
引き出し速度:100μl/分
注入速度:100μl/分
針の洗浄:20μlのH
停止時点:ポンプと同時
Figure 2010525821
ピーク幅:>0.1分
スリット:4nm
停止時点:ポンプと同時
カラムの温度自動調節:25℃
積分:分析ソフトウェアに依存する
b.新たなカラムは、出荷時の溶媒を除去するために少なくとも10CVの蒸留したHPLC等級の水を用いて洗い流される必要がある
c.洗浄手順:10〜15CVの100%のメタノールの後に10CVを超えるHPLC等級の水を用いてカラムを洗い流す
d.保存手順:100%のメタノールにカラムを保存する
e.稼動手順:カラム体積の10〜15倍の100%の移動相Aを用いてカラムを平衡化する
f.試験物質を注入して、HPLCプログラムを実行する
データ分析
a.滞留時間(A214を用いる)
試験物質の滞留時間を記録する
b.純度
試験物質の純度を算出する:
(主なピークの積分面積/すべてのピークの積分面積)×100%
生成されたクロマトグラムおよびこの手法から得られた純度は、図24〜28に示されている。
本明細書に記載の実施例および実施形態が単なる例示を目的としていること、ならびにこれらに鑑みて種々の改変および変更が当業者に示唆され、本願および添付の特許請求の範囲の精神および範囲の範囲内に含まれるべきであるということが理解される。本明細書において引用されているすべての公開物、特許、特許出願、および/または他の文献は、個々の公開物、特許、特許出願、および/または他の文献が、すべての目的について参考として援用されるべきであると個別に記載されている場合と同程度に、すべての目的についてその全体が参考として援用される。
Figure 2010525821
IFNβの結晶構造のモデルを示す図である。 IFNβの結晶構造のモデルを示す図である。 本発明のIFNβポリペプチドの発現のSDS−PAGE分析を示す図である。 本発明のIFNβポリペプチドの発現のSDS−PAGE分析を示す図である。 本発明のPEG付加の前または後におけるIFNβポリペプチドを示す図である。 AおよびBは、実施例27の3μg/kg投与群から得られた薬物動態のグラフである。 Aは、実施例27の50μg/kg投与群から得られた薬物動態のグラフであり、Bは、実施例27のM36−30Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフである。 Aは、実施例27のM36−40Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフであり、Bは、実施例27のF111−30Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフを示す図である。 Aは、実施例27のF111−40Kの処理動物およびRebif対照から得られた薬物動態のグラフであり、Bは、実施例27から得られたデータ(血清中のIFNβのCmax/投与量)のグラフを示す図である。 Aは、実施例27から得られた曲線(AUC)データの下にある面積のグラフであり、Bは、実施例27から得られたデータ(血清中のIFNβ濃度)の棒グラフを示す図である。 AおよびBは、実施例27から得られたデータ(血清中のネオプレチン/時間)のグラフを示す図である。 Aは、実施例27から得られたデータ(血清中のネオプレチン/時間)のグラフであり、Bは、実施例27から得られたデータ(血清中のネオプレチンのAUC/投与量)のグラフを示す図である。 Aは、実施例27から得られたM36−30Kの血清中のネオプレチンレベルを示す図であり、Bは、実施例27から得られたM36−40Kの血清中のネオプレチンレベルを示す図であり、Cは、実施例27から得られたF111−30Kの血清中のネオプレチンレベルを示す図であり、Dは、実施例27から得られたF111−40Kの血清中のネオプレチンレベルを示す図である。 実施例27に開示されている手法によって得られたRebif、およびBLAのネオプレチンのAUC/投与量を示すグラフを示す図である。 AおよびBは、静脈内投与後のアカゲザルにおける、抗ウイルス活性によって測定される血清中のIFNβ1aおよびネオプレチン濃度を示すグラフを示す図であり、Cは、EMCウイルスに感染させたヒト肺がん細胞(A549)を用いた抗ウイルスアッセイにおいて評価された、未処理およびPEG付加のIFNβ1aの抗ウイルス活性を示すグラフを示す図である。 Aは、Rebif、および投与レベルが3μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、実施例27から得られたデータ(OAS1遺伝子発現の誘導倍率)のグラフを示す図であり、Bは、溶媒、Rebif、および3つの異なる投与レベルの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの実施例27から得られたデータ(OAS1遺伝子発現の誘導倍率)のグラフを示す図である。 Aは、溶媒、Rebif、および投与レベルが15μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、実施例27から得られたデータ(OAS1遺伝子発現の誘導倍率)のグラフを示す図であり、Bは、溶媒、Rebif、および投与レベルが50μg/kgの本発明の異なる4つのIFNβバリアントを用いたときの、実施例27から得られたデータ(OAS1遺伝子発現の誘導倍率)のグラフを示す図である。 溶媒、対照、および本発明の異なる4つのIFNβ1aバリアントの投与レベルごとにおけるOAS1遺伝子発現の誘導倍率の曲線の下にある面積を示す、実施例27から得られたデータのグラフを示す図である。 投与後の最初の24時間目における注射部位反応のパーセンテージをの棒グラフを示す図である。 異なる処置群のそれぞれに関する実施例27から得られたデータの表を示す図である。 異なる処置群のそれぞれに関する実施例27から得られたデータの表を示す図である。 メチオニンの酸化が予想される部位を有するIFNβの結晶構造のモデルを示す図である。 脱アミド化が予想される部位を有するIFNβの結晶構造のモデルを示す図である。 実施例28に記載の方法を用いて分析された、IFN M36pAFのクロマトグラムを示す図である。 実施例28に記載の方法を用いて分析された、PEG40 M36pAFのクロマトグラムを示す図である。 実施例28に記載の方法を用いて分析された、IFN M36pAFおよびPEG40 M36pAFのオーバーレイクロマトグラムを示す図である。 実施例28に記載の方法を用いて分析された、ジスルフィド結合が還元されたIFN M36pAFを示す図である。 実施例28に記載の方法を用いて分析された、ジスルフィド結合が還元されたPEG40 M36pAFを示す図である。

Claims (103)

  1. 非天然にコードされるアミノ酸を1つ以上含んでいる、IFNβポリペプチド。
  2. 1つ以上の翻訳後修飾を含んでいる、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  3. リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子に連結されている、請求項1に記載の
    IFNβポリペプチド。
  4. 水溶性ポリマーに連結されている、請求項3に記載のIFNβポリペプチド。
  5. 二官能性ポリマー、二官能性リンカーまたは少なくとも1つのさらなるIFNβポリペプチドに連結されている、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  6. 上記二官能性リンカーまたは二官能性リンカーが第2のポリペプチドに連結されている、請求項5に記載のIFNβポリペプチド。
  7. 上記第2のポリペプチドがIFNβポリペプチドである、請求項6に記載のIFNβポリペプチド。
  8. 上記水溶性ポリマーがポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  9. 請求項4に記載のIFNβポリペプチドであって、上記水溶性ポリマーが該IFNβポリペプチド中に存在する非天然にコードされるアミノ酸に連結されている、IFNβポリペプチド。
  10. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、1位より前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  11. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項10に記載のIFNβポリペプチド。
  12. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項10に記載のIFNβポリペプチド。
  13. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項10に記載のIFNβポリペプチド。
  14. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項10に記載のIFNβポリペプチド。
  15. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、配列番号4のリーダー配列またはシグナル配列における残基からなる群から選択される位置において置換されている、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  16. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、1位より前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、61位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  17. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項16に記載のIFNβポリペプチド。
  18. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項16に記載のIFNβポリペプチド。
  19. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項16に記載のIFNβポリペプチド。
  20. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項16に記載のIFNβポリペプチド。
  21. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、配列番号4のリーダー配列またはシグナル配列における残基からなる群から選択される位置において置換されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  22. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドのIFNβポリペプチド受容体に対する親和性を調整するアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、IFNβポリペプチド。
  23. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドの安定性または溶解性を向上させるアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、IFNβポリペプチド。
  24. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドの組換え宿主細胞における発現またはインビトロにおける合成を向上させるアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、IFNβポリペプチド。
  25. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドのプロテアーゼ耐性を向上させるアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、IFNβポリペプチド。
  26. 上記非天然にコードされるアミノ酸がリンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子に対して反応性であり、当該リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子がIFNβポリペプチドにおける一般的な20個のアミノ酸のいずれかに対して非反応性である、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  27. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含んでいる、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  28. 上記非天然にコードされるアミノ酸がカルボニル基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  29. 請求項28に記載のIFNβポリペプチドであって、上記非天然にコードされるアミノ酸が以下の構造:
    Figure 2010525821
    を有しており、
    ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであり;Rが、H、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチドまたはアミノ末端修飾基であり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチドまたはカルボキシ末端修飾基である、
    IFNβポリペプチド。
  30. 上記非天然にコードされるアミノ酸がアミノオキシ基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  31. 上記非天然にコードされるアミノ酸がヒドラジド基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  32. 上記非天然にコードされるアミノ酸がヒドラジン基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  33. 上記非天然にコードされるアミノ酸がセミカルバジド基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  34. 上記非天然にコードされるアミノ酸がアジド基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  35. 請求項34に記載のIFNβポリペプチドであって、上記非天然にコードされるアミノ酸が以下の構造:
    Figure 2010525821
    を有しており、
    ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキルもしくは置換アリールであるか、または存在せず;Xが、O、NもしくはSであるか、または存在せず;mが0〜10であり;Rが、H、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である、
    IFNβポリペプチド。
  36. 上記非天然にコードされるアミノ酸がアルキン基を含んでいる、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  37. 請求項36に記載のIFNβポリペプチドであって、上記非天然にコードされるアミノ酸が以下の構造:
    Figure 2010525821
    を有しており、
    ここで、nが0〜10であり;Rが、アルキル、アリール、置換アルキルまたは置換アリールであり;Xが、O、NもしくはSであるか、または存在せず;mが0〜10であり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはアミノ末端修飾基であり;Rが、H、アミノ酸、ポリペプチド、またはカルボキシ末端修飾基である、
    IFNβポリペプチド。
  38. 上記水溶性ポリマーが約0.1kDaから約100kDaの分子量を有している、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  39. 上記水溶性ポリマーが約0.1kDaから約50kDaの分子量を有している、請求項38に記載のIFNβポリペプチド。
  40. アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基を含んでいる水溶性ポリマーと、カルボニル含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって製造されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  41. 上記アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基が、アミド結合を介して上記水溶性ポリマーに連結されている、請求項40に記載のIFNβポリペプチド。
  42. アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基またはセミカルバジド基を有する非天然にコードされるアミノ酸を含んでいるポリペプチドと、カルボニル基を含んでいる水溶性ポリマーを反応させることによって製造されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  43. アジド部分を含んでいる水溶性ポリマーと、アルキン含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって製造されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  44. アルキン部分を含んでいる水溶性ポリマーと、アジド含有アミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを反応させることによって製造されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  45. 上記アジド基またはアルキン基がアミド結合を介して水溶性ポリマーに連結されている、請求項27に記載のIFNβポリペプチド。
  46. 上記水溶性ポリマーが分枝状ポリマーまたはマルチアームポリマーである、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
  47. 上記水溶性ポリマーの分枝鎖のそれぞれが約1kDaから約100kDaの分子量を有している、請求項46に記載のIFNβポリペプチド。
  48. IFNβアンタゴニストである、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  49. 翻訳後修飾、リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を1つ以上含んでいる、請求項48に記載のIFNβポリペプチド。
  50. 上記ポリマーが、水溶性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される部分を含んでいる、請求項49に記載のIFNβポリペプチド。
  51. IFNβ受容体の活性を抑制する、請求項48に記載のIFNβポリペプチド。
  52. 上記非天然にコードされるアミノ酸が糖部分を含んでいる、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  53. 上記リンカー、ポリマー、または生物学的に活性な分子が糖部分を介して上記IFNβポリペプチドに連結されている、請求項3に記載のIFNβポリペプチド。
  54. 配列番号3もしくは4をコードしているポリヌクレオチド配列または配列番号2のポリヌクレオチド配列に対して、ストリンジェントな条件においてハイブリダイズするポリヌクレオチドを含んでおり、当該ポリヌクレオチドが少なくとも1つのセレクターコドンを含んでいる、単離された核酸。
  55. 上記セレクターコドンが、アンバーコドン、オーカーコドン、オパールコドン、ユニークコドン、レアコドンおよび4塩基コドンからなる群から選択される、請求項54に記載の単離された核酸。
  56. 非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる単離されたIFNβポリペプチドを、当該非天然アミノ酸と反応する部分を含んでいるリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子と接触させることを包含している、請求項3に記載のIFNβポリペプチドを製造する、方法。
  57. 上記ポリマーが、水溶性ポリマーおよびポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される部分を含んでいる、請求項56に記載の方法。
  58. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基またはアルキン基を含んでいる、請求項56に記載の方法。
  59. 上記非天然にコードされるアミノ酸がカルボニル部分を含んでおり、上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子がアミノオキシ部分、ヒドラジン部分、ヒドラジド部分またはセミカルバジド部分を含んでいる、請求項56に記載の方法。
  60. 上記アミノオキシ部分、ヒドラジン部分、ヒドラジド部分またはセミカルバジド部分が、アミド結合を介して上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子に連結されている、請求項59に記載の方法。
  61. 上記非天然にコードされるアミノ酸がアルキル部分を含んでおり、上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子がアジド部分を含んでいる、請求項56に記載の方法。
  62. 上記非天然にコードされるアミノ酸がアジド部分を含んでおり、上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子がアルキン部分を含んでいる、請求項56に記載の方法。
  63. 上記アジド部分またはアルキン部分が、アミド結合を介してリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子に連結されている、請求項58に記載の方法。
  64. 上記ポリ(エチレングリコール)部分が約0.1kDaから約100kDaの平均分子量を有している、請求項57に記載の方法。
  65. 上記ポリ(エチレングリコール)部分が分枝状ポリマーまたはマルチアームポリマーである、請求項57に記載の方法。
  66. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドおよび薬学的に受容可能な担体を含んでいる、組成物。
  67. 上記非天然にコードされるアミノ酸が水溶性ポリマーに連結されている、請求項66に記載の組成物。
  68. 請求項66に記載の組成物の治療有効量を患者に投与することを包含する、IFNβによって制御される疾患を有する患者を処置する、方法。
  69. 請求項54に記載の核酸を含んでいる、細胞。
  70. 直交性のtRNAシンセターゼまたは直交性のtRNAを含んでいる、請求項69に記載の細胞。
  71. セレクターコドンと、直交性のRNAシンセターゼと、直交性のtRNAとを含んでいる、IFNβポリペプチドをコードする単一または複数のポリヌクレオチドを含んでいる細胞を、非天然にコードされるアミノ酸を含んでいる該IFNβポリペプチドの発現を可能にする条件下にて培養すること;ならびに上記IFNβポリペプチドを精製することを包含している、非天然のコードされるアミノ酸を含んでいるIFNβポリペプチドを製造する方法。
  72. IFNβポリペプチドにおける天然に存在するアミノ酸のいずれか1つまたはそれ以上を、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上に置換することを包含している、IFNβポリペプチドの血清半減期または循環時間を調節する、方法。
  73. 配列番号2に示される配列、または配列番号3もしくは4に示されるポリペプチドをコードしている配列を有するポリヌクレオチドによってコードされており、非天然にコードされるアミノ酸を少なくとも1つ含んでいるIFNβポリペプチドであって、当該ポリヌクレオチドがセレクターコドンを含んでいる、IFNβポリペプチド。
  74. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、リンカー、ポリマー、水溶性ポリマーまたは生物学的に活性な分子に連結されている、請求項73に記載のIFNβポリペプチド。
  75. 上記水溶性ポリマーがポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる、請求項74に記載のIFNβポリペプチド。
  76. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、1位より前(すなわち、N末端)、1位、2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位、9位、10位、11位、12位、13位、14位、15位、16位、17位、18位、19位、20位、21位、22位、23位、24位、25位、26位、27位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、35位、36位、37位、38位、39位、40位、41位、42位、43位、44位、45位、46位、47位、48位、49位、50位、51位、52位、53位、54位、55位、56位、57位、58位、59位、60位、61位、62位、63位、64位、65位、66位、67位、68位、69位、70位、71位、72位、73位、74位、75位、76位、77位、78位、79位、80位、81位、82位、83位、84位、85位、86位、87位、88位、89位、90位、91位、92位、93位、94位、95位、96位、97位、98位、99位、100位、101位、102位、103位、104位、105位、106位、107位、108位、109位、110位、111位、112位、113位、114位、115位、116位、117位、118位、119位、120位、121位、122位、123位、124位、125位、126位、127位、128位、129位、130位、131位、132位、133位、134位、135位、136位、137位、138位、139位、140位、141位、142位、143位、144位、145位、146位、147位、148位、149位、150位、151位、152位、153位、154位、155位、156位、157位、158位、159位、160位、161位、162位、163位、164位、165位、166位、167位(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)、およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項73に記載のIFNβポリペプチド。
  77. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項76に記載のIFNβポリペプチド。
  78. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、28位、36位、76位、80位、107位、108位、111位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項76に記載のIFNβポリペプチド。
  79. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、8位、15位、19位、36位、42位、46位、48位、49位、80位、108位、111位、113位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項76に記載のIFNβポリペプチド。
  80. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、15位、42位、80位、108位、111位、155位およびこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項76に記載のIFNβポリペプチド。
  81. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、配列番号4のリーダー配列またはシグナル配列における残基からなる群から選択される位置において置換されている、請求項73に記載のIFNβポリペプチド。
  82. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、カルボニル基、アミノオキシ基、ヒドラジド基、ヒドラジン基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含んでいる、請求項73に記載のIFNβポリペプチド。
  83. 上記ポリ(エチレングリコール)部分が約0.1kDaから約100kDaの分子量を有している、請求項75に記載のIFNβポリペプチド。
  84. 上記ポリ(エチレングリコール)部分が分枝状ポリマーまたはマルチアームポリマーである、請求項75に記載のIFNβポリペプチド。
  85. 上記(エチレングリコール)部分が約0.1kDaから約100kDaの分子量を有している、請求項84に記載のIFNβポリペプチド。
  86. 請求項73に記載のIFNβポリペプチドおよび薬学的に受容可能な担体を含んでいる、組成物。
  87. 組換え宿主細胞においてIFNβポリペプチドの発現を向上させるアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、IFNβポリペプチド。
  88. 単一のアミノ酸において共有結合によって連結されている水溶性ポリマーを含んでいる、IFNβポリペプチド。
  89. 上記水溶性ポリマーがポリ(エチレングリコール)部分を含んでいる、請求項88に記載のIFNβポリペプチド。
  90. 共有結合によって上記水溶性ポリマーに連結されている上記アミノ酸が非天然にコードされるアミノ酸である、請求項88に記載のIFNβポリペプチド。
  91. 上記非天然にコードされるアミノ酸がポリ(エチレングリコール)分子に連結されている、請求項10に記載のIFNβポリペプチド。
  92. リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を少なくとも1つ含んでいるIFNβポリペプチドであって、リボソームによって当該IFNβポリペプチドに組み込まれている非天然にコードされるアミノ酸の官能基を介して、当該リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子が当該IFNβポリペプチドにつながれている、IFNβポリペプチド。
  93. 単一のPEGが付加されている、請求項92に記載のIFNβポリペプチド。
  94. 非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上につながれているリンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を含んでいるIFNβポリペプチドであって、当該非天然にコードされるアミノ酸が、あらかじめ選択された部位において当該IFNβポリペプチド中にリボソームによって組み込まれている、IFNβポリペプチド。
  95. 上記リンカー、ポリマーまたは生物学的に活性な分子を1つ含んでいる、請求項94に記載のIFNβポリペプチド。
  96. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドの免疫原性を調節するアミノ酸置換、アミノ酸付加、またはアミノ酸欠失を1つ以上含んでいる、IFNβポリペプチド。
  97. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドの血清半減期または循環時間を調節するアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上含んでいる、IFNβポリペプチド。
  98. IFNβポリペプチドにおける天然に存在するアミノ酸のいずれか1つまたはそれ以上を、非天然にコードされるアミノ酸の1つ以上に置換することを包含している、IFNβポリペプチドの免疫原性を調節する方法。
  99. 天然にコードされるアミノ酸の置換をさらに含んでいる、請求項1または4に記載のIFNβポリペプチド。
  100. 上記非天然にコードされるアミノ酸が、36位の残基および111位のF、ならびにこれらの残基の任意の組合せ(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)からなる群から選択される位置において置換されている、請求項1または4に記載のIFNβポリペプチド。
  101. C17S(配列番号1、または配列番号3もしくは4における対応するアミノ酸)の天然アミノ酸置換をさらに含んでいる、請求項1または4に記載のIFNβポリペプチド。
  102. 請求項1に記載のIFNβポリペプチドであって、該IFNβポリペプチドの抗ウイルス活性を向上させるアミノ酸置換、アミノ酸付加またはアミノ酸欠失を1つ以上有している、請求項1に記載のIFNβポリペプチド。
  103. 上記水溶性ポリマーがオキシム結合によって連結されている、請求項4に記載のIFNβポリペプチド。
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