JP2009057548A - 光硬化型インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物 - Google Patents

光硬化型インク組成物、インクジェット記録方法及び記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性、安全性および硬化性に優れ、かつ硬化後の膜品質に優れた光硬化型インク組成物を提供する。
【解決手段】本発明に係る光硬化型インク組成物は、樹枝状ポリマー、一般式CH2=CR1−COO−R2−O−CH=CH―R3(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜20の有機残基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)で表されるモノマーおよび光重合開始剤を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型インク組成物、並びにこれを用いたインクジェット記録方法及び記録物に関する。
光硬化型インク組成物は、カラーフィルタの製造、プリント基板への印刷、プラスチックカード、ビニールシート、プラスチック部品への印刷、大型看板、屋外・屋内広告用の印刷、バーコードや日付の印刷等に使用されるようになってきている。
特許文献1には、樹枝状ポリマーの一種であるデンドリマーを含む光硬化型インク組成物が開示されている。樹枝状ポリマーは、一般的な線形高分子に比べて、官能基が表面に高密度に密集した分子構造を有するので、機能性高分子ナノ材料として期待されている。
しかしながら、インク組成物中に樹枝状ポリマーを添加すると、インク粘度が大きく上昇してしまい保存性においても粘度上昇によってインクジェットヘッドによる吐出不良を起こす虞がある。この粘度上昇を抑制するために、樹枝状ポリマーの添加量を削減したのでは、樹枝状ポリマーの添加による特性向上が図れないというトレードオフの関係にある。
インクの高粘度化を防止するための一般的な手法として、低粘度の重合性化合物を希釈モノマーとして使用する方法がある。しかしながら、低粘度モノマーは一般に分子量が小さく、引火点が低かったり、臭気や皮膚刺激性といった安全性面での課題がある場合が多い。別の解決策として、低粘度の希釈剤として重合性官能基を持たない有機溶剤や水を添加することが行われている。しかしながら、そのような硬化反応に関与しない成分を添加することは、硬化反応の前処理として加熱や送風などの手段により乾燥処理を行わねばならなかったり、記録媒体に吸収層を設けるなどの特別な処理を行う必要があるなど、工程の負荷が増大するので好ましくない。また、乾燥工程が不十分なまま硬化反応を行うと、残留溶剤や残留水分は重合熱により発泡したり、硬化物から押し出されブリードアウトして硬化膜の表面に残留し、タック(べたつき)の原因となる。
特開2004−99796号公報
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的の1つは、保存安定性、安全性および硬化性に優れ、かつ硬化後の膜品質に優れた光硬化型インク組成物、並びにこれを用いたインクカートリッジ、インクジェット記録方法及び記録物を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明に係る光硬化型インク組成物は、樹枝状ポリマー、一般式CH2=CR1−COO−R2−O−CH=CH―R3(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜20の有機残基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)で表されるモノマーおよび光重合開始剤を含む。
前記樹枝状ポリマーが、デンドリマー及び/又はハイパーブランチポリマーであることが好ましい。
前記モノマーが、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及び/又はメタクリル酸2―(ビニロキシエトキシ)エチルであることが好ましい。
前記樹枝状ポリマーの濃度が3重量%以上30重量%以下であることが好ましい。
更に色材を含んでいることが好ましい。
前記光重合開始剤がα− アミノケトン、α− ヒドロキシケトン、アシルフォスフィンオキサイドのいずれか又は2種以上を混合してなることを特徴とする。
また、本発明に係るインクジェット記録方法は、上述した光硬化型インク組成物を用いて記録することを特徴とする。
また、本発明に係る記録物は、上述した光硬化型インク組成物を用いて記録されたことを特徴とする。
本発明によれば、保存安定性、安全性および硬化性に優れ、かつ硬化後の膜品質に優れた光硬化型インク組成物を提供できる。また、本発明によれば、保存安定性、安全性に優れ、硬化速度および膜品質を向上可能なインクジェット記録方法、並びに優れた膜品質をもつ記録物を提供できる。
以下に本発明について、その好ましい実施態様に基づき説明する。
[光硬化型インク組成物]
本実施形態に係る光硬化型インク組成物は、樹枝状ポリマー、一般式CH2=CR1−COO−R2−O−CH=CH―R3(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜20の有機残基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)で表されるモノマーを含むものである。さらに、本実施形態に係る光硬化型インク組成物は、上記成分に加えて、光重合開始剤、色材(着色剤)を含む。
本実施形態によれば、インク組成物に、樹枝状ポリマーを添加することにより、インク組成物の硬化性および硬化後の膜品質を高めることができる。樹枝状ポリマーを添加することによる粘度上昇を抑制するため、インク組成物にモノマーを添加している。本発明のモノマーは重合反応に寄与することから、乾燥処理等の追加の処理は必要ない。また、一般的な低粘度モノマーは引火点が低いため、インク組成物に添加する上で安全性に問題があるが、本実施形態では、上記一般式に示されるモノマーを採用することにより、インク組成物の引火点の低下を抑制でき、インク組成物の安全性を高めることができる。また、上記のモノマーは、硬化性にも優れている。
樹枝状ポリマーは、以下に示すように大きく6つの構造体に分類できる(「デンドリティック高分子 ―多分岐構造が広げる高機能化の世界―」 青井啓吾/柿本雅明監修、株式会社 エヌ・ティー・エス参照)。
I デンドリマー
II リニア−デンドリティックポリマー
III デンドリグラフトポリマー
IV ハイパーブランチポリマー
V スターハイパーブランチポリマー
VI ハイパーグラフトポリマー
この中でもI〜IIIは分岐度(DB:degree of branching)が1であり、欠陥の無い構造を有しているのに対し、 IV〜VIは欠陥を含んでいても良いランダムな分岐構造を有している。特にデンドリマーは、一般的に用いられている直線状の高分子に比べて、反応性の官能基をその最外面に高密度かつ集中的に配置する事が可能であり、機能性高分子材料として期待が高い。また、ハイパーブランチポリマーもデンドリマーほどではないにせよ、その最外面に反応性の官能基を数多く導入する事が可能であり、硬化性に優れている。
これら樹枝状ポリマーは、従来の直線状高分子や分岐型高分子とは異なり、3次元的に枝分かれ構造を繰り返し、高度に分岐している。その為、同一分子量の直線状高分子と比較して粘度を低く抑える事が可能である。
本実施形態で使用可能なデンドリマーの合成法には、中心から外に向かって合成するDivergent法と外から中心に向かって行うConvergent法を挙げることが出来る。
本実施形態において使用可能な、デンドリマーおよびハイパーブランチポリマーは、室温で固体であって、数平均分子量が1000から100000の範囲のものが望ましく、特に2000〜50000の範囲のものが好ましく使用される。室温で固体でない場合は、形成される画像の維持性が悪くなる。また、分子量が上記の範囲より低い場合には定着画像がもろくなり、また、分子量が上記の範囲より高い場合には、添加量を下げてもインクの粘度が高くなりすぎて飛翔特性の点で実用的ではなくなる。
また、本実施形態において使用可能なデンドリマーおよびハイパーブランチポリマーは、最外面にラジカル重合可能な官能基を有するデンドリマーおよびハイパーブランチポリマーであることが好ましい。最外面にラジカル重合可能な構造とすることにより、重合反応が速やかに進行する。
デンドリマー構造を有するポリマーの例としては、アミドアミン系デンドリマー(米国特許第4,507,466号、同4,558,120号、同4,568,737号、同4,587,329号、同4,631,337号、同4,694,064号明細書)、フェニルエーテル系デンドリマー(米国特許第5,041,516号明細書、Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁))等があげられる。アミドアミン系デンドリマーについては、末端アミノ基とカルボン酸メチルエステル基を持つデンドリマーが、Aldrich社より「StarburstTM(PAMAM)」として市販されている。また、そのアミドアミン系デンドリマーの末端アミノ基を、種々のアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と反応させ、対応する末端をもったアミドアミン系デンドリマーを合成して、それらを使用することもできる。
利用できるアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体としては、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、パルミチル、ステアリル等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アミド、イソプロピルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルアミド類があげられるが、これに限られるものではない。
また、フェニルエーテル系デンドリマーについては、例えば、上記Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜 7647頁)には種々のものが記載され、例えば、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールを用い、3,5−ジフェノキシベンジルブロミドと反応させて第2世代のベンジルアルコールを合成し、そのOH基をCBr4およびトリフェニルホスフィンを用いてBrに変換した後、同様に3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールと反応させて次世代のベンジルアルコールを合成し、以下、上記反応を繰り返して所望のデンドリマーを合成することが記載されている。フェニルエーテル系デンドリマーについても、末端ベンジルエーテル結合の代わりに、末端を種々の化学構造をもつもので置換することができる。例えば、上記Journal of American Chemistry 112巻に記載のデンドリマーの合成に際して、上記ベンジルブロミドの代わりに種々のアルキルハライドを用いれば、相当するアルキル基を有する末端構造を有するフェニルエーテル系デンドリマーが得られる。その他ポリアミン系デンドリマー(Macromol.Symp.77、21(1994))およびその末端基を変性した誘導体を使用することができる。
ハイパーブランチポリマーとしては、例えば、ハイパーブランチポリエチレングリコール等が使用できる。ハイパーブランチポリマーは、1分子内に分岐部分に相当する2つ以上の一種の反応点とつなぎ部分に相当する別種のただ1つの反応点とをもち合わせたモノマーを用い、標的ポリマーを1段階で合成することにより得られるものである(Macromolecules、29巻(1996)、3831− 383頁)。例えば、ハイパーブランチポリマー用モノマーの一例として、3,5− ジヒドロキシ安息香酸誘導体があげられる。ハイパーブランチポリマーの製造例をあげると、1−ブロモ− 8−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキサオクタンと3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルとから得られた3,5−ビス((8′−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルの加水分解物である3,5− ビス((8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルをジブチル錫ジアセテートと窒素雰囲気下で加熱して、ハイパーブランチポリマーであるポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。
3,5−ジヒドロキシ安息香酸を用いた場合、ハイパーブランチポリマー末端基は水酸基となるため、この水酸基に対して、適当なアルキルハライドを用いることにより、種々の末端基を有するハイパーブランチポリマーを合成することができる。
デンドリマー構造を有する単分散ポリマーまたはハイパーブランチポリマー等は、主鎖の化学構造とその末端基の化学構造によりその特性が支配されるが、特に末端基や化学構造中の置換基の相違によりその特性が大きく異なるものとなる。特に末端に重合性基を有するものは、その反応性ゆえに、光反応後のゲル化効果が大きく有用である。重合性基を有するデンドリマーは、末端にアミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシル基等の塩基性原子団を有するものの末端に、重合性基を有する化合物で化学修飾して得られる。
例えば、アミノ系デンドリマーに活性水素含有(メタ)アクリレート系化合物をマイケル付加させてなる多官能化合物に、例えば、イソシアネート基含有ビニル化合物を付加させて合成する。また、アミノ系デンドリマーに例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等を反応させることで末端に重合性基を有するデンドリマーが得られる。このような重合性基を与えるビニル化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられ、その例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩等、後述する種々のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられる。
さらに重合性基としては、カチオン重合性基を有する末端基もあげられ、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合により高分子化の起こる重合性基を有する、例えば、オキシラン、オキセタン類等の環状エーテル化合物類、また、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等の化合物を前記アミノ系デンドリマーと反応させることで導入することができる。例えば、クロロメチルオキシランをアミノ系デンドリマーと反応させ、末端にエポキシタイプのカチオン重合性基を導入できる。そのほか、末端基としては、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ビニルエーテル類及びN−ビニル化合物類等から選ばれるカチオン重合性基がある。
本実施形態において、上記のデンドリマーおよびハイパーブランチポリマーは1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類のデンドリマーおよびハイパーブランチポリマーと併用してもよい。
ハイパーブランチポリマーとしては、例えば、大阪有機化学工業(株)製のビスコート#1000などが入手可能である。
樹枝状ポリマーの含有量は、インク組成物中、好ましくは3〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%である。樹枝状ポリマーの添加量が3重量%未満では硬化後の膜品質が不十分であり、30重量%を超えて高くなると、インク組成物の保存安定性が悪くなってしまうからである。
本実施形態で用いられるモノマーは、下記一般的により表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類である。
CH2=CR1−COO−R2−O−CH=CH―R3 (1)
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜20の有機残基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)
上記モノマーは、1種のみを単独で用いてもよいし、上記一般式に含まれる他のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と併用してもよい。
上記一般式(1)中のR2で示される炭素数2〜20の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合により酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、炭素数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記一般式(1)中のR3で示される炭素数1〜11の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記一般式(1)で表されるモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、低粘度で、引火点が高く、硬化性に優れるという観点からは、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VAと称する)、およびメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VMと称する)が好適である。なお、VAの方が、VMに比べて硬化性の面で優れている。
上記モノマーの製造方法としては、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法A)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸エステル類と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル交換する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテル類とをエステル化する方法(製法F)が好適である。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル類と水酸基含有ビニルエーテル類とをエステル交換する方法(製法D)が好適であり、本実施形態の作用効果をより充分に発揮することができることになる。
上記モノマーの含有量は、インク組成物中、好ましくは20〜90重量%、更に好ましくは30〜80重量%である。
光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどに感度を有するものを適宜選択して使用することができる。
具体的な光重合開始剤は当業者間で公知のものを制限なく使用でき、具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993).や、R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A :Chemistry,73.81(1993).や、J.P.Faussier"Photoinitiated Polymerization−Theory and Applications":Rapra Review vol.9,Report,Rapra Technology(1998).や、M.Tsunooka et al.,Prog.Polym.Sci.,21,1(1996).に多く、記載されている。また、有機エレクトロニクス材料研究会編「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページに化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が多く、記載されている。さらには、F.D.Saeva,Topics in Current Chemistry,156,59(1990).、G.G.Maslak,Topics in Current Chemistry,168,1(1993).、H.B.Shuster et al,JACS,112,6329(1990).、I.D.F.Eaton et al,JACS,102,3298(1980).等に記載されているような、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られている。
好ましい光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。より好ましくは、光重合開始剤は、α−アミノケトン、α−ヒドロキシケトン、アシルフォスフィンオキサイドのいずれか又は2種以上を混合してなる。
上記開始剤は、例えばVicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 127、184、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1850、1870、819、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、Quantacure CTX(Aceto Chemical社製)、Kayacure DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)の商品名で入手可能な光ラジカル重合開始剤を使用することができる。
重合開始剤の含有量は、インク組成物中、1〜20重量%が好ましく、2〜10重量%がより好ましい。
本実施形態に係る組成物には、通常インクに使用することのできる色材を特に制限なく用いることができる。色材としては、顔料及び染料が挙げられ、特にこの場合に用いられる色材は、印刷物の耐久性の点から顔料の方が有利である。
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用される各種染料を使用することができる。
顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、C.I.ピグメントブラック7、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Special Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントヴァイオレット 19等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
本実施形態の好ましい態様によれば、顔料はその平均粒径が10〜200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度のものである。インク組成物における色材の添加量は、0.1〜25重量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜15重量%程度の範囲である。
また、インク組成物が色材を含有する場合、その色材を含有するインク組成物は、各色毎の複数有するものであっても良い。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色に加えて、それぞれの色毎に同系列の濃色や淡色を加える場合、マゼンタに加えて淡色のライトマゼンタ、濃色のレッド、シアンに加えて淡色のライトシアン、濃色のブルー、ブラックに加えて淡色であるグレイ、ライトブラック、濃色であるマットブラックが挙げられる。
色材として顔料を用いる場合には、インク組成物中に分散剤を添加することが好ましい。
分散剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン(C24N)n−(PO)x−(EO)y−OH(上記式中、n、x及びyは、それぞれ1以上の整数を意味し、POはプロピレンオキサイドを意味し、EOはエチレンオキサイドを意味する。)を使用することができる。ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンの具体例としては、例えば、ディスコール(Discole)N−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N−520等を挙げることができる。
前記分散剤の添加量は、好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜10重量%である。
本実施形態に係る光硬化型インク組成物には、必要に応じてその他の添加剤を添加してもよい。
添加剤としては、重合促進剤、樹脂エマルジョン、湿潤剤、pH調整剤、界面活性剤、防腐剤、防カビ剤、等から選ばれる材料を所望により添加することができる。これらの成分は、各種別に一種又は二種以上を混合して用いることができる。また、添加する必要がなければ添加しなくてもよい。当業者は本発明の効果を損なわない範囲で、選択された好ましい添加剤を好ましい量で用いることができる。
本実施形態のインク組成物は、上述した成分から適宜選ばれた成分を含んで調製されるが、得られるインク組成物の粘度が20℃において25mPa・s未満であることが好ましい。さらに、本実施形態においてはインク組成物の表面張力を20℃において45mN/m以下にすることが好ましく、25〜45mN/mの範囲にすることが特に好ましい。粘度及び表面張力をこのように調整することによって、インクジェット記録方法に用いるために好ましい特性を有するインク組成物を得ることができる。この粘度及び表面張力の調整は、インク組成物に含有させるモノマーの添加量を適宜調節することによって行う。
インク組成物の調製方法としては、例えば、インク組成物に含有される各種成分を充分に混合してできるだけ均一に溶解した後、孔径0. 8μm のメンブランフィルターで加圧濾過し、さらに得られた溶液を真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法が例示できるが、これに限定されない。
上述した光硬化型インク組成物は、一種又は二種以上の光硬化型インク組成物を、一体的に若しくは独立に収容したインクカートリッジとして用いられる。これにより、インク組成物の取り扱いが便利になる。インク組成物を含んで構成されるインクカートリッジは当技術分野において公知であり、公知の方法を適宜用いてインクカートリッジにすることができる。
インクカートリッジは一般の筆記具用、記録計用、ペンプロッター用等に使用することができるが、インクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。
[インクジェット記録方法]
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、記録媒体上に、上述した組成の光硬化型インク組成物を吐出し、その後に紫外線を照射して液滴を硬化させるものである。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙、光沢紙)、ガラス、プラスチック、フィルム、金属、プリント配線基板等の種々の記録媒体を用いることができる。
紫外線の照射は、基板または記録媒体等の上に付着させたインク組成物量や厚さにより、適宜好ましい条件を選択することが好ましい。そのため、厳密には特定できないが、例えば、光照射装置から放射される光の波長が350〜450nmの範囲であることが好ましい。
また、紫外線の照射量は、10mJ/cm2以上、10,000mJ/cm2以下であり、また好ましくは50mJ/cm2以上、6,000mJ/cm2以下の範囲で行うことが好ましい。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、光ラジカル硬化型インク組成物の硬化反応を十分に行うことができる。
紫外線照射は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えばFusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
また、消費エネルギー低減の面から、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により、紫外線照射を行ってもよい。
光硬化型インク組成物を吐出する方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。
第一の方法は静電吸引方式とよばれる方法である。静電吸引方式は、ノズルとノズルの前方に配置された加速電極との間に強電界を印加し、ノズルから液滴状のインクを連続的に噴射させ、そのインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えることによって、インク滴を記録媒体上に向けて飛ばしてインクを記録媒体上に定着させて画像を記録する方法、又は、インク滴を偏向させずに、印刷情報信号に従ってインク滴をノズルから記録媒体上にむけて噴射させることにより画像を記録媒体上に定着させて記録する方法である。
第二の方法は、小型ポンプによってインク液に圧力を加えるとともに、インクジェットノズルを水晶振動子等によって機械的に振動させることによって、強制的にノズルからインク滴を噴射させる方法である。ノズルから噴射されたインク滴は、噴射されると同時に帯電され、このインク滴が偏向電極間を通過する間に印刷情報信号を偏向電極に与えてインク滴を記録媒体に向かって飛ばすことにより、記録媒体上に画像を記録する方法である。
第三の方法は、インク液に圧電素子によって圧力と印刷情報信号を同時に加え、ノズルからインク滴を記録媒体に向けて噴射させ、記録媒体上に画像を記録する方法である。
第四の方法は、印刷信号情報に従って微小電極を用いてインク液を加熱して発泡させ、この泡を膨張させることによってインク液をノズルから記録媒体に向けて噴射させて記録媒体上に画像を記録する方法である。
[記録物]
本実施形態に係る記録物は、上述した光硬化型インク組成物を用いて、インクジェット記録方式により記録が行なわれたものである。この記録物は、上述の光硬化型インク組成物を用いてインクジェット記録方法により得られたものであるため、印字品質が良好で、優れた印字安定性を示し、美麗な発色状態を呈し、しかもこの発色状態を長期間に亘って維持することができる。
(実施例A)
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1に示すインク組成物を常法に従い調製した。
Figure 2009057548
表中、各成分の詳細は、次の通りである。
VA:上記一般式(1)に含まれるアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル
VM:上記一般式(1)に含まれるメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル
イソボニルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート:上記一般式(1)に含まれないモノマー
ビスコート1000(大阪有機化学工業製):ハイパーブランチポリマー
Irgacure819、Irgacure1870、Irgacure127
(共にチバ・スペシャリティ・ケミカルズ製) : 重合開始剤
表1に示す実施例1〜8、比較例1〜4のインク組成物について、以下に示す項目に関して評価した。
<膜硬化性>
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、実施例に記載のインク、および比較例に記載のインクをREDノズル列に充填した。常圧下、PETフィルム上にREDのベタパターン(1インチ四方当たり720×720個のドットを1ドット10ngで印字)を印刷した。(実際の印字色はREDノズル列に充填したインク色)。その後、照射強度150mW/cm2の紫外線照射装置から、365nm、380nm、395nm波長の紫外線を照射した。サンプル表面の指触感が消失した時点を硬化と判断した。硬化性については、下記の指標に従って評価した。
AA:1分間の照射で硬化。
A:3分間の照射で硬化。
B:5分間の照射で硬化せず。
<膜強度>
上記同様に印刷したサンプルを、同様の照射装置を用い10分間照射し硬化させた。硬化直後、下記の指標で、膜強度の評価を行った。
A:表面の爪擦りで傷がつかない。
B:表面の爪擦りで傷がつく。
<膜品質>
上記同様に印刷したサンプルを、同様の照射装置を用い10分間照射し硬化させた。硬化後、3日常温・常圧下に静置し、静置後の膜品質を観察して、下記の指標で膜品質の評価を行った。
AA:膜硬化収縮によるフィルムの反りは観察されず。
A:膜硬化収縮によるフィルムの反り、3cm未満。
B:膜硬化収縮によるフィルムの反り、3cm以上。
<保存安定性>
実施例1〜8、比較例1〜4のインク組成物を60℃×5日の環境下に放置して、初期粘度(mPa・s)と放置後の粘度(mPa・s)をレオメータ(Physica社製、MCR−300)にて測定して、粘度の変化率を下記の指標で評価した。
AA:初期粘度と放置後の粘度変化率が±10%以下である。
A:初期粘度と放置後の粘度変化率が±20%以下である。
B:初期粘度と放置後の粘度変化率が±20%より大きい数値である。
<引火点>
作成したインクの引火点をセタ密閉型引火点測定器(Model.13740-2 田中化学機器製作(株))を用い測定し、下記の指標で引火点を評価した。
A:70℃以上。
B:70℃未満。
上記の膜硬化性、膜強度、膜品質、保存安定性、引火点の評価結果を表2に示す。
Figure 2009057548
(実施例B)
次に、実施例Aで用いたいくつかの実施例、比較例について、種々の照射条件に対する膜硬化性を調べた。表3に、実施例Bで用いたインク組成物を示す。実施例および比較例の番号は、表1に対応している。また、実施例Bでは、実施例9、比較例5,6、及び参考例1,2を追加した。実施例9は、光重合開始剤としてアミノケトン(Irgacure 369)を使用したものである。比較例5,6はいずれもハイパーブランチポリマーを含まない例である。より詳細には、比較例5は、先行技術である国際公開WO03/089486号に近い組成をもつインク組成物であり、比較例6は同国際公開に記載のプレポリマー(硬化性樹脂1)を含むインク組成物である。参考例1,2は、VAと同様にインクジェット用モノマーとして優れた特性をもつアリルグリコール及びビニルエーテルを使用したものである。
ここで、表3の硬化性樹脂1は、同国際公開の発明を実施するための最良の形態の「樹脂合成例4」に従って製造した。すなわち、攪拌器、温度計、精留塔及びガス導入菅を備えつけた1Lの四つ口フラスコに、アクリル酸108部、飽和ポリエステルポリオール樹脂(ジエチレングリコール4モルとアジピン酸3モルを縮合した飽和オリゴエステル;酸価3、水酸基価150)750部、パラトルエンスルホン酸24部及びトルエン300部を加え、空気気流下115℃で10時間共沸脱水し、内温を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液800部で2回、脱イオン水800部で洗浄し、90℃、1.333kPaの減圧下で5時間脱揮乾燥し、ポリエステルメタアクリレートを得た。得られたポリエステルメタアクリレートを硬化性樹脂1とした。
Figure 2009057548
膜硬化性の試験は以下に示すようにして行なった。
<膜硬化性>
インクジェットプリンタPX−G920(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、実施例、参考例および比較例に記載のインクをREDノズル列に充填した。常圧下、PETフィルム上にREDのベタパターン(1インチ四方当たり720×720個のドットを1ドット10ngで印字)を印刷した。(実際の印字色はREDノズル列に充填したインク色)。その後、紫外線照射装置(LED)を用い、365nm、380nm、395nm波長の紫外線を照射した。照射強度は20・40・70・100・150・200mW/cm2になるように調整し照射し、サンプル表面の指触感が消失した時点を硬化と判断した。硬化性については、各照射強度において下記の指標に従って評価した。
AAA:45秒未満の照射で硬化。
AA:45秒以上90秒未満の照射で硬化
A:90秒以上180秒未満の照射で硬化
B:180秒以上540秒未満の照射で硬化
C:硬化には540秒以上の照射が必要
上記の膜硬化性の評価結果を表4に示す。
Figure 2009057548
本実施例のインク組成物では、紫外線の照射量が70mW/cm2以上の領域で優れた硬化性を発揮できていることがわかる。参考例1,2は照射強度依存が少ないことが特徴である。高照度においてはVAと比べて特性が劣っているが、低照度においてはVAより優れた特性を有していた。また、一般的には、より小さな液滴でドット形成する場合、酸素阻害の影響で硬化不良が起こりやすいが、上記実施例においては、10ngという液滴単位であっても良好な結果であった。
本発明は、保存安定性、安全性および硬化性に優れ、かつ硬化後の膜品質に優れた光硬化型インク組成物、並びにこれを用いたインクジェット記録方法及び記録物として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 樹枝状ポリマー、一般式CH2=CR1−COO−R2−O−CH=CH―R3(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表す。R2は、炭素数2〜20の有機残基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)で表されるモノマーおよび光重合開始剤を含む光硬化型インク組成物。
  2. 前記樹枝状ポリマーが、デンドリマー及び/又はハイパーブランチポリマーである、請求項1記載の光硬化型インク組成物。
  3. 前記モノマーが、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及び/又はメタクリル酸2―(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1又は2記載の光硬化型インク組成物。
  4. 前記樹枝状ポリマーの濃度が3重量%以上30重量%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物。
  5. 更に色材を含んでなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物。
  6. 前記光重合開始剤がα−アミノケトン、α−ヒドロキシケトン、アシルフォスフィンオキサイドのいずれか又は2種以上を混合してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物を用いて記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物を用いて記録されたことを特徴とする記録物。
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