JP2013023514A - 顔料組成物、光硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法 - Google Patents
顔料組成物、光硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー213を含む顔料と、を含有する、顔料組成物である。
【選択図】なし
Description
[1]
下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー213を含む顔料と、を含有する、顔料組成物。
[2]
下記数式(II)及び(III)を共に満たす、[1]に記載の顔料組成物。
0.1≦B/A≦0.7 ・・・(II)
2質量%≦A+B≦6質量% ・・・(III)
(式中、Aは該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー155の含有量を表し、Bは該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量を表す。)
[3]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]又は[2]に記載の顔料組成物。
[4]
該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー155及び前記C.I.ピグメントイエロー213の合計の含有量を、該顔料組成物の総質量に対する前記顔料の総含有量で除した値が、0.8以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の顔料組成物。
[5]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、該顔料組成物の総質量に対し、10〜65質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載の顔料組成物。
[6]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、該顔料組成物の総質量に対し、10〜40質量%である、[5]に記載の顔料組成物。
[7]
光重合開始剤をさらに含む光硬化型インクジェット記録用インク組成物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の顔料組成物。
[8]
前記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド化合物を含む、[7]に記載の顔料組成物。
[9]
[7]又は[8]に記載の顔料組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、前記吐出工程により吐出された光硬化型インクジェット記録用インク組成物に紫外線を照射して、前記光硬化型インクジェット記録用インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
本発明の一実施形態に係る顔料組成物は、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー213を含む顔料と、を含有するものである。ここで、本明細書における「顔料組成物」とは、顔料と、当該顔料が分散されている分散媒と、を少なくとも含有する組成物であり、その性状は液体、固体、及び半固体のいずれもあり得るものであるが、液体の場合が多い。上記顔料組成物は、以下に限定されないが、例えば、インク、塗料、コーティング剤、並びに顔料及び当該顔料が分散されている分散媒からなる顔料分散液とすることができる。これらの中でも、特にインクとすることが好ましく、光硬化型インクとすることがより好ましく、後述の光硬化型インクジェット記録用インクとすることがさらに好ましい。
なお、本実施形態の顔料組成物は、顔料と当該顔料が分散されている分散媒とを少なくとも含有する組成物であれば、本実施形態の効果を奏することができるものであり、インクとすることに限られるものではない。
以下、本実施形態の顔料組成物に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
本実施形態の顔料組成物は、色材として少なくともC.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー213を含む。
0.1≦B/A≦0.7 ・・・(II)
2質量%≦A+B≦6質量% ・・・(III)
上記数式中、Aは顔料組成物の総質量(100質量%)に対するC.I.ピグメントイエロー155の含有量(単位:質量%)を表す。また、Bは顔料組成物の総質量(100質量%)に対するC.I.ピグメントイエロー213の含有量(単位:質量%)を表す。
本実施形態において、色材として顔料を用いることにより、顔料組成物の耐光性を良好にすることができる。このうちイエロー顔料(但し、C.I.PY 155,213を除く。)としては、以下に限定されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー(PY) 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,167,172,180が挙げられる。
本実施形態において、色材として染料を用いることができる。このうちイエロー染料としては、以下に限定されないが、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173が挙げられる。
本実施形態の顔料組成物は、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤を含んでも良い。当該分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アビシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 32000,36000等〔商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
本実施形態の顔料組成物は、重合性化合物として上記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む。顔料組成物が当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、特に低粘度化に対する効果が大きく、かつ、硬化性も優れたものとなる。ここで、本明細書における「重合性化合物」は、上記顔料組成物において顔料を分散させる分散媒でもあり得る。
本発明の一実施形態に係る光硬化型インクジェット記録用インク組成物は、上記実施形態の顔料組成物の一種であり、光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。
本実施形態のインク組成物に含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態において必須の重合性化合物であるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、上述したとおり、上記一般式(I)で示される。
本実施形態のインク組成物は、重合性化合物として単官能(メタ)アクリレートをさらに含有してもよい。当該単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態のインク組成物は、重合性化合物として多官能(メタ)アクリレートをさらに含有してもよい。当該多官能(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレート(但し、上記所定のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)としては、以下に限定されないが、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、低粘度化及び優れた硬化性の両立が可能となるため、ジプロピレングリコールジアクリレート及びトリプロピレングリコールジアクリレートのうち少なくともいずれかが好ましい。
また、上記のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、単官能(メタ)アクリレート、及び多官能(メタ)アクリレート以外に、従来公知の、単官能及び多官能の種々のモノマー及びオリゴマーもさらに使用可能である(以下、「その他の重合性化合物」という。)。上記モノマーとしては、例えば、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、上記のモノマーから形成されるオリゴマーが挙げられる。
本実施形態のインク組成物に含まれる光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。放射線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
本実施形態のインク組成物は、スリップ剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物は、重合禁止剤をさらに含んでもよい。インク組成物が重合禁止剤を含有することにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
本実施形態のインク組成物は、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
上記インク組成物は、好ましくは350〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線が照射されることにより硬化するものである。本実施形態のインク組成物が上記範囲内の発光ピーク波長で硬化可能であると、当該インク組成物の組成に起因して低エネルギー且つ高速での硬化が可能となる。特に、低エネルギーで硬化可能であることは、環境面などから近年注目されている発光ダイオード(LED)を紫外線の照射源として使用できることにつながるため、好ましいと言える。つまり、本実施形態のインク組成物は、LEDによる硬化性に優れている。
本実施形態のインク組成物は、後述するインクジェット記録方法によって、被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。後述する実施形態のインクジェット記録方法は、水性インクの浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水性インクの浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、上記のインク組成物を非吸収性の被記録媒体に適用した場合は、紫外線を照射し硬化させた後に乾燥工程を設けること等が必要となる場合がある。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。上記実施形態の光硬化型インクジェット記録用インク組成物は、本実施形態のインクジェット記録方法に好適に用いることができる。当該インクジェット記録方法は、被記録媒体上に、上記インク組成物を吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出されたインク組成物に紫外線を照射して、上記インク組成物を硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体上で硬化したインク組成物により、画像、即ちインクの塗膜(硬化膜)が形成される。
吐出工程において、被記録媒体上にインク組成物が吐出され、インク組成物が被記録媒体に付着する。吐出時におけるインク組成物の粘度は、5〜20mPa・sが好ましい。インク組成物の粘度が、インク組成物の温度を室温として、あるいは、インク組成物を加熱しない状態として上記のものであれば、インク組成物の温度を室温として、あるいはインク組成物を加熱せずに吐出させればよい。その際、吐出時のインクの温度は20〜30℃であることが好ましい。一方、インク組成物を所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出され付着したインク組成物が、光(紫外線)の照射によって硬化する。これは、インク組成物に含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、インク組成物において光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
下記の実施例及び比較例において使用した成分は、以下の通りである。
〔顔料〕
・Novoperm Yellow 4G01(クラリアント(Clariant)社製商品名、C.I.ピグメントイエロー155、以下では「PY−155」と略記した。)
・Hostaperm Yellow H5G(クラリアント社製商品名、C.I.ピグメントイエロー213、以下では「PY−213」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 32000(LUBRIZOL社製商品名、以下では「SOL32000」と略記した。)
〔ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、以下では「VEEA」と略記した。)
なお、以下の表中では、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を「アクリル・ビニル含有モノマ」と略記した。
〔単官能(メタ)アクリレート〕
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、以下では「PEA」と略記した。)
〔多官能(メタ)アクリレート〕
・NKエステル APG−100(新中村化学工業社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO., LTD.)製商品名、ジプロピレングリコールジアクリレート、以下では「DPGDA」と略記した。)
・NKエステル APG−200(新中村化学工業社製商品名、トリプロピレングリコールジアクリレート、以下では「TPGDA」と略記した。)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(東京化成社製商品名、p−メトキシフェノール、以下では「MEHQ」と略記した。)
〔スリップ剤〕
・BYK−UV3500(BYK社製商品名、シリコーン系表面調整剤、以下では「UV−3500」と略記した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分量100%、以下では「819」と略記した。)
・DAROCUR TPO(BASF社製商品名、固形分量100%、以下では「TPO」と略記した。)
・KAYACURE DETX−S(日本化薬社製商品名、固形分量100%、以下では「DETX」と略記した。)
まず、顔料分散液(以下、「分散液」とも言う。)を調製した。下記表1〜表3中、「分散液」欄に記載の成分を、表1〜表3に記載の組成(単位:質量%)となるように添加、混合し、分散液1〜4を調製した。
次に、上記で調製した分散液1〜4を高速水冷式撹拌機で撹拌することにより、イエロー色の光硬化型インクジェット記録用インク組成物(本発明の顔料組成物の一種)を調製した。なお、比較例8においては、分散液を使用せず、表3の組成となるように添加、混合して、無色の光硬化型インクジェット記録用インク組成物を調製した。
各実施例及び各比較例で調製した光硬化型インクジェット記録用インク組成物について、以下の方法により粘度、保存安定性、発色性、及び耐候性を評価した。
各実施例及び各比較例のインク組成物の粘度を、DVM−E型回転粘度計(東京計器社(TOKYO KEIKI INC)製)を用いて、温度25℃、回転数10rpmの条件下で測定した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表4〜表6に示す。
A:25mPa・s以下、
B:25mPa・sを超えて30mPa・s未満、
C:30mPa・s以上。
上記「1.粘度」において粘度測定した各実施例及び各比較例のインク組成物を50mL容のガラス瓶に入れ、密栓した後に60℃の恒温槽内に投入して1週間保存した。その後、室温まで温度を下げた各インク組成物について、上記「1.粘度」と同様の方法で粘度測定した。そして、保存前後の増粘率(保存前のインク組成物の粘度に対する保存後のインク組成物の粘度の割合)により、保存安定性を評価した。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記表4〜表6に示す。
A:5%未満、
B:5%以上15%未満、
C:15%以上。
ピエゾ型インクジェットノズルを備えたインクジェット記録装置を用いて、各実施例及び各比較例のインク組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下でPVCシート(Flontlite Grossy 120g〔商品名〕、Cooley社製)上に、インクの吐出量を調整しつつ、印刷物(記録物)の膜厚が10μmとなるようにベタパターン画像(記録解像度720×720dpi)を印刷した。このとき、各インク組成物の吐出性は良好であった。併せて、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV−LEDから、照射強度が1W/cm2であり、且つピーク波長が395nmである紫外線を、1パス当たり200mJ/cm2の照射条件下、タックフリーとなるまでパス数を追加して、ベタパターン画像を硬化させた。以上のようにして、PVCシート上にベタパターン画像が印刷された記録物を作製した。
なお、「ベタパターン画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像である。また、「パス数」は、ヘッドが記録物に対して移動し、ヘッドに搭載した紫外線照射装置から塗膜に向けて紫外線照射した回数を意味する。また、照射エネルギー[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]を測定し、これと照射継続時間[s]との積から求めた。照射強度の測定は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING, INC.)製)を用いて行った。
また、タックフリーといえるか否かは、下記の条件で判断した。すなわち、綿棒にインクが付着するか否か、又は被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付くか否かで判断し、綿棒にインクが付着せず、かつ被記録媒体上のインク硬化物に擦り傷が付かない場合をタックフリーとした。その際、使用した綿棒は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社製のジョンソン綿棒であった。擦る回数は往復10回とし、擦る強さは100g荷重とした。
上記で作製した記録物について、測色計X−Rite(グレタグマクベス(GretagMacbeth)社製商品名)を用いて測定し、得られたOD(Y)値により、以下の評価基準に従い評価した。評価結果を下記表4〜表6に示す。
A:1.7以上、
B:1.5以上1.7未満、
C:1.5未満。
上記「3.発色性」で作製した記録物を、キセノンフェードメーターSX75(スガ試験機社(Suga Test Instruments Co.,Ltd.)製)に投入し、照射エネルギーの積算値が100MJ/m2になるまで光を照射した。投入前のOD値及び投入後のOD値をそれぞれ測定し、下記式で表されるOD値残存率を算出した。
OD値残存率=投入後OD値/投入前OD値
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記表4〜表6に示す。
A:OD値残存率が80%以上、
B:OD値残存率が60%以上80%未満、
C:OD値残存率が60%未満。
Claims (9)
- 下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、
C.I.ピグメントイエロー155及びC.I.ピグメントイエロー213を含む顔料と、を含有する、顔料組成物。 - 下記数式(II)及び(III)を共に満たす、請求項1に記載の顔料組成物。
0.1≦B/A≦0.7 ・・・(II)
2質量%≦A+B≦6質量% ・・・(III)
(式中、Aは該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー155の含有量を表し、Bは該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー213の含有量を表す。) - 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1又は2に記載の顔料組成物。
- 該顔料組成物の総質量に対する前記C.I.ピグメントイエロー155及び前記C.I.ピグメントイエロー213の合計の含有量を、該顔料組成物の総質量に対する前記顔料の総含有量で除した値が、0.8以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、該顔料組成物の総質量に対し、10〜65質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の含有量が、該顔料組成物の総質量に対し、10〜40質量%である、請求項5に記載の顔料組成物。
- 光重合開始剤をさらに含む光硬化型インクジェット記録用インク組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の顔料組成物。
- 前記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド化合物を含む、請求項7に記載の顔料組成物。
- 請求項7又は8に記載の顔料組成物を被記録媒体上に吐出する吐出工程と、
前記吐出工程により吐出された光硬化型インクジェット記録用インク組成物に紫外線を照射して、前記光硬化型インクジェット記録用インク組成物を硬化する硬化工程と、
を含む、インクジェット記録方法。
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