JP2013240978A - インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ヘッドの耐久性、並びにインクの吐出安定性及び吐出量安定性に優れたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が28〜40℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下であるインクジェット記録方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されている。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、紫外線を照射することによりモノマーが光重合(硬化)する紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法は、耐水性及び耐擦性に優れた画像を、被記録媒体の被記録面に形成することができるため、カラーフィルターの製造、プリント基板、プラスチックカード、ビニールシート、大型看板、及びプラスチック部品への印刷、並びにバーコードや日付の印刷などに利用されている。
インクジェット記録に用いられるインクとして、溶媒系の水性インクや無溶媒系の紫外線硬化型インク(UVインク)等が挙げられる。このうち無溶媒系の紫外線硬化型インクは、溶媒系の水性インクよりも粘度が顕著に高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きく、この粘度変動が液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こしてしまう。そこで、紫外線硬化型インクを吐出する際に、インクを加熱し粘度を下げてから吐出する技術が開示されている。
例えば、特許文献1は、UVインクは常温時において一般的なインクと比べて粘度が高いため、記録ヘッド内で加熱して目標設定温度(インクが吐出可能な粘度となるために必要な設定温度)を維持し、低粘度化した状態で吐出する必要があるとした上で、インク粘度が5℃条件で7000〜500mPa・sであると共に、インク粘度が80℃条件で20〜3mPa・sになるように加熱温調により変化することを特徴とするUVインクを開示している(特許文献1の段落0034,0041,及び0042)。
特開2003−200559号公報
しかしながら、特許文献1が開示するUVインクは、加熱によりヘッドの部材を劣化させてしまうという問題が生じる。また、当該UVインクは粘度が非常に高いため、加熱せずに吐出しようとすると、吐出安定性や吐出量安定性に劣るという問題が生じる。
そこで、本発明は、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性に優れた、インクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。
上記課題を解決するため、本願発明者らが鋭意検討を行ったところ、以下の知見を得た。まず、粘度が非常に低い紫外線硬化型インク(以下、紫外線硬化型インクを単に「インク」ともいう。)を調製し、当該インクを加温せずに吐出する方法を検討した。だが、当該方法によれば、インクの温度が環境温度の変化によって変動しやすく、インクの吐出安定性及び吐出量安定性を改善できないことを知見した。さらに、粘度が非常に低い紫外線硬化型インクの組成に起因して、ヘッドの部材が劣化してヘッドの耐久性が悪化し、かつ、硬化シワも発生しやすくなることを知見した。そこで、本願発明者らは、比較的粘度の低い、所定範囲の粘度を有する紫外線硬化型インクを、比較的低温下である所定範囲の温度で加温することを試みた。その結果、ヘッドの部材の劣化が防止することができることを知見した。これに加えて、吐出時の温度変動を小さくすることができるため、粘度変動を抑えることができ、紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性も良好になることを知見した。
上記の知見に基づき、本願発明者らがさらに鋭意検討を行った結果、28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型インクの温度を28〜40℃とし、かつ、当該温度における粘度が15mPa・s以下である紫外線硬化型インクを吐出し硬化させるインクジェット記録方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
前記紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型インクの温度を28〜40℃とし、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下である、インクジェット記録方法。
[2]
前記ヘッドとして、被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える、ライン方式のインクジェット記録装置を用いて記録を行う、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
インク容器から前記ヘッドに前記紫外線硬化型インクを供給するインク経路の少なくとも一部が、前記紫外線硬化型インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記録装置を用いて記録を行う、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
前記インク循環路からヘッドに供給される前記紫外線硬化型インクのインク流入量が、前記ヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する最大インク吐出量の2倍以上である、[3]に記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記インク循環路のうち少なくとも前記ヘッドに接続する位置以外の位置に、前記紫外線硬化型インクを加温する加温機構を備える、[3]又は[4]に記載のインクジェット記録方法。
[6]
前記インク循環路から前記紫外線硬化型インクが供給されるヘッドが複数個あり、該複数個のヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する、[3]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記紫外線硬化型インクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
[8]
前記紫外線硬化型インクは、単官能(メタ)アクリレート(但し、前記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)をさらに含有する、[7]に記載のインクジェット記録方法。
[9]
前記硬化工程に用いられる光源は発光ダイオードである、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[10]
前記発光ダイオードは、800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射するものである、[9]に記載のインクジェット記録方法。
[11]
前記ヘッドにおいてエポキシ樹脂が用いられる、[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法又は[12]に記載のインクジェット記録装置に用いられる、紫外線硬化型インク。
本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。 本発明のインクジェット記録装置の一例であるラインプリンターにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。 本発明のインクジェット記録装置が備えるインク供給装置の一例を示す概略正面図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本明細書において、「記録物」とは、被記録媒体上にインクが記録されて硬化物が形成されたものをいう。なお、本明細書における硬化物は、硬化膜や塗膜を含む、硬化された物質を意味する。
また、本明細書において、「硬化」とは、重合性化合物を含むインクに光を照射すると、重合性化合物が重合してインクが固化することをいう。「硬化性」とは、光を感応して硬化する性質をいい、光重合性とも称される。「硬化シワ」は、硬化を行う対象となる塗膜の内部に存在する未硬化のインクが、硬化する前に不規則に流動するなどにより、重合体積収縮率が高くなる結果、硬化後の塗膜表面に発生するシワを意味する。
また、本明細書において、「吐出安定性」とは、ノズルの目詰まりがなく常に安定したインクの液滴をノズルから吐出させる性質をいう。「吐出量安定性」とは、ノズルから所定時間インクを吐出させた場合に、当該時間に亘りインクの吐出量のばらつきが少ない性質をいう。より詳細に言えば、当該吐出量安定性は、短期的に見ると主に加温温度の変動に影響を受け得る一方、長期的に見ると主に環境温度の変動に影響を受け得ることを、本願発明者らが見出した。そこで、本明細書においては、前者の吐出量安定性を「短期の吐出量安定性」又は「吐出量安定性(短期)」と、後者の吐出量安定性を「長期の吐出量安定性」又は「吐出量安定性(長期)」と、それぞれ称することもある。
また、本明細書において、「ヘッドの耐久性」とは、記録装置を構成するヘッドの部材(具体的にはヘッド部材のうち接着剤)がインクと接触したときに、膨潤などの変質を含む劣化を生じにくい性質をいう。
また、本明細書において、「保存安定性」とは、インクを保存したときに、保存前後における粘度が変化しにくい性質をいう。「耐擦性」とは、硬化物を擦った時に、硬化物が剥離しにくく傷がつきにくい性質をいう。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味する。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、28℃で所定範囲の粘度を有する紫外線硬化型インクを、加温して所定範囲の粘度として、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を少なくとも含むものである。このようにして、被記録媒体上で硬化したインクにより、インクの硬化物が形成される。
〔紫外線硬化型インクの28℃での粘度〕
上記記録方法に用いる紫外線硬化型インクは、28℃で8mPa・s以上の粘度を有する。このような粘度を有する紫外線硬化型インクを用いることにより、得られる硬化物における硬化シワの発生を効果的に防止することができる。硬化シワが発生する原理は次のように推測されるが、本発明の範囲は以下の推測によって何ら限定されることはない。硬化シワは、インクの塗膜において、塗膜表面が先に硬化した後、塗膜内部が塗膜表面よりも遅れて硬化する際に、先に硬化した塗膜表面が変形したり、後から硬化するまでの間に塗膜内部のインクが不規則に流動したりすることなどにより、発生すると推測される。また、粘度が低い紫外線硬化型インクは硬化に伴う重合収縮率(所定の質量を有する硬化前のインクの体積に対する、当該インクの体積と硬化後の当該インク(硬化物)の体積との差)が大きい傾向が見られ、このため硬化シワの発生が顕著であると推測される。また、後述する単官能(メタ)アクリレート、中でも一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型インクは、硬化シワが発生しやすい傾向が見られ、特に、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する低粘度の紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生が顕著であると推測される。本実施形態のインクジェット記録方法に用いられる紫外線硬化型インクは、これらの成分を含有する場合であっても粘度を上記の範囲とすることにより、硬化シワの発生を効果的に防止することができる。なお、本明細書における粘度は、後述の実施例で行った方法により測定された値を採用するが、これは粘度の測定方法を制限するという意味でなく従来公知の測定方法が利用可能である。
そのうち、本実施形態においてインクの粘度は、特に、E型粘度計を用いて測定することができる。E型粘度計の使用に際しては、粘度計の取扱説明書に従い測定するものであることは一般常識の範疇であり、よって、ローターの種類や回転速度は、取扱説明書に従い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定するものであることは特段言うまでもないことであり、本実施形態においてもインクの粘度を、取扱説明書に従い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定することは自明である。
〔被記録媒体〕
上記の被記録媒体として、例えば、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体が挙げられる。当該被記録媒体のうち、インク非吸収性の被記録媒体としては、例えば、インクジェット記録用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの、及びプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、及びポリプロピレン(PP)が挙げられる。インク低吸収性の被記録媒体の例としては、以下に限定されないが、例えば、アート紙、コート紙、及びマット紙等の印刷本紙が挙げられる。
〔吐出工程〕
本実施形態における吐出工程は、紫外線硬化型インクをヘッドから被記録媒体に向けて吐出するものである。そして、吐出される紫外線硬化型インクの温度は28〜40℃であり、かつ、当該温度における紫外線硬化型インクの粘度は15mPa・s以下である。
上記の28〜40℃という温度は、加温により昇温させた温度としては比較的低温である。このように、吐出されるインクの温度(以下、「吐出温度」ともいう。)が比較的低温であると、ヘッドの部材の劣化を防止できることからヘッドの耐久性が優れたものとなり、かつ、温度のばらつきが殆どないことからインクの吐出安定性及び吐出量安定性が良好なものとなるという、有利な効果が得られる。
ここで、本明細書における「吐出される紫外線硬化型インクの温度」は、ヘッドから60分間連続してインクを吐出し、その間5分ごとにノズルの温度を測定し、この測定された各温度の平均値で表すものとする。
以下、上記の吐出温度についてより具体的に説明する。当該温度が28℃以上であると、長期で見たときの吐出量の変動を小さくすることができる。換言すれば、(後述のインク経路における)環境温度の変動の抑制に起因して長期の吐出量安定性が優れたものとなる。これに加えて、28℃未満で吐出可能な紫外線硬化型インクは粘度が非常に低いが、この低粘度に起因する問題、即ちヘッドの部材が劣化してヘッドの耐久性が悪化し、かつ、硬化シワも発生しやすくなるという問題が生じる。これに対し、本実施形態におけるインクは当該問題を解消することができる。
一方、上記温度が40℃以下であると、短期で見たときの吐出量の変動を小さくすることができる。換言すれば、加温温度の変動の抑制に起因して短期の吐出量安定性が優れたものとなる。これに加えて、加温温度が40℃を超えるときのインク粘度が15mPa・s以下である紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生を防止できる反面、加温温度が高すぎることに起因して、ヘッドの耐久性が悪化し、かつ、吐出量安定性も劣るという問題が生じる。これに対し、本実施形態におけるインクは当該問題を解消することができる。
また、上記の吐出温度におけるインクの粘度が15mPa・s以下であると、インクの吐出安定性及び吐出量安定性が優れたものとなるという有利な効果が得られる。吐出安定性はインクの粘度が高い場合に悪化するという問題が生じ得るが、15mPa・s以下であればそのような問題は生じず、吐出安定性は優れたものとなる。一方、吐出量安定性は粘度が低い方が吐出量の変動幅が小さく、15mPa・s以下であれば吐出量の変動幅は十分小さいことから吐出量安定性が優れたものとなる。
また、上記の効果を一層大きなものとし、かつ、上記の問題をより確実に解消するため、上記の吐出温度は34〜40℃が好ましい。所定の吐出温度におけるインクの粘度の上限は12mPa・s以下が好ましい。当該粘度の下限は5mPa・s以上が好ましく、7mPa・s以上がより好ましく、8mPa・s以上がさらに好ましい。所定の吐出温度におけるインクの粘度の下限が上記の値であると、インクの組成に起因したヘッドの耐久性がより良好なものとなり、インクの組成に起因した硬化シワの発生を効果的に防止でき、かつ、低粘度に起因する吐出の不安定さを防止することができる。低粘度に起因する吐出の不安定さを防止できるということは、吐出安定性及び吐出量安定性に一層優れることを意味する。
また、紫外線硬化型インクは、上述したように、通常のインクジェット用インクで使用される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。このようなインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。そのため、吐出されるインクの温度(吐出温度)はできるだけ一定に保つことが好ましい。本実施形態におけるインクは、吐出温度が比較的低温であるとともに、加温による温度調節により、吐出温度をほぼ一定に保つことができる。したがって、本実施形態におけるインクは、画質にも優れている。
ここで、インクの粘度を所望の範囲とするための、インクの設計方法の一例を説明する。
インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度は、使用する各重合性化合物の粘度と、当該各重合性化合物のインク組成物に対する質量比と、から推算することができる。
インクが、重合性化合物A,B…(途中省略)…,NというN種類の重合性化合物を含むと仮定する。重合性化合物Aの粘度をVAとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Aの質量比をMAとする。重合性化合物Bの粘度をVBとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Bの質量比をMBとする。同様にN番目の重合性化合物Nの粘度をVNとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Nの質量比をMNとする。確認的に示すと、「MA+MB+…(途中省略)…+MN=1」という数式が成り立つ。また、インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度をVXとする。そうすると、下記の数式(1)を満たすと仮定する。
MA×LogVA+MB×LogVB+…(途中省略)…+MN×LogVN=LogVX ・・・(1)
なお、例えば重合性化合物がインクに2種含まれる場合には、MBよりも後の重合性化合物の質量比をゼロとする。重合性化合物の種類数は1種以上の任意の数とすることができる。
次に、インク粘度を所望の範囲とするための手順(ステップ1〜7)の一例を説明する。
まず、使用する各重合性化合物の所定温度における粘度の情報を入手する(ステップ1)。入手方法としては、メーカーカタログなどから入手したり、各重合性化合物の所定温度における粘度を測定したりすることなどが挙げられる。重合性化合物単体の粘度は、同じ重合性化合物であってもメーカーにより異なることがあるので、使用する重合性化合物の製造業者による粘度情報を採用するとよい。
続いて、VXに目標粘度を設定し、上記の数式(1)に基づきVXが目標粘度となるよう各重合性化合物の組成比(質量比)を決める(ステップ2)。目標粘度は、最終的に得たいインク組成物の粘度であり、8〜15mPa・sの範囲のうちのある粘度とする。所定温度は28〜40℃の範囲のうちのある温度とする。
続いて、実際に重合性化合物を混合して重合性化合物の組成物(以下、「重合性組成物」という。)を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ3)。
続いて、重合性組成物の粘度が上記の目標粘度に凡そ近い場合(本ステップ4では、「目標粘度±5mPa・s」になっていればよい。)、当該重合性組成物と、光重合開始剤や顔料など重合性化合物以外の成分(以下、「重合性化合物以外の成分」という。)と、を含むインク組成物を調製し、当該インク組成物の粘度を測定する(ステップ4)。当該ステップ4において、重合性化合物以外の成分であって、例えば顔料のように顔料分散液の形態でインク組成物に混合する成分がある場合、顔料分散液に予め含まれている重合性化合物もインク組成物に持ち込まれてしまうため、ステップ2で決めた各重合性化合物の組成比から、顔料分散液としてインク組成物に持ち込まれてしまう重合性化合物の質量比を差し引いた質量比で、インク組成物を調整する必要がある。
続いて、上記インク組成物の測定粘度と上記重合性組成物の測定粘度との差を算出し、これをVYとする(ステップ5)。ここで、通常「VY>0」となる。VYは、重合性化合物以外の成分の種類や含有量などの含有条件によるが、後記の実施例においては、VY=3〜5mPa・sであった。
続いて、VXに「ステップ2の目標粘度−VY」を定め、上記の数式(1)から、VXが前記で定めた「ステップ2の目標粘度−VY」となるよう各重合性化合物の組成比を再度決める(ステップ6)。
続いて、ステップ6で決めた組成比の各重合性化合物と重合性化合物以外の成分とを混合してインク組成物を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ7)。測定した粘度が目標粘度になっていれば、ステップ7で調整したインク組成物が、目標粘度を有するインク組成物として得られたことになる。
一方、ステップ3において、調製した重合性化合物の組成物の測定粘度が「目標粘度±5mPa・s」の範囲に入っていない場合、以下の微調整を行った上で、ステップ3から再度行う。まず、上記測定粘度が高すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。一方、上記測定粘度が低すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。また、ステップ7で、調製したインク組成物の測定粘度が目標粘度になっていない場合、上記の微調整と同様の調整を行った上で、ステップ7から再度行う。
〔インク供給工程〕
本実施形態の記録方法は、インク容器からヘッドにインクを供給するインク経路の少なくとも一部が、インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記録装置を用いて記録を行うものであってもよい。換言すれば、当該記録方法は、インクジェット記録装置のヘッドにインクを供給するインク経路の少なくとも一部にインクを循環させるインク循環路を備え、当該インク循環路においてインクの循環を行うインク供給工程をさらに含んでもよい。ヘッドから流出したインクがインク経路の少なくとも一部で循環することにより、インク循環路中のインクの温度が安定しやすくなり、ひいては吐出量安定性が一層優れたものとなる。
上記インク供給工程において、インク循環路からヘッドに供給される紫外線硬化型インクの流入量(インク流入量)を調節し、当該インク流入量のインクをヘッドへ供給してもよい。当該インク供給工程は上記の吐出工程を行う間行われるとよい。当該インク供給工程において、上記インク流入量は、記録中(印刷中)にヘッドからインクを吐出する吐出量よりも多いことが、インクの流出が生じてインクが循環するため、好ましい。また、当該インク流入量は、ヘッドからインクを吐出する吐出量の最大値(後述する最大インク吐出量)よりも多いことがより好ましく、当該最大インク吐出量の2倍以上であることがさらに好ましく、当該最大インク吐出量の2.5倍以上であることがさらにより好ましい。当該インク流入量が上記範囲内であると、吐出量安定性が一層優れたものとなる。一方、上記インク流入量の上限は、特に限られるものではないが、当該最大インク吐出量の4倍以下であるとよい。なお、上記のヘッドから吐出されるインクの量、即ちインク流入量及び最大インク吐出量は、いずれも体積基準の量である。
上記インク供給工程は、例えば、後述するインクジェット記録装置に、インク供給量を調節する装置(以下、単に「インク供給装置」ともいう。)を設けることで行うことができる。当該インク供給装置については後述する。
〔硬化工程〕
本実施形態の記録方法に含まれる硬化工程は、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを、光源から紫外線(光)が照射されることによって硬化させるものである。本工程において、インクに含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進される。あるいは本工程において、紫外線の照射により光重合性化合物の重合反応が開始する。このとき、インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
光源(紫外線源)としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)は小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、紫外線硬化型インク用光源として期待されている。
このように、本実施形態における紫外線硬化型インクは、光源がLED及びメタルハライドランプのいずれであっても好適に使用可能であるが、中でもLEDが好ましい。
上記の光源(紫外線源)の発光ピーク波長は、360〜420nmの範囲が好ましく、380〜410nmの範囲がより好ましい。発光ピーク波長が上記範囲内であると、UV−LEDの入手が容易であるとともに安価であることから好適である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源(好ましくはLED)から照射される紫外線のピーク強度(照射ピーク強度)は、好ましくは800mW/cm2以上であり、より好ましくは1,000mW/cm2以上である。照射ピーク強度の上限は特に制限されるものではないが、3,000mW/cm2以下であるとよい。照射ピーク強度が上記範囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をより効果的に抑制することができる。硬化シワが発生する原理は前述のとおりに推測されるが、照射ピーク強度が上記範囲内であると、塗膜表面の硬化と同時に内部まで硬化させることができ、紫外線が硬化シワの発生を効果的に抑制することができると推測される。本実施形態における紫外線硬化型インクの28℃における粘度が8mPa・s以上であると、硬化シワの発生をより効果的に防止することができる。特に、紫外線硬化型インクが後述する一般式(1)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有し、照射ピーク強度が上記範囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をさらに効果的に抑制できる。
なお、本明細書における照射ピーク強度は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING,INC.)製)を用いて測定された値を採用する。ただし、これは照射ピーク強度の測定方法を制限するという意味でなく、従来公知の測定方法が利用可能である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から、好ましくは600mJ/cm2以下、より好ましくは200〜500mJ/cm2の照射エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型インクを、本実施形態の記録方法に用いるとよい。この場合、LEDの出力を上げやすくなるとともに、低コスト印刷かつ大きな印刷速度が実現できる。ここで、上記の照射エネルギーは、照射が複数回行われる場合には、各照射エネルギーを合計した総照射エネルギーである。
なお、本明細書における照射エネルギーは、照射開始から照射終了までの時間に照射ピーク強度を乗じて算出される。また、照射が複数回に亘って行われる場合、上記の照射エネルギーは、複数回の照射を合計した照射エネルギー量で表される。発光ピーク波長は、上記の好ましい波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記範囲の発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギー量を上記の照射エネルギーとする。
このようなインクは、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物のうち、少なくともいずれかを含むことにより得られる。
また、被記録媒体への、吐出時における単位面積当たりのインクの吐出量(付着量、打ち込み量)は、インクの無駄な使用を防止するため、5〜16mg/インチ2が好ましい。
また、単位面積当たりのインクの吐出量は、記録解像度と、記録解像度で規定される記録単位領域(画素)当たりに打ち込むインク量と、によって変わるが、記録解像度(印刷解像度)を「副走査方向の解像度×副走査方向と交差する方向(主走査方向)の解像度」で表すと、300dpi×300dpi〜1500dpi×1500dpiが好ましい。そして、この記録解像度に応じて、ヘッドのノズル密度及び吐出量を調整することが好ましい。
なお、画素当たりのインクの吐出量は、2〜200ng/画素が好ましく、3〜160ng/画素がより好ましい。また、ノズル密度(ノズル列におけるノズル間距離)は、180〜720dpiが好ましく、300〜720dpiがより好ましい。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに紫外線硬化型インクに含まれる光重合開始剤の溶解性、紫外線硬化型インクの硬化性、及び硬化シワ抑制にも優れた、インクジェット記録方法を提供することができる。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置、即ちインクジェットプリンターに係る。当該記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を利用するものである。当該記録方法を実施するための記録装置(プリンター)について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のインクジェット記録装置の構成の一例を示すブロック図である。コンピューター130にはプリンタードライバーがインストールされており、プリンター1に画像を記録させるため当該画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。プリンター1は、搬送ユニット20、ヘッドユニット30、照射ユニット40、インク供給ユニット(図示なし)、検出器群110、メモリー123、インターフェイス(I/F)121、及びコントローラー120を有する。外部装置であるコンピューター130から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー120によって各ユニットを制御して、印刷データに従い、被記録媒体上に画像を記録する。プリンター1内の状況は検出器群110によって監視されており、検出器群110は、検出結果をコントローラー120に出力する。コントローラー120は、検出器群110から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。コントローラー120は、インターフェイス121を介して入力した印刷データをメモリー123に記憶し、CPU122とユニット制御回路124とを有する。メモリー123には、各ユニットを制御するための制御情報も記憶されている。
本実施形態のプリンターは、様々な色のインクを被記録媒体に記録する(画像を形成する)ことができ、例えば、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のインクを用いて画像を形成したり、白色のインクを用いて被記録媒体に優れた隠蔽性を付与する下地の画像を形成したりすることが挙げられる。
本実施形態のプリンターの種類として、ラインプリンター及びシリアルプリンターが挙げられ、いずれを用いることもできる。これらはプリンターの方式が異なる。
ライン方式のインクジェット記録装置であるラインプリンターは、ヘッドとして被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える。当該ラインヘッドと被記録媒体とが当該幅方向と交差する走査方向に相対的に位置を移動しながら被記録媒体に、即ちラインヘッドと相対的に走査される被記録媒体に、ラインヘッドからインクが吐出されるものである。そして、ラインプリンターでは、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で記録が行われる。ラインプリンターは記録速度が速い点でシリアルプリンターより有利である。
ここで、上記の「被記録媒体の幅に相当する長さのラインヘッド」は、被記録媒体の幅とラインヘッドの長さ(幅)とが完全に一致している場合に限らず、互いに異なっていてもよい。当該互いに異なっていてもよい場合として、例えば、ラインヘッドの長さ(幅)が、インクが吐出されるべき(画像が記録されるべき)被記録媒体の幅(被記録幅)に相当する長さである場合が挙げられる。
一方、シリアル方式のインクジェット記録装置であるシリアルプリンターは、ヘッドが被記録媒体の副走査方向と交差した主走査方向に移動しながらインクの吐出を行う主走査(パス)を行い、通常2パス以上(マルチパス)で記録が行われるものである。
[インクジェットヘッド]
インクジェット記録装置(プリンター1)が有するヘッドユニット30は、紫外線硬化型インクを被記録媒体に向けて吐出して記録を行うヘッド(インクジェットヘッド)を備える。当該ヘッドは、収容したインクをノズルから吐出させるキャビティーと、当該キャビティー毎に設けられた、インクに吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、当該キャビティー毎に設けられた、ヘッドの外へインクを吐出するノズルと、を少なくとも有する。キャビティー、並びにキャビティー毎に設けられる吐出駆動部及びノズルは、それぞれ互いに独立して、一のヘッドに複数個設けられていてもよい。吐出駆動部は、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子などの電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ吐出させる電子熱変換素子などを用いて形成することができる。インクジェット記録装置は、1色のインクにつきヘッドを1個設けていても複数個設けていてもよい。中でも複数個設けている場合には、複数個のヘッドを被記録媒体の幅方向に並べることによりラインヘッドを構成してもよく、これにより上述の被記録幅をより長くすることができる。複数色のインクを用いて記録を行う場合、インクジェット記録装置はインク毎にヘッドを備える。ここで、本実施形態のプリンターであるシリアルプリンター又はラインプリンターが備えるヘッドは、ヘッドの内部や表面などのインクと接触する部分の少なくとも一部にエポキシ樹脂を用いたヘッドであることが好ましい。当該エポキシ樹脂は、例えば、ヘッドを製造する際に、ヘッドの部材同士を接着させる接着剤として用いることができる。このようなエポキシ樹脂の接着剤を用いたヘッドとすることで、特にヘッドに温度変化があった場合でもヘッドの部材同士の強固な接着力が維持できる。上記の「インクと接触する」とは、インクと直接接触すること、又はインクの構成成分が浸透することにより間接的に接触することを含む。このとき、本実施形態における紫外線硬化型インクは、エポキシ樹脂の接着剤の膨潤を防止可能なことから変質を含む劣化が生じにくいため、ヘッドの耐久性が優れたものとなる。このように、エポキシ樹脂の接着剤を用いた上記ヘッドから、紫外線硬化型インクを好適に吐出することができる。
エポキシ樹脂の接着剤としては、以下に限定されないが、例えば、エポキシ基を有する化合物を含む主剤を硬化剤により硬化させる、従来公知の接着剤が挙げられる。上記の主剤に含まれるエポキシ基を有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型及びビスフェノールF型などのビスフェノール型エポキシ、フェノールノボラック型及びクレゾールノボラック型などのノボラック型エポキシ、エポキシポリオール型エポキシ、ウレタン変性エポキシ、キレート変性エポキシ、並びにゴム変性エポキシが挙げられる。上記の硬化剤としては、以下に限定されないが、例えば、アミン及びポリアミン等のアミン類、酸無水物、アミド及びポリアミド等のアミド類、イミダゾール類、並びにポリメルカプタンが挙げられる。上記の中でも、接着力に優れるため、主剤としてビスフェノール型エポキシ及び硬化剤としてアミン類の組み合わせが好ましい。主剤と硬化剤との混合比(主剤:硬化剤)は、接着剤の硬化性に優れるため、質量換算で10:1〜1:10が好ましい。ヘッドは、例えば、特開2009−279830号の図3等のようにして構成することができる。
以下、図面を参照して本実施形態のプリンターについてより詳しく説明する。なお、本発明の範囲は以下の図面に何ら限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
〔ラインプリンター〕
図2は、本実施形態のプリンターの一例である前述のラインプリンターにおけるヘッドユニット、搬送ユニット、及び照射ユニットの周辺の一例を示す概略断面図である。
搬送モーター(図示せず)により、上流側ローラー25A及び下流側ローラー25Bからなる搬送ローラーが回転し、搬送ドラム26が従動する。被記録媒体Sは、搬送ローラー、搬送ドラム26の周面に沿い、搬送ローラーの回転に伴い搬送される。搬送ドラム26の周囲にはヘッドK、ヘッドC、ヘッドM、及びヘッドYからなる各ヘッドが搬送ドラム26に対向して配置され、各ヘッドと対向する被記録媒体Sに向けてインクを吐出し付着させる吐出工程により記録を行う。各ヘッドの搬送方向下流側には仮硬化用照射部42a、42b、42c、及び42dが配置され、被記録媒体Sに向けて紫外線を照射する。搬送方向の更に下流側には本硬化用照射部44が配置されている。このような記録装置は、例えば特開2010−269471号の図11の様にして構成することができる。
本明細書において、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、より詳しくはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意味する。一般に、仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化による重合性化合物の重合度よりも低い。また、「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。ここで、本明細書において単に「硬化」というときは、特に言及のない限り、本硬化を意味する。
なお、本硬化用照射部44より紫外線が照射されて、インクが本硬化されればよいため、仮硬化用照射部42a、42b、42c、及び42dの一部又は全部から紫外線を照射せず、本硬化用照射部44より紫外線を照射して硬化工程を終了してもよい。このように、硬化工程は、仮硬化を行わずに本硬化のみを行うものであってもよい。
〔インク供給装置〕
本実施形態のインクジェット記録装置のインク供給ユニットは、上述したように、インク供給量を調節する装置(インク供給装置)を備えてもよい。上述したインク供給量の調節工程は、例えば、後述するインクジェット記録装置にインク供給装置を設けることで行うことができる。当該インク供給装置は、例えば、インクタンクやインクカートリッジ等のインク容器とヘッドとの間に備えられる。そして、当該インク供給装置は、インク容器からヘッドにインクを供給するためのインク経路の少なくとも一部にインク循環路を有することで、ヘッドに対するインク流入量を調節することができる。より具体的に言えば、インク供給装置は、第一にインク循環路からヘッドに供給されるインク流入量を調節する。インク供給装置は、第二に当該流量の少なくとも一部をヘッドからインクを吐出させ(この吐出させた量が吐出量)、当該流量の残分(インク流出量)をヘッドからインク循環路に戻るようにすることができる。したがって、例えば、ヘッドに供給されるインク流入量がヘッドからインクを吐出する量(インク吐出量)以上であれば、インクがヘッドから流出してインク循環路へ戻り、インクが循環する。なお、インク流入量がインク吐出量の2倍以上であれば、インク流出量はインク吐出量の1倍以上となる。
以下、上記のインク供給装置について図面を用いて説明する。図3は、本実施形態のインクジェット記録装置が備えるインク供給装置10の一例を示す概略正面図である。
(1.装置構成)
インク供給装置10は、インクジェット記録装置のうち、インクカートリッジ50とヘッド60との間に位置するものである。インク供給装置10は、インクカートリッジ50と、インク循環路80を含むインク経路51と、サブタンク70と、加温機構90と、脱気機構100と、ヘッド60と、を備える。ヘッド60は前述のヘッドユニット30に属するものでもある。
インクカートリッジ50は、紫外線硬化型インクを収容するためのものである。ホルダー52はインクカートリッジ50を装着するものである。インク経路51は、インク循環路80を含む、インクがインクカートリッジ50からヘッド60までに通過する流路である。換言すると、インク容器であるインクカートリッジ50からヘッド60にインクを供給するインク経路51の少なくとも一部が、インクを循環させるインク循環路80である。インク経路51のうち、インクカートリッジ50とサブタンク70との間の配管には、ホルダー52と、バルブ53と、供給ポンプ54と、フィルター55と、が設けられている。
バルブ53は、インクを収容したインクカートリッジ50がホルダー52に装着されると、開くようになっている。供給ポンプ54は、バルブ53が開くと、インクカートリッジ50からインク経路51へインクを押し出すものである。インク経路51は、供給ポンプ54によりインクカートリッジ50から押し出されたインクを、インク中の異物をろ過するフィルター55を介して、サブタンク70に供給するものである。加圧ポンプ56は、サブタンク70を加圧し、サブタンク70からインク循環路80にインクを供給するものである。
サブタンク70は、液量センサー71がサブタンク70内のインクの液量を検知して、液量が所定の第1の液量以上になればインク循環路80にインクを供給し、液量が所定の第2の液量以下になればインクカートリッジ50からインクを受け取るものである。
インク循環路80は、サブタンク70及びヘッド60に通じており、サブタンク70からインクが供給されて、当該インクをヘッド60に供給するものである。インク循環路80は、フィルター81と、循環ポンプ82と、ヘッドフィルター83と、を有する配管である。サブタンク70から供給されたインクは、循環ポンプ82によりインク循環路80を循環する。フィルター81はインク循環路80の循環ポンプ82の下流に設けられ、インク中の異物をろ過するものである。インク循環路80の一部はヘッド60内に設けられ、インク中の異物をろ過するヘッドフィルター83を介して、循環するインクの少なくとも一部がヘッド60より吐出されるようになっている。
加温機構90及び脱気機構100は、インク循環路80の途中、即ちサブタンク70及びヘッド60の間にそれぞれ位置する。
加温機構90は、インク循環路80のうち少なくともヘッド60に接続する位置以外の位置に設けられている。ここで、上記の「インク循環路80のうちヘッド60に接続する位置」は、図3で言うと、ヘッド60の外部にあるインク循環路80の結合部に相当する。加温機構90は、温水タンク91の温水を温水循環ポンプ92により温調モジュール94と温水タンク91との間を循環させつつ、温調モジュール94によりインク循環路80のインクを加温するものである。温水タンク91のヒーター93は、循環するインクの温度を目標温度に調整するものである。
脱気機構100は、インク循環路80の温調モジュール94より下流側であってヘッド60より上流側に設けられている。脱気モジュール102は、インクが流入する脱気室(図示せず)と、インクなどの液体を通さない分離膜を介して当該脱気室に接する減圧室(図示せず)と、を備える。負圧ポンプ101は上記減圧室を減圧するものである。上記減圧室が減圧されると、インク循環路80内のインクの溶存空気量が減少して気泡が除去される。このようにして、脱気機構100はインク循環路80内のインクを脱気するものである。
ヘッド60は、被記録媒体に向けてインクを吐出するためのものである。ヘッド60は、インクを吐出するノズル(図示せず)と、ノズルが形成されたノズル面を有するノズルプレートと、ノズルに連通しインクを収容するキャビティー(図示せず)と、インクの逆流を防止するリザーバー(図示せず)と、キャビティーに収容したインクに吐出の駆動力を付与して吐出に適したインクの液滴を形成し、当該液滴をノズルから吐出させる吐出駆動部(図示せず)を備える。図3において例えば、キャビティーは圧力発生室であり、吐出駆動部は圧電素子である。キャップ61は、記録装置を使用しない場合にノズル近傍に付着しているインクの乾燥を防止するため、ヘッド60のノズルを保護するものである。
図3では、インク循環路80において、ヘッド60が4個並列に設けられている。このように、インク循環路80からインクが供給されるヘッド60が複数個あり、当該複数個のヘッド60からインクを吐出することが好ましい。この場合、後述するように、複数個のヘッド60に対しインク循環路80は1つであるため、インク循環路80や温調モジュール94を共通化させて、4個のヘッド60に供給するインクの温度を均一化でき、かつ、記録装置を低コスト化することもできる。
なお、後記の実施例で実証しているように、本実施形態の記録装置によれば、複数個のヘッドを備えて記録可能な幅を長くした場合でも、インク流入量を所定値に設定することで、吐出量安定性に優れる。
(2.装置の動作)
まず、インクの初期充填が行われる。インクを収容するインクカートリッジ50がホルダー52に装着されると、バルブ53が「開」にされ、供給ポンプ54によりインクが、インクの異物をろ過するフィルター55を介して、サブタンク70に供給される。サブタンク70のインク液量が所定の第1の液量以上になったことが液量センサー71によって検出されたら、供給ポンプ54を停止し、バルブ53を「閉」にする。加圧ポンプ56によりサブタンク70を加圧し、サブタンク70からインク循環路80にインクを供給する。ここで、インク循環路80に完全にインクを充填する前に、サブタンク70の液量が所定の第2の液量(即ち、所定の第1の液量より少ない量)を下回ったら、一旦、加圧ポンプ56を停止してサブタンク70を常圧に戻す。それから上記と同様にして、再度インクカートリッジ50からサブタンク70にインクを供給し、再度サブタンク70からインク循環路80にインクを供給する。このような動作を繰り返すことにより、インク循環路80にインクが完全に充填されたら、加圧ポンプ56を停止しサブタンク70を大気圧に戻して、サブタンク70の液量が所定の第1の液量以上となるように、再度インクカートリッジ50からサブタンク70にインクを供給する。このようにして、インクの初期充填を完了させる。
インクの初期充填が完了した場合、続いて循環ポンプ82によりインクがインク循環路80を循環する。予めヒーター93がオン状態にされている加温機構90は、温水循環ポンプ92によって、温調モジュール94と温水タンク91との間で温水タンク91の温水を循環させる。そして、温調モジュール94が、インク循環路80を循環するインクを加温する。インク循環路80の循環ポンプ82の下流に設けられたフィルター81がインクの異物をろ過する。脱気機構100における脱気モジュール102は、インクが流入する脱気室(図示せず)と、空気などの気体を通してインクなどの液体を通さない分離膜を介して当該脱気室に接する減圧室(図示せず)と、を備える。負圧ポンプ101により減圧室が減圧されると、脱気室内のインクに含まれる気泡や溶存空気は分離膜を通って減圧室に逃げるため、インク循環路80のインクは溶存空気量が低下し気泡が除去される。脱気モジュール102は4個が並列して設けられているため、脱気効率が高くなり、インク循環を行いながらインクを脱気することができる。脱気機構100を温調モジュール94より下流側に設けることで、インク循環路80の中でも最もインク温度の高い位置で脱気することができる。そのため、インクの脱気効率が非常に高く、かつ、循環ポンプ82より下流側に脱気モジュール102があることによってインクの圧力が高い位置で脱気することができ、脱気効率を顕著に高くすることができる。
なお、インク循環路80において、ヘッド60が4個並列に設けられている。ヘッド60内のインク循環路80には、インクの異物をろ過するヘッドフィルター83より下流側にリザーバー(図示せず)が設けられている。ヘッドへ流入し当該リザーバーを通過したインクは再びヘッド60の外へ流出し、各ヘッド60から外へ出たインクはインク循環路80の結合部で合流してサブタンク70に還流する。リザーバーは1ヘッド当たり600個設けられた圧力発生室(図示せず)へ接続されており、各圧力発生室は、室ごとに設けられた圧電素子(図示せず)が個別に駆動されることにより、圧力発生室の容積を変えることができる。また、圧力発生室ごとにノズル(図示せず)が設けられており、インクをノズルから外へ吐出することができる。ヘッド4個に対しインク供給装置は共通であるため、インク循環路80や温調モジュール94を共通化させることにより、4つのヘッド60に供給するインクの温度を均一化でき、かつ、記録装置を低コスト化することもできる。サブタンク70に還流したインクは再びインク循環路80へ循環される。リザーバーを構成する部材を接着してヘッド60を組み立てる際、前述のエポキシ樹脂の接着剤が用いられている。なお、図3では、インク循環路80はヘッド60内を通過しているが、インク循環路がヘッド内を通過せずにヘッドの外を通過して、当該ヘッドの外を通過するインク循環路からヘッド内のリザーバーへインクを供給してもよい。この場合にインクが循環するのは、ヘッドの外を通過するインク循環路までである。だがこの場合も、当該インク循環路へ流入するインクをヘッドへ流入するインクとし、当該インク循環路から流出するインクをヘッドから流出するインクとする。
続いて、印刷開始前の準備を行う。インクの循環が15分間行われて、インク循環路80内のインク温度を安定化させる。インク温度は、ノズル付近に設けられた温度センサー(図示せず)によりノズルの温度として検出され、温水タンク91のヒーター93を制御することにより、印刷前及び印刷中に亘って目標温度に調整されている。印刷準備が完了したら、圧電素子を個別に駆動することによりノズルからインクを吐出して印刷が開始される。
インク循環路80のインク流入量は、前述のように、印刷中、ヘッドからインクを吐出する吐出量よりも多いことが好ましい。インク流入量及び吐出量をこのような関係とするためには、インク流入量が上述の最大インク吐出量よりも多くなるようにするとよい。また、上述したように、インク流入量は、最大インク吐出量より多いことがより好ましく、最大インク吐出量の2倍以上であることがさらに好ましい。インク循環路80からヘッド60に流入するインク流入量をA(mL/分)、全てのヘッド60の全ノズルが、印刷時の最大駆動周波数で駆動して、印刷中に吐出され得る1駆動当たりの最大のインクの量でインクを吐出するとした場合の吐出量である最大インク吐出量B(mL/分)、ヘッド60が最大インク吐出量で吐出している場合のヘッド60からインク循環路80に流出するインク流出量をC(mL/分)とする。このとき、下記数式(イ)を満たすように設定される。
A≧2B=2(A−C) ・・・(イ)
インク流入量が上記数式(イ)を満たすように設定されインクが循環することで、インク温度及び脱気度をより安定化させることができる。また、このような印刷準備を行うことにより、印刷開始前から既に、インク温度及び脱気度を安定化させておくことができる。なお、ヘッドの吐出量は、最大で、上記の最大インク吐出量になり得るものである。だが、実際の印刷中の吐出量は記録すべき画像に応じたノズルごとの駆動の有無など、吐出の状態によって変化しうるものであり、この変化に応じて実際のインク流出量も変化しうる。上記のインク流入量に関する設定情報は、予めインクジェット記録装置の最大インク吐出量などに基づき決定され、前述のメモリー123等に記憶されており、コントローラー120によって当該情報に基づきインク流入量の制御が行われる。なお、最大インク吐出量は上述の条件で吐出を行い把握すればよい。また、ヘッド60の1個当たりの最大インク吐出量をD(mL/分)とした場合、「B=4D」である。印刷中、インクの吐出に伴いサブタンク70の液量は徐々に消費される。そこで、サブタンク70の液量が常に所定の第1の液量以上となるよう、印刷中、供給ポンプ54によって常時、インクがサブタンク70に供給される。また、図3に示すインク供給装置10は備えていないが、印刷中のインク温度を安定化させるために、供給ポンプ54及びサブタンク70の間のインク経路51のうち任意の位置に、温調モジュールをさらに備えてもよい。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに紫外線硬化型インクに含まれる光重合開始剤の溶解性、紫外線硬化型インクの硬化性、及び硬化シワ抑制にも優れたインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置を提供することができる。
[紫外線硬化型インク]
また、本発明の一実施形態は、上記実施形態のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に用いることのできる紫外線硬化型インクに係る。上述のように、当該紫外線硬化型インクは、28℃での粘度、並びに吐出温度及び当該温度における粘度がそれぞれ所定の範囲であることを特徴とする。当該粘度を所定の範囲とするためのインクは、上述したようなインク設計方法により設計することができる。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」とも言う。)に含まれるか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
本実施形態のインクに含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。その他の重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の中でも、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。当該(メタ)アクリレートの中でも、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びその他の単官能(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが好ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類及びその他の単官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
以下、これらの(メタ)アクリレートを中心として、重合性化合物を詳細に説明する。
(1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類)
本実施形態のインクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクを低粘度化することができ、インクの硬化性を優れたものとすることができ、かつ、硬化シワの発生を効果的に防止することができる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、10〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%がさらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、インクの保存安定性を良好な状態に維持することができ、硬化シワの発生を一層効果的に防止することができる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
(2.単官能(メタ)アクリレート)
本実施形態のインクは、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ここで、本実施形態のインクが上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し、単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類も上記単官能(メタ)アクリレートに含まれるものとするが、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類についての説明は省略する。以下では、上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートについて説明する。インクが当該単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、インクを低粘度化することができ、かつ、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性及びインクの硬化性が共に優れたものとなる。さらに言えば、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性が優れたものとなることに起因してインクの吐出安定性が優れたものとなり、また塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増す。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、が挙げられる。
上記の中でも、硬化性、保存安定性、及び光重合開始剤の溶解性に一層優れるため、分子中に芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。これらの中でも、インクを低粘度化することができ、かつ、硬化性、耐擦性、密着性、及び光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることができるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、10〜75質量%が好ましく、10〜55質量%がより好ましく、10〜40質量%がさらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に加えて光重合開始剤の溶解性も一層優れたものとなる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、硬化性に加えて密着性も一層優れたものとなる。
また、上記インクが上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し、単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、これを含む単官能(メタ)アクリレートの含有量の合計は、インクの総質量(100質量%)に対し、35〜90質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、インク粘度、具体的に言えば28℃でのインク粘度及び吐出温度でのインク粘度の双方を、上述した所望の範囲としやすくなる。
(3.上記以外の重合性化合物)
本実施形態のインクは、上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)をさらに含有してもよい。その他の重合性化合物としては上述のモノマー及びオリゴマーが挙げられるが、中でも2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の重合性化合物がインクに含まれる場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、5〜50質量%が好ましい。特に、インクが2官能の(メタ)アクリレートを含む場合、2官能の(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性や硬化物の耐擦性が優れたものとなり、インクの粘度を所望の粘度に設計しやすい。また、重合性化合物の単体の粘度が比較的低い単官能(メタ)アクリレート、中でも特に粘度が低い上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、比較的粘度が高いその他の重合性化合物と、を組み合わせることが好ましい。これにより、インクの粘度を所望の粘度に設計しやすくなる。
なお、重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインクは、光重合開始剤を含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。光の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。紫外線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にインクの硬化性を一層良好にすることができるため、アシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製商品名)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)、Speedcure TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン)(以上、Lambson社製商品名)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製商品名)、及びユベクリルP36(UCB社製商品名)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化速度を向上させて硬化性を優れたものとすることができ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けるため、インクの総質量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましい。
特に、光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、5〜15質量%であることがより好ましく、7〜13質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に一層優れる。より具体的に言えば、特にLED(好ましい発光ピーク波長:360nm〜420nm)による硬化の際に十分な硬化速度が得られるため硬化性に一層優れる。一方、含有量が上記の上限値以下であると、光重合開始剤の溶解性に一層優れる。
〔蛍光増白剤〕
本実施形態のインクは、蛍光増白剤(増感剤)を含んでもよい。蛍光増白剤は、紫外〜短波可視である300〜450nm付近の波長を有する光を吸収可能であり、且つ400〜500nm付近の波長を有する蛍光を発光可能な無色ないし弱く着色した化合物である。蛍光増白剤は、蛍光性白化剤(Fluorescent Whitening Agent)としても知られている。蛍光増白剤の物理的原理及び化学性の記述は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Sixth Edition,Electronic Release,Wiley-VCH 1998に示されている。
本実施形態のインクが蛍光増白剤を含むことにより、硬化性を一層優れたものとできる。
蛍光増白剤として、以下に限定されないが、例えば、1,4−ビス−(2−ベンゾオキサゾイル)ナフタレン等のナフタレンベンゾオキサゾイル誘導体、2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール)等のチオフェンベンゾオキサゾイル誘導体、スチルベンベンゾオキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチリル誘導体、ビス(ベンザゾールー2−イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド、ジベンゾチオフェン−5,5’−ジオキシドの誘導体、ピレン誘導体、及びピリドトリアゾールが挙げられる。
蛍光増白剤の市販品として、例えば、ホスタルックス KCB(クラリアント(Clariant)社製商品名、1,4−ビス−(2−ベンゾオキサゾイル)ナフタレン)、TINOPAL OB(BASF社製商品名、2,5−チオフェンジイルビス(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾキサゾール))等が挙げられる。
蛍光増白剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、蛍光増白剤は、インクの総質量(100質量%)に対し、0.1〜0.5質量%が好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、蛍光増白剤自身が及ぼし得る、硬化膜の色相への影響を軽減できる。
〔色材〕
本実施形態のインクは、色材を含んでもよい。色材としては、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(1.顔料)
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクにおける吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(2.染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インクの総質量(100質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。
〔分散剤〕
本実施形態のインクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤を含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アビシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 32000,36000等〔以上、商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、分散剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインクは、重合禁止剤を含んでもよい。インクが重合禁止剤を含有することにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられる。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール)、ノンフレックスMBP(精工化学社(Seiko Chemical Co.,Ltd.)製商品名、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール))、BHTスワノックス(精工化学社製商品名、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔界面活性剤〕
本実施形態のインクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。当該シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンが好ましく挙げられ、これらの中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン及びポリエステル変性ポリジメチルシロキサンのうち少なくともいずれかがより好ましい。スリップ剤の市販品としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、界面活性剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、ヘッドの耐久性、並びに紫外線硬化型インクの吐出安定性及び吐出量安定性(短期及び長期)に優れ、さらに硬化シワ抑制にも優れた、インクジェット記録方法に用いられる、硬化性及び光重合開始剤の溶解性に優れた紫外線硬化型インクを提供することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔重合性化合物〕
・2−MTA(2−メトキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート)
・4−HBA(4−ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官能(メタ)アクリレート)
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「VEEA」と記載した。)
・ニューフロンティアPHE(フェノキシエチルアクリレート、第一工業製薬社(Dai-ichi Kogyo Seiyaku Co., Ltd.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「PEA」と記載した。)
・V#160(ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「BZA」と記載した。)
・A−DPH(トリプロピレングリコールジアクリレート、2官能(メタ)アクリレート、新中村化学社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO.、LTD.)製商品名、以下「TPGDA」と記載した。)
・SR295(ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4官能(メタ)アクリレート、サートマー社(Sartomer Company Inc.)製商品名)〔光重合開始剤〕
・Lucirin TPO(BASF社製商品名、以下「TPO」と記載した。)
〔蛍光増白剤〕
・ホスタルックス KCB(1,4−ビス−(2−ベンゾオキサゾイル)ナフタレン、クラリアント(Clariant)社製商品名)〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール、以下「MEHQ」と記載した。)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製、以下「BYK3500」と記載した。)
〔色材〕
・Cyanine Blue KRO(C.I.ピグメントブルー15:3(フタロシアニン顔料)、山陽色素社(SANYO COLOR WORKS, Ltd.)製商品名、顔料粒径80nm、以下「ブルー15:3」と記載した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 32000(アビシア(Avecia)社製商品名、以下「SOL32000」と記載した。)
[紫外線硬化型インクA〜Lの調製]
下記表1に記載の各材料を、表1に記載の含有量(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機で撹拌することにより、紫外線硬化型インクA〜Lを得た。
[測定・評価項目]
〔1.28℃でのインクの粘度ランク〕
DVM−E型回転粘度計(東京計器社製)を用いて、上記で調製した各インクの、28℃での粘度を測定した。
ローターは、コーン角度1°34’、コーン半径2.4cmのDVM−E型用コーンを使用した。回転速度は10rpmとした。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:8mPa・s未満であった。
B:8mPa・s以上10mPa・s以下であった。
C:10mPa・sを超えて12mPa・s以下であった。
D:12mPa・sを超えて15mPa・s以下であった。
E:15mPa・sを上回った。
〔2.光重合開始剤の溶解性評価〕
上記で調製した各インクを室温で30分間撹拌した。撹拌後、光重合開始剤の溶け残りの有無を目視で観察した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。なお、表1において本評価欄を「開始剤溶解性」と略記した。
A:光重合開始剤の溶け残りが見られなかった。
B:光重合開始剤の溶け残りが見られた。
〔3.インクの硬化性評価〕
ルミラー#125−E20(東レ社製商品名、PETフィルム)に、テスター産業社(TESTER SANGYO CO., LTD.)製のバーコーターで、上記の各インクを塗布した。塗布した膜厚は硬化後で10μmであった。次に、波長395nmにピークを有するLED(Firefly〔商品名〕、Phoseon社製)から、照射ピーク強度1,000mW/cm2の紫外線を、塗布したインクに所定の時間、照射し、硬化したインク塗膜を得た。照射後、荷重100gの条件下で上記インク塗膜の表面をジョンソン&ジョンソン社製の綿棒で20往復擦り、上記所定の時間を変えて、擦過痕がつかなくなるまでに要した照射エネルギーを測定した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:300mJ/cm2以下であった。
B:300mJ/cm2を超えて400mJ/cm2以下であった。
C:400mJ/cm2を上回った。
Figure 2013240978
なお、紫外線硬化型インクA,B,C,D,E,F,G,K,及びLは実施例として使用できるインクに相当し、紫外線硬化型インクH,I,及びJは比較例に用いられるインクに相当する。
以下、各実施例及び各比較例における記録方法について説明する。
[実施例1〜13,比較例2,4,5,9]
図3のインク供給装置を備え、図2に示す、被記録媒体の画像が記録されるべき幅(被記録幅)にほぼ相当する長さを有し4個のヘッド60を幅方向に並べて構成されるラインヘッドを備えるラインプリンターを使用した。ヘッドのノズル密度は600dpiとした。
インク循環装置に備えたヒーターは、ヘッドのノズルプレートに設けた熱電対にてノズルプレートの温度を測定して、吐出されるインクの温度(吐出温度)が下記の表2〜表4に記載した温度になるよう、実施例及び比較例ごとにヒーターの加熱温度を調整し、ヘッドから連続吐出60分中の5分ごとに温度測定して平均温度が当該実施例及び比較例の各温度になっていることを確認し、当該平均温度をインクの吐出温度とした。
インク供給装置は、サブタンクへインクを供給するインク供給管の直径、並びにサブタンク及びヘッドを結ぶインク循環路のインク管の直径を、共に6mmとし、インク循環路を全長1mとし、サブタンクの容量を100mLとした。ヘッド1個当たりの最大インク吐出量Dは10mL/分であり、かつ、ヘッドを4個備えるため、インク供給装置の最大インク吐出量Bは40mL/分であった。インク流入量Aを80mL/分に設定し当該インク流入量でインクを循環させた。インク供給装置が最大インク吐出量でインクを吐出しているときのインク流出量Cは40mL/分となる。
図2に示す記録装置のヘッドYに各インクを充填した。なお、図2に示すその他のヘッドは使用しなかった。
[比較例1,3,6〜8]
ヒーターをオフにして温度調整をしなかった点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。このとき、ノズル温度は25℃であった(インク温度25℃)。
[実施例14〜16,比較例11]
インク流入量Aを変更し、「インク流入量A/最大インク吐出量B」を下記表3及び表4に記載した数値とした点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。
[比較例10]
ヒーターをオフにして温度調整をせず、かつ、インク流入量Aを変更し、「インク流入量A/最大インク吐出量B」を下記表4に記載した数値とした点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。このとき、ノズル温度は25℃であった(インク温度25℃)。
[実施例17]
循環路中の加温装置をオフにして、代わりに、ヘッドにヒーターを搭載しヘッドを加温することでインク温度が33℃となるようにした点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。
なお、ヘッドのヒーターは、特開2003−200559号の図2に示されたようにヒーターをヘッドに取り付け、リザーバーを含むヘッドを加温するものである。
[実施例18]
ヘッドを4個から1個に変更した点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。具体的に言えば、ヘッド1個のみ吐出させ、ヘッド3個は吐出させずインクの流入も遮断した。インク流入量Aはヘッド1個の吐出量(10mL/分)の2倍とした。よって、実施例18におけるインク流入量Aは20mL/分であった。
[実施例19〜21]
硬化シワ評価における照射ピーク強度を1,000mW/cm2から500mW/cm2に変更した点以外は、上記実施例1等と同様にして記録を行った。
[測定・評価項目]
〔1.吐出時のインクの粘度ランク〕
測定温度を下記表2〜表4の吐出温度とした点以外は、前述の28℃でのインクの粘度ランクと同様にして、各インクの吐出時における粘度を測定した。
評価基準は前述の28℃でのインクの粘度ランクと同様である。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
〔2.吐出安定性評価〕
1ヘッドの全ノズルを5分間吐出させた場合の、不吐出ノズルの本数で評価を行った。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:不吐出ノズルが2個以下であった。
B:不吐出ノズルが3〜5個であった。
×:不吐出ノズルが6個以上であった。
〔3.短期の吐出量安定性の評価〕
全ノズル使用して最大インク吐出量で60分間吐出した。ヘッドの下部にインク受けを設置し、吐出中の5分ごとに、インク受けの質量から吐出されたインクの質量を測定し、インク受けに吐出したインク滴数から1インク滴あたりの吐出質量を求め、60分間の吐出質量の最小と最大の差を60分間の平均吐出質量に対する質量%で算出した。
なお、ヘッドは4個備えており、4個のヘッドはそれぞれノズルを600個備えており全ヘッドの全ノズルを使用して吐出を行った。ただし、実施例18はヘッド1個を評価対象とした。また、吐出不良による不吐出ノズルは吐出ノズルとして扱わず、吐出したノズルを吐出質量の測定対象とした。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:3質量%以下であった。
B:3質量%を超えて5質量%以下であった。
C:5質量%を上回った。
〔4.長期の吐出量安定性の評価〕
上記短期評価を1日1回として10日間、即ち10回行った。そして、当該10回の吐出質量の平均に対する、当該10回の評価(試験)中の吐出質量の最小と最大の差を、質量%で算出した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:3質量%以下であった。
B:3質量%を超えて5質量%以下であった。
C:5質量%を上回った。
〔5.ヘッドの耐久性評価〕
ヘッドの耐久性は、接着剤の膨潤率を測定・算出することにより評価した。
エポキシ樹脂の接着剤(シェル(shell)社製のエポキシ樹脂であるEPIKOTE 828及びコグニス(COGNIS)社製の硬化剤であるVERSAMID 125を等量混合したもの)を約0.2g硬化させ接着剤片を作成し重量を測定した。その後、スクリュー管に入れた各インク中に、上記接着剤片を浸漬して蓋をし、6か月間放置した。放置中の温度は、下記の表2〜表4に記載した、各インクの吐出温度とした。放置後、接着剤片を取り出しインクをよく洗い流した後、重量を測定した。そして、膨潤率は下記の数式より算出した。
重量変化率(%)={(投入後重量−投入前重量)/投入前重量}×100
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:50%未満であった。
B:50%以上であった。
〔6.硬化シワ評価〕
図2のヘッド及び各仮硬化用光源42a〜42dは使用せず、本硬化用光源に395nmにピーク波長を有する照射ピーク強度1000mW/cm2のLEDを配置して、前述のインクの硬化性評価と同様にフィルムにインクをバーコーターで塗布し、フィルムを本硬化用光源に搬送してインクに向けて照射を行った。照射時間を調整して、硬化性試験と同じ試験方法で硬化するまで照射するような照射エネルギーとした。ただし、インクの硬化後の膜厚は12μmとした。
そして、目視で硬化膜の表面を観察した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2〜表4に示す。
A:シワが全く発生していなかった。
B:シワが硬化膜の一部の領域で発生していた。
C:シワが硬化膜の表面の全体に発生していた。
Figure 2013240978
Figure 2013240978
Figure 2013240978
以上の結果より、28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを吐出する吐出工程と、当該インクを硬化させる硬化工程と、を含み、吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が28〜40℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下であるインクジェット記録方法(各実施例)は、そうでない記録方法(各比較例)に比して、吐出安定性、吐出量安定性、及びヘッドの耐久性に優れ、さらにインクに含まれる光重合開始剤の溶解性、インクの硬化性、及び硬化シワ抑制にも優れることが分かった。ここで、硬化性及び硬化シワは、加温温度による差が無かった。また、吐出量安定性は、インク供給装置における「インク流入量/最大インク吐出量」の値が大きいほど優れ、特に当該値を2倍以上とすることにより、吐出量の変動を効果的に抑えられることが分かった。以下、上記の結果に基づき考察を行うが、当該考察は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
まず、吐出時のインクの粘度が8〜12mPa・sである場合、即ち当該粘度の評価結果が「B」又は「C」である場合、当該インクを用いた記録方法は、吐出安定性が一層優れたものになると推測される。ただし、紫外線硬化型インクKは上記表1に示すように、光重合開始剤の溶解に時間がかかる傾向が見られ、光重合開始剤の溶解性が若干劣っていた。そのため、紫外線硬化型インクKを用いた記録方法は、光重合開始剤が析出することにより、吐出安定性が若干劣る結果となったものと推測される。
また、実施例9及び比較例9の対比から、28℃で粘度が8mPa・s以上の場合、ヘッドの耐久性に優れることが推測される。また、実施例2及び実施例14の対比、実施例8及び実施例15の対比、並びに実施例11及び実施例16の対比から、用いたインク及び吐出温度が同じであるが「インク流入量/最大インク吐出量」の値がより大きい例の方が吐出量安定性に優れることが推測される。一方、比較例3及び比較例10は、用いたインク及び吐出温度が同じである一方、「インク流入量/最大インク吐出量」が異なるが、評価結果は同じであった。このことから、インクを加温しない場合、「インク流入量/最大インク吐出量」が異なっても評価結果に影響はないことが推測される。
また、比較例5及び比較例11は、用いたインク及び吐出温度が同じであるが「インク流入量/最大インク吐出量」の値が異なり、評価結果は同等であった。これは、吐出温度が40℃を超えるほど高い場合には、循環路のインク温度変動が大きく、「インク流入量/最大インク吐出量」を2.5倍としても評価結果をより良好なものとするには不十分であると推測される。したがって、吐出温度が40℃以下の場合、「インク流入量/最大インク吐出量」が多いほど吐出量安定性(短期、長期)が優れたものとなることが推測される。
また、実施例2及び実施例17は、インクの加温位置をそれぞれ循環路及びヘッドに搭載したヒーターとしたものである。インクの加温位置は循環路とした方が吐出量変動がより良好であることが分かった。
また、実施例1及び実施例18は、ヘッドの個数をそれぞれ4個及び1個としたものである。ヘッドを1個とした方が吐出量安定性(短期、長期)に一層優れることが分かったが記録可能な幅は狭くなった。つまり、本発明の記録方法は、複数個のヘッドを備えて記録可能な幅を長くした場合でも、インク流入量を所定値に設定することで、吐出量安定性に優れることが分かった。
また、実施例2及び実施例19は、照射ピーク強度が異なる点において互いに異なるものであるが、照射ピーク強度が大きいほど硬化シワの発生を効果的に防止できることが垂足される。さらに、実施例11及び実施例20も、照射ピーク強度が異なる点において互いに異なるものであるが、上記の実施例2及び実施例19の場合と異なり、高粘度のインクを用いているため、照射ピーク強度の大小に拘わらず、硬化シワの発生を防止できるものと推測される。さらに、実施例7及び実施例21も、照射ピーク強度が異なる点において互いに異なるものであるが、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むインクは照射ピーク強度が大きい場合には硬化シワの発生を防止できるものと推測される。
また、28℃におけるインク粘度ランクがAであるインクH、I、Jの何れかを用いた比較例6〜9は、硬化シワ評価が劣っていた。
また、実施例19〜21から、光源の観点より考察すると、照射ピーク強度を1,000mW/cm2から500mW/cm2に変更したLEDを用いたところ、硬化シワ評価が劣るものがあった。
なお、実施例として示していないが、光源としてLEDに替えて照射ピーク強度1,000mW/cm2のメタルハライドランプを用いて硬化を行った。その結果、実施例及び比較例のうち、硬化シワの評価結果がB又はCであった例において、硬化シワ評価が1ランク優れたものに向上し、硬化性の結果も一層良好となることが分かった。だが、メタルハライドランプの発熱によりフィルムに変形が見られたり、LEDと比べて大型の光源であるため設置スペースが必要となったりした。つまり、LEDを用いることは、低発熱及び省スペースな記録装置とできる点で好ましく、LEDの照射ピーク強度を高くすることが硬化シワの点でより好ましいことが分かった。
さらに、実施例として示していないが、ラインプリンターに替えて、光源としてピーク強度500mW/cm2のLEDをキャリッジの横に搭載したシリアルプリンターを用いた点以外は、実施例1と同様にして記録を行った。用いたシリアルプリンターは、特開2010−167677号の図2に記載のインクジェットプリンターである。ヘッドのノズル密度は300dpiとし、記録解像度を600dpi×600dpiとし、ただし1パス当たりの記録解像度は300dpi×300dpiとして、被記録媒体の同一被記録領域へのドットの形成を4パス(主走査方向2パス×副走査方向2パス)行った。その結果、硬化シワ評価結果はAであったが、シリアルプリンターであるため、記録速度が小さいものであることが分かった。つまり、本発明の記録方法によれば、ラインプリンターにより高速印刷を行う場合であっても、LEDを用い、かつ、その照射ピーク強度を高くすることにより、硬化シワの発生を効果的に防止可能な記録を行うことができることが分かった。
1…プリンター、10…インク供給装置、20…搬送ユニット、25A…上流側ローラー、25B…下流側ローラー、26…搬送ドラム、30…ヘッドユニット、40…照射ユニット、42a,42b,42c,42d…仮硬化用照射部、44…本硬化用照射部、50…インクカートリッジ、51…インク経路、52…ホルダー、53…バルブ、54…供給ポンプ、55…フィルター、56…加圧ポンプ、60…ヘッド、61…キャップ、70…サブタンク、71…液量センサー、80…インク循環路、81…フィルター、82…循環ポンプ、83…ヘッドフィルター、90…加温機構、91…温水タンク、92…温水循環ポンプ、93…ヒーター、94…温調モジュール、100…脱気機構、101…負圧ポンプ、102…脱気モジュール、110…検出器群、120…コントローラー、121…インターフェイス、122…CPU、123…メモリー、124…ユニット制御回路、130…コンピューター、K,C,M,Y…ヘッド、S…被記録媒体。

Claims (13)

  1. 28℃における粘度が8mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
    前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
    前記紫外線硬化型インクを加温して、吐出される紫外線硬化型インクの温度を28〜40℃とし、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が15mPa・s以下である、インクジェット記録方法。
  2. 前記ヘッドとして、被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備える、ライン方式のインクジェット記録装置を用いて記録を行う、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. インク容器から前記ヘッドに前記紫外線硬化型インクを供給するインク経路の少なくとも一部が、前記紫外線硬化型インクを循環させるインク循環路である、インクジェット記録装置を用いて記録を行う、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記インク循環路からヘッドに供給される前記紫外線硬化型インクのインク流入量が、前記ヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する最大インク吐出量の2倍以上である、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記インク循環路のうち少なくとも前記ヘッドに接続する位置以外の位置に、前記紫外線硬化型インクを加温する加温機構を備える、請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記インク循環路から前記紫外線硬化型インクが供給されるヘッドが複数個あり、該複数個のヘッドから前記紫外線硬化型インクを吐出する、請求項3〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記紫外線硬化型インクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
  8. 前記紫外線硬化型インクは、単官能(メタ)アクリレート(但し、前記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を除く。)をさらに含有する、請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記硬化工程に用いられる光源は発光ダイオードである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記発光ダイオードは、800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射するものである、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記ヘッドにおいてエポキシ樹脂が用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法又は請求項12に記載のインクジェット記録装置に用いられる、紫外線硬化型インク。
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