JP2014133415A - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 - Google Patents

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敦 吉田
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Abstract

【課題】硬化性、硬化シワの抑制、及び線幅に優れた、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【解決手段】20℃における粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が20〜30℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下である、インクジェット記録方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されている。このうち、インクジェット方式は、安価な装置で、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像形成を行うため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、紫外線を照射することにより重合性化合物が光重合(硬化)する紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法は、耐水性及び耐擦性に優れた画像を、被記録媒体の被記録面に形成することができるため、カラーフィルターの製造、プリント基板、プラスチックカード、ビニールシート、大型看板、及びプラスチック部品への印刷、並びにバーコードや日付の印刷などに利用されている。
例えば、特許文献1は、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びハイパーブランチポリマーからなるインク組成物A1と、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製のIrgacure819及びIrgacure127)、ピグメントブラック−7、及び分散剤(ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン)からなるインク組成物B1と、を備えたインク組成物セットを開示している(特許文献1の段落0083,0084,及び0087)。
特開2009−40880号公報
しかしながら、特許文献1が開示するインク組成物セットを構成する各インク組成物は、インクの硬化性、インクの硬化に伴い発生する硬化シワ、及び線幅の点で、改善の余地がある。
そこで、本発明は、硬化性、硬化シワの抑制、及び線幅に優れた、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。
また、本発明は、硬化シワの抑制、及び線幅に優れた、紫外線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的の一つとする。線幅が優れるとは、線幅評価を行った際、線幅が太くなる特性をいう。
上記課題を解決するため、本願発明者らは鋭意検討を行った結果、所定の紫外線硬化型インクをヘッドから被記録媒体に向けて吐出し、吐出されるインクの温度及び粘度が所定範囲である吐出工程と、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含むインクジェット記録方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は下記のとおりである。
[1]
下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートと、を含有し、20℃における粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が20〜30℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下である、インクジェット記録方法。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
[2]
前記ヘッドを主走査方向に移動させながら前記吐出工程を行い、かつ、前記硬化工程を行う主走査と、
前記ヘッドと前記被記録媒体との相対的な位置を該主走査方向と交差する副走査方向に変化させる副走査と、
を交互に行うことにより記録を行う、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
前記単官能(メタ)アクリレートが、芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートを含む、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
前記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、前記紫外線硬化型インクの総質量に対して40〜80質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記単官能(メタ)アクリレートが、前記紫外線硬化型インクの総質量に対して10〜50質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[6]
前記硬化工程は、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから、500mJ/cm2以下の照射エネルギーで紫外線を照射して、前記紫外線硬化型インクを硬化させるものである、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記硬化工程は、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから、800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して、前記紫外線硬化型インクを硬化させるものである、[1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[8]
ドットを形成する単位領域を画素とし、主走査方向に並ぶ画素の列をラスタラインとしたときに、1の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインの副走査方向の間に他の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインがあり、かつ、副走査方向に並ぶ複数のラスタラインは、ある主走査にてドットを形成する対象とする画素とある主走査ではドットを形成する対象とせず別の主走査にてドットを形成する対象とする画素からなるラスタラインを含む、
[2]に記載のインクジェット記録方法。
[9]
前記ヘッドのノズル面と前記被記録媒体の被記録面との間隔が、5mm以上である、[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[10]
[1]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット記録方法に用いられる、紫外線硬化型インク。
[11]
[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法で記録を行う、インクジェット記録装置。
また、第二の本発明は下記のとおりである。
[1]
20℃における粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、
前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が20〜30℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下であり、
前記硬化工程は、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、
インクジェット記録方法。
[2]
ヘッドを主走査方向に移動させながら吐出工程を行う主走査と、ヘッドと被記録媒体の相対的な位置を主走査方向と交差する副走査方向に変化させる副走査とを交互に行うことにより記録を行い。
前記主走査は、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、
[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
ヘッドの主走査方向に並ぶ光源を備え、ヘッドを主走査方向に移動させながら吐出工程を行う主走査と、ヘッドと被記録媒体の相対的な位置を主走査方向と交差する副走査方向に変化させる副走査とを交互に行うことにより記録を行い、
前記主走査は、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、
ヘッドの副走査方向下流側に光源を備え、主走査に含む硬化工程よりも後に、さらに硬化工程を行う、
[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
主走査に含む硬化工程と主走査に含む硬化工程よりも後にさらに行う硬化工程の少なくとも何れかは、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、
[3]に記載のインクジェット記録方法。
[5]
主走査に含む硬化工程よりも後にさらに行う硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、
主走査に含む硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2未満のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、
[3]又は[4]に記載のインクジェット記録方法。
[6]
硬化工程が複数の硬化工程により行われ、吐出工程後、最初に行われる硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2未満のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、前記硬化工程よりも後で行われる硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、[1]〜[5]の何れかに記載のインクジェット記録方法。
[7]
インクが単官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対して40〜80質量%含有する、
[1]〜[6]の何れかに記載のインクジェット記録方法。
[8]
インクが多官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対して5〜45質量%含有する、
[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[9]
硬化工程による照射のエネルギーの合計が500mJ/cm2以下である、
[1]〜[8]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[10]
ドットを形成する単位領域を画素とし、主走査方向に並ぶ画素の列をラスタラインとしたときに、1の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインの副走査方向の間に他の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインがあり、かつ、副走査方向に並ぶ複数のラスタラインは、ある主走査にてドットを形成する対象とする画素とある主走査ではドットを形成する対象とせず別の主走査にてドットを形成する対象とする画素からなるラスタラインを含む、
[2]〜[9]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[11]
ヘッドのノズル面から記録媒体の表面までの距離が5mm以上である、
[1]〜[10]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[12]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法で記録を行うインクジェット記録装置。
[13]
[1]〜[11]のいずれかに記載のインクジェット記録方法に用いられる、紫外線硬化型インク。
本実施形態の記録装置の一例となるシリアルプリンターのヘッド周辺の概略図である。
以下、本発明を実施するための第一の実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「記録物」とは、被記録媒体上にインクが記録されて硬化物が形成されたものをいう。なお、本明細書における硬化物は、硬化膜や塗膜を含む、硬化された物質を意味する。
また、本明細書において、「硬化」とは、重合性化合物を含むインクに光を照射すると、重合性化合物が重合してインクが固化することをいう。「硬化性」とは、光を感応して硬化する性質をいい、光重合性とも称される。「硬化シワ」は硬化後の塗膜表面に発生するシワを意味する。「埋まり性」とは、充填性とも言い、記録物を硬化物(画像)が形成された側から見たときに、下地である被記録媒体が見えない性質をいう。「耐擦性」とは、硬化物を擦った時に、硬化物が剥離しにくく傷がつきにくい性質をいう。「保存安定性」とは、インクを保存したときに、保存前後における粘度が変化しにくい性質をいう。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味する。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、所定の組成及び物性を有する紫外線硬化型インクをヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含むものである。このようにして、被記録媒体上で硬化したインクにより、インクの硬化物が形成される。
〔被記録媒体〕
上記の被記録媒体として、例えば、インク非吸収性又は低吸収性の被記録媒体が挙げられる。当該被記録媒体のうち、インク非吸収性の被記録媒体としては、例えば、インクジェット記録用に表面処理していない(すなわち、インク吸収層を形成していない)プラスチックフィルム、紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているものやプラスチックフィルムが接着されているもの等が挙げられる。ここでいうプラスチックとしては、ポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。インク低吸収性の被記録媒体の例としては、アート紙、コート紙、マット紙等の印刷本紙などが挙げられる。
〔吐出工程〕
本実施形態における吐出工程は、所定の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」という。)をヘッドから被記録媒体に向けて吐出するものである。そして、当該インクの20℃における粘度は7mPa・s以上である。また、吐出される紫外線硬化型インクの温度は20〜30℃であり、かつ、当該吐出温度における紫外線硬化型インクの粘度は13mPa・s以下である。なお、当該吐出温度におけるインクの粘度が13mPa・s以下であればよく、20℃におけるインクの粘度は13mPa・s以下であってもよいしそうでなくてもよい。
上記の20〜30℃という温度は、室温又はその近傍に相当する。このように、吐出されるインクの温度が室温又はその近傍であると、記録装置に加温機構を設けるなどの温度制御をする必要がないため、コストを低く抑えることができ、かつ、温度のばらつきが殆どなく吐出安定性が良好となるという有利な効果が得られる。
また、20℃における粘度が7mPa・s以上であると、硬化シワの発生を防止することができる。硬化シワは、インクの塗膜において、塗膜表面が先に硬化した後、塗膜内部が塗膜表面よりも遅れて硬化する際に、先に硬化した塗膜表面が変形したり、後から硬化するまでの間に塗膜内部のインクが不規則に流動したりすることなどにより、発生すると推測される。また、粘度が低い紫外線硬化型インクは硬化に伴う重合収縮率(所定の質量を有する硬化前のインクの体積に対する、当該インクの体積と硬化後の当該インク(硬化物)の体積との差)が大きい傾向が見られ、このため硬化シワの発生が顕著であると推測される。また、後述する一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型インクは硬化シワが発生しやすい傾向が見られ、特に、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有し、かつ、粘度が低い紫外線硬化型インクは、硬化シワの発生が顕著であると推測される。本実施形態において硬化シワの発生を防止可能な理由は、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する紫外線硬化型インクでありながら、粘度を上記のものとすることで、硬化シワの発生を低減できたためと推測される。また、上記の吐出されるインク温度におけるインクの粘度が13mPa・s以下であると埋まり性が優れたものとなる。このように埋まり性が優れたものとなる理由は、加温しなくてもインクの粘度が低いことから、加温した場合の吐出後に生じ得る、温度低下に伴う粘度上昇を防止できるためと推測される。このように、本実施形態の記録方法は紫外線硬化型インクを加温しない状態で吐出することができ、当該記録方法を利用する記録装置は加温機構を備える必要がないという有利な効果が得られる。ただし、当該記録装置が加温機構を備えることは何ら否定されない。なお、本実施形態は、上記の推測に何ら制限されるものではない。
また、以上の有利な効果を一層大きなものとするため、吐出される紫外線硬化型インクの温度は23〜28℃が好ましく、吐出されるインク温度におけるインクの粘度は11mPa・s以下が好ましい。20℃におけるインクの粘度は9mPa・s以上が好ましい。
また、紫外線硬化型インクは、通常のインクジェット用インクで使用される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。このようなインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。そのため、吐出されるインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。本実施形態における紫外線硬化型インクは、吐出されるインクの温度が室温又はその近傍であるため加温が不要であり、吐出されるインクの温度をほぼ一定に保つことができる。したがって、本実施形態における紫外線硬化型インクは、画質にも優れている。
ここで、インクの粘度を所望の範囲とするための、インクの設計方法の一例を説明する。
インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度は、使用する各重合性化合物の粘度と、当該各重合性化合物のインク組成物に対する質量比と、から推算することができる。
インクが、重合性化合物A,B…(途中省略)…,及びNというN種類の重合性化合物を含むと仮定する。重合性化合物Aの粘度をVAとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Aの質量比をMAとする。重合性化合物Bの粘度をVBとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Bの質量比をMBとする。同様にN番目の重合性化合物Nの粘度をVNとし、インク中の重合性化合物全量に対する重合性化合物Nの質量比をMNとする。確認的に示すと、「MA+MB+…(途中省略)…+MN=1」という数式が成り立つ。また、インクに含まれる重合性化合物全体の混合粘度をVXとする。そうすると、下記の数式(1)を満たすと仮定する。
MA×LogVA+MB×LogVB+…(途中省略)…+MN×LogVN=LogVX ・・・(1)
なお、例えば重合性化合物がインクに2種含まれる場合には、MBよりも後の重合性化合物の質量比をゼロとする。重合性化合物の種類数は1種以上の任意の数とすることができる。
次に、インクの粘度を所望の範囲とするための手順(ステップ1〜7)の一例を説明する。
まず、使用する各重合性化合物の所定温度における粘度の情報を入手する(ステップ1)。入手方法としては、メーカーカタログなどから入手したり、各重合性化合物の所定温度における粘度を測定したりすることなどが挙げられる。重合性化合物単体の粘度は、同じ重合性化合物であってもメーカーにより異なることがあるので、使用する重合性化合物の製造メーカーによる粘度情報を採用するとよい。
続いて、VXに目標粘度を設定し、上記の数式(1)に基づきVXが目標粘度となるよう各重合性化合物の組成比(質量比)を決める(ステップ2)。目標粘度は、最終的に得たいインク組成物の粘度であり、7〜13mPa・sの範囲のうち任意の粘度とする。上記の所定温度は20〜30℃の範囲のうち任意の温度とする。
続いて、実際に重合性化合物を混合して重合性化合物の組成物(以下、「重合性組成物」という。)を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ3)。
続いて、重合性組成物の粘度が上記の目標粘度に凡そ近い場合(本ステップ4では、「目標粘度±5mPa・s」になっていればよい。)、当該重合性組成物と、光重合開始剤や顔料など重合性化合物以外の成分(以下、「重合性化合物以外の成分」と言う)と、を含むインク組成物を調製し、当該インク組成物の粘度を測定する(ステップ4)。当該ステップ4において、重合性化合物以外の成分であって、例えば顔料のように顔料分散液の形態でインク組成物に混合する成分がある場合、顔料分散液に予め含まれている重合性化合物もインク組成物に含まれることとなるため、ステップ2で決めた各重合性化合物の組成比から、顔料分散液としてインク組成物に含まれることとなる重合性化合物の質量比を差し引いた質量比で、インク組成物を調製する必要がある。
続いて、上記インク組成物の測定粘度と上記重合性組成物の測定粘度との差を算出し、これをVYとする(ステップ5)。ここで、通常「VY>0」となる。VYは、重合性化合物以外の成分の種類や含有量などの含有条件によるが、後記の実施例においては、VY=2.3〜3mPa・sであった。
続いて、VXに「ステップ2の目標粘度−VY」を定め、上記の数式(1)から、VXが、前記で定めた「ステップ2の目標粘度−VY」となるよう各重合性化合物の組成比を再度決める(ステップ6)。
続いて、ステップ6で決めた組成比の各重合性化合物と重合性化合物以外の成分とを混合してインク組成物を調製し、所定温度における粘度を測定する(ステップ7)。測定した粘度が目標粘度になっていれば、ステップ7で調整したインク組成物が、目標粘度を有するインク組成物として得られたことになる。
一方、ステップ3において、調製した重合性化合物の組成物の測定粘度が「目標粘度±5mPa・s」の範囲に入っていない場合、以下の微調整を行った上で、ステップ3から再度行う。まず、上記測定粘度が高すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。一方、上記測定粘度が低すぎる場合、単体としての粘度が目標粘度よりも低い重合性化合物の含有量を減らし、かつ、単体としての粘度が目標粘度よりも高い重合性化合物の含有量を増やすといった微調整を行う。また、ステップ7で、調製したインク組成物の測定粘度が目標粘度になっていない場合、上記の微調整と同様の調整を行った上で、ステップ7から再度行う。
〔硬化工程〕
上記硬化工程は、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを、光源から紫外線(光)が照射されることによって硬化させるものである。本工程において、インクに含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の光重合反応が、その開始種の機能によって促進される。あるいは本工程において、紫外線の照射により重合性化合物の光重合反応が開始する。このとき、インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
光源(紫外線源)としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクの硬化に使用される光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプが広く知られている。その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)等のLED(発光ダイオード)は小型、高寿命、高効率、及び低コストであり、紫外線硬化型インク用光源として期待されている。
このように、上記実施形態の紫外線硬化型インクは、光源がLED及びメタルハライドランプのいずれであっても好適に使用可能であるが、中でもUV−LEDが好ましい。
上記の光源(紫外線源)の発光ピーク波長は、360〜420nmの範囲が好ましく、380〜410nmの範囲がより好ましい。発光ピーク波長が上記範囲内であると、UV−LEDの入手が容易であるとともに安価であることから好適である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から照射される紫外線のピーク強度(照射ピーク強度)は、好ましくは800mW/cm2以上であり、より好ましくは1,000mW/cm2以上である。照射ピーク強度が上記範囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をより効果的に防止することができる。より具体的に言えば、インク塗膜の内部の硬化がその表面の硬化に比して遅れる結果、インク塗膜の表面が先に硬化して硬化シワが発生することを効果的に防止することができる。
なお、本明細書における照射ピーク強度は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING,INC.)製)を用いて測定された値を採用することができる。ただし、これは照射ピーク強度の測定方法を制限するという意味でなく、従来公知の測定方法が利用可能である。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から、好ましくは600mJ/cm2以下、より好ましくは200〜500mJ/cm2の照射エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型インクを、本実施形態の記録方法に用いるとよい。この場合、LEDの出力を上げやすくなるとともに、低コスト印刷かつ大きな印刷速度が実現できる。ここで、上記の照射エネルギーは、照射が複数回行われる場合には、各照射エネルギーを合計した総照射エネルギーである。
なお、本明細書における照射エネルギーは、照射開始から照射終了までの時間に照射ピーク強度を乗じて算出される。また、照射が複数回に亘って行われる場合、上記の照射エネルギーは、複数回の照射を合計した照射エネルギー量で表される。発光ピーク波長は、上記の好ましい波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記範囲の発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギー量を上記の照射エネルギーとする。
このようなインクは、上記波長範囲の紫外線照射により分解する光重合開始剤、及び上記波長範囲の紫外線照射により重合を開始する重合性化合物のうち少なくともいずれかを含むことにより得られる。
また、被記録媒体への、吐出時における単位面積当たりのインクの吐出量(打ち込み量,付着量)は、埋まり性を優れたものとし、かつ、インクの無駄な使用を防止するため、5〜16mg/インチ2が好ましい。
また、単位面積当たりのインクの吐出量は、記録解像度と、記録解像度で規定される記録単位領域(画素)当たりに打ち込むインク量と、によって変わるが、記録解像度(印刷解像度)を「副走査方向の解像度×副走査方向と交差する方向(主走査方向)の解像度」で表すと、300dpi×300dpi〜1500dpi×1500dpiが好ましい。そして、この記録解像度に応じて、ヘッドのノズル密度及び吐出量を調整することが好ましい。
なお、画素当たりのインクの吐出量は、2〜200ng/画素が好ましく、3〜160ng/画素がより好ましい。また、ノズル密度(ノズル列におけるノズル間距離)は、180〜720dpiが好ましく、300〜720dpiがより好ましい。
このように、本実施形態によれば、硬化性、硬化シワの抑制、並びにベタパターン画像及び線幅(副走査方向及び主走査方向)の埋まり性のいずれにも優れた、インクジェット記録方法を提供することができる。なお、以下では、上記の主走査方向を「被記録媒体の搬送方向」といい、上記の副走査方向を「被記録媒体の幅方向」ということもある。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置、即ちインクジェットプリンターに係る。当該記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を利用することができる。当該記録方法を実施するための記録装置(プリンター)について詳細に説明する。
本実施形態のプリンターは、様々な色のインクを被記録媒体に記録する(画像を形成する)ことができ、例えば、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)の4色のインクを用いて画像を形成したり、白色のインクを用いて被記録媒体に優れた隠蔽性を付与する下地の画像を形成したりすることが挙げられる。
本実施形態のプリンターの種類として、ラインプリンター及びシリアルプリンターが挙げられ、いずれを用いることもできる。これらはプリンターの方式が異なる。ライン方式のインクジェット記録装置であるラインプリンターは、被記録媒体の幅に(ほぼ)相当する長さのノズル列を有するヘッドと当該被記録媒体とが、当該幅方向と交差する走査方向に相対的に位置を移動しながら、インクを被記録媒体上に吐出するものであり、ヘッドが(ほぼ)移動せずに固定されて、1パス(シングルパス)で記録が行われるものである。一方、シリアル方式のインクジェット記録装置であるシリアルプリンターは、ヘッドが被記録媒体の搬送方向と直交した方向に往復移動(シャトル移動)しながら、通常2パス以上(マルチパス)で記録が行われるものである。なお、上記のパスは、後述の「主走査」と換言することができる。
以下、図面を参照して本実施形態のプリンターについてより詳しく説明する。なお、本発明の範囲は以下の図面に何ら限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。図1は、本実施形態の記録装置の一例となるシリアルプリンターのヘッド周辺の概略図である。
キャリッジユニット80は、ヘッド85を、記録領域に静止させた被記録媒体に対して、インクを吐出しながら上記搬送方向(副走査方向)と交差する方向(以下、「移動方向」又は「主走査方向」と言う。)に移動、即ち走査させる移動機構である。キャリッジユニット80は、キャリッジ81とキャリッジモーター(不図示)とを備える。また、キャリッジ81は、紫外線硬化型インクを収容するインクカートリッジ(不図示)を着脱可能に保持している。そして、キャリッジ81は、後述する搬送方向と交差したガイド軸82に支持された状態で、キャリッジモーターによりガイド軸82に沿って往復移動する。
ヘッド85は、被記録媒体に対して紫外線硬化型インクを吐出するためのものであり、複数のノズルを有する。ヘッド85はキャリッジ81に設けられているため、キャリッジ81が移動方向に移動すると、ヘッド85も移動方向に移動する。そして、ヘッド85が移動方向に移動中に紫外線硬化型インクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドット列が被記録媒体に形成される。
なお、ヘッド85の移動において、図1の一端側から他端側に向かって移動する間に紫外線硬化型インクの吐出が行われるが、他端側から一端側に移動する間には紫外線硬化型インクの吐出は行われない。
ヘッド85のノズル面と被記録媒体の被記録面との間隔は、ノズル面と被記録媒体との接触を防ぎ、かつ、インクの着弾位置ずれを防ぐため、0.5〜20mmが好ましく、1〜15mm以上がより好ましい。特に、上記の間隔が比較的大きい条件で記録を行ってもよく、この場合の間隔は、5〜20mmが好ましく、5〜15mmがより好ましい。当該ノズル面は、ヘッド85のノズルプレートのうち、被記録媒体に対向する面を意味する。本明細書では、ノズル面や被記録面の地点などにより、被記録媒体の記録領域中、当該間隔が一定ではない場合、ノズル面と被記録面との間隔の中で最大の長さを、ヘッド85のノズル面と被記録媒体の被記録面との「間隔」とする。なお、上記の間隔が一定でない場合として、例えば特開2000−52596号公報に開示されている凹凸のある被記録媒体に記録を行う場合が挙げられる。この場合、上記の間隔が比較的大きい条件で記録を行うことが好ましく、こうすることで記録制御を簡易化しつつ、ノズル面と被記録媒体との接触を防ぎ、かつ、凹凸のある表面意匠性を有する被記録媒体などに好適な記録を行うことができる。
照射ユニット90は、被記録媒体に付着(着弾)した紫外線硬化型インクに対して紫外線を照射することにより、当該紫外線硬化型インクを硬化させるものである。被記録媒体上に形成されたドットは、照射ユニット90からから紫外線を照射されることにより、硬化して硬化物を形成する。照射ユニット90は、ヘッド85の搬送方向下流側に第1照射部92a,92b及び第2照射部93を備えている。
第1照射部92a,92bは、被記録媒体上に形成されたドットを硬化させるための紫外線を照射するものであり、同じく硬化が行われる第2照射部93の前、即ち搬送方向上流側に位置する。
より具体的に言えば、第1照射部92a,92bが被記録媒体上に形成されたドットを仮硬化させるための紫外線を照射するものであるのに対し、第2照射部93は仮硬化されたドットを本硬化させるための紫外線を照射するものである。
本明細書において、「仮硬化」とは、インクの仮留め(ピニング)を意味し、より詳しくはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意味する。一般に、仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化による重合性化合物の重合度よりも低い。また、「本硬化」とは、被記録媒体上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。
第2照射部93は、被記録媒体上に形成されたドットを(ほぼ)完全に硬化、即ち本硬化させるための紫外線を照射するものである。第2照射部93は、ヘッド85よりも搬送方向下流側に設けられており、ヘッド85によって形成されたドットに紫外線を照射する。
なお、第1照射部92a,92b及び第2照射部93のうち少なくともいずれかより紫外線が照射されて、インクが本硬化されればよい。したがって、第1照射部92a,92bから紫外線を照射せず、第2照射部93より紫外線を照射して硬化工程を終了してもよい。また、第2照射部93より紫外線を照射するか否かによらず、第1照射部92a及び92bのうち少なくともいずれかより紫外線を照射して本硬化を行ってもよい。第1照射部92a及び92bのうち少なくともいずれかで本硬化を行う場合には、第2照射部93は無くてもよい。このように、硬化工程は、仮硬化を行わずに本硬化のみを行うものであってもよい。
このように、本実施形態においては、ヘッド85を移動方向(主走査方向)に移動させながら、ヘッド85からインクを吐出し硬化させて、画像の少なくとも一部を形成する主走査と、ヘッド85と被記録媒体との相対的な位置を主走査方向と交差する搬送方向(副走査方向)に変化させる副走査と、が交互に繰り返されて、記録を行うことができる。つまり、上記主走査は上述の吐出工程及び硬化工程を実施するものであり、上記副走査は搬送方向に被記録媒体を搬送するものである。そして、これらの主走査及び副走査を繰り返す記録により、被記録媒体上に画像を完成させることができる。
また、上記の副走査の代わりに、被記録媒体は搬送されずキャリッジユニット80が副走査方向にも移動することにより副走査が行われるようにしてもよい。
また、本実施形態の記録方法は、いわゆるオーバーラップ印刷により行うことが好ましい。ここで、本実施形態におけるオーバーラップ印刷について説明する。
本実施形態におけるオーバーラップ印刷は、以下の第一の態様又は第二の態様を含むものである。ここで、「ラスタライン」とは、主走査方向に画素が1列に並んでなる列(ドット列)を意味する。
第一の態様は、1回の主走査において、1つのラスタラインに対してドットを形成する画素及びドットを形成しない画素があり、複数回の主走査を行うことで1つのラスタラインを形成するラスタラインが存在するものである。そして、第一の態様によれば、複数回の主走査を通じて当該1つのラスタラインを形成することができる。この態様は「オーバーラップラスタライン」ということができる。つまり、当該オーバーラップラスタラインには、1回の主走査でドット形成される画素と、当該1回の主走査ではドット形成されず別の回の主走査でドット形成される画素と、が存在する。
第二の態様は、第一の態様に加えてさらに、1回の主走査においてドットの形成を行うラスタラインの副走査方向の間に、別の回の主走査でドットの形成を行うラスタラインが存在するというものである。つまり、1回の主走査でドット形成されるラスタラインの間に、当該1回の主走査ではドット形成されず別の回の主走査でドット形成されるラスタラインもある。
上記のオーバーラップラスタラインにおいて、ドットを形成するパス数は少なくとも2であり、3以上であってもよい。加えて、1ラスタライン中の全画素数のうち、1のパスでドット形成される画素がお互いに隣接していない画素が、50%以上存在することが好ましく、70%以上存在することがより好ましい。また、ドット形成される全てのラスタラインのうち、オーバーラップラスタラインが50%以上存在することが好ましく、70%以上存在することがより好ましい。
上記のうちでも、第二の態様を備えるオーバーラップ印刷を行うと、1回の主走査で形成されるドットを主走査方向及び副走査方向に分散させることができる。
このように、本実施形態によれば、硬化性、硬化シワの抑制、並びにベタパターン画像及び線幅(副走査方向及び主走査方向)の埋まり性のいずれにも優れた、インクジェット記録装置を提供することができる。
[紫外線硬化型インク]
また、本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インクに係る。当該紫外線硬化型インクは、上記実施形態のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に用いることができる。上述のように、当該紫外線硬化型インクは、20℃における粘度、吐出される際の温度、及び当該温度における粘度が、いずれも所定の範囲であることを特徴とする。当該粘度を所定の範囲とするためのインクは、上述したように、各重合性化合物の単体の粘度と質量比(含有量比)とから計算で求めることにより、設計することができる。
本実施形態においてインクの粘度はE型粘度計を用いて測定することができる。E型粘度計の使用に際しては、粘度計の取扱説明書に従い測定するものであることは一般常識の範疇であり、よって、ローターの種類や回転速度は、取扱説明書に従い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定するものであることは特段言うまでもないことであり、本実施形態においてもインクの粘度を、取扱説明書に従い、測定対象とするインクの粘度が正常に測定可能なものに設定して測定することは自明である。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」とも言う。)に含まれるか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
本実施形態のインクに含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。当該重合性化合物は、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、及びその他の単官能(メタ)アクリレートを少なくとも含有する。
以下、これらの(メタ)アクリレートを中心として、重合性化合物を詳細に説明する。
(1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類)
本実施形態のインクは、重合性化合物として下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
上記式(I)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。
インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクの硬化性を優れたものとすることができ、さらにインクを低粘度化することもできる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物及び(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基及び(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、即ち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。特にアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、20〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜75質量%がさらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、インクの保存安定性を良好な状態に維持することができ、硬化シワの発生を一層効果的に防止することができる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
(2.単官能(メタ)アクリレート)
本実施形態のインクは、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類に加えて、その他の単官能(メタ)アクリレートも含む。インクが当該単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、インクが低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れ、インクジェット記録時の吐出安定性が得られやすく、さらに塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増す。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、が挙げられる。
上記の中でも、硬化性、保存安定性、及び光重合開始剤の溶解性に一層優れるため、分子中に芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。これらの中でも、インクを低粘度化することができ、かつ、硬化性、耐擦性、密着性、及び光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることができるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%がより好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に加えて光重合開始剤の溶解性も一層優れたものとなる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、硬化性に加えて密着性も一層優れたものとなる。
(3.上記以外の重合性化合物)
本実施形態のインクは、上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)をさらに含んでもよい。その他の重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他の重合性化合物のうち、2官能以上の(メタ)アクリル酸のエステル、即ち2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の重合性化合物がインクに含まれる場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、15質量%以下が好ましく、10質量以下がより好ましい。
なお、重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
〔光重合開始剤〕
本実施形態のインクは、光重合開始剤をさらに含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。光線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。紫外線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、使用可能な光重合開始剤に制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にインクの硬化性を一層良好にすることができるため、アシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、及びビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 651(2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)、IRGACURE 184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)、DAROCUR 1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン)、IRGACURE 2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン)、IRGACURE 127(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オン}、IRGACURE 907(2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン)、IRGACURE 369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)、IRGACURE 379(2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)(以上、BASF社製商品名)、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)、Speedcure TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン)(以上、Lambson社製商品名)、Lucirin TPO、LR8893、LR8970(以上、BASF社製商品名)、及びユベクリルP36(UCB社製商品名)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化速度を向上させて硬化性を優れたものとすることができ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けるため、インクの総質量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましい。
特に、光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、5〜15質量%であることがより好ましく、7〜13質量%であることがさらに好ましい。含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に一層優れる。より具体的に言えば、特にLED(好ましい発光ピーク波長:360nm〜420nm)による硬化の際に十分な硬化速度が得られるため硬化性に一層優れる。一方、含有量が上記の上限値以下であると、光重合開始剤の溶解性に一層優れる。
〔色材〕
本実施形態のインクは、色材をさらに含んでもよい。色材としては、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(1.顔料)
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラックインクに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)、Microlith Black 0066 K(旧Microlith Black C−K、BASF社製)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメント グリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50〜200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクにおける吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。
(2.染料)
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性及び色再現性が得られるため、インクの総質量(100質量%)に対して、1〜20質量%が好ましい。
〔分散剤〕
本実施形態のインクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、アビシア社(Avecia Co.)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 32000,36000等〔以上、商品名〕)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、分散剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔重合禁止剤〕
本実施形態のインクは、重合禁止剤をさらに含んでもよい。インクが重合禁止剤を含有することにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられる。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p−メトキシフェノール、クレゾール、t−ブチルカテコール、ジ−t−ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、及び4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、p−メトキシフェノール(東京化成工業社(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)製商品名、p−メトキシフェノール)、ノンフレックスMBP(精工化学社(Seiko Chemical Co.,Ltd.)製商品名、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール))、BHTスワノックス(精工化学社製商品名、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔界面活性剤〕
本実施形態のインクは、界面活性剤をさらに含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。スリップ剤の市販品としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500,3510,3530,3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、界面活性剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
〔その他の添加剤〕
本実施形態のインクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、硬化性、硬化シワの抑制、並びにベタパターン画像及び線幅(副走査方向及び主走査方向)の埋まり性のいずれにも優れた、インクジェット記録方法に用いられる、保存安定性に優れた紫外線硬化型インクを提供することができる。
以下、本発明を実施するための第二の実施形態について詳細に説明する。なお、第二の実施形態においては、以下に説明すること以外の内容に関しては、前述の第一の実施形態の説明に記載した内容を適用することができる。また、以下に説明する第二の実施形態の説明のうち、前述の第一の実施形態にも適用可能な内容は第一の実施形態に適用しても良い。
[インクジェット記録方法]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、所定の物性を有する紫外線硬化型インクをヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含むものである。また、本発明のインクジェット記録方法は前述あるいは後述の実施形態のインクジェット記録装置を用いて行うインクジェット記録方法とすることができる。
〔吐出工程〕
本実施形態における吐出工程は、所定の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」という。)をヘッドから被記録媒体に向けて吐出するものである。そして、当該インクの20℃における粘度は7mPa・s以上である。また、吐出される紫外線硬化型インクの温度は20〜30℃であり、かつ、当該吐出温度における紫外線硬化型インクの粘度は13mPa・s以下である。なお、当該吐出温度におけるインクの粘度が13mPa・s以下であればよく、20℃におけるインクの粘度は13mPa・s以下であってもよいしそうでなくてもよい。
上記の20〜30℃という温度は、室温又はその近傍に相当する。このように、吐出されるインクの温度が室温又はその近傍であると、記録装置に加温機構を設けるなどの温度制御をする必要がないため、コストを低く抑えることができ、かつ、温度のばらつきが殆どなく吐出安定性が良好となるという有利な効果が得られる。
また、20℃における粘度が7mPa・s以上であると、硬化シワの発生を防止することができる。硬化シワは、インクの塗膜において、塗膜表面が先に硬化した後、塗膜内部が塗膜表面よりも遅れて硬化する際に、先に硬化した塗膜表面が変形したり、後から硬化するまでの間に塗膜内部のインクが不規則に流動したりすることなどにより、発生すると推測される。また、粘度がより低い紫外線硬化型インクは硬化に伴う重合収縮率(所定の質量を有する硬化前のインクの体積に対する、当該インクの体積と硬化後の当該インク(硬化物)の体積との差)が大きい傾向が見られ、このため硬化シワの発生が顕著であると推測される。また、上記の吐出されるインク温度におけるインクの粘度が13mPa・s以下であると埋まり性が優れたものとなる。このように埋まり性が優れたものとなる理由は、加温しなくてもインクの粘度が低いことから、加温した場合の吐出後に生じ得る、温度低下に伴う粘度上昇を防止できるためと推測される。このように、本実施形態の記録方法は紫外線硬化型インクを加温しない状態で吐出することができ、当該記録方法を利用する記録装置は加温機構を備える必要がないという有利な効果が得られる。ただし、当該記録装置が加温機構を備えることは何ら否定されない。なお、本実施形態は、上記の推測に何ら制限されるものではない。
また、以上の有利な効果を一層大きなものとするため、吐出される紫外線硬化型インクの温度は23〜28℃が好ましく、吐出されるインク温度におけるインクの粘度は11mPa・s以下が好ましい。20℃におけるインクの粘度は9mPa・s以上が好ましい。
また、紫外線硬化型インクは、通常のインクジェット用インクで使用される水性インクよりも粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。このようなインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。そのため、吐出されるインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。本実施形態における紫外線硬化型インクは、吐出されるインクの温度が室温又はその近傍であるため加温が不要であり、吐出されるインクの温度をほぼ一定に保つことができる。したがって、本実施形態における紫外線硬化型インクは、画質にも優れている。
〔硬化工程〕
上記硬化工程は、被記録媒体に付着した紫外線硬化型インクを、光源から紫外線(光)が照射されることによって硬化させるものである。硬化工程は前述の第一の形態の硬化工程が使用可能であるが、第二の形態においては、硬化工程は発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程を少なくとも含む。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から照射される紫外線のピーク強度(照射ピーク強度)は、好ましくは1,000mW/cm2以上である。照射ピーク強度が上記範囲内であると、硬化性に一層優れ、かつ、硬化シワの発生をより効果的に防止することができる。より具体的に言えば、インク塗膜の内部の硬化がその表面の硬化に比して遅れる結果、インク塗膜の表面が先に硬化して硬化シワが発生することを効果的に防止することができる。
なお、本明細書における照射ピーク強度は、紫外線強度計UM−10、受光部UM−400(いずれもコニカミノルタセンシング社(KONICA MINOLTA SENSING,INC.)製)を用いて測定された値を採用することができる。
また、上記範囲に発光ピーク波長を有する光源から、好ましくは600mJ/cm2以下、より好ましくは500mJ/cm2以下、さらに好ましくは200〜500mJ/cm2の照射エネルギーで硬化可能な紫外線硬化型インクを、本実施形態の記録方法に用いるとよい。また、硬化工程の照射エネルギーを上記の範囲とすることが好ましい。この場合、LEDの出力を上げやすくなるとともに、低コスト印刷かつ大きな印刷速度が実現できる。ここで、上記の照射エネルギーは、照射が複数回行われる場合には、各照射エネルギーを合計した総照射エネルギーである。また、照射(硬化工程)が複数回行われる場合は、少なくとも何れかの硬化工程が、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程を含んでいれば良い。
[インクジェット記録装置]
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置、即ちインクジェットプリンターに係る。当該記録装置は、上記実施形態のインクジェット記録方法を利用することができる。当該記録方法を実施するための記録装置(プリンター)は前述の記録装置が使用可能である。記録装置は少なくとも1つの光源を備え、被記録媒体へ付着したインクに対し硬化工程を行うものであるが、ヘッドの主走査方向に並ぶ光源及び、ヘッドよりも副走査方向下流に配置された光源を備えていることが、主走査に含む硬化工程と、主走査よりも後にさらに硬化工程とを行える点で好ましい。ヘッドよりも副走査方向下流に配置された光源は、ヘッドを搭載するキャリッジとは別に記録装置に配置されていてもよいが、ヘッドを搭載するキャリッジに搭載されていることが、キャリッジを主走査方向に移動することで当該硬化工程が行える点で好ましい。この場合、ヘッドの主走査方向に並ぶ光源とヘッドよりも副走査方向下流に配置された光源を一体化してもよい。
インクに対する照射(硬化工程)が複数回行われる場合は、少なくとも何れかの硬化工程は、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程を含むものである。照射ピーク強度は、1、000mW/cm2以上が好ましく、上限は限られるものではないが2、000mW/cm2以下が好ましい。上記範囲であると、硬化シワ低減に優れたものとなる。また、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程(当該硬化工程が複数回行われる場合はその合計)の照射エネルギーは、600mJ/cm2以下とすることが好ましく、500mJ/cm2以下とすることがより好ましい。下限は100mJ/cm2以上とすることが好ましく、200mJ/cm2以上とすることが硬化を十分にする点でより好ましい。
このうち、ヘッドよりも副走査方向下流に配置された光源によって主走査に含む硬化工程よりも後に行われる硬化工程が、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからのピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程を含むことが好ましい。ピーク強度が高いほうが、例えば照射時間を一定にした場合照射エネルギーも大きくなり、より後で行われる最終の硬化工程の照射エネルギーを大きくするほうがインクの硬化を十分確実なものにできるためである。
一方、主走査に含む硬化工程は、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2以上の照射により行われる硬化工程を含むものとしてもよいが、発光ピーク波長を360〜420nmの範囲に有する発光ダイオードからの、ピーク強度(照射ピーク強度)が800mW/cm2未満の照射により行われる硬化工程を含むことが、記録画像の光沢ムラを低減することができる点や、ヘッドの主走査方向に並ぶ光源の消費電力を小さくできる点で好ましい。主走査に含む硬化工程は、ピーク強度(照射ピーク強度)が500mW/cm2以下とすることがより好ましく、50〜500mW/cm2とすることがさらに好ましく、200〜500mW/cm2とすることがより好ましい。また、主走査に含む硬化工程の照射エネルギーは500mJ/cm2以下とすることが好ましく、10〜500mJ/cm2とすることがより好ましく、10〜200mJ/cm2とすることがさらに好ましく、10〜100mJ/cm2とすることが一層好ましい。
また、全ての硬化工程の照射エネルギーの合計は、600mJ/cm2以下とすることが好ましく、500mJ/cm2以下とすることがより好ましく、下限は100mJ/cm2以上とすることが好ましく、200mJ/cm2以上とすることが硬化を十分にする点でより好ましい。
複数回の硬化工程を行う場合、主走査に含む硬化工程は吐出工程後の最初の硬化工程であり、主走査に含む硬化工程より後の硬化工程は、最初の硬化工程より後の硬化工程である。
本実施形態のインクジェット記録方法はラインプリンターで行っても良い。ラインプリンターの場合、ヘッドよりも被記録媒体搬送方向下流側に、被記録媒体の記録幅の方向に記録幅以上の長さで光源を配置させればよい。光源は複数個配置してもよく、その場合、ヘッドに一番近い光源による硬化工程が吐出工程後の最初の硬化工程であり、その後の硬化工程が、最初の硬化工程よりも後の硬化工程である。
本実施形態のインクジェット記録装置は前述のオーバーラップ印刷を用いて記録を行うことが線幅、硬化シワ抑制などの点で好ましい。前述のオーバーラップ印刷は、ドットを形成する単位領域を画素とし、主走査方向に並ぶ画素の列をラスタラインとしたときに、1の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインの副走査方向の間に他の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインがあり、かつ、副走査方向に並ぶ複数のラスタラインは、ある主走査にてドットを形成する対象とする画素とある主走査ではドットを形成する対象とせず他の主走査にてドットを形成する対象とする画素からなるラスタラインを含む記録方法ということもできる。ここで、ある主走査にてある画素をドットを形成する対象とするとは、記録する画像に応じた画素データがある画素にドットを形成するデータとなっていた場合には、ある主走査にてある画素にドット形成することである。ドットを形成する対象としている画素に実際にドットを形成するか否かはある画素に対応する画像データ次第であるが、画像のある領域が高濃度な画像領域であった場合は、画像データは当該領域のほとんど全ての画素にドットを形成するデータになっているので、そのような領域においては、ある主走査にてある画素をドットを形成する対象としていることは、すなわち、ある主走査にてある画素にドットを形成することであり、両者は実質的に同じことである。
[紫外線硬化型インク]
また、本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インクに係る。当該紫外線硬化型インクは、上記実施形態のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に用いることができる。上述のように、当該紫外線硬化型インクは、20℃における粘度、吐出される際の温度、及び当該温度における粘度が、いずれも所定の範囲であることを特徴とする。当該粘度を所定の範囲とするためのインクは、上述したように、各重合性化合物の単体の粘度と質量比(含有量比)とから計算で求めることにより、設計することができる。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」とも言う。)に含まれるか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
本実施形態の紫外線硬化型インクは重合性化合物を含む。中でも硬化性、低粘度化、硬化シワ低減の点で、前述の単官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対し40〜80質量%含むことが好ましく、50〜70質量%含むことがより好ましい。ここで、本実施形態のインクは前述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含んでも含まなくてもよく、含む場合その含有量は上記単官能(メタ)アクリレートの含有量に含む。
また、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む場合、その含有量はインクの総質量(100質量%)に対して、20〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜75質量%がさらに好ましい。上記範囲であると、インクの低粘度化、硬化性を一層良くできる。
また、本実施形態のインクは、2官能以上の(メタ)アクリレートを含んでもよく、インクの硬化性、保存安定性、低粘度化の点で、その含有量はインクの総質量の5〜45質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。
重合性化合物の種類は前述の第一の実施形態と同様の物を使用することができるが、なかでも、単官能(メタ)アクリレートとして、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートとして、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプリピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール骨格あるいはジペンタエリスリトール骨格を有する3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
重合性化合物以外の成分については前述の第一の実施形態のインクと同様のものを使用することができる。
なお、本明細書において、本実施形態のインクジェット記録方法に用いる紫外線硬化型インクとは、当該本実施形態のインクジェット記録方法で記録を行うインクジェット記録装置用として販売される紫外線硬化型インクのことであり、本実施形態のインクジェット記録装置に用いる紫外線硬化型インクとは、当該本実施形態のインクジェット記録装置用として販売される紫外線硬化型インクのことである。
[第一の実施形態の実施例]
以下、第一の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用材料]
実施例及び比較例において使用した材料は、下記に示すとおりである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「VEEA」と記載した。)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「PEA」と記載した。)
・V#160(ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「BZA」と記載した。)
・IBXA(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、単官能(メタ)アクリレート、以下「IBX」と記載した。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、2官能(メタ)アクリレート、サートマー社(Sartomer Company Inc.)製商品名)
・A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、6官能(メタ)アクリレート、新中村化学社(SHIN-NAKAMURA CHEMICAL CO., LTD.)製商品名、以下「A−DPH」と記載した。)
〔ポリマー〕
・ビスコート#1000(大阪有機化学工業社製、ハイパーブランチポリマー、粘度273mPa・s、アクリル基数14、以下「V#1000」と記載した。)
なお、ビスコート#1000は、ジペンタエリスリトールをコアとして官能基が分岐したハイパーブランチポリマーであり、希釈モノマーとしてエチレングリコールジアクリレートを含有する。
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分量100%、以下「819」と記載した。)
・DAROCUR TPO(Lambson社製商品名、以下「TPO」と記載した。)
〔界面活性剤〕
・BYK−UV3500(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、BYK社製、以下「BYK3500」と記載した。)
〔色材〕
・C.I.ピグメントブラック7(三菱化学社製、ミツビシカーボンMA11、以下「PB−7」と記載した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 32000(アビシア(Avecia)社製商品名、以下「SOL32000」と記載した。)
〔重合禁止剤〕
・p−メトキシフェノール(東京化成工業(Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.)社製商品名、p−メトキシフェノール、以下「MEHQ」と記載した。)
[紫外線硬化型インク1〜9の調製]
下記表1に記載の各材料を、表1に記載の含有量(単位:質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機で撹拌することにより、紫外線硬化型インク1〜9を得た。
[測定・評価項目]
〔1.20℃でのインクの粘度ランク〕
DVM−E型回転粘度計(東京計器社製)を用いて、上記で調製した各インクの、20℃での粘度を測定した。ローターは、コーン角度1°34’、コーン半径2.4cmのDVM−E型用コーンを使用した。回転速度は10rpmとした。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
1:7mPa・s未満であった。
2:7mPa・s以上13mPa・s以下であった。
3:13mPa・sを上回った。
〔2.インクの保存安定性評価〕
上記で調製した各インクを50cc容のガラス瓶に入れ、密栓した後に、これらのガラス瓶を60℃の恒温槽内に投入し7日間放置した。7日後に取り出し、十分に室温に戻ってから、上記「1.20℃でのインクの粘度ランク」と同様にして20℃で粘度を測定した。そして、初期(調製直後)の粘度に対する、7日間放置後の粘度の、粘度増加率を計算した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:+5%以下であった。
B:+5%を上回った。
〔3.インクの硬化性評価〕
ルミラー#125−E20(東レ社製商品名、PETフィルム)に、テスター産業社(TESTER SANGYO CO., LTD.)製のバーコーターで、上記の各インクを塗布した。塗膜の硬化後の膜厚は10μmであった。次に、波長395nmにピークを有するLED(Firefly〔商品名〕、Phoseon社製)から、照度1,000mW/cm2の紫外線を、塗布したインクに所定の時間、照射し、硬化したインク塗膜を得た。照射後、荷重130gの条件下で上記インク塗膜の表面をジョンソン&ジョンソン製の綿棒で20往復擦り、擦過痕がつかなくなるまでに要した照射エネルギーを測定した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表1に示す。
A:200mJ/cm2以下であった。
B:200mJ/cm2を超えて300mJ/cm2以下であった。
C:300mJ/cm2を上回った。
Figure 2014133415
なお、上記表1中、各重合性化合物のカッコ内の数字は、(メタ)アクリレートの官能基数を表す。また、紫外線硬化型インク1,8,及び9は実施例として使用可能なインクに相当し、紫外線硬化型インク2〜7は比較例に用いられるインクに相当する。
表1より、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートと、を含有し、かつ、20℃における紫外線硬化型インクの粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インク(No.1,2,8,及び9)は、そうでない紫外線硬化型インクと比較して、インクの保存安定性及び硬化性のいずれにも優れることが分かった。
詳細に説明すると、まず、紫外線硬化型インクが上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むことにより、硬化性が優れたものとなる。また、紫外線硬化型インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートを含むことにより、少なくとも保存安定性が優れたものとなり、さらに硬化性も良好なものとなり得る。さらに、20℃における紫外線硬化型インクの粘度が7mPa・s以上であることにより、後述するように硬化シワの発生を効果的に防止できる。そして、吐出温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下であることにより、後述するように特に線幅(より具体的には線幅の埋まり性)が優れたものとなる。さらに、紫外線硬化型インク1,8,及び9を互いに比較すると、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートとして、PEA又はBZAを用いた場合、IBXを用いた場合よりもインクの硬化性が一層優れたものとなる。
以下、各実施例及び各比較例における記録方法について説明する。
[記録方法1:実施例1〜3,7,8、比較例1〜8]
図1に示すシリアルプリンターを用いた。具体的には、インクジェットプリンターPX−G5000(セイコーエプソン社製)を用いて、これのキャリッジ、及びプラテンよりも副走査方向下流に後述の光源(UV−LED)を取り付けた。また、ヘッドにはインクの加温が可能なヒーターを取り付け、吐出時のインク温度を調節可能とした。ヘッドに各インク組成物のいずれかを充填した。被記録媒体である白色PETフィルム(東レ(TORAY)社製のルミラー125E20)に、ヘッドからインクを吐出しつつ主走査を行い印刷した。印刷に使用したノズル列は副走査方向のノズル密度を360dpiとした。
上記主走査の際、キャリッジの横に搭載した395nmにピーク波長を有するLEDで、1パス(1回の主走査)ごとに、当該主走査により被記録媒体に着弾し付着した紫外線硬化型インクを仮硬化させた(ドットに照射を行った。)。このとき、キャリッジの横に搭載したLEDとして、Firefly(照射ピーク強度1,000mW/cm2)を用いた。また、1パスの照射における照射エネルギーは、100mJ/cm2とした。
次に、被記録媒体を主走査方向に交差する副走査方向に搬送する副走査を行った後、次の主走査を行い、主走査と副走査を交互に繰り返した。
印刷終了後(最後の主走査終了後)、プラテンよりも副走査方向下流に搬送された被記録媒体に、キャリッジとは別に設けた被記録媒体の幅相当の光源(キャリッジに搭載したものと同じタイプ)でさらに紫外線硬化型インクを照射し、未硬化インクを完全に硬化させた。当該硬化の照射エネルギーは400mJ/cm2であった。
記録条件(印刷条件)について補足すると、パス数(主走査回数)は「2パス(主走査方向)×2パス(副走査方向)=4パス」とした。詳細に言えば、1パスで1ラスタラインの画素の1個おきにドットを形成するオーバーラップ印刷を行い、1回の主走査でドットが形成される2つのラスタラインの間に他の主走査でドットが形成されるラスタラインが1つ存在するようにした。また、ノズル面と被記録媒体の被記録面との間隔を1mmとした。また、記録解像度(副走査方向×主走査方向)は720dpi×720dpiとした。
なお、吐出時のインクの温度は、下記の表2及び表3にそれぞれ示したとおりである。当該温度は、ノズルプレートに熱電対を設けてノズルプレートの温度を測定することにより得られた値である。つまり、ヘッドのノズルから吐出されるインクの温度は、ノズルプレートの温度に対応するものである(以降も同じ。)。また、下記の表2及び表3に示した温度のうち吐出時のインク温度が35℃の例では、ヘッドに搭載した温調機構(ヒーター)を使用して吐出時のインクを35℃に加温した。また、吐出時のインク温度が35℃以外の例では、温調機構を使用せず、室温のままで当該温度になるような室温にて印刷を行った。各例においてヘッド駆動波形の電圧を調整して、吐出量が各実施例及び各比較例の間で同じ量になるようにした。
[記録方法2:実施例4,比較例9〜10]
パス数を「1パス(主走査方向)×2パス(副走査方向)=2パス」に変更した点以外は、上記記録方法1と同様にして記録を行った。つまり、記録方法2は、上記記録方法1と異なり、主走査方向に1パスとし、1パスで1ラスタラインの全画素にドットを形成したため、オーバーラップ印刷を行わなかった。
なお、比較例9で行った温調機構による加温については、上記記録方法1を利用した比較例3及び9と同様にして行った。
[記録方法3:実施例5,比較例11〜12]
ノズル面と被記録媒体の被記録面との間隔を10mmに変更した点以外は、上記記録方法1と同様にして記録を行った。
なお、比較例11で行った温調機構による加温については、上記記録方法1を利用した比較例3及び9と同様にして行った。
[記録方法4:実施例6,比較例13〜14]
以下の点以外は、上記記録方法1と同様にして記録を行った。
特開2011−184610号の図2に記載された、被記録媒体の幅相当のラインヘッドを備えたラインプリンターを用いて、1パス(シングルパス)で記録を行った。また、ラインヘッドのノズル密度を720dpiとした。ここで、被記録媒体の搬送方向が主走査方向である。ラインヘッドよりも搬送方向下流には、上記記録方法1でプラテンよりも副走査方向下流に設けた光源と同じ光源を設け、当該光源により照射を行った。
なお、比較例13で行った温調機構による加温については、上記記録方法1を利用した比較例3及び9と同様にして行った。
[測定・評価項目]
〔1.吐出時のインクの粘度ランク〕
粘度測定時の温度を、表2,3に記載した吐出時のインク温度とした点以外は、前述の20℃でのインクの粘度ランクと同様にして各インクの粘度を測定した。
なお、評価基準は上記20℃のインクの粘度ランクの評価基準と同じである。
〔2.ベタパターン画像の埋まり性評価〕
被記録媒体上の各画素に11ng/画素のドットを形成し、硬化させることにより、記録解像度が720dpi×720dpi、大きさ(サイズ)が20cm×20cmのベタパターン画像を記録した。画素は記録解像度で規定される最小記録単位領域である。そして、当該ベタパターン画像の領域中にドットで隠れていない被記録面が見えるか否かを、被記録媒体から30cm離れた位置で目視により評価した。
なお、「ベタパターン画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録し、通常、被記録媒体の記録領域がインクで覆われ被記録面が見えていないような画像であるべき画像パターンを意味する。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2及び表3に示す。
A:被記録面が見えなかった。
B:被記録面が見えた。
〔3.線幅評価〕
副走査方向又は主走査方向に画素の並ぶ1画素列の各画素に11ng/画素のドットを形成してドット列からなる線を記録して、線幅を測定した。線幅の測定及び評価は、副走査方向にドット列を記録した場合と、主走査方向にドット列を記録した場合と、に分けて行った。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2及び表3に示す。表中、「線幅、副走査方向」は副走査方向にドット列を記録した場合の線幅を意味し、「線幅、主走査方向」は主走査方向にドット列を記録した場合の線幅を意味する。
A:110μm以上、
B:80μm以上110μm未満、
C:50μm以上80μm未満、
D:50μm未満。
〔4.硬化シワ評価〕
上記「2.ベタパターン画像の埋まり性評価」において得られた各ベタパターン画像を使用した。レーザー顕微鏡 VK−9700(KEYENCE社製)を用いて、各ベタパターン画像の二乗平均平方根高さ(Rq値)を測定した。さらに、目視で各ベタパターン画像の表面を観察した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記の表2及び表3に示す。
A:Rqが4以下であった。ベタパターン画像の表面に光沢が見られた。
B:Rqが4を超えて6以下であった。ベタパターン画像の表面に光沢が若干見られた。
C:Rqが6を上回った。ベタパターン画像の表面に光沢が見られなかった。
Figure 2014133415
Figure 2014133415
以上の結果より、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートと、を含有する紫外線硬化型インクを、吐出し硬化させる工程を含み、紫外線硬化型インクの20℃における粘度が7mPa・s以上であり、吐出時における温度が20〜30℃であり、かつ、当該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下であるインクジェット記録方法(各実施例)は、そうでないインクジェット記録方法(各比較例)と比較して、硬化性、硬化シワ抑制、及び線幅のいずれにも優れ、さらにはベタパターン画像の埋まり性にも優れたものとなることが分かった。以下、上記の結果に基づき考察を行うが、当該考察は本発明の範囲を何ら限定するものではない。
まず、比較例2ではインク組成物2をインク温度30℃で吐出を行ったところ、吐出しないノズルの本数が全ノズル数の半分以上あり、吐出不能と判断したため、評価結果を記載していない。インク組成物2は、吐出温度30℃とすると、吐出に適さないインクであると推測される。また、比較例3において埋まり性が悪いのは、インクを加温することによりインクの粘度を低下させて吐出が可能なものとしても、吐出されてから被記録媒体上に着弾するまでに、インクの温度が低下し粘度が上昇したためであると推測される。このことは、インクジェットプリンター全体を恒温室内に設置して、恒温室内を35℃にした点以外は比較例3と同様にして埋まり性、線幅(副走査方向)、及び線幅(主走査方向)を評価したところ、評価がいずれもAとなったことからも推測される。また、インクを加温することでインクの粘度を低下させて吐出を可能にすることは、温調機構が必要となるとともに、加温したインクを用いることでヘッドを構成する部材のインクによる浸食が促進されてヘッドの耐久性が低下する傾向が見られる点からも、好ましいものとはいえないと推測される。次に、比較例1、4、6、10、12、及び14においては硬化シワの発生が顕著であった。これらの比較例に用いたインク組成物は、いずれも20℃のインクの粘度が7mPa・s未満であり、前述のとおりインクの粘度が低いこと、及びインクが一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することが相まって、硬化シワが顕著に発生したものと推測される。また、比較例5及び7においてインクの硬化性が悪い点は、上述したとおりである。
さらに、記録方法と評価結果との関係について考察する。オーバーラップ印刷による記録方法1を利用した実施例1は、オーバーラップ印刷によらない記録方法2を利用した実施例4に比して、線幅(主走査方向)及び硬化シワ抑制のいずれにも一層優れることが分かった。その理由は、実施例4における線幅(主走査方向)は、1パスで主走査方向に隣接して形成したドット同士が接触して引き合うことでドットが広がらない現象が観察され、これにより線幅が悪化したためと推測される。加えて、ドット同士が引き合うことでドットに厚い部分が発生したために硬化シワの結果が悪化したと推測される。なお、副走査方向の線幅は、1パスで隣接したドットを形成することがないため、オーバーラップ印刷を利用したか否かによらず、変化が無いことを確認した。
また、ノズル面と被記録媒体の被記録面との間隔を10mmと大きくした比較例11(記録方法3)が、同じインク2を用い記録方法1(間隔1mm)で行った比較例3に比して、線幅の評価結果が非常に悪かったのは、インクが被記録媒体に到達するまでにインク温度が一層低下して粘度が一層上昇するためであると推測される。また、シリアルプリンターを用いた記録方法1を利用した実施例1は、ラインプリンターを用いた記録方法4を利用した実施例6に比して、ベタパターン画像及び線幅(副走査方向,主走査方向)の埋まり性、並びに硬化シワ抑制のいずれにも一層優れることが分かった。その理由は、ラインプリンターの場合、被記録媒体の搬送方向(主走査方向)及び被記録媒体の幅方向(副走査方向)のいずれの方向も1パスで隣接したドットを形成するため、隣接したドット同士が引き合う結果、実施例6において線幅などが劣ったものと推測される。
また、別途、LEDに変えてメタルハライドランプを用いて硬化を行ったところ、硬化シワは全体的により良好な結果となったが、光源からの発熱により被記録媒体の変形が見られた。加えて、メタルハライドランプの使用により、光源がより大型化し、消費電力がより大きくなった。したがって、本願発明者らは、メタルハライドランプよりもLEDを用いることが好ましいことを確認した。
[第二の実施形態の実施例]
以下、第二の実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施形態のインク調整例の調整に用いた組成、使用材料、インクの調整方法、測定、評価項目は、前述の第一の実施形例と同様のものを用いた。
[記録試験評価]
記録方法は、記録装置として下記のシリアルインクジェットプリンター2を使用し後述の記録条件としたこと以外は、前述の第一の実施形態の実施例の記録方法1〜4と同様の記録方法として記録試験を行い、同様に評価を行った。
シリアルインクジェットプリンター2は、下記に記載したこと以外は第一の実施形態の実施例で用いたシリアルインクジェットプリンター(シリアルインクジェットプリンター1とする)と同様のものである。キャリッジのヘッドよりも副走査方向下流に光源2としてヘッドの横に搭載しているLEDと同じタイプの395nmにピーク波長を有するLEDをさらに1個搭載した。光源2の副走査方向の長さはヘッドの副走査方向の長さと同じとした。シリアルインクジェットプリンター1と同様にヘッドの左右の横に搭載しているLED2個を光源1とする。プラテンよりも副走査方向下流にキャリッジとは別に設けた光源は電源をオフにして照射を行わなかった。光源1および光源2の照射ピーク強度は、それぞれ入力電流値を調整することで各例ごとに表5,6に記載した値とした。光源1のLED1個あたり及び光源2の、それぞれ1パスあたりの照射エネルギーは、照射ピーク強度が1,000mW/cm2の例において、100mJ/cm2とした。ヘッドはノズル密度360dpi、ノズル数360個とした。
記録方法4は、上記のシリアルインクジェットプリンター2で、ヘッドをノズル密度720dpi、ノズル数720個のヘッドに変えたものを用いて、1回の副走査の距離をヘッドの副走査方向の距離として、1パスで被記録媒体の副走査方向のヘッドの距離の長さの領域の吐出工程を完了させるようにし、パス数(主走査回数)を、1パス(主走査方向)×1パス(副走査方向)=1パスとしたこと以外は、記録方法1と同じとした。
評価項目としては前述の項目の他に下記の光沢ムラ評価を行った。評価結果を表4、5に示す。
[光沢ムラ評価]
前述の、2.ベタパターン画像の埋まり性評価で得られた各ベタパターン画像を使用した。画像を天井の蛍光灯の反射光が見えるような角度にして、画像上の反射光を見たときに、画像の記録時における副走査方向の光沢感の違い、つまり、主走査方向は光沢感が一定となっているため、副走査方向の光沢感の異なる領域の境目が主走査方向に延びる筋(光沢バンディング)として認識される、を目視にて観察した。評価基準は以下の通りである。
A:主走査方向に延びる筋が見える。
B:主走査方向に延びる筋が見えない。
Figure 2014133415
Figure 2014133415
以上の結果より、20℃における粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が20〜30℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下であり、前記硬化工程は、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、インクジェット記録方法は、そうでないインクジェット記録方法と比較して、ベタパターンが画像の埋まり性、線幅、硬化シワの何れも優れたものとなることがわかった。以下、上記の結果に基づき考察を行うが、当該考察は本発明の範囲をなんら限定するものではない。なお、前述の第一の実施形態の実施例、比較例と同じ内容となっている例に関しては、前述の考察も適用される。
比較例3は、インク温度を35℃に加温して吐出したところ、インクの吐出後インクの着弾までの間にインクの温度が低下してインクの粘度が上昇することにより、埋まり性、線幅が劣ったと推測するが、インクの温度の低下によるインクの粘度の上昇の程度によって、試験中に埋まり性、線幅が一定とならない傾向も見られ好ましいものではなかった。
硬化工程が、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含まない比較例12〜14は、実施例と比べて、硬化シワが劣る傾向がみられた。強度の弱い紫外線を照射してインクを徐々に硬化させる過程で、インク表面の硬化に比べてインク内部の硬化が遅れたためにインク内部の硬化の際、インク表面にシワが発生したと推測する。
実施例13、14は、光源2による硬化工程に360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、インクの被記録媒体への着弾後の最初の照射(硬化工程)である光源1による硬化工程は、800mW/cm2未満のピーク強度を有する紫外線を照射して紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程となっている例であるが、硬化シワは若干劣ったものの良好であり、光源1による硬化工程が800mW/cm2以上となっている他の実施例と比較して光沢ムラが無く良好であった。原因は完全には解明されていないが最初の照射の照射ピーク強度が、800mW/cm2未満の場合、先の主走査で着弾したインクの表面がまだ完全に硬化していないドットと、次の主走査で先のドットに重なって着弾したドットとを同時に照射しおこなう硬化工程が行われることで、先のドットと後のドットの境界のインク表面の段差が残りにくくなり、光沢ムラが低減したと推測する。記録方法4でおこなった実施例6、比較例10、11は、副走査方向のヘッドの距離の間隔で、副走査方向の光沢ムラ(主走査方向に延びる筋)が見られた。記録方法1〜3で記録を行った光沢ムラの見られた例は、副走査方向のヘッドの距離より短い間隔で光沢ムラが見られた。なお、硬化シワの評価がCの例であっても、画像上の反射光を観察する光沢ムラ評価においては光沢感の違いが光沢ムラとして観察され得るものであった。
80 キャリッジユニット、81 キャリッジ、82 ガイド軸、85 ヘッド、90 照射ユニット、92a,92b 第1照射部、93 第2照射部。

Claims (12)

  1. 20℃における粘度が7mPa・s以上である紫外線硬化型インクを、ヘッドから被記録媒体に向けて吐出する吐出工程と、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程と、を含み、
    前記吐出工程は、該吐出される紫外線硬化型インクの温度が20〜30℃であり、かつ、該温度における紫外線硬化型インクの粘度が13mPa・s以下であり、
    前記硬化工程は、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、
    インクジェット記録方法。
  2. ヘッドを主走査方向に移動させながら吐出工程を行う主走査と、ヘッドと被記録媒体の相対的な位置を主走査方向と交差する副走査方向に変化させる副走査とを交互に行うことにより記録を行い。
    前記主走査は、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. ヘッドの主走査方向に並ぶ光源を備え、ヘッドを主走査方向に移動させながら吐出工程を行う主走査と、ヘッドと被記録媒体の相対的な位置を主走査方向と交差する副走査方向に変化させる副走査とを交互に行うことにより記録を行い、
    前記主走査は、前記被記録媒体に付着した前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、
    ヘッドの副走査方向下流側に光源を備え、主走査に含む硬化工程よりも後に、さらに硬化工程を行う、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 主走査に含む硬化工程と主走査に含む硬化工程よりも後にさらに行う硬化工程の少なくとも何れかは、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 主走査に含む硬化工程よりも後にさらに行う硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、
    主走査に含む硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2未満のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、請求項3又は4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 硬化工程が複数の硬化工程により行われ、吐出工程後、最初に行われる硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2未満のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含み、前記硬化工程よりも後で行われる硬化工程は、前記360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線発光ダイオードから800mW/cm2以上のピーク強度を有する紫外線を照射して前記紫外線硬化型インクを硬化させる硬化工程を含む、請求項1〜5の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
  7. インクが単官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対して40〜80質量%含有する、請求項1〜6の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
  8. インクが多官能(メタ)アクリレートをインクの総質量に対して5〜45質量%含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 硬化工程による照射のエネルギーの合計が500mJ/cm2以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  10. ドットを形成する単位領域を画素とし、主走査方向に並ぶ画素の列をラスタラインとしたときに、1の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインの副走査方向の間に他の主走査にてドットを形成する対象とする画素を含むラスタラインがあり、かつ、副走査方向に並ぶ複数のラスタラインは、ある主走査にてドットを形成する対象とする画素とある主走査ではドットを形成する対象とせず別の主走査にてドットを形成する対象とする画素からなるラスタラインを含む、請求項2〜9のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  11. ヘッドのノズル面から記録媒体の表面までの距離が5mm以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法で記録を行うインクジェット記録装置。
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