JP5929410B2 - インクジェット記録方法、インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
[1]
下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する紫外線硬化型インクを、被記録媒体上に吐出することを含む吐出工程と、
前記被記録媒体に着弾した前記紫外線硬化型インクに、照射される紫外線のピーク強度が800mW/cm2以上である紫外線発光ダイオードから紫外線を照射し、該インクを硬化することを含む硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
[2]
前記紫外線発光ダイオードから照射される紫外線の照射エネルギーが、100〜600mJ/cm2である、[1]に記載のインクジェット記録方法。
[3]
前記硬化工程は、前記ピーク強度が800mW/cm2以上である紫外線発光ダイオードから紫外線を照射する前に、発光ピーク波長が360〜420nmの範囲にあり、かつ、照射される紫外線のピーク強度が800mW/cm2未満である紫外線を発生する紫外線発光ダイオードから、照射エネルギーが50mJ/cm2以下である紫外線を照射し、前記紫外線硬化型インクを仮硬化することをさらに含む、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[4]
被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備えるラインインクジェット記録装置を用いて記録を行う、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[5]
前記紫外線発光ダイオードからの前記照射は、それぞれ独立して、パルス照射及び集光レンズによるスポット照射のうち少なくともいずれかである、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
[6]
前記照射される紫外線のピーク強度が800〜4,000mW/cm2の範囲である、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[7]
前記紫外線発光ダイオードは、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する、[1]又は[2]に記載のインクジェット記録方法。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録方法に用いられる、紫外線硬化型インク。
[9]
[1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリロイル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録装置、即ちプリンターに係る。当該記録装置は、後述するインクジェット記録方法を利用するものである。図1は、ラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。
なお、紫外線硬化型インクの具体的なインク組成については後述する。
なお、搬送中の被記録媒体Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されている。また、ここでは便宜上「給紙」という文言を用いたが、本実施形態における被記録媒体としては、後述の被記録媒体を用いることができる。
なお、以下では、仮硬化と区別するため、最終的に行われる硬化、即ち照射ピーク強度が800mW/cm2以上である紫外線発光ダイオード(UV−LED)から紫外線を照射することによる硬化を「本硬化」とも言う。
以下、レンズ付きLEDについて説明する。図3は、第1照射部のうち、レンズ付きUV−LEDの一例のうち一部分を模式的に示した断面図である。
なお、上記UV−LEDユニットに関するその他の事項については、例えば特開2010−23285号公報に開示された図4及びその説明部分を参照すればよい。また、第1照射部42a〜42eによる仮硬化の照射エネルギー、さらに発光ピーク波長及び照射ピーク強度については後述する。
なお、第2照射部44による本硬化の照射エネルギー、さらに発光ピーク波長及び照射ピーク強度については後述する。
上記で説明してきた図1のプリンター1は、本発明に係るインクジェット記録装置の一例にすぎず、様々なバリエーションが存在する。
まず、図2の第1照射部42a〜42e及び第2照射部44はそれぞれ、仮硬化用及び本硬化用のいずれであってもよい。例えば、図2の搬送方向上流側に位置するホワイトインクヘッドWから、画像に優れた遮蔽性を付与する目的でホワイトインクが吐出され、ベタパターン画像を形成する場合、第1照射部42aは本硬化用照射部であるとよい。
また、照射ピーク強度が800mW/cm2以上の紫外線照射による本硬化は、1回行ってもよいし2回以上行ってもよい。中でも本硬化が2回以上の場合、第2照射部44が2個以上あってもよい。
また、図2に示した各色のインクヘッドの順序は、どのように入れ替えてもよいし、これに加えて当該インクヘッドの一以上を備えないか、あるいは備えているが作動しないものであってもよい。さらに、図2に示した各色のインクヘッドに加えて更に別のインクヘッド(色は既存のものと同じであっても異なってもよい。)を備えてもよく、当該インクヘッドのいずれかを他の色のインクヘッドに替えてもよい。
以下、本実施形態の様々なバリエーションを具体化したものを変形例として説明するが、本実施形態はこれらの変形例に何ら限定されることはない。
なお、上記第3変形例のプリンター1は、上述の第1変形例と同じく第2照射部44を備えないか、又は備えるが動作させない構成、あるいは上述の第2変形例と同じく第1照射部42a〜42eを備えないか、あるいは備えるが動作させない構成としてもよい。
なお、上記第4変形例に係る記録装置は、ホワイトインクヘッドW及びホワイトインクの仮硬化用照射部とクリアインクヘッドCLとのうち少なくともいずれかを備えなくてもよいし、本硬化用照射部を一つ備えるものであってもよい(好ましくは上記第2の本硬化用照射部を備える。)。
上記数式中、被記録媒体への照射時間(T1)は、被記録媒体へ照射を開始してから照射を終了するまでの時間である。Duty比はパルスを1周期駆動した際の、下記数式で表される値である。
パルス照射を行わないLEDの場合のDuty比は1である。パルス照射を行う場合のDuty比は例えば0.5とすればよく、パルス周波数は例えば1kHzとすればよい。UV−LEDの発熱は、一般に総電力量が大きくなるほど大きくなる。
したがって、T1を固定した場合、パルス照射を行わない場合よりも行う場合において、LEDの照射エネルギーを同じにしつつピーク強度を大きくすることができ、あるいは、ピーク強度を同じとしつつLEDの照射エネルギーを小さくすることができる。
本発明の一実施形態は、インクジェット記録方法に係る。当該インクジェット記録方法は、上記実施形態のインクジェット記録装置を利用することができる。また、当該インクジェット記録方法は、後述の一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(以下、単に「ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類」とも言う。)を含有する紫外線硬化型インクを、被記録媒体上に吐出することを含む吐出工程と、当該被記録媒体に着弾した紫外線硬化型インクに、照射される紫外線のピーク強度が800mW/cm2以上である紫外線発光ダイオード(UV−LED)から紫外線を照射し、当該インクを硬化することを含む硬化工程と、を含むものである。
上記吐出工程において、吐出時のインクの粘度を、好ましくは25mPa・s以下、より好ましくは5〜20mPa・sとする。インクの粘度が、インクの温度を室温として、あるいはインクを加熱しない状態として、上記のものであれば、インクの温度を室温として、あるいはインクを加熱せずに吐出させればよい。一方、インクを所定の温度に加熱することにより、粘度を好ましい値とした上で吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体上に吐出されたインクが、第2照射部44から、あるいは仮硬化でなく本硬化を行う場合は第1照射部42a〜42eから、紫外線(光)の照射によって硬化する。換言すれば、被記録媒体上に形成されたインク塗膜が、紫外線の照射によって硬化膜となる。これは、インクに含まれ得る光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、光重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線の照射によって、重合性化合物の光重合反応が開始するためである。このとき、インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性紫外線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
なお、発光ピーク波長は、上記の好ましい波長範囲内に1つあってもよいし複数あってもよい。複数ある場合であっても上記発光ピーク波長を有する紫外線の全体の照射エネルギー量を上記の照射エネルギーとする。
本実施形態のインクジェット記録方法を利用して、インクが被記録媒体上に吐出されること等により、記録物が得られる。この被記録媒体として、例えば、インク吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。本実施形態のインクジェット記録方法は、インクの浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、インクの浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。
本発明の一実施形態は、紫外線硬化型インクに係る。当該紫外線硬化型インクは、上記実施形態のインクジェット記録方法に用いられるものである。
以下、本実施形態の紫外線硬化型インク(以下、単に「インク」ともいう。)に含まれるか、又は含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
上記インクに含まれる重合性化合物は、単独で、又は後述する光重合開始剤の作用により、光照射時に重合されて、印刷されたインクを硬化させることができる。
本実施形態におけるインクは、重合性化合物として下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
上記以外の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物」という。)としては、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態におけるインクは光重合開始剤をさらに含んでもよい。当該光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。紫外線の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
インクは、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
本実施形態のインクは、スリップ剤(界面活性剤)をさらに含んでもよい。スリップ剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンを用いることができ、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン又はポリエステル変性ポリジメチルシロキサンを用いることが特に好ましい。具体例としては、BYK−347、BYK−348、BYK−UV3500、3510、3530、3570(以上、BYK社製)を挙げることができる。
インクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、重合禁止剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
下記の実施例及び比較例において使用した原料は、以下の通りである。
〔色材〕
・Microlith Black C−K(C.I.ピグメントブラック7、BASF社製商品名、下記表では「ブラック顔料」と略記した。)
〔分散剤〕
・Solsperse 36000(ルーブリゾール社(Lubrizol Corporation)製商品名、下記表では「SOL36000」と記載した。)
〔ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社製商品名、下記表では「VEEA」と記載した。)
〔上記以外の重合性化合物〕
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名、下記表では「PEA」と記載した。)
・IBXA(イソボルニルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、下記表では「IBX」と記載した。)
・V#160(ベンジルアクリレート、大阪有機化学工業社製商品名、下記表では「BZA」と記載した。)
・SR230(ジエチレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名、下記表では「DEGDA」と記載した。)
・APG−200(トリプロピレングリコールジアクリレート、新中村化学社製商品名、下記表では「TPGDA」と記載した。)
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「819」と記載した。)
・DAROCURE TPO(BASF社製商品名、固形分100%、下記表では「TPO」と記載した。)
〔スリップ剤〕
・BYK−UV3500(BYK社製商品名、下記表では「UV3500」と記載した。)
〔顔料分散液の作製〕
インクの作製に先立ち、顔料分散液を作製した。上記のブラック顔料を1.7質量部、分散剤を0.6質量部、分散媒として重合性化合物を20質量部の割合で、それぞれ混合し、1時間スターラーで撹拌した。撹拌後の混合液をビーズミルで分散し、顔料分散液を得た。なお、分散条件は、直径0.65mmのジルコニアビーズを70%の充填率で充填し、周速を9m/sとし、分散時間を2〜4時間とした。分散媒は、PEA、BZA、IBX、VEEAの優先順でインクごとに使用可能な重合性化合物の量まで使用した。
下記表1に記載の成分を、下記表1に記載の組成(単位は質量%)となるように添加し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、ブラック色の紫外線硬化型インク1〜10を調製した。
上記で説明した図4のラインプリンターであるプリンター1を用いてインクジェット記録を行った。具体的には、上記プリンター1のブラックインクヘッドKに、上記で調製した各紫外線硬化型インクをそれぞれ1個ずつ充填した。ヘッドのノズル密度は720dpiとした。被記録媒体であるPETフィルム(PET50A〔商品名〕、リンテック社(Lintec Corporation)製)上に、記録解像度720dpi×720dpi、Duty100%、及び1パス(シングルパス)の条件で、膜厚10μmのベタパターン画像を印刷した。インクは10mPa・sになるようにインクごとの加温温度で加温して印刷した。なお、本明細書における「ベタパターン画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像を意味する。
照射ピーク強度及び照射エネルギーを下記の表2〜4に示した値とした点以外は、それぞれ実施例1と同様にしてインクジェット記録を行い、記録物を得た。
第1照射部42bの代わりに第2照射部44を用いて、下記の表2に示す照射ピーク強度及び照射エネルギーとした点以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録を行い、記録物を得た。
第1照射部42bの照射ピーク強度及び照射エネルギーを下記の表2及び表3に示した値とし、かつ、第1照射部42bに加えて第2照射部44も用いて、下記の表2〜4に示す照射ピーク強度及び照射エネルギーとした点以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録を行い、記録物を得た。
第1照射部42b内のLEDを、レンズ付きLEDに代えて上述のレンズ無しLEDとした点以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録を行い、記録物を得た。照射時間T1は実施例1と同じとした。LEDの入力電流は140mA必要であった。
第1照射部42b内のUV−LEDを、レンズ付きLEDに代えて、レンズ無しLEDとし、かつ上述のパルス照射LEDとし、インク2を用いた点以外は、実施例1と同様にインクジェット記録を行い、記録物を得た。パルス照射LEDは、Duty比を0.5、パルス周波数を1kHz、入力電流を220mAとした。照射時間T1は実施例1と同じとした。
各実施例及び各比較例で得られた記録物について、以下の方法により硬化性、硬化シワ、耐擦性、耐ブリード性、及び吐出安定性を評価した。
ジョンソン・エンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)社製のジョンソン綿棒を用いて、往復20回及び100g荷重で、得られたベタパターン画像の表面(被記録面)を擦った後、被記録面に傷があるか否かで判断し、印刷時における硬化性を評価した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表2〜4に示す。
○:傷なし
×:傷あり
さらに別途、各インク組成物をバーコーターで、PETフィルム(PET50A)に塗布して、照射ピーク強度800mW/cm2、発光ピーク波長395nmのUV−LEDで照射して硬化させ、10μmの硬化塗膜とした際に、上記硬化性試験1と同じ条件で表面を擦り、評価基準が「○」となるまでに要した照射エネルギーを評価した。評価結果を「インク硬化性」として上記表1に示した。
A:200mJ/cm2以下
B:200mJ/cm2超300mJ/cm2以下
C:300mJ/cm2超
〔3.硬化シワ〕
被記録媒体の表面粗さをとして、レーザー顕微鏡 VK−9700(KEYENCE社製)を用いて、二乗平均平方根高さ(Rq値)を測定し、さらに、目視にて被記録面を観察した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表2〜4に示す。
○:Rqが3以下であった。膜の反射光を見たときに十分な光沢感が観察された。
△:Rqが3を超えて5以下であった。膜の反射光を見たときにやや不十分な光沢感が観察された。
×:Rqが5を超えた。膜の反射光を見たときに光沢感が不十分であり表面がザラザラして見えた。
JIS K5701(ISO 11628)(平版印刷に用いられるインク、展色試料、及び印刷物を試験する方法について規定。)に準じて、学振式摩擦堅牢度試験機(テスター産業社(TESTER SANGYO CO., LTD.)製)を用いて、耐擦性の評価を行った。評価方法は、被記録面に金巾を乗せ、荷重400gをかけて擦り、擦った後の、上記記録物の硬化面の剥離及び傷を目視にて比較した。
評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表2〜4に示す。
1:金巾の汚れは無かった。印字面の剥離や傷も無かった。
2:金巾の汚れが見られた。印字面の剥離や傷は無かった。
3:金巾の汚れが見られた。印字面の剥離や傷も見られた。
得られたベタパターン画像の縁部を目視で観察した。評価基準は以下のとおりである。評価結果を下記表2〜4に示す。
1:ベタパターン画像の縁部に滲みが見られなかった。
2:ベタパターン画像の縁部に滲みが見られた。
吐出ノズル径20μm及び駆動周波数18kHzとし、かつ、1回当たりのインク吐出量を11ngに調整した、180ノズルを有するインクジェット評価機(試作機)を用意した。そして、当該評価機を用いて、60分間連続でインクの吐出を行った時にノズル抜けが生じたノズル数を求めた。
評価基準は下記のとおりである。評価結果を下記表2〜4に示した。
1:1本以下
2:2〜4本
3:5〜7本
4:8本以上
Claims (9)
- 下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有する紫外線硬化型インクを、被記録媒体上に吐出することを含む吐出工程と、
前記被記録媒体に着弾した前記紫外線硬化型インクに、紫外線発光ダイオードからピーク強度が800mW/cm2以上となるように紫外線を照射し、該インクを硬化することと、前記照射の前に、紫外線発光ダイオードからピーク強度が800mW/cm 2 未満であって照射エネルギーが50mJ/cm 2 以下となるように紫外線を照射し該インクを仮硬化することとを含む硬化工程と、を含む、インクジェット記録方法。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。) - 前記該インクを硬化することが、紫外線の照射エネルギーが、100〜600mJ/cm2 となるよう行われる、請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記該インクを仮硬化することが、発光ピーク波長が360〜420nmの範囲にある紫外線の照射により行われる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 被記録媒体の幅に相当する長さ以上の長さであるラインヘッドを備えるラインインクジェット記録装置を用いて記録を行う、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記紫外線発光ダイオードからの前記照射は、それぞれ独立して、パルス照射及び集光レンズによるスポット照射のうち少なくともいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
- 前記該インクを硬化することが、紫外線のピーク強度が800〜4,000mW/cm2の範囲となるよう行われる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記該インクを硬化することが、360〜420nmの範囲に発光ピーク波長を有する紫外線の照射により行われる、請求項1又は2に記載のインクジェット記録方法。
- 前記該インクを仮硬化することが、紫外線のピーク強度が500mW/cm 2 以下となるよう行われる、請求項1〜7の何れか一項に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法を利用する、インクジェット記録装置。
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