JP2010202814A - 光硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクセット、インクカートリッジおよび記録装置 - Google Patents

光硬化型インク組成物、インクジェット記録方法、記録物、インクセット、インクカートリッジおよび記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】非吸収材料面に対しての濡れ性を向上でき、界面でのインクのはじきを防止し、さらにインクを重ね塗りした際の滲みを防止できる光硬化型インク組成物を提供する。
【解決手段】光硬化型インク組成物は、少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、および界面活性剤を含有する光硬化型インクであって、前記重合性化合物として、アリルグリコールを含み、前記界面活性剤として、HLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型インク組成物、紫外線等の光により硬化するインク組成物に関し、詳細には、非吸収材料面に対して濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止された画像を与える光硬化型インク組成物に関するものである。また、本発明は該光硬化型インク組成物を用いたインクジェット記録方法およびその記録物に関する。更に、本発明は該光硬化型インク組成物を備えたインクセット、インクカートリッジおよび記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。このインクジェット記録方法は、高解像度、高品位な画像を、高速で印刷することができるという特徴を有するものである。インクジェット記録方法に使用されるインク組成物は、水性溶媒を主成分とし、これに着色成分および目詰まりを防止する目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。
一方、水性インク組成物が浸透し難い紙、布類、または浸透しない金属、プラスチック等の素材、例えばフェノール、メラミン、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、PET、PP、PEなどの樹脂から製造される板、フィルムなどの記録媒体に印字する場合、インク組成物には、色材が安定して記録媒体に固着できる成分を含有することが要求される。
この様な要求に対しては、色材、光硬化剤、重合開始剤等を含んでなる光硬化型インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、上記従来技術の光硬化型インクジェットインクは、上述した水性インク組成物が吸収しにくい非吸収材料面に対しての濡れ性が十分ではないため、界面ではじきが発生したり、インクの重ね塗りの際に滲みが生じたりし、画像特性に改善の余地があった。
特開2008−224750号公報 特開2006−219657号公報 特開2003−147233号公報
本発明の目的は、非吸収材料面に対しての濡れ性を向上でき、界面でのインクのはじきを防止し、さらにインクを重ね塗りした際の滲みを防止できる光硬化型インク組成物を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、該光硬化型インク組成物を用いたインクジェット記録方法、その記録物、インクセット、インクカートリッジおよび記録装置を提供することにある。
本発明に係る光硬化型インク組成物は、
少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、および界面活性剤を含有する光硬化型インクであって、
前記重合性化合物として、アリルグリコールを含み、
前記界面活性剤として、HLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことを特徴とする。
本発明に係る光硬化型インク組成物において、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、両末端にポリエーテル基が導入されたポリエーテル変性シリコーンオイルであることができる。
本発明に係る光硬化型インク組成物において、前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン主鎖を有することができる。
本発明に係る光硬化型インク組成物において、さらに、色材を含むことができる。
本発明に係るインクジェット記録方法は、上記の光硬化型インク組成物を用いて画像を形成する。
本発明に係る記録物は、上記のインクジェット記録方法により記録媒体上に画像が形成されたものである。
本発明に係るインクセットは、複数の光硬化型インク組成物を備えてなるインクセットであって、少なくとも上記の光硬化型インク組成物を含有する。
本発明に係るインクカートリッジは、上記のインクセットを備えたものである。
本発明に係る記録装置は、上記のインクカートリッジを備えたものである。
本発明によれば、非吸収材料面に対しての濡れ性を向上でき、界面で生じるインクのはじきや、インクを重ね塗りした際の滲みが抑制された画像を与える光硬化型インク組成物を提供することができる。特に、少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、および界面活性剤を含有する光硬化型インクにおいて、重合性化合物としてアリルグリコールを含み、前記界面活性剤としてHLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含む光硬化型インク組成物は、本発明の上記効果を更に高めることができる。
以下、本発明の光硬化型インク組成物について詳細に説明する。
1. 光硬化型インク組成物
本発明に係る光硬化型インク組成物は、少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、および界面活性剤を含有する光硬化型インクであって、前記重合性化合物として、アリルグリコールを含み、前記界面活性剤として、HLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含むことを特徴とする。
まず、本実施形態に係る光硬化型インク組成物について、詳細に説明する。
1.1 重合性化合物
1.1.1 アリルグリコール
本発明の光硬化型インク組成物は、重合性化合物として、少なくともアリルグリコールを含有する。アリルグリコールは、後述するHLBが4〜10.5であるポリエーテル変性シリコーンオイルとの相溶性に優れている。このため、アリルグリコールを前記ポリエーテル変性シリコーンオイルと組み合わせて使用することにより、光硬化型インク組成物中において前記ポリエーテル変性シリコーンオイルが分離しにくくなる。その結果、光硬化型インク組成物の非吸収材料面へ対する濡れ性を高めることができる。
本明細書中において、非吸収材料とは、水性インク組成物が浸透し難い紙、布類、または浸透しない金属、プラスチック等の素材、例えばフェノール、メラミン、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、PET、PP、PEなどの樹脂から製造される板、フィルムなどの記録媒体のことをいう。
本発明の光硬化型インク組成物中、アリルグリコールの含有量は、インク組成物全量に対して20〜80質量%、好ましくは50〜80質量%、より好ましくは50〜75質量%、最も好ましくは60〜75質量%である。
アリルグリコールの含有量が上記範囲未満の場合では、光硬化型インク組成物の粘度上昇、保存安定性の悪化等の問題が生じる。一方、アリルグリコールの含有量が上記範囲を超えると、光硬化型インク組成物としての硬化性が不十分となる場合がある。
1.1.2 樹枝状ポリマー
本発明の光硬化型インク組成物は、重合性化合物として、樹枝状ポリマーを含有することができる。樹枝状ポリマーとしては、以下に示すように大きく6つの構造体に分類できる(「デンドリティツク高分子−多分岐構造が広げる高機能化の世界一」青井啓吾/柿本雅明監修、株式会社エヌ・ティー・エス参照)。
I デンドリマー
II リニアーデンドリティックポリマー
III デンドリグラフトポリマー
IV ハイパーブランチポリマー
V スターハイパーブランチポリマー
VI ハイパーグラフトポリマー
この中でもI〜IIIは分岐度(DB:degree of branching)が1であり、欠陥の無い構造を有しているのに対し、IV〜VIは欠陥を含んでいても良いランダムな分岐構造を有している。特にデンドリマーは、一般的に用いられている直線状の高分子に比べて、反応性の官能基をその最外面に高密度かつ集中的に配置する事が可能であり、機能性高分子材料として期待が高い。また、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマーまたはハイパーグラフトポリマーもデンドリマーほどではないにせよ、その最外面に反応性の官能基を数多く導入する事が可能であり、硬化性に優れている。
これら樹枝状ポリマーは、従来の直線状高分子や分岐型高分子とは異なり、3次元的に枝分かれ構造を繰り返し、高度に分岐している。その為、同一分子量の直線状高分子と比較して粘度を低く抑える事が可能である。
本発明で使用するデンドリマーの合成法には、中心から外に向かって合成するDivergent法と外から中心に向かって行うConvergent法を挙げることが出来る。
本発明において使用される、デンドリマー、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマーおよびハイパーグラフトポリマーは、室温で固体であって、数平均分子量が1000から100000の範囲のものが望ましく、特に2000〜50000の範囲のものが好ましく使用される。室温で固体でない場合は、形成される画像の維持性が悪くなる。また、分子量が上記の範囲より低い場合には定着画像がもろくなり、また、分子量が上記の範囲より高い場合には、添加量を下げてもインクの粘度が高くなりすぎて飛翔特性の点で実用的ではなくなる。
また、本発明において使用されるデンドリマー、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマーおよびハイパーグラフトポリマーは、最外面にラジカル重合可能な官能基を有するデンドリマー、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマーおよびハイパーグラフトポリマーであることが好ましい。最外面にラジカル重合可能な構造とすることにより、重合反応が速やかに進行する。
デンドリマー構造を有するポリマーの例としては、アミドアミン系デンドリマー(米国特許第4,507,466号、同4,558,120号、同4,568,737号、同4,587,329号、同4,631,337号、同4,694,064号明細書)、フェニルエーテル系デンドリマー(米国特許第5,041,516号明細書、Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁))等があげられる。アミドアミン系デンドリマーについては、末端アミノ基とカルボン酸メチルエステル基を持つデンドリマーが、Aldrich社より「StarburstTM(PAMAM)」として市販されている。また、そのアミドアミン系デンドリマーの末端アミノ基を、種々のアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と反応させ、対応する末端をもったアミドアミン系デンドリマーを合成して、それらを使用することもできる。
利用できるアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体としては、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、シクロへキシル、パルミチル、ステアリル等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アミド、イソプロピルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルアミド類があげられるが、これに限られるものではない。
また、フェニルエーテル系デンドリマーについては、例えば、上記Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁)には種々のものが記載され、例えば、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールを用い、3,5−ジフェノキシベンジルブロミドと反応させて第2世代のベンジルアルコールを合成し、そのOH基をCBrおよびトリフェニルホスフィンを用いてBrに変換した後、同様に3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールと反応させて次世代のベンジルアルコールを合成し、以下、上記反応を繰り返して所望のデンドリマーを合成することが記載されている。フェニルエーテル系デンドリマーについても、末端ベンジルエーテル結合の代わりに、末端を種々の化学構造をもつもので置換することができる。例えば、上記Journal of American Chemistry 112巻に記載のデンドリマーの合成に際して、上記ベンジルブロミドの代わりに種々のアルキルハライドを用いれば、相当するアルキル基を有する末端構造を有するフェニルエーテル系デンドリマーが得られる。その他ポリアミン系デンドリマー(Macromol.Symp.77、21(1994))およびその末端基を変性した誘導体を使用することができる。
ハイパーブランチポリマーとしては、例えば、ハイパーブランチポリエチレングリコール等が使用できる。ハイパーブランチポリマーは、1分子内に分岐部分に相当する2つ以上の一種の反応点とつなぎ部分に相当する別種のただ1つの反応点とをもち合わせたモノマーを用い、標的ポリマーを1段階で合成することにより得られるものである(Macromolecules、29巻(1996)、3831−3838頁)。例えば、ハイパーブランチポリマー用モノマーの一例として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体があげられる。ハイパーブランチポリマーの製造例をあげると、1−ブロモ−8−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキサオクタンと3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルとから得られた3,5−ビス((8′−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルの加水分解物である3,5−ビス((8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルをジブチル錫ジアセテートと窒素雰囲気下で加熱して、ハイパーブランチポリマーであるポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。
3,5−ジヒドロキシ安息香酸を用いた場合、ハイパーブランチポリマー末端基は水酸基となるため、この水酸基に対して、適当なアルキルハライドを用いることにより、種々の末端基を有するハイパーブランチポリマーを合成することができる。
デンドリマー構造を有する単分散ポリマーまたはハイパーブランチポリマー等は、主鎖の化学構造とその末端基の化学構造によりその特性が支配されるが、特に末端基や化学構造中の置換基の相違によりその特性が大きく異なるものとなる。特に末端に重合性基を有するものは、その反応性ゆえに、光反応後のゲル化効果が大きく有用である。重合性基を有するデンドリマーは、末端にアミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシル基等の塩基性原子団を有するものの末端に、重合性基を有する化合物で化学修飾して得られる。
例えば、アミノ系デンドリマーに活性水素含有(メタ)アクリレート系化合物をマイケル付加させてなる多官能化合物に、例えば、イソシアネート基含有ビニル化合物を付加させて合成する。また、アミノ系デンドリマーに例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等を反応させることで末端に重合性基を有するデンドリマーが得られる。このような重合性基を与えるビニル化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられ、その例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸およびそれらの塩等、後述する種々のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられる。
本発明において、上記のデンドリマー、ハイパーブランチポリマー、デンドリグラフトポリマーやハイパーグラフトポリマーは1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類のデンドリマーやハイパーブランチポリマーと併用してもよい。
本発明の光硬化型インク組成物において、上記樹枝状ポリマーの添加量は、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10〜30質量%、更に好ましくは10〜20質量%である。前記範囲であれば光硬化型インクとしての適性を好ましく保持できる。
樹枝状ポリマーの添加量を5質量%以上とすることにより良好な硬化性が確保でき、樹枝状ポリマーの添加量が30質量%以下であれば、インク組成物の粘度、分散安定性、保存安定性等の問題が生じることがない。
1.1.3 その他の重合性化合物
本発明の光硬化型インク組成物は、重合性化合物として、上記以外の他の重合性化合物を含有することができる。このような重合性化合物としては、特に限定されないが、例えばモノマーが挙げられる。
モノマーとは、高分子の基本構造の構成単位となり得る分子をいう。また本発明において用いられるモノマーとしては、単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーがあり、何れも用いることができる。何れのモノマーも、PII値(Primary Irritation Index、一次皮膚刺激性)が2以下であることが好ましい。
本発明に使用し得る、PII値が2以下の、単官能モノマー、二官能モノマーおよび多官能モノマーを以下の表1に例示する。
Figure 2010202814
なお、上記表中の粘度は25℃における測定値である。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリン、およびそれらの誘導体等が挙げられ、優れた硬化性を示すことから特にN−ビニルフォルムアミドが好ましい。
なお、本発明の光硬化型インク組成物は、重合性化合物として、前述のモノマーの他に、オリゴマーを含有していても良い。
1.2 界面活性剤
本発明の光硬化型インク組成物は、界面活性剤として、少なくともHLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含有する。
HLBが4〜10.5であるポリエーテル変性シリコーンオイルとアリルグリコールを組み合わせて使用することにより、非吸収材料面に対する濡れ性を改良し、インクのはじきをも防止し、さらにインクを重ね塗りした際の滲みも防止することができる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとは、シリコーンオイルの側鎖、末端、およびその両方にポリエーテル基を導入したものである。また、シリコーンオイルは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーによって構成される。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーとしては、側鎖および両末端のすべてがメチル基であるもの、側鎖の一部がフェニル基であるもの、側鎖の一部が水素であるものが挙げられる。
本発明におけるポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、好ましくは側鎖にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)、片末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「片末端ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)、両末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)、側鎖および両末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「側鎖両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)等が挙げられ、さらに好ましくは両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルであり、特に好ましくはポリジメチルシロキサン主鎖をもつ両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルである。
ポリジメチルシロキサン主鎖をもつ両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、具体的には、BYK−3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を挙げることができる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量は、光硬化型インク組成物の全質量に対し、好ましくは0.1〜5.0質量%、より好ましくは0.3〜2.5質量%、さらに好ましくは0.3〜1.0質量%である。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量が上記範囲未満の場合では、光硬化型インク組成物の表面張力が高くなり、非吸収材料面へ対する濡れ性が悪化するおそれがある。一方、ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量が上記範囲を超えると、インクの密着性が悪化する場合がある。
ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBは、4〜10.5の範囲であり、好ましくは5〜10.5の範囲である。
ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBが上記範囲未満の場合では、光硬化型インク組成物中においてアリルグリコールとの相溶性が低下し、光硬化型インク組成物として使用できなくなる場合がある。一方、ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBが上記範囲を超えると、非吸収材料面へ対する濡れ性が悪化する場合がある。
ここで、HLBとは、Hydrophile−lipophile balance(親水親油バランス)の略称であり、界面活性剤の分子内における親水基と親油基のつり合いを示す指標である。
1.3 光重合開始剤
本発明の光硬化型インク組成物は、光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシアルキルフェノン、α−アミノアルキルフェノン、アシルフォスフィンオキサイド、オキシムエステル、チオキサントン、α−ジカルボニル、アントラキノン等が挙げられる。
また、Vicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 127、184、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1850、1870、819、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、Quantacure CTX(AcetoChemical社製)、Kayacure DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)の商品名で入手可能な光重合開始剤も使用することができる。
本発明の光硬化型インク組成物において、光重合開始剤の添加量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜15質量%である。
1.4 その他の成分
本発明の光硬化型インク組成物は、重合促進剤を含有することができる。重合促進剤としては、特に限定されないが、Darocur EHA、EDB(チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、本発明の光硬化型インク組成物は、熱ラジカル重合禁止剤を含有することが好ましい。これにより、インク組成物の保存安定性が向上する。なお、熱ラジカル重合禁止剤としては、IrgastabUV−10、UV−22、(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等が挙げられる。
また、本発明の光硬化型インク組成物は色材を含有することができる。この場合に用いられる色材は、染料、顔料のいずれであってもよいが、印刷物の耐久性の点から顔料の方が有利である。
本発明で使用される染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応系染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インクジェット記録に使用される各種染料を使用することができる。
本発明で使用される顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。
無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用することができる。
顔料の具体例としては、カーボンブラックとして、三菱化学社製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等が、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等が、キャボット社製のRega1400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等が、デグサ社製のColorBlack FWl、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、ColorBlack S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Specia1 Black 6、同5、同4A、同4等が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられる。
また、マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、209、C.I.ピグメントヴァイオレット19等が挙げられる。
さらに、シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、60、16、22が挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、顔料はその平均粒径が10〜200nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜150nm程度のものである。
光硬化型インク組成物における色材の添加量は、0.1〜25質量%程度の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%程度の範囲である。
また、本発明の光硬化型インク組成物は、色材を含まないクリアインクにも適用可能である。
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤または界面活性剤で媒体中に分散させて得られた顔料分散液として光硬化型インク組成物とすることができる。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
また、光硬化型インク組成物が色材を含有する場合、その色材を含有するインク組成物は、各色毎の複数有するものであっても良い。例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの基本4色に加えて、それぞれの色毎に同系列の濃色や淡色を加える場合、マゼンタに加えて淡色のライトマゼンタ、濃色のレッド、シアンに加えて淡色のライトシアン、濃色のブルー、ブラックに加えて淡色であるグレイ、ライトブラック、濃色であるマットブラックが挙げられる。
この他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。
また、本発明の光硬化型インク組成物は1液型であっても2液型であってもよい。
2. インクジェット記録方法および記録物
本発明は、上述した光硬化型インク組成物を用いて記録媒体に画像形成を行う、インクジェット記録方法を提供することができる。以下、本実施形態に係るインクジェット記録方法について説明する。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法として、インクジェットプリンターを用いて記録媒体上に光硬化型インク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させて画像を形成した後に、該画像に紫外線を照射する方法が挙げられる。
前記インクジェットプリンターには、インクジェット式記録ヘッド、本体、トレイ、ヘッド駆動機構、キャリッジおよびキャリッジの側面に搭載された紫外線照射装置などを備えたものが例示でき、上記インクジェット式記録ヘッドは、例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクカートリッジを備えており、フルカラー印刷ができるように構成されている。
本実施形態にかかるインクジェット記録方法では、まず、前記少なくとも1つのインクカートリッジに、本発明に係る光硬化型インク組成物を充填し、設置する。
次に、上記インクジェットプリンターを用いて、充填された光硬化型インク組成物を吐出し、記録媒体上に付着させて画像を形成する。上記インクジェットプリンターは、内部に専用のコントロールボード等を備えており、インクジェット式記録ヘッドのインクの吐出タイミングおよびヘッド駆動機構の走査を制御することができる。インクジェット吐出方法としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)において優れた画像記録を行うことが可能である。
その後、上記画像に紫外線照射装置を用いて紫外線を照射し、光硬化型インク組成物を硬化させる。紫外線の照射には、インクジェットプリンター内のキャリッジ側面に搭載された紫外線照射装置を適用することができる。照射光源の波長は、特に制限されないが、好ましくは350nm〜450nmの範囲である。光の照射量は、好ましくは10mJ/cm〜20000mJ/cmであり、より好ましくは50mJ/cm〜15000mJ/cmの範囲である。この範囲内における紫外線照射量であれば、十分硬化反応を行うことができる。
紫外線照射は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えばFusionSystem社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
また、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により、紫外線照射を行うことができる。
本発明のインクジェット記録方法によれば、非吸収材料面に対する濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止された記録物を形成することができる。
また、本発明によれば、前記インクジェット記録方法により記録された記録物を提供することができ、非吸収材料面に対する濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止されているため、優れた画質を有する画像を備えたものとなる。
3. インクセット
本発明はまた、複数の光硬化型インク組成物を備えてなるインクセットであって、前述した本発明の光硬化型インク組成物を少なくとも1種含むことを特徴とするインクセットを提供することができる。
本発明のインクセットによれば、非吸収材料面に対する濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止された画像を形成することができる。
4. インクカートリッジ
本発明はまた、前述した本発明の光硬化型インク組成物を備えたことを特徴とするインクカートリッジを提供することができる。
本発明のインクカートリッジによれば、非吸収材料面に対する濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止された画像を形成することができる。
5. 記録装置
本発明はまた、前述した本発明のインクカートリッジを備えたことを特徴とする記録装置を提供することができる。
本発明の記録装置によれば、非吸収材料面に対する濡れ性が向上し、インクのはじき、およびインクを重ね塗りした際の滲みが防止された画像を形成することができる。
6. 実施例
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
6.1 実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4
インク組成物を作製し、界面活性剤の相溶性試験および非吸収材料への濡れ性試験を行った。
6.1.1 顔料分散液の調製
実施例および比較例において、顔料分散液は下記に示す方法によって調製した。
着色材としてC.I.ピグメントブルー15:3を15質量%、分散剤としてのディスコールN−509(大日精化工業社製)5.3質量%に、モノマーとしてのアリルグリコール(日本乳化剤社製)加えて全体を100質量%とし、混合攪拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後ジルコニアビーズをセパレータで分離しシアン顔料分散液(顔料濃度15質量%)を得た。
6.1.2 インク組成物の調製
実施例および比較例において、以下に示す重合性化合物(1)、重合性化合物(2)、界面活性剤、光重合開始剤、および重合禁止剤を混合且つ完全に溶解しインク組成物を調製し、上記顔料分散液を攪拌しながらインク組成物のインク溶媒中に徐々に滴下した。滴下終了後、常温で1時間混合攪拌してインク組成物とした。その後、5μmのメンブランフィルターでそれぞれのインク組成物をろ過し、表2に示すインク組成物を調製した。表中の数値は「質量%」を示す。
なお、実施例および比較例において使用した成分は下記の通りである。
(a)重合性化合物(1)
・ビスコート#1000:樹枝状ポリマー(大阪有機化学工業(株)製)
(b)重合性化合物(2)
・アリルグリコール:(日本乳化剤(株)製)
(c)界面活性剤
・BYK−3500:両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル(ビックケミー・ジャパン(株)製)
・ペインタッド19:側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製)
・TSF4446:側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル(株)製)
・SILWET7608:側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル(株)製)
・FZ2207:両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製)
・FZ77:側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製)
・FZ2162:側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製)
(d)光重合開始剤
・Irgacure127:光ラジカル重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製)
・Irgacure819:光ラジカル重合開始剤(チバ・ジャパン(株)製)
(e)重合禁止剤
・IrgastabUV−22:熱ラジカル重合禁止剤(チバ・ジャパン(株)製)
6.1.3 評価
6.1.3−1 界面活性剤の相溶性試験
上記「6.1.2 インク組成物の調製」において調製したインク組成物を観察し、インク組成物中における界面活性剤の分離状態を目視にて判定した。この結果を表2に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
「A」・・・界面活性剤の分離なし(良好)
「B」・・・界面活性剤の分離あり(不良)
6.1.3−2 非吸収材料への濡れ性試験(液滴重量11ng)
常温・常圧下にて、インクジェットプリンターを用いて、上記「6.1.2 インク組成物の調製」において調製したインク組成物を液滴重量11ngで滴下させ、解像度180×360dpiのベタパターンを、非吸収材料であるポリエチレンメディアBA1201(AVERY社製)に印刷した。その後、印刷されたベタパターンを波長385nmのピーク強度を有する紫外線で照射し、インク組成物を硬化させ、ベタパターンの平均ドット径を測定した。この結果を表2に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
「A」・・・液滴重量11ng時のドット径が60μm以上(濡れ性が極めて良好)
「B」・・・液滴重量11ng時のドット径が55μm以上60μm未満(濡れ性が良好)
「C」・・・液滴重量11ng時のドット径が50μm以上55μm未満(濡れ性が不良)
「D」・・・液滴重量11ng時のドット径が50μm未満(濡れ性が極めて不良)
Figure 2010202814
6.2 実施例5〜実施例13および比較例5
上記「6.1.3−2 非吸収材料への濡れ性試験」の評価結果を基に、界面活性剤の添加量が及ぼす影響を検討した。
6.2.1 顔料分散液の調製
上記「6.1.1 顔料分散液の調製」と同様の方法で顔料分散液の調製を行った。
6.2.2 インク組成物の調製
界面活性剤の添加量および重合性化合物(2)の添加量を、表3に示した通りにした以外は、上記「6.1.2 インク組成物の調製」と同様の方法でインク組成物の調製を行った。
6.2.3 非吸収材料への濡れ性試験(液滴重量14ng)
上記「6.2.1 インク組成物の調製」において調製したインク組成物を用いたこと、および液滴重量を14ngに代えた以外は、上記「6.1.3−2 非吸収材料への濡れ性試験」と同様の試験を行った。この結果を表3に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
「AA」・・液滴重量14ng時のドット径が70μm以上(濡れ性が極めて良好)
「A」・・・液滴重量14ng時のドット径が65μm以上70μm未満(濡れ性が良好)
「B」・・・液滴重量14ng時のドット径が60μm以上65μm未満(濡れ性がやや良好)
「C」・・・液滴重量14ng時のドット径が60μm未満(濡れ性が不良)
Figure 2010202814
6.3 実施例14および比較例6
インクセットを作製し、インク組成物の滲み性試験を実施した。
6.3.1 顔料分散液の調製
上記「6.1.1 顔料分散液の調製」と同様の方法で顔料分散液の調製を行った。
また、以下同様にしてそれぞれの色に対応する顔料分散液、即ちブラック顔料(ピクメントブラック7)、マゼンタ顔料分散液(C.I.ピグメントヴィオレット−19)、イエロー顔料分散液(C.I.ピグメントイエロー155)を調製した。
6.3.2 インク組成物の調製
顔料分散液の種類を、上記「6.3.1」で調製した顔料分散液を表4の通りに用いた以外は、上記「6.1.2 インク組成物の調製」と同様の方法でインク組成物の調製を行った。このように得られたインク組成物のブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの4色を組み合わせ、インクセットとした。
6.3.3 インク組成物の滲み性試験
常温・常圧下にて、インクジェットプリンターを用いて、上記「6.3.1 インク組成物の調製」において調製したインク組成物を液滴重量17ngで滴下させ、解像度720×720dpiのベタパターンを、非吸収材料であるポリエチレンメディアBA1201(AVERY社製)に、各色が隣接するように印刷した。その後、印刷されたベタパターンを波長385nmのピーク強度を有する紫外線で照射し、インク組成物を硬化させ、各色の境界部のインク滲みを目視、およびルーペ(倍率10倍)にて観察した。この結果を表4に示す。なお、評価基準は以下の通りである。
「A」・・・目視、およびルーペ(倍率10倍)による観察で、境界部においてインクの滲みが確認されない(滲み性が極めて良好)
「B」・・・目視観察でインクの滲みは確認されないが、ルーペ(倍率10倍)での観察において、インクの滲みが若干認められる(滲み性が良好)
「C」・・・目視で滲みが若干認められる(滲み性が不良)
「D」・・・目視で滲みが著しく認められる(滲み性が劣悪)
Figure 2010202814
6.4 評価結果
表2の結果から、実施例1〜実施例4に係る光硬化型インク組成物を用いた場合には、いずれも界面活性剤としてHLBが4〜10.5の範囲にあるポリエーテル変性シリコーンオイルを使用している。そのため、界面活性剤と重合性化合物との相溶性が良好であり、光硬化型インク組成物中において界面活性剤の分離をおこさず、非吸収材料に対する濡れ性が良好であることが示された。
また、表3の結果から、実施例5〜実施例13に係る光硬化型インク組成物を用いた場合には、いずれも界面活性剤としてHLBが4〜10.5の範囲にあるポリエーテル変性シリコーンオイルを使用している。そのため、表2の結果と同様に非吸収材料に対する濡れ性が良好であることが示された。特に、界面活性剤として両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルを含有した実施例5に係る光硬化型インク組成物は、他のポリエーテル変性シリコーンオイルを同量含有する光硬化型インク組成物(実施例8、実施例11)と比較して、非吸収材料に対する濡れ性が極めて良好であることが確認できた。
次に、表4の結果から、実施例14に係るインクセット(1)を構成する各色の光硬化型インク組成物は、界面活性剤としてHLBが4〜10.5の範囲にあるポリエーテル変性シリコーンオイルを使用している。そのため、各色の境界部におけるインクの滲みがなく、良好な光硬化型インク組成物であることが示された。
比較例1に係る光硬化型インク組成物は、界面活性剤を添加していない。その結果、非吸収材料への濡れ性試験(液滴重量11ng)において、非吸収材料に対する濡れ性が悪く、ドット径が50μm未満となり、良好な光硬化型インク組成物が得られなかった。
比較例2に係る光硬化型インク組成物は、界面活性剤にHLBが4〜10.5の範囲にあるポリエーテル変性シリコーンオイルを用いていない。その結果、界面活性剤のインク相溶性試験において、インク組成物中での界面活性剤の分離がみられたため、良好な光硬化型インク組成物が得られなかった。
比較例3および比較例4に係る光硬化型インク組成物は、界面活性剤にHLBが4〜10.5の範囲にあるポリエーテル変性シリコーンオイルを用いていない。その結果、非吸収材料への濡れ性試験において、非吸収材料に対する濡れ性が悪く、ドット径が50μm未満となり、良好な光硬化型インク組成物が得られなかった。
比較例5に係る光硬化型インク組成物は、比較例1と同様に調製したインク組成物であり、界面活性剤を添加していない。非吸収材料への濡れ性試験(液滴重量14ng)において、非吸収材料に対する濡れ性が悪く、ドット径が60μm未満となり、良好な光硬化型インク組成物が得られなかった。
比較例6に係るインクセット(2)を構成する各色の光硬化型インク組成物は、界面活性剤を添加していない。そのため、インク組成物の滲み性試験において、各色における境界部でのインクの滲みが著しく認められ、良好な光硬化型インク組成物が得られなかった。

Claims (9)

  1. 少なくとも重合性化合物、光重合開始剤、および界面活性剤を含有する光硬化型インクであって、
    前記重合性化合物として、アリルグリコールを含み、
    前記界面活性剤として、HLBが4〜10.5のポリエーテル変性シリコーンオイルを含む、光硬化型インク組成物。
  2. 請求項1において、
    前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、両末端にポリエーテル基が導入されたポリエーテル変性シリコーンオイルである、光硬化型インク組成物。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記ポリエーテル変性シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン主鎖を有する、光硬化型インク組成物。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    さらに、色材を含む、光硬化型インク組成物。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物を用いて画像を形成する、インクジェット記録方法。
  6. 請求項5に記載のインクジェット記録方法により、記録媒体上に画像が形成されてなる、記録物。
  7. 複数の光硬化型インク組成物を備えてなるインクセットであって、
    少なくとも請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の光硬化型インク組成物を含有する、インクセット。
  8. 請求項7に記載のインクセットを備えた、インクカートリッジ。
  9. 請求項8に記載のインクカートリッジを備えた、記録装置。
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