JP2012193315A - 紫外線硬化型インク及び紫外線硬化型インクの記録方法 - Google Patents

紫外線硬化型インク及び紫外線硬化型インクの記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被記録媒体上にインクの薄膜を形成することができ、かつ、当該薄膜での充填性及び硬化性に優れた、紫外線硬化型インク及び紫外線硬化型インクの記録方法を提供する。
【解決手段】重合性化合物と、ポリエーテル変性シリコーンと、光重合開始剤と、を含む紫外線硬化型インク組成物であって、前記重合性化合物が、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAを含有する紫外線硬化型インク、及び紫外線硬化型インクの記録方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線硬化型インク及び紫外線硬化型インクの記録方法に関する。
従来、紙などの被記録媒体に、画像データ信号に基づき画像を形成する記録方法として、種々の方式が利用されてきた。このうち、インクジェット方式は、安価な装置であり、必要とされる画像部のみにインクを吐出し被記録媒体上に直接画像を形成するため、インクを効率良く使用でき、ランニングコストが安い。さらに、インクジェット方式は騒音が小さいため、記録方法として優れている。
近年、インクジェット方式の記録方法において、良好な耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを与えることのできるインクとして、紫外線を照射すると硬化する紫外線硬化型インクが使用されている。
例えば、特許文献1には、紫外線硬化型インクのシリアル印刷方式において、インクの被記録媒体に対する接触角を90〜120°とし、ベタパターン画像を形成するのに必要なインク量の85%以上を打ち込むことで、着弾後のインクの動きが抑制され(ハジキがなく)、光沢に優れた画像が得られることが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、水性の紫外線硬化型インクの印刷において、第一の塗膜の上に第二の塗膜を形成させる際、第二の塗膜形成用インクの第一の塗膜に対する接触角を10〜50°とすることが開示されている。
また、例えば、特許文献3には、被記録媒体上に、ドットの隣接部で互いに重なるように構成されたインク層の硬化物からなる画像を形成する方法が開示されている。具体的に言えば、インクジェットヘッドから光照射により硬化するインクを被記録媒体へ吐出して、ドットの隣接部で互いに重なったインク層を形成する工程、及び当該インク層を硬化させる工程を具備し、被記録媒体上に上記インク層を形成する工程は、第1のドットパターンを形成する第1の吐出と、当該第1のドットパターンへの光照射と、第2のドットパターンを形成する第2の吐出と、を少なくとも含み、上記第1のドットパターンは間隔を空けて配置されたインクドットの集合からなり、上記第2のドットパターンは上記第1のドットパターンにおける間隔の少なくとも一部を占めるというものである。
特開2007−152671号公報 国際公開第2006/025221号 特開2007−210169号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示の技術はいずれも、インクの硬化物(硬化膜)が厚くなる場合があり、そのため、被記録媒体を折り曲げた際に割れが起こりやすかったり、画像に凸凹が目立つことから見た目が悪かったりする。また、インクの硬化物における埋まり性(充填性)に劣る場合があるため画質が悪くなる。さらに、インクの硬化性に劣る場合もある。
そこで、本発明は、被記録媒体上にインクの薄膜を形成することができ、かつ、当該薄膜での充填性及び硬化性に優れた、紫外線硬化型インク及び紫外線硬化型インクの記録方法を提供することを目的の一つとする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。まず、下記一般式(I)で表される、分子中にビニル基及び(メタ)アクリル基を共に有する化合物を、紫外線硬化型インクに含有させることにより、インクは低粘度化し、かつ、照射される紫外線に対し高感度を有するため硬化性が良好になる傾向になることを本発明者らは知見した。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
これに加えて、紫外線硬化型インクに、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーン、下記一般式(II)で表される化合物を紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対する含有量として5〜50質量%、及び光重合開始剤を含むことで、記録媒体へのインクの広がり性が優れ、薄膜形成が可能であり、特に、記録媒体への薄膜形成においても硬化性が優れることを本発明者らは知見した。
CH2=CR4−COOR5−O−R6・・・(II)
(式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、当該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
さらに、上記に加えて、インクの薄膜を5μm以下とすることにより、インクの硬化物が薄膜になるとともに、被記録媒体と塗膜との間における表面の凹凸差が軽減されるため、記録物表面の凹凸感が軽減されたり、被記録媒体を折り曲げた際に割れが起こりにくくなり画像の見た目が良好となったりする。
以上のことから、上記一般式(I)で表される化合物と、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンと、インクの総質量(100質量%)に対して含有量5〜50質量%の上記一般式(II)で表される化合物と、光重合開始剤と、を含む紫外線硬化型インク、及び当該紫外線硬化型インクを使用して被記録媒体に印刷するという記録方法により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1]
紫外線硬化型インクであって、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAと、該インクの総質量に対して5質量%以上50質量%以下の、下記一般式(II):
CH2=CR4−COOR5−O−R6 ・・・(II)
(式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
で表される化合物と、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンと、光重合開始剤と、を含有する、紫外線硬化型インク。
[2]
前記モノマーAの含有量が、該インクの総質量に対して5質量%以上70質量%以下である、[1]に記載の紫外線硬化型インク。
[3]
前記モノマーAがアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、[1]又は[2]に記載の紫外線硬化型インク。
[4]
前記ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、該インクの総質量に対して0.05質量%以上5質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク。
[5]
前記ポリエーテル変性シリコーンは、シリコーンの片末端又は両末端にポリエーテル基が導入されたものである、[1]〜[4]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク。
[6]
前記光重合開始剤は、該インクの総質量に対して8質量%以上のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の紫外線硬化型インク。
[7]
紫外線硬化型インクの記録方法であって、下記一般式(I):
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
で表されるモノマーAと、該インクの総質量に対して5質量%以上50質量%以下の、下記一般式(II):
CH2=CR4−COOR5−O−R6 ・・・(II)
(式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
で表される化合物と、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンと、光重合開始剤と、を含有する紫外線硬化型インクを、被記録媒体に塗布し、塗布した前記紫外線硬化型インクに対して紫外線の照射により前記紫外線硬化型インクを硬化させて、前記被記録媒体上に膜厚5μm以下の硬化膜を形成することを含む、紫外線硬化型インクの記録方法。
本発明の一実施形態で使用する記録装置の一例であるラインプリンターの構成を示すブロック図である。 図1のラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
本明細書において、「記録物」とは、被記録媒体上にインクが記録されて硬化物が形成されたものをいう。なお、本明細書における硬化物は、硬化膜や塗膜を含む、硬化された物質を意味する。
本明細書において、「硬化性」とは、光に感応して硬化する性質をいう。「埋まり性」とは、本明細書において「充填性」とも言い、記録物を硬化物(画像)が形成された側から見たときに、下地である被記録媒体が見えない性質をいう。充填性が良好であるほど、画像を形成するインク硬化物のハジキがより少なく光沢性により優れる。「ハジキ」とは、撥液性によりインクが拡がり難いことを意味する。
「ベタパターン画像」とは、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像を意味する。
また、本明細書において、「カラーインク」とは、無色透明のクリアインクを除くあらゆる有色のインクを指す。
本明細書において、「インクジェット記録装置」とは、被記録媒体上にインクジェット方式により画像を形成する装置を意味し、例えば図1に示す後述のプリンター1が該当する。また、記録制御装置は、記録装置を制御する装置を意味し、例えば、後述する、プリンタードライバーをインストールしたコンピューター110が該当する。
[記録装置]
本発明の一実施形態に係る紫外線硬化型インクの記録方法は、以下に示すような記録装置を用いて実施することができる。図1は、本実施形態で使用する記録装置の一例であるラインプリンターの構成を示すブロック図である。図2は、図1のラインプリンターの一態様における記録領域周辺の概略図である。
〔1.装置構成〕
図1に示すように、本実施形態におけるプリンター1は、外部装置であるコンピューター110と通信可能に接続されている。
プリンター1は、光(紫外線)の照射により硬化する紫外線硬化型インクを吐出することにより、被記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置である。
なお、本明細書における「被記録媒体上」とは、被記録媒体の表面上、及び、当該表面の上方に位置することを意味する。
上記のプリンター1(インクジェット記録装置)は、被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送ユニット20(搬送部)と、紫外線硬化型インクを前記被記録媒体に吐出するヘッドユニット30(プリントヘッド)と、前記被記録媒体に着弾した前記インクからなる塗膜を光照射により硬化させる照射ユニット40と、を備える。これに加えて、上記のプリンター1(インクジェット記録装置)は、任意に、検出器群50及びコントローラー60を有する。
搬送ユニット20は、被記録媒体を搬送方向に搬送させるためのものである。搬送ユニット20は、図2に示すように、例えば、上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bと、ベルト24と、を有する。
ヘッドユニット30は、被記録媒体Sに向けて紫外線硬化型インクを吐出するためのものである。
照射ユニット40は、被記録媒体S上に着弾した紫外線硬化型インクのドットに向けて光を照射するものである。本実施形態における照射ユニット40は、図2に示すように、光照射部42を備える。
検出器群50は、必要に応じてロータリー式エンコーダー(図示せず)及び紙検出センサー(図示せず)等を備える。
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御部であり、コントローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有する。インターフェイス部61は、外部装置であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、ROM等の記憶素子を有する。ユニット制御回路64は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったCPU62の制御に基づいて各ユニット(各部)を制御するものである。
プリンター1は、上記のとおり、吐出される紫外線硬化型カラーインク(以下、単に「カラーインク」ともいう。)を用いて、画像を形成可能(印刷を実行可能)に構成されている。
図2は、プリンター1において印刷に関連する構成を概略的に示した図である。図2は、カラーインクが1種単独からなる態様を例示する。すなわち、図2の態様において、任意の一色のカラーインク用のプリントヘッド(図示せず)が、図2のカラーインクヘッドCOLORの位置に設けられている。このカラーインクヘッドCOLORとして、例えばブラックインクヘッド、シアンインクヘッド、マゼンタインクヘッド、及びイエローインクヘッドが挙げられる。
図2に示す態様において、光照射部42は、カラーインクヘッドCOLORの搬送方向下流側に設けられている。
〔2.装置動作〕
外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(各部)、即ち搬送ユニット20、ヘッドユニット30、及び照射ユニット40を制御して、印刷データに従い、被記録媒体S上に画像を形成する。コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各部を制御し、被記録媒体上に画像を形成する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各部を制御する。
搬送ユニット20においては、搬送モーター(図示せず)が回転すると、図2に示した上流側搬送ローラー23A及び下流側搬送ローラー23Bが回転し、ベルト24が移動する。給紙ローラー(図示せず)によって給紙された被記録媒体Sは、ベルト24によって、記録可能な領域(プリントヘッドと対向する領域)まで搬送される。そして、この領域を通過した被記録媒体Sは、ベルト24によって外部へ排紙される。
このとき、搬送ユニット20(走査部)は、被記録媒体Sをヘッドユニット30(プリントヘッド)に対して相対的に搬送方向(走査方向)に走査させながら、後述の紫外線硬化型インクをヘッドユニット30から吐出する。被記録媒体Sの搬送を行わずにヘッドユニット30を被記録媒体Sに対して移動させる走査を行いながらインクの吐出を行わせてもよい。ここで、被記録媒体Sがヘッドユニット30に対して移動する走査を行う場合は被記録媒体Sが搬送されていく側が下流であり、ヘッドユニット30が被記録媒体Sに対して移動する走査を行う場合は、ヘッドユニット30が移動していく方向が上流側である。
なお、搬送中の被記録媒体Sは、ベルト24に静電吸着又はバキューム吸着されていてもよい。また、本明細書では便宜上、「給紙」という文言を用いているが、本実施形態における被記録媒体Sとしては、後述の被記録媒体を用いることができる。
ヘッドユニット30は、画像を形成するための紫外線硬化型インクとして、カラーインクを吐出する。
ヘッドユニット30は、搬送中の被記録媒体Sに対して紫外線硬化型インクを吐出することによって、被記録媒体S上にドットを形成し(インクを着弾させて)、塗膜が形成されて画像を形成する。プリンター1はラインプリンターであり、ヘッドユニット30のプリントヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)は被記録媒体Sの幅相当のドットを形成することができる。
照射ユニット40において、被記録媒体S上に形成されたドット(着弾したインク)は、照射ユニット40から光照射を受けることにより、硬化する。
図2に示した光照射部42は、上記被記録媒体Sに着弾した上記カラーインクを光源からの光照射により硬化させる。換言すれば、光照射部42は、被記録媒体S上に形成されたドット(塗膜)を硬化させるための光照射を行う。また、被記録媒体Sの幅方向における光照射部42の長さは被記録媒体Sの幅以上である。そして、光照射部42は、ヘッドユニット30のヘッドによって形成されたドットに光を照射する。
光照射部42は、光源として、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、又はランプを有する。これらの光源(紫外線源)については後述する。
検出器群50に備えられ得るロータリー式エンコーダーは、上流側搬送ローラー23Aや下流側搬送ローラー23Bの回転量を検出する。ロータリー式エンコーダーの検出結果に基づいて、被記録媒体Sの搬送量を検出することができる。また、検出器群50に備えられ得る紙検出センサーは、給紙中の被記録媒体Sの先端の位置を検出する。
なお、コントローラー60を構成する各部の動作については、上述のとおりである。
コンピューター110は、プリンタードライバーをインストールするものである。プリンタードライバーは、表示装置(図示せず)にユーザーインターフェイスを表示させ、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データ(画像形成データ)に変換させるためのプログラムである。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどのコンピューターが読み取り可能な被記録媒体に記録されている。あるいは、このプリンタードライバーは、インターネットを介してコンピューター110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
そして、コンピューター110は、プリンター1に画像を形成させるため、当該画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
このように、上記で説明した本実施形態におけるプリンター1(インクジェット記録装置)は、一種類のインクを吐出する一つのプリントヘッド(ラインヘッド)と、ラインヘッドより搬送方向下流側に配置された光源と、からなり、一回の光照射によりインクを硬化させるように構成されているラインプリンターである。
上記のラインプリンターは、被記録媒体に対してヘッドを所定の方向に一度走査(シングルパス)するだけで画像が形成されるシングルパスプリンターである。被記録媒体が所定の搬送方向に搬送される場合、相対的に、その搬送方向の逆方向にヘッドが走査される。換言すれば、ラインプリンターにおいては、記録の際にヘッドの下方を被記録媒体が一度しか通過しない。これは、一般にシングルパスプリントと称される。
なお、上記プリンター1(インクジェット記録装置)として、上記のラインプリンターの他にシリアルプリンターを用いてもよい。これらはプリンターの方式が異なる。簡潔にいえば、ラインプリンターは、ヘッドが移動せずに固定されて印刷が行われるものである。一方、シリアルプリンターは、ヘッドが被記録媒体の搬送方向と直交した方向に往復移動(シャトル移動)しながら印刷が行われるものである。
〔3.変形例〕
ヘッドユニット30は、図2に示すようなカラーインクヘッドCOLORの代わりに又はこれに加えて、紫外線硬化型クリアインク(以下、単に「クリアインク」ともいう。)を吐出するためのクリアインクヘッドを有してもよい。ヘッドユニット30が、カラーインクヘッドCOLORに加えてクリアインクヘッドを有する場合、クリアインクがカラーインクに対し上塗りされるようにするため、クリアインクヘッドはカラーインクヘッドCOLORの搬送方向下流側に設けるとよい。この場合、被記録媒体に対し、先に吐出したカラーインクと後に吐出するクリアインクとの間でブリーディングする(滲む)ことを防止するため、カラーインクヘッドCOLOR及びクリアインクヘッドの間に仮硬化(ピニング)用光源をさらに設けてもよい。すなわち、搬送方向上流側から、カラーインクヘッドCOLOR(ヘッドユニット30の一部)、仮硬化用光照射部(照射ユニット40の一部)、クリアインクヘッド(ヘッドユニット30の一部)、及び光照射部42(照射ユニット40の一部)が設けられることとなる。
また、ヘッドユニット30は、各色のカラーインク用のプリントヘッド(図示せず)が、図2のカラーインクヘッドCOLORの位置に、搬送方向に対し上流側から下流側に順番に並んでいてもよい。具体例として、図2のカラーインクヘッドCOLORの位置に、上流側から、ブラックインクヘッド、シアンインクヘッド、マゼンタインクヘッド、及びイエローインクヘッドの各ヘッドがこの順番に設けられることが挙げられる。
ヘッドユニット30において、カラーインクのヘッドが2種以上存在する場合、図2を用いて説明したような、カラーインクヘッドCOLORの位置に複数のヘッドが並んで配置される態様には限られない。例えば、複数のカラーヘッドが別々のヘッドとして搬送方向にこの順番に並んでいる態様であってもよい。この変形例において、各カラーインクのヘッドはそれぞれ搬送方向に並んで、接触して互いに隣り合うように配置されてもよく、又は間隔を空けて配置されてもよい。
各カラーインクのヘッドがそれぞれ、間隔を空けて配置される場合、各ヘッド同士の間に、ヘッド毎に光照射部を備えてもよい。つまり、照射ユニット40において、各カラーインクのヘッド及び光照射部を交互に備えてもよい(光照射部が各インク色のヘッドの搬送方向下流側にそれぞれ設けられる。)。
上記の変形例においても、プリンター1はラインプリンター及びシリアルプリンターのいずれであってもよい。なお、プリンター1はラインプリンターであると、ヘッドユニット30の各ヘッドは被記録媒体の幅相当のドットを一度に形成することができる。
[紫外線硬化型インクの記録方法]
本発明の一実施形態に係る紫外線硬化型インクの記録方法は、特定の紫外線硬化型インクを、被記録媒体Sに対して、膜厚5μm以下の条件で、膜を形成することを含むものである。
本実施形態の記録方法は、上記のような記録装置を用いたインクジェット方式に適用することができる。当該記録方法は、被記録媒体S上に、後述の紫外線硬化型インクを吐出する吐出工程と、上記吐出工程により吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射して、上記紫外線硬化型インクを硬化する硬化工程と、を含む。このようにして、被記録媒体S上で硬化した紫外線硬化型インクにより、塗膜(硬化膜)が形成される。
〔吐出工程〕
吐出工程において、カラーインクヘッドCOLOR(図2)及びクリアインクヘッドのうち少なくともいずれかから、被記録媒体S(図2)上に紫外線硬化型インクが吐出され、紫外線硬化型インクが被記録媒体Sに付着する。
吐出工程においては、薄膜を形成する場合であれば、膜厚5μm以下、好ましくは0.5〜5μmの薄膜条件で上記紫外線硬化型インクを打ち込み、硬化膜を形成する。上記の膜厚であると、薄膜を形成できるため、記録物表面の凹凸感が少なく、被記録媒体を折り曲げた際に割れが起こりにくい上、見た目が良好となる。上記の膜厚で薄膜生成する方法としては、例えば塗布方法としてインクジェット法を用いる場合であれば、例えば記録解像度を720dpi×720dpiとしたとき、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の各画素に対してインクを打ち込み、その際、単位面積あたり0.5〜4mg/inch2の打ち込み量でインクの塗布を行えばよい。その際、打ち込み量は被記録媒体の種類などによって調整すればよい。また、塗布方法としてローラー法、ディップ法、スピン法等、他の方法を用いてもよく、その場合は、ローラー条件、ディップ条件、スピン条件等により膜厚を調整すればよい。
なお、本明細書における「膜の厚さ(膜厚)」は、膜における最大の厚さで表されるが、特に記録解像度を720dpi×720dpiとしたときの膜における最大の厚さで表される。また、「膜の厚さ(膜厚)」は硬化後の記録物のものである。
また、吐出時の紫外線硬化型インクの粘度は、15mPa・s以下であることが好ましく、9〜14mPa・sであることがより好ましい。紫外線硬化型インクの粘度が、紫外線硬化型インクの温度を室温(約20℃)として、あるいは、紫外線硬化型インクを加熱しない状態として上記のものであれば、紫外線硬化型インクの温度を室温で、あるいは紫外線硬化型インクを加熱せずに吐出させればよい。一方、紫外線硬化型インクを所定の温度に加熱することによって粘度を好ましいものとして吐出させてもよい。このようにして、良好な吐出安定性が実現される。
本実施形態で用いられる紫外線硬化型インクは、通常のインクジェット記録用インクで使用される水性インクより粘度が高いため、吐出時の温度変動による粘度変動が大きい。かかるインクの粘度変動は、液滴サイズの変化及び液滴吐出速度の変化に対して大きな影響を与え、ひいては画質劣化を引き起こし得る。したがって、吐出時のインクの温度はできるだけ一定に保つことが好ましい。
〔硬化工程〕
次に、上記硬化工程においては、被記録媒体S(図2)上に吐出され付着した紫外線硬化型インクが、光照射部42(図2)からの紫外線(光)の照射によって硬化する。これは、紫外線硬化型インクに含まれる光重合開始剤が紫外線の照射により分解して、ラジカル、酸、及び塩基などの開始種を発生し、重合性化合物の重合反応が、その開始種の機能によって促進されるためである。あるいは、紫外線(光)の照射によって、重合性化合物の重合反応が開始するためである。このとき、紫外線硬化型インクにおいて光重合開始剤と共に増感色素が存在すると、系中の増感色素が活性放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤と接触することによって光重合開始剤の分解を促進させ、より高感度の硬化反応を達成させることができる。
紫外線源(光源)としては、水銀ランプやガス・固体レーザー等が主に利用されており、紫外線硬化型インクの硬化に使用される光源としては、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、及び高圧水銀ランプ等のランプが広く知られている。
その一方で、現在環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。さらに、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザーダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線硬化用光源として好ましい。また、上記のLED及びLDは、入力電流の大きさを制御することによって、照射エネルギーを容易に変更することができる。これらの中でも、UV−LEDがより好ましい。
ここで、発光ピーク波長が、好ましくは350〜420nmの範囲、より好ましくは365〜405nmの範囲にある紫外線である。なお、その際、積算光量(照射エネルギー)は、400mJ/cm2以下が好ましく、300mJ/cm2以下がより好ましく、200mJ/cm2以下がさらに好ましく、50〜200mJ/cm2がさらにより好ましい。
積算光量(照射エネルギー)[mJ/cm2]は、光源から照射される被照射表面における照射強度[mW/cm2]と照射継続時間[s]との積から算出される。積算光量が少ないということは、特に照射強度が小さい場合にはコストの低下につながり、特に照射継続時間が短い場合には印刷速度の増大、すなわち印刷時間の短縮につながる。中でも、商業用の記録装置の場合、印刷時間の短縮が求められるため、本実施形態における紫外線硬化型インクは、商業用印刷の分野で突出した有利な効果を発揮することができる。なお、本明細書における積算光量は、後述の実施例において用いた方法により測定する。
[紫外線硬化型インク]
次に、本実施形態における紫外線硬化型インクに含まれるか、又は所望により含まれ得る添加剤(成分)を説明する。
〔重合性化合物〕
上記紫外線硬化型インクに含まれる重合性化合物は、後述する光重合開始剤の作用により紫外線照射時に重合し、印刷されたインクを硬化させることができる。
(分子中にビニル基及び(メタ)アクリル基を共に有する化合物)
上記紫外線硬化型インクは、下記一般式(I)で表される化合物(以下、「モノマーA」という。)を含む。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
(式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
上記モノマーAは、分子中にビニル基及び(メタ)アクリル基を共に有する化合物であり、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と換言することができる。
紫外線硬化型インクがモノマーAを含有することによる効果として、以下の点を挙げることができる。第一に、紫外線硬化型インクの被記録媒体への親和性に優れるため、少ない打ち込み量であっても充填性を良好なものとすることができるとともにインク塗膜を薄膜化することができる。第二に、一般的に、インク塗膜が薄膜になると酸素阻害の影響を受けて硬化しにくくなるが、モノマーAは酸素阻害の影響を受け難いため、薄膜硬化性に優れる。
上記の一般式(I)において、R2で表される炭素数2〜20の2価の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する炭素数2〜20の置換されていてもよいアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2〜6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、R3で表される炭素数1〜11の1価の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1〜2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記のモノマーAとしては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、低粘度で、引火点が高く、かつ、硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びメタクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルがより好ましい。(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及び(メタ)アクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル及びアクリル酸2−(1−ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。
モノマーAの含有量は特に限られないが、紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対し、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上の範囲であることがより好ましく、10〜70質量%の範囲であることがさらに好ましく、10〜40質量%の範囲であることがさらにより好ましい。含有量が上記範囲内であると、充填性及び硬化性に優れる。
モノマーAの製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法I)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法J)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態において所望の効果を一層発揮することができるため、製法Fが好ましい。
(モノマーB)
上記紫外線硬化型インクは、上記のモノマーAに加えて、下記一般式(II)で表される化合物(以下、「モノマーB」とも言う。)を含む。
CH2=CR4−COOR5−O−R6・・・(II)
(式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
上記の一般式(II)において、R5で表される炭素数1〜5の2価の有機残基としては、炭素数1〜5の直鎖状、分枝状又は環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキレン基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数1〜5のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数1〜5のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(II)において、R6はフェニル基であって、当該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。置換されている場合、アルキル基又はアルコキシ基は、炭素数1〜9のアルキル基又はアルコキシ基が好適に用いられる。
上記の有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基等が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
モノマーBの具体例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレートが、添加剤の溶解性、硬化性に特に優れており、特に、フェノキシエチルアクリレートが優れている。
紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対するモノマーBの含有量は、5〜50質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。含有量が上記範囲内であると、添加剤の溶解性、吐出安定性、及び硬化性に優れる。
上記の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(モノマーA及びモノマーB以外の重合性化合物)
また、上記モノマーA及びモノマーB以外に、従来公知の、単官能、2官能、及び3官能以上の多官能といった種々のモノマー及びオリゴマーも使用可能である(以下、「その他の重合性化合物」という。)。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩又はエステル、ウレタン、アミド及びその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、並びに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、他の単官能モノマーや多官能モノマーとして、N−ビニル化合物を含んでいてもよい。N−ビニル化合物としては、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、及びアクリロイルモルホリン、並びにそれらの誘導体などが挙げられる。
その他の重合性化合物のうち、(メタ)アクリル酸のエステル、即ち(メタ)アクリレートが好ましい。
上記(メタ)アクリレートのうち、単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記(メタ)アクリレートのうち、2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られるアクリル化アミン化合物が挙げられる。
上記(メタ)アクリレートのうち、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、これらの中でも、その他の重合性化合物は単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。この場合、紫外線硬化型インクが低粘度となり、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性に優れる。さらにインク塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性が増すため、単官能(メタ)アクリレートと2官能(メタ)アクリレートとを併用することがより好ましい。具体例として、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく挙げられ、フェノキシエチルアクリレート及びジプロピレングリコールジアクリレートがより好ましく挙げられる。
さらに、上記単官能(メタ)アクリレートは、芳香環骨格、飽和脂環骨格、及び不飽和脂環骨格からなる群より選択される1種以上の骨格を有することが好ましい。上記その他の重合性化合物が上記骨格を有する単官能(メタ)アクリレートであることにより、紫外線硬化型インクの粘度を低下させることができる。
芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、不飽和脂環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとして、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマーA及びモノマーB以外の重合性化合物の含有量は、紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対し、好ましくは10〜80質量%である。含有量が上記範囲内であると、添加剤の溶解性に優れ、かつ、インク塗膜の強靭性、耐熱性、及び耐薬品性に優れる。
〔光重合開始剤〕
上記紫外線硬化型インクは、光重合開始剤を含む。この光重合開始剤は、紫外線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字などの画像を形成するために用いられる。また、光源として紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、且つ光源ランプのコストを抑えることができる。光(紫外線)のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、及びアルキルアミン化合物が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド化合物及びチオキサントン化合物が好ましく、特に、アシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
(アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤)
上記光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤(以下、単に「アシルフォスフィンオキサイド」ともいう。)を含有することが好ましい。これにより、インクの硬化性に一層優れたものとなる。
このアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2、4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、及びCGI 403(ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
また、上記のアシルフォスフィンオキサイドは、モノアシルフォスフィンオキサイドを含むことが好ましい。これにより、光重合開始剤が十分に溶解して硬化が十分に進行するとともに、インクの硬化性に優れる。
このモノアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリエチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリフェニルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドであることが好ましい。
モノアシルフォスフィンオキサイドの市販品としては、例えば、DAROCUR TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)が挙げられる。
上記光重合開始剤は、重合性化合物への溶解性及びインク塗膜の内部硬化性に優れるため、モノアシルフォスフィンオキサイドであるか、又は、モノアシルフォスフィンオキサイドとビスアシルフォスフィンオキサイドとの混合物であることが好ましい。
なお、上記のビスアシルフォスフィンオキサイドとして、特に限定されないが、例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドが挙げられる。これらの中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドであることが好ましい。
アシルフォスフィンオキサイドの含有量は、紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対し、8質量%以上の範囲が好ましく、8〜12質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に一層優れたものとなる。
(チオキサントン系光重合開始剤)
上記光重合開始剤は、チオキサントン系光重合開始剤(以下、単に「チオキサントン」ともいう。)を含んでもよい。これにより、インクの硬化性に一層優れたものとなる。
チオキサントンの中でも、アシルフォスフィンオキサイドへの増感効果、重合性化合物に対する溶解性、及び安全性に優れるため、2,4−ジエチルチオキサントンが好ましい。
チオキサントンの市販品としては、例えば、KAYACURE DETX−S(2,4−ジエチルチオキサントン)(日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製商品名)ITX(BASF社製)、Quantacure CTX(Aceto Chemical社製)が挙げられる。
チオキサントンの含有量は、紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対し、1質量%以上の範囲が好ましく、1〜3質量%の範囲がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性に一層優れたものとなる。
〔蛍光増白剤(増感剤)〕
上記紫外線硬化型インクは、蛍光増白剤(増感剤)をさらに含んでもよい。紫外線硬化型インクが蛍光増白剤を含むと、硬化性が一層優れたものになる。蛍光増白剤は、特に限定されないが、ナフタレンベンゾキサゾール誘導体、チオフェンベンゾキサゾール誘導体、スチルベンベンゾキサゾール誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチリル誘導体、ビス(ベンザゾール−2−イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド、ジベンゾチオフェン−5,5’−ジオキサイドの誘導体、ピレン誘導体、及びピリドトリアゾールが挙げられる。
蛍光増白剤の具体例として、Hostalux KCB,KVC,KS,KS−N,KS−C,KSB,KSB−2,KCU,KM−N,NSM,SNR,NR,N2R−200、Leukopur EGM(以上、Clariant GmbH製)、UVITEX OB,OB−C,OB−P(以上、BASF社製)、Kayalight B,OS,OSN(以上、日本化薬社製)、Hakkol P,OB(以上、昭和化学工業社製)、Whitefluor B,PSN,HCS,PHR,PCS(以上、住化カラー社製)、NIKKAFLUOR RP,2R,SB,KB,EFS,OB、SC 200,MC(以上、日本化学工業所製)が挙げられる。
蛍光増白剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、蛍光増白剤は、インクの総質量(100質量%)に対し、0.10〜0.75質量%含まれることが好ましく、0.25〜0.50質量%含まれることがより好ましい。含有量が上記範囲内であると、インクへの溶解性が良好となる。
〔色材〕
上記紫外線硬化型インクは、色材をさらに含んでもよい。色材は、顔料及び染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
(顔料)
上記色材として顔料を用いることにより、紫外線硬化型インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック 7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しくは、ブラックインクとして使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製商品名)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製商品名)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製商品名)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4、Special Black 250等(以上、デグッサ(Degussa)社製商品名)が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。また、ホワイト顔料として使用可能な金属原子含有化合物も用いることができ、例えば、従来から白色顔料として用いられている金属酸化物、硫酸バリウムや炭酸カルシウムが挙げられる。上記の金属酸化物としては、特に制限されないが、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,167,172,180が挙げられる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,144,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245,又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19,23,32,33,36,38,43,50が挙げられる。C.I.ピグメントレッドの市販品として、CINQUASIA MAGENTA RT−355D(BASF社製商品名、C.I.ピグメントレッド 122)等が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66,又はC.I.バットブルー 4,60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン及びイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、又はC.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26,又はC.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は2μm以下が好ましく、30〜300nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、紫外線硬化型インクにおける吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
(染料)
上記色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、良好な発色性を有し、色材自身の光吸収によるインク塗膜の硬化阻害を低減できるため、紫外線硬化型インクの総質量(100質量%)に対して、2〜25質量%の範囲が好ましい。なお、上記紫外線硬化型インクは、色材を含まないか又は0.1質量%以下だけ含有するクリアインクとしてもよい。クリアインクは、記録物の光沢性を調整したり、記録物の保護膜としたりするために用いるインクである。
〔分散剤〕
上記紫外線硬化型インクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミン系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。
高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ(商品名)、ルーブリゾール社(Lubrizol Corporation)から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse 36000等、商品名)、BYKChemie社製のディスパービックシリーズ(商品名)、楠本化成社製のディスパロンシリーズ(商品名)が挙げられる。
〔ポリエーテル変性シリコーン〕
上記紫外線硬化型インクは、レベリング剤として、ポリエーテル変性シリコーン(ポリエーテル変性シリコーンオイル)を含有する。ポリエーテル変性シリコーンオイルを含有することで、充填性がさらに向上する。ポリエーテル変性シリコーンは、HLBが5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
HLBが5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンオイルとモノマーAとを組み合わせて使用することにより、特に、非吸収性被記録媒体に対するインクの濡れ性を良好なものとし、インクのハジキを防止することができる。また、インクを重ね塗りした際の滲みも防止することができる。
ここで、HLBとは、Hydrophile−lipophile balance(親水親油バランス)の略称であり、界面活性剤の分子内における親水基と親油基のつり合いを示す指標である。上記HLBは、グリフィン法より算出された値とする。
ポリエーテル変性シリコーンオイルのHLBは、上記のとおり5〜12の範囲が好ましく、より好ましくは5〜10の範囲、さらに好ましくは5〜8の範囲である。上記範囲内であると、インクへの溶解性及び濡れ性に優れる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとは、シリコーンオイルの側鎖及び末端のうち少なくともいずれかにポリエーテル基を導入したものである。前記末端は、片末端及び両末端を共に含む。このうち、シリコーンオイルの両末端にポリエーテル基が導入されるパターンとして、例えば、変性シリコーンオイルがABA型ポリマーの場合に両末端の「A」としてそれぞれポリエーテル基が導入されるパターン、並びに変性シリコーンオイルが(AB)n型ポリマーの場合に両端及び繰り返し構造中の「A」としてそれぞれポリエーテル基が導入されるパターンが挙げられる。
また、シリコーンオイルは、シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーによって構成される。シロキサン結合からなる直鎖状ポリマーとしては、側鎖の全てと両末端又は片末端とがメチル基であるもの、側鎖の一部がフェニル基であるもの、及び側鎖の一部が水素原子であるものが挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、側鎖にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)、片末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「片末端ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)、両末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル(以下、「両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル」ともいう。)が挙げられる。なお、側鎖及び片末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイル、並びに側鎖及び両末端にポリエーテル基を導入したポリエーテル変性シリコーンオイルは、側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイルに含むものとする。
これらの中でも、被記録媒体への濡れ性が優れるため、片末端ポリエーテル変性シリコーンオイル又は両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
片末端ポリエーテル変性シリコーンオイル(片末端変性タイプ)の市販品としては、FZ−2191(HLB5)、FZ−2166(HLB5)、FZ−2154(HLB6)、FZ−2120(HLB6)、L−720(HLB7)、SH 8700(HLB7)、L−7002(HLB7)、L−7001(HLB7)、SF 8410(HLB7)、FZ−2123(HLB8)、SH 8400(HLB8)、FZ−2164(HLB8)、FZ−77(HLB10)、FZ−2105(HLB11)(以上、東レダウコーニング社(Dow Corning Toray Co., Ltd.)製商品名)、SILWET L−720(HLB9〜12)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(Momentive Performance Materials Japan)社製商品名)が挙げられる。
両末端ポリエーテル変性シリコーンオイル(両末端変性タイプ)の市販品としては、FZ−2208(HLB7)(東レダウコーニング社製商品名、(AB)n型ポリマー)、SILWET L−8500(HLB5〜8)、SILWET L−8610(HLB5〜8)、SILWET L−8620(HLB5〜8)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製商品名、ABA型ポリマー)、BYK−UV3500(HLB11)(ビックケミー・ジャパン(BYK-Chemie)社製商品名、アクリロイル基変性、ABA型ポリマー)が挙げられる。
側鎖ポリエーテル変性シリコーンオイル(側鎖変性タイプ)の市販品としては、SILWET L−77(HLB5〜8)、SILWET L−7280(HLB5〜8)、SILWET L−7608(HLB5〜8)、SILWET L−7001(HLB9〜12)、SILWET L−7002(HLB9〜12)、SILWET L−7087(HLB9〜12)、SILWET L−7210(HLB5〜8)、SILWET L−7220(HLB5〜8)、SILWET L−7230(HLB9〜12)、SILWET L−(HLB)、SILWET L−7500(HLB5〜8)、SILWET L−7510(HLB5〜8)、SILWET L−7602(HLB5〜8)、SILWET L−7622(HLB5〜8)、SILWET L−7650(HLB5〜8)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製商品名)、BYK−UV3510(ビックケミー・ジャパン社製商品名)が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの市販品としては、他に、BYK−300、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−377(以上、ビックケミー・ジャパン社製商品名)等を用いてもよい。
また、ポリエーテル変性シリコーンオイルを塗膜中に固定できるため、ポリエーテル変性シリコーンオイルは、アクリロイル基(アクリル基)を有するものであると好ましく、ポリエーテル変性アクリル基を有するものであるとより好ましい。このようなポリエーテル変性シリコーンオイルの市販品として、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンオイルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエーテル変性シリコーンオイルの含有量は、インク組成物の総質量(100質量%)に対し、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.3〜2.5質量%、さらに好ましくは0.3〜1質量%である。含有量が上記範囲内であると、紫外線硬化型インクの表面張力が低下し、非吸収性被記録媒体へ対する優れた濡れ性が維持でき、かつ、インクの密着性にも優れる。
〔重合禁止剤〕
上記紫外線硬化型インクは、紫外線硬化型インクの保存安定性を良好なものとするため、重合禁止剤をさらに含んでもよい。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、IRGASTAB UV10及びUV22(BASF社製商品名)、ハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、P−メトキシフェノール(MEPH)(以上、関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC)製商品名)などを用いることができる。
〔その他の添加剤〕
上記紫外線硬化型インクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、及び湿潤剤(保湿剤)、並びにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、及び増粘剤が挙げられる。
〔紫外線硬化型インクの物性〕
上記紫外線硬化型インクは、20℃での粘度が30mPa・s以下であることが好ましく、20mPa・s以下であることがより好ましい。粘度が上記範囲内であると、吐出安定性に優れる。なお、本明細書における粘度は、DKSHジャパン社(DKSH Japan K.K.)製のレオメーターMCR300を用いて測定した値である。
[被記録媒体]
被記録媒体Sとは、本実施形態における紫外線硬化型インクが、上述の記録方法を利用して吐出される対象物のことをいう。この被記録媒体Sとしては、特に限定はされないが、紫外線硬化型インクの接触角が30°以下となるようなものが挙げられる。例えば、インク成分に対して非吸収性又は低吸収性の被記録媒体として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、及び塩化ビニル(塩ビ)が挙げられる。また、インク成分に対して吸収性を有する被記録媒体として、各種の紙や布帛などを使用してもよい。また、被記録媒体の被記録面には、各種の表面処理が施されていてもよい。
なお、上記の被記録媒体Sの中でも、インク組成との関係で、当該接触角が30°以下となるものが好ましい。
上記の被記録媒体Sとして、例えば、吸収性又は非吸収性の被記録媒体が挙げられる。下記実施形態の記録方法は、水性インクの浸透が困難な非吸収性被記録媒体から、水性インクの浸透が容易な吸収性被記録媒体まで、様々な吸収性能を持つ被記録媒体に幅広く適用できる。ただし、揮発性の溶剤(例えば、水や有機溶剤)を含有する紫外線硬化型インクを用いる場合は、乾燥工程を設けること等が好ましい。
吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(シリカ粒子やアルミナ粒子から構成されたインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーから構成されたインク吸収層を備えたインクジェット専用紙)、水性インクの浸透性が比較的低い一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
非吸収性被記録媒体としては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、又はそれら各種金属を蒸着により製造した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鋳等の合金のプレート等が挙げられる。
このように、本実施形態によれば、被記録媒体上にインクの薄膜を形成することができ、かつ、当該薄膜での充填性及び硬化性に優れた、紫外線硬化型インクの記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を実施例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[使用材料]
下記の実施例及び比較例において使用した材料は、以下の通りである。
〔重合性化合物〕
・VEEA(アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、日本触媒社(Nippon Shokubai Co., Ltd.)製商品名)
・ビスコート#192(フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学社(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.)製商品名。)
・SR508(ジプロピレングリコールジアクリレート、サートマー社製商品名)
・A−9300(エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、新中村化学工業社製商品名)
〔重合禁止剤〕
・MEPH(p−メトキシフェノール、関東化学社製)
〔レベリング剤〕
・SILWET L−720(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製商品名、HLB9〜12、シリコーンオイル、片末端にポリエーテル基有り、表1及び表2ではL720と略記した。)
・SILWET L−8610(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製商品名、HLB5〜8、シリコーンオイル、両末端にポリエーテル基有り、表1及び表2ではL8610と略記した。)
・BYK−UV3500(BYK社製商品名、HLB11、シリコーンオイル、両末端にポリエーテル基有り、表1及び表2ではUV3500と略記した。)
・FZ2207(東レダウコーニング社製商品名、HLB3、シリコーンオイル、両末端にポリエーテル基有り、表1ではFZ2207と略記した。)
・SILWET L−8600(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製商品名、HLB13〜17、シリコーンオイル、両末端にポリエーテル基有り、表1及び表2ではL8600と略記した。)
・FZ2105(東レダウコーニング社製商品名、HLB11、シリコーンオイル、側鎖にポリエーテル基有り、表1及び表2ではFZ2105と略記した。)
・ダイノール604(エアープロダクツジャパン社製商品名、HLB8、アセチレンジオール)
・FC4432(3M社(3M Company)製商品名、フッ素系界面活性剤)
なお、上記のSILWET L−720は1つの末端に3つのポリエーテルが結合した構造をとっていることから、片末端ポリエーテル変性シリコーンオイルである。上記のFZ2207は、(AB)n型のポリエーテル変性シリコーンオイルであり、両末端ポリエーテル変性シリコーンオイルである。上記のFZ2105は、その変性のタイプが側鎖型である。
〔光重合開始剤〕
・IRGACURE 819(BASF社製商品名、表1では「819」と略記した。)
・DAROCUR TPO(BASF社製商品名、表1では「TPO」と略記した。)
〔蛍光増白剤〕
・Hostalux KCB(クラリアント・ジャパン社製商品名、固形分100%)
[実施例1〜14、比較例1〜6]
下記表1、表2に記載された成分を、各表に記載の組成(単位:質量%)となるように混合し、これを高速水冷式撹拌機により撹拌することにより、クリアインクである各紫外線硬化型インクを得た。なお、表1、表2の空白部分は無添加を意味する。
図1及び図2に示した上記のラインプリンターを用いて、上記で得られた各紫外線硬化型インクを上記の各被記録媒体上に印刷し硬化させた。まず、直線状に搬送するように構成された搬送部のテーブル上に、上記の各被記録媒体を搬送させ、途中でインクジェットヘッドから上記で得られたインクを吐出して印刷した。さらに照射機の下を通して、インクの付着(着弾)した被記録媒体に紫外線を照射してインクを硬化させることで、記録解像度を720dpi×720dpiのベタパターン画像及びラインパターン画像を形成した。なお、このベタパターン画像は、記録解像度で規定される最小記録単位領域である画素の全ての画素に対してドットを記録した画像である。また、ラインパターン画像は、720dpiの1ドットライン(1画素列)の全ての画素に対してドットを記録した画像である。
照射機として395nmにピーク波長を有するLED Fireflyを用い、その照射強度を1,000mW/cm2として、紫外線硬化型インクを硬化させた。上記被記録媒体中、1インチ×1インチのサイズ(ベタパターン画像)で画像を形成した。なお、被記録媒体への照射時間を変えて、エネルギー量を調整した。
〔評価項目〕
(1.インクの溶解性)
上記の紫外線硬化型インク組成物の濁り具合を目視で判定した。評価基準は下記のとおりである。評価結果を表3に示す。
A:インク組成の成分が完全に溶解した(透明になった)。
B:開始剤や重合禁止剤などが溶解し難く、溶解に長時間を要した。
C:レベリング剤が完全に相溶せず分離が見られた。
(2.インクの充填性)
1ドット(1画素)に対するインク量を7ngとして上記のラインパターン画像(硬化膜)を形成した、被記録媒体はPET50A(リンテック社製)を用いた。得られた線の幅を測定した。評価基準は下記のとおりである。線幅が大きいほどインクの充填性に優れるが、評価基準のうちB以上が好ましい。評価結果を表3に示す。
A:70μm以上。
B:65μm以上70μm未満。
C:60μm以上65μm未満。
D:60μm未満。
(3.吐出安定性)
インクジェットプリンターを用いて、解像度720dpi×720dpi、インク組成物の液滴重量10ngの条件で、PETフィルムに対してベタパターン画像とする印刷を48時間連続で行った。このときのドット抜け、飛行曲がり、インクの飛散の発生を目視により観察した。評価基準は下記のとおりである。発生回数が少ないほど吐出安定性に優れているが、評価基準のうちB以上が好ましい。評価結果を表3に示す。
A:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が50回未満であった。
B:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が50回以上75回未満であった。
C:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が75回以上100回未満であった。
D:ドット抜け、飛行曲がり、又はインクの飛散の発生が100回以上であった。
(4.薄膜硬化性)
被記録媒体(#125−E20、東レ社製)に、膜厚5μmとなるよう、解像度720dpi×720dpiのベタパターン画像を作成した。ベタパターン画像の硬化工程において、ジョンソン綿棒(ジョンソンエンドジョンソン社製)で100gの荷重を加えてパターンを擦って擦過痕がつかなくなる時点での積算光量(照射エネルギー量)を測定した。積算光量は、積算光量計UM−10及び受光部UM−40(コニカミノルタセンシング社(Konica Minolta Holdings, Inc.)製商品名)によって、照度×照射時間により求めた。
評価基準は下記のとおりである。積算光量が少ないほど硬化性に優れているが、C以上が好ましい。評価結果を表3に示す。
A:積算光量が200mJ/cm2以下。
B:積算光量が200mJ/cm2超300mJ/cm2以下。
C:積算光量が300mJ/cm2超400mJ/cm2以下。
D:積算光量が400mJ/cm2超。
(5.厚膜硬化性)
上記のベタパターン画像(硬化膜)の膜厚を10μmとなるようにした点以外は、薄膜硬化性評価と同じ方法と評価基準にて硬化性評価を行った。
上記の表1〜表3より、以下の知見が得られた。モノマーA、フェノキシエチル(メタ)アクリレートをインク組成物中に5〜50質量%、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンオイル、光重合開始剤を含む紫外線硬化型インクである実施例1〜15の場合、充填性、開始剤溶解性、及び薄膜硬化性に優れていることが分かった。一方、モノマーAを含まない紫外線硬化型インクである比較例2は、特に薄膜における硬化性が劣った。また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを含まない紫外線硬化型インクである比較例1は、光重合開始剤の溶解性に劣り、このため、吐出安定性が低下したと考えられる。また、HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンオイルを含まない紫外線硬化型インクである比較例3〜6は、溶解性、吐出安定性、充填性のうちの少なくともいずれかが劣った。また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートをインク組成物中に5質量%含む実施例14は、吐出安定性が若干劣り、吐出安定性が若干劣った原因として、使用中に、開始剤の析出が起こった可能性が考えられ、フェノキシエチル(メタ)アクリレートは、インク組成物中に5質量%含むことが好ましく10質量%以上含むことがより好ましいと考えられる。
1…プリンター、20…搬送ユニット、23A…上流側搬送ローラー、23B…下流側搬送ローラー、24…ベルト、30…ヘッドユニット、40…照射ユニット、42…光照射部、50…検出器群、60…コントローラー、61…インターフェイス部、62…CPU、63…メモリー、64…ユニット制御回路、110…コンピューター、COLOR…カラーインクヘッド、S…被記録媒体。

Claims (7)

  1. 紫外線硬化型インクであって、
    下記一般式(I):
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表されるモノマーAと、
    該インクの総質量に対して5質量%以上50質量%以下の、下記一般式(II):
    CH2=CR4−COOR5−O−R6 ・・・(II)
    (式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
    で表される化合物と、
    HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンと、光重合開始剤と、を含有する、紫外線硬化型インク。
  2. 前記モノマーAの含有量が、該インクの総質量に対して5質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載の紫外線硬化型インク。
  3. 前記モノマーAがアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルである、請求項1又は2に記載の紫外線硬化型インク。
  4. 前記ポリエーテル変性シリコーンの含有量は、該インクの総質量に対して0.05質量%以上5質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク。
  5. 前記ポリエーテル変性シリコーンは、シリコーンの片末端又は両末端にポリエーテル基が導入されたものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク。
  6. 前記光重合開始剤は、該インクの総質量に対して8質量%以上のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の紫外線硬化型インク。
  7. 紫外線硬化型インクの記録方法であって、
    下記一般式(I):
    CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(I)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数2〜20の2価の有機残基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜11の1価の有機残基である。)
    で表されるモノマーAと、
    該インクの総質量に対して5質量%以上50質量%以下の、下記一般式(II):
    CH2=CR4−COOR5−O−R6 ・・・(II)
    (式中、R4は水素原子又はメチル基であり、R5は炭素数1〜5の2価の有機残基であり、R6はフェニル基であって、該フェニル基の水素の1個以上が独立してアルキル基又はアルコキシ基によって置換されていてもよい。)
    で表される化合物と、
    HLB値が5〜12の範囲であるポリエーテル変性シリコーンと、光重合開始剤と、を含有する紫外線硬化型インクを、被記録媒体に塗布し、塗布した前記紫外線硬化型インクに対して紫外線の照射により前記紫外線硬化型インクを硬化させて、前記被記録媒体上に膜厚5μm以下の硬化膜を形成することを含む、紫外線硬化型インクの記録方法。
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