JP2008050590A - 電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルム - Google Patents

電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルム Download PDF

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尚史 辻野
Nobuhiko Saito
允彦 齊藤
Hiroaki Hasegawa
裕彰 長谷川
Shigeru Oka
茂 岡
Nobuhiro Kobayashi
信弘 小林
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Abstract

【課題】従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の改善点を克服し、速硬化性、低エネルギー照射による良好な硬化性、高安定性、低粘性及びなじみ性を有し、粘着剤、接着剤、塗料、インク等の各種用途へ応用することができる電子線硬化性樹脂組成物、これを硬化させて形成した積層体、及び、積層体から構成される粘着シート又は粘着フィルムを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤とを含有する電子線硬化性樹脂組成物であって、上記反応性希釈剤は、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須とすることを特徴とする電子線硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子線硬化性樹脂組成物、好ましくは表面保護フィルム用電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルムに関する。より詳しくは電子線の照射により硬化可能であり、硬化物は粘着剤、接着剤等の用途に、特に表面保護フィルム用途に好適に用いることができる電子線硬化性樹脂組成物、これを硬化させて形成した積層体、及び、積層体から構成される粘着シート又は粘着フィルムに関する。
紫外線、電子線等の活性エネルギー線照射により硬化する組成物(硬化性組成物)及びその硬化技術において、従来の有機溶剤を用いずに、反応性希釈剤を用いる無溶剤系硬化性組成物が注目されている。特に電子線(Electron Beam:EB)硬化技術は、省エネルギー、省スペース及び硬化時間の短縮化等の利点を有しており、印刷・コーティング、塗装、接着、架橋、殺菌・滅菌等その利用範囲が拡大している(例えば、非特許文献1、2及び3参照。)。
ところで、EB硬化方式は、UV硬化方式に比べて、以下に示すような優れた特徴を有している。EBは、光エネルギーと比較してエネルギーが飛躍的に高く、塗膜の透明性や膜厚に影響されずに硬化反応がよく進行するため、硬化塗膜は優れた性質を示す。例えば、EB硬化性材料では、UV硬化では不可欠な光重合開始剤や増感剤の添加は不要である。
従って、EB硬化方式では、UV硬化方式の場合のような硬化塗膜からの未反応の光重合開始剤が残留しない。更に、EB硬化技術においては、多官能反応性オリゴマーや重合性モノマー類として、アクリレート類よりも優れた性質を有するメタクリレート類も使用することができる。また、オリゴマー類の紙やプラスチック基材へのグラフト重合等も進行するため、UV硬化方式と比較すると基材に対して優れた接着性を示すことも知られている。
従来の活性化エネルギー線の照射により硬化する従来の硬化性組成物としては、例えば、分子内に少なくとも一つ以上の(メタ)アクリロイル基と少なくとも一つ以上のビニルエーテル基を有するビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含んでなる被覆用硬化型組成物が挙げられる(例えば、特許文献1参照。)。これは、数μmの薄膜でも、硬化時の酸素による硬化阻害がなく、硬化性や塗膜の耐擦傷性や耐溶剤性を有するものであると記載されている。また、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基と少なくとも一つ以上のビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を含有する放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる(例えば、特許文献2参照。)。これは、速硬化性と低黄変性を両立することができるものであると記載されている。
しかしながら、実際には、このような組成物を活性エネルギー照射により硬化する場合に、充分な硬化速度が得られるものではなかった。特にアクリレート系モノマー及びオリゴマーは薄膜にした場合、空気中の酸素による硬化阻害を受けるため表面のべたつきを完全に無くするまでにはかなり長時間の活性エネルギー線の照射が必要である。また、これらの樹脂組成物のエネルギー線硬化物を粘着剤とした場合、特に架橋構造の導入によりポリマーに高架橋密度を与え、再剥離型粘着性能を与える場合には、長時間のエネルギー線の照射が必要であった。
一方、硬化性樹脂組成物の構成成分のうち、樹脂組成物の低粘度化、接着性の向上等の目的で使用される重合性モノマーは、反応性希釈剤と称され、多種多様な重合性モノマーが開発されている。これまでに開発された反応性希釈剤としては、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルを含んでなるものが挙げられる(例えば、特許文献3参照。)。また、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基含有重合性化合物を含んでなるものも挙げられる(例えば、特許文献4参照。)。これらの反応性希釈剤は、基材との密着性が優れるものであると記載されているが、これらの技術においても、環境に対する負荷が低減され、しかも硬化物の形成に適した低粘度、及び、紫外線・電子線等の活性エネルギー線による充分な速硬化性が発現されるようにすることにより、硬化性組成物を各種の用途に、特に表面保護フィルムの用途に好適に適用することができるように工夫する余地があった。
ところで、表面保護フィルムは、近年、光学フィルムの表面を保護するためのフィルム・シートの需要が急増し、製品開発が行われている。例えば、液晶ディスプレイを構成する偏光板、位相差板、輝度向上フィルムや、プラズマディスプレイを構成するARフィルム、電磁波シールドフィルム、IRカットフィルム等の光学フィルム、これらの積層フィルムに対して表面保護フィルムが使用されている。これによって、各種光学フィルムやディスプレイの作製、加工、検査、保管、輸送等において、傷、汚れ等が付くことが防止されている。また光学用途以外においても、各種基材に対して、例えば、窓ガラス、家具、車等の製品に対して使用されている。これら表面保護フィルム・シートは、光学用途にしてもその他の各種基材に対する用途にしても、大きな面積に対して貼り付けられ、最終的には剥がされることになる。したがって、剥離作業を効率的にかつ容易に行えるようにすることが求められるところである。また表面保護フィルム・シートを貼り付ける際に従来であれば粘着面に付けられているセパレータを取り除きながら行われることになるが、環境問題等に関連して廃棄物削減・コスト削減の要望から、このようなセパレータを無くすことが求められるところである。
特開2004−277570号公報(第1−2頁) 特開2005−60631号公報(第1−2頁) 特開2003−48928号公報(第1−2頁) 特許第3544658号明細書(第1−2頁) 永井幸弘著、「接着の技術」、第24巻、1号、2004年発行、p.55−59 鷲尾方一著、「UV・EB硬化材料の開発」、(株)シーエムシー発行、p.25−29 越智雅文、「コーティング―EB硬化装置について―」、加工技術研究会、p.208〜217
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の改善点を克服し、速硬化性、低エネルギー照射による良好な硬化性、高安定性、粘着特性及びフィルム基材等へのなじみ性を有し、粘着剤、接着剤、塗料、インク等の各種用途へ応用することができ、また表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料としたときに、高速剥離性が良好で、ジッピングを起こさず、貼り付け後、加熱しても浮きやハガレ等が起こらず、剥離後に被着体が汚染されにくく、剥離速度による剥離力の変化が少なく、耐久性がある電子線硬化性樹脂組成物、特に表面保護フィルム用として有用である電子線硬化性樹脂組成物、これを硬化させて形成した積層体、及び、積層体から構成される粘着シート又は粘着フィルムを提供することを目的とするものである。
なお、表面保護フィルムに関しては、フィルム・シートを使用した後の剥離作業が通常では手作業で行われ、比較的高速で行われることになるが、この剥離作業を効率的にかつ容易に行うために、高速剥離においても剥離に要する力(剥離力)が小さく、かつ剥離速度による剥離力の変化の小さい表面保護シートが求められることになる。また表面保護フィルム・シートを貼り付ける際に従来であれば粘着面に付けられているセパレータを取り除きながら行われることになるが、環境問題等に関連して廃棄物削減・コスト削減の要望から、粘着面にセパレータの無い、いわゆるセパレータフリーの表面保護フィルム・シートが求められることになる。本発明は、これらの要求を満たすことができる表面保護フィルム・シートを提供することを目的とするものでもある。
本発明者等は、各種の用途に好適に適用することができる電子線硬化性樹脂組成物について、特に表面保護フィルム用として適用し得る電子線硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、(メタ)アクリル系重合体と特定の化合物を必須とする反応性希釈剤とを含有する電子線硬化性樹脂組成物とすると、硬化物の形成に適した低粘度と低エネルギーで充分な速硬化性を有することを見いだした。また、低エネルギーで硬化が進行することから、基材へのダメージが少なくすることができることも見いだし、更なる検討の結果、当該硬化性樹脂組成物は、各種基材の表面保護フィルム、特に液晶ディスプレイに使用される偏光フィルム、位相差フィルム、EMI(電磁波)シールドフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム等の種々の機能を有する光学用フィルム(光学部材)の表面保護フィルム、すなわち、光学部材の製造工程で使用する表面保護フィルム等に要求される物性において、良好な物性を発現することが明らかになった。以上のように、上記課題の全てをみごとに解決することができることに想到した。
また(1)未反応モノマーの低減、(2)表面保護フィルム用途での最適な配合を見いだしたものである。(1)未反応モノマーの低減については、粘着剤用途の組成について、ベースポリマー(粘着性ポリマー)である(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤との組み合わせについて検討を行ったものである。反応性希釈剤としては、特にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類とN−ビニルピロリドン(NVP)との組み合わせを中心に検討を行った。その結果、反応性希釈剤にビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を用いることに加えて、N−ビニルピロリドン(NVP)を併用することによって、未反応のガラス転移温度が低い単官能性単量体を効果的に低減できることを見いだした。ガラス転移温度が低い単官能性単量体は、粘着作用を発揮させて粘着力を増すために配合されるものであり、これが低減されるということは、フィルム・シートとするときの硬化性に影響することになる。なお、未反応のガラス転移温度が低い単官能性単量体は、フィルム・シートを可塑化させることになる。(2)表面保護フィルム用途での最適な配合については、表面保護フィルム用粘着剤には、(i)再剥離性、(ii)基材フィルムへのなじみ性が要求される。一般に粘着剤の粘着力を弱めて再剥離性をだすためには、粘着剤を高度に架橋させて流動性を抑制する方法などが知られている。しかし、架橋密度が高すぎるとなじみ性は悪くなる傾向を示し、両方の物性はトレードオフの関係にある。従来の技術においては、両方の物性をバランスさせることは難しく、実用的に充分であるといえるほど実現されていなかった。(i)再剥離性、(ii)なじみ性とをバランスさせ、両者ともに高い性能を発揮させることは、各種基材に対する表面保護フィルム、特に光学フィルム用の表面保護フィルムの技術にとって重要なことであり、これが各種工業製品、特にディスプレイ等の工業製品の生産効率やコストに与える影響を考えると、近年ではきわめて重要な技術であるといえる。本発明は、電子線硬化性樹脂組成物での両物性をバランスさせた最適な配合を実現することを可能とするものであり、表面保護フィルムを必要とする各種工業製品の生産に大きな影響を与え得るものである。
なお、一般的にいえば、表面保護フィルムにおいて剥離速度が速くなるほど、剥離に要する力(剥離力)が大きくなる。そのため、従来においては、剥離の作業効率や基材の損傷・汚染等に対する問題、また滑らかに剥離することなくバリバリという音を発するいわゆるジッピングと呼ばれる現象を解決することが求められていた。逆に、剥離力を小さくすると、作業中や製品の組み立て、保管、輸送等において浮きやハガレを生じるといった問題が起こる。本発明は、表面保護フィルムに関しては、高速剥離時においても剥離力が小さく、かつ剥離速度による剥離力の変化が小さく、しかも浮きやハガレ等が起こりにくく耐久性があり、ジッピングや剥離後の被着体に対する汚染といった従来技術における問題を解消することができるものである。したがって、各種基材に対して表面保護フィルムを用いる生産・保管・輸送等の工程において、特に光学フィルム・シート用の表面保護フィルム・シートを用いる工程において効率化等に有効なものである。また廃棄物削減・コスト削減に関連して、いわゆるセパレータフリーの表面保護フィルム・シートを実現することができるものである。
本発明は、(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤とを含有する電子線硬化性樹脂組成物であって、上記反応性希釈剤は、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須とする電子線硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物に含まれる反応性希釈剤は、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須とするものである。すなわち、上記反応性希釈剤は、下記一般式(1);
CH=CR−COO−R−O−CH=CH−R (1)
(式中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数2〜20の有機残基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜11の有機残基を表す。)で表されるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を含んでなるものである。本発明の反応性希釈剤成分として用いられるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類は、上記一般式(1)で表される化合物であればよく、式中のRで示される置換基が水素原子又はメチル基であり、Rで示される置換基が炭素数2〜20の有機残基であり、Rで示される置換基が水素原子又は炭素数1〜11の有機残基である。このようなビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)中のRで示される炭素数2〜20の有機残基としては、炭素数2〜20の直鎖状、分枝状又は環状のアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合により酸素原子を有する炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、炭素数2〜6のアルキレン基、構造中にエーテル結合により酸素原子を有する炭素数2〜9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記一般式(1)中のRで示される炭素数1〜11の有機残基としては、炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基、炭素数6〜11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、炭素数1〜2のアルキル基、炭素数6〜8の芳香族基が好適に用いられる。
上記一般式(1)で表されるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、下記の化合物が好適である。これらの化合物の1種又は2種以上を用いることができる。(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル。
(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルが好適である。より好ましくは、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEAと称することがある。)及び/又はメタアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEMと称することがある。)である。VEEA又はVEEMを必須とする反応性希釈剤を含有する電子線硬化性樹脂組成物を電子線により硬化した物(硬化物)は、一般的な反応性希釈剤(例えば、分子内にエチレン性二重結合を1個以上有する単官能性又は多官能性ビニルモノマー)を使用した場合よりも、速硬化性を示す。また、粘着剤分野において無溶媒型の電子線硬化性粘着剤組成物には、粘着剤として要求される初期タック、接着力、凝集力を発現させるために多官能性単量体が使用されている。この分野においても、本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、良好な硬化性と粘着物性を発現することが可能である。特に架橋密度を高めポリマーの動きを抑制して、基材への濡れ性や粘着力を調整することにより再剥離性能を発現させている再剥離型粘着剤用途においてば当該発明の速硬化、良好な架橋構造の導入が可能であるという特徴を生かすことが可能である。
上記反応性希釈剤に含まれるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の粘度としては、25℃における粘度の下限が0.1mPa・s以上が好ましく、また、上限が1500mPa・s以下が好ましい。0.1mPa・s未満であると、塗膜厚みの調整が困難となるばかりでなく、一般的には揮発性が高くなり、作業環境が悪化するおそれがあり、1500mPa・sを超えると、粘度が高く塗工しにくくなるおそれがある。下限は、0.2mPa・s以上がより好ましく、0.5mPa・s以上が更に好ましく、上限は、1000mPa・s以下がより好ましく、500mPa・s以下が特に好ましい。
上記ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の分子量としては、下限が140以上が好ましく、上限が2000以下が好ましい。2000を超えると、粘度が高く塗工しにくくなるおそれがある。上限は、1000以下がより好ましく、800以下が更に好ましく、500以下が特に好ましい。すなわち本発明におけるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、このような粘度や分子量のものが好適である。
本発明において、反応性希釈剤中に占めるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の割合としては、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の種類や反応性希釈剤の用途等に応じて適宜設定すればよいが、反応性希釈剤100質量%に対して、2〜90質量%、好ましくは3〜85質量%、より好ましくは5〜80質量%、更に好ましくは5〜25質量%の範囲内で使用される。
また、本発明の電子線硬化性樹脂組成物100質量%中におけるビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の割合としては、0.5〜40質量%であることが好ましい。1〜30質量%がより好ましく、1.5〜20質量%が更に好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
上記反応性希釈剤は、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類と共にそれ以外の重合性モノマーを併用してもよい。このような重合性モノマーとしては、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類と相溶性があるものであればよく、単官能若しくは多官能のラジカル重合性及び/又はイオン重合性の化合物1種又は2種以上を適宜選択することができる。上記ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類以外の重合性モノマーとしては、25℃での粘度が1000mPa・s以下の液状物質が好ましい。
上記重合性モノマーとしては、下記の化合物が好適である。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、(メタ)アクリル酸、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ブチル等の単官能(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等の単官能N−ビニル化合物類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル類。
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等の単官能α,β−不飽和化合物類;メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、メトキシエチルグリシジルエーテル等の単官能エポキシ化合物類;3−メチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、グリシドール、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等の単官能脂環式エーテル化合物類;多官能性(メタ)アクリレート。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤としてビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類とを含有するものであるが、更に、上記反応性希釈剤は、N−ビニルピロリドン及び/又は多官能性(メタ)アクリレートを必須として含有するものであることが好ましい。また、上記反応性希釈剤は、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体を必須として含有することが好ましい。本発明の電子線硬化性樹脂組成物の好ましい実施形態としては、(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤とを含有し、反応性希釈剤としてビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類に加えてN−ビニルピロリドンを含有する形態、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類に加えて多官能性(メタ)アクリレートを含有する形態、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類に加えてN−ビニルピロリドン又は多官能性(メタ)アクリレートを含有し、更にホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体を含有する形態が挙げられる。
上記N−ビニルピロリドン、多官能性(メタ)アクリレート、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体について、それぞれを以下に説明する。
上記重合性モノマーの中でも、本発明の電子線硬化性樹脂組成物において、上記反応性希釈剤は、N−ビニルピロリドンを必須として含有することが好ましい。
上記N−ビニルピロリドンは、1−ビニル−2−ピロリドンともいい、他のモノマーと共重合性を有する親水性モノマーである。上記反応性希釈剤がN−ビニルピロリドンを必須として含有することにより、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類にN−ビニルピロリドンを併用することになり、未反応の単官能性単量体量を効果的に低減することができ、低エネルギー照射で充分な硬化性を得ることが可能となる。電子線硬化性樹脂組成物100質量%に対するN−ビニルピロリドンの好ましい範囲は、0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜5質量%であり、更に好ましくは2〜3質量%である。N−ビニルピロリドンの使用量が10質量%を超えると、電子線硬化性樹脂組成物のガラス転移温度が上昇して粘着力が大きくなり、再剥離性が低下するので好ましくない。
上記重合性モノマーの中でも、本発明の電子線硬化性樹脂組成物において、上記反応性希釈剤は、多官能性(メタ)アクリレートを必須として含有することが好ましい。
上記反応性希釈剤が多官能性(メタ)アクリレートを必須として含有することにより、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類に多官能性(メタ)アクリレートを併用することになり、これにより粘着特性とフィルム基材等へのなじみ性のバランスを取ることが可能となる。
上記多官能性(メタ)アクリレートは、2つ以上のラジカル重合性基を有する(メタ)アクリレートであることが好ましく、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。3つ以上のラジカル重合性基を有する(メタ)アクリレートであることがより好ましい。この場合、3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有することが更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば2つの(メタ)アクリレート基を有する化合物である2官能(メタ)アクリレート、3つ以上の(メタ)アクリレート基を有する化合物である3官能以上の(メタ)アクリレート、その他の多官能(メタ)アクリレートが挙げられるが、中でも、3官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
上記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
上記その他の多官能(メタ)アクリレートとしては、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類を適宜使用可能である。
上記電子線硬化性樹脂組成物100質量%中、多官能性(メタ)アクリレートの使用量は、0.5〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは、1〜15質量%であり、更に好ましくは、2〜10質量%である。
上記重合性モノマーの中でも、本発明の電子線硬化性樹脂組成物において、上記反応性希釈剤は、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体を必須として含有することが好ましい。ガラス転移温度は、単量体をホモポリマーとしたときのガラス転移温度を意味するものである。
上記単官能性単量体のガラス転移温度は、−40℃以下であることが好ましく、−50℃以下であることがより好ましい。
上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体は、(メタ)アクリル系重合体とともに粘着剤として働くものである。ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体は、本発明の電子線硬化性樹脂組成物においてN−ビニルピロリドン及び/又は多官能性(メタ)アクリレート等と相まって、粘着特性とフィルム基材等へのなじみ性とを両立することになる。
上記ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が4〜12個のアクリル酸アルキルエステルが好ましい。アルキルエステルのアルキル基がフェニル基等の有機置換基を有していてもよい。この場合は炭素数が置換基の炭素数分だけ増えることになる。アルキル基の炭素数が4〜12個のアクリル酸アルキルエステルの具体例としては、ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましい。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物100質量%中、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体は、10〜80質量%であることが好ましい。20〜50質量%がより好ましく、30〜40質量%が更に好ましい。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、(メタ)アクリル系重合体とこの(メタ)アクリル系重合体を溶解する(メタ)アクリル系単量体(反応性希釈剤と称す。当該発明ではビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須で含有する)から構成され、当該樹脂組成物はアクリルシロップとも称される。
上記電子線硬化性樹脂組成物中に含有される(メタ)アクリル系重合体の重量平均分子量は、1万〜80万の範囲内が好ましく、2万〜60万の範囲内がより好ましい、更に好ましくは、3万〜50万の範囲内である。上記アクリルシロップを構成する(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg−aと称することがある。)と(メタ)アクリル系単量体(反応性希釈剤)より形成される(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg−bと称することがある。)の関係には以下の3つの場合が考えられる。すなわち、(1)Tg−a=Tg−b(Tg−aとTg−bとが同一)の場合、又は、(2)Tg−a>Tg−b若しくは(3)Tg−a<Tg−bのようにTg差を持たせる場合である。
特に、電子線照射後の硬化性樹脂組成物に粘着剤としての特性を付与するためには、ガラス転移温度(Tg−a、Tg−b)の範囲は−100℃〜30℃が好ましく、より好ましくは−80℃〜20℃、更に好ましくは−70℃〜10℃の範囲内である。
また、Tg差を付ける場合には、(2)Tg−a>Tg−b或いは(3)Tg−a<Tg−bで表される関係のいずれの場合でも粘着剤特性を付与することができる。ただし、(2)の場合ではTg−b、(3)の場合ではTg−aの好ましい範囲は、−100℃〜30℃、より好ましくは−80℃〜20℃、更に好ましくは−70℃〜10℃の範囲内である。
上記アクリルシロップを構成する(メタ)アクリル系重合体のガラス転移温度(Tg−a)は、DSC(示差走査熱量測定装置)、DTA(示差熱分析装置)、TMA(熱機械測定装置)によって求めることができる。また、ホモポリマーのTg(K)は各種文献(例えば、ポリマーハンドブック等)に記載されているので、コポリマーのTg(K)は、各種ホモポリマーのTg(K)と、モノマーの質量分率(W)とから下記式によって求めることもできる。
Figure 2008050590
ここでW:各単量体の質量分率
Tg:各単量体のホモポリマーのTg(K)
上記(メタ)アクリル系重合体は、通常は、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、これに共重合可能な他のモノマーとの共重合体である。本発明で使用する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エステルを形成するアルキル基の炭素数が通常は1〜18、好ましくは3〜12の化合物であり、このアルキル基は直鎖であっても分岐を有していてもよい。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及びノニル(メタ)アクリレート等のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート及びt−ブチル(メタ)アクリレート等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート等の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと反応して(メタ)アクリル系重合体を形成する他のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、水酸基含有(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリル酸以外のカルボキシル基含有化合物のいずれかを用いることが好ましい。
ここで(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、これらの酸無水物及びこれらの塩を挙げることができる。水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールとのモノエステル及びラクトン類と(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとの付加物のようなヒドロキシル基含有ビニル化合物を挙げることができる。また、(メタ)アクリル酸を除くカルボキシル基含有化合物の例としては、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸のような不飽和カルボン酸を挙げることができる。
上記(メタ)アクリル系重合体には、更に上記(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な他の単官能性単量体が共重合していてもよい。他の官能基モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルコキシエステル、(メタ)アクリル酸アリルエステル等、上記以外の(メタ)アクリル系単量体、酢酸ビニル、ビニルトルエン、スチレン等のビニルモノマーを挙げることができる。
上記(メタ)アクリル系重合体の側鎖に不飽和エチレン性二重結合を導入することにより、電子線硬化による硬化効率が向上させることができる。不飽和エチレン性二重結合の導入方法としては、(1)(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸を共重合し、続いてカルボキシル基ヘグリシジルメタクリレート(ブレンマーG:日本油脂製)等のエポキシ基含有モノマーを付加させる方法、(2)(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の水酸基含有アクリル酸エステルを共重合し、続いてイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステル(カレンズシリーズ:昭和電工製)を反応させる方法等がある。詳細については、特開平11−263893号公報や、2005−320522号公報に詳細に記載されている。
上記(メタ)アクリル系重合体の使用量は、特に限定されないが、電子線硬化性樹脂組成物100質量%中、20〜90質量%であることが好ましい。より好ましくは、40〜80質量%であり、更に好ましくは、50〜70質量%である。
上記の単量体成分を重合させる際には、重合開始剤を使用することが望ましい。
上記重合開始剤としては、具体的には、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。単量体成分に対する重合開始剤の添加量等は、特に限定されるものではない。
上記単量体成分を重合させる際には、重合体の平均分子量等を調節するために、連鎖移動剤を単量体成分に添加することがより望ましい。上記の連鎖移動剤は、特に限定されるものではないが、単量体成分の重合反応を極めて容易に制御できることから、チオール化合物が最適である。上記のチオール化合物としては、具体的には、例えば、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオフェノール、チオナフトール等の芳香族メルカプタン;チオグリコール酸;チオグリコール酸オクチル、エチレングリコールジチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオグリコレート)等のチオグリコール酸アルキルエステル;β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス−(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネート)等のβ−メルカプトプロピオン酸アルキルエステル;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら連鎖移動剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併用してもよい。尚、連鎖移動剤として、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素等を用いることもできる。
上記連鎖移動剤の使用量は、該連鎖移動剤の種類や、(メタ)アクリル酸エステル等との組み合わせ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものではないが、単量体成分に対して0.1重量%〜15重量%の範囲内が好適である。
(メタ)アクリル系重合体の製造方法は、例えば塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等種々の方法により製造できるが、分散剤や乳化剤の混入がない、塊状重合又は溶液重合が好ましい。当該電子線硬化性樹脂組成物は、アクリル系重合体が反応性希釈剤である(メタ)アクリル系単量体に溶解した形態(アクリルシロップ)で使用されるのが好ましい。アクリルシロップの作製方法としては、例えば、塊状重合を反応途中で停止し、その後ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸類や他の(メタ)アクリル系単量体等の反応性希釈剤を追加することにより所定の粘度まで調整する方法あるいは、溶液重合により(メタ)アクリル系重合体を作製し、その後に反応溶媒を減圧留去して、その後ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸類や他の(メタ)アクリル酸系単量体等の反応性希釈剤を追加することにより所定の粘度まで調整する方法がある。いずれの方法でアクリルシロップを調整しても、電子線硬化性樹脂組成物を得ることができる。
上記反応性希釈剤は、更に、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含有することが好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する単量体は、上述した(メタ)アクリル系単量体、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。これらのうち、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する単量体であることがより好ましい。
上記電子線硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤との配合割合は、(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤の種類や組み合わせ、電子線硬化性樹脂組成物の用途等に応じて適宜設定することできる。硬化性樹脂組成物100質量%中に(メタ)アクリル系重合体の好ましい範囲は20〜95質量%、より好ましくは25〜90質量%、更に好ましくは35〜80質量%である。(メタ)アクリル系重合体の割合が、20重量%未満では、電子線硬化時の硬化収縮が大きくなり好ましくない。また、90質量%を超えると電子線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、塗工が難しくなる。
アクリルシロップは反応性希釈剤により塗工に適した粘度に調整される。本発明においてアクリルシロップとしては、25℃における粘度が、通常は1〜70Pa・s、好ましくは5〜50Pa・sの範囲内に調整するのがよい。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料であることが好ましい。
以下に、表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料、例えば光学部材用表面保護フィルム用途に好適な組成について説明する。
当該表面保護フィルム用の粘着剤組成物、すなわち電子線硬化性樹脂組成物は、粘着特性を有する(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤から構成される。
上記(メタ)アクリル系重合体及び反応性希釈剤としては、上述したのと同様のものを表面保護フィルム用途、例えば光学部材用表面保護フィルム用途に用いることができるが、光学部材用表面保護フィルム用途として特に好適な構成を例示すれば、(メタ)アクリル系重合体としては、例えばブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートから構成される共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル系重合体には、電子線硬化性を向上させるために、側鎖に不飽和エチレン性二重結合を導入することが好ましい。導入方法については前述した方法に従って導入すればよい。反応性希釈剤として好適な形態としては、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)及びアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)の組み合わせ、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル及びN−ビニルピロリドン(NVPと称することがある)の組み合わせ、2−エチルヘキシルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)及びアクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチルの組み合わせ等が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系重合体の組成やガラス転移温度(Tg)、(メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤の配合割合等は、表面保護フィルムの要求物性に応じて適宜調整すればよいが、これも上述したのと同様に設定すればよい。
特に反応性希釈剤として、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)とN−ビニルピロリドン(NVP)を加えることによって、2−エチルヘキシルアクリレートの残存量を効率的に低減させることができる。
上記表面保護フィルムは、例えば液晶ディスプレイの組み立て工程等の各種基材に対して表面保護フィルムを用いる生産・保管・輸送等の工程において、傷や汚れ等が付かないように、光学フィルム表面に貼り付けられている。これらのフィルムは、最終工程で剥がされ廃棄される。剥離作業は、通常手作業で行われるため、剥離速度は比較的高速であり、剥離速度が速い場合の、剥離に要する力(以下、「粘着力」とも称する)は大きくなる。現行の表面保護フィルムには、液晶ディスプレイの大型化に伴い、高速剥離時の粘着力も大きくなるため、粘着力の低減が求められている。更に、反射防止フィルム等の基材への良好ななじみ性等も要求されている。そして、浮きやハガレ等が起こりにくく耐久性があること、ジッピングや剥離後の被着体に対する汚染といった従来技術における問題を解消すること、フィルム・シートとするときの硬化性が充分に優れたものであることが求められている。
上記電子線硬化性樹脂組成物は、ウィンドウフィルム、鋼板保護フィルム、家具建材フィルム、光学部材用表面保護フィルム等の種々の表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料とすることができるが、中でも、光学部材用表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料であることが特に好ましい。言い換えれば、光学フィルム用表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料であることが特に好ましい。
上記電子線硬化性樹脂組成物においては、上述した(メタ)アクリル系重合体に加えて、反応性希釈剤としてホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリロイル基を有する単量体の組み合わせ、例えば、反応性希釈剤として単官能性単量体である2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA)とトリメチロールプロパントリアクリレートの組み合わせにより、低速及び高速剥離速度での粘着物性と、反射防止フィルム等の光学フィルムへのなじみ性とのバランスがとれた光学部材用の表面保護フィルムを得ることができる。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物は、更に必要に応じて、添加物として無機充填剤、非反応性樹脂(例えば、アクリル系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等)、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤あるいは光カチオン重合開始剤)、有機溶剤、着色顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、粘着付与剤等を適宜使用することができる。またこれらの添加剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。上記電子線硬化性樹脂組成物中の(メタ)アクリル系重合体の組成、分子量、ガラス転移温度(Tg)、或いは(メタ)アクリル系単量体の組成、硬化後の重合体のTg、更に3次元架橋を形成させるために使用する多官能性単量体の種類、添加量により,粘着剤(特に再剥離型粘着剤として好適)やハードコートを含む各種コーティング剤として必要な性能(表面硬度、耐溶剤性等の塗膜物性)を付与することができる。
本発明はまた、上記電子線硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、電子線により硬化させた積層体である。
上記積層体は、ハードコート性能を付与したフィルムや光学部材用表面保護フィルムを含んでいる。なお、ハードコートとは、フィルム等の樹脂(基材)の上層に塗布した液状塗膜に電子線を照射することにより得られた耐摩耗性に優れた塗膜である。光学部材用表面保護フィルムとは、液晶表示板に使用される光学部材、フィルム(偏光板、反射防止フィルム等)を傷や汚染等の要因より基材を保護するフィルムである。
電子線硬化性樹脂組成物の硬化後の厚みは0.5〜500μm、好ましくは1〜300μm、より好ましくは3〜200μmになるように塗布する。特に粘着剤として使用する場合には、5〜50μmの厚みが好適である。本発明で使用する電子線硬化性樹脂組成物を粘着剤用途での使用を想定した場合、塗工液は(メタ)アクリル系単量体を溶媒とする塗布可能な粘性を有する液状であり、反応性を有しない有機溶媒等は含有されておらず、電子線硬化によりその厚さが著しく減少するものではないので、電子線硬化性樹脂組成物の塗布厚と硬化後の樹脂層の厚さとはほぼ同じである。
上記電子線硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布する方法は特に制限されず、慣用の塗布法を採用できる。例えばロールコーター、ダイコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、メイヤーバーコーター等を用いて塗布すればよい。
ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムや、紙、不織布等の多孔質材料等からなる各種の支持体の片面又は両面に、上記粘着剤層を塗布形成し、シート状やテープ状等の形態としたものである。本発明の粘着剤組成物を用いてなる粘着シート類を構成する支持体の厚みは、通常5〜200μm、好ましくは10〜100μm程度である。
本発明で得られた粘着シート又は粘着フィルムは、支持体背面に公知の離型剤を塗布してロール状に巻回したり(いわゆるセパレータフリー)、形成された放射線硬化した粘着剤層の露出表面に公知の離型剤を塗布したセパレータで被覆してロール状に巻き取ってもよい。
特に表面保護フィルム用途では、セパレータフリーによりロール状に巻き取る形態が、コスト削減、剥離したセパレータの廃棄がないので環境面にも悪影響を与えず、効率的な工業生産が可能となることで好ましい。
上記セパレータフリーでロール状に巻き取った表面保護フィルムは、本発明の基材フィルムに電子線硬化性樹脂組成物を塗工する工程、この電子線硬化性樹脂組成物に電子線を照射して架橋する工程、及び、架橋後の粘着剤層と支持体背面間にセパレータを介さずにロール状に巻き取る工程を行うことにより製造されることが好ましい。セパレータフリーの表面保護フィルムに用いられる電子線硬化性樹脂組成物の好ましい形態は、上述した本発明の電子線硬化性樹脂組成物の好ましい形態と同様である。
前記支持体に使用される公知の離型剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系等がある。また、シリカ粉等による離型及び防汚処理や、酸処理、アルカリ処理,プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の易接着処理、塗布型、練り込み型、蒸着型等の帯電防止処理をすることもできる。
また、前記支持体は、耐熱性及び耐溶剤性を有するとともに可とう性を有するプラスチック基材であることが好ましい。支持体が可とう性を有することにより、ロールコーター等によって粘着剤組成物を塗布することができ、ロール状に巻き取ることができる。
前記プラスチック基材としては、シート状やフィルム状に形成できるものであれば特に限定されるものでなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、部分芳香族ポリアミド等のポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。
また、他の熱可塑性樹脂として、下記一般式(2)で表されるような分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環含有重合体が知られている。また当該ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂は、透明性や光学等方性等の光学特性や耐熱性が優れており、光学用面状熱可塑性樹脂成形体(シートやフィルム等)として活用でき、当該電子線硬化性樹脂組成物の支持体として好適に使用できる。
Figure 2008050590
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
上記積層体は、電子線により硬化するものであるため、紫外線(UV)により硬化するものよりも、照射回数が少なくてすみ、その結果、積層体の製造に際して、生産性を向上させることができる。また、低エネルギーで硬化が進行するため、基材へのダメージを少なくすることができる。更に、上記電子線硬化性樹脂組成物は、上述した(メタ)アクリル系重合体に重合性官能基がなくても硬化が進行するものであるため、硬化性樹脂組成物の安定性を向上させることができる。
上記電子線による硬化は、加速電圧が以下、更に好ましくは250kV以下である電子線を用いればよい。加速電圧が250kVを越えると電子線硬化性樹脂組成物を通過した電子線が基材を劣化する恐れがある。電子線の照射においては、加速電圧が高いほど電子線の透過能力が増加する。したがって、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材シートへの余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材シートの劣化を最小限にとどめることができる。このように、最適な加速電圧は、樹脂層の厚さに左右されるので、硬化後の厚さが、好ましい範囲の5〜50μm程度である場合には、加速電圧は50〜200kVの範囲が好ましい。
照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量に調整するのが好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜250kGy、20〜200kGyで調整されるのがより好ましい。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
本発明は更に、上記積層体より構成される粘着シート又は粘着フィルムでもある。上記粘着シート又は粘着フィルムとしては、特に再剥離型粘着剤として良好な特性を示すものは、例えば金属板、ガラス板、プラスチック板、樹脂塗装銅板、又は液晶ディスプレイ部材である偏光板、位相差フィルム、光学補償フィルム、反射シート等の光学部材の表面保護フィルムとして好適に使用できる。特に表面保護フィルム用の支持体として、ラクトン環含有重合体を主成分とする熱可塑性樹脂フィルムを使用することにより、従来のポリエレンテレフタレート製を支持体とした表面保護フィルムより透明性が優れた表面保護フィルムを作製することができ、異物等の目視検査等の簡素化に貢献できる。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルムにおけるメカニズムとしては、低速及び高速剥離での粘着力を低くするためには、粘着剤層の変形を抑制する必要がある。一方、フィルム基材等へのなじみ性(基材フィルムに早く濡れる)のためには、粘着フィルムを柔軟にする必要がある。粘着力低減のためには、架橋密度を高くすること(多官能性単量体の増量)が必要であるが、その場合には、粘着フィルムの柔軟性が損なわれて、なじみ性が悪くなる。要求物性を満たすためには、両物性のバランスを取る必要がある。ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の添加が、このバランスを取るのに有効である。
本発明の電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルムは、上述の構成よりなり、従来の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の改善点を克服し、速硬化性、低エネルギー照射による良好な硬化性、基材フィルムへの優れた密着性、粘着特性及びフィルム基材等へのなじみ性を有するものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
バルク重合例(樹脂A)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、アクリル酸4部、アクリル酸ブチル98部、アクリル酸2−エチルヘキシル98部、連鎖移動剤としてのペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)1部を仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら、100℃まで加熱した。その後、更に130℃まで1.5時間かけて昇温させ反応開始を確認した。その後、130℃を保持したまま反応させ、1.5時間後に冷却開始した。反応終了時の反応率は、72.8%であった。希釈用モノマーとしてメタクリル酸イソボルニル(ライトエステルIB−X/共栄社化学社製)で希釈して反応を終了させた。その時のポリマー濃度は45.5%、モノマー濃度が54.5%であった。得られたポリマーの重量平均分子量(Mw)は36万であった。
側鎖二重結合を有するアクリル系共重合体の重合例(樹脂B)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、アクリル酸ブチル195.4部、アクリル酸4.4部、メタクリル酸ヒドロキシエチル0.2部、連鎖移動剤としてのペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン酸)1.4部、トルエン425部を仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら、75℃に昇温した後、重合開始剤としての2,2′−アゾビスイソブチルニトリル((株)日本ファインケム製ABN−R以下、AIBNと記す。)0.05部を添加して反応を開始した。反応開始後30〜60分かけてアクリル酸ブチル293.1部、アクリル酸6.6部、メタクリル酸ヒドロキシルエチル3部、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオン)2.1部の混合物を反応器に滴下し、同時に90℃まで温度を昇温させた。その後、2.5時間反応させて、アクリル系共重合体溶液を得た。
次いで、上記アクリル酸共重合体溶液に、不飽和エポキシ化合物としてのメタクリル酸グリシジル(ブレンマーG/日本油脂製)10.9部、触媒としてのオクチル酸亜鉛1部、重合禁止剤としてのアンテージW−400(川口化学工業(株)製)0.3部とを添加した後、100℃に昇温して、空気雰囲気下で2.5時間かけてエステル化反応を行った。これにより、側鎖二重結合を有するアクリル系共重合体溶液を得た。該アクリル系共重合体は、重量平均分子量(Mw)が18500であり、固形分が50重量%であり、酸価が8.8mgKOH/g−solidであった。また、エステル化反応する前の酸価と、エステル化反応した後の酸価との差から求めた二重結合当量は、7400g/eq.であった。更に、該アクリル系共重合体溶液を減圧下で脱溶剤を行い、ポリマーを取り出した。
溶液重合例(樹脂C)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、アクリル酸2−エチルへキシル136.4部、アクリル酸ブチル60部、アクリル酸ヒドロキシエチル3.6部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1部、酢酸エチル240部を仕込んだ後、反応器内を窒素ガス置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら75℃に昇温した後、重合開始剤として2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」、日本ヒドラジン工業社製)0.125部を添加して反応を開始した。重合開始から10分後に、アクリル酸2−エチルへキシル204.6部、アクリル酸ブチル90部、アクリル酸ヒドロキシエチル5.4部、n−ドデシルメルカプタン1.5部の混合物を反応器に60分かけて滴下した。また、ABN−E0.125部を酢酸エチル10gに溶解した溶液を別の滴下ロートにより滴下した。滴下終了後、内温87〜89℃で5時間反応させ、不揮発分58.2%のアクリル系共重合体(樹脂C)の溶液を得た。アクリル系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、50000であった。
側鎖二重結合を有するアクリル系共重合体の重合例(樹脂D)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、前記アクリル系共重合体溶液(樹脂C)を838g、重合禁止剤としてアンテージW−400(商品名、川口化学工業社製)0.3部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(商品名「DBTDL」、東京化成工業社製)0.2部を添加した。イソシアネート基含有アクリル系単量体としてカレンズA01(商品名、昭和電工社製)8.798部を酢酸エチル25.2部に溶解した溶液を投入した。内温を70〜71℃で3時間反応させて、側鎖二重結合を導入したアクリル系共重合体(樹脂D)溶液を得た。反応終了後、FT−IR分析によりNCO基に由来するピーク(2272cm−1)の消失を確認した。
無溶剤型樹脂溶液の調製例(樹脂溶液E)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器に、側鎖二重結合型アクリル系共重合体(樹脂D)溶液500gを投入した。内温を86〜87℃に調整して反応器内を減圧して、反応溶液である酢酸エチルの留去を開始した。アクリル系共重合体溶液中に含まれる酢酸エチルの約半分が留去した段階で反応性希釈剤であるアクリル酸2−エチルヘキシル118.5部を投入して、更に酢酸エチルの留去を継続した。酢酸エチルの留去に要した時間は約5時間であり、無溶剤型の側鎖二重結合型アクリル系共重合体溶液(樹脂溶液E)を得た。樹脂溶液の成分は、側鎖二重結合型アクリル系共重合体70%、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルへキシル30%であった。
実施例1
樹脂Aの100重量部に対して、多官能性単量体として、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA:日本触媒社製)を10部添加して、電子線硬化性樹脂組成物(A−1)を調製した。次いでこの樹脂組成物(A−1)を厚み75μmのPETフィルムへ、厚みが20μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、25μm厚PETフィルムを貼着させた。この積層体試料について、加速電圧200kV、照射線量100kGyの条件で電子線(EB)を照射して無色透明の樹脂シートを得た。
実施例2
実施例1におけるシート作製において、多官能性単量体の種類をメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEM:日本触媒社製)に変更し、電子線硬化性樹脂組成物(A−2)を調製し、実施例1と同様の方法により樹脂シートを得た。
比較例1
実施例1におけるシート作製において、多官能性単量体の種類をポリエチレングリコールジアクリレート(4EGDA/M−240、東亜合成社製)に変更し、電子線硬化性樹脂組成物(A−3)を調製し、同様の方法により樹脂シートを得た。
比較例2
樹脂Aに多官能性単量体を添加しないで、電子線硬化性樹脂組成物(A−4)を調製し、同様の方法により樹脂シートを得た。
実施例3
樹脂Bの100部に対して、多官能性単量体として、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA:日本触媒社製)を10部添加して、電子線硬化性樹脂組成物(B−1)を調製した。次いでこの樹脂組成物(A−1)を厚み75μmのPETフィルムへ、厚みが20μmとなるようにアプリケーターにて塗布し、25μm厚PETフィルムを貼着させた。この積層体試料について、加速電圧200kV、照射線量100kGyの条件で電子線(EB)を照射して無色透明の樹脂シートを得た。
実施例4
実施例1におけるシート作製において、多官能性単量体の種類をメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEM:日本触媒社製)に変更し、電子線硬化性樹脂組成物(B−2)を調製し、同様の方法により樹脂シートを得た。
比較例3
実施例1におけるシート作製において、多官能性単量体の種類をポリエチレングリコールジアクリレート(4EGDA/M−240、東亜合成社製)に変更し、電子線硬化性樹脂組成物(A−3)を調製し、同様の方法により樹脂シートを得た。
比較例4
樹脂Bに多官能性単量体を添加しないで、電子線硬化性樹脂組成物(B−4)を調製し、同様の方法により樹脂シートを得た。
Figure 2008050590
評価方法
硬化性の評価(指乾燥性)
上記のように作製した粘着試料から、離型フィルムを剥がし、指で触って確かめた。指が樹脂で汚れなかったものを、硬化(○)、指が樹脂で汚れたものを、未硬化(×)とした。
粘着力の評価方法
電子線照射後の粘着シートを25mm×150mmに裁断し、PMMA(ポリメチルメタクリレート)板に貼り合わせた。貼り合わせてから25分後に、剥離速度300mm/分の条件で180°剥離粘着力を測定した。
実施例5、6、比較例5〜7、参考例1については、更に、剥離速度を30m/分として、剥離速度以外は剥離速度300mm/分の場合と同様の条件で180°剥離粘着力を測定した。
粘着力:
△ 一部分は硬化進行しているが、粘着力の測定はできなかった。
× 粘着力として測定ができなかった。
残存モノマー測定方法
電子線照射後の粘着シートをプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに室温で24時間浸漬し、粘着剤層中の未反応のアクリル酸2−エチルへキシルを抽出し、ガスクロマトグラフィー(GC)により定量した。
フィルム基材等へのなじみ性評価方法
粘着シートから40mm×40mmの試験片を切り出し、防眩処理フィルム(商品名「BOF−H141S」、BUFFALO社製液晶保護フィルム)の上に、粘着剤層を下にして、静かに置いた。そして、防眩処理フィルムに試料の全面がなじむ(濡れる)までの時間及び状態を目視で観察した。試験は3回行い、下記評価のポイントを平均した。
(1)試験雰囲気条件 23℃、65%
(2)評価点数
1 置いても濡れない、360秒後でなじみ率50%以下
2 180秒以上で360秒後のなじみ率70%以下
3 30〜180秒、エッジ浮き量1.0mm以下
4 30秒以下、エッジ浮き量1.0mm以下
5 20秒以下、エッジ浮き量0.5mm以下
Figure 2008050590
残存モノマー(2EHA)の低減効果についての実施例
実施例5
無溶剤型の側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルヘキシル9.1部、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル4.67部、N−ビニルピロリドン2.9部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−1)を得た。当該電子線硬化性樹脂組成物中における各成分の含有割合は、表3に示した。次いでこの樹脂組成物(E−1)を厚さ38μmのPETフィルムへ、厚みが20μmとなるようにアプリケーターにて塗布を行った。この塗工基材に、加速電圧60KV、照射線量60kGyの条件で電子線を照射して粘着シートを作製した。
比較例5
側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルへキシル9.1部、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)4.67部、N−ビニルピロリドン(NVP)2.9部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−2)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例5と同様に行って粘着シートを得た。
参考例1
側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルへキシル12部、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル4.7部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−3)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例5と同様に行って粘着シートを得た。
粘着物性(高速、低速粘着力)とAGフィルムへのなじみ性改良についての実施例
実施例6
無溶媒型の側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルヘキシル9.5部、トリメチロールプロパントリアクリレート3.6部、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル2.3部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−4)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例5と同様に行って粘着シートを得た。
実施例7
前記の無溶剤型樹脂溶液の調製例と同様にして、側鎖二重結合型アクリル系重合体75質量%と反応性希釈剤である2−エチルヘキシルアクリレート25質量%のアクリル系重合体溶液を新たに調製した(樹脂溶液F)。樹脂溶液F 100部に対して、2−エチルヘキシルアクリレート12.5部、トリメチロールプロパントリアクリレート1.25部、アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル12.5部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−5)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例6と同様に行って粘着シートを得た。
比較例6
側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルヘキシル13.1部、トリメチロールプロパントリアクリレート3.6部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−6)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例5と同様に行って粘着シートを得た。
比較例7
側鎖二重結合型アクリル系重合体溶液(樹脂溶液E)100部に、反応性希釈剤としてアクリル酸2−エチルヘキシル9.6部、トリメチロールプロパントリアクリレート7.1部を加えて、電子線硬化性樹脂組成物(E−7)を得た。基材フィルムへの塗工方法、電子線照射条件は実施例5と同様に行って粘着シートを得た。
Figure 2008050590
Figure 2008050590
評価結果
当該発明の電子線(EB)硬化性樹脂組成物の特徴は、特定の多官能性単量体(VEEM、VEEA)を使用した配合にすることにより、汎用の多官能性単量体(本発明では、4EGDAのような2官能性アクリル酸型二重結合を有するモノマー)よりも速硬化性があり、効率的に架橋反応を進ませることができる。その結果、指触乾燥性及び粘着力を低下させる(架橋前の樹脂液は粘着力が非常に大きいが、架橋構造を導入することによって粘着力を低下させる。粘着力が低くなるということは、架橋が効率よく導入できていることを表す)ことができる。
上記電子線(EB)硬化性樹脂を表面保護フィルム用途で使用する場合、特定の多官能性単量体(VEEA)にNVPを併用することにより粘着剤層中の未反応モノマー量を特異的に低減することができる(実施例5、比較例5、参考例1)。
本発明の電子線(EB)硬化性樹脂を表面保護フィルム用途で使用する場合、特定の配合において、中でも特定の配合比率において、当該用途で要求される物性(粘着物性、フィルム基材等へのなじみ性)で非常にバランスが取れた粘着フィルムを得ることができる。例えば、本発明の電子線硬化性樹脂組成物において、反応性希釈剤がトリメチロールプロパントリアクリレート及びVEEAを含有することにより、粘着物性とフィルム基材等へのなじみ性とを両立した粘着フィルムを得ることができる(実施例6、実施例7、比較例6)。またVEEAを用いないで、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いた場合は、未反応モノマーが20000ppmと多くなる(比較例6)。比較例6におけるトリメチロールプロパントリアクリレート量を約2倍にした場合は、未反応モノマー量は2900ppmまで低減されるが、なじみ性の評価点数は「1」と劣ることになる(比較例7)。
メカニズムについて
低速及び高速剥離での粘着力を低くするためには、粘着剤層の変形を抑制する必要がある。一方、フィルム基材等へのなじみ性(基材フィルムに早く濡れる)のためには、粘着フィルムを柔軟にする必要がある。粘着力低減のためには、架橋密度を高くすること(多官能性単量体の増量)が必要であるが、その場合には、粘着フィルムの柔軟性が損なわれて、なじみ性が悪くなる。要求物性を満たすためには、両物性のバランスを取る必要がある。ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の添加が、このバランスを取るのに有効であることが分かった。
上述した実施例及び比較例では、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としてVEEA又はVEEMを用いているが、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類の形態である限り、特に、該反応性希釈剤が、更に、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含有する形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、反応性希釈剤が少なくともビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須とするところに本発明の本質的特徴があり、この化合物と同様の化学的特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須成分によって構成される電子線硬化性樹脂組成物とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、該反応性希釈剤が更に、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含有する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。
上述した実施例及び比較例では、多官能性(メタ)アクリレートとしてトリメチロールプロパントリアクリレートを用いているが、官能基を2つ以上有する単量体の形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、反応性希釈剤が少なくとも官能基を2つ以上有する(メタ)アクリレートを必須とするところに本発明の本質的特徴があり、この化合物と同様の化学的特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須成分によって構成される電子線硬化性樹脂組成物とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、該反応性希釈剤が更に、多官能性(メタ)アクリレートを必須として含有する場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリル系重合体と反応性希釈剤とを含有する電子線硬化性樹脂組成物であって、
    該反応性希釈剤は、ビニルエーテル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を必須とすることを特徴とする電子線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記反応性希釈剤は、更に、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子線硬化性樹脂組成物。
  3. 前記反応性希釈剤は、N−ビニルピロリドン及び/又は多官能性(メタ)アクリレートを必須として含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子線硬化性樹脂組成物。
  4. 前記反応性希釈剤は、ホモポリマーとしたときのガラス転移温度が−30℃以下である単官能性単量体を必須として含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子線硬化性樹脂組成物。
  5. 前記電子線硬化性樹脂組成物は、表面保護フィルムの粘着剤層を形成するための材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子線硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の電子線硬化性樹脂組成物を支持体上に塗布した後、電子線により硬化させたものであることを特徴とする積層体。
  7. 請求項6に記載の積層体より構成されることを特徴とする粘着シート又は粘着フィルム。
JP2007192573A 2006-07-24 2007-07-24 電子線硬化性樹脂組成物、積層体、及び、粘着シート又は粘着フィルム Pending JP2008050590A (ja)

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