JP7265018B2 - 硬化性組成物 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、カルボキシル基を有する高分子化合物に対し反応するオキサゾリン基を側鎖に有する高分子化合物が開示されている。
上記硬化性組成物において、上記ビニルエーテル基と反応し得る官能基は、カルボキシル基、1級又は2級アミノ基、環状エーテル基、水酸基、及び、ビニル基からなる群より選択される少なくとも一種の基であることが好ましい。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
本発明の第一の硬化性組成物(以下、「硬化性組成物(1)」とも称する。)は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体(A)、及び、ビニルエーテル基と反応し得る官能基を有する重合体(B)を含む硬化性組成物であって、上記重合体(A)の含有量が、硬化性組成物の固形分総量100質量%中35質量%以上であることを特徴とする。
<重合体(A)>
本発明の硬化性組成物(1)は、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体(A)を含み、上記重合体(A)の含有量が、硬化性組成物の固形分総量100質量%中35質量%以上である。上記重合体(A)の含有量が35質量%以上であると、様々な官能基の組み合わせにおいて、優れた硬化性を発揮することができる。
上記重合体(A)の含有量は、より一層優れた硬化性を発揮することができる点で、硬化性組成物の固形分総量100質量%中、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において、「固形分総量」とは、硬化物を形成する成分(硬化物の形成時に揮発する溶媒等や硬化触媒を除く成分)の総量を意味する。
上記一般式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を表す。
上記一般式(1)において、R2及びR3は、同一又は異なって、水素原子又は有機基を表す。R2又はR3で表される有機基としては、例えば、炭素数1~20の鎖状又は環状の1価の炭化水素基、及び、上記炭化水素基を構成する原子の少なくとも一部を、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に置換したもの等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基等の飽和炭化水素基、アルケニル基等の不飽和炭化水素基が挙げられ、好ましくは飽和炭化水素基が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、オクチル基、メチルヘプチル基、ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、トリメチルペンチル基、3-エチル-2-メチルペンチル基、2-エチル-3-メチルペンチル基、2,2,3,3-テトラメチルブチル基、ノニル基、メチルオクチル基、3,7-ジメチルオクチル基、ジメチルヘプチル基、3-エチルヘプチル基、4-エチルヘプチル基、トリメチルヘキシル基、3,3-ジエチルペンチル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基等のアルキル基;ビニル基、n-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、1-ヘプテニル基、2-ヘプテニル基、1-オクテニル基又2-オクテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
上記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、メトキシフェニル基、トリクロロフェニル基、エチルフェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。
上記ハロゲン原子としては、塩素、臭素、又はフッ素が好ましく、フッ素がより好ましい。
R4で表される有機基としては、例えば、上述したR2及びR3で表される有機基と同じものを挙げることができる。なかでも、R4は、炭素数1~11の鎖状又は環状の炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~10のアルキル基、炭素数3~10のシクロアルキル基、炭素数6~11の芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~3のアルキル基であることが更に好ましい。
上記一般式(1)において、nは、1以上の整数である。
なお、上記構造単位(a1)として2種以上含む場合は、上記含有割合は、その2種以上の合計含有割合である。
上記構造単位(a1)の含有割合は、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、1H-HMR等を用いて、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類やそれ以外のモノマーの反応率の比や1H-NMRの該当する積分値の比較の方法により求めることができる。
上記他の重合性単量体としては、例えば、電子不足二重結合を有する重合性単量体が挙げられ、これらは製造する重合体の目的、用途に応じて適宜選択することができる。
(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸(3-エチルオキセタン-3-イル)メチル等の環状エーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル等のハロゲン含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N’-ジメチルアミノエチル、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等の窒素原子含有重合性単量体類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能性重合性単量体類;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート等のイソシアネート基含有重合性単量体類;
4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性単量体類;
メチレンブチロラクトン、メチルメチレンブチロラクトン等の重合性環状ラクトン単量体類;(メタ)アクリロニトリル;無水マレイン酸;
1,4-ジオキサスピロ[4,5]デカ-2-イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、アルコキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記炭化水素基は、上記炭化水素基を構成する原子の少なくとも一部が、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に置換されていてもよいし、上記炭化水素基を構成する水素原子の一つ以上が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;水酸基;アルコキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
なかでも、R5及びR6で表される炭化水素基は、炭素数1~6のアルキル基、シクロアルキル基、ハロアルキル基、芳香族炭化水素基であることがより好ましく、炭素数1~6のアルキル基、シクロアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1~6のアルキル基であることが更により好ましく、メチル基、エチル基であることが特に好ましい。
R7及びR7’で表される上記炭化水素基は、上記炭化水素基を構成する原子の少なくとも一部が、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子に置換されていてもよいし、上記炭化水素基を構成する水素原子の一つ以上が、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;水酸基;アルコキシ基等の置換基で置換されていてもよい。
複数あるR7’は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なかでも、上記重合体(A)は、グループトランスファー重合で得られた場合に分子量分布が制御される点で、主鎖に、上記一般式(3)で表されるシリルケテンアセタール由来の末端基を有することが好ましい。
上記Xは、なかでも、重合体の末端基を統一できる点では水素原子であることが好ましく、重合体に機能を付与しやすい点ではプロパルギル基であることが好ましく、重合体の安定性を高める点ではアルキル基であることが好ましい。
上記不溶分とは、重合体に含まれるゲル成分であり、好ましくは酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフランに対して不溶な成分であり、25℃での溶解度が、酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフラン100gに対して0.5g以下、好ましくは0.1g以下である。
上記不溶分の量は、上記重合体の濃度が約33質量%となるように、酢酸エチル、トルエン又はテトラヒドロフランを加え、室温で充分に攪拌した後、孔径4μmのフィルターに通し、そのフィルター上に残った不溶分の乾燥後の質量を(b)とし、初期の重合体の質量を(a)とした場合に、(b)/(a)×100より求めることができる。
なお、図1に、GPC法により測定して得られる微分分子量分布曲線の概略図と、上記T、L0、L1を示す。
上記GPCの測定条件は、後述する実施例に記載の方法と同様である。
上記重合体(A)を製造する方法としては、上述した構成を有する重合体(A)を製造することができる方法であれば、特に限定されないが、上記重合体(A)を効率良く製造することができる点で、上述したビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む単量体成分をグループトランスファー重合することにより製造する方法が好ましい。グループトランスファー重合を行うことにより、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の(メタ)アクリロイル基のみを重合反応させた重合体を効率良く製造することができる。また、この方法によれば、得られる重合体に含まれるゲル成分(不溶分)の量を低く抑えることができる。
このようなグループトランスファー重合を用いることにより、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の重合反応を、室温等の、制御が比較的容易な温度範囲で行うことができる。また、反応系内の水分量を厳密に制御する必要もなく、上記重合反応を行うことができる。更に、上記重合を用いれば、不純物の生成が少なく、高転化率でビニルエーテル基を残存させたままビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル重合体を製造することができる。
上記重合体(A)の製造方法は、上述したビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む単量体成分を、炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物、及び、触媒の存在下でグループトランスファー重合する工程を含むことが好ましい。
また、上記炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物、触媒、及び、単量体成分は、それぞれ、使用する全量を一度に添加してもよいし、少量ずつ連続的に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。
なかでも、重合反応がより一層効率良く進行し得る点で、上記溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、及びニトリル系溶媒からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒であることがより好ましい。
上記溶媒は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記酸素濃度は、ポーラロ方式溶存酸素計により測定することができる。
上記水分量は、カールフィッシャー水分測定法により測定することができる。
反応時間は、特に制限されないが、10分間~48時間が好ましく、30分間~36時間がより好ましく、1~24時間が更に好ましい。
また上記重合における雰囲気中の酸素濃度は、10000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることが更に好ましい。
上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール等が挙げられる。
上記酸としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸や、酢酸、安息香酸等の有機酸が挙げられる。
水、アルコール又は酸の使用量としては特に制限されないが、使用する炭素-炭素二重結合を有するシラン化合物1molに対し、好ましくは1~1000mol、より好ましくは1~100mol、更に好ましくは1~10molである。
上記求電子剤の使用量としては、特に限定されないが、使用するシリルケテンアセタール1molに対し、好ましくは0.5~1.5mol、より好ましくは0.6~1.3mol、更に好ましくは0.8~1.2molである。
上記各単量体の含有量は、所望の含有割合範囲の構造単位を有する重合体が得られるよう、適宜設定するとよい。
で表されるシリルケテンアセタール、下記一般式(8):
で表されるビニルシラン化合物、及び、下記一般式(9):
で表されるアリルシラン化合物の1種又は2種以上が好ましく挙げられる。
上記R5及びR6としては、上述した一般式(3)、(4)、(5)中のR5及びR6とそれぞれ同じものが挙げられる。
上記R7及びR7’としては、上述した一般式(3)、(4)、(5)中のR7及びR7’とそれぞれ同じものが挙げられる。
R8、R9及びR10で表される有機基としては、上述した有機基と同じものが挙げられるが、なかでも、炭素数1~12の炭化水素基、アルコキシ基であることが好ましく、炭素数1~6の炭化水素基、アルコキシ基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基であることが更に好ましい。
これらの中でも、入手容易である点や合成容易な点、また安定性の点から、メチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール、メチル(トリイソプロピルシリル)ジメチルケテンアセタール、エチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタールが好ましい。
上記シリルケテンアセタールは、1種のみ用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、上記触媒としては、上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の重合をより一層効率良く行うことができる点で、有機リン化合物、N-ヘテロ環カルベン、フッ素イオン含有化合物、環状アミン化合物、及び、アンモニウム塩化合物からなる群より選択される少なくとも一種が好ましい。これらの特定の触媒を使用する場合、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類において、ビニルエーテル基のカチオン重合やビニルエーテルの分解が起こりにくく、(メタ)アクリロイル基のみをより一層効率良く重合させることができる。
上記重合体(A)の残存モノマーの含有量は、重合体100質量%に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、0~5質量%であることが更に好ましく、0~1質量%であることが特に好ましい。
残存モノマーの含有量は、1H-NMRやガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
本発明の硬化性組成物(1)は、更に、ビニルエーテル基と反応し得る官能基を有する重合体(B)を含む。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2-(アセトアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メトキシスチレン等の芳香族ビニル系化合物類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール等のN-ビニル化合物類;ブタジエン等のジエン類;無水マレイン酸;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;(メタ)アクリロニトリル等。
上記他の重合性単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めることができ、具体的には、後述の実施例に記載の方法で求めることができる。
上記重合体(B)を製造する方法としては、上記ビニルエーテル基と反応し得る官能基を有する重合体が得られるのであれば、特に限定されず、上述した単量体成分を公知の方法で重合する方法(1)や、単量体成分を重合してベースポリマーを得て、上記ベースポリマーにビニルエーテル基と反応し得る官能基を有する化合物を付加反応させ、所定の官能基を有する重合体を得る方法(2)等が挙げられる。
また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
本発明の硬化性組成物(1)は、更に、硬化触媒(C)を含むことが好ましい。
本発明において使用する硬化触媒としては、特に限定されないが、好ましくは、カチオン硬化触媒、及び、ラジカル硬化触媒からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。なかでも、ビニルエーテル基の架橋反応が速やかに進行する点で、カチオン硬化触媒が好ましい。
カチオン硬化触媒、ラジカル硬化触媒のどちらの場合も、実施形態に応じて、熱潜在性又は光潜在性のものを用いることもできる。また、ルイス酸やブレンステッド酸そのものをカチオン硬化触媒として用いることもできる。これらの触媒は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
熱潜在性カチオン硬化触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。これらは、光照射によっては実用的な量のカチオン活性種を発生し得ない化合物であり、カチオン活性種を発生する温度は、40℃~200℃が好ましく、60℃~180℃がより好ましく、80℃~150℃が更に好ましい。上記熱潜在性カチオン硬化触媒として、非イオン性の硬化触媒と、イオン性の硬化触媒が挙げられる。
光潜在性カチオン硬化触媒としては、特に限定されず、公知のものを用いることができ、非イオン性の硬化触媒とイオン性の硬化触媒が挙げられる。上記非イオン性の硬化触媒としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N-ヒドロキシイミドホスホナート等が挙げられる。上記イオン性の硬化触媒としては、例えば、ジフェニルヨードニウム、4-メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、ジフェニル-4-チオフェノキシフェニルスルホニウム、ビス〔4-(ジフェニルスルフォニオ)-フェニル〕スルフィド、ビス〔4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)-フェニル〕スルフィド、4-クロロフェニルジフェニルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、η5-2,4-(シクロペンタジェニル)〔1,2,3,4,5,6-η-(メチルエチル)ベンゼン〕-Fe(1+)等のカチオンと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアニオンとの組み合わせからなる化合物が挙げられる。また、必要に応じてチオキサントン等の光増感剤を添加しても良い。
熱潜在性ラジカル硬化触媒としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等のアゾ化合物;等が挙げられる。
光潜在性ラジカル硬化触媒としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-1フェニルプロパノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン、2-ベンジル-2-(ジメチルアミノ)-4’-モルホリノブチロフェノン等のアルキルフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]-1,2-オクタンジオン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)エタノン等のオキシムエステル類;ベンゾイルぎ酸メチル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物(1)は、更に、重合性化合物(D)を含んでいてもよい。重合性化合物(D)を更に含むことにより、硬化物を目的の物性に微調整することができる。上記重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、カルボン酸化合物、マレイミド化合物、及び、チオールからなる群より選択される少なくとも一種が好ましく挙げられる。なかでも、上記重合性化合物としては、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物、チオールがより好ましく、ビニルエーテル化合物、環状エーテル化合物が更に好ましい。
上記重合性化合物は、1種のみ使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記環状エーテル化合物の具体例としては、n-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、1,2-エポキシシクロヘキサン等の単官能エポキシ樹脂;ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF ジグリシジルエーテル、モノアリルジグリシジルイソシアヌル酸、グリシジルメタクリレート等の2官能エポキシ樹脂;トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノエチル)ベンゼン、ノボラック型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂;1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート等の脂環式オキシラン環を有するエポキシ樹脂;3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3-エチル(トリエトキシシリルプロポキシメチル)オキセタン、3-シクロヘキシルオキシメチル-3-エチル-オキセタン等の単官能オキセタン樹脂;ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス{〔(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ〕メチル}ベンゼン等の2官能オキセタン樹脂;トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等の多官能オキセタン樹脂が挙げられる。
本発明の第二の硬化性組成物(以下、「硬化性組成物(2)」とも称する。)は、重合体(A)と、ビニルエーテル基と反応し得る官能基を有する重合体(B)及び/又は硬化触媒(C)とを含む硬化性組成物であって、上記重合体(A)は、上述した一般式(2)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含む単量体成分のグループトランスファー重合物であることを特徴とする。
このようなグループトランスファー重合物を含む硬化性組成物もまた、硬化性に優れる。
上記硬化性組成物(2)において使用される重合体(B)としては、上記硬化性組成物(1)において使用される重合体(B)と同様のものが挙げられる。
上記硬化性組成物(2)において使用される硬化触媒(C)としては、上記硬化性組成物(1)において使用される硬化触媒(C)と同様のものが挙げられる。
各成分の含有量は、上述した硬化性組成物(1)において使用されるものとそれぞれ同じ量が挙げられる。
本明細書ではまた、上記硬化性組成物(1)及び(2)を合わせて「本発明の硬化性組成物」とも称する。
本発明の硬化性組成物の製造方法としては特に限定されず、例えば、上述した各成分を、ビーズミル、ボールミル、ニーダー、ブレンダー等の公知の各種混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。例えば、色材を含む場合、溶媒や分散剤等を用いて色材組成物を予め調製し、次いで、上述した各成分と混合してもよい。
本発明の硬化性組成物は、例えば、基材上に、上記硬化性組成物を塗布し、塗布物を乾燥、加熱、又は活性エネルギー線を照射、あるいはこれらの組み合わせにより、塗布物を硬化させて硬化膜を形成する方法等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、様々な反応性官能基と反応することができ、硬化性に優れる。また、本発明の硬化性組成物は、密着性や表面硬度等に優れた硬化物を与えることができる。本発明の硬化性組成物は、粘着剤、接着剤、印刷用インク組成物、3Dプリンタ用組成物、レジスト用組成物、シール材、離型性、指紋付着防止、撥水、親水、ハードコート、防汚、帯電防止、絶縁性等の機能を付与した各種コーティング剤、自動車用、建築・構造物用、工業用、パッケージング用等の各種機能性塗料、表面保護シート、基板、レンズ、電子部品、光学フィルム、光学部品等の各種成形材料等の用途に好適に使用することができる。
装置:アジレント・テクノロジー社製核磁気共鳴装置(600MHz)
測定溶媒:重クロロホルム
サンプル調製:得られた重合体の数mg~数十mgを測定溶媒に溶解した。
得られた重合体を、テトラヒドロフランで溶解・希釈し、孔径0.45μmのフィルターで濾過したものを、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置、及び条件で測定した。
装置:HLC-8020GPC(東ソー株式会社製)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)
分離カラム:TSKgel SuperHM-M、TSKgel SuperH-RC(東ソー株式会社製)
得られた重合体組成物約2~3gに、固形分が約33質量%となるよう酢酸エチルを添加し、室温で充分に攪拌した後、得られた溶液を孔径が4μmのフィルターに通した。フィルター上の残渣を更に約7~10gの酢酸エチルを用いて洗浄した後、残渣を室温で5分間乾燥させ、乾燥後の残渣の質量(b)を測定した。重合体組成物の質量を(a)とし、下記式より、不溶分率を算出した。
不溶分率(質量%)=(b)/(a)×100
上記の重合体の分子量測定で得られた微分分子量分布曲線において、図1に示すように、最大値の点をTとし、上記微分分子量分布曲線上Tの5%高さの点を低分子量側からL0及びL1とした場合の、T-L0-L1で囲まれた三角形の面積(X)と、上記微分分子量分布曲線とL0-L1を結ぶ線で囲まれた部分の面積(Y)を求め、比(X/Y)の値を算出した。
<重合体A-1の製造>
温度計、不活性ガス導入管を備えたフラスコに、脱水テトラヒドロフラン(230質量部)、メチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール(0.9質量部)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート(0.02質量部)を入れ、窒素気流下、室温で攪拌しながら、メタクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(以下、「VEEM」と称する。)(100質量部)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した後、反応溶液をシリカゲルカラムに通すことで触媒を除去した。得られた溶液を濃縮し、VEEM重合体(重合体A-1)を含む重合体組成物を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は42000、数平均分子量は25000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.7であった。得られた重合体を1H-NMRで分析した結果、モノマーであるVEEMは観測されなかった。重合体に含まれる不溶分率は0%であった。重合体のX/Y値は1.16であった。
これにメチルエチルケトンを加え、50質量%の重合体溶液を調製した。
<重合体A-2の製造>
温度計、不活性ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、脱水テトラヒドロフラン(100質量部)、メチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール(0.9質量部)、テトラブチルアンモニウムベンゾエート(0.01質量部)を入れ、窒素気流下、室温で攪拌しながら、VEEM(10質量部)、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と称する。)(45質量部)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌した後、反応溶液をシリカゲルカラムに通すことで触媒を除去した。得られた溶液を濃縮し、VEEM-MMA共重合体(重合体A-2)を含む重合体組成物を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は13300、数平均分子量は12700であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.05であった。得られた重合体を1H-NMRで分析した結果、モノマーであるVEEMは観測されなかった。上記重合体の構造単位の割合は、VEEM/MMA=11/89(モル%)であった。重合体に含まれる不溶分率は0%であった。重合体のX/Y値は1.20であった。
これに酢酸エチルを加え、50質量%の重合体溶液を調製した。
<重合体A-3の製造>
50mLのシュレンクフラスコにアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(以下、「VEEA」と称する。)(100質量部)、脱水トルエン(190質量部)、メチル(トリメチルシリル)ジメチルケテンアセタール(1質量部)を入れ、窒素気流下、30℃で攪拌しながらホスファゼン塩基P4-t-Bu(2質量部)を加えた。30℃で終夜(約24時間)攪拌した後、少量のメタノールを加え、反応溶液を濃縮し、VEEA重合体(重合体A-3)を含む重合体組成物を得た。
得られた重合体組成物を1H-NMRで確認したところ、6.5ppm付近にビニルエーテル由来のピークを確認し、積分値からビニルエーテル基がすべて残存していることが分かった。このことから、VEEAのアクリロイル基のみが重合した重合体が得られたことが確認された。一方、モノマーであるVEEAのピーク(6.5ppm、6.2ppm、及び5.8ppm付近のピーク)は確認されなかった。重合体に含まれる不溶分は0%であった。また、得られた重合体の重量平均分子量は19400、数平均分子量は7500であり、分子量分布(Mw/Mn)は、2.57であった。上記共重合体のX/Yの値は1.04であった。
これに酢酸エチルを加え、40質量%の重合体溶液を得た。
<重合体B-1の製造>
温度計、不活性ガス導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と称する。)(30質量部)、メチルエチルケトン(以下、「MEK」と称する。)(70質量部)を加え反応溶液とした。バブリングによって反応溶液中に窒素ガスを通じ、3時間脱気を行った後、不活性ガス導入管から窒素ガスを流通させながら反応溶液を70℃まで昇温し、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル:AIBN)(0.34質量部)のMEK溶液(5質量部)を反応溶液に加えた。その後同温で20時間撹拌し、室温まで放冷後MEK(100質量部)を加えて重合体溶液を得た。この重合体溶液を、ヘキサンを用いて再沈殿することによりGMA重合体(重合体B-1)を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は125800、数平均分子量は23200、分子量分布(Mw/Mn)は5.42であった。
これに酢酸エチルを加え、33質量%の重合体溶液を調製した。
<重合体B-2の製造>
温度計、不活性ガス導入管、還流冷却器を備えた4つ口フラスコに、GMA(45質量部)、MMA(7質量部)、MEK(100質量部)を加え反応溶液とした。バブリングによって反応溶液中に窒素ガスを通じ、1時間脱気を行った後、不活性ガス導入管から窒素ガスを流通させながら反応溶液を70℃まで昇温し、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル:AIBN)(0.12質量部)のMEK溶液(5質量部)を反応溶液に加えた。その後75℃で4時間撹拌し、室温まで放冷後、重合体溶液を得た。この重合体溶液を、ヘキサンを用いて再沈殿することによりGMA-MMA共重合体(重合体B-2)を得た。
得られた重合体の重量平均分子量は214000、数平均分子量は64000、分子量分布(Mw/Mn)は3.34であった。
これに酢酸エチルを加え、20質量%の重合体溶液を調製した。
<GMA-MMA共重合体の製造>
温度計、不活性ガス導入管、還流冷却器を備えたフラスコに、GMA(10質量部)、メタクリル酸メチル(90質量部)、MEK(400質量部)、重合開始剤(V-65:富士フイルム和光純薬株式会社製)(0.3質量部)を加え、不活性ガス導入管から窒素ガスを流通させながら65℃で1時間、70℃で2.5時間撹拌し重合体溶液を得た。この重合体溶液を、ヘキサンを用いて再沈殿することによりGMA-MMA共重合体を得た。得られた重合体の重量平均分子量は9200、数平均分子量は6000、分子量分布(Mw/Mn)は1.53であった。
<重合体B-3の製造>
温度計、不活性ガス導入管、還流冷却器を備えたフラスコに、上記製造例6で製造したGMA-MMA共重合体(10質量部)、MEK(50質量部)、M-5300(ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノアクリレート、東亜合成株式会社製)(3質量部)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.6質量部)、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン、0.09質量部)を入れ、不活性ガス導入管から窒素ガスを流通させながら70℃で48時間撹拌し、重合体B-3のMEK溶液を得た。この重合体溶液を、ヘキサンを用いて再沈殿することにより重合体B-3(粉体)を得た。得られた重合体の重量平均分子量は12000、数平均分子量は7800、分子量分布(Mw/Mn)は1.54であった。
<硬化性組成物の製造>
表1に示す配合となるように、上記製造例で得られた重合体、硬化触媒をそれぞれ混合し、硬化性組成物を得た。なお、表1に示す配合は、固形分換算量である。
得られた硬化性組成物について、下記の方法により、硬化性評価を行った。結果を表1に示す。
得られた硬化性組成物を、片面易接着処理を施したPETフィルム(7cm×21cm)に、バーコータを利用して25μmの厚さになるように塗工し、室温で10~20分間程度放置した後、塗工物を表1に記載の硬化条件で硬化させて、硬化塗膜を得た。得られた硬化塗膜に、アセトンを染み込ませたキムワイプで20回ラビングし、下記の評価基準にて、硬化度合を確認した。結果を表1に示す。
(評価基準)
○:硬化塗膜は溶解せず。
△:硬化塗膜にラビング痕が残るか、または硬化塗膜が膨潤した。
×:硬化塗膜が白化又は溶解した。
上記で得られた硬化塗膜に指で触れ、タックの有無を確認した。
ポリアクリル酸(Mw5000):アルドリッチ社製
サンエイドSI110L:三新化学工業株式会社製
Irg184:IRUGACURE184(1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトン、BASF社製)
エポキシ樹脂:jER(登録商標)1007、三菱ケミカル株式会社製
上記評価用の硬化塗膜を用い、旧JIS-K5400に準じて、硬化塗膜のPETフィルムに対する密着性を評価した。すなわち、硬化塗膜の上から、1mm間隔で11本の切込みを入れた後、90℃向きを変えて同様に11本の切込みを入れ、10マス四方の碁盤目を作成した。切り込みは塗膜を貫通し、PETフィルムを貫通しない程度とした。碁盤目を完全に覆うようにセロハンテープを貼付け、よく擦って密着させた。その後、テープの端をもって45度の角度で一気に剥がした。テープを剥がした後に、PETフィルム上に残ったマス目の数を数えた。残ったマス目の数が多いほど密着性が高いと判断した。結果を表2に示す。
上記評価用の硬化塗膜を用い、JIS K5600-5-4に従って、塗膜のひっかき硬度を評価した。装置は、電動式鉛筆硬度試験機No.553-M(株式会社安田精機製作所製)を使用し、鉛筆は三菱鉛筆株式会社製のものを用いた。キズ痕(塑性変形)を生じない、最も硬い鉛筆の硬度を表2に示した。
Claims (7)
- 更に、硬化触媒(C)を含むことを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
- 前記ビニルエーテル基と反応し得る官能基は、カルボキシル基、1級又は2級アミノ基、環状エーテル基、水酸基、及び、ビニル基からなる群より選択される少なくとも一種の基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
- 前記重合体(A)と前記重合体(B)の含有比(A)/(B)が、質量比で1/2~99/1であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 前記硬化触媒(C)は、カチオン硬化触媒、及び、ラジカル硬化触媒からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項2~4のいずれかに記載の硬化性組成物。
- コーティング剤用、粘着剤用、接着剤用、レジスト用、塗料用、印刷用インク組成物用、電子部品用、及び、光学部品用からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物。
- コーティング剤、粘着剤、接着剤、レジスト、塗料、印刷用インク組成物、電子部品、及び、光学部品からなる群より選択される少なくとも一種を製造するための、請求項1~5のいずれかに記載の硬化性組成物の使用。
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