JP2015021045A - 環状エーテル基含有(メタ)アクリレートからなる光学的立体造形用樹脂組成物 - Google Patents

環状エーテル基含有(メタ)アクリレートからなる光学的立体造形用樹脂組成物 Download PDF

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篤史 安永
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Abstract

【課題】環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを高収率で工業的に製造する方法を提供すること、また、環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを配合して得られる活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を提供することを課題とする。【解決手段】(メタ)アクリル酸の低級エステルにシクロペンタジエンが付加した構造体であるノルボルネン誘導体と環状エーテル基含有アルコールとを塩基性触媒を用いてエステル交換反応させ、得られた環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を気相熱分解、蒸留精製することで得られる環状エーテル基含有(メタ)アクリレートは活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を提供することができる。【選択図】なし

Description

本発明は環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法、該環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)からなる反応性オリゴマー若しくは反応性ポリマー、及びこれらのモノマー、オリゴマーとポリマーを用いた活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物に関する。
三次元CADに入力されたデータに基づいて光硬化性樹脂組成物を立体的に造形する技術が、厚さを持った製品の検証や、量産前の形状チェック、複製品を製作するためのマスターモデルとして広く応用されている。光学的立体造形法は金型を作製することなく光硬化性樹脂組成物に一定のパターンに紫外線ないし近紫外線等の光を照射することにより得られる薄層を形成し、さらにその上に新たな活性エネルギー硬化型樹脂組成物を供給する工程を繰り返すことにより目的とする立体造形物を造形するものである。
光学的立体造形を行う装置としては積層方式、造形浴方式、粉末造形方式、インクジェット方式などが知られているが、近年、インクジェットプリンタと同じ原理で、光硬化性樹脂組成物をノズルから吐出し、基板上に描画されたパターンに紫外線を照射することで硬化薄膜を形成するインクジエット方式が、光硬化性樹脂を貯蔵する大型の樹脂液槽や暗室の設備が不要であり、光造形機がコンパクトで、複雑な形状の立体造形物においてもプリンタ感覚の操作が高精度、高速度で製作できるため、注目されている(特許文献1〜3)。
光造形法に用いられる光硬化性樹脂組成物は主にエポキシ樹脂、アクリル樹脂或いはそれらのハイブリッド系である(特許文献4〜10)。エポキシ樹脂はスルホニウム塩等の光分解から誘導されるカチオンにより重合反応が開始され、逐次に反応していくため重合物の収縮歪みが小さく、得られる造形物の寸法精度が高いなどの利点があるが、ラジカル重合系と比較して重合速度が遅く、人体への安全性、開始剤の安定性や効率等を考慮して選択される主剤及び開始剤の範囲が極端に制限されている。一方、アクリル樹脂はラジカル重合反応で硬化するウレタンアクリレ−トタイプが主に使われている。ラジカル重合は一般的に反応速度が速く、高分子主鎖中にウレタン基があるため、分子間凝集力が大きく、エポキシ系樹脂に比べ機械的特性、熱的特性は有利と考えられる。また、薬剤の選択範囲が大きく、そのため、耐熱性、衝撃性、強度、伸度などの諸物性を特徴的に得易い利点がある。しかし、ラジカル種は空気による失活が多く、空気阻害の影響で造形直後の造形物表面のタック性(ベタツキ性)が問題として残っている。さらに、ウレタン基同士の水素結合が強く、ウレタンアクリレ−ト樹脂の粘度が高く、硬化収縮率が高い等の欠点もある(特許文献1〜3)。
エポキシ樹脂とアクリル樹脂のハイブリッド系がそれぞれの長所を融合し、短所をカバーすることが期待させ、多く提案されている。例えば、特許文献6〜10が特殊のウレタンアクリレートを合成し、脂環族エポキシ化合物、活性エネルギー線感受性ラジカル系およびカチオン系重合開始剤と混合して光硬化性樹脂組成物を提供している。これらの提案樹脂組成物は硬化性と硬化収縮率の改善が認められるが、室温における液粘度が高く(特許文献8の樹脂は室温で固体である)、インクジェットノズルにつまりを生じ、インクジェット光造形法には適用しない。また、これらのハイブリッド系は異なる性質の開始剤および主剤の混合物であり、ラジカル系とエポキシ系の重合開始速度や成長速度の差異が大きく、造形物の内部構造が不均一になり、経時的な寸法安定性が得られない欠点がある。
WO2012/060204号公報 特開2010−155926号公報 特開2010−155889号公報 特開2000−071336号公報 特開2007−262401号公報 特開2008−189782号公報 特開2005−194365号公報 特開2005−075907号公報 特開2001−342204号公報 特開2010−174104号公報
以上述べたように、インクジェット光造形法に用いられる光硬化性樹脂組成物について高硬化性、高寸法安定性、高耐熱性、低粘度化、低硬化収縮などが要求されているが、満足できるバランスのよいものがまだ開発されていない。
本発明の第一目的は、低粘度、低硬化収縮性を有し、光ラジカル重合も光カチオン重合も可能である、高純度の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの効率的かつ経済的な製造方法を提供することにある。本発明の第二目的は、該環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)からなる反応性オリゴマー若しくは反応性ポリマー、及びこれらのモノマー、オリゴマーとポリマーを用いたインクジェット光造形法に好適な低い粘度、低い硬化収縮率を有し、かつ硬化性、耐熱性の高い活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸の低級エステルにシクロペンタジエンが付加した構造体であるノルボルネン誘導体と環状エーテル基含有アルコールとを塩基性触媒を用いてエステル交換反応させ、得られた環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を気相熱分解、蒸留精製することにより高純度の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを高収率で製造できることを見出した。
また、得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)を用いて、単独および/または他の重合可能の単量体とラジカル重合或いはカチオン重合により、側鎖にカチオン重合性環状エーテル基或いはビニル基を有するホモオリゴマー、ホモポリマーおよび/またはコオリゴマー、コポリマーを提供できることを見出した。
さらに、これらのモノマー、オリゴマーとポリマーを使用することにより低粘度、低硬化収縮、高硬化性、高耐熱性、優れる寸法安定性を有する活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)一般式[1](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは一般式[2]もしくは[3](一般式[2],[3]中のRは炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、複数のRは同じであっても異なっていてもよく、mは0または1、nは0〜(m+2)、pは0〜6の整数を示す。)を表す。)で表される環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を熱分解することを特徴とする、
Figure 2015021045

Figure 2015021045

Figure 2015021045

一般式[4](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは前記一般式[2]もしくは[3]を表す。)で表わされる環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法、
Figure 2015021045


(2)前記環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を、一般式[5](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)で表わされるエステル基含有ノルボルネン誘導体と
Figure 2015021045

一般式[6](式中、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは前記一般式[2]もしくは[3]を表す。)で表わされる環状エーテル基含有アルコールとのエステル交換反応により得ることを特徴とする(1)記載の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法、
Figure 2015021045

(3)前記環状エーテル基含有(メタ)アクリレートがグリシジル(メタ)アクリレートであることを特徴とする、(1)または(2)に記載の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法、
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートをラジカル重合させることにより得られる、側鎖や末端にカチオン重合性環状エーテル基を有するホモオリゴマーもしくはホモポリマー、
(5)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを他の共重合可能なビニル系単量体とラジカル共重合させることにより得られる、側鎖や末端に環状エーテル基を有するコオリゴマーもしくはコポリマー、
(6)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートをカチオン重合させることにより得られる、側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマーもしくはホモポリマー、
(7)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを他のカチオン重合可能な単量体とカチオン共重合させることにより得られる、側鎖や末端にビニル基を有するコオリゴマーもしくはコポリマー、
(8)前記重合が、熱又は活性エネルギー線による重合反応であることを特徴とする、上記(4)〜(7)のいずれか一項に記載のオリゴマーもしくはポリマー、
(9)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物、
(10)上記(4)〜(7)記載の側鎖に環状エーテル基又はビニル基を有するオリゴマー若しくはポリマーを含有する活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物、
(11)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを構成単位として1〜90重量%含有する、上記(9)に記載の活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物、
(12)上記(4)〜(7)記載の側鎖に環状エーテル基又はビニル基を有するオリゴマー若しくはポリマーを構成単位として0.1〜80重量%含有する、上記(10)に記載の活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物、
(13)基材上に上記(9)〜(12)のいずれか一項に記載の光造形樹脂組成物を塗布した後、活性エネルギー線により重合して形成されることを特徴とする造形物
を提供するものである。
本発明は特殊な重合禁止剤を使用せず、活性の高い(メタ)アクリル基の重合反応、マイケル付加反応などの副反応が十分に抑制できる製造方法であり、高収率で高純度の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを工業的に有利に製造することができる。また、本発明の製造方法で得られる環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)が単独および/または他の重合可能の単量体とラジカル重合或いはカチオン重合させることにより、側鎖にカチオン重合性環状エーテル基或いはビニル基を有するオリゴマー、ポリマーを得ることができる。
本発明で得られるモノマーは低粘度で、低硬化収縮性環状エーテル基を有し、また両親媒性であるため各種樹脂組成物、重合性モノマーやオリゴマー、有機溶媒に対する相溶性に優れ、該モノマー、オリゴマーおよびポリマーからなる活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物が低粘度、低硬化収縮性、高硬化性、高耐熱性、優れる寸法安定性を有している。その理由は明らかではないが、該発明で製造される環状エーテル基含有(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線照射によりビニル基のラジカル重合と環状エーテル基のカチオン重合が同時に起こり、高硬化性と低硬化収縮性が同時に提供できるためであると発明者らは推測している。また、ラジカル重合とカチオン重合が同時進行可能であるため、ハイブリッド系に於いても、十分な成形精度と寸法安定性を与えることができると考える。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる一般式[1]で表される環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体は、一般式[5]で表されるエステル基含有ノルボルネン誘導体と一般式[6]で表される環状エーテル基含有アルコールとを塩基性触媒を用いてエステル交換反応させることで得ることができる。
本発明で用いられる一般式[5]で表されるエステル基含有ノルボルネン誘導体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸エチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸プロピル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸プロピル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸ブチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸ブチルなどが挙げられ、それらのアルキル基は直鎖のみならず分岐構造であってもよい。また、立体的障害が小さいことから、好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−メチル−2−カルボン酸メチルである。
本発明で用いられる一般式[6]で表される環状エーテル基含有アルコールとしては、エポキシドを含有するアルコールやオキセタンを含有するアルコールが挙げられる。
エポキシドを含有するアルコールとしては、2,3−エポキシ−1−プロパノール(グリシドール)、3,4−エポキシ−1−ブタノール、4,5−エポキシ−1−ペンタノール、5,6−エポキシ−1−ヘキサノール、6,7−エポキシ−1−ヘプタノール、エチレングリコールモノグリシジルエーテル、プロピレングリコールモノグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールモノグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールモノグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、3,4−エポキシ−1−(ヒドロキシメチル)−1−メチルシクロヘキサン、3,4−エポキシ−1−(ヒドロキシメチル)−6−メチルシクロヘキサンなどが挙げられ、それらのアルキル基は直鎖のみならず分岐構造であってもよい。
オキセタンを含有するアルコールとしては、3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−ヒドロキシプロピルオキセタン、3−ヒドロキシブチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、2−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−プロピル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−メチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、2−エチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、2,3−ジメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,3−ジメチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、2,4−ジメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,4−ジメチル−3−ヒドロキシエチルオキセタン、3−メチル−2−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−メチル−3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、2,3,4−トリメチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどが挙げられ、それらのアルキル基は直鎖のみならず分岐構造であってもよい。
エステル交換反応時の一般式[5]で表されるエステル基含有ノルボルネン誘導体と一般式[6]で表される環状エーテル基含有アルコールの仕込みモル比は、化学量論的な量を使用することができ、又は任意であるが、一方を過剰に用いることで反応の完結が促進されるため、好ましい。一般的には、エステル基含有ノルボルネン誘導体と環状エーテル基含有アルコールの配合比は0.1〜10倍モルである。0.1倍モルより少ない或いは10倍モルより多い場合、1バッチあたりの得量が少なく、余剰分の回収にも時間がかかる問題がある。
上記反応に用いられる塩基性触媒としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−n−プロポキシド、ナトリウムイソプロポキシド、ナトリウム−n−ブトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−n−プロポキシド、カリウムイソプロポキシド、カリウム−n−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウム−n−プロポキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウム−n−ブトキシド、リチウム−t−ブトキシドなどが挙げられる。触媒の使用量はエステル基含有ノルボルネン誘導体と環状エーテル基含有アルコールのうち、仕込み比の少ない方に対して0.1〜5モル%、好ましくは0.5〜3モル%である。0.1モル%より少ないと反応速度が上がらず、時間反応を延長する必要があり、経済的な面に不利である。一方、5モル%より多いと触媒の除去排出時に操作が困難となる。
上記反応の温度は、エステル基含有ノルボルネン誘導体と環状エーテル基含有アルコールの品種と配合比、反応に用いる塩基性触媒品種と使用量などに応じて、適切に選定されるが、通常40〜150℃程度の範囲である。40℃より低い温度では、殆ど反応が進行せず、150℃より高い温度では、副生成物が著しく増加する問題がある。
上記反応を行う際に、溶媒を使用しても何ら差し支えない。溶媒としては、触媒を含めた原料並びに生成する化合物との副反応を起さず、触媒を含めた原料を溶解できれば、一般的な溶媒を使用することができる。例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラメチル尿素、ジメチルエチレン尿素、ジメチルプロピレン尿素、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ピリジン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタンなどが挙げられる。
原料の仕込み方法としては、一般式[5]で表されるエステル基含有ノルボルネン誘導体と一般式[6]で表される環状エーテル基含有アルコール、触媒、溶媒を一括で仕込む方法、エステル基含有ノルボルネン誘導体と触媒、溶媒を予め反応容器に仕込み、それに環状エーテル基含有アルコールを滴下させる方法等を挙げることができる。
一般式[4]で表される環状エーテル基含有(メタ)アクリレートは、従来公知の方法により、一般式[1]で表される環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を熱分解することで得ることができる。例えば、特公昭55−11655、特公昭56−20309、特公昭57−52329、特開2001−58986、特開2004−238342、特開2005−314279などに記載されているような方法で熱分解することができ、環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの粗モノマーが得られる。
得られた粗モノマーは減圧蒸留により精製することができ、高純度の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを得ることができる。
得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートは、活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物用途において、そのまま原料として使用したり、オリゴマーやポリマーの構成成分の一部または全部として組み込み、側鎖や末端に環状エーテル基やビニル基を有するオリゴマー、ポリマーに加工した後、原料として使用したりすることができる。
前記側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマーとホモポリマーは、本発明で得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートのラジカル重合により簡便に得ることができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化型立体造形物の種々の性能、例えば引張強度、曲げ強度と衝撃強度などをさらに調整する際には、他のラジカル重合性化合物と混合して共重合させることにより側鎖や末端にビニル基を有するコオリゴマーとコポリマーを得ることができる。他のラジカル重合性化合物としては、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、不飽和ニトリルモノマー、不飽和カルボン酸、アミド基含有モノマー、メチロール基含有モノマー、アルコキシメチル基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、多官能性モノマー、ビニルエステル、ビニルエーテル、オレフィンなど分子鎖中に反応性二重結合を持つラジカル重合性化合物が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アルキル鎖長C8〜C20の長鎖脂肪族(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和ニトリルモノマーの例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネートなどが挙げられる。
アミド基含有モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド、N−ペンチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−へプチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチル(メタ)アクリルアミド、N−ノニル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−テトラデシル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、N−オレイル(メタ)アクリルアミド、N−ステアリル(メタ)アクリルアミド、N−エイコシル(メタ)アクリルアミド、N−ドコシル(メタ)アクリルアミド、N−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−イソボルニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ビニルピロリドン、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ビスヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
このようなラジカル重合性化合物は、1種類に限らず、複数の種類を組み合わせて使用してもよい。
前記側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマー、ホモポリマーあるいはコオリゴマー、コポリマーにおいて、構成単位である環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの配合量が5〜100モル%、好ましい10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。5モル%未満であると、十分な硬化性向上効果と硬化収縮率低減効果を付与することが困難である。
前記の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートのラジカル単独重合または他種重合性化合物とのラジカル共重合は、熱重合開始剤或いは光重合開始剤存在下、加熱或いは活性エネルギー線照射により行うことができる。
熱ラジカル重合開始剤存在下の熱重合は公知の方法によって行うことができる。例えば、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等の方法を用いられる。溶液重合は有機溶媒中の溶液重合法を採用する場合、重合溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミドなどの単独もしくは混合で用いることができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物系触媒や、ベンゾイルパーオキシド、過酸化水素等の過酸化物系触媒、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過硫酸塩系触媒等を用いることができる。重合開始剤の使用量は、通常重合性単量体成分総量に対して0.001〜10重量%程度である。また、連鎖移動剤による分子量の調整など通常のラジカル重合技術が適用される。
活性エネルギー線照射によるラジカル重合は公知の方法によって行うことができる。本発明の活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線(UV)、電子線(EB)、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。ただし、一定のエネルギーレベルを有し、硬化速度が速く、しかも照射装置が比較的安価で、小型である点から、紫外線を使用することが好ましい。
活性エネルギー線照射によるラジカル重合を行う際には、光ラジカル重合開始剤を添加しておく。光重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いる場合には特に必要はないが、紫外線を用いる場合には必要となる。光重合開始剤としては特に制限はなく、例えばアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから適宜選択すればよい。光重合開始剤のうち、市販の光重合開始剤としてはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocur1116、Darocur1173、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE500、IRGACURE651、IRGACURE754、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE1300、IRGACURE1800、IRGACURE1870、IRGACURE2959、IRGACURE4265、LUCIRIN
TPO、UCB社製、商品名ユベクリルP36等を用いることができる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの光重合開始剤の使用量は特に制限されないが、一般に活性エネルギー線重合性単量体の合計に対して、0.1〜20重量%、中でも0.5〜10重量%が添加されることが好ましい。0.1重量%未満では十分な重合性が得られず、20重量%越えると重合物が黄変してしまう可能性がある。
本発明の側鎖又は末端に環状エーテル基を有するホモ又はコオリゴマーの分子量は重量平均で200〜5,000である。また、好ましくは300〜3,000、さらに好ましくは500〜2,000である。また、本発明の側鎖又は末端に環状エーテル基を有するホモ又はコポリマーの分子量は重量平均で5,000を超えて、かつ200,000以下のポリマーである。重量平均分子量が200未満では十分な機械的強度や耐熱性が得られない場合があり、また、200,000を超えるとそれを用いて調製される組成物の粘度が著しく高くなり、好ましくない。
前記側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマーとホモポリマーは、本発明で得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートがカチオン重合により簡便に得ることができる。また、本発明の活性エネルギー線硬化型立体造形物の種々の性能、例えば表面硬度、熱変形温度などをさらに調整する際には、他のカチオン重合性化合物と混合して共重合させることにより側鎖や末端にビニル基を有するコオリゴマーとコポリマーを得ることができる。他のカチオン重合性化合物としては、脂環式エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基からなる群から選ばれる官能基を分子内に少なくとも1個有するカチオン重合性化合物とが挙げられる。
脂環式エポキシ基を有するカチオン重合性化合物としては、具体的には、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン−1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステルなどを挙げることができる。
ビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物としては、例えばエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
オキセタン基を有するカチオン重合性化合物としては、ビスフェノールA型オキセタン化合物、ビスフェノールオキセタン化合物、ビスフェノールS型オキセタン化合物、キシリレン型オキセタン化合物、フェノールノボラック型オキセタン化合物、クレゾールノボラック型オキセタン化合物、アルキルフェノールノボラック型オキセタン化合物、ビフェノール型オキセタン化合物、ビキシレノール型オキセタン化合物、ナフタレン型オキセタン化合物、ジシクロペンタジエン型オキセタン化合物、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のオキセタン化物などが挙げられる。具体例としては、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタンであるアロンオキセタンOXT−221(東亜合成株式会社製)、キシリレンビスオキセタンであるアロンオキセタンOXT−121(東亜合成株式会社製)等が挙げられ、中でもアロンオキセタンOXT−221等が好適である。
これらのカチオン重合性化合物は単独で又は2種以上を組合わせて使用することができる。
前記側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマー、ホモポリマーあるいはコオリゴマー、コポリマーにおいて、構成単位である環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの配合量が5〜100モル%、好ましい10モル%以上、さらに好ましくは20モル%以上である。5モル%未満であると、十分な表面硬化向上と耐熱性向上効果を付与することが困難である。
前記の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートのカチオン単独重合または他種重合性化合物とのカチオン共重合は、熱重合開始剤或いは光重合開始剤存在下、加熱或いは活性エネルギー線照射により行うことができる。
熱重合開始剤存在下の熱重合は公知の方法によって行うことができる。例えば、溶液重合、塊状重合等の方法を用いられる。溶液重合は有機溶媒中の溶液重合法を採用する場合、重合溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトンなどの非プロトン性溶媒を単独もしくは混合で用いることができる。
光カチオン重合開始剤は、光(例えば、紫外線、紫外線レーザー光、可視光線または赤外線)によりルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。具体的には、例
えば、ジアゾニウム塩タイプ、ヨードニウム塩タイプ、ホスホニウム塩タイプ、スルホニウム塩タイプ等のオニウム塩タイプ;ピリニジウム塩タイプ;鉄−アレーン化合物タイプ;スルホン酸エステルタイプ、ホウ素化合物等の化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱カチオン重合開始剤は、熱により分解し、ルイス酸またはプロトン酸を発生しうる化合物である。具体例としては、スルホ二ウム塩系重合開始剤、ヨードニウム塩タイプ、ホスホニウム塩タイプ等が挙げられ、中でもスルホ二ウム塩系重合開始剤がより好ましい。かかるスルホ二ウム塩系重合開始剤の具体例としては、アデカオプトマーCP−77(株式会社ADEKA製)、アデカオプトンSP−150(株式会社ADEKA製)、サンエイドSI−80L(三新化学工業製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カチオン重合開始剤は、通常カチオン重合性単量体の合計に対して0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜8重量%であり、特に好ましくは0.5〜6重量%である。カチオン重合開始剤が0.1重量%未満場合には、重合速度が遅くまたは硬化不足によるタックフリーできない問題点であり、好ましくない。一方、カチオン重合開始剤が10重量%を超えた場合には、重合速度が制御し難くなり、反応が暴走してしまう可能性がある。
本発明の側鎖又は末端にビニル基を有するホモ又はコオリゴマーの分子量は重量平均で200〜5,000である。また、好ましくは300〜3,000、さらに好ましくは500〜2,000である。本発明の側鎖又は末端に環状エーテル基を有するホモ又はコポリマーの分子量は重量平均で5,000を超えて、かつ200,000以下のポリマーである。重量平均分子量が200未満では十分な表面硬化性が得られない場合があり、また、200,000を超えるとそれを用いて調製される組成物の粘度が著しく高くなり、好ましくない。
本発明の製造方法で得られる環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)、該モノマーからなる側鎖や末端に環状エーテル基またはビニル基を含有する反応性オリゴマーとポリマーは、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の成分として用いることができる。活性エネルギー線硬化方法は特に制限されるものではなく、ラジカル硬化型、カチオン硬化型、アニオン硬化型、又はこれら硬化型の組合せが挙げられる。環状エーテル基含有(メタ)アクリレートをそのまま(100重量%)活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として使用することもできる。また、具体的な3D光造形用樹脂組成物等によって、各種のポリマー、オリゴマーとモノマーと併用することができる。
本発明の環状エーテル基含有(メタ)アクリレート(モノマー)および該モノマーからなる反応性オリゴマーとポリマーを構成成分として配合する活性エネルギー線硬化性立体造形樹脂組成物において、硬化速度や造形物の硬度、架橋率等を調整する目的で、2個以上のエチレン基を有する多官能のモノマーやオリゴマーを添加してもよい。多官能モノマーの具体例としては、(メタ)アクリレートペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、エチレンビスメタアクリルアミド、ジアリルアクリルアミド、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタンアクリルアミド等が挙げられる。
これらの多官能のモノマーやオリゴマーは、1種類に限らず、複数を組み合わせて使用してもよい。また、このような多官能のモノマーやオリゴマーを使用する場合、本発明の活性エネルギー線硬化性立体造形樹脂組成物に対して1〜50重量%含有させることが好ましく、また2〜30重量%含有させることが特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物(光重合開始剤)を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線と定義される。このような活性エネルギー線としては、可視光、電子線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性立体造形樹脂組成物を硬化させる際には、光重合開始剤を添加しておく。光重合開始剤は、活性エネルギー線として電子線を用いる場合には特に必要はないが、紫外線を用いる場合には必要となる。光重合開始剤はアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから適宜選択すればよい。光重合開始剤のうち、市販の光重合開始剤としてはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocur1116、Darocur1173、Irgacure184、Irgacure369、Irgacure500、Irgacure651、Irgacure754、Irgacure819、Irgacure907、Irgacure1300、Irgacure1800、Irgacure1870、Irgacure2959、Irgacure4265、IrgacureTPO、Irgacure250、Irgacure270、UCB社製、商品名ユベクリルP36、ローディア社製 商品名ロードシル2074、サンアンプロ(株)社製 ジフェニル−(4−フェニルチオ)フェニルスルフォニウム ヘキサフルオロ
フォスフェート(商品名:CPI−100P)等を用いることができる。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの光重合開始剤の使用量は特に制限されていないが、一般に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物やコート剤に対して、1〜10重量%、中でも2〜5重量%が添加されることが好ましい。1重量%未満だと十分な硬化性が得られず、10%を越えると塗膜の強度低下や黄変してしまう可能性がある。
本発明の活性エネルギー線硬化型立体造成樹脂組成物及びそれから作製される成形品の特性を阻害しない範囲で、顔料、染料、界面活性剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤等の他の任意成分を併用してもよい。
以下に合成実施例及び評価実施例により、本発明を詳細に、より具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下において、収率以外の%は重量%を表す。
合成実施例1
還流冷却管、撹拌機、温度計及びガス導入管を設けた5000mL容量のフラスコに、グリシドール 400g、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸メチル(略称ESD) 4315g、ナトリウムメトキシド 4.0gを加え、窒素ガスを吹き込みながら、80℃まで昇温し、6時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃まで冷却し、98%の硫酸3.8gで中和し、減圧下で副生したメタノール、水及び未反応の原料などを留出除去し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸グリシジル(略称GNC) 1040gを薄黄色液体として得た。ガスクロマトグラフで分析した結果、純度は98.2%であった。
得られたGNCを用い、45Torrの減圧下、400℃に加熱した熱分解管連続供給しながら気相熱分解させ、生成したグリシジルアクリレート(略称GA)を30℃の熱交換器で凝縮し、粗モノマーとして回収した。薄黄色粗モノマーを20cmのマクマホンパッキン(サイズ6mm)充填塔付きの蒸留精製装置に移し、減圧蒸留により精製を行い、無色液体として高純度品(純度99.6%)のGA(40℃/3Torr)を605g取得した。収率は87.2%であった。
合成実施例2
合成実施例1と同様の3000mLの反応容器に、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン 500g、ESD 1962g、ナトリウムメトキシド 3.5gを加え、80℃で8時間反応させた。反応終了後、合成実施例1と同様に反応液を冷却、中和し、減圧下で副生成物、未反応の原料を留出除去し、ほぼ無色液体ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(略称ONC) 980g(純度97.2%)を得た。
得られたONCを用い、30Torrの減圧下、420℃に加熱した熱分解管連続供給しながら気相熱分解させ、生成したアクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(略称OA)を30℃の熱交換器で凝縮し、粗モノマーとして回収した。粗モノマーを20cmのマクマホンパッキン(サイズ6mm)充填塔付きの蒸留精製装置に移し、減圧蒸留により精製を行い、純度99.3%のOA(73℃/2.5Torr)を650g取得した。収率は88.3%であった。
合成実施例3
撹拌機、温度計、滴下ロート、還流冷却管及びガス導入管を設けた3000mL容量のフラスコに、1,4‐ブタンジオール 325.2g、エピクロロヒドリン 1665gを仕込んだ。減圧下(150Torr)70℃にて撹拌しながら、48%水酸化ナトリウム水溶液360gを5時間かけて滴下し、滴下後70℃で更に3時間の残反応を行った。滴下中及び残反応中、エピクロロヒドリンは系内に循環し、水のみ反応系外へ留去した。反応終了後、析出した塩を濾過により除去し、1,4−ブタンジオールモノグリシジルエーテル 495.8gを得た。
次に上記で得られた1,4−ブタンジオールモノグリシジルエーテル 400gを合成実施例1と同様の3000mLの反応容器に添加し、ESD 1250g、ナトリウムメトキシド 2.03gを加え、100℃で8時間反応させた。反応終了後、合成実施例1と同様に反応液を冷却、中和し、減圧下で副生成物、未反応の原料を留出除去し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル(略称4HBNCGE) 702.6g(純度96.3%)を得た。
得られた4HBNCGEを用い、30Torrの減圧下、440℃に加熱した熱分解管連続供給しながら気相熱分解させ、生成したアクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル(略称4HBAGE)を30℃の熱交換器で凝縮し、粗モノマーとして回収した。粗モノマーを20cmのマクマホンパッキン(サイズ6mm)充填塔付きの蒸留精製装置に移し、減圧蒸留により精製を行い、純度99.1%の4HBAGE(120℃/3Torr)を454.5g取得した。収率は87.5%であった。
合成実施例6
合成実施例1と同様の3000mLの反応容器に、3,4−エポキシ−1−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン(略称ETHB) 400g、ESD 1425g、ナトリウムメトキシド 2.31gを加え、100℃で10時間反応させた。反応終了後、合成実施例1と同様に反応液を冷却、中和し、減圧下で副生成物、未反応の原料を留出除去し、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボン酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(略称ECHMNC) 737g(純度95.3%)を得た。
得られた中間体を用い、30Torrの減圧下、440℃に加熱した熱分解管連続供給しながら気相熱分解させ、生成したアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(略称ECHMA)を30℃の熱交換器で凝縮し、粗モノマーとして回収した。粗モノマーを20cmのマクマホンパッキン(サイズ6mm)充填塔付きの蒸留精製装置に移し、減圧蒸留により精製を行い、純度99.3%のECHMA(85℃/3Torr)を504.7g取得した。収率は81.7%であった。
合成比較例1
合成実施例1と同様の装置を設けた2000mL容量のフラスコに、グリシドール 130g、アクリル酸メチル 755g、ナトリウムメトキシド 1.2g、ハイドロキノンモノメチルエーテル 1.5gを加え、空気を吹き込みながら、70〜80℃まで昇温し、生成するメタノールを留去しながら、4時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃まで冷却し、98%の硫酸 1.2gで中和し、粘性のある黄色液体 865gを得た。ガスクロマトグラフ分析により反応液中のグリシジルアクリレートの純度は10.4%であった。また、ゲル浸透クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフとガスクロマトグラフ分析により主な副生成物としてポリマー8%、アクリル酸メチルとメタノールのマイケル付加体16%、グリシジルアクリレートとメタノールのマイケル付加体11%を含有することを確認した。減圧下で未反応のアクリル酸メチルと低沸点副生成物を除去し、充填塔付きの蒸留精製装置で減圧蒸留を行い、純度97.6%のGA 65gを取得した。収率は28.3%であった。
合成比較例2
合成比較例1と同様の反応容器に、グリシドール 100g、アクリル酸メチル 581g、ジメチルホルムアミド 300g、ナトリウムメトキシド 1g、ハイドロキノンモノメチルエーテル 1.2gを加え、合成比較例1と同様にして4時間反応させた。反応終了後、反応液を50℃まで冷却し、硫酸0.9gで中和した。反応液をガスクロマトグラフで分析した結果、GAの収率は22.5%であった。
合成比較例3
合成比較例1のナトリウムメトキシドを酢酸カリウム 1.7gに変更した以外は、合成比較例1と同様に実施した。反応終了後、反応液をガスクロマトグラフで分析した結果、GAの収率は25.6%であった。
側鎖環状エーテル基有するオリゴマー、ポリマーの合成
合成実施例7
攪拌機、還流冷却管、温度計及びガス導入管を設けた500mL容量のセパラブルフラスコに、ブチルアクリレート(BA) 100g(0.780mol)、GA 25.0g(0.195mol)、キノエクスターQE−2014 1.0g(川崎化成工業製)と酢酸エチル220gを投入し、室温で撹拌しながら、1時間窒素ガスを通した。その後、ラジカル重合開始剤としてV−65 2.42g(9.75mmol)を酢酸エチル30gに溶解させた溶液を加え、窒素ガスを通しながら70℃に昇温して8時間重合反応を実施した。重合溶液を減圧下40℃加熱して酢酸エチルを蒸留除去し、イソプロピルエーテルで洗浄した後、真空乾燥を行い、ほぼ無色透明なワックス状GA配合コオリゴマー115.0gを取得した。収率は92%であった。赤外吸収スペクトル(IR)により分析し、二重結合C=Cの特有吸収(1620〜1640cm−1)が消失し、BAのエステルの特有吸収(1730cm−1)およびGAのグリシジル基特有吸収(910cm−1)が検出され、BAとGAの共重合体(略称:GAコオリゴマー(a))の生成を確認した。該共重合体の重量平均分子量は4200であった。
合成実施例8
攪拌機、還流冷却管、温度計及びガス導入管を設けた500mL容量のセパラブルフラスコに、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル(4HBAGE) 125g(0.624mol)とメチルエチルケトン220gを投入し、室温で撹拌しながら、1時間窒素ガスを通した。その後、ラジカル重合開始剤としてV−65 1.55g(6.24mmol)をメチルエチルケトン30gに溶解させた溶液を加え、窒素ガスを通しながら70℃に昇温して8時間重合反応を実施した。重合溶液を減圧下40℃加熱してメチルエチルケトンを蒸留除去し、イソプロピルエーテルで洗浄した後、真空乾燥を行い、ほぼ無色透明なワックス状4HBAGEホモポリマー113.5gを取得した。収率は90.8%であった。赤外吸収スペクトル(IR)により分析し、二重結合C=Cの特有吸収(1620〜1640cm−1)が消失し、4HBAGEのエステルの特有吸収(1730cm−1)およびグリシジル基特有吸収(910cm−1)が検出され、側鎖に環状エーテル基を有するカチオン重合性単独重合体(略称:4HBAGEホモポリマー(b))の生成を確認した。該共重合体の重量平均分子量は68800であった。
側鎖にビニル基を有するオリゴマー、ポリマーの合成
合成実施例9
攪拌機、還流冷却管と温度計を設けた500mL容量のセパラブルフラスコに、グリシジルメタクリレート(GMA) 71.1g(0.5mol)、ブチルグリシジルエーテル(BGE) 65.1g(0.5mol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル2.84g(20.0mmol)とクロロホルム250gを投入し、15℃で5時間撹拌しながら、重合反応を行った。その後、室温、減圧下で重合溶液からクロロホルムを留去し、イソプロピルエーテルで洗浄した後、真空乾燥を行い、ほぼ無色透明なワックス状GMA配合コオリゴマー106.5gを取得した。収率は78.2%であった。赤外吸収スペクトル(IR)により分析し、グリシジル基特有吸収(910cm−1)が消失し、GMAの二重結合C=Cの特有吸収(1637cm−1)およびBGEの飽和アルキル鎖由来の吸収(2900cm−1)が検出され、BGEとGMAのラジカル重合性共重合体(略称:GMAコオリゴマー(c))の生成を確認した。該共重合体の重量平均分子量は1440であった。
合成実施例10
攪拌機、還流冷却管と温度計を設けた500mL容量のセパラブルフラスコに、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(ECHMMA)150g(0.764mol)、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル2.17g(15.3mmol)とクロロホルム250gを投入し、20℃で8時間撹拌しながら重合反応を行った。その後、室温、減圧下で重合溶液からクロロホルムを留去し、イソプロピルエーテルで洗浄した後、真空乾燥を行い、ほぼ無色透明なワックス状ECHMMAのカチオン重合体139.5gを取得した。収率は93.0%であった。赤外吸収スペクトル(IR)により分析し、脂環式エポキシ基特有吸収(920cm−1)が消失し、二重結合C=Cの特有吸収(1638cm−1)が検出され、ラジカル重合性単独重合体(略称:ECHMMAホモポリマー(d))の生成を確認した。該共重合体の重量平均分子量は5320であった。
本発明の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートについて、活性エネルギー線硬化性の評価結果、及び活性エネルギー線硬化性立体造形樹脂組成物としたときの各応用分野における特性の評価結果などを以下に示す。実施例及び比較例に用いた材料は以下の通りである。
GA:グリシジルアクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
OA:アクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
OMA:メタクリル酸(3−エチル−3−オキセタニル)メチル
4HBAGE:アクリル酸4−ヒドロキシブチルグリシジルエーテル
ECHMA:アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
ECHMMA:メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル
「DMAA」:N,N−ジメチルアクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製、
商品名「DMAA」)
「ACMO」:アクリロイルモルホリン(興人フィルム&ケミカルズ社製、商品名
「ACMO」)
「HEAA」:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人フィルム&ケミカルズ社製、
商品名「HEAA」)
DEAA:N,N−ジエチルアクリルアミド
IBOA:イソボルニルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート
TEDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
UV−6640B:ウレタンアクリレート(日本合成化学社製)
EBECRYL3700:エポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製)
アロニックスM−8560:ポリエステルアクリレート(東亞合成社製)
PGE:フェニルグリシジルエーテル
ECC:3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセン
カルボキシレート
評価実施例1
GA 40g、UV−6640B 10g、PETA 20g、「DMAA」 30gを均一に混合し、該混合液に対して光ラジカル重合開始剤としてDarocur
1173 3g、光カチオン重合開始剤としてIrgacure 250を加え、混合溶解させ、活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用いて、下記方法により樹脂組成物の粘度を測定し、紫外線照射により硬化試験片と立体造形物を作製した。樹脂組成物の粘度値、硬化性、硬化試験片の引張特性、曲げ特性等力学的特性や熱的特性、立体造形物の収縮率、表面強度等を測定し、表1に示す。
(1) 粘度
得られた活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物の25℃条件下における粘度はRE550型粘度計(東機産業社製)を用いて測定した。
(2) 硬化性
得られた活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物をアプリケーターバーを用い、ガラス板上に紫外線硬化型立体造形樹脂組成物を塗布し、紫外線(高圧水銀灯1本を設置したオーク製作所 モデルOHD320M、波長365nm)を照射し、硬化させた。樹脂組成物が完全硬化するまでの積算光量を測定した。
◎:1000mJ/cmで完全硬化
〇:1000〜2000mJ/cmで完全硬化
△:2000〜5000mJ/cmで完全硬化
×:完全硬化までに5000mJ/cm以上が必要
(3)引張試験用試験片の作製と引張試験
アプリケーターバーを用い、ガラス板上に紫外線硬化型立体造形樹脂組成物を塗布し、紫外線(高圧水銀灯1本を設置したオーク製作所 モデルOHD320M、波長365nm;積算光量1000mJ/cm)を照射することを繰り返して積層させた。硬化フィルムをJIS
K−7113に準拠したダンベル状に加工し、引張試験の試験片とした。JIS K−7113に準じ、精密万能試験機(島津製作所製、AG−X 500N)を用いて硬化試験片の引張試験を行い、引張強度、引張伸度および引張弾性率を測定した。得られた各測定値を以下基準に基づき評価する。
引張強度
◎:最大点応力が40MPa以上
〇:最大点応力が30〜40MPa
△:最大点応力が15〜30MPa
×:最大点応力が15MPa以下
引張伸度
◎:破断点伸度が100%以上
〇:破断点伸度が80〜100%
△:破断点伸度が50%〜80%
×:破断点伸度が50%以下
引張弾性率
◎:1500MPa以上
〇:1000〜1500MPa
△:500〜1000MPa
×:500MPa以下
(4)曲げ試験用試験片の作製と曲げ試験
(3)同様に硬化フィルムを作製し、JIS K−7171に準拠したバー状に加工し、曲げ試験の試験片とした。JIS
K−7171に準じ、精密万能試験機(島津製作所製のAG−X 500N)を用いて硬化試験片の曲げ試験を行い、試験片の曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。得られた各測定値を以下基準に基づき評価する。
曲げ強度
◎:最大曲げ応力が80MPa以上
〇:最大曲げ応力が50〜80MPa
△:最大曲げ応力が30〜50MPa
×:最大曲げ応力が30MPa以下
曲げ弾性率
◎:1500MPa以上
〇:1000〜1500MPa
△:500〜1000MPa
×:500MPa以下
(5)硬化収縮率
得られた活性エネルギー線硬化型立体造形樹脂組成物を用い、樹脂硬化収縮応力測定装置(センテック社製、型式EU201)により硬化収縮率を測定した。UV照射機としてUHSIO社製のスポットUV照射装置スポットキュアシリーズSP−9を使用し、照度1.5mW/cm、光量150mJ/cmで照射し、樹脂組成物の表面変位量測定により硬化収縮率を算出した。
(6)表面硬度
(3)で作製した引張試験用試験片を使用し、表面硬度を「アスカーD型硬度計(高分子計器社製)」を用いてデュロメーター法より測定した(JIS
K6253準拠)。
(7)熱変形温度
(3)で作製した引張試験用試験片を使用し、熱変形温度を測定した(JIS K7207準拠)。
評価実施例2〜12、評価比較例13〜18
表1に記載の組成に変えた以外は評価実施例1と同様に光造形物を作製、評価した。評価実施例の結果を表1、評価比較例の結果を表1に示す。
Figure 2015021045
Figure 2015021045
評価実施例と評価比較例の結果に示されるとおり、従来の光硬化性樹脂組成物は樹脂組成物では粘度が過大であることや酸素阻害による硬化不良となることからインクジェット方式光造形法での使用は極めて困難であった。本発明はこれらの問題を解決し、本発明の製造方法で得られる環状エーテル基含有(メタ)アクリレートは低粘度でありながら活性エネルギー線硬化性が高く、機械的強度と低硬化収縮性を兼ね備えており、また両親媒性であるため各種樹脂組成物、重合性モノマーやオリゴマー、有機溶媒に対する相溶性に優れることから、配合することによって、低粘度、高硬化性、高透明性、高密着性、高強度、低収縮性など高性能を有する樹脂組成物を簡便に取得することができる。
本発明によれば、環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを工業的に有利に製造できる。本発明により得られた(メタ)アクリルモノマーは、活性エネルギー線に対し敏感に硬化反応を起こし、かつ低粘度であるためインクジェット型光立体造形用途に好適に用いることができる。

Claims (13)

  1. 一般式[1](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは一般式[2]もしくは[3](一般式[2],[3]中のRは炭素原子数1〜3の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示し、複数のRは同じであっても異なっていてもよく、mは0または1、nは0〜(m+2)、pは0〜6の整数を示す。)を表す。)で表される環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を熱分解することを特徴とする、
    Figure 2015021045

    Figure 2015021045

    Figure 2015021045

    一般式[4](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは前記一般式[2]もしくは[3]を表す。)で表わされる環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法。
    Figure 2015021045

  2. 前記環状エーテル基含有ノルボルネン誘導体を、一般式[5](式中、RはHまたはCHを、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)で表わされるエステル基含有ノルボルネン誘導体と
    Figure 2015021045

    一般式[6](式中、Rは炭素原子数1〜7のアルキレン基または炭素原子数1〜7、酸素原子数1のアルキレンエーテル基を示し、直鎖のみならず分岐構造も表し、Xは前記一般式[2]もしくは[3]を表す。)で表わされる環状エーテル基含有アルコールとのエステル交換反応により得ることを特徴とする請求項1記載の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法。
    Figure 2015021045

  3. 前記環状エーテル基含有(メタ)アクリレートがグリシジル(メタ)アクリレートであることを特徴とする、請求項1または2に記載の環状エーテル基含有(メタ)アクリレートの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートをラジカル重合させることにより得られる、側鎖や末端にカチオン重合性環状エーテル基を有するホモオリゴマーもしくはホモポリマー。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを他の共重合可能なビニル系単量体とラジカル共重合させることにより得られる、側鎖や末端に環状エーテル基を有するコオリゴマーもしくはコポリマー。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートをカチオン重合させることにより得られる、側鎖や末端にビニル基を有するホモオリゴマーもしくはホモポリマー。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを他のカチオン重合可能な単量体とカチオン共重合させることにより得られる、側鎖や末端にビニル基を有するコオリゴマーもしくはコポリマー。
  8. 前記重合が、熱又は活性エネルギー線による重合反応であることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか一項に記載のオリゴマーもしくはポリマー。
  9. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを含有する活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物。
  10. 請求項4〜7記載の側鎖に環状エーテル基又はビニル基を有するオリゴマー若しくはポリマーを含有する活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物。
  11. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法により得られた環状エーテル基含有(メタ)アクリレートを構成単位として1〜90重量%含有する、請求項9に記載の活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物。
  12. 請求項4〜7記載の側鎖に環状エーテル基又はビニル基を有するオリゴマー若しくはポリマーを構成単位として0.1〜80重量%含有する、請求項10に記載の活性エネルギー線硬化型光造形樹脂組成物。
  13. 基材上に請求項9〜12のいずれか一項に記載の光造形樹脂組成物を塗布した後、活性エネルギー線により重合して形成されることを特徴とする造形物。
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