JP5420956B2 - 電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物 - Google Patents
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Description
近年、光学部材やディスプレイ等の急速な需要の高まりに伴い、その表面を保護するための粘着フィルムの需要が急増している。このような背景の中、再剥離型のフィルムは、貼り付け時や再剥離時の性能が光学部材等の製造工程に影響を与え、またそれらの製品品質に対しても影響を及ぼすことから、その性能向上が望まれるところであった。
以下に本発明を詳述する。
偏光板の中には、表示部のぎらつき感を抑えるため表面に微細な凹凸を設けることで光の反射を抑制したいわゆるアンチグレア処理されたものがある。このアンチグレア処理された偏光板は微細な凹凸のために粘着剤の濡れが悪いという欠点を有する。本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物を用いて得られる粘着フィルムは、なじみ性に優れているために、アンチグレア処理された偏光板のような微細な凹凸を有する光学部材等にも好適に用いることができる。また、FPC基板において、銅箔をエッチングによりパターニングした処理後、基板上は凹凸面となっており、本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物より形成された再剥離粘着フィルムは凹凸面に優れた濡れ性を示し、銅箔表面の保護フィルムとして好適な性能を示す。
ここでいう微細な凹凸とは、凹凸の高低差が0.1〜10μm程度のものを言い、このような微細な凹凸を有する被着体としては、AG(アンチグレア、防眩)処理フィルム、AR(反射防止)フィルム、電磁波遮蔽フィルム、ガラス等が挙げられる。
凹凸高低差とは、JIS B0601に準拠して測定される十点平均粗さ(Rz)で示される数値である。被着体表面の凹凸高低差の測定には、例えば、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK−9710を用いることができる。
濡れ始めから全面が濡れるまでに要する時間(以下、濡れ時間という。)が上記のような範囲であれば、なじみ性に優れたものであるといえる。
なお、濡れ時間は、下記の測定条件で算出される値である。
微細凹凸面を有する被着体として、凹凸高低差5.7μm、表面粗さ(Ra)0.31μmである防眩処理フィルム(商品名「BOF−H141S」、バッファロー(BUFFALO)社製液晶保護フィルム)を用い、これに本発明の組成物を乾燥後の糊厚が20μmとなるように厚さ38μmのPETフィルムへ塗工し、硬化させて得られる粘着フィルム(粘着シート)を40mm×40mmの大きさに裁断したものを粘着面を下にして静かに置く。そして、粘着フィルムが防眩処理フィルムに濡れ始めてから(なじみ始めてから)試料の全面が濡れる(なじむ)のに要する時間を測定する。
本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物から得られる粘着フィルムがこれらを満たすものであると、なじみ性に優れるとともに、自己吸着性を有しており通常のプロテクトフィルムと比較して低い粘着力であるが、加熱時の接着昂進も抑制された粘着フィルムとなる。
なお、ここで、該粘着力に対してとは、被着体に貼り付けてから23℃で20分保持した後の粘着力の値に対してということを意味している。また、ここでいう粘着力とはフィルムを0.3m/分の剥離速度で180°剥離した時の粘着力を表している。
上記粘着シートの粘着力、及び、粘着力の比は、例えば、厚さ20μm、大きさ25mm×150mmの粘着フィルムをガラス板に貼り付け、2kgローラーで1往復圧着させて得られたものにおいて、被着体に貼り付けてから23℃で20分保持した後、フィルムを0.3m/分の剥離速度で180°剥離した時の粘着力(常態粘着力)、及び、該粘着力に対して、被着体に貼り付けてから110℃で20時間保持した後の粘着力の比を測定することにより測定することができる。
本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物の必須成分である可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジブトキシエチルアジペート、ジ−n−オクチルアジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジブチルセバケート、ジオクチルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート等のアゼライン酸エステル類;トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸エステル類;メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル類;トリオクチルトリメリテート、トリ−n−オクチル−n−デシルトリメリテート、トリメリット酸トリアルキル(C4〜C11)等のトリメリット酸エステル類;メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸エステル類;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸エステル類;モノブチルイタコネート等のイタコン酸エステル類;ブチルオレート等のオレイン酸エステル類;トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル類;ポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート等のポリエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシブチルステアレート等のエポキシ類などの低分子可塑剤、高分子可塑剤等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸のエステル化物としては、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、リシノール酸エステル類、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、オレイン酸エステル類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物が更に好ましい。特に好ましくは、アジピン酸エステル化合物及び/又はセバシン酸エステル化合物である。中でも、アジピン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシルが最も好ましい。
粘着剤組成物がそのような構成であった場合、粘着剤として要求される初期タック、粘着力、凝集力をより顕著に発揮することができる。多官能単量体(B)の使用量は、2〜40質量%であることがより好ましい。更に好ましくは、3〜25質量%である。多官能単量体(B)の使用量がこのような好ましい範囲であると、粘着力となじみ性とのバランスが更に優れたものとなる。
その他の多官能(メタ)アクリレートとしては、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類を適宜使用可能である。
また、多官能単量体(B)に加えて、必要に応じて、単官能単量体を併用することも可能である。これによって、所望の粘着物性を有するように電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物を微調整することができる。単官能単量体の使用量としては、アクリル系重合体(A)100質量%に対して0〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは、0〜25質量%であり、更に好ましくは、0〜20質量%である。単官能単量体の使用量がこのような好ましい範囲であると、硬化性を低下させることなく所望の粘着特性を付与することができる。
側鎖不飽和結合含有重合体の製造方法としては、(i)側鎖不飽和結合となる部分を有する単量体を用いて重合を行ってもよく、又は、(ii)重合体を調製した後に側鎖に不飽和結合を導入してもよい。これらの方法の中でも、上記(ii)の方法で行うことが好ましい。
上記(ii)のように不飽和結合を重合体の側鎖に導入する方法としては、不飽和結合及び官能基を有する化合物をアクリル系重合体(A)のもとになる重合体に付加させる(付加反応工程を行う)方法が挙げられる。
装置:HLC−8220GPC(商品名、東ソー社製)
溶出溶媒:テトラヒドロフラン
標準物質:東ソー社製標準ポリスチレン
分離カラム:TSKgel SuperHZM−M
なお、下記式中、Wnは、各単量体の質量分率を、Tgnは、各単量体のホモポリマーのTg(K)をそれぞれ表している。
また、アルキレンオキサイド骨格を有するアルキル(メタ)アクリレート等でも使用することが可能である。具体例としては、例えば、メトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のエトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、ブトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のブトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、フェノキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート型、メトキシ−ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシ−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート型等が挙げられる。
上述した(メタ)アクリレートの中でも特に、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート、イソデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、イソミリスチルアクリレートなどが好適である。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、適宜1種又は2種以上を併用して用いられる。
水酸基を有する単量体は、ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましくは、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。また、炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのなかでも、2−ヒドロキシエチルメタクリレート又は2−ヒドロキシエチルアクリレートを用いることが特に好ましい。
カルボキシル基を有する単量体は、(メタ)アクリル酸であることが好ましい。
その他のビニル系単量体とは、上記アルキル(メタ)アクリレート、及び、上記水酸基及び/又はカルボキシル基を有する単量体のいずれにも該当しない化合物であり、これらと共重合可能なビニル基含有単量体である。
その他のビニル系単量体としては、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び、スチレン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記その他のビニル系単量体としてより好ましくは、アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステルである。
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物;
2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
続いて、不飽和基二重結合及び官能基を有する化合物をアクリル系重合体(A)のもとになる重合体に付加させる工程(付加反応工程)について説明する。
上記一般式(1)で表される化合物において、R2は、炭素数1〜5のアルキル基の1の水素原子がイソシアネート基で置換された基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基の1の水素原子がイソシアネート基で置換された基である。なお、上記R2は、直鎖であっても分岐であってもよい。また、R2が有するイソシアネート基は、ブロックされていてもよい。
これらの化合物の中でも、(メタ)アクリロイルオキシメチルイソシアネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートが好ましい。より好ましくは、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートである。
このようなイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、カレンズシリーズ(昭和電工社製)等を用いることができる。
このような化合物としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸アリル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル等の脂肪族1,2−エポキシド基を有する単量体、3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン等の脂肪族1,3−エポキシド基を有する単量体、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキサイド等の脂環式1,2−エポキシド基を有する単量体が挙げられる。
これらの中でも、カルボキシル基への反応性及び経済性等の点で優れることから、脂肪族1,2−エポキシド基を有する単量体が好ましい。特に好ましくは、(メタ)アクリル酸グリシジルである。最も好ましくは、メタクリル酸グリシジルである。
このようなエポキシ基含有単量体ととしては、ブレンマーG(商品名、日油社製)等を用いることができる。
上記温度としてより好ましくは、55〜90℃であり、更に好ましくは、60〜80℃で行う。温度が50℃未満であると、反応に長い時間がかかったり、反応率が低下したりするおそれがある。温度が100℃を超えると、反応中に重合体がゲル化し易くなる。また、ゲル化を防ぐために、更に重合禁止剤を混合し、分子状酸素含有ガスの存在下で行うことが望ましい。分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気或いは酸素ガスが用いられ、反応容器内に吹き込まれる。
これによって、側鎖に充分な量の不飽和結合を導入したり、毒性の高いイソシアネート含有単量体及びエポキシ基含有単量体を充分に低減する等の効果が発揮されることになる。なお、反応率は、フーリエ変換型赤外分光法(FT−IR)による未反応官能基量の定量、反応液の酸価の定量、ガス或いは液体クロマトグラフィ法を用いたエポキシ基含有単量体等の残存量の定量等により確認できる。
上記付加反応工程における溶媒の使用量は、重合体溶液の全質量を100質量%としたとき、重合体濃度が10〜80質量%であることが好ましい。上記範囲で行うことにより、反応時間が短縮でき経済的であり、また、系の粘度が比較的低いためゲル化し難く、温度制御も容易である傾向が期待できる。より好ましい濃度は、15〜70質量%であり、更に好ましい濃度は、20〜60質量%である。
上記導入方法(a)における触媒の使用量は、アクリル系重合体(A)のもとになる重合体とイソシアネート基含有(メタ)アクリル酸エステルとの合計質量を100重量%としたとき、0.01〜0.5質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.02〜0.1質量%である。上記範囲で行うことにより、反応時間が短縮でき経済的であり、また、保存安定性をより向上できる。
塩基性触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、テトラメチル尿素等の尿素化合物、テトラメチルグアニジン等のアルキルグアニジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3級ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩等を挙げることができる。これらの触媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
これらの中では、反応性、取扱い性やハロゲンフリーの点で、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチル尿素、トリフェニルホスフィンが好ましい。
重合禁止剤としては、公知のラジカル重合性単量体用重合禁止剤を用いることができる。ラジカル重合性単量体用重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、メトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系禁止剤、有機酸銅塩やフェノチアジンを挙げることができる。これらの中では、低着色、重合防止能力の点でフェノール系禁止剤が好ましく、入手性、経済性から、中でもメトキノン、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)が好ましい。より好ましくは、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)である。これらの重合禁止剤は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
紫外線(UV)硬化に用いられる光重合開始剤には、水素引き抜き型及び自己開裂型があるが、本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物に含まれる光重合開始剤(C)は、水素引き抜き型光重合開始剤を含むことが好ましい。水素引き抜き型光重合開始剤を用いると、光重合開始剤が粘着剤樹脂から水素ラジカルを引き抜き、このポリマー上のラジカルが他のポリマー分子の側鎖不飽和結合と反応することにより(多官能単量体を間に介する場合もあり)架橋構造が形成される。この反応はポリマーラジカルを起点とするため架橋効率がよく、高架橋密度で、かつ、均質な架橋構造を形成しやすい。また可塑剤から水素原子を引き抜き、架橋構造に可塑剤を組み込める可能性が大きい。そのため該粘着剤組成物から形成される粘着フィルムを加熱したとしても、可塑剤がブリードアウトするのをより効果的に防止することができる。
一方、自己開裂型は光重合開始剤がラジカル2分子に開裂し、このラジカルがまずあるポリマー分子の側鎖不飽和結合と反応し、更に別のポリマー分子と反応することで架橋構造が形成されるため、前述の水素引き抜き型よりも架橋効率が悪くなる傾向がある。しかし、水素引き抜き型の光重合開始剤には及ばないが、一般の溶剤系の粘着剤をイソシアネート系架橋剤で硬化させた粘着剤より架橋密度を高めることができ、可塑剤のブリードアウトを抑制する効果を発現することができる。
ベンゾフェノン類とは、ベンゾフェノン基を有する化合物である。より好ましくは、ベンゾフェノンである。
また、水素引き抜き型光重合開始剤の添加量は、アクリル系重合体(A)100質量%に対して、0.1〜10質量%であることが好ましい。
UVの照射強度としては、粘着剤組成物を充分に硬化させることができればよく、例えば、ピーク照度が50〜1000mW/cm2であることが好ましい。照射強度が弱すぎると硬化に時間がかかりすぎる場合がある。
UVの照射量としては、例えば、UV照射積算光量が10〜1000mJ/cm2であることが好ましい。更に好ましくは、50〜900mJ/cm2である。最も好ましくは、100〜800mJ/cm2である。照射量が少なすぎると硬化が不十分となり高速粘着力が高くなりすぎる場合があり、多すぎると過剰な硬化のためになじみ性が不足する場合がある。また、照射雰囲気の酸素濃度を調整して硬化させてもよい。
再剥離型粘着剤は、粘着力を低く抑える、貼り付け後の経時的な粘着力の上昇を抑えるという目的から、通常の粘着剤と比較して高架橋密度にする必要がある。そのために、通常よりも多くの架橋点をもった粘着剤樹脂を多量の架橋剤で架橋するという形態をとっている。一般的に用いられるイソシアネート架橋方式では、架橋点として高極性のウレタン結合が多く形成されてしまい、これが粘着層のタックや濡れ性を低下させてしまうために、なじみ性を発現させることが困難となる。一方、電離放射線硬化の場合、架橋部は無極性のアルキル基であるため柔軟でなじみ性が発現しやすい。
また、イソシアネート架橋の場合、多量の架橋点を多量の架橋剤で反応させるため、架橋密度の分布ができやすいといった問題点や、目的としたポリマー架橋点とイソシアネート化合物の反応(ウレタン結合)以外に、イソシアネート同士の反応(アロファネート結合)や系中に存在する水分との反応などの副反応も起こるため架橋構造は複雑であり、不均一であると考えられる。一方、電離放射線硬化の場合は、不飽和二重結合がラジカルと反応することによって架橋が形成されるため、イソシアネートのような副反応もなく、比較的架橋密度が均一である。このように本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物を電離放射線を照射することによって硬化した場合には、架橋密度が高く、更に均一な架橋構造を形成しているものと考えられる。このような架橋構造により、多量の可塑剤を含有する本発明の粘着剤組成物を硬化させて得られる粘着フィルムに加熱処理を施しても可塑剤がブリードしてこないものと推定される。
このように、上記重合体と多量の可塑剤とを含む組成物とすることにより、基材密着性となじみ性とがバランスよく発揮されながらも、加熱時の接着昂進が抑制されることになる。
このような理由から、本発明の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物に含まれてもよいイソシアネート架橋剤及びエポキシ化合物等の架橋剤の含有量は、後述するような範囲とすることが好ましい形態である。
電子線照射により硬化させると、開始種がすべてポリマーラジカルであるため、高速剥離性となじみ性とのバランスがより優れることになる。また、電子線(EB)硬化は、電子線照射によりポリマーラジカルを発生させるところが起点となるため、水素引き抜き型開始剤を用いた紫外線(UV)硬化と同じ機構である。厳密に言えば、水素引き抜き型開始剤を用いたUV硬化は、ポリマーラジカルと開始剤ラジカル(開始剤がポリマーから水素ラジカルを引き抜いたもの)の2種が開始種となるが、EB硬化はすべてポリマーラジカルが開始種となるためより好ましい形態である。
上記照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量に調整するのが好ましく、通常5〜300kGyで調整される。照射線量は、好ましくは10〜250kGyであり、より好ましくは20〜200kGyである。
上記電子線照射における電子線源としては、例えば、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
メルカプタン化合物を0.1〜10質量%含むことによって、酸素による硬化阻害の抑制や、局所的に架橋密度が過剰になるのを連鎖移動効果により効果的に抑制することができ、なじみ性を更に向上することができる。
酸素による硬化阻害を抑制する効果は、酸素とラジカルとが結合してできる重合活性のないパーオキシラジカルがメルカプタンから水素を引き抜くことによって重合活性のあるチイルラジカルと変換されることによって得られる。なじみ性向上効果は、電離放射線硬化時に局所的に高架橋密度となるのをメルカプト基による連鎖移動により制御することによって得られると考えられる。
メルカプタン化合物の添加量が0.1質量%未満であると、添加の効果が得られない場合があり、10質量%を超えると硬化性が低下する場合がある。
なお、上記メルカプタン化合物の添加量は、アクリル系重合体を得るための上記重合工程で添加されるメルカプタン系の連鎖移動剤の残存物を含む量である。
メルカプタン化合物の例としては、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸、チオグリコール酸オクチル、β−メルカプトプロピオン酸、β−メルカプトプロピオン酸オクチル等の単官能メルカプタン類;1,4−ブタンジオールジチオグリコレート、1,4−ブタンジオールジ(β−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(β−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキスペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスペンタエリスリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオネート)等の多官能メルカプタン類が挙げられる。揮発性や臭気の観点から多官能メルカプタン類が好ましい。
多官能メルカプタン類とは、1分子あたりメルカプト基を2個以上有する化合物である。
イソシアネート含有化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、等のジイソシアネート化合物;「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)等のビュレットポリイソシアネート化合物;「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(いずれもバイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ポリウレタン工業社製)等として知られるイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物;「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製)等のアダクトポリイソシアネート化合物;「デユラネートD201」(旭化成社製)等のポリイソシアネート化合物等を挙げることができる。これらは、単独で使用し得るほか、2種以上を併用することもできる。
これらのイソシアネート化合物やエポキシ化合物の含有量は、アクリル系重合体(A)を100質量%としたとき、0.5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.4質量%以下であり、更に好ましくは、0.3質量%以下である。イソシアネート化合物やエポキシ化合物の添加量が上記範囲を超えると、なじみ性が低下するおそれがある。
また、上記電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物を基材に塗布し、電離放射線照射により硬化させて得られる粘着フィルムも、本発明の1つである。
本発明の粘着フィルム(粘着シート)は、ガラスのような表面が平滑な被着体だけでなく、凹凸面を有する被着体に対しても、良好ななじみ性を有するものであり、再剥離型の表面保護フィルム等として各種基材に対して好適に用いることができる。上記被着体(基材)としては、例えば、光学部材、金属板、ガラス板、プラスチック板、樹脂塗装鋼板、窓ガラス、家具、車等の製品に対して使用することができる。これらの中でも、光学部材、ガラス板、プラスチック板等に使用することが好ましい。
[ガラス板粘着力]
UV粘着フィルム(粘着剤組成物をUV照射により硬化させて得られた粘着フィルム)を25mm×150mmの大きさに裁断し、ガラス板に貼り付け、2kgローラーで1往復して圧着させた。作製した試験片の粘着力を23℃で20分放置後に、剥離速度0.3m/分の剥離速度で粘着力を測定して、粘着力の初期値とした。また試験片を110℃で20時間放置後に、粘着力を測定して、熱処理後の粘着力とした。110℃で20時間熱処理後の粘着力の値を23℃で20分後の粘着力の値で除して、被着体としてガラス板を用いた場合の粘着力の上昇率(上昇率=110℃での粘着力/23℃での粘着力)を求めた。
110℃で20時間の条件で熱処理を行った試験片(ガラス板)より、UV粘着フィルムを剥離し、剥離後のガラス板表面を目視により観察を行った。
○:UV粘着フィルムの形状跡がなく、ガラス板表面にも可塑剤のブリードも認められない。
△:UV粘着フィルムの形状跡が、かなりはっきりと残っている。
×:UV粘着フィルムの形状跡があり、ガラス板表面にわずかに可塑剤のブリードが認められる。
微細凹凸面を有する被着体として、十点平均粗さ(Rz)6.74μm、算術平均粗さ(Ra)0.31μm(キーエンス社製レーザー顕微鏡VK9710を用い、JIS B0601に準拠して測定)である防眩処理フィルム(商品名「BOF−H141S」、バッファロー(BUFFALO)社製液晶保護フィルム)を用い、これ及びガラス板に粘着フィルムを40mm×40mmの大きさに裁断したものを粘着面を下にして静かに置いた。そして、粘着フィルムが防眩処理フィルム及びガラス板に濡れ始めてから(なじみ始めてから)試料全体が濡れる(なじむ)のに要する時間を測定した。
アクリル系重合体の重合例(樹脂A1)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管及び、攪拌機を備えた反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート 689.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 10.55部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン 0.3部、溶剤として酢酸エチル 402.75部を仕込んだ後、反応器を窒素ガスで置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら内温を85℃に昇温した後、重合開始剤として2,2‘−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」;日本ヒドラジン工業社製)0.35部、溶剤として酢酸エチル 14部を添加して重合反応を開始した。その後、還流温度にて5時間反応させた後、酢酸エチル 105部で希釈を行い、不揮発分56.5%、重量平均分子量22万のアクリル系重合体(樹脂A1)の溶液を得た。
側鎖に不飽和二重結合を有するアクリル系重合体の製造例(樹脂B1)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管及び、攪拌機を備えた反応器に、樹脂A1溶液を固形分換算で100部、重合禁止剤としてメトキノン 0.06部、2−メタクリロイルオキシイソシアネート(商品名「カレンズAOI」;昭和電工社製)0.4部を加え、窒素/空気=2/1の混合ガスをバブリングさせながら攪拌を行い、内温を70℃に昇温した。その後、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ 0.04部を添加し、70℃で3時間反応させた後、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)分析によりイソシアネート基に由来する2273cm−1ピークの消失を確認し、不揮発分樹脂固形分あたり0.045mmol/gの不飽和二重結合を有するアクリル系重合体(樹脂B1)を得た。
アクリル系重合体の重合例(樹脂A2)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管及び、攪拌機を備えた反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート 479.5部、n−ブチルアクリレート 210部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 10.55部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン 0.35部、溶剤として酢酸エチル 402.75部を仕込んだ後、反応器を窒素ガスで置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら内温を85℃に昇温した後、重合開始剤として2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」;日本ヒドラジン工業社製)0.35部、溶剤として酢酸エチル 14部を添加して重合反応を開始した。その後、還流温度にて5時間反応させた後、酢酸エチル 105部で希釈を行い、不揮発分56.8%、重量平均分子量23万のアクリル系重合体(樹脂A2)の溶液を得た。
側鎖に不飽和二重結合を有するアクリル系重合体の製造例(樹脂B2)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管及び、攪拌機を備えた反応器に、樹脂A2溶液を固形分換算で100部、重合禁止剤としてメトキノン 0.06部、2−メタクリロイルオキシイソシアネート(商品名「カレンズAOI」:昭和電工社製)0.4部を加え、窒素/空気=2/1の混合ガスをバブリングさせながら攪拌を行い、内温70℃に昇温した。その後、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ 0.04部を添加し、70℃で3時間反応させた後、フーリエ変換型赤外分光(FT−IR)分析によりイソシアネート基に由来する2273cm−1ピークの消失を確認し、不揮発分樹脂固形分あたり0.045mmol/gの不飽和二重結合を有するアクリル系重合体(樹脂B2)を得た。
アクリル系重合体の重合例(樹脂A3)
温度計、冷却器、窒素ガス導入管及び、攪拌機を備えた反応器に、2−エチルヘキシルアクリレート 689.5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート 10.55部、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン 0.35部、溶剤として酢酸エチル 402.75部を仕込んだ後、反応器を窒素ガスで置換した。次に、上記の混合物を攪拌しながら内温を85℃に昇温した後、重合開始剤として2,2‘−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)(商品名「ABN−E」;日本ヒドラジン工業社製)0.35部、溶剤として酢酸エチル 14部を添加して重合反応を開始した。その後、還流温度にて5時間反応させた後、酢酸エチル 105部で希釈を行い、不揮発分56.7%、重量平均分子量18万のアクリル系重合体(樹脂A3)の溶液を得た。
粘着剤樹脂B1 100部(固形分換算)に対し、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「NKエステル A−TMPT」;新中村化学工業社製)10部、光重合開始剤としてベンゾフェノン(和光純薬工業社製)3部、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル(商品名「サンソサイザーDINA」;新日本理化社製)90部を加えてUV硬化型粘着剤組成物を得た。
この粘着剤組成物を圧さ38μmのポリエステルフィルム(商品名「ルミラーT−60」;東レ社製)へ、乾燥後の糊厚が20μmになるようにアプリケーターで塗工し、熱風循環オーブンにて80℃、3分間の条件で乾燥させた。続いて、この塗工フィルムに高圧水銀ランプを有するUV照射機にて、ピーク照度150mW/cm2、照射量400mJ/cm2の条件でUVを照射してUV硬化型粘着フィルムを作製した。
粘着剤組成物の構成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作でUV硬化型粘着フィルムを作製した。
アクリル系重合体(樹脂A3)の酢酸エチル溶液より、酢酸エチルを減圧留去した。その後、粘着剤樹脂A3 60部(固形分換算)、単官能単量体として2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA) 40部を添加した。更に、樹脂A3と2−エチルヘキシルアクリレートの合計100部に対して、トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「NKエステル A−TMPT」;新中村化学工業社製)10部、可塑剤としてアジピン酸ジイソノニル(商品名「サンソサイザーDINA」;新日本理化社製)110部、光重合開始剤としてベンゾフェノン(和光純薬工業社製)3部を配合してUV硬化型粘着剤組成物を得た。その後、実施例1と同様の操作でUV硬化型粘着フィルムを作製した。
粘着剤組成物の構成を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の操作でUV硬化型粘着フィルムを作製した。
なお、表中における略語は以下のとおりである。
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
A−TMPT:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「NKエステル A−TMPT」;新中村化学工業社製)
DINA:アジピン酸ジイソノニル(商品名「サンソサイザーDINA」;新日本理化社製)
DOS:セバシン酸ジ2−エチルヘキシル(商品名「サンソサイザーDOS」;新日本理化社製)
C−880:トリメリット酸トリエステル(商品名「アデカサイザーC−880」;アデカ(ADEKA)社製)
DINP:フタル酸ジイソノニル(商品名「サンソサイザーDINP」;新日本理化社製)
IRG184:イルガキュア184(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
AGフィルム:防眩処理フィルム
側鎖に不飽和結合を有するアクリル系重合体を用いた場合には、多量の可塑剤を加えても、粘着フィルムをガラス板に貼り付け熱処理後剥離した時のフィルム跡が認められず、可塑剤がブリードアウトしないことがわかった。また、110℃で20時間保持した後の粘着力の値が、23℃で20分後の粘着力の値から大きく変化しないために、ガラス板粘着力の上昇率が低く抑えられており、加熱時の接着昂進が抑制されることがわかった。更に、その中でも、可塑剤として、脂肪族カルボン酸エステル化合物を用いた場合に、よりなじみ性が向上することがわかった。
このことから、側鎖に不飽和結合を有するアクリル系重合体と、多量の可塑剤を加えた粘着剤組成物を用いて粘着シートを作成することによって、なじみ性に優れるとともに、良好な基材密着性を有していながら、加熱時の接着昂進の抑制されたものとすることが可能となった。更には、多量の可塑剤を含んでいるにもかかわらず、可塑剤のブリードアウトを抑制することも可能であった。
Claims (8)
- アクリル系重合体(A)及び可塑剤を必須成分とする電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物であって、
該粘着剤組成物は、該アクリル系重合体(A)100質量%に対して、該可塑剤を40〜250質量%含み、
該粘着剤組成物を硬化して得られる粘着フィルムは、0.1〜10μmの凹凸高低差を表面に有する被着体上に静置した際に、濡れ始めから全面が濡れるまでに要する時間が5秒以内であって、且つ、被着体に貼り付けてから23℃で20分保持した後の粘着力が0.01〜0.2N/25mmであり、該粘着力に対して、被着体に貼り付けてから110℃で20時間保持した後の粘着力の比が0.5〜5となり、
該アクリル系重合体(A)は、側鎖の不飽和結合が0.01〜0.200mmol/gである側鎖不飽和結合含有重合体であることを特徴とする電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。 - 前記可塑剤は、脂肪族カルボン酸エステル化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 前記可塑剤は、アジピン酸エステル化合物及び/又はセバシン酸エステル化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 前記粘着剤組成物は、多官能単量体(B)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 前記粘着剤組成物は、前記アクリル系重合体(A)100質量%に対して、前記多官能単量体(B)を1〜50質量%含むことを特徴とする請求項4に記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 前記粘着剤組成物は、更に光重合開始剤(C)を含んでなり、紫外線照射により硬化するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 前記光重合開始剤(C)は、水素引き抜き型光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項6に記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電離放射線硬化性再剥離粘着剤組成物を硬化させて得られることを特徴とする電離放射線硬化性再剥離粘着シート。
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