JP2013041086A - 光学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】反射防止性能及び耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を提供すること。
【解決手段】本発明の光学素子(1)は、表面に微細凹凸構造(10)を有する光学素子(1)であって、(a)ウレタンアクリレート系化合物100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物10質量部〜80質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物5質量部〜80質量部とを含む組成物を重合させてなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学素子に関し、例えば、ディスプレイの反射防止フィルムとして用いられる光学素子に関する。
近年、ディスプレイ市場の拡大に伴い、室内及び屋外において、より鮮明な画像を見たいという要求が高まってきている。主に室内で視認されるテレビにおいては、照明光による画面への映りこみにより、鮮明な画像を視認できなくなるという問題がある。また、屋外で視認される携帯電話、小型ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラなどにおいては、太陽光による画面への映り込みにより、鮮明な画像を視認できなくなるという問題がある。
このような映りこみを防止し、視認性を向上させるためには、広い波長領域において、画面前面からの入射光に対する反射防止性能を向上させることが必要である。また、ディスプレイ搭載機器の種類や使用する場所により、画面への入射光の入射角度が異なるため、広い入射光角度範囲において、反射防止性能を備えることが必要である。
ディスプレイの反射防止性能を高める技術として、反射防止フィルムを用いる方法が知られており、例えば、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した多層構造を有する反射防止フィルムが提案されている(特許文献1参照)。この反射防止フィルムにおいては、高屈折率層及び低屈折率層の屈折率差によって生じる透過光と反射光の干渉作用を利用して、反射光を打ち消すことにより、反射防止効果を発現する。
しかしながら、特許文献1に記載の反射防止フィルムは、ある特定波長では優れた反射防止性能を示すが、広い波長領域に亘って必ずしも十分な反射防止性能が得られない。また、特許文献1に記載の反射防止フィルムは、広い入射光角度範囲において必ずしも十分な反射防止性能が得られない。
一方で、広い波長領域及び広い入射光角度範囲を実現する光学素子として、非特許文献1には、サブミクロンオーダーのピラミッド状凹凸構造を蛾の目のような2次元パターンに配置した連続する微細凹凸構造(以下、「モスアイ構造」という)を有する光学素子が反射防止効果を示すことが開示されている。また、非特許文献2には、樹脂やガラスなどの基材にモスアイ構造を形成した光学素子の構成、及び可視波長領域でのその分光反射率が開示されている。
特開平06−337302号公報
Endeavour、26、P.79−84(1967) 光技術コンタクト、43(11)、P.630−637(2005)
ところで、非特許文献1及び非特許文献2記載の光学素子においては、広い波長領域及び広い入射光角度範囲を実現するためには、基材表面の微細凹凸構造のアスペクト比を高くする必要がある。しかしながら、アスペクト比を高くした場合、反射防止性能が向上する反面、微細凹凸構造が物理的に破壊されやすくなり、耐擦傷性が悪化する問題がある。このため、十分な反射防止性能が得られ、かつ耐擦傷性に優れる光学素子を実現することは困難であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、反射防止性能及び耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を提供することを目的とする。
本発明者は、反射防止性能に優れると共に、耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を得るために鋭意検討した結果、表面に微細凹凸構造をもつ光学素子であって、所定の組成物を重合させてなる光学素子により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を為すに至った。
すなわち、本発明の光学素子は、表面に微細凹凸構造を有する光学素子であって、(a)ウレタンアクリレート系化合物100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物10質量部〜80質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物5質量部〜80質量部とを含む組成物を重合させてなることを特徴とする。
この構成によれば、シリコーン系重合性ビニル化合物が表面に偏析して耐擦傷性が向上すると共に、ウレタンアクリレート系化合物により適度に柔軟性が付与され硬度が適度な範囲となるので、表面が平坦な光学素子に対して一般的に耐擦傷性に劣る表面に微細凹凸構造を有する光学素子であっても、耐擦傷性に優れる光学素子を実現できる。また、N−ビニルアミド化合物を含有することから、組成物の白濁を抑制できるので、光学素子のヘーズが小さくなり反射防止性能の低下を抑制できる。したがって、反射防止性能及び耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を実現できる。
本発明の光学素子においては、ヘーズが0.5%以下、硬度が0.1GPa以上0.5GPa以下であることが好ましい。
本発明の光学素子においては、光照射、電子線照射により重合させてなることが好ましい。
本発明の光学素子においては、基材上に設けられたことが好ましい。
本発明の光学素子においては、前記微細凹凸構造がモスアイ構造であることが好ましい。
本発明の反射防止素子は、上記光学素子を配設したことを特徴とする。
本発明の表示装置は、上記反射防止素子を配設したことを特徴とする。
本発明によれば、反射防止性能及び耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を実現することができる。
本実施の形態に係る光学素子の平面模式図及び断面模式図である。 本実施の形態に係る光学素子の微細凹凸構造を示す写真である。
以下、本発明の一実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る光学素子の平面模式図であり、図1Bは、図1AのIB線−IB線における矢視断面図である。図2は、本実施の形態に係る樹脂硬化物の一部を拡大した電子顕微鏡写真である。図1A,図1Bに示すように、本実施の形態に係る光学素子1は、表面に成型された微細凹凸構造10を有する。この光学素子1は、(a)ウレタンアクリレート系化合物100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物10〜80質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物5〜80質量部とを含む組成物を重合させてなるものである。この光学素子1においては、ウレタンアクリレート系化合物を含むことで適度に柔軟性が付与され、シリコーン系重合性ビニル化合物を含むことで耐擦傷性が発現すると共に、N−ビニルアミド化合物を所定量含むことから、組成物の白濁を抑制することが可能となる。これにより、ヘーズが小さくなり反射防止性能が向上すると共に、硬度が適度な範囲となるので、表面が平坦な光学素子に対して一般的に耐擦傷性に劣る表面に微細凹凸構造を有する光学素子であっても、優れた耐擦傷性を発揮できる。
本実施の形態に係る光学素子1においては、硬度が0.1GPa以上0.5GPa以下であり、ヘーズが0.5%以下であることが好ましい。この構成により、耐傷性に優れた光学素子として用いることができる。
微細凹凸構造10は、樹脂硬化物1表面内に延在する凸部11及び凹部12(以下、凹部及び凸部をまとめて「凹凸部」ともいう)の連続構造を含んで構成される。微細凹凸構造10の凹凸部は、平面視において凸部の頂点が、樹脂硬化物1表面の面内方向において、任意の規則性を有する配列パターンとなるように設けられる。図1においては、微細凹凸構造10の凸部の頂点が、平面視において六方格子状になるように設けられた例を示している。また、光学素子1は、基材13上に設けてもよい(図1C参照)。基材13上に設けることにより、光学素子1の強度を保持することができる。凸部の配列パターンとしては、六方格子、四方格子、及びランダム格子のいずれでもよい。
微細凹凸構造10の凹凸部の形状としては、凹部12及び凸部11を含む連続構造であって、本発明の効果が得られる範囲であれば、特に限定されない。微細凹凸構造10の種類としては、例えば、ラインアンドスペース構造、ドット構造、ハニカム構造、モスアイ構造などが挙げられる。これらの中でも、広い波長領域及び広い入射光角度範囲の反射防止性能を得る観点から、微細凹凸構造10としては、ドット構造の1つであるモスアイ構造が好ましい。
また、微細凹凸構造10の凹凸部の形状としては、略角錐形状、略円錐形状、略角錐台形状、略円錐台形状のいずれかであることが好ましい。また、これらの中でも、略角錐形状、略円錐形状であることがより好ましく、略円錐形状であるとさらに好ましい。略円錐形状としては、真円錐でも楕円錐でもよく、頂部が丸みを帯びているものが好ましい。略円錐形状として、さらに頂部に丸みを帯びさせることにより、反射防止性能を向上させることができる。略円錐形状としては、テント型(凸部11の稜線がへこんだ形状)、ベル型(凸部11の稜線が膨らんだ形状)、三角形型(凸部11の稜線が直線である形状)が挙げられる。広い波長領域、特に、近赤外波長領域(700〜1000nm)で優れた反射防止性能を得られる点で、ベル型がより好ましい。
<ピッチと凸部高さ>
本実施の形態に係る光学素子1においては、微細凹凸構造10の凹部12の最下点の高さを基準(高さ=0nm)としたとき、凸部間のピッチP(凸部11と当該凸部11に最も近接する凸部11との間隔)の平均値は260nm未満であることが好ましく、230nm未満であることがより好ましく、200nm未満であることがさらに好ましい。ここで、凸部間のピッチPとは、凸部11の最高点と当該凸部11に最も近接する凸部11の最高点との間隔をいうものとする。凸部11の高さHとは、凹部12の最下点(最低点)の高さを基準(高さ=0nm)とし、凹部12の最下点と凸部11の最高点との間の高さとする。また、本明細書において、特に言及しない場合、間隔(ピッチ)及び高さに関する他の記載についても同様とする。微細凹凸構造10の凸部間のピッチPを260nm未満にすることで、回折現象の発生を抑制し、特定波長での反射率の上昇を抑制し、可視波長領域での反射防止性能を向上させることができる。
また、凸部11の高さHとしては、200nm以上であることが好ましく、260nm以上であることがより好ましく、300nm以上であることがさらに好ましく、400nm以上であることが特に好ましい。凸部11の高さHを200nm以上にすることで、広い入射光角度範囲で優れた反射防止性能を発現できる。また、広い波長領域、特に近赤外波長領域(700〜1000nm)での反射防止性能を向上させることができる。なお、光学素子として所定の反射防止性能が発現すれば、全ての凸部11の高さHが200nm以上である必要はない。さらに凸部11の高さHを200nm以上かつピッチを260nm未満にすることで、反射防止性能をさらに向上させることができる。
<組成物>
本実施の形態に係る光学素子1に用いられる組成物としては、(a)ウレタンアクリレート系化合物100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物10質量部〜80質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物5質量部〜80質量部とを含むものであれば、特に限定されず、光硬化性組成物、熱硬化組成物、熱可塑組成物などを用いることができる。これらの中でも、光硬化性組成物を用いて光照射、電子線照射により重合させることが好ましい。これにより、短時間で硬化させることが可能となるので、低コストで生産することができる。
本実施の形態に係る光学素子1においては、ウレタンアクリレート系化合物を含むことで光学素子に適度に柔軟性が付与され、シリコーン系重合性ビニル化合物を含むことにより、シリコーン系重合性ビニル化合物が表面に偏析して耐擦傷性が発現される。ここで、単にウレタンアクリレート系化合物とシリコーンアクリレート系化合物とを含むだけの組成物では、組成物が白濁してしまい、そのまま硬化させるとヘーズに劣る光学素子となる。このため、組成物にN−ビニルアミド化合物を一定量加えることにより、組成物の白濁を抑制できるので、柔軟性及び耐擦傷性を併せ持ち、反射防止性能を有する光学素子を得ることができる。
ウレタンアクリレート系化合物としては、市販品をそのまま用いてもよく、2種類以上の市販品を併用してもよい。ウレタンアクリレート系化合物を含む市販品としては、例えば、6官能ウレタンアクリレート(荒川化学社製、商品名「ビームセット100、500、EM」シリーズ)、紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂(日本合成化学工業社製、商品名「紫光」シリーズ)、脂肪族ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック社製)などが挙げられる。
シリコーン系重合性ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、アクリル基及び/又はメタクリル基を含むシリコーンアクリレート系化合物などを用いることができる。これらの中でも、1分子中の側鎖、末端又はその両方に2個以上のアクリレート系の重合性ビニル基を有するジアクリレートが好ましい。アクリレート系の重合性ビニル基としては、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基のいずれか1種以上のものが挙げられる。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基、メタアクリロイル基の意味で用いる(以下同様に記載する)。なお、シリコーンアクリレートの平均分子量としては、通常1000〜100000の範囲であることが好ましい。これらの反応性シリコーンアクリレートは、公知又は市販のものを使用することができる。
シリコーン系重合性ビニル化合物としては、例えば、ポリジメチルシロキサン骨格にアクリル基を結合させたポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(商品名:BYK−UV3500、ビックケミー・ジャパン社製)、及びポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(商品名:BYKUV3570、ビックケミー・ジャパン社製)、並びにシリコンジアクリレート(商品名:ebecryl350、ダイセル・サイテック社製)などを用いることができる。これらを用いることにより、硬化後の光学素子の凹凸部を構成する組成物層からのブリードアウトを低減できる。
組成物中のシリコーン系重合性ビニル化合物の含有量としては、ウレタンアクリレート100質量部に対して、10質量部〜80質量部である。シリコーン系重合性ビニル化合物の含有量が10質量部以上であれば、シリコーン重合性ビニル化合物が表面に偏析するので、耐擦傷性が発現される。また、シリコーン系重合性ビニル化合物の含有量が80質量部以下であれば、表面硬度を高くすることができるので、耐傷性に優れた光学素子となる。
N−ビニルアミド化合物としては、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、及びN−ビニルカプロラムタムなどを用いることができる。これらの中でも、ピロリドン構造を有するN−ビニルアミド化合物が好ましく、N−ビニル−2−ピロリドンが特に好ましい。N−ビニルアミド化合物単量体成分は、1種類又は2種類以上用いてもよい。
組成物中のN−ビニルアミド化合物の含有量としては、ウレタンアクリレート100質量部に対して、5質量部〜80質量部である。N−ビニルアミド化合物の含有量が5質量部以上であれば、N−ビニルアミド組成物の溶解性により組成物の白濁を抑制できるので、光学素子のヘーズを低減することができる。また、N−ビニルアミド化合物の含有量が80質量部以下であれば、組成物の過度の吸湿を抑制でき、耐湿特性が向上する。
<光重合開始剤>
光学素子1の製造に光硬化組成物を用いる場合、光重合開始剤を更に含有するものを用いてもよい。光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]―フェニル}−2−メチル−プロパン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、1,2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などが挙げられるが、特に本発明においては、高感度で、低揮発性である2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)などを好ましく用いることができる。光重合開始剤の配合比としては、光硬化組成物中の単量体成分合計100質量部に対し、0.1〜5.0質量部であることが好ましい。これら光重合開始剤は単独で適用することも可能であるが、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
<光増感剤>
光学素子の製造に光硬化組成物を用いる場合、光重合促進剤及び光増感剤などを組み合わせて用いてもよい。光増感剤の具体例としては、n−ブチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、アリルチオ尿素、s−ベンジスイソチウロニウム−p−トルエンスルフィネート、トリエチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレート、トリエチレンテトラミン、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類のような公知慣用の光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
<光硬化組成物のろ過>
光学素子の製造に光硬化組成物を用いる場合、ろ過などにより、異物を除去した光硬化組成物を用いることが好ましい。ろ過に使用するフィルター孔径としては、1μm以下がより好ましく、0.5μm以下がさらに好ましい。また、フィルターの異物捕捉効率は、99.9%以上であることが好ましい。異物を除去することにより、スタンパーの凹凸部への充填率や光硬化反応率を向上し、光学素子の凹凸部の構造欠陥を実用上問題がないレベルに減少させることができる。
<光硬化組成物の粘度>
光学素子1の製造に光硬化組成物を用いる場合、硬化前の光硬化組成物の50℃における粘度は、100mPa・s以下が好ましく、50mPa・s以下がより好ましく、20mPa・sがさらに好ましい。100mPa・s以下にすることで、基材表面へ光硬化組成物をロールツーロール方式により塗布する場合、光硬化組成物層の厚み均一性を高めることができる。また、スタンパーの凹凸構造部への光硬化組成物の充填率を高めることができ、結果として光学素子への転写忠実性を高めることができる。また、光学素子を所望の厚みとするために、光硬化組成物中へ更に減粘剤又は増粘剤を添加して適宜粘度調整をしてもよい。
<スタンパーの表面温度>
光学素子の製造に光硬化組成物を用いる場合、用いるスタンパーの凹凸構造面の表面温度は、25℃〜100℃が好ましく、30℃〜80℃がより好ましく、35℃〜70℃がさらに好ましく、40℃〜65℃が最も好ましい。スタンパーの凹凸構造面の表面温度を25℃以上にすることで、光硬化組成物の粘度を下げることができるため、基材と光硬化組成物との付着性と、光硬化後の光学素子のスタンパーからの離型性とを向上できる。また、スタンパーの凹凸構造面の表面温度を100℃以下にすることで、基材の熱変形を抑制することができる。また、スタンパーの凹凸構造面の表面温度は、略一定に調節されていることが好ましい。
表面温度を略一定に調整する手段として、温調機を付属したスタンパーを用いることができる。スタンパーの凹凸構造面の表面温度を一定に維持することで、凹凸部を構成する組成物の粘度も一定に保つことができるため、凹凸部を構成する組成物層の厚みの均一性を高めることができ、スタンパーから光学素子への転写忠実性を向上することができる。
<光学素子の厚み>
光学素子の厚みとしては、0.4μm〜10μm以下であることが好ましく、0.5μm〜7μm以下であることがより好ましく、0.8μm〜4μm以下であることがさらに好ましい。光学素子の厚みを0.4μm以上にすることで、基材13と光学素子1との密着性を向上させ、スタンパーの凹凸構造を基材へ転写する際の未転写部分の発生を防止できる。また、光学素子1の厚みを4μm以下にすることで、高温高湿条件下で生じる光学素子1のクラック発生と、高温高湿下での光学素子1の収縮に起因するカール発生とを抑制できる。光学素子1の厚みは、基材とスタンパー間の押つけ圧力、スタンパーの凹凸構造面の表面温度、凹凸部を構成する組成物の温度と粘度などにより、調節することができる。
<基材>
基材13としては、基材13上に光学素子1を設けることができるものであれば、特に限定されず、使用目的や用途に応じて、ガラス、セラミック、金属等の無機材料、樹脂等の有機材料を任意に選択することができる。また、基材13としては、基材13上に光学素子1を設けた積層体(光学素子)とした場合の光学特性などの観点から、光学素子1との接着性が良く、光学素子1との屈折率差が小さく、光学素子1とのヘーズの差が小さいものが好ましい。このような基材13としては、ガラス、樹脂が挙げられる。また、基材13としては、生産性及び生産コストの観点から、フレキシブル性、易加工性、高生産性、及び高耐衝撃性を有し、軽量かつ低価格であるものが好ましい。このような基材13としては、樹脂が挙げられる。
本実施の形態に係る光学素子1においては、透過性が要求される場合と非透過性が要求される場合とがある。このため、目的や用途に応じて基材13の種類を選択することが望ましい。透過性が必要な場合、目的とする波長領域で基材が実質的に透明である必要がある。この場合、基材13として、透明な樹脂やガラスを用いることが好ましい。さらに屈曲性を要求される場合には、透明な樹脂を用いることが好ましい。また、非透過性が必要な場合、目的とする波長領域で基材が実質的に不透明である必要がある。この場合、基材13として、セラミック、金属、不透明な樹脂を用いることが好ましい。さらに、屈曲性が要求される場合には、フレキシブル性、易加工性、及び高生産性を満たし、かつ軽量である不透明な樹脂を用いることが好ましい。
上記透明な樹脂として、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA樹脂)、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン樹脂(MS樹脂)、スチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂(COP樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN樹脂)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース樹脂(TAC樹脂)、ポリイミド樹脂あるいはアクリル系、エポキシ系、ウレタン系などの紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が挙げられる。特に、PMMA樹脂、アクリル系樹脂、PC樹脂、PS樹脂、スチレン系樹脂、COP樹脂、PET樹脂、PEN樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、TAC樹脂が好ましい。
上記不透明な樹脂として、例えば、ABS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ゴム含有スチレン系樹脂、ゴム含有アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、架橋ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられる。また、ABS樹脂(または、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ゴム含有スチレン系樹脂)/ポリアミド樹脂、ABS樹脂(または、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、ゴム含有スチレン系樹脂)/アクリル系樹脂等のアロイを挙げることができる。
基材13が樹脂の場合、光学素子1の光学特性を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を加えても良い。添加剤は、樹脂に直接含有させても良く、及び/又は樹脂基材表面に層形成させても良い。添化剤の種類として、例えば、有機及び/又は無機粒子、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、易接着剤等を挙げることができる。
光学素子1の非透過性を向上させるために、基材13として、樹脂中に黒色の顔料及び/又は染料を含有させたものを用いてもよい。また、凹凸部構造非形成面に黒色塗料を塗装してもよい。
また、基材13としては、樹脂表面にバリア性樹脂層をコーティングなどにより形成したものを用いてもよい。樹脂表面にバリア性樹脂層を形成することで、熱、光、水分、酸素、二酸化炭素、窒素、水素などの劣化要因から基材13を保護することができる。
基材13がガラスの場合、シランカップリング剤やプライマー処理やUV処理などの表面処理を適用することができる。また、これらを組み合わせて用いてもよい。
また、基材13として、表面コーティングや接着層や干渉低減層が形成されている基材を使用してもよい。
基材13の形状としては、板、シート、フィルム、薄膜、織物、不織布、その他任意の形状およびこれらを複合化したものを、使用目的に応じて選択することができる。屈曲性が必要な場合は、シート、フィルム、薄膜、織物、不織布とすることが好ましい。
基材13の厚みは、使用目的に応じて選択することができる。薄肉化またはフレキシブル化が要求される場合、基材13の厚みは350μm以下が好ましく、120μm以下がより好ましく、80μm以下がさらに好ましく、40μm以下が最も好ましい。また、取り扱い容易性の点で、基材13の厚みは10μm以上が好ましい。
<保護フィルム>
本実施の形態に係る光学素子1の微細凹凸構造10上及び/又は微細凹凸構造10を有しない表面に対し、保護フィルムを貼合してもよい。保護フィルムを貼合することで、使用するために保護フィルムを剥がすまでの期間、微細凹凸構造10を保護して異物の付着を防止できる。保護フィルムとしては、剥離時に光学素子1に粘着層が残らないもの、又は粘着層が残っても光学素子1の反射率や透過率に影響を与えないものを用いる。また、保護フィルムとしては、光学素子1(特に、微細凹凸構造10)を傷つけるような異物を含有しないもの、又は傷つけても反射率や透過率に影響を与えないものを用いる。保護フィルムは、これらの性能を持つ保護フィルムから任意に選択して用いることができる。
<屈折率>
基材13と光学素子1の屈折率差は、両者の界面での屈折や反射を低減するために、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下がさらに好ましく、0.02以下が最も好ましい。また、基材13と光学素子1との間に、易接着性を有する中間層を加えてもよい。中間層の屈折率を、基材13及び光学素子1それぞれの屈折率の間にすることで、中間層がない場合と比較し、干渉を低減でき、干渉縞の発生を抑制できる。
<硬度>
光学素子1の硬度としては、ナノインデンター装置(MTS社製)を使って測定し、NanoIndenter付属ソフトAnalyst(MTS社製)を使って解析されたHardnessを用いる。光学素子1の硬度は、光学素子1表面から深さ方向に数百nm〜数μm範囲で測定した値であり、少なくとも10点測定し、その平均値を算出した値として定義する。
光学素子1の硬度は、0.1GPa以上0.5GPa以下であることが好ましく、0.25GPa以上0.28GPa以下であることがより好ましい。
<全光線透過率、ヘーズ>
光学素子1のヘーズは、JIS K7136に準拠したヘーズメーター(日本電色工業社製、型式:NDH2000)を用いて測定する。基材13を有する光学素子1において、透過性が必要な場合には、光学素子1のみのヘーズ、基材13のみのヘーズ、及び光学素子1のヘーズから基材13のヘーズを引いた値(以下、Δヘーズとする。)は、それぞれ1.5%以下が好ましく、1.0%以下がより好ましく、0.5%以下がさらに好ましい。特にΔヘーズを1.5%以下にするためには、上記屈折率差を0.2以下にする以外に、基材13表面に反射防止性能を有する凹凸形状を有する構造を付与することが有効である。Δヘーズを低下させることで、光学素子1の全光線透過率を向上させることができる。
ヘーズとは、全光線透過率に対する拡散透過率の比率で定義される。ヘーズが小さいことは、光が光学素子を透過した時の拡散光が少ないこと、言い換えると全光線透過率に対する直線透過率の比率が高いことを意味する。光学素子に透明な基材を使用した場合、界面で屈折や反射を低減できるためヘーズが減少し、全光線透過率が上昇するため、光学素子の見た目の透明性が高まる。
<反射率>
反射防止性能は、正反射率、および(正+拡散)反射率で評価することができる。これらの値は、いずれも低い方が好ましい。
<光学素子の製造方法>
次に、本実施の形態に係る光学素子の製造方法について説明する。本実施の形態に係る光学素子は、光学素子原版から微細凹凸構造パターンの転写又は光学素子原版の微細凹凸構造を転写したスタンパーからの微細凹凸構造パターンの転写により製造する。まず、光学素子原版の作製方法について説明する。
<光学素子原版の作製方法>
光学素子原版の作製方法としては、レーザ光を用いた干渉露光法、電子線描画法、機械加工切削法、ドライエッチング法、リソグラフィー法などが挙げられる。凹凸部の形状、ピッチ、または高さ、凹凸部の配列パターンやその規則性/不規則性、原版大きさ、コストなどの目的に応じて、任意に作製方法を選択することができる。凹凸部が規則性のある配列パターンで、かつ大面積な原版を得たい場合、レーザ光を用いた干渉露光法が好ましい。
干渉露光法とは、特定の波長のレーザ光を角度θ’の2つの方向から照射して形成される干渉縞を利用した露光法であり、角度θ’を変化させることで使用するレーザの波長で制限される範囲内で色々なピッチを有する凹凸格子の構造を得ることができる。干渉露光に使用できるレーザとしては、TEM00モードのレーザに限定される。TEM00モードのレーザ発振できる紫外光レーザとしては、アルゴンレーザ(波長364nm,351nm,333nm)や、YAGレーザの4倍波(波長266nm)などが挙げられる。
光学素子原版の材料の種類として、石英ガラス、紫外線透過ガラス、サファイア、ダイヤモンド、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン材、フッ素樹脂、シリコンウエハ、SiC基板、マイカ基板などが挙げられ、目的に応じて選択することができる。
ナノパターン転写時の離型性をより向上させるために、光学素子原版に離型処理を行ってもよい。離型処理剤としては、シランカップリング系離型剤が好ましく、フッ素含有離型剤であることがより好ましい。市販されている離型剤の例としては、ダイキン工業社製のオプツールDSX、デュラサーフHD1101やHD2101、住友スリーエム社製のノベック、信越化学工業社製のKP−801M、KBM−7103、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社のTSL−8257などが挙げられる。
<スタンパーの作製方法>
光学素子原版の微細凹凸構造パターンを転写したスタンパーは、光学素子原版から電鋳法や上述したナノインプリント法などにより作製することができる。解像度の点では、電鋳法及び光硬化組成物を使用した光ナノプリント法が好ましい。
また、ナノインプリント法により、転写を繰り返すことができる。転写を繰り返すことで、微細凹凸構造パターン転写物を複数個製造できる。また、凹凸部パターンが反転した反転転写型を得ることができる。
本実施の形態に係る光学素子1は、上述した光学素子原版又はスタンパーからの微細凹凸構造パターンの転写により製造することができる。光学素子1の製造方法としては、ナノインプリント法が好ましい。ナノインプリント法の種類として、マイクロコンタクトプリント(ソフトリソグラフィー)、室温ナノインプリント、リバースナノインプリント、熱ナノインプリント、光(UV)ナノプリントが挙げられる。光学素子1を形成する樹脂の種類として、光硬化組成物、熱硬化組成物、熱可塑組成物、ゾルゲル反応物などが挙げられるが、解像度、重ね合わせ精度、連続転写性の点で、光硬化組成物を使用し、光ナノインプリント法によって製造することがより好ましい。また、簡単で安価な装置で大量生産できる点で、熱可塑組成物を使用した熱ナノインプリント法が好ましい。熱ナノインプリント法の成形方法としては、押出成形(エンボスロールの凹凸構造面を転写)、キャスト成形法(エンボスロールの凹凸構造面を転写)、プレス成形法、射出成形法などが好ましい。
<光硬化組成物の塗布方法>
光ナノインプリント法における光硬化組成物の基材13への塗布方法として、例えば、ロールコーター法、(マイクロ)グラビアコーター法、エアドクターコーター法、ブレ−ドコーター法、ナイフコーター法、ロッドコーター法、カーテン(フロー)コーター法、キスコーター法、ビードコーター法、キャストコーター法、ロータリースクリーン法、浸漬コーティング法、スロットオリフィスコーター法、バーコード法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、押出コーターなどが挙げられる。生産性を高め、大面積の光学素子を得るためには、ロールツーロール方式を用い、塗布方法は上記から適宜選択して、光学素子を含むフィルムロールを得ることが好ましい。
<樹脂ロール>
また、ロールツーロール方式で製造された光学素子1を含む樹脂フィルムロールは、幅10cm以上かつ長さ50m以上であることが好ましい。ロール幅は、10cm以上200cm以下がより好ましく、20cm以上200cm以下がさらに好ましく、50cm以上200cm以下が最も好ましい。また、ロール長さは、50m以上10000m以下がより好ましく、200m以上10000m以下がさらに好ましく、500m以上10000m以下が最も好ましい。樹脂フィルムロールの幅10cmかつ長さ50m以上にすることで、小型から大型までの多種多様な大きさの光学素子1を、大量に製造することができる。ロール幅が200cmを超える場合、光学素子1の厚み均一性が低下する場合があり、ロール長が10000mを超える場合、ロール巻取機の軸ブレにより巻取精度が低下する場合や、ロール質量の増加によりロール巻取機の軸強度が不足して破損する場合がある。このため、上記幅及び長さの樹脂フィルムロールとすることが望ましい。
光硬化組成物を用いる場合の光学素子1の製造方法としては、例えば、基材13に光硬化組成物を薄膜状に塗布した後、基材13の光硬化組成物塗布面とスタンパーの凹凸構造面とを接触させることで、スタンパーの凹凸構造面と基材13との間に光硬化組成物を充填する。そして、光照射、電子線照射、又はUV照射により光硬化組成物を重合して、光硬化する方法がある。また、スタンパーの凹凸構造面に光硬化組成物を塗布して、スタンパーの凹凸構造内に充填した後、基材13と接触させて、その後光照射、電子線照射、又はUV照射する方法がある。また、基材13とスタンパーの凹凸構造面との両方に光硬化組成物を薄膜状に塗布した後、基材13の光硬化組成物塗布面とスタンパーの凹凸構造面とを接触させて、その後光照射、電子線照射、又はUV照射する方法がある。選択する塗布方法に応じて、塗布する順序は適宜選択することができる。
<露光光源>
光学素子の製造の際の光硬化に用いる露光光源の種類としては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、ケミカルランプ、UV−LED、無電極UVランプが好ましい。また、長時間露光時の発熱を抑える観点から、可視波長以上の波長をカットするフィルター(バンドパスフィルターを含む)を利用することが好ましい。
露光光源の積算光量としては、300mJ/cm以上であることが好ましく、光硬化組成物の光硬化反応率を高くする目的で、800mJ/cm〜6000mJ/cmであることがより好ましく、光による樹脂劣化性を防ぐため、800mJ/cm〜3000mJ/cmであることがさらに好ましい。
<光学素子の用途>
本実施の形態に係る光学素子は、上述した光学特性を活かすことができる目的または用途で、任意に使用することができる。例えば、本実施の形態に係る光学素子を配設した反射防止素子においては、優れた反射防止効果を実現することができる。本実施の形態に係る光学素子を配設した表示装置(例えば、ディスプレイ装置)においては、ヘーズが減少し全光線透過率が上昇するため、鮮明な画像を視認することができる。本実施の形態に係る光学素子を配設した太陽電池においては、全光線透過率が上昇するため、光利用効率を向上させることができる。本実施の形態に係る光学素子を配設した照明用途においては、同様に全光線透過率が上昇するため、光利用効率を向上させることができ、照度の向上または消費電力の低減をすることができる。本実施の形態に係る光学素子を配設した複写機においては、全光線透過率が上昇させ、反射率が低減できるので、複写精度の向上することができ、または照度の向上による消費電力を低減することができる。
以上説明したように、上記実施の形態に係る光学素子1によれば、ウレタンアクリレート系化合物を含むことで適度に柔軟性が付与され、シリコーン系重合性ビニル化合物を含むことにより耐擦傷性が発現すると共に、N−ビニルピロリドン化合物を所定量含むことから、組成物の白濁を抑制することが可能となる。これにより、広い波長領域及び広い入射光角度範囲における十分な反射防止性能を有し、しかも耐擦傷性に優れる光学素子を実現することが可能となる。
特に、上記実施の形態に係る光学素子1によれば、反射防止性能に優れ、ヘーズが小さく透明性に優れ、しかも耐傷性に優れるフィルム状の光学素子が得られる。また、上記実施の形態に係る光学素子1は、ロールツーロール方式により、生産性良く作製することできる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例及び比較例により本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
上記実施の形態に係る光学素子の特性を測定、評価した。以下、光学素子の概略および評価された特性について述べる。
<光硬化組成物>
(a)ウレタンアクリレート系化合物としての6官能ウレタンアクリレート(575CB、荒川化学社製)100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物としてのシリーコンジアクリレート11.4質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物としてのN−ビニル−2−ピロリドン(NVP)28.6質量部と、光重合開始剤としての2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(ダロキュアTPO、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)2.9質量部とを混合し、孔径1μmのフィルターを用いて異物をろ過して光硬化組成物を作製した。光硬化組成物の50℃での粘度は100mPa・sであった。当該粘度は、E型粘度計(東機産業社製、型番:RE550L)を用い、50℃で測定した。
<原版の作製方法>
均一な厚みのポジ型フォトレジスト層が形成されているガラスプレートへ、レーザー干渉露光法により2つの平行なレーザー光を照射して干渉稿を得た。次に、ガラスプレートを60°回転して、同様に干渉稿を得た。そして、さらにガラスプレートを60°回転して、同様に干渉稿を得た。その後、フォトレジストを現像し、干渉稿の周りの部分を溶解することで、凹部及び凸部からなるモスアイ状の連続構造を有する原版を作製した。当該原版において、凹部及び凸部がそれぞれ六方格子パターンに配列されていた。
<スタンパーロールA>
上記原版から電鋳法により凹凸構造を転写し、ニッケルメッキされたモスアイ状の凹凸構造を有するスタンパー(平板状、厚み0.2mm)を作製した。当該スタンパーにおいて、凹凸構造のピッチは240nm、高さは310nmであった。また、当該スタンパーにおいて、凹部及び凸部がそれぞれ六方格子パターンに配列されていた。その後、当該スタンパーを円筒状に加工して、凹部及び凸部からなるモスアイ状の凹凸構造を有するスタンパーロールAを得た。該スタンパーロール表面には、離型剤(ダイキン工業製、デュラサーフHD−2101Z)を用いて離型処理を行った。
<光学素子の作製>
グラビアコーターを用いて、ロールツーロール方式で連続的に光硬化組成物を透明基材上へ塗布した。光硬化組成物は、幅200mm、厚み0.5μmになるように塗布した。透明基材としては、TACフィルム(富士フイルム社製、フジタック、厚み80μm、幅250mm)を用いた。その後、TACフィルムの光硬化組成物塗布面と上記スタンパーロールAのモスアイ構造形成面とを接触させ、TACフィルム側からメタルハライドランプ(ウシオ電機社製、型番:UVC−2519−1MNSC7−MS01)を用いて、光量1J/cmでUV光を照射させて光硬化組成物を光硬化させた。その後、硬化物をスタンパーロールから剥離し、スタンパーロールのモスアイ構造が転写されたモスアイ構造を有するTACフィルムロール(長さ250m)を得た。上記モスアイ構造を有するTACフィルムロールの作製において、UV光照射時のスタンパーロールの表面温度は約50℃で安定しており、また光硬化反応率は80%以上あることを、赤外分光法(IRスペクトル:アクリル基及び/又はメタクリル基の2重結合に基づく吸収)で確認した。
上述のようにして得られた光学素子の特性を評価した。評価は、次のように行った。
<正反射率の角度及び波長依存性測定>
光学素子の凹凸構造形成面の裏面(凹凸構造が形成されていない表面)を、黒色塗料スプレーを用いて黒色に塗工した後、凹凸構造形成面(黒色非塗工面)に対して、分光光度計(島津製作所社製、型式:MPC−2200)を用いて、入射光角度5°及び波長範囲300nm〜800nm(0.5nm毎)における正反射率を測定し、400nm〜750nmの平均値を平均正反射率とした。
<ヘーズ測定>
JIS K7136に準拠したヘーズメーター(日本電色工業社製、型式:NDH2000)を用いて、光学素子及び透明基材のそれぞれのヘーズを測定し、光学素子のヘーズから透明基材のヘーズを引いた値をヘーズ(%)として下記表1に示した。なお、透明基材として用いたTAC単体のヘーズは0.23%であった。
<全光線透過率>
JIS K7136に準拠したヘーズメーター(日本電色工業社製、型式:NDH2000)を用いて、光学素子及び透明基材のそれぞれの全光線透過率を測定した。
<光学素子の耐傷性>
スチールウール(ボンスターNo.0000、日本スチールウール社製)を表面特性試験機(井元製作所社製)に取りつけ、光学素子の表面を荷重100g/cmの条件で50回繰り返し擦過した。上記測定条件により測定した試験後のヘーズから試験前のヘーズを引いた値をスチールウール試験後のヘーズ増加ΔH(%)として評価した。結果を下記表1に示す。下記表1においては、ヘーズ増加ΔHの小さい光学素子ほど耐傷性に優れることを示している。
(実施例2、実施例3、比較例1及び比較例2)
実施例1で使用した光硬化組成物の代わりに下記表1に示した光硬化組成物を使用した点を除き、全て同一の方法で光学素子を作成し、得られた光学素子に対して、実施例1と同様の特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1から分かるように、ウレタンアクリレート系化合物(6官能ウレタンアクリレート)と、シリコーン系重合性ビニル化合物(シリコーンジアクリレート)と、N−ビニルアミド化合物(N−ビニルピロリドン)と、を所定範囲の組成で含有する光重合性組成物を用いた光学素子は、平均性反射率が低く反射防止性に優れると共に、ヘーズ増加ΔHも小さく耐擦傷性に優れることが分かる(実施例1から実施例3参照)。
一方で、N−ビニルピロリドン化合物を含まない光硬化組成物を用いた光学素子は、ヘーズ及び平均性反射率が増大することが分かる(比較例1参照)。この結果は、N−ビニルピロリドン化合物を含まないことから、光硬化組成物に白濁が生じたためである。また、N−ビニルピロリドン化合物の含有量が多い光硬化組成物を用いた光学素子は、ヘーズ増加ΔHが増大して耐擦傷性が低下することが分かる(比較例2参照)。これは、光硬化性組成物の脆さが増大したためと考えられる。
本発明は、反射防止性能及び耐擦傷性を兼ね備えた光学素子を実現できるという効果を有し、特に、表示装置、照明装置、太陽電池、複写機などに好適に用いることができる。
1 光学素子
11 凸部
12 凹部
13 基材

Claims (7)

  1. 表面に微細凹凸構造を有する光学素子であって、(a)ウレタンアクリレート系化合物100質量部と、(b)シリコーン系重合性ビニル化合物10質量部〜80質量部と、(c)N−ビニルアミド化合物5質量部〜80質量部とを含む組成物を重合させてなることを特徴とする光学素子。
  2. ヘーズが0.5%以下、硬度が0.1GPa以上0.5GPa以下であることを特徴とする請求項1記載の光学素子。
  3. 光照射、電子線照射により重合させてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の光学素子。
  4. 基材上に設けられたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 前記微細凹凸構造がモスアイ構造であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光学素子。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の光学素子を配設したことを特徴とする反射防止素子。
  7. 請求項6記載の反射防止素子を配設したことを特徴とする表示装置。
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