JP5876977B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品に関する。
表面にナノ凹凸構造を有するナノ凹凸構造体は、連続的な屈折率の変化によって反射防止性能を発現することが知られている。また、ナノ凹凸構造体は、ロータス効果により超撥水性能を発現することも可能である。
ナノ凹凸構造を形成する方法としては、例えばナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いて射出成形やプレス成形する方法、スタンパと透明基材との間に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という。)を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写した後にスタンパを剥離する方法、樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後に活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法などが提案されている。
これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法が好適である。該方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
しかし、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法の場合、ナノサイズの凹凸構造を転写するには、樹脂組成物の粘度を制限する必要があった。また、樹脂組成物の硬化物の強度が高すぎると、スタンパの剥離が困難となることがあった。従って、樹脂組成物の粘度や、硬化したときの強度を調節する必要があり、使用できる樹脂組成物には制限があった。
また、得られるナノ凹凸構造体は、同じ樹脂組成物を用いて作製した表面が平滑なハードコートなどの成形体に比べて耐擦傷性に劣り、使用中の耐久性に問題があった。
これまでにも、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化させて、ナノ凹凸構造を転写する方法によりナノ凹凸構造を形成したナノ凹凸構造体や、ナノ凹凸構造を形成するための樹脂組成物が提案されている。
また、樹脂組成物にフッ素系化合物やシリコーン系化合物等の撥水性成分を配合し、撥水性を発現させやすくする方法が知られている。
例えば特許文献1には、耐擦傷性と耐汚染性の向上を目的とした、特定の周期の微細凹凸を表面に有し、シリコーンアクリレートを含有する樹脂成形物が基材上に形成された反射防止物品が開示されている。
また、特許文献2には、シリコーンジアクリレートを含む樹脂組成物の硬化物からなり、隣り合う凸部同士の距離が可視光の波長以下である微細凹凸構造を表面に有する反射防止物品が開示されている。
特開2003−240903号公報 特開2008−209540号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように、シリコーンアクリレートを含む樹脂組成物を用いて形成されるナノ凹凸構造体は、必ずしも耐擦傷性を満足するものではなかった。また、一般的にシリコーンアクリレートを含む樹脂組成物は柔らかいので、ナノサイズの凹凸を転写しても隣り合う凸部同士が結合しやすく、その結果、光学特性や撥水性が低下することがあった。そのため、シリコーンアクリレートの種類や樹脂組成物中の含有量を調整する必要があった。
特許文献2に記載の反射防止物品に用いられる樹脂組成物は、主に反射防止性能を発現させることを目的としているため、得られる反射防止物品は反射防止性能に優れるものの、十分な撥水性を有するものではなかった。
また、樹脂組成物にフッ素系化合物やシリコーン系化合物等の撥水性成分を配合し、撥水性を発現させやすくする方法では、撥水性成分が低分子化合物である場合、耐候性試験等によるブリードアウトが起こりやすかった。さらに、撥水性成分が重合反応性化合物である場合、樹脂組成物が柔らかくなり、耐擦傷性が低下しやすかった。
このように、ナノ凹凸構造を形成するための樹脂組成物が提案されているが、耐擦傷性を十分に満足するものではなく、特定の機能を有するナノ凹凸構造体としては使用可能な用途が限られていた。
また、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えたナノ凹凸構造体を得ることは必ずしも容易ではなく、これらの性能を発現できるナノ凹凸構造体を形成できる樹脂組成物が望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えたナノ凹凸構造体を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、固体の表面自由エネルギーが低くなるに連れて、撥水性や撥油性を発現しやすくなることに着目した。表面エネルギーの低い化合物としては、フッ素系化合物やシリコーン系化合物が挙げられる。しかし、これらの化合物を多量に含む樹脂組成物が硬化した硬化物は撥水性や撥油性には優れるものの、ガラス転移温度が低く、柔らかくなることが多い。そのため、単に表面エネルギーの低い化合物を用いるだけでは、耐擦傷性等の機械特性と、撥水性や防汚性等の表面特性とを両立させることは困難である。機械特性と表面特性とを両立させるために、得られた硬化物に別途表面処理を施す場合もあるが、表層の剥離や滑落が生じたり、製造コストが増加したりする。
そこで、本発明者らはさらに検討した結果、表面自由エネルギーの高いモノマーを主成分とし、表面エネルギーの低いモノマーを併用することで、樹脂組成物の硬化に伴って相分離が起こり、表面エネルギーの低いモノマーが硬化物表面に偏在することを見出した。その結果、得られる硬化物は、主成分である表面エネルギーの高いモノマーにより耐擦傷性等の機械特性を発現しつつ、硬化物表面に偏在する表面エネルギーの低いモノマーにより撥水性等の表面特性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、硬化したときの表面自由エネルギーが37〜65mJ/m ある多官能モノマー(A)、および硬化したときの表面自由エネルギーが10〜30mJ/m あるモノマー(B)を含む重合反応性モノマー成分と、該重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(D)とを含有し、前記重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、前記多官能モノマー(A)の含有量が60〜97質量部であり、前記モノマー(B)の含有量が3〜29質量部であり、前記多官能モノマー(A)は、分子内に3個以上のラジカル重合性官能基を有する、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含み、かつ当該多官能モノマー(A)の分子量をラジカル重合性官能基の数で除した値(分子量/ラジカル重合性官能基の数)が110〜200であり、前記モノマー(B)は、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有することを特徴とする。
ここで、前記重合反応性モノマー成分は、該重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、前記多官能モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能なモノマー(C)を20質量部以下含むことが好ましい。
また、前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明のナノ凹凸構造体は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有することを特徴とする。
また、本発明の撥水性物品は、前記ナノ凹凸構造体を備えたことを特徴とする。
また、本発明のナノ凹凸構造体の製造方法は、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと、基材との間に、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化させた後、前記スタンパを剥離し、前記基材の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるナノ凹凸構造を形成することを特徴とする。
本発明によれば、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えたナノ凹凸構造体を形成できる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いたナノ凹凸構造体とその製造方法、及びナノ凹凸構造体を備えた撥水性物品を提供できる。
本発明のナノ構造体の一例を模式的に示す断面図である。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」をそれぞれ意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線などの熱線等を意味する。
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という場合がある。)は、重合反応性モノマー成分と、活性エネルギー線重合開始剤(D)とを含有する。
<重合反応性モノマー成分>
重合反応性モノマー成分は、当該モノマー成分を硬化したときの表面自由エネルギーが37mJ/m以上である多官能モノマー(A)と、当該モノマー成分を硬化したときの表面自由エネルギーが30mJ/m以下であるモノマー(B)を含む。
本発明の樹脂組成物は、硬化したときの表面自由エネルギーが低いモノマー(モノマー(B))を、樹脂組成物の硬化に伴う相分離によって、硬化物の表面に偏在させることを特徴とする。硬化に伴う相分離は、表面自由エネルギーが高いモノマー(多官能モノマー(A))により誘起され、多官能モノマー(A)の表面自由エネルギーが高くなるほど誘起されやすい。ただし、多官能モノマー(A)とモノマー(B)の表面自由エネルギー差が広がりすぎると、両者が相溶しにくくなり樹脂組成物が白濁し、硬化が不均一になる場合がある。従って、多官能モノマー(A)とモノマー(B)には、適度な相溶性を持たせることが重要である。
(多官能モノマー(A))
多官能モノマー(A)は、樹脂組成物の主成分であり、硬化物の機械特性(特に耐擦傷性)を良好に維持する役割を果たすと共に、硬化に伴う相分離を誘起させる。
多官能モノマー(A)は、硬化したときの表面自由エネルギーが37mJ/m以上であり、好ましくは37〜65mJ/mであり、より好ましくは40〜60mJ/mであり、さらに好ましくは43〜50mJ/mである。多官能モノマー(A)の表面自由エネルギーが37mJ/m以上であれば、硬化に伴う相分離を効果的に誘起できやすくなる。一方、表面自由エネルギーが65mJ/m以下であれば、樹脂組成物の分離および白濁を抑制できやすくなる。
表面自由エネルギーは、多官能モノマー(A)を平滑なフィルム状や板状に硬化させ、多官能モノマー(A)の硬化物上に水滴を落としたときの接触角から算出できる。
接触角は、固体と液体それぞれの表面自由エネルギーによって一意に決まるものであり、ヤングの式から求められる。本発明においては、水の表面自由エネルギーを72.8mJ/mとして、ヤングの式から多官能モノマー(A)の硬化物における表面自由エネルギーを求める。
多官能モノマー(A)は、分子内に3個以上のラジカル重合性官能基を有する。分子内中のラジカル重合性官能基の数が3個以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなり、硬化物の弾性率や硬度が高くなり、耐擦傷性に優れたものが得られやすい。
また、多官能モノマー(A)は、分子量をラジカル重合性官能基の数で除した値(分子量/ラジカル重合性官能基の数)が110〜200であり、好ましくは120〜180であり、より好ましくは130〜150である。この値が110以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなり過ぎて硬化物が硬くかつ脆くなることを抑制できやすくなる。一方、200以下であれば、硬化物の弾性率が低下するのを抑制でき、耐擦傷性が維持しやすくなる。
ここで、「分子量をラジカル重合性官能基の数で除した値」は、以下のようにして求める。
例えば体表的な3官能モノマーであるトリメチロールプロパントリアクリレートの場合、分子量は296であり、ラジカル重合性官能基の数は3であるため、分子量/ラジカル重合性官能基の数=98.7となる。
また、分子量が800を超える4官能モノマーや、分子量が1200を超える6官能モノマー等は、分子量/ラジカル重合性官能基の数>200となる。
従って、これらのモノマーやトリメチロールプロパントリアクリレートは、本発明の多官能モノマー(A)とは異なる。
このような多官能モノマー(A)としては、例えばウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これら多官能モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能モノマー(A)の具体例を以下に示す。
3官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物;イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物;グリセリントリアクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物などが挙げられる。
4官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物やプロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物やプロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物などが挙げられる。
5官能以上の多官能モノマーとしては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物やプロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物などが挙げられる。
また、多官能モノマー(A)として、ポリオールやイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレートなどを反応させたウレタン(メタ)アクリレートを用いてもよい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては、市販品を用いることができ、例えば新中村化学工業社製の「NKオリゴU−6HA」、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL220」、「EBECRYL1290」、「KRM8200」、「EBECRYL5129」、「EBECRYL8210」、「EBECRYL」、共栄社化学社製の「UA−306H」等が好適である。
さらに、多官能モノマー(A)として、トリメチロールエタンと、コハク酸または無水コハク酸と、アクリル酸とを2/1/4の質量比率で混ぜて反応させた混合物などを用いてもよい。
これらの中でも重合反応性の観点から、多官能モノマー(A)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、トリメチロールエタンと、コハク酸または無水コハク酸と、アクリル酸とを2/1/4の質量比率で混ぜて反応させた混合物が好ましい。
また、市販品としては、新中村化学工業社製の「NKエステルATM−4E」、「A−TMPT−3EO」、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL40」、第一工業製薬社製の「ニューフロンティアTMP−2」等が好適である。
多官能モノマー(A)の含有量は、重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、60〜97質量部であり、好ましくは70〜95質量部であり、より好ましくは75〜90質量部である。多官能モノマー(A)の含有量が60質量部以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の弾性率や硬度が低下するのを抑制できやすく、耐擦傷性が維持しやすくなる。一方、多官能モノマー(A)の含有量が97質量部以下であれば、硬化物の弾性率が高くなり過ぎて硬くかつ脆くなることを抑制できやすく、スタンパから剥離する際にひび割れが生じにくくなる。また、耐擦傷性も維持しやすくなる。
(モノマー(B))
モノマー(B)は、樹脂組成物の硬化物に撥水性を付与する役割を果たす。
モノマー(B)は、硬化したときの表面自由エネルギーが30mJ/m以下であり、好ましくは10〜30mJ/mであり、より好ましくは15〜30mJ/mであり、さらに好ましくは15〜25mJ/mである。モノマー(B)の表面自由エネルギーが30mJ/m以下であれば、硬化に伴う相分離を効果的に誘起できやすくなる。一方、表面自由エネルギーが10mJ/m以上であれば、樹脂組成物の分離および白濁を抑制できやすい。
なお、モノマー(B)の表面自由エネルギーは、多官能モノマー(A)の表面自由エネルギーと同様にして算出できる。
モノマー(B)は、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有する。分子内中のラジカル重合性官能基の数が1個以上であれば、硬化物の中に取り込まれやすくなり、耐候性試験などによってブリードアウトすることを抑制できやすくなる。
このようなモノマー(B)としては、例えばポリブタジエン構造、水素添加ポリブタジエン構造、ポリジメチルシロキサン構造、ポリフルオロアルキル鎖などを有する化合物が挙げられる。また、これらの構造中にセグメントが導入されていてもよい。セグメントが導入されていると、多官能モノマー(A)や後述するモノマー(C)との相溶性が適度に向上する。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(B)の具体例を以下に示す。
ポリブタジエン構造を有する化合物としては、ポリブタジエン構造を有するアクリレート(例えば日本曹達社製のポリブタジエンアクリレート「TEAI−1000」等)などが挙げられる。
ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物としては、ポリジメチルシロキサン変性アクリレート(例えば信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−1602」等)などが挙げられる。
ポリフルオロアルキル鎖を有する化合物としては、フッ素含有アルキル基を有する(メタ)アクリレート、例えば2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,2,2-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも相分離を誘起しやすい観点から、モノマー(B)としては、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物が好ましい。
なお、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物としては、チッソ社製のサイラプレーンシリーズや信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」などもある。しかし、これらは添加量が増えると硬化液が白濁したり、相分離したりすることがある。
ところで、ナノ凹凸構造体が十分な撥水性を発現するには、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物を3質量部以上加えることが好ましいが、上述したように含有量が増えると白濁したり相分離したりすることがある。3質量部以上加えても白濁やマクロな相分離を効果的に抑制するには、ポリジメチルシロキサン構造を有する化合物として、多官能モノマー(A)や後述するモノマー(C)との相溶性セグメントを有する化合物を用いるのが好ましい。相溶性セグメントとしては、例えばポリアルキレンオキサイド骨格やアミド結合などが挙げられる。このような相溶性セグメントを有するポリジメチルシロキサン構造を有する化合物として、上述した信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−1602」などが挙げられ、モノマー(B)として特に好ましく用いられる。
モノマー(B)の含有量は、重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、3〜29質量部であり、好ましくは5〜27質量部であり、より好ましくは10〜25質量部である。モノマー(B)の含有量が3質量部以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の表面自由エネルギーが高くなり過ぎるのを抑制できやすく、十分な撥水性が得られやすくなる。一方、モノマー(B)の含有量が29質量部以下であれば、硬化物の弾性率を低下させることなく、耐擦傷性を良好に維持できやすい。
(モノマー(C))
重合反応性モノマー成分は、上述した多官能モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能なモノマー(C)が含むことが好ましい。
モノマー(C)としては、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有する化合物(ただし、硬化したときの表面自由エネルギーが30mJ/m以下のモノマーを除く)が好ましい。
樹脂組成物においては、その物性を大きく左右するのは主成分となる多官能モノマー(A)である。該多官能モノマー(A)は粘度が高い傾向にあるため、ハンドリング性が低下する場合がある。このような場合には、ハンドリング性を改良するために、低粘度の単官能モノマーや2官能モノマーで希釈すればよい。ただし、2官能モノマーは1つの重合性官能基が反応すると、残りの重合性官能基の反応性が低下しやすい。従って、樹脂組成物全体での重合反応性を向上させるには、単官能モノマーを用いるのが好ましい。
また、樹脂組成物は基材上で硬化させ、基材と一体化させて用いることが一般的である。低分子量の単官能モノマーや2官能モノマーを併用すれば、基材と樹脂組成物の硬化物との密着性がより良好となる傾向にある。単官能モノマーや2官能モノマーの種類は、基材の材質によって適宜最適なモノマーを選択すればよい。
本発明においては、モノマー(C)として、特に、分子内に1個のラジカル重合性官能基を有する化合物(ただし、硬化したときの表面自由エネルギーが30mJ/m以下のモノマーを除く)を用いることで、樹脂組成物全体としての重合反応性を良好に維持しつつ、ハンドリング性や基材との密着性をより向上させることができやすい。
ところで、上述したように、本発明の樹脂組成物は、硬化したときの表面自由エネルギーが低いモノマー(モノマー(B))を、樹脂組成物の硬化に伴う相分離によって、硬化物の表面に偏在させることを特徴とする。従って、相分離を阻害するようなモノマー(C)を用いることは好ましくない。また、モノマー(C)として、硬化したときの表面自由エネルギーが、多官能モノマー(A)とモノマー(B)の中間に位置するようなモノマーを多量に用いると、相分離が誘起されにくくなり、撥水性が低下する場合がある。
よって、モノマー(C)としては、硬化したときの表面自由エネルギーが45mJ/m以上であるモノマーを用いるのが好ましい。表面自由エネルギーが45mJ/m以下のモノマーを用いる場合には、含有量を極力減らすことが望ましい。
このようなモノマー(C)としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも重合反応性の観点から、モノマー(C)としては嵩高くないモノマーが好ましい。具体的にはアクリロイルモルホリン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどが好ましい。
また、基材としてアクリル系フィルムを用いる場合には、メチルアクリレート、エチルアクリレートを用いることが特に好ましい。
モノマー(C)の含有量は、重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、20質量部以下が好ましく、より好ましくは0〜15質量部であり、さらに好ましくは0〜10質量部であり、特に好ましくは1〜10質量部であり、最も好ましくは3〜10質量部である。モノマー(C)の含有量が20質量部以下であれば、得られる樹脂組成物が十分に硬化するので、不完全な硬化物が得られにくくなる。また、硬化物内に未反応のモノマー(C)が残りにくいので、未反応のモノマー(C)が可塑剤として作用することによる硬化物の弾性率の低下を抑制でき、耐擦傷性を良好に維持できやすい。
<活性エネルギー線重合開始剤(D)>
活性エネルギー線重合開始剤(D)は、活性エネルギー線を照射することで開裂し、重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。
装置コストや生産性の観点から、活性エネルギー線として紫外線を用いるのが一般的である。
活性エネルギー線重合開始剤(D)としては特に制限されず、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノンや;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンなどが挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
また、必要に応じて過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物、アゾ系開始剤などの熱重合開始剤を併用しても良い。
活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対し、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部であり、より好ましくは0.2〜3質量部である。活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量が0.01質量部以上であれば、得られる樹脂組成物が十分に硬化するので、硬化物の機械特性(特に耐擦傷性)の低下を抑制できやすい。一方、活性エネルギー線重合開始剤(D)の含有量が10質量部以下であれば、硬化物内に未反応の活性エネルギー線重合開始剤(D)が残りにくいので、未反応の活性エネルギー線重合開始剤(D)が可塑剤として作用することによる硬化物の弾性率の低下を抑制できやすく、耐擦傷性を良好に維持できやすい。また硬化物の着色を効果的に抑制できやすい。
<紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線吸収剤などが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「チヌビン400」や「チヌビン479」、共同薬品社製の「Viosorb110」などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系の酸化防止剤、リン系の酸化防止剤、イオウ系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤などが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製の「IRGANOX」シリーズなどが挙げられる。
これら紫外線吸収剤および酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1質量部であり、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)の含有量が0.01質量部以上であれば、黄帯色の抑制やヘイズの上昇抑制などの耐候性向上が得られやすくなる。一方、紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)の含有量が5質量部以下であれば、樹脂組成物が十分に硬化するので、硬化物の耐擦傷性の低下を抑制できやすい。また、耐候性試験などを行っても、添加した紫外線吸収剤や酸化防止剤由来の低分子化合物が揮発しにくく、硬化物の基材との密着性の低下を抑制できやすい。
<その他の添加剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、離型剤、滑剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
<樹脂組成物の物性>
樹脂組成物は、ナノ凹凸構造を形成させるスタンパへ流し込むことを考慮すると、25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、10000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは5000mPa・s以下であり、さらに好ましくは2000mPa・s以下である。但し、樹脂組成物の粘度が10000mPa・s以上であっても、スタンパへ流し込む際にあらかじめ加温して粘度を下げることが可能であれば、作業性を損なうことなく樹脂組成物を使用できる。
また、樹脂組成物は、70℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、5000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2000mPa・s以下である。
また、ベルト状やロール状のスタンパを用いたナノ凹凸構造体の連続生産を考慮した場合、25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が、100mPa・s以上であることが好ましく、150mPa・s以上であることがより好ましく、200mPa・s以上であることが更に好ましい。25℃における回転式B型粘度計で測定される粘度が100mPa・s以上であれば、スタンパを押し当てる工程でスタンパの幅を超えて脇へ漏れにくくなる。また、樹脂組成物の硬化物の厚みを任意に調整しやすくなる。
なお、樹脂組成物の粘度は、多官能モノマー(A)、モノマー(B)、およびモノマー(C)の種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合などの分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる傾向にある。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いることで、樹脂組成物の粘度は低くなる傾向にある。
以上説明した本発明の樹脂組成物は、硬化したときの表面自由エネルギーが高い多官能モノマー(A)と、硬化したときの表面自由エネルギーが低いモノマー(B)を含有するので、樹脂組成物が硬化する際に相分離が起こり、モノマー(B)が硬化物表面に偏在する。その結果、得られる硬化物は、多官能モノマー(A)により耐擦傷性を発現しつつ、硬化物表面に偏在するモノマー(B)により撥水性を発現できる。従って、本発明の樹脂組成物は、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えた硬化物を形成できる。
本発明の樹脂組成物は、ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いた転写法によりナノ凹凸構造を転写する際に用いる樹脂組成物として最適である。
[ナノ凹凸構造体]
本発明のナノ凹凸構造体は、本発明の樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有する。ナノ凹凸構造は、樹脂組成物の硬化物の片面または全面、ならびに全体または一部に形成される。
ここで、図1に本発明のナノ凹凸構造体の一例を示す。この例のナノ凹凸構造体10は、後述する基材11の上に本発明の樹脂組成物の硬化物12が形成されている。また、ナノ凹凸構造体10は、その表面にナノ凹凸構造が形成されている。
なお、本発明において「ナノ凹凸構造」とは、隣り合う凸部または凹部の間隔が可視光の波長以下のサイズの凹凸構造を意味する。また、「可視光」とは、一般的に波長が380〜780nmの光を指すが、本発明において「可視光の波長」とは380nm以下の波長を意味する。隣り合う凸部または凹部の間隔が380nm以下であれば、可視光の散乱を抑制できるので、本発明のナノ凹凸構造体を反射防止膜などの光学用途に好適に用いることができる。
また、本発明において「隣り合う凸部の間隔」とは、図1に示すように、ナノ凹凸構造の凸部13の中心からこれに隣接する凸部の中心までの距離w1のことであり、「隣り合う凹部の間隔」とは、ナノ凹凸構造の凹部14の中心からこれに隣接する凹部の中心までの距離w2のことである。
凸部の高さ(または凹部の深さ)は60nm以上が好ましく、より好ましくは90nm以上である。60nm未満だと最低反射率が上昇したり、特定波長の反射率が上昇したりして、反射防止性能が不十分となる。
ここで、「凸部の高さ(または凹部の深さ)」とは、図1に示すように、凸部13の先端13aから隣接する凹部14の底部14aまでの垂直距離d1のことである。
ナノ凹凸構造の凸部13の形状は特に限定されないが、空気から材料表面まで連続的に屈折率を増大させて低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を得るためには、例えば図1に示すような円錐状や角錐状の他、釣鐘状など、膜面で切断した時の断面積の占有率が連続的に増大するような構造が好ましい。また、より微細な凸部が合一して上記のナノ凹凸構造を形成していてもよい。
<製造方法>
ナノ凹凸構造体の製造方法としては、例えばナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと、基材との間に本発明の樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写した後にスタンパを剥離する方法、樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後に活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法などが挙げられる。
これらの中でも、ナノ凹凸構造の転写性、表面組成の自由度を考慮すると、前者の方法が特に好ましく、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いれば、生産性が向上する。
(基材)
基材としては、光を透過する成形体であれば特に限定されず、例えばメチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートやセルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタラート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、これら高分子の複合物(ポリメチルメタクリレートとポリ乳酸の複合物、ポリメチルメタクリレートとポリ塩化ビニルの複合物など)、ガラスなどが挙げられる。
これら成形体は射出成形体でも、押し出し成形体でも、キャスト成形体でもよい。また、シート状でもフィルム状でもよい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の改良を目的として、表面にコーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
(スタンパ)
スタンパにナノ凹凸構造を形成する方法としては特に限定されないが、電子ビームリソグラフィー法やレーザー光干渉法などが挙げられる。例えば適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布した後に、紫外線レーザー、電子線、X線等の光を用いて露光後、現像することによってナノ凹凸構造を有する型を形成できる。この型をそのままスタンパとして使用することもできるが、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングした後、レジスト層を除去することで支持基板そのものに直接ナノ凹凸構造を形成することも可能である。
また、陽極酸化ポーラスアルミナをスタンパとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することによって形成される20〜200nmの細孔構造をスタンパとして利用してもよい。該方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である微細凹凸構造も形成可能となる。
さらに、ナノ凹凸構造を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。
スタンパそのものの形状としては特に限定されず、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよいが、ベルト状やロール状にすることで連続的にナノ凹凸構造を転写できるため生産性をより高めることができる。
(重合・硬化条件)
活性エネルギー線照射による重合・硬化方法としては、紫外線照射による重合・硬化が好ましく、紫外線を照射するランプとしては高圧水銀灯やメタルハライドランプ、フュージョンランプ等を使用することができる。
紫外線照射量は、樹脂組成物中の重合開始剤の吸収波長や含有量にもよるため一概には言えないが、400mJ/cm以上であることが好ましい。樹脂組成物の硬化が不十分だと得られるナノ凹凸構造体の耐擦傷性が低下する場合がある。また照射量が多すぎると硬化物の着色や基材の劣化などを引き起こす場合がある。従って、400〜4000mJ/cmの積算光量で硬化させることが好ましく、より好ましくは400〜2000mJ/cmである。照射強度についても特に制限されるものではないが、基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
このようにして得られるナノ凹凸構造体は、その表面にスタンパのナノ凹凸構造が、鍵と鍵穴の関係で転写される。
本発明のナノ凹凸構造体は、本発明の樹脂組成物の硬化物で形成されるナノ凹凸構造を表面に有するので、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えると共に、連続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現できる。従って、本発明のナノ凹凸構造体は、反射防止膜(反射防止フィルムを含む)、立体形状の反射防止体として好適である。
[撥水性物品]
本発明の撥水性物品は、本発明のナノ凹凸構造体を備える。撥水性物品は、高い耐耐擦傷性と良好な撥水性を有すると共に、優れた反射防止性能を発現する。
ナノ凹凸構造体が反射防止膜である場合には、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、ナノ凹凸構造体を貼り付けて使用する。
ナノ凹凸構造体が立体形状の反射防止体である場合には、あらかじめ用途に応じた形状の基材を用いてナノ凹凸構造体を製造しておき、これを上記対象物の表面を構成する部材として使用する。
また、対象物が画像表示装置である場合には、その表面に限らず、その前面板に対してナノ凹凸構造体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを本発明のナノ凹凸構造体から構成することもできる。
また、本発明の撥水性物品は、上述した用途以外にも、光導波路、レリーフホログラム、レンズ、偏光分離素子などの光学用途や、細胞培養シートとしての用途に展開できる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記載において、特に断りがない限り「部」は「質量部」を意味する。
各種測定および評価方法は以下の通りである。
(1)スタンパの細孔の測定
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部について、その縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)により加速電圧3.00kVで観察した。そして、隣り合う細孔の間隔(周期)および細孔の深さを測定した。それぞれ10点ずつ測定しその平均値を求め、測定値とした。
(2)ナノ凹凸構造体の凹凸の測定
ナノ凹凸構造体の縦断面を10分間Pt蒸着し、上記(1)の場合と同様の装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、ならびに凸部の高さを測定した。それぞれ10点ずつ測定しその平均値を求め、測定値とした。
(3)粘度の測定
樹脂組成物の25℃における粘度を、回転式B型粘度計を用いて測定した。
(4)撥水性の評価(接触角の測定)
ナノ凹凸構造体に1μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて接触角を算出した。
(5)耐擦傷性の評価
磨耗試験機(新東科学社製、「HEIDON」)に1cm四方のキャンバス布を装着し、100gの荷重をかけて、往復距離50mm、ヘッドスピード60mm/sの条件にてナノ凹凸構造体の表面を1000回擦傷した。その後、外観について目視にて観察し、以下の評価基準により評価した。
◎:傷が確認できない。
○:1〜2本の傷が確認される。
△:3〜5本の傷が確認される。
×:6本以上の傷が確認される。
[スタンパの作製]
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨および過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
該アルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
該アルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄した後、表面の水分をエアーブローで除去し、オプツールDSX(ダイキン社製)を固形分0.1質量%になるように希釈剤HD−ZV(ハーベス社製)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してスタンパを得た。
[重合反応性モノマー成分]
実施例および比較例で用いた各モノマーの物性等を表1に示す。
なお、モノマーの表面自由エネルギーは以下のようにして算出した。すなわち、モノマーを平滑なフィルム状に硬化させ、硬化物上に1μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて接触角を測定した。ついで、接触角の測定値をヤングの式に代入し、水の表面自由エネルギーを72.8mJ/mとして、モノマーの硬化物における表面自由エネルギーを求めた。
また、多官能モノマーである「TAS」のラジカル重合性官能基の数は、混合した化合物が理想的に反応したと仮定した場合の値である。
表1中の略号は下記の通りである。
・ATM−4E:エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)、
・TAS:トリメチロールエタン/アクリル酸/無水コハク酸を2/4/1で縮合反応させた混合物、
・TMPT−3EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−TMPT−3EO」)、
・TMPT−6EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学社製、「ライトアクリレートTMP−6EO−3A」)、
・U−4HA:4官能ウレタン系ハードアクリレート(新中村化学工業社製、「NKオリゴU−4HA」)、
・TMPT−9EO:エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルA−TMPT−9EO」)、
・x−22−1602:シリコーンジアクリレート(信越化学工業社製、「x−22−1602」)、
・HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート、
・NVP:N−ビニルピロリドン、
・PHE:フェノキシエチルアクリレート、
・C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、
・IBXA:イソボルニルアクリレート、
・ACMO:アクリロイルモルホリン。
Figure 0005876977
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
多官能モノマー(A)としてエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業社製、「NKエステルATM−4E」)を90部、モノマー(B)としてシリコーンジアクリレート(信越化学工業社製、「x−22−1602」)を10部、活性エネルギー線重合開始剤(D)として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(日本チバガイギー社製、「DAROCURE1173」)を0.5部と、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(日本チバガイギー社製、「DAROCURE TPO」)を0.5部計量し、これらを混合して、樹脂組成物を調製した。
得られた樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表2に示す。
(ナノ凹凸構造体の製造)
スタンパの細孔が形成された表面上に得られた樹脂組成物を流し込み、その上に厚さ188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、「A−4300」)を押し広げながら被覆した後、フィルム側から高圧水銀灯を用いて2000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して、樹脂組成物を硬化した。ついで、フィルムとスタンパを剥離して、ナノ凹凸構造体を得た。
得られたナノ凹凸構造体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、図1に示すような、隣り合う凸部13の間隔(距離w1)または隣り合う凹部14の間隔(距離w2)が100nm、凸部13の高さd1が180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。
また、このナノ凹凸構造体について、撥水性および耐擦傷性の評価を実施した。結果を表2に示す。
[実施例2〜14、比較例1〜15]
表2〜5に示す配合組成に従って各成分を混合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、ナノ凹凸構造体を製造した。得られた樹脂組成物の粘度を測定した。結果を表2〜5に示す。また、得られたナノ凹凸構造体について、撥水性および耐擦傷性の評価を実施した。結果を表2〜5に示す。
なお、表2〜5中の配合量の単位は「部」である。また、実施例1〜14、および比較例1〜12で得られたナノ凹凸構造体の表面には、スタンパのナノ凹凸構造が転写されており、図1に示すような、隣り合う凸部13の間隔(距離w1)または隣り合う凹部14の間隔(距離w2)が100nm、凸部13の高さd1が180nmである略円錐形状のナノ凹凸構造が形成されていた。一方、比較例13〜15で得られたナノ凹凸構造体は、隣接するナノ凹凸構造が部分的に合一していた。
Figure 0005876977
Figure 0005876977
Figure 0005876977
Figure 0005876977
表2〜5中の略号は下記の通りである。
・(A):多官能モノマー(A)
・(B):モノマー(B)
・(C):モノマー(C)
・(D):活性エネルギー線重合開始剤(D)
・DAR1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(日本チバガイギー社製、「DAROCURE1173」)、
・DAR TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド(日本チバガイギー社製、「DAROCURE TPO」)。
表2〜5の結果から明らかなように、実施例1〜14の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、高い耐擦傷性と良好な撥水性を兼ね備えていた。
比較例1の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、モノマー(C)を45部用いたため、樹脂組成物の硬化における相分離が誘起されにくく、その結果、モノマー(B)が硬化物の表面に十分に偏在されず、良好な撥水性が得られなかった。
比較例2〜7の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)として用いたモノマーの表面自由エネルギーが36.0mJ/mと低かったので、樹脂組成物の硬化における相分離が誘起されにくく、その結果、モノマー(B)が硬化物の表面に十分に偏在されず、良好な撥水性が得られなかった。また、耐擦傷性が低下した。特に、比較例6および7の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、モノマー(B)の含有量が30部と多かったため、弾性率や硬度が低くなり、耐擦傷性が低下しやすかった。
比較例8の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)の含有量が50部と少なく、かつモノマー(B)の含有量が50部と多かったため、弾性率や硬度が低くなり、耐擦傷性が低下した。
比較例9〜11の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)の含有量が60部以上であったため、比較例8に比べると耐擦傷性は向上したが、モノマー(B)の含有量が30部以上と多かったため、各実施例に比べると耐擦傷性は低かった。
比較例12の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)として用いたモノマーの表面自由エネルギーが36.0mJ/mと低く、かつモノマー(B)を用いなかったので、良好な撥水性が得られなかった。また、耐擦傷性が低下した。
比較例13〜15の樹脂組成物を硬化して得られたナノ凹凸構造体は、多官能モノマー(A)の分子量をラジカル重合性官能基の数で除した値(分子量/ラジカル重合性官能基の数)が231と大きかったため、弾性率や硬度が低くなり、耐擦傷性が低下した。また隣接するナノ凹凸構造が部分的に合一しており、良好な撥水性も得られなかった。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化して得られるナノ凹凸構造体は、ナノ凹凸構造体としての優れた光学性能を維持しながら、高い耐擦傷性と良好な撥水性を両立することから、壁や屋根などの建材用途、家屋や自動車、電車、船舶などの窓材や鏡などに利用可能であり、工業的に極めて有用である。また、反射防止性能が求められるディスプレイなどの用途にも利用可能である。
10:ナノ凹凸構造体、
11:基材、
12:活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物、
13:凸部、
14:凹部。

Claims (6)

  1. 硬化したときの表面自由エネルギーが37〜65mJ/m ある多官能モノマー(A)、および硬化したときの表面自由エネルギーが10〜30mJ/m あるモノマー(B)を含む重合反応性モノマー成分と、該重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(D)とを含有し、
    前記重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、前記多官能モノマー(A)の含有量が60〜97質量部であり、前記モノマー(B)の含有量が3〜29質量部であり、
    前記多官能モノマー(A)は、分子内に3個以上のラジカル重合性官能基を有する、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含み、かつ当該多官能モノマー(A)の分子量をラジカル重合性官能基の数で除した値(分子量/ラジカル重合性官能基の数)が110〜200であり、
    前記モノマー(B)は、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  2. 前記重合反応性モノマー成分は、該重合反応性モノマー成分に含まれる全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、前記多官能モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能なモノマー(C)を20質量部以下含むことを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. 前記重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜5質量部の紫外線吸収剤および/または酸化防止剤(E)をさらに含有することを特徴とする請求項1または2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化してなるナノ凹凸構造を表面に有することを特徴とするナノ凹凸構造体。
  5. 請求項4に記載のナノ凹凸構造体を備えたことを特徴とする撥水性物品。
  6. ナノ凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパと、基材との間に、請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を配し、該活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射して活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を重合および硬化させた後、前記スタンパを剥離し、前記基材の表面に活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるナノ凹凸構造を形成することを特徴とするナノ凹凸構造体の製造方法。
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