JP2013033136A - 微細凹凸構造体、およびこれを有する反射防止物品 - Google Patents

微細凹凸構造体、およびこれを有する反射防止物品 Download PDF

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Abstract

【課題】微細凹凸構造を構成する凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凸部が自立した微細凹凸構造体、および該微細凹凸構造体を有する反射防止物品の提供。
【解決手段】微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体であって、前記微細凹凸構造が、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、かつ、水接触角が90°以上である、微細凹凸構造体10、および該微細凹凸構造体10を表面に有する、反射防止物品。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細凹凸構造体、およびこれを有する反射防止物品に関する。
各種ディスプレー、レンズ、ショーウィンドーなどの空気と接する界面(表面)では、太陽光や照明等が表面で反射することによる視認性の低下が問題点となっていた。
反射を減らすための方法としては、フィルム表面での反射光と、フィルムと対象物(基材)の界面での反射光とが干渉によって打ち消し合うように、屈折率の異なる数層のフィルムを対象物の表面に積層する方法が知られている。これらのフィルムは、通常、スパッタリング、蒸着、コーティング等の方法で製造される。
しかし、このような方法では、フィルムの積層数を増やしても反射率及び反射率の波長依存性の低下には限界があった。また、製造コスト削減のために積層数を減らすためには、より低屈折率の材料が求められていた。
材料の屈折率を下げるためには、何らかの方法で材料中に空気を導入することが有効であるが、その一つとして、例えばフィルムの表面に微細凹凸構造を形成する方法が広く知られている。この方法によれば、微細凹凸構造が形成された表面の層全体の屈折率が、空気と微細凹凸構造を形成する材料との体積比により決定されるため、大幅に屈折率を下げることが可能になり、積層数が少なくても反射率を低下させることができる。
また、ガラス基板上に形成された反射防止膜において、角錐状の凸部が膜全体に連続的に形成された反射防止膜が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のように、角錐状の凸部(微細凹凸構造)が形成された反射防止膜は、膜面方向に切断した時の断面積が連続的に変化し、空気から基板まで徐々に屈折率が増大していくため、有効な反射防止の手段となる。また、該反射防止膜は、他の方法では置き換えられない優れた光学性能を示す。
また、フィルム表面の微細凹凸構造を形成するための樹脂組成物についても、種々検討されている(例えば、特許文献2〜4参照)。
特開昭63−75702号公報 国際公開第2007/040159号パンフレット 特開2005−10231号公報 特開2003−161802号公報
ところで、反射防止膜の反射防止性能をさらに向上させるためには、微細凹凸構造の凸部の高さやアスペクト比(凸部の平均高さ/隣り合う凸部の平均間隔)をできるだけ大きくすることが好ましい。
しかしながら、微細凹凸構造の凸部の高さやアスペクト比を大きくすると、凸部の1つ1つが自立しにくくなり、凸部同士が結合(合一)しやすくなる。凸部が自立せずに合一すると、反射率が上昇して反射防止性能が低下するだけでなく、ヘイズが上昇し、透明性が損なわれるなどの問題があった。
特許文献1〜4には、微細凹凸構造を形成するための樹脂組成物が記載されているが、高アルペクト比における凸部の自立性については着目していない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、微細凹凸構造を構成する凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凸部が自立した微細凹凸構造体、および該微細凹凸構造体を有する反射防止物品の提供を課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、塗膜などの硬化物としたときの表面弾性率が大きい樹脂組成物を用いることで、凸部の高さやアスペクト比が大きい微細凹凸構造を形成する場合であっても、凸部同士が合一せずに自立することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の微細凹凸構造体は、微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体であって、前記微細凹凸構造が、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、かつ、水接触角が90°以上であることを特徴とする。
ここで、前記微細凹凸構造の凸部の平均高さ(H)が200〜1000nmであることが好ましい。
また、前記微細凹凸構造の凸部の平均高さ(H)と、隣り合う凸部の平均間隔(D)との比(H/D)が1〜10であることが好ましい。
さらに、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A)を40〜70質量部と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B)を30〜60質量部含む重合反応性モノマー成分と、該重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(C)と、0.01〜3質量部の離型剤(D)とを含有することが好ましい。
また、本発明の反射防止物品は、本発明の微細凹凸構造体を表面に有することを特徴とする。
本発明によれば、微細凹凸構造を構成する凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凸部が自立した微細凹凸構造体、および該微細凹凸構造体を有する反射防止物品を提供できる。
本発明の微細凹凸構造体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の微細凹凸構造体の他の例を模式的に示す断面図である。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
また、「活性エネルギー線」とは、電子線、紫外線、可視光線、プラズマ、赤外線などの熱線等を意味する。
[微細凹凸構造体]
本発明の微細凹凸構造体は、後述する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」という場合がある。)の硬化物からなる、複数の凸部が形成された微細凹凸構造を表面に有する。
ここで、図1に本発明の微細凹凸構造体の一例を示す。この例の微細凹凸構造体10は、後述する透明基材11の上に樹脂組成物の硬化物からなる硬化物層12が形成されている。また、硬化物層12の表面には、表面反射防止等の機能を発現する微細凹凸構造が形成されている。具体的には、硬化物層12の表面に凸部13および凹部14が等間隔で形成されている。
良好な反射防止性能を発現するためには、微細凹凸構造の隣り合う凸部13(または凹部14)の平均間隔(D)が、可視光の波長以下のサイズである必要がある。ここで「可視光」とは、波長が380〜780nmの光を指す。隣り合う凸部13の平均間隔(D)が380nm以下であれば、可視光の散乱を抑制できる。この場合、本発明の微細凹凸構造体を反射防止膜などの光学用途に好適に使用できる。
隣り合う凸部の平均間隔(D)は、微細凹凸構造体10の表面を電子顕微鏡で観察し、隣り合う凸部13の中心点(頂部)13aの間隔dを10点測定し、これらの値を平均したものである。
また、凸部13の平均高さ(H)(または凹部14の平均深さ)は、100〜1000nmであることが好ましく、200〜1000nmがより好ましく、200〜600nmが特に好ましい。凸部13の平均高さ(H)が100nm以上であれば、最低反射率や特定波長の反射率の上昇を抑制できる。一方、凸部13の平均高さ(H)が1000nm以下であれば、微細凹凸構造体10の耐擦傷性を良好に維持できる。
凸部13の平均高さ(H)は、微細凹凸構造体10の表面を電子顕微鏡で観察し、凹部14の中心点(底点)14aから凸部13の中心点(頂部)13aまでの垂直距離hを10点測定し、これらの値を平均したものである。
さらに、微細凹凸構造体10の微細凹凸構造において、「凸部の平均高さ(H)/隣り合う凸部の平均間隔(D)」で表されるアスペクト比は1〜10であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。アスペクト比が1以上であれば、微細凹凸構造体10の反射率が十分に低くなり、その入射角依存性も十分に小さくなる。従って、微細凹凸構造体10を反射防止膜などの反射防止物品に用いる場合には、特に好適である。一方、アスペクト比が10以下であれば、微細凹凸構造体10の耐擦傷性を良好に維持できる。
微細凹凸構造の凸部の形状は特に限定されず、例えば図1に示すように円錐状または角錐状や、図2に示すように釣鐘状などが挙げられる。また、微細凹凸構造の凸部の形状はこれらに限定されず、硬化物層12の膜面で切断した時の断面積の占有率が連続的に増大するような構造であればよい。また、より微細な凸部が合一して微細凹凸構造を形成していてもよい。すなわち、図1、2に示す形状以外であっても、空気から材料表面まで連続的に屈折率を増大し、低反射率と低波長依存性を両立させた反射防止性能を示すような形状であればよい。
なお、本発明により得られる微細凹凸構造体は、図1、2に示す実施形態に限定されるものではなく、微細凹凸構造は樹脂組成物の硬化物の片面に形成されていてもよいし、硬化物の全面に形成されていてもよい。また、微細凹凸構造は硬化物の全体に形成されていてもよいし、硬化物の一部に形成されていてもよい。
本発明の微細凹凸構造体においては、その表面に上述したような微細凹凸構造が形成されている。この微細凹凸構造の表面の水接触角は90°以上であり、100°以上が好ましく、110°以上がより好ましく、120°以上が特に好ましい。水接触角が90°以上であれば、汚れ(特に水汚れ)が付着しにくくなるため、十分な防汚性が発揮される。また、水が付着しにくいため、着氷防止効果も得られやすくなる。加えて、高湿度下においても微細凹凸構造を形成する樹脂組成物の硬化物が吸湿し、可塑化による性能低下を抑制しやすくなる。
水接触角は、θ/2法で測定される値である。
また、本発明の微細凹凸構造体の微細凹凸構造は、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である樹脂組成物の硬化物からなる。微細凹凸構造が、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である樹脂組成物の硬化物からなることで、微細凹凸構造を構成する凸部が適度に硬くなるため、凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凸部が自立できる。凸部の自立性を高めるためには、弾性率の高い樹脂組成物を用いればよいが、弾性率が高くなりすぎると、例えば図1に示すように、透明基材11上に硬化物層12を形成する際、透明基材11の変形に硬化物層12が追従できなくなり、硬化物層12に亀裂が入りやすくなり、外観を損ねることとなる。従って、弾性率は4.0GPa以下が好ましい。
弾性率は、以下のようにして求めた値である。
まず、アルミニウム板の表面上に樹脂組成物を数滴垂らし、その上にスライドガラスで押し広げながら被覆する。ついで、スライドガラス側から紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた後、ガラスとアルミニウム板を剥離する。樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物の表面を0.5mN/1秒の条件で荷重増加し、荷重増加と同条件で除荷したときの、65%と95%の荷重がかかった点を使用しての外挿入法により、弾性率を求める。
微細凹凸構造の表面の水接触角や、樹脂組成物の硬化物の表面の弾性率は、樹脂組成物中のモノマー成分の種類や含有量を調節することで調整できる。
以下、樹脂組成物について詳しく説明する。
<活性エネルギー線硬化性樹脂組成物>
本発明に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(樹脂組成物)は、活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化する樹脂組成物である。
本発明に用いる樹脂組成物は、重合反応性モノマー成分と、活性エネルギー線重合開始剤と、離型剤とを含有する。
(重合反応性モノマー成分)
重合反応性モノマー成分は、4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A)と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B)とを含む。
4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A);
4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A)(以下、「モノマー(A)」という場合がある。)は、樹脂組成物の主成分であり、樹脂組成物の硬化物の機械特性(特に、耐擦傷性や凸部の自立性)を良好に維持する役割を果たす。
モノマー(A)は、ラジカル重合性官能基を分子内に4個以上有する。これにより、樹脂組成物の硬化物の架橋点間分子量が小さくなり、硬化物の弾性率や硬度が高くなり、耐擦傷性に優れた硬化物が得られるとともに、微細凹凸を転写した場合、凸部同士の結合(合一)を抑制でき、自立性に優れた凸部を形成できる。
モノマー(A)はラジカル重合性官能基を4個以上有するものである。硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上の樹脂組成物が得られやすくなり、凸部の自立性が向上する観点から、ラジカル重合性官能基の数は6個以上がより好ましい。また、後述するエトキシ変性物などの親水性基を有する4官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合には、樹脂組成物の疎水性を損なわない程度の含有量とすることが望ましい。
モノマー(A)の具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物またはブトキシ変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、プロポキシ変性物、エトキシ・プロポキシ変性物、ブトキシ変性物、またはεカプロラクトン変性物などが挙げられる。
このような変性物としては市販品を用いることができ、例えば新中村化学工業社製の「NKエステル」シリーズのATM−4E、A−TMPT−3EO、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL40」、第一工業製薬社製の「ニューフロンティア」シリーズのTMP−2、R1150D、共栄社化学社の「ライトアクリレートTMP−6EO−A」、日本化薬社製の「DPCA−20」、「DPCA−30」などが挙げられる。
また、モノマー(A)として、ポリオールやイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリレート等を反応させたウレタン(メタ)アクリレートを用いてもよい。このようなウレタン(メタ)アクリレートとしては市販品を用いることができ、例えば第一工業製薬社製の「ニューフロンティアR−1150D」、新中村化学工業社製の「NKオリゴU−6HA」、ダイセル・サイテック社製の「EBECRYL」シリーズの220、1290、5129、8210、「KRM」シリーズの8200、共栄社化学社製の「UA−306H」などが挙げられる。
以上のモノマー(A)の具体例の中でも、特に重合反応性の観点から、モノマー(A)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのエトキシ変性物、εカプロラクトン変性物、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
モノマー(A)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(A)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、40〜70質量部である。モノマー(A)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化物の弾性率、硬度が向上し、耐擦傷性に優れる硬化物が得られる。一方、モノマー(A)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物の反りを抑制できるとともに、スタンパから剥離する際のひび割れの発生を防止できる。
モノマー(A)の含有量は、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましい。また、65質量部以下が好ましい。特に、モノマー(A)の含有量が50質量部以上であれば、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上の樹脂組成物が得られやすくなる。
2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B);
2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B)(以下、「モノマー(B)」という場合がある。)は、樹脂組成物と後述する透明基材との密着性を向上させる役割を果たす。
モノマー(B)は、ラジカル性重合反応性基を分子内に2個有する。また、後述するエトキシ変性物などの親水性基を有する2官能の(メタ)アクリレートモノマーを用いる場合には、樹脂組成物の疎水性を損なわない程度の含有量とすることが望ましい。
モノマー(B)の具体例としては、ビスフェノールAジアクリレートのエトキシ変性物、またはプロポキシ変性物、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
モノマー(B)としては市販品を用いることができ、例えば大阪有機化学工業社製の「ビスコート」シリーズの#230、#260、新中村化学工業社製の「NKエステル」シリーズのAPG−400、APG−700、A−PTMG−65、A−BPE−4などが挙げられる。
以上のモノマー(B)の具体例の中でも、硬化物の表面の弾性率を3.0GPa以上に調節しやすい点で、モノマー(B)としては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ビスフェノールAジアクリレートのエトキシ変性物、またはプロポキシ変性物が好ましい。
また、市販品としては、大阪有機化学工業社製の「ビスコート」シリーズの#230や、新中村化学工業社製の「NKエステル」シリーズのA−BPE−4が好ましい。
モノマー(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
モノマー(B)の含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、30〜60質量部である。モノマー(B)の含有量が上記下限値以上であれば、後述する透明基材との密着性を良好にでき、また、樹脂組成物の粘度を低下させハンドリング性を良好にすることができる。一方、モノマー(B)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物の弾性率を損なわない。
モノマー(B)の含有量は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。また、35質量部以上が好ましい。特に、モノマー(B)の含有量が50質量部以下であれば、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上の樹脂組成物が得られやすくなる。
その他のモノマー;
樹脂組成物は、重合反応性モノマー成分として、上述したモノマー(A)、モノマー(B)以外に、分子内に1個以上のラジカル重合性官能基を有するモノマーを含んでいてもよい。このようなモノマーを適宜含むことにより、樹脂組成物全体としての重合反応性を良好に維持しつつ、ハンドリング性や後述する透明基材との密着性を更に向上できる。
その他のモノマーとしては、単官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。単官能(メタ)アクリレートモノマーは、樹脂組成物のハンドリング性や重合反応性を向上させる役割、透明基材との密着性向上の役割を果たす。
単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、モノマー(A)およびモノマー(B)と共重合可能なモノマーであれば特に制限されないが、特に透明基材との密着性が向上する点で、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。また、透明基材としてアクリル系フィルムを使用する場合は、特にメチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレートが好ましい。
さらに、アクリロイルモルホリン等の粘度調整剤、アクリロイルイソシアネート等も使用できる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量は、重合反応性モノマー成分中の全モノマーの含有量の合計を100質量部としたときに、15質量部以下が好ましく、0〜10質量部がより好ましい。単官能(メタ)アクリレートモノマーの含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化性が向上する。また、硬化後の未反応のモノマーの残存量を低減し、未反応のモノマーが可塑剤として作用して硬化物の弾性率を低くしたり、耐擦傷性を低下させたりする問題を防止できる。
(活性エネルギー線重合開始剤(C))
活性エネルギー線重合開始剤(C)は、活性エネルギー線を照射することで開裂し、重合反応を開始させるラジカルを発生する化合物である。
装置コストや生産性の観点から、活性エネルギー線として紫外線を用いるのが一般的である。
活性エネルギー線重合開始剤(C)としては特に限定されないが、例えばベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン;2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジンが挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤(C)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、吸収波長の異なる2種以上を併用することが好ましい。
また必要に応じて、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物、アゾ系開始剤などの熱重合開始剤を併用してもよい。
活性エネルギー線重合開始剤(C)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜10質量部であり、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましい。上記下限値以上であれば、得られる樹脂組成物の硬化性が向上し、硬化物の機械的特性(特に耐擦傷性)が向上する。一方、活性エネルギー線重合開始剤(C)の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物内の活性エネルギー線重合開始剤(C)の残存に起因する硬化物の弾性率や耐擦傷性の低下を抑制できるとともに、着色防止にもなる。
(離型剤(D))
離型剤(D)としては、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル化合物が好ましく、特に、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(以下、「化合物(I)」という。)が好ましい。
Figure 2013033136
式(I)中、Rはアルキル基である。Rはとしては、炭素数3〜18のアルキル基が好ましい。
また、式(I)中、mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜20の数を示し、1〜10が好ましい。一方、nは1〜3の数を示す。
化合物(I)は、モノエステル体、ジエステル体、トリエステル体の何れであってもよい。また、ジエステル体又はトリエステル体である場合、それぞれのポリオキシエチレンアルキル残基が相互に異なっていてもよい。
離型剤(D)として化合物(I)を用いると、樹脂組成物の硬化物のスタンパからの離型性が良好となり、微細凹凸構造体の形成に好適である。また、離型時の負荷が極めて低いので、欠陥の少ない微細凹凸構造体が高い生産性で得られる。
化合物(I)としては市販品を用いることができ、例えば城北化学工業社製の「JP−506H」、アクセル社製の「モールドウイズ」シリーズのINT−1856、日光ケミカルズ社製の「NIKKOL」シリーズのTDP−10、TDP−8、TDP−6、TDP−2、DDP−10、DDP−8、DDP−6、DDP−4、DDP−2、TLP−4、TCP−5、DLP−10が挙げられる。
離型剤(D)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤(D)の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜3質量部であり、0.05〜1質量部が好ましく、0.1〜0.5質量部がより好ましい。離型剤(D)の含有量が上記下限値以上であれば、スタンパからの離型性低下によるスタンパへの樹脂残り(離型不良)を防止できる。一方、離型剤(D)の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化物本来の性能の維持しつつ、後述する透明基材との密着性低下によるスタンパへの樹脂残り(離型不良)を防止できる。加えて、微細凹凸構造体の使用時における透明基材と硬化物との剥離を防止できるとともに、斑や外観不良の発生を抑制できる。
(その他の成分)
本発明に用いる樹脂組成物は、滑剤や、紫外線吸収剤および/または光安定剤を含有していてもよい。
滑剤;
滑剤は、耐擦傷性を向上させる役割を果たす。
滑剤としては、ポリエーテル変性されたポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物が好ましく、またアクリル基などを有した反応性のものであってもよい。これは、ブロック共重合体でもグラフト共重合体でもよい。
また、滑剤としては市販品を用いることができ、例えばビックケミー・ジャパン社製の「BYK−378」、「BYK−333」、「BYK−331」、「BYK−377」、「BYK−UV3500」、「BYK−UV3510」、「BYK−UV3570」等が挙げられる。
滑剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
滑剤の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対して0.01〜3質量部が好ましく、0.05〜2質量部がより好ましく、0.1〜1.0質量部が特に好ましい。滑剤の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物の耐擦傷性が低下するのを抑制できる。一方、滑剤の含有量が上記上限値以下であれば、硬化物と後述する透明基材との密着性が低下するのを抑制でき、斑や外観不良が発生しにくくなり、かつ耐候性試験による撥水化を防止できる。
なお、滑剤と、滑剤以外の成分との相溶性が悪い場合には、硬化物の色ムラやヘイズの上昇などを引き起こすことがある。
紫外線吸収剤および/または光安定剤;
紫外線吸収剤や光安定剤は、黄帯色の抑制やヘイズの上昇抑制等の耐候性を付与する役割を果たす。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線吸収剤等が挙げられる。市販品としては、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン」シリーズの400、479、109、共同薬品社製の「Viosorb」シリーズの110等が挙げられる。
一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系の光安定剤等が挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン」シリーズの152、292等が挙げられる。
紫外線吸収剤や光安定剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤および/または光安定剤の含有量は、重合反応性モノマー成分100質量部に対し、0.01〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.01〜1質量部がさらに好ましく、0.01〜0.5質量部が特に好ましい。紫外線吸収剤および/または光安定剤の含有量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物の硬化物が黄帯色するのを抑制できるとともに、ヘイズ上昇を抑制するなどして耐候性が向上する。一方、紫外線吸収剤および/または光安定剤の含有量が上記上限値以下であれば、樹脂組成物の硬化性の低下や硬化物の耐擦傷性の低下を効果的に防止できる。
また、本発明に用いる樹脂組成物は、必要に応じて、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤、着色剤、強化剤、無機フィラー、耐衝撃性改質剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
(樹脂組成物の物性)
本発明に用いる樹脂組成物は、上述したように、硬化後の弾性率が3.0GPa以上であり、4.0GPa以下が好ましい。
また、微細凹凸構造を転写された硬化物の表面の水接触角が90°以上である。
さらに、樹脂組成物は、微細凹凸構造を形成させるスタンパへ流し込むことを考慮すると、25℃における回転式E型粘度計で測定される粘度が、10Pa・s以下であることが好ましく、5Pa・s以下がより好ましく、2Pa・s以下が特に好ましい。また、樹脂組成物はスタンパへ流し込む際にあらかじめ加温して粘度を下げることが可能である。
樹脂組成物の粘度は、モノマー(A)、モノマー(B)、および単官能(メタ)アクリレートモノマーの種類や含有量を調節することで調整できる。具体的には、水素結合などの分子間相互作用を有する官能基や化学構造を含むモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は高くなる傾向にある。また、分子間相互作用のない低分子量のモノマーを多量に用いると、樹脂組成物の粘度は低くなる傾向にある。
ところで、樹脂組成物は、後述する透明基材上で硬化させ、透明基材と一体化させて用いることが一般的である。しかし、硬化物と透明基材との屈折率が異なる場合、硬化物と透明基材との界面で反射が起こり、反射率が上昇しやすくなる。このことから、本発明の微細凹凸構造体を光学用途に用いる場合、使用する透明基材の屈折率に合わせて樹脂組成物の屈折率を調整し、屈折率差を小さくすることが好ましい。
<微細凹凸構造体の製造方法>
本発明の微細凹凸構造体は、例えば、(1)微細凹凸構造の反転構造が形成されたスタンパを用いて射出成形やプレス成形する方法、(2)スタンパと透明基材との間に樹脂組成物を配し、活性エネルギー線の照射により樹脂組成物を硬化して、スタンパの凹凸形状を転写し、その後スタンパを剥離する方法、(3)樹脂組成物にスタンパの凹凸形状を転写してからスタンパを剥離し、その後で活性エネルギー線を照射して樹脂組成物を硬化する方法などによって製造できる。
これらの方法の中でも、微細凹凸構造の転写性、表面組成の自由度の点から、(2)の方法が特に好ましい。(2)の方法は、連続生産が可能なベルト状やロール状のスタンパを用いる場合に特に好適であり、生産性に優れた方法である。
(透明基材)
透明基材は、光を透過する成形体であれば特に限定されない。透明基材を構成する材料としては、例えば、メチルメタクリレート(共)重合体、ポリカーボネート、スチレン(共)重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体等の合成高分子、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート等の半合成高分子、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリウレタン、ガラス等が挙げられる。
透明基材の形状や製造方法は、特に限定されない。例えば、射出成形体、押し出し成形体、キャスト成形体を使用できる。また形状は、シート状でもフィルム状でもよい。さらに、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、透明基材の表面に、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
(スタンパ)
スタンパに微細凹凸構造を形成する方法は、特に限定されない。その具体例としては、電子ビームリソグラフィー法、レーザー光干渉法が挙げられる。例えば、適当な支持基板上に適当なフォトレジスト膜を塗布し、紫外線レーザー、電子線、X線等の光で露光し、現像することによって微細凹凸構造を有する型が得られる。この型をそのままスタンパとして使用することもできるが、フォトレジスト層を介して支持基板をドライエッチングにより選択的にエッチングして、レジスト層を除去することで支持基板そのものに直接微細凹凸構造を形成することも可能である。
また、陽極酸化ポーラスアルミナをスタンパとして利用することも可能である。例えば、アルミニウムをシュウ酸、硫酸、リン酸等を電解液として所定の電圧にて陽極酸化することにより形成される20〜200nm間隔の細孔構造をスタンパとして利用してもよい。この方法によれば、高純度アルミニウムを定電圧で長時間陽極酸化した後、一旦酸化皮膜を一部または全部除去し、再び陽極酸化することで非常に高規則性の細孔が自己組織化的に形成できる。さらに、二回目に陽極酸化する工程で、陽極酸化処理と孔径拡大処理を組み合わせることで、断面が矩形でなく三角形や釣鐘型である微細凹凸構造も形成可能となる。
さらに、微細凹凸構造を有する原型から電鋳法等で複製型を作製し、これをスタンパとして使用してもよい。
スタンパそのものの形状は特に限定されず、例えば、平板状、ベルト状、ロール状のいずれでもよい。特に、ベルト状やロール状にすれば、連続的に微細凹凸構造を転写でき、生産性をより高めることができる。
(重合・硬化条件)
活性エネルギー線照射による重合・硬化方法としては、紫外線照射による重合・硬化が好ましい。紫外線を照射するランプとしては、例えば、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、フュージョンランプが挙げられる。
紫外線の照射量は、樹脂組成物中の重合開始剤の吸収波長や含有量に応じて決定すればよい。通常、その積算光量は、100〜6000mJ/cmが好ましく、400〜4000mJ/cmがより好ましい。積算光量が上記下限値以上であれば、樹脂組成物を十分に硬化させることができ、硬化不足による耐擦傷性低下を防止できる。一方、積算光量が上記上限値以下であれば、硬化物の着色や透明基材の劣化を防止できる。
照射強度も特に制限されないが、透明基材の劣化等を招かない程度の出力に抑えることが好ましい。
このようにして重合・硬化して得られる微細凹凸構造体は、その表面にスタンパの微細凹凸構造が鍵と鍵穴の関係で転写される。
<作用効果>
以上説明した本発明の微細凹凸構造体は、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である樹脂組成物の硬化物からなる微細凹凸構造を表面に有するので、微細凹凸構造を構成する凸部が適度に硬く、凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凹凸の転写直後から凸部が自立できる。
また、本発明の微細凹凸構造体は、表面の水接触角が90°以上であり、疎水性を示す。親水性であると硬化物が吸湿しやすくなるため可塑化し、凸部の合一を引き起こす可能性がある。一方、疎水性であれば吸湿に起因する凸部の合一を抑制することができる。よって、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上であり、かつ微細凹凸構造の表面の水接触角を90°以上とする樹脂組成物を用いることで、凸部の自立性がより向上し、凸部の合一を効果的に抑制できる。
従って、本発明の微細凹凸構造体は、凸部の高さやアスペクト比が大きくても凸部が合一しにくいため、反射率が上昇しにくく、続的な屈折率の変化によって優れた反射防止性能を発現できるとともに、ヘイズが上昇しにくく、透明性を良好に維持できる。
よって、本発明の微細凹凸構造体は、反射防止膜(反射防止フィルムを含む)や、立体形状の反射防止体などの反射防止物品として特に好適である。
また、本発明の微細凹凸構造体は、上述した用途以外にも、例えば、光導波路、レリーフホログラム、太陽電池、レンズ、偏光分離素子、有機エレクトロルミネッセンスの光取り出し率向上部材などの光学用途や、細胞培養シート、撥水シート、滑雪シートなどの用途にも適用できる。
ところで、本発明の微細凹凸構造体を反射防止物品などの用途に用いる場合、通常、空気と接する界面(表面)で使用されるため、汚れが付きやすい。
しかし、本発明の微細凹凸構造体は、表面の水接触角が90°以上であるため、防汚性に優れる。よって、空気と接する界面(表面)での使用にも適している。
[反射防止物品]
本発明の反射防止物品は、本発明の微細凹凸構造体を表面に有する。
微細凹凸構造体を反射防止膜として使用する場合は、例えば、液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、陰極管表示装置のような画像表示装置、レンズ、ショーウィンドー、眼鏡レンズ等の対象物の表面に、微細凹凸構造体を貼り付けて使用する。
微細凹凸構造体を貼り付ける部分が立体形状である場合は、あらかじめそれに応じた形状の透明基材を用いて微細凹凸構造体を製造しておき、これを対象物品の所定部分に貼り付ければよい。
また、対象物品が画像表示装置である場合は、その表面に限らず、その前面板に対して微細凹凸構造体を貼り付けてもよいし、前面板そのものを微細凹凸構造体から構成することもできる。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
スタンパは、以下のようにして製造した。
[スタンパの製造]
<スタンパA:細孔の深さ180nm>
純度99.99%のアルミニウム板を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
(a)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で30分間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜の一部または全部を除去した。
(c)工程:
このアルミニウム板について、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で30秒陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたアルミニウム板を、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、周期100nm、深さ180nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化ポーラスアルミナを得た。
得られた陽極酸化ポーラスアルミナを脱イオン水で洗浄し、表面の水分をエアーブローで除去し、これを、表面防汚コーティング剤(ダイキン社製、「オプツールDSX」)を固形分0.1質量%になるように希釈剤(ハーベス社製、「HD−ZV」)で希釈した溶液に10分間浸漬し、20時間風乾してスタンパAを得た。
得られたスタンパAの細孔を下記の方法により測定した結果、隣り合う細孔の平均間隔が100nm、細孔の平均深さが180nmの略円錐形状のテーパー状凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を表面に形成していた。
スタンパの細孔の測定;
陽極酸化ポーラスアルミナからなるスタンパの一部の縦断面を1分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)により加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔の間隔(周期)及び細孔の深さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
<スタンパB:細孔の深さ400nm>
(c)工程における陽極酸化時間を30秒から40秒に変更し、(d)工程における浸漬時間を8分間から6分間に変更し、(e)工程において(c)工程および(d)工程の繰り返し回数を合計で5回から7回に変更した以外は、スタンパAと同様にしてスタンパBを製造した。
得られたスタンパBの細孔を測定した結果、隣り合う細孔の間隔が100nm、細孔の深さが400nmの略円錐形状のテーパー状凹部(細孔)からなる微細凹凸構造を表面に形成していた。
[実施例1]
<樹脂組成物の調製>
モノマー(A)としてウレタンアクリレート(第一工業製薬社製、「ニューフロンティアR−1150D」)60質量部、モノマー(B)として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製、「ビスコート#230」)40質量部、活性エネルギー線重合開始剤(C)として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE184」)1.0質量部、およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE819」)0.5質量部、離型剤(D)としてポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカル社製、「NIKKOL TDP−2」)0.1質量部を混合し、樹脂組成物を調製した。
<微細凹凸構造体の製造>
(微細凹凸構造体A:凸部の高さ180nm)
スタンパAの細孔が形成された表面上に得られた樹脂組成物を数滴垂らし、その上に厚さ100μmのアクリルフィルム(三菱レイヨン社製、「HBK003」)で押し広げながら被覆した。その後、フィルム側からフュージョンランプを用いて1000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して硬化させた。ついで、フィルムとスタンパを剥離して、フィルム状の微細凹凸構造体Aを得た。
得られた微細凹凸構造体Aの凹凸を下記の方法により測定した結果、隣り合う凸部(または凹部)の平均間隔(D)が100nm、凸部の平均高さ(H)が180nm、アスペクト比(H/D)が1.8の略円錐形状の微細凹凸構造を表面に形成していた。
微細凹凸構造体の凹凸の測定;
微細凹凸構造体の縦断面を10分間Pt蒸着し、スタンパの場合と同じ装置および条件にて、隣り合う凸部または凹部の間隔、および凸部の高さを測定した。具体的にはそれぞれ10点ずつ測定し、その平均値を測定値とした。
(微細凹凸構造体B:凸部の高さ400nm)
スタンパBを用いた以外は、微細凹凸構造体Aと同様にして微細凹凸構造体Bを製造した。
得られた微細凹凸構造体Bの凹凸を測定した結果、隣り合う凸部(または凹部)の平均間隔(D)が100nm、凸部の平均高さ(H)が400nm、アスペクト比(H/D)が4.0の略円錐形状の微細凹凸構造を表面に形成していた。
<評価>
得られた樹脂組成物、および微細凹凸構造体A、Bについて、下記の(1)〜(3)の測定・評価を行った。
(1)弾性率の測定
電解研磨を行った平滑なアルミプレート上に樹脂組成物を数滴垂らし、白色スライドガラス(松浪硝子工業社製、「S9112」)で被覆した。その後、スライドガラス側からフュージョンランプを用いて1000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射して硬化させた。ついで、アルミプレートとガラスを剥離して、樹脂塗膜を得た。
得られた樹脂塗膜の表面をフィッシャー社製「FISCHERSCOPE(R) HM2000」を用いて、0.5mN/1秒の条件で荷重増加し、荷重増加と同条件で除荷した。その際の65%と95%の荷重がかかった点を使用しての外挿法により弾性率を計算した。
(2)水接触角の測定
微細凹凸構造体Aの微細凹凸構造が形成された側の表面に1μLのイオン交換水を滴下し、自動接触角測定器(KRUSS社製)を用いて、θ/2法にて水接触角を算出した。
(3)凸部の自立性の評価
微細凹凸構造体Bの微細凹凸構造が形成された側の表面を10分間Pt蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)により加速電圧3.00kVで観察し、以下の評価基準により凸部の自立性を評価した。
○:凸部が合一している箇所が全体の20%未満。
×:凸部が合一している箇所が全体の20%以上。
[実施例2〜7、比較例1〜5]
表1、2に示す配合組成に従って各成分を混合した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を調製し、微細凹凸構造体A、Bを製造し、各種測定・評価を行った。結果を表1、2に示す。
なお、各実施例および比較例で得られた微細凹凸構造体Aの表面には、スタンパAの微細凹凸構造が転写されており、隣り合う凸部(または凹部)の平均間隔(D)が100nm、凸部の平均高さ(H)が180nm、アスペクト比(H/D)が1.8の略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。
また、各実施例および比較例で得られた微細凹凸構造体Bの表面には、スタンパBの微細凹凸構造が転写されており、隣り合う凸部(または凹部)の平均間隔(D)が100nm、凸部の平均高さ(H)が400nm、アスペクト比(H/D)が4.0の略円錐形状の微細凹凸構造が形成されていた。
Figure 2013033136
Figure 2013033136
表1、2中の略号等は下記の通りである。
・モノマー(A):4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A)
・モノマー(B):2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B)
・重合開始剤(C):活性エネルギー線重合開始剤(C)
・DPCA−20:変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「DPCA−20」)
・DPCA−30:変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「DPCA−30」)
・R1150D:ウレタンアクリレート(第一工業製薬社製、「ニューフロンティアR−1150D」)
・C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製、「ビスコート#230」)
・A−BPE−4:変性ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業製、「NKエステルA−BPE−4」)
・APG−400:ポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学工業製、「NKエステルAPG−400」)
・Irg.184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGACURE184」)
・Irg.819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「IRGCURE819」)
・TDP2:ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカル社製、「NIKKOL TDP−2」)
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7の場合、凸部の平均高さ(H)が400nmである微細凹凸構造体Bの凸部は、良好な自立性を有していた。
従って、本発明によれば、凸部の高さやアスペクト比が大きくても、凸部が自立した微細凹凸構造体が得られる。
一方、表2の結果から明らかなように、樹脂塗膜の表面の弾性率が3.0GPa未満である樹脂組成物を用いた比較例1〜5の場合、凸部の平均高さ(H)が400nmである微細凹凸構造体Bの凸部は、多くの部分で合一しており、凸部の自立性を維持することができなかった。
10:微細凹凸構造体、
11:透明基材、
12:硬化物層、
13:凸部、
13a:凸部の頂点、
14:凹部、
14a:凹部の底点、
d:隣り合う凸部の間隔、
h:凹部の底点から凸部の頂点までの垂直距離。

Claims (5)

  1. 微細凹凸構造を表面に有する微細凹凸構造体であって、
    前記微細凹凸構造が、硬化後の表面の弾性率が3.0GPa以上である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなり、
    かつ、水接触角が90°以上である、微細凹凸構造体。
  2. 前記微細凹凸構造の凸部の平均高さ(H)が200〜1000nmである、請求項1に記載の微細凹凸構造体。
  3. 前記微細凹凸構造の凸部の平均高さ(H)と、隣り合う凸部の平均間隔(D)との比(H/D)が1〜10である、請求項1または2に記載の微細凹凸構造体。
  4. 前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が、4官能以上の(メタ)アクリレートモノマー(A)を40〜70質量部と、2官能の(メタ)アクリレートモノマー(B)を30〜60質量部含む重合反応性モノマー成分と、該重合反応性モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部の活性エネルギー線重合開始剤(C)と、0.01〜3質量部の離型剤(D)とを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の微細凹凸構造体。
  5. 請求項1に記載の微細凹凸構造体を表面に有する、反射防止物品。
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