JP2008200800A - 円盤状基板の研磨方法、研磨装置 - Google Patents

円盤状基板の研磨方法、研磨装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ブラシによる円盤状基板の外周研磨工程にて、研磨性能を大幅に向上させて研削傷を滑らかにする。
【解決手段】円盤状基板の端面を研磨液を用いて研磨する円盤状基板の研磨方法であって、樹脂に研磨砥粒を含有させた第1のブラシを用いて端面を研磨する第1の研磨工程(S101〜S109)と、この第1の研磨工程により第1のブラシを用いて端面を研磨した後、研磨砥粒が含有されていない樹脂からなる第2のブラシを用いて端面を更に研磨する第2の研磨工程(S110〜S117)とを備えた。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の研磨方法等に関する。
記録メディアとしての需要の高まりを受け、近年、円盤状基板であるディスク基板の製造が活発化している。このディスク基板の一つである磁気ディスク基板として、アルミ基板やガラス基板が広く用いられている。このアルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
このような磁気ディスク基板の製造方法については種々の改良が加えられている。例えば、磁気ディスク表面にガラス基板上のパーティクルによって凸部が形成され、この凸部がサーマル・アスペリティ(Thermal Asperity)となり磁気抵抗型ヘッドの抵抗値を変動させる問題に対応するために、ブラシ研磨によりガラス基板の端面を研磨する技術が存在する(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1では、スラリーを使用したブラシ研磨により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面部分(角張った部位、側面および面取り部)の研磨を行い、角張った部位を曲面とし表面粗さが所定の範囲となるように鏡面研磨している。
また、他の特許文献として、ガラスディスクの外周面加工を効率良く行い、低い設備コストと歩留まり向上を目的として、積層ガラスディスクに対して回転する研磨ブラシを上下に往復揺動させる技術が存在する(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2では、複数セットの積層ガラスディスクを複数の研磨ブラシで研磨することで、加工効率をさらに向上させている。
特開平10−154321号公報 特開平11−28649号公報
ここでブラシを用いた研磨は、一般に研削処理の後の工程で行われる。そのために、ガラス基板の端面には無数の研削傷が存在しており、この無数の研削傷の周囲を研磨して表面を滑らかにすることが望ましい。このとき、ポリアミド樹脂などの樹脂を毛材とするブラシを用いて研磨を行った場合には、ブラシの研磨能力が低く、スラリーによる研磨能力だけでは深い研削傷を滑らかにすることができない。特に、端面の角張った部位を曲面とするためには、毛先の径をより小さくして面取り部にもブラシを入り込ませることが要求されるが、この毛先の径を小さくするために細いブラシ毛を用いた場合には、ブラシに腰が無くなり研磨能力が低下する。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ブラシによる研磨工程にて、研磨性能を大幅に向上させ、例えば研削傷などの傷を平滑化することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、円盤状基板の端面を研磨液を用いて研磨する円盤状基板の研磨方法であって、樹脂に研磨砥粒を含有させた第1のブラシを用いて端面を研磨する第1の研磨工程と、この第1の研磨工程により第1のブラシを用いて端面を研磨した後、研磨砥粒が含有されていない樹脂からなる第2のブラシを用いて端面を更に研磨する第2の研磨工程とを備えたことを特徴とする。
ここで、この研磨砥粒は酸化アルミニウムまたはダイヤモンドであることを特徴とする。
また、この第1のブラシの材料である樹脂は、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とすることができる。
更に、この第1の研磨工程および第2の研磨工程は、積層された円盤状基板の外周端面をブラシの軸方向に対峙させ、外周端面に設けられる側壁部と面取り部とを同時に研磨することを特徴とする。
また更に、この円盤状基板は、隣り合う円盤状基板の間に円盤状基板よりも外径の小さいスペーサを介在して積層されることを特徴とする。
また、この第1の研磨工程または第2の研磨工程は、積層された円盤状基板を第1のブラシまたは第2のブラシに対峙させて研磨した後、積層された円盤状基板を第1のブラシまたは第2のブラシに反転対峙させて研磨することを特徴とすれば、研磨状態の均一化を図ることができる点で好ましい。
更に、この第1の研磨工程または第2の研磨工程は、第1のブラシまたは第2のブラシを複数備え、複数の積層された円盤状基板を複数の第1のブラシまたは第2のブラシに接触させて研磨し、その後、位置を入れ替えて第1のブラシまたは第2のブラシに接触させた複数の積層された円盤状基板を研磨することを特徴とすれば、更に研磨状態を均一化できる点で優れている。
他の観点から捉えると、本発明は、円盤状基板の外周端面を研磨液を用いて研磨する研磨装置であって、スペーサを介在させて積層された円盤状基板を取り付ける取り付け手段と、この取り付け手段に取り付けられた円盤状基板の外周端面に当接し、樹脂に研磨砥粒を含有させたブラシを備え、取り付け手段に取り付けられた円盤状基板の外周端面の側壁部と面取り部とにブラシを接触させて側壁部と面取り部とを同時に研磨する研磨手段とを備えた。
ここで、この研磨手段は、円盤状基板を第1の方向に回転させる第1の回転機構と、ブラシをこの第1の方向とは反対となる第2の方向に回転させる第2の回転機構と、円盤状基板とブラシとを軸方向に相対的に往復移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする。
以上のように構成された本発明によれば、これらの構成を採用しない場合に比べてブラシによる研磨性能を大幅に向上させることができ、円盤状基板の端面について優れた鏡面化を実現できる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1−1(a)〜(d)、図1−2(e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。この製造工程では、まず図1−1(a)に示す1次ラップ工程にて、円盤状基板(ワーク)10の原材料を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を削る。このとき、円盤状基板10を載置した定盤21の表面には、例えばダイヤモンドの砥粒が分散して散りばめられる。
次に、図1−1(b)に示す内外周研削工程にて、円盤状基板10の中心に設けられた開孔(hole)の内周12を内周砥石22によって研削し、円盤状基板10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、主として同心度を高める目的で、円盤状基板10の内周12の面(内周端面)と外周13の面(外周端面)を、内周砥石22と外周砥石23とで円盤状基板10の半径方向に挟み込んで同時加工している。この内周砥石22と外周砥石23の表面には、例えばダイヤモンドの砥粒が分散して散りばめられる。
図1−1(c)に示す外周研磨工程では、図1−1(b)に示す内外周研削工程にて研削された円盤状基板10の外周13を、まずスラリー(研磨液)を供給しながら外周研磨用ブラシである砥粒含有ブラシ50を用いてブラシ研磨を行い、その後、スラリーを供給しながら樹脂ブラシ60を用いてブラシ研磨を行う。
その後、図1−1(d)に示す2次ラップ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を更に研削する。
次に、図1−2(e)に示す内周研磨工程にて、円盤状基板10の中心の開孔に内周研磨用ブラシ25を挿入し、円盤状基板10の内周12を研磨する。その後、図1−2(f)に示す1次ポリッシュ工程にて、円盤状基板10を定盤27に載置し、円盤状基板10の平面11を磨く。このときの研磨には、例えば不織布(研磨布)として硬質ポリッシャが用いられる。更に、図1−2(g)に示す2次ポリッシュ工程にて、軟質ポリッシャを用いた平面研磨が行われる。その後、図1−2(h)に示す最終洗浄・検査工程にて洗浄と検査が行われて、ディスク基板としての円盤状基板10が製造される。
ここで、本実施の形態の特徴的な工程である図1−1(c)に示す外周研磨工程について詳述する。
図2〜図4は、外周研磨工程を行う際に用いられる研磨装置100の構成を示している。図2は研磨装置100の概略構成を示した図であり、図3は研磨装置100に設けられるブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)の状態を説明するための図である。また、図4は、研磨装置100におけるブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)と円盤状基板10を積層した積層ワーク200との取り付け状態を説明するための図である。
本実施の形態にて、外周研磨工程は、砥粒含有ブラシ50を用いた第1の研磨工程と、樹脂ブラシ60を用いた第2の研磨工程との2つの工程にて構成されている。この第1の研磨工程および第2の研磨工程では、図2〜図4にて説明する研磨装置100を各々用いて、スラリー(研磨液)を供給しながら研磨作業が行われる。
図2に示す研磨装置100は、研磨作業を行う研磨作業領域110と、この研磨作業領域110へ積層ワーク200を取り付ける際に開かれる窓111を備えている。また、ブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)の回転・スライド機構として、ブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)を回転させる駆動モータ121、ブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)を軸方向に往復動させるスライド機構122を備えている。このスライド機構122は、円盤状基板10(積層ワーク200)とブラシとを相対的に往復移動させる移動機構の一つとして機能し、スライドのためのモータ(図示せず)とリンク機構(図示せず)によって、ブラシの軸方向への往復動を可能としている。駆動モータ121は、円盤状基板10(積層ワーク200)の回転とは逆方向にブラシを回転させる第2の回転機構の一つとして機能している。
また、研磨装置100は、複数組の積層ワーク200が取り付けられた後に、各々の積層ワーク200の回転の一端となる複数の支持軸132を有している。図2に示す例では2組の積層ワーク200に対応する2つの支持軸132が示されている。更に、複数組の積層ワーク200に、ブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)を押し付けるブラシ移動機構141を備えている。本実施の形態では、図4に示すように2つのブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)を2組の積層ワーク200に、図の左右両側から押し付けており、図2に示すブラシ移動機構141は図の左右両側に設けられている。
更に、図3に示すように、研磨作業領域110は、両側にブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)が配置され、その間に2組の積層ワーク200を取り付け可能な2つの取り付け部131が設けられている。この取り付け部131は、スペーサ40(後述)を介在させて積層された積層ワーク200を取り付ける取り付け手段の一つとして機能している。また、研磨作業領域110には、スラリーを供給するためのノズル113が複数、設けられている。また更に、研磨作業領域110の下方には、第1の回転機構の一つとして、取り付け部131に取り付けられた積層ワーク200をブラシとは逆方向に回転駆動する駆動軸133が設けられている。
研磨作業領域110の取り付け部131に取り付けられる2組の積層ワーク200には、軸210が挿入されており、この2組の積層ワーク200は、図4に示すような状態で、2つのブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)に接触する。そして、駆動軸133による駆動力によって積層ワーク200が回転し、また、2つのブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)が駆動モータ121によって回転することで研磨される。ブラシ(砥粒含有ブラシ50、樹脂ブラシ60)は、例えばステンレス製の円環芯材等に、複数本からなる毛が密集して束となりこれらが放射状に配置されている。
図5は、第1の研磨工程にて砥粒含有ブラシ50を用いて行われる研磨処理を模式化した図である。この図5では、砥粒含有ブラシ50の毛51と、この毛51の先端部(毛先)51aが示されている。また、積層ワーク200は、スペーサ40を間に挟んで、被研磨材である円盤状基板10を積層している。ここで、円盤状基板10の外周13には側壁部13aと面取り部13bとが存在するが、スペーサ40を間に挟んで円盤状基板10を積層することで、円盤状基板10とスペーサ40を挟んで隣接する円盤状基板10との間に隙間を形成でき、面取り部13bの角部を研磨して曲面化することが可能となる。
ここで、本実施の形態で用いられる砥粒含有ブラシ50は、毛51の毛材として、例えばナイロン(登録商標)で総称されるポリアミド樹脂に酸化アルミニウム(アルミナ)の砥粒が含有されている。毛51としてポリアミド樹脂にアルミナ砥粒を含有させたものを用いることで、毛51の腰(弾力や粘り)が強くなり、強靱性や耐屈曲疲労性を向上させることができる。その結果、研磨能力を向上させることができ、比較的細い毛51を用いた場合でも良好に研磨できる。
尚、面取り部13bの角部を研磨するためには、スペーサ40により形成される隙間に先端部(毛先)51aを入り込ませることが好ましい。一般にブラシの毛先を円盤状基板10と隣接する円盤状基板10との間に入り込ませるためには、より細い毛を採用すれば良いが、一般の樹脂製のブラシでは、毛が細くなると腰が弱くなり研磨能力が低下する。しかしながら、ポリアミド樹脂にアルミナ砥粒を含有させた砥粒含有ブラシ50を用いることで、毛51が細くても腰の強いブラシが得られ、円盤状基板10の面取り部13bも良好に研磨でき、角の曲面化にも良好な研磨が実現できる。
ここで、スペーサ40の機能としては、先端部(毛先)51aを面取り部13bの角部に入り込ませる機能に加え、先端部(毛先)51aがスペーサ40より内径側に入り込まないようにブロックする機能がある。この後者の機能によって、円盤状基板10の上下平面部に対して余分な研磨が行われることを予め防止することができる。
また、砥粒含有ブラシ50は、砥粒を含有しない樹脂ブラシ60に比較して摩耗し易く、比較的短時間の使用によって毛51の先端部(毛先)51aが細くなる傾向があることが発明者等の検討により把握された。図5には、毛51の先端部(毛先)51aが細くなっている状況が示されている。この毛51の先端部(毛先)51aが細くなると、スペーサ40により形成される隙間に先端部(毛先)51aが入り込み易くなる点で、外周13の側壁部13aと面取り部13bの研磨には好ましい状況となる。このように、例えばポリアミド樹脂に酸化アルミニウム(アルミナ)の砥粒が含有された砥粒含有ブラシ50を用いて研磨を行うことで、腰の強い砥粒含有ブラシ50の有する高度な研磨能力と、先端部(毛先)51aが細くなることによる入り込み効果によって、通常の樹脂ブラシ60では取りきれない傷の平滑化や角の曲面化を図ることが可能となる。即ち、研磨手段では、円盤状基板10の外周13(外周端面)に当接し、樹脂に研磨砥粒を含有させた砥粒含有ブラシ50を備え、取り付け手段(取り付け部131など)に取り付けられた円盤状基板10の外周13(外周端面)の側壁部13aと面取り部13bとに砥粒含有ブラシ50を接触させて、側壁部13aと面取り部13bとを同時に研磨している。
尚、砥粒含有ブラシ50の他の態様として、ポリアミド樹脂にダイヤモンドなどの砥粒を含有したものや、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂などのポリエステル樹脂に、酸化アルミニウム、ダイヤモンドなどの砥粒を含有させたものも利用できる。
このような砥粒含有ブラシ50を用いた第1の研磨工程の後、図2〜図4に示すような樹脂ブラシ60を用いた研磨装置100によって、スラリーを供給しながらの樹脂ブラシ60を用いた第2の研磨工程に移行する。前述した第1の研磨工程によって例えば砥石研削によって生じた深い傷をより滑らかにすることが可能であるが、その後、第2の研磨工程により、所定の仕上がり精度まで表面を研磨する。尚、樹脂ブラシ60を用いた研磨装置100を砥粒含有ブラシ50を用いた研磨装置100とは別に設けることが工程時間の短縮の点では好ましいが、同一の研磨装置100にて、砥粒含有ブラシ50から樹脂ブラシ60にブラシを変更することで第1の研磨工程の後に第2の研磨工程へ移行することも可能である。
次に、上述した研磨装置100を用いて実行される外周研磨処理の流れについて説明する。
図6は、図1−1(c)に示す外周研磨工程を詳述したフローチャートである。これらの処理は、研磨装置100に設けられた制御部(図示せず)によって主に実行される。外周研磨工程では、まず、円盤状基板10を積層して積層ワーク200を形成する(ステップ101)。本実施の形態では、円盤状基板10と、この円盤状基板10より外径の小さいスペーサ40とを交互に挿入して重ね合わせ(図5参照)、例えば150枚程度の円盤状基板10が重ね合わされた積層ワーク200を形成する。
その後、軸210を積層ワーク200に挿入し、図3に示すような砥粒含有ブラシ50が取り付けられた研磨装置100にて、この研磨装置100の研磨作業領域110に設けられた2箇所の取り付け部131に、複数(本実施の形態では2組)の積層ワーク200を取り付ける(ステップ102)。
次いで、図2に示す2本の支持軸132を図2の下方に移動させて、この2組の積層ワーク200の軸210を支持する。そして、研磨作業領域110に取り付けられた積層ワーク200に対して、図3に示すように複数(図3では2つ)の砥粒含有ブラシ50を、両側から接触させる(ステップ103)。これによって、図4に示したように、複数組の積層ワーク200と複数の砥粒含有ブラシ50とが接触した状態で研磨装置100に積層ワーク200がセットされる。
このようにして研磨装置100に積層ワーク200をセットした後、スラリーを供給しながら2組の積層ワーク200を同方向に回転させ、2つの砥粒含有ブラシ50を軸方向(図2〜図4の上下方向)に往復動させながら積層ワーク200の回転方向とは逆方向に回転させて、研磨を行う(ステップ104)。ここで、制御部(図示せず)は、予め定められた第1の所定時間が経過したか否かを判断する(ステップ105)。この第1の所定時間としては、第1の研磨処理に好ましい時間として予め設定されている。第1の所定時間が経過していない場合には、経過するまでステップ104の処理が繰り返される。
第1の所定時間が経過した場合には、同一の取り付け部131にて、積層ワーク200の軸方向(図では上下方向)を反転させているか否かによって処理が異なる(ステップ106)。反転させていない場合には、例えばディスプレイ(図示せず)に表示した作業指示等に従って軸方向が反転され(ステップ107)、ステップ103へ戻って処理が行われる。軸方向が反転された後である場合には、2組の積層ワーク200について取り付け部131の位置を交換したか否かによって処理が異なる(ステップ108)。位置を交換した後である場合には、ステップ110以下の第2の研磨工程へ移行する。位置を交換していない場合には、例えばディスプレイ(図示せず)に表示した作業指示等に従って位置の入れ替えが行われ(ステップ109)、ステップ103へ戻って処理が繰り返される。このようにして、砥粒含有ブラシ50について、所定時間の研磨処理が4回行われる。軸方向への反転を行うことで、積層ワーク200に積層されている円盤状基板10に対する砥粒含有ブラシ50の接触回転方向を変えることができ、研磨状態をより均一化することができる。また、取り付け部131に対して積層ワーク200の位置を入れ替えることで、砥粒含有ブラシ50との接触位置による研磨結果のバラツキを解消でき、研磨状態をより均一化することが可能となる。一方は回転するブラシ(砥粒含有ブラシ50)が向かってくる方向に位置し、他方は回転するブラシが逃げる方向に位置する等、回転するブラシへの接触状態が取り付け部131の位置によって異なることから、位置を変えることの意義は大きい。
以上のようにして第1の研磨工程により研磨が行われた積層ワーク200の円盤状基板10について、ステップ110以下の第2の研磨工程が実行される。この第2の研磨工程では、第1の研磨工程に用いられた研磨装置100から積層ワーク200を取り外し、図3に示すような樹脂ブラシ60が取り付けられた研磨装置100にて処理が行われる。ここではまず、この研磨装置100の研磨作業領域110に設けられた2箇所の取り付け部131(図3参照)に、第1の研磨工程を終了した複数(本実施の形態では2組)の積層ワーク200を取り付ける(ステップ110)。次いで、図2に示す2本の支持軸132を図2の下方に移動させて、この2組の積層ワーク200の軸210を支持する。そして、研磨作業領域110に取り付けられた積層ワーク200に対して、図3に示すように複数(図3では2つ)の樹脂ブラシ60を両側から接触させ(ステップ111)、図4に示すような状態で研磨の開始を待つ。
その後、スラリーを供給しながら、2組の積層ワーク200を同方向に回転させ、2つの樹脂ブラシ60を軸方向(図2〜図4の上下方向)に往復動させながら積層ワーク200の回転方向とは逆方向に回転させて、研磨を行う(ステップ112)。ここで、制御部(図示せず)は、予め定められた第2の所定時間が経過したか否かを判断する(ステップ113)。この第2の所定時間は、この第2の研磨処理として好ましい時間として、予め設定されている。第2の所定時間が経過していない場合には、経過するまでステップ112の処理が繰り返される。
第2の所定時間が経過した場合には、同一の取り付け部131にて、積層ワーク200の軸方向(図では上下方向)を反転させているか否かによって処理が異なる(ステップ114)。反転させていない場合には、例えばディスプレイ(図示せず)に作業指示を表示し、例えば表示に従って軸方向が反転され(ステップ115)、ステップ111へ戻って処理が行われる。軸方向が反転された後である場合には、2組の積層ワーク200について取り付け部131の位置を交換したか否かによって処理が異なる(ステップ116)位置を交換していない場合には、例えばディスプレイ(図示せず)に表示された作業指示等に従って位置の入れ替えが行われ(ステップ117)、ステップ111へ戻って処理が行われる。位置を交換し終わった場合には、積層ワーク200を取り外して処理が終了する。
このようにして、樹脂ブラシ60について、所定時間の研磨処理が4回行われる。第1の研磨処理と同様に、軸方向への反転を行うことで、積層ワーク200に積層されている円盤状基板10に対する樹脂ブラシ60の回転方向を変えることができる。また、取り付け部131に対して積層ワーク200の位置を入れ替えることで、樹脂ブラシ60との接触位置による研磨結果のバラツキを解消できる。これらによって、研磨状態をより均一化することが可能となる。
以上のようにして、ステップ101〜ステップ109に示した第1の研磨処理、およびステップ110〜ステップ117に示した第2の研磨処理からなる外周研磨工程が実行される。
次に、本実施の形態を採用した一実施例を以下に示す。
・ディスクの種類 : 1.89インチ
円盤状基板10
外周13の径(外径) : 48mm
厚さ : 0.55mm
・スペーサ40
直径 : 46mm
厚さ : 0.2mm
・積層ワーク200
円盤状基板10の積層枚数 : 150枚
スペーサ40 : 基板1枚ごとに挿入
・砥粒含有ブラシ50
外径 : 150mm
樹脂 : ナイロン(登録商標)(例えばナイロン6)
線径 : 0.3mm
砥粒 : 酸化アルミニウム(アルミナ)
砥粒直径 : 30μm
砥粒番手 : #600
含有率 : 20%
・樹脂ブラシ60
外径 : 150mm
材質 : 66ナイロン
線径 : 0.2mm
・スラリー
比重 : 1.2
・加工時間
第1の研磨工程 : 23分(第1の所定時間) × 4回
第2の研磨工程 : 12分(第2の所定時間) × 4回
上記実施例による研磨によって、前工程である研削工程にて外周砥石23によって付けられた深い研削傷が平滑化され、積層ワーク200の円盤状基板10を所定の仕上げ精度まで研磨することが可能となった。
尚、砥粒直径としては20〜60μm程度のものも良好であり、砥粒番手としては、#320、#500、#800を使用しても良好な結果を得られた。しかし、加工時間や加工面を観察した結果として、#600が最も好ましかった。また、砥粒としてダイヤモンド砥粒も採用できる。更に、砥粒含有ブラシ50の樹脂としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などの樹脂を用いることもできる。
次に比較例について説明する。
・ 砥粒番手 : #1000、#1200
発明者等による実験の結果、砥粒が細かすぎて(例えば11〜18μm程度)、加工時間がかかり過ぎ、外周研磨手段としては好ましくはなかった。
・ 砥粒番手 : #240、#180、#100
発明者等による実験の結果、砥粒が大きすぎて(例えば73〜149μm程度)、逆にこの砥粒による線キズが生じた。
・ 砥粒 : 炭化ケイ素
酸化アルミニウム(アルミナ)に比べて軟らかいことが主たる原因と考えられるが、好ましい研磨結果が得られなかった。
以上の実施例/比較例から、第1の研磨工程にて用いられる砥粒含有ブラシ50としては、樹脂として、ナイロン6、610、612などのポリアミド樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)などのポリエステル樹脂を採用できる。また、砥粒の種類としては、酸化アルミニウム、ダイヤモンドが好ましく、経済性からは酸化アルミニウムが好ましい。砥粒番手としては、#320〜#800が好ましく、更に好ましくは#600である。
以上、詳述したように、本実施の形態によれば、ブラシの繊維の中に酸化アルミニウム(アルミナ)を含有させた砥粒含有ブラシ50と、例えば単なるナイロンブラシである樹脂ブラシ60とを用いて円盤状基板10の外周13を研磨した。樹脂ブラシ60を用いた研磨の前工程として、砥粒含有ブラシ50を用いて研磨を行うことで、スラリーと樹脂ブラシ60だけでは磨き込めなかった研削傷の表面を滑らかにすることができ、微細な傷を残すことなく良好な研磨結果を得ることが可能となった。
(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 (e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 研磨装置の概略構成を示した図である。 研磨装置に設けられるブラシ(砥粒含有ブラシ、樹脂ブラシ)の状態を説明するための図である。 研磨装置におけるブラシ(砥粒含有ブラシ、樹脂ブラシ)と円盤状基板を積層した積層ワークとの取り付け状態を説明するための図である。 第1の研磨工程にて砥粒含有ブラシを用いて行われる研磨処理を模式化した図である。 図1−1(c)に示す外周研磨工程を詳述したフローチャートである。
符号の説明
10…円盤状基板、13…外周、13a…側壁部、13b…面取り部、40…スペーサ、50…砥粒含有ブラシ、51…毛、51a…先端部(毛先)、60…樹脂ブラシ、100…研磨装置、200…積層ワーク

Claims (9)

  1. 円盤状基板の端面を研磨液を用いて研磨する円盤状基板の研磨方法であって、
    樹脂に研磨砥粒を含有させた第1のブラシを用いて前記端面を研磨する第1の研磨工程と、
    前記第1の研磨工程により前記第1のブラシを用いて前記端面を研磨した後、前記研磨砥粒が含有されていない樹脂からなる第2のブラシを用いて当該端面を更に研磨する第2の研磨工程と
    を備えたことを特徴とする円盤状基板の研磨方法。
  2. 前記研磨砥粒は酸化アルミニウムまたはダイヤモンドであることを特徴とする請求項1に記載の円盤状基板の研磨方法。
  3. 前記第1のブラシの材料である前記樹脂は、ポリアミド樹脂またはポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の円盤状基板の研磨方法。
  4. 前記第1の研磨工程および前記第2の研磨工程は、積層された円盤状基板の外周端面をブラシの軸方向に対峙させ、当該外周端面に設けられる側壁部と面取り部とを同時に研磨することを特徴とする請求項1に記載の円盤状基板の研磨方法。
  5. 前記円盤状基板は、隣り合う当該円盤状基板の間に当該円盤状基板よりも外径の小さいスペーサを介在して積層されることを特徴とする請求項4に記載の円盤状基板の研磨方法。
  6. 前記第1の研磨工程または前記第2の研磨工程は、前記積層された円盤状基板を前記第1のブラシまたは前記第2のブラシに対峙させて研磨した後、当該積層された円盤状基板を当該第1のブラシまたは当該第2のブラシに反転対峙させて研磨することを特徴とする請求項4に記載の円盤状基板の研磨方法。
  7. 前記第1の研磨工程または前記第2の研磨工程は、前記第1のブラシまたは前記第2のブラシを複数備え、複数の前記積層された円盤状基板を複数の当該第1のブラシまたは当該第2のブラシに接触させて研磨し、その後、位置を入れ替えて当該第1のブラシまたは当該第2のブラシに接触させた複数の当該積層された円盤状基板を研磨することを特徴とする請求項4に記載の円盤状基板の研磨方法。
  8. 円盤状基板の外周端面を研磨液を用いて研磨する研磨装置であって、
    スペーサを介在させて積層された前記円盤状基板を取り付ける取り付け手段と、
    樹脂に研磨砥粒を含有させたブラシを備え、前記取り付け手段に取り付けられた前記円盤状基板の前記外周端面の側壁部と面取り部とに当該ブラシを接触させて当該側壁部と当該面取り部とを同時に研磨する研磨手段と
    を備えた研磨装置。
  9. 前記研磨手段は、前記円盤状基板を第1の方向に回転させる第1の回転機構と、前記ブラシを当該第1の方向とは反対となる第2の方向に回転させる第2の回転機構と、当該円盤状基板と当該ブラシとを軸方向に相対的に往復移動させる移動機構とを備えたことを特徴とする請求項8に記載の研磨装置。
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