JP2005022047A - 記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体基板端部のピットを短時間のうちに無くすことができ、操作が簡便で、低コストで実施できる記録媒体ディスク原板の端部の鏡面仕上げ方法を提供すること。
【解決手段】セラミック板でなる記録媒体ディスク原板1の端部を、遊離砥粒を用いないで、摩耗機能を奏するフィラメント部又は剛毛部が砥粒を含む樹脂で形成されている砥粒入り樹脂ブラシ2を用いて研磨する工程;を包含する、記録媒体ディスク原板1の端部を鏡面仕上げする方法を提供する。
【選択図】図2
【解決手段】セラミック板でなる記録媒体ディスク原板1の端部を、遊離砥粒を用いないで、摩耗機能を奏するフィラメント部又は剛毛部が砥粒を含む樹脂で形成されている砥粒入り樹脂ブラシ2を用いて研磨する工程;を包含する、記録媒体ディスク原板1の端部を鏡面仕上げする方法を提供する。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げするための方法に関し、特に、遊離砥粒を用いないでセラミック板から打ち抜いた記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げするための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ用ハードディスク、CD及びMDのような音響メディア等情報記録媒体の基板として、従来からディスク材料が広範に用いられている。近年では、高密度で情報を記録することが可能なセラミック板に対する需要が高まっており、その加工技術の開発が重要視されている。
【0003】
情報記録媒体のディスク基板は、通常、以下の様にして作製される。まず、セラミックカッターでセラミック板を打ち抜いて記録媒体ディスク原板を作製し、その端部を面取りする。一般には、面取りは、ディスク原板の端部をダイヤモンドホイールで台形状に研磨成形して行われる。ダイヤモンドホイールはセラミックより硬質であるため、研磨成形の際に被研磨面には多数のピットが形成される。
【0004】
ピットには削りかすや研磨助剤等の微細な粒子が異物として入り込み、後続の加工工程において脱落して基板面の汚染が生じる原因となる。従って、ピット除去のために、ディスク原板の端部の仕上げ工程が行われる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−162510号公報
【特許文献2】
特開2001−246536号公報
【特許文献3】
特表2001−502185号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、記録媒体基板端部のピットを短時間のうちに無くすことができ、操作が簡便で、低コストで実施できる記録媒体ディスク原板の端部の鏡面仕上げ方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック板でなる記録媒体ディスク原板の端部を、遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;を包含する、記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法は、例えば、(1)セラミック板でなる記録媒体ディスク原板の端部を研磨成形する工程;及び(2)記録媒体ディスク原板の端部を、遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;を包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において記録媒体ディスク原板とは、ハードディスク用セラミック基板、シリコンウエハ基板等の電子情報を書き込んだり読み出したりする情報記録媒体のディスク基板として使用するディスク材料をいう。
【0009】
記録媒体ディスク原板としてガラスを用いる場合、その材質は非晶質ガラスでも晶質ガラスでもよい。ハードディスク用の場合はディスク原板の厚さは典型的には0.4〜1.4mm、より典型的には0.6〜0.8mmである。
【0010】
セラミック板を情報記録媒体のディスク基板へ加工する場合は、通常、セラミックカッターでセラミック板をドーナツ形に打ち抜く。次いで、打ち抜いたディスク原板の端部の角を落とすためダイヤモンドホイールで、典型的には台形に研磨成形する。
【0011】
図1はダイヤモンドホイールで研磨成形された記録媒体ディスク原板の実施態様の端部形状を示す模式断面図である。ディスク原板の厚さが0.6mmである場合は、台形の上辺aの長さは約300μm、両端の傾斜角度θは約45゜である。
【0012】
セラミックのような脆性材料をダイヤモンドホイールで研磨成形した場合、被研磨面には、全面にわたってピットが形成される。台形状に研磨成形されたディスク原板の端部においても直径20〜50μmのピットが全面にわたって存在している。
【0013】
ピットには切削かす等の異物が詰まっていることが多く、かかる異物は後続の加工工程において脱落して基板面の汚染が生じる原因となる。ことに近年、記録媒体には高密度記録特性が要求されてきており、基板面の汚染の原因は極力排除することが求められる。従って、記録媒体ディスク原板端部に存在するピットは除去する必要がある。
【0014】
本開示の一局面では、台形に研磨成形されたディスク原板の端部を鏡面仕上げすることによりピットを除去する。具体的には、該ディスク原板の端部を、スラリーに含まれているような遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨すればよい。樹脂ブラシの破損により生じる砥粒は遊離砥粒には含まれない。また、ディスク原板の端部とは、ディスク原板の外周端部及び内周端部の両方を含んでいる。
【0015】
砥粒入り樹脂ブラシとは、摩擦機能を奏するフィラメント部又は剛毛部が、砥粒を含む樹脂で形成されているブラシをいう。フィラメント(または剛毛)とは、小さな断面を有し、長くて曲げやすい形状の部材をいう。砥粒入り樹脂ブラシの例を以下に説明する。
【0016】
フィラメント部は、一般的には少なくとも1、より一般的には少なくとも5、より典型的には少なくとも10、最も典型的には少なくとも20のアスペクト比を有する。
【0017】
このアスペクト比は、長さを平均幅で除算した値と定義される。フィラメント部は、所望の任意の長さまたは幅で良く、断面の形状は、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)で良い。したがって、研磨フィラメントは、様々な断面積を有することができる。たとえば、フィラメント部は、波状や弓状に湾曲していても、表面模様付きでも良く、根元部から先端部までテーパを形成していてもよい。
【0018】
フィラメント部の径の寸法は、一般的には0.01〜100mmの範囲で良いが、より一般的には0.05mm〜50mmであり、典型的には0.1〜25mmであり、より典型的には0.2mm〜10mmであり、最も典型的には0.25mm〜5mmである。フィラメントの長さ、つまりトリムの長さは1mm〜1000mmで良いが、一般に2mm〜100mmであり、3mm〜75mmであれば望ましく、4mm〜50mmであればさらに望ましく、5mm〜50mmであれば最も望ましい。
【0019】
フィラメント部を構成する樹脂は可撓性を有することが好ましい。記録媒体ディスク原板端部の凹凸に追従して均一な研磨を行うことができるからである。また、この樹脂は適度の自壊性を有することが好ましい。使用中に自らが摩耗し常に新しい砥粒が被研磨物と接触することで効率よく研磨が行なえるからである。
【0020】
樹脂は熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーであれば良い。樹脂の室温ショアDジュロメーター硬度は、典型的にはASTM D790が決定する少なくとも約30であり、より典型的には約30〜約90である。
【0021】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンブロックコポリマー、ポリプロピレン、アセタールポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、およびこれらの組合せがある。熱可塑性エラストマーの例としては、セグメント化ポリエステル熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリウレタン熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリアミド熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリマーの配合物、およびイオノマー性熱可塑性エラストマーがある。
【0022】
上記樹脂として好ましい熱可塑性ポリマー及び可塑性エラストマーについては、例えば、特表2001−502185号公報、第45頁下から第7行〜同第50頁第6行に更に詳しく説明されており、出典明示により本明細書の一部とする。
【0023】
砥粒の例としては、溶融酸化アルミニウム、熱処理溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理酸化アルミニウム、炭化珪素、二硼化チタン、アルミニウムジルコニア、ダイヤモンド、炭化硼素、セリア、立方晶系窒化硼素、及びガーネットの粒子、およびこれらを組合せた粒子がある。
【0024】
砥粒は、一般的には約0.1〜1500μmの範囲の粒子径を有する。粒子径は、典型的には約1〜1300μmであり、より典型的には50〜500μmである。例えば、表1に示すように、砥粒の粒子径は砥粒入り樹脂ブラシの用途や所望の機能に応じて適宜調節することができる。
【0025】
【表1】
*:好ましい範囲
【0026】
また、砥粒は、砥粒と樹脂との重量比が0.25〜1、好ましくは0.4〜0.8となる量でフィラメント部に含有される。砥粒の量が上記重量比で0.25未満であると砥粒の量が少ないため仕上げに時間がかかりすぎてしまう。また、1を越えると砥粒の量が樹脂に比べて多いためブラシの強度が落ちてブラシの寿命が短くなる。
【0027】
一般に、砥粒は実質的に十分に分散された分布を形成するように散在されるが、それは必須ではない。さらに、砥粒の大部分は樹脂内に完全に埋め込まれる一方、これは、表面に粒子が樹脂の外側に部分的に露出する可能性を排除するものではない。
【0028】
本発明の方法で用いる砥粒入り樹脂ブラシは、円盤状のハブ部と該ハブ部の周囲から半径方向に伸長された複数のフィラメント(または剛毛)部とを有する形状であることが好ましい。円盤状の樹脂ブラシの周囲で研磨を行うと、ディスク原板の外周端部及び内周端部の研磨を容易に行なえるからである。また、複数の円盤状樹脂ブラシを同軸的に積み重ねて、より幅広のブラシを作製してもよい。
【0029】
砥粒入り樹脂ブラシは、砥粒を含有する可撓性樹脂から一体(又はワンピース)成形することができ、そうすることで、強靱な樹脂ブラシを低コストで得ることができる。つまり、樹脂を、樹脂が流動する融解点以上に加熱する。ついで、砥粒を樹脂中に分散してスラリー状とする。所定形状の空洞が形成された金型に、樹脂スラリーを導入する。樹脂スラリーは金型の空洞内に流入し、樹脂ブラシの形が形成される。次いで、冷却して樹脂を凝固させ、金型から成形された樹脂ブラシを取り出す。得られた砥粒入り樹脂ブラシはハブ部とフィラメント部とが一体成形されており、個体間で形状のばらつきがなく、強靱で耐久性に優れている。
【0030】
このような砥粒入り樹脂ブラシの具体例には、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社より「3M・ブリッスル・ディスク(商品名)」、及び住友スリーエム社より「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク(商品名)」として市販されているもの等が含まれる。
【0031】
研磨操作は、ディスク原板の端部、すなわち内周端部及び/又は外周端部に、砥粒入り樹脂ブラシのフィラメント部を荷重をかけて接触させ摩擦することによって行う。研磨条件は、要求される仕上がりのレベルに応じて適宜調節され、特定の条件の選択は通常の当業者が適用する範囲内である。一般には、樹脂ブラシの周速は、ディスク原板の端部に対して約1000〜3000m/分程度になるように調節される。切り込みは約0.5〜2.0mm程度である。研磨時間は約5〜60秒程度である。
【0032】
砥粒入り樹脂ブラシは、適当な枚数を積み重ねて用いてよい。砥粒入り樹脂ブラシが円盤状である場合、複数の樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状の多数構成ブラシとして用いることもできる。ディスク原板を複数枚重ねて固定し、まとめて端部仕上げする際には、このようなホイール状ブラシを用いると便利である。
【0033】
図2は、記録媒体ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げする方法の一態様を示す模式断面図である。複数枚のディスク原板を同軸的に積み重ねて積層体1を形成し、軸に固定する。積層体1は軸を通してモーター3に連結されており、回転させられる。円盤状の砥粒入り樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状ブラシ2、2’とし、これをディスク原板の積層体1に隣接するように固定する。ホイール状ブラシ2、2’も軸を通してモーター4、4’に連結されており、回転させられる。ホイール状ブラシ2、2’はレール5に沿って動かすことができ、0.5〜2.00mmの切り込みにてディスク原板の積層体1の外周端部に接触させる。
【0034】
ディスク原板の中心孔部の寸法に適合させたサイズの砥粒入り樹脂ブラシを用いて、ディスク原板の内周端部を鏡面仕上げすることもできる。また、いわゆる心無し研削を行ってディスク原板の内外周端部を鏡面仕上げしてもよい。
【0035】
本発明の研磨工程では、遊離砥粒を含むスラリーを使用する必要はない。従って、研磨工程において、廃水、そして廃水などの処理コストが減少する。
【0036】
さらに、研磨の後に遊離砥粒を除去する工程が不要であり、砥粒は樹脂ブラシに含まれているため、砥粒の種類を変更するためには、樹脂ブラシの種類を変更すれば足りる。つまり、被研磨面が粗い研磨工程の初期は大きな粒子径の砥粒で研磨し、被研磨面が細かくなった後期には小さい粒子径の砥粒で研磨するといった、被研磨面の状態に応じた砥粒の選択が、樹脂ブラシの種類を粗仕上げ用から細仕上げ用に変更するだけで簡単に連続的に行うことができる。そのため、被研磨面の仕上げレベルを維持しながら研磨時間を飛躍的に短縮することができる。
【0037】
尚、従来の遊離砥粒を使用する研磨工程では、砥粒がディスク原板に付着して流動するために、砥粒の種類を変更するためには一旦ディスク原板を洗浄する必要がある。従って、研磨工程において砥粒の種類を変更することはあまり現実的ではなく、通常は、研磨工程を通して同一種類の砥粒が使用される。そのため、砥粒は研磨の初期から中ないし細仕上げグレードのものが使用され、研磨効率に劣り、研磨時間は比較的長時間を要していた。
【0038】
樹脂ブラシの種類またはタイプの変更は、研磨装置に樹脂ブラシを付け替えることで行なってよい。また、複数の樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状ブラシとする場合は、その中に異なる種類の樹脂ブラシの領域を設けてもよい。そうすると、ディスク原板を樹脂ブラシのホイールに沿って移動させるだけで樹脂ブラシの種類を変更することができる。
【0039】
図3は2種類の樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシの一例を示す斜視図である。第1の樹脂ブラシを同軸積層した領域6と第2の樹脂ブラシを同軸積層した領域7とが設けられている。第1の樹脂ブラシの領域幅l1と第2の樹脂ブラシの領域幅l2とは必ずしも同一である必要はなく、適宜変更することができる。
【0040】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
実施例1
記録媒体ディスク原板として、厚さ2mm、直径63.5mm、中心穴径20mmのドーナツ形ガラス板を準備した。このディスク原板の端部を、#500ダイヤモンド研磨ホイール(三菱マテリアル社製「MED500」、直径63.5mm、穴径20mm)を用いて図1に示される台形に研磨成形した。台形の上辺aの長さは約400μm、両端の傾斜角度θは約45゜とした。ディスク原板の端部の上面と左右両斜面には、全面にわたってピットが形成された。
【0042】
#120(平均粒子径120μm)酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシ(住友スリーエム社製「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク」、外径50mm、ショアーD硬度95)を5枚同軸的に積層した。ついで、#400酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシ(住友スリーエム社製「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク」、外径50mm、ショアーD硬度95)を5枚その上に同軸的に積層した。その結果、図3に示すような2種類の砥粒入り樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシを得た。
【0043】
まず、ホイール状樹脂ブラシと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、ディスク原板の外周端部を#120酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域に荷重をかけて接触させた。研磨条件は、ホイール状樹脂ブラシの周速1600m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、切り込み1mm、研磨時間20秒とした。
【0044】
次いで、ディスク原板の外周端部を#400(平均粒子径30μm)酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域に荷重をかけて接触させた。研磨条件は、ホイール状樹脂ブラシの周速1600m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、切り込み1mm、研磨時間20秒とした。
【0045】
研磨後、研磨面をレーザー顕微鏡で目視観察し、ピット除去率を算出した。
【0046】
実施例2
#400酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域で研磨する時間を40秒とすること以外は実施例1と同様にして、ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げした。実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0047】
参考例
特開2001−246536号公報の実施例
実施例1で用いたのと同じ記録媒体ディスク原板の端部を実施例1と同様にして台形に研磨成形した。これを複数枚積み重ね、回転軸体に固定した。
【0048】
#600(平均粒子径15μm)酸化アルミニウム研磨ホイール(住友スリーエム社製「DLOホイール」、直径160mm、密度1.8g/cm3、ショアーD硬度90)、および#10000酸化セリウム研磨ホイール(住友スリーエム社製「DLOホイール」、直径160mm、密度2.0g/cm3、ショアーD硬度95)を準備した。それぞれの研磨ホイールに、ドレッサーを用いてディスク原板の端部形状に対応した形状の溝を設けた。
【0049】
まず、#600酸化アルミニウム研磨ホイールを用いてディスク原板の端部の研磨を行った。研磨方法は、#600酸化アルミニウム研磨ホイールと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、端部同士を荷重をかけて接触させた。研磨条件は、研磨ホイールの周速2000m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、荷重2〜5Kg、研磨時間10秒とした。
【0050】
次いで、#600酸化アルミニウム研磨ホイールを#10000(平均粒子径0.3μm)酸化セリウム研磨ホイールと取り替えて同様の方法でディスク原板の端部の研磨を行った。研磨条件は、ホイールの周速2000m/分、荷重2〜5Kg、ディスク原板の周速46R.P.M、研磨時間20秒とした。
【0051】
実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0052】
比較例
実施例1で用いたのと同じ記録媒体ディスク原板の端部を実施例1と同様にして台形に研磨成形した。これを複数枚積み重ね、回転軸体に固定した。
【0053】
研磨ブラシを用いてディスク原板の端部の研磨を行った。研磨方法は、研磨ブラシと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、研磨助剤として、酸化セリウムを10〜20%含有する水スラリーを10リットル/分の割合で供給しながらディスク原板の端部をブラシと接触させた。研磨条件は、研磨ブラシの周速1000m/分、切り込み5mm、ディスク原板の周速46R.P.M、研磨時間1800秒とした。
【0054】
実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明の記録媒体ディスク原板の端部の鏡面仕上げ方法によれば、記録媒体基板端部のピットを短時間のうちに無くすことができ、操作が簡便で、低コストで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドホイールで研磨成形された記録媒体ディスク原板の実施態様の端部形状を示す模式断面図である。
【図2】記録媒体ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げする方法の一態様を示す模式断面図である。
【図3】2種類の樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
a…台形の上辺、
θ…台形の両端の傾斜角度、
1…記録媒体ディスク原板の積層体、
2、2’…ホイール状樹脂ブラシ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げするための方法に関し、特に、遊離砥粒を用いないでセラミック板から打ち抜いた記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げするための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ用ハードディスク、CD及びMDのような音響メディア等情報記録媒体の基板として、従来からディスク材料が広範に用いられている。近年では、高密度で情報を記録することが可能なセラミック板に対する需要が高まっており、その加工技術の開発が重要視されている。
【0003】
情報記録媒体のディスク基板は、通常、以下の様にして作製される。まず、セラミックカッターでセラミック板を打ち抜いて記録媒体ディスク原板を作製し、その端部を面取りする。一般には、面取りは、ディスク原板の端部をダイヤモンドホイールで台形状に研磨成形して行われる。ダイヤモンドホイールはセラミックより硬質であるため、研磨成形の際に被研磨面には多数のピットが形成される。
【0004】
ピットには削りかすや研磨助剤等の微細な粒子が異物として入り込み、後続の加工工程において脱落して基板面の汚染が生じる原因となる。従って、ピット除去のために、ディスク原板の端部の仕上げ工程が行われる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−162510号公報
【特許文献2】
特開2001−246536号公報
【特許文献3】
特表2001−502185号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、記録媒体基板端部のピットを短時間のうちに無くすことができ、操作が簡便で、低コストで実施できる記録媒体ディスク原板の端部の鏡面仕上げ方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、セラミック板でなる記録媒体ディスク原板の端部を、遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;を包含する、記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法を提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法は、例えば、(1)セラミック板でなる記録媒体ディスク原板の端部を研磨成形する工程;及び(2)記録媒体ディスク原板の端部を、遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;を包含する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において記録媒体ディスク原板とは、ハードディスク用セラミック基板、シリコンウエハ基板等の電子情報を書き込んだり読み出したりする情報記録媒体のディスク基板として使用するディスク材料をいう。
【0009】
記録媒体ディスク原板としてガラスを用いる場合、その材質は非晶質ガラスでも晶質ガラスでもよい。ハードディスク用の場合はディスク原板の厚さは典型的には0.4〜1.4mm、より典型的には0.6〜0.8mmである。
【0010】
セラミック板を情報記録媒体のディスク基板へ加工する場合は、通常、セラミックカッターでセラミック板をドーナツ形に打ち抜く。次いで、打ち抜いたディスク原板の端部の角を落とすためダイヤモンドホイールで、典型的には台形に研磨成形する。
【0011】
図1はダイヤモンドホイールで研磨成形された記録媒体ディスク原板の実施態様の端部形状を示す模式断面図である。ディスク原板の厚さが0.6mmである場合は、台形の上辺aの長さは約300μm、両端の傾斜角度θは約45゜である。
【0012】
セラミックのような脆性材料をダイヤモンドホイールで研磨成形した場合、被研磨面には、全面にわたってピットが形成される。台形状に研磨成形されたディスク原板の端部においても直径20〜50μmのピットが全面にわたって存在している。
【0013】
ピットには切削かす等の異物が詰まっていることが多く、かかる異物は後続の加工工程において脱落して基板面の汚染が生じる原因となる。ことに近年、記録媒体には高密度記録特性が要求されてきており、基板面の汚染の原因は極力排除することが求められる。従って、記録媒体ディスク原板端部に存在するピットは除去する必要がある。
【0014】
本開示の一局面では、台形に研磨成形されたディスク原板の端部を鏡面仕上げすることによりピットを除去する。具体的には、該ディスク原板の端部を、スラリーに含まれているような遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨すればよい。樹脂ブラシの破損により生じる砥粒は遊離砥粒には含まれない。また、ディスク原板の端部とは、ディスク原板の外周端部及び内周端部の両方を含んでいる。
【0015】
砥粒入り樹脂ブラシとは、摩擦機能を奏するフィラメント部又は剛毛部が、砥粒を含む樹脂で形成されているブラシをいう。フィラメント(または剛毛)とは、小さな断面を有し、長くて曲げやすい形状の部材をいう。砥粒入り樹脂ブラシの例を以下に説明する。
【0016】
フィラメント部は、一般的には少なくとも1、より一般的には少なくとも5、より典型的には少なくとも10、最も典型的には少なくとも20のアスペクト比を有する。
【0017】
このアスペクト比は、長さを平均幅で除算した値と定義される。フィラメント部は、所望の任意の長さまたは幅で良く、断面の形状は、例えば、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、多角形または複合楕円形(三楕円形、四楕円形など)で良い。したがって、研磨フィラメントは、様々な断面積を有することができる。たとえば、フィラメント部は、波状や弓状に湾曲していても、表面模様付きでも良く、根元部から先端部までテーパを形成していてもよい。
【0018】
フィラメント部の径の寸法は、一般的には0.01〜100mmの範囲で良いが、より一般的には0.05mm〜50mmであり、典型的には0.1〜25mmであり、より典型的には0.2mm〜10mmであり、最も典型的には0.25mm〜5mmである。フィラメントの長さ、つまりトリムの長さは1mm〜1000mmで良いが、一般に2mm〜100mmであり、3mm〜75mmであれば望ましく、4mm〜50mmであればさらに望ましく、5mm〜50mmであれば最も望ましい。
【0019】
フィラメント部を構成する樹脂は可撓性を有することが好ましい。記録媒体ディスク原板端部の凹凸に追従して均一な研磨を行うことができるからである。また、この樹脂は適度の自壊性を有することが好ましい。使用中に自らが摩耗し常に新しい砥粒が被研磨物と接触することで効率よく研磨が行なえるからである。
【0020】
樹脂は熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性エラストマーであれば良い。樹脂の室温ショアDジュロメーター硬度は、典型的にはASTM D790が決定する少なくとも約30であり、より典型的には約30〜約90である。
【0021】
熱可塑性ポリマーの例としては、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリブチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレンブロックコポリマー、ポリプロピレン、アセタールポリマー、ポリウレタン、ポリアミド、およびこれらの組合せがある。熱可塑性エラストマーの例としては、セグメント化ポリエステル熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリウレタン熱可塑性エラストマー、セグメント化ポリアミド熱可塑性エラストマー、熱可塑性エラストマーと熱可塑性ポリマーの配合物、およびイオノマー性熱可塑性エラストマーがある。
【0022】
上記樹脂として好ましい熱可塑性ポリマー及び可塑性エラストマーについては、例えば、特表2001−502185号公報、第45頁下から第7行〜同第50頁第6行に更に詳しく説明されており、出典明示により本明細書の一部とする。
【0023】
砥粒の例としては、溶融酸化アルミニウム、熱処理溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、加熱処理酸化アルミニウム、炭化珪素、二硼化チタン、アルミニウムジルコニア、ダイヤモンド、炭化硼素、セリア、立方晶系窒化硼素、及びガーネットの粒子、およびこれらを組合せた粒子がある。
【0024】
砥粒は、一般的には約0.1〜1500μmの範囲の粒子径を有する。粒子径は、典型的には約1〜1300μmであり、より典型的には50〜500μmである。例えば、表1に示すように、砥粒の粒子径は砥粒入り樹脂ブラシの用途や所望の機能に応じて適宜調節することができる。
【0025】
【表1】
*:好ましい範囲
【0026】
また、砥粒は、砥粒と樹脂との重量比が0.25〜1、好ましくは0.4〜0.8となる量でフィラメント部に含有される。砥粒の量が上記重量比で0.25未満であると砥粒の量が少ないため仕上げに時間がかかりすぎてしまう。また、1を越えると砥粒の量が樹脂に比べて多いためブラシの強度が落ちてブラシの寿命が短くなる。
【0027】
一般に、砥粒は実質的に十分に分散された分布を形成するように散在されるが、それは必須ではない。さらに、砥粒の大部分は樹脂内に完全に埋め込まれる一方、これは、表面に粒子が樹脂の外側に部分的に露出する可能性を排除するものではない。
【0028】
本発明の方法で用いる砥粒入り樹脂ブラシは、円盤状のハブ部と該ハブ部の周囲から半径方向に伸長された複数のフィラメント(または剛毛)部とを有する形状であることが好ましい。円盤状の樹脂ブラシの周囲で研磨を行うと、ディスク原板の外周端部及び内周端部の研磨を容易に行なえるからである。また、複数の円盤状樹脂ブラシを同軸的に積み重ねて、より幅広のブラシを作製してもよい。
【0029】
砥粒入り樹脂ブラシは、砥粒を含有する可撓性樹脂から一体(又はワンピース)成形することができ、そうすることで、強靱な樹脂ブラシを低コストで得ることができる。つまり、樹脂を、樹脂が流動する融解点以上に加熱する。ついで、砥粒を樹脂中に分散してスラリー状とする。所定形状の空洞が形成された金型に、樹脂スラリーを導入する。樹脂スラリーは金型の空洞内に流入し、樹脂ブラシの形が形成される。次いで、冷却して樹脂を凝固させ、金型から成形された樹脂ブラシを取り出す。得られた砥粒入り樹脂ブラシはハブ部とフィラメント部とが一体成形されており、個体間で形状のばらつきがなく、強靱で耐久性に優れている。
【0030】
このような砥粒入り樹脂ブラシの具体例には、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュアリング社より「3M・ブリッスル・ディスク(商品名)」、及び住友スリーエム社より「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク(商品名)」として市販されているもの等が含まれる。
【0031】
研磨操作は、ディスク原板の端部、すなわち内周端部及び/又は外周端部に、砥粒入り樹脂ブラシのフィラメント部を荷重をかけて接触させ摩擦することによって行う。研磨条件は、要求される仕上がりのレベルに応じて適宜調節され、特定の条件の選択は通常の当業者が適用する範囲内である。一般には、樹脂ブラシの周速は、ディスク原板の端部に対して約1000〜3000m/分程度になるように調節される。切り込みは約0.5〜2.0mm程度である。研磨時間は約5〜60秒程度である。
【0032】
砥粒入り樹脂ブラシは、適当な枚数を積み重ねて用いてよい。砥粒入り樹脂ブラシが円盤状である場合、複数の樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状の多数構成ブラシとして用いることもできる。ディスク原板を複数枚重ねて固定し、まとめて端部仕上げする際には、このようなホイール状ブラシを用いると便利である。
【0033】
図2は、記録媒体ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げする方法の一態様を示す模式断面図である。複数枚のディスク原板を同軸的に積み重ねて積層体1を形成し、軸に固定する。積層体1は軸を通してモーター3に連結されており、回転させられる。円盤状の砥粒入り樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状ブラシ2、2’とし、これをディスク原板の積層体1に隣接するように固定する。ホイール状ブラシ2、2’も軸を通してモーター4、4’に連結されており、回転させられる。ホイール状ブラシ2、2’はレール5に沿って動かすことができ、0.5〜2.00mmの切り込みにてディスク原板の積層体1の外周端部に接触させる。
【0034】
ディスク原板の中心孔部の寸法に適合させたサイズの砥粒入り樹脂ブラシを用いて、ディスク原板の内周端部を鏡面仕上げすることもできる。また、いわゆる心無し研削を行ってディスク原板の内外周端部を鏡面仕上げしてもよい。
【0035】
本発明の研磨工程では、遊離砥粒を含むスラリーを使用する必要はない。従って、研磨工程において、廃水、そして廃水などの処理コストが減少する。
【0036】
さらに、研磨の後に遊離砥粒を除去する工程が不要であり、砥粒は樹脂ブラシに含まれているため、砥粒の種類を変更するためには、樹脂ブラシの種類を変更すれば足りる。つまり、被研磨面が粗い研磨工程の初期は大きな粒子径の砥粒で研磨し、被研磨面が細かくなった後期には小さい粒子径の砥粒で研磨するといった、被研磨面の状態に応じた砥粒の選択が、樹脂ブラシの種類を粗仕上げ用から細仕上げ用に変更するだけで簡単に連続的に行うことができる。そのため、被研磨面の仕上げレベルを維持しながら研磨時間を飛躍的に短縮することができる。
【0037】
尚、従来の遊離砥粒を使用する研磨工程では、砥粒がディスク原板に付着して流動するために、砥粒の種類を変更するためには一旦ディスク原板を洗浄する必要がある。従って、研磨工程において砥粒の種類を変更することはあまり現実的ではなく、通常は、研磨工程を通して同一種類の砥粒が使用される。そのため、砥粒は研磨の初期から中ないし細仕上げグレードのものが使用され、研磨効率に劣り、研磨時間は比較的長時間を要していた。
【0038】
樹脂ブラシの種類またはタイプの変更は、研磨装置に樹脂ブラシを付け替えることで行なってよい。また、複数の樹脂ブラシを同軸的に積み重ねてホイール状ブラシとする場合は、その中に異なる種類の樹脂ブラシの領域を設けてもよい。そうすると、ディスク原板を樹脂ブラシのホイールに沿って移動させるだけで樹脂ブラシの種類を変更することができる。
【0039】
図3は2種類の樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシの一例を示す斜視図である。第1の樹脂ブラシを同軸積層した領域6と第2の樹脂ブラシを同軸積層した領域7とが設けられている。第1の樹脂ブラシの領域幅l1と第2の樹脂ブラシの領域幅l2とは必ずしも同一である必要はなく、適宜変更することができる。
【0040】
【実施例】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
実施例1
記録媒体ディスク原板として、厚さ2mm、直径63.5mm、中心穴径20mmのドーナツ形ガラス板を準備した。このディスク原板の端部を、#500ダイヤモンド研磨ホイール(三菱マテリアル社製「MED500」、直径63.5mm、穴径20mm)を用いて図1に示される台形に研磨成形した。台形の上辺aの長さは約400μm、両端の傾斜角度θは約45゜とした。ディスク原板の端部の上面と左右両斜面には、全面にわたってピットが形成された。
【0042】
#120(平均粒子径120μm)酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシ(住友スリーエム社製「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク」、外径50mm、ショアーD硬度95)を5枚同軸的に積層した。ついで、#400酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシ(住友スリーエム社製「3M・ラジアル・ブリッスル・マーガレット・ディスク」、外径50mm、ショアーD硬度95)を5枚その上に同軸的に積層した。その結果、図3に示すような2種類の砥粒入り樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシを得た。
【0043】
まず、ホイール状樹脂ブラシと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、ディスク原板の外周端部を#120酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域に荷重をかけて接触させた。研磨条件は、ホイール状樹脂ブラシの周速1600m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、切り込み1mm、研磨時間20秒とした。
【0044】
次いで、ディスク原板の外周端部を#400(平均粒子径30μm)酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域に荷重をかけて接触させた。研磨条件は、ホイール状樹脂ブラシの周速1600m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、切り込み1mm、研磨時間20秒とした。
【0045】
研磨後、研磨面をレーザー顕微鏡で目視観察し、ピット除去率を算出した。
【0046】
実施例2
#400酸化アルミニウム砥粒入り樹脂ブラシの領域で研磨する時間を40秒とすること以外は実施例1と同様にして、ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げした。実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0047】
参考例
特開2001−246536号公報の実施例
実施例1で用いたのと同じ記録媒体ディスク原板の端部を実施例1と同様にして台形に研磨成形した。これを複数枚積み重ね、回転軸体に固定した。
【0048】
#600(平均粒子径15μm)酸化アルミニウム研磨ホイール(住友スリーエム社製「DLOホイール」、直径160mm、密度1.8g/cm3、ショアーD硬度90)、および#10000酸化セリウム研磨ホイール(住友スリーエム社製「DLOホイール」、直径160mm、密度2.0g/cm3、ショアーD硬度95)を準備した。それぞれの研磨ホイールに、ドレッサーを用いてディスク原板の端部形状に対応した形状の溝を設けた。
【0049】
まず、#600酸化アルミニウム研磨ホイールを用いてディスク原板の端部の研磨を行った。研磨方法は、#600酸化アルミニウム研磨ホイールと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、端部同士を荷重をかけて接触させた。研磨条件は、研磨ホイールの周速2000m/分、ディスク原板の周速46R.P.M、荷重2〜5Kg、研磨時間10秒とした。
【0050】
次いで、#600酸化アルミニウム研磨ホイールを#10000(平均粒子径0.3μm)酸化セリウム研磨ホイールと取り替えて同様の方法でディスク原板の端部の研磨を行った。研磨条件は、ホイールの周速2000m/分、荷重2〜5Kg、ディスク原板の周速46R.P.M、研磨時間20秒とした。
【0051】
実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0052】
比較例
実施例1で用いたのと同じ記録媒体ディスク原板の端部を実施例1と同様にして台形に研磨成形した。これを複数枚積み重ね、回転軸体に固定した。
【0053】
研磨ブラシを用いてディスク原板の端部の研磨を行った。研磨方法は、研磨ブラシと、ディスク原板とをそれぞれ逆向きに回転させ、研磨助剤として、酸化セリウムを10〜20%含有する水スラリーを10リットル/分の割合で供給しながらディスク原板の端部をブラシと接触させた。研磨条件は、研磨ブラシの周速1000m/分、切り込み5mm、ディスク原板の周速46R.P.M、研磨時間1800秒とした。
【0054】
実施例1と同様にして研磨面のピット除去率を算出した。結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【発明の効果】
本発明の記録媒体ディスク原板の端部の鏡面仕上げ方法によれば、記録媒体基板端部のピットを短時間のうちに無くすことができ、操作が簡便で、低コストで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ダイヤモンドホイールで研磨成形された記録媒体ディスク原板の実施態様の端部形状を示す模式断面図である。
【図2】記録媒体ディスク原板の外周端部を鏡面仕上げする方法の一態様を示す模式断面図である。
【図3】2種類の樹脂ブラシを組合わせたホイール状樹脂ブラシの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
a…台形の上辺、
θ…台形の両端の傾斜角度、
1…記録媒体ディスク原板の積層体、
2、2’…ホイール状樹脂ブラシ。
Claims (6)
- セラミック板でなる記録媒体ディスク原板の端部を、遊離砥粒を用いないで、砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;
を包含する、記録媒体ディスク原板の端部を鏡面仕上げする方法。 - 前記砥粒入り樹脂ブラシが、円盤状のハブ部と該ハブ部の周囲から半径方向に伸長された複数のフィラメント部とを有し、該フィラメント部が砥粒を含有する可撓性樹脂でなっている、請求項1記載の方法。
- 前記砥粒入り樹脂ブラシが、砥粒を含有する可撓性樹脂から一体成形されたものである、請求項1又は2記載の方法。
- 前記砥粒と樹脂との重量比が0.25〜1である請求項1〜3のいずれか記載の方法。
- 記録媒体ディスク原板の端部を砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する前記工程がさらに、
粗仕上げ用砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;及び
中仕上げ用もしくは細仕上げ用砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程;
を包含する、請求項1〜4のいずれか記載の方法。 - 前記記録媒体ディスク原板の端部を砥粒入り樹脂ブラシを用いて研磨する工程の前に、記録媒体ディスク原板の端部を研磨成形する工程;を包含する、請求項1〜5のいずれか記載の方法。
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