JP4352588B2 - 研削砥石 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種平面研削に使用されるカップ型砥石等の研削砥石に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばカップ型砥石は、カップ型台金の軸線方向一端面に、直方体形状のものを円弧状に湾曲させて得た砥粒層セグメントを、台金の軸線を中心とする円周に沿って多数並べて固定したものであり、各種の平面研削に使用される。この種の平面研削の中でも、特に高い平面精度が要求されるのはウェーハの平面研削である。
一般的なウェーハの平面研削では、図11および図12に示すように下定盤1上にウェーハWを平行かつ同軸に固定し、下定盤1を中心軸線Ow回りに回転させる。一方、カップ型砥石2の砥粒層をなすセグメント4の下端面である研削面をウェーハWの上面に平行に当接させながら、カップ型砥石2をその軸線回りに回転させることにより、ウェーハWの上面を平面研削する。カップ型砥石2は、カップ型台金3の下端面に軸線Oを中心とする真円の円周に沿って多数のセグメント4…を固定したものである。
研削に際し、セグメント4はほぼウェーハWの中心上を通過するように位置決めされ、ウェーハWの中心部も削り残すことがないように配慮される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の方法によると、セグメント4の研削面における外周側および内周側のエッジにおいてウェーハ研削量が大きくなるので、これら内外縁部分においてセグメント4の摩耗速度が相対的に大きくならざるを得ない。したがって、時間経過につれてセグメント4の内外縁部分に形状ダレが生じ、特に、ウェーハWの中心に僅かな突起が形成され、この突起によってウェーハWの平面精度が悪化するという問題があった。同様の問題は他の被削材、他の形式の平面研削においても発生し得るものである。
またセグメント4は円弧状に延在していて、その周方向に回転移動するためにその内周縁と外周縁の各エッジによって研削領域が仕切られ、ウエーハWにはこのエッジの研削痕による段差が生じてしまい研削精度が低下することもあった。また円弧状のセグメント4はその研削面の内周縁がセグメント4の配列円周とほぼ同一の曲率半径の円弧状に設定されているために、カップ型砥石2の回転につれてその遠心力のために研削面に供給した研削液が径方向外側及び周方向に飛ばされて隣り合うセグメント4,4間の間隙から外部に排出されやすく、そのために多量の研削液を必要として研削効率が悪く研削熱が上昇してウエーハWの反りを生じ易いという問題があった。
【0004】
そこで、例えば実公平7−5983号公報には、砥粒層のセグメントの配列を完全な真円ではなく、部分的に内または外へ偏心した歪んだ円形状にする発明が開示されている。この発明によれば、砥石回転につれて、セグメントが砥石半径方向の内外に揺動するため、この揺動につれてウェーハ中心部の突起の発生を防止することが可能である。
しかし、実公平7−5983号公報に記載された発明においては、セグメントを複雑な曲線に沿って配列させ、しかも砥石全体の重心を砥石の軸線Oと合致させなければならないため、実際には製造が難しくコストがかかるという問題があった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い精度を以て平面研削を効率的に行うことができるようにした研削砥石を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研削砥石は、台金の軸線方向の一端面に、複数の砥粒部を、台金の軸線を中心とする円周に沿って配列した研削砥石であって、前記砥粒部は、研削面の内周縁がその周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周に比して周方向中央部を半径方向外方へ突出させた円弧形状をなしていることを特徴とする。
研削砥石を回転研削するに際して、研削面は研削量が一定の主研削部分と内周縁によって規定され研削量が増減変化する副研削部分とで構成されるから、被削材に対して砥粒部の研削面が移動しつつ研削する際に主研削部分に隣接する副研削部分による研削量が砥粒部の幅方向外側(径方向内側)に向けて連続して変化するために特に周辺の研削がなめらかに行われて研削面に段差や研削痕が生じず仕上げ面精度を高めると共に、回転時に遠心力が研削液に働いても砥粒部の内周縁でつくる凹部領域に研削液を滞留保持でき被削材の局部的な加熱を防いで反り等を防止できて少ない研削液で効率的な研削を行うことができる。
【0007】
また、砥粒部は、研削面の外周縁がその周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周(R3またはR4)に比して周方向中央部を半径方向外方または内方へ突出させた円弧形状をなしていてもよい。
この構成によって砥粒部は主研削部分の幅方向両側に研削量が漸次変化する副研削部分を設けることができて研削精度を一層向上できる。
また砥粒部の内周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径(ra)は、内周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周(R1)の曲率半径(r1)の50〜90%であってもよい。
内周縁の曲率半径(ra)が軸線を中心とする円周(R1)の曲率半径の50%より小さいと研削液を滞留保持する能力が小さくなって効率が悪い。また50%未満または90%を越えると副研削部分の研削量が大きくなって被削材に段差や研削痕を生じ易くなる。
また砥粒部の外周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径(rb)は、外周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周(R3またはR4)の曲率半径(r3,r4)の50〜90%であってもよい。
この場合も外周縁の曲率半径(rb)が軸線を中心とする円周(R3またはR4)の曲率半径の50%より小さいか90%を越えると副研削部分の研削量が大きくなって被削材に段差や研削痕を生じ易くなる。
また一部の砥粒部の長さは、前記砥粒部の内周縁の周方向両端部を含む軸線を中心とする円周(R1)の長さの1/20〜1/100の範囲であってもよい。
砥粒部の長さが円周(R1)の長さ(=2πr1)の1/100より小さいとその研削挙動は単純な円周状砥粒層の挙動に近くなり被削材の中心軸線近傍での突起形成の抑制効果が小さいという欠点があり、1/20より大きいと被削材の表面粗さが荒くなるという欠点がある。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図6により説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態によるカップ型砥石を下から見た図、図2は図1に示すカップ型砥石における砥粒層セグメントの部分拡大図、図3は砥粒層セグメントの幅方向における主及び副研削部分による研削量の変化を示す図、図4は砥粒層セグメントの製造方法を示す図、図5はカップ型砥石によるウエーハの研削状態を示す図、図6は砥粒層セグメントの幅方向における主及び副研削部分によるウエーハの研削領域を示す図である。
本発明の第一の実施の形態によるカップ型砥石10(研削砥石)は、図1及び図2に示すように、例えば円盤形をなすカップ型台金11の軸線方向の一端面11aに、複数の砥粒層セグメント(砥粒部)12…を、台金の軸線Oを中心とする円周に沿って周方向に所定の間隔13…を空けた状態で配列したものである。各砥粒層セグメント12はその長手方向に沿って円弧状を呈している。
ここで台金11の形状や材質は本発明では限定されず、従来よりカップ型砥石に使用されているものであればいかなる形状、材質であってもよい。台金11は図示しない締結手段を介して砥石軸16に取り付け可能とされ、この砥石軸16によって回転駆動される。
【0010】
砥粒層セグメント12は、ダイヤモンドやCBNなどの超砥粒、もしくはSiC,Al2O3等の一般砥粒などを金属、樹脂、もしくはガラスなどの結合材で固めてなるメタルボンド砥粒層、レジンボンド砥粒層、ビトリファイドボンド砥粒層、または電着砥粒層のいずれでもよい。
そして各砥粒層セグメント12は、例えば直方体形状または立方体形状のものを円弧状に湾曲させてなり台金11への固着面に対向する面が研削面15とされ、研削面15の径方向内側をなす内周縁15aは軸線O側に設けた内周側面17との交差稜線に形成され、研削面15の外周側をなす外周縁15bは内周側面17に対向する外周側面18との交差稜線に形成され、それぞれ(一端面11aの)半径方向外側に凸をなすように突出した円弧形状とされている。
【0011】
図2において、台金11の一端面11aにおける軸線Oを中心とする適宜の半径r1を有する円周R1上に内周面15aの長手方向(周方向)両端a,aが位置するように各砥粒層セグメント12を配列固定した状態で、内周面15aは円周R1より半径方向外方に突出するようにr1より小さい半径raに設定されている。
更に外周縁15bも内周縁15aと同一の曲率半径rb(=ra)を有しているが、後述の仮想の円周R3の半径r3より小さい半径であればraと異なる半径であってもよい。
また内周縁15aと外周縁15bの各曲率半径ra、rbは、内周縁15aの周方向両端部a,aを含む、前記軸線Oを中心とする円周R1の曲率半径r1の50〜90%とする。ここで半径raがr1の50%より小さいと研削液を滞留保持する能力が小さくなって研削効率が悪く、また半径ra、rbが50%未満及び90%を越えると後述の副研削部分16a、16bの研削量が大きくなって内外周縁15a,15bで被削材に段差や研削痕を生じ易くなるという問題が生じる。
【0012】
そして砥粒層セグメント12は直方体を湾曲させたものであるから、研削面15はその長手方向全長にほぼ同一幅とされている。そのため、図2に示す台金11の一端面11aにおいて、各砥粒層セグメント12の内周縁15aの両端a,aに重なる仮想の円周R1と、内周縁15aの中央に外接する仮想の円周R2と、外周縁15bの両端b,bに重なる仮想の円周R3と、外周縁15bの中央部に外接する仮想の円周R4とは台金11の軸線Oを中心とする同心円をなすことになる。
また各砥粒層セグメント12の研削面15において、円周R2−R3間の領域は主研削部分14とされ、円周R2と内周縁15a間の領域が副研削部分16a、円周R3と外周縁15b間の領域が副研削部分16bとされている。
そしてカップ型砥石10を軸線O回りに回転させて研削させた場合、各砥粒層セグメント12はその円弧方向に摺動して研削面15で研削することになる。この場合、研削面15の各部分の研削量は図3に示すように主研削部分14で100%、副研削部分16a、16bでは主研削部分14側から外側に漸次研削量が滑らかに減少するように幅方向に変化することになる。
【0013】
砥粒層セグメント12の幅は特に限定されないが、例えばウェーハ研削用として使用するのであれば1.5〜6mm程度であると好適である。
砥粒層セグメント12の長さは限定されないが、仮想の円周R1の長さ(2πr1)の1/20〜1/100の範囲とする。ここで砥粒層セグメント12の長さが円周R1の長さの1/100より小さいとその研削挙動は単純な円周状砥粒層の挙動に近くなり被削材の中心軸線近傍での突起形成の抑制効果が小さいという欠点があり、1/20より大きいと被削材の表面粗さが荒くなるという欠点がある。
尚、砥粒層セグメント12の研削面15の四辺は、必要であればいずれも面取りされていてよい。また、砥粒層セグメント12の4つの角は、必要であれば適宜丸められていてもよい。
【0014】
次に本実施の形態によるカップ型砥石10に装着配列する砥粒層セグメント12の製造方法について図4により説明する。
まず砥粒を結合相で分散固着させた砥粒層を直方体形状または長方形板状に成形して砥粒層セグメント12Aを製作する。砥粒層セグメント12Aが例えばメタルボンド砥石であれば超砥粒をメタルボンドで分散状態で結合し、型などで直方体形状に成形する。
次にこの砥粒層セグメント12Aを図4に示すような例えば正八角形状のフレーム20の各辺20Aに1つづつ固定保持し、固定されたセグメント12Aをフレーム20の外側から円盤状研削砥石22で回転研削することで例えば半径rbの円弧をなす凸曲面状の外周側面18及び外周縁15bを成形する。そして円盤状砥石22をフレーム20の内側に配設して外周側面18に対向する側面を研削することで例えば半径raの円弧をなす凹曲面状の内周側面17及び内周縁15aを成形して焼結する。
このようにして直方体形状をなす砥粒層セグメント12Aを研削によって円弧状の砥粒層セグメント12に加工成形できる。従来、直方体とは異なる異形状の砥粒層セグメントの製作に際しては高価な型を製作して成形で製作していたが、本実施の形態による砥粒層セグメント12は型成形でなく研削によって容易に製作できる。
【0015】
次に本実施の形態によるカップ型砥石10を使用したウェーハの平面研削方法について図5及び図6により説明する。この方法ではまず、研磨すべきウェーハWを従来通りの方法により下定盤1上に同軸に固定し、下定盤1をその軸線Ow回りに定速で回転させる。さらに、カップ型砥石10をその軸線O回りに回転させながら、ウェーハWの研削すべき面に、各砥粒層セグメント12の下端面である研削面15を平行に当接させる。
この時、ウェーハWとカップ型砥石10との位置は、図6の通りに設定することが望ましい。この図において斜線をなす主研削領域24は、砥粒層セグメント12の研削面15の主研削部分14によって研削される領域を示し、その両側の斜線をなす副研削領域26A,26Bは研削面15の副研削部分16a,16bによってそれぞれ研削される領域を示している。
【0016】
研削を行うとき、ウェーハWの中心Owは、主研削領域24に入っていることが必要であり、より好ましくは、仮想の円弧R2またはR3上にウェーハWの中心Owを位置させる。仮想の円弧R3上にウェーハWの中心Owを位置させた場合、砥石10の回転につれて砥粒層セグメント12の外周縁15bのエッジによりウェーハWの中心部が剪断的に研削されるため、中心Owに突起が一層残りにくくなる。また、仮想の円弧R2上にウェーハWの中心Owを位置させた場合、カップ型砥石10の回転につれて砥粒層セグメント12の内周縁15aのエッジによりウェーハWの中心部が剪断的に研削されるため、やはり中心Owに突起が残りにくくなる。
【0017】
この平面研削方法によれば、図6に示すように、砥粒層セグメント12の主研削部分14が研削を行う研削量100%の主研削領域24の両側に位置する副研削領域26a,26bを、副研削部分16a,16bで主研削領域24から幅方向外側になだらかに研削量が減少するように研削することができるので、各砥粒層セグメント12の内周縁15aおよび外周縁15bが早く摩耗しすぎることを防止できる。
したがって、砥粒層セグメントの形状ダレに起因してウェーハWの中心Owに突起が生じることを防止できるから、高い精度を以てウェーハWの平面研削を行うことが可能である。同様の効果は、ウェーハW以外の被削材に対しても得ることが可能である。しかも砥粒層セグメント12の中央から幅方向外側に研削量が漸次減少することで段差による研削痕をウエーハWに生じることがなく研削精度が高い。
【0018】
また研削に際してウエーハWと砥粒層セグメント12の研削面15との間に研削液が供給されてウエーハWの機械的化学的研磨を促進する。この研削液は台金11の一端面11a上に軸線Oと同心に円周状に配列された複数の砥粒層セグメント12…によってその内部のウエーハW上に保留される。しかもカップ型砥石10とウエーハWの相互の回転によって研削液には半径方向外側であって各砥粒層セグメント12の内周側面17の接線方向に遠心力が作用するが、内周側面17は両端a,aを通る円周R1に対して外方に凹曲面状を呈しているために円弧R1と内周縁15a(及び内周側面17)との間の空間内に研削液を保持できてセグメント12,12間の間隙13から外部に遠心力で排出されることが抑制される。
そのために比較的少ない研削液を各砥粒層セグメント12で滞留保持できて効率的に研磨できて研磨効率を向上でき、しかも内周縁15a付近の局部的な加熱を防いでウエーハWの反り等の変形を防止できる。
【0019】
上述のように本実施の形態によれば、研削液を砥粒層セグメント12の内周縁15a内に効率的に滞留保持できて研磨効率を向上でき、ウエーハWの局部的な加熱を防いでウエーハWの変形を防止できる。また砥粒層セグメント12のエッジの形状ダレを防止し、ウエーハWに突起や段差や研削痕等が生じるのを抑制できて高精度な平面研削を行うことができる。
しかも砥粒層セグメント12の成形にあたっては、直方体形状の砥石の対向する二面を円盤状砥石22で研削することで簡単且つ容易に砥粒層セグメント12を成形でき、従来の異形状セグメントのように型成形するための特殊な成形型が不要であるから製造コストが低廉である。
また、砥粒層セグメントの配列そのものを歪んだ円形とする実公平7−5983号公報に記載された発明に比べ、本実施の形態はウェーハWに対する研削抵抗を一定にしやすいため、回転バランスがよいという利点も有する。
【0020】
次に本発明の第二の実施の形態を図7により説明するが、第一の実施の形態と同様の部分には同一の符号を用いて説明する。
図7に示すカップ型砥石30において、台金11の一端面11a上に軸線Oを中心にして複数の砥粒層セグメント32(砥粒部)…がそれぞれ周方向に間隔13を開けて配列されている。各砥粒層セグメント32は平面視で略円弧状を呈しており、一端面11aへの固着面に対向する面が研削面15とされ、その軸線側の側面が内周側面17及び内周縁15aを有し、内周側面17に対向する外周側面33と研削面15の交差稜線は外周縁35とされている。
一端面11aにおいて軸線Oを中心とする半径r1の円周R1上に内周縁15aの両端a,aが位置するように各砥粒層セグメント32を配列固定した状態で、内周縁15aは円周R1より半径方向外方に突出するようにr1より小さい半径raに設定され、内周縁15aは中央部で軸線Oを中心とする半径r2の仮想の円周R2に内接している。また外周縁35は仮想の円周R3と重なるよう同一の半径r3を有する円弧状の凸曲線とされている。
【0021】
本実施の形態によるカップ型砥石30によれば、各砥粒層セグメント32の研削面15は仮想の円周R2−外周縁35(円周R3)間の主研削部分34と、円周R2と内周縁15aとの間の副研削部分36aとで構成されることになる。そのため、砥粒層セグメント32の幅方向の研削量は図8に示すように主研削部分34で100%、その内側の副研削部分36aで径方向(幅方向)内側の軸線Oに近づくに従って漸次減少するようになっている。
この場合でも主研削部分34でウエーハWの軸線Owを研削すれば、ウエーハWが自転するために研削量がなだらかに変化する一方の副研削部分36aを有することで、中心Owに削り残しによる突起が残りにくくウエーハ表面に段差や研削痕も生じない。
また内周縁15aの曲率半径raが仮想の円周R1の曲率半径r1より小さいから、回転研削時に各内周縁15a内で研削液を滞留保持できて研磨効率と冷却効率を向上できる。
【0022】
次に本発明の第三の実施の形態を図9により説明するが、第一の実施の形態と同様の部分には同一の符号を用いて説明する。
図9に示すカップ型砥石40において、台金11の一端面11a上に軸線Oを中心にして周方向に複数の砥粒層セグメント42(砥粒部)…がそれぞれ周方向に間隔を開けて配列されている。各砥粒層セグメント42は平面視で概略円弧状を呈しており、一端面11aへの固着面に対向する面が研削面15とされ、その軸線側の側面が内周側面43、外周側の側面が外周側面45とされている。研削面15と内周側面43の交差稜線が径方向外側に凸をなす円弧状の内周縁15a、研削面15と外周側面45との交差稜線が径方向内側に凸をなす外周縁47とされている。
そして内周縁15aは、その両端a,aが軸線Oを中心とする仮想の円周R1上に位置すると共に、中央部が円周R1より半径方向外方に突出して仮想の円周R2に内接するように半径raの凹曲面に設定されている。また外周縁47は、その両端b,bが軸線Oを中心とする半径r4の円周R4上に位置すると共に、中央部が円周R4より半径方向内方に突出して仮想の円周R3に内接するように半径rb(<r4)の凹曲線に設定されている。
【0023】
そのため砥粒層セグメント42は平面視で略鼓形に形成されている。カップ型砥石40を回転させて研削する際に、研削面15の円周R2−R3間の主研削部分44と、その幅方向両側の円周R2−内周縁15a間、円周R3−外周縁47間の副研削部分46a,46bの各研削量は図3に示す第一の実施の形態のものと同等になる。
また研削液も同様に内周縁15a(内周側面43)内で滞留保持できる。
【0024】
尚、上述の各実施の形態では、台金11の一端面11aに複数の砥粒層セグメント12、32、42をそれぞれ円周状に配列して構成したが、複数の砥粒層セグメント12、32、42の略円周状の列に異なる砥粒層セグメントが混在して配列されていてもよい。
例えば第一の実施の形態によるカップ型砥石10で説明すると、図10に示すように台金11の一端面11aに配列された複数の砥粒層セグメント12…の一部を例えば従来の砥粒層のセグメント4…に交換して配設してもよい。この場合、セグメント4は研削面が砥粒層セグメント12の主研削部分14と同等の円弧形状を呈しており、研削面の内周縁4aと外周縁4bが円周R2−R3に重なって形成された平面視で長手方向に略同一幅の円弧板状を呈している。
この構成によれば、カップ型砥石10で回転研削する際に、セグメント4では図6に示す斜線の主研削領域24のみの切削を行い砥粒層セグメント12では主研削領域24とその両側の副研削領域26A,26Bの研削を行うことになる。
【0025】
尚、複数のセグメント4の総数に対する砥粒層セグメント12(32,42)の占める割合は特に限定されるものではないが、一般に5〜35%であることが好ましく、より好ましくは7〜30%とされる。5%よりも少ないと、砥粒層セグメント12の内周縁15a、外周縁15bにかかる研削負担が大きくなり、これらの摩耗速度が大きすぎて、本発明の効果が不十分となるおそれがある。一方、35%より大きくしてもよいが、それ以上の効果の向上は期待できない。
或いは、砥粒層セグメント12、32,42、セグメント4の一部または全部を周方向に混在させて配列させてもよい。
また砥粒層セグメント12、32、42とセグメント4は相互に素材が異なっていてもよく、例えば変形が加えられている砥粒層セグメント12、32、42のみを、セグメント4よりも摩耗しにくい相対的に硬い砥粒層によって形成してもよい。あるいは逆に、砥粒層セグメント12、32、42をセグメント4よりも摩耗しやすい、相対的に柔らかい砥粒層によって形成してもよい。
【0026】
砥粒層セグメント12(32、42)同士の間に配置されるセグメント4の個数は一定でなくても良く、砥石の重心さえ回転軸に一致していれば、不等間隔で配置してもよい。
また、上記各実施の形態では、砥粒層セグメント12,32、42等を軸線Oを中心とする真円の円周に沿って配列すればよいから、砥石製造時にこれらの位置決めが容易であり、例えば、砥粒層セグメント12,32,42等をはめ込むために台金11に環状溝を形成する場合などでも、溝の形成コストが安い。
尚、本発明は、カップ型砥石10、30,40に限らずその他の各種研削砥石に用いることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る研削砥石では、砥粒部は、研削面の内周縁がその周方向両端部を含む軸線を中心とする円周に比して周方向中央部を半径方向外方へ突出させた円弧形状をなしているから、砥粒部の研削面の幅方向外側の研削量がなだらかに減少して研削面に段差や研削痕が生ぜず仕上げ面精度を高めると共に、回転時に遠心力が働いても砥粒部の内周縁の領域に研削液を滞留保持でき被削材の加熱を防いで反り等を防止できて少ない研削液で効率的な研削を行うことができる。
【0028】
また、砥粒部は、研削面の外周縁がその周方向両端部を含む軸線を中心とする円周に比して周方向中央部を半径方向外方または内方へ突出させた円弧形状をなしているから、上述の効果に加えて砥粒部の研削面の幅方向外周側の研削量もなだらかに減少して研削面に段差や研削痕が生じず仕上げ面精度を高めることができる。
また砥粒部の内周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径は、内周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周の曲率半径の50〜90%であるから、内周縁での研削液を滞留保持する能力が高くて幅方向内周側の研削量の減少が滑らかで仕上げ面精度が良く、これに対して曲率半径が50%より小さいと研削液を滞留保持する能力が小さくなって効率が悪く、90%を越えると副研削部分の研削量が大きくなって被削材に段差や研削痕を生じ易くなる。
また砥粒部の外周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径は、外周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周の曲率半径の50〜90%であるから、幅方向内周側の研削量の減少が滑らかで仕上げ面精度が良い。
また一部の砥粒部の長さは、前記砥粒部の内周縁の周方向両端部を含む軸線を中心とする円周の長さの1/20〜1/100の範囲であるから、砥粒部の長さが円周の長さの1/100より小さいとその研削挙動は単純な円周状砥粒層の挙動に近くなり被削材の中心軸線近傍での突起形成の抑制効果が小さいという欠点があり、1/20より大きいと被削材の表面粗さが荒くなるという欠点が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態によるカップ型砥石を研削面側から見た平面図である。
【図2】 図1に示すカップ型砥石の砥粒層セグメントの配列を示す部分拡大図である。
【図3】 実施の形態によるカップ型砥石の砥粒層セグメントの幅方向における研削部分と研削量との関係を示す図である。
【図4】 砥粒層セグメントの製造方法を示す説明図である。
【図5】 カップ型砥石でウエーハを研削する状態を示す図である。
【図6】 ウエーハに対して実施の形態による砥粒層セグメントで研削した研削領域を示す平面図である。
【図7】 第二の実施の形態によるカップ型砥石の砥粒層セグメントの配列を示す部分平面図である。
【図8】 図7に示す砥粒層セグメントの幅方向における研削部分と研削量との関係を示す図である。
【図9】 第三の実施の形態によるカップ型砥石の砥粒層セグメントの配列を示す部分平面図である。
【図10】 砥粒層セグメント配列の変形例を示す部分平面図である。
【図11】 従来のウエーハの平面研削方法を示す側面図である。
【図12】 従来のウエーハの平面研削方法を示す平面図である。
【符号の説明】
W ウェーハ
4 セグメント(砥粒部)
10,30,40 カップ型砥石
11 台金
12,32,42 砥粒層セグメント(砥粒部)
15 研削面
15a 内周縁
15b,35,47 外周縁
14,44 主研削部分
16a,16b,36a,46a,46b 副研削部分
Claims (5)
- 台金の軸線方向の一端面に、複数の砥粒部を、台金の軸線を中心とする円周に沿って配列した研削砥石であって、前記砥粒部は、研削面の内周縁がその周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周に比して周方向中央部を半径方向外方へ突出させた円弧形状をなしていることを特徴とする研削砥石。
- 前記砥粒部は、研削面の外周縁がその周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周に比して周方向中央部を半径方向外方または内方へ突出させた円弧形状をなしていることを特徴とする請求項1記載の研削砥石。
- 前記砥粒部の内周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径は、前記内周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周の曲率半径の50〜90%であることを特徴とする請求項1または2記載の研削砥石。
- 前記砥粒部の外周縁は平面視円弧状をなすと共にその曲率半径は、前記外周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周の曲率半径の50〜90%であることを特徴とする請求項2または3記載の研削砥石。
- 前記一部の砥粒部の長さは、前記砥粒部の内周縁の周方向両端部を含む前記軸線を中心とする円周の長さの1/20〜1/100の範囲であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の研削砥石。
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