JP4351697B2 - 円盤状基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の内周を研磨する研磨ブラシ等に関する。
記録メディアとしての需要の高まりを受け、近年、円盤状基板であるディスク基板の製造が活発化している。このディスク基板の一つである磁気ディスク基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。アルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
このような磁気ディスク基板の製造装置に関する公報記載の従来技術として、中心孔を有するガラスディスクの内周面を研磨する技術が存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
この特許文献1では、ガラスディスクを積層した積層ガラスディスクを中心軸回りに回転可能にセッティングし、軸回りに無数のブラシ毛を持つ軸付研磨ブラシを積層ガラスディスクの中心孔に挿入する。そして、この軸付研磨ブラシを、往復移動させつつ積層ガラスディスクの回転方向とは逆方向に回転させて、積層ガラスディスクの内周面を研磨している。
また、特許文献2では、浮遊砥粒を含有した研磨液にガラス基板を浸漬することで、液切れによる研磨不足や研磨不良を来すことのない研磨方法が提案されている。また、この特許文献2では、回転軸上に螺旋状に植毛されたブラシ毛を回転させて研磨することで、被研磨面に常に新鮮な研磨液を循環供給し、研磨効率、再現性および精度を高める技術が開示されている。
図13に、従来の円盤状基板の内周面を研磨する方法の一例を示す。
図13に示す研磨方法では、円盤状基板10を中心軸方向に多数積層して構成された積層ワーク501が、図示しない回転テーブルに軸方向を縦にして装着されている。積層ワーク501の中心孔501Aには、図示しない回転駆動軸に上端で連結された軸状の研磨ブラシ502が挿入配置されている。また、積層ワーク501の上側には、砥粒を含む研磨液を供給するノズル503が配置されている。
そして、ノズル503から積層ワーク501の上面に研磨液を供給しつつ、積層ワーク501を回転させ、また、研磨ブラシ502を回転させつつその軸方向に往復移動させて、積層ワーク501の中心孔501Aの内周面(すなわち円盤状基板10の内周面)を研磨する。
研磨ブラシ502は、軸芯の周囲にブラシ列が所定の間隔(ブラシ隙間)を有して所定のピッチで螺旋状に設けられている。これにより、ブラシ隙間もブラシ列と同じピッチで螺旋状に形成されている。
この図13に示すような研磨方法において、積層ワーク501の上面に供給された研磨液は、研磨作業中、図13中に矢印で示すように流れて研磨作業域(研磨ブラシ502と積層ワーク501の内周面との間)に供給される。すなわち、研磨液は、積層ワーク501の中心孔501Aに流入し、研磨ブラシ502のブラシ隙間を通って研磨作業面に達する。そして、この研磨液は、研磨ブラシ502の回転によるブラシ隙間の螺旋の作用によって下部に向かって移動して行く。そして、最終的には積層ワーク501の中心孔501Aの下端から下側に排出される。
特開平11−33886号公報 特開平11−221742号公報
ここで、上記のごとき従来の内周面の研磨方法では、研磨ブラシの全体としての剛性(ブラシ硬度)によって、研磨効率が異なる。
すなわち、ブラシ硬度の高い研磨ブラシを用いることで、迅速に研磨することができる。その結果、作業効率を向上させることができ、生産効率を向上させてコストダウンに寄与できる。他方、研磨ブラシのブラシ硬度があまり高いと、研磨にバラつきを生じ仕上げ精度の低下を招く。
従って、高い精度の研磨作業を安定して効率良く行うためには、バラつきのない適度なブラシ硬度の研磨ブラシを用いる必要がある。
ところが、研磨ブラシのブラシ硬度は、ブラシ毛材の材質、線径、長さ等の各要素によって変化するのみならず、ブラシ毛材を束ねる構造によっても変化する。このため、例えばブラシ毛材の材質、線径、長さを管理したブラシを用いても、安定した研磨ができない場合が生じていた。
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、高い精度の研磨作業を安定して効率良く行うことのできる研磨ブラシ、円盤状基板の研磨装置および円盤状基板の製造方法を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の研磨に用いられる研磨ブラシであって、軸芯と、軸芯に巻き付けられるブラシ基材と、ブラシ基材の両先端縁により姿勢が決定され、内側に曲げを規制する芯材を有し、束として曲げて取り付けられるブラシ毛材とを備え、ブラシ毛材は、束の一端部側と他端部側とを当接させるように、芯材を中心とする両先端縁の開放角度θが設定され、曲げられてブラシ基材に取り付けられることを特徴とする。
ここで、ブラシ毛材が取り付けられたブラシ基材は、軸芯に対して螺旋状に巻き付けられ、ブラシ毛材の一端部側および他端部側が軸芯から放射状に伸びることを特徴とすることができる。
また、ブラシ基材は芯材とブラシ毛材とを巻き込んでブラシ毛材を取り付けることを特徴とすることができる。
また、ブラシ毛材の束の一端部側と他端部側とは、芯材によって規制される位置から芯材の中心部に向けて集中する状態で曲げられることを特徴とすることができる。
他の観点から捉えると、本発明は、中心部に開孔を有する円盤状基板の研磨に用いられる研磨ブラシであって、軸芯と、軸芯に巻き付けられるブラシ基材と、ブラシ基材に束として曲げて取り付けられるブラシ毛材と、ブラシ毛材の束の曲げの内側に設けられブラシ毛材の曲げを規制する芯材と、を備え、ブラシ毛材は、外周から軸芯の中心に向けた拡大部分の観察にて芯材がブラシ毛材により遮蔽されて見えない程度に、束の一端部側と他端部側とが集中することを特徴とする。
一方、本発明は、中心に開孔を有する円盤状基板を複数枚積層して保持し、保持された円盤状基板の開孔に挿入される研磨ブラシを回転させて円盤状基板を研磨する研磨装置であって、研磨ブラシは、軸芯と、軸芯に螺旋状に巻き付けられるブラシ基材と、ブラシ基材に束として曲げて取り付けられるブラシ毛材とを備え、ブラシ毛材は、束の一端部側と他端部側とを当接させるように曲げられてブラシ基材に取り付けられ、ブラシ毛材の一端部側および他端部側が軸芯から放射状に伸びることを特徴とする。
ここで、研磨ブラシは、ブラシ毛材の曲げの内側にブラシ毛材の曲げを規制する芯材を備え、ブラシ基材は芯材とブラシ毛材とを巻き込んでブラシ毛材を取り付けることを特徴とすることができる。


さらに本発明は、中心に開孔を有する円盤状基板の開孔を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、軸芯と、軸芯に巻き付けられるブラシ基材と、ブラシ基材に束として曲げて取り付けられるブラシ毛材と、ブラシ毛材の束の曲げの内側に設けられブラシ毛材の曲げを規制する芯材とを備えた研磨ブラシについて、外周から軸芯の中心に向けた拡大部分の観察にて芯材がブラシ毛材により遮蔽されて見えない程度に束の一端部側と他端部側とが集中することを検査基準とする検査工程と、検査工程により検査基準を満たした研磨ブラシを、円盤状基板が複数枚積層された積層ワークの中心孔に挿入するブラシ挿入工程と、中心孔に挿入された研磨ブラシを回転させ、研磨液を供給しながら円盤状基板の開孔を研磨する研磨工程と、を含むことを特徴とする。
以上のように構成された本発明の研磨ブラシによれば、これらの構成を採用しない場合に比べて、高精度の研磨作業を安定して効率良く行うことが可能な、バラつきの少ない適度なブラシ硬度の研磨ブラシを得ることができる。
また、本発明の円盤状基板の研磨装置によれば、円盤状基板に対する研磨作業を安定して効率良く行うことができる。
さらに、本発明の円盤状基板の製造方法によれば、円盤状基板に対する研磨作業を安定して効率良く行うことが可能となる。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
はじめに、図1−1および図1−2に基づいて本実施の形態が適用される円盤状基板10(ディスク基板)の製造工程を説明する。
この製造工程は、まず図1−1(a)に示す1次ラップ工程にて、円盤状基板(ワーク)10の原材料を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を削る。このとき、円盤状基板10を載置した定盤21の表面には、例えばダイヤモンドの砥粒が散りばめられる。次に、図1−1(b)に示す内外周研削工程にて、円盤状基板10の中心に設けられた開孔(hole)12を内周砥石22によって研削し、円盤状基板10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23で円盤状基板10の内周面と外周面を挟み込んで同時加工することで、内径と外径の同軸度を確保し易くすることができる。そして、図1−1(c)に示す外周研磨工程では、外周研磨用ブラシ24を用いて円盤状基板10の外周13が研磨される。その後、図1−1(d)に示す2次ラップ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を更に削る。
次いで、図1−2(e)に示す内周研磨工程を行う。内周研磨工程では、円盤状基板10の中心の開孔12に研磨ブラシ150を挿入し、円盤状基板10の開孔12を研磨する。この際、所定の条件を充足した研磨ブラシ150を用いる。すなわち、この内周研磨工程における最初の工程として研磨ブラシ150の検査工程を有する。この検査工程については、後に詳述する。
内周研磨工程の後、図1−2(f)に示す1次ポリッシュ工程にて、円盤状基板10を定盤21に載置し、円盤状基板10の平面11を磨く。このときの研磨には、例えば不織布(研磨布)として硬質ポリッシャが用いられる。更に、図1−2(g)に示す2次ポリッシュ工程にて、軟質ポリッシャを用いた平面研磨が行われる。その後、図1−2(h)に示す最終洗浄・検査工程にて洗浄と検査が行われて、円盤状基板(ディスク基板)10が製造される。
つぎに、上述の内周研磨工程にて用いられる研磨装置について説明する。
図2は研磨装置100の外観を示す斜視図であり、図3は研磨機構110の縦断面(一部)を示した図である。尚、図2は研磨機構110の研磨ヘッド120が上方に位置する研磨作業前の準備状態を示し、図3は研磨ヘッド120が下降した作業中の状態を示している。このために、図2および図3における研磨ヘッド120の位置は一致していない。
図2および図3に示す研磨装置100は、研磨対象部材である円盤状基板10が複数枚積層されて成る積層ワーク140(後に詳述する)が取り付けられ、この積層ワーク140に対して研磨作業を行うものである。
研磨装置100は、ベースフレーム101に、左右一対の研磨機構110L,110Rを並列に備えている。これにより、二組の積層ワーク140に対して同時に研磨作業を行うことができるようになっている。尚、左右の研磨機構110L,110Rは同様な構成となっており、以下、研磨機構110として説明する。
ベースフレーム101には、浮遊砥粒を含有した研磨液であるスラリを収容するスラリタンク102が配設されている。また、図示しないが、スラリタンク102に収容されたスラリを循環駆動するポンプや、研磨装置の制御装置等が設けられている。
研磨機構110は、ベースフレーム101に立設されたコラム111に鉛直方向に移動可能に支持された研磨ヘッド120と、その下側に配設された回転テーブル130とを備えている。
研磨ヘッド120は、後述する研磨ブラシ150の一端部を把持して、この研磨ブラシ150を鉛直に支持するチャック121を備えている。このチャック121は、図示しないモータ等の駆動手段によって回転駆動されるようになっている。
チャック121の周囲には、下側に開放する円筒状のカバー122が、チャック121を覆い更に所定の高さまで垂下して設けられている。そしてカバー122の内側に、チャック121に隣接してスラリ供給ノズル123が設けられている。このスラリ供給ノズル123は、回転テーブル130に装着された積層ワーク140の上面に向かって開口している。
研磨ヘッド120は、コラム111に沿って鉛直に所定のストロークで昇降移動可能に設けられており、図示しない昇降駆動手段によって昇降駆動されるようになっている。
回転テーブル130は、所定の径からなる円盤状部材で形成され、その上面に積層ワーク140を取り付けることができるように構成されている。この回転テーブル130は、研磨ヘッド120の下側に配設されており、図示しないモータ等の駆動手段によって所定の回転数で回転駆動されるようになっている。その中央には、所定径の開口131が形成され、その内部に回転テーブル130とは独立して支持軸受け132が設けられている。この支持軸受け132は、研磨ブラシ150の先端を回転可能に支持するものである。
また、この回転テーブル130の周囲および下側を覆うように、上方に開口する有底円筒状のスラリ受け133が設けられている。更に、スラリ受け133の上側に、上下に開口する円筒状のカバー134が設けられている。このカバー134の正面側には、扉135が開閉可能に設けられている。
研磨ヘッド120に設けられたスラリ供給ノズル123と、回転テーブル130に設けられたスラリ受け133とは、それぞれベースフレーム101に設けられたスラリタンク102と図示しない配管によって接続されている。そして、スラリタンク102の内部に収容したスラリをスラリ供給ノズル123に供給し、スラリ受け133が受けたスラリをスラリタンク102に回収するようになっている。つまり、スラリはスラリタンク102からスラリ供給ノズル123へ、スラリ受け133からスラリタンク102へと循環するようになっている。
このような研磨機構110は、図3に示すように、回転テーブル130の上面に積層ワーク140を支持し、研磨ヘッド120のチャック121に研磨ブラシ150の上端を支持する。この研磨ブラシ150は、後に詳述する検査工程で合格したものを用いる。
そして、研磨ヘッド120の下降によって研磨ブラシ150を積層ワーク140の中心孔141に挿入し(ブラシ挿入工程)、研磨ブラシ150の下端を支持軸受け132に支持させた状態とする。この状態で、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130(積層ワーク140)を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させる。これによって、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の内周面)を研磨する(研磨工程)ものである。本実施の形態では、積層ワーク140(回転テーブル130)の回転方向は上側から見て反時計回り、研磨ブラシ150の回転方向はこれとは逆の上側から見て時計回りに設定される。
図4はこの研磨機構110が用いる研磨ブラシ150を示し、(a)はその全体斜視図,(b)は製作過程を示す斜視図である。
研磨ブラシ150は、図4(a),(b)に示すように、ステンレス合金鋼等によって形成され所定の直径からなる軸芯151の周囲に、ブラシ基材としてのブラシ列152が所定のピッチで螺旋状に設けられている。ブラシ列152の間には所定の間隔(ブラシ隙間153)が設定されており、このブラシ隙間153もブラシ列152と同じく螺旋状に軸方向に連続している。尚、ブラシ列152(ブラシ隙間153)の螺旋方向は、いわゆる左巻き(反時計回りで遠ざかる方向)となっており、時計回りの回転でブラシ隙間153内のスラリを上側から下側に向けて(基端側から先端側に向けて)駆動し得るようになっている。
研磨ブラシ150の毛先までの寸法を含む外径は、例えば、円盤状基材10の開孔12の内径12mmに対して直径13mmとする。
軸芯151は、ブラシ領域より両端側にそれぞれ所定量突出しており、一方はチャック121による被把持部151A、他方は支持軸受け132に支持される先細りの被支持部151Bとなっている。
この研磨ブラシ150の詳細な構成とその検査については、後に詳述する。
図5は積層ワーク140の全体斜視図、図6は円盤状基板10の積層過程を示す斜視図である。また、図7は研磨作業状態の断面図である。
図5に示す積層ワーク140は、図6に示すようにして円盤状基板10を多数(例えば150枚)積層した状態で、ホルダ200に支持されている。
ホルダ200は、上下の支持円盤(上部支持円盤210,下部支持円盤220)が、周方向に複数本(例えば4本)配置された連結バー230によって所定の間隔で連結されて構成されている。そして、この上部支持円盤210、下部支持円盤220および連結バー230によって形成される空間(内部)に、積層された円盤状基板10が収容され、この積層された円盤状基板10が、上部支持円盤210の上側に締着される固定円盤240によって、ホルダ200に固定される。このホルダ200は、ステンレス合金鋼等によって形成されている。
上側の上部支持円盤210は、所定厚さの円盤状で、その中央に、積層された円盤状基板10を内部に装着するための開孔211が形成されている。
下側の下部支持円盤220は、所定厚さの円盤部221の下面側に、大径の装着フランジ222を備えている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔223が形成されている。円盤部221の直径は、上部支持円盤210の直径より所定量大きく設定されている。
固定円盤240は、上部支持円盤210とほぼ同径で所定厚さからなる円盤状部材であり、その中央に、後述する上部押さえ233と嵌合する嵌合孔241が形成されている。そして、上部支持円盤210の上面にて、中心を一致させてボルトによって固定されるようになっている。
このようなホルダ200には、図6に示すように積層治具としてのセンタリングシャフト232を用いて積層された円盤状基板10が装着される。
すなわち、センタリングシャフト232に、下部押さえ231を挿入して取り付け、ついで円盤状基板10を順次嵌合することで、その中心の開孔12を基準として位置決めされた状態で円盤状基板10を積層する。そして最後に上部押さえ233をセンタリングシャフト232に挿入して取り付ける。これにより、センタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10が、下部押さえ231と上部押さえ233との間に挟まれた状態となる。
下部押さえ231は、外径が円盤状基板10の外径と略等しいかそれより大きい所定厚さの円盤状の部材である。その内径は、円盤状基板10の内径より大きく設定されている。
上部押さえ233は、円盤状基板10と外径が略等しい本体部233Aの上側に小径部233Bが形成されて二段の外形に形成されている。その中央には、スラリの流通および研磨ブラシ150を挿通するための開孔233Cが形成されている。
これら上部押さえ233および下部押さえ231は、例えば、ポリアセタール等の樹脂により形成されている。
センタリングシャフト232は、下端に下部支持円盤220の開孔223(図7参照)に嵌合する大径部232Aと、その上側に下部押さえ231の内径に嵌合する中径部(図示せず)を有している。そのさらに上側に、円盤状基板10が嵌合する位置決め軸部232Bが立設されているものである。
上記のごとくセンタリングシャフト232に嵌合して積層された円盤状基板10は、ホルダ200の内部に、図5の上側から上部支持円盤210の開孔211(図7参照)を介して挿置される。そして、上部支持円盤210の上側に締着された固定円盤240によって、下部支持円盤220に押圧されて、積層された円盤状基板10が固定される。このとき、上部押さえ233の小径部233Bに固定円盤240の嵌合孔241が嵌合する。
センタリングシャフト232は、積層された円盤状基板10が固定された後、図5の下側から抜き取られる。
これにより、積層された円盤状基板10の開孔12によって中心孔141(図5、図7参照)が形成される。この中心孔141の上端は、上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cに繋がり、中心孔141の下端は下部押さえ231の内径部(不図示)および下部支持円盤220の開孔223に繋がっている。
ここで、ホルダ200内に積層された円盤状基板10の間には、所定枚数毎にスラリ導入スペーサ160が設けられる。これは、前述のセンタリングシャフト232に円盤状基板10を順次嵌合する際に、所定枚数毎にスラリ導入スペーサ160を挟み込ませることで設置される。本実施の形態では、全積層厚さを三等分するように2個のスラリ導入スペーサ160が介装されている。例えば円盤状基板10を150枚積層する場合では、例えば50枚毎に1個のスラリ導入スペーサ160が介装される。
スラリ導入スペーサ160は、詳細な説明は省略するが、所定の厚さで外径が円盤状基板10と略等しい円盤状であって、たとえばポリアセタール等の樹脂によって形成されている。中央には円盤状基板10の内径より大きい開孔が形成されており、外周面とこの開孔の内周面とを連通して所定径の貫通供給孔163(図7参照)が、周方向に等角度間隔で8本(すなわち45度間隔で)形成されている。
そして、上記のごとく多数の円盤状基板10が積層されて成る積層ワーク140は、ホルダ200の下部支持円盤220の装着フランジ222が、研磨機構110の回転テーブル130にボルトによって締着されることで、回転テーブル130に装着される。
研磨作業は、前述のごとく、スラリ供給ノズル123からスラリを吐出して積層ワーク140の上面に供給し、回転テーブル130を回転させると共に、研磨ブラシ150を回転させつつその軸方向(上下方向)に所定のストロークで往復移動させて行う。
積層ワーク140の上面に供給されたスラリは、図7中に矢印で示すように、ホルダ200の上部に開放する上部押さえ233の開孔233Cから積層ワーク140の中心孔141に流入すると共に、積層ワーク140の外周面を伝って流れ落ちる。
研磨ブラシ150による研磨作業域(中心孔141の内周面)には、上部支持円盤210の開孔211から流入したスラリが供給されるばかりでなく、積層ワーク140の外周面を流れ落ちるスラリがスラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介して供給される。
すなわち、研磨ブラシ150と積層ワーク140との相対移動に起因する圧力変化によって、図7中の矢印Xで示すように、積層ワーク140の外周側に存在するスラリが、スラリ導入スペーサ160の貫通供給孔163を介して研磨作業域に供給される。
これにより、積層ワーク140の上端からだけではなく、積層ワーク140の途中から(例えば50枚ごとに)下部の研磨作業域にも新鮮なスラリが供給されることとなる。このため、積層ワーク140の中心孔141の内周面(円盤状基板10の開孔12の内周面)を、その上下方向においてより均等に研磨することができる。また、研磨作業域に多くのスラリが供給されるため、研磨作業効率が向上し、研磨作業を短時間で行うことができる。
つぎに、研磨ブラシ150について、前述の図4と、図8乃至図10とを用いて詳細に説明する。
図8は研磨ブラシ150の軸方向の一部を拡大した断面図である。図9(a)は図4(b)のA−A線に相当する拡大断面図(ただし天地逆にして示す),図9(b)はその平面図である。また、図10は比較例を示し、(a)は図9(a)と対応する拡大断面図,(b)はその平面図である。なお、図9および図10は概念的に示した図である。
研磨ブラシ150は、図4(b)に示すように、軸芯151の周囲にブラシ列152を所定の間隔で螺旋状に巻き付けて固定した後、ブラシ列152の毛先を所定外径にカットして形成される。
ブラシ列152は、図8および図9に示すように、所定長さのブラシ毛材154を、曲げを規制する芯材としての芯金155を巻くようにその中央部分で二つ折りにし(ブラシ毛材154の束の一端部側と他端部側とが合わさるように曲げて)、その芯金155を巻回する屈曲部分を外側からブラシ基材としての基部金具156でカシメる。つまり、基部金具156が芯金155とブラシ毛材154とを巻き込んで一体化している。芯金155はステンレス合金鋼等の線材によって形成されている。これによって、ブラシ列152のブラシ毛材154は芯金155に一体に固定され、図8に示すように軸芯151に対して列状に形成されている。これにより、毛先154L,154Rは芯金155から放射状に延びている。
基部金具156は、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)等により、概略U字状の断面形状に形成されている。そして、その両先端縁156Aと芯金155との間にそれぞれブラシ毛材154を挟んで(先端縁156Aでブラシ毛材154を芯金155に押し付けて)、ブラシ毛材154を芯金155に固定する。この基部金具156は、図8中に示すように、軸芯151の周囲にて、軸方向に互いに当接させながら螺旋状に巻き付けることで、ブラシ列152の間隔およびブラシ隙間153が一定となるように形成されている。つまり、基部金具156の幅は、ブラシ毛材154を芯金155に固定する機能において必要な最小限の幅より大きく、ブラシ列152の間隔を規定する寸法にて設定されている。
ブラシ毛材154は、例えば、ナイロン等によって、直径0.1mmに形成される。このブラシ毛材154は、基部金具156に覆われた部分では芯金155の周囲に沿っており、基部金具156の先端縁156Aより先端側(毛先154L,154R)は自由状態で立ち上がる。
ここで、基部金具156のカシメ方によって、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rの姿勢が変わる。具体的には、芯金155の周方向における基部金具156の両先端縁156Aの開放角度θに対応して、ブラシ毛材154の毛先154L,154Rの立ち上がる角度等の姿勢が変化する。
本実施の形態の研磨ブラシ150では、図9に示すごとく、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rが先端で互いに当接して寄りかかる姿勢となるように、基部金具156の開放角度θが設定される。これにより、両側の多数のブラシ毛材154の毛先154L,154Rが芯金155の周方向にまとまる。つまり、ブラシ毛材154の束の一端部側(毛先154L又は154R)と他端部側(毛先154R又は154L)とが合わさり、芯金155の中心部に向けて集中する状態となっている。
このような構成の研磨ブラシ150は、図10に示す比較例の研磨ブラシ250に比べて、同じブラシ毛材154を用いてもブラシ硬度が高くなる。
これは、ブラシ毛材154の一本一本の剛性は同じでも、多数のブラシ毛材154の毛先154L,154Rがまとまることで、一本のブラシ毛材154が変形力を受けた場合でも多数のブラシ毛材154が変形することによると考えられる。
比較例の研磨ブラシ250は、基部金具156の開放角度θが本実施の形態の研磨ブラシ150より広く、ブラシ毛材154の毛先154L,154Rが周方向にばらけている。このように毛先154L,154Rが周方向にばらけた研磨ブラシ250では、ブラシ毛材154の一本一本が独立して単独で変形するためにそれらの変形剛性の単純加算がブラシ硬度となる。言うならば、このような構成の研磨ブラシ250のブラシ硬度は、同じブラシ毛材154を同一本数用いるものの内では最も低い状態(以下基底状態と呼ぶ)である。本実施の形態の研磨ブラシ150では、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rがまとまることで、ブラシ硬度が基底状態より高くなるものである。
なお、ブラシ硬度が基底状態にある比較例の研磨ブラシ250であっても、個々のブラシ毛材154の剛性を高めることで、ブラシ硬度を高くすることができる。つまり、ブラシ毛材154に高剛性の素材を用いたり、その線径を太くしたりすれば良い。しかし、個々のブラシ毛材154の剛性を高めた場合、個々の毛先154L,154Rの研磨面への当接圧力が大きくなる。その結果、研磨面の場所によって研磨量がバラつくという不具合が生ずる。
本実施の形態の研磨ブラシ150では、個々のブラシ毛材154の剛性を高めることなく全体としてのブラシ硬度を向上させるため、研磨量のバラつきを抑えて効率の良い研磨作業を行うことが可能となる。
つぎに、このような研磨ブラシ150が所定のブラシ硬度を有するか否かの検査について説明する。
前述した円盤状基板10の内周研磨作業においては、研磨ブラシ150のブラシ硬度によって同一量を研磨するのに要する時間に差を生じ、研磨作業効率に影響する。つまり、研磨ブラシ150のブラシ硬度が低いと、研磨に時間を要することとなって研磨作業効率が低下する。
適度でバラつきのないブラシ硬度の研磨ブラシ150を用いることで、研磨作業時間を短かく一定化することができ、合理的な研磨作業が可能となる。
そのためには、研磨ブラシ150を検査して、所定のブラシ硬度を有するものとそうでないものとを判別し、所定のブラシ硬度を有する研磨ブラシ150のみを用いる必要がある。本実施の形態では、その形態的特徴によって簡便に判別することが可能である。
すなわち、研磨ブラシ150の外観を観察し、そのブラシ列152を構成するブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rがブラシ列152の中央にまとまっていることを調べる。
これにより、研磨ブラシ150が基底状態以上のブラシ硬度を有することを確認できる。その際、ブラシ列152の中央に芯金155が見えるか否かを判定基準(検査基準)とすることができる。つまり、芯金155がブラシ毛材154により遮蔽されて見えない程度に、束の一端部側(毛先154L又は154R)と他端部側(毛先154R又は154L)とが集中していることを調べる。
そして、ブラシ列152の中央に芯金155が見えない場合には、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rがブラシ列152の中央でまとまっている。このような研磨ブラシ150は、所定以上のブラシ硬度を有すると判別する。
逆に、ブラシ列152の中央に芯金155が見える場合には、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rがブラシ列152の中央で寄りかかっておらず、まとまっていない。このような研磨ブラシ150は、ブラシ硬度が基底状態であって所定のブラシ硬度を有さないと判別する。
なお、ブラシ硬度判定の際には、顕微鏡等の拡大手段を用いて、適宜倍率(例えば100倍)で観察すれば良い。
図11および図12は具体例の写真を示す。図11はブラシ硬度が高い研磨ブラシ150であり、(a)は外観,(b)はそのブラシ列152の拡大写真である。また、図12はブラシ硬度が低い研磨ブラシ250であり、(a)は外観,(b)はそのブラシ列152の拡大写真である。なお、各部位の符号については、前述の図9および図10にも同符号を付してあるので参照のこと。
図11に示すブラシ硬度の高い研磨ブラシ150では、前述した判定基準のごとく、ブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rがブラシ列152の中央でまとまって密集しており、芯金155を見ることができない。これに対して、図12に示すブラシ硬度の低い研磨ブラシ250では、ブラシ列152の中央にブラシ毛材154の両側の毛先154L,154Rが存在しない隙間があり、その隙間から芯金155を見ることができる。
これらの研磨ブラシ150,250を用い、前述した円盤状基板10の内周の研磨作業を同一条件で行い、13〜20μmの研磨に要する時間を計測した。その結果、本実施の形態の研磨ブラシ150では平均16分、比較例の研磨ブラシ250では平均32分であった。また、研磨面に関しては、本実施の形態の研磨ブラシ150では良好であったが、比較例の研磨ブラシ250では研磨面にスジが見られた。このように、本実施の形態の研磨ブラシ150は、比較例の研磨ブラシ250の約半分の研磨時間で研磨作業が完了できる。研磨面も良好であり、本構成の有効性が確認できた。なお、ブラシ硬度の低い比較例の研磨ブラシ250で研磨面にスジが見られた理由は、円盤状基板10の開孔12の内周面を前工程において内周砥石22(図1−1参照)によって研削した際に形成された微細な割れ目に、細く柔軟なブラシ毛材154の毛先が侵入し、研磨作用によって割れ目を拡大させたことによると考えられる。
図11および図12に示す研磨ブラシ150,250の仕様は、下記の通りである。
ブラシ外径:φ13mm
軸芯151の径:φ4mm
ブラシ毛材154の材質:66ナイロン
ブラシ毛材154の直径:φ0.1mm
ブラシ列152におけるブラシ毛材154の密度:400〜500本/cm
芯金155の直径:φ0.6mm
以上、詳述したように、本実施の形態の研磨ブラシ150によれば、バラつきのない適度なブラシ硬度の研磨ブラシ150を得ることができる。また、このようなブラシ硬度を有する研磨ブラシ150を、外観から容易に判別することができる。そして、このような研磨ブラシ150を用いることで、高い精度で安定した研磨作業を効率良く行うことが可能となるものである。
なお、本願発明は上記実施の形態に示す構成に限定されるものではなく、適宜変更可能なものである。
(a)〜(d)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 (e)〜(h)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 研磨装置の外観斜視図である。 研磨機構の縦断面図である。 研磨機構が用いる研磨ブラシを示す斜視図である。 積層ワークの全体斜視図である。 円盤状基板の積層過程を示す斜視図である。 研磨作業中の積層ワークの断面図である。 研磨ブラシの軸方向拡大断面図である。 研磨ブラシのブラシ列を示し、(a)は図4(a)のA−A線に相当する拡大断面図(天地逆),(b)はその平面図である。 比較例を示し、(a)は図9(a)と対応する拡大断面図,(b)はその平面図である。 ブラシ硬度が高い研磨ブラシの具体例の写真を示し、(a)は外観,(b)はブラシ列の拡大である。 ブラシ硬度が低い研磨ブラシの具体例の写真を示し、(a)は外観,(b)はブラシ列の拡大である。 従来の円盤状基板の内周面を研磨する構成の一例を示す図である。
符号の説明
10…円盤状基板、150…研磨ブラシ、151…軸芯、152…ブラシ列、154…ブラシ毛材、154L,154R…毛先(端部)、155…芯金(芯材)、156…基部金具(ブラシ基材)

Claims (2)

  1. 中心に開孔を有する円盤状基板の当該開孔を研磨して円盤状基板を製造する円盤状基板の製造方法であって、
    軸芯と、当該軸芯に巻き付けられるブラシ基材と、当該ブラシ基材に束として曲げて取り付けられるブラシ毛材と、当該ブラシ毛材の束の曲げの内側に設けられ当該ブラシ毛材の曲げを規制する芯材とを備えた研磨ブラシについて、外周から当該軸芯の中心に向けた拡大部分の観察にて、当該ブラシ毛材の束の一端部側と他端部側とが集中し顕微鏡の拡大手段を用いて当該芯材が見えないことを検査基準とする検査工程と、
    前記検査工程により前記検査基準を満たした前記研磨ブラシを、前記円盤状基板が複数枚積層された積層ワークの中心孔に挿入するブラシ挿入工程と、
    前記中心孔に挿入された前記研磨ブラシを回転させ、研磨液を供給しながら前記円盤状基板の前記開孔を研磨する研磨工程と
    を含む円盤状基板の製造方法。
  2. 前記検査工程にて検査される前記研磨ブラシの前記ブラシ基材は、前記軸芯に対して螺旋状に巻き付けられ、当該軸芯から放射状に延びる前記ブラシ毛材を検査することを特徴とする請求項1に記載の円盤状基板の製造方法。
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