JP5797387B2 - 円盤状基板の製造方法およびスペーサ - Google Patents

円盤状基板の製造方法およびスペーサ Download PDF

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Description

本発明は、例えば磁気記録媒体用ガラス基板などの円盤状基板の製造方法等に関する。
近年、記録メディアとしての需要の高まりを受け、磁気ディスク等の情報記録媒体の製造が活発化している。ここで磁気ディスク用の基板として用いられる円盤状基板としては、アルミ基板とガラス基板とが広く用いられている。このアルミ基板は加工性も高く安価である点に特長があり、一方のガラス基板は強度、表面の平滑性、平坦性に優れている点に特長がある。特に最近ではディスク基板の小型化と高密度化の要求が著しく高くなり、基板の表面の粗さが小さく高密度化を図ることが可能なガラス基板の注目度が高まっている。
特許文献1には、内径加工用砥石及び外径加工用砥石の周速をそれぞれ1200〜10000m/分の範囲内とし、かつ、ガラスディスクの内径加工部の周速と内径加工用砥石の周速の比、およびガラスディスクの外径加工部の周速と外径加工用砥石の周速の比を、いずれも1/10〜1/100の範囲内とするガラスディスクのチャンファー加工方法が開示されている。
また特許文献2には、ガラス基板の外周部における稜角部分の面取りを行う面取り加工装置において、面取り加工装置は、内部に円形の孔が形成された砥石を有しており、孔は、ガラス基板の外径よりも大きな径を有し、孔を形成する砥石内周部は、ガラス基板の稜角部分に当接して研削を行う研削面である面取り加工装置が開示されている。
特開平11−198012号公報 特開2008−307641号公報
ここでガラス基板等の円盤状基板の外周端面や内周端面の欠けを抑制するため面取り(チャンファ)を行なうことがある。そして面取り後に、複数の円盤状基板をスペーサを介して積層させ、外周端面や内周端面を研磨すると共に、面取りした部分の研磨を行なうことがある。ところが円盤状基板の外周端面の研磨を行なう工程と内周端面の研磨を行なう工程とで異なるスペーサを使用すると、スペーサを交換する必要があり、円盤状基板の生産性が低下することがあった。
本発明は、円盤状基板の外周端面の研磨を行なう工程と内周端面の研磨を行なう工程とで共通のスペーサを使用することができ、円盤状基板の生産性を向上させることができる円盤状基板の製造方法等を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本発明の円盤状基板の製造方法は、外周端面および内周端面を有する円盤状基板の間にスペーサを介在させて複数の円盤状基板を積層した積層円盤状基板を生成する積層工程と、積層工程により積層された積層円盤状基板にブラシを挿入し、円盤状基板の内周端面にブラシを当接させて内周端面を研磨する内周研磨工程と、内周研磨工程の後に積層円盤状基板からブラシを抜き取り、スペーサの内周端面の位置を規定する治具を挿入し、積層状態を維持したまま積層円盤状基板の外周端面にブラシを当接させて円盤状基板の外周端面を研磨する外周研磨工程と、を有し、積層工程に用いられるスペーサは、円盤状基板の外径半径をR1、内径半径をR2、外径チャンファ長をCout、内径チャンファ長をCin、スペーサの外径半径をr1、内径半径をr2、とすると、
r2> R2 + Cin … (1)式
r1< R1 − Cout … (2)式
r1+r2 < R1+R2−Cout … (3)式
とすることで、外周研磨工程においてスペーサが円盤状基板の外周端面および面取り部の位置に来ないようにしたことを特徴とする。
ここで、外周研磨工程は、ブラシを抜き取った後、積層円盤状基板に治具を挿入し、治具によりスペーサの内周端面の位置を規定することで行なうことが好ましい。
また積層工程は、円盤状基板およびスペーサを配置するための余裕量を作業余裕量Sとしたときに(1)式に替えて、
r2 > R2 + Cin +S … (1)'式
を満たすように円盤状基板およびスペーサを配置することが好ましい。
そして、円盤状基板の内周端面および外周端面の研削を同時に行うと共に内周端面と外周端面の面取りを行なう内外周研削工程を積層工程の前に更に有することが好ましい。更にスペーサの厚さおよびブラシの毛の径は、(スペーサの厚さ)>(ブラシの毛の径)の関係を有することが好ましい。
また、本発明のスペーサは、外周端面、および内周端面を有する円盤状基板の間に介在させて複数の円盤状基板を積層した積層円盤状基板を生成し、積層円盤状基板の内周端面の研磨を行なうと共に積層状態を維持したまま積層円盤状基板の外周端面の研磨を行なうために使用されるスペーサであって、円盤状基板の外径半径をR1、内径半径をR2、外径チャンファ長をCout、内径チャンファ長をCin、スペーサの外径半径をr1、内径半径をr2、とすると、
r2> R2 + Cin … (1)式
r1< R1 − Cout … (2)式
r1+r2 < R1+R2−Cout … (3)式
とすることで、スペーサの内周端面の位置を規定する治具を挿入して前記積層円盤状基板の外周端面の研磨を行なう際に当該スペーサが当該円盤状基板の外周端面および面取り部の位置に来ないようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、円盤状基板の外周端面の研磨を行なう工程と内周端面の研磨を行なう工程とで共通のスペーサを使用することができ、円盤状基板の生産性を向上させることができる円盤状基板の製造方法等を提供できる。
(a)〜(c)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 (d)〜(f)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 (g)〜(j)は、本実施の形態が適用される円盤状基板(ディスク基板)の製造工程を示した図である。 研削機の構造を説明した図である。 保持具を更に詳しく説明した図である。 内周研磨工程において使用するブラシの一例を示した図である。 (a)は、内周研磨工程におけるガラス基板の内周端面の研磨について説明した部分断面図である。(b)は、外周研磨工程におけるガラス基板の外周端面の研磨について説明した部分断面図である。 本実施の形態のスペーサについて更に詳しく説明した図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1−1(a)〜(c)、図1−2(d)〜(f)、図1−3(g)〜(j)は、本実施の形態が適用される円盤状基板の製造工程を示した図である。
(1次ラップ工程)
図1−1(a)は1次ラップ工程を示している。この工程でまず、研削機(研削装置、ラッピングマシン)40により1回目の研削(ラッピング)を行い、円盤状基板の一例としてのガラス基板(ワーク)10の表面11を平滑に研削する。
ここで図2は、研削機40の構造を説明した図である。
図2に示した研削機40は、ガラス基板10を載置する下定盤21aと、ガラス基板10を上部から押えつけ研削を行うために必要な圧力を加えるための上定盤21bとを備えている。
ここで、下定盤21aの外周部には歯部42が設けられ、下定盤21aの中央部には太陽歯車44が設けられている、さらに下定盤21aには、研削が行われる際にガラス基板10を位置決めする円盤状の保持具(キャリア)30が設置されている。
保持具30は、図2に示す研削機40では、5個設置されている。保持具30の外周部には歯部32が備えられ、下定盤21aの歯部42および太陽歯車44の双方に噛合している。また下定盤21aおよび上定盤21bには、これらを回転させるための回転軸46a,46bがそれぞれ中心部に設置されている。
この1次ラップ工程においては、まず研削機40の下定盤21aに保持具30を利用してガラス基板10の載置を行う。
図3は、保持具30を更に詳しく説明した図である。図3に示した保持具30には、上述の通り、外周部に歯部32が備えられている。また、研削を行う際にガラス基板10が内部に載置される円形形状の孔部34が複数開けられている。この孔部34の直径は、ガラス基板10の直径よりわずかに大きく開けられる。このようにすることで、研削を行う際にガラス基板10の外周端の一部に余分な応力がかかるのを抑制することができるため、ガラス基板10の外周端が損傷しにくくなる。本実施の形態において、孔部34の直径はガラス基板10の直径より、例えば、約1mm大きくなっている。また孔部34は、ほぼ等間隔で並んでおり、本実施の形態の場合、孔部34は、例えば、35個開けられている。
保持具30の材料としては、例えば、アラミド繊維やガラス繊維を混入することで強化されたエポキシ樹脂を使用することができる。また保持具30の厚さは、本工程において、研削を行う際に、上定盤21bに接触し、研削を阻害しないために、本工程におけるガラス基板10の仕上げ厚さより薄く作成されている。例えば、ガラス基板10の仕上げ厚さが1mmであるとすると、保持具30の厚さは、それより0.2mm〜0.6mm薄くなっている。
保持具30の孔部34にガラス基板10を載置した後は、上定盤21bをガラス基板10に接触するまで移動させ、研削機40を稼働させる。
この際の研削機40の動作を図2を用いて説明する。研削機40を稼働する際には、図の上方の回転軸46bを一方向に回転させ、上定盤21bを、同様な一方向に回転させる。また、図の下方の回転軸46aを、回転軸46bの回転とは逆方向に回転させ、下定盤21aを回転軸46aと同様な方向に回転させる。これにより下定盤21aの歯部42も回転軸46aと同様な方向に回転する。また中央部の太陽歯車44も、回転軸46aと同様な方向に回転する。
このように上定盤21b、下定盤21a、太陽歯車44を回転させることにより、これらの歯車に噛み合う保持具30は自転運動と、公転運動が組み合わされたいわゆる遊星運動を行う。同様に、保持具30にはめ込まれたガラス基板10も遊星運動を行う。このようにすることによりガラス基板10の研削をより精度よく、また迅速に行うことができる。
本実施の形態において、研削は、研削剤を用いて行うことができる。研削剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナやダイヤモンドからなる研削剤をスラリー化して使用することができる。または、上定盤21bや下定盤21aにこれらの研削剤が分散して含んだ砥石を使用してもよい。
(内外周研削工程)
図1−1(b)は内外周研削工程を示している。この工程では、ガラス基板10の開孔12の内周端面および外周13の外周端面の荒削りである研削を行う。また本実施の形態では、内周端面と外周端面の研削を同時に行う。具体的には、ガラス基板10の中心に設けられた開孔12を内周砥石22によって研削し、ガラス基板10の外周13を外周砥石23によって研削する。このとき、内周砥石22と外周砥石23でガラス基板10の内周端面と外周端面を挟み込んで同時加工する。これにより内径と外径の同心度を確保し易くすることができる。
本実施の形態において、内周砥石22および外周砥石23は、波状の表面を有している。そのため、ガラス基板10の開孔12の内周端面および外周13の外周端面を研削することができるだけでなく、開孔12の内周端面および外周13の外周端面の面取りを併せて行うことが可能となる。
(積層工程)
図1−1(c)は積層工程を示している。この工程では、外周端面、および内周端面を有するガラス基板10の間にスペーサ110を介在させて複数のガラス基板10を積層した積層円盤状基板の一例である積層ガラス基板100を生成する。実際には作業者が、位置合せを行ないながらガラス基板10とスペーサ110とを交互に積層する。そして図示しないホルダにセットすることで積層したガラス基板10とスペーサ110の固定を行なう。
(内周研磨工程)
図1−2(d)は内周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったガラス基板10の開孔12の内周端面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、ホルダにセットされた積層ガラス基板100を構成する各ガラス基板10の開孔12の中心にブラシ24を挿入する。そして研磨液をガラス基板10の開孔12に流し込みながら、ブラシ24を高速で回転させることで、ガラス基板10の内周端面を研磨する。つまり内周研磨工程では、積層工程により積層された積層ガラス基板100にブラシ24を挿入し、ガラス基板10の内周端面にブラシ24を当接させて内周端面を研磨する。本実施の形態では、研磨に際してブラシ24を使用しているので、ガラス基板10の内周端面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った開孔12の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
図4は、内周研磨工程において使用するブラシ24の一例を示した図である。このブラシ24は、毛先が螺旋状に配列して形成されるブラシ部241と、このブラシ部241の両端部に連続して形成され、一端と他端とを形成する軸242とを備えている。ガラス基板10の開孔12として例えば0.85インチ等の小径ディスクの内周端面を研磨するような場合は、ブラシ24の芯を細くする必要がある。その場合、本実施の形態では、例えば、複数本のワイヤ(材質:例えば、軟鋼線材(SWRM)、硬鋼線材(SWRH)、ステンレス線材(SUSW)、黄銅線(BSW)など、加工性、剛性などから適宜選定できる)の間に、ブラシの毛(材質:例えばナイロン(デュポン社の商品名))を挟み込み、この毛が挟み込まれたワイヤをねじることで、ブラシ部241を形成している。このワイヤをねじってブラシ部241を形成することで、ブラシ部241に形成されるブラシ毛先を螺旋状とすることができ、挿入されているガラス基板10の開孔12にて、研磨液を軸方向に流すことが可能となる。そのため研磨液の搬送を良好に行うことができる。
(外周研磨工程)
図1−2(e)は外周研磨工程を示している。この工程では、図1−1(b)に示した内外周研削工程において、荒削りである研削を行ったガラス基板10の外周13の外周端面を更に平滑にする研磨を行う。
具体的には、まずブラシ24を抜き取る。次に積層ガラス基板100を構成する各ガラス基板10の開孔12の部分に治具25を通し、積層ガラス基板100を治具25にセットする。そして研磨液をガラス基板10の外周13の箇所に流し込みながら、ブラシ26を積層したガラス基板10に接触させ、高速で回転させる。これにより、ガラス基板10の外周端面を研磨することができる。つまり外周研磨工程では、内周研磨工程の後に積層ガラス基板100からブラシ24を抜き取り、積層状態を維持したまま積層ガラス基板100の外周端面にブラシ26を当接させてガラス基板10の外周端面を研磨する。本実施の形態では、研磨に際してブラシ26を使用しているので、ガラス基板10の外周端面を研磨すると共に、上述した内外周研削工程において行った外周13の縁部の面取りした部分も同様に研磨することができる。なお研磨液としては、内周研磨工程の場合と同様に、例えば酸化セリウム砥粒を水に分散してスラリー化したものを用いることができる。
(2次ラップ工程)
図1−2(f)は2次ラップ工程を示している。この工程では、図1−1(a)に示した1次ラップ工程において、研削を行ったガラス基板10の表面11を再度研削を行うことにより更に平滑に研削する。
2次ラップ工程において、研削を行う装置としては、図1−1(a)に示した研削機40を使用することができる。また研削の方法、条件等は、図1−1(a)で説明した場合と同様に行うことができる。なお本実施の形態において、1次ラップ工程および2次ラップ工程は、ガラス基板10を研削する研削工程として把握することができる。
(1次ポリッシュ工程)
図1−3(g)は1次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−2(f)に示した2次ラップ工程において、研削を行ったガラス基板10の表面11を、研磨機(研磨装置、ポリッシングマシン)50を用いて研磨(ポリッシング)を行うことで研磨し、更に平滑度を上げていく。この研磨機50は、上述した研削機40とほぼ同様な構成を有する。即ち、ガラス基板10を載置する下定盤21aと、ガラス基板10を上部から押えつけ研磨を行うために必要な圧力を加えるための上定盤21bとを備えている。そして研磨機50の下定盤21aに保持具30を利用してガラス基板10を載置し、上定盤21b、下定盤21a、および太陽歯車44を回転させ、ガラス基板10の研磨を行なう。ただし、下記に示すように研磨に使用する材料等が一部異なる。
本実施の形態において、研磨を行うに際し、例えばウレタンにより形成された硬質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒等を水に分散してスラリー化した研磨液を使用して行なうことができる。
(2次ポリッシュ工程)
図1−3(h)は2次ポリッシュ工程を示している。この工程では、図1−3(g)に示した1次ポリッシュ工程において、研磨を行ったガラス基板10の表面11を、精密研磨を行うことで更に研磨し、表面11の最終的な仕上げを行う。
本実施の形態において、この研磨を行うに際し、例えばスエード状の軟質研磨布を用い、酸化セリウム砥粒若しくはコロイダルシリカ等を水等の分散媒に分散してスラリー化した研磨液を使用して行なうことができる。なお本実施の形態において、1次ポリッシュ工程および2次ポリッシュ工程は、研磨機50を用いてガラス基板10の研磨を行なう研磨工程として把握することができる。
(最終洗浄・検査工程)
図1−3(i)は最終洗浄・検査工程を示している。最終洗浄では、上述した一連の工程において、使用した研磨剤等の汚れの除去を行う。洗浄には超音波を併用した洗剤(薬品)による化学的洗浄などの方法を用いることができる。
また、検査工程においては、例えばレーザを用いた光学式検査器により、ガラス基板10の表面の傷やひずみの有無等の検査が行われる。
(梱包工程)
図1−3(j)は梱包工程を示している。梱包工程では、上記の検査工程において予め定められた品質基準に合格したガラス基板10の梱包が行なわれ、ガラス基板10の梱包体90となる。そして梱包体90は、磁気記録媒体(磁気ディスク)を製造する箇所まで輸送される。この梱包は、輸送の際にガラス基板10への塵埃等の異物の付着や表面の状態変化を抑制するために行なわれる。
次に上述した内周研磨工程および外周研磨工程について更に詳しく説明を行なう。
ここで図5(a)は、内周研磨工程におけるガラス基板10の内周端面の研磨について説明した部分断面図である。また図5(b)は、外周研磨工程におけるガラス基板10の外周端面の研磨について説明した部分断面図である。
内周研磨工程では、上述したようにホルダにセットされた積層ガラス基板100を構成する各ガラス基板10の開孔12の中心にブラシ24を挿入する。そして、ブラシ24を回転動作させることで、ガラス基板10の内周端面を研磨する。この際にスペーサ110が各ガラス基板10の間に挿入されているために、図5(a)に示すように各ガラス基板10間にスペーサ110の厚さ分の間隙部120を形成することができる。そしてこの間隙部120を設けることで、ブラシ24のブラシ部241がこの間隙部120に入り込むことができる。そのためブラシ24によりガラス基板10の内周端面を研磨すると共に、内外周研削工程の際に開孔12の縁部に形成された面取り部10aについても併せて研磨を行なうことができる。なお詳しくは後述するが、図5(a)についてCinで示した長さは、ガラス基板10の表面11側から見たときの面取り部10aの長さである内径チャンファ長である。またスペーサ110は、面取り部10aよりガラス基板10の外周13側にスペーサ110の内周端面が位置するように配置する必要がある。そして詳しくは後述するが、スペーサ110は、面取り部10aから予め定められた幅以上の余裕量を持たせて配置することが好ましい。図5(a)では、この余裕量を作業余裕量Sとして図示している。
また外周研磨を行なう際には、上述したように内周研磨工程に際に使用したブラシ24を抜き取る。そして積層ガラス基板100を固定していたホルダを外す。そしてガラス基板10とスペーサ110との積層状態を維持したまま治具25を通して外周研磨を行なう。
即ち、まず治具25(図1−2参照)により積層ガラス基板100を固定する。そしてブラシ26をガラス基板10の外周端面に当接させながら回転動作させることでガラス基板10の外周端面を研磨する。この際、図5(b)に示すように内周研磨工程と同様に、ブラシ26のブラシ部261はガラス基板10とスペーサ110との間に形成された間隙部120に入り込むことができる。結果としてブラシ26によりガラス基板10の外周端面を研磨すると共に、内外周研削工程の際に外周13の縁部に形成された面取り部10bについても併せて研磨を行なうことができる。なお詳しくは後述するが、図5(b)についてCoutで示した長さは、ガラス基板10の表面11側から見たときの面取り部10bの長さである外径チャンファ長である。
このように本実施の形態では、内周研磨工程の後に外周研磨工程を行ない、内周研磨工程と外周研磨工程とでスペーサ110を共用する。そしてガラス基板10とスペーサ110との積層状態を維持したままこの2つの工程を連続して行なう。そのためこの2つの工程の作業性をより向上させることができ、ガラス基板10の生産性を向上させることができる。ただし内周研磨工程と外周研磨工程とでスペーサ110を共用するためには以下の条件を満たす必要がある。
図6は、本実施の形態のスペーサ110について更に詳しく説明した図である。
図6では、スペーサ110の寸法および配置する位置関係についてガラス基板10との比較で図示している。
図6において、ガラス基板10の外径半径をR1、内径半径をR2として表している。またスペーサ110の外径半径をr1、内径半径をr2として表している。そしてガラス基板10の外周端面の面取り部10bを表面11側から見たときの長さである外径チャンファ長をCout、ガラス基板10の開孔12の面取り部10aを表面11側から見たときの長さである内径チャンファ長をCinとすると、以下の(1)式、(2)式、(3)式の関係を有する。
r2 > R2 + Cin … (1)式
r1 < R1 − Cout … (2)式
r1+r2 < R1+R2−Cout … (3)式
(1)式に示すようにスペーサ110の内径r2は、ガラス基板10の内径R2に内径チャンファ長Cinを加えた長さより長いことが必要である。このようにスペーサ110の内径r2を定めることで、スペーサ110をガラス基板10の内周端面および内周端面の部分に形成される面取り部10aの位置から外して配置することができる。つまり積層工程において作業者がスペーサ110を配置する際に、スペーサ110を、開孔12および面取り部10aの部分にはみだすことなく配置することができる。
一方、(2)式に示すようにスペーサ110の外径r1は、ガラス基板10の外径R1に外径チャンファ長Coutを引いた長さより短いことが必要である。このようにスペーサ110の外径r1を定めることで、スペーサ110をガラス基板10の外周端面および外周端面の部分に形成される面取り部10bの位置から外して配置することができる。つまり積層工程において作業者がスペーサ110を配置する際に、スペーサ110を、外周13および面取り部10bの部分にはみだすことなく配置することができる。
更に、(3)式に示すようにスペーサ110の外径r1と内径r2を加えた長さは、ガラス基板10の外径R1と内径R2を加えた長さから外径チャンファ長Coutを引いた長さより短いことが必要である。これにより外周研磨工程においてスペーサ110がガラス基板10の外周端面および面取り部10bの位置に来ることがない。
即ち、内周研磨工程から外周研磨工程に移る際には、図1−2(e)で説明したように積層したガラス基板10の開孔12からブラシ24をいったん引き抜き、積層ガラス基板100を固定していたホルダを外し、それから治具25を挿入する。この際に各ガラス基板10および各スペーサ110は固定状態からいったん解除されるため、スペーサ110が移動することがある。そしてスペーサ110が移動した結果、ガラス基板10の外周端面および面取り部10bの位置に来る場合がある。つまり移動することによりスペーサ110が、ガラス基板10の外周端面や面取り部10bの位置まではみだす場合がある。このような状態で外周研磨を行なうと、本来ガラス基板10の外周端面に当接してこの部分を研磨すべきブラシ26(図5参照)は、スペーサ110の外周端面に当接してスペーサ110の外周端面を研磨することになる。
一方、治具25によりスペーサ110の内周端面の位置は規定されるため、スペーサ110の内周端面がガラス基板10の内周端面より内側、即ちガラス基板10の中心側に移動することはない。そしてこれを前提として、(3)式の条件を満たすようにスペーサ110を作製すれば、スペーサ110がいくら移動してもスペーサ110が、ガラス基板10の外周端面および面取り部10bの位置に来ることはない。つまりスペーサ110が、ガラス基板10の外周端面や面取り部10bの位置まではみだすことはなくなる。
なお内周研磨工程では、スペーサ110が移動する問題は生じにくい。つまり、積層工程においてスペーサ110は作業者により位置決めされ、ホルダにより固定される。その結果、ガラス基板10を内周研磨する際には、スペーサ110は、作業者が位置決めした位置で固定された状態を保つ。そのためスペーサ110の移動について考慮する必要性は乏しい。
また上述したようにまたスペーサ110は、ガラス基板10の開孔12に形成された面取り部10aから予め定められた幅以上の余裕量を持たせて配置することが好ましい。これにより内周研磨工程において、スペーサ110の内周端面が研磨されることがより生じにくくなる。余裕量を導入する場合は、この余裕量を作業余裕量Sとしたときに、上述した(1)式に替えて以下の(1)’式を満たす必要がある。
r2 > R2 + Cin + S … (1)’式
一方スペーサ110の厚さは、ブラシ24の径に応じて決定される。具体的には、(スペーサ110の厚さ)>(ブラシ24の径)の関係になることが好ましく、(スペーサ110の厚さ)×0.9>(ブラシ24の径)>(スペーサ110の厚さ)×0.4の関係になることが更に好ましい。
10…ガラス基板、24,26…ブラシ、25…治具、100…積層ガラス基板、110…スペーサ

Claims (5)

  1. 外周端面、および内周端面を有する円盤状基板の間にスペーサを介在させて複数の当該円盤状基板を積層した積層円盤状基板を生成する積層工程と、
    前記積層工程により積層された前記積層円盤状基板にブラシを挿入し、前記円盤状基板の前記内周端面にブラシを当接させて当該内周端面を研磨する内周研磨工程と、
    前記内周研磨工程の後に前記積層円盤状基板から前記ブラシを抜き取り、前記スペーサの内周端面の位置を規定する治具を挿入し、積層状態を維持したまま当該積層円盤状基板の外周端面にブラシを当接させて前記円盤状基板の外周端面を研磨する外周研磨工程と、を有し、
    前記積層工程に用いられる前記スペーサは、前記円盤状基板の外径半径をR1、内径半径をR2、外径チャンファ長をCout、内径チャンファ長をCin、当該スペーサの外径半径をr1、内径半径をr2、とすると、
    r2> R2 + Cin … (1)式
    r1< R1 − Cout … (2)式
    r1+r2 < R1+R2−Cout … (3)式
    とすることで、前記外周研磨工程において当該スペーサが当該円盤状基板の外周端面および面取り部の位置に来ないようにしたことを特徴とする円盤状基板の製造方法。
  2. 前記積層工程は、前記円盤状基板および前記スペーサを配置するための余裕量を作業余裕量Sとしたときに前記(1)式に替えて、
    r2> R2 + Cin +S … (1)'式
    を満たすように前記円盤状基板および前記スペーサを配置することを特徴とする請求項に記載の円盤状基板の製造方法。
  3. 前記円盤状基板の内周端面および外周端面の研削を同時に行うと共に当該内周端面と当該外周端面の面取りを行なう内外周研削工程を前記積層工程の前に更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の円盤状基板の製造方法。
  4. 前記スペーサの厚さおよび前記ブラシの毛の径は、(スペーサの厚さ)>(ブラシの毛の径)の関係を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の円盤状基板の製造方法。
  5. 外周端面、および内周端面を有する円盤状基板の間に介在させて複数の当該円盤状基板を積層した積層円盤状基板を生成し、当該積層円盤状基板の内周端面の研磨を行なうと共に積層状態を維持したまま当該積層円盤状基板の外周端面の研磨を行なうために使用されるスペーサであって、
    前記円盤状基板の外径半径をR1、内径半径をR2、外径チャンファ長をCout、内径チャンファ長をCin、前記スペーサの外径半径をr1、内径半径をr2、とすると、
    r2> R2 + Cin … (1)式
    r1< R1 − Cout … (2)式
    r1+r2 < R1+R2−Cout … (3)式
    とすることで、前記スペーサの内周端面の位置を規定する治具を挿入して前記積層円盤状基板の外周端面の研磨を行なう際に当該スペーサが当該円盤状基板の外周端面および面取り部の位置に来ないようにしたことを特徴とするスペーサ。
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