JPH11126755A - 半導体熱処理用ボートの製造方法 - Google Patents

半導体熱処理用ボートの製造方法

Info

Publication number
JPH11126755A
JPH11126755A JP29004197A JP29004197A JPH11126755A JP H11126755 A JPH11126755 A JP H11126755A JP 29004197 A JP29004197 A JP 29004197A JP 29004197 A JP29004197 A JP 29004197A JP H11126755 A JPH11126755 A JP H11126755A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
boat
wafer
brush
heat treatment
abrasive grains
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29004197A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukio Takasago
幸穂 高砂
Nobuyuki Shinohara
信行 篠原
Manabu Tanaka
学 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP29004197A priority Critical patent/JPH11126755A/ja
Publication of JPH11126755A publication Critical patent/JPH11126755A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 半導体ウェハの熱処理において、ウェハにお
けるスリップの発生がより少ない熱処理用ボートを作製
する。 【解決手段】 半導体ウェハの熱処理に際して半導体ウ
ェハを保持するためのボートを製造する方法は、半導体
ウェハを保持するための溝部が形成されたボート体70
を作製した後、溝部において半導体ウェハと接触すべき
部分のエッジをブラシ100によって運ばれる砥粒によ
り研磨して丸みを付ける工程を備えることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体熱処理用ボ
ートの製造方法に関し、特に、シリコンウェハなどの半
導体ウェハを熱処理する際に、ウェハにおけるスリップ
の発生を抑えることのできる熱処理用ボートの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体デバイスの製造工程に
おいて、半導体ウェハの表面に酸化膜を形成したり、ド
ーパントの拡散を行なうために、ウェハを高温で熱処理
する工程がある。このような熱処理には、外気巻込みの
少ない縦型熱処理炉が多く使用されている。
【0003】縦型熱処理炉には、多数のウェハを垂直方
向に適当な間隔をおいて搭載し、それぞれのウェハを水
平に保持する熱処理用ボートが設けられる。このボート
は、一般に、略円形の天板および底板と、それらをつな
ぐ3本以上の支柱からなっている。支柱には、ウェハの
厚みより若干大きな幅を有する溝が形成されている。ウ
ェハは、支柱に形成された溝に挿入され、その外周付近
を支持された状態で、たとえば1200℃の温度で熱処
理される。
【0004】このようなボートによって保持された半導
体ウェハを熱処理するとき、ウェハにおいてボートで支
持される部分の付近にスリップと呼ばれる結晶欠陥が発
生する場合がある。スリップは、ウェハや半導体デバイ
スの歩留り低下に影響を与え、大きな問題となる。
【0005】スリップの発生原因の1つとして、ウェハ
を支持するボート溝のエッジ部が尖っていることによ
り、エッジ部に接触するウェハの部分に過大な局部的応
力が発生することが知られている。特開平7−1616
54号公報は、このエッジ部をエッチング処理加工によ
って丸くし、接触部に発生する応力を低減し、スリップ
発生を抑制することを開示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平7−16165
4号公報に開示されるようなエッチング処理を行なうに
は、比較的高価な装置が必要である。また、エッチング
には、処理すべき材料に応じたエッチング用ガスまたは
液体が必要となり、そのランニングコストは大きく、こ
の方法はそれほど容易ではない。さらに、炭化珪素およ
び珪素を主成分とする炭化珪素質材料によって熱処理用
ボートを製造する場合、概して珪素は炭化珪素よりもエ
ッチングされやすく、選択的な浸食が起こる結果、表面
に凹凸ができやすい。このような表面の荒れは、スリッ
プ発生の抑制効果に悪い影響を与える。さらに、荒れに
よって多孔性になった表面は、汚染されやすく、一度付
着した汚染物質は洗浄によって除去することが困難であ
る。付着した汚染物質は、ウェハの熱処理時に拡散し、
ウェハを汚染するおそれがある。
【0007】本発明の目的は、微小な凹凸が少なく滑ら
かな丸みをエッジ部に付けたウェハ熱処理用ボートを比
較的簡便でかつ安価に製造できる方法を提供することで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、ウェハ熱処
理用ボートに形成される溝のエッジ部を簡便かつ効果的
に加工できる方法を検討した。その結果、ブラシやエラ
スチック法によって結合された砥石のような弾性のある
部材を用いて研磨加工を行なえば、簡便に丸み付けがで
きかつ滑らかな仕上がり面が得られることを見出した。
【0009】すなわち、本発明による半導体熱処理用ボ
ートの製造方法は、半導体ウェハを保持するための溝部
が形成されたボート体を作製した後、溝部において半導
体ウェハと接触すべき部分のエッジをブラシまたは弾性
部材によって運ばれる砥粒により研磨して丸みを付ける
工程を備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】たとえば、縦型熱処理炉に用いら
れるウェハ熱処理用ボートには、一般に4.76mmま
たは6.35mmという極めて狭い間隔で多数の溝が形
成される。このような溝のエッジ部分を、通常の研削加
工に用いる研削砥石によって丸く加工するのは困難であ
る。一方、上述したようなエッチング処理を行なえば、
処理のために特別な装置が必要になり、ランニングコス
トが嵩む。そこで本発明者は、剛性を有する通常の研削
砥石の代わりに、弾性のある部材を用いて研磨加工を行
なえば、送り方向以外の方向にも工作物に面圧を加える
ことができ、溝切りを含むボートの加工工程の一環とし
て容易に丸み付けを行なうことができることを見出し
た。
【0011】本発明による製造方法では、溝部が形成さ
れたボート体を作製した後、溝部のエッジをブラシまた
は弾性部材によって運ばれる砥粒により研磨する。ブラ
シまたは弾性部材は、工作物に接触すると変形し、工作
物から離れると元の形に戻る性質(弾性)を有する。こ
のような弾性を有する部材を用いてこれにより砥粒を運
び溝のエッジ部分に砥粒を接触させていけば、溝を破壊
することなく、狭い領域のエッジ部を効率的に加工する
ことができる。
【0012】用いられるブラシまたは弾性部材は、それ
自体が砥粒を保持し、その運動により砥粒を加工物に運
んでもよいし、外部から別途供給される砥粒をその運動
により加工物に運んでもよい。ブラシまたは弾性部材に
よって運ばれる砥粒は、加工物に接触し、加工表面を研
磨する。ブラシまたは弾性部材の運動は、たとえば回転
運動、直線的な往復運動等とすることができる。用いら
れる砥粒の材質は、ダイヤモンド、炭化珪素、アルミ
ナ、cBN等の窒化ホウ素、炭化ホウ素、酸化セリウム
またはそれらの組合せが好ましい。砥粒の粒度は、砥粒
を保持して研磨する場合には♯80〜♯3000が好ま
しく、♯120〜♯2000がより好ましい。一方、砥
粒を外部より供給する場合には、♯1000〜♯200
00が好ましい。砥粒を運ぶブラシまたは弾性部材の材
質は、芳香族ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリア
ミド(アラミド)等の有機合成ポリマーまたは有機合成
樹脂、ガラス、ブタ等の動物の毛などの天然素材、加硫
ゴム等のエラストマーなどがある。ブラシまたは弾性部
材の形状は、本発明において特に制限されるものではな
いが、特に、その中心軸のまわりに回転可能な円筒形状
のものがより好ましい。ブラシまたは弾性部材を円筒形
状の回転体とすることで、以下に述べるように、丸み付
けの工程を溝加工機において行なうことができ、製造プ
ロセスはより簡便かつ安価になる。すなわち、溝加工機
において、加工軸上で回転する研削砥石により溝切り加
工を行なった後、研削砥石を加工軸から外し、代わりに
円筒状の回転体であるブラシまたは弾性部材を加工軸に
取付け、研削砥石と同様に回転させながら溝のエッジ部
を研磨することができる。
【0013】図1(a)は、円筒形状のブラシの一例を
示している。ホイールブラシ10において、加工軸を取
付けるために中心部が中空であるローラ体14には、多
数の毛12が植え込まれている。ホイールブラシ10
は、加工軸(図示省略)に取付けられ、研磨のため矢印
の方向に回転させられる。図1(b)に示すように、加
工物15に当たったブラシの毛12は、その弾性のため
曲がるが、加工物から離れると破壊されずに元の形状に
戻ることができる。高速回転による毛の折れを防止する
ため、図1(a)に示すように毛が回転方向の後向きに
傾いているものが好ましいが、図2に示すように、ロー
ラ体24に植え込まれた毛22が、寝ていないブラシ2
0を用いてもよい。
【0014】図3および図4は、ブラシの毛の具体例を
示している。図3に示す毛32は、樹脂マトリックス3
6と、その中に分散された(混練された)研磨のための
砥粒38とからなる。砥粒には、上述した範囲の粒度を
有するダイヤモンド、炭化珪素、窒化ホウ素などが用い
られる。樹脂マトリックス36には、ナイロン、アラミ
ド等の耐熱性の有機ポリマー材料が好ましく用いられ
る。高速で運動する毛32に接触する工作物は、砥粒3
8によって研磨される。図4に示す毛42は、樹脂毛部
46と、その表面にコーティングされた砥粒48とを有
する。樹脂には、上述した材料を好ましく用いることが
でき、砥粒には上述と同様の材料を用いることができ
る。毛42に接着される砥粒48によって、加工物の表
面を研磨することができる。以上、砥粒を担持したブラ
シの毛について述べたが、毛そのものには砥粒を含ませ
ず、外部より砥粒を逐次供給してもよい。この場合、高
速で運動する毛によって砥粒が加工物に方向付けられ、
砥粒による研磨が行なわれる。砥粒を別に供給する場
合、適当な量の砥粒を必要な時期に供給するための手段
および用いられた砥粒を回収するための手段を設けるこ
とが好ましい。以上のいずれの手段を用いても効果的に
ブラシによる研磨を行なうことができるが、毛1本1本
に砥粒が練込まれたタイプのブラシは、砥粒の脱落が少
なくかつ砥粒供給の手間がいらないためより好ましい。
なお、ブラシは、種々の材料から構成することができる
が、半導体ウェハの特性を劣化させるおそれのある金属
元素等をできるだけ含まない材質のもので構成すること
が望ましい。
【0015】図5(a)は、丸み付けのための研磨工程
に用いられる円筒状の弾性部材の一例を示している。弾
性砥石(ゴム砥石)50は、加工軸を取付けるため中心
部が中空であるローラ体54と、その周囲に設けられた
ゴム砥石部52とを有する。ゴム砥石部52は、拡大し
て示すように、ゴムマトリックス56中に砥粒58が分
散された構造を有する。ゴムマトリックスはエラストマ
ーである。図5(b)に示すように、ゴム砥石部52
は、加工物55に接触するとその弾性のために凹み、加
工物から離れると元の形に戻ることができる。円筒状の
弾性砥石40は、加工軸(図示省略)のまわりに回転さ
せられ、ゴムマトリックス56によって運ばれる砥粒5
8により工作物の表面を研磨する。表面が円筒面の弾性
砥石の代わりに、たとえば図6に示すように表面が波形
の弾性砥石を用いてもよい。図6(a)は、溝部のエッ
ジを研磨している弾性砥石の正面図であり、図6(b)
は、弾性砥石の側面図である。ブラシの場合と同様、エ
ラストマー中に砥粒が練込まれたタイプの弾性砥石は、
砥粒の脱落が少なく、かつ砥粒供給の手間が不要である
ので好ましい。しかしながら、砥粒を含まないエラスト
マからなる部材を高速で運動させ、そこに研磨のための
砥粒を供給してもよい。砥粒は、運動するエラストマー
体により付勢され、加工物の表面に衝突する。この場合
も、適当な量の砥粒を必要な時期に供給するための手段
および使用された砥粒を回収するための手段を設けるこ
とが好ましい。
【0016】本発明による製造方法は、炭化珪素焼結体
の多孔体中に珪素を含浸せしめてなる炭化珪素質材料か
らなるウェハ熱処理用ボート、あるいはその表面に緻密
な炭化珪素の被膜をコーティングした熱処理用ボート、
あるいは石英等の熱処理用ボートの製造に適用される。
ボートの製造において、エッジ部に丸みを付ける工程以
外は、ボートの製造に通常用いられる工程を用いること
ができる。たとえば、炭化珪素焼結体の多孔体中に珪素
を含浸せしめてなる炭化珪素質材料からなるウェハ熱処
理用ボートの場合には、炭化珪素粉末と、バインダ、溶
媒等の添加物との混合物について、金型プレス、鋳込、
CIP等の方法により成形を行なう。通常、ボートを構
成する天板、底板、支柱のそれぞれについて成形を行な
い、得られた部品を組立てることができる。得られた成
形体を乾燥した後、乾燥体を次の工程に供してもよい
し、乾燥体を焼成した後次の工程に移ってもよい。乾燥
された部品、または乾燥および焼成された部品は、炭化
珪素粉末を主成分とするペーストにより接合し、ボート
体の組立品を得ることができる。次いで、得られた組立
品を焼成し、接合部分を焼結により強固にさせる。焼成
工程の後、組立品に珪素の融液を含浸させる。含浸工程
の後、炭化珪素粒子からなる多孔体にシリコンが含浸さ
せられた炭化珪素質材料からなるボート組立体が得られ
る。得られたボート組立体は、溝切りを含む機械加工に
供せられる。
【0017】得られるボート組立体は、たとえば図7お
よび図8に示すような構造を有する。縦型ウェハボート
組立体70は、4本の支持棒73a、73b、73cお
よび73dを有している。これらの支持棒73a〜73
dには、後の研削工程において、ウェハを挿入するため
の溝が所定の間隔で形成される。図7に示すように、支
持棒73a〜73dの一旦には天板71が接合され、他
端には底板72が接合される。これらの部材は、4本の
支持棒73a〜73dを平行に保持し固定している。ま
た天板71および底板72には、熱処理時におけるガス
の流れを遮断しないよう、開口部71aおよび72aが
それぞれ形成されている。ボート組立体70は、底板7
2を下にして立て、支持棒73a〜73dに形成される
溝にウェハを挿入することにより、ウェハを保持するよ
うになる。このような組立体には、次に示すような機械
加工が施される。
【0018】まず、機械加工において、底板の表面を仕
上げ、その後この仕上げ面を基準面として、それに平行
に溝を切っていく。溝切りは、たとえば図9に示すよう
に、加工軸97のまわりを高速で回転する円板状の研削
砥石98をボート組立体70の支持棒73a〜73dに
接触させていくことにより行なわれる。砥石には、ダイ
ヤモンド、cBNなどの硬質の砥粒をビトリファイド
法、レジンボンド法、メタルボンド法等によって結合し
たものを用いることができる。砥粒の粒度は、たとえば
80〜320の範囲とすることができる。溝切りは、た
とえば、載置すべきウェハの直径より2〜4mm程度大
きな直径を有する研削砥石を矢印Aで示すような方向、
すなわち底板において仕上げられた基準面に平行な方向
で直線的に移動させることにより、行なうことができ
る。一方、載置されるべきウェハより小さな直径を有す
る研削砥石を用いて、これを矢印Bまたは矢印Cの方向
に移動させて支持棒に溝を形成することもできる。いず
れの場合も、支持棒73a〜73dに、1枚のウェハを
保持するための一連の溝が形成されたら、研削砥石98
を所定の間隔で底板の基準面に平行に移動させ、次の溝
を形成する。この作業を繰返して、多数の溝を形成して
いく。溝切りにおいては、通常の条件に従い、加工液を
用いた研削加工が行なわれる。以上の工程は、通常の方
法に従い行なうことができる。
【0019】次いで、溝加工機の加工軸から研削砥石を
外し、その代わりに加工軸にブラシまたは弾性砥石を取
付けて、溝部のエッジに丸みを付ける。丸み付けの加工
に際しては加工液を用いずとも可能であるが、溝切りと
同様の加工液を用いて行なってもよい。上述したよう
に、ブラシまたは弾性砥石が円筒形状であれば、同じ溝
加工機を用いて、工具を変えることにより溝切り加工か
ら丸み付け加工にすぐに移行できる。図10は、円筒形
状のブラシにより丸み付けのための研磨工程を行なって
いくようすを示している。円筒形状のブラシ100は、
その中心部のホイール体104を介して加工軸97に取
付けられる。ホイール体104に植え込まれた毛102
は、図3または図4に示されるような構造を有してもよ
いし、砥粒を担持しないタイプのものでもよい。いずれ
の場合にせよ、ブラシ100を、矢印A′、B′または
C′に示すような方向に移動させていき、支持棒73a
〜73dに形成される溝75のエッジ部に毛102の先
端部を接触させることにより、毛に保持される砥粒また
は外部から毛によって運ばれる砥粒によりエッジ部を研
磨する。一度に支持棒73a〜73dのすべてと接触で
きる大きな径を有するブラシを用いる場合、矢印A′に
示すような方向にブラシを移動させることにより、研磨
を行なうことができる。一方、より小さな径を有するブ
ラシを用いる場合、矢印B′または矢印C′の方向にブ
ラシを移動させて、各支持棒の溝部におけるエッジを研
磨することができる。いずれの場合にせよ、適当な直径
を有するブラシを用いれば、溝切りにおける研削砥石の
移動方向と同じ方向で丸み付けのための研磨を行なうこ
とができる。
【0020】また図11は、円筒形状の弾性砥石を用い
た例を示している。弾性砥石を用いる場合、比較的半径
の小さなものを、たとえば図の矢印B″または矢印C″
の方向に移動させ、その移動に従って弾性砥石110を
溝のエッジ部に接触させて研磨することが好ましい。こ
の場合も、溝加工機において、加工軸に弾性砥石110
を取付けることにより、研磨を簡便に行なうことができ
る。弾性砥石には、上述したものを好ましく用いること
ができる。また、弾性砥石の代わりに、砥粒を含まない
円筒形状のエラストマー体を用い、外部から砥粒を供給
してもよい。いずれにせよ、砥粒とともに弾性体がエッ
ジ部に接触することによって、研磨が行なわれる。
【0021】図12は、支持棒に形成される溝におい
て、特に研磨を行ない丸みを付けるべき部分を示してい
る。支持棒73に形成される溝75は、それぞれ図12
に示すようにして半導体ウェハ76を保持することな
る。したがって、溝75において、半導体ウェハ76と
接触するべき斜線を引いた部分のエッジに丸みを付ける
ことが望まれる。これらの部分に、ブラシまたは弾性部
材を接触させることにより、研磨を行なえばよい。一
方、溝75を構成する部分で、半導体ウェハ76と接触
しない部分も存在する。たとえば、それぞれの溝におい
て半導体ウェハ76と接触する部分に対向する部分であ
る。それらの部分には、丸みを付けなくともよいが、ブ
ラシ等による研磨では、それらの部分も同時に研磨され
得る。また、本発明では、ウェハにスリップをより発生
させやすい部分にのみ丸みを付けてもよい。ウェハボー
トにおいて、ウェハを保持するための支持棒は、ウェハ
を出し入れするために偏った配置を取っている。たとえ
ば図7および図8に示すような構造を有するボート体で
は、1対の支持棒が、載置されるべきウェハの直径に近
い間隔で離されて配置され、残りの1対の支持棒がその
奥に配置される。このような場合、図13に示すよう
に、丸印を付けた部分、すなわちウェハ挿入時にウェハ
の入口にあたる支持棒のエッジが、スリップをより発生
させやすい。これらの部分は、ウェハを搭載したとき
に、他の支持棒の部分よりもウェハの荷重がより大きく
かかる部分だからである。このようにウェハの荷重がよ
り大きくかかる支持棒の溝におけるエッジを特に研磨す
ることが望ましい。また、これらの部分のみを研磨すれ
ば、より少ない加工時間および加工工程により、主要な
スリップ発生原因を取除くことができる。
【0022】以上に示した研磨工程により、溝部に簡便
かつ効果的に丸みを付けることができる。丸み付けされ
た表面は、非常に滑らかであり、何らかの研削加工また
は研磨加工を経ていない表面たとえば溝を構成する部分
の側面よりも、光沢を有している。このような光沢は、
エッチング処理による丸み付けにおいては得られないも
のである。したがって、本発明によれば、丸み付けにお
いてエッチング処理よりも滑らかな表面を得ることがで
きる。そのような表面は、不純物によって汚染されにく
く、ウェハに対するスリップの発生をより効果的に抑制
する。
【0023】以上の工程により溝部および丸みを形成さ
れたウェハ熱処理用ボート体は、酸洗浄、純水洗浄等の
洗浄工程、乾燥工程を経て、最終製品として供すること
ができる。
【0024】表面に緻密な炭化珪素被膜をコーティング
する場合には、上記の工程により溝部および丸みを形成
した後に行ない、酸洗浄、純水洗浄等の洗浄工程、乾燥
工程を経て最終製品として供することができる。
【0025】
【実施例】
実施例1 Na、K、Ca、Fe、Ni、CuおよびCrの各含有
量が1ppm以下である平均粒径約5μmの炭化珪素粉
末を常法に従って鋳込成形またはプレス成形し、乾燥工
程を経て、図7および図8に示すようなボート体の天板
部分、底板部分および支持棒部分の成形体を得た。成形
体の各部分を、炭化珪素粉末を主成分としたスラリー状
のペーストを用いて接合し、得られた組立品を1500
℃〜2300℃の温度において焼成し、部分的な焼結を
行ない、接合部分を強固にした。次に、得られた多孔性
の焼結体に、1500℃で金属シリコンを含浸させた。
シリコン含浸により、炭化珪素粒子が焼結された多孔体
の中にシリコンが充填された炭化珪素質材料からなるボ
ート組立体を得た。次いで、ボート組立体における底板
の表面を平坦に仕上げた後、ボート溝加工機を用いて、
180mmφのビトリファイドボンドダイヤモンド砥石
で、3,000rpmの回転においてボート組立体に溝
切り加工を施した。溝切りにより、幅3.0mm、深さ
7mmの角柱形状の溝をピッチ6.35mmで形成し
た。砥石を移動させながら、150本の溝を形成した。
次いで、溝切り加工の加工軸から研削砥石を外し、その
代わりに円筒形状のブラシを取付けた。ブラシの直径は
約150mmであり、図1に示すようなブラシにおい
て、アラミド繊維からなるマトリックスに♯320のダ
イヤモンド砥粒が分散された毛を有するものを用いた。
ブラシを700rpmの速度で回転させ、送り速度10
mm/分で、溝のエッジ部に接触させ、研磨加工を行な
った。その結果、エッジ部に、曲率半径0.1mm〜2
mmの丸みが付けられた。次いで、ボート体を洗浄、乾
燥した後、得られたボートにウェハを130枚搭載し、
縦型拡散炉に入れ、1200℃で1時間ウェハの熱処理
を行なった。ウェハにおけるスリップの発生率を調査し
た結果、ブラシ研磨加工をしていないウェハ熱処理用ボ
ートに比べて、スリップの発生率は、10分の1に低下
した。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして作製した炭化珪素質材料からなる
ウェハボート組立体に実施例1と同様にして溝切り加工
を施した後、円筒状のゴム砥石を用いて丸み付けのため
の研磨加工を行なった。溝加工機から研削砥石を外し、
その代わりに円筒形状のゴム砥石を取付けた。ゴム砥石
は図5に示すような構造を有し、加硫ゴムのマトリック
ス中にGC♯320砥粒を練込んだものを用いた。回転
数700rpm、送り速度10mm/分で、溝のエッジ
部を研磨加工したところ、0.1mm〜0.3mmの曲
率半径を有する丸みが付けられた。得られたボートを洗
浄、乾燥した後、シリコンウェハを130枚搭載し、縦
型拡散炉に収容して1200℃で1時間熱処理した。ウ
ェハにおけるスリップの発生率を調査した結果、丸み付
けを行なっていないウェハ熱処理用ボートに比べ、スリ
ップの発生率は10分の1に低下した。
【0027】図14は、実施例1において丸みが付けら
れた溝のエッジ部分を示している。図14(a)は、エ
ッジ部を示す斜視図であり、(b)は(a)のX−X線
に沿う断面図、(c)は(a)のY−Y線に沿う断面図
である。溝75を構成する部材において、図14(b)
および(c)に示すように、特に矢印で示す部分につい
て丸みが付けられている。図14(b)に示す部分は、
溝の開口部により近いところであり、より大きな丸みが
付けられている。図14(c)に示す部分は、溝を構成
する支持棒の側部であり、半導体ウェハと接触すべき角
には、適当な丸みが付けられている。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、高価な設備を特に必要
とせず、溝のエッジを丸めたウェハ熱処理用ボードを比
較的簡単かつ安価に製造することができる。特に炭化珪
素質材料からなる熱処理用ボートの場合、丸められた表
面は、より滑らかであり、スリップの発生低減および不
純物の汚染防止により効果的である。本発明によって製
造されるウェハ熱処理用ボートを用いれば、半導体製造
プロセスにおいて、ウェハのスリップ発生による欠陥の
防止をより効果的に抑制し、半導体デバイスの歩留り向
上に寄与させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるブラシの一例を示す斜視図
である。
【図2】本発明に用いられるブラシのもう一つの例を示
す斜視図である。
【図3】ブラシの毛の一例を示す斜視図である。
【図4】ブラシの毛のもう一つの例を示す斜視図であ
る。
【図5】本発明に用いられる弾性砥石の一例を示す斜視
図である。
【図6】本発明に用いられる弾性砥石のもう一つの例を
示す(a)正面図および(b)側面図である。
【図7】本発明によって製造されるウェハボート組立体
の構造を示す側面図である。
【図8】図7に示すウェハボート組立体の平面図であ
る。
【図9】ウェハボートの製造において溝切り工程を示す
斜視図である。
【図10】本発明において丸み付けのための研磨工程の
一例を示す斜視図である。
【図11】本発明において丸み付けのための研磨工程の
もう一つの例を示す斜視図である。
【図12】本発明において丸み付けすべきエッジの部分
を示す模式図である。
【図13】本発明において特に丸み付けすべきエッジの
部分を示す模式図である。
【図14】本発明に従う実施例において丸み付けされた
エッジを示す(a)斜視図、(b)X−X断面図および
(c)Y−Y断面図である。
【符合の説明】
10、20 ホイールブラシ 12、22、32、42 毛 50 弾性砥石

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体ウェハの熱処理に際して前記半導
    体ウェハを保持するためのボートを製造する方法であっ
    て、 前記半導体ウェハを保持するための溝部が形成されたボ
    ート体を作製した後、前記溝部において前記半導体ウェ
    ハと接触すべき部分のエッジをブラシまたは弾性部材に
    よって運ばれる砥粒により研磨して丸みを付ける工程を
    備えることを特徴とする、半導体熱処理用ボートの製造
    方法。
JP29004197A 1997-10-22 1997-10-22 半導体熱処理用ボートの製造方法 Pending JPH11126755A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29004197A JPH11126755A (ja) 1997-10-22 1997-10-22 半導体熱処理用ボートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29004197A JPH11126755A (ja) 1997-10-22 1997-10-22 半導体熱処理用ボートの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11126755A true JPH11126755A (ja) 1999-05-11

Family

ID=17751026

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29004197A Pending JPH11126755A (ja) 1997-10-22 1997-10-22 半導体熱処理用ボートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11126755A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000127021A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd 石英ガラスロッドの溝研磨方法
JP2000127020A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd ウェハーボート
JP2000127022A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd 石英ガラスロッドの溝研磨装置
JP2003011070A (ja) * 2001-04-25 2003-01-15 Asahi Glass Co Ltd 研磨用砥石およびそれを利用した研磨方法
US6811469B2 (en) * 2001-04-25 2004-11-02 Asahi Glass Company, Limited Grinding wheel for polishing and polishing method employing it
KR100802298B1 (ko) 2003-12-26 2008-02-11 동부일렉트로닉스 주식회사 웨이퍼 크리닝 장치의 브러시 어셈블리
WO2009048068A1 (ja) 2007-10-12 2009-04-16 Covalent Materials Corporation 縦型ウエハボート
JP2017005112A (ja) * 2015-06-10 2017-01-05 クアーズテック株式会社 ウエハボート及びその製造方法
JP2018104737A (ja) * 2016-12-22 2018-07-05 クアーズテック株式会社 縦型ウエハボートの製造方法
WO2021157722A1 (ja) 2020-02-07 2021-08-12 京セラ株式会社 ウェハーボート

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000127021A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd 石英ガラスロッドの溝研磨方法
JP2000127020A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd ウェハーボート
JP2000127022A (ja) * 1998-10-27 2000-05-09 Shinetsu Quartz Prod Co Ltd 石英ガラスロッドの溝研磨装置
JP2003011070A (ja) * 2001-04-25 2003-01-15 Asahi Glass Co Ltd 研磨用砥石およびそれを利用した研磨方法
US6811469B2 (en) * 2001-04-25 2004-11-02 Asahi Glass Company, Limited Grinding wheel for polishing and polishing method employing it
KR100802298B1 (ko) 2003-12-26 2008-02-11 동부일렉트로닉스 주식회사 웨이퍼 크리닝 장치의 브러시 어셈블리
WO2009048068A1 (ja) 2007-10-12 2009-04-16 Covalent Materials Corporation 縦型ウエハボート
JP2009099576A (ja) * 2007-10-12 2009-05-07 Covalent Materials Corp 縦型ウエハボート
EP2200072A1 (en) * 2007-10-12 2010-06-23 Covalent Materials Corporation Vertical wafer boat
EP2200072A4 (en) * 2007-10-12 2011-07-06 Covalent Materials Corp VERTICAL WAFERHORDE
JP2017005112A (ja) * 2015-06-10 2017-01-05 クアーズテック株式会社 ウエハボート及びその製造方法
JP2018104737A (ja) * 2016-12-22 2018-07-05 クアーズテック株式会社 縦型ウエハボートの製造方法
WO2021157722A1 (ja) 2020-02-07 2021-08-12 京セラ株式会社 ウェハーボート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3702023B2 (ja) 研磨パッドのためのプリコンディショナおよびその使用方法
JP4224517B2 (ja) 円盤状基板の研磨方法
JP4816815B2 (ja) 多角柱状部材の研磨装置およびその研磨方法
JPH11126755A (ja) 半導体熱処理用ボートの製造方法
JP2002160147A (ja) 板ガラスの端縁部研磨方法
JP6145548B1 (ja) 面取り研削方法及び面取り研削装置
JP3664691B2 (ja) Cmp加工用ドレッサ
JP2007067166A (ja) SiC基板のケモメカニカル研磨方法
JPH1034091A (ja) 洗浄用ローラ
JP2000343440A (ja) 研磨砥石及び研磨砥石の製造方法
JPH08197400A (ja) 半導体ウェーハの面取り部研磨方法
JP2003179017A (ja) 研磨装置及び研磨装置における研磨パッドのドレッシング方法
JP2022047538A (ja) 面取り研削方法及び面取り研削装置
JP2004050313A (ja) 研削用砥石および研削方法
JP2000190199A (ja) 定盤平面修正方法
CN110625528B (zh) 一种抛光垫的修整装置及修整方法
JPH10134316A (ja) 磁気ヘッドの加工方法
JP2000216122A (ja) 半導体ウェ―ハの平面研削方法
JPH06304860A (ja) 薄膜磁気ヘッドのポリッシング法
JP3329593B2 (ja) サファイヤ製ダミーウエハの製造方法
JP2004338028A (ja) 研削用砥石及びこの研削用砥石を備える研削装置
JPH11277418A (ja) 薄板の研磨方法および薄板保持プレート
JPS5835410Y2 (ja) ホ−ニングカコウヨウトイシ
CN116728293A (zh) 一种cmp修整器制造方法
JPH0569309A (ja) 超仕上方法