JP2014167839A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス基板の端面は、前記ガラス基板の主表面に対して直交する側壁面と、前記主表面と前記側壁面との間に介在する介在面と、を有する。磁気ディスク用ガラス基板の製造方法で行う端面研磨処理は、前記研磨ブラシと前記ガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して前記研磨ブラシと前記ガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う。この端面研磨処理は、前記介在面の研磨を少なくとも行う第1処理と、前記第1処理後に、前記介在面の表面粗さを維持した状態で、前記側壁面の研磨を行う第2処理と、を含む。
【選択図】 図3
Description
このような磁気ディスク用ガラス基板の端面である介在面及び側壁面は、例えば研磨砥粒として例えば酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いたブラシ研磨により、研磨されることは周知である。このような研磨例は、例えば下記特許文献1の段落0034や下記特許文献2の請求項1に記載されている。
このように介在面を研磨するとき、側壁面への研磨ブラシの当たりが強くなりすぎて、側壁面が研磨ブラシのブラシ毛の腹部(毛先と毛の基部との中間部分)で研磨されることになる。このため側壁面はブラシ毛の腹部で擦られて線状のキズが発生する場合がある。このキズには、上述したように異物粒子が付着し、この異物粒子が磁気ディスクの製造の後工程において端面から離脱して主表面に付着して問題となる場合がある。また、側壁面にキズを発生させないように研磨した場合には、介在面の研磨が不十分となる場合もある。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、中心に円孔を有する円盤状のガラス基板が製造される。ガラス基板の端面は、ガラス基板の主表面に対して直交する側壁面と、主表面と側壁面との間に介在する介在面(面取面)と、を有する。本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、ガラス基板の端面に、研磨ブラシを押し当てて研磨する端面研磨処理の処理方法に特徴を備える。
ここで、端面研磨処理は、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して研磨ブラシとガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う。このとき、端面研磨処理は、介在面の研磨を少なくとも行う第1処理と、第1処理後に、介在面の表面粗さを維持した状態で、側壁面の研磨を行う第2処理と、を含む。
本実施形態では、端面は、ガラス基板の外周側端面であってもよく、内周側端面であってもよい。なお、以下の説明では、中心に円孔が形成されたガラス基板を、スペーサーを介して積層された積層体の円孔部分に研磨ブラシを挿入し、研磨ブラシと積層体との少なくとも一方を回転させてガラス基板の内周側端面を研磨する内周側端面研磨について説明する。
以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を詳細に説明する。
先ず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクを成形する。次に、このガラスブランクを適宜加工して、中心部分に円孔のあいた、エッジが面取り加工された円盤形状のガラス基板を作製する。この後、端面研磨処理および主表面研磨処理を行う。端面研磨処理、主表面研磨処理は、必要に応じて、複数の処理に分けて行ってもよい。また、主表面研磨処理の前にガラス基板の主表面や端面の研削処理を行ってもよい。このとき各処理の順序は適宜決定してよい。
以下、各処理について、説明する。
ガラスブランクの成形では、例えばフロート法の他に、例えばプレス成形法を用いることもできる。さらに、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの公知の製造方法で作られた板状ガラスに対し、適宜形状加工を行うことによって磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラスブランクが切り出される。
次に、形状加工処理が行われる。形状加工処理では、ガラスブランク成形処理後、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔があいた円盤形状のガラス基板を得る。その後、さらに面取りを実施する。これにより、ガラス基板の端面には、主表面と直交している側壁面と、側壁面と主表面を繋ぐ介在面(面取面)が形成される。
次にガラス基板の端面研磨処理が行われる。端面研磨処理は、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して研磨ブラシとガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う処理である。端面研磨では、ガラス基板の内周側端面及び外周側端面が鏡面状態になる。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等の異物粒子が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことができる。これにより、このガラス基板を用いて磁気ディスクを製造した場合であっても、サーマルアスペリティの発生を防止することができる。また、ナトリウムおよび/またはカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる観点からは、少なくとも側壁面および介在面の表面粗さ(最大高さ:Rz)が0.15μm以下となるように研磨することが好ましく、0.10μm以下となるように研磨することがより好ましい。また、上記観点においては、少なくとも側壁面の表面粗さ(Ra)が、0.015μm以下であることが好ましく0.010μm以下であることがより好ましい。なお、上記粗さは触針計(測長距離:板厚方向に0.25mm)を用いて測定したものである。端面研磨処理については、後述する。
次に、ガラス基板の主表面に第1研磨処理が施される。具体的には、ガラス基板を、両面研磨装置に装着される保持部材(キャリア)に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。なお、表面粗さについてさらに低減したり、より精密な調整を行うために、第1研磨処理を複数の研磨処理に分けて実施してもよい。
ガラス基板は適宜化学強化することができる。化学強化液として、例えば硝酸カリウム,硝酸ナトリウム、またはそれらの混合物を加熱して得られる溶融液を用いることができる。そして、ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層にあるガラス組成中のリチウムイオンやナトリウムイオンが、それぞれ化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオンやカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
化学強化処理を行うタイミングは、適宜決定することができるが、化学強化処理の後に研磨処理を行うようにすると、表面の平滑化とともに化学強化処理によってガラス基板の表面に固着した異物を取り除くことができるので特に好ましい。
次に、化学強化処理後のガラス基板に第2研磨処理が施される。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。第2研磨の後、ガラス基板Gは洗浄され、磁気ディスク用ガラス基板が作製される。
ここで本発明にかかる端面研磨処理についてより詳細に説明する。端面研磨処理は、介在面の研磨を少なくとも行う第1処理と、この第1処理後に、介在面の表面粗さを維持した状態で、側壁面の研磨を行う第2処理と、を含む。第1処理及び第2処理では、多数積層されたガラス基板の端面と研磨ブラシとの間に遊離砥粒を含む研磨液を供給する。研磨液の供給手段としては、シャワーによる吹き付け、あるいは複数の研磨液供給ノズルより研磨液を噴出する態様が挙げられる。また、研磨液中にガラス基板の積層体と研磨ブラシを浸し、研磨液中で端面研磨をしてもよい。
遊離砥粒としては、酸化セリウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン等の研磨剤を用いることができるが、特に、加工速度が速い観点では、酸化セリウムを用いるのが好ましい。研磨液の温度は、例えば25℃〜40℃程度が好ましい。また、研磨液をガラス基板の積層体に対して噴きかけて供給する場合、供給時点での温度と、ガラス基板の積層体と研磨ブラシとの間に供給された端面が研磨された後の研磨液の温度との差、換言すると、研磨装置へ供給される時点での研磨液の温度と、研磨装置から排出される研磨液の温度との差は、5度以下が好ましく、3度以下がより好ましく、1度以下が特に好ましい。上記条件で端面研磨を行うことで、積層体を構成している個々のガラス基板間の端面品質(表面あらさ)のバラツキを低減させることができる。
ここで、第1処理は、少なくとも介在面を研磨する。このとき、介在面の他に側壁面が研磨されてもよい。第1処理は、介在面の表面粗さの算術平均粗さRa(JIS B 0601:2001)が0.015μmm以下になるように研磨することが好ましく、0.010μm以下になるようにすることがより好ましい。また、第1処理は、介在面の表面粗さ(最大高さ:Rz)が0.15μm以下となるように研磨することが好ましく、0.10μm以下となるように研磨することがより好ましい。
第2処理は、第1処理後の側壁面の表面粗さ、例えばRaを維持しつつ、側壁面の表面粗さの算術平均粗さRaが0.015μm以下になるように研磨することが好ましく、0.010μm以下になるようにすることがより好ましい。また、第2処理は、第1処理後の側壁面の表面粗さ、例えばRzを維持しつつ、側壁面の表面粗さ(最大高さ:Rz)が0.15μm以下となるように研磨することが好ましく、0.10μm以下となるように研磨することがより好ましい。
なお、上記側壁面の表面粗さは触針計(測長距離:板厚方向に0.25mm)を用いて測定したものである。一方介在面の表面粗さについても上記触針計(測長距離:円周方向に0.25mm)を用いて測定したものである。
第1処理では、介在面について研磨残しが無いように研磨ブラシ12の毛先が介在面の最も窪んだ位置に当接するように位置決めして研磨を行う。なお、毛先がやや撓む程度の位置に研磨ブラシ12を位置決めしてもよい。このとき、図2に示すように、側壁面には、研磨ブラシ12の腹部分が当接する。このため、腹部分で押圧された遊離砥粒や異物粒子によって側壁面は擦られて線状のキズが側壁面に発生する場合がある。
まず、端面研磨処理では、研磨ブラシ12の距離Lを距離L1に固定して時間0から時間T1まで研磨する。この距離L1は、研磨ブラシ12の毛先が介在面の最も窪んだ位置に当接する距離である。したがって、距離Lを距離L1に固定して時間T1まで研磨する処理が第1処理である。次に、研磨ブラシ12の距離Lを距離L1から距離L2に移動し固定して時間T1から時間T2まで研磨する。この距離L2は、研磨ブラシ12の毛先が側壁面に当接する距離である。したがって、距離Lを距離L2(距離L2>距離L1)に固定して時間T2まで研磨する処理が第2処理である。このときの研磨時間T1と研磨時間(T2−T1)は、ガラス基板10の介在面と側壁面との表面粗さ(Rz)がそれぞれ0.15μm以下となり、かつ、介在面と側壁面との表面粗さ(Rz)の差が小さくする、具体的には、上記差が0.05μm以内となるように適宜設定すればよい。
なお、上記の説明では、距離L2と距離L1とをそれぞれ固定して研磨する構成を説明したが、ガラス基板10の介在面と側壁面との表面粗さ(最大高さ:Rz)がそれぞれ0.15μm以下となり、かつ、介在面と側壁面との表面粗さ(Rz)の差が0.05μm以内となるように、距離L2から距離L1までの間を時間経過とともに連続的または断続的に移動させて研磨する構成としてもよい。
これにより、このガラス基板10を用いて磁気ディスクとした際に、介在面および側壁面からの発塵を抑制することができる。
したがって距離L3は距離L1より大きい。次に、研0磨ブラシ12の距離Lを距離L3から距離L2に移動し固定して時間T3から時間T2まで研磨する(第2処理)。この距離L2は、研磨ブラシ12の毛先が側壁面に当接しかつ毛先がやや撓む程度の距離である。したがって距離L2は距離L3より大きい。
なお、上記の説明では、ガラス基板10の内周側端面を研磨する構成について説明したが、図1(b)に示すように、研磨ブラシを用いて外周側端面を研磨する構成についても本発明を適用することができる。
また、上記の説明では、研磨ブラシとガラス基板10の積層体の相対距離を変化させてガラス基板10の側壁面および介在面の両方を研磨する構成について説明したが、介在面および側壁面の表面粗さを良好にし、かつ、側壁面に形成される恐れのあるキズを防止する方法としては、上記以外の方法を用いてもよい。
例えば、外周側端面の研磨において、介在面を主として研磨する第1処理と、側壁面を主として研磨する第2処理とで、研磨砥粒の砥粒径を変化させてもよい。具体的には、介在面を研磨する際には第2処理と比べて砥粒径の小さなスラリーを用いて、このスラリーを介在面に供給して研磨し、側壁面を研磨する際には、第1処理と比べて砥粒径の大きなスラリーを用い、このスラリーを側壁面に供給して研磨するようにしてもよい。
また、研磨ブラシとガラス基板10の積層体の相対距離を変化させる構成に加えて、第1処理と第2処理とでガラス基板と研磨ブラシとの相対速度(回転数)を変えてもよい。例えば、第1処理を第2処理に比べて高速で回転させ、第2処理を第1処理に比べて低速で回転するようにして側壁面および介在面を研磨してもよい。
本実施形態の効果を確認するために、3つの異なる研磨方法(実施例、従来例1、従来例2)によりガラス基板の端面研磨を行った。
端面研磨対象のガラス基板には、外径65mm、厚さ0.8mmの円盤形状のガラス基板を用いた。ガラス基板は、100枚を積層して積層体としたものを端面研磨することを1バッチとし、10バッチの間、上記研磨ブラシを変更することなく端面研磨を行った。後述する実施例、従来例1では、回転軸からの長さが同じであるブラシ毛で構成された研磨ブラシを用いた。従来例2では、研磨ブラシに、回転軸からの長さが短いブラシ毛と、長いブラシ毛が交互に配列されている研磨ブラシを用いた。遊離砥粒としては、酸化セリウムを用いた。ガラス基板の積層体は、遊離砥粒を含んだスラリー液中に浸した。研磨ブラシの回転速方向と、ガラス基板の回転方向とが互いに逆方向になるように回転させて端面研磨を行った。
そして、実施例、従来例1,2で得られた1バッチ100枚で10バッチ連続して端面研磨を行ったガラス基板の側壁面を顕微鏡観察により、側壁面に線状のキズがあるか否かを調べた。また、それぞれについて介在面と側壁面との表面粗さ(Ra,Rz)を求めるとともに、1枚のガラス基板における介在面と側壁面との表面粗さ(Rz)の差および、10バッチ間での表面品質のバラツキを評価した。
また、実施例のガラス基板の場合には、介在面と側壁面との表面粗さ(Rz)の差を求めたところ、0.05μm以内であったが、従来例1、2については、0.05μmを超えたものが見つかった。
さらに、バッチ間のバラツキを調べたところ、従来例2は、介在面および側壁面の表面粗さのバラツキが大きかった。
これより、本実施形態の効果は明らかである。
10a 介在面
10b 側壁面
12 研磨ブラシ
12a 中心軸
12b ブラシ毛
14 介在部材
Claims (5)
- 中心に円孔を有する円盤状のガラス基板の端面に、研磨ブラシを押し当てて研磨する端面研磨処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
前記ガラス基板の端面は、前記ガラス基板の主表面に対して直交する側壁面と、前記主表面と前記側壁面との間に介在する介在面と、を有し、
前記端面研磨処理は、前記研磨ブラシと前記ガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して前記研磨ブラシと前記ガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う処理であり、
前記端面研磨処理は、前記介在面の研磨を少なくとも行う第1処理と、
前記第1処理後に、前記介在面の表面粗さを維持した状態で、前記側壁面の研磨を行う第2処理と、を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第1処理は、前記介在面の表面粗さRzが0.15μm以下になるように研磨し、
前記第2処理は、前記介在面の表面粗さを維持しつつ、前記側壁面の表面粗さRzが0.15μm以下になるように研磨する、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。 - 前記第1処理及び前記第2処理で用いる前記研磨ブラシのブラシ毛の長さは同じである、請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記第1処理及び前記第2処理では、研磨中、前記研磨ブラシを前記ガラス基板の厚さ方向に移動させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
- 前記第2処理では、前記研磨ブラシの位置を、前記第1処理における前記研磨ブラシの位置に比べて、前記側壁面から遠ざけた位置に移動して研磨を行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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