JP2006263879A - 磁気ディスク用基板の製造方法、磁気ディスク用基板の製造装置及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ディスク基板を小径化しても、このディスク基板の外周端面を簡易かつ良好に研磨できる方法を提供し、安定した品質のディスク基板を廉価に大量に提供できるようにするとともに、磁気ディスクにおけるサーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュを防止し、磁気ディスクにおける情報記録面密度の高密度化に資する。
【解決手段】 ディスク基板2の外周端面を研磨する工程において、複数枚のディスク基板2を同芯状に積層させこれらディスク基板2の円孔にシャフトを挿通させこのシャフトの両端側において全てのディスク基板2を挟持して保持し、これらディスク基板2をブレード6上に載置し、これらディスク基板2を調整ロール7により回転操作し、研磨ロール8を回転操作して各ディスク基板2の外周側端面を研磨する。
【選択図】 図4
【解決手段】 ディスク基板2の外周端面を研磨する工程において、複数枚のディスク基板2を同芯状に積層させこれらディスク基板2の円孔にシャフトを挿通させこのシャフトの両端側において全てのディスク基板2を挟持して保持し、これらディスク基板2をブレード6上に載置し、これらディスク基板2を調整ロール7により回転操作し、研磨ロール8を回転操作して各ディスク基板2の外周側端面を研磨する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、ハードディスクドライブ(HDD)などの情報記録装置における記録媒体となる磁気ディスクに使用される磁気ディスク用基板の製造方法及び製造装置に関し、特に磁気ディスク用基板等の内周端面及び外周端面を好適に研磨できる磁気ディスク用基板の製造方法及び装置に関する。
また、本発明は、このような磁気ディスク用基板を用いて磁気ディスクを製造するための磁気ディスクの製造方法に関する。
近年、情報化社会の高度化に伴って種々の情報処理装置が提案されており、また、これら情報処理装置において使用されるハードディスクドライブ(HDD)などの情報記録装置が提案されている。そして、このような情報記録装置においては、情報処理装置の小型化、高性能化のために、情報記録容量の大量化、記録密度の高密度化が求められている。
ハードディスクドライブ(HDD)において、情報記録密度を高密度化するためには、いわゆるスペーシングロスを低減させる必要があり、記録媒体となる磁気ディスクに対して記録再生を行なう磁気ヘッドの浮上量(グライド・ハイト)を少なくする必要がある。
そして、記録再生時には、磁気ディスクが高速回転するため、磁気ヘッドの浮上量を少なくすると、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面に接触し、破壊(クラッシュ)されてしまう虞れが大きくなる。このような磁気ヘッドの破壊を防止するためには、磁気ディスク表面を、極めて平滑な面として仕上げておく必要がある。
このような磁気ディスク表面の平滑性を実現するため、ディスク基板としては、従来広く用いられていたアルミニウム基板に代えて、ガラス基板が用いられるようになっている。ガラス基板は、アルミニウム基板に比較して、表面の平坦性及び基板強度において優れているからである。なお、このようなガラス基板としては、基板強度を上げるために、化学強化されたガラス基板や、結晶化によって基板強度を上げた結晶化ガラス基板が用いられている。
しかしながら、ディスク基板の表面の平滑性が確保されても、さらに、ディスク基板の表面を異物の無い高清浄化された面としておく必要がある。ディスク基板の表面に異物が付着していると、ガラス基板表面上に形成される磁性薄膜の膜欠陥の原因となったり、磁性薄膜表面に凸部が生ずる原因となって、磁気ヘッドの適正な浮上量が得られなくなるという問題が招来されるからである。
ところで、磁気ヘッドとしては、記録再生時の信号強度を向上させるために、従来広く用いられていた薄膜ヘッドに代わって、磁気抵抗効果型素子(MR素子)を用いた磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)や大型磁気抵抗型ヘッド(GMRヘッド)が広く用いられるようになってきている。
このような磁気抵抗効果型素子を用いた磁気抵抗型ヘッドにおいては、磁気ディスクの表面に微小な凹凸があると、サーマルアスペリティ(Thermal Asperity)障害を生じ、再生に誤動作を生じたり、再生が不可能になる虞れがある。このサーマルアスペリティ障害の原因は、ガラス基板上の異物によって磁気ディスクの表面に形成された凸部が磁気ディスクの高速回転により磁気抵抗型ヘッドの近傍の空気の断熱圧縮及び断熱膨張を発生させ、磁気抵抗型ヘッドが発熱して磁気抵抗効果型素子の抵抗値が変動し、電磁変換が悪影響を受けることである。すなわち、このようなサーマルアスペリティ障害は、磁気ヘッドが磁気ディスクに接触しない場合においても発生し得る。
したがって、このサーマルアスペリティ障害を防止するためにも、磁気ディスクの表面は、極めて平滑で、かつ、異物の無い高清浄化された面に仕上げておく必要がある。
ガラス基板表面に異物が付着する原因としては、磁気ディスクの表面形状のみならず、ディスク基板の端面の表面形状が考えられている。すなわち、ディスク基板の端面の表面形状が平滑でないと、この端面が樹脂製ケースの壁面などを擦過し、この擦過によって樹脂やガラスの塵挨(パーティクル)が発生する。そして、このような塵挨や雰囲気中の塵挨は、ディスク基板の端面に捕捉され蓄積されてしまう。ディスク基板の端面に蓄積された塵挨は、後工程において、あるいは、ハードディスクドライブに搭載した後において、発塵源となり、ディスク基板の表面に異物が付着する原因となっているものと推定されている。特に、ガラス基板の内周側の端面は、外周側の端面に比較して表面形状が粗いので、塵挨を補足しやすく、ガラス基板の表面の高清浄化の障害になっているものと考えられる。
従来、このようなディスク基板の端面の表面形状に起因する障害を抑制する目的を以て、ディスク基板の端面を研磨する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、図7に示すように、ディスク基板の外周面を研磨する研磨装置が記載されている。この研磨装置は、ディスク基板101を縦に積層させて軸回りに回転可能に保持し、この積層されたディスク基板を回転させるとともに、この積層されたディスク基板の外周面を回転させた研磨ブラシ102で研磨するように構成したものである。
ところで、近年において、ハードディスクドライブ(HDD)の磁気ディスクにおいては、1平方インチ当たり40ギガビット(40Gbit/inch2)以上の情報記録面密度が実現できるようになってきている。
このような高い情報記録面密度が実現可能となったことにより、ハードディスクドライブ(HDD)は、情報記録容量あたりの小型化が可能となった。したがって、ハードディスクドライブ(HDD)の用途は、従来のコンピュータ装置(パーソナルコンピュータやサーバ)への搭載という用途のみならず、カーナビゲーションシステム(Car Navigation System)、PDA(Personal Digital Assistance:携帯情報端末)、携帯電話など、車載用器機や携帯用器機への搭載という用途に拡大しようとしている。
これら車載用器機や携帯用器機への搭載という用途においては、従来の用途と異なり、携帯(持運び)され、あるいは、車載環境で用いられるので、ハードディスクドライブ(HDD)の筐体が小型化、軽量化され、磁気ディスクのサイズ(外径)も小径化されることとなる。
磁気ディスクのサイズの小径化を図った場合、ディスク基板の中心部の円孔の内径も縮径する必要がある。また、磁気ディスクの外径については、ハードディスクドライブ(HDD)の筐体の縮小率に応じて設定されるのに対し、中心部の円孔の内径の縮径率については、外径の縮径率よりもさらに縮径させる必要がある場合もある。これは、可能な限り中心部の円孔の内径を縮径することにより、磁気ディスクの小径化に伴って減少してしまう記録再生用領域の面積の減少を幾分かでも緩和して記録再生用領域の面積を確保し、磁気ディスクの小径化による情報記録容量の減少を少なくするためである。
このようにして中心部の円孔の内径が縮径されたディスク基板について、前述した従来の研磨装置により、複数枚を縦に積層させて保持して回転させ、外周面を研磨ブラシにより研磨しようとする場合には、これらディスク基板の同芯度や真円度を十分に確保することができない。
すなわち、従来の研磨装置においては、積層された各ディスク基板は、中心部の円孔内に支持シャフトを挿通されて保持されており、そのため、この支持シャフトの外周と円孔の内周との間のクリアランスや、この支持シャフトの直線性に依存して、各ディスク基板間の相互の同芯度や、支持シャフトに対する同芯度が規定される。そして、ディスク基板の中心部の円孔を縮径した場合には、支持シャフトを細くしなければならないので、支持シャフトの剛性が不足し、各ディスク基板間の相互の同芯度を維持することが困難となるのである。
また、この研磨装置において、研磨ブラシは、縦に積層されたディスク基板の側方から、これらディスク基板を所定の研摩応力(押付け圧力)により押圧しながら研磨するので、支持シャフトの反りや撓みが生じやすくなり、積層されたディスク基板の同芯度や真円度を十分に確保することができなくなるのである。このとき、研磨ブラシの軸と支持シャフトとの相対位置は、研磨加工の間において互いの応力に応じて位置ずれを起こし、その位置ずれに伴う研磨作用がディスク基板に転写されることになり、ディスク基板の真円度や同芯度が悪化してしまう。そのため、このような研磨装置によっては、ディスク基板の端面の研磨を良好に行うことが困難となり、ひいては磁気ディスクの製造コストを上昇させてまう虞れがある。
なお、細くなった支持シャフトの反りや撓みを生じさせないためには、支持シャフトを短くすることが考えられるが、支持シャフトを短くすると、一度に研磨できるディスク基板の枚数が少なくなり、ディスク基板の製造コストが上昇してしまい、ひいては磁気ディスクの製造コストを上昇させてまうこととなる。
特に、小型化されたハードディスクドライブ(HDD)の用途については、コストダウン及び大量生産の要望が強く、ディスク基板及び磁気ディスクを廉価に大量に供給する必要がある。しかし、ディスク基板の端面の研磨が困難となると、大量のディスク基板について端面の品質を保証することが困難となり、大量の磁気ディスクを安定して供給することが困難となる。
そこで、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであって、その第1の目的は、ディスク基板の中心部の円孔が小径化されても、このディスク基板の同芯度及び真円度を良好に維持しつつ、外周側の端面を簡易に鏡面状に研磨できる磁気ディスク用基板の製造方法を提供することによって、安定した品質のディスク基板及び磁気ディスクを廉価に大量に提供することを可能とすることにある。
また、本発明の第2の目的は、ディスク基板の中心部の円孔が小径化されても、外周側の端面を良好に鏡面状に研磨できる磁気ディスク用基板の製造方法を提供することによって、この磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクにおけるサーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュが防止されるようにして、磁気ディスクにおける情報記録面密度の高密度化に資することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、磁気ディスク用基板の製造工程において、ディスク基板の外周側端面を研磨する工程について、センタレス(心無し)研磨法を導入することにより、前記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法は、以下の構成を備えるものである。
〔構成1〕
中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する工程を有する磁気ディスク用基板の製造方法であって、複数枚のディスク基板を略々同芯状に積層させこれらディスク基板の円孔にシャフトを挿通させ、このシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板を挟持して全てのディスク基板を保持させ、積層されて保持された複数のディスク基板を中心軸を略々水平としてブレード上に載置するとともにこれら複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に調整ロールを設置してこの調整ロールによって複数のディスク基板を支持させ、これら複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に研磨ロールを設置し、調整ロールを中心軸回りに回転操作することによって積層されて保持された複数のディスク基板をブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、研磨ロールを中心軸回りに回転操作することによって、各ディスク基板の外周側端面を研磨することを特徴とするものである。
中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する工程を有する磁気ディスク用基板の製造方法であって、複数枚のディスク基板を略々同芯状に積層させこれらディスク基板の円孔にシャフトを挿通させ、このシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板を挟持して全てのディスク基板を保持させ、積層されて保持された複数のディスク基板を中心軸を略々水平としてブレード上に載置するとともにこれら複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に調整ロールを設置してこの調整ロールによって複数のディスク基板を支持させ、これら複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に研磨ロールを設置し、調整ロールを中心軸回りに回転操作することによって積層されて保持された複数のディスク基板をブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、研磨ロールを中心軸回りに回転操作することによって、各ディスク基板の外周側端面を研磨することを特徴とするものである。
〔構成2〕
構成1を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであることを特徴とするものである。
構成1を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであることを特徴とするものである。
〔構成3〕
構成1、または、構成2を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールの外周面の周速は、積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速いことを特徴とするものである。
構成1、または、構成2を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールの外周面の周速は、積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速いことを特徴とするものである。
〔構成4〕
構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールと積層されて保持された複数のディスク基板との間に研磨剤を供給することを特徴とするものである。
構成1乃至構成3のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨ロールと積層されて保持された複数のディスク基板との間に研磨剤を供給することを特徴とするものである。
〔構成5〕
構成4を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨剤に含まれる研磨砥粒は、酸化セリウム砥粒、コロイダルシリカ砥粒、アルミナ砥粒、または、ダイヤモンド砥粒であることを特徴とするものである。
構成4を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨剤に含まれる研磨砥粒は、酸化セリウム砥粒、コロイダルシリカ砥粒、アルミナ砥粒、または、ダイヤモンド砥粒であることを特徴とするものである。
〔構成6〕
構成4、または、構成5を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨剤は、液体を加えてスラリーとし、研磨砥粒を遊離砥粒として用いることを特徴とするものである。
構成4、または、構成5を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、研磨剤は、液体を加えてスラリーとし、研磨砥粒を遊離砥粒として用いることを特徴とするものである。
〔構成7〕
構成1乃至構成6のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、ディスク基板は、ガラスディスク基板であることを特徴とするものである。
構成1乃至構成6のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法において、ディスク基板は、ガラスディスク基板であることを特徴とするものである。
また、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置は、以下の構成を備えるものである。
〔構成8〕
中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する磁気ディスク用基板の製造装置であって、回転操作が可能な調整ロールと、この調整ロールに平行に設置されたブレードと、調整ロールに平行に設置され回転操作が可能な研磨ロールとを備え、複数枚のディスク基板が略々同芯状に積層されてこれらディスク基板の円孔にシャフトが挿通されこのシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板が挟持されて全てのディスク基板が保持されたものをこれら複数のディスク基板の中心軸を略々水平としてブレード上に載置させ、調整ロールを複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、この調整ロールによって複数のディスク基板を支持し、研磨ロールを複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、調整ロールが中心軸回りに回転操作されることによって積層されて保持された複数のディスク基板をブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、研磨ロールが中心軸回りに回転操作されることによって、各ディスク基板の外周側端面を研磨することを特徴とするものである。
中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する磁気ディスク用基板の製造装置であって、回転操作が可能な調整ロールと、この調整ロールに平行に設置されたブレードと、調整ロールに平行に設置され回転操作が可能な研磨ロールとを備え、複数枚のディスク基板が略々同芯状に積層されてこれらディスク基板の円孔にシャフトが挿通されこのシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板が挟持されて全てのディスク基板が保持されたものをこれら複数のディスク基板の中心軸を略々水平としてブレード上に載置させ、調整ロールを複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、この調整ロールによって複数のディスク基板を支持し、研磨ロールを複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、調整ロールが中心軸回りに回転操作されることによって積層されて保持された複数のディスク基板をブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、研磨ロールが中心軸回りに回転操作されることによって、各ディスク基板の外周側端面を研磨することを特徴とするものである。
〔構成9〕
構成8を有する磁気ディスク用基板の製造装置において、研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであることを特徴とするものである。
構成8を有する磁気ディスク用基板の製造装置において、研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであることを特徴とするものである。
〔構成10〕
構成8、または、構成9を有する磁気ディスク用基板の製造装置において、研磨ロールの外周面の周速は、積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速くなされることを特徴とするものである。
構成8、または、構成9を有する磁気ディスク用基板の製造装置において、研磨ロールの外周面の周速は、積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速くなされることを特徴とするものである。
そして、本発明に係る磁気ディスクの製造方法は、以下の構成を有するものである。
〔構成11〕
構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用基板の主面部上に対し、少なくとも磁性層を形成することを特徴とするものである。
構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用基板の主面部上に対し、少なくとも磁性層を形成することを特徴とするものである。
構成1を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、センタレス(心無し)研磨法を用いていることにより、大量のディスク基板の外周側端面を、簡易に、かつ、同芯度や真円度を十分に確保して良好に研磨することができる。
構成2を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、研磨ロールが中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであることにより、大量のディスク基板の外周側端面を、迅速に、かつ、良好に研磨することができる。
構成3を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、研磨ロールの外周面の周速が積層された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速いので、これらディスク基板の外周側端面を、迅速に研磨することができる。
構成4を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、研磨ロールと積層された複数のディスク基板との間に研磨剤を供給することにより、ディスク基板の外周側端面を、迅速に、かつ、良好に研磨することができる。
構成5を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、研磨剤に含まれる研磨砥粒は、酸化セリウム砥粒、コロイダルシリカ砥粒、アルミナ砥粒、または、ダイヤモンド砥粒であるので、ディスク基板の中心部の円孔の内周側端面を良好に研磨することができる。
構成6を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、研磨剤は、液体を加えてスラリーとし、研磨砥粒を遊離砥粒として用いるので、ディスク基板の外周側端面を良好に研磨することができる。
構成7を有する本発明係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、ディスク基板としてガラスディスク基板を用いるので、優れた平滑性を有し、硬度が高く、剛性が高い磁気ディスク用基板を製造することができる。
構成8を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置においては、センタレス(心無し)研磨法を用いることにより、大量のディスク基板の外周側端面を、簡易に、かつ、同芯度や真円度を十分に確保して良好に研磨することができる。
構成9を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置においては、研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシであるので、大量のディスク基板の外周側端面を、迅速に、かつ、良好に研磨することができる。
構成10を有する本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置においては、研磨ロールの外周面の周速が積層された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速いので、これらディスク基板の外周側端面を、迅速に研磨することができる。
構成11を有する本発明に係る磁気ディスクの製造方法においては、構成1乃至構成7のいずれか一を有する磁気ディスク用基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用基板の主面部上に対して少なくとも磁性層を形成するので、ディスク基板の外周側端面部分の高清浄度化が実現され、ディスク基板の表面の異物による問題、すなわち、ヘッドクラッシュやサーマルアスペリテイ障害が防止された磁気ディスクを製造することができる。
すなわち、本発明は、ディスク基板の中心部の円孔が小径化されても、このディスク基板の同芯度及び真円度を良好に維持しつつ、外周側の端面を簡易に鏡面状に研磨できる磁気ディスク用基板の製造方法を提供することによって、安定した品質のディスク基板及び磁気ディスクを廉価に大量に提供することを可能とするものである。
また、本発明は、ディスク基板の中心部の円孔が小径化されても、外周側の端面を良好に鏡面状に研磨できる磁気ディスク用基板の製造方法を提供することによって、この磁気ディスク用基板を用いた磁気ディスクにおけるサーマルアスペリティ障害やヘッドクラッシュが防止されるようにして、磁気ディスクにおける情報記録面密度の高密度化に資することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法により製造される磁気ディスク用基板は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される磁気ディスクのディスク基板として使用される。この磁気ディスクは、例えば、垂直磁気記録方式によって高密度の情報信号記録及び再生を行うことができる記録媒体である。
この磁気ディスクは、例えば、内径12mm以下、外径48mm以下、板厚0.501mm以下の1.8インチ(inch)型磁気ディスクを始めとして、内径7mm以下、外径27.4mm以下、板厚0.381mm以下の1.0インチ型磁気ディスク、もしくは、内径6mm以下、外径22mm以下、板厚0.381mm以下の0.8インチ型磁気ディスク、2.5インチ型磁気ディスク、3.5インチ型磁気ディスクなどの所定の直径を有する磁気ディスクとして作製される。なお、ここで、「内径」とは、ディスク基板の中心部の円孔の内径である。
図1は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法により製造される磁気ディスク用基板の構成を示す斜視図である。
本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法は、図1に示すように、中心部に円孔1を有するディスク基板2の少なくとも外周側端面を研磨する工程を有する磁気ディスク用基板の製造方法である。
図2は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法によって製造される磁気ディスク用基板における両側の稜部が面取りされた外周側の端面近傍の断面図である。
端面の稜部が面取りされたディスク基板2においては、図2に示すように、主表面部2aと側面部1aとの間に、これら主表面部2aと側面部1aとに接して、面取り面1bが形成されている。本発明についての以下の説明においては、側面部1aと面取り面1bとを合わせて、端面と言うこととする。
そして、この磁気ディスク用基板の製造方法においては、外周側端面の研磨を、センタレス(心無し)研磨法(Center-less Finishing)によって行う。ここで、センタレス研磨法とは、円柱状の被研磨物をセンタ穴で支持することなく、この被研磨物をその外周を基準としてブレード(支持刃)及び調整ロール(調整車)によって支持して、この被研磨物の外周面を研磨する方法である。
図3は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法において、積層されて保持された複数のディスク基板を示す断面図である。
この磁気ディスク用基板の製造方法における外周側端面を研磨する工程では、まず、図3に示すように、複数枚のディスク基板2を略々同芯状として積層させ、これらディスク基板2の中心部の円孔1にシャフト3を挿通させ、このシャフト3の両端側において、ナット4,5により、一端側のディスク基板2及び他端側のディスク基板2を挟持して、全てのディスク基板2を保持する。シャフト3の両端側には、ナット4,5が螺入されるためのネジ部が設けられている。
なお、このとき、各ディスク基板2は、前工程において、内外周の端面の両側の稜部が面取り加工されていることが好ましい。ディスク基板2は、端面の稜部が面取りされていることにより、破壊強度が高まるとともに、センタレス研磨法により良好に研磨されることができるからである。また、本発明においては、ディスク基板2の端面である側面部1a及び面取り面1bは、端面の研磨工程前に、表面粗さが、Raで0.5μm以下となっていることが好ましい。このような表面をセンタレス研磨法により研磨することにより、端面を平滑性の優れた鏡面に研磨することができる。なお、Raの表記は、日本工業規格(JISB0601)にしたがっている。
図4は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法において複数のディスク基板について外周側端面を研磨している状態を示す斜視図である。
次に、この研磨工程においては、図4に示すように、積層されて保持された複数のディスク基板2を、中心軸を略々水平としてブレード6上に載置するとともに、これら複数のディスク基板2の一側側に、これら複数のディスク基板2の中心軸に平行に調整ロール7を設置し、この調整ロール7によって複数のディスク基板2を支持させる。また、複数のディスク基板2の他側側には、これら複数のディスク基板2の中心軸に平行に研磨ロール8を設置する。
図5は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法において複数のディスク基板について外周側端面を研磨している状態を示す側面図である。
このとき、被研磨物である積層された複数のディスク基板2の中心軸は、図5に示すように、ブレード6の高さを調整することによって、研磨ロール8の中心軸及び調整ロール7の中心軸を含む平面よりも低い位置となされる。研磨ロール8の中心軸及び調整ロール7の中心軸を含む平面と、複数のディスク基板2の中心軸との間の距離は、例えば、3mm乃至5mm程度である。研磨ロール8、調整ロール7及びディスク基板2をこのような位置関係とすることにより、研磨加工中において、ディスク基板2が安定な状態で支持される。
そして、この研磨工程においては、図5中矢印Aで示すように、調整ロール7を中心軸回りに回転操作し、図5中矢印Bで示すように、積層されて保持された複数のディスク基板2をブレード6上において中心軸回りに回転させる。そして、研磨ロール8を、図5中矢印Cで示すように、中心軸回りに回転操作することによって、各ディスク基板2の外周側端面が研磨される。この研磨工程においては、研磨ロール8の外周面の周速は、積層されて保持された複数のディスク基板2の外周面の周速よりも速くすることが好ましい。
この研磨工程においては、積層されたディスク基板2を調整ロール7によって支持していることにより、各ディスク基板2を研磨ロール8の研摩応力に対して安定させることができる。また、研磨取り代に伴う外径変化があっても、センタレス研磨法の特長である成円作用により、良好な真円度が得られる。さらに、この研磨工程においては、各ディスク基板2間をナット4,5により所定のトルクで締結させることにより、調芯作用が働き、良好な同芯度を得ることができる。
図6は、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法において使用される研磨ロールとなる植毛ブラシの構成を示す側面図である。
ここで、研磨ロール8としては、図6に示すように、中心軸となるホイールボディ8aより放射状に毛材8bが植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシからなるブラシホイールを用いることが好ましい。ブラシホイールとして植毛ブラシを用いることにより、従来の螺旋チャンネルブラシに比較して、ディスク基板2の外周端面の鏡面化及び研磨速度について、大幅な向上を得ることができる。また、植毛ブラシを用いることにより、前工程である形状加工工程における外周端部の取り代の違いに伴う形状崩れを防止することができる。すなわち、センタレス研磨法においては、螺旋チャンネルブラシよりも、植毛ブラシが適しているといえる。
なお、従来の螺旋チャンネルブラシとは、複数の毛材を並列させた状態で各毛材の中央部分を折り畳んでこの折り畳み部分を長尺状の金属部材によって挟持したチャンネルブラシを、丸棒状(円柱状)の軸心に巻付けて溶接した構造のものである。チャンネルブラシを軸心に巻付けるときには、毛材を挟持している金属部材を軸心の表面部に倣わせて屈曲させている。
そして、この研磨工程においては、研磨ロール8と積層されて保持された複数のディスク基板との間に、研磨剤を供給することが好ましい。研磨剤に含まれる研磨砥粒としては、ディスク基板に対して研磨能力を奏する研磨砥粒であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、酸化セリウム(CeO2)砥粒、コロイダルシリカ砥粒、アルミナ砥粒、ダイヤモンド砥粒などを挙げることができる。なお、ディスク基板としてガラス基板を使用する場合においては、研磨剤に含まれる研磨砥粒としては、酸化セリウム研磨砥粒が好ましい。
研磨砥粒の粒径については、適宜選択することができるが、例えば、0.5μm乃至3μm程度とすることが好ましい。
また、研磨剤は、乾式(粉体砥粒)であっても、湿式(遊離砥粒)であってもよい。研磨作用を好ましく実現する観点からは、湿式(遊離砥粒)とすることが好ましい。研磨剤を湿式(遊離砥粒)として用いるには、磁性粒子と研磨砥粒とを含む研磨剤に、水(純水)などの液体を加え、この研磨剤をスラリーとすることが好ましい。
この研磨工程においては、各ディスク基板2が横方向に積層されていることにより、従来の縦型の研磨方法に比べて、研磨剤を研磨ロール8の作用点に均等に供給でき、また、調整ロール7によりディスク基板2の撓み防止効果が得られるので、各ディスク基板2の外周端面の研磨を精度よく行うことができる。そのため、取り代のバラツキの少ない、外径寸法精度の高い研磨加工が可能である。
そして、本発明において、ディスク基板2としては、ガラス基板を選択することが好ましい。ガラス基板は、鏡面研磨によって優れた平滑性を実現することができ、硬度が高く、また、剛性が高いので、対衝撃性に優れているからである。特に、携帯(持運び)用、あるいは、車載用の情報器機に搭載されるハードディスクドライブ(HDD)に使用される磁気ディスクには、高い対衝撃性が要求されるので、このような磁気ディスクにおいてガラス基板を用いることには有用性が高い。
ガラスは脆性材料であるが、化学強化や風冷強化などの強化処理、あるいは、結晶化の手段により、破壊強度を向上させることができる。このようなガラス基板の材料として好ましいガラスとしては、アルミノシリケートガラスを挙げることができる。アルミノシリケートガラスは、優れた平滑鏡面を実現することができるとともに、例えば、化学強化を行なうことによって、破壊強度を高めることができるからである。
アルミノシリケートガラスとしては、SiO2:62乃至75重量%、Al2O3:5乃至15重量%、Li2O:4乃至10重量%、Na2O:4乃至12重量%、ZrO2:5.5乃至15重量%を主成分として含有するとともに、Na2OとZrO2との重量比が0.5乃至2.0、Al2O3とZrO2との重量比が0.4乃至2.5である化学強化用ガラスが好ましい。
また、このようなガラス基板において、ZrO2の未溶解物が原因で生じるガラス基板表面の突起をなくすためには、SiO2を57乃至74mol%、ZrO2を0乃至2.8mol%、Al2O3を3乃至15mol%、LiO2を7乃至16mol%、Na2Oを4乃至14mol%含有する化学強化用ガラスを使用することが好ましい。このような組成のアルミノシリケートガラスは、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深く、ヌープ硬度にも優れている。
なお、本発明において使用するガラス基板をなす材料は、前述したものに限定されるわけではない。すなわち、ガラス基板の材質としては、前述したアルミノシリケートガラスの他に、例えば、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、または、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどを挙げることができる。
このような本発明におけるセンタレス研磨法による端面の研磨は、端面である側面部1a及び面取り面1bの表面粗さを、Raで0.1μm以下、Rmaxで1μm以下の鏡面とするものであることが好ましい。なお、Rmax及びRaの表記は、日本工業規格(JISB0601)にしたがっている。このような鏡面が得られるように研磨することにより、外周側端面部分の高清浄度化が実現され、このディスク基板を用いて構成された磁気ディスクにおいて、ディスク基板の表面の異物による問題、すなわち、ヘッドクラッシュやサーマルアスペリテイ障害の確実な防止を図ることができる。
ところで、本発明は、中心部の円孔の内径が12mm以下である磁気ディスク用基板の製造において、特に優れた有用性を発揮する。すなわち、中心部の円孔の内径が12mm以下である場合においては、支持シャフトによってディスク基板を保持して研磨ブラシを用いて研磨を行う従来の研磨方法によっては、ディスク基板の外周側端面を研磨することが困難となるからである。この観点から、本発明は、1.8インチ型磁気ディスクを含みこれより小径の磁気ディスク用基板の端面研磨として特に好ましい。このような小径の磁気ディスク用基板としては、例えば、0.8インチ型乃至1.8インチ型磁気ディスク用基板を挙げることができる。
このようにして外周側端面を研磨された磁気ディスク用基板を用いて、この磁気ディスク用基板の主面部上に少なくとも磁性層を形成することにより、ヘッドクラッシュやサーマルアスペリティー障害の防止が図られた磁気ディスクを構成することができる。
磁性層としては、高い異方性磁場(Hk)を備えるCo−Pt系合金磁性層が好ましい。また、磁気ディスク用基板と磁性層との間には、磁性層の結晶配向性やグレインの均一化、微細化を図る観点から、適宜下地層を形成するようにしてもよい。これら下地層及び磁性層の成膜方法としては、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
また、磁性層上には、磁性層を保護するための保護層を設けることが好ましい。保護層の材料としては、炭素系保護層を挙げることができる。炭素系保護層としては水素化炭素、窒素化炭素を用いることができる。この保護層の形成には、プラズマCVD法、または、DCマグネトロンスパッタリング法を用いることができる。
さらに、保護層上には、磁気ヘッドからの衝撃を緩和するための潤滑層を形成することが好ましい。潤滑層としては、パーフルオロポリエーテル系潤滑層を挙げることができる。特に、保護層との親和性に優れる水酸基を具備するアルコール変性パーフルオロポリエーテル潤滑層が好ましい。この潤滑層は、ディップ法を用いて形成することができる。
次に、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置である研磨装置について説明する。
この研磨装置は、中心部に円孔を有するディスク基板2の外周側端面を研磨する磁気ディスク用基板の製造装置である。この装置は、図4に示すように、ブレード6と、このブレード6の上端縁部に中心軸を平行にして設置され回転操作が可能な調整ロール7とを備えている。
ブレード6は、このブレード6に接触するガラスディスク基板2に傷損を与えないように、耐摩耗性に優れた合成樹脂材料(エンジニアリングプラスチック)、例えば、「デルリン」(商品名)や「PEEK」(商品名)の如き材料により、略々直立した板状に形成されている。また、このブレート6は、後述する研磨ロールに接触しないように、例えば、5mm程度の所定の厚さに形成され、上端縁部が、調整ロール7側に、10°乃至30°程度傾斜した面として形成されている。
調整ロール7は、この調整ロール7に接触するガラスディスク基板2に傷損を与えないように、ゴムなどの弾性を有する材質により、円筒状に形成されている。また、この調整ロール7は、ディスク基板2を精度の高い真円に仕上げるために、ディスク基板2を安定した回転速度で回転させる必要があるので、耐水性、耐熱性、耐磨耗性及び高い摩擦係数を有する材料により形成されていることが好ましい。このような材料としては、ゴム硬度40°乃至90°の硬さに調整したウレタンゴムや、「EPDM」、「NBR」などが望ましい。特に、小径のディスク基板2は、安定した回転の原動力となる「摩擦力」を得るための調整ロール7との接触面積が少なく、かつ、研磨面積に対する研磨応力が大きく働く。そのため、調整ロール7をなす材料としては、50°前後の低いゴム硬度の材料が望ましい。そして、この調整ロール7は、図示しないモータ等の駆動手段により、例えば、周速8m/min(分速8m)程度の所定の速度で回転操作される。
そして、この研磨装置は、調整ロール7に中心軸を平行にして設置され回転操作が可能な研磨ロール8を備えている。この研磨ロール8は、前述したように、図6に示すように、中心軸をなすホイールボディ8aより放射状に毛材8bが植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシからなるブラシホイールであることが好ましい。
このブラシホイールのホイールボディ8aは、高速回転による遠心力と研磨負荷に耐えられるように、高強度ナイロン樹脂等のエンジニアリングプラスティックにより形成されている。このホイールボディ8aは、例えば、外径305mm、長さ150mm、内径31.8mmとなされて形成されている。そして、このホイールボディ8aの外周面に、毛材(ブラシフィラメント)8bが、300本乃至400本程度ずつ、例えば5.5mm径の束となされて植え込まれることにより、植毛ブラシが構成されている。このブラシホイールの毛材8bは、例えば、ナイロン繊維に代表されるポリアミド系繊維からなり、線径0.2mm、長さ20mm程度のものである。
このブラシホイールにおいて、毛材8bの植え込みパターンは、任意に選択できる。しかし、停止研磨加工で行う場合には、毛材8bの束同士の間隔が広いと、全くディスク基板2に対して作用しない死角の部分が生じ得る。そのため、毛材8bの植え込みパターンは、毛材8bの束同士の間隔をできるだけ狭く配置したパターンがよい。目安として、毛材8bの束同士の間隔は、毛材8bの束の直径以下とすることが望ましい。
また、このブラシホイールは、研磨工程中において、軸方向について固定されていてもよいが、ディスク基板2の外周端面の形状崩れを防ぎ、研磨作用を均等化して、より平坦な面に仕上げるためには、軸方向、すなわち、ディスク基板2の積層方向に、数mmのレンジでオシレーション(往復)運動させることが望ましい。例えば、ブラシホイールは、10mmのレンジで、2c.p.mの周波数でオシレーション運動させることが望ましい。
このブラシホイールにおいては、毛材の束を単位として、これら毛材の束同士の間隔を狭く、かつ、均等とすることにより、各毛材に効率よく研磨剤を回り込ませることができ、研磨効率(研磨速度)を大きくすることができる。
この研磨装置においては、まず、図4に示すように、複数枚のディスク基板2が略々同芯状に積層されてこれらディスク基板2の円孔1にシャフト3が挿通されこのシャフト3の両端側においてナット4,5により各ディスク基板2が挟持され全てのディスク基板2が保持されたものを、これら複数のディスク基板2の中心軸を略々水平としてブレード6上に載置させる。
そして、調整ロール7を、複数のディスク基板2の一側側にこれら複数のディスク基板2の中心軸に平行として位置させ、この調整ロール7によって複数のディスク基板2を支持する。また、研磨ロール8を、複数のディスク基板2の他側側に、これら複数のディスク基板2の中心軸に平行として位置させる。
このとき、積層された複数のディスク基板2の中心軸の位置を、図5に示すように、ブレード6の高さを調整することによって、研磨ロール8の中心軸及び調整ロール7の中心軸を含む平面よりも、例えば、3mm乃至5mm程度低い位置とする。研磨ロール8、調整ロール7及びディスク基板2をこのような位置関係とすることにより、研磨加工中において、ディスク基板2を安定な状態で支持することができる。
次に、調整ロール7を、図5中矢印Aで示すように、中心軸回りに回転操作することにより、積層されて保持された複数のディスク基板2を、図5中矢印Bで示すように、ブレード6上において中心軸回りに回転させる。そして、研磨ロール8を、図5中矢印Cで示すように、中心軸回りに回転操作することによって、各ディスク基板2の外周側端面を研磨することができる。
このとき、研磨ロール8の外周面の周速は、この研磨ロール8を、例えば、周速2500m/min程度の所定の回転速度で回転操作することにより、積層されて保持された複数のディスク基板2の外周面の周速よりも速くすることが好ましい。
なお、調整ロール7を、ディスク基板2の積載方向(中心軸方向)に対して10度以下の微小角度の範囲で水平面内で傾斜させることにより、ディスク基板2を中心軸方向に送るための推進力を得るようにすることもできる。また、研磨ロール8の長さを積層されたディスク基板2の中心軸方向の長さよりも十分に長くすることにより、連続的に、積層されたディスク基板2を供給しながら送り操作しながら研磨加工を行うようにすることもできる(いわゆる「スルフィード研磨加工」)。さらに、このように積層されたディスク基板2を中心軸方向に送り操作しながら研磨加工を行う場合において、所定の研磨代が得られるまで、積層されたディスク基板2を所定の位置において停止させたり、所定の範囲内において送り方向を繰り返し反転させるようにしてもよい。
そして、この製造装置には、研磨剤を供給するための図示しない研磨剤供給部が設けられている。研磨剤は、乾式(粉体砥粒)であっても、湿式(遊離砥粒)であってもよいが、研磨作用を好ましく実現する観点からは、湿式(遊離砥粒)とすることが好ましい。すなわち、磁性粒子と研磨砥粒とを含む研磨剤に、水(純水)などの液体を加えて、スラリーとして用いることが好ましい。研磨剤をスラリーとして用いる場合、研磨剤供給部は、ポンプなどにより得られる圧力によって、ノズルを介して、各ディスク基板2の外周端面に液体状の研磨剤を供給するものとすることができる。
研磨剤に含まれる研磨砥粒としては、酸化セリウムが使用されるが、他にもダイヤモンド、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン等の研磨剤を用いることもできる。好ましくは、被研磨物の材料(ディスク基板)に近い硬さのものが望ましく、ガラス基板の場合、酸化セリウムが望ましい。研磨剤が硬すぎるとガラス基板端面に傷を与えることになってしまい好ましくない。また、研磨剤が軟らかすぎるとガラス基板端面を鏡面にすることができなくなるので好ましくない。
研磨砥粒の平均粒径としては、0.5μm乃至3μmが好ましい。3μmを超える場合、研磨剤の粒径が大きいので研磨後の面の表面粗さが大きくなるので好ましくない。
研磨剤供給部による研磨剤の供給の態様は、特に制限されず、例えば、1本の水流、シャワー、水滴等によって、吹き掛け、吹き付け、放水、塗布する態様などが挙げられる。
また、この研磨装置においては、研磨剤供給部から供給した研磨剤を回収する研磨剤回収部と、回収した研磨剤を清浄にし、再び研磨剤供給部へと循環させる循環機構を装備してもよい。
なお、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法及び装置によって製造された磁気ディスク用基板は、ガラス基板端面から発生する微細なパーティクルを嫌う光磁気ディスク用のガラス基板や、光ディスクなどの電子光学用ディスク基板としても利用することができる。また、本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法及び装置は、ガラス状カーボン、結晶材料(単結晶材料を含む)、セラミック材料などの脆性材料や、金属材料等を研磨する工程においても利用することができる。
以下、本発明の実施例について、詳細に説明する。
この実施例1においては、以下の工程を経て磁気ディスク用基板を製造した。
(1)形状加工工程、ラッピング工程
溶融させたアルミノシリケートガラスをプレス加工によりディスク状に成型し、ガラスディスクを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2を57乃至74mol%、ZrO2を0乃至2.8mol%、Al2O3を3乃至15mol%、LiO2を7乃至16mol%、Na2Oを4乃至14mol%を主成分として含有する化学強化用ガラスを使用した。
溶融させたアルミノシリケートガラスをプレス加工によりディスク状に成型し、ガラスディスクを得た。なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiO2を57乃至74mol%、ZrO2を0乃至2.8mol%、Al2O3を3乃至15mol%、LiO2を7乃至16mol%、Na2Oを4乃至14mol%を主成分として含有する化学強化用ガラスを使用した。
次に、得られたガラスディスク基板の主表面をラッピング加工した。ラッピング加工では両面ラッピング装置とアルミナ砥粒を用いて加工を行い、ガラス基板の寸法精度と形状精度を所定とする。次いで、砥石を用いて研削することによりガラスディスクの中心部に円孔を形成するとともに、外周側端面及ぴ内周側端面にダイヤモンド砥石にて面取り加工を施した。
得られたガラスディスク基板の内径は7mm、外径は27.4mm、板厚は0.6mmであり、1.0インチ型磁気ディスク用基板の素材となるガラスディスク基板の所定寸法であることを確認した。
ガラスディスク基板の表面形状を観察したところ、主表面の表面粗さはRmaxで2μm、Raで0.3μm程度であった。端面の表面粗さを観察したところ、側面部及び面取り面ともにRmaxで7μm、Raで0.4μmであった。
(2)端面鏡面研磨工程
まず、ガラスディスク基板の内周側端面については、従来用いられていたブラシ研磨方法により鏡面研磨を行った。すなわち、ディスク基板を積層させ、ネジリブラシにより内周側端面の研磨を行った。なお、ここで、内周側端面は、いわゆる磁気研磨法によって研磨してもよい。この工程では、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いて鏡面を得た。
まず、ガラスディスク基板の内周側端面については、従来用いられていたブラシ研磨方法により鏡面研磨を行った。すなわち、ディスク基板を積層させ、ネジリブラシにより内周側端面の研磨を行った。なお、ここで、内周側端面は、いわゆる磁気研磨法によって研磨してもよい。この工程では、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いて鏡面を得た。
また、ガラスディスク基板を積層させるときには、各ガラスディスク基板の間にプラスチックフィルムからなるスペ−サを挟んでもよい。このスペ−サは、ガラスディスク基板の内径よりも大きな中心孔を有し、外径がガラスディスク基板2の外径よりも小さいものであることが望ましい。また、このスペーサは、このスペーサの中心孔と後述するシャフトとの間のクリアランスが適度に設定されることにより、ガラスディスク基板2の外周端面の研磨加工を行うときに、このスペーサが位置ずれしても外周周縁部に干渉しないようにすることが望ましい。
次に、ガラスディスク基板2の外周側端面については、前述した本発明に係る磁気ディスク用基板の製造装置を用いて、センタレス研磨法により、鏡面研磨を行った。なお、この端面研磨工程は、ガラス基板を重ね合わせて端面研磨する際にガラス基板の主表面にキズ等が付くことを避けるため、後述する第一研磨工程の前、あるいは、第二研磨工程の前後に行うことが好ましい。
この研磨加工においては、全長150mm、有効積載長さ120mmのシャフトの一端側にガラスディスク基板の外径よりも5mm小径のフランジナットを取付け、このシャフトを積層させた複数のガラスディスク基板の中心孔に挿通させた。ガラスディスク基板は、略々同芯状に200枚を積層させた。シャフトの外周面とガラスディスク基板の中心孔の内周とのクリアランスは、50μm乃至100μmであった。
そして、シャフトの他端側にもフランジナットを取付けることにより、積層されたガラスディスク基板を挟み込み、固定した。このとき、ナットの締め付けトルクを、トルクレンチにより、100g・cm乃至300g・cmの範囲に調整した。このナットの締め付けトルクが小さすぎると、ディスク基板同士の間の摩擦による密着度が悪くなり、ディスク基板の外周端面の形状崩れが生ずる虞れがある。また、逆に、ナットの締め付けトルクが大きすぎると、研磨加工中の調芯作用が得られず、同芯度の改善が得られない状態となる。
このようにして積層されて保持された複数のガラスディスク基板は、あたかも1本の円柱体のように全体が固定されているとともに、かつ、各ガラスディスク基板がシャフトに対して独立的に移動することが可能となっているため、センタレス研磨加工の特徴である成円作用及び調芯作用を同時に得ることができる。
このようにして積層させて保持した複数のガラスディスク基板を、前述したセンタレス研磨装置の加工部に装着した。このセンタレス研磨装置は、研磨ロールとなるブラシホイールと、被研磨物を支持するブレード(支持刃)と、調整ロールとを備えて構成されている。
ブラシホイールは、外径305mm、長さ150mm、内径31.8mmの大きさに形成されたものを用いた。このブラシホイールの中心軸となるホイールボディは、高速回転による遠心力と研磨負荷に耐えられるように、高強度ナイロン樹脂等のエンジニアリングプラスティックで形成されたものを用いた。ブラシホイールとしては、ホイールボディの外周面に、毛材の束(ブラシフィラメント)を植え込んだ植毛式のブラシを用いた。この毛材は、ナイロン繊維に代表されるポリアミド系繊維でできた線径0.2mm、長さ20mmの毛材を用いた。この毛材は、300本乃至400本程度が外径5.5mmの束となされて、ホイールボディに植え込まれることにより、植毛式のブラシを構成している。
ブラシホイールにおける毛材の植込みパターンは、任意に選択できるが、停止研磨加工で行う場合にも毛材の束同士の間に全くディスク基板に対して作用しない死角の部分が生じないように、毛材の束同士の間隔を毛材の束の直径以下の間隔とした。
このブラシホイールは、研磨工程中において、軸方向にオシレーション(往復)運動させた。オシレーション運動は、10mmのレンジで、2c.p.mの周波数で行った。そして、ブラシホイールの回転速度は、周速2500m/minとした。
ブレードは、耐摩耗性に優れたエンジニアリングプラスチックからなるものとし、「デルリン」(商品名)、または、「PEEK」(商品名)からなるものとした。このブレードの形状は、略々直立した厚さ5mmの板状とし、上端縁部が調整ロール側に、10°乃至30°程度傾斜した面として形成されたものとした。
調整ロールは、ゴムなどの弾性を有する材質により、円筒状に形成されたものを用いた。この調整ロールをなす材料としては、ゴム硬度40°乃至90°の硬さに調整したウレタンゴム、または、「EPDM」、「NBR」が好ましいので、ゴム硬度50°の「EPDM」からなるものを使用した。そして、この調整ロール7を、周速8m/minの所定速度で回転操作した。
また、この実施例では、積層されたディスク基板に対して送り操作の推進力を与えるため、調整ロールは、このディスク基板の中心軸に対して水平面内において3度の角度を有するように設定した。そして、積層されたディスク基板は、調整ロールにより送り操作される方向に設けられた位置固定用のストッパにより、所定時間に亘って、一定の位置で研磨加工がなされるようにした。
ブレードの高さは、ディスク基板の中心軸がブラシホイールの中心軸及び調整ロールの中心軸を含む平面から下方に3mm乃至5mm程度の位置となるように調整した。
この研磨工程においては、調整ロールを回転操作しながら、積層されたディスク基板をブレード上に載置すると、このディスク基板2は、調整ロールの回転に倣って回転操作されながら、中心軸方向に送り操作され、ストッパによって中心軸方向の移動を停止させられる。積層されたディスク基板がストッパによって停止させられた後、研磨液を供給した。この実施例では、研磨液として、粒径1.2μmの中心径を持つセリウム研磨剤を15wt%の濃度に調整した研磨剤スラリーを用いた。
なお、この研磨剤は、SiO2、ダイヤモンド、酸化マンガン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、または、弾性粒子を核とした研磨剤、あるいは、これら研磨剤の複合砥粒であってもよい
次に、ブラシホイールを回転操作し、このブラシホイールを中心軸に垂直な方向に移動させ、ディスク基板に対して切り込ませた。ブラシホイールの外周面がディスク基板に接触したところで、ブラシホイールのオシレーション運動を開始した。この実施例では、ブラシホイールのオシレーション運動は、10mmのレンジ(左右に±5mm)で、2c.p.mの周波数とした。
次に、ブラシホイールを回転操作し、このブラシホイールを中心軸に垂直な方向に移動させ、ディスク基板に対して切り込ませた。ブラシホイールの外周面がディスク基板に接触したところで、ブラシホイールのオシレーション運動を開始した。この実施例では、ブラシホイールのオシレーション運動は、10mmのレンジ(左右に±5mm)で、2c.p.mの周波数とした。
そして、ブラシホイールをディスク基板に対して2mm乃至3mm程度まで切り込ませ、断続的に研磨加工を行い、加工開始から15分間で、ブラシホイールをディスク基板から離間させた。その後、研磨液の供給を停止し、調整ロールの回転を停止して、研磨装置からディスク基板を取り出した。そして、このような端面研磨を終えたガラス基板を水洗浄した。
このように研磨加工を施されたディスク基板の外径をマイクロメーターで測定し、外径での研磨加工による取代が33μmであることを確認した。また、外周端面部の粗さがRmax0.3μm、Raで0.01μmの傷の無い鏡面であることを確認した。
(3)第1研磨工程
次に、主表面研磨工程として、第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は前記ラッピング工程で主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。両面研磨装置と硬質樹脂ポリッシャとを用い、遊星歯車機構を用いて主表面研磨を行った。研磨剤としては酸化セリウム砥粒を用いた。
次に、主表面研磨工程として、第1研磨工程を施した。この第1研磨工程は前記ラッピング工程で主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。両面研磨装置と硬質樹脂ポリッシャとを用い、遊星歯車機構を用いて主表面研磨を行った。研磨剤としては酸化セリウム砥粒を用いた。
第一研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。
(4)第2研磨工程
次に、主表面の鏡面研磨工程として第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。両面研磨装置と軟質発泡樹脂ポリッシャを用い、遊星歯車機構を用いて主表面の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒に比ぺて微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
次に、主表面の鏡面研磨工程として第2研磨工程を施した。この第2研磨工程は主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。両面研磨装置と軟質発泡樹脂ポリッシャを用い、遊星歯車機構を用いて主表面の鏡面研磨を行った。研磨剤としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒に比ぺて微細な酸化セリウム砥粒を用いた。
第二研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、中性洗剤、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
(5)化学強化工程
次に、前述の研削及び研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400°Cに加熱し、300°Cに予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
次に、前述の研削及び研磨工程を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化は、硝酸カリウム(60%)と硝酸ナトリウム(40%)を混合した化学強化溶液を用意し、この化学強化溶液を400°Cに加熱し、300°Cに予熱された洗浄済みのガラス基板を約3時間浸漬して行った。この浸漬の際に、ガラス基板の表面全体が化学強化されるようにするため、複数のガラス基板が端面で保持されるようにホルダーに収納した状態で行った。
このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板表層のリチウムイオン、ナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン、カリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。
ガラス基板の表層に形成された圧縮応力層の厚さは、約100乃至200μmであった。
化学強化を終えたガラス基板を、20°Cの水槽に浸漬して急冷し、約10分間維持した。
急冷を終えたガラス基板を、約40°Cに加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行った。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水、純水、IPA(イソプロピルアルコール)、IPA(蒸気乾燥)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄した。なお、各洗浄槽には超音波を印加した。
前述の工程を経て得られた磁気ディスク用基板の円孔の内周側端面の表面粗さは、面取り面でRmaxで0.4μm、Raで0.04μm、側面部でRmaxで0.4μm、Raで0.05μmであった。外周端面における表面粗さRaは、面取り面で0.04μm、側面部で、0.07μmであった。このように、内周側端面は、外周側端面と同様に、鏡面状に仕上がっていることを確認した。
また、ガラス基板の主面部の表面粗さRaは、0.3nm乃至0.7nm(AFMで測定)であった。電子顕微鏡(4000倍)で端面表面を観察したところ、側面部及び面取り面は鏡面状態であった。また、円孔の内周側端面である側面部及び面取り面に異物やクラックは認められず、ガラス基板の表面についても、異物やサーマルアスペリティの原因となるパーティクルは認められなかった。さらに、抗折強度試験機(島津オートグラフDDS−2000)を用いて抗折強度を測定したところ、12乃至20kgであった。なお、化学強化レベルを変化させて同様に抗折強度を測定したところ、約10乃至25kgであった。
〔実施例におけるディスク基板と従来のディスク基板との比較〕
前述のような本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、外周端面の研磨工程において、センタレス研磨法を行うことにより、調整ロールが積層されたディスク基板を支持するので、ブラシホイールの研摩応力に対して、このディスク基板を安定して支持することができる。また、この研磨工程においては、積層されたディスク基板が横型に載置されるので、ブラシホイールのディスク基板に対する作用点に、研磨液を均等に働かせることができるので、これらディスク基板の外周端面の研磨を精度よく行うことができる。
前述のような本発明に係る磁気ディスク用基板の製造方法においては、外周端面の研磨工程において、センタレス研磨法を行うことにより、調整ロールが積層されたディスク基板を支持するので、ブラシホイールの研摩応力に対して、このディスク基板を安定して支持することができる。また、この研磨工程においては、積層されたディスク基板が横型に載置されるので、ブラシホイールのディスク基板に対する作用点に、研磨液を均等に働かせることができるので、これらディスク基板の外周端面の研磨を精度よく行うことができる。
したがって、この研磨工程においては、下記の〔表1〕に示すように、従来の研磨方法に比較して、研磨取り代のばらつき(標準偏差)が少なく、外径寸法精度を高くすることができる。
また、この研磨工程では、植毛ブラシからなるブラシホイールを用いていることにより、下記の〔表1〕に示すように、従来の研磨方法に比較して、ディスク基板の外周端部を良好な鏡面化状態に仕上げる研磨を迅速に行うことができる。
また、この研磨工程においては、研磨取り代に伴う外径変化があっても、センタレス研磨法の特長である成円作用により、下記の〔表1〕に示すように、従来の研磨方法に比較して、良好な真円度が得られる。
さらに、この研磨工程においては、複数のディスク基板間を所定のトルクで締結しておく(すなわち、トルクコントロールを実施する)ことにより、研磨工程中に調芯作用が働き、下記の〔表1〕に示すように、従来の研磨方法に比較して、精度のよい同芯度が得られる。なお、複数のディスク基板間を締結するトルクを所定のトルクに制御しない場合(すなわち、トルクコントロール無しの場合)には、同芯度について、従来の研磨方法とあまり差が生じなかった。
また、この研磨工程においては、外周端面の研磨取り代に伴う形状崩れを防止することができた。すなわち、下記の〔表1〕に示すように、従来の研磨方法に比較して、外周端面の面取部の角度(チャンファ角度)が45°に近く、また、角度のばらつき(標準偏差)も少ないものとなっている。
この実施例2では、以下の工程を経て、磁気ディスクを製造した。
前述の実施例1において得た磁気ディスク用ガラス基板の両主表面に、静止対向型のDCマグネトロンスパッタリング装置を用いて、Al−Ru合金第1下地層、Cr−Mo合金第2下地層、Co−Cr−Pt−B合金磁性層、水素化炭素保護層を順次成膜した。次に、アルコール変性パーフロロポリエーテル潤滑層をディップ法で成膜した。この様にして磁気ディスクを得た。
得られた磁気ディスクについて、異物により磁性層等の膜に欠陥が発生していないことを確認した。また、グライドテストを実施したところ、ヒット(ヘッドが磁気ディスク表面の突起にかすること)やクラッシュ(ヘッドが磁気ディスク表面の突起に衝突すること)は認められなかった。さらに、磁気抵抗型ヘッドで再生試験を行ったところ、サーマルアスペリティ障害による再生の誤動作は認められなかった。
なお、以上の試験は1平方インチ当たりの情報記録密度が40ギガビット相当の磁気ディスク用の試験方法として行った。具体的には磁気ヘッドの浮上量は10nmとし、記録再生試験では情報線記録密度を700fciとした。
1 円孔
2 磁気ディスク用基板
2 磁気ディスク用基板
Claims (11)
- 中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する工程を有する磁気ディスク用基板の製造方法であって、
複数枚のディスク基板を略々同芯状に積層させ、これらディスク基板の円孔にシャフトを挿通させ、このシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板を挟持して、全てのディスク基板を保持させ、
前記積層されて保持された複数のディスク基板を中心軸を略々水平としてブレード上に載置するとともに、これら複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に調整ロールを設置してこの調整ロールによって複数のディスク基板を支持させ、これら複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行に研磨ロールを設置し、
前記調整ロールを中心軸回りに回転操作することによって前記積層されて保持された複数のディスク基板を前記ブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、前記研磨ロールを中心軸回りに回転操作することによって、前記各ディスク基板の外周側端面を研磨する
ことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシである
ことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記研磨ロールの外周面の周速は、前記積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速い
ことを特徴とする請求項1、または、請求項2記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記研磨ロールと前記積層されて保持された複数のディスク基板との間に研磨剤を供給する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記研磨剤に含まれる研磨砥粒は、酸化セリウム砥粒、コロイダルシリカ砥粒、アルミナ砥粒、または、ダイヤモンド砥粒である
ことを特徴とする請求項4記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記研磨剤は、液体を加えてスラリーとし、研磨砥粒を遊離砥粒として用いる
ことを特徴とする請求項4、または、請求項5記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 前記ディスク基板は、ガラスディスク基板である
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の磁気ディスク用基板の製造方法。 - 中心部に円孔を有するディスク基板の外周側端面を研磨する磁気ディスク用基板の製造装置であって、
回転操作が可能な調整ロールと、
前記調整ロールに平行に設置されたブレードと、
前記調整ロールに平行に設置され、回転操作が可能な研磨ロールと
を備え、
複数枚のディスク基板が略々同芯状に積層されてこれらディスク基板の円孔にシャフトが挿通されこのシャフトの両端側において一端側のディスク基板及び他端側のディスク基板が挟持されて全てのディスク基板が保持されたものを、これら複数のディスク基板の中心軸を略々水平としてブレード上に載置させ、
前記調整ロールを、前記複数のディスク基板の一側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、この調整ロールによって前記複数のディスク基板を支持し、
研磨ロールを、前記複数のディスク基板の他側側にこれら複数のディスク基板の中心軸に平行として位置させ、
前記調整ロールが中心軸回りに回転操作されることによって前記積層されて保持された複数のディスク基板を前記ブレード上において中心軸回りに回転させるとともに、前記研磨ロールが中心軸回りに回転操作されることによって、前記各ディスク基板の外周側端面を研磨する
ことを特徴とする磁気ディスク用基板の製造装置。 - 前記研磨ロールは、中心軸より放射状に毛材が植毛されて円柱状に構成された植毛ブラシである
ことを特徴とする請求項8記載の磁気ディスク用基板の製造装置。 - 前記研磨ロールの外周面の周速は、前記積層されて保持された複数のディスク基板の外周面の周速よりも速くなされる
ことを特徴とする請求項8、または、請求項9記載の磁気ディスク用基板の製造装置。 - 請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載の磁気ディスク用基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用基板の主面部上に対し、少なくとも磁性層を形成する
ことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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