JP5005645B2 - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」という)等の磁気ディスク装置に用いられる磁気ディスク用のガラス基板の製造方法及びそのガラス基板を用いた磁気ディスクの製造方法に関する。
近年、高記録密度化に適した磁気ディスク用基板の一つとして、ガラス基板が用いられている。ガラス基板は、金属の基板に比べて剛性が高いので、磁気ディスク装置の高速回転化に適している。また、ガラス基板は、平滑で平坦な表面が得られるので、磁気ヘッドの浮上量を低下させてS/N比の向上と高記録密度化に適している。
一般に磁気ディスク用ガラス基板は、ガラス原料を加熱融解させて溶融ガラスを準備する工程と、この溶融ガラスを板状のガラスディスクに成形する工程と、板状に成形されたガラスディスクを加工し研磨してガラス基板を作製する工程が順次実行されることにより作製される。
溶融ガラスを板状のガラスディスクに成形するにあたっては、プレス法、フロート法等の成形方法が採用されている。プレス法では、円柱状のガラス母材から磁気ディスク用基板よりも少し厚い厚さのガラスディスクに切断し、ガラスディスクの形状を整えると共に所望の平坦度及び板厚に加工する。ガラスディスクを所望の平坦度及び板厚に加工する研削工程では、ラッピング装置を用い、ガラスディスクを目標の板厚に研削すると共に目標の平坦度に加工する。ガラスディスクをラッピング装置の上定盤と下定盤とで挟み、これを逆方向に回転させながら遊離砥粒(スラリー)を用いて加工する。遊離砥粒はガラスディスクの所定の寸法精度及び形状精度に応じた粒度の砥粒を用いており、最初の研削加工(ラップ1)では大きな粒径(例えば、平均粒径30μm程度)の遊離砥粒を用いて板厚が0.92mmになるまで研削し、2回目の研削加工(ラップ2:精ラッピング工程)では小さな粒径(例えば、平均粒径10μm程度)の遊離砥粒を用いて板厚が0.67mmになるまで研削している。
フロート法では、フロート法で製造された板状ガラスからガラスディスクを切り出し、ガラスディスクの形状を整えると共に、主表面を研削加工する。フロート法で製造された板状ガラスは、最初から主表面が鏡面化されているので、平坦度及び板厚がプレスガラスに比べて優れている。そのため、大きな粒径の遊離砥粒を用いたラップ1を省略し、最初から小さな粒径の遊離砥粒を用いた研削加工(ラップ2)を行う。
特開2002−55061号公報
ところで、上記ラップ2の研削加工において、遊離砥粒に比べて粒径の小さい固定砥粒を研削パッドとして使用すれば、ガラス基板に発生するクラックを浅くすることができ、ラップ2の研削加工終了時点での表面粗さを小さくすることができる。たとえば、シートにダイヤモンド粒子を貼り付けたダイヤモンドシートを研削パッドとして使用する。使用するダイヤモンド粒子は、遊離砥粒として使用されるアルミナ系粒子の粒径と比べて小さいので、クラックを浅くでき、表面粗さも小さくすることが可能である。
ところが、フロート法で製造された板状ガラスのように表面粗さがRa=0.001μm以下となる鏡面ガラスを、表面粗さを出来る限り悪化させずに、所用の平坦度になるまで研磨するためには、微細な砥粒が必要になる。このような微細な砥粒の研削パッドを用いて鏡面ガラスを加工しようとすると、加工初めの加工レートを非常に低い速度(通常加工レートの1/5〜1/10以下)に抑えなければならず、加工時間が長くなるといった問題がある。また、加工初期にスクラッチと呼ばれる深い傷が生じ易い。取り代がスクラッチ深さより少ないと、このスクラッチを除去出来ず品質不良となる。
なお、上記の研磨開始時の加工レートが低いといった課題は、フロート法で製造された鏡面板ガラスに限るものでは無く、鏡面板ガラスを微細な砥粒の研削パッドを用いて加工する場合に共通に生じる問題である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、鏡面板ガラスの主表面を微細な固定砥粒で加工する際に、加工開始時から高加工レートを実現でき、加工時間を短縮することができると共にスクラッチの発生を防止できるガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、主表面が鏡面となっている鏡面板ガラスを、固定砥粒を用いて必要な平坦度及び表面粗さに加工する表面研削工程を備えており、前記固定砥粒を用いた表面研削工程前に、前記固定砥粒が研磨作用する程度まで前記鏡面板ガラス表面を機械的方法又は化学的方法で粗面化する粗面化工程を具備することを特徴とする。
この製造方法によれば、固定砥粒を用いて鏡面板ガラス表面を加工する前に、前記固定砥粒が研磨作用する程度まで前記鏡面板ガラス表面を機械的方法又は化学的方法で粗面化するので、鏡面板ガラス表面に固定砥粒の引っ掛かりとなる凸部が形成されて、鏡面板ガラス表面での固定砥粒の滑りが防止され、固定砥粒による加工開始から高い加工レートを実現することができる。
前記粗面化工程における機械的方法として、遊離砥粒を用いた研磨加工を用いることができる。化学的方法として、薬液によるエッチング作用を利用することができる。遊離砥粒を用いた機械的方法によれば、加工面品質の制御と管理が容易になり、薬液によるエッチング作用を利用する化学的方法によれば、クラックの発生を防止できる。特に、薬液によるエッチング作用を利用する化学的方法がフロスト加工であることが好ましい。このフロスト加工により、固定砥粒が研磨作用する程度まで鏡面板ガラス表面を効率良く粗面化することが可能となる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記粗面化工程は、鏡面の表面粗さがRa=0.001μm以下となる鏡面板ガラスを、表面粗さRa=0.01〜0.4μmに粗面化することが好ましい。
本発明のガラス基板の製造方法は、前記粗面化工程による鏡面板ガラスの表面粗さをAとし、前記固定砥粒の平均粒径をBとして、B/A<50とすることを特徴とする。この製造方法によれば、B/A<50の条件を満足することにより、固定砥粒が研磨作用する程度まで鏡面板ガラス表面を粗面化することができる。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、前記固定砥粒を用いて鏡面板ガラス表面を加工する工程では、表面粗さRa=0.1μm以下で、かつ平坦度7μm以下に加工することが好ましい。
本発明の磁気ディスクの製造方法は、上記ガラス基板の製造方法によって製造されたガラス基板の主表面上に、少なくとも磁性層を形成することを特徴とする。
本発明によれば、鏡面板ガラスの主表面を微細な固定砥粒で研磨する際に、研磨開始時から高加工レートを実現でき、加工時間を短縮することができると共にスクラッチの発生を防止することができる。
以下、本発明の一実施の形態として磁気ディスク用ガラス基板の製造方法及び磁気ディスクの製造方法について説明する。以下の説明では、磁気ディスク用ガラス基板の素材としてフロート法で製造された板状ガラス素材を用いる例について説明するが、本発明はフロート法で製造された板状ガラス素材に限らず、他の方法で製作された鏡面板ガラスにも適用可能である。また、磁気ディスク用ガラス基板以外の用途であっても鏡面板ガラス表面を微細な固定砥粒で加工して所望の平坦度及び表面粗さにする用途であれば、本発明を同様に適用可能である。なお、ここで、鏡面とは、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))が0.01μm以下の表面をいう。
本実施の形態に係る磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、主表面が鏡面となっている板ガラス素材を、当該板ガラス素材の表面(鏡面)に対して固定砥粒が有効に研磨作用するように機械的方法又は化学的方法によって板ガラス表面の鏡面を粗面化する。
板ガラス素材鏡面を粗面化する機械的方法として、平面研磨機による遊離砥粒研磨を用いることができる。遊離砥粒研磨を用いて鏡面板ガラスの表面全体がほぼ均一の表面粗さRa=0.01〜0.4μm程度になるように研磨加工する。機械的方法を適用した粗面化によれば、加工面品質の制御と管理が容易となる利点がある。
板ガラス素材鏡面を粗面化する化学的方法として、薬液によるエッチング作用を利用することができる。化学的方法に用いる薬液として、酸性フッ化アンモニウム、フッ酸等が挙げられる。酸性フッ化アンモニウム又はフッ酸によるエッチング作用で板ガラス素材鏡面を粗面化することができる。化学的方法を適用した粗面化によれば、クラックが生じないといった利点がある。また設備導入のイニシャルコストが低く、自動化も容易になるといった利点がある。板ガラス素材鏡面を粗面化する化学的方法としては、フロスト加工が特に好ましい。ここで、フロスト加工とは、粗面化剤を加えたエッチング用の薬液を用いてガラス表面を処理する加工をいう。このフロスト加工においては、粗面化剤によりガラス表面が局所的にマスクされた状態でエッチングが進行するので、効果的にガラス表面を粗面化すること(例えば、フロスト加工後の表面粗さRaがフロスト加工前の表面粗さRaの5倍程度)が可能となる。この粗面化剤としては、液中においてHF を供給するものが好適であり、例えば、HF、NHF、NaF、KF、CaF等が挙げられる。また、薬液の濃度や温度を調整することにより、粗面化の状態を調整することができる。
上記のように鏡面が粗面化された板ガラス素材に対して、目標の平坦度及び板厚になるように固定砥粒を用いて研削加工する。固定砥粒は遊離砥粒に比べて微細な砥粒を用いることが望ましい。板ガラス素材の表面粗さを「A」、固定砥粒の平均粒径を「B」とした場合、(B/A)<50を満たすことが望ましい。
好ましい一実施の形態としては、固定砥粒を用いた研削加工で残留した傷や歪みを除去するため、ポリシャとして硬質ポリシャを用い、ガラス基板表面を研磨する第1研磨工程と、該第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、更に平滑な鏡面に仕上げるため、硬質ポリシャに替えて軟質ポリシャでガラスディスク表面を研磨する第2研磨工程とを行う。
また、研磨工程を終えたガラス基板は、化学強化を施してもよい。ガラスの種類が特にアルミノシリケートガラスの場合、化学強化することによって、抗折強度が増加し、圧縮応力層の深さも深くなる。化学強化の方法としては、従来より公知の化学強化法であれば特に限定されないが、実用上、低温型イオン交換法による化学強化が好ましい。
上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、固定砥粒を用いて鏡面板ガラス表面を加工する前(主表面研削工程前)に、前記固定砥粒が研磨作用する程度まで前記鏡面板ガラス表面を機械的方法又は化学的方法で粗面化している。これにより、鏡面板ガラス表面に固定砥粒が引っ掛かりとなる凸部が形成されて、鏡面板ガラス表面での固定砥粒の滑りが防止される。これにより、表面研削工程において、固定砥粒による加工開始から高い加工レートを実現することができる。
主表面研削工程においては、固定砥粒を用いて鏡面板ガラス表面を加工する。この場合において、表面粗さRa=0.1μm以下で、かつ平坦度7μm以下に加工することが好ましい。
本発明により得られる磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁性層を形成することにより、高記録密度化に適した磁気ディスクが得られる。
磁性層の材料としては、異方性磁界の大きな六方晶系であるCoPt系強磁性合金を用いることができる。磁性層の形成方法としてはスパッタリング法、例えばDCマグネトロンスパッタリング法によりガラス基板の上に磁性層を成膜する方法を用いることができる。またガラス基板と磁性層との間に、下地層を介挿することにより磁性層の磁性グレインの配向方向や磁性グレインの大きさを制御することができる。
また、磁性層の上に保護層を設けることが好適である。保護層を設けることにより、磁気ディスク上を浮上飛行する磁気記録ヘッドから磁気ディスク表面を保護することができる。保護層の材料としては、例えば、炭素系保護層が好適である。また、上記保護層上に更に潤滑層を設けることが好ましい。潤滑層を設けることにより、磁気記録ヘッドと磁気ディスク間の磨耗を抑止でき、磁気ディスクの耐久性を向上させることができる。潤滑層の材料としては、たとえばPFPE(パーフロロポリエーテル)が好ましい。
なお、本発明によれば、フロート法で得られた板状ガラスから、高記録密度化に有利なロードアンロード方式の磁気ディスク装置に搭載される磁気ディスクに用いるガラス基板を安定して製造することができる。また、本発明の製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラス基板を用いて磁気ディスクを製造することにより、磁気ディスク用ガラス基板の製造歩留りが高いので、磁気ディスクの製造コストの低減を図ることが可能になる。
(実施例)
以下に実施例を挙げて、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の(1)切り出し工程、(2)形状加工工程、(3)粗面化工程、(4)精ラッピング工程、(5)端面研磨工程、(6)主表面研磨工程、(7)化学強化工程、を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。図1に(1)〜(4)までの工程の概念図を示す。
なお、磁気ディスク用ガラス基板を製造するための板状のガラス素材はフロート法により製造した。フロート法では、融液を溶融スズの上に流し、そのまま固化させる。板ガラスの両面はガラスの自由表面とガラス/スズの界面であるため研磨せずにRa0.001μm以下の鏡面をなす板状のガラス素材を得た。
(1)切り出し工程
フロート法で製造した厚さ0.95mmのアルミノシリケートガラスからなる板状ガラス素材1を所定の大きさの四角形に切断したものを使用し、そのトップ面にガラスカッターで、磁気ディスク用ガラス基板となされる領域の外周側及び内周側の略周縁を描く円形の切り筋2を形成した。尚、このアルミノシリケートガラスとしては、SiO:58質量%〜75質量%、Al:5質量%〜23質量%、LiO:3質量%〜10質量%、NaO:4質量%〜13質量%を含有する化学強化用ガラスを使用した。次いで、上記切り筋2を形成した板状ガラス1のトップ面側を全体的にヒータで加熱し、上記切り筋2を板状ガラス1のボトム面側に進行させて所定の直径を有するガラスディスク(鏡面板ガラス)3を切り出した。
(2)形状加工工程
次に、外周端面及び内周端面の研削をして外径を65mmφ、内径(中心部の円孔の直径)を20mmφとした後、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。このときのガラスディスク端面の表面粗さは、Rmaxで2μm程度であった。なお、一般に、2.5(インチ)型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
(3)粗面化工程
平面研磨機による遊離砥粒研磨を用いる機械的方法を適用した。遊離砥粒研磨を用いて鏡面ガラスディスク3の表面全体がほぼ均一の表面粗さRa=0.01μm〜0.4μm程度になるように研磨加工した。粗面化工程で目標とする表面粗さは、後の精ラッピング工程で使用する固定砥粒の粒度との関係で決めることが望ましい。上記した通り、粗面化されたガラスディスク3の表面粗さ(A)で固定砥粒の平均粒径Bを徐算して、(B/A)<50を満たすようにする。ここでは、ガラスディスク3の表面粗さはRa0.27μmであった。
(4)精ラッピング工程(表面研削工程)
粗面化されたガラスディスク3の主表面を、固定砥粒研磨パッドを用いて研削した。固定砥粒研磨パッドとして、図2に示すダイヤモンドシート10を用いた。ダイヤモンドシート10は、ダイヤモンド粒子を研削砥粒として備えたものである。ダイヤモンドシート10は、基材としてPETからなるシート11を備えている。ダイヤモンド粒子12の平均粒径はB=4μmであった。したがって、B/A=15となり、上記(B/A)<50を満たしている。
精ラッピング工程では、粗面化されたガラスディスク3をラッピング装置にセットして、図3に示すように、ダイヤモンドシート10を用いてディスク表面をラッピングすることにより、高加工レートで表面粗さRaを0.1μm以下で、平坦度を7μm以下とすることができた。
このように、事前にガラスディスク3の主表面が粗面化工程で粗面化されているので、微細な固定砥粒の引っ掛かりとなる凸部がガラスディスク3の主表面に形成され、固定砥粒が素材表面を滑ってしまう不具合を防止でき、精ラッピング工程における加工レートは、表面研磨開始から高加工レートを実現することができる。
(5)端面研磨工程
次いで、ブラシ研磨により、ガラスディスク3を回転させながらガラスディスク3の端面(内周、外周)の表面の粗さを、Rmaxで0.4μm、Raで0.1μm程度に研磨した。そして、上記端面研磨を終えたガラスディスク3の表面を水洗浄した。
(6)主表面研磨工程
次に、上述したラッピング工程で残留した傷や歪みの除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行った。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラスディスク3を密着させ、このキャリアを太陽歯車と内歯歯車とに噛合させ、上記ガラスディスクを上下研磨定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラスディスクの研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラスディスクが研磨定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。
次いで、上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、例えばガラスディスク主表面の表面粗さをRmaxで3nm程度以下の平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。
(7)化学強化工程
次に、上記洗浄を終えたガラスディスクに化学強化を施した。ガラス基板の表面に存在するイオン(例えば、アルミノシリケートガラス使用の場合、Li及びNa)よりもイオン半径の大きなイオン(Na及びK)にイオン交換する。ガラス基板の表面において(例えば、ガラス基板表面から約5μmまで)、イオン半径の大きい原子とイオン交換を行って、ガラス表面に圧縮応力を与えることでガラス基板の剛性を上げている。このようにして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
次に、本実施例で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、磁気ディスクを得た。スパッタリング装置を用いて、上記ガラス基板上に、付着層、軟磁性層、第1下地層、第2下地層及び磁性層を順次形成し、次いでプラズマCVD法により炭素系保護層を形成し、更にその上に潤滑層をディップ法により形成した。
付着層にはTi系合金薄膜を用いて膜厚を10nmとし、軟磁性層にはCo系合金薄膜を用いて膜厚を60nmとし、第1下地層にはPt系合金薄膜を用いて膜厚を7nmとし、第2下地層にはRu系合金薄膜を用いて膜厚を40nmとし、磁性層にはCoPtCr合金薄膜を用いて膜厚を20nmとした。保護層はダイヤモンドライク炭素保護層とし、プラズマCVD法により形成した。潤滑層はパーフルオロポリエーテル(PFPE)の液体潤滑剤中に磁気ディスクを浸漬させ、温度110℃で60分間加熱焼成することにより形成した。このようにして垂直磁気記録方式用の磁気ディスクを形成した。
(比較例)
実施例と同様にしてフロート法で製造した厚さ0.95mmのアルミノシリケートガラスからなる板状ガラス素材1に対して切り出し工程および形状加工工程を行い、粗面化工程を経ることなく固定砥粒を用いた精ラッピング工程を行った。精ラッピング工程における加工レートを調べたところ、図3に示すように非常に低かった。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態における材質、個数、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
図1は、本発明の実施の形態における磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一部の工程の模式図である。 図2は、ダイヤモンドシートの模式図である。 図3は、粗面化工程有無による固定砥粒を用いた精ラッピングによる加工レートを示す図である。
符号の説明
1 板状ガラス素材
2 切り筋
3 ガラスディスク(鏡面板ガラス)
10 ダイヤモンドシート
11 シート
12 ダイヤモンド粒子

Claims (8)

  1. 主表面が鏡面となっている鏡面板ガラスを、固定砥粒を用いて必要な平坦度及び表面粗さに加工する表面研削工程を備えた磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、
    前記固定砥粒を用いた表面研削工程前に、前記固定砥粒が研磨作用する程度まで前記鏡面板ガラス表面を機械的方法又は化学的方法で粗面化する粗面化工程を具備することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記粗面化工程は、前記機械的方法として遊離砥粒を用いた研磨加工を行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記粗面化工程は、前記化学的方法として薬液によるエッチング作用を利用することを特徴とする請求項1記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記薬液によるエッチング作用を利用する化学的方法がフロスト加工であることを特徴とする請求項3記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記粗面化工程は、鏡面の表面粗さがRa=0.001μm以下となる鏡面板ガラスを、表面粗さRa=0.01〜0.4μmに粗面化することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記粗面化工程による鏡面板ガラスの表面粗さをAとし、前記固定砥粒の平均粒径をBとして、B/A<50とすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記固定砥粒を用いて鏡面板ガラス表面を加工する工程では、表面粗さRa=0.1μm以下で、かつ平坦度7μm以下に加工することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  8. 請求項1から請求項7のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によって製造された磁気ディスク用ガラス基板の主表面上に少なくとも磁性層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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