JP5906823B2 - 磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法に関する。
近年、磁気記録媒体、特に磁気ディスク装置においては、急激な高記録密度化が進んでいる。磁気ディスク装置では、高速回転する記録媒体(ディスク)上にヘッドを僅かに浮上させて走査することによって、ランダムアクセスを実現しており、高記録密度と高速アクセスを両立させるために、磁気ディスクとヘッドとの間隔(ヘッド浮上量)を小さくすること、および磁気ディスクの回転数を上げることが求められる。磁気ディスクの基材は、従来アルミニウム(Al)にニッケル−リン(Ni−P)メッキを施した基板が主流であったが、高剛性で高速回転させても変形しにくく、表面の平滑性が高いガラス基板が使われるようになってきている。
このような磁気ディスク装置における高記録密度化に伴い、磁気記録媒体用ガラス基板への要求特性は年々厳しくなっている。特に、高記録密度を達成するために、ガラス基板の表面の異物や欠陥を低減して平滑性を向上させることは重要である。
一般に、磁気記録媒体用ガラス基板を製造するには、板状ガラス等の原材から円盤形状の素基板を切り出し、中央部に円形の貫通孔を形成した後、貫通孔の内壁を構成する内周側面の角部分と、ガラス基板の外周を構成する外周側面の角部分との面取り加工を行い、ガラス基板の内周および外周の側面と面取り部の研磨(端面研磨)を行う。さらに、対向する1対の主平面を研削してガラス基板の板厚と平坦度を所望の形状とし、該両主平面を研磨した後、洗浄工程等を経て磁気記録媒体用ガラス基板を得る。
このような磁気記録媒体用ガラス基板の製造において、主平面の研磨は、主平面を研削した際に生じた主平面の加工変質層を除去し、主平面を平滑な鏡面に仕上げるために行われる。
従来から、主平面の平滑化を行う技術として、アルミナ粒子等の遊離砥粒を用いて研削を行った後、砥粒として酸化セリウム粒子を用いて研磨を行い、さらにシリカ砥粒を用いて研磨を行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、砥粒を結合材で固定した固定砥粒工具を用いた研削工程の後、酸化セリウム砥粒を用いて研磨を行い、さらにシリカ砥粒を用いて研磨(仕上げ研磨)を行う方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これらの方法で研磨に使用されている酸化セリウム粒子は、ガラス材料に対して化学的に強い相互作用を有するので、高い研磨速度(単位時間あたりの研磨量)を得ることが可能である。
しかしながら、近時、レアアース産出国の輸出規制などの影響により酸化セリウムの入手難や価格高騰が生じており、このような情勢から、酸化セリウム砥粒を使用することなくかつ高い生産性で、ガラス基板の主平面の平滑化を行う方法が求められている。
また、酸化セリウムの残留による磁気記録媒体の欠陥を解消するためにも、酸化セリウム砥粒の使用を抑制することは極めて有効である。酸化セリウムは、前記したようにガラスとの化学的親和力が大きいため、酸化セリウム砥粒を用いて研磨を行ったガラス基板では、表面に酸化セリウム粒子が強固に付着したり埋ったりするため、通常の洗浄では酸化セリウム粒子を十分に除去することが難しい。そのため、ガラス基板の主平面に酸化セリウム粒子が残留して、磁気記録媒体の欠陥となる問題が生じていた。さらに、表面に強固に付着した酸化セリウム粒子を除去するには、ガラス基板の表面を強酸やフッ素イオンを含有する洗浄液で洗浄する方法があるが、このような酸洗浄を行う方法では工程上の負荷が大きいという問題があった。
特開2011−18398号公報 特開2002−150548号公報
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、ガラス基板の主平面を、酸化セリウム砥粒を使用することなくかつ高い研磨速度で研磨して、研削加工や面取り加工の際にガラス基板の主平面に生じた加工変質層を除去し、平滑な主平面を有する磁気記録媒体用ガラス基板を得るための製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記[1]〜[9]に示す磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法を提供する。
[1]円盤形状のガラス基板を形成する形状付与工程と、
前記ガラス基板の主平面を研削する主平面研削工程と、
前記主平面研削工程の後、前記ガラス基板の主平面を研磨する主平面研磨工程と
を備える磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であり、
前記主平面研削工程は、平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具を用いて、前記ガラス基板の主平面を研削する固定砥粒研削工程を有し、
前記主平面研磨工程は、シリカ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、酸化マンガン粒子、チタニア粒子、および酸化鉄粒子からなる群より選ばれる1種以上で平均粒径が5nm〜3000nmの第1の砥粒を含有する第1の研磨液と、第1の研磨パッドを用いて、前記ガラス基板の主平面を研磨し、該主平面に存在する加工変質層を除去する第1の研磨工程と、
前記第1の研磨工程の後、砥粒として平均粒径が5〜50nmのシリカ粒子を含有する第2の研磨液と第2の研磨パッドを用いて、前記ガラス基板の主平面を研磨する第2の研磨工程と
を有することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[2]前記第1の砥粒は、平均粒径の異なる2種類の粒子を混合してなる混合粒子であり、平均粒径が大きい方の粒子(大粒子)の平均粒径と平均粒径が小さい方の粒子(小粒子)の平均粒径との比が、4以上50以下であり、かつ前記大粒子の混合割合が、第1の砥粒全体に対して10〜50体積%である[1]に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[3]前記第1の研磨液は、pH1〜6の範囲である[1]または[2]に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[4]前記第1の研磨液は、カルボン酸基を有する有機酸と該有機酸の塩を含有する[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[5]前記有機酸は、カルボン酸基を2個以上有する多価有機酸である[4]に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[6]前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸からなる群より選ばれる1種以上である[5]に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[7]前記有機酸の塩は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の対イオンを有する塩である[4]〜[6]のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[8]前記固定砥粒研削工程において、前記ガラス基板の主平面を、該主平面の加工変質層の深さが15μm以下となるように研削する[1]〜[7]のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
[9]前記第1の研磨パッドは、研磨面に最大径が30μm〜150μmの開口を有する発泡樹脂製の研磨パッドである[1]〜[8]のいずれかに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
本明細書において、平均粒径は、粒度分布の累積50%点の粒子直径であるd50を示す。なお、粒子直径は、レーザー回折・散乱式等の粒度分布計、または動的光散乱方式の粒度分布測定機を使用して測定した値である。また、「加工変質層」とは、形状付与や面取りおよび研削等の加工工程において、ガラス基板に生じたキズやクラック等が存在する層をいう。そして、加工変質層の深さの測定は、ガラス基板の表面を、フッ酸と硝酸等を含む酸性のエッチング溶液を用いて1〜5μmエッチングし、ガラス基板の主平面に残留する加工変質層を等方的にエッチングしてから評価する。
より具体的には、ガラス基板の表面をエッチングした後、ガラス基板の主平面を所定量研磨して洗浄と乾燥を行い、エッチング処理により円形状ピットまたは楕円形状ピットとなった加工変質層を光学顕微鏡で観察することにより実施する。光学顕微鏡の対物レンズは20倍を使用し、観察視野635μm×480μmで観察を行う。ガラス基板の両主平面において、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で観察し、円形状ピットまたは楕円形状ピットが観察されなくなった時点におけるガラス基板の主平面の研磨量を、ガラス基板主平面の加工変質層の最大深さとする。
本発明の製造方法によれば、面取りや主平面の研削等の加工の際にガラス基板の主平面に生じた加工変質層を、酸化セリウム砥粒を使用することなく除去でき、平滑性が高い主平面を有する磁気記録媒体用ガラス基板を得ることができる。そして、酸化セリウム砥粒の不使用により、ガラス基板の主平面への酸化セリウムの付着や、酸化セリウムに起因する異物をなくすことができる。さらに、酸化セリウムを除去するための酸洗浄の工程を不要にできるため、工程上の負荷をより低減できる。
本発明により製造される磁気記録媒体用ガラス基板の断面斜視図である。 本発明の主平面研削工程に使用される両面研削装置の概略を示す一部断面斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明するが、本発明は以下に記載される実施形態に限定されない。
まず、本発明により製造される磁気記録媒体用ガラス基板の一例を、図1に示す。図1に示す磁気記録媒体用ガラス基板10は、中央部に円形の貫通孔(以下、円孔という。)11を有する円盤形状を有し、円孔11の内壁面である内周側面101と、外周側面102、および対向する上下1対の主平面103からなる円盤形状を有している。そして、内周側面101および外周側面102と両主平面103との交差部に、それぞれ面取り部104(内周面取り部および外周面取り部)が形成されている。
本発明の製造方法においては、以下に示すように、公知の方法で所定の形状を付与されたガラス板10の主平面103に対して、固定砥粒工具を用いて研削する主平面研削工程と、砥粒を含有する研磨液と研磨パッドを用いて研磨する主平面研磨工程を順に行う。
すなわち、まず(1)形状付与および面取り工程で、中央部に円孔11を有する円盤形状のガラス基板を形成した後、内周側面101および外周側面102と両主平面103との交差部にそれぞれ面取り部104を形成する。
次いで、ガラス基板10の少なくとも一方の主平面103について、(2)主平面研削工程において、平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具を用いて研削(固定砥粒研削)を行った後、(3)主平面研磨工程において、平均粒径が5nm〜3000nmの第1の砥粒を含有する第1の研磨液と第1の研磨パッドを用いて主平面を研磨する第1の主平面研磨と、平均粒径が5〜50nmのシリカ粒子を砥粒として含有する第2の研磨液と第2の研磨パッドを用いて主平面を研磨する第2の主平面研磨を順に行う。以下、第1の主平面研磨を行う工程を(3A)第1の研磨工程と示し、第2の主平面研磨を行う工程を(3B)第2の研磨工程と示す。ガラス基板の一方(片側)の主平面だけでなく両方の主平面について、前記固定砥粒研削と第1および第2の主平面研磨を行うことが好ましい。
なお、本発明の製造方法においては、各工程間にガラス基板の洗浄(工程間洗浄)やガラス基板表面のエッチング(工程間エッチング)を実施してもよい。また、ガラス基板の内周側面101と外周側面102に面取り部を形成した後、内周端面(内周側面101と内周面取り部104)および外周端面(外周側面102と外周面取り部104)を研磨し、鏡面に仕上げる端面研磨工程(1´)を実施してもよい。また、平均粒径が0.01〜15μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具を用いて主平面を研削(固定砥粒研削)する前に、遊離砥粒や固定砥粒工具を用いて主平面を研削してもよい。さらに、磁気記録媒体用ガラス基板に高い機械的強度が求められる場合、ガラス基板の表層に強化層を形成する強化工程(例えば、化学強化工程)を、研磨工程前または研磨工程後、あるいは研磨工程間で実施してもよい。
以下、前記各工程について、さらに説明する。
<(1)形状付与および面取り工程>
フロート法、フュージョン法またはプレス成形法で成形されたガラス素基板を、中央部に円孔11を有する円盤形状に加工した後、所定の幅および角度で面取り加工を行い、内周面取り部104および外周面取り部104を形成する。ガラス素基板は、フロート法で成形されたものでも、フュージョン法またはプレス成形法で成形されたものでもよい。また、基板を構成するガラスは、アモルファスガラスでもよく、結晶化ガラスでもよい。
<(1´)端面研磨工程>
内周側面101および外周側面102の面取り加工等の際に生じたキズ等を除去し、凹凸を平滑化して鏡面とするために、ガラス基板の内周端面および外周端面を研磨することが好ましい。この工程では、例えば、ガラス基板の複数枚を積層し、研磨液と研磨ブラシを用いて研磨を行う。
内周端面研磨と外周端面研磨を行う順序は特に限定されず、どちらの研磨を先に行ってもよい。研磨液としては、例えば砥粒として酸化セリウム、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子、ダイヤモンド粒子等を含む研磨液を使用することが好ましく、酸化セリウム以外の粒子を使用することがさらに好ましい。端面研磨においても酸化セリウム砥粒を不使用とすることで、レアアースの輸出規制に起因する原料の入手難や価格高騰に対応し、安価かつ安定的にガラス基板の研磨を行うことができる。また、ガラス基板端面への酸化セリウム粒子の付着を防止することができるので、酸化セリウムの残留によって生じる欠陥をなくすことができる。また、酸化セリウムを除去するための酸洗浄工程を設ける必要がないので、ガラス基板製造における工程上の負荷を低減できる。
また内周端面研磨と外周端面研磨は、1段で実施することが一般的であるが、平均粒径の異なる砥粒を用いた多段の端面研磨、または異なる種類の砥粒を組み合わせた多段の端面研磨を実施してもよい。
このような砥粒の平均粒径は、端面研磨の効率(研磨速度)と研磨により得られる端面の平滑性等の観点から、0.2〜25μmとすることが好ましい。砥粒の平均粒径が0.2μm未満の場合には、端面研磨の研磨速度が低くなり、研磨に時間がかかりすぎるため好ましくない。砥粒の平均粒径が25μmを超える場合には、平滑な端面を得ることが難しく、また砥粒の分散安定性が悪くなるおそれがある。
<(2)主平面研削工程>
主平面研削工程においては、平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド粒子を砥粒として有する固定砥粒工具と、研削液を使用し、両面研削装置または片面研削装置によりガラス基板の主平面を研削する(固定砥粒研削工程)。前記した加工変質層の深さが15μm以下となるように、ガラス基板の主平面を研削することが好ましい。
固定砥粒研削工程に使用される両面研削装置の一例を図2に示す。図2に示す両面研削装置20は、上定盤201と下定盤202およびこれらの間に配設されたキャリア50を有する。そして、サンギア203とインターナルギア204をそれぞれ所定の回転比率で回転駆動することで、キャリア50を自転させながらサンギア203の周りを公転するように移動させ、かつ上定盤201と下定盤202をそれぞれ所定の回転数で回転駆動して、キャリア50のガラス基板保持部に保持されたガラス基板60の上下両主平面を研磨する。図2において、符号30は上定盤201の研磨面(上研磨面)を、符号40は下定盤202の研磨面(下研磨面)をそれぞれ示す。
上定盤201と下定盤202のガラス基板60と対向する研磨面30,40には、前記した平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具が装着されている。ガラス基板60は、キャリア50のガラス基板保持部に保持された状態で、上定盤201の上研磨面30と下定盤202の下研磨面40との間に狭持されている。そして、ガラス基板60の両主平面に前記上研磨面30と下研磨面40を押圧した状態で、これらの間に研削液を供給しつつ相対的に動かすことで、ガラス基板60の両主平面を同時に研削するようになっている。
固定砥粒であるダイヤモンド粒子の平均粒径が0.01μm未満である場合には、研削速度が低くなりすぎて、ガラス基板製造の生産性が著しく悪くなるおそれがある。また、ダイヤモンド粒子の平均粒径が15μmを超える場合には、加工変質層の深さを十分に薄くすることができず、後述する第1の研磨工程(第1の主平面研磨工程)で、残留する加工変質層を完全に除去することが難しくなる。また、研削により生じるキズも多くなるため、後述する研磨工程後に凹形状欠陥がない主平面を得ることが難しい。
本発明においては、平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド粒子を固定砥粒とする固定砥粒工具を用いて固定砥粒研削を行うことにより、高い加工速度でガラス基板の主平面を研削し、加工変質層の深さが十分に薄い(15μm以下)ガラス基板を得ることができる。そして、固定砥粒研削工程後の主平面に残留する加工変質層の深さを十分に薄く(15μm以下)できるので、第1の研磨工程での加工変質層除去に必要な研磨量を少なくできる。そのため、第1の研磨工程において、酸化セリウム粒子以外の砥粒を使用し、主平面に残留する加工変質層を完全に除去することが可能となる。
<(3A)第1の研磨工程>
(3A)第1の研磨工程においては、前記固定砥粒研削工程によって、加工変質層の深さが例えば15μm以下となるように研削されたガラス基板の主平面を、第1の砥粒を含有する第1の研磨液と、第1の研磨パッドを用いて研磨し、主平面に残った加工変質層を除去する。
第1の砥粒は、シリカ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、酸化マンガン粒子、チタニア粒子、および酸化鉄粒子からなる群より選ばれる1種または2種以上の粒子であり、5nm〜3000nmの平均粒径を有する。前記固定砥粒研削工程で、加工変質層の深さが十分に薄い(15μm以下)主平面に研削しているため、少ない研磨量でも主平面に存在する加工変質層を完全に除去することができる。
第1の砥粒としては、シリカ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子が好ましく、シリカ粒子が特に好ましい。
第1の砥粒の平均粒径が5nm未満の場合には、研磨速度が低すぎて、主平面に存在する加工変質層を完全に除去することが難しい。第1の砥粒の平均粒径が3000nmを超える場合には、表面粗さに優れるガラス基板を得ることが難しくなるばかりでなく、研磨液中の砥粒の分散安定性が悪くなるおそれがある。また、研磨キズが生じやすくなるため平滑な主平面とすることが難しくなる。第1の砥粒の平均粒径は、5〜1500nmがより好ましく、5〜1000nmがさらに好ましく、5〜500nmが特に好ましい。
第1の砥粒として、平均粒径5nm〜3000nmの範囲で平均粒径の異なる2種類以上の粒子を混合して使用することができる。以下、混合される平均粒径が大きい方の粒子を「大粒子」、平均粒径が小さい方の粒子を「小粒子」とし、平均粒径の異なる2種類の粒子を混合する場合について記載する。
大粒子と小粒子とを混合した混合粒子を砥粒として使用することにより、研磨速度を効率的に上げることができ、かつ被研磨面の平滑性もよくすることができる。これは、以下に示す理由によるものと考えられる。すなわち、砥粒1個当たりの研磨量を増大させるには、砥粒の径を増大させる必要があるが、砥粒径を増大させると被研磨面との接触面積が減少する結果、狙い通りの研磨速度を達成することが難しい。また、砥粒径の増大により、被研磨面の表面粗さが悪化する。
大粒子と小粒子とを混合した混合粒子を使用した場合は、大粒子間の隙間が小粒子で埋められるため、大粒子だけによる研磨に比べてさらに研磨速度が向上する。そのうえ、大粒子に比べて小粒子の方が被研磨面との接触点がはるかに多くなるため、被研磨面の面質(表面粗さ)は小粒子による研磨・接触に大きく依存し、その結果得られる平滑性も大粒子だけで研磨する場合に比べて向上する。
このような効果を有する大粒子と小粒子との混合粒子において、(大粒子の平均粒径)/(小粒子の平均粒径)の値は、4以上50以下が好ましく、6以上40以下がさらに好ましい。(大粒子の平均粒径)/(小粒子の平均粒径)が4未満の場合には、大粒子間の隙間に小粒子が入ることができなくなるため、大粒子と小粒子との混合による研磨速度の向上を達成することが難しい。(大粒子の平均粒径)/(小粒子の平均粒径)が50を超える場合には、粒径の大きすぎる粒子により、被研磨面に深い研磨キズが形成される、被研磨面の表面粗さが大きくなる、などの不具合が生じるおそれがある。2種類の粒子の平均粒径の比(の値)が4以上50以下である場合に、研磨速度の向上と被研磨面の平滑性の両立という効果を得ることができる。
大粒子と小粒子との混合比率は、混合粒子からなる砥粒全体に対して、大粒子を10〜50体積%とし、小粒子を90〜50体積%とすることが好ましい。大粒子の混合比率は、10〜35体積%がさらに好ましく、10〜25体積%が特に好ましい。大粒子の混合比率が10体積%未満の場合には、大粒子が少なすぎるため、高い研磨速度が得られないおそれがある。反対に、大粒子の混合比率が50体積%を超える場合には、大粒子間の隙間に対して入り込む小粒子が少なすぎるため、混合による研磨速度の向上と表面平滑性の両立という効果を十分に得ることが難しい。
第1の研磨液は、このような第1の砥粒とともに、砥粒の分散媒として水を含有する。水については特に制限はないが、他の成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の少なさの点から、純水、超純水、イオン交換水等を使用することが好ましい。
第1の研磨液における前記第1の砥粒の含有割合(濃度)は、管理のしやすさの点から、研磨液の比重を調整することにより管理することが好ましい。第1の研磨液の比重は1.0〜1.4とすることが好ましく、1.0〜1.2の範囲がより好ましい。研磨液の比重と研磨液中の砥粒の含有割合とは関連づけられており、比重の値から砥粒の含有割合を容易に求めることができる。そして、研磨液の比重に基づいて砥粒を補充することで、研磨液における砥粒の含有割合(濃度)を常に一定の範囲に保持し、被研磨部および研磨処理バッチ間での品質のばらつきを少なくできる。
また、研磨速度等の観点から、第1の研磨液のpHは1〜6の範囲であることが好ましい。第1の研磨液のpHが1未満の場合には、被研磨面であるガラス基板の主平面の表面粗さが大きくなり、平滑性が低下するおそれがある。pHが6を超えると、砥粒が凝集しやすい、研磨速度が低下する、などの問題がある。なお、第1の研磨液が酸化マンガン粒子を砥粒として含有する場合、第1の研磨液のpHは7以上とすることが好ましい。これは、pHが7未満では、酸化マンガンが酸に溶解して研磨速度が十分に得られないおそれがあるためである。
そして、pHを1〜6の範囲に調整するために、第1の研磨液には、カルボン酸基を有する有機酸(以下、カルボン酸ともいう。)が含有されていることが好ましい。カルボン酸基を有する有機酸としては、酢酸、メトキシ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等が挙げられる。カルボン酸とそのカルボン酸の塩がともに含有されていることがより好ましい。第1の研磨液が、弱酸であるカルボン酸とその塩とを含有する場合は、pH緩衝作用によって、多少の酸や塩基が加えられてもあるいは蒸発や希釈によって濃度が変化しても、ほとんどpHが変動しない。
ここで、カルボン酸としては、カルボン酸基を2個以上有する有機酸、すなわち2価以上の多価カルボン酸が好ましく、より具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸からなる群より選ばれる1種以上の酸であることが好ましい。そして、これらの有機酸の塩としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の対イオンを有する塩が好ましい。対イオンは、ナトリウムイオンであることがより好ましい。
また、2価以上の多価カルボン酸は、錯形成作用(キレート効果)により、研磨速度を向上させるとともに、砥粒の凝集を抑制して研磨キズの発生を抑える働きをする。すなわち、2価以上の多価カルボン酸は、ガラスの研磨の際に発生する金属イオンを捕捉して錯体(キレート)を形成することで、研磨速度の上昇に寄与するとともに、シリカ粒子等の砥粒の凝集を抑制する働きをする。
さらに第1の研磨液は、前記第1の砥粒や前記有機酸等の他に、砥粒の分散剤を含有してもよい。分散剤としては、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や界面活性作用のある水溶性ポリマーを使用できる。
(3A)第1の研磨工程に使用する第1の研磨パッドとしては、軟質または硬質の発泡樹脂からなるもので、研磨面に最大径が30μm〜150μmの開孔を有する研磨パッドの使用が好ましい。軟質発泡ウレタン樹脂からなる研磨パッドがより好ましい。第1の研磨パッドの研磨面における開口の最大径が30μm未満である場合には、研磨液(第1の研磨液)の保持性が十分でなく、効率的な研磨を行うことが難しい。反対に、研磨面における開口の最大径が150μmを超える場合には、第1の研磨パッドの研磨面の凹凸が大きくなり、ガラス基板の主平面の表面粗さが悪くなるおそれがある。
なお、第1の研磨パッドの研磨面に存在する開孔の最大径は、研磨パッドの研磨面を顕微鏡で観察し、最も大きい開孔の直径(長径)を計ることで測定する。
こうして、(3A)第1の研磨工程により、ガラス基板の主平面に残留する加工変質層を完全に除去し、かつ十分に平滑な主平面を得ることができる。(3A)第1の研磨工程後の主平面の平滑性は、例えば、微小うねり(μWa)で表すことができる。微小うねり(μWa)は、表面粗さの程度を表す指標の一つであり、50μm〜1200μmの周期を有するうねり成分と定義される。第1の研磨工程後の主平面の表面うねり(μWa)が0.4nm以下である場合、良好な平滑性を有しており、その後の研磨工程において、磁気記録媒体用ガラス基板の主平面に求められる平滑性にまで仕上げ研磨することが容易となる。
<(3B)第2の研磨工程>
前記第1の研磨工程によって、加工変質層が完全に除去されかつ十分に平滑化された主平面を、(3B)第2の研磨工程において、第2の砥粒を含有する第2の研磨液と第2の研磨パッドを用いて研磨する。第2の砥粒としては、平均粒径が5〜50nmのシリカ粒子を使用する。シリカ粒子の平均粒径が5nm未満の場合には、研磨速度が低くなりすぎて研磨に時間がかかりすぎる。平均粒径が50nmを超える場合には、平滑性に優れる主平面に研磨することが難しい。シリカ粒子の平均粒径は、5〜40nmの範囲がより好ましい。
第2の研磨液は、砥粒であるシリカ粒子とともに、シリカ粒子の分散媒として水を含有する。水については特に制限はないが、他の成分に対する影響、不純物の混入、pH等への影響の少なさの点から、純水、超純水、イオン交換水等を使用することが好ましい。
第2の研磨液のpHは特に限定されるものではないが、pH1〜6であることが好ましい。また、第2の研磨液は、砥粒であるシリカ粒子の分散剤を含有してもよい。分散剤としては、陰イオン性、陽イオン性、ノニオン性、両性の界面活性剤や界面活性作用のある水溶性ポリマーを使用することができる。
(3B)第2の研磨工程においては、第2の研磨パッドとして、軟質の発泡樹脂(例えば、軟質発泡ウレタン樹脂)からなるパッドの使用が好ましい。第2の研磨パッドの研磨面における開口の径は、特に限定されないが、研磨液を十分に保持しかつ被研磨面を平滑に研磨するために、最大径が10μm〜30μmであることが好ましい。
このような(3B)第2の研磨工程の後は、ガラス基板の精密洗浄を行い、磁気記録媒体用ガラス基板を得る。こうして得られた磁気記録媒体用ガラス基板の上に、磁性層などの薄膜を形成し、磁気ディスクを製造する。
本発明の製造方法によれば、面取りや研削等の加工の際にガラス基板の主平面に生じた加工変質層を、酸化セリウム砥粒を使用することなく研磨して除去するとともに、平滑性が高い主平面を有する磁気記録媒体用ガラス基板を高い生産性で得ることができる。そして、酸化セリウム砥粒の不使用により、ガラス基板の主平面への酸化セリウムの付着がなくなり、酸化セリウムに起因する異物をなくすことができる。さらに、酸化セリウムを除去するための酸洗浄の工程を不要にできるため、工程上の負荷をより低減できる。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。以下の例において、例1〜例9および例12〜例23は、本発明の実施例であり、例10および例11は比較例である。本発明は実施例に限定されるものではない。
砥粒の平均粒径、研磨液のpHは、以下の装置により測定された値である。また、研磨量、研磨速度、研削工程後の加工変質層の深さ、研磨パッドの開口の最大径、および第1の研磨工程後のガラス基板の主平面の平滑性(微小うねり)は、下記の方法により測定し評価した。
[砥粒の平均粒径]
砥粒の平均粒径は、平均粒径が150nm未満の小粒子の平均粒径については、動的光散乱方式粒度分布測定機(大塚電子社製:FPAR-1000)を使用し、平均粒径が大きい方の粒子(大粒子)については、レーザー回折・散乱装置(日機装社製:マイクロトラックMT3200II)を使用して測定した。
なお、平均粒径の異なる2種類の粒子を混合してなる混合粒子の平均粒径の測定は、SEM観察により実施した。
[研磨液のpH]
HORIBA社製のpH計D-51を使用し、25℃で測定した。
[研磨量]
主平面研削工程後または第1の研磨工程後のガラス基板を洗浄、乾燥した後、電子天秤(AND社製HR-202i)を用いて、片面における研磨量(μm)を測定した。
[研磨速度]
前記方法で測定された片面の研磨量(μm)を研磨に要した時間(min.)で除して、片面における研磨速度(μm/min.)とした。
[加工変質層の深さ]
主平面研削工程後のガラス基板の表面を、フッ酸と硝酸等を含む酸性のエッチング溶液を用いて5μmエッチングした後、ガラス基板の主平面を所定量研磨して洗浄と乾燥を行い、エッチング処理により円形状ピットまたは楕円形状ピットとなった加工変質層を光学顕微鏡で観察することにより実施した。光学顕微鏡の対物レンズは20倍を使用し、観察視野635μm×480μmで観察を行った。ガラス基板の両主平面において、0°、90°、180°、270°の計8箇所の位置で観察し、円形状ピットまたは楕円形状ピットが観察されなくなった時点におけるガラス基板の主平面の研磨量を、ガラス基板主平面の加工変質層最大深さとした。
また、第1の研磨工程後の主平面の加工変質層の有無は、ガラス基板の表面をフッ酸と硝酸等を含む酸性のエッチング溶液を用いて5μmエッチングした後、ガラス基板の主平面に円形状ピットまたは楕円形状ピットが存在するか否かを確認することにより判断した。
[研磨パッドの開口の最大径]
研磨パッドの研磨面を顕微鏡で観察し、断面に存在する最も大きい開口(孔)の直径を測定した。
[微小うねり(μWa)]
主平面の表面うねり(μWa)を走査型白色干渉計(Zygo社製NewView 5033)により測定した。
[例1]
フロート法で成形されたSiOを主成分とするガラス板を、外径65mm、内径20mm、板厚0.635mmの磁気記録媒体用ガラス基板用に、中央部に円孔を有する円盤形状に加工した。この中央部に円孔を有する円盤状ガラス基板の内周側面と外周側面を、面取り幅0.15mm、面取り角度45°となるように面取り加工した。
次いで、内周端面(内周側面と内周面取り部)を研磨ブラシと研磨液を用いて研磨し、面取り加工等により内周端面に生じたキズを除去し、鏡面となるように研磨した。その後、外周端面(外周側面と外周面取り部)を研磨ブラシと研磨液を用いて研磨し、面取り加工等により外周端面に生じたキズを除去し、鏡面となるように研磨した。端面研磨後のガラス基板に対しては、超音波洗浄を行った。
次いで、上下両主平面を、平均粒径が9μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具(3M社製、製品名:Trizact9μmAA1)と研削液を用いて、16B型の両面研磨装置により研削し、公知の方法で洗浄した(主平面研削工程)。洗浄後、主平面に残留する加工変質層の深さは13μmであった。
次に、(3A)第1の研磨工程で、第1の研磨液と第1の研磨パッドを用い、16B型の両面研磨装置により上下両主平面を研磨し、加工変質層を除去した後、(3B)第2の研磨工程で、第2の研磨液と第2の研磨パッドを用い、16B型の両面研磨装置により上下両主平面を平滑な面となるように研磨した。(3A)第1の研磨工程および(3B)第2の研磨工程における研磨条件は、以下の通りであった。
(3A)第1の研磨工程では、第1の研磨液として、平均粒径d50が80nmのシリカ粒子を含み、クエン酸およびクエン酸ナトリウムと水を含有するpH3の研磨液を使用した。また、第1の研磨パッドとして、研磨面に最大径が80μmの開口を有する軟質発泡ウレタン樹脂製の研磨パッドを使用した。そして、0.16μm/minの研磨速度(片面)で94分間研磨した。なお、第1の研磨工程後、前述の方法で主平面における加工変質層の有無を調べたところ、加工変質層は認められなかった。また、第1の研磨工程後の主平面の微小うねり(μWa)は0.23nmであった。
(3B)第2の研磨工程では、第2の研磨液として、平均粒径d50が20nmのシリカ粒子と水を含有する研磨液を使用し、主平面を研磨した。主平面研磨後のガラス基板は、洗剤を用いたスクラブ洗浄、洗剤溶液に浸漬した状態での超音波洗浄、オーバーフロする純水に浸漬した状態での超音波リンス洗浄、を順次行い、イソプロピルアルコール蒸気にて乾燥した。
洗浄後のガラス基板の主平面に付着した付着粒子を、表面検査装置(装置名:KLA Tencor社製 OSA-6100)を用いて検出し、検出した付着粒子をSEM−EDX(装置名:日立製作所社製S4700)を用いて調べたが、酸化セリウム粒子の存在は認められなかった。
[例2〜例3および例15]
固定砥粒の粒径(平均粒径)を表1あるいは表2に示すように変え、固定砥粒研削工程を行った。それ以外は例1と同様にして、ガラス基板の形状付与から主平面の研磨までの工程を順に行った。
そして、主平面の研削・研磨工程において、固定砥粒研削工程後の加工変質層の深さ、第1の研磨工程における研磨量と研磨速度と研磨時間、および第1の研磨工程後の主平面の特性(微小うねり(μWa)と加工変質層の有無)を、それぞれ測定した。測定結果を表1および表2に示す。
また、研磨終了後のガラス基板の主平面における付着粒子の有無を、前記と同様に表面検査装置とSEM−EDXを用いて調べたところ、例2〜3および例15のいずれにおいても、酸化セリウム粒子およびその他の異物の存在は認められなかった。
[例4〜例14]
第1の研磨液の組成を表1に示すように変えて、(3A)第1の研磨工程を行った。それ以外は例2と同様にして、ガラス基板の形状付与から主平面の研磨までの工程を順に行った。そして、主平面の研削・研磨工程において、固定砥粒研削工程後の加工変質層の深さ、第1の研磨工程における研磨量と研磨速度と研磨時間、および第1の研磨工程後の主平面の特性(微小うねり(μWa)と加工変質層の有無)を、それぞれ測定した。測定結果を表1および表2に示す。
また、研磨終了後のガラス基板の主平面における付着粒子の有無を、前記と同様に表面検査装置とSEM−EDXを用いて調べたところ、例4〜14のいずれにおいても、酸化セリウム粒子およびその他の異物の存在は認められなかった。
[例16]
固定砥粒工具を使用した固定研削の代わりに、平均粒径9μmのアルミナ粒子の遊離砥粒を使用して主平面の研削を行った。それ以外は例2と同様にして、ガラス基板の形状付与から主平面の研磨までの工程を順に行った。そして、主平面の研削・研磨工程において、研削工程後の加工変質層の深さ、第1の研磨工程における研磨量と研磨速度と研磨時間、および第1の研磨工程後の主平面の特性(微小うねり(μWa)と加工変質層の有無)を、それぞれ測定した。測定結果を表2に示す。
また、研磨終了後のガラス基板の主平面における付着粒子の有無を、前記と同様に表面検査装置とSEM−EDXを用いて調べたところ、酸化セリウム粒子およびその他の異物の存在は認められなかった。
[例17〜例18]
第1の砥粒として、表3に示す平均粒径を有するジルコニア粒子あるいはジルコン粒子を使用して(3A)第1の研磨工程を行った。それ以外は例2と同様にして、ガラス基板の形状付与から主平面の研磨までの工程を順に行った。そして、主平面の研削・研磨工程において、固定砥粒研削工程後の加工変質層の深さ、第1の研磨工程における研磨量と研磨速度と研磨時間、および第1の研磨工程後の主平面の特性(微小うねり(μWa)と加工変質層の有無)を、それぞれ測定した。測定結果を表3に示す。
また、研磨終了後のガラス基板の主平面における付着粒子の有無を、前記と同様に表面検査装置とSEM−EDXを用いて調べたところ、例17〜18のいずれにおいても、酸化セリウム粒子およびその他の異物の存在は認められなかった。
[例19〜例23]
第1の砥粒として、表3に示すように平均粒径の異なる2種類のシリカ粒子を同表に示す質量比で混合した混合粒子を使用して、(3A)第1の研磨工程を行った。それ以外は例2と同様にして、ガラス基板の形状付与から主平面の研磨までの工程を順に行った。そして、主平面の研削・研磨工程において、固定砥粒研削工程後の加工変質層の深さ、第1の研磨工程における研磨量と研磨速度と研磨時間、および第1の研磨工程後の主平面の特性(微小うねり(μWa)と加工変質層の有無)を、それぞれ測定した。測定結果を表3に示す。
また、研磨終了後のガラス基板の主平面における付着粒子の有無を、前記と同様に表面検査装置とSEM−EDXを用いて調べたところ、例19〜23のいずれにおいても、酸化セリウム粒子およびその他の異物の存在は認められなかった。
Figure 0005906823
Figure 0005906823
Figure 0005906823
表1〜表3からわかるように、本発明の実施例である例1〜例9および例12〜例23においては、加工変質層の残留がなく、かつ微小うねり(μWa)が十分に小さくて平滑性に優れた主平面が得られている。特に、(3A)第1の研磨工程で、平均粒径の異なる2種類の粒子を混合した混合粒子を砥粒として使用した実施例(例19〜例23)においては、それ以外の実施例に比べて研磨速度がより高くなっており、より短時間で平滑性の高い主平面が得られている。
それに対して、平均粒径が15μmを超えるダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具を用いて主平面の研削を行った例15では、この研削工程後も深さ15μm超の加工変質層が残っており、その後の第1の研磨工程で、残留する加工変質層を完全に除去することができないことがわかる。また、アルミナの遊離砥粒を用いて主平面の研削を行った例16においても、研削工程後深さ15μm超の加工変質層が残るので、その後の第1の研磨工程で残留する加工変質層を完全に除去することができないことがわかる。
本発明によれば、面取りや研削等の加工の際にガラス基板の主平面に生じた加工変質層を、酸化セリウム砥粒を使用することなく除去し、平滑性が高い主平面を有する磁気記録媒体用ガラス基板を高い生産性で得る製造方法を提供できる。
10…磁気記録媒体用ガラス基板、11…円孔、101…内周側面、102…外周側面、103…主平面、104…面取り部、105…外周面取り部、20…両面研削装置、30…上研磨面、40…下研磨面、50…キャリア、60…ガラス基板。

Claims (9)

  1. 円盤形状のガラス基板を形成する形状付与工程と、
    前記ガラス基板の主平面を研削する主平面研削工程と、
    前記主平面研削工程の後、前記ガラス基板の主平面を研磨する主平面研磨工程と
    を備える磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法であり、
    前記主平面研削工程は、平均粒径が0.01μm〜15μmのダイヤモンド砥粒を有する固定砥粒工具を用いて、前記ガラス基板の主平面を研削する固定砥粒研削工程を有し、
    前記主平面研磨工程は、シリカ粒子、ジルコニア粒子、ジルコン粒子、酸化マンガン粒子、チタニア粒子、および酸化鉄粒子からなる群より選ばれる1種以上で平均粒径が5nm〜3000nmの第1の砥粒を含有する第1の研磨液と、第1の研磨パッドを用いて、前記ガラス基板の主平面を研磨し、該主平面に存在する加工変質層を除去する第1の研磨工程と、
    前記第1の研磨工程の後、砥粒として平均粒径が5〜50nmのシリカ粒子を含有する第2の研磨液と第2の研磨パッドを用いて、前記ガラス基板の主平面を研磨する第2の研磨工程と
    を有することを特徴とする磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第1の砥粒は、平均粒径の異なる2種類の粒子を混合してなる混合粒子であり、平均粒径が大きい方の粒子(大粒子)の平均粒径と平均粒径が小さい方の粒子(小粒子)の平均粒径との比が、4以上50以下であり、かつ前記大粒子の混合割合が、第1の砥粒全体に対して10〜50体積%である請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記第1の研磨液は、pH1〜6の範囲である請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記第1の研磨液は、カルボン酸基を有する有機酸と該有機酸の塩を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記有機酸は、カルボン酸基を2個以上有する多価有機酸である請求項4に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  6. 前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸およびフタル酸からなる群より選ばれる1種以上である請求項5に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記有機酸の塩は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンからなる群より選ばれる1種以上の対イオンを有する塩である請求項4〜6のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  8. 前記固定砥粒研削工程において、前記ガラス基板の主平面を、該主平面の加工変質層の深さが15μm以下となるように研削する請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
  9. 前記第1の研磨パッドは、研磨面に最大径が30μm〜150μmの開口を有する発泡樹脂製の研磨パッドである請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法。
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