JP2006053965A - 磁気記録媒体用基板の製造方法並びにそれに用いる両面研磨装置及び基板研磨用キャリア - Google Patents

磁気記録媒体用基板の製造方法並びにそれに用いる両面研磨装置及び基板研磨用キャリア Download PDF

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Abstract

【課題】 基板への研磨砥粒の吸着を抑制することにより、研磨後の砥粒残渣の低減を可能とする。
【解決手段】 外周に遊星歯車を備えてなる基板研磨用キャリア6を太陽歯車4と内歯歯車5の間に設置し、基板研磨用キャリア6の基板保持孔に保持する基板7を上定盤3及び下定盤4のそれぞれに設けられた研磨布2の間に挟み込んで砥粒を含むスラリーを供給し、基板研磨用キャリア6を自転させながら、太陽歯車4の周りを公転させて、基板7の両面を研磨する両面研磨装置を用い、直流電源15により基板7の表面に砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態でスラリーを供給しながら基板7の表面を研磨するスラリー研磨工程と、同じく基板7の表面に電位を印加した状態でスラリーに換えて洗浄液を供給することにより基板7の表面を洗浄研磨する洗浄研磨工程とを含む基板研磨工程を設ける。
【選択図】 図1

Description

本発明は、砥粒を含むスラリーを供給しながら基板の表面を研磨する基板研磨工程を有する磁気記録媒体用基板の製造方法並びにそれに用いる両面研磨装置及び基板研磨用キャリアに関する。
コンピュータ等の情報処理装置の記憶装置として、固定磁気ディスク装置(ハードディスクドライブ)が多く用いられている。この固定磁気ディスク装置に用いられる磁気記録媒体は、一般に、非磁性基板上に、非磁性金属下地層、強磁性合金からなる薄膜磁性層、保護層、潤滑層が順次設けられて構成されている。
非磁性基板は、通常、アルミニウム合金、もしくはガラス材料からなるディスク状基材坂上に、無電解めっき法でNi−P層が形成され、その表面に鏡面加工が施されて、極めて平滑性の高い表面を有している。
このような平滑性の高い表面を有する基板を作製するための精密研磨(「ポリッシュ」ともいう。)としては、アルミナ系スラリー、コロイダルシリカ系スラリー等の遊離砥粒を含むスラリーを用いて、研磨部材の間に基板を挟み込んで研磨する両面研磨装置などによる研磨方法が知られている(特許文献1〜3参照)。
図4は、この種の両面研磨装置を示すもので、研磨布2が施された水平な上定盤3と下定盤1とからなり、下定盤1の中心部には太陽歯車4が配置されており、同外周部には内歯歯車5が配置されている。下定盤1上には、太陽歯車4と内歯歯車5に噛み合わされた状態で、図5に示すように、外周に遊星歯車13を備える基板研磨用キャリア6が配置されている。この基板研磨用キャリア6には、ディスク状の基板7をそれぞれ保持する複数の円形の基板保持孔14を備えている。
このように構成される両面研磨装置において、基板研磨用キャリア6の基板保持孔14内に基板7を配置し、この基板7の上下面に対して、上定盤3と下定盤1を押し当てた状態にして、スラリー9を上定盤3と下定盤1のそれぞれの研磨布2の間の基板7の表面に供給しながら太陽歯車4を回転駆動すると共に、上定盤3と下定盤1を相互に逆方向に回転駆動することにより、基板研磨用キャリア6を自転させながら太陽歯車4の周りで公転させて、基板7の両面を研磨する。
なお、11はスラリー9の供給・停止を制御するスラリー供給バルブであり、12は純水の供給・停止を制御する純水供給バルブである。
特開2000−15566号公報 特開2004−172338号公報 特開2000−158328号公報 特開2001−162510号公報 特開2002−123931号公報 特開2001−62704号公報
しかし、上述のようなスラリーを用いた研磨を行った基板記録面、及び基板外周端面部には、スラリー内の研磨砥粒が吸着されて残渣として付着している。
特に、基板外周端面部の研磨砥粒残渣は、製造工程内の基板搬送等に用いる基板保持治具に用いている樹脂、又は磁気記録媒体保管用の樹脂製ケース壁面と擦れることによりパーティクルの発生を引き起こし、記録面に付着する。
これら記録面上に付着した異物は、高速回転する媒体上を、媒体の回転で生じる空気流により僅かに浮上して走行している磁気ヘッドの浮上走行を不安定にし、サーマル・アスペリティ等の原因となる。
基板記録面上の研磨砥粒残渣を除去する方法としては、スポンジブラシを押し当てて擦り取るスクラブ洗浄等の洗浄方法が一般的である。しかし、同一のスポンジブラシを用いて多数の基板を洗浄した場合、スポンジブラシ内に取り込まれた研磨砥粒により、基板記録面にスクラッチ傷を発生させてしまうので、その前に砥粒の残渣をできる限り少なくして置く必要がある。
一方、基板外周端面部の研磨砥粒残渣を除去する方法としては、両面研磨工程の前後に回転ブラシ等による研磨工程を行うことが提案されている(特許文献4,5参照)。これらの手法は、上記問題解決に対して有効であるが、工数が増えてしまうために、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
本発明は、上述の点に鑑み、研磨中の基板表面への砥粒の吸着を抑制することにより、研磨後の砥粒残渣の低減を可能とする磁気記録媒体用基板の製造方法並びにそれに用いる両面研磨装置及び基板研磨用キャリアを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明の磁気記録媒体用基板の製造方法は、砥粒を含むスラリーを供給しながら基板の表面を研磨する基板研磨工程を有する磁気記録媒体用基板の製造方法において、前記基板研磨工程は、前記基板の表面に前記砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態で前記スラリーを供給しながら当該基板の表面を研磨するスラリー研磨工程と、前記基板の表面に前記電位を印加した状態で前記スラリーに換えて洗浄液を供給することにより当該基板の表面を洗浄研磨する洗浄研磨工程とを含むことを特徴とする。ここで、洗浄液として純水を用いることが好ましい。
また、本発明の両面研磨装置は、ディスク状の基板を保持するための基板保持孔を有し、外周に遊星歯車を備えてなる基板研磨用キャリアを太陽歯車と内歯歯車の間に設置し、前記基板保持孔に保持する基板を上定盤及び下定盤のそれぞれに設けられた研磨布の間に挟み込んでスラリーを供給し、前記基板研磨用キャリアを自転させながら、前記太陽歯車の周りを公転させて、前記基板の両面を研磨する両面研磨装置において、前記基板研磨用キャリアの基板保持孔の内周が、前記基板の外周に接触して前記内歯歯車を介して前記基板の表面に電位を印加するための一方の電極としてなり、前記上定盤及び下定盤が、前記基板の表面に供給されるスラリーに接触する他方の電極としてなることを特徴とする。
さらに、本発明の基板研磨用キャリアは、ディスク状の基板を保持するための基板保持孔を有し、外周に遊星歯車を備えてなる基板研磨用キャリアにおいて、前記基板保持孔の内周が、前記基板の外周に接触して前記基板に電位を印加するための電極としてなる導電性基板研磨用キャリアと、該導電性基板研磨用キャリアを挟み込んでその上下面を絶縁する絶縁性基板研磨用キャリアとからなることを特徴とする。
また、本発明の磁気記録媒体用基板の製造方法において、本発明の両面研磨装置を用いて、前記一方の電極と他方の電極の間に直流電圧を印加することにより前記基板の表面に前記砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態で前記スラリー研磨工程及び洗浄研磨工程を実行することが好ましい。
本発明によれば、基板の表面に砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加して基板表面と砥粒の間に電気的斥力を生じさせることで、研磨中の基板表面への砥粒の吸着を抑制し、その状態でスラリーに換えて洗浄液を供給して洗浄研磨することで、研磨後の砥粒残渣の低減が可能となり、結果として安定した磁気ヘッドの浮上走行を達成することができる。
〔対象基板〕
本発明は、基板の表面に砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加して基板表面と砥粒の間に電気的斥力を生じさせることで、基板表面への研磨砥粒の吸着を抑制するものであるから、少なくとも表面に導電性を有する基板を研磨対象とし、具体的には、無電解めっき法によりNi−P系非磁性金属層をめっき形成したAl系合金ディスク基板や同じく非磁性金属層をめっき形成したガラスディスク基板などの通常の磁気記録媒体用基板を研磨対象とすることができる。また、垂直磁気記録媒体用の基板として、軟磁性金属層をめっき形成したものであっても良い。
〔研磨装置〕
本発明の実施形態に用いる研磨装置は、図4に示すような一般的に知られている両面研磨装置に対して、上定盤3と下定盤1に図1に示すような改造を行った電位印加型両面研磨装置としてなるものである。
すなわち、図1に示すように、上定盤3及び下定盤1の研磨面の内周部と外周部は、研磨布2と同じ高さとなっており、基板7の表面に供給されるスラリーに接触する電極として作用する。内歯歯車5と上定盤3及び下定盤1は導電性を有する材料で構成し、ステンレス材を用いることが好ましい。また、研磨布2としては、公知の発砲ウレタン系の研磨布(研磨パッドともいわれる砥粒が固定されていないもの、例えば特許文献6参照)を用いることができ、絶縁性を有するものである。
ここで、基板7とスラリーの間に、内歯歯車5及び基板研磨用キャリア6並びに上定盤3及び下定盤1を介して直流電圧を印加して基板7の表面の電位を調整するために、内歯歯車5は導線16を介して直流電源15の一側に接続し、上定盤3及び下定盤1は導線16を介して直流電源15の他側に接続する。これにより、基板研磨用キャリア6の基板保持孔の内周は、基板7の外周に接触する電極として働き、基板7には、導線16、内歯歯車5及び基板研磨用キャリア6を介して直流電源15の一側の電位が印加される。
この電位印加型両面研磨装置に用いる基板研磨用キャリア6は、図2及び図3に示すように、基板保持孔の内周が、基板2の外周に接触して基板7に電位を印加するための電極としてなる導電性基板研磨用キャリア17と、この導電性基板研磨用キャリア17を挟み込んでその上下面を絶縁する絶縁性基板研磨用キャリア18とからなる電位印加型基板研磨用キャリアとしてなるものである。
ここで、導電性基板研磨用キャリア17にはステンレス材を用い、絶縁性基板研磨用キャリア18には、耐磨耗性の高い、ガラス繊維入りエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
この電位印加型基板研磨用キャリアの厚さは、基板7の仕上げ厚さより、例えば0.2〜0.6mm程度小さい値である。導電性基板研磨用キャリア17の厚さは、全体の1/3以下の値である。また、絶縁性基板研磨用キャリア18は、導電性基板研磨用キャリア17の遊星歯車端部、及び基板保持孔端部よりも、それぞれ1mm程度小さい値である。
なお、この実施形態では、図2に示すように、4つの円形の基板保持孔が施された基板研磨用キャリアを用いたが、基板研磨用キャリア及び基板の大きさにより、基板保持孔の数は任意に設定することができる。
また、上述のように上定盤3及び下定盤1の研磨面の内周部と外周部(他方の電極)を研磨布2と同じ高さにする場合、上定盤3及び下定盤1の押圧による研磨布2の潰れを考えると、基板研磨用キャリア6の回転に支障がある場合があるので、その場合には、上定盤3及び下定盤1の研磨面の内周部と外周部の高さを研磨布2よりも低くすることなどにより、上定盤3及び下定盤1による加圧状態で、上定盤3及び下定盤1の研磨面の内周部及び外周部と、基板研磨用キャリア6の外周部の上下面との間に隙間ができるようにそれらの寸法を調整する。
絶縁性基板研磨用キャリア18は、上定盤3及び下定盤1の内外周部に施した電極(他方の電極)と導電性基板研磨用キャリア17(一方の電極)がショートすることを防止するためのものであり、それらの接触状態が生じないように上述のように寸法を調整する場合には必要はないが、研磨装置としての耐磨耗性は必要である。従って、絶縁性基板研磨用キャリア18の必要がない場合には、基板研磨用キャリア6の全体を耐磨耗性の高い導電性材料(例えば超硬合金)を用いて構成することができる。
〔基板研磨工程〕
本発明の基板研磨工程の実施形態おいては、上述の電圧印加型両面研磨装置を用いて、スラリーに含む砥粒のゼータ電位と同符号の電位を基板に印加した状態でスラリーを供給しながら基板の表面を研磨するスラリー研磨工程と、基板の表面に砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態でスラリーに換えて洗浄液、好ましくは純水を供給することにより基板の表面を洗浄研磨する洗浄研磨工程とからなる基板研磨工程を実行する。
ここで、基板研磨工程は、図6に示すように、粗研磨工程S101及び仕上げ研磨工程S102からなり、粗研磨工程S101及び仕上げ研磨工程S102のそれぞれが、スラリー研磨工程S11,S12及び洗浄研磨工程S21,S22を有することが好ましい。
スラリーとしては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、炭化珪素、ジルコニア、ダイヤモンド等の研磨剤を、一般的な有機酸を用いた酸性エッチング剤と調合して、粗研磨用のスラリーとする。これらの研磨剤の粒径は、5nm以上3000nm以下であることが望ましい。なお、軟磁性金属層をめっき形成した垂直磁気記録媒体用基板を研磨する場合には、アルカリ性に調合したスラリーを用いることが好ましい。また、仕上げ研磨用のスラリーとしては、コロイダルシリカを純水中に分散させたものが好ましい。
スラリー研磨工程においては、まず、基板研磨用キャリア6の基板保持孔に基板7をセットして上定盤3及び下定盤1の間に研磨布2を介して挟みこんで所定の圧力で押圧すると共に、スラリー供給バルブ11を開いてスラリー9を供給(図4参照)して基板7の表面及び上定盤3及び下定盤1の内外周の電極部をスラリーで満たした状態とし、直流電源15を用いて基板7とスラリーの間に電圧を印加して、基板表面の電位を砥粒のゼータ電位と同符号の電位に調整する。その状態で、上定盤3、下定盤1及び太陽歯車4を回転してスラリー6を供給しながら基板7の研磨を行う。そうすることで、基板表面と砥粒間に電気的斥力が生じ、研磨中に基板表面への研磨砥粒の吸着を抑制することができる。
続いて、研磨が終了した後、洗浄研磨工程として、スラリー供給バルブ11を閉じ、純水供給バルブ12を開いて洗浄液としての純水10を供給する(図4参照)ことで、基板上のスラリーを簡易的に取り除く洗浄を行う。ここでも上記の電位を維持することで、洗浄時に基板表面への研磨砥粒の吸着を抑制すると同時に、純水を供給し続けることで基板上の砥粒を積極的に排出する。
ここで、上記スラリー研磨工程と、純水供給を行う洗浄研磨工程は、連続して行うことが望ましい。それぞれの工程を分割することは、電位の印加を中断することであり、砥粒の吸着を促す可能性がある。また、工程間で、基板表面が乾燥した場合、基板上に存在する砥粒は強固に付着してしまい、除去が非常に困難となる。
そこで、スラリー研磨工程及び洗浄研磨工程において、基板に対して、直流電源を用いて電圧を印加して基板表面の電位を調整することにより、基板表面と砥粒間に電気的斥力を生じさせることで、基板表面に研磨砥粒の吸着を抑制することができ、研磨後の研磨砥粒残渣を無くすことが可能となる。清浄な基板表面を得るためには、洗浄を強化すると共に、汚染物質の付着・吸着を限りなく少なくすることが重要であるが、そのために、洗浄中のみならず、研磨中も電位を印加することが有効である。
以上のように、研磨中及び洗浄中に基板の表面に砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加することで、砥粒の基板への吸着を抑制し、研磨後の研磨砥粒残渣を無くすことが可能となるので、結果として安定した磁気ヘッドの浮上走行を達成することができる。
以下に、図1に示す電圧印加型両面研磨装置を用いて、Al合金系からなる非磁性ディスク基板上に無電解めっき法により非磁性Ni−P層を10μmの厚さで形成した磁気記録媒体用基板を、図6に示す粗研磨工程S101及び仕上げ研磨工程S102からなる基板研磨工程により研磨する場合の実施例について説明する。
〔粗研磨工程〕
まず、粗研磨工程S101のスラリー研磨工程S11では、平均粒径700nmのアルミナ砥粒による研磨剤を用い、酸性エッチング剤によりpHを4に調整したスラリーを用いた。このスラリーは、両面研磨装置のスラリー供給バルブ11を開くことにより供給され、上記の基板表面のNi−P層を粗研磨する。本工程における研磨量は、100nm以上1000nm以下が望ましく、この実施例では500nm程度の研磨を行った。なお、加工圧力は100g/cmとし、定盤回転速度は50rpmとした。
スラリーを用いた粗研磨が終了した後、洗浄研磨工程S21として、加工圧力、及び定盤回転速度はそのままの状態で、スラリー供給バルブ11を閉じ、純水供給バルブ12を開いて純水を供給することで、基板7上のスラリーを簡易的に取り除いた。
〔仕上げ研磨工程〕
次に、仕上げ研磨工程S102のスラリー研磨工程S12では、これに用いるスラリーとして、粒子径80nmのコロイダルシリカを純水中に分散させたものを用いた。このスラリーは、両面研磨装置のスラリー供給バルブ11を開くことにより供給して、仕上げ研磨を行う。本工程における研磨量は、50nm以上200nm以下が望ましく、この実施例では100nm程度の仕上げ研磨を行った。なお、加工圧力は100g/cmとし、定盤回転速度は50rpmとした。
スラリーを用いた仕上げ研磨が終了した後、洗浄研磨工程S22として、加工圧力、及び定盤回転速度はそのままの状態で、スラリー供給バルブ11を閉じ、純水供給バルブ12を開いて純水を供給することで、基板7上のスラリーを簡易的に取り除いた。
〔実施例1〜9〕
上記の工程における電位の印加は、粗研磨工程S101及び仕上げ研磨工程S102共に、スラリー供給バルブ11を開き、スラリーの供給が始まった時点から開始した。スラリー供給から純水供給へ切り換わる間も電位を印加し続け、純水供給バルブ12を閉じた時点で、電位の印加を終了した。
ここで、本発明の効果を確認するために、上述の粗研磨工程S101及び仕上げ研磨工程S102における基板7への印加電位を表1に示すように換えて各工程を実施し、実施例1〜9(参考例、比較例を含む)とした。
Figure 2006053965
以上の研磨工程の後、純水によるスクラブ洗浄を行い、更にスピン乾燥により基板表面の水分を除去した。
〔評価〕
以上のようにして得られた実施例1〜9の基板に対して、各基板1枚を25%硝酸溶液に10分間浸漬し、Ni−P層の表面を溶解し、基板表面上のアルミナ残渣、及びコロイダルシリカ残渣の抽出を行い、抽出液に対して誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−ms)を行い、抽出液中のアルミニウム量、及びシリコン量を定量した。
さらに、実施例1〜9の基板に、微細な凹凸を形成するテクスチャー加工を施した後、非磁性金属下地層、強磁性合金からなる薄膜磁性層、保護層、潤滑層を順次形成して磁気記録媒体を各1000枚作製し、ヘッド浮上試験を行い、歩留まりを調査した。ヘッド浮上試験は、ヘッドの浮上走行中に異物突起に接触した衝撃を感知するPZT素子を搭載した試験用のヘッドを用いて、高さ10nm以上の異物突起を検出した磁気記録媒体に対して不良判定を行った。その結果を表2に示す。
なお、テクスチャー加工にはダイヤモンド砥粒を用いたが、アルミナ、コロイダルシリカと比較して洗浄が容易であり、上述の基板研磨工程以外は実施例1〜9について同条件で実施しているので、テクスチャー加工が表2の評価結果に与える影響が問題となることはない。
Figure 2006053965
表2より、アルミナ砥粒を用いた場合は、砥粒がプラスのゼータ電位を持つので、基板側にプラス電位を与えた時に良好な結果が得られ、コロイダルシリカ砥粒を用いた場合は、砥粒がマイナスのゼータ電位を持つので、基板側にマイナス電位を与えた時に良好な結果が得られることが分かる。
すなわち、粗研磨工程にアルミナ砥粒、仕上げ研磨工程にコロイダルシリカを用いたポリッシュ工程を行う際には、前者工程中は基板側にプラス電位を、後者工程中は基板側にマイナス電位を印加した場合に、基板表面上のアルミナ残渣、及びコロイダルシリカ残渣は、電位印加無しの場合及び逆符号の電位を印加した場合と比較して最小となり、粗研磨工程と仕上げ研磨工程が共に電位印加条件を満足する実施例2の歩留まりが最高となっている。
従って、用いる砥粒に対して、砥粒のゼータ電位と同符号となる適切な極性の電位を印加することで、基板表面に対する砥粒の吸着を抑制することができる。
本発明の実施形態に用いる両面研磨装置の概略図である。 図1の両面研磨装置に用いる基板研磨用キャリアの概略平面図である。 図2の基板研磨用キャリアの概略断面図である。 一般的な両面研磨装置の概略図である。 図4の両面研磨装置に用いる基板研磨用キャリアの概略平面図である。 本発明に係る基板研磨工程の実施形態を示す工程図である。
符号の説明
1 下定盤
2 研磨布
3 上定盤
4 太陽歯車
5 内歯歯車
6 基板研磨用キャリア
7 基板
8 スラリー溜め
9 砥粒を含むスラリー
10 純水
11 スラリー供給バルブ
12 純水供給バルブ
13 遊星歯車
14 基板保持孔
15 直流電源
16 導線
17 導電性基板研磨用キャリア
18 絶縁性基板研磨用キャリア

Claims (4)

  1. 砥粒を含むスラリーを供給しながら基板の表面を研磨する基板研磨工程を有する磁気記録媒体用基板の製造方法において、
    前記基板研磨工程は、
    前記基板の表面に前記砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態で前記スラリーを供給しながら当該基板の表面を研磨するスラリー研磨工程と、
    前記基板の表面に前記電位を印加した状態で前記スラリーに換えて洗浄液を供給することにより当該基板の表面を洗浄研磨する洗浄研磨工程とを含むことを特徴とする磁気記録媒体用基板の製造方法。
  2. ディスク状の基板を保持するための基板保持孔を有し、外周に遊星歯車を備えてなる基板研磨用キャリアを太陽歯車と内歯歯車の間に設置し、前記基板保持孔に保持する基板を上定盤及び下定盤のそれぞれに設けられた研磨布の間に挟み込んでスラリーを供給し、前記基板研磨用キャリアを自転させながら、前記太陽歯車の周りを公転させて、前記基板の両面を研磨する両面研磨装置において、
    前記基板研磨用キャリアの基板保持孔の内周が、前記基板の外周に接触して前記内歯歯車を介して前記基板の表面に電位を印加するための一方の電極としてなり、
    前記上定盤及び下定盤が、前記基板の表面に供給されるスラリーに接触する他方の電極としてなることを特徴とする両面研磨装置。
  3. ディスク状の基板を保持するための基板保持孔を有し、外周に遊星歯車を備えてなる基板研磨用キャリアにおいて、前記基板保持孔の内周が、前記基板の外周に接触して前記基板に電位を印加するための電極としてなる導電性基板研磨用キャリアと、該導電性基板研磨用キャリアを挟み込んでその上下面を絶縁する絶縁性基板研磨用キャリアとからなることを特徴とする基板研磨用キャリア。
  4. 前記基板研磨工程に請求項2に記載の両面研磨装置を用いて、前記一方の電極と他方の電極の間に直流電圧を印加することにより前記基板の表面に前記砥粒のゼータ電位と同符号の電位を印加した状態で前記スラリー研磨工程及び洗浄研磨工程を実行することを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体用基板の製造方法。
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