JP2009226542A - マスクブランク用基板の製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、及び反射型マスクブランクの製造方法、並びに反射型マスクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス基板の表面に研磨パッドを接触させ、ガラス基板の表面に研磨砥粒を含む研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させてガラス基板の表面を研磨する研磨工程と、ガラス基板の表面を洗浄する洗浄工程とを有し、研磨砥粒はコロイダルシリカであって、研磨液のゼータ電位の極性と洗浄液のゼータ電位の極性とを一致させる。得られるマスクブランク用基板1上に多層反射膜2及び吸収体膜4を形成して反射型マスクブランク10とし、この反射型マスクブランク10における吸収体膜4をパターニングして吸収体パターンを形成して反射型マスク20とする。
【選択図】図1
Description
また、下記特許文献2(特開2006−35413号公報)には、平均一次粒子径が50nm以下のコロイダルシリカを含み、pHが0.5〜4の範囲となるように調整された研磨スラリーを用いてガラス基板表面を研磨し、研磨後のガラス基板を硫酸と過酸化水素の熱溶液で洗浄し、さらに中性界面活性剤溶液で洗浄するガラス基板の研磨方法が開示されている。
また、本発明は、基板表面が高平滑で、多層反射膜の露光光に対する高い反射率が得られる多層反射膜付き基板の製造方法、及び反射型マスクブランクの製造方法を提供することを第二の目的とする。
さらに、本発明は、高反射率で、基板表面の微小な表面欠陥に起因する位相欠陥や転写パターン欠陥のない反射型マスクの製造方法を提供することを第三の目的とする。
構成1にあるように、研磨工程に用いる研磨液に含まれる研磨砥粒はコロイダルシリカであって、研磨工程で使用する研磨液のゼータ電位の符号(極性)と、洗浄工程で使用する洗浄液のゼータ電位の符号(極性)とを一致させることにより、研磨工程でガラス基板表面に付着した研磨砥粒を研磨後の洗浄工程で、特に酸性やアルカリ性の強い洗浄液を使用しなくても、確実に取り除くことができ、洗浄後の基板表面に研磨砥粒の残留するのを防止することができるので、研磨砥粒の付着残留等による凸欠陥を低減し、基板表面が高平滑(例えば0.15nmRms以下)なマスクブランク用基板が安定的に得られる。
とくに構成2にあるように、研磨液と洗浄液のゼータ電位の符号(極性)を−(マイナス)に制御することにより、構成1の発明による効果に加えて、研磨液中に分散するコロイダルシリカ砥粒が凝集することなく分散性が良好な状態を保ち、研磨加工中における研磨液の状態が安定であるため、研磨液中の研磨砥粒の分散性が不良であることに起因する基板表面の微小な表面欠陥の発生を低減することができる。
そして、構成3のように、研磨工程で使用する研磨液は、pHが1〜5の範囲の酸性域とすることが好ましい。ガラス基板の場合、酸性の研磨液により研磨加工速度を向上させることができるとともに、本発明による効果をより一層発揮させることができる。
また、構成4にあるように、本発明は、マスクブランク用基板が多成分系ガラス基板である場合に好適である。多成分系ガラス基板は、本発明による研磨工程及び洗浄工程を施すことにより、高平滑な基板表面が得られる。
(構成5)前記基板は、SiO2とTiO2を含むガラス基板であることを特徴とする構成1又は2に記載のマスクブランク用基板である。
そして、構成5のように、マスクブランク用基板が、例えばEUV露光用の反射型マスクブランクに多用されるSiO2とTiO2を含むガラス基板である場合に、凸欠陥等の表面欠陥を低減し高平滑性が得られる本発明は特に好適である。
構成6のように、上記マスクブランク用基板の表面上に、露光光を反射する多層反射膜を形成することにより、基板表面の凸欠陥等の表面欠陥を低減し、基板表面が高平滑であるため、露光光に対する高反射率が得られる多層反射膜付き基板を得ることができる。
(構成7)構成6に記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、露光光の反射を防止する吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法である。
また、構成7のように、上記多層反射膜付き基板における多層反射膜上に、露光光の反射を防止する吸収体膜を形成することにより、基板表面の凸欠陥等の表面欠陥を低減し、基板表面が高平滑であるため、露光光に対する高反射率が得られる反射型マスクブランクが得ることができる。
また、構成8にあるように、上記反射型マスクブランクにおける吸収体膜をパターニングして吸収体パターンを形成することにより得られる反射型マスクによれば、半導体基板上へのパターン転写時に、基板表面の微小な表面欠陥(特に凸欠陥)に起因する位相欠陥やパターン欠陥に起因する転写パターン欠陥の発生を防止することができる。
また、本発明によれば、本発明によるマスクブランク用基板を用いて、多層反射膜の露光光に対する高い反射率が得られる多層反射膜付き基板、及び反射型マスクブランクを提供することができる。
また、本発明によれば、本発明による反射型マスクブランクを用いて、高反射率で、基板表面の微小な表面欠陥に起因する位相欠陥や転写パターン欠陥のない反射型マスクを提供することができる。
また、このようなマスクブランク用基板上に、たとえば露光光を反射する多層反射膜を形成した場合、露光光(例えばEUV光)に対する高反射率が得られる。
本発明は、マスクブランク用基板が多成分系ガラス基板である場合に好適である。多成分系ガラス基板の場合、本発明による研磨工程及び洗浄工程を施すことにより、高平滑な基板表面が得られ、また、特に酸性の研磨液を使用すると研磨加工速度を向上させることができる。とりわけ、マスクブランク用基板が、例えばEUV露光用の反射型マスクブランクに多用されるSiO2とTiO2を含むガラス基板である場合に、凸欠陥等の表面欠陥を低減し高平滑性の基板が得られる本発明は特に好適である。
この場合、研磨液と洗浄液の好ましいゼータ電位の大きさは、−(マイナス)の極性においては、−60mV〜−30mVの範囲であることが好ましく、+(プラス)の極性においては、30mV〜60mVの範囲であることが好ましい。本発明による研磨、洗浄後のガラス基板表面に研磨砥粒が残留付着するのを防止する効果が良好に発揮されるとともに、研磨液中に分散するコロイダルシリカ砥粒の凝集を抑制することができるからである。
また、研磨液と洗浄液のゼータ電位の大きさは一致しているほうが好ましい。本発明による研磨、洗浄後のガラス基板表面に研磨砥粒が残留付着するのを防止する効果がより確実に得られるからである。
上記無機酸としては、特に限定されるわけではないが、たとえば塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、ホウ酸。ホスホン酸。ホスフィン酸等が挙げられ、この中でもとくに塩酸、硫酸、燐酸から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。これら塩酸、硫酸、燐酸を用いると、特に多成分系ガラス基板における基板表面の過度な浸食を抑制し、基板の表面荒れを防止することができるからである。
上記無機酸の含有量は、研磨液のpHを1〜5の酸性域に調整するための適当な含有量であればよい。
この有機酸の含有量は、使用する無機酸の種類、含有量、研磨液のpH値によっても異なるので一概には言えないが、概ね0.1重量%〜0.4重量%程度の範囲とすることが好ましい。更に好ましくは、有機酸の含有量は、0.2重量%〜0.3重量%が望ましい。
また、研磨液のpHが1〜5の範囲において、研磨液のゼータ電位の符号(極性)を+(プラス)に制御する場合は、酸性域においてゼータ電位の符号(極性)が+(プラス)であるカチオン性のコロイダルシリカを用いることができる。
なお、研磨砥粒を含有する研磨液の処方及び液温、研磨パッドの材質、加工圧力、研磨時間等の条件は、所望の平滑性が得られるように適宜設定される。
たとえばEUV露光用のマスクブランク用基板としては、露光時の熱による転写パターンの歪みを抑えるために、低熱膨張性のガラス基板(例えばSiO2−TiO2系基板など)が通常使用される。EUV露光用のマスクブランク用基板の場合、パターン転写時のパターンの歪みや位置ずれを防止するために、高平滑性に加えて高平坦度であることが要求される。そこで、研磨工程の後、主に高平坦度化を目的とする局所加工を施してもよい。これは、研磨加工後の基板表面の表面形状を測定して、凸部位を特定し、凸部位の高さ(凸度)に応じた加工条件で凸部位に局所加工を施すものである。局所加工は、例えばプラズマエッチング、イオンビーム(ガスクラスターイオンビームなど)等によって行うことができる。ただし、このような局所加工によって、加工変質層が生じる場合があり、この場合は、局所加工後に、必要に応じて加工変質層の除去を目的とした短時間の研磨を行ってもよい。
以上のようにして、研磨砥粒の残留付着がなく、基板表面の微小な表面欠陥(特に凸欠陥)を低減し、基板表面が高平滑(例えば0.15nmRms以下)であるマスクブランク用基板が得られる。
本発明により得られるマスクブランク用基板の表面上に、露光光を反射する多層反射膜を形成することにより、基板表面が高平滑であるため、露光光に対して高反射率の多層反射膜付き基板が得られる。
また、上記多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、露光光の反射を防止する吸収体膜を形成することにより、基板表面が高平滑であるため、露光光に対して高反射率の反射型マスクブランクが得られる。
以上の工程により、反射型マスクブランク10(図1(a)参照)が得られる。
なお、吸収体膜4の材料、エッチング条件によって多層反射膜へのダメージが少ない場合は、上記バッファ膜3を省く構成としてもよい。また、本発明でいう反射型マスクブランクは、上述の吸収体膜上にレジスト膜を形成した構成でも構わない。
まず、以下の実施例において研磨工程で使用する遊星歯車方式の両面研磨装置について図3を用いて説明する。
研磨加工時には、キャリア14に保持された被研磨加工物を上定盤15及び下定盤16とで挟持するとともに、上下定盤15,16の研磨パッド17と被研磨加工物との間に研磨液を供給しながら、太陽歯車12や内歯歯車13の回転に応じて、キャリア14が公転及び自転しながら、被研磨加工物の上下両面が研磨加工される。
(実施例1)
SiO2−TiO2系低熱膨張ガラス基板(152.4mm×152.4mm)の端面を面取加工、及び研削加工、更に酸化セリウム砥粒を含む研磨液で粗研磨処理を終えたガラス基板を上述の両面研磨装置のキャリアにセットし、以下の研磨条件で研磨加工(精密研磨)を行った。
研磨パッド:軟質ポリシャ(スウェードタイプ)
研磨液:アニオン性コロイダルシリカ砥粒(平均粒径100nm)を含む酸性水溶液(pH:1〜5)
加工圧力:50〜100g/cm2
加工時間:60分
上述の精密研磨等を複数バッチ行い、ガラス基板(EUV露光用の反射型マスクブランク用ガラス基板)を100枚作製した。
また、この得られたガラス基板の主表面をレーザー干渉コンフォーカル光学系による欠陥検査装置を用いて微小な凸状と凹状の表面欠陥を調べたところ、微小な表面欠陥の発生個数は、0.02個/cm2であった。
上述の実施例1において、精密研磨工程で使用する研磨液を、カチオン性コロイダルシリカ砥粒(平均粒径100nm)を含む酸性水溶液(pH:1〜5)とした。本実施例に使用する研磨液には、硫酸と酒石酸とを加え、pHが1〜5の範囲になるように予め調整した。また、上記カチオン性コロイダルシリカ砥粒は、pH1〜5の範囲においては、ゼータ電位は18mV〜37mVであった。このコロイダルシリカ砥粒を含む研磨液のpH1〜5の範囲におけるゼータ電位の符号(極性)は+(プラス)であった。
また、研磨後の洗浄工程では、ゼータ電位の符号(極性)が研磨液と一致する+(プラス)である酸性洗浄液(硫酸:0.6重量%濃度)を使用した。
本実施例では、上記組成の研磨液及び洗浄液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、精密研磨、形状調整、洗浄を行い、ガラス基板(EUV露光用の反射型マスクブランクス用ガラス基板)100枚を作製した。
また、この得られたガラス基板の主表面をレーザー干渉コンフォーカル光学系による欠陥検査装置を用いて微小な凸状と凹状の表面欠陥を調べたところ、微小な表面欠陥の発生個数は、0.03個/cm2であった。
本実施例においても、高平滑で、しかも微小表面欠陥の極めて少ないガラス基板が得られることがわかった。
上述の実施例1における、研磨後の洗浄工程では、ゼータ電位の符号(極性)が研磨液とは異なる+(プラス)である酸性洗浄液(硫酸:0.6重量%濃度)を使用した。
こうして本比較例では、上記組成の洗浄液を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、精密研磨、形状調整、洗浄を行い、ガラス基板(EUV露光用の反射型マスクブランクス用ガラス基板)100枚を作製した。
そこで、この研磨砥粒の残留付着を減らすために、研磨後に、更に酸性の強い洗浄液(フッ酸:10重量%)を用いて洗浄を行ったところ、得られたガラス基板の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(RMS)で0.5nm〜0.7nmであり、EUV露光用の反射型マスクブランクス用ガラス基板に要求される平滑性が得られなかった。これは、基板表面に付着した研磨砥粒を洗浄で十分に除去するため、酸性の強い洗浄液を用いたために、基板表面がかえって荒れてしまったことによるものと考えられる。
上述の実施例1により得られたEUV露光用の反射型マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、多層反射膜2として、MoとSiを積層した。DCマグネトロンスパッタ法により、まずSiターゲットを用いて、Arガス0.1PaでSi膜を4.2nm成膜し、その後、Moターゲットを用いて、Arガス圧0.1PaでMo膜を2.8nm成膜し、これを1周期として、40周期積層した後、最後にSi膜を11nm成膜した。こうして、多層反射膜付き基板を作製した。波長13.5nmの露光光に対する多層反射膜の反射率は、65%であり、高反射率が得られた。
まず、上記反射型マスクブランク10上にEBレジストを塗布、乾燥し、EB描画によりレジストパターンを形成した。
このレジストパターンをマスクとして、TaBNからなる吸収体膜4を、塩素を用いてドライエッチングし、吸収体パターンを形成した。その後、吸収体パターン上に残存するレジストパターンを除去し、下地のCrN膜より構成されるバッファ膜3は、上記吸収体パターンをマスクとして、塩素と酸素の混合ガスを用いたドライエッチングで除去し、反射型マスクを作製した。
このようにして本実施例で得られた反射型マスクを用いて、図2に示すパターン転写装置により、半導体基板上へのパターン転写を行った結果、位相欠陥やパターン欠陥のない、高精度な微細パターンを形成できることを確認した。
上述の比較例1により得られたEUV露光用の反射型マスクブランク用ガラス基板の主表面上に、実施例3と同様に、多層反射膜2、バッファ膜3及び吸収体膜4を順次成膜して、反射型マスクブランクを作製した。
なお、波長13.5nmの露光光に対する多層反射膜の反射率は、62%であり、実施例3と比べると反射率は低下した。また、多層反射膜表面には、ガラス基板表面の微小な表面欠陥に起因する表面欠陥が認められた。
次に、この反射型マスクブランクを用いて、実施例3と同様に反射型マスクを作製した。
2 多層反射膜
3 バッファ膜
4 吸収体膜
10 反射型マスクブランク
12 太陽歯車
13 内歯歯車
14 キャリア
15 上定盤
16 下定盤
17 研磨パッド
20 反射型マスク
50 パターン転写装置
Claims (8)
- ガラス基板の表面に研磨パッドを接触させ、前記ガラス基板の表面に研磨砥粒を含む研磨液を供給し、前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対的に移動させて前記ガラス基板の表面を研磨する研磨工程と、ガラス基板の表面を洗浄する洗浄工程とを有するマスクブランク用ガラス基板の製造方法であって、
前記研磨砥粒はコロイダルシリカであって、
前記研磨工程で使用する研磨液のゼータ電位の極性と、前記洗浄工程で使用する洗浄液のゼータ電位の極性とを一致させることを特徴とするマスクブランク用基板の製造方法。 - 前記研磨液と前記洗浄液のゼータ電位の極性が−(マイナス)であることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
- 前記研磨液は、pHが1〜5の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
- 前記基板は、多成分系ガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
- 前記基板は、SiO2とTiO2を含むガラス基板であることを特徴とする請求項4に記載のマスクブランク用基板の製造方法。
- 請求項1乃至5の何れか一に記載のマスクブランク用基板の製造方法により得られるマスクブランク用基板の表面上に、露光光を反射する多層反射膜を形成することを特徴とする多層反射膜付き基板の製造方法。
- 請求項6に記載の多層反射膜付き基板における前記多層反射膜上に、露光光の反射を防止する吸収体膜を形成することを特徴とする反射型マスクブランクの製造方法。
- 請求項7に記載の反射型マスクブランクの製造方法によって得られた反射型マスクブランクにおける前記吸収体膜をパターニングして吸収体パターンを形成することを特徴とする反射型マスクの製造方法。
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