JP2006348160A - 導電性インク - Google Patents

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Abstract

【課題】金属粒子を極力含まず、基板との良好な密着性を維持し、滑らかな表面の導体膜を得ることができ、インクジェット方式での使用に適した導電性インクを提供する。
【解決手段】上記課題を解決するため、有機金属塩と溶媒と密着性向上剤を含む導電性インクであって、前記密着性向上剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を用いたことを特徴とした導電性インクを採用する。そして、前記溶媒は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いるものである。
【選択図】 なし

Description

本件発明は、導電性インクに関する。特に、金属粒子を導電性発現のための主材として含有していないため、インクジェット等で回路形状等を描き、固化させることにより基板上に回路を形成すると、その形成した導体表面が平坦化する導電性インクを提供する。
近年、CRT(Cathode Ray Tube)に代わるモニタ装置として、液晶分子の配向変化特性を利用した液晶ディスプレイ(以下、単に「LCDパネル」という。)が普及してきた。このLCDパネルの駆動方式として、アクティブマトリックス方式が主流となっている。このアクティブマトリックス方式の液晶パネルの構成を概説すれば、液晶分子の配向を変動させる透明電極等よりなる表示部と、この表示部を動作させるための駆動部であるTFT(Thin Film Transistor)によるスイッチング素子とにより表示用素子が構成され、この複数の表示素子をガラス基板等の上にマトリックス状に配列させたものである。
この液晶ディスプレイ内部の回路形成技術として、特許文献1や特許文献2に開示されているようにフォトリソグラフィーやエッチングを利用する方法やスクリーン印刷方法を採用することが試みられてきた。即ち、回路パターンをエッチング加工して形成する方法や、金属粉を溶剤や樹脂と混練しペースト化した導電性ペーストを、スクリーン印刷により配線や電極パターンを基板表面に直接形成させる方法である。特に、金属粉をペースト(以下、単に「導電性ペースト」と称する。)又はインク(以下、単に「導電性インク」と称する。)に加工し、スクリーン印刷法等の技術を転用することで基板表面に回路形成を直接行うことは、銅張積層板の銅箔をエッチング加工して回路形成を行うエッチング法に比べ、工程数も少なく、生産コストを著しく削減出来る技術として広く普及してきた。
導電性ペースト等を用いて、基板に回路を直接形成する場合の最大の問題は、スクリーン印刷等を用いての微細回路の形成が困難な点にあった。そして、近年は、特許文献3に開示されているように、導電性インクを用いて微細回路を形成する技術として、プリンターに応用されてきたインクジェット技術を応用しての微細回路形成が試みられてきた。このインクジェット印刷技術を利用した極微細回路パターン形成の原料として、種々の導電性金属インクが提案されているが、各種基板に対する密着強度が有機樹脂類との相性に依存しているため、一般的に低抵抗な配線や電極を形成する際に用いられる水素や窒素を用いた還元焼成の工程において、有機樹脂分の分解により発生するガスによって微小なクラックが発生しやすくなる。
更に、近年では、携帯情報機器やLCDに代表される薄型ディスプレイ内部の導電性回路パターンは、年々高密度化してきており、配線幅が40μm以下の領域が検討されているだけではなく、フレキシブル樹脂基板への低温焼成による回路パターン形成技術も検討されている。一般的に用いられてきたスクリーン印刷による回路パターン形成では、断線がなく、配線形状に優れる線幅が100μm程度とされているが、これよりも微細な領域、特に線幅が40μm以下となる領域では、実質的な配線形成が困難である。また、多種多様な基板へ低温焼成により回路パターンを形成する技術としては、特許文献4に示すように銀ナノ粒子を含む銀インクが提唱されてきた。
また、特許文献5に、水と、個々の微粒ニッケル粉の粉粒表面に不溶性無機酸化物が固着しているニッケル微粉末と、ポリアクリル酸、そのエステル又はその塩と、有機基置換水酸化アンモニウムとを含む水性ニッケルスラリー及び該水性ニッケルスラリーとバインダーとを含む導電性ペーストが開示されている。この水性ニッケルスラリーは、高濃度のニッケル微粉末が再凝集することなく安定して分散した水性ニッケルスラリーではあるが、インクジェット印刷技術を利用して極微細回路パターンを形成しようとする場合、印刷に適した表面張力を有していないため、連続印刷による回路形成を行おうとすると、ノズルにインクが目詰まりしやすく、又、目的の印刷位置にインクが着地しない現象が発生するため、工業的な連続印刷による回路形成を行うことが実質的に困難であった。又、基板との密着強度を付与するバインダーが含有されていないため、仮に印刷工程の工夫により基板に印刷が出来たとしても、基板との密着強度が実質的にゼロであるため、積層セラミックコンデンサーの内部電極作製に代表される高温焼成によって金属粉を焼結させるような用途以外では、実質的な回路形成が困難であった。
また、近年のTFT関連技術の中で、導電性膜形成用材料として、特許文献6に開示されているように、金属粒子を用いず、有機金属錯体を主成分として含有することを特徴とし、有機金属錯体が水溶性であるという特性を利用して水系の溶媒または水に溶解させ、インクジェット方式での導体形成に適用する事が検討されてきた。具体的には、酢酸Pdを所定量のIPAに懸濁させ、更に所定のモノエタノールアミンを加えて室温で4時間攪拌し、反応終了後、IPAをエバポレートにより除き、固形物にエタノールを加えて溶解、濾過し、濾液から酢酸パラジウム−モノエタノールアミンを再結晶させて得る。そして、この酢酸パラジウム−モノエタノールアミン結晶を、所定の水に溶解し、バブルジェット(登録商標)付与用水溶液としている。
更に、特許文献7にも、ドレイン/ソース電極を、超微粒子、錯体、または高分子の形態を取り、溶媒中に分散して液体材料を構成できる金属、金属酸化物、または導電性高分子から構成する旨開示されているが、その詳細に関しては何ら明らかにされていない。
以上に述べてきた技術は、形成した回路、電極等の導体を微細なものとして作り込み、且つ、その導体表面を滑らかにして、そこに直接接合する電子部品、保護被膜等との密着性を向上させるという意味で重要なものであった。
特開平9−246688号公報 特開平8−18190号公報 特開2002−324966号公報 特開2002−334618号公報 特開2002−317201号公報 特開平8−277294号公報 特開2005−79560号公報
しかしながら、近年のLCDパネルの製造プロセスにおいて、金属粉を用いて形成した導体表面に、化学的気相反応法(CVD法)を用いて、絶縁層としての窒化ケイ素被膜又は酸化窒化ケイ素被膜等を形成する場合がある。そして、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成した導体の表面に、当該絶縁層を形成すると、導体表面の形状(粗さ)による影響を受け、絶縁層自体の膜厚均一性及び表面の平滑性が損なわれるという現象が起きていた。しかも、かかる場合の絶縁層は、リーク電流が少なく、層間の絶縁性が完全に維持されることが理想であるが、リーク電流が多く発生し、十分な絶縁性を確保出来ないという問題もあった。
即ち、金属粉を用いて基板1の表面に形成した導体2の表面は、図3に示すような凹凸表面3を備えており、この凹凸表面3にCVD法で絶縁層4を形成すると、凹凸表面から等方的に絶縁層が成長するため、界面5を多く持った状態になる。そして、下地である導体2の凹凸を反映した平滑性の無い絶縁層が得られるため、多層配線形成ができない。また、絶縁層のこの界面が、絶縁性を低下させる要因となるため、所望の絶縁度とならない。
従って、上記特許文献6及び特許文献7で示唆されているような金属粒子を含まない導電性インクを用いれば、形成した導体の表面の凹凸は消失し、その滑らかな表面上にCVD法で絶縁層を形成すると、リークポイントとなる界面の少ない絶縁層の形成が可能となる。ところが、上記特許文献6に具体的に開示された導電性インクでは、基板との良好な密着性は得られず、インクジェット方式で噴射した液滴が着地した際に発生する飛沫が多く、微細回路配線の形成には不向きである。
以上のことから、金属粒子を含まない導電性インクであって、基板との良好な密着性を維持して、滑らかな表面を備える導体膜を得ることが可能で、インクジェット方式での使用に適した導電性インク特性を備える製品を提供することを目的としたのである。
そこで、上記目的を達成するため、本件発明者等は鋭意検討を行った結果、以下の構成の導電性インクとすることで、上記課題を達成出来ることに想到したのである。
即ち、本件発明に係る導電性インクは、有機金属塩と溶媒と密着性向上剤を含む導電性インクであって、前記密着性向上剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を用いたことを特徴としたものである。
そして、本件発明に係る導電性インクにおいて、前記溶媒は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトンから選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
本件発明に係る導電性インクにおいて、前記有機金属塩は、Ni、Cu、Ag、Pd、Pt、Auを含む有機金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
本件発明に係る導電性インクにおいて、有機金属塩の溶解助剤としてpH調整剤を含ませることが好ましい。
本件発明に係る導電性インクにおいて、表面張力調整剤としてアルコール類又はグリコール類を含ませる事が好ましい。
そして、本件発明に係る導電性インクは、25℃における粘度が、60cP以下とすることが好ましい。
更に、膜抵抗調整剤として、本件発明に係る導電性インクを100wt%としたとき、1wt%〜15wt%の微粒金属粉を含ませる事も好ましい。
本件発明に係る導電性インクを用いて形成した導電膜は、その表面の凹凸がほぼ消失するため、その滑らかな表面上にCVD法で絶縁層を形成しても、平滑でかつ界面の無い絶縁層の形成が可能となる。しかも、本件発明に係る導電性インクは、インクジェット方式で用いた際の噴射液滴の飛行曲がりがなく、又着地時の発生飛沫が少なく、微細回路の形成が可能な基礎的品質を全て備えるように調製可能であり、更に、各種基板との良好な密着性を得ることのできる組成を備える。
本件発明に係る導電性インクは、有機金属塩と溶媒と密着性向上剤とを含む導電性インクであって、前記密着性向上剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を用いたことを特徴としたものである。以下、構成成分及び添加することの出来る助剤に関して述べる。
密着性向上剤: 本件発明に係る導電性インクは、導体を形成させる基板(下地素材とである各種酸化物、金属)と密着させるために、密着性向上剤としてシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。
ここで言う密着性向上剤は、前記群より選択した1種の成分を用いる場合のみならず、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。即ち、複数種の成分を含有させることで、回路等の形成を行う基板性質に合わせた密着性の制御が可能となるのである。
ここで言うシランカップリング剤とは、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランのいずれかを用いる事が好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン等を用いることが好ましい。
ここで言うチタンカップリング剤とは、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、チタンラクテート等を用いることが好ましい。
ここで言うジルコニウムカップリング剤とは、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテートを用いることが好ましい。
ここで言うアルミニウムカップリング剤とは、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート、環状アルミニウムオキサイドステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を用いることが好ましい。
溶媒: 本件発明に係る導電性インクに用いる溶媒は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトンから選ばれる相溶性のある2種以上を混合して用いることが好ましい。
このときの組み合わせは、相溶性のある限り組み合わせ可能であり、相溶性がなければ組み合わせる意味合いは無い。例えば、水+アルコール(例えば、水+ブトキシエタノール)の2種の組み合わせパターン、水+グリコール(例えば、水+プロピレングリコール)の2種の組み合わせパターン、アルコール+グリコール(例えば、ブトキシエタノール+プロピレングリコール)の2種の組み合わせパターン、水+アルコール+グリコール(例えば、水+ブトキシエタノール+プロピレングリコール)の3種の組み合わせパターン等である。これらの組み合わせはオーバーコート剤に求められる要求品質に応じて調整することが可能である。
より具体的に言えば、アルコールとしてはメタノール、エタノール、アリルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルブタノール、メチルペンタノール、メチルシクロヘキサノール、エチルブタノール、エチルヘキサノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、フェノール等を用いることが好ましい。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等を用いることが好ましい。エーテルとしては、ジオキサン、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等を用いることが好ましい。エステルとしては、ジエチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等を用いることが好ましい。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、エチルヘキシルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、ペンタンジオン等を用いることが好ましい。
有機金属塩: 本件発明に係る導電性インクにおいて、前記有機金属塩は、Ni、Cu、Mo、Ag、Pd、Pt、Auを含む有機金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。本件発明における有機金属塩とは、有機物構造又は有機物骨格の中に金属イオンが結合した状態の化合物を指す概念として記載している。また、これらの金属塩の内、還元焼成により金属となる前駆体をも含む概念として記載している。
より具体的に言えば、Niとしては酢酸ニッケル、クエン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等を用いることが好ましい。Cuとしてはクエン酸銅、オレイン酸銅、酢酸銅、グルコン酸銅、ナフテン酸銅、エチルアセト酢酸銅、銅アセチルアセトナート等を用いることが好ましい。Agとしては酢酸銀等を用いることが好ましい。Pdとしては硫酸パラジウム(II)、硫化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、酸化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、水酸化パラジウム(II)、ヨウ化パラジウム(II)、トリフルオロ酢酸パラジウム(II)、シュウ酸パラジウム、酢酸ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、テトラクロロパラジウム(II)酸アンモニウム、テトラクロロパラジウム(II)酸カリウム、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸アンモニウム、ヘキサクロロパラジウム(IV)酸カリウム等を用いることが好ましい。白金としては酸化白金(IV)、硫化白金(IV)、臭化白金(IV)、臭化白金(II)、塩化白金(IV)、塩化白金(II)、シアン化白金(II)、ヨウ化白金(IV)、ヨウ化白金(II)、ジクロロジアミン白金(II)、白金(II)アセチルアセトナート、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金(0)、ヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム、テトラシアノ白金(II)酸カリウム、ヘキサブロモ白金(IV)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸水和物、ヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム等を用いることが好ましい。金としては酸化金(III)、水酸化金(III)、臭化金(III)、硫化金(III)、塩化金(I)、塩化金(III)、ヨウ化金(I)、二シアノ金酸(I)カリウム、テトラクロロ金(III)酸カリウム、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム、テトラクロロ金(III)酸水和物等を用いることが好ましい。
これらの有機金属塩は、還元焼成させる過程では、それ自身が金属となり得る物質であるが故に、導体中での導電性を発現させるための成分として機能する。これらの有機金属塩を、導電性粒子の代わりに使用することで、本件発明に係る導電性インクを塗布して、乾燥硬化させる過程で、滑らかで平坦な表面を持つ導体の形成が可能となる。
pH調整剤: 本件発明に係る導電性インクにおいて、有機金属塩の溶解助剤としてpH調整剤を含ませることが好ましい。ここで言うpH調整剤とは、有機酸、無機酸からなる群より選択される1種又は2種以上、もしくは、有機アルカリ、無機アルカリからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。これらのpH調整剤は、有機金属塩の溶解を促進し、金属成分の含有量を向上させるためのものであり、前記群より選択した1種の成分を用いる場合のみならず、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。pH調整剤の添加量は、有機金属塩の種類に応じて定められるが、一般的には導電性インク(100重量%)中、0.1重量%〜30重量%、好ましくは1重量%〜10重量%である。
より具体的に言えば、有機酸としては酢酸、クエン酸、イタコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等を用いることが好ましい。無機酸としては塩酸、硝酸、硫酸、りん酸等を用いることが好ましい。有機アルカリとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることが好ましい。無機アルカリとしてはアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ヒドラジン等を用いることが好ましい。
表面張力調整剤: そして、前記表面張力調整剤は、その表面張力が40mN/m以下の添加剤を用いるのである。このような表面張力を備える表面張力調整剤を用いることが、インクジェット装置での使用に適した表面張力に調整するのに有効であり、インクジェット装置の設計に合致させた粘度調整が簡単に可能且つ容易なため、微細な配線回路の形成が可能となるのである。ここで言う、表面張力調整剤には、溶媒としても使用可能なアルコール類、グリコール類であって、かつ、表面張力が40mN/m以下であり、25℃における粘度が100cP以下からなる群より選択される1種又は2種以上を組み合わせたものを用いることが好ましい。
当該表面張力調整剤のうち、表面張力が40mN/m以下であり、25℃における粘度が100cP以下のアルコール等としては、例えば、1−ブタノール、1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エトキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、n−ブチルカルビトール等が挙げられる。本件発明では、上記表面張力調整剤のうち、2−n−ブトキシエタノールや1−ブタノールを用いることが、導電性インクとしての長期間の品質安定性を維持するという観点から好ましい。
本件発明に係る導電性インクにおいて、配合される表面張力調整剤の量は導電性インクの表面張力を適宜調整する量とすればよく、特に限定されるものではない。しかし、一般的には導電性インク(100重量%)中、通常1重量%〜50重量%、好ましくは3重量%〜30重量%である。表面張力調整剤の量が1重量%未満の場合には、表面張力の調整が出来ないのである。また、表面張力調整剤の量を50重量%以上添加すると、導電性インク中での金属成分の分散性が阻害されてしまうため、導電性インクとして好ましくない。
そして、前記表面張力調整剤は、常圧での沸点が100℃〜300℃であるアルコール、グリコールからなる群より選択される1種又は2種以上を組み合わせたものである事が好ましい。
膜抵抗調整剤: 更に、膜抵抗調整剤として、本件発明に係る導電性インクを100wt%としたとき、1wt%〜15wt%の微粒金属粉を含ませる事も好ましい。微粒金属粉の含有量が1wt%未満の場合には、当該導電性インクを用いて形成した導体膜の抵抗を顕著に改善することが困難である。一方、従来の導電性インクの金属粒子含有量は、一般的に15wt%を超えるものであり、最大70wt%程度の含有量の範囲が採用されることを考えるに、微粒金属粉の含有量が15wt%を超えるものとすると、従来の導電性インクの金属粒子含有量の範囲に含まれ、本件発明に係る導電性インクを提供する趣旨が没却する。また、本件発明に係る導電性インクに膜抵抗調整剤として、金属粒子を分散させる場合、形成した導体表面の平滑性を考えると、より好ましくは1wt%〜12wt%、更に好ましくは3wt%〜10wt%とする。
ここで言う微粒金属粉とは、ニッケル粉、銅粉、銀粉、パラジウム粉、白金粉、金粉、銀−パラジウム合金粉、銀−白金合金粉から選択される一種又は二種以上の混合粉のことである。そして、この金属粉の、一次粒径、粒度分布等に関しては、特段の限定はない。
しかしながら、インクジェット方式で使用することを考慮すると、平均一次粒径が500nm以下であることが好ましい。平均一次粒径が500nmを超えると、極端にインクジェットノズルに導電性インクが目詰まりしやすくなり連続印刷が困難となる。仮に、印刷可能であったとしても、形成される配線や電極の膜厚が厚くなりすぎるため、目的とする微細配線とならない。
更に言えば、形成する回路のファイン化レベルに応じて、適正な一次粒径を持つ微粒金属粉を適宜選択使用すればよいのである。しかしながら、微粒粉という概念からして、通常3nm〜500nm、好ましくは5nm〜200nm、さらに好ましくは10nm〜100nmの範囲の選択的使用が好ましい。更に、導体としての回路のファイン化を達成すると同時に、導体表面を平滑にするためには粒度分布が狭い(シャープ)なものを用いることが好ましく、粒度分布として10nm〜50nmの範囲であることが好ましい。微粒の粉粒の平均一次粒径が3nm未満の場合は、現段階ではその製法が確立されていないものもあり、実験による検証ができない。一方、平均一次粒径が500nmを超えると、目的とする幅40μm以下の配線や電極を形成することが困難であり、又、形成した配線や電極の膜厚が厚くなりすぎるため不適となるのである。傾向として、微粒粉の粉粒の平均一次粒径が微細であるほど、インクジェットのノズルの目詰まりを引き起こす可能性は低く、微細回路の形成に適してくる。本件発明において平均一次粒径とは、走査型電子顕微鏡で観察したときの、一視野中に含まれた最低200個の粉粒の粒径を観察し、これらを積算し平均することにより求められる粒径を意味する。そして、粒度分布とは、一視野中に含まれた最低200個の粉粒の粒径を観察したときの最小粒径〜最大粒径を意味する。
微粒粉の平均一次粒径が小さな事は、細かな粉粒であるという根拠になるが、微粒であっても導電性インク中の粉粒同士の凝集が進行し、二次構造体としての粒径が大きくなると、やはりインクジェットノズルの目詰まりを引き起こしやすくなるのである。従って、導電性インク中の微粒金属粉の二次構造体としての凝集粒は、インクジェットノズルの目詰まりを引き起こさない大きさ以下とする必要があり、これは実験的に確認されたもので、凝集粒の最大粒子径を0.8μm以下とすれば、ほぼ確実にインクジェットノズルの目詰まりを防止出来るのである。又、この凝集粒の確認方法としては、レーザー式粒度分布測定装置を用いている。
そして、粉粒の形態に関しては、特に限定はなく、粉粒形状が球状、フレーク状や表面コート層を備える粉粒の全ての概念を包含するものとして記載している。しかしながら、本件発明に係る導電性インクは、主に電子材料の回路形成に使用することを前提としている。従って、電子材料用途に多用されるニッケル粉、銅粉、銀粉、パラジウム粉、白金粉、金粉、銀−パラジウム合金粉、銀−白金合金粉から選択され、且つ、その金属粉の一次粒子径は500nm以下のものを想定している。また、導電性インクとしての経時的変化、焼結特性等を考慮すると、オレイン酸やステアリン酸等で表面処理した金属粉や、粉粒表面に所定の酸化物を付着させたような酸化物コート粉を用いる等、導電性インクに求められる要求特性を考慮したものを選択的に使用すればよいのである。
導電性インクの粘度: 本件発明では、インクジェット法やディスペンサ−法での回路形成等が容易なものとなるよう、導電性インクの25℃における粘度を60cP以下に調整する事が好ましい。本件発明での粘度調整は、上述した溶媒、有機金属塩、pH調整剤、表面張力調整剤を最適に配合することで行う。粘度の下限値を敢えて記載しないのは、各金属の導電性インクが回路形成に使用される場所と目的が異なり、所望とされる配線、電極サイズ及びその形状が異なるためである。25℃における粘度が60cPを超える場合、インクジェット法やディスペンサ−法を利用し、微細な配線や電極を形成しようとしても、ノズルから導電性インクを吐き出すエネルギー以上に導電性インクの粘度が高いため、安定にノズルから導電性インクの液滴を吐き出す事が困難なものとなる。従って、25℃における粘度が60cP以下の場合でなければ、インクジェット法やディスペンサ−法での微細な配線や電極の形成ができないのである。
導電性インクの組成: 以上の述べてきた導電性インクの組成は、導電性インクを100重量部としたとき、溶媒は60重量部〜90重量部、有機金属塩は1重量部〜20重量部、密着性向上剤は0.1重量部〜10重量部の組成とする事が好ましい。溶媒が60重量部未満の場合には、如何にpH調整剤を用いても有機金属塩の溶解量を上げることができず、導体の表面が平滑で且つ抵抗が低い用途での使用ができない。一方、溶媒が90重量部を超えると、導体を薄膜とするには有利であるが、導体表面を平滑にすることができない。
そして、有機金属塩が1重量部未満の場合には、導電性インクを塗布して、焼成し得られた導体層の膜密度が低く、平滑な導体表面が得られない。一方、有機金属塩が20重量部を超える領域は、如何にpH調整剤を用いても使用する金属塩が溶媒に溶解しないため、導電性インクの作製ができない。
そして、密着性向上剤であるカップリング剤は、0.1重量部未満の場合には、導電性インクと基材との密着性を向上させる事が出来ない。一方、カップリング剤が10重量部を超えても、導電性インクと基材との密着性を更に向上させる事が出来ない。また、導電性インクの粘度が経時的に著しく上昇してしまい、インクジェット印刷可能な粘度範囲を超えてしまう。
なお、pH調整剤及び表面張力調整剤を含ませる場合には、上述の溶媒、有機金属塩及び密着性向上剤からなる上記導電性インクの組成を基準として、そこに含ませて、上記組成量の範囲とする。
本件発明に係る導電性インクによる導体の形成方法: 基材表面への導電性インクでの導体回路の形成は、本件発明に係る導電性インクを用いて、インクジェット法、ディスペンサー塗布法、スピンコーター等の樹脂塗工用機器を使用して行う。そして、本件発明に係る導電性インクで導体回路を形成した後は、100℃〜120℃の温度雰囲気(大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス置換雰囲気のいずれかを選択的に使用)で乾燥し、150℃〜400℃の温度雰囲気で焼成(大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス置換雰囲気のいずれかを選択的に使用)を行い、導体回路(導体膜)を得る。即ち、一般的な焼成方法の全てを用いることが可能である。
導電性インクの調製: ガラス製の100ccビーカーに、溶媒としての超純水28g及びプロピレングリコール4g、表面張力調整剤としての2−n−ブトキシエタノール(和光純薬製)3.5gを入れ、マグネチックスターラーで混合した。
ここに、有機金属塩としてクエン酸ニッケル(関東化学製)3.6gと、密着性向上剤としてチタンカップリング剤TC−315(松本製薬工業製)0.2gと、pH調整剤としてジエタノールアミン(和光純薬製)2.5gを添加し、よく混合して導電性インクAを得た。
膜抵抗の測定: ガラス基板上に、上記導電性インクAをスピンコーターにて塗布し、大気雰囲気中で100℃×1時間の加熱を行い乾燥させた。その後、2%水素−窒素の微還元雰囲気下で350℃×2時間加熱して焼成し、膜厚150nmの導電膜を得た。該導電膜の比抵抗を、四探針抵抗測定機ロレスタGP(三菱化学株式会社製)にて測定したところ、1.1×10Ω・cmであった。
導電膜の表面粗さ: 当該導電膜の表面粗さを、AFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=8nm、Rmax=30nmであった。
密着性の評価: ガラス基板との密着性をJIS K 5600 パラグラフ5−6に準じ、クロスカット法により評価したところ、分類0であり、良好な密着性を有していた。また、上述のようにして作製した導電膜を、水中で10分間超音波洗浄し、続いてアセトン中で10分間超音波洗浄したものを、マイクロスコープにて観察したところ、係る場合でも導電膜の剥離は観察されなかった。
導電膜上への絶縁層形成試験: 上記導電膜の表面にCVD法で絶縁層(窒化ケイ素膜)を形成し、その断面を収束イオンビーム加工して、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、当該絶縁層自体の表面は、極めて良好な平坦性を示し、ほぼフラットな状態であった。また、観察した1視野中に於いて、当該絶縁層内にリークポイントとなるであろう、結晶成長の乱れによる界面は殆ど観察されなかった。
導電性インクの調製: ガラス製の100ccビーカーに、溶媒としての超純水28g及びプロピレングリコール4g、表面張力調整剤としての2−n−ブトキシエタノール(和光純薬製)3.5gを入れ、マグネチックスターラーで混合した。
ここに、有機金属塩としてクエン酸ニッケル(関東化学製)1.2gと、密着性向上剤としてチタンカップリング剤TC−315(松本製薬工業製)0.2gと、pH調整剤としてジエタノールアミン(和光純薬製)2.5g、膜抵抗調整剤として平均一次粒子径30nmのニッケル粉を40wt%含有するエチレングリコールスラリー(三井金属鉱業社製)を固形分濃度10wt%となるように添加し、よく混合して導電性インクBを得た。
膜抵抗の測定: ガラス基板上に、上記導電性インクBをスピンコーターにて塗布し、大気雰囲気中で100℃×1時間の加熱を行い乾燥させた。その後、2%水素−窒素の微還元雰囲気下で300℃×2時間加熱して焼成し、膜厚400nmの導電膜を得た。該導電膜の比抵抗を、四探針抵抗測定機ロレスタGP(三菱化学株式会社製)にて測定したところ、3.8×10−2Ω・cmであった。
導電膜の表面粗さ: 当該導電膜の表面粗さを、AFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=25nm、Rmax=110nmであった。
密着性の評価: ガラス基板との密着性をJIS K 5600 パラグラフ5−6に準じ、クロスカット法により評価したところ、分類0であり、良好な密着性を有していた。また、上述のようにして作製した導電膜を、水中で10分間超音波洗浄し、続いてアセトン中で10分間超音波洗浄したものを、マイクロスコープにて観察したところ、係る場合でも導電膜の剥離は観察されなかった。
導電膜上への絶縁層形成試験: 上記導電膜の表面にCVD法で絶縁層(窒化ケイ素膜)を形成し、その断面を収束イオンビーム加工して、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、当該絶縁層自体の表面は、良好な平坦性を示した。また、当該絶縁層内にリークポイントとなるであろう、結晶成長の乱れによる界面は殆ど観察されなかった。但し、全く金属粒子を用いていない実施例1の場合と比べると、断面から見た当該絶縁層の表面の平坦性は劣っている。
比較例
導電性インクの調製: この比較例では、実施例2の膜抵抗調整剤(三井金属鉱業社製:ニッケルの平均一次粒子径30nm)の含有量を変更し、固形分濃度を20wt%に調整した導電性インクCを得た。
膜抵抗の測定: 前記導電性インクCを、スピンコータにてガラス基板上に塗布した後、大気中100℃で1時間乾燥した。つづいて、2%水素−窒素雰囲気下300℃で2時間焼成し、膜厚400nmの導電膜を得た。該導電膜の比抵抗を、四探針抵抗測定機ロレスタGP(三菱化学株式会社製)にて測定したところ、5.72×10−4Ω・cmであった。
導電膜の表面粗さ: 当該導電膜の表面粗さを、AFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=42nm、Rmax=384nmであった。
密着性の評価: ガラス基板との密着性をJIS K 5600 パラグラフ5−6に準じ、クロスカット法により評価したところ、分類0であり、良好な密着性を有していた。また、上述のようにして作製した導電膜を、水中で10分間超音波洗浄し、続いてアセトン中で10分間超音波洗浄したものを、マイクロスコープにて観察したところ、係る場合でも導電膜の剥離は観察されなかった。
導電膜上への絶縁層形成試験: 上記導電膜の表面にCVD法で絶縁層(窒化ケイ素膜)を形成し、その断面を収束イオンビーム加工して、透過型電子顕微鏡で観察した。その結果、当該絶縁層自体の表面にもうねりが見られ、当該絶縁層内にリークポイントとなるであろう、結晶成長の乱れによると思われる界面が多く観察された。
<実施例と比較例との対比>
上記比較例を見るに、比較例に記載の導電性インクCを用いて形成した導体膜の抵抗は、実施例の抵抗と比べてかなり低くなっている。これは、金属粒子を多く含有させているためである。そして、形成した導電膜と基板との密着性に関しても何ら問題はない。そして、形成した導電膜の表面粗さは、Ra=42nm、Rmax=384nmとなった。
これに対し、上記実施例の評価結果を見るに、形成した導電膜と基板との密着性に関しては何ら問題はないものの、比較例の導電性インクCを用いて形成した導体膜の抵抗と比べて、実施例1(導電性インクA)及び実施例2(導電性インクB)を用いて形成した導体膜の抵抗が悪くなっている。これは、金属粒子を含む量に依存しているものである。一般的に考えると電気抵抗の低い方が通電したときの消費電力及び発熱量が小さくなるため好ましいと言われる。しかしながら、技術の進歩の中で、主に消費電力及び発熱量の問題が生じるのは電源用回路においてであり、微弱電流を瞬間的に流す信号回路においては、大きな問題とはならない。即ち、電気的抵抗が高くとも、通電性を確保出来る限り、回路の中で使用箇所を限定すれば、使用可能なものとなる。
しかも、実施例1(導電性インクA)及び実施例2(導電性インクB)を用いて形成した導電膜の表面粗さは、比較例の場合と比べて、圧倒的に平滑な状態が得られていることは明らかである。この導電膜上に充分な平滑性があるため、導電膜上への絶縁層形成試験から分かるように、その表面上にCVD法で絶縁層を形成すると、リークポイントとなる界面の少ない絶縁層の形成が可能となる。更に、金属粒子を可能な限り含ませない導電性インクであるため、インクジェット方式でのノズルの目詰まりを起こすこともない。
本件発明に係る導電性インクは、その組成内に可能な限り金属粒子を含ませないという特徴を有する。従って、インクジェット方式で用いた際のノズルの目詰まりを効果的に防止出来る。また、インクジェット方式で回路、電極等の導体形状を描こうとしたときの、噴射液滴の飛行曲がりがなく、又着地時の発生飛沫が少なく、基板との良好な密着性を確保し、微細回路の形成が可能な基礎的品質を全て備えるように調製可能である。
しかしながら、本件発明に係る導電性インクは、その組成内に可能な限り金属粒子を含ませないため、形成した導電膜の電気的抵抗が大きくなる。従来であれば、これは大きな欠点とされてきたが、使用箇所を限定して考える限り問題はない。それ以上の長所として、本件発明に係る導電性インクを用いて形成した導電膜は、その表面の凹凸がほぼ消失するため、その滑らかな表面上にCVD法で絶縁層を形成しても、電流のリークポイントとなる界面の少ない絶縁層の形成が可能となる点が有用であり、TFT関連技術の中では重要なものとなる。
リーク電流の発生経路を説明するための断面模式図である。
符号の説明
1 基板
2 導体
3 凹凸表面
4 絶縁層
5 界面

Claims (7)

  1. 有機金属塩と溶媒と密着性向上剤を含む導電性インクであって、
    前記密着性向上剤は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を用いたことを特徴とした導電性インク。
  2. 前記溶媒は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトンから選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いるものである請求項1に記載の導電性インク。
  3. 前記有機金属塩は、Ni、Cu、Ag、Pd、Pt、Auを含む有機金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いるものである請求項1又は請求項2に記載の導電性インク。
  4. 有機金属塩の溶解助剤としてpH調整剤を含ませた請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電性インク。
  5. 表面張力調整剤としてアルコール類又はグリコール類を含ませた請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電性インク。
  6. 25℃における粘度が、60cP以下である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電性インク。
  7. 膜抵抗調整剤として、導電性インクを100wt%としたとき、1wt%〜15wt%の微粒金属粉を含ませた請求項1〜請求項6のいずれかに記載の導電性インク。
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