JP2006282915A - 導体用オーバーコート剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】 金属粉を用いて形成した導体表面に設ける化学的気相反応法による窒化ケイ素被膜等の膜厚均一性を向上させ、当該被膜の絶縁性を飛躍的に向上させることを目的とする。
【解決手段】金属粉を用いて形成した導体表面を滑らかにするためのオーバーコート剤であって、溶剤、金属塩(金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物を含む)を含むことを特徴としたものである導体用オーバーコート剤を採用する。そして、この溶剤には、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。更に、前記金属塩は、Ti、Si、V、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、Wを含む金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】金属粉を用いて形成した導体表面を滑らかにするためのオーバーコート剤であって、溶剤、金属塩(金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物を含む)を含むことを特徴としたものである導体用オーバーコート剤を採用する。そして、この溶剤には、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。更に、前記金属塩は、Ti、Si、V、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、Wを含む金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本件発明は、導体用オーバーコート剤に関する。特に、導電性インク、導電性ペースト等で回路形状等を描き、固化させることにより基板上に形成した導体表面を平滑にするためのオーバーコート剤に関する。
近年、CRT(Cathode Ray Tube)に代わるモニタ装置として、液晶分子の配向変化特性を利用した液晶ディスプレイ(以下、単に「LCDパネル」という。)が普及してきた。このLCDパネルの駆動方式として、アクティブマトリックス方式が主流となっている。このアクティブマトリックス方式の液晶パネルの構成を概説すれば、液晶分子の配向を変動させる透明電極等よりなる表示部と、この表示部を動作させるための駆動部であるTFT(Thin Film Transistor)によるスイッチング素子とにより表示用素子が構成され、この複数の表示素子をガラス基板等の上にマトリックス状に配列させたものである。
このような液晶パネルも市場に供給が開始された当初は、開発初期段階の商品であることもあり、高付加価値商品であったことは間違いない。ところが、液晶パネルの世界的普及に伴い、安価で、且つ、高性能の製品を製造しなければ、国際的な価格競争に太刀打ち出来ないものとなってきた。特に、近年は、液晶パネルに大画面化、高画質化の要求が高くなり、しかも低価格を実現することは必須となってきた。
一方で、各種基板上に回路パターンを形成する方法として、特許文献1や特許文献2に開示されているようにフォトリソグラフィーやエッチングを利用する方法やスクリーン印刷方法があった。この従来方法として、銅張積層板の銅箔をエッチング加工して回路パターンを形成させる方法や、金属粉を溶剤や樹脂と混練しペースト化した導電性ペーストを、スクリーン印刷により配線や電極パターンを基板表面に直接形成させる方法が、広く普及してきた。このように、金属粉をペースト(以下、単に「導電性ペースト」と称する。)又はインク(以下、単に「導電性インク」と称する。)に加工し、スクリーン印刷法等の技術を転用することで基板表面に回路形成を直接行うことは、銅張積層板の銅箔をエッチング加工して回路形成を行うエッチング法に比べ、工程数も少なく、生産コストを著しく削減出来る技術として広く普及してきた。
このように導電性ペースト等を用いて、基板に回路を直接形成する場合の最大の問題は、スクリーン印刷等を用いての微細回路の形成が困難な点にあった。そして、近年は、特許文献3に開示されているように、導電性インクを用いて微細回路を形成する技術として、プリンターに応用されてきたインクジェット技術を応用しての微細回路形成が試みられてきた。特許文献3のインクジェット印刷技術を利用した極微細回路パターン形成の原料として、種々の導電性金属インクが提案されているが、各種基板に対する密着強度を有機樹脂類に依存しているため、一般的に低抵抗な配線や電極を形成する際に用いられる水素や窒素を用いた還元焼成の工程において、有機樹脂分の分解により発生するガスによって微小なクラックが発生しやすく、また、これによって配線や電極のバルク密度が低いものとなり、結果的に低抵抗な回路を形成することが困難であった。
そして、近年では、携帯情報機器やLCDに代表される薄型ディスプレイ内部の導電性回路パターンは、年々高密度化してきており、配線幅が40μm以下の領域が検討されているだけではなく、フレキシブル樹脂基板への低温焼成による回路パターン形成技術も検討されている。一般的に用いられてきたスクリーン印刷による回路パターン形成では、断線がなく、配線形状に優れる線幅が100μm程度とされているが、これよりも微細な領域、特に線幅が40μm以下となる領域では、実質的な配線形成が困難である。また、多種多様な基板へ低温焼成により回路パターンを形成する技術としては、特許文献4に示すように銀ナノ粒子を含む銀インクが提唱されてきた。
また、特許文献5に、水と、個々の微粒ニッケル粉の粉粒表面に不溶性無機酸化物が固着しているニッケル微粉末と、ポリアクリル酸、そのエステル又はその塩と、有機基置換水酸化アンモニウムとを含む水性ニッケルスラリー及び該水性ニッケルスラリーとバインダーとを含む導電性ペーストが開示されている。この水性ニッケルスラリーは、高濃度のニッケル微粉末が再凝集することなく安定して分散した水性ニッケルスラリーではあるが、インクジェット印刷技術を利用して極微細回路パターンを形成しようとする場合、印刷に適した表面張力を有していないため、連続印刷による回路形成を行おうとすると、ノズルにインクが目詰まりしやすく、又、目的の印刷位置にインクが着地しない現象が発生するため、工業的な連続印刷による回路形成を行うことが実質的に困難であった。又、基板との密着強度を付与するバインダーが含有されていないため、仮に印刷工程の工夫により基板に印刷が出来たとしても、基板との密着強度が実質的にゼロであるため、積層セラミックコンデンサーの内部電極作製に代表される高温焼成によって金属粉を焼結させるような用途以外では、実質的な回路形成が困難であった。
以上に述べてきた技術(特に金属粉の微粒化)は、形成した回路、電極等の導体を微細なものとして作り込み、且つ、その導体表面を滑らかにして、そこに直接接合する電子部品、保護被膜等との密着性を向上させるという意味で重要なものであった。
しかしながら、近年のLCDパネルの製造プロセスにおいて、金属粉を用いて形成した導体表面に、化学的気相反応法(CVD法)を用いて、絶縁層としての窒化ケイ素被膜又は酸化窒化ケイ素被膜等を形成する場合がある。そして、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成した導体の表面に、当該絶縁層を形成すると、導体表面の形状(粗さ)による影響を受け、絶縁層自体の膜厚均一性及び表面の平滑性が損なわれるという現象が起きていた。しかも、かかる場合の絶縁層は、リーク電流が少なく、層間の絶縁性が完全に維持されることが理想であるが、リーク電流が多く発生し、十分な絶縁性を確保出来ないという問題もあった。
即ち、金属粉を用いて基板1の表面に形成した導体2の表面は、図3に示すような凹凸表面3を備えており、この凹凸表面3にCVD法で絶縁層4を形成すると、凹凸表面の突起部が結晶成長の核となり、界面5を多く持った状態になる。そして、この界面が導体2を流れる電流のリークポイントとなり、絶縁性を低下させる要因となる。
この問題を解決すべく、導電性インク又は導電性ペーストに含ませる金属粉の粒子を細かくし、チクソトロピック性に優れたインク又はペーストの開発等に鋭意努力してきたが、一定の限界が存在した。
以上のことから、従来の技術概念に従って、金属粉の粒子の微細化、チクソトロピック性に優れた導電性インク又は導電性ペーストの開発とは、別の観点に立ち、金属粉を用いて形成した導体表面に設ける化学的気相反応法による窒化ケイ素被膜等の膜厚均一性を向上させ、当該被膜の絶縁性を飛躍的に向上させることを目的としたのである。
そこで、上記目的を達成するため、本件発明者等は鋭意検討を行った結果、金属粉を用いて形成した導体表面の凹凸形状を、滑らかで平坦な面にすべく、被覆を行い厚さ100nm〜1μm厚さのオーバーコート層を設けるという方法を採用することに想到した。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明に係る金属粉を用いて形成した導体表面を滑らかにするためのオーバーコート剤は、溶剤、金属塩を含むことを特徴とした導体用オーバーコート剤である。
そして、 本件発明に係る導体用オーバーコート剤において、前記溶剤は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
また、本件発明に係る導体用オーバーコート剤において、前記金属塩は、Ti、Si、V、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、Wを含む金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。
更に、本件発明に係る導体用オーバーコート剤は、助剤として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含ませることが好ましい。
本件発明に係る導体用オーバーコート剤は、助剤として、pH調整剤を含ませることも好ましい。
本件発明に係る導体用オーバーコート剤は、金属粉を用いて形成した凹凸のある導体表面を均一且つ滑らかに被覆して、平滑な表面を形成する事が可能である。従って、この導体用オーバーコート剤を用いて被覆した導体表面へ、絶縁層としての窒化ケイ素被膜又は酸化窒化ケイ素被膜等を気相化学反応法で形成すると、膜厚均一性に優れ、析出界面が少なく電流リークの少ない絶縁層となる。
本件発明に係る金属粉を用いて形成した導体表面を滑らかにするためのオーバーコート剤は、溶剤、金属塩を含むことを特徴とした導体用オーバーコート剤である。
溶剤: 本件発明に係る導体用オーバーコート剤における溶剤は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いることが好ましい。
このときの溶剤の組み合わせは、相溶性のある限り組み合わせ可能であり、相溶性がなければ組み合わせる意味合いは無い。例えば、水+アルコール(例えば、水+ブトキシエタノール)の2種の組み合わせパターン、水+グリコール(例えば、水+プロピレングリコール)の2種の組み合わせパターン、アルコール+グリコール(例えば、ブトキシエタノール+プロピレングリコール)の2種の組み合わせパターン、水+アルコール+グリコール(例えば、水+ブトキシエタノール+プロピレングリコール)の3種の組み合わせパターン、芳香族炭化水素+芳香族炭化水素(例えば、キシレン+トルエン)の2種の組み合わせパターン、芳香族炭化水素+エステル(例えば、キシレン+酢酸エチル)の2種の組み合わせパターン、芳香族炭化水素+芳香族炭化水素+エステル(例えば、キシレン+トルエン+酢酸エチル)の3種の組み合わせパターン等である。これらの組み合わせはオーバーコート剤に求められる要求品質に応じて調整することが可能である。
より具体的に言えば、アルコールとしてはメタノール、エタノール、アリルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、メチルブタノール、メチルペンタノール、メチルシクロヘキサノール、エチルブタノール、エチルヘキサノール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、フェノール等を用いることが好ましい。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等を用いることが好ましい。エーテルとしては、ジオキサン、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等を用いることが好ましい。エステルとしては、ジエチルカーボネート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸アミル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等を用いることが好ましい。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、エチルヘキシルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、ペンタンジオン等を用いることが好ましい。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、スチレン等を用いることが好ましい。
金属塩: また、本件発明に係る導体用オーバーコート剤において、前記金属塩とは、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物をも含む概念として記載している。そして、当該金属塩は、Ti、Si、V、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、Wを含む金属塩群(金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物である場合を含む)から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。また、これらの金属塩の内、還元焼成により金属となる前駆体をも含む概念として記載している。更に、金属窒化物を用いる場合には、大気雰囲気での焼成が可能となる。そして、これらの金属塩は、本件発明に係る導体用オーバーコート剤を用いて形成したオーバーコート層を緻密化させ、且つ下層の導体層の凹凸を埋めて密着性を向上させるための役割を果たす。
より具体的に言えば、Tiとしては塩化チタン、硫酸チタンテトラキス(ジエチルアミノ)チタン、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、水酸化チタン、クレシル酸チタン、二酸化チタン等を用いることが好ましい。Siとしては、酸化ケイ素、ポリシラザン等を用いることが好ましい。Vとしてはアセチルアセトナトバナジウム、酸化バナジウムアセチルアセトナート等を用いることが好ましい。Niとしては酸化ニッケル、水酸化ニッケル、酢酸ニッケル、硝酸ニッケル、クエン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル等を用いることが好ましい。Cuとしてはクエン酸銅、オレイン酸銅、酢酸銅、硝酸銅、グルコン酸銅、ナフテン酸銅、エチルアセト酢酸銅、銅アセチルアセトナート、酸化銅、亜酸化銅、水酸化銅等を用いることが好ましい。Znとしてはクエン酸亜鉛、アセチルアセトナト亜鉛、酸化亜鉛等を用いることが好ましい。Yとしては酢酸イットリウム、シュウ酸イットリウム等を用いることが好ましい。Zrとしては硝酸ジルコニウム、アセチルアセトナトジルコニウム、酸化ジルコニウム等を用いることが好ましい。Nbとしては酸化ニオブを用いることが好ましい。Moとしてはチオモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、12モリブドけい酸、モリブデン酸アンモニウム等を用いることが好ましい。Agとしては炭酸銀、酢酸銀、硝酸銀、塩素酸銀、過塩素酸銀、酸化銀等を用いることが好ましい。Inとしては硝酸インジウム、塩化インジウム、水酸化インジウム、2−エチルヘキサン酸インジウム、トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III)等を用いることが好ましい。Snとしては塩化スズ、スズ−i−プロポキシド、スズ−t−ブトキシド等を用いることが好ましい。Taとしては酸化タンタルを用いることが好ましい。Wとしては、タングステン酸、タングステン酸アンモニウム、タングストけい酸、12タングストけい酸26水、酸化タングステン、タングステン酸銅、タングステン酸セリウム等を用いる事が好ましい。
これらの金属塩(金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物も含む)は、導体層の表面にオーバーコート剤を塗布して、還元焼成させる過程では、それ自身が金属となり得る物質であるが故に、導体中の金属粉との密着性を向上させるバインダーとして機能する。また、オーバーコート剤を塗布して、大気焼成や不活性ガス中での焼成では、それ自身が酸化物となり得る物質であるが故に、導体中の表面でバルク体となり得るため層を形成することができる。これらの金属塩を使用することで、オーバーコート剤を塗布して、乾燥硬化させる過程で、バルク体として滑らかで平坦なオーバーコート層を形成出来るのである。
助剤1(カップリング剤): 本件発明に係るオーバーコート剤に含ませる助剤としてシランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。これらのカップリング剤は、オーバーコート層と導体層との密着性を向上させるためのものであり、前記群より選択した1種の成分を用いる場合のみならず、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。即ち、複数種の成分を含有させることで、導体がニッケル粒子、銅粒子、銀粒子で構成されているのかにより、その構成材料の種類に応じて適宜選択して所望の密着性を得ることが可能となるのである。
ここで言うシランカップリング剤とは、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランのいずれかを用いる事が好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルトリエトキシシラン等を用いることが好ましい。
ここで言うチタンカップリング剤とは、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するテトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、チタンラクテート等を用いることが好ましい。
ここで言うジルコニウムカップリング剤とは、ジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムモノステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するジルコニウムノルマルプロピレート、ジルコニウムノルマルブチレート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムモノアセチルアセトネート、ジルコニウムビスアセチルアセトネート、ジルコニウムモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテート、ジルコニウムアセテートを用いることが好ましい。
ここで言うアルミニウムカップリング剤とは、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート、環状アルミニウムオキサイドステアレートのいずれかを用いることが好ましい。中でも、基板への密着性の安定化を図るという観点から、安定した性能を発揮するエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を用いることが好ましい。
助剤2(pH調整剤): 本件発明に係るオーバーコート剤に含ませる助剤として有機酸、無機酸からなる群より選択される1種又は2種以上、もしくは、有機アルカリ、無機アルカリからなる群より選択される1種又は2種以上を含むことが好ましい。これらのpH調整剤は、金属塩の溶解度を向上させるためのものであり、前記群より選択した1種の成分を用いる場合のみならず、2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
より具体的に言えば、有機酸としては酢酸、クエン酸、イタコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸等を用いることが好ましい。無機酸としては塩酸、硝酸、硫酸、りん酸等を用いることが好ましい。有機アルカリとしてはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム等を用いることが好ましい。無機アルカリとしてはアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、ヒドラジン等を用いることが好ましい。
オーバーコート剤の組成: 以上の述べてきたオーバーコート剤の組成として、オーバーコート剤を100重量部としたとき、溶剤は60重量部〜98重量部、金属塩は1重量部〜30重量部の組成とする事が好ましい。溶剤が60重量部未満の場合には、オーバーコート剤の粘度が高く、薄い膜形成が出来ない。一方、溶剤が98重量部を超えると、形成膜が薄くなりすぎて、導体の凹凸表面の良好な被覆が出来ない。そして、金属塩が1重量部未満の場合には、導体層の表面にオーバーコート剤を塗布して、焼成し得られたオーバーコート層の膜密度が低く所望の緻密でかつ平坦なオーバーコート層とならない。一方、金属塩が30重量部を超える場合には、導体層の表面にオーバーコート剤を塗布して、焼成し得られたオーバーコート層の膜厚が1μm以上となり、所望する膜厚100nm〜1μmとはならない。
そして、助剤であるカップリング剤は、オーバーコート剤を100重量部としたとき、0.05重量部〜10重量部含ませる事が好ましい。カップリング剤が0.05重量部未満の場合には、オーバーコート層と導体層との密着性を向上させる事が出来ない。一方、カップリング剤が10重量部を超えても、オーバーコート層と導体層との密着性をより向上させる事が出来ず、不経済となるからである。
オーバーコート層の形成方法: 金属粉を用いて形成した導体の表面にオーバーコート層を形成するにあたり、オーバーコート剤の塗布は、インクジェット法、ディスペンサー塗布法、スクリーン印刷法の他に、グラビアコーター、スピンコーター等の樹脂塗工用機器の使用が可能である。そして、オーバーコート剤を塗布した後は、100℃〜120℃の温度雰囲気(大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス置換雰囲気のいずれかを選択的に使用)で乾燥し、150℃〜400℃の温度雰囲気で焼成(大気雰囲気、還元雰囲気、不活性ガス置換雰囲気のいずれかを選択的に使用)を起こないオーバーコート層を形成する。即ち、一般的な焼成方法の全てを用いることが可能である。
導体層の形成: 固形分濃度を20wt%に調整したニッケルインク(三井金属鉱業社製:ニッケルの平均一次粒子径30nm)をスピンコータにてガラス基板上に塗布した後、大気中100℃で1時間乾燥した。つづいて、1%水素−窒素雰囲気下250℃で1時間焼成し、膜厚600nmのニッケル導体層を得た。この導電体層表面の表面粗さをAFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=48nm、Rmax=404nmであった。
オーバーコート剤Aの調整: ガラス製100cc容器に、溶媒として超純水28g、2−n−ブトキシエタノール(和光純薬製)3.5g、プロピレングリコール(和光純薬製)4gを仕込みマグネチックスターラーで混合した。ここに、金属塩として酢酸ニッケル(和光純薬製)1.2gと、カップリング剤としてチタンカップリング剤TC−315(松本製薬工業社製)2gとpH調整剤としてジエタノールアミン(和光純薬製)2.5gを添加しよく混合しオーバーコート剤Aを得た。
オーバーコート層の形成: ガラス基板上にニッケル導電体層を形成した基板上にオーバーコート剤Aをスピンコーターにて塗布し、大気中100℃で1時間乾燥後、窒素雰囲気下250℃で1時間焼成し、膜厚630nmのオーバーコート層を形成した。この導電体層表面の表面粗さをAFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=10nm、Rmax=18nmであった。ニッケル導電体層表面のRmax=404nmと比較すると明らかに平坦な表面が得られていた。このオーバーコート層形成後の導体層断面を図1に示す。この図から分かるようにオーバーコート層6により、基板1の上にある導体2の表面が滑らかになっている。
導体層の形成: この導体層の形成は、実施例1と同様にして、実施例1と同じニッケル導体層を得た。従って、ここでの説明は省略する。
オーバーコート剤Bの調整: ガラス製100cc容器に、溶媒として超純水18g、2−n−ブトキシエタノール(和光純薬製)3.5gを仕込みマグネチックスターラーで混合した。ここに、金属塩としてタングステン酸(関東科学社製)1.8gと、カップリング剤としてチタンカップリング剤TC−315(松本製薬工業社製)2gとpH調整剤としてジエタノールアミン(和光純薬製)2.5gを添加しよく混合しオーバーコート剤Bを得た。
オーバーコート層の形成: 実施例1と同様に、オーバーコート剤Bをスピンコーターにて塗布し、大気中100℃で1時間乾燥後、窒素雰囲気下250℃で1時間焼成し、膜厚230nmのオーバーコート層を形成した。この導電体層表面の表面粗さをAFM(セイコーインスツルメンツ社製SPA400)にて評価した結果、Ra=15nm、Rmax=38nmであった。ニッケル導電体層表面のRmax=404nmと比較すると明らかに平坦な表面が得られていた。このオーバーコート層形成後の導体層断面を図2に示す。この図から分かるようにオーバーコート層6により、基板1の上にある導体2の表面が滑らかになっている。
本件発明に係る導体用オーバーコート剤は、金属粉を用いて形成した凹凸のある導体表面を均一且つ滑らかに被覆して、平滑な表面を形成する事が可能である。従って、LCDパネルの製造プロセスにおいて、この導体用オーバーコート剤を用いて被覆した導体表面へ、絶縁層としての窒化ケイ素被膜又は酸化窒化ケイ素被膜等を気相化学反応法で形成すると、膜厚均一性に優れ、析出界面が少なく電流リークの少ない絶縁層となる。従って、より低消費電力のLCDパネルを安価に生産することが可能となる。
1 基板
2 導体
3 凹凸表面
4 絶縁層
5 界面
6 オーバーコート層
2 導体
3 凹凸表面
4 絶縁層
5 界面
6 オーバーコート層
Claims (5)
- 金属粉を用いて形成した導体表面を滑らかにするためのオーバーコート剤であって、
当該オーバーコート剤は、溶剤、金属塩を含むことを特徴としたものである導体用オーバーコート剤。 - 前記溶剤は、水、アルコール、グリコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族炭化水素から選ばれる相溶性のある1種又は2種以上を混合して用いるものである請求項1に記載の導体用オーバーコート剤。
- 前記金属塩は、Ti、Si、V、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Ta、Wを含む金属塩群から選ばれる1種又は2種以上を用いるものである請求項1又は請求項2に記載の導体用オーバーコート剤。
- 助剤として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニアカップリング剤、アルミニウムカップリング剤からなる群より選択される1種又は2種以上を含んだ請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導体用オーバーコート剤。
- 助剤として、pH調整剤を含んだ請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導体用オーバーコート剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005106767A JP2006282915A (ja) | 2005-04-01 | 2005-04-01 | 導体用オーバーコート剤 |
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- 2005-04-01 JP JP2005106767A patent/JP2006282915A/ja active Pending
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