JP2010168413A - インクジェットインクおよび金属パターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な再現性と基板への密着性を示す金属パターンの形成が可能なインクジェットインク、およびそれを用いた金属パターンの形成方法を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドによりインクを吐出して基板上にパターンを形成した後、無電解めっき処理により金属パターン形成方法に用いるインクであって、少なくとも、水、沸点150℃以上の有機溶媒、無電解めっきの触媒となる化合物、高分子化合物を含有し、かつ下式(A)により求められる該沸点150℃以上の有機溶媒のlogP値が0以上、1.0以下であることを特徴とするインクジェットインク。
式(A)
logP=logP1・S1/S+logP2・S2/S+・・・+logPn・Sn/S
〔式中、logP1は溶媒1のlogP値、logPnは溶媒nのlogP値を表す。Sは沸点が150℃以上の有機溶媒の総含有量、S1は溶媒1の含有量、Snは溶媒nの含有量を表す。〕
【選択図】なし

Description

本発明は金属パターンの形成が可能なインクジェットインク、およびそれを用いた金属パターンの形成方法に関する。
回路に用いる金属パターンは、従来、レジスト材料を用いた方法により形成されてきた。すなわち、金属薄層上にレジスト材料を塗布または貼付けてレジスト層を形成し、所望のパターンで露光した後、現像により不要なレジストを除去し、さらにむき出しとなった金属部分をエッチングにより除去し、最後に残存したレジスト部分を剥離することで金属パターンを形成していた。
しかしながら、この方法では工程が多岐にわたり時間がかかること、また、不要なレジスト、金属を除去することなど、生産時間、エネルギー、原材料の効率の点で無駄が多く、新たな金属パターンの形成方法が要求されていた。
近年、粒径が100nm以下の、いわゆる金属ナノ粒子を含有するインクを用い、スクリーン印刷やインクジェット印刷などで金属パターンを直接描画する金属パターン形成方法に注目が集まっている(例えば、特許文献1を参照。)。
この金属パターン形成方法は、金属粒子の粒径をナノオーダーまで小さくすることで融点が低下する現象を活用し、金属ナノ粒子を含むインクをパターニングした後、200〜300℃程度の温度で焼成して回路を形成する方法である。この方法は工数の低減、原材料の利用効率向上などの利点はあるものの、金属粒子同士を完全に融合させることが困難であり、焼成後の金属パターンの電気抵抗を下げるために、後処理の温度や条件に厳しい制約がある、という課題を有していた。
一方、金属ナノ粒子を用いずに金属パターンを形成する方法として、金属塩と溶媒を含む混合物と、還元剤を含む混合物をパターン描画時に混合し、還元反応により基材上に金属層を析出させる金属パターン形成方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、酸素を含む通常の大気中では還元反応が進行しにくくなる傾向があるため、形成する金属によっては非酸化性気体の雰囲気下や高温条件下で反応を行う必要があり、これらの条件の制約を受ける場合があるという課題を有していた。
また、金属ナノ粒子を用いずに金属パターンを形成する別の方法として、無電解めっき技術を活用して金属パターンを形成する方法も提案されている。例えば、インク受容層を有する基板上に、無電解めっきの触媒となる物質を含むインクをインクジェット方式により記録し、導電性金属パターンを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この方法では高温の焼成工程は不要となるメリットがあるが、基板がインク受容層を持つものに限定されるため、基板コストが増加したり、多様な基板へのパターン形成に対応できないというデメリットを有していた。
さらに、パラジウム系活性化インクをアルカリ処理したポリイミドにインクジェット方式により記録し、還元処理、無電解めっきにより銅皮膜を形成する方法も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法では、インク受容層を持たない基板であるポリイミドに対して、インクジェット方式で金属パターンを形成することができており、前記の材料コスト、焼成工程などの問題が解消されている。しかし、形成される金属パターンの再現性や、基板に対する金属層の密着性が良くないという欠点を有していた。
特開2002−299833号公報 特開2008−182159号公報 特開2000−311527号公報
第21回エレクトロニクス実装学会講演大会論文集 P105
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、良好な再現性と基板への密着性を示す金属パターンの形成が可能なインクジェットインク、およびそれを用いた金属パターンの形成方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.インクジェットヘッドによりインクを吐出して基板上にパターンを形成した後、無電解めっき処理により該パターン上に金属層を形成する金属パターン形成方法に用いるインクであって、少なくとも、水、沸点150℃以上の有機溶媒、無電解めっきの触媒となる化合物、高分子化合物を含有し、かつ下式(A)により求められる該沸点150℃以上の有機溶媒のlogP値が0以上、1.0以下であることを特徴とするインクジェットインク。
式(A)
logP=logP1・S1/S+logP2・S2/S+・・・+logPn・Sn/S
〔式(A)は、沸点が150℃以上の有機溶媒をn種類併用した場合のlogP値を表す。式中、nは自然数、logP1は溶媒1のlogP値、logP2は溶媒2のlogP値、logPnは溶媒nのlogP値を表す。Sは沸点が150℃以上の有機溶媒の総含有量、S1は溶媒1の含有量、S2は溶媒2の含有量、Snは溶媒nの含有量を表す。〕
2.前記無電解めっきの触媒となる化合物が、インクに溶解していることを特徴とする前記1に記載のインクジェットインク。
3.前記無電解めっきの触媒となる化合物が、パラジウム化合物であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェットインク。
4.前記インクジェットインクが、前記パラジウム化合物と錯体形成可能な化合物を含有することを特徴とする前記3に記載のインクジェットインク。
5.前記沸点150℃以上の有機溶媒が、少なくともアルキレングリコールアルキルエーテルを含有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを、インクジェットヘッドにより吐出して基板上にパターンを形成した後、無電解めっき処理によって該パターン上に金属層を形成することを特徴とする金属パターン形成方法。
7.前記の基板の表面温度を40℃以上、70℃以下に加熱し、インクジェットインクを吐出することを特徴とする前記6に記載の金属パターン形成方法。
本発明により、良好な再現性と基板への密着性を示す金属パターンの形成が可能なインクジェットインク、およびそれを用いた金属パターンの形成方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
発明者らは上記課題に鑑み、インク受容層を持たない基板にめっき触媒を含有するインクジェットインク(以下、単にインクともいう)を記録し、無電解めっきで金属パターンを形成する方法において、パターンの再現性が不十分となる課題の解析をしたところ、主として以下の二つの要因の影響が大きいことを見出した。
一つ目の要因は、基板上に付与されたインクの「液寄り」である。通常、インクジェットインクを媒体に記録する際、被記録媒体に吸収性があるため、即座にインクが吸収されてパターンの形成ができる。しかし、吸収性を持たない基板にインクを記録した場合、インクが乾燥するまで液体として基板上に残存してしまうため、最初に記録したインクと次に記録したインクが液体同士で接触し、インク滴が合一して液寄りが生じる。これにより、意図したパターンと異なる形状にめっきの触媒が配置され、金属パターンの再現性が悪化することとなる。
二つ目の要因は、めっき工程において液に浸漬した際の触媒パターンの位置ズレである。無電解めっきで金属パターンを形成する場合、めっき工程や、その前の還元工程において、触媒をパターニングした基板を液体に浸漬する。この時に触媒と基板の相互作用が不足していたり、触媒が液体に流出・拡散しやすい場合、意図したパターンから触媒の位置が移動してしまい、結果として得られる金属パターンにもズレが生じ、パターン再現性の悪化につながりやすい。
以上の解析結果をもとに、パターン再現性を良好にする技術について発明者らは鋭意検討したところ、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明においては、触媒を含有するインクに高分子化合物をさらに含有させ、沸点150℃以上の有機溶媒のlogP値を特定の範囲に設計する。このようなインク設計とすることにより、インクを基板に記録後、乾燥過程でインクの粘度が急激に上昇しやすくなり、液寄りを抑制することができるものと考えられる。さらに、触媒パターンを基板上に形成後、無電解めっき工程で液中に基板を浸漬した際にも、触媒と共に高分子化合物が存在するため、触媒を基板上に強固に接着させやすくなる。以上の二つの効果により、本発明のインクは良好な金属パターン再現性が提供できたものと考えられる。また、高分子化合物によってめっきの触媒が基板上に固着しやすくなるため、触媒上に形成された金属パターンは良好な密着性を示す。
本発明におけるlogP値について説明する。logP値とは、一般的には、化合物が水と油(オクタノール)のどちらに分配するかを表すパラメータであり、実際に水とオクタノール中に化合物を加えてその分配率を測定する方法や、計算により求める方法等、種々の方法が提案されている。本発明における各溶媒のlogP値については、ケンブリッジソフト社製Chem Draw Ultraに溶媒の構造式を入力し、“Chemical Properties”の中の“logP”に表示される計算値を用いることとする。
本発明において、logPは沸点が150℃以上の有機溶媒について考慮し、それらが複数の化合物から構成されている場合は、配合比を考慮した前記の式(A)に基づいて平均logP値を算出する。
本発明においては、このlogP値を沸点が150℃以上の有機溶媒全体のlogPとして取り扱う。発明者らは、様々な検討結果より沸点150℃以上の溶媒の寄与が大きいことを見出したが、沸点150℃未満の溶媒は乾燥過程のごく初期に水とともに揮発し、高分子化合物と相互作用する前に記録したインク滴から消失するため、そのlogPの影響がほとんど見られないものと考えられる。
本発明において、logPは0以上、1.0以下である。この範囲内とすることにより、記録したインク滴が乾燥する過程で高分子化合物と有機溶媒が相互作用し、インクを増粘させ、液寄りを抑制して良好なパターン再現性が得られる。logPが0より小さいと乾燥過程でのインクの増粘性が不十分になりやすくなり、めっき後の金属パターン再現性も得られにくい。また、1.0を超えると溶媒の疎水性が高くなりすぎてインクに含まれる水との親和性が低下し、均一なインクを設計することが困難になる。
以下、本発明のインクジェットインク、金属パターンの形成方法の各構成要件の詳細について説明する。
《インクジェットインク》
(沸点が150℃以上の有機溶媒)
本発明のインクジェットインクは、沸点が150℃以上の有機溶媒を含有することを特徴とする。適用可能な溶媒としては、例えば、アルカンポリオール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、アルキレングリコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環化合物(例えば、2−ピロリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールアルキルエーテルの少なくとも1種をインクに含有することが好ましい。さらには、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルの少なくともいずれか1種を含むことがより好ましい。これにより、めっき触媒を含むインクを基板上に記録した際に、インクの液寄りを抑制しやすくなる。
(沸点が150℃未満の溶媒)
本発明のインクジェットインクには、沸点150℃未満の溶媒を含有させても良い。適用可能な溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等)が挙げられる。
(水)
本発明のインクジェットインクは水を含むことを特徴とする。インクにおける水の含有量は、好ましくは10質量%以上80質量%以下である。この範囲とすることにより、良好な記録特性とインクの乾燥性を両立させやすくなる。
(触媒)
本発明のインクで用いられる触媒としては、パラジウム、銀、銅、金、ニッケル、アルミニウム、スズなどの金属が挙げられる。そのなかでも、触媒活性の高さから、パラジウム、銀、スズが好ましく、さらに好ましくはパラジウムである。これらの触媒の形態としては、金属微粒子や金属塩コロイド(例えば、パラジウム−スズコロイドなど)、金属塩の微粒子、インク中で溶解した金属塩等が挙げられる。
本発明のインクにおいて、パラジウムを触媒として用いる場合、金属微粒子、金属塩のいずれを用いても良い。中でもインク中で可溶なパラジウム塩が好ましく、インクの出射安定性が良好になりやすい。パラジウム塩を用いる場合、2価イオンのものであれば特に限定は無く、例えば、フッ化パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、酢酸パラジウム、酸化パラジウム、硫化パラジウム等を用いることができる。
インク中のパラジウムの含有量としては、0.0001〜1質量%が好ましい。パラジウムの濃度が0.0001質量%以上であると無電解めっき反応の活性の観点から好ましく、1質量%以下であることがインク中のパラジウムの安定性の観点から好ましい。
溶解したパラジウム塩を触媒として用いる場合、インク中での溶解性と安定性およびヘッドからの出射安定性が向上しやすくなることから、パラジウムイオンと錯体形成可能な化合物を添加することが好ましい。
本発明に適用可能な錯体形成可能な化合物としては、エチレンジアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン四酢酸、ベンジルアミンなどのアミン系化合物、ピリジン、ビピリジル、フェナントロリンなどの含窒素複素環式化合物などが挙げられる。
また、インク中でパラジウムイオンを溶解させる場合、溶解性と保存性を向上させるためにインクのpHを8〜14の範囲に調整しても良い。用いるpH調整剤としては、アルカリ金属の水酸化物、アミン系化合物などが挙げられる。
(高分子化合物)
本発明のインクに適用する高分子化合物は、インクに溶解していても、溶解せずに均一に分散していても良い。出射安定性や基板上での液寄り防止の観点から、インクに溶解した高分子化合物を用いることが好ましい。化合物としては、例えば、アクリル共重合体、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコーン−アクリル共重合体及びアクリル変性フッ素樹脂等が挙げられる。
インクにおける高分子化合物の含有量は、インク全量に対して0.5質量%以上10%以下であることが好ましい。0.5質量%以上であると、金属パターンの再現性や基板に対する密着性が良好になりやすく、10質量%以下であると、インクの出射安定性が良好になりやすい。
高分子化合物をインクに溶解させて用いる場合、高分子化合物がインク中で安定に溶解していることが好ましく、一方、めっき工程における触媒の定着・拡散防止の点から、基板に記録、乾燥後に耐水性が付与される化合物を用いることが好ましい。
このような高分子化合物は、化合物中の疎水性成分と親水性成分を特定のバランスに設計することにより得ることができる。親水性成分としては、イオン性の置換基、ノニオン性の置換基のどちらを用いても良いが、より好ましくはイオン性の置換基であり、さらに好ましくはアニオン性の置換基である。アニオン性の置換基の中でも、酸性基を揮発可能な塩基性化合物で中和した置換基は、インク中の溶解性と乾燥後の触媒の定着性を両立する化合物設計に有効であり、特に好ましい。この時に用いることができる酸性基の具体例としては、カルボキシル基、スルホ基が挙げられる。高分子化合物における親水性成分として酸性基を用いた場合、疎水性成分と親水性成分のバランスの指標として酸価を用いることができ、酸価は80以上300未満とすることが本発明の効果発現上好ましい。特に好ましくは、酸価が90以上230以下であり、この範囲とすることでインク中の溶解性と触媒の定着性を両立しやすい。
親水性成分と疎水性成分を有する高分子化合物を設計する方法として、疎水性モノマーと親水性モノマーを共重合することにより高分子化合物を合成する方法が挙げられる。疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、メタクリル酸エステル(メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジルなど)、スチレンなどが挙げられる。親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドなどが挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有する親水性モノマーは、重合後、塩基性化合物により部分的あるいは完全に酸性基を中和することが好ましい。中和に用いる塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物や、アンモニア、アルカノールアミン、アルキルアミン等のアミン系化合物が挙げられる。特に、沸点が200℃未満のアミン系化合物で酸性基を中和することは、インク中の溶解性と乾燥後の触媒の定着性を両立する点から特に好ましい。
インク中に溶解させて用いる高分子化合物の分子量は、平均分子量が5000から100000であることが好ましい。より好ましくは、平均分子量が8000から40000である。高分子化合物のTgは、−30℃から100℃程度が好ましく、さらに好ましくは、−10℃から80℃である。
本発明において好ましく用いられる溶解性高分子化合物の具体例としては、以下に限定されるものではないが、ジョンクリル60(酸価215、重量平均分子量8500)、ジョンクリル70(酸価240、重量平均分子量16500)、JDX6500(酸価74、重量平均分子量10000)、PDX−6102B(酸価65、重量平均分子量65000)などのジョンソンポリマー社製の高分子化合物、Disperbyk−180(酸価94)、Disperbyk−194(酸価70)などのビックケミー・ジャパン社製の高分子化合物などが挙げられる。
本発明に適用する高分子化合物として、インク中で溶解せずに均一に分散した高分子樹脂微粒子を用いることもできる。高分子樹脂微粒子は、乳化剤を用いて粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いずに分散させたものであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、親水性の置換基を有する高分子化合物を用いることも好ましい。
また、高分子樹脂微粒子としてソープフリーラテックスを用いることも好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤が無くとも表面の酸性基で分散安定化されている高分子樹脂微粒子、及び、酸性基等の親水性の置換基を有する高分子化合物を乳化剤として用いた高分子樹脂微粒子のことを指す。
近年、高分子樹脂微粒子として、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプの粒子も存在するが、これらも好ましく用いることができる。
高分子樹脂微粒子の平均粒径は10nm以上、300nm以下であることが好ましく、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。平均粒径が300nm以下であると出射安定性が良好になりやすく、10nm以上であるとインクの保存安定性が良好になりやすい。平均粒径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
(色材)
本発明のインクには、めっきパターンの視認性を向上させる目的で色材が含まれていても良いが、その含有量は少ないことが好ましい。めっき形成効率の観点から、色材の含有量は好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下である。さらには、実質的に色材が含まれていないインクとすることが好ましい。
(界面活性剤)
本発明のインクに界面活性剤を用いることもできる。界面活性剤の添加によりインクの表面張力、記録する基板への濡れ性をコントロール可能であり、インクの液寄りを抑制し、金属パターンの再現性をより向上するための構成成分として、必要に応じて用いることが好ましい。使用できる界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系もしくはフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
基板にインクを記録した際の液寄り抑制には、前記の中でもシリコーン系もしくはフッ素系の界面活性剤が特に好ましい。シリコーン系界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル変性したものが挙げられ、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642や、ビッグケミー製のBYK347、BYK348などが市販されている。フッ素系界面活性剤としては、通常の界面活性剤の疎水部分として用いられるアルキル基の代わりに、アルキル基の水素の一部または全部をフッ素で置換した構造の活性剤を好ましく用いることができる。これらの中でも、分子内にパーフルオロアルキル基を有する活性剤が特に好ましい。市販のフッ素系界面活性剤としては、大日本インキ化学工業社のメガファック(Megafac)F、旭硝子社のサーフロン(Surflon)、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社のフルオラッド(Fluorad)FC、インペリアル・ケミカル・インダストリー社のモンフロール(Monflor)、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社のゾニルス(Zonyls)、ファルベベルケ・ヘキスト社のリコベット(Licowet)VPF等が挙げられる。また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等が挙げられ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等が挙げられる。
(粘度)
本発明のインクの粘度は特に限定されないが、25℃において1mPa・s以上15mPa・s以下であることが好ましい。
本発明のインクの粘度測定に用いることができる装置として、回転式、振動式や細管式の粘度計が挙げられ、例えば、トキメック製、円錐平板型E型粘度計、東機産業製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器製のB型粘度計BL、山一電機製のFVM−80A、Nametore工業製のViscoliner、山一電気製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等の装置が市販されている。
(表面張力)
本発明のインクの表面張力は、22mN/m以上35mN/m以下であることが好ましく、さらには22mN/m以上30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を22mN/m以上とすることにより、インクの射出状態を安定化しやすくなり、35mN/m以下とすることにより、金属パターンの均一性が良好になりやすい。
本発明でいうインクの表面張力(mN/m)は、25℃で測定した表面張力の値であり、その測定方法は一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等に記載されている。例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができる。具体的な測定方法として輪環法(デュヌーイ法)、白金プレート法(ウィルヘルミー法)が挙げられるが、白金プレート法により測定することが好ましく、市販の装置としては協和界面科学製の表面張力計CBVP−Zがある。
(その他添加剤)
本発明のインクは、必要に応じてその他の従来公知の添加剤を含有することができる。例えば、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、増粘剤、マット剤、水溶性多価金属塩、酸塩基、緩衝液等pH調整剤、酸化防止剤、防錆剤等を挙げることができる。
本発明のインクは、色材を含んでいてもよいが、インクの安定性や無電解めっきの効率向上の観点から0.5質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1質量%以下であり、さらに好ましくは実質的に色材を含有しないインクとすることである。
《基板》
本発明の金属パターン形成方法に適用可能な基板としては、絶縁性を備えたものであれば特に制限はなく、例えば、ガラスやセラミックス等の剛性の強いものから、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリイミドなどの樹脂から構成されるフィルム状のものが挙げられる。本発明に用いられる基板としては、好ましくは樹脂フィルムであり、特に好ましくはPETやポリイミドフィルムである。
本発明で用いる基板に対して、金属パターンの密着性向上の観点から、プライマー処理やプラズマ処理を行ったり、基板上に下引き層を設けてもよい。下引き層の材料としては、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂やシランカップリング剤などのカップリング剤などが挙げられる。
《金属パターンの形成方法》
本発明の金属パターン形成方法について説明する。まず、触媒を含有する本発明のインクをインクジェットヘッドにより基板に吐出し、触媒のパターンを形成させる。その後、無電解めっき処理を行うことにより基板上に金属パターンを形成させる。
(インクジェットヘッド)
使用可能なインクジェットヘッドに制限はなく、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等のインクジェットヘッドを挙げることができる。インクジェットヘッドのコストや生産性の観点からは、電気−機械変換方式、または電気−熱変換方式のヘッドを用いることが好ましい。吐出させるインク液滴の大きさに制限はないが、回路配線に適用する場合は微細なパターン形成が必要となるため15pl以下、好ましくは4pl以下、さらに好ましくは2pL以下の液滴量にする。
(基板の加熱、乾燥)
基板にインクを記録する際、基板を加熱して記録することが好ましい。加熱して記録を行う場合、基板の表面温度は、好ましくは40℃以上70℃以下である。40℃以上にすることでインクの乾燥を促進して液寄りを抑制し、金属パターンの再現性を良好なものとしやすい。また、加熱温度を70℃以下とすることで、基材に対する熱のダメージを抑えることができる。
また、インクジェット記録装置に乾燥器を搭載し、インクの乾燥を促進する構成としても良い。特に、インク中に比較的沸点の高い溶剤を含有する場合、乾燥器の併用は、記録部のベタツキ抑制、液寄り抑制の観点から有効である。乾燥器としては、送風乾燥器、ヒーター型乾燥器、それらを組み合わせた装置などが挙げられるが、速やかに記録部分を乾燥したい場合には、温風をインクの記録部に当てることが可能な乾燥器が好ましい。乾燥は基板全面にインクを記録した後、一括して行っても良いし、インクジェット記録における1回の走査ごとに乾燥を実施する方式としても良い。金属パターン再現性向上の観点からは、マイクロウィーブ方式やインターリーブ方式等により隣接するドットを間引きながらインクを記録させ、1回の走査ごとに乾燥を実施する方法で記録することが好ましい。
(記録解像度)
本発明の金属パターン形成方法に用いるインクジェット記録装置の記録解像度は、720dpi以上7200dpi以下であることが好ましく、1440dpi以上7200dpi以下であることがさらに好ましい。720dpi以上とすることで微細な金属パターンを形成しやすくなり、7200dpi以下とすることにより、装置における画像処理時間、信号転送時間、画像記録時間を短縮化させやすい。
(無電解めっき処理)
本発明の金属パターン形成方法における無電解めっき処理について説明する。
基板上にインクジェット法にてパターンを記録した後、無電解めっき処理を行うことにより、記録したパターン部に金属が形成された金属パターンを得ることができる。
通常、前記のパターン記録した基板を、無電解めっき液(浴)に浸漬する工程が一般的な方法である。
無電解めっき液としては、1)金属イオン、2)錯化剤、3)還元剤が主に含有される。無電解めっきで形成される金属としては、金、銀、銅、パラジウム、ニッケルおよびそれらの合金などが挙げられるが、金属パターンを回路に適用する場合は、導電性や安全性の観点から銀または銅が好ましく、材料コストやパターンの安定性の点から銅が特に好ましい。無電解めっき浴に使用される金属イオンは、パターンを形成したい金属に対応した金属イオンを用いる。銅のパターンを形成する場合は銅イオンを含むめっき浴が用いられ、銅イオンとしては例えば硫酸銅などが挙げられる。錯化剤、還元剤に関しても、金属イオンに適したものが選択される。錯化剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸(以下、EDTAと略記する)、ロッシェル塩、D−マンニトール、D−ソルビトール、ズルシトール、イミノ二酢酸、trans−1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、などが挙げられ、ロッシェル塩、EDTAが好ましい。還元剤としては、ホルムアルデヒド、テトラヒドロホウ酸カリウム、ジメチルアミンボラン、グリオキシル酸、次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられ、ホルムアルデヒドが好ましい。
また、めっき液を安定化し、均一なパターンを形成するために、液を撹拌したり、空気や酸素を供給しながら無電解めっき処理を行ってもよい。
無電解めっき工程は、めっき浴の温度、pH、浸漬時間、金属イオン濃度、撹拌の有無や撹拌速度、空気・酸素の供給の有無や供給速度等を調節することにより、金属の形成速度や膜厚を制御することができる。
(触媒活性化工程)
本発明のインクにおける触媒として金属塩や合金のコロイドを用いた場合、パターン形成工程と前述の無電解めっき処理を行う工程の間に、触媒活性化工程を実施することが好ましい。
無電解めっき処理を行う工程の前に触媒活性化処理を実施し、触媒として用いた金属イオンを0価の金属にすることで、無電解めっき処理における化学反応をより活性化させることができる。触媒活性化工程は、触媒の種類によって適切に方法を選択する必要があり、酸の付与、加熱、還元剤の付与等が挙げられる。例えば、パラジウム−スズコロイド触媒の場合は、硫酸等を付与することによりスズとパラジウム間での酸化還元反応が進行し、0価のパラジウム金属が生成する。また、パラジウムイオンの場合は、還元剤により0価のパラジウム金属が生成する。パラジウムイオンに適用する還元剤としては、ホウ素系化合物が挙げられ、具体的には、水素化ホウ素ナトリウム、トリメチルアミンボラン、ジメチルアミンボラン(DMAB)などが好ましい。
実施例1
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《高分子化合物の合成》
(高分子化合物1の合成)
窒素気流下で、1Lのセパラブルフラスコにスチレンを30g、アクリル酸を15g、メタクリル酸メチルを15g、メタクリル酸ブチルを40g、酢酸エチルを200g入れ、80℃に加熱した。アゾビスイソブチロニトリル2gを1時間かけて添加し、更に5時間加熱撹拌を続けた。その後、アゾビスイソブチロニトリル0.2gを更に加え、85℃に昇温して1時間加熱した。
その後、酢酸エチルを留去し、水80g、エタノール20g、アクリル酸と当量のジメチルエタノールアミン(沸点135℃のアミン系化合物)を加え、さらに水を添加して固形分量15質量%の高分子化合物1の溶液を得た。高分子化合物1の分子量、酸価を測定したところ、分子量は28000、酸価は117であった。
(高分子化合物2の合成)
高分子化合物1の合成において、ジメチルエタノールアミンを水酸化ナトリウムに変えた以外は同様の方法により、固形分量15質量%の高分子化合物2の溶液を得た。高分子化合物2の分子量、酸価を測定したところ、分子量は28000、酸価は117であった。
《インクの調製》
(インク1の調製)
沸点が150℃以上の有機溶媒:ジエチレングリコールモノブチルエーテル 15部
沸点が150℃以上の有機溶媒:ジエチレングリコール 10部
無電解めっきの触媒:塩化パラジウム 0.06部
錯体形成可能な化合物:ジメチルアミノピリジン 0.2部
インクに可溶な高分子化合物:高分子化合物1 固形分として2部
さらに全体が100部となるようにイオン交換水を添加し、水酸化ナトリウムにてインクのpHを12.0に調整した後、活性剤であるBYK347(ビックケミー製)により表面張力を28mN/mに調整して、本発明のインク1を得た。
ケンブリッジソフト社製のChem Draw Ultraを使用し、各溶媒の構造式を入力し、logPを求めたところ、ジエチレングリコールモノブチルエーテルは0.66、ジエチレングリコールは−0.95であり、前記の式(A)により沸点が150℃以上の有機溶媒のlogPを求めたところ0.02であった。
(インク2〜5の調製)
インクの各種構成材料を表1に記載のものに変更した以外は、インク1と同様の方法により、本発明のインク2〜5を調製した。
(インク6〜8の調製)
インクの各種構成材料を表1に記載のものに変更した以外は、インク1と同様の方法により、比較例のインク6〜8を調製した。
Figure 2010168413
《金属パターンの形成》
〔記録方法1〕
(パターン形成)
ノズル口径20μm、液適量2pl、最大駆動周波数25kHz、ノズル数1024、ノズル密度360dpiであるピエゾ型のインクジェットヘッドを搭載し、入力する画像を8パスのインターリーブ方式で記録可能であり、主走査、副走査方向の記録解像度がともに1440dpiであり、1回の走査ごとに記録部分の温風乾燥が可能なインクジェット装置を構成した。パターンを形成する基板として厚さ100μmのポリイミドを、金属パターンを形成する元画像として幅100μm、長さ30mmの細線10本からなる画像を用意した。基板の表面温度を50℃に加熱しながら、めっき触媒を含むインク1を基板に吐出して、触媒のパターンを形成した基板1Aを得た。
なお、本発明で言うdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
(活性化工程)
前記の方法でパターン形成した基板1Aを乾燥させて表面の溶媒を完全に除去した後、ホウ素系還元剤を含有した下記の溶液に、室温で15分浸漬した。これにより、パターン上のPdイオンを還元してPd金属のパターンを形成した。その後、純水で洗浄し、Pdの金属パターンを形成した基板1Bを得た。
アルカップMRD2−A(上村工業社製) 1.8質量%
アルカップMRD2−C(上村工業社製) 6質量%
純水 残量
(無電解めっき工程)
メルプレートCU−5100A(メルテックス社製) 6質量%
メルプレートCU−5100B(メルテックス社製) 5.5質量%
メルプレートCU−5100C(メルテックス社製) 2.0質量%
メルプレートCU−5100M(メルテックス社製) 4.0質量%
純水 残量
上記組成からなる無電解銅めっき溶液を調製した。仕上がりのめっき液は、銅濃度として2.5質量%、ホルマリン濃度が1質量%、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)濃度が2.5質量%である。また、水酸化ナトリウムでめっき液のpHを13.0に調整した。
50℃に保温した前記の無電解銅めっき溶液に、活性化処理を施した基板1Bを60分間浸漬した。その後、純水により基板を洗浄し、乾燥させ、本発明の記録方法1によって金属パターンを形成した基板1を得た。
〔記録方法2〜5〕
前記の記録方法1において、インク1をインク2〜5に変更した以外は同様にして、本発明の記録方法2〜5により金属パターンを形成した基板2〜5を得た。
〔記録方法6〜8〕
前記の記録方法1において、インク1をインク6〜8に変更した以外は同様にして、比較例の記録方法6〜8により金属パターンを形成した基板6〜8を得た。
《金属パターンの評価》
金属パターンを形成した基板1〜8について、以下の各評価を行った。
〔パターン再現性の評価〕
形成した銅の細線パターンについて、基板上の10本の細線を光学顕微鏡で観察し、画像解析ソフトで各細線の線幅の平均値を求めた。この平均値を各細線の幅とし、下記の基準に従ってパターン再現性を評価した。
○:10本の細線はいずれも明瞭であり、最も太い細線と最も細い細線の幅の差が20μm未満である。
△:10本の細線はいずれも明瞭であり、最も太い細線と最も細い細線の幅の差が20μm以上40μm未満である。
×:10本の細線の中で形成されていない細線や不明瞭な細線がある。もしくは、10本の細線は明瞭に形成されているが、最も太い細線と最も細い細線の幅の差が40μm以上である。
〔密着性の評価〕
形成した銅の細線パターンにセロハンテープCT24(ニチバン社製)を貼り付け、指で押し付けた。テープを剥離して銅の剥がれを目視観察し、下記の基準に従って細線の密着性を評価した。
○:細線パターンに全く変化は見られない
△:細線パターンにわずかに欠落が見られる
×:細線パターンの欠落が目立つ
〔インクの出射性の評価〕
パターン形成に使用したインクジェットヘッド、および特開2002−363469号公報の図2に記載のストロボ発光方式のインク飛翔観察装置を用いて、吐出周期と発光周期を同期させCCDカメラによりインク飛翔状態をモニターし、下記基準に従って、インクの出射安定性を評価した。
○:インク液滴は正常に射出されており、斜め出射や速度のバラつきは全く見られない
△:インク液滴の射出にやや異常が見られ、斜め出射、速度のバラつきが生じている液滴がある
×:インク液滴の射出に顕著な異常が見られ、斜め出射、速度のバラつきが生じている液滴が多く、出射欠のノズルも見られる
いずれの評価においても△以上を実用上問題の無い範囲とした。得られた結果を表2に示す。
Figure 2010168413
表2に記載の結果より明らかなように、本発明のインクジェットインク、記録方法により基板に形成した銅の細線パターンは、比較例に対し、良好なパターン再現性、密着性を示すことがわかる。さらに、錯体形成可能な化合物をインクに含有させることにより、インクの出射性がより良好となることがわかる。
実施例2
実施例1におけるインク1、3、5及び7の高分子化合物1を、ジョンソンポリマー社製の高分子化合物であるジョンクリル70(酸価240、重量平均分子量16500)に変えた以外は実施例1と同様して、各々記録方法11、13、15〜18による基板を作製し、同様の評価方法により評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2010168413
表3に記載の結果より明らかなように、本発明のインクジェットインク、記録方法により基板に形成した銅の細線パターンは、比較例に対し、良好なパターン再現性、密着性を示すことがわかる。
実施例3
実施例1におけるインク1、3、5及び7の高分子化合物1を、ジョンソンポリマー社製の高分子化合物であるJDX6500(酸価74、重量平均分子量10000)に変えた以外は実施例1と同様して、各々記録方法21、23、25〜28による基板を作製し、同様の評価方法により評価した。得られた結果を表4に示す。
Figure 2010168413
表4に記載の結果より明らかなように、本発明のインクジェットインク、記録方法により基板に形成した銅の細線パターンは、比較例に対し、良好なパターン再現性、密着性を示すことがわかる。

Claims (7)

  1. インクジェットヘッドによりインクを吐出して基板上にパターンを形成した後、無電解めっき処理により該パターン上に金属層を形成する金属パターン形成方法に用いるインクであって、少なくとも、水、沸点150℃以上の有機溶媒、無電解めっきの触媒となる化合物、高分子化合物を含有し、かつ下式(A)により求められる該沸点150℃以上の有機溶媒のlogP値が0以上、1.0以下であることを特徴とするインクジェットインク。
    式(A)
    logP=logP1・S1/S+logP2・S2/S+・・・+logPn・Sn/S
    〔式(A)は、沸点が150℃以上の有機溶媒をn種類併用した場合のlogP値を表す。式中、nは自然数、logP1は溶媒1のlogP値、logP2は溶媒2のlogP値、logPnは溶媒nのlogP値を表す。Sは沸点が150℃以上の有機溶媒の総含有量、S1は溶媒1の含有量、S2は溶媒2の含有量、Snは溶媒nの含有量を表す。〕
  2. 前記無電解めっきの触媒となる化合物が、インクに溶解していることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記無電解めっきの触媒となる化合物が、パラジウム化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記インクジェットインクが、前記パラジウム化合物と錯体形成可能な化合物を含有することを特徴とする請求項3に記載のインクジェットインク。
  5. 前記沸点150℃以上の有機溶媒が、少なくともアルキレングリコールアルキルエーテルを含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを、インクジェットヘッドにより吐出して基板上にパターンを形成した後、無電解めっき処理によって該パターン上に金属層を形成することを特徴とする金属パターン形成方法。
  7. 前記の基板の表面温度を40℃以上、70℃以下に加熱し、インクジェットインクを吐出することを特徴とする請求項6に記載の金属パターン形成方法。
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