JP2005150233A - 回路基板形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 絶縁性基板の上に、回路パターンを生産性高く作成すること。
【解決手段】 金属に還元可能な1次粒径が200nm未満の金属酸化物微粒子を含有する分散液を絶縁性基板に所定の回路形状に塗布して、パターン化された塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜中に含まれる前記金属酸化物微粒子を金属に還元して金属含有被膜を得る工程と、還元された前記金属含有被膜上にさらにメッキにより金属膜を析出させる工程とを含む回路基板形成方法。
【選択図】 選択図なし。
Description
一方、絶縁性基板の上に、導電性ペースト等を直接印刷することによって回路を形成する方法は、印刷および焼成の2段階のプロセスで短時間、かつ、安価に回路形成が可能であるという利点を有する。
この方法によると、導電性ペーストを熱処理したときに金属粉末同士が接触し、印刷されたコーティング膜が導電性になり、同時にガラスによりこのコーティング膜が基板に接着する。また、基板が樹脂の場合には、熱硬化性樹脂を有機溶剤に溶かし、金属粉末を混合して導電性ペーストを用いて同様のコーティング膜を基板上に形成することが可能である。しかしながら、スクリーン印刷法は、回路パターンを形成したメッシュが外力によって伸びて位置精度が充分でないという問題があり、特に、大面積基板に対してはファインパターンの形成は難しい。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 金属に還元可能な1次粒径が200nm未満の金属酸化物微粒子を含有する分散液を絶縁性基板に所定の回路形状に塗布して、パターン化された塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜中に含まれる前記金属酸化物微粒子を金属に還元して金属含有被膜を得る工程と、還元された前記金属含有被膜上にさらにメッキにより金属膜を析出させる工程とを含む回路基板形成方法。
(2) インクジェット法により金属酸化物微粒子を含有する分散液を絶縁性基板に所定の回路形状に塗布することを特徴とする(1)に記載の回路基板形成方法。
(3) 金属酸化物微粒子を金属に還元して得られる金属含有被膜の体積抵抗値が1×10−2Ωcm未満であることを特徴とする(1)または(2)に記載の回路基板形成方法。
(4) メッキ法が電解メッキ法であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の回路基板形成方法。
(5) 金属酸化物微粒子を金属に還元する工程を非酸化性雰囲気で行なうことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の回路基板形成方法。
(6) 金属酸化物が酸化銅であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1つに記載の回路基板形成方法。
(7) 分散液が金属アルコキシド化合物または熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1つに記載の回路基板形成方法。
本発明に使用される絶縁性基板としては、樹脂基板、セラミック基板等が挙げられる。樹脂基板の素材としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂等が例示できる。セラミック基板の素材としては、ガラス、ITO、窒化アルミニウム等を例示できる。これらの基板は、必要に応じ、脱脂洗浄、または表面処理を行なって用いることができる。表面処理は、密着性向上等の目的を含み、例えば、プラズマ処理、電子線処理等の物理的手法、シランカップリング剤処理等の化学的手法等が用いられる。
金属酸化物は、加熱処理によって還元されるものであれば、いかなるものも使用可能である。金属酸化物として、例えば、酸化銅、酸化銀、酸化パラジウム、酸化ニッケル等が挙げられる。中でも、容易に還元が可能で、耐マイグレーション性の高い銅回路が得られる酸化銅が好ましい。酸化銅としては、酸化第一銅および酸化第二銅のいずれも使用可能である。酸化銅としてより好ましいのは、容易に還元されうる酸化第一銅である。
有機分散媒の例として、アルコール、エーテル、エステル、アミド、スルホキシド等が挙げられる。有機分散媒の中で、特に好ましいのは、炭素数が10以下のポリオール溶媒である。ポリオールとは、分子中に2個以上の水酸基を有し、室温において溶液である化合物であり、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等が挙げられる。これらのポリオール分散媒は単独でまたは複数のポリオール分散媒を混合して用いられる。
ポリエーテル化合物は、骨格中にエーテル結合を有する高分子であって、一部が他の官能基によって置換されていてもよいが、用いる有機分散媒に均一に分散する必要がある。分散媒への分散性の観点から好ましいポリエーテル化合物を例示すると、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等が挙げられる。中でも、工業的に入手が可能なポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールがより好ましい。ポリエーテル化合物の好ましい分子量は200〜1500であり、より好ましくは300〜900である。これらは、末端がメトキシ基等で置換されているものも好ましく用いられる。
金属アルコキシド化合物は、一般式M(OR1)nで表され、ここでMは金属元素、R1はアルキル基、nは金属元素の酸化数である。Mとしては、シラン、チタン、ジルコニア、アルミニウム等、アルキル基としては、メチル基、エチル基、i−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等を例示できる。代表的な金属アルコキシド化合物を列挙すると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン等の珪素化合物、テトラエトキシチタン、テトラ(n−プロポキシ)チタン、テトラ(i−プロポキシ)チタン、テトラ(n−ブトキシ)チタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等のチタン化合物等であり、これらは液状の化合物であって、金属酸化物分散体に容易に分散が可能であるので好ましい。また、(R2)x(M)(OR1)n−x(n−xは1以上)で表される金属アルコキシドのように、金属に直接有機基R2が付加した化合物も使用可能である。有機基R2は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、ブチル基等である。
液状のエポキシ樹脂は粘度が低いので好ましく、フェノキシアルキルモノグリシジルエ−テル、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、プロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ポリプロピレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、ヘキサンジオ−ルジグリシジルエ−テル、水添ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テル、ネオペンチルグルコ−ルジグリシジルエ−テル、グリセリンジグリシジルエ−テル、N,Nジグリシジルアニリン、N,Nジグリシジルトルイジン、トリメチロ−ルプロパントリグリシジルエ−テル、グリセリントグリシジルエ−テルおよび液状の各種ポリシロキサンジグリシジルエ−テル等が例示される。
本発明に用いるエポキシ硬化剤としては、一般的なエポキシ硬化剤を用いることができる。例えば、脂肪族ポリアミン系として、トリエチレンテトラミン、m−キシレンジアミン等があり、芳香族アミン系として、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン等があり、第三級アミン系として、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルフェノ−ル等があり、酸無水物系として、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等があり、三フッ化ホウ素アミンコンプレックス系として、BF3−ピペリジンコンプレックス等がある。また、ビスフェノ−ルA等のビスフェノ−ル化合物でもよい。ジシアンジアミド、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、トリス(メチルアミノ)シラン等も用いることができる。
熱硬化性樹脂の他の例であるポリイミド樹脂は、その前駆体であるポリアミド酸溶液を加熱縮合して得られるものであって、本発明で用いることができるポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミノ化合物から製造することができる。
テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3'、4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3'、4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2'、3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'、4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3'、4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス[5-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物等を例示することが可能である。
分散体中における金属酸化物微粒子の割合は、好ましくは5重量%以上95重量%以下であり、より好ましくは10重量%以上80重量%以下である。分散体に金属アルコキシド化合物または熱硬化性樹脂を添加する場合には、接着性向上の機能の発現に必要な量を適宜添加すればよく、通常は添加剤を加えた分散体全重量に対して、0.1〜20重量%になるように添加するのが好ましい。
インクジェット法には、サーマル式とピエゾ式の異なるインク吐出原理が存在する。前者はノズル内に設けたヒーターの加熱でバブルを発生させ、その圧力でインクを吐出する方式であり、後者は圧電素子を電気信号で変形させインク室に力を加えてインク滴を発生させる方式である。本発明においては、いずれの吐出原理であっても使用可能である。
実際のインクジェット塗布にあたっては、分散液をインクジェット・プリンター・ヘッドの液溜に入れ、電気信号を加えることにより、ドット状の微小液滴を生成することによって、基板上にインクを塗布する。目標とする最小線幅、ライン間隔に応じて、例えば、塗布されるドットの平均径を10〜30μmの範囲に選択し、また、ドットの平均径の選択に併せて、前記微小な液滴量は自ら定まる。
スクリーン印刷法は、枠に張った紗に版膜を密着し、紗の目開きからインクを通過させて基材にインクを転写する方法であり、回路パターンを形成した紗を枠に固定し、その上をスクイージが往復してインクの印刷を行う。基板へのインクの印刷性は、スクイージと紗との角度、紗を押す圧力等によってコントロールすることができる。スクリーン印刷用のインクとして好ましい分散液の粘度は、シアレート10(s−1)において、40Pa・s以上であり、チクソ性を有することが好ましい。
分散液を絶縁性基板上に所定の回路形状に塗布してパターン化された塗布膜を形成した後、塗布膜中の金属酸化物微粒子を還元して金属含有薄膜を得る。金属酸化物を還元する手法としては、可能であるならば光等によってもよいし、加熱によってもよいが、処理の容易さを考慮すると、加熱によって還元する方法が好ましい。
また、酸化を受けやすい金属に還元される酸化銅等の金属酸化物微粒子を還元する場合には、非酸化性雰囲気中で加熱して還元することが好ましい。非酸化性雰囲気とは、酸素等の酸化性ガスを含まない雰囲気であり、不活性雰囲気と還元性雰囲気がある。不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオンや窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気であり、還元性雰囲気とは、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。これらのガスを焼成炉中に充填して密閉系として焼成してもよいし、焼成炉を流通系にしてこれらのガスを流してもよい。
金属含有薄膜上にメッキを析出させる手法としては、無電解メッキおよび電解メッキのいずれも使用可能であるが、成膜速度および成膜される膜質の観点からは、電解メッキが好ましい。メッキの金属種には制限はないが、導電性および安定性の観点から好ましいのは、銅、ニッケル、金等である。メッキ工程は、通常、被メッキ面を脱脂した後、メッキ反応液に基材を浸して行う。電解メッキであれば基材の被メッキ面に通電することによってメッキ層を形成することが可能となる。
本発明において、金属酸化物微粒子の一次粒径は、日本分光株式会社製透過型電子顕微鏡(JEM−4000FX)を用いて表面を観察して測定する。電子顕微鏡による表面測観察において、視野の中から、一次粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被定物の粒径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、最も多数存在すると思われる一次粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、粒倍率をかけて一次粒子径を算出する。
精製水100mlに無水酢酸銅(和光純薬工業(株)製)10gを加え、25℃で攪拌しながらヒドラジン1水和物(和光純薬工業(株)製)を加え、1次粒径10〜30nmの酸化第一銅微粒子を得た。この酸化第一銅微粒子2gに、ジエチレングリコール7g、ポリエチレングリコール(平均分子量200、和光純薬工業(株))3g、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル0.1gおよびマイクロカプセル化エポキシ硬化剤であるノバキュアHX−3088(旭化成エポキシ(株)製)を加え、超音波分散を施して酸化第一銅微粒子分散体とした。次に、インクジェット方式のプリント・ヘッドのインクカートリッジにこの分散体を充填し、専用のプリンタに装着した。本実施例では、このインクジェット方式として、ピエゾ方式のプリント・ヘッドを用いた。
スライドガラス上に、平均液量4plでインクを噴射し、膜厚3μm、線幅100μmの直線パターンを印刷し、塗膜を得た。この印刷後、ガラス基板を窒素雰囲気で350℃/30分の熱処理を施し、酸化第一銅の還元を行った。得られた金属配線のパターンは、厚み0.5μm、幅100μmであり、体積抵抗値は、8×10−5Ω・cmであった。
硫酸銅5水和物(和光純薬工業(株)製)80gと硫酸180gを精製水1リットルに溶解して作成した電解メッキ浴に、上記ガラス基板を入れ、室温にて、2A/dm2の電流密度で電解銅メッキを施し、厚み8μmの銅層を形成した。
以上の回路形成工程は2時間で終了した。
酸化第二銅ナノ粒子(粒径10〜100nm、公称平均粒径30nm、シ−アイ化成(株)製)2gを、エチレングリコ−ル7gに加え、さらに金属アルコキシ化合物であるエチルシリケート40(コルコート(株)製)0.3gを加えた。これを、株式会社キ−エンス社製攪拌脱泡機(HM−500)にて、攪拌モ−ド10分、脱泡モ−ド5分の条件で分散処理を行って、酸化第二銅微粒子分散体を得た。実施例1と同様の手順で、インクジェット塗布を行い、膜厚4μm、線幅150μmの直線パターンを印刷し、塗膜を得た。
この印刷後、ガラス基板を水素雰囲気で350℃/30分の熱処理を施し、酸化第二銅の還元を行った。得られた金属配線のパターンは、厚み0.6μm、幅150μmであり、体積抵抗値は、9×10−5Ω・cmであった。実施例1と同じ電解メッキ浴にて、2A/dm2の電流密度で電解銅メッキを施し、厚み8μmの銅層を形成した。以上の回路形成工程は2時間で終了した。
実施例1記載の酸化第一銅微粒子2gに、ジエチレングリコール7g、およびポリエチレングリコール(平均分子量200、和光純薬工業(株)製)3gを加え、超音波分散を施して酸化第一銅微粒子分散体を得た。分散体を実施例1と同様の方法でインクジェット塗布・焼成して、厚み0.5μm、幅100μm、体積抵抗値が4×10−6Ω・cmのパターン化された金属含有被膜を得た。
このパターン化された同金属含有被膜上に、さらにインクジェット塗布行なって厚み3μmの塗布膜を形成し、同様の方法で焼成して0.5μmの金属含有被膜を厚付けし、合計厚み1μmのパターン配線を形成した。同様の塗布−焼成操作を16回繰り返すことにより8μmの金属銅を厚付けしたが、以上の回路形成工程には10時間以上を要した。
Claims (7)
- 金属に還元可能な1次粒径が200nm未満の金属酸化物微粒子を含有する分散液を絶縁性基板に所定の回路形状に塗布して、パターン化された塗布膜を形成する工程と、前記塗布膜中に含まれる前記金属酸化物微粒子を金属に還元して金属含有被膜を得る工程と、還元された前記金属含有被膜上にさらにメッキにより金属膜を析出させる工程とを含む回路基板形成方法。
- インクジェット法により金属酸化物微粒子を含有する分散液を絶縁性基板に所定の回路形状に塗布することを特徴とする請求項1記載の回路基板形成方法。
- 金属酸化物微粒子を金属に還元して得られる金属含有被膜の体積抵抗値が1×10−2Ωcm未満であることを特徴とする請求項1または2記載の回路基板形成方法。
- メッキ法が電解メッキ法であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板形成方法。
- 金属酸化物微粒子を金属に還元する工程を非酸化性雰囲気で行なうことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板形成方法。
- 金属酸化物が酸化銅であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回路基板形成方法。
- 分散液が金属アルコキシド化合物または熱硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板形成方法。
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