JP4716717B2 - 回路板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブルプリント回路板等の電気配線回路板およびその製造方法に関する。
プリント配線板上に電気回路パターンを形成する方法としては、従来次のようなフォトリソグラフィー法が一般的である。すなわち、まず、銅等の金属薄膜を、非導電性基板に貼り付けて積層板とし、その積層板にフォトレジストをコーティングする。次に、光マスクを使用して基板を光パターンに露光し、所望の金属パターンを複写する。最後に、基板全体を漕に浸漬し、未露光フォトレジストを溶解除去し、フォトレジスト除去部のエッチングにより回路パターンを形成する。
このような従来技術においては、フォトレジストの溶解や金属箔のエッチングが必要なため、廃液処理の必要があり、環境上の問題がある。また、工程数が多いため、操作が複雑で、設備費や生産コストがかさむという問題もある。さらに、多品種少量生産の現場においては、多数のマスクを作成する必要があり、コストアップになることに加え、ロット変更ごとにマスクを設定し直す必要がある等、生産効率が悪いという問題がある。
一方、フォトリソグラフィー以外の回路形成技術としては、例えば、スクリーン印刷法がある。スクリーン印刷法においては、メタルマスク等のマスクを用いて、導電性金属ペーストを塗布し、続いで加熱硬化させることにより、所望の回路パターン形成を行っている。このスクリーン印刷方式を利用する描画方法は、回路形成のための工程数が少ない上、排水が出ないという製造コスト上の利点があるが、形成される回路パターンごとにメタルマスク等のマスクを用意する必要があり、特に多品種少量生産の現場においては、コストアップの問題と、マスク交換作業により生産効率が低下するという問題がある。
これに対して、インクジェットプリンターやディスペンサーを利用する描画形成法では、加熱処理等によって金属に変換される物質を含む分散液または溶液を吐出して直接描画を行うので、吐出ロボットの動きのみによって回路パターンの描画が可能であり、従って、回路パターン形成にフォトマスクあるいはメタルマスク等が不要であるという利点を有する。当然、エッチング工程等も不要になり、化学薬品の管理や廃液処理が不要になるので、生産コストが大幅に低減されるという利点がある。
このような背景のもと、これまでに幾つかのインクジェットプリンターやディスペンサーを利用する回路パターン形成方法が提案されてきた。例えば、特許文献1では、インクジェット方式を利用して、表面に有機化合物に被覆された金属微粒子ペーストとその有機化合物との反応性を有する成分を用いて印刷し、加熱処理する工程を経て、配線基板の回路パターンの描画形成法が開示されている。また、特許文献2では、アルキルアミン、カルボン酸アミド、モノカルボン酸塩の中から選ばれた分散剤を用いた、金属微粒子独立分散液をインクジェットインクに用いて、インクジェット法でフラットパネルディスプレイの電極を形成する方法が開示されている。
これらの金属微粒子インクを用いるインクジェット方法においては、特に後者の例では、幅50μm程度の金属配線を容易に描画することが可能であり、また、その体積抵抗値も10−5Ωcmを切るほどに低い値であって、電気特性上実用上問題ないレベルの金属配線を形成するに至っている。しかしながら、得られた金属配線は基板との密着性が十分でないという問題を有していた。
従って、インクジェットプリンターやディスペンサーを用いる電気回路形成プロセスにおいては、基板との密着性を十分に確保する手法の開発が望まれていた。
特開2002−324966号公報 特開2002−169486号公報
本発明の課題は、導電性が高く、かつ基板との密着性の高い金属配線を有する回路基板とその製造方法を提供することである。
本発明の別の課題は、プロセスコスト低減が可能なインク直描による製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂の溶液を塗布した後、脱溶剤処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、次いで、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子、多価アルコール及び少なくとも一つの末端がアルキル基である直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂を可塑化させると共に、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路を形成させる工程(2)とを含むことを特徴とする回路板の製造方法。
[2]絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、次いで、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子、多価アルコール及び少なくとも一つの末端がアルキル基である直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって前記熱可塑性ポリイミド系樹脂を可塑化させると共に、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路を形成させる工程(2)とを含むことを特徴とする回路板の製造方法。
[3]絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に70%以上、100%未満の転化率で転化させて、熱可塑性ポリイミド系樹脂と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、次いで、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子、多価アルコール及び少なくとも一つの末端がアルキル基である直鎖状
脂肪族ポリエーテル化合物を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させること、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂を可塑化させること、および前記熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路を形成させることを行う工程(2)とを含むことを特徴とする回路板の製造方法。
[4]工程(2)の加熱処理を、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度以上で行う上記[1]、[2]または[3]に記載の回路板の製造方法。
[5]金属配線形成前駆体微粒子が、金属微粒子、金属酸化物微粒子および金属水酸化物微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]、[2]または[3]に記載の回路板の製造方法。
[6]金属配線形成前駆体微粒子が、酸化第一銅微粒子である上記[5]に記載の回路板の製造方法。
本発明の回路板は、導電性が高く、かつ基板との密着性の高い金属配線を有する。また、本発明によると、回路を形成する金属微粒子前駆体分散体を用いて基板上に回路を直接描くため、プロセスコストを低減できる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の回路板は、熱可塑性ポリイミド系樹脂層を表面に有する絶縁基板上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路が形成されている。熱可塑性ポリイミド系樹脂層を表面に有する絶縁基板は、通常は絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂層を形成することによって作成される。
本発明の回路板に用いられる絶縁基板は、有機材料および無機材料のいずれでもよいが、金属薄膜を形成する際に加熱処理を行うことから、耐熱性のものが好ましい。例えば、セラミックスやガラス等の無機材料、熱硬化性のポリイミドフィルム等の耐熱性樹脂等が好適に用いられる。
絶縁基板は、電気配線回路基板に通常に用いられている程度の絶縁性を有するものであればよく、好ましくは、表面抵抗値として1013Ωcm以上を有するものである。
本発明で、絶縁基板として特に好適に使用される熱硬化性ポリイミドフィルムは、ピロメリット酸またはピロメリット酸誘導体と、芳香族ジアミンとを縮合してなるもの、例えば、カプトン(登録商標、東レ・デュポン株式会社製)、アピカル(登録商標、鐘淵化学株式会社製)等、ビフェニルテトラカルボン酸またはビフェニルテトラカルボン酸誘導体と、芳香族ジアミンとを縮合してなるもの、例えば、ユーピレックス(登録商標、宇部興産株式会社製)等である。ポリイミドフィルムの膜厚は限定されないが、通常、25〜100μm程度のものを用途に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明では、このような基板をそのまま用いてもよいが、その上に形成する熱可塑性ポリイミド系樹脂との接着性を向上させるために、脱脂処理、酸またはアルカリによる化学処理、熱処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等のる表面処理を行ってもよい。
本発明の回路板は、上記絶縁基板上に、熱可塑性を有するポリイミド系樹脂層が形成され、さらにその上に粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路が形成されている。
本発明では、熱可塑性ポリイミド系樹脂層と絶縁基板間に明確な界面があってもよいし、表面方向に絶縁基板組成から熱可塑性ポリイミド系樹脂組成に傾斜組成をもたせることにより、連続的に組成を変え、明確な界面がない状態であってもよい。
ここでいう熱可塑性ポリイミド系樹脂は、イミド環構造を有する樹脂の総称であり、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、熱可塑性ポリエステルイミド等が挙げられる。熱可塑性ポリイミド系樹脂は、低熱膨張性のものが好ましい。
熱可塑性ポリイミド系樹脂は、通常、電気配線の絶縁膜として用いられている程度の絶縁性を有することが好ましく、体積抵抗率が1013Ωcm以上の絶縁性を有することが好ましい。
本発明における熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度は、好ましくは150℃以上、300℃以下、より好ましくは150℃以上、270℃以下である。ポリイミドのガラス転移温度が150℃未満になると、使用時における基板の寸法安定性に悪影響を及ぼす場合がある。ガラス転移温度が300℃を越えると、回路板の製造温度が高くなり絶縁基板を熱劣化させる場合がある。
熱可塑性ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分として、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフルオロメタン二無水物等の少なくとも1種を用い、ジアミン成分としては、〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)パーフルオロプロパン等の少なくとも1種を用いて重合反応させたものを用いることが好ましい。
撥液性を有する熱可塑性ポリイミド系樹脂は、その上に分散体を回路形状に塗布する場合に分散体の表面での濡れ広がりが小さくなり、従って細い回路パターンを形成することが可能であり、得られる金属配線が細くなるので微細回路基板を作成する場合に有用である。撥液性を有する熱可塑性ポリイミド系樹脂としては、例えば分子骨格中にフッ素やシロキサン基などの撥液性基を有するポリイミドがこれに相当する。
本発明の回路板を製造する場合に、熱可塑性ポリイミド系樹脂に代えてポリイミド系樹脂前駆体を用いることができる。熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、加熱により熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化される。ポリイミド系樹脂前駆体の一例として、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとピロメリット酸無水物からなるポリアミド酸等が挙げられる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂および熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、熱可塑性ポリイミド系樹脂層と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を用いた樹脂層とを設けてもよい。また、異なる熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる複数の層が形成されていてもよい。
絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂層を形成させるには、下記の方法が好ましい。
(A)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂を含有する溶液を塗布した後、脱溶剤処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層を絶縁基板上に形成させる方法。
(B)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる積層体を絶縁基板上に形成させる方法。
(C)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤および脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体の一部を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させて、熱可塑性ポリイミド系樹脂と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる第一の工程、次いで、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる第二の工程からなる方法。
(A)の方法においては、絶縁基板上に塗工された熱可塑性ポリイミド系樹脂溶液は、熱処理等により溶剤が除去される。この際、熱処理は低温から徐々に高温に上昇させながら行うのが好ましい。熱処理を急激に高温で行なうと、樹脂表面にスキン層が生成して溶剤が蒸発しにくくなったり、発泡する場合がある。
また、本発明では、熱可塑性ポリイミド系樹脂の代わりに、熱可塑性ポリイミド系樹脂に変換可能なポリイミド系樹脂前駆体溶液を使用する(B)または(C)の方法を採用することもできる。
(B)の方法によると、熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液を塗布後、熱処理により溶剤が除去され、脱水縮合反応によりイミド閉環が行われる。この熱処理に関して、脱溶剤処理およびイミド閉環処理は同時に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。熱処理は低温から徐々に高温まで上昇させながら熱処理するのが好ましい。
複数のポリイミド前駆体を用いて多層構造を形成する場合、各ポリイミド系樹脂層間に十分な接着力を付与するためには、複数の前駆体溶液の多層塗工を行い、イミド閉環反応温度以下での脱溶剤処理の後、前駆体のポリイミドへの加熱変換を一括して行うのが好ましい。
(C)の方法の場合、第一の工程で熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化率を70%以上、100%未満になるよう調整することが好ましい。第一の工程の転化率をこのように調整することにより、次に形成される金属配線との接着性がさらに向上する。転化率とは、熱可塑性ポリイミド系樹脂層中のイミド結合を形成する縮合性官能基のうち、縮合している割合を表す指標である。すべての縮合性官能基が縮合し、イミド結合に転化された場合を転化率100%と定義する。通常、この転化率は、硬化処理後のイミド結合の量を赤外線吸収測定等の手法で測定することにより、見積もることが可能である。例えば、縮合によりイミド結合が得られる場合には、1780cm−1付近のイミド基の赤外線吸収ピークの相対強度を測定し、転化率100%のサンプルと比較することにより見積もることができる。
未転化の熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を、第二の工程において熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる。回路板中に未転化の前駆体が残ると、吸水等により絶縁信頼性が低下しやすくなるので、熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は100%転化させることが好ましい。
熱可塑性ポリイミド系樹脂または熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液に用いられる溶媒には、通常、有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロラクタム、プチロラクタム、テトラヒドロフラン、m−ジオキサン、p−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス2−(2−メトキシエトキシ)エチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ピリジン、ピコリン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂またはその前駆体の溶液には、熱可塑性ポリイミド系樹脂層の表面に平滑性を与えるための平滑剤、レベリング材、脱泡剤等の各種添加剤を必要に応じて添加することができる。また、溶剤の蒸発速度を調節するために、均一に溶解する範囲で芳香族炭化水素系溶媒を使用することもできる。さらに、公知のアミン系硬化剤等の硬化剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等の接着性付与剤、ゴム等の可撓性付与剤等の各種添加剤や触媒を加えてもよい。
絶縁基板上への前記溶液の塗工方法は限定されるものではなく、例えば、ディップコート、バーコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート等が用いられる。
前記溶液の濃度は、熱可塑性ポリイミド系樹脂またはその前駆体の重合度にもよるが、通常5〜30重量%であり、好ましくは10〜20重量%である。ポリマー濃度が5重量%よりも低いと1回の塗工で十分な膜厚が得られない場合があり、30重量%よりも高くなると溶液粘度が高くなって塗工が困難になる場合がある。
本発明の回路板における熱可塑性ポリイミド系樹脂層の厚さは、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。膜厚が0.1μmより薄いと、均一な配線を形成しにくく、接着強度の向上効果が十分に発揮されない場合がある。膜厚が5μm を越えても本発明の効果を妨げるものではないが、回路板の厚みが必要以上に厚くなるうえ、経済的でない場合が多い。
次に、前記で形成された熱可塑性ポリイミド系樹脂層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱処理によって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路を形成させる。
加熱処理によって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子とは、この前駆体微粒子を含む分散体を回路形状に塗布し、加熱することによって金属微粒子同士が相互に接合して、見かけ上、連続した金属層で形成された金属配線を形成する微粒子である。この金属層表面を顕微鏡で観察すると、各金属間の界面が観察される箇所と、連続層として観察される箇所が混在する。
金属配線形成前駆体微粒子は、一次粒子径が200nm以下であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下である。金属配線形成前駆体微粒子の一次粒子径が200nmを越えると、加熱処理によって緻密な金属配線が形成されない。
本発明で用いられる金属配線形成前駆体微粒子としては、加熱処理によって金属配線を形成する限り制限は無く、好ましくは、金属微粒子、金属酸化物微粒子および金属水酸化物微粒子が挙げられる。
金属水酸化物微粒子としては、水酸化銅、水酸化ニッケル、水酸化コバルト等の化合物からなる微粒子を例示できるが、特に銅配線を与える金属水酸化物微粒子としては、水酸化銅微粒子が好ましい。
金属微粒子としては、湿式法やガス中蒸発法等の手法により形成される銅微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子は、分散媒中への分散性や、加熱処理による金属配線形成の容易性から、特に好ましい。金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化銅、酸化銀、酸化パラジウム、酸化ニッケル等が挙げられる。加熱処理によって銅を与えることが可能な酸化銅としては、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅のいずれも使用可能である。酸化第一銅微粒子は、容易に還元が可能であるので特に好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法を用いて合成することも可能である。例えば、粒子径が100nm未満の酸化第一銅超微粒子の合成方法としては、アセチルアセトナト銅錯体をポリオール溶媒中で200℃程度で加熱して合成する方法が公知である(アンゲバンテ ケミ インターナショナル エディション、40号、2巻、p.359、2001年)。
金属配線形成前駆体微粒子の分散体を、回路形状に熱可塑性ポリイミド系樹脂を有する基板上に塗布する場合、例えば、インクジェットプリンターやディスペンサー等、ドロップオンデマンドタイプの塗布装置が用いられる。
インクジェット法においては、分散体をインクジェットプリンターヘッドに入れて、ピエゾ素子等に電気駆動によって微小振動を加えることによって分散体液滴が吐出される。ディスペンサー法においては、分散体を先端に吐出針のついたディスペンサーチューブに入れ、空気圧を加えることによって分散体が吐出される。
回路パターンは、インクジェットヘッドやディスペンサー吐出針をロボットによって平面方向に動かすことにより任意のパターンを形成することができる。これらの塗布手法においては、段差を有する基板においても、ロボットを垂直方向に動かすことで、段差に追従した回路を形成することも可能である。
インクジェット法においては、描画される配線パターンの線幅は、インクジェットプリンターヘッドから吐出される分散体液滴サイズとその着弾パターンを制御することにより、またディスペンサー法においては吐出針から吐出される分散体の幅を吐出針の内外径や、吐出圧、描画スピード等によってコントロールすることにより、描画される配線パターンの線幅を調整することが可能である。通常は、塗布する分散体の線幅は1〜400μmの範囲であり、得られる金属配線の線幅は0.5〜300μmである。
また、塗布する分散体の厚みを調整することによって、最終的に得られる金属配線の厚みを調整することが可能である。通常は、塗布する分散体の厚みは0.1〜100μmであり、得られる金属配線の厚みは0.05〜50μmである。
金属配線形成前駆体微粒子の分散体を熱可塑性ポリイミド系樹脂を有する基板上に回路形状に塗布した後、加熱処理を行う。
加熱処理の目的は、(1)熱可塑性ポリイミド樹脂を可塑化させる、(2)粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線を形成させる、(3)未転化の熱可塑性ポリイミド樹脂前駆体が残っている場合には、転化を完了させる、ことである。(1)〜(3)は、通常、同時に行われるが、逐次的に行ってもよい。
加熱温度は、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度以上が好ましく、ガラス転移温度より40〜100℃高い温度がより好ましく、通常は、200℃以上400℃以下の温度である。例えば、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度が260℃である場合、ポリイミド膜上に、金属配線形成前駆体微粒子を含有する分散体を塗布後、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度よりも高い300℃〜360℃で加熱処理して、金属配線形成前駆体微粒子から金属配線を形成させると同時に、熱可塑性ポリイミド系樹脂層と金属配線とが熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で界面を接することにより、極めて高い接着力が発現する。
加熱処理には、遠赤外線、赤外線、マイクロ波、電子線等の放射線加熱炉や、電気炉、オーブン等の加熱手段が用いられる。
金属配線の形成は、酸化の影響を受けない金属であるならば、大気中で行うことができる。酸化されやすい金属種を含む場合には、不活性雰囲気中での加熱処理が好ましい。また還元性雰囲気中での焼成によって、加熱処理温度を低減できる場合がある。不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気を指し、還元性雰囲気とは、水素や一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。これらのガス中には、酸化に寄与しない程度ならば、微量の酸素を含んでいてもよい。その際の酸素濃度は、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。
本発明によると、絶縁基板上で熱可塑性ポリイミド系樹脂(および、場合により、熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体)と金属配線(および、場合により、金属配線形成前駆体)とが、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で界面を接することにより、熱可塑性ポリイミド系樹脂と金属配線との接着性が著しく向上する。この接着性向上のメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推定される。
粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線と、熱可塑性ポリイミド系樹脂との界面は、金属配線形成前駆体微粒子の一次粒子径が200nm以下と小さく、ある程度の粗さを有していると考えられ、金属配線の表面積は平滑な場合と比較して著しく大きくなっていると考えられる。このとき、ガラス転移温度以上で溶融状態となる熱可塑性ポリイミド系樹脂と接することにより、金属配線に生じた凹凸に熱可塑性ポリイミド系樹脂が進入し、熱可塑性ポリイミド系樹脂と金属配線との接触面積を著しく向上させ、それが接着力の向上に寄与しているものと考えられる。
本発明の金属配線形成前駆体微粒子分散体に用いる分散媒は、微粒子を均一に分散できるものであれば制限は無い。
分散体が多価アルコールおよび/または直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、加熱処理して、金属配線形成前駆体微粒子から、金属配線を得るときの成膜性を向上させるので、さらに好ましい。
多価アルコールは、分子中に複数の水酸基を有する化合物である。多価アルコールは、その沸点が適度に高いため揮発しにくく、これを用いると、金属配線形成時の成膜性に優れるので好ましい。多価アルコールの中で好ましいのは、炭素数が10以下の多価アルコールであり、その中でも粘度の低い、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等が特に好ましい。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
多価アルコールが金属配線形成時の成膜性を向上させる理由は必ずしも明らかではないが、金属配線形成前駆体微粒子が金属酸化物微粒子または金属水酸化物微粒子の場合には、多価アルコールが微粒子表面の水酸基と相互作用して粒子表面を保護し、粒子間の凝集を抑制する働きがあるものと考えられる。また多価アルコールには、金属酸化物微粒子または金属水酸化物微粒子を還元する効果もあるので好ましい。
分散体が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、金属配線形成時の成膜性を向上させる効果に加えて、加熱処理して得られる金属配線の抵抗値が低減するので好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が成膜性を向上させ、かつ抵抗値を低減させる理由は、直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が易分解・易焼失性バインダーとして加熱処理中の金属配線形成前駆体微粒子の局所的な造粒を防ぐためと考えられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の好ましい平均分子量は、150〜600である。分子量がこの範囲にあると、金属配線形成時の成膜性が極めて高く、一方、容易に分解・焼失するので得られる金属配線の体積抵抗値が下がりやすい。分子量が150より小さいと、焼成して金属配線を得るときの成膜性が低下する傾向があり、分子量が600を越えると、得られる金属配線の体積抵抗値が高くなる傾向がある。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物は、繰り返し単位が炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物は、繰り返し単位が1種類であるホモポリマーでもよいし、繰り返し単位が2種類以上のコポリマーやブロックコポリマーであってもよい。
具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリエーテルホモポリマーのほかに、エチレングリコール/プロピレングリコール、エチレングリコール/ブチレングリコールの2元コポリマー、エチレングリコール/プロピレングリコール/エチレングリコール、プロピレングリコール/エチレングリコール/プロピレングリコール、エチレングリコール/ブチレングリコール/エチレングリコール等の直鎖状の3元コポリマーが挙げられるがこれらに限定されるものではない。ブロックコポリマーとしては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコール等の直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロックコポリマーが挙げられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の末端の構造は、微粒子の分散性や分散媒への溶解性に悪影響を与えない限り制限は無いが、少なくとも一つの末端がアルキル基であると、焼成時におけるポリエーテル化合物の分解・焼失性が向上し、得られる金属配線形成の体積抵抗値が下がるので好ましい。アルキル基の長さが長すぎると、微粒子の分散性を阻害して分散体の粘度が増大する傾向があるので、アルキル基の長さとしては、炭素数1〜4が好ましい。少なくとも一つの末端がアルキル基であることによって、焼成時の分解・焼失性が向上する理由は定かではないが、微粒子とポリエーテル化合物の間、またはポリエーテル化合物とポリエーテル化合物間の水素結合等に基づく相互作用の力が弱まることが寄与しているものと推察される。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の特に好ましい構造は、一つの末端がアルキル基であり、もう一方の末端が水酸基である構造であり、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
分散体中の金属配線形成前駆体微粒子の割合に制限はないが、分散体総量に対して、重量%で、好ましくは5〜90%、より好ましくは20〜80%である。分散体中の微粒子の重量がこれらの範囲にある場合には、微粒子の分散状態が良好であり、また、1回の塗布・加熱処理によって適度な厚さの金属配線が得られるので好ましい。
分散体中の多価アルコールの割合は、分散体総量に対して、重量%で、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。
分散体中の直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の割合は、分散体総量に対して、重量%で、好ましくは0.1〜70%、より好ましくは1〜50%である。ポリエーテル化合物の添加量が0.1%未満である場合には、得られる金属配線の緻密性が低くなる場合や、基材との密着性が低下する場合があり、一方、ポリエーテル化合物の添加量が70%を越えると、分散体の粘度が増加する場合がある。
金属配線形成前駆体微粒子に対するポリエーテル化合物の好ましい重量比は、用いる微粒子の種類とポリエーテル化合物の種類により異なるが、通常は0.01〜10の範囲である。この範囲にあると得られる金属配線の緻密性が向上し、その体積抵抗値がさらに低下する。
本発明では、上記分散体に、必要に応じ、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
上記分散体の製造には、粉体を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、金属配線形成前駆体微粒子と分散媒と直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物等の構成原料を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。金属配線形成前駆体微粒子以外の構成物が固体である場合には、これらを液状になる温度に加熱しながら微粒子を加え、上記操作を行うことが好ましい。分散体が流動可能な固体となる場合には、ずり応力を加えながら分散を行うことが好ましく、3本ロール法、ミキサー法等が好ましい。
本発明の回路板は、その金属配線が高い導電性を有し、かつ基板との密着性が高い。また金属配線形成前駆体を回路パターンに直描することにより、少ない工程で、回路基板を形成できるという利点がある。本発明の回路板はプリント配線板、プラズマディスプレイパネルや液晶パネル等のフラットパネルディスプレイ等に使用することができる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示す。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
金属配線形成前駆体微粒子の粒子径、金属配線形成の体積抵抗率、接着性、およびイミド化転化率の測定法は以下のとおりである。
(1)金属配線形成前駆体微粒子の粒子径
カーボン蒸着された銅メッシュ上に、溶解・希釈した微粒子分散体を1滴たらし、減圧乾燥したサンプルを作成する。(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡(JEM−4000FX)を用いて観察し、視野の中から、粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被測定物の粒子径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、倍率をかけて一次粒子径を算出する。これらの値の平均値を粒子径とする。
(2)金属配線形成の体積抵抗率
低抵抗率計「ロレスター(登録商標)」GP(三菱化学株式会社製)を用いて測定する。
(3)テープ剥離試験
テープ剥離試験は、得られた金属配線上にスコッチテープ(登録商標、住友スリーエム株式会社製)を貼り、これを剥がす際に、金属配線がスコッチテープに付着して基板から剥がれたか否かで判定する。
(4)イミド化転化率
ポリアミック酸を塗布し、その一部を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる場合について、イミド化転化率の見積もり方法について説明する。ポリアミック酸加熱処理後において、表面の赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近のイミド基ピーク強度(A1)とイミド化反応によって変化しない1500cm−1付近のピーク強度(B1)を計算し、これらからイミド基の相対強度C1=A1/B1を導出する。次に、比較試料として、350℃で4時間加熱処理を行い、100%イミド化転化を行った試料を準備し、1780cm−1及び1500cm−1のピーク強度(A0,B0)を測定し、相対強度C0=A0/B0を導出する。このときの相対強度C0を100とし、C1と比較することで、加熱処理によるイミド化転化率は、(100×C1/C0)%と計算して求める。
[実施例1]
(金属薄膜前駆体微粒子および分散体の調製)
無水酢酸銅(和光純薬工業株式会社製)8gに精製水70mlを加えた。25℃で攪拌しながらヒドラジン対酢酸銅のモル比が1.2になるように64重量%のヒドラジン抱水物2.6mlを加えて反応させ、粒子径20nmの酸化第一銅微粒子を得た。得られた酸化第一銅3gに対し、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量350、アルドリッチ製)2gと、ジエチレングリコール7gを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散体を得た。得た分散体をディスペンサーチューブに充填した。
(ポリイミド溶液の合成)
3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によって得られる溶剤可溶性ポリイミドの樹脂濃度20wt%のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液(新日本理化株式会社製リカコートPN−20)をNMPを加えて10wt%溶液に希釈し、ポリイミド樹脂溶液を調製した。この熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は270℃であった。
(表面処理された基板の作成)
10cm角のガラス基板上に同サイズで切り出したポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム、膜厚50μm)を両面テープで貼り合わせた後、ミカサ株式会社製スピンコーター(1H−D7型)にセットした。このポリイミドフィルム上に上記ポリイミド樹脂溶液を500rpm×5秒のプレスピンの後、2000rpm×10秒の条件でスピンコートを行った。スピンコート塗布した基板を、ホットプレート上で90℃×10分、120℃×10分、150℃×10分、180℃×10分、250℃×60分、300℃×60分の条件で加熱し、熱可塑性ポリイミド系樹脂を表面に有するポリイミド基板を得た。
(金属配線の形成)
上記ポリイミド基板をディスペンサー(武蔵エンジニアリング株式会社製)のテーブルに真空吸着した。ディスペンサーチューブに充填した上記分散体の先端にシリンジ(FN−0.50N(内径50μm)、武蔵エンジニアリング株式会社製)を固定して、ディスペンサのエア供給チューブに接続した後、ディスペンサーロボットの所定位置に固定した。チューブに空気圧をかけ、分散体を押し出しながら、あらかじめプログラムした配線パターンにディスペンサーロボットを動かして、分散体を回路形状に塗布した。この時の、基板とシリンジ先端のギャップは80μmに調整した。
次に、この塗布基板を、ホットプレートで350℃×1hの条件で窒素フローさせながら(熱硬化後の上記ポリイミド膜のガラス転移温度(270℃)よりも高い温度で)焼成したところ、粒子径20nm以下の銅微粒子が互いに融着し、大きな銅グレインとなった構造の銅配線が得られた。
4端子法で測定した銅配線の抵抗値は4×10−6Ωcmであり、テープ剥離試験で剥がれることはなかった。
[実施例2]
ポリイミド基板の表面に熱可塑性ポリイミド膜を有する基板として、ユーピレックス−VT(登録商標、宇部興産製)を5cm×5cmに切り出したものを、試験基板とした。実施例1と同一の分散体を、実施例1と同様の実験装置で回路形状に塗布し、焼成したところ、抵抗値が4×10−6Ωcmの銅配線を形成できた。銅配線はテープ剥離試験で剥がれなかった。
[比較例1]
ポリイミド膜を形成しないガラス基板に対して、実施例1と同様の手法で銅配線を形成したが、形成した銅薄膜はテープ剥離試験ですべて剥がれた。
本発明の回路基板上の金属配線は、従来の金属薄膜と同等程度の高い導電性を有し、かつ基板との密着性が高い。また、基板上に金属配線形成前駆体を回路パターンに直描することにより、少ない工程で、回路基板を形成できるという利点がある。プリント配線板の回路形成だけでなく、プラズマディスプレイパネルや液晶パネル等のフラットパネルディスプレイ製造におけるガラス基板上に形成されたバス電極、アドレス電極の製造にも使用することができる。

Claims (4)

  1. 絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤処理および脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に70%以上、100%未満の転化率で転化させて、熱可塑性ポリイミド系樹脂と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる工程(1)と、次いで、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属配線形成前駆体微粒子、多価アルコール及び少なくとも一つの末端がアルキル基である直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有する分散体を回路形状に塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させること、前記熱可塑性ポリイミド系樹脂を可塑化させること、および前記熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層の上に、粒子径200nm以下の金属微粒子が互いに融着した構造を有する金属配線による回路を形成させることを行う工程(2)とを含むことを特徴とする回路板の製造方法。
  2. 工程(2)の加熱処理を、熱可塑性ポリイミド系樹脂のガラス転移温度以上で行う請求項に記載の回路板の製造方法。
  3. 金属配線形成前駆体微粒子が、金属微粒子、金属酸化物微粒子および金属水酸化物微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の回路板の製造方法。
  4. 金属配線形成前駆体微粒子が、酸化第一銅微粒子である請求項に記載の回路板の製造方法。
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