JP2010161118A - 多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、その製造方法、積層基板および配線材料 - Google Patents

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章洋 小林
Tadashi Koike
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Abstract

【課題】 特にポリイミドフィルムやガラス板等の基板上に設けられる膜であって、印刷法などにより配線形成を行う際に、基板との密着性、インクの印刷特性に優れ、また、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有する上、高耐熱性を有する多孔質膜を提供する。
【解決手段】 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含む塗工液から得られた薄膜の硬化物からなり、かつ走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなる多孔質膜である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、多孔質膜、多孔質膜形成用塗工液、その製造方法、積層基板および配線材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、特にポリイミドフィルムやガラス板などの基板上に設けられる多孔質膜であって、印刷法等により配線形成を行う際に、基板との密着性、インクの印刷特性に優れ、また、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有する上、高耐熱性を有する多孔質膜、この多孔質膜を形成するための塗工液、その効果的な製造方法、並びに上記多孔質膜を有する積層基板および該多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料に関するものである。
従来フレキシブルプリント配線板などの配線材料の基板としては、耐熱性の高いポリイミドフィルムが広く用いられているが、ポリイミドフィルムに銅等の金属箔を貼り合わせ、その金属層をマスク、露光、エッチングなどの多くの工程を経て回路を形成するため、煩雑なプロセスや多くの薬品を使用することとなる。また、生活の多様化により、アセンブリーメーカーも多品種小生産を強いられている。
一方で、近年、金属ナノ粒子や、金属ペーストを利用した材料の開発が盛んになってきており、特にこれらを含むインクを用いて、インクジェットやスクリーンなどの印刷方法により基板上に多孔質層を介して直接配線を形成する技術が注目されている(例えば、特許文献1参照)。
この手法では、マスクやエッチングなどの工程無しに配線を形成できることや、比較的低温(160〜250℃程度)プロセスであることが特徴とされている。
金属ペーストや金属ナノ粒子などを含む配線形成用インクを用いて基板上に直接印刷する場合比較的低温で配線を形成できることが利点の一つであるが、その配線形成温度自体は、許される範囲で高ければ高いほど、配線の信頼性、インクの選択性などの面で有利な点が多いことから、配線材料基板として耐熱性の比較的高い基材(耐熱温度160℃以上)、特にポリイミドフィルムを用いることの技術的意義は大きい。
ところで、金属ペーストや、金属ナノ粒子を含む配線形成用インクを、インクジェット方式などで基板上に直接印刷する場合、インク吸収性などの印刷特性を向上させるために、通常基板表面に予め受容層(インク受容膜)を設けることが行われており(例えば、特許文献1参照)、上記インク受容膜としては、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂バインダーと、球状コロイダルシリカ粒子が平面状に繋がった数珠状コロイダルシリカとを含む水分散液からなる塗工液を塗布、乾燥したもの等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記インク受容膜も、基板と同様に、少なくとも160℃以上、好ましくは200℃以上の耐熱性が要求されるが、従来の樹脂バインダーを用いたインク受容膜は、クラックの発生、分解またはそれに伴う変色が生じてしまうという課題を有していた。
加えて、従来のインク受容膜においては、印刷時における滲みの発生等により印刷性が十分でない場合があり、また、インク受容膜表面に印刷された配線の密着性が十分でない場合があることから、品質面において更なる向上が求められるようになっていた。
印刷により配線を形成した後に無電解めっきなどの手法により配線厚みを増加させたり、保護用の貴金属層を形成させる場合や、特許文献3に提案されているように、触媒を印刷した後無電解めっきにより配線を形成する方法を適用する場合に、酸性や、塩基性溶液に対する高耐性が必要となる。
特開2006−59983号公報 国際公開第2000/15552号パンフレット 特開2007−281290号公報
本発明は、このような状況下でなされたもので、特にポリイミドフィルムやガラス板などの基板上に設けられる多孔質膜であって、印刷法等により配線形成を行う際に、基板との密着性、インクの印刷特性に優れ、また、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有する上、高耐熱性を有する多孔質膜、この多孔質膜を形成するための塗工液、その製造方法、並びに上記多孔質膜を有する積層基板および該多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、一次平均粒子径および凝集体の平均粒子径が所定の範囲にある凝集体粒子を特定量含む凝集体粒子含有物と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体とを所定の割合で含有する塗工液を用いて、多孔質膜を形成することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1) 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含む塗工液から得られた薄膜の硬化物からなり、かつ走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなることを特徴とする多孔質膜、
(2) 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属の酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、上記(1)項に記載の多孔質膜、
(3) 塗工液における成分(B)が、ポリイミド前駆体である上記(1)または(2)項に記載の多孔質膜、
(4) 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体とを含み、かつ成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が、固形分基準で40〜95質量%であることを特徴とする多孔質膜形成用塗工液、
(5) 成分(B)がポリアミド酸である、上記(4)項に記載の多孔質膜形成用塗工液、
(6) 上記(4)または(5)項に記載の多孔質膜形成用塗工液の製造方法であって、
(a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)を含むバインダー液を混合する工程、
を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法、
(7) 上記(4)または(5)項に記載の多孔質膜形成用塗工液を塗布して形成された塗膜を加熱、硬化させてなることを特徴とする多孔質膜、
(8) 塗膜を、300℃以上500℃未満の温度で加熱、硬化させてなる、上記(7)項に記載の多孔質膜、
(9) 基板上に、上記(1)、(2)、(3)、(7)または(8)項に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板、
(10) 基板がガラス板またはポリイミドフィルムである、上記(9)項に記載の積層基板、
(11) 上記(9)または(10)項に記載の積層基板上の多孔質膜表面に、配線を形成してなることを特徴とする配線材料、および
(12) 配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである、上記(11)項に記載の配線材料、
を提供するものである。
本発明によれば、特にポリイミドフィルムやガラス板などの基板上に設けられる多孔質膜であって、印刷法等により配線形成を行う際に、基板との密着性、インクの印刷特性に優れ、また、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有する上、高耐熱性を有する多孔質膜、この多孔質膜を形成するための塗工液、その効果的な製造方法、並びに上記多孔質膜を有する積層基板および該多孔質膜上に配線を形成してなる配線材料を提供することができる。
まず、本発明の多孔質膜について説明する。
[多孔質膜]
本発明の多孔質膜は、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含む塗工液から得られた薄膜の硬化物からなり、かつ走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなることを特徴とする。
(塗工液)
本発明の多孔質膜の形成に用いる塗工液には、必須成分として、凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含有する。
<凝集体粒子含有物(A)>
当該塗工液に含有する凝集体粒子含有物(A)において、上記凝集体粒子の一次粒子を構成する金属の酸化物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属の酸化物の種類としては特に限定はないが、安定性、価格、入手性などから、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの酸化物が挙げられる。
また、アンチモン-スズ系酸化物、インジウム-スズ系酸化物、酸化チタン/スズ-アンチモン系酸化物などの導電性を有するスズ系酸化物を用いる場合には、帯電防止性能も同時に付与することができ、好ましい場合がある。
凝集体粒子含有物(A)において、凝集体粒子を構成する一次粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定したときの平均粒子径が、2〜200nmの範囲内にあり、5〜100nmの範囲内にあることが好ましく、10〜50nmの範囲内にあることがより好ましく、10〜30nmの範囲内にあることがさらに好ましい。
一次粒子の粒径が2nm未満であると粒子が安定に存在し難く、200nmを超える場合は、凝集体の可視光の散乱が大きくなり、薄膜化した場合に透明性が損なわれる恐れがある。また、多孔質膜形成前の塗工液の状態で、凝集体粒子の沈降が起こりやすく、扱いにくくなる。
また、凝集体粒子は、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にあり、70〜2500nmの範囲内にあることが好ましく、70〜1000nmの範囲内にあることがより好ましい。
70nm未満の場合、凝集体粒子由来の表面細孔の大きさや数が少なくなりまた、3次元的な凹凸形状の形成も不十分な状態となり目的とするアンカー効果が充分では無くなる。3000nmを超えると、多孔質膜形成前の塗工液の状態で粒子の沈降が発生して、取り扱いし難くなることや、薄膜化した場合に膜の表面や、内部の可視光の散乱が大きくなり、膜が白濁し易くなるという問題が発生する。
凝集体粒子は一次粒子2個以上結合したものであり、その形態としては、一次粒子が数珠状に連結した長鎖構造を有するもの、連結した凝集体粒子が分枝したものおよび/または屈曲したものなどを挙げることができる。
このような凝集体粒子は、例えば球状金属酸化物からなる一次粒子を、2価以上の金属イオン、例えばCa2+、Zn2+、Mg2+、Ba2+、Al3+、Ti4+などを介在させて連結することにより、得ることができる。また、特許文献2に記載の方法を適用して、数珠状のシリカ粒子を作製し、これを本発明の凝集体粒子として用いることもできる。また、特定の酸性度や、塩基度で安定に一次分散している粒子分散液に、酸若しくは塩基触媒を添加することにより、分散液のpHを安定領域から変動させることにより不安定化させて得る手法も用いることが出来る。
さらには、凝集した粉体粒子を機械的手法により解砕、分散した粒子でも良い。解砕する手法としては、ジェット気流式、ホモジナイザー式および、ボールもしくはビーズミル式などの方法が挙げられる。
凝集体粒子含有物(A)は、一次粒子が2個以上結合してなる凝集体粒子を、10〜100質量%含むものであり、30〜100質量%含むものであることが好ましく、50〜100質量%含むものであることがより好ましい。
凝集体粒子含有物(A)において、凝集体粒子の含有割合を調整する方法に特に制限はないが、例えば実質的に100%凝集している粒子と、実質的に凝集していない粒子(単分散粒子)を混合する方法が、簡便で好ましい。単分散粒子としては、上述した一次粒子と同様のものを挙げることができる。
<耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)>
当該塗工液においては、成分(B)として、バインダーとしての機能を有する耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体を含有する。
なお、本発明において、耐熱性高分子化合物とは、一般に300℃以上の高温で連続して使用に耐える高分子物質である。融点、軟化点が高く、熱分解や熱劣化がおこりにくく、高温で機械的強度が高く、耐酸素性、耐薬品性も大きい(※岩波書店 理化学辞典 第5版P788耐熱性高分子より)。
このような耐熱性高分子化合物としては、熱硬化や紫外線硬化などのエネルギー硬化樹脂、あるいは耐熱性を有する熱可塑性樹脂等を用いることができるが、特に制限はない。用いる耐熱性高分子化合物としては、ポリイミド系高分子、シリコン系高分子、ケトン系高分子、ポリアミド系高分子、液晶ポリマー、ニトリル系高分子、チオエーテル系高分子、ポリエステル系高分子、アリレート系高分子、サルホン系高分子、アミドイミド系高分子などを挙げることができる。具体的な高分子は、例えばポリアミドイミド、ポリアミド、アラミド、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドおよびポリテトラフルオロエチレンの中から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらはいずれも耐熱性高分子化合物として知られているものであり、高温での化学的安定性にも優れるものである。中でも、高い化学的安定性と結着力を持つポリイミドやポリアミドイミドを用いることが特に好ましい。
上記の耐熱性高分子化合物は、塊状物やフィルムが、不透明あるいは有色であっても、バインダーとして用いたときにほぼ透明でほぼ無色になるものであれば良い。
本発明の多孔質膜形成に用いる塗工液においては、前記耐熱性高分子化合物は、前駆体の状態で含有していてもよい。例えば、耐熱性高分子化合物がポリイミドである場合には、その前駆体としてポリアミド酸を、紫外線硬化樹脂である場合には、その前駆体として多官能性のアクリレート系オリゴマーやアクリレート系モノマーを含有することができる。このように、前駆体を使用する場合には、塗料を塗布したのち、重合反応を完了させるための熱処理工程や紫外線照射工程を必要とすることがある。この際、反応を促進するための添加剤を混合してもよい。また、上記の耐熱性高分子化合物には、重合が完了すると溶媒に溶けにくいものとなったり、単独では結着力の低いものであったりするものがあるが、このような場合には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で溶解性や結着力などを向上するための添加剤を混合、あるいは共重合させて用いてもよい。
<溶媒>
当該塗工液における溶媒としては、用いる耐熱性高分子化合物やその前駆体の溶解性によって適宜選択することができ、特に制限はされないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド系極性溶媒、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンなどラクトン系溶媒、その他メチルカルビトール、エチルカルビトール、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、乳酸エチル、乳酸ブチル、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エルセルソルブアセテートなどを挙げることができる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<耐熱性高分子化合物およびその前駆体の溶液>
本発明で用いる前記耐熱性高分子化合物は、それぞれ公知の技術によって合成することができる。例えば、耐熱性高分子化合物としてポリイミドを用いる場合、前駆体であるカルボン酸無水物成分とジアミン成分からなるポリアミド酸の溶液として用いることができる。選択する前駆体の種類によるが、イミド化の重合反応を完了させるために、80℃〜450℃程度での熱処理を行う。カルボン酸無水物成分としては、例えば無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などが挙げられ、ジアミン成分としては、例えばパラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、前記の耐熱性高分子化合物およびその前駆体の溶液としては、市販品を好適に用いることができる。例えば、ポリイミド前駆体溶液である「U−ワニス」(宇部興産社製、商品名)、ポリアミドイミド溶液である「バイロマックス」(東洋紡社製、商品名)、ポリアクリレートである「Uポリマー」(ユニチカ社製、商品名)のN−メチル−2−ピロリドン溶液、ポリエーテルイミドである「ウルテム」(日本GEプラスチックス社製、商品名)のN−メチル−2−ピロリドン溶液、ポリエーテルスルホンである「スミカエクセル」(住友化学社製、商品名)のN−メチル−2−ピロリドン溶液など、種々の市販品がある。
<任意添加成分>
当該塗工液には、必要に応じて帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、導電性の金属酸化物、金族、カーボン等の粒子を含む分散体や、導電性高分子、イオン性液体、界面活性剤などが使用可能であるが、形成される多孔質膜の耐熱性を阻害しないものを選定することが好ましい。帯電防止剤の含有量は、帯電防止剤の種類および性能発現の原理に応じて、また、本発明の硬化を阻害しない範囲で、適宜調整すればよい。特に、前述したスズ系酸化物の粒子を使用する場合、多孔質膜の主成分となる凝集体粒子含有物(A)の一部を置き換えてもよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加物、例えば成膜助剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、耐熱剤、耐候剤などを含むこともできる。
当該塗工液においては、成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合は、固形分基準で40〜95質量%であることが好ましく、55〜92質量%であることがより好ましい。
(多孔質膜の性状)
本発明の多孔質膜は、走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなるものである。
多孔質膜表面における細孔の長径(最大径)の平均値は、凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径に対して1.5〜2000倍であることが好ましく、1.5〜1000倍であることがより好ましく、2〜500倍であることがさらに好ましく、3〜300倍であることが特に好ましい。また、多孔質膜表面における細孔の個数は、3〜100個/μmであることが好ましく、3〜50個/μmであることがより好ましく、5〜20個/μmでることがさらに好ましく、10〜15個/μmであることが特に好ましい。
多孔質膜表面における細孔の長径の平均値が、凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径に対して1.5倍未満であったり、2000倍超である場合には、本発明の多孔質膜をインク受容膜として用いたときに、配線に対する十分なアンカー効果を発揮することができない場合や、印刷性が悪化する場合がある。また、多孔質膜表面における細孔の個数が3個/μm未満である場合にも、本発明の多孔質膜をインク受容膜として用いたときに、配線に対する十分なアンカー効果を発揮することができない場合がある。また、100個以上である場合は、印刷性が悪化したり、膜の透明性が悪化する場合がある。
本発明の多孔質膜の膜厚は、膜強度およびインク受容膜として用いた際のインク吸収能の面から、0.3〜50μmが好ましく、0.3〜30μmがより好ましく、0.5〜20μmがさらに好ましい。
透明性が必要な用途に使用する場合、本発明の多孔質膜の正味のヘイズ値(Hz)は、6%以下であることが好ましく、4%以下であることがより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。ただし、実質的に透明性を必要としない用途に使用する場合は、ヘイズ値が6%以上であってもよい。
また、多孔質膜が帯電防止剤を含む場合、多孔質膜の表面抵抗値が10〜1013Ω/□であることが好ましく、10〜1012Ω/□であることがより好ましく、10〜1011Ω/□であることがさらに好ましい。表面抵抗値が上記範囲内にあれば、多孔質膜形成後の基板取扱い時にゴミ、異物などの付着が防止できると共に、静電気の発生を抑制することができる。
本発明の多孔質膜は、特定の一次粒子からなる凝集体粒子が、耐熱性高分子化合物をバインダーとして、基板上に一定の厚みを持ちつつ特定割合で3次元的に(立体的に)存在する状態にあると考えられる。
上記多孔質膜において、成分(A)中の凝集体粒子は、成分(B)をバインダーとして相互に結合し、膜表面に所定の大きさを有する細孔を形成する、また、膜の表面に凹凸を与える効果もあるため、インク受容膜として用いたときに、配線に対するアンカー効果を発揮して、配線の密着性を向上すると考えられる。また、多孔質膜の形成時に塗工液中に凝集体粒子とともに単分散粒子が存在する場合には、この単分散粒子は膜表面に更に小さな細孔を形成して、インク吸収性(印刷特性)の向上に寄与すると考えられる。
また、本発明の多孔質膜は、ポリイミドフィルムやガラス板などの基板との密着性や、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有し、かつ高耐熱性を有している。
次に、本発明の多孔質膜形成用塗工液について説明する。
[多孔質膜形成用塗工液]
本発明の多孔質膜形成用塗工液は、上記多孔質膜を形成するための塗工液であって、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体とを含み、かつ成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が、固形分基準で40〜95質量%であることを特徴とする。
本発明の多孔質膜形成用塗工液において、成分(A)および成分(B)としては、前述したものと同様のものを挙げることができるが、成分(B)としては、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が好ましい。
本発明の多孔質膜形成用塗工液は、さらに帯電防止剤を含んでもよい。帯電防止剤としては、導電性の金属酸化物、金属、カーボン等の粒子を含む分散体や、導電性高分子、イオン性液体、界面活性剤などが使用可能であるが、インク受容膜の耐熱性を阻害しないものを選定することが好ましい。帯電防止剤の含有量は、帯電防止剤の種類および性能発現の原理に応じて、また、本発明の効果を阻害しない範囲で、適宜調整すればよい。
また、本発明の効果を阻害しない範囲内で公知の添加剤、例えば成膜助剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、耐熱剤、耐候剤などを含有することもできる。
成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合は、固形分基準で40〜95質量%であり、55〜92質量%であることが好ましい。
(A)成分の含有量が40質量%未満の場合は、バインダーが細孔を埋め込み、多孔質性が損なわれる可能性がある。95質量%を超える場合は、粒子をつなぐ成分が相対的に少なく、剥離しやすく、割れが起こりやすいなどの不具合が発生する可能性がある。
本発明はまた、前記本発明の多孔質膜形成用塗工液を塗付して形成された塗膜を加熱、硬化させてなる多孔質膜、特に、上記塗膜を、300℃以上500℃未満の温度で加熱、硬化させてなる多孔質膜をも提供する。
さらに、前記本発明の多孔質膜形成用塗工液を製造する方法も提供する。
[多孔質膜形成用塗工液の製造方法]
本発明の多孔質膜形成用塗工液の製造方法(以下、単に塗工液の製造方法ということがある。)は、前述した本発明の多孔質膜形成用塗工液の製造方法であって、
(a)分散液中において粒子を凝集させる、または一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
(b)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)を含むバインダー液を混合する工程、
を含むことを特徴とする。
((a)工程)
本発明の塗工液の製造方法における(a)工程は、分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程である。
上記成分(A)を分散する分散媒体としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶剤、エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤やその誘導体、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤やその誘導体、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤を挙げることができ、その他、トルエン、キシレン、ヘキサン、ジメチルアセトアミド、エーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、水等を挙げることができる。
((b)工程)
本発明の塗工液の製造方法における(b)工程は、前記凝集体粒子含有物(A)の分散液、および耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)を含むバインダー液を混合する工程である。
上記成分(B)を含むバインダー液については、前述した本発明の多孔質膜の説明において示したとおりである。
また、上記混合時において、塗工液中の固形分濃度を、塗工に適した濃度にすることが好ましく、特に制限はないが、固形分濃度を通常2〜30質量%とすることが好ましく、5〜20質量%とすることがより好ましい。
混合時の温度は、0〜60℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜30℃がさらに好ましい。また、混合時間は5〜180分が好ましく、15〜150分がより好ましく、30〜120分がさらに好ましい。
次に、本発明の積層基板について説明する。
[積層基板]
本発明の積層基板は、基板上に、前述した本発明の多孔質膜を形成してなることを特徴とする。
(基板)
本発明の積層基板における基板としては、無機基板や耐熱性有機基板が用いられる。無機基板としては、透明性などの観点から、ガラス板が好適である。このガラス基板の厚さは、通常0.3〜7.0mm程度、好ましくは0.5〜5.0mmである。
一方、耐熱性有機基板としては、耐熱性高分子化合物から得られた各種フィルム、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、アラミド、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリテトラフルオロエチレンなどから得られた耐熱性プラスチックフィルムを挙げることができる。これらの中で、ポリイミドが好適である。
また、これらの耐熱性プラスチックフィルム中に公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などを配合してもよい。
耐熱性プラスチックフィルムからなる基板の厚さに特に制限はなく、用途に応じて異なるが、通常1〜500μm、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜250μmである。
また、前記の耐熱性プラスチックフィルムは、その表面に設けられる多孔質膜との密着性を向上させる目的で、所望により該表面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理、あるいはプライマー処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法はプラスチックフィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
(積層基板の作製)
本発明の積層基板は、前記基板の表面に、前述した本発明の塗工液を、従来公知の方法、例えばディップコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などにより塗工し、成膜したのち、加熱硬化あるいは紫外線照射による硬化などの方法で、多孔質膜を形成することにより、作製することができる。
前記塗工液が、成分(B)として、例えばポリイミドの前駆体であるポリアミド酸を含有する場合には、塗膜の加熱硬化を、300℃以上500℃未満の温度で行うことが好ましい。
次に、本発明の配線材料について説明する。
[配線材料]
本発明の配線材料は、前述のようにして作製された本発明の積層基板上の多孔質膜表面に、配線を形成してなることを特徴とする。
本発明の配線材料は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものであることが好ましく、スクリーン印刷またはインクジェット印刷により形成してなるものであることがより好ましい。
本発明の配線材料を作製する方法としては、例えば以下に示す方法を採用することができる。
前記積層基板上の多孔質膜の表面に、導電性金属系粒子を含むインクを用いて、上記方法により、所定のパターンに印刷したのち、120〜300℃程度、好ましくは170〜250℃の温度で30〜60分間程度焼成処理することにより、多孔質膜表面に所定のパターンの配線が形成されてなる本発明の配線材料を得ることができる。
前記インクに含まれる導電性金属系粒子としては、特に制限はなく、例えば金、銀、銅、パラジウム、錫などの金属粒子、錫ドープ酸化インジウム(ITO)やアンチモンドープ酸化錫(ATO)などの金属酸化物粒子などを挙げることができる。これらの導電性金属系粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの導電性金属系粒子の中では、性能の観点から、金、銀、銅及びITO粒子が好ましい。
当該導電性金属系粒子の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。平均粒子径が上記範囲にあれば、インクジェット記録方式で容易に印刷することができ、かつ比抵抗の小さい配線を得ることができる。好ましい平均粒子径は1〜30nm、特に好ましくは1〜10nmの範囲である。
本発明の配線材料においては、このようにして配線を形成したのち、無電解めっきなどの手法により、配線厚みを増加させることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例における諸特性は、下記の方法に従って求めた。
<塗工液>
(1)凝集体粒子の一次平均粒子径
走査型電子顕微鏡(SEM)[JEOL社製、機種名「JSM−6700F」]を用いて測定した。
(2)凝集体粒子の平均粒子径
大塚電子社製、機種名「ELS−Z2」を用い、動的光散乱法により、測定した。測定条件は、PINHOLE50μm、積算回数100回、設定温度25℃、溶媒選択:イソプロピルアルコールで測定した。
(3)単分散シリカ粒子の平均粒子径
走査型電子顕微鏡(SEM)[前出]を用いて測定した。
<多孔質膜および積層基板>
(1)積層基板のヘイズ値
ヘイズメーター[日本電色工業社製、機種名「NDH2000」]を用い、ヘイズ(Hz)値を測定した。測定値から基材のヘイズ値を差し引いたΔHz(ΔHz=(基材+多孔質膜)のHz−基材のHz)が2%未満の物を○とした。
○:ΔHz=2%未満
×:ΔHz=2%以上
(2)多孔質膜における細孔の長径の平均値
走査型電子顕微鏡(SEM)[JEOL社製「JSM−6700F」]を用い、多孔質膜表面に50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JOEL社製、「SmileView」にて細孔の長径の平均値を求めた。
(3)多孔質膜における細孔数
走査型電子顕微鏡(SEM)[JEOL社製「JSM−6700F」]を用い、多孔質膜表面に50000倍に拡大して得られた写真を電子データとし、JOEL社製、「SmileView」にて細孔数を計測し、1μmあたりの細孔数を求めた。
(4)多孔質膜におけるクラックの有無
光学顕微鏡により、倍率1250倍で観察し、クラックの有無を調べた。
(5)基材との密着性
JISK5600に従い、密着性試験を行った(クロスカット試験機:ヨシミツ精機社製「C222」、テープ:ニチバン社製セロテープ(登録商標)。
密着性評価は、光学顕微鏡(前出)により、倍率1250倍で観察して、剥離の有無を確認し、剥離部の面積により、以下のとおり評価した。
○:8超〜10点
△:6超〜8点
×:0〜6点
(6)耐薬品性
(a)耐アルカリ性
30℃、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬させ、蒸留水で洗浄した。浸漬前後の膜の有無を目視及び顕微鏡観察により判断した。
○:膜あり
×:膜なし
(b)耐酸性
30℃、30質量%の塩酸水溶液に10分間浸漬させ、蒸留水で洗浄した。浸漬前後の膜の有無を目視及び顕微鏡観察により判断した。
○:膜あり
×:膜なし
<配線材料>
(1)クラックの有無
光学顕微鏡(前出)により、倍率1250倍で観察して、クラックの有無を調べた。
(2)印刷性
市販のインクジェットメディア[ピクトリコ(株)製、商品名「ピクトリコ(TPX−1766/2)」]の印刷幅を1とした場合の滲み幅Yを求め、下記の判定基準で印刷性を評価した。
○:0.1≦Y≦1.2
△:1.2<Y≦1.5
×:1.5<Y
(3)密着性
JISK5600に従い、密着性試験を行った(クロスカット試験機:ヨシミツ精機社製「C222」、テープ:ニチバン社製セロテープ(登録商標)。
密着性評価は、光学顕微鏡(前出)により、倍率1250倍で観察して、剥離の有無を確認し、剥離部の面積により、以下のとおり評価した。
○:8超〜10点
△:6超〜8点
×:0〜6点
実施例1(塗工液の製造)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−1成分含有分散液)の調製
ジメチルアセトアミド570gに、走査型電子顕微鏡により測定したときの平均一次粒子径13nmのシリカ粒子の凝集粉体30gと、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2gを加え、ホモジナイザー(NISSEI社製「bio−mixer」)で60分間処理した後、ビーズミル(寿工業社製「USM−015」、ビーズ径30μm、周速10m/s)にて60分間処理して、ケイ素系酸化物凝集体粒子のみを5質量%含む分散液(以下、(A)−1成分含有分散液という)を得た。得られた凝集体粒子の動的光散乱法(大塚電子社製「ELS−Z2」を使用して、測定条件PINHOLE50μm、積算回数100回、25℃、イソプロピルアルコールで測定)による平均粒子径は540nmであった。
(2)耐熱性高分子バインダー液((B)−1成分含有バインダー液)
宇部興産製 UワニスS(固形分濃度18質量%のポリアミド酸を含み、溶媒はN−メチル−2−ピロリドン)
(3)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−1成分含有分散液720g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル258g、次いで(B)−1成分含有バインダー液22gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1に示す。
比較例1(塗工液の製造)
(1)凝集体粒子含有物分散液((A)−2成分含有分散液)の調製
DMACに単分散したシリカ粒子(走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径20nm)を10質量%含む分散液(以下、(A)−2成分含有分散液という)を得た。
(2)縮合物含有バインダー液((B)−2成分含有バインダー液)の調製
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン307gとテトラメトキシシランの4量体147gをメタノール257gに溶解し、これに0.1モル/L濃度の硝酸32g、水221gおよびメタノール37gの混合液を滴下したのち、30℃にて24時間反応させて、固形分濃度30質量%のバインダー液(以下、(B)−2成分含有バインダー液という)を調製した。
(3)混合、攪拌処理
上記(1)で得た(A)−2成分含有分散液360g中に、攪拌しながらエチレングリコール−t−ブチルエーテル627g、次いで上記実施例1(2)で得た(B)−2成分含有バインダー液13gを滴下し、室温にて1時間攪拌することにより、固形分濃度4質量%の塗工液を調製した。得られた塗工液の組成を表1に示す。
Figure 2010161118
実施例2(多孔質膜および積層基板の製造)
実施例1で得た塗工液を用い、ポリイミドフィルム[宇部興産社製、商品名「ユーピレックスSGA」、厚さ50μm]に、バーコート法により、乾燥後の厚さが1μmになるように該塗工液を塗付し、120℃で1分間加熱後、450℃にて30分間熱処理を行うことにより多孔質膜を形成して、積層基板を作製した。
得られた積層基板において、全光線透過率、多孔質表面に形成された細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無、耐薬品性を評価した。その結果を表2に示す。
実施例3(多孔質膜および積層基板の製造)
実施例1で得た塗工液を用い、スライドガラス[松浪硝子工業社製]に、スピンコート法により、乾燥後の厚さが1μmになるように該塗工液を塗付し、120℃で1分間加熱後、450℃にて30分間熱処理を行うことにより多孔質膜を形成して、積層基板を作製した。
得られた積層基板において、全光線透過率、多孔質表面に形成された細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無、耐薬品性を評価した。その結果を表2に示す。
比較例2(多孔質膜および積層基板の製造)
比較例1で得た塗工液を用いた以外は、実施例3と同様にしてスライドガラス上に多孔質膜を形成して積層基板を得た。得られた積層基板において、全光線透過率、多孔質表面に形成された細孔の長径の平均値、細孔数およびクラックの有無、耐薬品性を評価した。その結果を表2に示す。
Figure 2010161118
表2で示すように、比較例2で得られた多孔質膜は、耐薬品性に劣り、アルカリで剥離した。
実施例4(配線材料の製造)
実施例1で得た塗工液を用いて実施例2、および実施例3で得た各積層基板の多孔質膜上に、Agペースト[アルパック(株)製銀ナノペースト、商品名「AglTeH」]を、インクジェット印刷法にて、所定のパターン形状に印刷し、230℃で60分間焼成することにより、配線材料を作製した。
得られた配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を評価した。その結果を表3に示す。
実施例5(配線材料の製造)
実施例1で得た塗工液を用いて実施例2、および実施例3で得られた各積層基板の多孔質膜上に、Pdペースト[(株)徳力化学研究所製「Pdナノコロイド」]を、インクジェット印刷法にて、所定のパターン形状に印刷し、120℃で2分間乾燥することにより、触媒パターンを作製した。
得られた触媒パターンが印刷された積層基板に無電解めっき[メルテックス製「メルプレート」]を実施し、配線材料を得た。
得られた配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を評価した。その結果を表3に示す。
比較例3(配線材料の製造)
比較例1の塗工液を用いて比較例2で得た積層基板の多孔質膜上に、実施例4と同様にして配線を形成して、配線材料を得た。
得られた配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を評価した。その結果を表3に示す。
比較例4(配線材料の製造)
比較例1の塗工液を用いて比較例2で得た積層基板の多孔質膜上に、実施例5と同様にして触媒パターンを印刷し無電解銅めっきを実施し、配線材料を得た。
得られた配線材料において、クラックの有無、印刷性および密着性を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 2010161118
表3で示すように、比較例3で得られた配線材料は密着性の劣るものであった。また、比較例4は、比較例2で得られた積層基板の多孔質膜上に無電解銅めっきを施して配線材料を作製しようとしたが、表2で示すように、比較例2における多孔質膜はめっき処理が不可能であって、めっきを施すことができなかった。
本発明の多孔質膜は、インク受容層として、特にポリイミドフィルムやガラス板などの基板上に設けられる膜であって、印刷法などにより配線形成を行う際に、基板との密着性、インクの印刷特性に優れ、また、配線形成プロセス中に使用される薬液に対して高耐性を有する上、高耐熱性を有しており、配線材料の作製に、極めて有用である。

Claims (12)

  1. 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒子径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含む塗工液から得られた薄膜の硬化物からなり、かつ走査型電子顕微鏡により測定したときに、前記凝集体粒子を構成する一次粒子の平均粒子径よりも大きな長径の平均値を有する細孔を表面に形成してなることを特徴とする多孔質膜。
  2. 凝集体粒子含有物(A)中の凝集体粒子を構成する金属の酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウムおよびアルミニウムの中から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を含む、請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 塗工液における成分(B)が、ポリイミド前駆体である請求項1または2に記載の多孔質膜。
  4. 走査型電子顕微鏡により測定したときの平均粒子径が2〜200nmの範囲内にあり、少なくとも1種の金属の酸化物からなる一次粒子が2個以上結合してなる、動的光散乱法により測定したときの平均粒径が70〜3000nmの範囲内にある凝集体粒子を10〜100質量%含む凝集体粒子含有物(A)と、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)とを含み、かつ成分(A)と成分(B)との合計量に対する成分(A)の含有量の割合が、固形分基準で40〜95質量%であることを特徴とする多孔質膜形成用塗工液。
  5. 成分(B)がポリアミド酸である、請求項4に記載の多孔質膜形成用塗工液。
  6. 請求項4または5に記載の多孔質膜形成用塗工液の製造方法であって、
    (a)分散液中において粒子を凝集させる、または、一次粒子の凝集粉体を分散させることにより凝集体粒子含有物(A)の分散液を調製する工程、
    (b)凝集体粒子含有物(A)の分散液、および、耐熱性高分子化合物および/またはその前駆体(B)を含むバインダー液を混合する工程、
    を含むことを特徴とする多孔質膜形成用塗工液の製造方法。
  7. 請求項4または5に記載の多孔質膜形成用塗工液を塗布して形成された塗膜を加熱、硬化させてなることを特徴とする多孔質膜。
  8. 塗膜を、300℃以上500℃未満の温度で加熱、硬化させてなる、請求項7に記載の多孔質膜。
  9. 基板上に、請求項1、2、3、7または8に記載の多孔質膜を形成してなることを特徴とする積層基板。
  10. 基板がガラス板またはポリイミドフィルムである、請求項9に記載の積層基板。
  11. 請求項9または10に記載の積層基板上の多孔質膜表面に、配線を形成してなることを特徴とする配線材料。
  12. 配線が、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、ディスペンサーによる印刷のいずれかにより形成してなるものである、請求項11に記載の配線材料。
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