JP2020180245A - パウダー分散液、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板の製造方法 - Google Patents

パウダー分散液、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】寸法安定性と柔軟性とに優れ、フレキシブルプリント基板等の用途にも使用できる低吸水性の層を形成可能なパウダー分散液、かかる層を有する積層体及びその製造方法、並びにプリント基板の製造方法の提供。【解決手段】本発明のパウダー分散は、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダー、無機フィラー及びエラストマーを含む層形成成分と溶媒とを含み、前記層形成成分に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機フィラーとの合計での割合が、65質量%以上であり、前記層形成成分に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記無機フィラーの量の質量での比が1.25超である。【選択図】なし

Description

本発明は、パウダー分散液、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板の製造方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のテトラフルオロエチレン系ポリマーは、耐薬品性、撥水撥油性、耐熱性、電気特性等の物性に優れており、パウダー、分散液、フィルム等の種々の使用形態と種々の用途とが知られている。近年では、低誘電率、低誘電正接等の電気特性に優れ、高周帯域の周波数に対応するプリント基板の誘電体層を形成する材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含むパウダー分散液が注目されている。
特許文献1には、パウダー分散液の、粘性、保存安定性及び他の樹脂材料との混合性を改善する観点から、上記パウダー、熱可塑性エラストマー及び有機溶媒を含むパウダー分散液が提案されている。
特許文献2には、誘電体層を形成した際の、基材密着性と誘電体層の厚さ均一性とを改善する観点から、上記パウダー、粒子状のエラストマー、シリカフィラー、エポキシ樹脂及び硬化剤を含む熱硬化性のパウダー分散液が提案されている。
特開2017−222762号公報 特開2019−035059号公報
テトラフルオロエチレン系ポリマー以外の層形成成分を含むパウダー分散液は、その取扱性や、その層の一部物性の向上が期待できる反面、テトラフルオロエチレン系ポリマーによる本来の物性が損なわれやすいという課題がある。
具体的には、特許文献1のパウダー分散液から形成される誘電体層は、柔軟性が向上する反面、線膨張係数が高く寸法安定性が低い。そのため、上記誘電体層を有するプリント基板材料は、はんだリフロー工程等の高温環境下において反りやすく使用しにくい。
また、特許文献2のパウダー分散液から形成される誘電体層は、多量のエポキシ樹脂の硬化物を含むため、テトラフルオロエチレン系ポリマーによる低吸水性が損なわれる。そのため、上記誘電体層を有するプリント基板材料は、その吸水性により使用しにくい。加えて、上記プリント基板材料は、柔軟性も低くフレキブルに使用しにくい。
本発明は、寸法安定性と柔軟性とに優れ、フレキシブルプリント基板等の用途にも使用できる低吸水性の層を形成可能なパウダー分散液、かかる層を有する積層体及びその製造方法、並びにプリント基板の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダー、無機フィラー及びエラストマーを含む層形成成分と溶媒とを含み、前記層形成成分に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機フィラーとの合計での割合が65質量%以上であり、前記層形成成分に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記無機フィラーの量の質量での比が1.25超である、パウダー分散液。
<2>前記層形成成分に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記エラストマーの量の質量での比が、0.05以上である、上記<1>のパウダー分散液。
<3>さらに、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基又はポリオキシアルキレン基とを有するポリマーを含む、上記<1>又は<2>のパウダー分散液。
<4>さらに、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基とを有し、フッ素含有量が10〜50質量%かつ水酸基価が10〜100mg/KOHのポリマーを含む、上記<1>〜<3>のいずれかのパウダー分散液。
<5>前記溶媒が、ケトン、アミド又はエステルである、上記<1>〜<4>のいずれかのパウダー分散液。
<6>前記エラストマーが、ブチレン/イソプレン/ブタジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー及びフッ素系エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマーを含む、上記<1>〜<5>のいずれかのパウダー分散液。
<7>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が140〜320℃のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、上記<1>〜<6>のいずれかのパウダー分散液。
<8>25℃における粘度が、10〜10000mPa・sである、上記<1>〜<7>のいずれかのパウダー分散液。
<9>フレキシブルプリント基板を形成するために用いられる、上記<1>〜<8>のいずれかのパウダー分散液。
<10>上記<1>〜<9>のいずれかのパウダー分散液を、金属箔の表面に塗布し、加熱して、前記金属箔と、前記金属箔の表面に形成された、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記無機フィラー及び前記エラストマーを含む層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
<11>前記層の厚さが、50〜150μmである、上記<10>の製造方法。
<12>金属箔と、前記金属箔の表面に形成された、テトラフルオロエチレン系ポリマー、無機フィラー及びエラストマーを含む層とを有し、前記層に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機フィラーとの合計での割合が65質量%以上であり、前記層に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記無機フィラーの量の質量での比が1.25超である、積層体。
<13>フレキシブルプリント基板を形成するために用いられる、上記<12>の積層体。
<14>上記<12>又は<13>の積層体の前記金属箔を加工して、パターン回路を形成する、プリント基板の製造方法。
<15>前記プリント基板が、フレキシブルプリント基板である、上記<14>の製造方法。
本発明によれば、寸法安定性と柔軟性とに優れ、低吸水性の層を形成できるパウダー分散液、かかる層を有する積層体及びその製造方法、並びにプリント基板の製造方法が提供される。本発明のパウダー分散液又は積層体は、フレキシブルプリント基板を形成する材料等として有用である。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によって求められるパウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によって求められるパウダーの体積基準累積90%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径である。
パウダーのD50及びD90は、パウダーを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「ポリマーの溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ−8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「パウダー分散液の粘度」は、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される液の粘度である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「パウダー分散液のチキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される粘度ηを回転数が60rpmの条件で測定される粘度ηで除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「十点平均粗さ(Rzjis)」は、JIS B 0601:2013の附属書JAで規定される値である。
「剥離強度」とは、矩形状(長さ100mm、幅10mm)に切り出した積層体の長さ方向の一端から50mmの位置を固定し、引張り速度50mm/分、長さ方向の片端から積層体に対して90°で、F層と金属箔とを剥離させた際にかかる最大荷重(N/cm)である。
ポリマーにおける「単位」とは、モノマーの重合により形成された前記モノマーに基づく原子団を意味する。単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。以下、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
本発明のパウダー分散液は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)のパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)、無機フィラー及びエラストマーを含む層形成成分と溶媒とを含む。本発明のパウダー分散液は、層形成成分の少なくとも一部(Fパウダー等)が溶媒中に粒子状に分散した分散液であるとも言える。
本発明における層形成成分に占めるFポリマーと無機フィラーとの合計での割合は、65質量%以上である。また、本発明における層形成成分に含まれるFポリマーの量に対する無機フィラーの量の質量での比は、1.25超である。Fポリマーは、ゴム弾性を有さないポリマーであり、エラストマーとは異なるポリマーである。
本発明のパウダー分散液から形成される層(以下、「F層」とも記す。)は、Fポリマーが本来有する物性(電気特性等)を維持しつつ、寸法安定性と柔軟性とに優れ、かつ吸水性が低い。この理由は必ずしも明確ではないが、次のように考えられる。
無機フィラーは、Fポリマーの物性を損なうことなく、Fポリマーに起因したF層の弱点である高い線膨張係数を低下させ得る成分である。そして、F層は、多量の無機フィラーを含むので、F層の線膨張係数を低下させる効果が顕著であり、結果として、F層の寸法安定性を向上させたと考えられる。
また、F層形成成分に占めるFポリマーと無機フィラーとの合計での割合が高いため、Fポリマーの低吸水性が損なわれず、F層は低吸水性を発現したと考えられる。
さらに、層形成成分であるエラストマーがゴム成分として機能して、F層の優れた柔軟性(折り曲げ性)を発現させたと考えられる。かかるエラストマーは、Fポリマー及び無機フィラーのパウダー分散液の分散を促すようにも作用し、F層中における各成分の分布密度の均一化にも寄与するとも考えられる。
特に、本発明では、層形成成分の各成分の量を所定の範囲に規定するので、各成分が相互の機能を阻害しにくく、各成分に基づく物性がバランスよく、かつ均一にF層において発揮されたと推察される。
したがって、F層は寸法安定性と柔軟性とを具備し低吸水性にも優れるため、F層を有する積層体、例えば、表面にF層を有する金属箔は、特に折り曲げ性が高いため、フレキシブルプリント基板を製造するのに好適に使用できる。
以上のような効果は、後述する本発明の好ましい態様において、顕著に発揮される。
本発明におけるFパウダーのD50は、40μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、8μm以下がさらに好ましい。FパウダーのD50は、0.01μm以上が好ましく、0.05μm以上がより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。また、FパウダーのD90は、80μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。この範囲のD50及びD90において、Fパウダーの流動性と分散性とが良好となり、F層の電気特性(低誘電率等)や耐熱性が最も発現し易い。
Fパウダーの疎充填嵩密度は、0.08〜0.5g/mLが好ましい。Fパウダーの密充填嵩密度は、0.1〜0.8g/mLが好ましい。疎充填嵩密度又は密充填嵩密度が上記範囲にある場合、Fパウダーのハンドリング性が優れる。
本発明におけるFパウダーは、Fポリマー以外の樹脂を含んでいてもよいが、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。FパウダーにおけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
上記樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシドが挙げられる。
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含むポリマーである。Fポリマーは、TFEのホモポリマーであってもよく、TFEと、TFEと共重合可能な他のモノマー(コモノマー)とのコポリマーであってもよい。
Fポリマーは、ポリマーを構成する全単位に対して、TFE単位を90〜100モル%含むのが好ましい。また、Fポリマーのフッ素含有量は、70〜76質量%が好ましく、72〜76質量%がより好ましい。
Fポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEとエチレンとのコポリマー(ETFE)、TFEとプロピレンとのコポリマー、TFEとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とのコポリマー(PFA)、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(FEP)、TFEとフルオロアルキルエチレン(FAE)とのコポリマー、TFEとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とのコポリマーが挙げられる。コポリマーは、さらに他のコモノマーに基づく単位を含んでいてもよい。
なお、PTFEとしては、フィブリル性を有する高分子量PTFE、低分子量PTFE、変性PTFEが挙げられる。また、低分子量PTFE又は変性PTFEには、TFEと極微量のコモノマー(HFP、PAVE、FAE等)のコポリマーも包含される。
Fポリマーは、TFE単位及び官能基を有するFポリマーが好ましい。官能基は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基又はイソシアネート基が好ましい。
官能基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。また、Fポリマーを、プラズマ処理や電離線処理して得られる、官能基を有するFポリマーも使用できる。
官能基を有するFポリマーは、パウダー分散液中におけるFパウダーの分散性の観点から、TFE単位及び官能基を有する単位を有するFポリマーが好ましい。官能基を有する単位は、官能基を有するモノマーに基づく単位が好ましく、上述した官能基を有するモノマーに基づく単位がより好ましい。
官能基を有するモノマーは、酸無水物残基を有するモノマーが好ましく、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」とも記す。)又は無水マレイン酸がより好ましい。
官能基を有するFポリマーの好適な具体例としては、TFE単位と、HFP単位、PAVE単位又はFAE単位と、官能基を有する単位とを有するFポリマーが挙げられる。
PAVEとしては、CF=CFOCF(PMVE)、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(PPVE)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFFが挙げられる。
FAEとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFHが挙げられる。
かかるFポリマーの具体例として、ポリマーを構成する全単位に対して、TFE単位を90〜99モル%、HFP単位、PAVE単位又はFAE単位を0.5〜9.97モル%、官能基を有する単位を0.01〜3モル%、それぞれ含有するFポリマーが挙げられる。かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
Fポリマーの380℃における溶融粘度は、1×10〜1×10Pa・sが好ましく、1×10〜1×10Pa・sがより好ましい。
Fポリマーの溶融温度は、140〜320℃が好ましく、200〜320℃がより好ましく、260〜320℃がさらに好ましい。かかるFポリマーを使用すれば、表面平坦性により優れるF層が形成されやすい。
本発明における無機フィラーは、F層の線膨張係数を低下させるフィラーが好ましく、さらに比誘電率及び誘電正接が低いフィラーが好ましい。本発明のパウダー分散液が、比誘電率及び誘電正接が低い無機フィラーを含めば、積層体や後述するプリント基板の電気特性がより向上しやすい。
かかる無機フィラー又はそれを形成する化合物としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性の炭酸マグネシウム、非塩基性の炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、ホウ酸亜鉛、モンモリロナイト、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスチョップドファイバー、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、炭素繊維、ガラスバルーン、炭素バルーン、木粉が挙げられる。これらの無機フィラーは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
中でも、無機フィラーとしては、特に誘電正接が低いことから、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、フォルステライト、窒化ホウ素又は窒化アルミから形成される無機フィラーが好ましい。
無機フィラーの具体例としては、繊維状の硫酸マグネシウム(宇部マテリアルズ株式会社製、商品名「モスハイジ」等)、ガラスカットファイバー(日東紡株式会社製、商品名「PF」、「SS」等)が挙げられる。
また、上記無機フィラーを含むパウダー分散液から形成されるF層は、紫外線領域の波長の光、特に266nm及び355nmの波長の光に対する吸収性が高まりやすく、かかる波長の光を使用するUV−YAGレーザーによる加工性が向上する。そのため、後述する積層体から、より高精度なプリント基板を容易に製造できる。
F層の折り曲げ性を維持又は向上させる観点から、無機フィラーの形状は、粒状(球状、無定形状)が好ましく、粒径1μm以下の粒状がより好ましい。また、アスペクト比が2以上の無機フィラーとアスペクト比が1〜2の無機フィラーとを併用してもよい。
無機フィラーは、シランカップリング剤等で表面処理されていてもよい。
無機フィラーの吸水率は、3%以下が好ましく、1%以下がより好ましい。
本発明におけるエラストマーは、ブチレン/イソプレン/ブタジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー及びフッ素系エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマーであるのが好ましい。これらの熱可塑性エラストマーは、誘電正接が低く、耐熱性にも優れるだけでなく、パウダー分散液中に均一に分散又は溶解しやすい。
ブチレン/イソプレン/ブタジエン系エラストマーとは、ブチレン、イソプレン及びブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーを任意の割合で含むエラストマーであり、具体的には、ポリブタジエン、ブチルゴム(イソブチレン/イソプレン系ポリマー)が挙げられる。
スチレン系エラストマーとしては、ポリスチレンブロックをハードセグメントとして、ポリオレフィンブロックをソフトセグメントとして、それぞれ有するブロックコポリマーが好ましい。それぞれのブロックは、ジブロック又はトリブロックを形成するのが好ましい。
スチレン系エラストマーの具体例としては、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエンブロック−ポリスチレン)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン)
SEEPS(ポリエチレン/ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレンブロック−ポリスチレン)が挙げられる。
フッ素系エラストマーとしては、FKM(フッ化ビニリデン系ポリマー)、FEPM(TFE/プロピレン系ポリマー)、FFKM(TFE/PMVE系ポリマー)が挙げられる。なお、TFE/プロピレン系ポリマーとは、TFE単位とプロピレン単位を含むポリマーを意味し、他のフッ素系ポリマーにおける表記も同様の意味を示す。
これらのエラストマーは、Fポリマーや無機フィラーとの密着性を向上させるため、変性されて官能基を有するのが好ましい。かかる官能基としては、エポキシ基、カルボニル基含有基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、アミノ基が挙げられる。
エラストマーのガラス転移温度は、10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。ガラス転移温度が10℃以下のエラストマーであれば、ゴム弾性が向上し、F層の折り曲げ性がさらに改善する。
また、エラストマーは、溶媒可溶性が好ましいが、溶媒非可溶性であってもよい。後者のエラストマーは、パウダー分散液に分散するエラストマーが好ましい。
かかる溶媒非可溶性のエラストマー粒子としては、コアシェル型エラストマー粒子、架橋型エラストマー粒子(架橋型SBS粒子等)が挙げられる。中でも、溶媒非可溶性のエラストマー粒子としては、F層の折り曲げ性をより向上させる観点から、コアシェル型エラストマー粒子が好ましい。
コアシェル型エラストマー粒子は、コア層と、このコア層の表面を被覆するシェル層とを含むエラストマー粒子である。
コアシェル型エラストマー粒子としては、相対的に低いガラス転移温度を有するポリマーで形成されたコア層と、相対的に高いガラス転移温度を有するポリマーで形成されたシェル層とを含むエラストマー粒子が挙げられる。中でも、コアシェル型エラストマー粒子としては、ゴム状ポリマー(エラストマー)で形成されたコア層と、ガラス状ポリマー(非エラストマー)で形成されたシェル層とを含むエラストマー粒子が好ましい。かかるコアシェル型エラストマー粒子のシェル層は、粒子同士の凝集を抑制する効果や、パウダー分散液への分散性を向上する効果を発揮でき、コア層は、優れたゴム弾性を発現する効果(F層に優れた柔軟性を付与する効果)を発揮できる。
コアシェル型エラストマー粒子は、コア層とシェル層とのみを含む2層構造であってもよく、更に任意の層を含む3層以上の積層構造であってもよい。
例えば、コアシェル型エラストマー粒子は、コア層とシェル層との間に任意の層を含んでいてもよく、コア層の内部に任意の層を含んでいてもよい。
かかる積層構成を有するコアシェル型エラストマー粒子の具体例としては、ゴム状ポリマーで形成されたコア層と、ガラス状ポリマーで形成されたシェル層と、コア層の内部のガラス状ポリマーで形成された任意の層とを含むエラストマー粒子が挙げられる。
コアシェル型エラストマー粒子において、ガラス状ポリマーとしては、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーのようなスチレン系ポリマーが挙げられる。中でも、ガラス状ポリマーとしては、アクリル系ポリマーが好ましく、ポリメチルメタクリレートがより好ましい。
一方、ゴム状ポリマーには、上記フッ素系エラストマー、スチレン系エラストマーが好適に使用できる。
以上のようなエラストマー粒子は、1種を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
エラストマー粒子を含むF層は、折り曲げ性に優れるのみならず、エラストマー粒子によるゴム弾性の向上作用や応力緩和作用により、機械的強度も高い。
パウダー分散液中におけるエラストマー粒子の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましく、0.5μm以下が特に好ましく、0.3μm以下が最も好ましい。かかる平均粒子径のエラストマー粒子であれば、パウダー分散液中に安定して分散できる。
なお、エラストマー粒子の平均粒子径の測定法は、Fパウダーの測定法と同様である。
本発明における溶媒は、25℃で液体の極性溶媒が好ましい。溶媒は、水性溶媒であってもよく、非水性溶媒であってもよい。また、溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
かかる溶媒としては、ケトン、アミド、エステル、アルコール、スルホキシド又はグリコールエーテルが好ましく、ケトン、アミド又はエステルがより好ましく、ケトン又はアミドがさらに好ましい。
溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、γ−ブチロラクトン、セロソルブ(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルが挙げられる。
中でも、溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
パウダー分散液は、Fパウダーの分散性をより向上させる観点から、さらに分散剤を含むのが好ましい。分散剤は、親水性基と疎水性基を有する化合物であり、フッ素系分散剤、シリコーン系分散剤又はアセチレン系分散剤が好ましく、フッ素系分散剤がより好ましい。また、分散剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
上記親水性基としては、水酸基又はポリオキシアルキレン基が好ましい。一方、疎水性基は、分散剤の種類に応じて適宜選択され、フッ素系分散剤の場合、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基が好ましい。
この場合、各成分に対する分散剤の親和性がバランスして、パウダー分散液中におけるFパウダーの分散性に加えて、その成膜性がさらに向上しやすい。
フッ素系分散剤は、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基又はポリオキシアルキレン基とを有するポリマーであるのが好ましい。
上記ポリマーのフッ素含有量は10〜50質量%が好ましい。
上記ポリマーにおける水酸基価は10〜100mg/KOHが好ましく、10〜35mg/KOHがより好ましい。
上記ポリマーのオキシアルキレン基の含有量は10〜70質量%が好ましい。
上記ポリマーは、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基とを有し、フッ素含有量が10〜50質量%であり、水酸基価が10〜100mg/KOHであるのがより好ましい。
この場合、各成分に対するポリマーの親和性がバランスしてパウダー分散液の分散性に加えて、F層の形成性が向上し易い。また、F層の濡れ性が向上し、F層の接着性に優れる特徴がある。
なお、ポリフルオロアルキル基は、少なくとも一部がポリフルオロアルキル基を形成していればよく、その残基の炭素原子−炭素原子結合間にはエーテル性酸素原子が存在していてもよい。つまり、ポリフルオロアルキル基は、エーテル性酸素原子を有するポリフルオロアルキル基であってもよい。
また、上記ポリマーは、主鎖末端に水酸基またはカルボキシル基を有していてもよい。この場合、本発明のパウダー分散液のレベリング性が向上しやすい。かかるポリマーは、その製造に際して使用する重合開始剤や連鎖移動剤の種類を調製して得られる。
上記ポリマーとしては、フルオロ(メタ)アクリレートに基づく単位とオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートに基づく単位とを含むポリマーが挙げられる。なお、このポリマーは、Fポリマー以外のポリマーである。
前者の(メタ)アクリレートの具体例としては、CH=C(CH)C(O)OCHCH(CFF、CH=CHC(O)OCHCH(CFF、CH=C(CH)C(O)OCHCH(CFF、CH=CClC(O)OCHCH(CFF、CH=C(CH)C(O)OCHCHCHCHOCF(CF)C(=C(CF)(CF(CF)、CH=CHC(O)OCHCHCHCHOCF(CF)C(=C(CF)(CF(CF)が挙げられる。
後者の(メタ)アクリレートの具体例としては、CH=C(CH)C(O)(OCHCHOH、CH=C(CH)C(O)(OCHCHOH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH23OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH66OH、CH=C(gCH)C(O)(OCHCH90OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH120OH、CH=CHC(O)(OCHCHOH、CH=CHC(O)(OCHCHOH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH(CH))OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH(CH))OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH(CH))OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH(CH))13OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH・(OCHCH(CH))OH、CH=C(CH)C(O)(OCHCH10・(OCHCHCHCHOHが挙げられる。
上記ポリマーの質量平均分子量は、2000〜80000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。
本発明における層形成成分は、パウダー分散液に含まれるF層を形成する、有機成分(Fポリマー、エラストマー等のポリマー等)と無機成分(無機フィラー等)とからなる。
層形成成分に占めるFポリマーと無機フィラーとの合計での割合は、65質量%以上であり、75質量%以上が好ましく、85〜99質量%がより好ましい。また、層形成成分に含まれるFポリマーの量に対する無機フィラーの量の質量比(無機フィラーの含有量/Fポリマーの含有量)は、1.25超であり、1.30以上がより好ましく、1.5以上がより好ましい。上記質量比の上限は、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。Fポリマー及び無機フィラーの量が上記関係を満足すれば、F層は、高い電気特性を維持しつつ、線膨張係数と吸水性とが充分に低下する。
具体的には、パウダー分散液中のFポリマーの割合は、10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。また、パウダー分散液中の無機フィラーの割合は、12.5〜50質量%が好ましく、25〜37.5質量%がより好ましい。
層形成成分に含まれるFポリマーの量に対するエラストマーの量の質量での比(エラストマーの含有量/Fポリマーの含有量)は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.1〜1がさらに好ましい。この場合、F層の折り曲げ性を充分に高められる。
具体的には、パウダー分散液中のエラストマーの割合は、0.25〜5質量%が好ましく、0.5〜3.5質量%がより好ましい。
パウダー分散液中の溶媒の割合は、15〜55質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。この場合、パウダー分散液の塗布性が優れ、かつF層の形成性が向上しやすい。
また、パウダー分散液が分散剤を含む場合、そのパウダー分散液中の割合は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。この場合、パウダー分散液中におけるFパウダーの分散性がより高まり、F層の物性がより向上しやすい。
本発明のパウダー分散液は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の樹脂材料を含んでいてもよい。
かかる他の樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、アクリル樹脂、フェノール樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド−シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテルが挙げられる。これらの他の樹脂材料は、パウダー分散液に溶解してもよく、溶解しなくてもよい。また、他の樹脂材料は、熱硬化性であってもよく、熱可塑性であってもよい。また、他の樹脂材料は、変性されていてもよい。
本発明のパウダー分散液は、本発明の効果を損なわない範囲で、チキソ性付与剤、消泡剤、シランカップリング剤、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤を含んでいてもよい。
本発明のパウダー分散液の粘度は、10〜10000mPa・sが好ましく、100〜5000mPa・sがより好ましく、500〜3000mPa・sがさらに好ましい。この場合、パウダー分散液の分散性に優れるだけでなく、基材上に層を形成する際に基材の表面に微小な凹凸が存在しても、この凹凸をパウダー分散液で充分に充填して、表面平坦性の高いF層を形成しやすく、厚い塗膜を形成する際、乾燥時に塗膜が均質になりやすい。
また、本発明のパウダー分散液のチキソ比(η/η)は、1〜2.2が好ましく、1.5〜2がより好ましい。この場合、パウダー分散液の分散性に優れるだけでなく、F層の均質性が向上しやすい。
本発明のパウダー分散液は、上述したとおり、寸法安定性と柔軟性とに優れ、低吸水性のF層を形成できる。また、F層は、Fポリマーの特性が損なわれにくいため、優れた電気特性(低誘電率、低誘電正接等)を有する。かかるF層は、フレキシブルプリント基板の絶縁層(誘電体層)としての使用に適している。すなわち、本発明のパウダー分散液は、フレキシブルプリント基板を形成するために好適に用いられる、金属箔と、この金属箔の表面に形成されたF層とを有する積層体の製造に好適に使用できる。
本発明の積層体の製造方法では、上記パウダー分散液を、金属箔の表面に塗布し、加熱して、金属箔と、この金属箔の表面に形成された、Fポリマー、無機フィラー及びエラストマーを含むF層とを有する積層体を得る。
本発明における金属箔の材質としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金等が挙げられる。
金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。金属箔の表面は、防錆処理(クロメート等の酸化物皮膜等)されていてもよく、粗化処理されていてもよい。
金属箔の表面の十点平均粗さは、0.2〜1.5μmが好ましい。この場合、F層との接着性が良好となりやすい。
金属箔の厚さは、積層体の用途(特に、フレキシブルプリント基板)において機能が発揮できる厚さであればよい。
金属箔の表面はシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の全体がシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の一部がシランカップリング剤により処理されていてもよい。
また、金属箔として、2層以上の金属箔を含むキャリア付金属箔を使用してもよい。キャリア付金属箔としては、キャリア銅箔(厚さ10〜35μm)と、剥離層を介してキャリア銅箔上に積層された極薄銅箔(厚さ2〜5μm)とからなるキャリア付銅箔が挙げられる。
かかるキャリア付銅箔のキャリア銅箔のみを剥離すれば、極薄銅箔を有する金属張積層体を容易に形成できる。この金属張積層体を使用すれば、MSAP(モディファイドセミアディティブ)プロセスによる、極薄銅箔層をめっきシード層として利用する、ファインパターンの形成が可能である。
上記剥離層としては、耐熱性の観点から、ニッケル又はクロムを含む金属層か、この金属層を積層した多層金属層が好ましい。かかる剥離層であれば、300℃以上の工程を経ても、キャリア金属箔を容易に極薄金属箔から剥離できる。
キャリア付金属箔の具体例としては、福田金属箔粉工業株式会社製の商品名「FUTF−5DAF−2」が挙げられる。
パウダー分散液の塗布方法は、金属箔の表面に安定した液状被膜(ウェット膜)が形成される方法であればよく、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法、コンマコート法が挙げられる。中でも、塗布方法としては、ダイコート法又はコンマコート法が好ましい。
加熱の際は、パウダー分散液の液状被膜を溶媒の揮発温度で保持して、液状被膜を乾燥させて乾燥被膜(ドライ膜)を得た後、乾燥被膜を溶媒の揮発温度を上回る温度で保持して、Fパウダーを焼成するのが好ましい。
「溶媒の揮発温度」は、溶媒の沸点±50℃が好ましく、溶媒の沸点以上の温度がより好ましく、溶媒の沸点+50℃以下の温度がさらに好ましい。乾燥温度は、乾燥雰囲気の温度を意味する。
乾燥は、一定温度にて1段階で行ってもよく、異なる温度にて2段階以上で行ってもよい。乾燥の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。乾燥は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってもよい。また、乾燥雰囲気は、酸化性ガス雰囲気(酸素ガス等)、還元性ガス雰囲気(水素ガス等)、不活性ガス雰囲気(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等)のいずれであってもよい。
乾燥温度は、50〜280℃が好ましく、120〜260℃がより好ましい。乾燥時間は、0.1〜30分間が好ましく、0.5〜20分間がより好ましい。
以上のような条件でパウダー分散液を乾燥すれば、高い生産性を維持しつつ、積層体を好適に製造できる。
焼成の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられ、これらの方法は組み合わせてもよい。なお、得られるF層の表面平滑性を高めるために、加熱板、加熱ロール等で乾燥被膜を加圧してもよい。
焼成温度は、300〜400℃が好ましく、320〜380℃がより好ましく、340℃〜370℃がさらに好ましい。焼成温度は、焼成雰囲気の温度を意味する。焼成時間は、5〜60分間が好ましく、10〜45分間がより好ましい。
焼成温度を比較的高く、かつ焼成時間を比較的長く設定すれば、分散剤を充分に分解させ、Fパウダーをより密にパッキングできる。このため、F層のレベリングを促進させて、F層の表面平滑性がさらに高まる。また、Fポリマーの分解によるフッ化水素酸の発生を抑制しやすい。
焼成は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってよい。また、焼成雰囲気は、酸化性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気および不活性ガス雰囲気のいずれであってもよい。ただし、酸素ガスを含有する焼成雰囲気とすれば、分散剤の分解をさらに促進できる。
本発明の積層体は、金属箔と、この金属箔の表面に形成された、Fポリマー、無機フィラー及びエラストマーを含むF層とを有する。
積層体のF層に占めるFポリマーと無機フィラーとの合計での割合は、65質量%以上であり、75質量%以上が好ましく、90〜99質量%がより好ましい。
また、積層体のF層に占めるFポリマーの量に対する無機フィラーの量の質量での比(無機フィラーの含有量/Fポリマーの含有量)は、1.25超であり、1.5以上がより好ましく、2以上がより好ましい。上記質量比の上限は、5以下が好ましく、4以下がより好ましい。Fポリマー及び無機フィラーの量が上記関係を満足すれば、F層は、高い電気特性を維持しつつ、線膨張係数と吸水性とが充分に低下する。
具体的には、F層中のFポリマーの割合は、10〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。また、F層中の無機フィラーの割合は、30〜85質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
積層体のF層に含まれるFポリマーの量に対するエラストマーの量の質量比(エラストマーの含有量/Fポリマーの含有量)は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましい。上記質量比の上限は、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましい。この場合、積層体のF層の電気特性を損なうことなく、F層の折り曲げ性を充分に高めやすい。
具体的には、F層中のエラストマーの割合は、0.5〜10質量%が好ましく、1〜7質量%がより好ましい。
F層は、金属箔の片面のみに形成されてもよく、金属箔の両面に形成されてもよい。F層を金属箔の両面に形成する場合、それらの組成及び厚さは、積層体の反りを抑制する点から同じであるのが好ましい。
F層の比誘電率は、2〜3.5が好ましく、2〜3がより好ましい。この場合、低誘電率が求められるプリント基板等に積層体を好適に使用できる。
F層の誘電正接は0.003以下が好ましく、0.002以下がより好ましい。これは10GHzの周波数でSPDRにて測定した値が好ましい。
F層の厚さは、50μm〜150μmが好ましく、75〜125μmがより好ましい。この範囲において、積層体をプリント基板に加工した際の電気特性と反り抑制とをバランスさせやすい。
F層の吸水率は0.1%以下が好ましく、0.08%以下がより好ましく、0.05%以下がさらに好ましい。
F層は、単一の層であってもよく、複数の層であってもよい。例えば、層形成成分に含まれるFパウダー、無機フィラー及びエラストマーの量が少ないパウダー分散液を用いて、金属箔の表面に第1のF層を形成し、さらに層形成成分に含まれるFパウダー、無機フィラー及びエラストマーの量が多いFパウダー分散液を用いて、第1のF層の表面に第2のF層を形成してもよい。かかる方法により、金属箔との密着性に優れ、Fパウダー、無機フィラー及びエラストマーに起因するより優れた物性を有する積層体が容易に得られる。
本発明の積層体の線膨張係数は、30ppm/℃以下が好ましく、25ppm/℃以下がより好ましく、20ppm/℃以下がさらに好ましい。この場合、積層体の反りの発生を好適に防止できる。
本発明の積層体の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。この場合、積層体をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性とが優れる。
積層体の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下がより好ましい。この場合、積層体をプリント基板に加工し、さらにそれを多層化し易い。
また、本発明の積層体は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の材料からなる追加の層を含んでいてもよい。追加の層としては、ポリイミド層、液晶性ポリエステル層が挙げられる。これらの追加の層を有すれば、積層体の線膨張係数を顕著に低減できる。具体的な層構成としては、金属箔/F層/追加の層/F層/金属箔が挙げられる。
本発明の積層体が有するF層の表面は、接着性に優れるため、他の基板と容易かつ強固に接着できる。
例えば、F層の表面に金属箔を積層して、両面金属張積層体としてもよい。この場合、一対の熱ロールからなるロールラミネーター、又は複数対の熱ロールをベルトで繋いだダブルベルトプレスを使用して、積層体の表面に金属箔をラミネートできる。ラミネート温度は、300℃〜400℃が好ましく、320℃〜380℃がより好ましい。
また、この場合、積層体には、金属箔のみを接着してもよいし、同一のF層を有する積層体または異なるF層を有する積層体を接着してもよい。例えば、厚さ50μmのF層を有する本発明の積層体同士を、それぞれのF層が対向するよう配置し、熱圧着させれば、厚さ100μmのF層の両面に金属箔を有する積層体(両面金属張積層体)を製造できる。
さらに、本発明の積層体には、他の基板を接着してもよい。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体等が挙げられる。
プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、耐熱性樹脂の1種以上を含むフィルムであり、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル等が挙げられる。
本発明の積層体に他の基材を積層する方法としては、積層体と他の基板とを熱プレスする方法が挙げられる。
他の基板がプリプレグである場合のプレス温度は、Fポリマーの融点以下が好ましく、120〜300℃がより好ましい。他の基板が耐熱性樹脂フィルムである場合のプレス温度は、310〜400℃が好ましい。
熱プレスは、気泡混入を抑制し、酸化による劣化を抑制する観点から、20kPa以下の真空度で行うのが特に好ましい。
また、熱プレス時には上記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。この場合、F層が軟化する前の状態、すなわち一定程度の流動性が生じる前の状態にて、他の基板が圧着されるため、気泡が生じにくい。
熱プレスにおける圧力は、基板の破損を抑制しつつ、F層と基板とを強固に密着させる観点から、0.2〜10MPaが好ましい。
本発明の積層体は、寸法安定性と柔軟性とに優れ、低吸水性のF層を有する。また、F層は、Fポリマーの特性が損なわれにくいため、優れた電気特性(低誘電率、低誘電正接等)を有する。したがって、本発明の積層体は、フレキシブルプリント基板を形成するために好適に用いられる。
フレキシブルプリント基板を形成するのに使用する場合(以下、「フレキシブルプリント基板用途」とも記す。)において、本発明の積層体は、次のような物性を有するのが好ましい。
すなわち、金属箔のF層に対する剥離強度は、8N/cm以上が好ましく、12N/cm以上がより好ましく、16N/cm以上がさらに好ましい。この場合、得られるフレキシブルプリント基板において、パターン回路のF層からの剥離をより確実に抑制できる。
また、積層体の加熱変形性は、0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましく、0.2%以下がさらに好ましい。この場合、得られるフレキシブルプリント基板において、寸法安定性をより向上でき、電気特性の温度依存性もより低減できる。
また、F層の弾性率は、0.1〜3GPaが好ましく、0.2〜2.5GPaがより好ましい。この場合、本発明の積層体は、特に優れた柔軟性を有するため、より自由な条件でフレキシブルプリント基板を製造できる。なお、F層の弾性率とは、JIS K 7161に準じて測定される引張弾性率を意味する。
さらに、本発明におけるF層は、多量の無機フィラーを含むので熱伝導率も高い。具体的には、F層の熱伝導率は、厚さ方向で0.2W/mK以上、面方向で0.3W/mK以上が好ましい。この場合、フレキシブルプリント基板に半導体チップを実装して実際に使用する場合、放熱効果に優れる。
本発明のプリント基板の製造方法では、上記積層体の金属箔を加工して、パターン回路を形成する。金属箔の加工方法としては、エッチング法、電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等)が挙げられる。
パターン回路を形成した後に、パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに導体回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、本発明のパウダー分散液によって形成してもよい。また、パターン回路上にソルダーレジスト又はカバーレイフィルムを積層してもよい。ソルダーレジスト又はカバーレイフィルムは、本発明のパウダー分散液によって形成してもよい。
このようにして製造されるプリント基板は、折り曲げ性の高いF層を有するため、フレキシブルプリント基板として好適に使用できる。
以上、本発明のパウダー分散液、積層体の製造方法、積層体及びプリント基板の製造方法について説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明の分散液及び積層体は、それぞれ上述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されてもよい。
また、本発明の積層体の製造方法及びプリント基板の製造方法は、それぞれ上述した実施形態の構成において、他の任意の目的の工程を追加してもよいし、同様の作用を発揮する任意の工程と置換されてもよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
各種測定方法と使用材料とを、以下に示す。
<折曲性>
積層体の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングして除去して作製した試験片(5mm×5mm)を、曲率半径(300μm)の条件で180°折り曲げ、上から荷重(50mN、1分間)をかけた後に折り曲げを戻し、試験片の外観を以下の基準で評価した。
○(良) :折り目部分に外観異常は見られない。
△(可) :折り目部分に白化が見られた。
×(不可):折り目で破断した。
<線膨張係数>
積層体の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングして除去して作製した試験片(3mm×10mm)を、熱機械的分析装置(SIIナノテクノロジー社製、商品名:TMA/SS6100)を用いて、10℃/分にて0℃から400℃に昇温させた後、40℃/分にて10℃まで冷却し、さらに10℃/分にて10℃から200℃に昇温させて測定した。測定荷重は29.4mNとし、測定雰囲気を空気雰囲気とした。
<吸水率>
吸水率は、JIS K 7209:2000Aの方法に準じて測定した。
積層体の銅箔を塩化第二鉄水溶液でエッチングして除去して作製した試験片(10cm×10cm)を50℃にて24時間乾燥させ、デシケーター内で冷却した。この時点における試験片の質量を、試験片の浸漬前質量とした。
次に、試験片を23℃にて24時間、純水に浸漬させた。試験片を純水から取り出し、速やかに表面の水分を拭き取った後、1分以内に測定した質量を、試験片の浸漬後質量とした。浸漬前後での試験片の質量変化率を、積層体の吸水率とした。
<誘電正接>
SPDR法によって、23℃±2℃、50±5%RHの範囲内の環境下、周波数10GHzにて測定した。
[Fパウダー]
Fパウダー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含む、酸無水物基を有するポリマー(溶融温度300℃)からなるパウダー(D50:1.7μm、D90:3.8μm)
Fパウダ−2:TFE単位及びNAH単位を、この順に97.5モル%、2.5モル%含む、官能基を有さないポリマー(溶融温度305℃)からなるパウダー(D50:18.5μm)
[分散剤]
分散剤1:ペルフルオロアルキル基と水酸基及びポリオキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー(フッ素含有量:35質量%、水酸基価:19mgKOH/g)
[金属箔]
銅箔1:福田金属箔粉工業社製、「CF−T4X−SV−18」、厚さ:18μm、表面の十点平均粗さ0.6μm)
[無機フィラー]
フィラー1:球状シリカ(デンカ社製、「FB−7SDC」、平均粒径:5μm、アスペクト比:1)
フィラー2:粉末状の酸化マグネシウム(宇部マテリアルズ社製、気相法高純度超微粉グレード、平均粒径:0.3μm、アスペクト比:1)
フィラー3:鱗片状の窒化ホウ素(昭和電工社製、「UHP−2」、平均粒径:11μm、アスペクト比:4)
[エラストマー]
エラストマー1:アミン変性スチレン系エラストマー(SEBS、旭化成社製、「タフテック MP10」)
エラストマー2:フッ素系エラストマー(FEPM、AGC社製、「アフラス150CS」)
[例1]パウダー分散液の製造例
[例1−1]パウダー分散液1の製造例
ポット内にて、48質量部のシクロヘキサノンと2質量部の分散剤1とを混合し、さらに15質量部のFパウダー1、1.5質量部のエラストマー1、33.5質量部のフィラー1を順に加え、ポットをころがして、パウダー分散液1を製造した。
[例1−2〜例1−9]分散液2〜9の製造例
使用材料とその混合割合とを変更した以外は、例1−1と同様にして、パウダー分散液2〜8を製造した。なお、例1−7〜例1−9におけるパウダー分散液7〜9は、比較例に相当する。
それぞれのパウダー分散液の成分を、下表1にまとめて示す。
Figure 2020180245
なお、他の成分におけるエポキシ樹脂1とは、芳香族系エポキシ樹脂と硬化剤とを含む硬化性組成物であり、例1−7に記載するエポキシ樹脂1の成分量は、層形成成分としての量である。
[例2]積層体の製造評価例
[例2−1]積層体1の製造例
分散液1を銅箔1に、ダイコート法により塗工して液状被膜を形成した。次いで、この液状被膜を120℃にて5分間乾燥炉に通し、加熱し乾燥して、乾燥被膜を得た。その後、乾燥被膜を窒素雰囲気下の遠赤外線炉で380℃にて10分間加熱し焼成した。これにより、銅箔1の表面に、厚さ100μmのF層が形成された積層体1(樹脂付銅箔)を得た。
[例2−2〜例2−9]積層体2〜9の製造例
分散液の種類を変更した以外は、例2−1と同様にして、積層体2〜9を製造した。
それぞれの積層体に関して、折曲率、線膨張係数、吸水率及び誘電正接を評価した。
これらの結果を、下表2にまとめて示す。
Figure 2020180245
本発明の積層体は、寸法安定性と柔軟性とに優れ、低吸水性の層を有するため、アンテナ部品、プリント基板(特に、フレキシブルプリント基板)、航空機用部品、自動車用部品等に加工して使用できる。

Claims (15)

  1. テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダー、無機フィラー及びエラストマーを含む層形成成分と溶媒とを含み、前記層形成成分に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機フィラーとの合計での割合が65質量%以上であり、前記層形成成分に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記無機フィラーの量の質量での比が1.25超である、パウダー分散液。
  2. 前記層形成成分に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記エラストマーの量の質量での比が、0.05以上である、請求項1に記載のパウダー分散液。
  3. さらに、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基又はポリオキシアルキレン基とを有するポリマーを含む、請求項1又は2に記載のパウダー分散液。
  4. さらに、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基と、水酸基とを有し、フッ素含有量が10〜50質量%かつ水酸基価が10〜100mg/KOHのポリマーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  5. 前記溶媒が、ケトン、アミド又はエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  6. 前記エラストマーが、ブチレン/イソプレン/ブタジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー及びフッ素系エラストマーからなる群から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性エラストマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  7. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が140〜320℃のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  8. 25℃における粘度が、10〜10000mPa・sである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  9. フレキシブルプリント基板を形成するために用いられる、請求項1〜8のいずれか1項に記載のパウダー分散液。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のパウダー分散液を、金属箔の表面に塗布し、加熱して、前記金属箔と、前記金属箔の表面に形成された、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記無機フィラー及び前記エラストマーを含む層とを有する積層体を得る、積層体の製造方法。
  11. 前記層の厚さが、50〜150μmである、請求項10に記載の製造方法。
  12. 金属箔と、前記金属箔の表面に形成された、テトラフルオロエチレン系ポリマー、無機フィラー及びエラストマーを含む層とを有し、前記層に占める前記テトラフルオロエチレン系ポリマーと前記無機フィラーとの合計での割合が65質量%以上であり、前記層に含まれる前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの量に対する前記無機フィラーの量の質量での比が1.25超である、積層体。
  13. フレキシブルプリント基板を形成するために用いられる、請求項12に記載の積層体。
  14. 請求項12又は13に記載の積層体の前記金属箔を加工して、パターン回路を形成する、プリント基板の製造方法。
  15. 前記プリント基板が、フレキシブルプリント基板である、請求項14に記載の製造方法。
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