JP2020070401A - 分散液 - Google Patents
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Abstract
【課題】テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーが溶媒中に分散した、分散性と層(塗膜)形成性に優れた分散液の提供。【解決手段】本発明の分散液は、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーと分散剤と溶媒とを含み、前記パウダーが前記溶媒に分散している。前記分散剤は、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びアルキル基を有するアルキル系モノマーに基づく単位を含む部分フッ素化ポリマーと、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマーに基づく単位を含むオキシアルキレン系ポリマーとを含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーが溶媒中に分散した分散液に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のテトラフルオロエチレン系ポリマーは、耐薬品性、撥水撥油性、耐熱性、電気特性等の物性に優れており、パウダー、分散液、フィルム等の種々の使用形態と、その物性を活用した種々の用途とが知られている。
近年では、低誘電率、低誘電正接等の電気特性と半田リフローにも耐える耐熱性とに優れた、高周帯域の周波数に対応するプリント基板材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。
特許文献1には、PTFEのパウダーが溶媒に分散した分散液から形成されたPTFE層を有する樹脂付金属箔、その金属箔に伝送回線を形成してプリント基板とする方法が記載されている。特許文献2には、かかる分散液として、PTFEのパウダーを含む分散液が記載されている。
近年では、低誘電率、低誘電正接等の電気特性と半田リフローにも耐える耐熱性とに優れた、高周帯域の周波数に対応するプリント基板材料として、テトラフルオロエチレン系ポリマーが注目されている。
特許文献1には、PTFEのパウダーが溶媒に分散した分散液から形成されたPTFE層を有する樹脂付金属箔、その金属箔に伝送回線を形成してプリント基板とする方法が記載されている。特許文献2には、かかる分散液として、PTFEのパウダーを含む分散液が記載されている。
テトラフルオロエチレン系ポリマーは本質的に表面張力が低く他の材料との相互作用が低いため、そのパウダー分散液は泡立ちし易い等、分散性が低い。分散性を改善するために、分散液にフッ素系分散剤を配合する手法が知られているが、その効果は未だ充分ではなく、分散液からテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層(塗膜)を形成する際の効率が低下する場合がある。このため、分散性が高く、層(塗膜)を効率的に形成できる、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーの分散液が求められていた。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーと分散剤と溶媒とを含み、前記パウダーが前記溶媒に分散した分散液であって、
前記分散剤が、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びアルキル基を有するアルキル系モノマーに基づく単位を含む部分フッ素化ポリマーと、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマーに基づく単位を含むオキシアルキレン系ポリマーとを含有する、分散液。
<2>前記部分フッ素化ポリマーの質量をAとし、前記オキシアルキレン系ポリマーの質量をBとしたとき、B/Aが1以上である、前記<1>の分散液。
<3>前記部分フッ素化ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記アルキル系モノマーに基づく単位の量より多い、前記<1>又は<2>の分散液。
<4>前記オキシアルキレン系ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記オキシアルキレン系モノマーに基づく単位の量より多い、前記<1>〜<3>のいずれかの分散液。
<5>前記部分フッ素化ポリマー及び前記オキシアルキレン系ポリマーにおいて、それぞれ独立に、前記フルオロモノマーが、下式Fで表される化合物である、前記<1>〜<4>のいずれかの分散液。
式F:CH2=CXFC(O)O−QF−RF
(式中、XFが水素原子、塩素原子又はメチル基を示し、QFが炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、RFが炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基を示す。)
<6>前記部分フッ素化ポリマーにおける前記フルオロモノマーと、前記オキシアルキレン系ポリマーにおける前記フルオロモノマーとが同一である、前記<1>〜<5>のいずれかの分散液。
<7>前記アルキル系モノマーが、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである、前記<1>〜<6>のいずれかの分散液。
<8>前記オキシアルキレン系モノマーが、下式Hで表される化合物である、前記<1>〜<7>のいずれかの分散液。
式H:CH2=CXHC(O)−(OZH)m−ORH
(式中、XHが水素原子又はメチル基を示し、ZHが炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mが3〜200であり、RHが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。)
<9>前記式Hにおいて、RHが水素原子であり、mが3〜20である、前記<8>の分散液。
<10>前記式Hにおいて、RHが炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mが20〜200である、前記<8>の分散液。
<11>前記溶媒が、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンである、前記<1>〜<10>のいずれかの分散液。
<12>前記パウダーの体積基準累積50%径が、0.05〜6μmである、前記<1>〜<11>のいずれかの分散液。
<13>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレンに基づく単位を99.5モル%以上含む、前記<1>〜<12>のいずれかの分散液。
<14>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレン以外のコモノマーに基づく単位を0.5モル%超含む、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の分散液。
<15>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ニトリル基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、前記<1>〜<14>のいずれかの分散液。
<1>テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーと分散剤と溶媒とを含み、前記パウダーが前記溶媒に分散した分散液であって、
前記分散剤が、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びアルキル基を有するアルキル系モノマーに基づく単位を含む部分フッ素化ポリマーと、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマーに基づく単位を含むオキシアルキレン系ポリマーとを含有する、分散液。
<2>前記部分フッ素化ポリマーの質量をAとし、前記オキシアルキレン系ポリマーの質量をBとしたとき、B/Aが1以上である、前記<1>の分散液。
<3>前記部分フッ素化ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記アルキル系モノマーに基づく単位の量より多い、前記<1>又は<2>の分散液。
<4>前記オキシアルキレン系ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記オキシアルキレン系モノマーに基づく単位の量より多い、前記<1>〜<3>のいずれかの分散液。
<5>前記部分フッ素化ポリマー及び前記オキシアルキレン系ポリマーにおいて、それぞれ独立に、前記フルオロモノマーが、下式Fで表される化合物である、前記<1>〜<4>のいずれかの分散液。
式F:CH2=CXFC(O)O−QF−RF
(式中、XFが水素原子、塩素原子又はメチル基を示し、QFが炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、RFが炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基を示す。)
<6>前記部分フッ素化ポリマーにおける前記フルオロモノマーと、前記オキシアルキレン系ポリマーにおける前記フルオロモノマーとが同一である、前記<1>〜<5>のいずれかの分散液。
<7>前記アルキル系モノマーが、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである、前記<1>〜<6>のいずれかの分散液。
<8>前記オキシアルキレン系モノマーが、下式Hで表される化合物である、前記<1>〜<7>のいずれかの分散液。
式H:CH2=CXHC(O)−(OZH)m−ORH
(式中、XHが水素原子又はメチル基を示し、ZHが炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mが3〜200であり、RHが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。)
<9>前記式Hにおいて、RHが水素原子であり、mが3〜20である、前記<8>の分散液。
<10>前記式Hにおいて、RHが炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mが20〜200である、前記<8>の分散液。
<11>前記溶媒が、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンである、前記<1>〜<10>のいずれかの分散液。
<12>前記パウダーの体積基準累積50%径が、0.05〜6μmである、前記<1>〜<11>のいずれかの分散液。
<13>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレンに基づく単位を99.5モル%以上含む、前記<1>〜<12>のいずれかの分散液。
<14>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレン以外のコモノマーに基づく単位を0.5モル%超含む、前記<1>〜<12>のいずれか1項に記載の分散液。
<15>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ニトリル基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、前記<1>〜<14>のいずれかの分散液。
本発明によれば、分散性と濡れ性、接着性、チキソ性、平滑性等の層(塗膜)形成性とに優れた、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーの分散液が提供される。本発明の分散液から形成される層(塗膜)は、濡れ性と接着性とに特に優れており、本発明の分散液はプリント基板の材料として有用な樹脂付金属箔等の製造に好適に使用できる。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダーを構成する粒子(以下、「パウダー粒子」とも記す。)の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径(体積基準累積50%径)である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダー粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径(体積基準累積90%径)である。
つまり、パウダーのD50及びD90は、それぞれ、パウダー粒子の体積基準累積50%径及び体積基準累積90%径である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ−8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「十点平均粗さ(RzJIS)」は、JIS B 0601:2013の附属書JAで規定される値である。
「分散剤の熱分解開始温度」は、熱重量測定装置(TG)、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)を使用し、分散剤(10mg)を、混合ガス(ヘリウム90体積%と酸素10体積%)雰囲気下、10℃/分のペースにて昇温させた際に、その質量減少率が1質量%/分以上となる温度である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。
「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダーを構成する粒子(以下、「パウダー粒子」とも記す。)の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径(体積基準累積50%径)である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダー粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径(体積基準累積90%径)である。
つまり、パウダーのD50及びD90は、それぞれ、パウダー粒子の体積基準累積50%径及び体積基準累積90%径である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ−8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「十点平均粗さ(RzJIS)」は、JIS B 0601:2013の附属書JAで規定される値である。
「分散剤の熱分解開始温度」は、熱重量測定装置(TG)、熱重量示差熱分析装置(TG−DTA)を使用し、分散剤(10mg)を、混合ガス(ヘリウム90体積%と酸素10体積%)雰囲気下、10℃/分のペースにて昇温させた際に、その質量減少率が1質量%/分以上となる温度である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。
「(メタ)アクリロイルオキシ基」は、アクリロイルオキシ基とメタクリロイルオキシ基の総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である。
本発明の分散液は、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)を含むパウダーと溶媒と分散剤とを含み、パウダーが溶媒に分散している。分散剤は、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマー(以下、「モノマーF」とも記す。)に基づく単位及びアルキル基を有するアルキル系モノマー(以下、「モノマーHC」とも記す。)に基づく単位(以下、「単位HC」とも記す。)を含む部分フッ素化ポリマーと、Fモノマー及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマー(以下、「モノマーAO」とも記す。)に基づく単位(以下、「単位AO」とも記す。)を含むオキシアルキレン系ポリマーとを含有する。
本発明の分散液が、分散性に優れており、濡れ性、接着性、チキソ性、平滑性等の層(塗膜)形成性に優れる理由は、必ずしも明確ではないが、分散剤が、部分フッ素化ポリマーとオキシアルキレン系ポリマーとを含有する点が挙げられる。
部分フッ素化ポリマーは、単位Fを含むため、Fポリマーとの親和性が高く、よってパウダー粒子に高度に付着できる。また、部分フッ素化ポリマーは、単位HCを含むため、フッ素含有基の存在に起因して生じる他の材料との親和性の極端な低下を抑制できる。このため、部分フッ素化ポリマーは、オキシアルキレン系ポリマーとも相互作用を生じ易くなっている。一方、オキシアルキレン系ポリマーは、単位Fを含むため、同様に単位Fを含む部分フッ素化ポリマーとの親和性が高い。また、オキシアルキレン系ポリマーは、親水性の高い単位AOを含むため、溶媒との親和性が高い。したがって、部分フッ素化ポリマーはオキシアルキレン系ポリマーに比較してFポリマーとの親和性が相対的に高く、オキシアルキレン系ポリマーは部分フッ素化ポリマーに比較して溶媒との親和性が相対的に高い。かかる2種類のポリマーが分散剤として含まれる分散液中においては、部分フッ素化ポリマーがパウダー粒子の表面を覆う第1層を形成し、オキシアルキレン系ポリマーが第1層を覆う第2層を形成し易いと考えられる。その結果、分散剤として部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーを含む本発明の分散液は、Fポリマーを含むパウダーの分散性に優れていると考えられる。
部分フッ素化ポリマーは、単位Fを含むため、Fポリマーとの親和性が高く、よってパウダー粒子に高度に付着できる。また、部分フッ素化ポリマーは、単位HCを含むため、フッ素含有基の存在に起因して生じる他の材料との親和性の極端な低下を抑制できる。このため、部分フッ素化ポリマーは、オキシアルキレン系ポリマーとも相互作用を生じ易くなっている。一方、オキシアルキレン系ポリマーは、単位Fを含むため、同様に単位Fを含む部分フッ素化ポリマーとの親和性が高い。また、オキシアルキレン系ポリマーは、親水性の高い単位AOを含むため、溶媒との親和性が高い。したがって、部分フッ素化ポリマーはオキシアルキレン系ポリマーに比較してFポリマーとの親和性が相対的に高く、オキシアルキレン系ポリマーは部分フッ素化ポリマーに比較して溶媒との親和性が相対的に高い。かかる2種類のポリマーが分散剤として含まれる分散液中においては、部分フッ素化ポリマーがパウダー粒子の表面を覆う第1層を形成し、オキシアルキレン系ポリマーが第1層を覆う第2層を形成し易いと考えられる。その結果、分散剤として部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーを含む本発明の分散液は、Fポリマーを含むパウダーの分散性に優れていると考えられる。
また、単位HCを含む部分フッ素化ポリマーにおいては、加熱の際に、炭化水素基がポリマー鎖から離脱し易く、ラジカルの発生により分解し易いと考えられる。また、この際、部分フッ素化ポリマーから発生するラジカルによりオキシアルキレン系ポリマーも分解されると考えられる。このため、本発明の分散液から形成される塗膜又は層(以下、「F層」とも記す。)に分散剤(部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマー)が残存し難いとも考えられる。よって、F層は、濡れ性、接着性、チキソ性、平滑性等の層(塗膜)形成性が優れる。なお、部分フッ素化ポリマーの熱分解開始温度は、部分フッ素化ポリマーに含まれる単位HCの量によって調整でき、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
以上のような効果は、後述する本発明の好ましい態様において、顕著に発現する。
以上のような効果は、後述する本発明の好ましい態様において、顕著に発現する。
本発明におけるパウダーのD50は、0.05〜6μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましい。パウダーのD50が上記範囲にある場合、パウダーの流動性と分散性とが高まり、F層の表面平滑性が優れる。パウダーのD90は、8μm以下が好ましく、1.5〜5μmがより好ましい。パウダーのD90が上記範囲にある場合、パウダーの分散性とF層の均質性とが優れる。
パウダーの疎充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.08〜0.5g/mLがより好ましい。パウダーの密充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.1〜0.8g/mLがより好ましい。疎充填嵩密度又は密充填嵩密度が上記範囲にある場合、パウダーのハンドリング性が優れる。
パウダーの疎充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.08〜0.5g/mLがより好ましい。パウダーの密充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.1〜0.8g/mLがより好ましい。疎充填嵩密度又は密充填嵩密度が上記範囲にある場合、パウダーのハンドリング性が優れる。
本発明におけるパウダーは、本発明の効果を損なわない範囲において、Fポリマー以外の樹脂を含んでいてもよいが、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。パウダーにおけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
上記樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシドが挙げられる。
上記樹脂としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシドが挙げられる。
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)に基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を含むポリマーである。
Fポリマーは、TFE単位からなるホモポリマー(以下、「PTFE」とも記す。)、TFE単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」とも記す。)に基づく単位(以下、「PAVE単位」とも記す。)とを含むコポリマー、TFE単位とヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)に基づく単位(以下、「HFP単位」とも記す。)とを含むコポリマー又はTFE単位とフルオロアルキルエチレン(以下、「FAE」とも記す。)に基づく単位(以下、「FAE単位」とも記す。)とを含むコポリマーが好ましい。
Fポリマーは、TFE単位からなるホモポリマー(以下、「PTFE」とも記す。)、TFE単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」とも記す。)に基づく単位(以下、「PAVE単位」とも記す。)とを含むコポリマー、TFE単位とヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)に基づく単位(以下、「HFP単位」とも記す。)とを含むコポリマー又はTFE単位とフルオロアルキルエチレン(以下、「FAE」とも記す。)に基づく単位(以下、「FAE単位」とも記す。)とを含むコポリマーが好ましい。
TFE単位からなるホモポリマーは、TFE単位以外の他の単位を極微量含むポリマーも包含される。他の単位を極微量含むポリマーは、このポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位を、99.5モル%以上含むのが好ましく、99.9モル%以上含むのがより好ましい。
また、かかるポリマーの380℃における溶融粘度は、1×102〜1×108Pa・sが好ましく、1×103〜1×106Pa・sがより好ましい。
かかるポリマーとしては、低分子量のPTFEが挙げられる。
また、かかるポリマーの380℃における溶融粘度は、1×102〜1×108Pa・sが好ましく、1×103〜1×106Pa・sがより好ましい。
かかるポリマーとしては、低分子量のPTFEが挙げられる。
低分子量のPTFEは、高分子量のPTFE(溶融粘度が1×109〜1×1010Pa・s程度)に放射線を照射して得られるPTFE(国際公開第2018/026012号、国際公開第2018/026017号等に記載のポリマー)であってもよく、TFEを重合してPTFEを製造する際に連鎖移動剤を用いて得られるPTFE(特開2009−1745号公報、国際公開第2010/114033号、特開2015−232082号公報等に記載のポリマー)であってもよく、コア部分とシェル部分からなるコア−シェル構造を有するポリマーであって、シェル部分のみが上記溶融粘度を有するPTFE(特表2005−527652号公報、国際公開第2016/170918号、特開平09−087334号公報等に記載のポリマー)であってもよい。
低分子量のPTFEの標準比重(ASTM D4895−04に準拠して測定される比重)は、2.14〜2.22が好ましく、2.16〜2.20がより好ましい。
低分子量のPTFEの標準比重(ASTM D4895−04に準拠して測定される比重)は、2.14〜2.22が好ましく、2.16〜2.20がより好ましい。
Fポリマーは、TFE単位以外の他の単位を含むポリマーも包含される。他の単位を含むポリマーは、このポリマーの全単位に対して、他の単位を0.5モル%超含むのが好ましい。かかる他の単位は、PAVE単位、HFP単位、FAE単位又は後述する官能基を有する単位が好ましい。
Fポリマーは、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ニトリル基及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するのが好ましい。Fポリマーが上記官能基を有する場合、オキシアルキレン系ポリマーに含まれる極性基(オキシアルキレン基)とFポリマーとの相互作用が強まり易く、分散液の分散性と層(塗膜)形成性とが更に向上し易い。なお、カルボニル基含有基には、アミド基が含まれる。
Fポリマーは、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ニトリル基及びイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するのが好ましい。Fポリマーが上記官能基を有する場合、オキシアルキレン系ポリマーに含まれる極性基(オキシアルキレン基)とFポリマーとの相互作用が強まり易く、分散液の分散性と層(塗膜)形成性とが更に向上し易い。なお、カルボニル基含有基には、アミド基が含まれる。
上記官能基は、Fポリマーを構成する単位に含まれてもよく、ポリマー主鎖の末端基に含まれてもよく、プラズマ処理等によりFポリマーに導入してもよい。ポリマー主鎖の末端基に上記官能基が含まれるFポリマーとしては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として官能基を有するFポリマーが挙げられる。
上記官能基は、ヒドロキシ基又はカルボニル基含有基が好ましく、カルボニル含有基がより好ましく、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基又は酸無水物残基がより好ましく、カルボキシ基又は酸無水物残基がさらに好ましい。
Fポリマーは、TFE単位と、PAVE単位、HFP単位又はFAE単位と、官能基を有する単位とを含むポリマーが好ましい。
上記官能基は、ヒドロキシ基又はカルボニル基含有基が好ましく、カルボニル含有基がより好ましく、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基又は酸無水物残基がより好ましく、カルボキシ基又は酸無水物残基がさらに好ましい。
Fポリマーは、TFE単位と、PAVE単位、HFP単位又はFAE単位と、官能基を有する単位とを含むポリマーが好ましい。
官能基を有する単位は、官能基を有するモノマーに基づく単位が好ましい。
官能基を有するモノマーとしては、ヒドロキシ基又はカルボニル基含有基を有するモノマーが好ましく、酸無水物残基を有するモノマー又はカルボキシ基を有するモノマーがより好ましく、酸無水物残基を有する環状モノマーが特に好ましい。
環状モノマーとしては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)又は無水マレイン酸が挙げられ、NAHが好ましい。
官能基を有するモノマーとしては、ヒドロキシ基又はカルボニル基含有基を有するモノマーが好ましく、酸無水物残基を有するモノマー又はカルボキシ基を有するモノマーがより好ましく、酸無水物残基を有する環状モノマーが特に好ましい。
環状モノマーとしては、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸;以下、「NAH」とも記す。)又は無水マレイン酸が挙げられ、NAHが好ましい。
PAVEとしては、CF2=CFOCF3、CF2=CFOCF2CF3、CF2=CFOCF2CF2CF3(以下、「PPVE」とも記す。)、CF2=CFOCF2CF2CF2CF3、CF2=CFO(CF2)8Fが挙げられ、PPVEが好ましい。
FAEとしては、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4Hが挙げられ、CH2=CH(CF2)4F又はCH2=CH(CF2)2Fが好ましい。
この場合、Fポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位は90〜99モル%含まれるのが好ましく、PAVE単位、HFP単位又はFAE単位は0.5〜9.97モル%含まれるのが好ましく、官能基を有する単位は0.01〜3モル%含まれるのが好ましい。
この場合、Fポリマーの融点は、250〜380℃が好ましく、280〜350℃がより好ましい。
かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載のポリマーが挙げられる。
FAEとしては、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4Hが挙げられ、CH2=CH(CF2)4F又はCH2=CH(CF2)2Fが好ましい。
この場合、Fポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位は90〜99モル%含まれるのが好ましく、PAVE単位、HFP単位又はFAE単位は0.5〜9.97モル%含まれるのが好ましく、官能基を有する単位は0.01〜3モル%含まれるのが好ましい。
この場合、Fポリマーの融点は、250〜380℃が好ましく、280〜350℃がより好ましい。
かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載のポリマーが挙げられる。
本発明における溶媒は、25℃で液体の化合物であり、水性溶媒であってもよく、非水性溶媒であってもよい。
溶媒の化合物は、水、アミド、アルコール、スルホキシド、エステル、ケトン又はグリコールエーテルが好ましく、水、ケトン又はアミドがより好ましく、ケトン又はアミドがさらに好ましい。本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーは、これらの溶媒の化合物との相互作用が高く、よって分散液の塗膜形成性(チキソ比、接着性、透明性等)が更に向上し易い。溶媒の化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒の化合物の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、セロソルブ(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)が挙げられる。
溶媒の化合物は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。本発明における分散剤を使用すれば、これらの溶媒にパウダーを充分に分散できる。
溶媒の化合物は、水、アミド、アルコール、スルホキシド、エステル、ケトン又はグリコールエーテルが好ましく、水、ケトン又はアミドがより好ましく、ケトン又はアミドがさらに好ましい。本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーは、これらの溶媒の化合物との相互作用が高く、よって分散液の塗膜形成性(チキソ比、接着性、透明性等)が更に向上し易い。溶媒の化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒の化合物の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、セロソルブ(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)が挙げられる。
溶媒の化合物は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。本発明における分散剤を使用すれば、これらの溶媒にパウダーを充分に分散できる。
本発明における部分フッ素化ポリマーは、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマー(モノマーF)に基づく単位(単位F)及びアルキル基を有するアルキル系モノマー(モノマーHC)に基づく単位(単位HC)を含む。
一方、本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーは、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマー(モノマーF)に基づく単位(単位F)及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマー(モノマーAO)に基づく単位(単位AO)を含む。なお、部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーは、それぞれFポリマー以外のポリマーである。
一方、本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーは、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマー(モノマーF)に基づく単位(単位F)及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマー(モノマーAO)に基づく単位(単位AO)を含む。なお、部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーは、それぞれFポリマー以外のポリマーである。
部分フッ素化ポリマーにおける、単位Fの量は単位HCの量より多いのが好ましい。この場合、部分フッ素化ポリマーは、単位Fを充分な量含むため、パウダー粒子との親和性がより高まり、パウダー粒子の表面に第1層が形成され易い。
オキシアルキレン系ポリマーにおける、単位Fの量は単位AOの量より多いのが好ましい。この場合、オキシアルキレン系ポリマーは、溶媒との高い親和性を保持しつつ、部分フッ素化ポリマーと充分に相互作用でき、第1層の表面に第2層が形成され易い。
オキシアルキレン系ポリマーにおける、単位Fの量は単位AOの量より多いのが好ましい。この場合、オキシアルキレン系ポリマーは、溶媒との高い親和性を保持しつつ、部分フッ素化ポリマーと充分に相互作用でき、第1層の表面に第2層が形成され易い。
部分フッ素化ポリマーにおけるFモノマーと、オキシアルキレン系ポリマーにおけるFモノマーとは、同一であっても、異なってもよいが、同一であるのが好ましい。これにより、部分フッ素化ポリマーとオキシアルキレン系ポリマーとの相互作用がより高まる。
また、分散剤に含まれる部分フッ素化ポリマーの質量をAとし、オキシアルキレン系ポリマーの質量をBとしたとき、B/A(BをAで除した値)は、1以上が好ましく、2〜20がより好ましく、3〜10がさらに好ましい。かかる質量比で部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーを含めば、第1層及び第2層で被覆された分散性に優れるパウダー粒子を得易い。また、分散液の泡立ちが生じ難い。
また、分散剤に含まれる部分フッ素化ポリマーの質量をAとし、オキシアルキレン系ポリマーの質量をBとしたとき、B/A(BをAで除した値)は、1以上が好ましく、2〜20がより好ましく、3〜10がさらに好ましい。かかる質量比で部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーを含めば、第1層及び第2層で被覆された分散性に優れるパウダー粒子を得易い。また、分散液の泡立ちが生じ難い。
モノマーFとは、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−クロロアクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基等の重合性基と、ポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を有するポリフルオロアルキル基、ポリフルオロアルケニル基等のフッ素含有基とを有する化合物の総称である。
モノマーFは、下式Fで表される化合物が好ましい。かかる鎖長が比較的短いフッ素含基を有するモノマーFを選定すると、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層の濡れ性、接着性等の物性がより向上し易い。
モノマーFは、下式Fで表される化合物が好ましい。かかる鎖長が比較的短いフッ素含基を有するモノマーFを選定すると、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層の濡れ性、接着性等の物性がより向上し易い。
式F:CH2=CXFC(O)O−QF−RF
式中の記号は、以下の意味を示す。
XFは、水素原子、塩素原子又はメチル基である。
QFは、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。ただし、RFが炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基又はエーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基である場合には、QFは、メチレン基(−CH2−)又はエチレン基(−CH2CH2−)が好ましい。また、RFが炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基である場合には、QFは、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)又はオキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)が好ましい。
RFは、炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基である。RFとしては、−(CF2)4F、−(CF2)6F、−CF2OCF2CF2OCF2CF3、−CF(CF3)OCF2CF2CF3、−CF(CF3)C(=C(CF3)2)(CF(CF3)2)又は−C(CF3)C(=C(CF(CF3)2)2)が好ましく、−(CF2)4F、−(CF2)6F、−CF2OCF2CF2OCF2CF3又は−CF(CF3)OCF2CF2CF3がより好ましい。中でも、F層の物性(濡れ性、接着性、平滑性等)が更に優れる観点から、RFは、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fがさらに好ましく、−(CF2)6Fが特に好ましい。特に、直鎖状のポリフルオロアルキル基を有するモノマーFは、比較的安価に入手可能なため好適である。
式中の記号は、以下の意味を示す。
XFは、水素原子、塩素原子又はメチル基である。
QFは、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のオキシアルキレン基である。ただし、RFが炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基又はエーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基である場合には、QFは、メチレン基(−CH2−)又はエチレン基(−CH2CH2−)が好ましい。また、RFが炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基である場合には、QFは、オキシエチレン基(−CH2CH2O−)又はオキシブチレン基(−CH2CH2CH2CH2O−)が好ましい。
RFは、炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基である。RFとしては、−(CF2)4F、−(CF2)6F、−CF2OCF2CF2OCF2CF3、−CF(CF3)OCF2CF2CF3、−CF(CF3)C(=C(CF3)2)(CF(CF3)2)又は−C(CF3)C(=C(CF(CF3)2)2)が好ましく、−(CF2)4F、−(CF2)6F、−CF2OCF2CF2OCF2CF3又は−CF(CF3)OCF2CF2CF3がより好ましい。中でも、F層の物性(濡れ性、接着性、平滑性等)が更に優れる観点から、RFは、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fがさらに好ましく、−(CF2)6Fが特に好ましい。特に、直鎖状のポリフルオロアルキル基を有するモノマーFは、比較的安価に入手可能なため好適である。
モノマーFの具体例としては、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6F、CH2=CHC(O)OCH2CH2(CF2)6F、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)4F、CH2=CClC(O)OCH2CH2(CF2)4F、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2CH2CH2OCF(CF3)C(=C(CF3)2)(CF(CF3)2)、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2CH2CH2OC(CF3)C(=C(CF(CF3)2)2)が挙げられる。
モノマーHCとは、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−クロロアクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基等の重合性基と、アルキル基とを有する化合物の総称である。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。アルキル基には、環構造が含まれないのが好ましい。
モノマーHCは、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数10〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。かかる鎖長が比較的長い炭化水素基を有するモノマーHCを選定すると、第1層が形成され易い。
モノマーHCは、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数10〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。かかる鎖長が比較的長い炭化水素基を有するモノマーHCを選定すると、第1層が形成され易い。
モノマーHCの具体例としては、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)12H、CH2=CHC(O)O(CH2)12H、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)16H、CH2=CHC(O)O(CH2)16H、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)18H、CH2=CHC(O)O(CH2)18H、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)20H、CH2=CHC(O)O(CH2)20H等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
モノマーAOとは、(メタ)アクリロイルオキシ基、α−クロロアクリロイルオキシ基、ビニル基、ビニルオキシ基等の重合性基と、ポリオキシアルキレン鎖(式:−(OZ)n−で表される分子鎖であり、式中、Zはアルキレン基を、nは2以上の数を、示す。)とを有する化合物の総称である。
モノマーAOは、下式Hで表される化合物が好ましい。かかる所定範囲の鎖長を有するモノマーAOを選定すると、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層(塗膜)の濡れ性、接着性、平滑性等の物性がより向上し易い。
モノマーAOは、下式Hで表される化合物が好ましい。かかる所定範囲の鎖長を有するモノマーAOを選定すると、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層(塗膜)の濡れ性、接着性、平滑性等の物性がより向上し易い。
式H:CH2=CXHC(O)−(OZH)m−ORH
式中の記号は、以下の意味を示す。
XHは、水素原子又はメチル基である。
ZHは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、エチレン基(−CH2CH2−)、プロピレン基(−CH2CH(CH3)−)又はn−ブチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)が好ましい。なお、ZHは、1種の基からなっていてもよく、2種以上の基からなっていてもよい。後者の場合、異種のアルキレン基の並び方は、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。
mは、3〜200である。
RHが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基である。
炭素数1〜20のアルキル基は、メチル基、ノニル基、ラウリル基又はステアリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素数6〜30のアリール基は、フェニル基、ステアリルフェニル基、ラウリルフェニル基又はノニルフェニル基が好ましい。
式中の記号は、以下の意味を示す。
XHは、水素原子又はメチル基である。
ZHは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、エチレン基(−CH2CH2−)、プロピレン基(−CH2CH(CH3)−)又はn−ブチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)が好ましい。なお、ZHは、1種の基からなっていてもよく、2種以上の基からなっていてもよい。後者の場合、異種のアルキレン基の並び方は、ランダム状であってもよく、ブロック状であってもよい。
mは、3〜200である。
RHが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基である。
炭素数1〜20のアルキル基は、メチル基、ノニル基、ラウリル基又はステアリル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
炭素数6〜30のアリール基は、フェニル基、ステアリルフェニル基、ラウリルフェニル基又はノニルフェニル基が好ましい。
モノマーAOの具体例としては、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)4OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)9OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)23OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)66OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)90OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)120OH、CH2=CHC(O)(OCH2CH2)4OH、CH2=CHC(O)(OCH2CH2)8OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH(CH3))4OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH(CH3))8OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH(CH3))9OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH(CH3))13OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)4・(OCH2CH(CH3))3OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)10・(OCH2CH2CH2CH2)5OH、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)4OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)9OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)23OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)66OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)90OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)120OCH3、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)30O(CH2)12H、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)30O(CH2)18H、CH2=CHC(O)(OCH2CH2)4O(CH2)12H、CH2=CHC(O)(OCH2CH2)9OCH3、CH2=CHC(O)(OCH2CH(CH3))5O−Phy−(CH2)9H、CH2=C(CH3)C(O)(OCH2CH2)6・(OCH2CH(CH3))5O−Phが挙げられる。なお、上記式中、−Phy−はフェニレン基を、Phはフェニル基を、示す。
オキシアルキレン系ポリマーの物性は、モノマーF及びモノマーAOの種類によって、特にモノマーAOにおけるポリオキシアルキレン鎖の鎖長及び末端構造によって、調整するのが好ましい。
モノマーAOの好適な具体例としては、上記式Hで表される化合物において、RHが水素原子であり、mが3〜20である化合物、RHが炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mが20〜200である化合物が挙げられる。より好適な具体例としては、上記式Hで表される化合物において、RHが水素原子であり、mが6〜15である化合物、RHがメチル基であり、mが60〜150である化合物が挙げられる。
モノマーAOの好適な具体例としては、上記式Hで表される化合物において、RHが水素原子であり、mが3〜20である化合物、RHが炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mが20〜200である化合物が挙げられる。より好適な具体例としては、上記式Hで表される化合物において、RHが水素原子であり、mが6〜15である化合物、RHがメチル基であり、mが60〜150である化合物が挙げられる。
本発明における部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーのフッ素含有量は、それぞれ10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、25〜45質量%がさらに好ましい。フッ素含有量の下限が上記範囲にあるため、分散液の分散性が優れる。フッ素含有量の上限が上記範囲にあるため、分散剤の各成分に対する分散剤の親和性がバランスして分散液の分散性に加えて、その層(塗膜)形成性が向上し易い。例えば、F層は、濡れ性が高く、平滑性と接着性に優れる特徴がある。部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーのフッ素含有量は、それぞれその合成に際するモノマーの種類と、その仕込量から計算できる。
本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーのオキシアルキレン基の含有量(以下、「AO含有量」とも記す。)は、それぞれ10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。AO含有量の下限が上記範囲にあるため、分散液の分散性が優れる。AO含有量の上限が上記範囲にあるため、Fポリマーと溶媒とのそれぞれに対するオキシアルキレン系ポリマーの親和性がバランスして分散液の分散性に加えて、その層(塗膜)形成性が向上し易い。具体的には、本発明の分散液から得られる塗膜は、Fポリマー自体が有する物性がそのまま発現され易い。オキシアルキレン系ポリマーのAO含有量は、その合成に際するモノマーの種類と、その仕込量から計算できる。
本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーのオキシアルキレン基の含有量(以下、「AO含有量」とも記す。)は、それぞれ10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。AO含有量の下限が上記範囲にあるため、分散液の分散性が優れる。AO含有量の上限が上記範囲にあるため、Fポリマーと溶媒とのそれぞれに対するオキシアルキレン系ポリマーの親和性がバランスして分散液の分散性に加えて、その層(塗膜)形成性が向上し易い。具体的には、本発明の分散液から得られる塗膜は、Fポリマー自体が有する物性がそのまま発現され易い。オキシアルキレン系ポリマーのAO含有量は、その合成に際するモノマーの種類と、その仕込量から計算できる。
部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する単位Fの量は、20〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。
部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する単位HCの量は、10〜60モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する単位Fの量は、50〜90モル%が好ましく、60〜80モル%がより好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する単位AOの量は、10〜50モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。
部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する各単位の量がそれぞれ上記範囲であれば、分散液の分散性がより向上し、F層の各種物性がバランスよく発現する。また、部分フッ素化ポリマーの熱分解開始温度がより低下する。
部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する単位HCの量は、10〜60モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する単位Fの量は、50〜90モル%が好ましく、60〜80モル%がより好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する単位AOの量は、10〜50モル%が好ましく、20〜40モル%がより好ましい。
部分フッ素化ポリマー及びオキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する各単位の量がそれぞれ上記範囲であれば、分散液の分散性がより向上し、F層の各種物性がバランスよく発現する。また、部分フッ素化ポリマーの熱分解開始温度がより低下する。
部分フッ素化ポリマーは、単位F及び単位HCのみからなっていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、単位F及び単位HC以外の追加の単位をさらに含んでいてもよい。なお、追加の単位を形成するモノマーは、特に限定されない。かかる追加の単位としては、シクロアルキル基又はアラルキル基を有する(メタ)アクリレートに基づく単位が挙げられる。シクロアルキル基は、橋かけ環構造を有していてもよい。部分フッ素化ポリマーが上記単位を含む場合、F層表面の濡れ性及び接着性が更に向上し易い。部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する上記単位の量は、0〜40モル%が好ましく、10〜30モル%がより好ましい。
シクロアルキル基又はアラルキル基は、シクロヘキシル基、イソボルニル基又はベンジル基が好ましい。
部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する、単位Fと単位HCとの合計での量は、60〜100モル%が好ましい。
部分フッ素化ポリマーは、ノニオン性であるのが好ましい。
部分フッ素化ポリマーの重量平均分子量は、2000〜80000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。
シクロアルキル基又はアラルキル基は、シクロヘキシル基、イソボルニル基又はベンジル基が好ましい。
部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する、単位Fと単位HCとの合計での量は、60〜100モル%が好ましい。
部分フッ素化ポリマーは、ノニオン性であるのが好ましい。
部分フッ素化ポリマーの重量平均分子量は、2000〜80000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。
本発明における部分フッ素化ポリマーの好適な具体例としては、下式F1で表される化合物に基づく単位と、下式HC1で表される化合物に基づく単位とを含むポリマーが挙げられる。
式F1:CH2=CXF1C(O)O−CH2CH2−RF1
式HC1:CH2=CXHC1C(O)O−(CH2)n1H
XF1は、水素原子又はメチル基である。
RF1は、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fである。
n1は、10〜30である。
XHC1は、水素原子又はメチル基である。
式F1:CH2=CXF1C(O)O−CH2CH2−RF1
式HC1:CH2=CXHC1C(O)O−(CH2)n1H
XF1は、水素原子又はメチル基である。
RF1は、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fである。
n1は、10〜30である。
XHC1は、水素原子又はメチル基である。
上記部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する式F1で表される化合物に基づく単位の量は、30〜60モル%である。
上記部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する式G1で表される化合物に基づく単位の量は、20〜40モル%である。
上記部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する、式F1で表される化合物に基づく単位と、式HC1で表される化合物に基づく単位との合計での量は、60〜100モル%である。
上記部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する式G1で表される化合物に基づく単位の量は、20〜40モル%である。
上記部分フッ素化ポリマーに含まれる全単位に対する、式F1で表される化合物に基づく単位と、式HC1で表される化合物に基づく単位との合計での量は、60〜100モル%である。
オキシアルキレン系ポリマーは、単位F及び単位AOのみからなっていてもよく、本発明の効果を損なわない範囲において、単位F及び単位AO以外の追加の単位をさらに含んでいてもよい。なお、追加の単位を形成するモノマーは、特に限定されない。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する、単位Fと単位AOとの合計での量は、90〜100モル%が好ましく、99〜100モル%が特に好ましい。つまり、オキシアルキレン系ポリマーは、実質的に単位F及び単位AOのみからなるポリマーが好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーは、ノニオン性であるのが好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーの重量平均分子量は、2000〜80000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する、単位Fと単位AOとの合計での量は、90〜100モル%が好ましく、99〜100モル%が特に好ましい。つまり、オキシアルキレン系ポリマーは、実質的に単位F及び単位AOのみからなるポリマーが好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーは、ノニオン性であるのが好ましい。
オキシアルキレン系ポリマーの重量平均分子量は、2000〜80000が好ましく、6000〜20000がより好ましい。
本発明におけるオキシアルキレン系ポリマーの好適な具体例としては、下式F1で表される化合物に基づく単位と、下式AO1で表される化合物に基づく単位又は下式AO2で表される化合物に基づく単位とからなるポリマーが挙げられる。
式F1:CH2=CXF1C(O)O−CH2CH2−RF1
式AO1:CH2=CXAO1C(O)O−CH2CH2(OCH2CH2)m1−OH
式AO2:CH2=CXAO2C(O)O−CH2CH2(OCH2CH2)m2−OCH3
XF1は、水素原子又はメチル基である。
RF1は、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fである。
XAO1は、水素原子又はメチル基である。
XAO2は、水素原子又はメチル基である。
m1は、3〜20であり、6〜15が好ましい。
m2は、20〜200であり、60〜150が好ましい。
式F1:CH2=CXF1C(O)O−CH2CH2−RF1
式AO1:CH2=CXAO1C(O)O−CH2CH2(OCH2CH2)m1−OH
式AO2:CH2=CXAO2C(O)O−CH2CH2(OCH2CH2)m2−OCH3
XF1は、水素原子又はメチル基である。
RF1は、−(CF2)4F又は−(CF2)6Fである。
XAO1は、水素原子又はメチル基である。
XAO2は、水素原子又はメチル基である。
m1は、3〜20であり、6〜15が好ましい。
m2は、20〜200であり、60〜150が好ましい。
上記オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する式F1で表される化合物に基づく単位の量は、50〜90モル%である。
上記オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する式AO1で表される化合物に基づく単位又は式AO2で表される化合物に基づく単位の量は、10〜50モル%である。
上記オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する、式F1で表される化合物に基づく単位と、式AO1で表される化合物に基づく単位又は下式AO2で表される化合物に基づく単位との合計での量は、90〜100モル%である。
上記オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する式AO1で表される化合物に基づく単位又は式AO2で表される化合物に基づく単位の量は、10〜50モル%である。
上記オキシアルキレン系ポリマーに含まれる全単位に対する、式F1で表される化合物に基づく単位と、式AO1で表される化合物に基づく単位又は下式AO2で表される化合物に基づく単位との合計での量は、90〜100モル%である。
本発明の分散液中のパウダーの割合は、5〜60質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。この範囲において、電気特性と機械的強度とに優れたF層を形成し易い。
本発明の分散液中の分散剤の割合は、1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。この範囲において、分散液の分散性がより向上し、さらにF層の物性(濡れ性、接着性等)がより向上し易い。
本発明の分散液中の溶媒の割合は、15〜65質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。この範囲において、分散液の塗布性が優れ、かつ層(塗膜)形成性が向上し易い。
本発明の分散液中の分散剤の割合は、1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。この範囲において、分散液の分散性がより向上し、さらにF層の物性(濡れ性、接着性等)がより向上し易い。
本発明の分散液中の溶媒の割合は、15〜65質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。この範囲において、分散液の塗布性が優れ、かつ層(塗膜)形成性が向上し易い。
本発明の分散液は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料を含んでいてもよい。他の材料は、分散液に溶解してもよく、溶解しなくてもよい。
かかる他の材料は、非硬化性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよい。
非硬化性樹脂としては、熱溶融性樹脂、非溶融性樹脂が挙げられる。熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミドが挙げられる。非溶融性樹脂としては、硬化性樹脂の硬化物等が挙げられる。
かかる他の材料は、非硬化性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよい。
非硬化性樹脂としては、熱溶融性樹脂、非溶融性樹脂が挙げられる。熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミドが挙げられる。非溶融性樹脂としては、硬化性樹脂の硬化物等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、反応性基を有するポリマー、反応性基を有するオリゴマー、低分子化合物、反応性基を有する低分子化合物が挙げられる。反応性基としては、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基が挙げられる。
硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド−シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂が挙げられる。
硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド−シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂の具体例としては、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
ビスマレイミド樹脂としては、特開平7−70315号公報に記載される樹脂組成物(BTレジン)、国際公開第2013/008667号に記載される樹脂が挙げられる。
ポリアミック酸は、通常、Fポリマーの官能基と反応し得る反応性基を有している。
ポリアミック酸を形成するジアミン、多価カルボン酸二無水物としては、特許第5766125号公報の[0020]、特許第5766125号公報の[0019]、特開2012−145676号公報の[0055]、[0057]等に記載の化合物が挙げられる。
ビスマレイミド樹脂としては、特開平7−70315号公報に記載される樹脂組成物(BTレジン)、国際公開第2013/008667号に記載される樹脂が挙げられる。
ポリアミック酸は、通常、Fポリマーの官能基と反応し得る反応性基を有している。
ポリアミック酸を形成するジアミン、多価カルボン酸二無水物としては、特許第5766125号公報の[0020]、特許第5766125号公報の[0019]、特開2012−145676号公報の[0055]、[0057]等に記載の化合物が挙げられる。
熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂の熱溶融性の硬化物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、ポリフェニレンエーテルが挙げられ、熱可塑性ポリイミド、液晶性ポリエステル又はポリフェニレンエーテルが好ましい。
また、かかる他の材料としては、チキソ性付与剤、消泡剤、無機フィラー、反応性アルコキシシラン、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤も挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、ポリフェニレンエーテルが挙げられ、熱可塑性ポリイミド、液晶性ポリエステル又はポリフェニレンエーテルが好ましい。
また、かかる他の材料としては、チキソ性付与剤、消泡剤、無機フィラー、反応性アルコキシシラン、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤も挙げられる。
本発明の分散液の粘度は、50〜10000mPa・sが好ましく、75〜1000mPa・sがより好ましく、100〜500mPa・sがさらに好ましい。この場合、分散液の分散性に優れるだけでなく、その塗工性や異種の樹脂材料のワニスとの相溶性にも優れている。
本発明の分散液のチキソ比(η1/η2)は、1.0〜2.2が好ましく、1.4〜2.2がより好ましく、1.5〜2.0がさらに好ましい。この場合、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層の均質性が向上し易い。なお、チキソ比(η1/η2)は、回転数が30rpmの条件で測定される分散液の粘度η1を、回転数が60rpmの条件で測定される分散液の粘度η2で除して算出される。
本発明の分散液のチキソ比(η1/η2)は、1.0〜2.2が好ましく、1.4〜2.2がより好ましく、1.5〜2.0がさらに好ましい。この場合、分散液の分散性に優れるだけでなく、F層の均質性が向上し易い。なお、チキソ比(η1/η2)は、回転数が30rpmの条件で測定される分散液の粘度η1を、回転数が60rpmの条件で測定される分散液の粘度η2で除して算出される。
本発明の分散液は、上述したとおり、接着性に優れた、F層を形成できる。本発明の分散液から、基材の表面に、F層を形成するのが好ましい。
F層の形成に際しては、本発明の分散液から溶媒を加熱して、溶媒を留去して形成するのが好ましい。
基材は、金属箔が好ましい。
金属箔の材質としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金が挙げられる。
金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。金属箔の表面は、防錆処理(クロメート等の酸化物皮膜等)されていてもよく、粗化処理されていてもよい。
F層の形成に際しては、本発明の分散液から溶媒を加熱して、溶媒を留去して形成するのが好ましい。
基材は、金属箔が好ましい。
金属箔の材質としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金が挙げられる。
金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔が挙げられる。金属箔の表面は、防錆処理(クロメート等の酸化物皮膜等)されていてもよく、粗化処理されていてもよい。
金属箔の表面の十点平均粗さは、0.2〜1.5μmが好ましい。この場合、F層との接着性が良好となり易い。
金属箔の厚さは、樹脂付金属箔の用途において機能が発揮できる厚さであればよい。
金属箔の表面はシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の全体がシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の一部がシランカップリング剤により処理されていてもよい。
金属箔の厚さは、樹脂付金属箔の用途において機能が発揮できる厚さであればよい。
金属箔の表面はシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の全体がシランカップリング剤により処理されていてもよく、金属箔の表面の一部がシランカップリング剤により処理されていてもよい。
本発明は、本発明の分散液を金属箔の表面に塗布(供給)し、金属箔を加熱して、F層を有する樹脂付金属箔の製造方法を提供する。
本発明における樹脂付金属箔は、金属箔の少なくとも一方の表面に、F層を有する。つまり、樹脂付金属箔は、金属箔の片面のみにF層を有していてもよく、金属箔の両面にF層を有していてもよい。
樹脂付金属箔の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性とが優れる。
樹脂付金属箔の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下がより好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工し、さらにそれを多層化し易い。
本発明における樹脂付金属箔は、金属箔の少なくとも一方の表面に、F層を有する。つまり、樹脂付金属箔は、金属箔の片面のみにF層を有していてもよく、金属箔の両面にF層を有していてもよい。
樹脂付金属箔の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工する際のハンドリング性と、得られるプリント基板の伝送特性とが優れる。
樹脂付金属箔の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下がより好ましい。この場合、樹脂付金属箔をプリント基板に加工し、さらにそれを多層化し易い。
F層の表面の水接触角は、70〜100°が好ましく、70〜90°がより好ましい。この場合、F層と他の基材との接着性がより優れる。水接触角が上記下限以上であれば、樹脂付金属箔をプリント基板に加工した際の電気特性がより優れる。
F層の厚さは、1〜50μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。この範囲において、樹脂付金属箔をプリント基板に加工した際の電気特性と樹脂付金属箔の反り抑制とをバランスさせ易い。樹脂付金属箔が金属箔の両面にF層を有する場合、それぞれのF層の組成及び厚さは、樹脂付金属箔の反りを抑制する点から、それぞれ同じであることが好ましい。
F層の比誘電率は、2.0〜3.5が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。この場合、低誘電率が求められるプリント基板等に樹脂付金属箔を好適に使用できる。
F層の厚さは、1〜50μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。この範囲において、樹脂付金属箔をプリント基板に加工した際の電気特性と樹脂付金属箔の反り抑制とをバランスさせ易い。樹脂付金属箔が金属箔の両面にF層を有する場合、それぞれのF層の組成及び厚さは、樹脂付金属箔の反りを抑制する点から、それぞれ同じであることが好ましい。
F層の比誘電率は、2.0〜3.5が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。この場合、低誘電率が求められるプリント基板等に樹脂付金属箔を好適に使用できる。
塗布方法は、塗布後の金属箔の表面に分散液からなる安定したウェット膜が形成される方法であればよく、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等が挙げられる。
分散液の塗布後、金属箔を加熱するに際しては、低温領域の温度に保持して、溶媒を留去するのが好ましい。低温領域の温度としては、80℃以上180℃未満が好ましく、120℃〜170℃がより好ましい。
低温領域の温度での保持は、1段階で実施してもよく、異なる温度にて2段階以上で実施してもよい。
低温領域の温度に保持する方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。
分散液の塗布後、金属箔を加熱するに際しては、低温領域の温度に保持して、溶媒を留去するのが好ましい。低温領域の温度としては、80℃以上180℃未満が好ましく、120℃〜170℃がより好ましい。
低温領域の温度での保持は、1段階で実施してもよく、異なる温度にて2段階以上で実施してもよい。
低温領域の温度に保持する方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。
低温領域の温度に保持する際の雰囲気は、常圧下、減圧下のいずれの状態であってよい。また、前記雰囲気は、酸化性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれであってもよい。
不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスが挙げられ、窒素ガスが好ましい。
還元性ガスとしては、水素ガスが挙げられる。
酸化性ガスとしては、酸素ガスが挙げられる。
不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスが挙げられ、窒素ガスが好ましい。
還元性ガスとしては、水素ガスが挙げられる。
酸化性ガスとしては、酸素ガスが挙げられる。
低温領域の温度に保持する際の雰囲気は、分散剤の酸化分解を促し、よりF層の接着性が向上させる観点から、酸素ガスを含む雰囲気が好ましい。
酸素ガスを含む雰囲気における酸素ガス濃度(体積基準)は、1×102〜3×105ppmが好ましく、0.5×103〜1×104ppmがより好ましい。この範囲において、分散剤の酸化分解と、金属箔の酸化抑制とをバランスさせ易い。
低温領域の温度に保持する時間は、0.1〜10分間が好ましく、0.5〜5分間がより好ましい。
酸素ガスを含む雰囲気における酸素ガス濃度(体積基準)は、1×102〜3×105ppmが好ましく、0.5×103〜1×104ppmがより好ましい。この範囲において、分散剤の酸化分解と、金属箔の酸化抑制とをバランスさせ易い。
低温領域の温度に保持する時間は、0.1〜10分間が好ましく、0.5〜5分間がより好ましい。
本発明の樹脂付金属箔の製造方法においては、さらに、低温領域での保持温度を超える温度領域(以下、「焼成領域」とも記す。)にて、Fポリマーを焼成させて金属箔の表面にF層を形成するのが好ましい。焼成領域の温度は、焼成における雰囲気の温度を意味する。
本発明におけるF層の形成は、パウダー粒子が密にパッキングし、Fポリマーが融着して進行すると考えられる。なお、分散液が熱溶融性樹脂を含めば、Fポリマーと溶解性樹脂との混合物からなるF層が形成され、分散液が熱硬化性樹脂を含めば、Fポリマーと熱硬化性樹脂の硬化物とからなるF層が形成される。
本発明におけるF層の形成は、パウダー粒子が密にパッキングし、Fポリマーが融着して進行すると考えられる。なお、分散液が熱溶融性樹脂を含めば、Fポリマーと溶解性樹脂との混合物からなるF層が形成され、分散液が熱硬化性樹脂を含めば、Fポリマーと熱硬化性樹脂の硬化物とからなるF層が形成される。
焼成の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。F層の表面の平滑性を高めるために、加熱板、加熱ロール等で加圧してもよい。加熱の方法としては、短時間で焼成でき、遠赤外線炉が比較的コンパクトである点から、遠赤外線を照射する方法が好ましい。加熱の方法は、赤外線加熱と熱風加熱とを組み合わせてもよい。
遠赤外線の有効波長帯は、Fポリマーの均質な融着を促す点から、2〜20μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
遠赤外線の有効波長帯は、Fポリマーの均質な融着を促す点から、2〜20μmが好ましく、3〜7μmがより好ましい。
焼成における雰囲気は、常圧下、減圧下のいずれの状態であってよい。また、前記焼成における雰囲気は、酸化性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気、不活性ガス雰囲気のいずれであってもよく、金属箔、形成されるF層それぞれの酸化劣化を抑制する観点から、還元性ガス雰囲気又は不活性ガス雰囲気が好ましい。
不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスが挙げられ、窒素ガスが好ましい。
還元性ガスとしては、水素ガスが挙げられる。
酸化性ガスとしては、酸素ガスが挙げられる。
不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガスが挙げられ、窒素ガスが好ましい。
還元性ガスとしては、水素ガスが挙げられる。
酸化性ガスとしては、酸素ガスが挙げられる。
焼成における雰囲気は、不活性ガスから構成され酸素ガス濃度が低いガス雰囲気が好ましく、窒素ガスから構成され酸素ガス濃度(体積基準)が500ppm未満のガス雰囲気がより好ましい。酸素ガス濃度(体積基準)は、300ppm以下が特に好ましい。また、酸素ガス濃度(体積基準)は、通常、1ppm以上である。この範囲において、分散剤のさらなる酸化分解が抑制され、F層の親水性を向上させ易い。
焼成領域の温度は、250℃〜400℃以下が好ましく、300〜380℃がより好ましい。
焼成領域に保持する時間は、30秒〜5分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。
焼成領域の温度は、250℃〜400℃以下が好ましく、300〜380℃がより好ましい。
焼成領域に保持する時間は、30秒〜5分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。
本発明における樹脂付金属箔には、F層の線膨張を制御したり、F層の接着性をさらに改善したりするために、F層の表面に表面処理をしてもよい。
F層の表面にする表面処理方法としては、アニール処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、UVオゾン処理、エキシマ処理、ケミカルエッチング、シランカップリング処理、微粗面化処理が挙げられる。
アニール処理における温度は、120〜180℃が好ましい。
アニール処理における圧力は、0.005〜0.015MPaが好ましい。
アニール処理の時間は、30〜120分間が好ましい。
F層の表面にする表面処理方法としては、アニール処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、UVオゾン処理、エキシマ処理、ケミカルエッチング、シランカップリング処理、微粗面化処理が挙げられる。
アニール処理における温度は、120〜180℃が好ましい。
アニール処理における圧力は、0.005〜0.015MPaが好ましい。
アニール処理の時間は、30〜120分間が好ましい。
プラズマ処理におけるプラズマ照射装置としては、高周波誘導方式、容量結合型電極方式、コロナ放電電極−プラズマジェット方式、平行平板型、リモートプラズマ型、大気圧プラズマ型、ICP型高密度プラズマ型が挙げられる。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガスが挙げられ、希ガス又は窒素ガスが好ましい。プラズマ処理に用いるガスの具体例としては、アルゴンガス、水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、水素ガスと窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが挙げられる。
プラズマ処理に用いるガスとしては、酸素ガス、窒素ガス、希ガス(アルゴン等)、水素ガス、アンモニアガスが挙げられ、希ガス又は窒素ガスが好ましい。プラズマ処理に用いるガスの具体例としては、アルゴンガス、水素ガスと窒素ガスとの混合ガス、水素ガスと窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスが挙げられる。
本発明で得られる樹脂付金属箔のF層の表面は、接着性に優れるため、他の基板と容易かつ強固に積層できる。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体が挙げられる。
プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、耐熱性樹脂の1種以上を含むフィルムであり、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステルが挙げられる。
他の基板としては、耐熱性樹脂フィルム、繊維強化樹脂板の前駆体であるプリプレグ、耐熱性樹脂フィルム層を有する積層体、プリプレグ層を有する積層体が挙げられる。
プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
耐熱性樹脂フィルムは、耐熱性樹脂の1種以上を含むフィルムであり、単層フィルムであっても多層フィルムであってもよい。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステルが挙げられる。
本発明における樹脂付金属箔のF層の表面に他の基材を積層する方法としては、樹脂付金属箔と他の基板とを熱プレスする方法が挙げられる。
他の基板がプリプレグである場合のプレス温度は、Fポリマーの融点以下が好ましく、120〜300℃がより好ましい。他の基板が耐熱性樹脂フィルムである場合のプレス温度は、310〜400℃が好ましい。
熱プレスは、気泡混入を抑制し、酸化による劣化を抑制する観点から、20kPa以下の真空度で行うのが特に好ましい。
また、熱プレス時には前記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。前記真空度に到達する前に昇温すると、F層が軟化した状態、すなわち一定程度の流動性、密着性がある状態にて圧着されてしまい、気泡の原因となる。
熱プレスにおける圧力は、基板の破損を抑制しつつ、F層と基板とを強固に密着させる観点から、0.2〜10MPaが好ましい。
他の基板がプリプレグである場合のプレス温度は、Fポリマーの融点以下が好ましく、120〜300℃がより好ましい。他の基板が耐熱性樹脂フィルムである場合のプレス温度は、310〜400℃が好ましい。
熱プレスは、気泡混入を抑制し、酸化による劣化を抑制する観点から、20kPa以下の真空度で行うのが特に好ましい。
また、熱プレス時には前記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。前記真空度に到達する前に昇温すると、F層が軟化した状態、すなわち一定程度の流動性、密着性がある状態にて圧着されてしまい、気泡の原因となる。
熱プレスにおける圧力は、基板の破損を抑制しつつ、F層と基板とを強固に密着させる観点から、0.2〜10MPaが好ましい。
本発明における樹脂付金属箔やその積層体は、フレキシブル銅張積層板やリジッド銅張積層板として、プリント基板の製造に使用できる。
例えば、本発明における樹脂付金属箔の金属箔をエッチング等によって所定のパターンの導体回路(パターン回路)に加工する方法や、本発明における樹脂付金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等)によってパターン回路に加工する方法を使用すれば、本発明における樹脂付金属箔からプリント基板を製造できる。
プリント基板の製造においては、パターン回路を形成した後に、パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに導体回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、本発明の分散液によって形成してもよい。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にソルダーレジストを積層してもよい。ソルダーレジストは、本発明の分散液によって形成してもよい。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。
例えば、本発明における樹脂付金属箔の金属箔をエッチング等によって所定のパターンの導体回路(パターン回路)に加工する方法や、本発明における樹脂付金属箔を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等)によってパターン回路に加工する方法を使用すれば、本発明における樹脂付金属箔からプリント基板を製造できる。
プリント基板の製造においては、パターン回路を形成した後に、パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに導体回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、本発明の分散液によって形成してもよい。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にソルダーレジストを積層してもよい。ソルダーレジストは、本発明の分散液によって形成してもよい。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にカバーレイフィルムを積層してもよい。
以上、本発明の分散液について説明したが、本発明は、前述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明の分散液は、前述した実施形態に構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
例えば、本発明の分散液は、前述した実施形態に構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.各成分の準備
[Fポリマー]
Fポリマー:TFEに基づく単位、NAHに基づく単位及びPPVEに基づく単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含むコポリマー
[パウダー]
パウダー:D50が1.7μm、D90が3.8μmである、Fポリマーからなるパウダー
なお、D50及びD90は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920測定器)を用い、パウダーを水中に分散させて測定した。
1.各成分の準備
[Fポリマー]
Fポリマー:TFEに基づく単位、NAHに基づく単位及びPPVEに基づく単位を、この順に97.9モル%、0.1モル%、2.0モル%含むコポリマー
[パウダー]
パウダー:D50が1.7μm、D90が3.8μmである、Fポリマーからなるパウダー
なお、D50及びD90は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920測定器)を用い、パウダーを水中に分散させて測定した。
[分散剤]
分散剤1:1質量部の下記部分フッ素化ポリマーと5質量部の下記オキシアルキレン系ポリマーとの混合物
・部分フッ素化ポリマー:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6Fに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)18Hに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)OCH2−Phに基づく単位とを、この順に46モル%、24モル%、30モル%含むポリマー
・オキシアルキレン系ポリマー:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6Fに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(OCH2CH2)120OCH3に基づく単位とを、この順に76モル%、24モル%含むポリマー
分散剤2:上記部分フッ素化ポリマーのみ
分散剤3:上記オキシアルキレン系ポリマーのみ
分散剤1:1質量部の下記部分フッ素化ポリマーと5質量部の下記オキシアルキレン系ポリマーとの混合物
・部分フッ素化ポリマー:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6Fに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)O(CH2)18Hに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)OCH2−Phに基づく単位とを、この順に46モル%、24モル%、30モル%含むポリマー
・オキシアルキレン系ポリマー:CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(CF2)6Fに基づく単位と、CH2=C(CH3)C(O)OCH2CH2(OCH2CH2)120OCH3に基づく単位とを、この順に76モル%、24モル%含むポリマー
分散剤2:上記部分フッ素化ポリマーのみ
分散剤3:上記オキシアルキレン系ポリマーのみ
2.分散液の調製
(実施例)
60質量部のN−メチル−2−ピロリドンに、2質量部の分散剤1及び38質量部のパウダーを混合し、分散液1を調製した。
(比較例1)
分散剤1を分散液2に変更した以外は、実施例と同様にして、分散液2を調製した。
(比較例2)
分散剤1を分散液3に変更した以外は、実施例と同様にして、分散液3を調製した。
(実施例)
60質量部のN−メチル−2−ピロリドンに、2質量部の分散剤1及び38質量部のパウダーを混合し、分散液1を調製した。
(比較例1)
分散剤1を分散液2に変更した以外は、実施例と同様にして、分散液2を調製した。
(比較例2)
分散剤1を分散液3に変更した以外は、実施例と同様にして、分散液3を調製した。
3.評価
3−1.分散液の分散性
分散液の分散状態を目視にて確認し、下記基準にて評価した。
[評価基準]
〇:パウダー粒子の凝集物が生成しなかった。
×:パウダー粒子の凝集物が多数生成し、せん断をかけても解砕しなかった。
3−2.分散液の泡立ちの状態
分散液の泡立ちの状態を目視にて確認し、下記基準にて評価した。
[評価基準]
〇:分散液に泡立ちが生じなかった。
×:分散液に泡立ちが生じた。
3−1.分散液の分散性
分散液の分散状態を目視にて確認し、下記基準にて評価した。
[評価基準]
〇:パウダー粒子の凝集物が生成しなかった。
×:パウダー粒子の凝集物が多数生成し、せん断をかけても解砕しなかった。
3−2.分散液の泡立ちの状態
分散液の泡立ちの状態を目視にて確認し、下記基準にて評価した。
[評価基準]
〇:分散液に泡立ちが生じなかった。
×:分散液に泡立ちが生じた。
4.樹脂付銅箔の製造例
まず、粗化処理層を有する銅箔(厚さ12μm、表面の十点平均粗さ0.6μm)を用意した。次いで、銅箔の表面にダイコーターを用いて、分散液1を塗布し、通風乾燥炉(雰囲気温度:120℃)に通して1分間保持し、遠赤外線炉(温度:340℃)にさらに通して3分間保持した。これにより、銅箔の表面にFポリマーのF層(厚さ5μm)を有する樹脂付銅箔を得た。
次に、得られた樹脂付銅箔のF層の表面を真空プラズマ処理した。なお、処理条件は、出力:4.5kW、導入ガス:アルゴンガス、導入ガス流量:50cm3/分間、圧力:50mTorr(6.7Pa)、処理時間:2分間とした。
次に、処理後の樹脂付銅箔のF層の表面に、プリプレグとしてFR−4(日立化成社製、GEA−67N 0.2t(HAN)、強化繊維:ガラス繊維、マトリックス樹脂:エポキシ樹脂、厚さ:0.2mm)を重ね、真空熱プレスして積層体を得た。なお、処理条件は、温度:185℃、加圧圧力:3.0MPa、加圧時間:60分間とした。
得られた積層体において、プリプレグとF層との界面の剥離強度は、8N/cm以上であった。
まず、粗化処理層を有する銅箔(厚さ12μm、表面の十点平均粗さ0.6μm)を用意した。次いで、銅箔の表面にダイコーターを用いて、分散液1を塗布し、通風乾燥炉(雰囲気温度:120℃)に通して1分間保持し、遠赤外線炉(温度:340℃)にさらに通して3分間保持した。これにより、銅箔の表面にFポリマーのF層(厚さ5μm)を有する樹脂付銅箔を得た。
次に、得られた樹脂付銅箔のF層の表面を真空プラズマ処理した。なお、処理条件は、出力:4.5kW、導入ガス:アルゴンガス、導入ガス流量:50cm3/分間、圧力:50mTorr(6.7Pa)、処理時間:2分間とした。
次に、処理後の樹脂付銅箔のF層の表面に、プリプレグとしてFR−4(日立化成社製、GEA−67N 0.2t(HAN)、強化繊維:ガラス繊維、マトリックス樹脂:エポキシ樹脂、厚さ:0.2mm)を重ね、真空熱プレスして積層体を得た。なお、処理条件は、温度:185℃、加圧圧力:3.0MPa、加圧時間:60分間とした。
得られた積層体において、プリプレグとF層との界面の剥離強度は、8N/cm以上であった。
分散剤として部分フッ素化ポリマーとオキシアルキレン系ポリマーとの混合物を用いた実施例では、分散液の分散性に優れるだけでなく、接着性に優れたF層が形成され、剥離強度の高い樹脂付銅箔とプリプレグとの積層体が得られた。一方、分散剤として部分フッ素化ポリマーのみ又はオキシアルキレン系ポリマーのみを用いた各比較例では、良好な分散液が得られなかった。
本発明の分散液は、分散性と層(塗膜)形成性とに優れており、フィルム、繊維強化フィルム、プリプレグ、金属積層板(樹脂付金属箔)に容易に加工でき、得られる加工物品は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、のこぎり、すべり軸受け等の材料として使用できる。
Claims (15)
- テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むパウダーと分散剤と溶媒とを含み、前記パウダーが前記溶媒に分散した分散液であって、
前記分散剤が、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びアルキル基を有するアルキル系モノマーに基づく単位を含む部分フッ素化ポリマーと、1価含フッ素炭化水素基を有するフルオロモノマーに基づく単位及びオキシアルキレン基を有するオキシアルキレン系モノマーに基づく単位を含むオキシアルキレン系ポリマーとを含有する、分散液。 - 前記部分フッ素化ポリマーの質量をAとし、前記オキシアルキレン系ポリマーの質量をBとしたとき、B/Aが1以上である、請求項1に記載の分散液。
- 前記部分フッ素化ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記アルキル系モノマーに基づく単位の量より多い、請求項1又は2に記載の分散液。
- 前記オキシアルキレン系ポリマーにおける、前記フルオロモノマーに基づく単位の量が、前記オキシアルキレン系モノマーに基づく単位の量より多い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記部分フッ素化ポリマー及び前記オキシアルキレン系ポリマーにおいて、それぞれ独立に、前記フルオロモノマーが、下式Fで表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分散液。
式F:CH2=CXFC(O)O−QF−RF
(式中、XFが水素原子、塩素原子又はメチル基を示し、QFが炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を示し、RFが炭素数1〜6のポリフルオロアルキル基、エーテル性酸素原子を含む炭素数3〜6のポリフルオロアルキル基又は炭素数4〜12のポリフルオロアルケニル基を示す。) - 前記部分フッ素化ポリマーにおける前記フルオロモノマーと、前記オキシアルキレン系ポリマーにおける前記フルオロモノマーとが同一である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記アルキル系モノマーが、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレートである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記オキシアルキレン系モノマーが、下式Hで表される化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分散液。
式H:CH2=CXHC(O)−(OZH)m−ORH
(式中、XHが水素原子又はメチル基を示し、ZHが炭素数1〜4のアルキレン基を示し、mが3〜200であり、RHが水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30のアリール基を示す。) - 前記式Hにおいて、RHが水素原子であり、mが3〜20である、請求項8に記載の分散液。
- 前記式Hにおいて、RHが炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、mが20〜200である、請求項8に記載の分散液。
- 前記溶媒が、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN−メチル−2−ピロリドンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記パウダーの体積基準累積50%径が、0.05〜6μmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレンに基づく単位を99.5モル%以上含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、該ポリマーに含まれる全単位に対して、テトラフルオロエチレン以外のコモノマーに基づく単位を0.5モル%超含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の分散液。
- 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ニトリル基及びイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の分散液。
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JP2018207272A JP2020070401A (ja) | 2018-11-02 | 2018-11-02 | 分散液 |
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JP2020158577A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 第一工業製薬株式会社 | 含フッ素共重合体含有組成物及び消泡剤 |
WO2022172933A1 (ja) * | 2021-02-12 | 2022-08-18 | Agc株式会社 | 液状組成物、その製造方法及び凸部付き部材 |
-
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WO2020195916A1 (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | 第一工業製薬株式会社 | 含フッ素共重合体含有組成物及び消泡剤 |
WO2022172933A1 (ja) * | 2021-02-12 | 2022-08-18 | Agc株式会社 | 液状組成物、その製造方法及び凸部付き部材 |
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