JP2021075030A - 積層体、積層体の製造方法、シート、及びプリント回路基板 - Google Patents

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JP2021075030A JP2020056154A JP2020056154A JP2021075030A JP 2021075030 A JP2021075030 A JP 2021075030A JP 2020056154 A JP2020056154 A JP 2020056154A JP 2020056154 A JP2020056154 A JP 2020056154A JP 2021075030 A JP2021075030 A JP 2021075030A
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敦美 山邊
Atsumi Yamabe
敦美 山邊
細田 朋也
Tomoya Hosoda
朋也 細田
渉 笠井
Wataru Kasai
渉 笠井
達也 寺田
Tatsuya Terada
達也 寺田
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Abstract

【課題】本来の物性を維持したテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、この層に強固に接着された基板又は伝送回路とを有する積層体又はプリント回路基板、及び本来の物性を維持したテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層を有し、接着性に優れるシートの提供。【解決手段】本発明の積層体は、基板と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する。【選択図】なし

Description

本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層を有する積層体、積層体の製造方法、シート、及びプリント回路基板に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)とのコポリマー(PFA)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー(FEP)等のテトラフルオロエチレン系ポリマーは、電気特性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性、耐熱性等の物性に優れている。
かかるテトラフルオロエチレン系ポリマーから形成された層は、プリント回路基板の絶縁層として利用されている。
特許文献1では、ポリテトラフルオロエチレンが有するファブリック性及び多孔質性に着目して、空気層(空孔)を形成したり、フィラーを充填したりして、絶縁層の物性を高めている。また、特許文献2に記載されているように、熱溶融性テトラフルオロエチレン系ポリマーであるPFA又はFEPのパウダーを含む接着性塗料も知られている。
国際公開2018/221556号 特開2018−048233号公報
しかし、特許文献1に記載のプリント回路基板では、絶縁層と金属層(配線等)との間の剥離強度が低いという問題がある。剥離強度を高めるべく、絶縁層や金属層を表面処理したり、絶縁層中に添加剤を添加すると、絶縁層の物性が損なわれやすい。一方、特許文献2には、接着性塗料の使用による絶縁層と金属層との接着について一切記載されていない。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 基板と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する、積層体。
[2] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンであり、前記フルオロポリマーが、さらに酸素含有極性基を有するフルオロポリマーである、[1]の積層体。
[3] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層の厚さが、1〜100μmであり、前記基板の厚さが、1〜100μmである、[1]又は[2]の積層体。
[4] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層が、無機フィラーを含む、[1]〜[3]のいずれかの積層体。
[5] 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層が、積層された複数の単位層を有し、各前記単位層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む、[1]〜[4]の積層体。
[6] 前記ポリマー層(1)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層又は前記ポリマー層(2)が、芳香族性ポリマーを含む、[1]〜[5]のいずれかの積層体。
[7] 前記基板が、金属基板であり、前記ポリマー層(2)の前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と反対側の表面に、さらに金属基板を有する、[1]〜[6]のいずれかの積層体。
[8] 前記基板が、樹脂基板であり、前記樹脂基板の両方の表面のそれぞれに、前記ポリマー層(1)と前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と前記ポリマー層(2)とが、この順に積層されている、[1]〜[6]のいずれかの積層体。
[9] [1]〜[8]のいずれかの積層体の製造方法であって、前記基板と、前記フルオロポリマーを含むシート(S1)と、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むシートと、前記フルオロポリマーを含むシート(S2)とを、この順に配置し熱圧着して、前記シート(S1)を前記ポリマー層(1)とし、前記シートを前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層とし、前記シート(S2)を前記ポリマー層(2)として、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
[10] [1]〜[8]のいずれかの積層体の製造方法であって、前記基板及び前記ポリマー層(1)をこの順に有する積層体(P1)の前記ポリマー層(1)の表面に前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むシートを配置し、さらに前記シートの前記ポリマー層(1)と反対側の表面に前記フルオロポリマーを含むシート(S2)を配置し、熱圧着して、前記シートを前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層とし、前記シート(S2)を前記ポリマー層(2)として、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
[11] [1]〜[8]のいずれかの積層体の製造方法であって、前記基板と、前記ポリマー層(1)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層及び前記ポリマー層(2)をこの順に有するシートとを、この順に配置し熱圧着して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
[12] [1]〜[8]のいずれかの製造方法であって、前記基板の表面に、前記フルオロポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記ポリマー層(1)を形成し、前記ポリマー層(1)の前記基板と反対側の表面に、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層を形成し、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層の前記ポリマー層(1)と反対側の表面に、前記フルオロポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記ポリマー層(2)を形成して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
[13] テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、酸素含有極性基を有するフルオロポリマーを含むポリマー層(11)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、酸素含有極性基を有するフルオロポリマーを含むポリマー層(12)とを、この順に有する、シート。
[14] 前記ポリマー層(11)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層又は前記ポリマー層(12)が、芳香族性ポリマーを含む、[13]のシート。
[15] 伝送回路と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する、プリント回路基板。
本発明によれば、本来の物性を維持したテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、この層に強固に接着された基板又は伝送回路とを有する積層体又はプリント回路基板が提供される。また、本発明によれば、本来の物性を維持したテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層を有し、接着性に優れるシートが提供される。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダーを構成する粒子(以下、「パウダー粒子」とも記す。)の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径(体積基準累積50%径)である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダー粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径(体積基準累積90%径)である。
パウダーのD50及びD90は、パウダーを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「熱溶融性ポリマー」とは、溶融流動性を示すポリマーを意味し、荷重49Nの条件下、ポリマーの溶融温度よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在するポリマーを意味する。なお、「溶融流れ速度」とは、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定される、ポリマーのメルトマスフローレート(MFR)を意味する。
「ポリマーの溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ−8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「液状組成物の粘度」は、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「液状組成物のチキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される粘度ηを回転数が60rpmの条件で測定される粘度ηで除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「十点平均粗さ(Rzjis)」は、JIS B 0601:2013の附属書JAで規定される値である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーaに基づく単位を、単に「モノマーa単位」とも記す。
本発明の積層体は、基板と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマー(以下、「PFA系ポリマー」とも記す。)を含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)を含む層(以下、「TFE層」とも記す。)と、PFA系ポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する。本発明の積層体は、TFE層を介して、ポリマー層(1)とポリマー層(2)とが接着され、ポリマー層(1)に基板が接着された積層体ともみなせる。
なお、Fポリマーは、PFA系ポリマーとは異なるポリマーである。
なお、ポリマー層(1)とポリマー層(2)とを特に区別しない場合、単に「ポリマー層」とも記す。
PFA系ポリマー及びFポリマーは、いずれもテトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含有し、PFA系ポリマーは熱溶融性を有するので、ポリマー層とTFE層との接着界面において、PFA系ポリマーのポリマー鎖がFポリマーのポリマー鎖に絡み易い状態が形成されると考えられる。そのため、本発明の積層体は、TFE層が本来の物性を損なうことなく(すなわち、Fポリマーが有する本来の特性を維持しつつ)、ポリマー層に対して強固に接着して積層されていると考えられる。
また、PFA系ポリマーは、熱溶融性を有するので、ポリマー層(1)の基板に対する接着性も高く、よって、本発明の積層体は、剥離強度に優れると考えられる。
本発明における基板の厚さは、1〜100μmが好ましい。
本発明における基板は、金属基板が好ましい。この場合の本発明の積層体は、金属基板とポリマー層(1)とTFE層とポリマー層(2)とを、この順に有する金属張積層体とも言える。かかる金属張積層体の態様としては、ポリマー層(2)のTFE層と反対側の表面に、さらに金属基板を有する金属張積層体(両面金属張積層体)も挙げられる。
金属基板は、金属箔が好ましい。金属箔を加工すれば、本発明の積層体をプリント回路基板として好適に使用できる。金属箔を構成する金属としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む。)、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金が挙げられる。
金属箔としては、銅箔が好ましく、表裏の区別のない圧延銅箔又は表裏の区別のある電解銅箔がより好ましく、圧延銅箔がさらに好ましい。圧延銅箔は、表面粗さが小さいため、積層体をプリント回路基板に加工した場合でも、伝送損失を低減できる。また、圧延銅箔は、炭化水素系有機溶剤に浸漬し圧延油を除去してから使用するのが好ましい。
また、金属基板は、2層以上の金属箔を含むキャリア付金属箔でもよい。キャリア付金属箔としては、キャリア銅箔(厚さ:10〜35μm)と、剥離層を介してキャリア銅箔上に積層された極薄銅箔(厚さ:2〜5μm)とからなるキャリア付銅箔が挙げられる。
かかるキャリア付銅箔のキャリア銅箔のみを剥離すれば、極薄銅箔を有する積層体を容易に形成できる。この積層体を使用すれば、MSAP(モディファイドセミアディティブ)プロセスによる、極薄銅箔層をめっきシード層として利用する、ファインパターンの形成が可能である。
上記剥離層としては、耐熱性の観点から、ニッケル又はクロムを含む金属層、又は、この金属層を積層した多層金属層が好ましい。かかる剥離層であれば、300℃以上の工程を経ても、キャリア金属箔を容易に極薄金属箔から剥離できる。
キャリア付金属箔の具体例としては、福田金属箔粉工業株式会社製の商品名「FUTF−5DAF−2」が挙げられる。
金属基板の表面(ポリマー層(1)側の表面)の十点平均粗さは、0.2〜4μmが好ましく、0.7〜1.5μmがより好ましい。この場合、ポリマー層(1)との接着性が良好となり、伝送特性に優れたプリント回路基板が得られやすい。
金属基板の厚さは、2〜40μmが好ましく、2〜15μmがより好ましい。
かかる十点平均粗さの表面は、金属基板の表面の粗化処理により形成するのが好ましい。粗化処理としては、金属基板の表面への粗化処理層の形成、金属基板の表面に対するドライエッチング、ウエットエッチングが挙げられる。
また、金属基板の表面は、その一部又は全部がシランカップリング剤により処理されていてもよい。
本発明における基板は、樹脂基板も好ましい。この場合の本発明の積層体は、樹脂基板とポリマー層(1)とTFE層とポリマー層(2)とを、この順に有する多層樹脂フィルムとも言える。かかる多層樹脂フィルムの態様としては、樹脂基板の両方の表面のそれぞれに、ポリマー層(1)とTFE層とポリマー層(2)とが、この順に積層された多層樹脂フィルムも挙げられる。かかる多層樹脂フィルムは、その両側の最外層にポリマー層(2)を有するため、接着性に優れる。加えて、多層樹脂フィルムは、樹脂基板の両方の表面それぞれに、ポリマー層(1)とTFE層とポリマー層(2)とが積層(形成)されているため、反りにくい性質も有する。したがって、多層樹脂フィルムは、プリント基板材料として特に有用である。
樹脂基板の5%ひずみ時応力は、180MPa〜500MPaが好ましい。
樹脂基板は、難塑性変形性であるのが好ましい。具体的には、樹脂基板の15%ひずみ時応力は、225MPa〜580MPaが好ましい。
樹脂基板が、高い降伏強度、特に難塑性変形性を有すれば、多層樹脂のフィルムの線膨張係数の絶対値を充分に低くしやすく、反りの発生をより確実に防止できる。
樹脂基板は、ポリイミドフィルムが好ましい。
ポリイミドは、好ましくは、ジアミンとカルボン酸二無水物とを反応させてポリアミック酸を合成し、このポリアミック酸を熱イミド化法又は化学イミド化法によりイミド化して得られる。ポリイミドは、特に、芳香族性ポリイミドが好ましい。
ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−オキシジアニリン、3,3’−オキシジアニリン、3,4’−オキシジアニリン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニル、2,4−ジアミノトルエンが挙げられる。
カルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物が挙げられる。
また、ジアミンとカルボン酸二無水物との合計モル数に対する、ジアミン及びカルボン酸二無水物が含有するエーテル結合に由来する酸素原子の総モル数は、35〜70%が好ましく、45〜65%がより好ましい。この場合、ポリイミドのポリマー主鎖の柔軟性が高まり、ポリイミドフィルムとポリマー層との接着性がより向上する。また、この場合、多層樹脂フィルムのUV加工性もより良好になる。
ポリイミドフィルムには、降伏強度、難塑性変形性、熱伝導性、ループスティフネス等の特性を高める目的で、無機フィラーが添加されていてもよい。かかる無機フィラーとしては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウムが挙げられる。
本発明におけるPFA系ポリマーは、TFE単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)に基づく単位(PAVE単位)を含むポリマーであり、ポリマーを構成する全単位に対して、TFE単位を90モル%以上100モル%未満、PAVE単位を0モル%超10モル%以下、それぞれ含むのが好ましい。PFA系ポリマーのフッ素含有量は、70〜76質量%が好ましい。
かかるPFA系ポリマーは、基板及びTFE層のそれぞれと密着性が高いだけでなく、ガスバリア性等の積層体の物性をより向上させやすい。
PAVEは、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF又はCF=CFOCFCFCF(PPVE)が好ましい。
PFA系ポリマーは、さらに酸素含有極性基を有するポリマーが好ましい。酸素含有極性基は、金属基板の表面に存在する金属酸化物や、樹脂基板の表面に存在する極性構造(親水性構造)との相互作用が高いため、ポリマー層(1)の基板に対する接着性を向上できる。
酸素含有極性基は、酸素原子を含有する極性の原子団である。ただし、酸素含有極性基には、エステル結合自体とエーテル結合自体は含まれず、これらの結合を特性基として含む原子団は含まれる。
酸素含有極性基は、水酸基含有基、カルボニル基含有基、又はホスホノ基(−OP(O)OH)が好ましい。
水酸基含有基は、−CFCHOH、−C(CFOH又は1,2−グリコール基(−CH(OH)CHOH)が好ましい。
カルボニル基含有基は、−CFC(O)CF−、−CFC(O)OH、−CFC(O)OCH、>CFC(O)OH、カルバメート基(−OC(O)NH)、カルボキシアミド基(−C(O)NH等)、酸無水物残基(−C(O)OC(O)−)、イミド残基(−C(O)NHC(O)−等)、ジカルボン酸残基(−CH(C(O)OH)CHC(O)OH等)又はカーボネート基(−OC(O)O−)が好ましい。
酸素含有極性基は、水酸基含有基又はカルボニル基含有基がより好ましく、環状酸無水物残基がさらに好ましい。
酸素含有極性基は、PFA系ポリマーを構成する単位に含まれるか、ポリマー主鎖の末端基に含まれるのが好ましく、PFA系ポリマーを構成する単位に含まれるのがより好ましい。後者のPFA系ポリマーとしては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基から誘導されるPFA系ポリマーや、コロナ処理、プラズマ処理又は電子線処理により、かかる末端基に酸素含有極性基が導入されたPFA系ポリマーが挙げられる。
PFA系ポリマーは、TFE単位、PAVE単位及び酸素含有極性基を有するモノマーに基づく単位を含むポリマーが好ましい。
酸素含有極性基を有するモノマーは、上記1種の酸素含有極性基を有するモノマーが好ましい。かかるモノマーの具体例としては、無水イタコン酸(IAH)、無水シトラコン酸(CAH)、無水マレイン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(NAH;別称:無水ハイミック酸)が挙げられる。
PFA系ポリマーは、さらに他の単位を含んでいてもよい。
他の単位を構成するモノマーとしては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フルオロアルキルエチレン(FAE)、フッ化ビニル(VF)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、エチレン、プロピレンが挙げられる。
FAEとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFHが挙げられる。
PFA系ポリマーの好適な具体例としては、TFE単位と、NAH単位、IAH単位又はCAH単位と、PPVE単位とを含むコポリマー、TFE単位と、IAH単位又はCAH単位と、PAVE単位と、エチレン単位又はプロピレン単位とを含むコポリマーが挙げられる。
前者のコポリマーは、コポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位を90〜99モル%、NAH単位、IAH単位又はCAH単位を0.01〜3モル%、PPVE単位を0.5〜9.97モル%含むのが好ましい。
後者のコポリマーは、コポリマーに含まれる全単位に対して、TFE単位を30〜60モル%、IAH単位又はCAH単位を0.01〜3モル%、PAVE単位を0.01〜5モル%、エチレン単位又はプロピレン単位を32〜69.98モル%含むのが好ましい。
なお、上記の各コポリマーは、さらにHFP単位を含んでいてもよい。
PFA系ポリマーの380℃における溶融粘度は、1×10〜1×10Pa・sが好ましく、1×10〜1×10Pa・sがより好ましい。かかる溶融粘度のPFA系ポリマーであれば、ポリマー層を形成する際の加熱温度領域において良好な流動性を発現する。このため、均一かつ表面平滑性が高いポリマー層が形成される。仮に、基板の表面に凹凸が存在しても、溶融状態のPFA系ポリマーは、上記凹凸に入り込み、ポリマー層(1)の表面平滑性が低下しにくい。
PFA系ポリマーの溶融温度は、140〜380℃が好ましく、260〜320℃がより好ましい。この場合、ポリマー層(1)の表面平滑性をより向上させやすい。また、Fポリマーと緻密なマトリックス構造を形成して、その接着強度がより向上しやすい。
ポリマー層(1)の厚さ及びポリマー層(2)の厚さは、同一であってもよく、異なっていてもよく、積層体の反りの発生を抑制する観点から、同一であるのが好ましい。
各ポリマー層の厚さは、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましく、0.5μm以上が特に好ましく、1μm以上が最も好ましい。
各ポリマー層の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。
各ポリマー層の厚さが上記範囲であれば、積層体の反りの発生を抑制するとともに、積層体をプリント回路基板に加工した際の良好な電気特性を得やすい。
ポリマー層は、PFA系ポリマーを含む層であり、PFA系ポリマーを含む緻密質層が好ましく、PFA系ポリマーを主成分とする緻密質層がより好ましい。なお、PFA系ポリマーを主成分とする層とは、PFA系ポリマーの含有量が80〜100質量%である層を言う。
また、緻密質層とは、PFA系ポリマー自体、又はその集合体(パウダー等)が溶融又は焼成して形成される固化物の層であり、非多孔質層であるとも言える。
ポリマー層(1)及びポリマー層(2)は、それぞれ異種のPFA系ポリマーを含む層であってもよく、同種のPFA系ポリマーを含む層であってもよい。後者の場合、ポリマー層(1)及びポリマー層(2)は、それぞれ物性(厚さ、機械的強度等)が同一であっても、異なっていてもよい。
また、ポリマー層は、その表面がTFE層に接着する限り、単層構造の層であってもよく、積層構造の層であってもよい。
さらに、ポリマー層は、コロナ処理、プラズマ処理、電子線処理、放射線処理、金属ナトリウム溶液による処理、シランカップリング剤による処理によって、表面処理されていてもよい。
ポリマー層は、PFA系ポリマー以外の成分を含んでいてもよい。
TFE層の物性及び性状を損なうことなく、TFE層との接着性をより発現しやすい観点から、ポリマー層は、TFE層のFポリマーと同種のFポリマーをさらに含むのが好ましい。この場合、ポリマー層に含まれるFポリマーの量に対するPFA系ポリマーの量の質量比(後者の量を前者の量で除した値)は、1超が好ましく、2〜100がより好ましく、10〜25がさらに好ましい。
この場合、それぞれの層が有する本来の物性及び性状を損なわずに、積層体の接着強度を向上させやすい。
基板(特に、樹脂基板)との密着性及び接着性を高め、各層が有する本来の物性及び性状が高度に発現しやすくなる観点から、ポリマー層又はTFE層は、芳香族性ポリマーを含むのが好ましい。
この場合、ポリマー層に芳香族性ポリマーの物性(UV吸収性、低線膨張率等)が付与されやすく、積層体の機能が一層向上しやすい。芳香族性ポリマーは、全ての層(すなわち、ポリマー層(1)、TFE層及びポリマー層(2))に含まれていてもよく、一部の層のみ(例えば、ポリマー層(1)及びポリマー層(2)のみ)に含まれていてもよい。
芳香族性ポリマーは、芳香族性ポリイミド又は芳香族性マレイミドであるのが好ましい。この場合、ポリマー層の基板(特に、樹脂基板)に対する密着性が向上しやすいだけでなく、積層体の物性(UV吸収性等)が向上しやすい。
芳香族性ポリマーは、熱可塑性であってもよく、熱硬化性であってもよい。
芳香族性ポリマーが熱可塑性であれば、その可塑性により、ポリマー層中の芳香族性ポリマーの分散性がより向上し、緻密かつ均一なポリマー層が形成されやすい。その結果、ポリマー層の基板(特に、樹脂基板)に対する密着性と、積層体の物性(UV吸収性等)とが向上しやすい。
一方、芳香族性ポリマーが熱硬化性であれば、換言すれば、熱硬化性の芳香族性ポリマーの硬化物であれば、ポリマー層の線膨張性が一層低下し、積層体の反りの発生が抑制されやすい。
芳香族性ポリイミドの具体例としては、「HPC」シリーズ(日立化成社製)等の芳香族性ポリアミドイミド、「ネオプリム」シリーズ(三菱ガス化学社製)、「スピクセリア」シリーズ(ソマール社製)、「Q−PILON」シリーズ(ピーアイ技術研究所製)、「WINGO」シリーズ(ウィンゴーテクノロジー社製)、「トーマイド」シリーズ(T&K TOKA社製)、「KPI−MX」シリーズ(河村産業社製)、「ユピア−AT」シリーズ(宇部興産社製)等が挙げられる。かかる芳香族性ポリイミドとして、樹脂基板のポリイミドとして説明した芳香族性ポリイミドを使用してもよい。
本発明におけるFポリマーは、PFA系ポリマーとは異なる、TFE単位を含むポリマーであり、フィブリル性を有するポリマーが好ましい。
FポリマーにおけるTFE単位の割合は、全単位のうち、50モル%以上が好ましく、99.5モル%以上がより好ましく、99.9モル%以上がさらに好ましい。
Fポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はフルオロエラストマー(フッ素ゴム)が好ましく、PTFEがより好ましい。なお、PTFEには、TFEのホモポリマーに加えて、極微量のコモノマー(PAVE、HFP、FAE等)とTFEとのコポリマー(いわゆる、変性PTFE)も包含される。
PTFEは、低分子量のPTFEであってもよい。
低分子量のPTFEとしては、高分子量のPTFE(溶融粘度が1×10〜1×1010Pa・s程度)に放射線を照射して得られるPTFE、TFEを重合してPTFEを製造する際に連鎖移動剤を用いて得られるPTFE、コア部分とシェル部分とからなるコア−シェル構造を有し、シェル部分のみが上記溶融粘度を有するPTFEが挙げられる。
低分子量のPTFEは、380℃における溶融粘度が1×10〜1×10Pa・sであるか、溶融温度が321〜340℃であるか、溶融流れ速度が1〜10g/10分であるか、標準比重(ASTM D4895−04に準拠して測定される比重)が2.14〜2.22であるのが好ましい。
本発明におけるTFE層は、非孔質層であってもよく、多孔質層であってもよい。
非孔質層としては、定法に従って得られるFポリマーを含む非孔質シート(膜)、Fポリマーのパウダーを含む液状組成物から形成される非孔質層が挙げられる。
多孔質層としては、定法に従って得られるFポリマーを含む多孔質シート(多孔質膜)、Fポリマーのパウダーを含む液状組成物から形成される多孔質層が挙げられる。
例えば、Fポリマーを含むシート(膜)を化学処理して得られる多孔質シートや、Fポリマーを含むシートを延伸処理して得られる延伸多孔質シート(延伸多孔質膜)が挙げられる。また、Fポリマーのパウダーを含む液状組成物をポリマー層(1)の表面に塗布し、加熱して、Fポリマーを焼成させて形成される多孔質層が挙げられる。
TFE層の厚さは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。
TFE層の厚さは、100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
かかる厚さを有するTFE層であれば、その本来の物性を積層体に付与しやすい。
TFE層は、ポリマー層(1)とポリマー層(2)との間において全体にわたって配置されていてもよく、ポリマー層(1)とポリマー層(2)との間において部分的に配置されていてもよい。
また、TFE層は、ポリマー層(1)及びポリマー層(2)の少なくとも一方と一体化して、1つの層を形成していてもよい。
TFE層は、単層構成であってもよく、積層された複数の単位層を有する多層構成であってもよい。後者の態様としては、Fポリマーの種類が異なる複数の単位層を積層した態様、TFE層に含まれる他の成分の種類又は量が異なる複数の単位層を積層した態様が挙げられる。TFE層が、かかる態様の積層体は、異なる機能の単位層を有するとも言え、各単位層に応じた機能が高まりやすい。
TFE層は、積層された複数の単位層を有する多層構成が好ましい。
多層構成のTFE層の態様としては、空孔径や空孔率が異なる複数の単位層が積層された態様、異なるフィラーを含む複数の単位層が積層された態様、フィラーを含まない単位層とフィラーを含む単位層とが積層された態様、フィラーの含有量が異なる複数の単位層が積層された態様が挙げられる。
TFE層が、フィラーを含まない単位層とフィラーを含む単位層とが積層された態様である場合、前者の単位層が、ポリマー層側に配置されるのが好ましい。この場合、TFE層とポリマー層との間の密着性等の積層体の物性を損なうことなく、フィラーの機能(線膨張率、UV吸収性等)をより向上させやすい。
TFE層が、フィラーの含有量が異なる複数の単位層が積層された態様である場合、フィラーの含有量がより低い単位層が、ポリマー層側に配置されるのが好ましい。この場合、TFE層とポリマー層との間の密着性等の積層体の物性を損なうことなく、フィラーの機能(線膨張率、UV吸収性等)をより向上させやすい。
TFE層における空孔、特に、TFE層が多孔質層である場合の空孔は、空隙のままであってもよく、フィラーが充填されていてもよい。フィラーとしては、比誘電率及び誘電正接が低いフィラーが挙げられる。
フィラー又はフィラーを形成する化合物としては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化セリウム、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性の炭酸マグネシウム、非塩基性の炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、窒化ホウ素、窒化アルミ、モンモリロナイト、フォルステライト、ステアタイト、コージェライト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスチョップドファイバー、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、炭素繊維、ガラスバルーン、炭素バーン、木粉、ホウ酸亜鉛、ポリイミドパウダーが挙げられる。これらのフィラーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
TFE層に含まれるフィラーの量は、フィラーの種類、形状により決定でき、アスペクト比が2以上のフィラーであれば、Fポリマー100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、アスペクト比が1〜2の球状フィラーであれば、Fポリマー100質量部に対して、1〜80質量部が好ましく、10〜80質量部がより好ましい。
フィラーの具体例としては、繊維状の硫酸マグネシウム(宇部マテリアルズ株式会社製、商品名「モスハイジ」等)、ガラスカットファイバー(日東紡株式会社製、商品名「PF」、「SS」等)が挙げられる。
これらのフィラーを含む場合、電気特性により優れた積層体が得られるだけでなく、ポリマー層の線膨張係数が低減され、より寸法安定性に優れた積層体が得られる。また、フィラーにより、ポリマー層の紫外線領域の吸収、特に266nm及び355nmの波長吸収を調整してもよく、かかる波長光を使用するUV−YAGレーザー加工性を向上させてもよい。
また、TFE層における空孔の分布状態(空孔率、空孔径等)は、均一であってもよく、不均一であってもよい。後者の分布状態としては、ポリマー層との界面近傍の空孔率が、他の部分の空孔率より低い状態が挙げられる。
また、TFE層の空孔の孔径は、通常、1nm〜1μmである。
フィラーは、無機フィラーであるのが好ましい。
その形状は、粒状であってもよく、非粒状(鱗片状、層状)であってもよく、繊維状であってもよい。フィラーとしては、微細構造を有する無機フィラーを使用するのが好ましい。
かかる微細構造を有する無機フィラーの具体例としては、球状の無機フィラー、繊維状の無機フィラーが挙げられる。
前者の無機フィラーの平均粒子径は、0.01〜1μmが好ましい。この場合、無機フィラーは、パウダー分散液中の分散性により優れ、TFE層中に均一に分布しやすい。
後者の無機フィラーにおいて、長さは繊維長であり、径は繊維径である。繊維長は1〜10μmが好ましく、繊維径は0.01〜1μmが好ましい。
無機フィラーは、その表面の少なくとも一部が、無機フィラーを形成する無機物とは異なる化合物によって、表面処理されていてもよい。
かかる表面処理に用いられる化合物としては、多価アルコール(トリメチロールエタン、ペンタエリストール、プロピレングリコール等)、飽和脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸等)又はそのエステル、アルカノールアミン、アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、パラフィンワックス、シランカップリング剤、シリコーン、ポリシロキサンが挙げられる。
無機フィラーの好適な具体例としては、アミノシランカップリング剤で表面処理された平均粒子径1μm以下のシリカフィラー(アドマテックス社製の「アドマファイン」シリーズ等)、ジカプリン酸プロピレングリコール等のエステルで表面処理された平均粒子径0.1μm以下の酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製の「FINEX」シリーズ等)、平均粒子径0.5μm以下かつ最大粒子径1μm未満の球状溶融シリカ(デンカ社製のSFPグレード等)、多価アルコール及び無機物で被覆処理された平均粒子径0.5μm以下のルチル型酸化チタン(石原産業社製の「タイペーク」シリーズ等)、アルキルシランで表面処理された平均粒子径0.1μm以下のルチル型酸化チタン(テイカ社製の「JMT」シリーズ等)が挙げられる。
本発明の積層体において、ポリマー層(1)は、TFE層と基板との間に高い接着性を付与する接着プライマー層として機能するのみならず、PFA系ポリマーの高い耐熱性により耐熱緩衝層(断熱層)や、PFA系ポリマーの優れた電気特性により高電界密度下における電気絶縁層としても機能する。また、積層体の最外層を構成するポリマー層(2)も、高い接着性を発現する接着プライマー層として機能する。
例えば、本発明の両面金属張積層体において、はんだリフロー工程における短時間かつ局所的な加熱の際に、耐熱緩衝層として機能するポリマー層(1)及びポリマー層(2)によりTFE層が熱的に保護される。その結果、加熱によるTFE層の劣化が抑制され、2つの層同士の間における界面膨れが効果的に防止されると考えられる。
また、両面金属張積層体をプリント回路基板に加工した場合、電気絶縁層としても機能するポリマー層(1)及びポリマー層(2)に強い電界が付与されても誘電損失が抑制される。その結果、プリント回路基板の伝送損失が低減されると考えられる。
本発明の積層体の製造方法としては、下記の方法が挙げられる。
方法1A:基板と、PFA系ポリマーを含むシート(S1)と、Fポリマーを含むシートと、PFA系ポリマーを含むシート(S2)とを、この順に配置し熱圧着して、シート(S1)をポリマー層(1)とし、上記シートをTFE層とし、シート(S2)をポリマー層(2)として、積層体を得る方法。
方法1B:基板及びPFA系ポリマーを含むポリマー層(1)をこの順に有する積層体(P1)のポリマー層(1)の表面にFポリマーを含むシートを配置し、さらに上記シートのポリマー層(1)と反対側の表面にPFA系ポリマーを含むシート(S2)を配置し、熱圧着して、上記シートをTFE層とし、シート(S2)をポリマー層(2)として、積層体を得る方法。
方法1C:基板と、ポリマー層(1)、TFE層及びポリマー層(2)をこの順に有するシートとを、この順に配置し熱圧着して、積層体を得る方法。
方法1D:基板の表面に、PFA系ポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、ポリマー層(1)を形成し、ポリマー層(1)の基板と反対側の表面に、Fポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、TFE層を形成し、TFE層のポリマー層(1)と反対側の表面にPFA系ポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、ポリマー層(2)を形成して、積層体を得る方法。
なお、方法1Bにおいては、シート(S2)に代えて積層体(P1)を使用し、熱圧着後に、2つの積層体(P1)がTFE層を介して接着された多層積層体を作製した後、この多層積層体が備える基板を必要に応じて除去して、積層体を製造してもよい。
上記方法1A〜方法1Cにおける熱圧着の条件は、通常、温度が120〜300℃、圧力が0.1〜4MPa、時間が1〜120分間である。
なお、PFA系ポリマーの溶融温度付近にて、低圧力(0.1〜1MPa)、短時間(1〜5分間)の条件で熱圧着すると、層又はシートがその形状を維持しつつ、それらの間で接着される。つまり、ポリマー層のTFE層と反対側の表面に、Fポリマー(PTFE等)が露出しない。この場合、ポリマー層と基板との接着強度を高めやすい。
これに対して、PFA系ポリマーの溶融温度以上(300℃程度)にて、高圧力(3〜4MPa)、長時間(60分間以上)の条件で熱圧着すると、層又はシート同士の一体化が高度に進行した状態で、これらが接着される。つまり、ポリマー層のTFE層と反対側の表面に、Fポリマー(PTFE等)の一部が露出する。この場合、Fポリマーの作用により積層体のはんだ耐熱性が向上しやすい。
方法1Bにおける積層体(P1)は、基板の表面にPFA系ポリマーを含む液状組成物を塗布し加熱してポリマー層(1)を形成して製造するのが好ましい。かかる液状組成物中では、PFA系ポリマーはパウダーとして溶媒中に分散しているのが好ましい。すなわち、液状組成物は、PFA系ポリマーのパウダーを含む分散液が好ましいとも言える。
方法1Dにおける付与に使用する、PFA系ポリマーを含む液状組成物及びFポリマーを含む液状組成物のいずれにおいても、上記ポリマーはパウダーとして溶媒中に分散しているのが好ましい。すなわち、方法1Dにおける、PFA系ポリマーを含む液状組成物は、PFA系ポリマーのパウダーを含む分散液が好ましく、Fポリマーを含む液状組成物は、Fポリマーのパウダーを含む分散液が好ましい。
なお、PFA系ポリマーを含む液状組成物とFポリマーを含む液状組成物とを特に区別しない場合、単に「液状組成物」とも記す。
パウダー(PFA系ポリマーのパウダー及びFポリマーのパウダーのそれぞれ;以下、同様である。)のD50は、0.01〜40μmが好ましく、0.05〜20μmがより好ましく、0.1〜8μmがさらに好ましい。また、パウダーのD90は、80μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましい。この範囲のD50及びD90において、パウダーの流動性と分散性とが良好となり、ポリマー層の電気特性(低誘電率等)や耐熱性が最も発現し易い。
溶媒(各液状組成物に含まれる溶媒;以下、同様である。)は、水性溶媒であってもよく、非水性溶媒であってもよい。
溶媒は、水、メチルエチルケトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、キシレン、1,2,4−トリメチルベンゼン又は1,2,3−トリメチルベンゼンが好ましく、メチルエチルケトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、N−メチル−2−ピロリドン又はシクロヘキサノンがより好ましい。
液状組成物は、パウダーの分散性をより向上させる観点から、さらに分散剤を含有するのが好ましい。分散剤は、親水性基と疎水性基を有する化合物であり、フッ素系分散剤、シリコーン系分散剤又はアセチレン系分散剤が好ましく、フッ素系分散剤がより好ましい。分散剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
液状組成物中のパウダーの割合は、10質量%以上が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。この場合、物性(特に、電気特性)に優れたポリマー層を形成しやすい。
液状組成物中の溶媒の割合は、15〜55質量%が好ましく、25〜50質量%がより好ましい。この場合、分散液の塗布性が優れ、かつ成膜性も向上しやすい。
また、液状組成物が分散剤を含む場合、その液状組成物中の割合は、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。この場合、液状組成物中におけるパウダーの分散性がより高まり、ポリマー層の物性がより向上しやすい。
さらに、液状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料を含んでいてもよい。他の材料は、液状組成物に溶解してもよく、溶解しなくてもよい。かかる他の材料は、非硬化性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよい。
液状組成物の25℃における粘度は、1000mPa・s以下が好ましく、50〜1000mPa・sがより好ましく、100〜500mPa・sがさらに好ましい。この場合、液状組成物の分散性に優れるだけでなく、その塗工性や異種の樹脂材料のワニスとの相溶性にも優れている。
また、液状組成物のチキソ比(η/η)は、1〜2.5が好ましく、1.2〜2がより好ましい。この場合、液状組成物の分散性に優れるだけでなく、ポリマー層の均質性が向上しやすい。
液状組成物の付与は、塗布により行うのが好ましい。この塗布は、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等の方法によって実施できる。
なお、液状組成物の加熱は、PFA系ポリマーが焼成する温度領域で行ってもよく、溶媒の大部分が揮発除去されて塗工層が安定して形成される温度領域で行ってもよい。
加熱は、一定温度にて1段階でしてもよく、異なる温度にて2段階以上でしてもよい。
加熱の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。
加熱は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってもよい。
また、加熱雰囲気は、酸化性ガス雰囲気(酸素ガス等)、還元性ガス雰囲気(水素ガス等)、不活性ガス雰囲気(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等)のいずれであってもよい。
方法1Cで使用するシートの製造方法としては、下記の方法が挙げられる。
方法2A:上記シート(S1)、Fポリマーを含むシート及びシート(S2)を、この順に配置し熱圧着する。このとき、シート(S1)がポリマー層(1)、上記シートがTFE層、シート(S2)がポリマー層(2)となる。
方法2B:上記シートの両方の表面に、上記液状組成物を付与し加熱する。このとき、上記シートがTFE層となるとともに、TFE層の両方の表面にポリマー層が形成される。
なお、方法2Aにおける熱圧着の条件は、好適な態様と範囲とを含めて、上記方法1A〜方法1Cで記載した熱圧着の条件と同様である。
また、方法2Aでは、熱圧着前のFポリマーを含むシートを延伸処理しても、熱圧着後のシートを延伸処理してもよい。かかる延伸処理により、上記シートの空孔径、空孔率等を変更して、得られる積層体の物性を調整できる。
方法2Bにおいて、Fポリマーを含むシートの両方の表面に液状組成物を付与する方法としては、液状組成物中に上記シートを浸漬する方法、上記シートの両方の表面にそれぞれ液状組成物を塗布する方法が挙げられる。
前者の方法によれば、上記シートに液状組成物を簡便に付与できる。一方、後者の方法によれば、上記シートの各表面に付与する液状組成物の量を調整しやすい。
なお、液状組成物及び加熱の条件は、好適な態様と範囲とを含めて、上記積層体(P1)で記載した液状組成物及び加熱の条件と同様である。
また、方法2Bでは、液状組成物を付与する前にFポリマーを含むシートを延伸処理しても、液状組成物を付与した後であって加熱する前に、液状組成物付きの上記シートを延伸処理してもよい。かかる延伸処理により、上述と同様に、上記シートの空孔径、空孔率等を変更して、得られる積層体の物性を調整できる。
本発明の積層体は、ポリマー層(2)のTFE層と反対側の表面に、さらに上記と同様の基板を有していてもよい。この場合、基板が金属基板であれば両面金属張積層体が得られる。なお、ポリマー層(2)もPFA系ポリマーを含むため、ポリマー層(2)と基板との間にも高い接着性が得られると考えられる。
かかる両面金属張積層体は、基板が金属基板である本発明の積層体のポリマー層(2)の表面に金属基板を積層して熱圧着する方法や、上記積層体のポリマー層(2)の表面に気相成膜法(例えば、スパッタリング法)により金属層を形成する方法により製造できる。
なお、後者の場合、金属層は、ポリマー層(2)側の部分(第1部分)を気相成膜法により形成し、残りの部分(第2部分)を電気めっき等により形成してもよい。
また、本発明の積層体は、ポリマー層(2)のTFE層と反対側の表面に、さらにプリプレグの硬化物層を有していてもよい。
プリプレグは、強化繊維(ガラス繊維、炭素繊維等)の基材(トウ、織布等)に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を含浸させたシート状の基板である。
積層の方法としては、本発明の積層体とプリプレグとを熱圧着する方法が挙げられる。
この場合の加熱温度は、PFA系ポリマーの融点以下が好ましく、120〜300℃がより好ましく、160〜220℃がさらに好ましい。この範囲において、プリプレグの熱劣化を抑制しつつ、ポリマー層(2)とプリプレグとを強固に接着できる。
熱圧着は、減圧雰囲気下で行うことが好ましく、20kPa以下の真空度で行うのがより好ましい。この範囲において、ポリマー層(2)とプリプレグとの界面への気泡混入が抑制でき、本発明の積層体と硬化物層との多層積層体の酸化による劣化を抑制できる。
また、熱圧着時は上記真空度に到達した後に昇温することが好ましい。このようにすれば、ポリマー層(2)が軟化する前の状態、すなわち一定程度の流動性、密着性が発現する前の状態にてプリプレグが圧着されるので、気泡の発生を防止できる。
熱圧着における圧力は、0.2MPa以上が好ましい。また、圧力の上限は、10MPa以下が好ましい。この範囲において、プリプレグの破損を抑制しつつ、ポリマー層(2)とプリプレグとを強固に密着できる。
本発明の積層体(特に、上述の両面金属張積層体及び多層樹脂フィルム)は、PFA系ポリマーを含むポリマー層を備えるため、耐熱性、電気特性、耐薬品性(エッチング耐性)等の物性に優れ、フレキシブルプリント回路基板、リジッドプリント回路基板の製造に好適に使用できる。
例えば、エッチング、電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法))によって、本発明の積層体の金属基板を所定の形状を有する伝送回路(導体回路)に加工すれば、プリント回路基板を製造できる。
プリント回路基板の製造においては、伝送回路を形成した後に、伝送回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに伝送回路を形成してもよい。また、伝送回路上にソルダーレジストやカバーレイフィルムを積層してもよい。
本発明のプリント回路基板の製造方法は、本発明の積層体を加工して、伝送回路を形成する方法である。そして、本発明のプリント回路基板は、伝送回路と、PFA系ポリマーを含むポリマー層(1)と、Fポリマーを含むTFE層と、PFA系ポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する。
本発明のプリント回路基板におけるPFA系ポリマー及びFポリマーの定義は、それらの好適な態様と範囲も含めて、本発明の積層体におけるPFA系ポリマー及びFポリマーと同様である。
本発明のプリント回路基板の製造方法及びプリント回路基板におけるポリマー層及びTFE層の性状の定義は、それらの好適な態様と範囲も含めて、本発明の積層体におけるポリマー層及びTFE層と同様である。
本発明のシートは、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーを含むポリマー層(11)と、TFE層と、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーを含むポリマー層(12)とを、この順に有する。
なお、ポリマー層(11)とポリマー層(12)とを特に区別しない場合、単に「ポリマー層」とも記す。
酸素含有極性基を有するPFA系ポリマー及びFポリマーは、いずれもTFE単位を含有し、ポリマー層とTFE層との接着界面において、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーのポリマー鎖がFポリマーのポリマー鎖に絡み易い状態が形成されると考えられる。そのため、本発明のシートは、TFE層が本来の物性を損なうことなく(すなわち、本来の特性を維持しつつ)、ポリマー層に対して強固に接着して積層されていると考えられる。
また、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーは、熱溶融性を有し、かつ酸素含有極性基を有するので、ポリマー層(本発明のシート)は、基板、シートに対する優れた接着性を発揮すると考えられる。
本発明のシートにおける酸素含有極性基を有するPFA系ポリマー及びFポリマーの定義は、それらの好適な態様と範囲も含めて、本発明の積層体における酸素含有極性基を有するPFA系ポリマー及びFポリマーと同様である。
本発明のシートにおけるポリマー層及びTFE層の性状の定義は、それらの好適な態様と範囲も含めて、本発明の積層体におけるポリマー層及びTFE層と同様である。
特に、本発明のシートにおける、ポリマー層又はTFE層は、芳香族性ポリマーを含むのが好ましい。この場合、層間剥離力、密着性及び接着性を高まりやすいだけでなく、曲げや折りにも強いシートが得られやすい。芳香族性ポリマーは、全ての層(すなわち、ポリマー層(1)、TFE層及びポリマー層(2))に含まれていてもよく、一部の層のみ(例えば、ポリマー層(1)及びポリマー層(2)のみ)に含まれていてもよい。
ポリマー層(11)及びポリマー層(12)の厚さは、それぞれ0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましく、0.5μm以上が特に好ましい。また、上記厚さは、それぞれ100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。かかる厚さのポリマー層であれば、シートの反りの発生を抑制しやすい。
TFE層の厚さは、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。TFE層の厚さは、100μm以下が好ましく、75μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。かかる厚さのTFE層であれば、その本来の物性をシートに付与しやすい。
このような本発明のシートは、上述したシートと同様にして製造できる。
本発明のシートは、その表面に高い接着性を有するため、導電性ゴムシートとの接着も可能である。したがって、複数の本発明のシートと複数の導電性ゴムシートとを接着積層した積層シートは、異方導電性シートとして使用できる。
すなわち、異方導電性シートは、導電性ゴムを含む複数の導電層と、ポリマー層(11)、TFE層及びポリマー層(12)をこの順に有する複数の電気絶縁層とを交互に有している。
なお、導電性ゴムとしては、導電性シリコーンゴムが好ましい。
この異方導電性シートの導電層及び電気絶縁層の積層方向と直交する方向の両側部に支持部を配置(一体化)すれば、積層型コネクタを構成できる。
かかる積層型コネクタは、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス素子のような表示素子において、ガラス配線基板と駆動回路基板との電気的な接続、ガラス配線基板とフレキシブルプリント回路基板との電気的な接続に好適に使用できる。
本発明のシートは、TFE層をベースシートとし、上記ベースシートの両面に酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーを含む層(以下、「プライマー層」とも記す。)が形成された、両面接着性シート(以下、「接着シート」とも記す。)であるともみなせる。
接着シートにおけるプライマー層は、より低温にて接着性を発現させる観点から、さらに他のポリマーが含むのが好ましい。他のポリマーは、エラストマーであってもよい。
他のポリマーは、上記PFA系ポリマーとは異なる、熱可塑性ポリマーであるのが好ましい。
熱可塑性ポリマーのガラス転移点は、220℃以下であるのが好ましく、200℃以下であるのがより好ましく、180℃未満であるのがさらに好ましい。ガラス転移点は、−80℃以上であるのが好ましく、−50℃以上であるのがより好ましい。この場合、接着シートが柔軟になり、その低温接着性が一層向上しやすい。
プライマー層に他のポリマーが含まれる場合、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマーの含有量に対する他のポリマーの含有量は、10〜500質量%であるのが好ましい。
他のポリマーは、芳香族性ポリマーであるのが好ましく、芳香族性ポリイミド、芳香族性マレイミドポリマー又はスチレン系ポリマーであるのがより好ましい。
芳香族性ポリイミドとしては、上述した芳香族性ポリイミドが挙げられる。
芳香族性マレイミドポリマーとしては、アリーレン基をポリマー主鎖に有し、マレイミド基をポリマー末端に有するポリマーが挙げられる。
スチレン系ポリマーとしては、スチレンのホモポリマー、スチレンと共役ジエン又は(メタ)アクリル酸エステルとのコポリマー(スチレン−ブタジエンゴム、スチレン系コアシェル型コポリマー、スチレン系ブロックコポリマー等)が挙げられる。スチレン系ポリマーは、エラストマーであってもよい。
スチレン系ポリマーの具体例としては、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロックコポリマー)、SEP(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー)、SEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロックコポリマー)、SEBS(ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリスチレンブロックコポリマー)、SEEPS(ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)−ポリスチレンブロックコポリマー)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレンブロックコポリマー)が挙げられる。これらのポリマーは、水素添加されていてもよい。
これらのスチレン系ポリマーとしては、旭化成株式会社のタフテック MP−10(登録商標)、JSR株式会社のSISシリーズ、TRシリーズ又はDYNARONシリーズ(登録商標)、株式会社クラレのセプトン(登録商標)、クレイトンポリマー社のクレイトンGポリマーを使用できる。
接着シートにおけるTFE層(ベースシート)は、PTFEを含むシートであるのが好ましい。TFE層の厚さは、50〜1000μmであるのが好ましく、250〜750μmであるのがより好ましい。
接着シートにおけるプライマー層は、1〜50μmであるのが好ましく、5〜30μmであるのがより好ましい。
それぞれの層の厚さが上記範囲にある場合、ベースシートのポリマー物性を備えた、より低温接着性に優れたシートが得られやすい。
接着シートの好適な態様としては、PTFEシートをベースシートとし、上記ベースシートの両面に、上記PFA系ポリマー及び上記他のポリマーを含む層が形成され、上記層における上記PFA系ポリマーの含有量に対する上記他のポリマーの含有量が100質量%超500質量%以下である態様が挙げられる。上記層は、他のポリマーを海とし、上記PFA系ポリマーを島とする緻密な海島構造が形成されやすく、低温接着性が向上しやすい。
上記他のポリマーは、芳香族性ポリイミド又はスチレン系ポリマーであるのが好ましい。
かかる接着シートは、他のポリマーを含むワニスに、上記PFA系ポリマーのパウダーを添加して調製した液状組成物を、PTFEシートに塗工し、加熱乾燥させて、さらに予備加熱して形成するのが好ましい。加熱乾燥の温度は100〜175℃であるのが好ましく、予備加熱の温度は175〜200℃であるのが好ましい。また、予備加熱の時間は、30〜120分とするのが好ましい。
接着シートの好適な態様としては、PTFEシートをベースシートとし、上記ベースシートの両面に、上記PFA系ポリマー及び上記他のポリマーを含む層が形成され、上記層における上記PFA系ポリマーの含有量に対する上記他のポリマーの含有量が10〜500質量%である態様が挙げられる。上記層は、他のポリマーを島とし、上記PFA系ポリマーを海とする緻密な海島構造が形成されやすく、低温接着性が向上しやすい。
上記他のポリマーは、スチレン系ポリマーであるのが好ましい。
かかる接着シートは、上記PFA系ポリマーのパウダーを含む液状組成物に、上記他のポリマーを添加して調製した液状組成物を、PTFEシートに塗工し、加熱乾燥させて、さらに予備加熱して形成するのが好ましい。
本発明のシートは、プライマー層の表面に、さらに別のプライマー層が形成されていてもよい。
上記別のプライマー層は、エポキシ変性ポリエステル又はポリウレタンを含むのが好ましい。
エポキシ変性ポリエステルは、末端をエポキシ変性したポリエステルであるのが好ましい。また、別のプライマー層は、ポリイソシアネート等の硬化剤を、さらに含んでいてもよい。かかる別のプライマー層を形成する材料としては、東洋モートン社製のADシリーズ、三井化学社製のタケラックシリーズが挙げられる。
別のプライマー層の形成に際しては、プライマー層の表面をコロナ処理して、プライマー層間の密着性を向上させてもよい。
本発明のシートを異なる基板の間に対向させて配置し、熱圧着させれば、異なる基板を強固に接着できる。
熱圧着における圧着温度は、100〜300℃以下であるのが好ましく、120〜250℃以下であるのが好ましい。
熱圧着における圧着圧力は、0.2〜10MPa以上であるのが好ましい。
熱圧着における圧着雰囲気は、減圧又は常圧であるのが好ましい。
基板としては、金属基板、半導体基板、ガラス基板、樹脂基板が挙げられる。これらの基板の表面には、スパッタ等に形成された薄膜や、エッチング等により形成された回路や素子が形成されていてもよい。本発明のシートは、低温接着性に優れるため、基板の機能を損なうことなく強固に基板同士を接着できるだけでなく、接着接合体において誘電率と誘電正接とが低く電気絶縁層としても機能できる。本発明のシートは、電気絶縁シート、半導体基板用ボンディングシート、半導体基板用ビルドアップシートとして有用である。
以上、本発明の積層体、積層体の製造方法、シート、プリント回路基板、及び接着シートについて説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明の積層体、積層体の製造方法、シート、及びプリント回路基板は、それぞれ上記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の構成と置換されていてよい。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.各成分及び各部材の準備
[PFA系ポリマーのパウダー]
パウダーM1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に98.0モル%、0.1モル%、1.9モル%含む、酸無水物基を有するPFA系ポリマー1(溶融温度:300℃)からなるパウダー(D50:1.8μm、D90:5.2μm)
[Fポリマーのパウダー]
パウダーF1:PTFEからなるパウダー(D50:0.8μm、D90:2μm以下)
[分散剤]
分散剤1:ペルフルオロアルキル基と水酸基及びポリオキシエチレン基とを側鎖に有する(メタ)アクリレート系ポリマー
[フィラー]
フィラー1:アルミナとポリオールで被覆処理された酸化チタンとの混合物(平均粒子径:0.25μm;石原産業社製、商品名「タイペーク CR−50−2」)
[液状組成物]
液状組成物11:47質量部のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、3質量部の分散剤1と、50質量部のパウダーM1とをポットに投入した後、ポット内にジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットをころがし、パウダーM1をNMPに分散させて液状組成物11を調製した。
液状組成物12:液状組成物11と熱可塑性の芳香族性ポリイミドのワニス(固形分量:10質量%、溶媒:NMP)とを混合し、濃度調整しつつ、パウダーM1をNMPに分散させて液状組成物12を調製した。なお、液状組成物12は、PFA系ポリマー1及び熱可塑性の芳香族性ポリイミドを、この順に30質量%及び5質量%含む。
液状組成物21:70質量部のNMPと、5質量部の分散剤1と、25質量部のパウダーF1とをポットに投入した後、ポット内にジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットをころがし、パウダーF1をNMPに分散させて液状組成物21を調製した。
液状組成物22:65質量部のNMPと、5質量部の分散剤1と、25質量部のパウダーF1と、5質量部のフィラー1とをポットに投入した後、ポット内にジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットをころがし、パウダーF1及びフィラー1をNMPに分散させて液状組成物22を調製した。
[PFA系ポリマーを含むシート]
シート1:PFA系ポリマー1からなるシート(厚さ:25μm)
[Fポリマーを含む多孔質シート]
多孔質シート1:PTFEからなる多孔質シート(厚さ:50μm)
[金属基板]
銅箔1:銅箔(厚さ:18μm、表面の十点平均粗さ:0.6μm;福田金属箔粉工業社製、「CF−T4X−SV−18」)
[樹脂基板]
樹脂フィルム1:ポリイミドフィルム(厚さ:50μm;SKC Kolon PI社製、「FS−200」)
2.両面銅張積層体
2−1.両面銅張積層体の製造
(例1)
銅箔1、シート1、多孔質シート1、シート1及び銅箔1をこの順に配置し、温度320℃、圧力4MPa、時間15分間の条件にて熱圧着して、両面銅張積層体1を得た。
(例2)
熱圧着における温度を180℃に変更した以外は、例1と同様にして、両面銅張積層体2を得た。
(例3)
まず、銅箔1の表面に、液状組成物11をグラビアリバース法によりロールツーロールで塗工して、液状被膜を形成した。次いで、この液状被膜が形成された銅箔1を、100℃、120℃及び140℃の乾燥炉のそれぞれに、計5分間、通し、加熱により乾燥させた。その後、窒素雰囲気下の遠赤外線オーブン中で、乾燥被膜を380℃にて3分間、加熱により焼成させた。これにより、銅箔1の表面にPFA系ポリマー1の層(厚さ:4μm)を形成してポリマー層付銅箔を得た。
次に、このポリマー層付銅箔の2枚を、そのPFA系ポリマー1の層同士を対向させて配置し、その間に多孔質シート1を配置してから、温度:320℃、圧力:4MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着して、両面銅張積層体3を得た。
(例4(比較例))
まず、銅箔1の表面に、エポキシ系プライマーを塗布して、プライマー層付銅箔を得た。次に、このプライマー層付銅箔の2枚を、そのプライマー層同士を対向させて配置し、その間に多孔質シート1を配置してから、温度:200℃、圧力:3MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着して、両面銅張積層体4を得た。
2−2.両面銅張積層体の評価
[剥離強度]
各両面銅張積層体を矩形状(長さ:100mm、幅:10mm)に切り出して、サンプルを作製した。次に、サンプルの長さ方向の一端から50mmの位置を固定し、引張り速度:50mm/分、長さ方向の片端からサンプルに対して90°で、銅箔1とポリマー層とを剥離させた際にかかる最大荷重(N/cm)を測定した。
測定された値に基づいて、剥離強度について、以下の基準に従って評価した。
○(良) :10N/cm以上
△(可) : 5N/cm以上10N/cm未満
×(不可): 5N/cm未満
[はんだ耐性]
各両面銅張積層体を5cm角に切断して、サンプルを作製した。このサンプルを24℃の純水に24時間浸漬し、さらに260℃のはんだ槽に30秒間浮かべた後、サンプルの外観を目視にて確認した。
観察されたサンプルの外観に基づいて、はんだ耐性について、以下の基準に従って評価した。
○(良) :膨れ及び剥がれが見られない。
△(可) :膨れは見られないが、一部に剥がれが見られた。
×(不可):膨れ及び剥がれが見られた。
Figure 2021075030
なお、両面銅張積層体1の銅箔1をエッチング処理して伝送回路を形成し、その電気特性を評価すると、誘電正接と比誘電率とが低く、電気特性に優れていた。
3.片面銅張積層体1及びシート1
銅箔1の表面に、液状組成物11をグラビアリバース法によりロールツーロールで塗工して、液状被膜を形成した。次いで、この液状被膜が形成された銅箔1を、100℃、120℃及び140℃の乾燥炉のそれぞれに、計5分間、通し、加熱により乾燥させた。その後、窒素雰囲気下の遠赤外線オーブン中で、乾燥被膜を380℃にて3分間、加熱により焼成させた。これにより、銅箔1の表面にPFA系ポリマー1の層(厚さ:4μm)を形成した。
次に、PFA系ポリマー1の層の表面に多孔質シート1を配置し、温度:320℃、圧力:4MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着して、多孔質層を形成した。
次に、多孔質層の表面に、上記と同様にして、PFA系ポリマー1の層(厚さ:4μm)を形成し、銅箔1、PFA系ポリマー1の層、PTFEの多孔質層、PFA系ポリマー1の層をこの順に有する、片面銅張積層体1を得た。
次に、銅箔1をエッチング液で除去して、シート1を得た。
シート1の両方の表面側に、2枚の多孔質シート1を配置し、温度:320℃、圧力:4MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着した結果、シート1と2枚の多孔質シートとを強固に接着できた。
4.シート2及び両面銅張積層体21
多孔質シート1を液状組成物11に浸漬した後、液状組成物11から取り出した。
次に、この液状組成物11が付着した多孔質シート1を、100℃、120℃及び140℃の乾燥炉のそれぞれに、計5分間、通し、加熱により乾燥させた。
次に、これを延伸した後、窒素雰囲気下の遠赤外線オーブン中で、乾燥被膜を320℃にて3分間、加熱により焼成させて、シート2を得た。
次に、銅箔1、シート2及び銅箔1をこの順に配置し、温度:320℃、圧力:4MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着して、両面銅張積層体21を得た。
両面銅張積層体21について、上記と同様にして評価した結果、剥離強度及びはんだ耐性の評価は、いずれも「○(良)」であった。
5.異方導電性シート1
熱硬化性の導電性シリコーンゴム組成物から圧延シート1を作成した。
次に、50枚の圧延シート1と50枚のシート1とを交互に配置し、温度:200℃、圧力:3MPa、時間:15分間の条件にて熱圧着して、異方導電性シート1を得た。
この異方導電性シート1は、導電性シリコーンゴムを含む導電層と、ポリマー層、多孔質層及びポリマー層を備える電気絶縁層と交互にそれぞれ50層有する。
次に、異方導電性シート1の導電層及び電気絶縁層の積層方向と直交する方向の両側部に支持部を一体化した。異方導電性シート1と支持部との一体化物は、積層型コネクタとして使用可能であった。
6.多層樹脂フィルム
まず、樹脂フィルム1の一方の表面に、液状組成物11を小径グラビアリバース法で塗布し、通風乾燥炉(炉温:150℃)に3分間で通過させて、NMPを除去して第1乾燥被膜を形成した。さらに、樹脂フィルム1の他方の表面にも、同様に、液状組成物11を塗布、乾燥し、第1乾燥被膜を形成した。
次に、各第1乾燥被膜の樹脂フィルム1と反対側の表面に液状組成物21を上塗りし、乾燥して、第2乾燥被膜を形成した。さらに、液状組成物21に代えて、液状組成物22、液状組成物21及び液状組成物11を、この順に上塗りして乾燥する操作を繰り返した。これにより、各第2乾燥被膜上に、第3乾燥被膜、第4乾燥被膜及び第5乾燥被膜を、この順に形成し、両方の表面のそれぞれに5層の乾燥被膜(第1〜第5乾燥被膜)が積層された樹脂フィルム1を得た。
次いで、この第1〜第5乾燥被膜が積層された樹脂フィルム1を、遠赤外線炉(炉温:380℃)に20分間で通過させて溶融焼成した。これにより、樹脂フィルム1の両方の表面に、PFA系ポリマー1を含む層(厚さ:5μm)、PTFEを含む層(厚さ:10μm)、PTFE及びフィラー1を含む層(厚さ:20μm)、PTFEを含む層(厚さ:10μm)及びPFA系ポリマー1を含む層(厚さ:5μm)が、この順に積層された多層樹脂フィルム1を得た。
多層樹脂フィルム1は、銅箔1と強固に接着でき、これにより、多層樹脂フィルム1と銅箔1とを接着してなる銅張積層体が得られた。この銅張積層体の銅箔1を伝送回路に加工して得られるプリント基板は、誘電正接と比誘電率とが低く、電気特性に優れていた。
本発明の積層体は、アンテナ部品、プリント回路基板、パワー半導体の絶縁層、航空機用部品、自動車用部品等に加工して使用できる。また、本発明のシートは、導電性ゴムシートと積層すれば、異方導電性シートを作製でき、この異方導電性シートを試用して積層型コネクタを構成できる。

Claims (15)

  1. 基板と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する、積層体。
  2. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンであり、前記フルオロポリマーが、さらに酸素含有極性基を有するフルオロポリマーである、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層の厚さが、1〜100μmであり、前記基板の厚さが、1〜100μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層が、無機フィラーを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層が、積層された複数の単位層を有し、各前記単位層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記ポリマー層(1)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層又は前記ポリマー層(2)が、芳香族性ポリマーを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記基板が、金属基板であり、前記ポリマー層(2)の前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と反対側の表面に、さらに金属基板を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記基板が、樹脂基板であり、前記樹脂基板の両方の表面のそれぞれに、前記ポリマー層(1)と前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と前記ポリマー層(2)とが、この順に積層されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、前記基板と、前記フルオロポリマーを含むシート(S1)と、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むシートと、前記フルオロポリマーを含むシート(S2)とを、この順に配置し熱圧着して、前記シート(S1)を前記ポリマー層(1)とし、前記シートを前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層とし、前記シート(S2)を前記ポリマー層(2)として、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、前記基板及び前記ポリマー層(1)をこの順に有する積層体(P1)の前記ポリマー層(1)の表面に前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含むシートを配置し、さらに前記シートの前記ポリマー層(1)と反対側の表面に前記フルオロポリマーを含むシート(S2)を配置し、熱圧着して、前記シートを前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層とし、前記シート(S2)を前記ポリマー層(2)として、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、前記基板と、前記ポリマー層(1)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層及び前記ポリマー層(2)をこの順に有するシートとを、この順に配置し熱圧着して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法であって、前記基板の表面に、前記フルオロポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記ポリマー層(1)を形成し、前記ポリマー層(1)の前記基板と反対側の表面に、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層を形成し、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層の前記ポリマー層(1)と反対側の表面に、前記フルオロポリマーを含む液状組成物を付与し加熱して、前記ポリマー層(2)を形成して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
  13. テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、酸素含有極性基を有するフルオロポリマーを含むポリマー層(11)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、酸素含有極性基を有するフルオロポリマーを含むポリマー層(12)とを、この順に有する、シート。
  14. 前記ポリマー層(11)、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層又は前記ポリマー層(12)が、芳香族性ポリマーを含む、請求項13に記載のシート。
  15. 伝送回路と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(1)と、テトラフルオロエチレン系ポリマーを含む層と、テトラフルオロエチレンに基づく単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含むフルオロポリマーを含むポリマー層(2)とを、この順に有する、プリント回路基板。
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