JP7143793B2 - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、伝送損失が低減されたプリント配線板を作製可能な積層体、及びその製造方法に関する。
高周波領域の信号を伝送するプリント配線板では、信号の伝送損失が大きな課題となる。特に、ミリ波の周波数以上(33GHz以上)の信号は、誘電体層での損失だけでなく、導体層の表面粗さに起因する損失も無視できない。
誘電体層での損失を低減するためには、誘電体層の誘電率及び誘電正接が低いフッ素樹脂の利用が有効である。
一方、導体層の表面粗さに起因する損失を低減するためには、スパッタリング法により均一かつ表面粗さの低い導体層(銅層)を誘電体層上に形成する方法、すなわち、フッ素樹脂の誘電体層(フッ素樹脂層)上に、スパッタリング法で導体層を形成する方法が提案されている(特許文献1及び2参照)。
特許文献1では、ポリイミドフィルムの両面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む分散液からフッ素樹脂層を形成し、フッ素樹脂層をプラズマ処理した後、その表面にスパッタリング法で銅による導体層を形成している。また、特許文献2では、フッ素樹脂フィルムの表面をプラズマ処理してから、2段階のスパッタリング法により、その表面に銅による導体層を形成している。
しかし、フッ素樹脂は非粘着性であるため、フッ素樹脂層と導体層との密着性を高めることが難しい。特に、フッ素樹脂層にプラズマ処理により導入される官能基の数は経時的に減少するため、フッ素樹脂層と導体層との密着強度が減少しやすい。また、非溶融性のPTFEから形成されるフッ素樹脂層は、表面粗さ(平滑性)が低いため、フッ素樹脂層と導体層との界面が粗くなり、プリント配線板に加工した際に伝送損失が低下し易い。
特開2007-173818号公報 国際公開第2018/179904号
本発明は、溶融粘度が所定の範囲にあるテトラフルオロエチレン系ポリマーから形成された、表面粗さの小さいポリマー層と、その表面に形成された金属層とを有する積層体、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>厚さが5~40μmの支持基板と、380℃における溶融粘度が1×10~1×10Pa・sのテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む表面粗さが0.1μm以下かつ厚さが1~15μmのポリマー層と、厚さが1~10μmの金属層とが、この順に積層された積層体を製造する方法であって、
前記支持基板の表面に前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含有する液状組成物を塗布し加熱して前記ポリマー層を形成し、前記ポリマー層の表面に気相成膜法により前記金属層を形成して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
>前記パウダーの体積基準累積50%径が、3μm以下である、上記<>の製造方法。
>前記液状組成物の粘度が、50~10000mPa・sである、上記<>又は<>に記載の製造方法。
>前記金属層を、スパッタリング法により形成する、上記<>~<>のいずれかの製造方法。
>前記金属層が、スパッタリング法により形成された第1部分と、電気めっき法により形成された第2部分とからなる、上記<>~<>のいずれかの製造方法。
>前記支持基板が、前記ポリマー層より厚い、上記<1>~<5>のいずれかの製造方法。
>前記ポリマー層の厚さが、1~8μmである、上記<1>~<6>のいずれかの製造方法。
>前記ポリマー層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを主成分とする緻密質層である、上記<1>~<7>のいずれかの製造方法。
>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が140~320℃のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、上記<1>~<8>のいずれかの製造方法。
10>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位及び官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、上記<1>~<9>のいずれかの製造方法。
11>前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位及び官能基を有するモノマーに基づく単位を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、上記<1>~<10>のいずれかの製造方法。
12>前記支持基板が、芳香族樹脂フィルムである、上記<1>~<11>のいずれかの製造方法。
13>前記支持基板が、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及び芳香族エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含む芳香族樹脂フィルムである、上記<1>~<12>のいずれかの製造方法。
14>前記金属層の前記ポリマー層に対する剥離強度が、5N/cm以上である上記<1>~<13>のいずれかの製造方法。
本発明によれば、ポリマー層と金属層との界面の凹凸の程度が小さくなり、プリント配線板に加工した際に伝送損失が低減された積層体が提供される。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「パウダーのD50」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダーを構成する粒子(以下、「パウダー粒子」とも記す。)の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径(体積基準累積50%径)である。
「パウダーのD90」は、レーザー回折・散乱法によってパウダーの粒度分布を測定し、パウダー粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径(体積基準累積90%径)である。
パウダーのD50及びD90は、パウダーを水中に分散させ、レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-920測定器)を用いたレーザー回折・散乱法により分析して求められる。
「ポリマーの溶融温度」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ポリマーの溶融粘度」は、ASTM D 1238に準拠し、フローテスター及び2Φ-8Lのダイを用い、予め測定温度にて5分間加熱しておいたポリマーの試料(2g)を0.7MPaの荷重にて測定温度に保持して測定した値である。
「液状組成物の粘度」は、B型粘度計を用いて、室温下(25℃)で回転数が30rpmの条件下で測定される値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「液状組成物のチキソ比」とは、回転数が30rpmの条件で測定される粘度ηを回転数が60rpmの条件で測定される粘度ηで除して算出される値である。それぞれの粘度の測定は、3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「十点平均粗さ(Rzjis)」は、JIS B 0601:2013の附属書JAで規定される値である。
「表面粗さ(Ra)」は、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997、Amd.1:2009)に規定される算術平均粗さである。
「剥離強度」とは、矩形状(長さ100mm、幅10mm)に切り出した積層体の長さ方向の一端から50mmの位置を固定し、引張り速度50mm/分、長さ方向の片端から積層体に対して90°で、ポリマー層と金属層とを剥離させた際にかかる最大荷重(N/cm)である。
ポリマーにおける「単位」は、重合反応によってモノマーから直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。
本発明の積層体は、厚さが5~40μmの支持基板と、380℃における溶融粘度が1×10~1×10Pa・sのテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)を含む表面粗さ(Ra)が0.1μm以下かつ厚さが1~15μmのポリマー層と、厚さが1~10μmの金属層とが、この順に積層されてなる。
本発明の製造方法は、支持基板の表面にFポリマーのパウダーを含有する液状組成物を塗布し加熱してポリマー層を形成し、ポリマー層の表面に気相成膜法により金属層を形成して、積層体を得る方法である。上記ポリマー層は、加熱によりFポリマーが焼成して形成される層であるとも言える。
かかる積層体の金属層を加工して所定のパターンの導体回路(伝送回路)を形成すれば、プリント配線板として好適に使用できる。その理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
上記溶融粘度のFポリマーの熱溶融性により、加熱形成されるポリマー層の表面平滑性が高まりやすい。したがって、ポリマー層の表面に形成される金属層は、ポリマー層との界面の凹凸の程度が小さくなると考えられる。また、本発明においては、ポリマー層が充分な厚さの支持基板上に積層されるため、積層体に反りが生じにくく、クラックも発生しにくい。これらの相乗効果により、積層体をプリント配線板に加工した際に伝送損失が低減されたと推察される。
ポリマー層の表面粗さは、0.1μm以下であり、0.01~0.1μmが好ましい。かかる表面粗さのポリマー層の表面に金属層を形成すれば、それらの界面の凹凸の程度が充分に小さくなり、積層体をプリント配線板に加工した際に伝送損失をより低減できる。
以上のような効果は、本発明の好ましい態様において、顕著に発現する。なお、ポリマー層の表面粗さは、金属層をエッチングにより除去して露出した表面(金属層との界面)の表面について測定される値である。
支持基板は、耐熱性及び機械的強度の観点から、芳香族樹脂フィルムが好ましい。
芳香族樹脂フィルムは、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及び芳香族エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含む芳香族樹脂フィルムが好ましい。かかる芳香族樹脂フィルムは、電気物性と機械物性とに優れ、かつFポリマーとの親和性も高いことから好ましい。
また、芳香族樹脂フィルムは、反応性基(ビニル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基等)やハロゲン原子(臭素原子、フッ素原子等)で、さらに化学修飾されていてもよい。
芳香族樹脂フィルムの好適な具体例としては、芳香族ポリイミド樹脂フィルム、芳香族ポリエステル樹脂フィルムが挙げられる。
芳香族ポリイミド樹脂フィルムを形成する、芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テトラクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、4,4-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物が挙げられる。
また、芳香族ポリイミド樹脂フィルムを形成する芳香族ジアミンとしては、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4’-ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルケトン、3,4’-ジアミノジフェニルケトン、4,4’-ジアミノジフェニルケトン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-(3,4’-ジアミノジフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-(3,4’-ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、3,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、4,4’-[1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)]ビスアニリン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ブタン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘプタンが挙げられる。
芳香族ポリエステル樹脂フィルムとしては、液晶性の芳香族ポリエステルフィルムが挙げられる。かかる芳香族ポリエステルとしては、特開2010-031256号公報の段落[0019]~[0042]に記載のポリマーが挙げられ、より具体的には、2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸と、イソフタル酸及びジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸と、4-ヒドロキシアセトニリドと、無水酢酸との反応物が挙げられる。
支持基板の厚さは、5~40μmであり、10~35μmが好ましく、10~30μmがより好ましい。上記範囲の厚さの支持基板であれば、充分な機械的強度を有するとともに、ポリマー層を形成しても反りが防止される。
支持基板の表面粗さは、0.1μm以下が好ましく、0.01~0.1μmがより好ましい。かかる表面粗さの支持基板であれば、その表面により平滑性の高いポリマー層を形成しやすい。
本発明の積層体は、支持基板と、Fポリマーを含む表面粗さが0.1μm以下かつ厚さが1~15μmのポリマー層とを有する。
本発明における支持基板は、ポリマー層より厚いのが好ましい。この場合、積層体の反りの抑制と、積層体をフレキシブルプリント配線板に加工して使用する際の取扱性(折り曲げ性等)とをより両立しやすい。
本発明の積層体の好適な態様としては、支持基板の厚さが10~35μmであり、ポリマー層の厚さが1~8μmである態様が挙げられ、より好適な態様としては、前者の厚さが10~30μmであり、後者の厚さが2~6μmである態様が挙げられる。
本発明におけるFポリマーは、380℃における溶融粘度が1×10~1×10Pa・sのテトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(以下、「TFE単位」とも記す。)を含むポリマーである。Fポリマーは、TFEと共重合可能な他のモノマー(コモノマー)とのコポリマーが好ましい。Fポリマーは、ポリマーを構成する全単位に対して、TFE単位を90モル%以上100モル%未満含むのが好ましい。なお、Fポリマーには、上記溶融粘度の範囲にあれば、TFEと極微量のコモノマー(HFP、PAVE、FAE等)のコポリマーも包含される。Fポリマーのフッ素含有量は、70~76質量%が好ましく、72~76質量%がより好ましい。
Fポリマーとしては、TFEとエチレンとのコポリマー(ETFE)、TFEとプロピレンとのコポリマー、TFEとペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)とのコポリマー(PFA)、TFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)とのコポリマー(FEP)、TFEとフルオロアルキルエチレン(FAE)とのコポリマー、TFEとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とのコポリマーが挙げられる。なお、コポリマーは、さらに他のコモノマーに基づく単位を含んでいてもよい。
Fポリマーは、TFE単位及び官能基を有するFポリマーが好ましい。官能基は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基、アミド基、アミノ基又はイソシアネート基が好ましい。官能基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。また、Fポリマーを、プラズマ処理や電離線処理して得られる、官能基を有するFポリマーも使用できる。
官能基を有するFポリマーは、パウダーの液状組成物中での分散性の観点から、TFE単位及び官能基を有する単位を有するFポリマーが好ましい。官能基を有する単位は、官能基を有するモノマーに基づく単位が好ましく、上述した官能基を有するモノマーに基づく単位がより好ましい。
官能基を有するモノマーは、酸無水物残基を有するモノマーが好ましく、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」とも記す。)又は無水マレイン酸がより好ましい。
官能基を有するFポリマーの好適な具体例としては、TFE単位と、HFPに基づく単位、PAVEに基づく単位又はFAEに基づく単位と、官能基を有する単位とを有するFポリマーが挙げられる。
PAVEとしては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(PPVE)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFFが挙げられる。
FAEとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFHが挙げられる。
かかるFポリマーは、ポリマーを構成する全単位に対して、TFE単位を90~99モル%、HFPに基づく単位、PAVEに基づく単位又はFAEに基づく単位を0.5~9.97モル%、官能基を有する単位を0.01~3モル%、それぞれ有するのが好ましい。かかるFポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
Fポリマーの380℃における溶融粘度は、1×10~1×10Pa・sであり、1×10~1×10Pa・sが好ましい。かかる溶融粘度のFポリマーであれば、ポリマー層を形成する際の加熱温度領域において良好な流動性を発現する。このため、均一かつ表面の平滑性が高いポリマー層が形成される。仮に、支持基板の表面に凹凸が存在しても、溶融状態のFポリマーは、上記凹凸に入り込み、ポリマー層の表面の平滑性が低下しにくい。
Fポリマーの溶融温度は、140~320℃が好ましく、200~320℃がより好ましく、260~320℃がさらに好ましい。この場合、ポリマー層の表面の平滑性をより向上させやすい。
ポリマー層の厚さは、1~15μmであり、1~10μmが好ましく、1~8μmがより好ましく、2~6μmがさらに好ましい。かかる厚さのポリマー層であれば、積層体の反りの抑制と、積層体をプリント配線板に加工した際に電気特性とを両立させやすい。
ポリマー層は、Fポリマーを主成分とする層が好ましく、Fポリマーを主成分とする緻密質層がより好ましい。なお、Fポリマーを主成分とする層とは、Fポリマーの含有量が80質量%以上である層を言う。上記含有量の上限は、100質量%である。
また、緻密質層とは、所定の溶融粘度を有し、熱溶融性であるとも言えるFポリマー自体、又はその集合体(パウダー等)が溶融又は焼成して形成される固化物の層であり、非多孔質層であるとも言える。
本発明におけるポリマー層の表面には、気相成膜法により金属層が形成されているのが好ましい。
金属層を構成する金属としては、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金(42合金も含む)、アルミニウム、アルミニウム合金が挙げられる。
金属層の厚さは、1~10μmであり、3~10μmが好ましい。かかる厚さの金属層であれば、積層体全体の反りを抑制しやすく、各種用途への使用に適する。
また、気相成膜法によれば、均一かつポリマー層との密着性に優れる金属層を形成しやすい。気相成膜法としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法が挙げられ、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法を使用することにより、ポリマー層に対する密着性がより高い金属層が形成できる。
なお、金属層は、ポリマー層側の部分(第1部分)を気相成膜法により形成し、残りの部分(第2部分)を電気めっき等により形成してもよい。
特に、金属層は、第1部分を気相成膜法(特に、スパッタリング法)により形成し、第2部分を電解めっき法により形成するのが好ましい。
具体的には、金属層は、スパッタリング法によりnmオーダーの第1部分を形成し、この第1部分をシード層として、電解めっき法によりμmオーダーまで成長させて形成するのが好ましい。
なお、第1部分においては、金属の結晶構造が柱状構造を形成しているのが好ましい。
金属層を形成した後の積層体を、さらに加熱して再焼成をしてもよい。特に、窒素ガス雰囲気下にて、金属層が形成された後の積層体を再焼成すると、加熱時のポリマー層の軟化により、ポリマー層と金属層の剥離強度がより向上しやすい。再焼成における温度は、Fポリマーの溶融温度-50℃以上から前記溶融温度+50℃以下の範囲が好ましい。この場合、ポリマー層の流動性を抑制しつつ、金属層の表面が分子レベルでポリマー層に拡散して、金属層とポリマー層の剥離強度がより向上しやすい。また、再焼成により、積層体全体の応力が緩和され、その寸法安定性がより向上しやすい。
本発明におけるポリマー層は、Fポリマーのパウダーを含有する液状組成物(パウダー分散液)を塗布し加熱して形成するのが好ましい。この加熱の際に、液状組成物から溶媒が除去されるとともに、パウダーが焼成してポリマー層が形成されるとも言える。
かかる方法によれば、仮に支持基板の表面に凹凸が存在しても、その凹凸を埋めるようにして、ポリマー層が形成されるので、その表面の平滑性がより向上しやすい。
液状組成物を支持基板の表面に付与する方法としては、支持基板の表面に液状組成物からなる安定した液状被膜(ウェット膜)が形成される方法であればよく、塗布法、液滴吐出法、浸漬法が挙げられ、塗布法が好ましい。塗布法を用いれば、簡単な設備で効率よく支持基板の表面に液状被膜を形成できる。
塗布法としては、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法が挙げられる。
加熱の際は、液状組成物が付与された支持基板を溶媒の揮発温度で保持して、液状組成物を乾燥させた後、乾燥被膜を溶媒の揮発温度を上回る温度で保持して、パウダーを焼成するのが好ましい。具体的には、液状組成物が付与された支持基板を溶媒の沸点以上の温度にて保持した後に、パウダーを焼成するのが好ましい。
「溶媒の揮発温度」は、溶媒の沸点±50℃が好ましく、溶媒の沸点以上の温度がより好ましく、溶媒の沸点+50℃以下の温度がさらに好ましい。乾燥温度は、乾燥雰囲気の温度を意味する。
乾燥は、一定温度にて1段階で行ってもよく、異なる温度にて2段階以上で行ってもよい。乾燥の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられる。乾燥は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってもよい。また、乾燥雰囲気は、酸化性ガス雰囲気(酸素ガス等)、還元性ガス雰囲気(水素ガス等)、不活性ガス雰囲気(ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、窒素ガス等)のいずれであってもよい。
乾燥温度は、50~280℃が好ましく、120~260℃がより好ましい。乾燥時間は、0.1~30分間が好ましく、0.5~20分間がより好ましい。
以上のような条件で分散液を乾燥すれば、高い生産性を維持しつつ、積層体を好適に製造できる。
焼成の方法としては、オーブンを用いる方法、通風乾燥炉を用いる方法、赤外線等の熱線を照射する方法が挙げられ、これらの方法は組み合わせてもよい。なお、得られるポリマー層の表面の平滑性を高めるために、加熱板、加熱ロール等で分散液の乾燥物を加圧してもよい。
焼成温度は、300~400℃が好ましく、320~380℃がより好ましく、340℃~370℃がさらに好ましい。焼成温度は、焼成雰囲気の温度を意味する。焼成時間は、5~60分間が好ましく、10~45分間がより好ましい。焼成温度を比較的高く、かつ焼成時間を比較的長く設定すれば、分散剤を充分に分解させ、パウダーをより密にパッキングできる。このため、ポリマー層のレベリングを促進させて、ポリマー層の表面の平滑性がさらに高まる。また、Fポリマーの分解によるフッ化水素酸の発生を抑制しやすい。
焼成は、常圧下および減圧下のいずれの状態で行ってよい。また、焼成雰囲気は、酸化性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気および不活性ガス雰囲気のいずれであってもよい。ただし、酸素ガスを含有する焼成雰囲気とすれば、分散剤の分解をさらに促進できる。
パウダーのD50は、3μm以下が好ましく、0.05~3μmがより好ましい。また、パウダーのD90は、8μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましい。この範囲において、パウダーの流動性と分散性とが良好となり、Fポリマーの焼成時にパウダーがより密にパッキングするため、ポリマー層の表面の平滑性がより向上しやすい。
なお、Fパウダーは、粒度分布がある程度広く、微小粒径(0.02μm以下)のパウダー粒子を含むのが好ましい。この場合、Fパウダーのパッキング密度の上昇により、ポリマー層の表面の平滑性がさらに向上する。
パウダーの疎充填嵩密度は、0.08~0.5g/mLがより好ましい。パウダーの密充填嵩密度は、0.1~0.8g/mLがより好ましい。疎充填嵩密度又は密充填嵩密度が上記範囲にある場合、パウダーのハンドリング性が優れる。
Fポリマーのパウダー粒子は、Fポリマー以外の成分を含んでいてもよいが、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。パウダー粒子におけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。上記成分としては、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシドが挙げられる。
本発明における溶媒は、25℃で液体の極性溶媒が好ましい。また、溶媒は、水性溶媒であってもよく、非水性溶媒であってもよい。なお、溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
かかる溶媒としては、水、アミド、アルコール、スルホキシド、エステル、ケトン又はグリコールエーテルが好ましく、水、ケトン又はアミドがより好ましく、ケトン又はアミドがさらに好ましい。
溶媒の具体例としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジオキサン、乳酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、セロソルブ(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)が挙げられる。
中でも、溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン又はN-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
本発明における液状組成物は、さらに分散剤を含有するのが好ましい。分散剤は、親水性基と疎水性基を有する化合物であれば、特に限定されず、フッ素系分散剤、シリコーン系分散剤又はアセチレン系分散剤が好ましく、フッ素系分散剤が好ましい。分散剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
フッ素系分散剤としては、フルオロモノオール、フルオロポリオール、フルオロシリコーン又はフルオロポリエーテルが好ましい。
フルオロポリオールは、フルオロ(メタ)アクリレートと水酸基を有する(メタ)アクリレートのコポリマーが好ましく、ポリフルオロアルキル基又はポリフルオロアルケニル基を有する(メタ)アクリレートとポリオキシアルキレンモノオール基を有する(メタ)アクリレートがより好ましい。
フルオロシリコーンは、側鎖の一部にC-F結合を含むポリオルガノシロキサンが好ましい。
フルオロポリエーテルは、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの水素原子の一部がフッ素原子に置換された化合物が好ましい。
液状組成物中のパウダーの割合は、10~60質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。この範囲において、物性(特に、電気特性)に優れたポリマー層を形成しやすい。
液状組成物中の分散剤の割合は、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。この範囲において、分散液中におけるパウダーの分散性がより高まり、ポリマー層の物性がより向上しやすい。
液状組成物中の溶媒の割合は、15~55質量%が好ましく、25~50質量%がより好ましい。この範囲において、分散液の塗布性が優れ、かつ層(塗膜)形成性が向上しやすい。
さらに、液状組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料を含んでいてもよい。他の材料は、分散液に溶解してもよく、溶解しなくてもよい。
かかる他の材料は、非硬化性樹脂であってもよく、硬化性樹脂であってもよい。
非硬化性樹脂としては、熱溶融性樹脂、非溶融性樹脂が挙げられる。熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミドが挙げられる。非溶融性樹脂としては、硬化性樹脂の硬化物等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、反応性基を有するポリマー、反応性基を有するオリゴマー、低分子化合物、反応性基を有する低分子化合物が挙げられる。反応性基としては、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基が挙げられる。
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、多官能シアン酸エステル樹脂、多官能マレイミド-シアン酸エステル樹脂、多官能性マレイミド樹脂、ビニルエステル樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂の具体例としては、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
ビスマレイミド樹脂としては、特開平7-70315号公報に記載される樹脂組成物(BTレジン)、国際公開第2013/008667号に記載される樹脂が挙げられる。
ポリアミック酸は、通常、Fポリマーが有する上記官能基と反応し得る反応性基を有している。
ポリアミック酸を形成するジアミン、多価カルボン酸二無水物としては、特許第5766125号公報の[0020]、特許第5766125号公報の[0019]、特開2012-145676号公報の[0055]、[0057]等に記載の化合物が挙げられる。
熱溶融性樹脂としては、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂の熱溶融性の硬化物が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート、熱可塑性ポリイミド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶性ポリエステル、ポリフェニレンエーテルが挙げられ、熱可塑性ポリイミド、液晶性ポリエステル又はポリフェニレンエーテルが好ましい。
また、かかる他の材料としては、チキソ性付与剤、消泡剤、無機フィラー、反応性アルコキシシラン、脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、難燃剤も挙げられる。
液状組成物の粘度は、50~10000mPa・sが好ましく、75~1000mPa・sがより好ましく、100~500mPa・sがさらに好ましい。この場合、表面の平滑性に優れるポリマー層が形成される。また、液状組成物の分散性に優れるだけでなく、その塗工性や異種の樹脂材料のワニスとの相溶性にも優れている。
また、液状組成物のチキソ比(η/η)は、1.0~2.2が好ましく、1.4~2.2がより好ましく、1.5~2.0がさらに好ましい。この場合、液状組成物の分散性に優れるだけでなく、ポリマー層の均質性が向上しやすい。
本発明の積層体において、金属層のポリマー層に対する剥離強度は、5N/cm以上が好ましく、10N/cm以上がより好ましい。なお、剥離強度の上限は、通常、15N/cmである。
積層体の反り率は、25%以下が好ましく、7%以下がより好ましい。この場合、積層体(プリント配線板)の伝送特性が優れる。
積層体の寸法変化率は、±1%以下が好ましく、±0.2%以下がより好ましい。この場合、積層体を多層化しやすい。
本発明の積層体では、ポリマー層を支持基板の一方の表面にのみ形成してもよく、支持基材の両方の表面に形成してもよい。
したがって、本発明の積層体の層構成としては、支持基板/ポリマー層/金属層、金属層/ポリマー層/支持基板/ポリマー層/金属層が挙げられる。「支持基板/ポリマー層/金属層」とは、支持基板とポリマー層と金属層とがこの順に配置された層構成を示し、他の層構成も同様である。
本発明の積層体は、電気特性、耐薬品性(エッチング耐性)等の物性に優れたFポリマーを含むポリマー層を有するため、フレキシブル銅張積層板やリジッド銅張積層板として、プリント配線板の製造に用いることができる。
例えば、本発明の積層体の金属層をエッチング処理して、所定のパターンの導体回路(伝送回路)に加工する方法や、金属層を電解めっき法(セミアディティブ法(SAP法)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP法)等)によって伝送回路に加工する方法によって、プリント配線板を製造できる。
プリント配線板の製造においては、伝送回路を形成した後に、伝送回路上に層間絶縁膜を形成し、層間絶縁膜上にさらに伝送回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、例えば、本発明における液状組成物によって形成できる。
また、プリント配線板においては、伝送回路上にソルダーレジスト又はカバーレイフィルムを積層してもよい。ソルダーレジスト又はカバーレイフィルムは、本発明における液状組成物によって形成できる。
プリント配線板の具体的な態様としては、本発明の積層体を多層化した多層プリント配線板が挙げられる。
多層プリント配線板の好適な態様としては、多層プリント配線板の最外層がポリマー層又はプリプレグ層であり、支持基板とポリマー層と金属層がこの順に積層された構成を1つ以上有する態様が挙げられる。上記態様における金属層は、金属層の一部が除去されて伝送回路を形成しているのが好ましい。
以上、本発明の積層体及び積層体の製造方法について説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。
本発明の積層体は、上述した実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されてもよい。
また、本発明の積層体の製造方法は、上述した実施形態の構成において、他の任意の工程を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の工程と置換されてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
1.各成分の準備
[Fポリマー]
Fポリマー1:TFEに基づく単位、NAHに基づく単位及びPPVEに基づく単位を、この順に98.0モル%、0.1モル%、1.9モル%含むコポリマー(溶融温度:300℃、380℃の溶融粘度:1×10Pa・s以下)
Fポリマー2:TFEに基づく単位及びPPVEに基づく単位を、この順に98.0モル%、2.0モル%含む、官能基を有さないコポリマー(溶融温度:305℃、380℃の溶融粘度:1×10Pa・s以下)
PTFE1:ポリテトラフルオロエチレン(380℃の溶融粘度:1×10Pa・s超)
[パウダー]
パウダー1:D50が2.6μm、D90が7.1μmである、Fポリマー1からなるパウダー
パウダー2:D50が3.5μm、D90が9.2μmである、Fポリマー2からなるパウダー
パウダー3:D50が7.2μm、D90が17.0μmである、PTFE1からなるパウダー
2.液状組成物の調製
(液状組成物1)
47質量部のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、3質量部のノニオン性フルオロポリオールと、50質量部のパウダー1とをポットに投入した後、ポット内にジルコニアボールを投入した。その後、150rpmにて1時間、ポットをころがし、パウダー1をNMPに分散させて分散液1(粘度:400mPa・s)を調製した。
(液状組成物2)
パウダー1をパウダー2に変更した以外は、液状組成物1と同様にして、液状組成物2(粘度:200mPa・s)を調製した。
(液状組成物3)
パウダー1をパウダー3に変更した以外は、液状組成物1と同様にして、液状組成物3を調製した。
3.積層体の製造
(例1)
まず、厚さ15μmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、「カプトン50EN」)の両側の表面に、液状組成物1をグラビアリバース法によりロールツーロールで塗工して、液状被膜を形成した。グラビア版は格子の180-40を使用し、ドロー比は120%とした。次いで、この液状被膜が形成されたポリイミドフィルムを、120℃にて5分間、乾燥炉に通し、加熱により乾燥させた。その後、窒素オーブン中で、乾燥被膜を380℃にて3分間、加熱した。これにより、ポリイミドフィルムの両側の表面にポリマー層を形成した。なお、各ポリマー層の厚さは6μmであった。
次に、各ポリマー層の表面に、真空スパッタリング装置を用いてスパッタリングを行って、80%のニッケルと20%のクロムとを含有する厚さ20nmの合金層及び厚さ100nmの銅層を逐次形成して、シード層を得た。その後、硫酸銅めっきにより、シード層上に厚さ10μmの銅層を形成して、積層体1を得た。
(例2)
液状組成物1を液状組成物2に変更した以外は、例1と同様にして、ポリイミドフィルムの両側の表面にポリマー層を形成した後、各ポリマー層の表面にシード層及び銅層を形成して、積層体2を得た。
(例3(比較例))
ポリマー層を形成する際の加熱条件を変更した以外は、例2と同様にして、ポリイミドフィルムの両側の表面にポリマー層を形成した後、各ポリマー層の表面にシード層及び銅層を形成して、積層体3を得た。
(例4(比較例))
液状組成物1を液状組成物3に変更した以外は、例1と同様にして、ポリイミドフィルムの両側の表面にポリマー層を形成した後、各ポリマー層の表面にシード層及び銅層を形成して、積層体4を得た。
(例5(比較例))
シード層及び銅層を形成するのに先立って、各ポリマー層の表面に、以下の条件で真空プラズマ処理を行った以外は、例4と同様にして、積層体5を得た。
[プラズマ処理条件]
・ガス種 :アルゴンガス97.0atm%、水素ガス3.0atm%
・ガス流量 :1000sccm
・処理周波数 :30kHz
・気圧 :20Pa
・放電電力密度:300W・min/m
次に、各ポリマー層の表面に、例1と同様にして、シード層及び銅層を形成して、積層体2を得た。
(例6)
液状組成物3を液状組成物1に変更した以外は、例5と同様にして、積層体6を得た。
3.測定及び評価
3-1.初期ピール強度(剥離強度)
各積層体の導体を、幅1mmの部分が残存するようにエッチングした。その後、この残存部に対して90°の角度、50mm/minの速度でピール試験を実施し、初期ピール強度を測定した。
3-2.経時後のピール強度
各積層体を、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に投入し、500時間保持した。その後、初期ピール強度の測定と同様にして、経時後のピール強度を測定した。
3-3.伝送損失
まず、各積層体に対してマイクロストリップラインの回路を形成した。一方の表面の銅層を線幅50μm、線長50mmの配線を含むシグナル層とし、他方の表面の銅層をベタのグランド層とした。これにより、サンプルを作製した。
次に、UTF(Universal Test Fixture)でサンプルを挟持し、ネットワークアナライザを使用して、42GHzの伝送損失を測定した。
3-4.表面粗さ
各積層体の銅層を塩化第二鉄水溶液に浸漬してエッチングし、純水で洗浄した。その後、ポリマー層の表面粗さ(Ra)を、JIS B 0601:2013(ISO 4287:1997、Amd.1:2009)に基づいて測定した。
なお、基準長さ(カットオフ値λc)を0.8mmとした。また、表面粗さの測定には、表面粗さ測定機(株式会社東京精密製、「SURFCOM 480A」)を使用した。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007143793000001
溶融粘度が所定の範囲にあるテトラフルオロエチレン系ポリマーを使用し、ポリマー層の表面粗さを0.1μm以下に調整した積層体1、2及び6では、ポリマー層の金属層に対する接着力の向上とともに、伝送損失の低下を抑制できた。また、酸素含有極性基を有するFポリマーの使用、ポリマー層の表面に対するプラズマ処理により、上記効果がより向上した。
本発明の積層体は、ポリマー層とプリプレグの硬化物との間の接着力が高いため、アンテナ部品、プリント配線板、パワー半導体の絶縁層、航空機用部品、自動車用部品等に加工して使用できる。

Claims (14)

  1. 厚さが5~40μmの支持基板と、380℃における溶融粘度が1×10~1×10Pa・sのテトラフルオロエチレン系ポリマーを含む表面粗さが0.1μm以下かつ厚さが1~15μmのポリマー層と、厚さが1~10μmの金属層とが、この順に積層された積層体を製造する方法であって、
    前記支持基板の表面に前記テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを含有する液状組成物を塗布し加熱して前記ポリマー層を形成し、前記ポリマー層の表面に気相成膜法により前記金属層を形成して、前記積層体を得る、積層体の製造方法。
  2. 前記パウダーの体積基準累積50%径が、3μm以下である、請求項に記載の製造方法。
  3. 前記液状組成物の粘度が、50~10000mPa・sである、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記金属層を、スパッタリング法により形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記金属層が、スパッタリング法により形成された第1部分と、電気めっき法により形成された第2部分とからなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記支持基板が、前記ポリマー層より厚い、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記ポリマー層の厚さが、1~8μmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記ポリマー層が、前記テトラフルオロエチレン系ポリマーを主成分とする緻密質層である、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、溶融温度が140~320℃のテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位及び官能基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1~9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、テトラフルオロエチレンに基づく単位及び官能基を有するモノマーに基づく単位を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記支持基板が、芳香族樹脂フィルムである、請求項1~11のいずれか1項に記載の製造方法。
  13. 前記支持基板が、芳香族ポリイミド樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂及び芳香族エポキシ樹脂からなる群から選ばれる1種以上を含む芳香族樹脂フィルムである、請求項1~12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記金属層の前記ポリマー層に対する剥離強度が、5N/cm以上である、請求項1~13のいずれか1項に記載の製造方法。
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