JP2019065061A - プリント基板用樹脂組成物および製造方法 - Google Patents

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紀生 尾澤
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Abstract

【課題】電気特性、接着性、機械物性、成形性に優れたプリント基板形成用樹脂組成物、シートおよびフィルム、その製造方法、前記シートおよびフィルムと金属の積層体、前記積層体を用いたプリント基板の提供。【解決手段】液晶ポリマーと、融点が100℃以上325℃以下であり、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する溶融成形可能なフッ素樹脂を少なくとも1種含むプリント基板形成用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、電気特性および機械物性、接着性に優れたプリント基板形成用樹脂組成物、フィルム、シートおよびその製造方法、前記フィルム、シートと金属の積層体とその製造方法、前記積層体を用いたプリント基板とその製造方法に関する。
近年、情報通信の分野では処理する情報量が以前に比べ非常に増加しており、それにともない信号の高周波化が進んできている。また、より多くの信号を伝送、処理するためや情報機器のダウンサイジングのために電子回路基板の高密度化が要求されている。その結果、これまでのプリント基板では要望に対応できない場合が生じている。
従来のプリント基板の絶縁体としては、ガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させたシートやポリイミドを用いたシートやフィルムが一般的に用いられていた。しかしながら、これら樹脂材料は誘電特性が不充分であり、高周波の情報信号を扱うプリント基板に用いると信号の伝送損失が大きくなるという問題があった。
そこで近年、誘電特性に優れた液晶ポリマーを絶縁体として用いたプリント基板が検討されている。
液晶ポリマーは、低比誘電率、低誘電正接、耐熱性、剛性等の機械物性、耐薬品性、寸法精度等に優れており、プリント基板用材料としての利用が進んでいる。しかしながら、近年の高周波プリント基板の要求は、液晶ポリマーよりもさらに低い比誘電率、低誘電正接が求められるようになってきている。
特許文献1および2には、誘電特性に優れるフッ素樹脂と液晶ポリマーの樹脂組成物が提案されている。
特開2003−171538号公報 特開2002−265729号公報 特許第4014964号公報
特許文献2では、フッ素樹脂としてポリテトラフルオロエチレンまたは、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体と液晶ポリマーの組成物が提案されているが、これらのフッ素樹脂は液晶ポリマーとの親和性に乏しく、液晶ポリマー本来の成形性、機械物性が損なわれるという課題がある。またフッ素樹脂は液晶ポリマーの接着性を低下させるため、例えば銅箔との熱圧着において銅と液晶ポリマーの接着性が低下するということも課題であった。
特許文献3では、フッ素樹脂として溶融成形可能なフッ素樹脂と液晶ポリマーの組成物を含む積層体が提案されているが、このような組成および成形方法では、組成物と他材料の接着性が不充分であり、プリント基板として使用するのは困難であった。
本発明は、電気特性、接着性、機械物性、成形性に優れたプリント基板形成用樹脂組成物、フィルム、その製造方法、前記フィルムと金属の積層体、前記積層体を用いたプリント基板を提供する。
本発明者らが検討した結果、液晶ポリマー中に特定のフッ素樹脂を含む樹脂組成物において、前記課題が解決され、電気特性、接着性、機械物性、成形性に優れるプリント基板形成用樹脂組成物が得られることがわかった。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]液晶ポリマーと、融点が100℃以上325℃以下であり、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する溶融成形可能なフッ素樹脂を少なくとも1種含む、プリント基板形成用樹脂組成物。
[2]前記官能基が、酸無水物基である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記液晶ポリマーが、サーモトロピック液晶ポリマーである、[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記液晶ポリマーの融点が、250℃以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]無機フィラーおよび有機フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]2.5GHzで測定した比誘電率が2.0以上、3.7以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]前記溶融成形可能なフッ素樹脂の含有量が、前記液晶ポリマーと前記溶融成形可能なフッ素樹脂の合計量に対して、10体積%以上である、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
[9][8]に記載のフィルムを製造する方法であって、前記樹脂組成物を、押出成形、インフレーション成形またはプレス成形のいずれかの方法で成形する、フィルムの製造方法。
[10]前記押出成形または前記プレス成形を行った後、1軸または2軸の延伸を行う、[9]に記載のフィルムの製造方法。
[11]前記延伸がインフレーション方式、フラット法1軸延伸、フラット法同時2軸延伸、フラット法逐次2軸延伸のいずれかである、[10]に記載のフィルムの製造方法。
[12][8]に記載のフィルムをコーティングにより得る方法であって、基材上に、[1]〜[7]のいずれかに記載の樹脂組成物の紛体の層、または前記液晶ポリマーの紛体と前記溶融成形可能なフッ素樹脂の紛体の混合物の層を形成し、次いで、前記液晶ポリマーおよび前記溶融成形可能なフッ素樹脂の融点以上に加熱し、溶融製膜する、フィルムの製造方法。
[13]前記フィルムとは異なる成分で構成された剥離可能なフィルムを用いる、[9]〜[12]のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
[14][8]に記載のフィルムの片面または両面に金属層が積層されている、金属積層体。
[15][14]に記載の金属積層体を製造する方法であって、前記金属層の形成方法が、ラミネート、蒸着、スパッタリング、印刷、インクジェット、メッキ、熱圧着のいずれかである、金属積層体の製造方法。
[16][14]に記載の金属積層体の、金属層をエッチングしてパターン回路を形成してプリント基板を得る、プリント基板の製造方法。
本発明によれば、誘電特性、接着性、成形性の優れた樹脂組成物、フィルム、フィルムと金属の積層体、プリント基板を得ることができる。
以下の用語の定義は、本明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「融点」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定した融解ピークの最大値に対応する温度である。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在することを意味する。
「溶融流れ速度」は、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)である。
「カルボニル基含有基」とは、構造中にカルボニル基(−C(=O)−)を有する基を意味する。
「酸無水物基」とは、−C(=O)−O−C(=O)−で表される基を意味する。
「単量体に基づく単位」とは、単量体が重合することによって直接形成された原子団と、前記原子団の一部を化学変換することで得られる原子団との総称である。
「テトラフルオロエチレン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体」とは、テトラフルオロエチレンに基づく単位と、フルオロアルキルビニルエーテルに基づく単位とを有する共重合体を示し、他の共重合体も同様である。
層構成を表す「(B)/(A)/(B)」は(B)層、(A)層、(B)層がこの順に積層されていることを示し、他の層構成も同様である。
本発明のプリント基板形成用樹脂組成物(以下、本発明の樹脂組成物とも記す。)はフッ素樹脂と液晶ポリマーを含む。
また本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲においてフッ素樹脂および液晶ポリマー以外の他の成分を含んでいてもよい。
フッ素樹脂は、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基(以下、官能基(f)と記す。)を有するフッ素樹脂である(以下、フッ素樹脂Aとも記す)。接着性の官能基(f)を有することによって、液晶ポリマーとの混和性に優れるととともに、シートおよびフィルムの成形性、機械物性を損なわない。
官能基(f)は、液晶ポリマーとの混和性に優れる点から、フッ素樹脂Aの主鎖の末端基および主鎖のペンダント基のいずれか一方または両方として存在することが好ましい。
官能基(f)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
フッ素樹脂Aは、液晶ポリマーとの混和性の点から、官能基(f)として少なくともカルボニル基含有基を有することが好ましい。
カルボニル基含有基としては、例えば、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物基等が挙げられる。
炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有する基における炭化水素基としては、例えば、炭素数2〜8のアルキレン基等が挙げられる。なお、前記アルキレン基の炭素数は、カルボニル基を構成する炭素を含まない状態での炭素数である。アルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。
ハロホルミル基は、−C(=O)−X(ただし、Xはハロゲン原子である。)で表される。ハロホルミル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。すなわちハロホルミル基としてはフルオロホルミル基(カルボニルフルオリド基ともいう。)が好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよく、炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
フッ素樹脂A中の官能基(f)の含有量は、フッ素樹脂Aの主鎖炭素数1×10個に対し10〜60000個が好ましく、100〜50000個がより好ましく、100〜10000個がさらに好ましく、300〜5000個が特に好ましい。官能基(f)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、液晶ポリマーとの混和性や他材料との接着性が著しく優れる。官能基(f)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、溶融混練時の混和性に優れる。
官能基(f)の含有量は、核磁気共鳴(NMR)分析、赤外吸収スペクトル分析等の方法によって測定できる。例えば、特開2007−314720号公報に記載のように赤外吸収スペクトル分析等の方法を用いて、フッ素樹脂Aを構成する全単位中の官能基(f)を有する単位の割合(モル%)を求め、前記割合から、官能基(f)の含有量を算出できる。
フッ素樹脂Aの融点は、100℃以上325℃以下でありフッ素樹脂Aの融点が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の耐熱性に優れる。フッ素樹脂Aの融点が前記範囲の上限値以下であれば、本発明の樹脂組成物やフィルム、シートを製造する際に汎用の装置を使用できる。
融点が比較的低いフッ素樹脂Aを用いた場合、液晶ポリマーの中でも熱分解温度が低い樹脂を使用した際も、製造工程中に樹脂の分解を引き起こさずに組成物を得ることができる。したがって、前記場合においては、フッ素樹脂Aの融点は、120℃以上220℃以下が好ましく、120℃以上200℃以下がより好ましい。
フッ素樹脂Aの融点は、フッ素樹脂Aを構成する単位の種類や割合、フッ素樹脂Aの分子量等によって調整できる。例えば、後述する単位(u1)の割合が多くなるほど、融点が上がる傾向がある。
なお、用いる液晶ポリマーが高い融点を有する場合は、フッ素樹脂Aの融点も高い方が好ましい。この場合、前記融点は220〜320℃が好ましく、260〜315℃がより好ましく、280〜310℃がさらに好ましい。前記融点は、フッ素樹脂Aを構成する単位の種類や割合、フッ素樹脂Aの分子量等によって調整できる。例えば、後述する単位(u1)の割合が多くなるほど、融点が上がる傾向がある。
フッ素樹脂Aとしては、樹脂組成物、フィルムおよびシートの製造性の点から、溶融成形が可能なものを用いる。
溶融成形が可能なフッ素樹脂Aとしては、公知の溶融成形が可能なフッ素樹脂(テトラフルオロエチレン/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体等)に官能基(f)を導入したフッ素樹脂等が挙げられる。
フッ素樹脂Aとしては、荷重49Nの条件下、フッ素樹脂Aの融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在するものを用いる。溶融流れ速度は、好ましくは0.5〜100g/10分、より好ましくは1〜30g/10分、さらに好ましくは5〜20g/10分、である。溶融流れ速度が前記範囲の下限値以上であれば、フッ素樹脂Aの成形性に優れる。溶融流れ速度が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂組成物からなるフィルムおよびシートの機械物性に優れる。
フッ素樹脂Aとしては、製造方法の違いによって、例えば、下記のものが挙げられる。
含フッ素重合体の製造の際に用いた単量体、連鎖移動剤および重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種に由来する官能基(f)を有する含フッ素重合体。以下、含フッ素重合体A1ともいう。
コロナ放電処理、プラズマ処理等の表面処理によって官能基(f)を有しないフッ素樹脂に官能基(f)を導入したフッ素樹脂。
官能基(f)を有しないフッ素樹脂に、官能基(f)を有する単量体をグラフト重合して得られたフッ素樹脂。
フッ素樹脂Aとしては、下記の理由から、含フッ素重合体A1が好ましい。
・含フッ素重合体A1においては、含フッ素重合体A1の主鎖の末端基および主鎖のペンダント基のいずれか一方または両方に官能基(f)が存在するため、液晶ポリマーとの混和性、他材料との接着性が著しく優れる。
含フッ素重合体A1における官能基(f)が、含フッ素重合体A1の製造に用いられた単量体に由来する場合、含フッ素重合体A1は、下記方法(i)によって製造できる。この場合、官能基(f)は、製造時に単量体が重合することによって形成された前記単量体に由来する単位中に存在する。
方法1:単量体の重合によって含フッ素重合体A1を製造する際に、官能基(f)を有する単量体を用いる。
含フッ素重合体A1における官能基(f)が、含フッ素重合体A1の製造に用いられた連鎖移動剤に由来する場合、含フッ素重合体A1は、下記方法2によって製造できる。この場合、官能基(f)は、含フッ素重合体A1の主鎖の末端基として存在する。
方法2:官能基(f)を有する連鎖移動剤の存在下に、単量体の重合によって含フッ素重合体A1を製造する。
官能基(f)を有する連鎖移動剤としては、酢酸、無水酢酸、酢酸メチル、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。
含フッ素重合体A1における官能基(f)が、含フッ素重合体A1の製造に用いられた重合開始剤に由来する場合、含フッ素重合体A1は、下記方法3によって製造できる。この場合、官能基(f)は、含フッ素重合体A1の主鎖の末端基として存在する。
方法3:官能基(f)を有するラジカル重合開始剤等の重合開始剤の存在下に、単量体の重合によって含フッ素重合体A1を製造する。
官能基(f)を有するラジカル重合開始剤としては、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート等が挙げられる。
含フッ素重合体A1における官能基(f)が、含フッ素重合体A1の製造に用いられた単量体、連鎖移動剤、重合開始剤のうちの2種以上に由来する場合、含フッ素重合体A1は前記方法1〜3のうちの2種以上を併用することによって製造できる。
含フッ素重合体A1としては、官能基(f)の含有量を容易に制御でき、そのため、液晶ポリマーとの混和性や他材料との接着性を調整しやすい点から、方法(i)で製造された、単量体に由来する官能基(f)を有する含フッ素重合体A11が好ましい。
官能基(f)を有する単量体としては、カルボキシ基を有する単量体(マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸等);酸無水物基を有する単量体(無水イタコン酸(以下、「IAH」とも記す。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」とも記す。)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)、無水マレイン酸等)、水酸基およびエポキシ基を有する単量体(ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル等)等が挙げられる。
単量体に由来する官能基(f)を有する含フッ素重合体A11としては、液晶ポリマーとの混和性、他材料との接着性が著しく優れる点から、下記の含フッ素重合体A11が特に好ましい。
テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」とも記す。)またはクロロトリフルオロエチレン(以下、「CTFE」とも記す。)に基づく単位(u1)(以下、単に「単位(u1)」とも記す。他の単位も同様である。)と、酸無水物基を有する環状炭化水素単量体(以下、「酸無水物基含有環状炭化水素単量体」とも記す。)に基づく単位(u2)と、含フッ素単量体(ただし、TFEおよびCTFEを除く。)に基づく単位(u3)とを有する含フッ素重合体(A11)。
ここで、単位(u2)の有する酸無水物基が官能基(f)に相当する。
単位(u2)を構成する酸無水物基含有環状炭化水素単量体としては、IAH、CAH、NAH、無水マレイン酸等が挙げられる。酸無水物基含有環状炭化水素単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸無水物基含有環状炭化水素単量体としては、IAH、CAHおよびNAHからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。IAH、CAHおよびNAHからなる群から選ばれる1種以上を用いると、無水マレイン酸を用いた場合に必要となる特殊な重合方法(特開平11−193312号公報参照)を用いることなく、酸無水物基を有する含フッ素重合体(A11)を容易に製造できる。
酸無水物基含有環状炭化水素単量体としては、液晶ポリマーとの混和性、他材料との接着性が著しく優れる点から、IAHまたはNAHが好ましい。
単位(u3)を構成する含フッ素単量体としては、重合性炭素−炭素二重結合を1つ有する含フッ素化合物が好ましく、例えば、フルオロオレフィン(フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」とも記す。)、ヘキサフルオロイソブチレン等。ただし、TFEを除く。)、CF=CFORf1(ただし、Rf1は炭素数1〜10で炭素原子間に酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキル基である。)(以下、「PAVE」とも記す。)、CF=CFORf2SO(ただし、Rf2は炭素数1〜10で炭素原子間に酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキレン基であり、Xはハロゲン原子または水酸基である。)、CF=CFORf3CO(ただし、Rf3は炭素数1〜10で炭素原子間に酸素原子を含んでもよいペルフルオロアルキレン基であり、Xは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)、CF=CF(CFOCF=CF(ただし、pは1または2である。)、CH=CX(CF(ただし、Xは水素原子またはフッ素原子であり、qは2〜10の整数であり、Xは水素原子またはフッ素原子である。)(以下、「FAE」とも記す。)、環構造を有する含フッ素単量体(ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソール、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等)等が挙げられる。
含フッ素単量体としては、含フッ素重合体(A11)の成形性、に優れる点から、HFP、PAVEおよびFAEからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、FAEおよびHFPのいずれか一方または両方がより好ましい。
PAVEとしては、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等が挙げられ、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」とも記す。)が好ましい。
FAEとしては、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH、CH=CH(CFH等が挙げられる。
FAEとしては、CH=CH(CFq1(ただし、q1は、2〜6であり、2〜4が好ましい。)が好ましく、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFHがより好ましく、CH=CH(CFFまたはCH=CH(CFFが特に好ましい。
含フッ素重合体Aが単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)とからなる場合、単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)との合計100モル%に対して、単位(u1)の含有量は、50〜99.89モル%が好ましく、50〜99.4モル%がより好ましく、50〜98.9モル%がさらに好ましい。単位(u2)の含有量は、0.01〜5モル%が好ましく、0.1〜3モル%がより好ましく、0.1〜2モル%がさらに好ましい。単位(u3)の含有量は、0.1〜49.99モル%が好ましく、0.5〜49.9モル%がより好ましく、1〜49.9モル%がさらに好ましい。
各単位の割合が前記範囲内であれば、耐熱性、耐薬品性、高温での弾性率に優れる。
単位(u2)の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体Aにおける酸無水物基の量が適切になり、液晶ポリマーとの混和性、他材料との接着性が著しく優れる。
単位(u3)の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体Aの成形性に優れ、本発明の組成物をシート状成形物としたときに耐屈曲性等に優れる。
各単位の割合は、含フッ素重合体の溶融NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等により算出できる。
含フッ素重合体Aが単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)とからなる場合、単位(u2)の割合が0.01モル%であることは、含フッ素重合体A中の酸無水物基の含有量が含フッ素重合体Aの主鎖炭素数1×10個に対して100個であることに相当する。単位(u2)の割合が5モル%であることは、含フッ素重合体A中の酸無水物基の含有量が含フッ素重合体Aの主鎖炭素数1×10個に対して50000個であることに相当する。
含フッ素重合体Aには、単位(u2)における酸無水物基の一部が加水分解し、その結果、酸無水物基含有環状炭化水素単量体に対応するジカルボン酸(イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、マレイン酸等)に基づく単位が含まれる場合がある。前記ジカルボン酸に基づく単位が含まれる場合、前記単位の割合は、モノマー単位(u2)の割合に含まれるものとする。
含フッ素重合体A11は、単位(u1)〜(u3)に加えて、フッ素を有しない単量体(ただし、酸無水物基含有環状炭化水素単量体を除く。)に基づく単位(u4)を有していてもよい。
フッ素を有しない単量体としては、重合性炭素−炭素二重結合を1つ有するフッ素を有しない化合物が好ましく、例えば、オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン等)、ビニルエステル(酢酸ビニル等)等が挙げられる。フッ素を有しない単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フッ素を有しない単量体としては、シート状成形物の機械的特性等に優れる点から、エチレン、プロピレン、1−ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
単位(u4)がエチレンである場合の各単位の好ましい割合は下記のとおりである。
単位(u1)の割合は、単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)と単位(u4)との合計100モル%のうち、25〜79.79モル%が好ましく、40〜64.47モル%がより好ましく、45〜61.95モル%がさらに好ましい。
単位(u2)の割合は、単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)と単位(u4)との合計100モル%のうち、0.01〜5モル%が好ましく、0.03〜3モル%がより好ましく、0.05〜1モル%がさらに好ましい。
単位(u3)の割合は、単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)と単位(u4)との合計100モル%のうち、0.2〜20モル%が好ましく、0.5〜15モル%がより好ましく、1〜12モル%がさらに好ましい。
単位(u4)の割合は、単位(u1)と単位(u2)と単位(u3)と単位(u4)との合計100モル%に対して、20〜74.79モル%が好ましく、35〜50モル%がより好ましく、37〜53.95モル%がさらに好ましい。
各単位の割合が前記範囲内であれば、樹脂組成物の難燃性、耐薬品性等に著しく優れる。
単位(u2)の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体A11における酸無水物基の量が適切になり、液晶ポリマーとの混和性、他材料との接着性が著しく優れる。
単位(u3)の割合が前記範囲内であれば、含フッ素重合体A11の成形性に著しく優れる。
各単位の割合は、含フッ素重合体A11の溶融NMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等により算出できる。
含フッ素重合体A11の好ましい具体例としては、TFE/NAH/PPVE共重合体、TFE/IAH/PPVE共重合体、TFE/CAH/PPVE共重合体、TFE/IAH/HFP共重合体、TFE/CAH/HFP共重合体、TFE/IAH/CH=CH(CFF/E共重合体、TFE/CAH/CH=CH(CFF/E共重合体、TFE/IAH/CH=CH(CFF/E共重合体、TFE/CAH/CH=CH(CFF/E共重合体、TFE/IAH/HFP/CH=CH(CFF/E共重合体等が挙げられる。
フッ素樹脂Aは、常法により製造できる。単量体の重合によってフッ素樹脂Aを製造する場合、重合方法としては、ラジカル重合開始剤を用いる重合方法が好ましい。
重合方法としては、塊状重合法、有機溶媒(フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等)を用いる溶液重合法、水性媒体と必要に応じて適当な有機溶媒とを用いる懸濁重合法、水性媒体と乳化剤とを用いる乳化重合法が挙げられ、溶液重合法が好ましい。
本発明の液晶ポリマー(以下、液晶ポリマーBとも記す。)は、異方性溶融相を形成する熱可塑性ポリマーであり、一般的にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるものである。具体的には熱可塑性液晶ポリエステルまたはポリエステルアミドであり、一般にサーモトロピック液晶ポリエステルまたはサーモトロピック液晶ポリエステルアミドと呼ばれるものであれば特に制限されない。また、芳香族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルアミドに、更にイミド結合、カーボネート結合、カルボジイミド結合やイソシアヌレート結合などのイソシアネート由来の結合等が導入されたポリマーであってもよい。特に熱可塑性液晶ポリエステルが好ましい。
異方性溶融相は、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより確認できる。熱可塑性液晶ポリマーの融点は250℃〜370℃が好ましく、260〜360℃がより好ましく、270〜350℃がさらに好ましい。
液晶ポリマーの例としては、ポリプラスチックス社製「ラペロス」、セラニーズ社製「ベクトラ」、上野製薬社製「UENOLCP」、住友化学社製「スミカスーパーLCP」「SOLVAY SPECIALTY POLYMERS製「XYDAR」、JX日鉱日石エネルギー社製「ザイダー」、東レ社製「シベラス」等挙げられる。
本発明の樹脂組成物におけるフッ素樹脂Aの含有量は特に限定されるものではなく、目的とする用途の要求性能により適宜選択される。添加されるフッ素樹脂Aが少なすぎる場合には、低比誘電率化、低誘電正接化、接着性向上、成形性改善効果が小さくなるので、本発明の樹脂組成物に対してフッ素樹脂Aが5〜95体積%が好ましく、10〜90体積%がより好ましく、20〜80質量%がさらに好ましい。フッ素樹脂Aの含有量が多いほど低比誘電率化、低誘電正接化、接着性向上、成形性改善の効果が高いことから、溶融成形性、本発明の積層体としての加工性、本発明のプリント基板としての特性を損なわない範囲で、フッ素樹脂Aを添加できる。
本発明の樹脂組成物は、液晶ポリマーよりも優れた誘電特性をもつプリント基板用樹脂組成物であることから、2.5GHzで測定した比誘電率は2.0以上、3.7以下が好ましい、2.0以上3.5以下がより好ましく、高周波対応のプリント基板用としては2.0以上、3・0以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、プリント基板用樹脂組成物としてすぐれた誘電特性をもつだけでなく、プリント基板材料として重要な特性である、他材料との接着性に優れている。
他材料としては、金属材料、樹脂材料、ガラス、セラミック等を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物におけるフッ素樹脂Aと液晶ポリマーBの合計量は、本発明の樹脂組成物に対して50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれる他の成分としては、液晶ポリマー、フッ素樹脂A以外の熱可塑、および熱硬化性樹脂、無機フィラー、有機フィラー、有機顔料、金属せっけん、界面活性剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、シランカップリング剤、有機化合物(例えば有機モノマー、重合度50以下の有機オリゴマー等。)等が挙げられ、無機フィラーが好ましい。
液晶ポリマーおよびフッ素樹脂A以外の熱可塑性樹脂として以下のものが挙げられる。
ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリブチレン等)、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリアリーレンスルフィド樹脂(ポリフェニレンスルフィド等)、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、フッ素樹脂A以外のフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂等)、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、未変性または変性されたポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートポリスチレン系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマー、フッ素系エラストマー(ただし、フッ素樹脂Aを除く。)およびアクリロニトリル系エラストマー等が挙げられる。
無機フィラーとしては、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、珪藻土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、炭素繊維、ガラスバルーン、炭素バルーン、木粉、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。無機フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機フィラーは、樹脂への分散性の向上の点から、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等の表面処理剤による表面処理が施されてもよい。
無機フィラーを含む場合、無機フィラーの含有量は、フッ素樹脂Aと液晶ポリマーBの合計100質量部に対して0.1〜100質量部が好ましく、0.1〜60質量部がより好ましい。
有機フィラーとしては、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリテトラフルオロエチレンパウダー等が挙げられる。
他の添加剤に関しては、本発明の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で任意の割合を添加できる。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の熱可塑性樹脂組成物の製造方法を広く採用できる。具体的には、各成分を、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、2軸混練押出機、ニーダーなどで溶融混練することによって樹脂組成物を製造できる。
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、本発明のシート状成形物に用いられる樹脂組成物を製造することもできる。
さらに、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによっても製造することもできる。
また、例えば液晶ポリマー、フッ素樹脂Aを冷凍粉砕等で粉砕しパウダー化したのち、ヘンシェルミキサー等で混合することによっても本発明の樹脂組成物を製造できる。また、それぞれのパウダーは水系、もしくは有機系溶剤に分散させ、撹拌することによっても本発明の樹脂組成物を製造できる。
本発明のフィルムは本発明の樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物はプリント基板に用いられることから、等方的なフィルムの成形方法を選ぶ必要がある。等方的なフィルムを成形するため、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形、コーティングなどを用いることができる。
押出成形法、インフレーション成形を用いる場合、液晶ポリマーと溶融成形可能なフッ素樹脂の溶融混練と前記溶融混練物のフィルム化を1つの装置で行うこともできる。
押出成形法としてTダイ法を用いた方法により、本発明の樹脂組成物よりなるフィルムを製造できる。押出機として1軸もしくは2軸スクリューの押出機を用い、押出機内で溶融された本発明の樹脂組成物を押出機先端部に設置された、Tダイより押し出すことにより平坦状のフィルムを得ることができる。
プレス成形法として、本発明の樹脂組成物の融点以上に加熱したプレス装置内に、目的とするフィルムの厚み、サイズに応じた金型を設置し、金型内で本発明の樹脂組成物を加熱、溶融、加圧することで、平坦上のフィルムを製造することもできる。
押出し成形法またはプレス成形法で得られたフィルムは、より等方的なフィルムを得るために1軸または2軸の延伸を行うことが好ましい。延伸方法としては後述するインフレーション方式、フラット法1軸延伸、フラット法同時2軸延伸、フラット法逐次2軸延伸が好ましい。等方的なフィルムを得るためには2軸延伸を用いることが特に好ましい。
前記、延伸工程は、押出成形またはプレス成形によって得られたフィルムを、本発明の樹脂組成物のガラス転移温度以上、融点以下の範囲で加熱し、軟化したフィルムを1方向(1軸、MD方向)、または90°異なる2方向(2軸、MD方向およびTD方向)に延伸する工程である。
本発明の樹脂組成物からなるフィルムの厚さは、特に制限されないが、3μm〜5mm、好ましくは5〜800μm、さらに好ましくは10〜200μmである。
前記押出成形法による本発明の樹脂組成物からなるフィルムの製造方法は、積層体形成工程、延伸工程、冷却工程および剥離工程を経て製造することも好ましい。
(積層体形成工程)
この工程は、本発明の樹脂組成物よりなるフィルムの両面または片面に、本発明の樹脂組成物とは異なる熱可塑性樹脂(以下、「他の熱可塑性樹脂」とも記す。)からなる剥離可能なフィルムをラミネートし、積層体を形成する工程である。ラミネート前の本発明の樹脂組成物からなるフィルムは、通常のTダイ法、熱プレス等によって作成される。
ラミネート法としては、熱圧着法、表面処理法など、後工程での剥離を阻害しない方法であれば特に制限されない。
前記のようにして積層体を製造する場合、その装置としては、熱圧着ロールや、熱プレス装置、ラミネーターが用いられる。熱圧着ロールを用いる場合、本発明の樹脂組成物からなるフィルムと他の熱可塑性樹脂よりなる剥離可能なフィルムを重ね、熱圧着ロールを通過させることにより熱圧着する。
熱プレス装置を用いる場合、その熱プレス装置の底板上に、本発明の樹脂組成物からなるフィルムと他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルムを重ね、その上から上板で所定時間加圧して熱圧着し、冷却する。
積層体を形成する工程を、本発明の樹脂組成物の溶融状態で行うこともできる。すなわち一対の熱圧着ロールを用い、二枚の他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルムの間隙に、Tダイより押し出された溶融状態の本発明の樹脂組成物を供給し、この熱圧着ロールの間隙部で積層体を成形するというものである。
積層体を形成する方法として、2層または3層の多層ダイを用いた共押出を用いることで、本発明の樹脂組成物からなる層と他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層の多層体を形成することもできる
また、その両面または片面にラミネートさせる他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
前記の他の熱可塑性樹脂としては、特に制限はされないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ三フッ化塩化エチレン等を例示できる。熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルムとしては、多孔質体のものを使用してもよい。
(延伸工程)
前記積層体形成工程で得られた積層体を、その他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層は軟化(ガラス転移点温度以上)させるが、実質的に溶融せずに本発明の樹脂組成物からなる層を軟化ないし溶融させる温度条件下で、1軸または2軸に延伸する工程である。延伸装置としては、従来公知の延伸装置を用いることができる。
前記積層体形成工程と延伸工程は、連続的に行うこともできる。これはTダイより供給された本発明の樹脂組成物を溶融状態のまま積層し、冷却固化する前に延伸するというものである。
(冷却工程)
前記延伸工程で得られた積層体延伸物を冷却し、溶融状態の本発明の樹脂組成物層を冷却固化する工程であり、冷却ロール等を用いて実施できる。また、自然冷却してもよい。
以上で得られた積層構造のフィルムを本発明の樹脂組成物の成分である液晶ポリマーの融点付近で熱処理することもできる。このような熱処理によって、熱膨張係数を調整できる。
(剥離工程)
前記冷却工程で得られた積層体延伸物から、その片面または両面にラミネートされている、他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層を剥離する工程である。剥離は、T剥離法(90°剥離法)、180°剥離法等の剥離法などの公知の方法により達成できる。
インフレーション成形法として、特に制限はないが、環状ダイ(丸ダイ、サーキュラーダイ)から押し出された本発明の樹脂組成物を溶融状態でMDとTDの2方向に延伸でき、等方性のフィルムを得ることができる。
インレーション成形法においては、引き取りと膨張によってMDおよびTDに機械的に延伸され、MDおよびTDの両方向に分子を配向させることができる。また、他の熱可塑性樹脂と共押出することにより、多層構造でインフレーション成形を行い、冷却固化後に異なる成分の剥離可能なフィルムを剥離することにより、本発明の樹脂組成物のシートを得ることもできる。
すなわち、本発明の樹脂組成物と他の熱可塑性樹脂を環状ダイから押出し、インフレーション法によって積層構造のフィルムとする。積層構造のフィルムは、1つの本発明の樹脂組成物の層と1つの他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層からなる2層構造のフィルム(タイプ1)、2つの他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層の間に1つの本発明の樹脂組成物層が挟み込まれた3層構造のフィルム(タイプ2)、2つの本発明の樹脂組成物から成る層の間に1つの他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層が挟み込まれた3層構造のフィルム(タイプ3)など、種々の構造のものを含むが、タイプ1または3が好ましく、タイプ1がより好ましい。
積層構造のフィルムにおける本発明の樹脂組成物よりなる層(後述する分離工程を経た後は、本発明のフィルムとなる)の厚さには特に制限はないが、3〜150μmの範囲内が好ましく、10〜50μmの範囲内がより好ましい。また、積層構造のフィルムにおける他の熱可塑性樹脂よりなる剥離可能なフィルム層(後述の分離工程を経た後は、他の熱可塑性樹脂のフィルムとなる)の厚さについても、特に限定されるものではなく、積層構造のフィルムを製造する際の条件に応じて、適宜設定できるが、通常、本発明の樹脂組成物よりなる層と同等あるいはそれ以上とするのがよく、本発明の樹脂組成物からなる層の2倍の厚さを上限とすることが好ましい。
そして、本発明では、以上で得られた積層構造のフィルムを本発明の樹脂組成物の成分である液晶ポリマーの融点付近で熱処理することもできる。このような熱処理によって、熱膨張係数を調整できる。
本発明の製造方法においては、積層構造のフィルムを前記のように熱処理した後、同フィルムの本発明の樹脂組成物よりなる層と他の熱可塑性樹脂からなる剥離可能なフィルム層を剥離し、目的とする本発明の樹脂組成物よりなるフィルムを得る。剥離は、T剥離法(90°剥離法)、180°剥離法等の剥離法などの公知の方法により達成できる。
コーティングとしては本発明の樹脂組成物の紛体、またはフッ素樹脂Aの粉体と液晶ポリマーBの紛体との紛体混合物を用いたパウダーコーティング、前記紛体または紛体混合物を溶剤や水等に分散させた分散液のコーティングを用いることができる。
本発明の樹脂組成物の紛体(以下、「粉体(Y)」とも記す。)における、フッ素樹脂Aと液晶ポリマーBとの合計100体積%のうちのフッ素樹脂Aと液晶ポリマーBの割合の好ましい範囲は、前記本発明の樹脂組成物における範囲と同様である。
粉体(Y)の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。前記平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。
粉体(Y)は、例えば、下記の手順にて製造できる。
本発明の樹脂組成物を溶融混練する。本発明の樹脂組成物の溶融物をストランド状に押し出す。ストランドをペレタイザで切断してペレット化する。ペレットを機械的に粉砕する。粉砕物を分級し、粉体を得る。
ペレットを機械的に粉砕できる装置としては、ハンマーミル、ピンミル、ディスクミル、ロータリーミル、ジェットミル、流動床エアジェットミル、ジョークラッシャ、ジャイレートリークラッシャ、ケージミル、パンクラッシャ、ボールミル、ペブルミル、ロッドミル、チューブミル、ディスクアトリションミル、アトライター、ディスクリファイナ等が挙げられる。
ペレットの粉砕は、粉砕物の平均粒子径を小さくしやすい点から、ペレットを−40℃以下の温度に冷却して行うことが好ましい。冷却温度は、−100℃以下がより好ましく、−160℃以下がさらに好ましい。冷却方法としては、ドライアイスまたは液体窒素を用いる方法が挙げられる。
フッ素樹脂Aの紛体と液晶ポリマーBの紛体との紛体混合物(以下、「粉体混合物」とも記す。)は、フッ素樹脂Aの粉体と、液晶ポリマーBの粉体とを、フッ素樹脂Aの割合および液晶ポリマーBの割合が、前記本発明の樹脂組成物における好ましい割合となるように混合することによって調製される。
フッ素樹脂Aの粉体の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。前記平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。
液晶ポリマーBの紛体の平均粒子径は、0.02〜200μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。前記平均粒子径が前記範囲の下限値以上であれば、粉体の作業取扱性に優れる。
フッ素樹脂Aの粉体および液晶ポリマーBの紛体は、前記粉体(Y)を製造する手順と同様の手順にて製造できる。
コーティングの際は、基材を用いるが基材としては任意のもの用いることができる。基材としては、金属基材、ガラス基材、樹脂基材等を用いることができる。後工程において各成分の融点以上に加熱するため、樹脂基材としてはフッ素樹脂Aと液晶ポリマーBよりも高融点な熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の基材が好ましい。
前記基材の上に、前記紛体または紛体混合物をコーティングすることにより、前記紛体または紛体混合物からなる層を形成する。
パウダーコーティングとしては、紛体塗装、静電塗装を用いることができる。
分散液のコーティングとしては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、バー塗布法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、グラビアオフセット法、ナイフコート法、キスコート法、バーコート法、ダイコート法、ファウンテンメイヤーバー法、スロットダイコート法等の公知の湿式コーティング方法が挙げられる。
前記湿式コーティングの場合は、溶剤または水を乾燥させることで、前記紛体または紛体混合物からなる層を形成することができる。
乾燥方法は、特に限定されず、例えば、オーブンにより加熱する方法、連続乾燥炉により加熱する方法、赤外線等の熱線照射により加熱する方法等が挙げられる。乾燥は、1段階で実施してもよく、異なる温度にて2段階以上で実施してもよい。
コーティング後、フッ素樹脂Aおよび液晶ポリマーBの融点以上に加熱し溶融製膜することにより、本発明のフィルムを製造できる。
溶融製膜するための加熱方法としては、特に制限されず、オーブン加熱、熱線照射加熱、連続乾燥炉による加熱、熱板や熱ロールによる加熱等が挙げられる。
その他、特に制限されるもではないが、本発明のフィルムを製造する方法として下記に公知となっている方法等を用いることができる。
特公平01−34134号公報 、特開平03−152131号公報 、特開平05−43664号公報、特開昭63−199622号公報 、特開平01−130930号公報 、特開平02−89616号公報 、特表平04−506779号公報、特開平02−89617号公報 、特開昭63−264323号公報 、特開平02−89617号公報 、特開昭63−31729号公報、特開平02−178016号公報 、特開平07−323506号公報 、特開平09−131789号公報、特開平04−166309号公報。
本発明のフィルムは、その表面に金属層を形成させることにより、金属と本発明のフィルムの積層体(本明細書において「金属積層体」ともいう。)とすることができる。この場合、金属としては、銅、ニッケル、ニッケル合金、アルミニウム、銀、金、スズ、ステンレススチール等の各種のものが挙げられる。
本発明のフィルムからなる層を(A)、金属からなる層を(B)とした場合、層構成としては例えば(A)/(B)、(B)/(A)/(B)を挙げることができる。
なお(A)層としては、本発明の樹脂組成物を含浸させたガラスクロスを用いることもできる。
また、前記層構成のほか、(A)層および(B)層と、これらとは異なる(C)層を用いた多層構造とすることもできる。
(C)層としては、例えば、プリプレグ、ガラス部材、セラミックス部材、樹脂フィルムが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物のうち、フッ素樹脂Aの配合比率が異なる複数の樹脂組成物を用いたフィルムからなる多層構成と金属の積層体とすることもできる。
本発明のフィルム表面に金属層を形成する方法としては、フィルム上に金属箔を積層し、両層を接着(ラミネート、熱圧着)させる方法や、スパッタリングや蒸着などの物理法(乾式法)、メッキ(無電解メッキや無電解メッキ後の電解メッキを含む)などの化学法(湿式法)、導電性をもつインクを用いたスクリーン印刷等の印刷法、導電性をもつインクを用いたインクジェット法、イオンプレーティング等が挙げられる。
金属箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔が好ましく用いられる。
金属層との接着性を向上させるため、本発明のフィルム上に表面処理を行うことができる。表面処理としてはプラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理等を行うことができる。
金属層の厚みは特に制限されないが、使用する用途によって適宜選択される。
本発明による金属、フィルムの積層体は、プリント基板用材料として使用し得る他、高放熱基板、アンテナ基板等の用途に用いることができる。
本発明のプリント基板の製造方法は、本発明のフィルムと金属の積層体の製造方法により積層体を製造し、前記金属層をエッチングしてパターン回路を形成してプリント基板を得る方法である。金属層のエッチングは、公知の方法を採用できる。
本発明のプリント基板の製造方法においては、金属層をエッチングしてパターン回路を形成した後に、前記パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、前記層間絶縁膜上にさらにパターン回路を形成してもよい。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にソルダーレジストを積層してもよい。
プリント基板の製造においては、カバーレイフィルムを積層してもよい。カバーレイフィルムは、典型的には、基材フィルムと、その表面に形成された接着剤層とから構成され、接着剤層側の面がプリント基板に貼り合わされる。カバーレイフィルムの基材フィルムとしては、例えば、本発明のフィルムを使用できる。また、金属層をエッチングして形成したパターン回路上に、本発明のフィルムを用いた層間絶縁膜(接着層)を形成し、カバーレイフィルムとしてポリイミドフィルムを積層してもよい。
本発明の製造方法で得られるプリント基板は、高周波特性が必要とされるレーダー、ネットワークのルーター、バックプレーン、無線インフラ等の電子機器用基板や自動車用各種センサ用基板、エンジンマネージメントセンサ用基板として有用であり、特にミリ波帯域の伝送損失低減を目的とする用途に好適である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(混和性の評価(ストランドカット性))
下記、実施例1等のペレタイザーによるストランドのカット性を観察し、混和性の違いによるストランドのカット性を評価した。カット性が良い場合は「A」、カット性が一部不良な場合を「B」、カット不良の場合を「C」とした。
(混和性の評価(プレスフィルム外観))
目視により、下記実施例1等のプレスフィルムの表面を観察し、添加物の凝集による表面荒れの観察をした。表面に添加物の凝集による表面荒れが全く見られなかったものを「A」、わずかに荒れが見られたものを「B」、全体的に荒れが見られたものを「C」とした。表面に添加物の凝集による表面荒れが全く見られなかったものを「A」、わずかに荒れが見られたものを「B」、全体的に荒れが見られたものを「C」とした。
(比誘電率の測定)
下記、実施例1等のプレスフィルムを用い、スプリットポスト誘電体共振器法(SPDR法)により、23℃±2℃、60±5%RHの環境下にて周波数2.5GHzの比誘電率を求めた。
含フッ素重合体A:官能基(f)の種類:カルボニル基含有基、官能基(f)の含有量:含フッ素樹脂Aの主鎖炭素数1×10個に対し1000個、比重:2.15、融点:300℃、溶融流れ速度(372℃、荷重49N):22g/10分)。前記樹脂は、国際公開公報第2015/182702号の実施例5と同様に製造し、TFE/NAH/PPVEのモル比は、97.9/0.1/2であった。
実施例および比較例で用いた他の材料は以下のとおりである。
B:液晶ポリマー:上野製薬社製UENO LCP 6030G(融点320℃)比重1.62。ガラス繊維含有量30質量%。
C1:官能基を持たないフッ素樹脂:FLUON PFA P63(融点300℃)比重2.15
C2:PTFEパウダー:旭硝子社製FLUON L169J 比重2.17
実施例1〜4:
含フッ素重合体Aと液晶ポリマーを表1に示す割合でドライブレンドし、2軸押出機(テクノベル社製、KZW15TW−45MG)に投入し、樹脂吐出量:2.0kg/時間、スクリュー回転数:200rpm、設定樹脂温度:370℃の条件にて溶融混練し、押し出されたストランドを冷却後、ペレタイザーによりカットし樹脂材料を得た。ペレタイザーによるカット時にストランドのカット性を評価した。
得られた樹脂材料をテスター産業社製メルト熱プレス機でプレス成形し、1.0mm厚のシートを得た。プレス条件は、加工温度370℃、予熱10分、圧力10MPa、プレス時間3分間とした。得られたフィルムを用いて、プレスシート外観を評価し、比誘電率を測定した。結果を表1に記す。なお、表1において含フッ素重合体Aおよび液晶ポリマーの割合は、含フッ素重合体Aおよび液晶ポリマーの合計に対するそれぞれの体積パーセントである。体積%の計算には前記の比重を用いた。
比較例1:
含フッ素樹脂重合体Aの代わりに前記官能基を持たないフッ素樹脂を使用した以外は、実施例1と同様にフィルムを作製しプレスフィルム外観を観察した。結果を表1に記す。
比較例2:
フッ素樹脂Aの代わりに前記PTFEパウダーを使用した以外は、実施例1と同様にフィルムを作製しプレスフィルム外観を観察した。結果を表1に記す。
実施例1〜4は、成形性、表面性に優れるとともに、比誘電率が、液晶ポリマーよりも低下し低誘電率化していることがわかった。
Figure 2019065061

Claims (16)

  1. 液晶ポリマーと、融点が100℃以上325℃以下であり、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する溶融成形可能なフッ素樹脂を少なくとも1種含む、プリント基板形成用樹脂組成物。
  2. 前記官能基が、酸無水物基である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記液晶ポリマーが、サーモトロピック液晶ポリマーである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記液晶ポリマーの融点が、250℃以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  5. 無機フィラーおよび有機フィラーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  6. 2.5GHzで測定した比誘電率が2.0以上、3.7以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  7. 前記溶融成形可能なフッ素樹脂の含有量が、前記液晶ポリマーと前記溶融成形可能なフッ素樹脂の合計量に対して、10体積%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  9. 請求項8に記載のフィルムを製造する方法であって、前記樹脂組成物を、押出成形、インフレーション成形またはプレス成形のいずれかの方法で成形する、フィルムの製造方法。
  10. 前記押出成形または前記プレス成形を行った後、1軸または2軸の延伸を行う、請求項9に記載のフィルムの製造方法。
  11. 前記延伸がインフレーション方式、フラット法1軸延伸、フラット法同時2軸延伸、フラット法逐次2軸延伸のいずれかである、請求項10に記載のフィルムの製造方法。
  12. 請求項8に記載のフィルムをコーティングにより得る方法であって、基材上に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の樹脂組成物の紛体の層、または前記液晶ポリマーの紛体と前記溶融成形可能なフッ素樹脂の紛体の混合物の層を形成し、次いで、前記液晶ポリマーおよび前記溶融成形可能なフッ素樹脂の融点以上に加熱し、溶融製膜する、フィルムの製造方法。
  13. 前記フィルムとは異なる成分で構成された剥離可能なフィルムを用いる、請求項9〜12のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  14. 請求項8に記載のフィルムの片面または両面に金属層が積層されている、金属積層体。
  15. 請求項14に記載の金属積層体を製造する方法であって、前記金属層の形成方法が、ラミネート、蒸着、スパッタリング、印刷、インクジェット、メッキ、熱圧着のいずれかである、金属積層体の製造方法。
  16. 請求項14に記載の金属積層体の、金属層をエッチングしてパターン回路を形成してプリント基板を得る、プリント基板の製造方法。
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