JP6954293B2 - 金属積層板およびその製造方法、ならびにプリント基板の製造方法 - Google Patents

金属積層板およびその製造方法、ならびにプリント基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属積層板およびその製造方法、ならびにプリント基板の製造方法に関する。
近年、エレクトロニクス製品の軽量化、小型化、高密度化に伴い、各種プリント基板の需要が伸びている。プリント基板には、たとえば、ポリイミド等の絶縁材料からなる絶縁層上に、接着層を介して金属箔からなる導電層が積層された金属積層板が用いられる。該金属積層板の導電層がパターニングされて回路が形成されることで、プリント基板とされる。最近では、プリント基板に、高周帯域の周波数に対応する優れた電気特性(低誘電率等)が求められている。
誘電率が低く、プリント基板に有用な絶縁層として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる平均粒径が0.02〜5μmのフルオロポリマー微細粉末(樹脂パウダー)と、ポリイミドとを含む基板が提案されている(特許文献1)。また、カルボニル基含有基等の官能基を有する含フッ素共重合体を含む平均粒径が0.02〜50μmの樹脂パウダーと、ポリイミド等の熱硬化性樹脂とを含む基板も提案されている(特許文献2)。
日本特開2005−142572号公報 国際公開第2016/017801号
しかし、本発明者等が検討したところ、絶縁層/接着層/導電層、または導電層/接着層/絶縁層/接着層/導電層のような積層構成のプリント基板では、特許文献1、2の基板を絶縁層とした場合に、絶縁層と接着層の層間、または接着層と導電層の層間の接着強度が充分に得られないことがあることがわかった。樹脂パウダーの含有量を減らせば、前記層間の接着強度は改善されるが、優れた電気特性を確保することが困難になる。
本発明は、優れた電気特性を確保しつつ、絶縁層と接着層の層間、および接着層と導電層の層間において充分な接着強度が得られる金属積層板およびその製造方法、ならびに該金属積層板を用いたプリント基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、絶縁層に含まれる樹脂パウダーが粒径10μm以上の粒子を含み、絶縁層の接着層側の表面が適度に粗くなることで、アンカー効果により絶縁層と接着層との層間の接着強度が高くなることを見出した。また、樹脂パウダーに含まれる粒子の粒径を、該粒子が接着層と導電層の層間まで到達しないように制御することで、接着層と導電層の接着が樹脂パウダーで阻害されることが抑制され、接着層と導電層の層間で充分な接着強度が確保されることを見出した。これらの知見に基づき、本発明を完成させた。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]絶縁層と、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に設けられた接着層と、前記接着層の前記絶縁層と反対側の表面に設けられた導電層とを備え、
前記絶縁層が、フッ素樹脂を含む樹脂パウダーを含み、
前記樹脂パウダーが、粒径10μm以上の粒子を含み、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まず、
前記絶縁層の前記接着層が設けられた表面の表面粗さが0.5〜3.0μmである、金属積層板。
[2]前記絶縁層中の前記の粒径10μm以上の粒子の含有量が5〜18体積%である、[1]に記載の金属積層板。
[3]前記樹脂パウダーが、更に粒径10μm未満の粒子を含み、粒径10μm以上の粒子と粒径10μm未満の粒子の合計体積(100体積%)に対して、前記の粒径10μm以上の粒子の含有量が8〜63体積%であり、粒径10μm未満の粒子の含有量が37〜92体積%である、[1]または[2]に記載の金属積層板。
[4]前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む単位(1)と、テトラフルオロエチレンに基づく単位(2)とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の金属積層板。
[5]前記含フッ素共重合体が、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位(3−1)をさらに有し、全単位の合計に対して、前記単位(1)の割合が0.01〜3モル%であり、前記単位(2)の割合が90〜99.89モル%であり、前記単位(3−1)の割合が0.1〜9.99モル%である、[4]に記載の金属積層板。
[6]前記含フッ素共重合体が、ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位(3−2)をさらに有し、全単位の合計に対して、前記単位(1)の割合が0.01〜3モル%であり、前記単位(2)の割合が90〜99.89モル%であり、前記単位(3−2)の割合が0.1〜9.99モル%である、[4]または[5]に記載の金属積層板。
[7]前記単位(1)が、カルボニル基含有基を含む単位を含み、前記カルボニル基含有基が、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基および酸無水物残基からなる群から選択される少なくとも1種である、[4]〜[6]のいずれかに記載の金属積層板。
[8]前記絶縁層および前記接着層の比誘電率がともに2.1〜3.5である、[1]〜[7]のいずれかに記載の金属積層板。
[9]前記絶縁層がポリイミドをさらに含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の金属積層板。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の金属積層板の製造方法であって、フッ素樹脂を含み、かつ、粒径10μm以上の粒子を含み、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない樹脂パウダーを用いて前記絶縁層を形成し、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に接着層を介して導電層を積層する、金属積層板の製造方法。
[11]粒径ピークが10〜100μmである樹脂パウダー(α)と、粒径ピークが0.3〜8μmである樹脂パウダー(β)とを混合した樹脂パウダーを用いる、[10]に記載の金属積層板の製造方法。
[12]前記樹脂パウダー(α)と前記樹脂パウダー(β)の少なくとも一方が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む単位(1)と、テトラフルオロエチレンに基づく単位(2)とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、[10]または[11]に記載の金属積層板の製造方法。
[13]前記樹脂パウダーを液状媒体に分散した分散液を用いて前記絶縁層を形成する、[10]〜[12]のいずれかに記載の金属積層板の製造方法。
[14][1]〜[9]のいずれかに記載の金属積層板の前記導電層をエッチングし、パターン回路を形成してプリント基板を得る、プリント基板の製造方法。
[15]フッ素樹脂を含む樹脂パウダーを含む絶縁層であって、前記絶縁層中の前記樹脂パウダーが、粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体の少なくとも一方を含み、絶縁層を形成する材料の総体積に対する前記粒子および凝集体の含有量が5〜18体積%である絶縁層。
[16]前記樹脂パウダーが、更に粒径10μm未満の粒子を含み、粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体と粒径10μm未満の粒子の合計体積(100体積%)に対して、前記の粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体の含有量が8〜63体積%であり、粒径10μm未満の粒子の含有量が37〜92体積%である、[15]に記載の絶縁層。
[17]前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する単位と、テトラフルオロエチレンに基づく単位とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、[15]または[16]の絶縁層。
[18]比誘電率が2.1〜3.5である、請求項15〜17のいずれか一項に記載の絶縁層。
[19][15]〜[18]のいずれか一項に記載の絶縁層の製造方法であって、粒径ピークが10〜100μmであるパウダー(a)と、粒径ピークが0.3〜8μmであるパウダー(b)とを混合した樹脂パウダーを液状媒体に分散した分散液を用いて前記絶縁層を形成する、絶縁層の製造方法。
[20]絶縁層と、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に設けられた接着層と、前記接着層の前記絶縁層と反対側の表面に設けられた導電層とを備え、前記絶縁層が、[15]〜[18]のいずれか一項に記載の絶縁層であり、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子および粒径10μm以上の凝集体のいずれも含まない金属積層板。
本発明の金属積層板では、優れた電気特性を確保しつつ、絶縁層と接着層の層間、および接着層と導電層の層間において充分な接着強度が得られる。
本発明の金属積層板の製造方法によれば、優れた電気特性を確保しつつ、絶縁層と接着層の層間、および接着層と導電層の層間において充分な接着強度が得られる金属積層板を製造できる。
本発明のプリント基板の製造方法によれば、優れた電気特性を確保しつつ、絶縁層と接着層の層間、および接着層と導電層の層間において充分な接着強度が得られるプリント基板を製造できる。
本発明の金属積層板の一例を示した模式断面図である。 本発明の金属積層板の他の例を示した模式断面図である。
本明細書における下記の用語の意味は以下の通りである。
「表面粗さ」は、段差計であるサーフコーダ(小坂研究所社製、型番:ET200)により塗膜表面の段差測定を行い、塗膜表面の算術平均粗さを求めた値である。
「比誘電率」は、SPDR(スピリットポスト誘電体共振器)法により、23℃±2℃、50±5%RHの範囲内の環境下にて、周波数2.5GHzで測定される値である。
「樹脂パウダーの平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法により求められる体積基準累積50%径(D50)である。すなわち、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「樹脂パウダーの体積基準累積90%径(D90)」とは、レーザー回折・散乱法により求められる体積基準累積90%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法により粒度分布を測定し、粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が90%となる点の粒子径である。
「溶融成形可能」であるとは、溶融流動性を示すことを意味する。
「溶融流動性を示す」とは、荷重49Nの条件下、樹脂の融点よりも20℃以上高い温度において、溶融流れ速度が0.1〜1000g/10分となる温度が存在することを意味する。
「溶融流れ速度」とは、JIS K 7210:1999(ISO 1133:1997)に規定されるメルトマスフローレート(MFR)である。
重合体における「単位」は、単量体が重合することによって形成された、該単量体に1分子に由来する原子団を示す。単位は、重合反応によって直接形成された原子団であってもよく、重合反応によって得られた重合体を処理することによって該原子団の一部が別の構造に変換された原子団であってもよい。
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートとメタクリレートの総称である。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの総称である。
「耐熱性樹脂」とは、融点が280℃以上の高分子化合物、またはJIS C 4003:2010(IEC 60085:2007)で規定される最高連続使用温度が121℃以上の高分子化合物である。
[金属積層板]
本発明の金属積層板は、絶縁層と、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に設けられた接着層と、前記接着層の前記絶縁層と反対側の表面に設けられた、金属で構成される導電層とを備える。本発明の金属積層板における接着層および導電層は、絶縁層の厚さ方向の片面のみに設けてもよく、絶縁層の厚さ方向の両面に設けてもよい。本発明の金属積層板の積層構成としては、例えば、絶縁層、接着層、導電層がこの順に積層されている積層構造(「絶縁層/接着層/導電層」とも記す。以下同様)、および、導電層/接着層/絶縁層/接着層/導電層が挙げられる。
絶縁層としては、例えば、フィルム、または繊維強化フィルムを用いることができる。フィルムに用いる樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂の硬化物であってもよいが、耐熱性樹脂が好ましい。
耐熱性樹脂としては、例えば、ポリイミド(芳香族ポリイミド等。)、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリアリルスルホン(ポリエーテルスルホン等。)、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエーテルアミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、液晶ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。なかでも、耐熱性樹脂としては、ポリイミドが好ましい。耐熱性樹脂としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
フィルムを形成する樹脂としては、前記したもののうち、後述する官能基(i)と反応する反応性基(ii)を有することが好ましい。反応性基(ii)としては、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
絶縁層としては、ポリイミドフィルムを用いることが特に好ましい。
繊維強化フィルムは、強化繊維基材と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の硬化物を含有するフィルムである。
繊維強化フィルムに用いる強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維等が挙げられる。強化繊維は、表面処理が施されているものであってもよい。強化繊維としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
強化繊維基材の形態としては、繊維強化フィルムの機械的特性の点から、シート状に加工されたものが好ましい。具体的には、例えば、複数の強化繊維からなる強化繊維束を織成してなるクロス、複数の強化繊維が一方向に引き揃えられた基材、それらを積み重ねたもの等が挙げられる。強化繊維は、強化繊維シートの長さ方向の全長または幅方向の全幅にわたり連続している必要はなく、途中で分断されていてもよい。
本発明では、絶縁層が樹脂パウダーを含む。具体的には、例えば、絶縁層を樹脂パウダーを含むフィルムとする。
樹脂パウダーは、フッ素樹脂を必須として含み、必要に応じて、フッ素樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。
樹脂パウダーを形成するフッ素樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)、テトラフルオロエチレン(以下、「TFE」という。)/フルオロアルキルビニルエーテル共重合体、TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/TFE共重合体等が挙げられる。樹脂パウダーを形成するフッ素樹脂としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
樹脂パウダーを形成するフッ素樹脂としては、接着性の点から、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基(以下、「官能基(i)」ともいう。)を有するものが好ましく、官能基(i)を有する単位(1)と、TFEに基づく単位(以下、「TFE単位」ともいう。)とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体(X)(以下、重合体(X)という。)がより好ましい。
重合体(X)は、必要に応じて、単位(1)およびTFE単位以外の単位をさらに有してもよい。単位(1)およびTFE単位以外の単位としては、後述のPAVE単位やHFP単位等のペルフルオロの単位が好ましい。
官能基(i)におけるカルボニル基含有基としては、構造中にカルボニル基を含む基であれば特に制限はなく、例えば、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基、酸無水物残基、ポリフルオロアルコキシカルボニル基、脂肪酸残基等が挙げられる。なかでも、機械粉砕性向上、接着性向上の点から、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基または酸無水物残基が好ましく、カルボキシ基または酸無水物残基がより好ましい。
炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基における炭化水素基としては、例えば、炭素原子数2〜8のアルキレン基等が挙げられる。なお、該アルキレン基の炭素原子数は、該アルキレン基におけるカルボニル基以外の部分の炭素原子の数である。該アルキレン基は直鎖状でも分岐状でもよい。
ハロホルミル基は、−C(=O)−X(ただし、Xはハロゲン原子である。)で表される基である。ハロホルミル基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。すなわち、ハロホルミル基としてはフルオロホルミル基(カルボニルフルオリド基ともいう。)が好ましい。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐状でもよい。該アルコキシ基としては、炭素原子数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。
単位(1)としては、官能基(i)を有する単量体(以下、「単量体(m1)」ともいう。)に基づく単位が好ましい。単量体(m1)が有する官能基(i)は1個でも2個以上でもよい。単量体(m1)が2個以上の官能基(i)を有する場合、それら官能基(i)は、それぞれ同じでもよく、異なってもよい。
単量体(m1)としては、官能基(i)を1つ有し、重合性二重結合を1つ有する化合物が好ましい。
単量体(m1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(m1)のうち、カルボニル基含有基を有する単量体としては、例えば、酸無水物残基と重合性不飽和結合とを有する環状炭化水素化合物(以下、「単量体(m11)」ともいう。)、カルボキシ基を有する単量体(以下「単量体(m12)」ともいう。)、ビニルエステル、(メタ)アクリレート、CF=CFORf1COOX(ただし、Rf1は、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のペルフルオロアルキレン基であり、Xは、水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基である。)等が挙げられる。
単量体(m11)としては、例えば、不飽和ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。不飽和ジカルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水イタコン酸(以下、「IAH」ともいう。)、無水シトラコン酸(以下、「CAH」ともいう。)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(別称:無水ハイミック酸。以下、「NAH」ともいう。)、無水マレイン酸等が挙げられる。
単量体(m12)としては、例えば、イタコン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸等が挙げられる。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、ブタン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、等が挙げられる。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、(ポリフルオロアルキル)アクリレート、(ポリフルオロアルキル)メタクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体としては、例えば、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、アリルエーテル類、不飽和カルボン酸エステル類((メタ)アクリレート、クロトン酸エステル等)であって末端または側鎖に1個以上のヒドロキシ基を有する化合物、不飽和アルコール類が挙げられる。具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、クロトン酸 2−ヒドロキシエチル等、アリルアルコール等が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、不飽和グリシジルエーテル類(アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等。)、不飽和グリシジルエステル類(アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等。)等が挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチルイソシアネート、1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
単位(1)は、機械粉砕性向上、金属との接着性向上の点から、官能基(i)として少なくともカルボニル基含有基を有することが好ましい。単量体(m1)としては、カルボニル基含有基を有する単量体が好ましい。
カルボニル基含有基を有する単量体としては、熱安定性、接着性向上の点から、単量体(m11)が好ましい。なかでも、IAH、CAHまたはNAHが特に好ましい。IAH、CAHおよびNAHからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いると、無水マレイン酸を用いた場合に必要となる特殊な重合方法(日本特開平11−193312号公報参照。)を用いることなく、酸無水物残基を含有する含フッ素共重合体を容易に製造できる。なかでも、熱可塑性樹脂等との間の密着性がより優れる点から、NAHが好ましい。
重合体(X)は、単位(1)およびTFE単位以外の単位として、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、「PAVE」ともいう。)に基づく単位(以下、「PAVE単位」)を有してもよい。
PAVEとしては、例えば、CF=CFORf2(ただし、Rf2は、エーテル性酸素原子を含んでもよい炭素原子数1〜10のペルフルオロアルキル基である。)が挙げられる。Rf2におけるペルフルオロアルキル基は、直鎖状でもよく分岐状でもよい。Rf2の炭素原子数は1〜3が好ましい。
CF=CFORf2としては、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF、CF=CFOCFCFCF(以下、「PPVE」ともいう。)、CF=CFOCFCFCFCF、CF=CFO(CFF等が挙げられ、PPVEが好ましい。
PAVEは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(X)は、単位(1)およびTFE単位以外の単位として、ヘキサフルオロプロピレン(以下、「HFP」ともいう。)に基づく単位(以下、「HFP単位」という。)を有してもよい。
重合体(X)は、単位(1)およびTFE単位以外の単位として、「PAVE単位」および「HFP単位」以外の単位(以下、「他の単位」という。)を有してもよい。
他の単位としては、含フッ素単量体(ただし、単量体(m1)、TFE、PAVEおよびHFPを除く。)に基づく単位、非含フッ素単量体(ただし、単量体(m1)を除く。)に基づく単位が挙げられる。
前記含フッ素単量体としては、重合性二重結合を1つ有する含フッ素化合物が好ましく、例えば、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン等のフルオロオレフィン(ただし、TFEおよびHFPを除く。)、CF=CFORf3SO(ただし、Rf3は、炭素原子数1〜10のペルフルオロアルキレン基、またはエーテル性酸素原子を含む炭素原子数2〜10のペルフルオロアルキレン基であり、Xはハロゲン原子またはヒドロキシ基である。)、CF=CF(CFOCF=CF(ただし、pは1または2である。)、CH=CX(CF(ただし、Xは水素原子またはフッ素原子であり、qは2〜10の整数であり、Xは水素原子またはフッ素原子である。)、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1、3−ジオキソラン)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上用いてもよい。
前記含フッ素単量体としては、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレンまたはCH=CX(CFが好ましい。
CH=CX(CFとしては、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CH(CFF、CH=CF(CFH、CH=CF(CFH等が挙げられ、CH=CH(CFF、またはCH=CH(CFFが好ましい。
前記非含フッ素単量体としては、重合性二重結合を1つ有する非含フッ素化合物が好ましく、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素原子数3以下のオレフィン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上用いてもよい。
単量体(m42)としては、エチレンまたはプロピレンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
前記含フッ素単量体と前記非含フッ素単量体は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、前記含フッ素単量体と前記非含フッ素単量体とを併用してもよい。
重合体(X)としては、後述の共重合体(X−1)または共重合体(X−2)が好ましく、共重合体(X−1)が特に好ましい。
共重合体(X−1)は、単位(1)とTFE単位と、PAVE単位とを有し、全単位の合計に対する単位(1)の割合が好ましくは0.01〜3モル%であり、TFE単位の割合が90〜99.89モル%であり、PAVE単位の割合が0.1〜9.99モル%である共重合体である。
共重合体(X−1)は、必要に応じて、HFP単位および他の単位の少なくとも一方をさらに有してもよい。共重合体(X−1)は、単位(1)とTFE単位とPAVE単位とからなるものでもよく、単位(1)とTFE単位とPAVE単位とHFP単位とからなるものでもよく、単位(1)とTFE単位とPAVE単位と他の単位とからなるものでもよく、単位(1)とTFE単位とPAVE単位とHFP単位と他の単位とからなるものでもよい。
共重合体(X−1)としては、カルボニル基含有基を含む単量体に基づく単位と、TFE単位と、PAVE単位とを有する共重合体が好ましく、単量体(m11)に基づく単位と、TFE単位と、PAVE単位とを有する共重合体が特に好ましい。好ましい共重合体(X−1)の具体例としては、TFE/PPVE/NAH共重合体、TFE/PPVE/IAH共重合体、TFE/PPVE/CAH共重合体等が挙げられる。
共重合体(X−1)は、末端基として官能基(i)を有していてもよい。官能基(i)は、共重合体(X−1)の製造時に用いられる、ラジカル重合開始剤、連鎖移動剤等を適宜選定することにより導入できる。
共重合体(X−1)を構成する全単位の合計に対する単位(1)の割合は、0.01〜3モル%であり、0.03〜2モル%が好ましく、0.05〜1モル%が特に好ましい。単位(1)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、嵩密度が大きな樹脂パウダーが得られやすい。また樹脂パウダーと熱可塑性樹脂等との密着性、分散液または液状組成物により形成したフィルム等と他基材(金属等)との層間密着性が優れる。単位(1)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(X−1)の耐熱性や色目等が良好である。
共重合体(X−1)を構成する全単位の合計に対するTFE単位の割合は、90〜99.89モル%であり、95〜99.47モル%が好ましく、96〜98.95モル%が特に好ましい。TFE単位の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、共重合体(X−1)が電気特性(低誘電率等)、耐熱性、耐薬品性等に優れる。TFE単位の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(X−1)が溶融成形性、耐ストレスクラック性等に優れる。
共重合体(X−1)を構成する全単位の合計に対するPAVE単位の割合は、0.1〜9.99モル%であり、0.5〜9.97モル%が好ましく、1〜9.95モル%が特に好ましい。PAVE単位の含有量が前記範囲の範囲内であれば、共重合体(X−1)が成形性に優れる。
共重合体(X−1)中の全単位の合計に対する、単位(1)、TFE単位およびPAVE単位の合計の割合は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。該割合の上限は特に限定されず、100モル%であってもよい。
共重合体(X−1)中の各単位の含有量は、溶融核磁気共鳴(NMR)分析等のNMR分析、フッ素含有量分析、赤外吸収スペクトル分析等により測定できる。例えば、日本特開2007−314720号公報に記載のように、赤外吸収スペクトル分析等の方法を用いて、共重合体(X−1)を構成する全単位中の単位(1)の割合(モル%)を求めることができる。
共重合体(X−2)は、単位(1)と、TFE単位と、HFP単位とを有し、全単位の合計に対する単位(1)の割合が0.01〜3モル%であり、TFE単位の割合が90〜99.89モル%であり、HFP単位の割合が0.1〜9.99モル%である共重合体(ただし、共重合体(X−1)は除く。)である。
共重合体(X−2)は、必要に応じて、PAVE単位および他の単位をさらに有してもよい。共重合体(X−2)は、単位(1)とTFE単位とHFP単位とからなるものでもよく、単位(1)とTFE単位とHFP単位とPAVE単位とからなるもの(ただし、共重合体(X−1)は除く。)でもよく、単位(1)とTFE単位とHFP単位と他の単位とからなるものでもよく、単位(1)とTFE単位とHFP単位とPAVE単位と他の単位とからなるもの(ただし、共重合体(X−1)は除く。)でもよい。
共重合体(X−2)としては、カルボニル基含有基を含む単量体に基づく単位と、TFE単位と、HFP単位とを有する共重合体が好ましく、単量体(m11)に基づく単位と、TFE単位と、HFP単位とを有する共重合体が特に好ましい。好ましい共重合体(X−2)の具体例としては、TFE/HFP/NAH共重合体、TFE/HFP/IAH共重合体、TFE/HFP/CAH共重合体等が挙げられる。
なお、重合体(X−2)は、重合体(X−1)と同様に、官能基(i)を有する末端基を有していてもよい。
共重合体(X−2)を構成する全単位の合計に対する単位(1)の割合は、0.01〜3モル%であり、0.02〜2モル%が好ましく、0.05〜1.5モル%が特に好ましい。単位(1)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、嵩密度が大きな樹脂パウダーが得られやすい。また樹脂パウダーと熱可塑性樹脂等との密着性、分散液または液状組成物により形成したフィルム等と他基材(金属等)との層間密着性が優れる。単位(1)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(X−2)の耐熱性や色目等が良好である。
共重合体(X−2)を構成する全単位の合計に対するTFE単位の割合は、90〜99.89モル%であり、91〜98モル%が好ましく、92〜96モル%が特に好ましい。TFE単位の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、共重合体(X−2)が電気特性(低誘電率等)、耐熱性、耐薬品性等に優れる。TFE単位の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、共重合体(X−2)が溶融成形性、耐ストレスクラック性等に優れる。
共重合体(X−2)を構成する全単位の合計に対するHFP単位の割合は、0.1〜9.99モル%であり、1〜9モル%が好ましく、2〜8モル%が特に好ましい。HFP単位の含有量が前記範囲の範囲内であれば、共重合体(X−2)が成形性に優れる。
共重合体(X−2)中の全単位の合計に対する単位(1)、TFE単位、およびHFP単位の合計の割合は、90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。該割合の上限は特に限定されず、100モル%であってもよい。
重合体(X)の融点は、260〜320℃が好ましく、280〜320℃がより好ましく、295〜315℃がさらに好ましく、295〜310℃が特に好ましい。重合体(X)の融点が上記範囲の下限値以上であれば、耐熱性に優れる。重合体(X)の融点が上記範囲の上限値以下であれば、溶融成形性に優れる。
なお、重合体(X)の融点は、当該重合体(X)を構成する単位の種類や含有割合、分子量等によって調整できる。例えば、TFE単位の割合が多くなるほど、融点が高くなる傾向がある。
重合体(X)は、溶融成形可能であることが好ましい。
重合体(X)の溶融流れ速度(MFR)は、0.1〜1000g/10分が好ましく、0.5〜100g/10分がより好ましく、1〜30g/10分がさらに好ましく、5〜20g/10分が特に好ましい。MFRが上記範囲の下限値以上であれば、重合体(X)が成形加工性に優れ、分散液または液状組成物を用いて形成したフィルム等の表面平滑性、外観に優れる。MFRが上記範囲の上限値以下であれば、重合体(X)が機械強度に優れ、また分散液または液状組成物を用いて形成したフィルム等が機械強度に優れる。
MFRは、重合体(X)の分子量の目安であり、MFRが大きいと分子量が小さく、MFRが小さいと分子量が大きいことを示す。重合体(X)の分子量、ひいてはMFRは、重合体(X)の製造条件によって調整できる。例えば、単量体の重合時に重合時間を短縮すると、MFRが大きくなる傾向がある。
重合体(X)の比誘電率は、2.5以下が好ましく、2.4以下がより好ましく、2.0〜2.4が特に好ましい。重合体(X)の比誘電率が低いほど、分散液または液状組成物を用いて形成したフィルム等の電気特性がより優れ、例えば該フィルムをプリント基板の基板として用いた場合に優れた伝送効率が得られる。
重合体(X)の比誘電率は、TFE単位の含有量により調整できる。
重合体(X)は、常法により製造できる。重合体(X)の製造方法としては、例えば、国際公開第2016/017801号の[0053]〜[0060]に記載の方法が挙げられる。
フッ素樹脂以外の他の樹脂としては、電気的信頼性を損なわない限り特に限定されず、例えば、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド等が挙げられる。他の樹脂としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
樹脂パウダーは、フッ素樹脂を主成分とすることが好ましく、重合体(X)を主成分とすることがより好ましい。重合体(X)が主成分であれば、嵩密度の高い樹脂パウダーが得られやすい。樹脂パウダーの嵩密度が大きいほど、ハンドリング性が優れる。なお、樹脂パウダーが「重合体(X)を主成分とする」とは、樹脂パウダーの全量(100質量%)に対する重合体(X)の割合が、80質量%以上であることを意味する。樹脂パウダーの全量(100質量%)に対する重合体(X)の割合は、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
樹脂パウダーは、粒径10μm以上の粒子(以下、「粒子(A)」ともいう)を含み、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない。樹脂パウダーが粒子(A)を含むことで、絶縁層の表面が適度に粗くなり、絶縁層と接着層の層間においてアンカー効果が発現するため、該層間の接着強度が高まる。また、樹脂パウダーが、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まないことで、樹脂パウダーが接着層と導電層の層間まで達することが抑制される。これにより、接着層と導電層の層間の接着がフッ素樹脂を含む樹脂パウダーによって阻害されることが抑制されるため、該層間において充分な接着強度が得られる。
なお、「絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子」における「絶縁層と接着層の合計厚さ」は、絶縁層の両面に接着層を設ける場合は、絶縁層の厚さと一方の接着層の厚さの合計を意味する。絶縁層の両面に厚さの異なる接着層を設ける場合は、厚さの薄い接着層の厚さを基準とするものとする。
粒子(A)の粒径は、10μm以上であり、かつ絶縁層と接着層の合計厚さを超えない。粒子(A)の粒径の上限値は、絶縁層と接着層の合計厚さに応じて適宜設定でき、100μmが好ましく、80μmがより好ましく、40μmがより好ましい。
樹脂パウダーは、フィルムを製造するプロセスにおける液中での分散安定性に優れる点から、粒子(A)に加えて、粒径10μm未満の粒子(以下、「粒子(B)」ともいう)を含むことが好ましい。粒子(B)の下限値は、0.01μmが好ましく、0.1μmがより好ましい。
絶縁層中の樹脂パウダーの含有量は、絶縁層を形成する材料の総体積に対して、5〜80体積%が好ましく、7〜50体積%がより好ましく、10〜45体積%がより好ましい。樹脂パウダーの含有量が前記範囲の下限値以上であれば、優れた電気特性が得られやすく、また絶縁層と接着層の層間でアンカー効果を発現させやすい。樹脂パウダーの含有量が前記範囲の上限値以下であれば、常温および加温時のフィルムの引張強度等の機械的な強度低下が抑えられ、十分な強度のフィルムが得られる。
絶縁層中の粒子(A)の含有量は、絶縁層を形成する材料の総体積に対して、5〜18体積%が好ましく、6〜15体積%がより好ましい。粒子(A)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、優れた電気特性が得られやすく、また絶縁層と接着層の層間でアンカー効果を発現させやすい。粒子(A)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、常温および加温時のフィルムの引張強度等の機械的な強度低下が抑えられ、十分な強度のフィルムが得られる。
樹脂パウダーが粒子(A)と粒子(B)を含む場合、粒子(A)の含有量が8〜63体積%であり、粒子(B)の含有量が37〜92体積%であることが好ましく、粒子(A)の含有量が8〜60体積%であり、粒子(B)の含有量が40〜92体積%であることがより好ましく、粒子(A)の含有量が13〜55体積%であり、粒子(B)の含有量が45〜87体積%であることさらに好ましい。なお、粒子(A)と粒子(B)の合計体積が100体積%である。
なお、絶縁層は粒径10μm以上の粒子である粒子(A)を含むが、粒子(A)と共にまたは粒子(A)の代わりに、粒径10μm以上の凝集体を含んでいても構わない。凝集体は複数の粒子が凝集した構造であり、絶縁層を切断して走査型電子顕微鏡で観察したときに2個以上の粒子が隣り合って一塊であると認識できるものである。ただし、前記絶縁層の表面粗さを0.5〜3.0μmであると規定しない場合、絶縁層中に含まれる前記粒子(A)および粒径10μm以上の凝集体の合計は絶縁層を形成する材料の総体積に対して5〜18体積%である。
樹脂パウダーの製造方法としては、例えば、フッ素樹脂を含むパウダー材料を、必要に応じて粉砕した後に分級(篩い分け等)して、粒子(A)を含み、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない樹脂パウダーを得る方法が挙げられる。溶液重合、懸濁重合または乳化重合によりフッ素樹脂を製造した場合は、重合に用いた有機溶媒または水性媒体を除去して粒状のフッ素樹脂を回収した後に、粉砕や分級(篩い分け等)を行う。重合で得たフッ素樹脂が粒子(A)を含み、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない場合は、該フッ素樹脂をそのまま樹脂パウダーとして使用できる。パウダー材料として2種以上の樹脂を用いる場合は、それらの樹脂を溶融混練した後に粉砕して分級することが好ましい。
また、粒径分布の異なる2種以上の樹脂パウダーを混合してもよい。
パウダー材料の粉砕方法および分級方法としては、国際公開第2016/017801号の[0065]〜[0069]に記載の方法を採用できる。なお、樹脂パウダーとしては、所望の樹脂パウダーが市販されていればそれを用いてもよい。
絶縁層の接着層が設けられる側の表面粗さは、0.5〜3.0μmであり、0.5〜2.5μmが好ましく、0.5〜2.0μmがより好ましい。前記表面粗さが前記範囲の下限値以上であれば、絶縁層と接着層の層間でアンカー効果が充分に発現され、充分な接着強度が得られる。前記表面粗さが前記範囲の上限値以下であれば、常温および加温時のフィルムの引張強度等の機械的な強度低下が抑えられ、十分な強度のフィルムが得られる。
絶縁層は、必要に応じて、公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、フィラーが挙げられる。絶縁層がフィラーを含むことで、絶縁層の誘電率や誘電正接を低くできる。フィラーとしては、無機フィラーが好ましく、例えば、国際公開第2016/017801号の[0089]に記載のものが挙げられる。無機フィラーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
絶縁層がフィラーを含む場合、絶縁層中のフィラーの含有量は、樹脂パウダー100質量部に対して、0.1〜300質量部が好ましく、1〜200質量部がより好ましく、3〜150質量部がさらに好ましく、5〜100質量部が特に好ましく、10〜60質量部が最も好ましい。フィラーの含有量が多いほど、絶縁層の線膨張係数(CTE)が低くなり、絶縁層の熱寸法性が優れる。
絶縁層の厚さは、4〜1000μmが好ましく、6〜300μmがより好ましく、7〜50μmが特に好ましい。絶縁層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、プリント基板が過度に変形しにくくなるため、導電層が断線しにくくなる。絶縁層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、柔軟性に優れ、またプリント基板の小型化および軽量化に対応できる。
絶縁層の比誘電率は、2.1〜3.5が好ましく、2.1〜3.3が特に好ましい。絶縁層の比誘電率が前記範囲の上限値以下であれば、低誘電率が求められるプリント基板に有用である。比誘電率が前記範囲の下限値以上であれば、電気特性と接着性の双方に優れる。
接着層を形成する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。なかでも熱可塑性ポリイミド(以下、「TPI」ともいう)が好ましい。接着層を形成する材料としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
接着層の厚さは、3〜100μmが好ましく、3〜50μmがより好ましい。接着層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、導電層および絶縁層との接着強度に優れる。接着層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、電気特性に優れる。
絶縁層の両面に接着層を形成する場合、それぞれの接着層の組成および厚みが同じになるようにしてもよく、異なるようにしてもよい。反りを抑制しやすい点では、それぞれの接着層の組成や厚みが同じなるようにすることが好ましい。
接着層の比誘電率は、2.1〜3.5が好ましく、2.1〜3.0が特に好ましい。絶縁層の比誘電率が前記範囲の上限値以下であれば、低誘電率が求められるプリント基板に有用である。比誘電率が前記範囲の下限値以上であれば、電気特性と接着性の双方に優れる。
導電層を構成する金属としては、用途に応じて適宜選択でき、例えば、銅もしくは銅合金、ステンレス鋼もしくはその合金等が挙げられる。導電層としては、金属箔を用いることが好ましく、圧延銅箔、電解銅箔といった銅箔がより好ましい。金属箔の表面には、防錆層(例えばクロメート等の酸化物皮膜)や耐熱層が形成されていてもよい。また、接着層との密着性を向上させるために、金属箔の表面にカップリング剤処理等が施されてもよい。
導電層の厚みは、特に限定されず、金属積層板の用途に応じて、充分な機能が発揮できる厚みを選定すればよく、好ましくは0.1〜50μm、より好ましくは1〜25μm、さらに好ましくは2〜25μmである。
本発明の金属積層板の実施態様としては、例えば、図1に例示した金属積層板1が挙げられる。金属積層板1は、絶縁層10と、絶縁層10の厚さ方向の一方の表面10aに設けられた接着層12と、接着層12の絶縁層10と反対側に設けられた導電層14と、を備えている。
絶縁層10には、粒子(A)16aおよび粒子(B)16bを含む樹脂パウダー16が含まれている。絶縁層10の接着層12側の表面10aは、樹脂パウダー16の一部が部分的に突き出ている。これにより、絶縁層10の表面10aの表面粗さは0.5〜3.0μmとなっている。
樹脂パウダー16には、絶縁層10と接着層12の合計厚さd1+d2(μm)を超える粒径の粒子は含まれない。
本発明の金属積層板の他の実施態様としては、例えば、図2に例示した金属積層板2が挙げられる。金属積層板2は、絶縁層20と、絶縁層20の厚さ方向の一方の表面20aに設けられた第1接着層22と、第1接着層22の絶縁層20と反対側に設けられた第1導電層24と、絶縁層20の厚さ方向の他方の表面20bに設けられた第2接着層26と、第2接着層26の絶縁層20と反対側に設けられた第2導電層28と、を備えている。
絶縁層20には、粒子(A)30aおよび粒子(B)30bを含む樹脂パウダー30が含まれている。絶縁層20の両方の表面20a,20bでは、それぞれ樹脂パウダー30の一部が部分的に突き出ている。これにより、絶縁層20の表面20aと表面20bの表面粗さは、それぞれ0.5〜3.0μmとなっている。
樹脂パウダー30には、絶縁層20と第1接着層22の合計厚さd3+d4か、または絶縁層20と第2接着層26の合計厚さd3+d5のうちの小さい方を超える粒径の粒子は含まれない。
以上説明した本発明の金属積層板においては、絶縁層が、フッ素樹脂を含む樹脂パウダーを含む。そのため、誘電率および誘電正接が低く電気特性に優れている。
また、樹脂パウダーに含まれる粒子(A)の少なくとも一部が絶縁層の接着層側の表面に部分的に突き出ることで、絶縁層の接着層側の表面粗さが0.5〜3.0μmになっている。これにより、絶縁層と接着層の層間においてアンカー効果が発現するため、絶縁層と接着層の層間の接着強度が充分に高くなる。
また、接着層と導電層の接着強度は、フッ素樹脂を含む樹脂パウダーと導電層の接着強度よりも高い。そのため、樹脂パウダーが接着層と導電層の層間に達すると、接着層と導電層の接着が阻害される。しかし、本発明の金属積層板では、樹脂パウダーに絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子が含まれていないため、樹脂パウダーが接着層と導電層の層間に達することが抑制される。そのため、接着層と導電層の層間においても充分な接着強度を確保できる。
[金属積層板の製造方法]
以下、前記した本発明の金属積層板の製造方法について説明する。本発明の金属積層板の製造方法は、下記の工程1および工程2を有する。
工程1:フッ素樹脂を含み、かつ、粒径10μm以上の粒子(A)を含み、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない樹脂パウダーを用いて絶縁層を形成する。
工程2:前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に接着層を介して導電層を積層する。
(工程1)
工程1においては、粒子(A)を含み、目的の絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない樹脂パウダーを用いる。
工程1に用いる樹脂パウダーの平均粒径は、0.3〜25μmが好ましく、0.5〜20μmがより好ましく、1〜17μmがさらに好ましく、2〜15μmが特に好ましい。樹脂パウダーの平均粒径が前記範囲の下限値以上であれば、樹脂パウダーの流動性が充分で取り扱いが容易である。樹脂パウダーの平均粒径が前記範囲の上限値以下であれば、樹脂パウダーの液状媒体への分散性が優れる。樹脂パウダーの平均粒径が小さいほど、絶縁層への樹脂パウダーの充填率を高くでき、絶縁層の電気特性(低誘電率等)が優れる。また、プリント基板を薄くすることが容易である。
粒子(A)と粒子(B)を含む樹脂パウダーを用いる場合、粒径ピークが10〜100μmであるパウダー(以下、「パウダー(a)」ともいう)と、粒径ピークが0.3〜8μmであるパウダー(以下、「パウダー(b)」ともいう)とを混合した樹脂パウダーを用いることが好ましい。この場合、パウダー(a)とパウダー(b)の少なくとも一方を重合体(X)で形成することが好ましく、パウダー(a)とパウダー(b)の両方を重合体(X)で形成することが好ましい。
パウダー(a)の粒径ピークは、10〜100μmであり、11〜50μmが好ましく、12〜20μmがより好ましい。パウダー(a)の平均粒径は、5〜30μmが好ましく、6〜25μmがより好ましく、7〜23μmがさらに好ましく、8〜20μmが特に好ましい。
パウダー(a)の体積基準累積90%径(D90)は、45μm以下が好ましく、35μm以下がより好ましく、25μm以下が特に好ましい。パウダー(a)のD90が上限値以下であれば、液状媒体への分散性が優れる。
パウダー(a)の疎充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.05〜0.5g/mLがより好ましく、0.08〜0.5g/mLが特に好ましい。
パウダー(a)の密充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.05〜0.8g/mLがより好ましく、0.1〜0.8g/mLが特に好ましい。
疎充填嵩密度または密充填嵩密度が大きいほど、パウダー(a)のハンドリング性がより優れる。また、絶縁層へのパウダー(a)の充填率を高くできる。疎充填嵩密度または密充填嵩密度が前記範囲の上限値以下であれば、汎用的なプロセスで使用できる。
パウダー(b)の粒径ピークは、0.3〜8μmであり、0.4〜6μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましい。
パウダー(b)の平均粒径は、0.3〜6μmが好ましく、0.3〜5μmがより好ましく、0.3〜4μmがさらに好ましく、0.3〜3μmが特に好ましい。
パウダー(b)の体積基準累積90%径(D90)は、8μm以下が好ましく、7μm以下がより好ましく、6μm以下が特に好ましい。パウダー(b)のD90が上限値以下であれば、液状媒体への分散性が優れる。
パウダー(b)の疎充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.05〜0.5g/mLがより好ましく、0.08〜0.5g/mLが特に好ましい。
パウダー(b)の密充填嵩密度は、0.05g/mL以上が好ましく、0.05〜0.8g/mLがより好ましく、0.1〜0.8g/mLが特に好ましい。
工程1においては、樹脂パウダーを液状媒体に分散した分散液を用いて絶縁層を形成することが好ましい。具体的には、樹脂パウダーを含む分散液と、絶縁層を形成するフィルムに用いる樹脂(以下、「材料樹脂」ともいう。)またはその原料を含む液(以下、「樹脂液」ともいう。)とを混合して液状組成物とした後、該液状組成物を用いて絶縁層を形成することが好ましい。分散液と樹脂液とを混合することで、樹脂パウダーを粉体の状態で樹脂液と混合する場合に比べて、樹脂パウダーを飛散させることなく材料樹脂またはその原料に均一に分散させやすい。なお、本発明の製造方法では、樹脂パウダーを粉体の状態で樹脂液と混合して液状組成物としてもよく、分散液に材料樹脂を混合して液状組成物としてもよい。
分散液と樹脂液の混合方法は、特に限定されず、例えば、公知の撹拌機を用いる方法が挙げられる。液状組成物にフィラーや硬化剤等を含ませる場合、それらは混合前の分散液に添加してもよく、混合前の樹脂液に添加してもよく、混合後の混合液に添加してもよい。
分散液に用いる液状媒体としては、公知の液状媒体を使用でき、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素化合物;ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;乳酸エチル、酢酸エチル等のエステル類;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物等が挙げられる。液状媒体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、液状媒体には、絶縁層を形成するフィルムに用いる樹脂またはその原料のうちの液状成分は含まれない。また、液状媒体は、重合体(X)と反応しない化合物である。
分散液中の液状媒体の含有量は、樹脂パウダー100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましく、30〜250質量部が特に好ましい。液状媒体の含有量が前記範囲内であれば、製膜時の塗工性が良好となる。また、液状媒体の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、液状媒体の使用量が少ないため、液状媒体の除去工程に由来する製膜品への外観不良が起こりにくい。
分散液は、界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤としては、特に限定されず、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。なかでも、界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分散液が界面活性剤を含む場合、分散液中の界面活性剤の含有量は、樹脂パウダー100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.3〜7質量部が特に好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、優れた分散性が得られやすい。界面活性剤の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、界面活性剤の特性に影響されることなく樹脂パウダーの特性を得ることができる。
分散液の製造方法は、特に限定されず、例えば、樹脂パウダーと、必要に応じて使用する界面活性剤、フィラーと、液状媒体とを混合して撹拌する方法が挙げられる。
樹脂液に用いる材料樹脂は、絶縁層の説明において挙げた樹脂である。
材料樹脂の原料としては、例えば、芳香族ポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)が挙げられ、芳香族多価カルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの縮重合で得られる全芳香族ポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)が好ましい。芳香族多価カルボン酸二無水物および芳香族ジアミンの具体例としては、日本特開2012−145676号公報の[0055]、[0057]に記載のもの等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
材料樹脂の原料としては、TPIの原料前駆体である、多価カルボン酸二無水物またはその誘導体とジアミンとの重縮合で得られるポリアミック酸を用いてもよい。TPIの原料であるポリアミック酸を形成する多価カルボン酸二無水物またはその誘導体、およびジアミンとしては、例えば、日本特許第5766125号公報の[0019]、[0020]に記載のものが挙げられる。
樹脂液としては、材料樹脂またはその原料が液状の場合はそれをそのまま使用できる。材料樹脂またはその原料が液状でない場合は、それらを液状媒体に溶解または分散して樹脂液とすればよい。材料樹脂またはその原料を溶解または分散し得る液状媒体としては、特に限定されず、例えば、分散液における液状媒体として挙げたものから材料樹脂またはその原料の種類に応じて適宜選択すればよい。
樹脂液に熱硬化性樹脂またはその原料を用いる場合、液状組成物は硬化剤を含んでもよい。硬化剤としては、熱硬化剤(メラミン樹脂、ウレタン樹脂等)、エポキシ硬化剤(ノボラック型フェノール樹脂、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド等)等が挙げられる。
液状組成物中の液状媒体の含有量は、樹脂パウダーおよび原料樹脂またはその原料の合計100質量部に対して、1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましく、30〜250質量部が特に好ましい。液状媒体の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、液状組成物の粘度が高すぎず製膜時の塗工性が良好となる。液状媒体の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、液状組成物の粘度が低すぎず製膜時の塗工性が良好であり、また液状媒体の使用量が少ないため、液状媒体の除去工程に由来する製膜品への外観不良が起こりにくい。
なお、樹脂液に液状媒体が含まれていた場合、液状組成物中の液状媒体の含有量とは、分散液の液状媒体と、樹脂液の液状媒体とを合計した含有量である。
液状組成物が硬化剤を含む場合、液状組成物中の硬化剤の含有量は、熱硬化性樹脂もしくはその原料が持つ反応性基量に対して、0.5〜2.0当量が好ましく、0.8〜1.2当量がより好ましい。
液状組成物を用いて絶縁層を形成する方法としては、絶縁層をフィルムで形成する場合、例えば、液状組成物を用いて製膜し、乾燥した後に加熱してフィルムを得る方法が挙げられる。
液状組成物の製膜方法としては、特に限定されず、例えば、スプレー法、ロールコート法、スピンコート法、バー塗布法等の公知の湿式塗布方法によって液状組成物を平らな表面上に塗布する方法が挙げられる。
液状組成物の製膜後、乾燥により液状媒体の少なくとも一部を除去する。乾燥においては、必ずしも液状媒体を完全に除去する必要はなく、製膜後の塗膜が膜形状を安定して維持できるまで行えばよい。乾燥においては、液状組成物に含まれていた液状媒体のうち、50質量%以上を除去することが好ましい。
製膜後の塗膜の乾燥方法は、特に限定されず、例えば、オーブンにより加熱する方法、連続乾燥炉により加熱する方法等が挙げられる。
乾燥温度は、液状媒体が除去される際に気泡が生じない範囲であればよく、例えば、50〜250℃が好ましく、70〜220℃がより好ましい。乾燥時間は、0.1〜30分が好ましく、0.5〜20分がより好ましい。乾燥は、1段階で実施してもよく、異なる温度にて2段階以上で実施してもよい。
樹脂液に熱可塑性樹脂の原料を用いた場合、乾燥後の加熱により熱可塑性樹脂の原料を熱可塑性樹脂とする。例えば、TPIの原料であるポリアミック酸を用いた場合、乾燥後の加熱によりポリアミック酸をイミド化してTPIとする。この場合、乾燥後の加熱温度は、例えば、350〜550℃とすることができる。
樹脂液に熱硬化性樹脂を用いた場合には、乾燥後の加熱により熱硬化性樹脂を硬化させる。また、熱硬化性樹脂の原料(芳香族ポリイミドの前駆体のポリアミック酸等)を用いた場合には、乾燥後の加熱により熱硬化性樹脂の原料を熱硬化性樹脂とし、さらに硬化させる。乾燥後の加熱温度は、熱硬化性樹脂の種類に応じて適宜設定すればよく、例えばエポキシ樹脂を用いた場合、50〜250℃とすることができる。乾燥とその後の加熱は連続して行ってもよい。
絶縁層を繊維強化フィルムで形成する場合は、液状組成物を強化繊維基材に含浸させ、乾燥した後に加熱して繊維強化フィルムを得る方法が挙げられる。
具体的には、強化繊維基材に液状組成物を含浸させた後、乾燥して液状媒体の少なくとも一部を除去し、さらに加熱する。含浸後の乾燥および加熱は、前記したフィルムの製造方法における乾燥および加熱と同様に行える。
また、液状組成物を強化繊維基材に含浸させ、乾燥させてプリプレグとしてもよい。プリプレグを製造する際の液状組成物の強化繊維基材への含浸は、繊維強化フィルムの製造方法と同様に行える。
含浸後の乾燥は、フィルムの製造方法における乾燥と同様に行える。プリプレグにおいては、液状媒体が残存していてもよい。プリプレグにおいては、液状組成物に含まれていた液状媒体のうち、70質量%以上が除去されていることが好ましい。プリプレグにおいては、熱硬化性樹脂、または熱硬化性樹脂の原料を含む液状組成物を用いた場合、乾燥後に硬化性樹脂を半硬化状態としてもよい。
なお、このプリプレグは、プリント基板以外にも、岸壁工事において耐久性と軽量性が必要とされる矢板の材料や、航空機、自動車、船舶、風車、スポー用具等の様々な用途に向けた部材を製造する材料としても使用できる。
(工程2)
絶縁層の片面または両面に接着層を介して導電層を積層する方法としては、例えば、TPI等の接着層を形成する材料を用いた熱ラミネートにより絶縁層と金属箔とを積層する方法が挙げられる。また、TPI等の接着層を形成する材料が分散または溶解された液を絶縁層の表面と金属箔の表面のそれぞれもしくは片方に塗布し、乾燥した後に、それらを塗膜が向かい合うように重ねて熱プレスする方法を用いてもよい。
[プリント基板の製造方法]
本発明のプリント基板の製造方法は、前記した本発明の金属積層板の導電層をエッチングしてパターン回路を形成してプリント基板を得る方法である。このように、本発明の金属積層板を使用することで、プリント基板を製造できる。金属層のエッチングは、公知の方法を採用できる。
本発明のプリント基板の製造方法においては、金属層をエッチングしてパターン回路を形成した後に、該パターン回路上に層間絶縁膜を形成し、該層間絶縁膜上にさらにパターン回路を形成してもよい。層間絶縁膜は、例えば、本発明の製造方法で得られる液状組成物により形成できる。
具体的には、例えば、以下の方法が挙げられる。金属積層板の導電層をエッチングしてパターン回路を形成した後、前記した液状組成物を該パターン回路上に塗布し、乾燥した後に加熱して層間絶縁膜とする。次いで、前記層間絶縁膜上に蒸着等で導電層を形成し、エッチングしてさらなるパターン回路を形成する。
プリント基板の製造においては、パターン回路上にソルダーレジストを積層してもよい。ソルダーレジストは、例えば、前記した液状組成物により形成できる。具体的には、本発明の液状組成物をパターン回路上に塗布し、乾燥した後に加熱してソルダーレジストを形成してもよい。
また、プリント基板の製造においては、カバーレイフィルムを積層してもよい。カバーレイフィルムは、典型的には、基材フィルムと、その表面に形成された接着剤層とから構成され、接着剤層側の面がプリント基板に貼り合わされる。カバーレイフィルムの基材フィルムとしては、例えば、前記したフィルムを使用できる。
また、金属積層板の導電層をエッチングして形成したパターン回路上に、前記したフィルムを用いた層間絶縁膜を形成し、カバーレイフィルムとしてポリイミドフィルムを積層してもよい。
前記した本発明の製造方法で得られるプリント基板は、高周波特性が必要とされるレーダー、ネットワークのルーター、バックプレーン、無線インフラ等の電子機器用基板や自動車用各種センサ用基板、エンジンマネージメントセンサ用基板として有用であり、特にミリ波帯域の伝送損失低減を目的とする用途に好適である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。例1〜4、8、9は実施例であり、例5〜7、10は比較例である。
[測定方法]
含フッ素共重合体および樹脂パウダーについての各種測定方法を以下に示す。
(1)共重合組成
含フッ素共重合体の共重合組成のうち、NAHに基づく単位の含有割合(モル%)は、以下の赤外吸収スペクトル分析によって求めた。他の単位の含有割合は、溶融NMR分析およびフッ素含有量分析により求めた。
<NAHに基づく単位の含有割合(モル%)>
含フッ素共重合体をプレス成形して厚み200μmのフィルムを得た後、赤外分光法により分析して赤外吸収スペクトルを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素共重合体中のNAHに基づく単位における吸収ピークは1778cm−1に現れる。該吸収ピークの吸光度を測定し、NAHのモル吸光係数20810mol−1・l・cm−1を用いて、含フッ素共重合体におけるNAHに基づく単位の含有割合を求めた。
(2)融点(℃)
示差走査熱量計(セイコー電子社製、DSC装置)を用い、含フッ素共重合体を10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度(℃)を融点(Tm)とした。
(3)MFR(g/10分)
メルトインデクサー(テクノセブン社製)を用い、372℃、49N荷重下で、直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間(単位時間)に流出する含フッ素共重合体の質量(g)を測定してMFRとした。
(4)比誘電率
SPDR(スピリットポスト誘電体共振器)法により、23℃±2℃、50±5%RHの範囲内の環境下にて、周波数2.5GHzで測定される値を比誘電率とした。
(5)含フッ素共重合体の平均粒径
2.000メッシュ篩(目開き2.400mm)、1.410メッシュ篩(目開き1.705mm)、1.000メッシュ篩(目開き1.205mm)、0.710メッシュ篩(目開き0.855mm)、0.500メッシュ篩(目開き0.605mm)、0.250メッシュ篩(目開き0.375mm)、0.149メッシュ篩(目開き0.100mm)、および受け皿をこの順に上から重ねた。その上から試料(含フッ素共重合体)を入れ、30分間振とう器で篩分けを行った。その後、各篩の上に残った試料の質量を測定し、各目開き値に対する通過質量の累計をグラフに表し、通過質量の累計が50%の時の粒径を試料の平均粒径とした。
(6)樹脂パウダーの粒径ピーク、平均粒径(D50)およびD90の測定
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920測定器)を用い、樹脂パウダーを水中に分散させ、粒度分布を測定し、粒径ピーク、平均粒径(D50)およびD90を算出した。
(7)疎充填嵩密度および密充填嵩密度
樹脂パウダーの疎充填嵩密度、密充填嵩密度は、国際公開第2016/017801号の[0117]、[0118]に記載の方法を用いて測定した。
(8)剥離強度
各例で得た金属積層板から長さ100mm、幅10mmの試験片を切り出した。試験片の長さ方向の一端から50mmの位置までを、接着層と絶縁層の間で剥離した。次いで、試験片の長さ方向の一端から50mmの位置を中央にして、引張り試験機(オリエンテック社製)を用いて、引張り速度50mm/分で90度剥離し、最大荷重を剥離強度(N/10mm)とした。剥離強度が大きいほど、絶縁層と接着層との間の接着性が優れていることを示す。
(9)絶縁体層中の粒子および凝集体の粒径
走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:S−4800)を用いて、倍率5000倍で、100個のパウダー粒子の直径を測定し、直径を粒径とした。粒子の直径は長辺を測定し直径とした。パウダーが凝集している場合は、凝集体を一つの粒子として直径を測定した。
(10)絶縁層中の粒子および凝集体の、絶縁層中に占める体積の測定方法。
絶縁層中の粒子および凝集体が絶縁層中に占める体積は、前記方法で求めた粒子および凝集体100個の平均粒径および、無作為に選んだ300μm角範囲に存在する10μm以上の粒径である粒子総数と、10μm以上の粒子の平均粒径を求め、粒子が絶縁層中に存在している面積比率を求めた。この面積比率を体積比率として求めた。なお粒子および凝集体の面積は、それぞれが真円であると仮定し、直径および個数から面積を計算した。
[製造例1]
単位(1)を形成する単量体としてNAH(無水ハイミック酸、日立化成社製)を、PPVE(CF=CFO(CFF、旭硝子社製)と共に用いて、国際公開第2016/017801号の[0123]に記載の手順で共重合体(X−1)を製造した。
共重合体(X−1)の共重合組成は、NAH単位/TFE単位/PPVE単位=0.1/97.9/2.0(モル%)であった。共重合体(X1−1)の融点は300℃であり、比誘電率は2.1であり、MFRは17.6g/10分であり、平均粒径は1554μmであった。
次いで、ジェットミル(セイシン企業社製、シングルトラックジェットミル FS−4型)を用い、粉砕圧力0.5MPa、処理速度1kg/hrの条件で、共重合体(X−1)を粉砕して樹脂パウダーを得た後、高効率精密気流分級機を用いて樹脂パウダーを処理量0.8kg/hrの条件で分級し、パウダー(a−1)を得た。
パウダー(a−1)の粒径ピークは17μmであり、平均粒径は12μmであり、D90は19μmであった。パウダー(a−1)の疎充填嵩密度は0.280g/mLであり、密充填嵩密度は0.323g/mLであった。パウダー(a−1)は、粒径36μmを超える粒子を含んでいなかった。
[製造例2]
製造例1と同様の高効率精密気流分級機を用いてパウダー(a−1)を処理量0.5kg/hrの条件で分級し、パウダー(b−1)を得た。
パウダー(b−1)の粒径ピークは2.2μmであり、平均粒径は2.1μmであり、D90は7.1μmであった。パウダー(b−1)の疎充填嵩密度は0.278g/mLであり、密充填嵩密度は0.328g/mLであった。
[製造例3]
製造例1と同様の高効率精密気流分級機を用いてパウダー(a−1)を処理量0.5kg/hrの条件で分級し、パウダー(b−2)を得た。
パウダー(b−2)の粒径ピークが1.8μmであり、平均粒径は1.7μmであり、D90は6.5μmであった。パウダー(b−2)の疎充填嵩密度は0.270g/mLであり、密充填嵩密度は0.321g/mLであった。
[製造例4]
製造例1と同様の高効率精密気流分級機を用いて、PTFEからなる樹脂パウダー(旭硝子社製 L150J)を処理量0.3kg/hrの条件で分級し、パウダー(b−3)を得た。
パウダー(b−3)の粒径ピークが1.8μmであり、平均粒径は1.6μmであり、D90は6.3μmであった。パウダー(b−3)の疎充填嵩密度は0.271g/mLであり、密充填嵩密度は0.318g/mLであった。
[製造例5]
高効率精密気流分級機(セイシン企業社製、クラッシール N−01型)を用いて、パウダー(a−1)を処理量0.7kg/hrの条件で分級し、パウダー(b−4)を得た。
パウダー(b−4)の粒径ピークが3.5μmであり、平均粒径は4.8μmであり、D90は9.7μmであった。パウダー(b−4)の疎充填嵩密度は0.284g/mLであり、密充填嵩密度は0.333g/mLであった。パウダー(b−4)の総体積に対する、粒径10μm以上の粒子(A)の割合は7体積%であり、粒径10μm未満の粒子(B)の割合は93体積%であった。
パウダー(a−2)として、PTFEからなる樹脂パウダー(旭硝子社製 L150J)を用意した。パウダー(a−2)の粒径ピークは12μmであり、平均粒径は12μmであり、D90は27μmであった。パウダー(a−2)は、粒径36μmを超える粒子を含んでいなかった。
パウダー(b−5)として、PTFEからなる樹脂パウダー(旭硝子社製 L170JE)を用意した。パウダー(b−5)の粒径ピークは0.3μmであり、平均粒径は0.3μmであり、D90は0.4μmであった。
[例1]
1L容器にパウダーを所定量仕込み、手動により10分間振とうさせパウダー(a−1)とパウダー(b−1)とを混合した。得られた樹脂パウダー(混合パウダー)の総体積に対する、粒径10μm以上の粒子(A)の割合は18体積%であり、粒径10μm未満の粒子(B)の割合は82体積%であった。
樹脂液であるU−ワニス(宇部興産製)中に、上記の混合パウダーを添加した。添加量はU−ワニス中の固形分重量と混合パウダーの質量比が59:41となるように仕込んだ。撹拌機で1000rpmの条件下で1時間撹拌した。真空脱泡処理を30分間行い、液状組成物を得た。液状組成物において、外観上は樹脂パウダーの凝集は見られなかった。
電解銅箔(福田金属箔粉社製、CF−T4X−SVR−12、厚さ:12μm、表面粗さ(Rz):1.2μm)の表面に、フィルタにてろ過した液状組成物を、乾燥後の塗膜(絶縁層)の厚さが24μmとなるように塗布した。オーブンで、170℃で5分間、190℃で3分間、220℃で1分間加熱することによって乾燥を実施して絶縁層を形成し、片面銅張積層体を得た。次にエッチング処理により銅箔を除去し、パウダー含有のフィルムを得た。
10℃に冷却したN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)780gに、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)115.6gを添加し、さらに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物物(BPDA)を78.7g徐々に添加した。続いて。エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物(TMEG)3.8gを添加して、氷浴下で30分間均一撹拌し、プレポリマーを得た。
このプレポリマー溶液にp−フェニレンジアミン(PDA)25.2gを溶解した後、ピロメリット酸二無水物(PMDA)46.4gを溶解し、別途調製してあったPMDAの7.2質量%DMF溶液を注意深く115.1g(PMDA:0.038mol)添加し、粘度が2500ポイズ程度に達したところで添加を止めた。次いで1時間撹拌を行って、23℃での回転粘度が2600ポイズのポリアミック酸溶液を得た。
電解銅箔(福田金属箔粉社製、CF−T4X−SVR−12、厚さ:12μm、表面粗さ(Rz):1.2μm)の表面に、フィルタにてろ過した上記アミック酸溶液を、乾燥後の塗膜(接着層)の厚さが12μmとなるように塗布した。オーブンで、150℃で5分間、180℃で5分間、250℃で5分間加熱することによって乾燥を実施して接着層を形成し、片面銅張積層体を得た。
前記パウダー含有のフィルムの両面に、銅箔(導電層)が外側に来るように前記片面銅張積層体を重ね合わせ、プレス温度350℃、プレス圧力4.0MPa、プレス時間15分で真空熱プレスを行ってイミド化させ、銅/熱可塑性ポリイミド層(接着層)/非熱可塑性ポリイミド層(絶縁層)/熱可塑性ポリイミド層(接着層)/銅からなる両面銅張積層体を得た。
[例2〜7]
用いる樹脂パウダーを表1に示すとおりに変更した以外は、例1と同様にして金属積層板を得た。
[例8、9]
混合パウダーの添加量をU−ワニス中の固形分重量と混合パウダーの質量比が85:15となるように仕込むように変更した他は、実施例1と同様にして金属積層板を得た。
[例10]
パウダー(a−2):パウダー(b−2)が75体積%:25体積%である混合パウダーを、U−ワニス中の固形分重量と混合パウダーの質量比が38:62となるように添加するように変更した他は、例1と同様にして金属積層板を得た。
各例の条件および評価結果を表1に示す。
Figure 0006954293
表1に示すように、粒子(A)を含み、絶縁層と接着層の合計厚さを超える粒子を含まない樹脂パウダーを用い、絶縁層の接着層側の表面粗さを0.5〜3.0μmとした例1〜4および8、9では、絶縁層と接着層の剥離強度が高く、絶縁層と接着層の層間で高い接着強度が得られた。
一方、例5〜7では、絶縁層と接着層の剥離強度が実施例に比べて低く、絶縁層と接着層の層間の接着強度が劣っていた。
また、絶縁層の表面粗さが3.0μmを超える4.2μmである例10では、接着層と絶縁層との剥離強度を測定した際に、銅箔と接着層の接着強度が3N/cmと低く、また剥離界面が接着層と銅箔間であったため、絶縁層と接着層の剥離強度は測定できなかった。銅張積層板の剥離強度が弱いことから、プリント基板用途に用いる銅張積層板としては不適であった。
なお、絶縁層に含まれる粒子(A)および粒径10μm以上の凝集体の含有量が5〜18体積%に入らない例5〜7、10はいずれも前記のとおり剥離強度が低く、銅張積層板としては不適であった。
なお、2016年9月1日に出願された日本特許出願2016−170803号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
1、2: 金属積層板 10、20: 絶縁層 12: 接着層 14: 導電層 16、30: 樹脂パウダー 16a、30a: 粒子(A) 16b、30b: 粒子(B) 22: 第1接着層 24: 第1導電層 26: 第2接着層 28: 第2導電層

Claims (19)

  1. 絶縁層と、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に設けられた接着層と、前記接着層の前記絶縁層と反対側の表面に設けられた導電層とを備え、
    前記絶縁層が、フッ素樹脂を含む樹脂パウダーを含み、
    前記樹脂パウダーが、粒径10μm以上の粒子を含み、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まず、
    前記絶縁層の前記接着層が設けられた表面の表面粗さが0.5〜3.0μmであり、
    前記絶縁層中の前記の粒径10μm以上の粒子の含有量が5〜18体積%である、金属積層板。
  2. 前記樹脂パウダーが、更に粒径10μm未満の粒子を含み、粒径10μm以上の粒子と粒径10μm未満の粒子の合計体積(100体積%)に対して、前記の粒径10μm以上の粒子の含有量が8〜63体積%であり、粒径10μm未満の粒子の含有量が37〜92体積%である、請求項に記載の金属積層板。
  3. 前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する単位と、テトラフルオロエチレンに基づく単位とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、請求項1または2に記載の金属積層板。
  4. 前記含フッ素共重合体が、前記官能基を有する単位とテトラフルオロエチレンに基づく単位とペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位とを有し、
    全単位の合計に対する各単位が下記の割合を有する、請求項に記載の金属積層板。
    前記官能基を含む単位:0.01〜3モル%。
    テトラフルオロエチレンに基づく単位:90〜99.89モル%。
    ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位:0.1〜9.99モル%。
  5. 前記含フッ素共重合体が、前記官能基を有する単位とテトラフルオロエチレンに基づく単位とヘキサフルオロプロピレンに基づく単位とを有し、
    全単位の合計に対する各単位が下記の割合を有する、請求項に記載の金属積層板。
    前記官能基を含む単位:0.01〜3モル%。
    テトラフルオロエチレンに基づく単位:90〜99.89モル%。
    前記ヘキサフルオロプロピレンに基づく単位:0.1〜9.99モル%。
  6. 前記官能基が、カルボニル基含有基であり、
    前記カルボニル基含有基が、炭化水素基の炭素原子間にカルボニル基を有してなる基、カーボネート基、カルボキシ基、ハロホルミル基、アルコキシカルボニル基および酸無水物残基からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項のいずれか一項に記載の金属積層板。
  7. 前記絶縁層および前記接着層の比誘電率がともに2.1〜3.5である、請求項1〜のいずれか一項に記載の金属積層板。
  8. 前記絶縁層がポリイミドをさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の金属積層板。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の金属積層板の製造方法であって、
    フッ素樹脂を含み、かつ、粒径10μm以上の粒子を含み、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子を含まない樹脂パウダーを用いて前記絶縁層を形成し、
    前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に接着層を介して導電層を積層する、金属積層板の製造方法。
  10. 粒径ピークが10〜100μmであるパウダー(a)と、粒径ピークが0.3〜8μmであるパウダー(b)とを混合した樹脂パウダーを用いる、請求項に記載の金属積層板の製造方法。
  11. 前記パウダー(a)と前記パウダー(b)の少なくとも一方が、
    カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を含む単位と、テトラフルオロエチレンに基づく単位とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、請求項10に記載の金属積層板の製造方法。
  12. 前記樹脂パウダーを液状媒体に分散した分散液を用いて前記絶縁層を形成する、請求項11のいずれか一項に記載の金属積層板の製造方法。
  13. 請求項1〜のいずれか一項に記載の金属積層板の前記導電層をエッチングし、パターン回路を形成してプリント基板を得る、プリント基板の製造方法。
  14. フッ素樹脂を含む樹脂パウダーを含む絶縁層であって、前記絶縁層中の前記樹脂パウダーが、粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体の少なくとも一方を含み、絶縁層を形成する材料の総体積に対する前記粒子および凝集体の含有量が5〜18体積%である絶縁層。
  15. 前記樹脂パウダーが、更に粒径10μm未満の粒子を含み、粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体と粒径10μm未満の粒子の合計体積(100体積%)に対して、前記の粒径10μm以上の粒子および粒径10μm以上の凝集体の含有量が8〜63体積%であり、粒径10μm未満の粒子の含有量が37〜92体積%である、請求項14に記載の絶縁層。
  16. 前記フッ素樹脂が、カルボニル基含有基、ヒドロキシ基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する単位と、テトラフルオロエチレンに基づく単位とを有し、融点が260〜320℃である含フッ素共重合体である、請求項14または15の絶縁層。
  17. 比誘電率が2.1〜3.5である、請求項1416のいずれか一項に記載の絶縁層。
  18. 請求項1417のいずれか一項に記載の絶縁層の製造方法であって、
    粒径ピークが10〜100μmであるパウダー(a)と、粒径ピークが0.3〜8μmであるパウダー(b)とを混合した樹脂パウダーを液状媒体に分散した分散液を用いて前記絶縁層を形成する、絶縁層の製造方法。
  19. 絶縁層と、前記絶縁層の厚さ方向の少なくとも一方の表面に設けられた接着層と、前記接着層の前記絶縁層と反対側の表面に設けられた導電層とを備え、
    前記絶縁層が、請求項1417のいずれか一項に記載の絶縁層であり、前記絶縁層と前記接着層の合計厚さを超える粒径の粒子および粒径10μm以上の凝集体のいずれも含まない金属積層板。
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