JP2006305914A - 積層基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁基板上に薄膜の金属層を容易に形成でき、さらにエッチング後において絶縁基板上にエッチング残りが少なく、絶縁信頼性に優れた積層基板の製造方法を提供する。
【解決手段】(1)加熱処理によって互いに融着する、一次粒径が200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を絶縁基板上に塗布し、加熱処理することによって金属薄膜を形成する工程と、(2)前記金属薄膜上に金属メッキを行って金属膜を形成する工程を含む積層基板の製造方法。
【選択図】 選択図なし

Description

本発明は、特に、フレキシブルプリント回路基板等の電気配線回路基板に好適に用いられる金属積層基板とその製造方法に関する。
近年、電子機器の小型化、高速化によるプリント配線基板の高密度化に伴い、その基板の材料として、誘電率が小さく、絶縁抵抗値の高い樹脂材料が注目されている。例えば、ポリイミドからなるフィルム状の樹脂層の少なくとも1面に金属層として銅を被覆した銅ポリイミド基板などは、耐熱性に優れた積層基板として広く適用されている。
ここで、樹脂層と金属層を積層する方法として、例えば、樹脂層と金属層をエポキシ系接着剤などで貼り合わせるラミネート法が知られている。しかし、エポキシ系接着剤は耐熱性が弱く、また、絶縁信頼性も劣るという問題があった。
一方、金属箔の上面に、樹脂前駆体のドープを塗布・加熱することにより金属箔上に樹脂フィルムを形成する、いわゆるキャスト法により、樹脂層及び金属層間の接着性に優れた積層基板を提供可能であることが知られている。しかし、この方法においては、金属層の厚みが、用いる金属箔の厚みに制限されてしまうため、金属層を薄くしにくいという問題があった。近年、配線の狭ピッチ化に伴って、厚みの薄い金属層が切望されているが、このキャスト法によって形成された積層基板はこの目的に適うものではなかった。
薄い金属層を有する積層基板の製造方法としてスパッタ法がある(例えば、非特許文献1参照)。この方法は、樹脂層の表面にニッケル、クロム、又はそれらの合金等からなる薄い金属層をスパッタリングにより形成し、その上に銅の薄い層をスパッタリングにより形成した後、さらにその上に電解メッキ又は無電解メッキによって銅の導体層を任意の膜厚だけメッキアップする方法である。この方法によると、メッキの時間をコントロールすることにより薄い銅層を有する積層基板を作成することが可能である。
しかし、スパッタ法は真空プロセスを用いるために製造コストの増大を招くことに加え、ニッケル、クロム又はそれらの合金等からなる金属層は樹脂層内までもぐりこむため、通常の銅層のエッチングによってはこの成分を完全に取り除くことが難しく、エッチング工程の後で配線間に残った金属成分によって、絶縁信頼性が悪影響を受けるという問題があった。
したがって、薄膜の金属層を低コストで形成でき、さらに、エッチング残りの少ない積層基板は満足するものが現状ではないのが実情である。
三宅徹、「回路基板用フィルム加工技術」、第29回プラスチックフィルム研究会講座講演要旨集、社団法人高分子学会、2001年、p.5−8
本発明の課題は、絶縁基板上に薄膜の金属層を容易に形成でき、さらにエッチング後において絶縁基板上にエッチング残りが少なく、絶縁信頼性に優れた積層基板の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1](1)加熱処理によって互いに融着する、一次粒径が200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を絶縁基板上に塗布し、加熱処理することによって金属薄膜を形成する工程と、(2)前記金属薄膜上に金属メッキを行って金属膜を形成する工程を含む積層基板の製造方法。
[2]接着層を有する絶縁基板を用いることを特徴とする上記[1]に記載の積層基板の製造方法。
[3]接着層が、熱可塑性ポリイミド系樹脂からなることを特徴とする上記[2]に記載の積層基板の製造方法。
[4]接着層が、部分的に非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体からなることを特徴とする上記[2]に記載の積層基板の製造方法。
[5]非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体から非熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化率を70%以上100%未満にすることを特徴とする上記[4]に記載の積層基板の製造方法。
[6]接着層を有する絶縁基板上に金属薄膜前駆体微粒子を含む分散体を塗布し、接着層を構成する化合物の二次転移点(Tg)以上の温度で加熱処理を行うことを特徴とする上記[3]又は[4]に記載の積層基板の製造方法。
[7]接着層を有する絶縁基板上に金属薄膜前駆体微粒子を含む分散体を塗布し、加熱処理を行うことによって金属薄膜を形成すると同時に、部分的に非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の転化率を100%にすることを特徴とする上記[4]に記載の積層基板の製造方法。
[8]金属薄膜前駆体微粒子が金属微粒子、金属酸化物微粒子及び金属水酸化物微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[2]に記載の積層体の製造方法。
[9]金属薄膜前駆体微粒子が酸化第一銅微粒子であることを特徴とする上記[8]に記載の積層体の製造方法。
[10]分散体が多価アルコール及び/又は直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含むことを特徴とする上記[2]に記載の積層体の製造方法。
本発明の積層基板の製造方法によると、真空プロセスを用いずに薄膜の金属層を絶縁基板上に形成することが可能である。また、金属層はエッチング加工時に基板面に残存する金属成分が少なく、絶縁信頼性に優れており、フレキシブル回路基板材料等として好適に使用することが可能である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、絶縁基板上に、加熱によって互いに融着する一次粒径が200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布し、これを加熱処理することによってメッキ下地となる金属薄膜を形成する工程と、その上に、金属メッキを行って金属層を形成する工程を含むものである。
金属メッキ下地となる金属薄膜は、スパッタ法のように真空プロセスを必要とせず、金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布・加熱処理するという生産性の高いプロセスにより形成が可能であり、その上に金属メッキを行うので、膜厚が制御された薄膜の金属層を容易に形成できる。また、得られる金属薄膜は、基板との接触面がフラットであり、基板内にもぐりこむ金属は極めて少ないために、エッチング加工によって基板面に残る金属成分が少なく、回路形成時の絶縁信頼性が高いという特徴を有する。
本発明の積層体に用いられる絶縁基板は、有機材料及び無機材料のいずれでもよいが、金属薄膜を形成する際に加熱処理を行うことから、耐熱性を有するものが好ましい。例えば、鉄、銅、アルミニウム等の金属、ポリイミドフィルム等の耐熱性樹脂、ガラス等が好適に用いられる。これら絶縁基板は、通常、電気配線回路基板に用いられている程度の絶縁性を有するものであればよく、好ましくは、表面抵抗値として1013Ωcm以上を有するものが用いられる。
絶縁基板として好適に使用されるポリイミドフイルムは、ピロメリット酸又はピロメリット酸誘導体と芳香族ジアミンとを縮合してなる、例えば、カプトン(登録商標、東レ・デュポン株式会社製)、アピカル(登録商標、鐘淵化学株式会社製)、ビフェニルテトラカルボン酸又はビフェニルテトラカルボン酸誘導体と芳香族ジアミンとを縮合してなる、例えば、ユーピレックス(登録商標、宇部興産株式会社製)等である。ポリイミドフイルムの膜厚は限定されないが、通常、25〜100μmのものが用途に応じて適宜選択されて用いられる。
本発明では、このような基板をそのまま用いてもよいが、脱脂処理、酸又はアルカリによる化学処理、熱処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等、通常知られている表面処理を行なってもよい。特に、後で述べる接着層を絶縁基板上に設ける場合には、上記の表面処理を行うことが好ましい。
本発明で用いられる金属薄膜前駆体微粒子とは、加熱により金属薄膜に変換される化合物を指し、一次粒径は200nm以下であり、好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下である。粒子径の下限は限定されないが、通常、1nm以上のものが用いられる。金属薄膜前駆体微粒子の一次粒子径が200nmを越えると、得られる金属薄膜の緻密性が低下して体積抵抗値が増大する。金属薄膜前駆体微粒子が含有する分散体を塗布・加熱焼成することによって、粒子径200nm以下の金属微粒子が、互いに融着した構造を有する金属薄膜が得られる。
金属薄膜前駆体微粒子の種類は、加熱処理によって金属薄膜を形成する限りは制限が無く、好ましくは、金属微粒子、金属酸化物微粒子及び金属水酸化物微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
金属水酸化物微粒子としては、水酸化銅、水酸化ニッケル、水酸化コバルト等の化合物からなる微粒子を例示できるが、特に銅薄膜を与える金属水酸化物微粒子としては、水酸化銅微粒子を例示することができる。
金属微粒子としては、湿式法やガス中蒸発法等の手法により形成される銅微粒子が好ましい。
微粒子の分散媒中への分散性や、加熱処理による金属薄膜形成の容易性から、特に好ましいのは金属酸化物微粒子である。金属酸化物微粒子は、加熱処理によって還元されるものであれば、いかなるものも使用可能である。例えば、酸化銅、酸化銀、酸化パラジウム、酸化ニッケル等からなる微粒子が挙げられる。加熱処理によって銅を与えることが可能な酸化銅としては、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅のいずれも使用可能である。酸化第一銅微粒子は、容易に還元が可能であるので特に好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法を用いて合成することも可能である。例えば、粒子径が100nm未満の酸化第一銅超微粒子の合成方法としては、アセチルアセトナト銅錯体をポリオール溶媒中で200℃程度で加熱して合成する方法が公知である(アンゲバンテ ケミ インターナショナル エディション、40号、2巻、p.359、2001年)。
本発明では、金属薄膜前駆体微粒子を分散媒に分散させた分散体を、基板上に塗布、焼成することによって金属薄膜を形成させるが、微粒子を均一に分散できる限りにおいて、分散媒として用いられるものに制限は無い。
分散体が多価アルコール及び/又は直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、加熱処理して、金属薄膜前駆体微粒子から、金属薄膜を得るときの成膜性を向上させるので、さらに好ましい。
多価アルコールは、分子中に複数の水酸基を有する化合物である。多価アルコールは、その沸点が適度に高いため揮発しにくく、これを用いると、分散体の印刷性及び金属薄膜形成時の成膜性に優れるので好ましい。多価アルコールの中で好ましいのは、炭素数が10以下の多価アルコールであり、その中でも粘度の低い、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等が特に好ましい。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
多価アルコールが金属薄膜形成時の成膜性を向上させる理由は必ずしも明らかではないが、金属薄膜前駆体微粒子が金属酸化物微粒子又は金属水酸化物微粒子の場合には、多価アルコールが微粒子表面の水酸基と相互作用して粒子表面を保護し、粒子間の凝集を抑制する働きがあるものと考えられる。また多価アルコールには、金属酸化物微粒子又は金属水酸化物微粒子を還元する効果もあるので好ましい。
分散体が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有する場合、金属薄膜形成時の成膜性を向上させる効果に加えて、加熱処理して得られる金属薄膜の抵抗値が低減するので好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が成膜性を向上させ、かつ抵抗値を低減させる理由は、直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が易分解・易焼失性バインダーとして加熱処理中の金属薄膜前駆体微粒子の局所的な造粒を防ぐためと考えられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の好ましい数平均分子量は、150〜600である。数平均分子量がこの範囲にあると、金属薄膜形成時の成膜性が極めて高く、一方、容易に分解・焼失するので得られる金属薄膜の体積抵抗値が下がりやすい。数平均分子量は、焼成して金属薄膜を得るときの成膜性の観点から150以上、金属薄膜の体積抵抗値の観点から600以下が好ましい。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物は、繰り返し単位が炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物、2元以上のポリエーテルコポリマーやポリエーテルブロックコポリマーであってもよい。
具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリエーテルホモポリマーのほかに、エチレングリコール/プロピレングリコール、エチレングリコール/ブチレングリコールの2元コポリマー、エチレングリコール/プロピレングリコール/エチレングリコール、プロピレングリコール/エチレングリコール/プロピレングリコール、エチレングリコール/ブチレングリコール/エチレングリコール等の直鎖状の3元コポリマーが挙げられるがこれらに限定されるものではない。ブロックコポリマーとしては、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールのような2元ブロックコポリマー、さらにポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリブチレングリコールポリエチレングリコール等の直鎖状の3元ブロックコポリマーのようなポリエーテルブロックコポリマーが挙げられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の末端の構造は、微粒子の分散性や分散媒への溶解性に悪影響を与えない限り制限は無いが、少なくとも一つの末端がアルキル基であると、焼成時におけるポリエーテル化合物の分解・焼失性が向上し、得られる金属薄膜の体積抵抗値が下がるので好ましい。アルキル基の長さが長すぎると、微粒子の分散性を阻害して分散体の粘度が増大する傾向があるので、アルキル基の長さとしては、炭素数1〜4が好ましい。少なくとも一つの末端がアルキル基であることによって、焼成時の分解・焼失性が向上する理由は定かではないが、微粒子とポリエーテル化合物の間、又はポリエーテル化合物とポリエーテル化合物間の水素結合等に基づく相互作用の力が弱まることが寄与しているものと推察される。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の特に好ましい構造は、一つの末端がアルキル基であり、もう一方の末端が水酸基である構造であり、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
分散体中の金属薄膜前駆体微粒子の割合に制限はないが、分散体総量に対して、質量%で、好ましくは5〜90%、より好ましくは20〜80%である。分散体中の微粒子の質量がこれらの範囲にある場合には、微粒子の分散状態が良好であり、また、1回の塗布・加熱処理によって適度な厚さの金属薄膜が得られるので好ましい。
分散体中の多価アルコールの割合は、分散体総量に対して、質量%で、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。
分散体中の直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の割合は、分散体総量に対して、質量%で、好ましくは0.1〜70%、より好ましくは1〜50%である。ポリエーテル化合物の添加量は、金属薄膜の緻密性、基材との密着性の観点から0.1%以上、分散体の粘度の観点から70%以下が好ましい。
金属薄膜前駆体微粒子に対する直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の好ましい質量比は、用いる微粒子の種類と直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の種類により異なるが、通常は0.01〜10の範囲である。この範囲にあると得られる金属薄膜の緻密性が向上し、その体積抵抗値がさらに低下する。
本発明では、上記分散体に、必要に応じ、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
上記分散体の製造には、粉体を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、金属薄膜前駆体微粒子と分散媒と直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物等の構成原料を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散体の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。金属薄膜前駆体微粒子以外の構成物が固体である場合には、これらを液状になる温度に加熱しながら微粒子を加え、上記操作を行うことが好ましい。分散体が流動可能な固体となる場合には、ずり応力を加えながら分散を行うことが好ましく、3本ロール法、ミキサー法等が好ましい。
絶縁基板上に前記分散体を塗布する方法としては、ディップコーティング方法、スプレー塗布方法、スピンコーティング方法、バーコーティング方法、ロールコーティング方法、インクジェット方法、コンタクトプリンティング方法、スクリーン印刷方法等の手法が挙げられる。分散体の粘度にあわせ、最適な塗布手法を適宜選択すればよい。
分散体を塗布した後、加熱処理を行うことによって金属薄膜を形成する。
本発明において、「金属層」とは、一次粒子径が200nm未満の金属粒子同士が互いに接合して形成された連続層のことであり、電子顕微鏡を用いて3万倍の倍率で観察した時に、(1)粒子間の境界が消滅して連続層を形成している層、(2)金属粒子間の境界が粒子の周縁の一部又は全周にわたって観察される層、又は(3)両者が混在して存在する層をいう。
金属薄膜を形成するための加熱処理は、酸化の影響を受けない金属であるならば、大気中で行ってよいが、酸化されやすい金属種を含む場合には、不活性雰囲気での加熱処理が好ましい。また、還元性雰囲気での焼成によって、加熱処理温度が低減できる場合もあり、加熱処理温度を低減したい場合には好ましく用いられる。ここで不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガスで満たされた雰囲気を指し、還元性雰囲気とは、水素や一酸化炭素等の還元性ガスが存在する雰囲気を指す。これらのガス中には、酸化に寄与しない程度ならば、微量の酸素を含んでいてもかまわない。その際の酸素濃度は、好ましくは2000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下である。
塗布する分散体の膜厚を調整することによって、最終的に得られる金属薄膜の膜厚を調整することが可能である。塗布する分散体の膜厚は、通常、0.1〜100μmであり、得られる金属薄膜の膜厚は、通常、0.01〜50μmである。得られる金蔵薄膜の抵抗値を低く保つ上で、膜厚は好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上である。金属薄膜製造の容易性の点から、膜厚は10μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以下である。
金属薄膜前駆体微粒子分散体から得られる金属薄膜の体積抵抗値は、その上に金属メッキができる限りは制限がない。好ましくは1×10−4Ωcm以下、より好ましくは1×10−5Ωcm以下である。体積抵抗値が1×10−4Ωcmより大きくなると、電解メッキ工程で電流密度を上げにくく、金属メッキに要する時間が長くなる場合がある。
金属薄膜前駆体微粒子分散体から得られる金属薄膜の上に金属メッキを施す手法としては、乾式メッキ法及び湿式メッキ法が挙げられる。成膜速度の観点から好ましいのは湿式メッキ法である。湿式メッキ法としては、無電解メッキ法及び電解メッキ法のいずれも使用することができるが、メッキの成膜速度と、得られる金属膜の緻密性の観点から好ましいのは電解メッキ法である。
メッキの金属種に特に制限はないが、導電性や安定性の観点から好ましいのは、銅、ニッケル、金等である。銅は特に抵抗値が低く、また工業的な入手の容易性からも好ましい。メッキ工程は、必要に応じ被メッキ面を脱脂及び/または酸化層除去した後、メッキ反応液に基材を浸して行う。電解メッキであれば基材の被メッキ面に通電することによってメッキ層を形成することが可能となる。
絶縁基板と金属薄膜の間に強い接着強度を必要とする場合には、分散体が接する絶縁基板面に金属薄膜との接着性を向上させる接着層を有する絶縁基板を用いることが好ましい。好ましい接着層としては、熱可塑性ポリイミド系樹脂層、及び部分的にポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂層が例示できる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂は、イミド環構造を有する樹脂の総称であり、例えば、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、熱可塑性ポリエステルイミド等が挙げられる。熱可塑性ポリイミド系樹脂は、低熱膨張性のものが好ましい。熱可塑性ポリイミド系樹脂は、通常、電気配線の絶縁膜として用いられている程度の絶縁性を有することが好ましく、体積抵抗率が1013Ωcm以上の絶縁性を有することが好ましい。
熱可塑性ポリイミド系樹脂の好ましいガラス転移温度は、好ましくは150℃以上、350℃以下、より好ましくは150℃以上、300℃以下である。ポリイミドのガラス転移温度が150℃未満になると、本発明の積層体をフレキシブルプリント配線板等に用いる際に、例えば、150℃における加熱時にポリイミド系樹脂が軟化することにより、配線加工した金属層にずれが発生する場合がある。金属薄膜と絶縁基板の密着性の観点から、ガラス転移温度は350℃以下が好ましい。
熱可塑性ポリイミド系樹脂は、テトラカルボン酸成分として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフルオロメタン二無水物等の少なくとも1種を用い、ジアミン成分としては〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、3,3‘−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)パーフルオロプロパン等の少なくとも1種を用いて重合反応させたものを用いることが好ましい。
絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂層を設ける場合に、熱可塑性ポリイミド系樹脂に代えて熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を用いてもよい。熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、加熱により熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化される。熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の一例として、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニルとピロメリット酸無水物からなるポリアミド酸等が挙げられる。
熱可塑性ポリイミド系樹脂及び熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、それぞれ単独でも、2種以上を混合して用いてもよく、熱可塑性ポリイミド系樹脂層と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を用いた樹脂層とを設けてもよい。また、異なる熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる複数の層が形成されていてもよい。
絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド樹脂層を形成させるには、下記の方法が好ましい。
(A)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂を含有する溶液を塗布した後、脱溶剤処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層を絶縁基板上に形成させる方法。
(B)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤及び脱水縮合反応のための熱処理を行って熱可塑性ポリイミド系樹脂からなる層を絶縁基板上に形成させる方法。
(C)絶縁基板上に熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の溶液を塗布した後、脱溶剤及び脱水縮合反応のための熱処理を行って前記前駆体の一部を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させて、熱可塑性ポリイミド系樹脂と熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体とからなる層を絶縁基板上に形成させる第一の工程、次いで、前記の層の上に、一次粒子径が200nm以下で、加熱することによって互いに融着する金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布し、加熱処理することによって、残りの前記前駆体を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる第二の工程からなる方法。
(A)の方法においては、絶縁基板上に塗工された熱可塑性ポリイミド系樹脂溶液は、熱処理等の方法により溶剤が除去される。この際、熱処理は低温から徐々に高温に上昇させながら行うのが好ましい。熱処理を急激に高温で行なうと、樹脂表面にスキン層が生成して溶剤が蒸発しにくくなったり、発泡する場合がある。
また、本発明では、熱可塑性ポリイミド系樹脂の代わりに、熱可塑性ポリイミド系樹脂に変換可能な熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液を使用する(B)又は(C)の方法を採用することもできる。
(B)の方法によると、熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液を塗布後、熱処理により溶剤が除去され、脱水縮合反応によりイミド閉環が行われる。この熱処理に関して、脱溶剤処理及びイミド閉環処理は同時に行ってもよいし、逐次的に行ってもよい。熱処理は低温から徐々に高温まで上昇させながら熱処理するのが望ましい。
複数のポリイミド前駆体を用いて多層構造を形成する場合、各ポリイミド系樹脂層間に十分な接着力を付与するためには、複数の前駆体溶液の多層塗工を行った後、イミド閉環反応温度以下での脱溶剤処理の後、前駆体のポリイミドへの加熱変換を一括して行うのが好ましい。
(C)の方法の場合、第一の工程で熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化率を70%以上、100%未満になるよう調整することが好ましい。第一の工程での転化率をこのように調整することにより、次に形成される金属薄膜との接着性がさらに向上する。
ここで、転化率とは、熱可塑性ポリイミド系樹脂層中のイミド結合を形成する縮合性官能基のうち、縮合している割合を表す指標である。すべての縮合性官能基が縮合し、イミド結合に転化された場合を転化率100%と定義する。通常、この転化率は、硬化処理後のイミド結合の量を赤外線吸収測定などの手法により測定することにより、見積もることが可能である。例えば、縮合によりイミド結合が得られる場合には、1780cm−1付近のイミド基の赤外線吸収ピークの相対強度を測定し、転化率100%のサンプルと比較することにより見積もることができる。
未転化の熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を第二の工程において熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる。積層体中に未転化の前駆体が残ると、吸水等により絶縁信頼性が低下しやすくなるので、熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は100%転化させることが好ましい。
熱可塑性ポリイミド系樹脂又は熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液に用いられる溶媒には、通常、有機溶媒が用いられる。有機溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチル尿素、N−メチルカプロラクタム、プチロラクタム、テトラヒドロフラン、m−ジオキサン、p−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス2−(2−メトキシエトキシ)エチルエーテル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ピリジン、ピコリン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して用いることもできる。
絶縁基板上への熱可塑性ポリイミド系樹脂又は熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液の塗工方法は限定されるものではなく、例えば、ディップコート、バーコート、スピンコート、ロールコート、スプレーコート等が用いられる。前記溶液の濃度は、熱可塑性ポリイミド系樹脂又はその前駆体の重合度にもよるが、通常5〜30質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。ポリマー濃度が5質量%よりも低いと1回の塗工で十分な膜厚が得られない場合があり、30質量%よりも高くなると溶液粘度が高くなって塗工が困難になる場合がある。
次に、好ましい接着層の一つである、部分的に非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体(以下、単に部分的に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体という場合がある)からなる層について説明する。
ここで、非熱可塑性ポリイミド系樹脂とは、イミド環を有する高分子であり、かつ、ガラス転移温度を有しないか、ガラス転移温度を有する場合であっても、ガラス転移温度において弾性率の大きな低下がなく、可塑化しない(溶融流動しない)樹脂を指す。この非熱可塑性ポリイミド系樹脂は、通常、電気配線の絶縁膜として用いられている程度の絶縁性を有することが好ましく、体積抵抗率が1013Ωcm以上の絶縁性を有することが好ましい。
樹脂の耐熱性や工業的な入手のし易さを考慮すると、非熱可塑性ポリイミド系樹脂の中で特に好ましいのは、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン又はジイソシアナートの重縮合によって得られるポリイミド樹脂である。このような樹脂の例として、テトラカルボン酸成分として3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジアミン成分として、4,4‘−ジアミノジフェニルメタン、4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル等から重縮合によって得られるポリイミド樹脂等が挙げられる。非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、単独でも、2種以上を併用してもよい。
部分的に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体は、ポリアミック酸やジイソシアナート付加体等の非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体を部分硬化反応させて得られる。部分的に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体から非熱可塑性ポリイミド系樹脂への好ましい転化率は、70%以上100%未満である。転化率をこの範囲にした後に、金属薄膜前駆体微粒子分散体を塗布・加熱処理することによって、金属薄膜との間の接着強度が更に増大する。部分的に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体層中の未転化の前駆体成分は、金属薄膜前駆体微粒子分散体を加熱処理すると同時に、100%転化させることが好ましい。
非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体から、非熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化率は、赤外線吸収測定などの手法を用いて、熱可塑性ポリイミド系樹脂の場合と同様に、見積もることが可能である。
非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の非熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化は、熱処理における加熱温度と加熱時間を調整することでその転化率を調整することができ、その条件は用いる非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の種類に応じて適宜定めればよいが、通常、転化率70%以上100%未満の部分硬化膜を得る際には150℃〜250℃の温度域での加熱が好ましく、100%転化させる際には300〜400℃の温度域での加熱が好ましい。
例えば、非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体としてポリアミック酸を用いて非熱可塑性ポリイミド系樹脂を形成する場合には、120℃程度で予備加熱した後、200℃程度で転化反応を行うことによって、イミド化転化率(R1)が90%程度のポリイミド膜が得られる。このポリイミド膜上に、金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を塗布後、350℃で加熱処理して金属薄膜前駆体微粒子を金属薄膜に形成すると同時に、ポリイミド膜中のイミド化転化率(R2)が100%に達し、高い接着強度を有した金属薄膜と絶縁樹脂の接合体が得られる。
非熱可塑性ポリイミド系樹脂又は非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液に用いられる溶媒には、通常、有機溶媒が用いられ、熱可塑性ポリイミド系樹脂と同様の溶媒を用いることができる。
絶縁基板上への非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体溶液の塗工方法は限定されるものではなく、熱可塑性ポリイミド系樹脂と同様の方法を用いることができる。前記溶液の濃度は、非熱可塑性ポリイミド系樹脂又はその前駆体の重合度にもよるが、通常5〜30質量%であり、好ましくは10〜20質量%である。ポリマー濃度が5質量%よりも低いと1回の塗工で十分な膜厚が得られない場合があり、30質量%よりも高くなると溶液粘度が高くなって塗工が困難になる場合がある。
接着層として熱可塑性ポリイミド系樹脂層、又は、部分硬化された非熱可塑性ポリイミド系樹脂層を有する絶縁基板上で、金属薄膜前駆体微粒子分散体を加熱処理する際に、加熱処理は、接着性向上の点から、接着層を構成する化合物の二次転移点(Tg)以上の温度で行うことが好ましい。Tg以上の温度で加熱処理を行うことによって接着性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、接着層が二次転移を起すことで、金属薄膜前駆体微粒子が接着層との間で大きな接着面積をとることができるからであろうと考えられる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
金属薄膜前駆体微粒子の粒子径、金属薄膜の体積抵抗率、接着性・接着強度、及びイミド化転化率は以下の方法で測定する。
(1)金属薄膜前駆体微粒子の粒子径
カーボン蒸着された銅メッシュ上に、溶解・希釈した微粒子分散体を1滴たらし、減圧乾燥したサンプルを作成する。(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡(JEM−4000FX)を用いて観察し、視野の中から、粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被測定物の粒子径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、倍率をかけて一次粒子径を算出する。これらの値の平均値を粒子径とする。
(2)金属薄膜と絶縁基板の抵抗率
金属薄膜の体積抵抗率は低抵抗率計「ロレスター(登録商標)」GP(三菱化学株式会社製)を用いて測定した。絶縁基板の抵抗率は、東亜ディーケーケー株式会社製極超絶縁計SM−10Eを用いて測定した。
(3)イミド化転化率
ポリアミック酸を塗布し、その一部を熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化させる場合について、イミド化転化率の見積もり方法について説明する。ポリアミック酸加熱処理後において、表面の赤外吸収スペクトルを測定し、1780cm−1付近のイミド基ピーク強度(A1)とイミド化反応によって変化しない1500cm−1付近のピーク強度(B1)を計算し、これらからイミド基の相対強度C1=A1/B1を導出する。次に、比較試料として、350℃で4時間加熱処理を行い、100%イミド化転化を行った試料を準備し、1780cm−1及び1500cm−1のピーク強度(A0,B0)を測定し、相対強度C0=A0/B0を導出する。このときの相対強度C0を100とし、C1と比較することで、加熱処理によるイミド化転化率は、(100×C1/C0)%と計算して求める。
[実施例1]
(金属薄膜前駆体微粒子及び分散体の調製)
無水酢酸銅(和光純薬工業株式会社製)8gに精製水70mlを加えた。25℃で攪拌しながらヒドラジン対酢酸銅のモル比が1.2になるように64質量%のヒドラジン抱水物2.6mlを加えて反応させ、粒子径20nmの酸化第一銅微粒子を得た。得られた酸化第一銅3gに対し、ポリエチレングリコール(数平均分子量200、アルドリッチ製)2gと、ジエチレングリコール7gを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散体を得た。
(金属薄膜の形成)
10cm角のガラス基板上に同サイズで切り出したポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム、膜厚50μm)を両面テープで貼り合わせた後、ミカサ株式会社製スピンコーター(1H−D7型)にセットした後、前述の酸化第一銅分散体を2mL滴下した後、600rpm×15秒の条件でスピンコートして塗布を行った。次に、この塗布膜を、ホットプレートで350℃×1hの条件で窒素フローさせながら350℃で加熱処理を行い、体積抵抗値6.2×10−6Ωcm、膜厚1.1μmの銅薄膜が得られた。
(銅メッキによる金属の厚つけ)
硫酸銅五水和物(和光純薬工業株式会社)80gと硫酸180gとを、精製水1リットルに溶解し、電解メッキ浴を作成した。このメッキ浴に、上記で得られた銅薄膜とポリイミドフィルムの積層体を浸し、室温にて、3A/dmの電流密度で、電解銅メッキを施し、金属層の総厚み(酸化第一銅分散体から得られた銅薄膜+メッキで形成された銅膜)が5μmである、薄い銅薄膜層を有する、積層基板を完成させた。
(エッチング性の検討)
得られた積層基板を塩化第二鉄水溶液(関東化学)に室温で浸漬することでエッチングを行って銅層除去を行った後、精製水で洗浄・乾燥した後、銅層がついていた基板面の絶縁性を測定した所、絶縁性は1×1016Ωと高かった。
[実施例2]
(ポリイミド溶液の合成)
3,3’−4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンとの重縮合反応によって得られる溶剤可溶性ポリイミドの樹脂濃度20wt%のNMP(N−メチル−2−ピロリドン)溶液(新日本理化株式会社製リカコートPN−20)をNMPを加えて10wt%溶液に希釈し、ポリイミド樹脂溶液を調製した。この熱可塑性ポリイミドのガラス転移温度は270℃であった。
(接着層を形成した基板の作成)
10cm角のガラス基板上に同サイズで切り出したポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム、膜厚50μm)を両面テープで貼り合わせた後、ミカサ株式会社製スピンコーター(1H−D7型)にセットした。このポリイミドフィルム上に上記ポリイミド樹脂溶液を500rpm×5秒のプレスピンの後、2000rpm×10秒の条件でスピンコートを行った。スピンコート塗布した基板を、ホットプレート上で90℃×10分、120℃×10分、150℃×10分、180℃×10分、250℃×60分、300℃×60分の条件で加熱し、熱可塑性ポリイミド系樹脂を表面に有するポリイミド基板を得た。
(金属薄膜の形成)
上記ポリイミド基板を再びスピンコーターにセットし、実施例1と同一の酸化第一銅分散体を2mL滴下した後、600rpm×15秒の条件でスピンコートして塗布を行った。次に、この塗布膜を、ホットプレートで350℃×1hの条件で窒素フローさせながら上記ポリイミド膜のガラス転移温度(270℃)よりも高い温度である350℃で加熱処理を行い、体積抵抗値5.8×10−6Ωcm、膜厚1.1μmの銅薄膜が得られた。
(銅メッキによる金属の厚つけ及びエッチング性の検討)
実施例1と同様の方法で、電解銅メッキを施し、金属層の総厚み(酸化第一銅分散体から得られた銅薄膜+メッキで形成された銅膜)が5μmである、薄い銅薄膜層を有する、積層基板を完成させた。
(エッチング性の検討)
実施例1と同様にエッチング処理を行って絶縁性を測定した所、絶縁性は3×1015Ωと高かった。
本発明の積層基板の製造方法は、絶縁基板上に薄膜の金属層を容易に形成でき、さらにエッチング後において絶縁基板上にエッチング残りが少なく、絶縁信頼性に優れた積層基板の製造方法を提供できるという利点があり、フレキシブル回路基板材料等を生産性高く生産することができる。

Claims (10)

  1. (1)加熱処理によって互いに融着する、一次粒径が200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子を含有する分散体を絶縁基板上に塗布し、加熱処理することによって金属薄膜を形成する工程と、(2)前記金属薄膜上に金属メッキを行って金属膜を形成する工程を含む積層基板の製造方法。
  2. 接着層を有する絶縁基板を用いることを特徴とする請求項1に記載の積層基板の製造方法。
  3. 接着層が、熱可塑性ポリイミド系樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載の積層基板の製造方法。
  4. 接着層が、部分的に非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体からなることを特徴とする請求項2に記載の積層基板の製造方法。
  5. 非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体から非熱可塑性ポリイミド系樹脂への転化率を70%以上100%未満にすることを特徴とする請求項4に記載の積層基板の製造方法。
  6. 接着層を有する絶縁基板上に金属薄膜前駆体微粒子を含む分散体を塗布し、接着層を構成する化合物の二次転移点(Tg)以上の温度で加熱処理を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載の積層基板の製造方法。
  7. 接着層を有する絶縁基板上に金属薄膜前駆体微粒子を含む分散体を塗布し、加熱処理を行うことによって金属薄膜を形成すると同時に、部分的に非熱可塑性ポリイミド系樹脂に転化した非熱可塑性ポリイミド系樹脂前駆体の転化率を100%にすることを特徴とする請求項4に記載の積層基板の製造方法。
  8. 金属薄膜前駆体微粒子が金属微粒子、金属酸化物微粒子及び金属水酸化物微粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の積層体の製造方法。
  9. 金属薄膜前駆体微粒子が酸化第一銅微粒子であることを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方法。
  10. 分散体が多価アルコール及び/又は直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含むことを特徴とする請求項2に記載の積層体の製造方法。
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