JP4994086B2 - 金属薄膜前駆体分散液 - Google Patents

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Description

本発明は、金属薄膜を形成するのに適した金属前駆体の分散液及びこの分散液を用いて基板上に金属薄膜を形成する製造方法に関する。本発明において、金属前駆体の分散液を基材上に塗布して加熱処理することにより、電極、配線、回路等の金属薄膜を容易に作成することが可能となる。
従来、基板上に金属薄膜を形成する方法には、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、メッキ法、金属ペースト法等が知られている。
メッキ法によると、導電性を有する基材の上に、比較的容易に金属薄膜を形成することが可能であるが、絶縁基材の上に形成する場合には、導電層をはじめに形成する必要があるため、そのプロセスは煩雑なものになるという問題がある。また、メッキ法は溶液中での反応を利用するため、大量の廃液が副生し、この廃液処理に多大な手間とコストがかかるという問題がある。
金属ペースト法は、金属フィラーを分散させた溶液を絶縁基板上に塗布し、加熱処理して金属薄膜を得る方法である。この方法によると、真空装置等の特別な装置を必要とせず、プロセスが簡易であるという利点を有するが、金属フィラーを溶融するには、通常、1000℃以上の高温を必要とする。したがって、基材はセラミック基材等の耐熱性を有するものに限られ、また、基材が熱で損傷したり、加熱により生じた残留応力により基材が損傷を受けやすいという問題がある。さらに、得られる金属薄膜の基板への密着性が充分ではない。
一方、金属フィラーの粒径を低減することによって、金属ペーストの焼成温度を低減する技術は公知であり、例えば、特許文献1には、粒径100nm以下の金属微粒子を分散した分散液を用いて金属薄膜を直接、絶縁基板上に形成する方法が開示されている。しかしながら、ここで用いられている100nm以下の金属粒子の製造方法は、低圧雰囲気で揮発した金属蒸気を急速冷却する方法であるために、大量生産が難しく、したがって、金属フィラーのコストが高くなるという問題を有している。
金属酸化物フィラーを分散させた金属酸化物ペーストを用いて、金属薄膜を直接、絶縁基板上に形成する方法も知られている。特許文献2には、結晶性高分子を含み、粒径300nm以下の金属酸化物を分散させた金属酸化物ペーストを加熱し、結晶性高分子を分解させて金属薄膜を得る方法が開示されている。しかしながら、この方法では、300nm以下の金属酸化物を結晶性高分子中にあらかじめ分散させる必要があり、非常な手間を必要とするのに加えて、結晶性高分子を分解するのに400℃〜900℃の高温を必要とする。したがって、使用可能な基材は、その温度以上の耐熱性を必要とし、その種類に制限があるという問題がある。
これらの課題を解決する金属薄膜の製造方法として、すでに本出願人は、安価な金属酸化物フィラーを分散させた分散液を基材上に塗布し、比較的低温での加熱処理によって金属薄膜を得るという方法を開示している(特許文献3)。この技術によって基板上に薄い銅等の金属薄膜を容易に形成することが可能であるが、金属薄膜に発生するピンホールの低減などの改善が求められている。
特許第2561537号公報 特開平5−98195号公報 国際公開第03/051562号パンフレット
本発明の課題は、高い導電性を有し、薄膜中にピンホールが少ない金属薄膜を形成することが可能な、金属前駆体分散液を提供することである。
本発明者らは、上記の問題点を解決するために鋭意検討を進めた結果、本発明を完成さ
せるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1) 金属薄膜前駆体を含有する分散液であって、該分散液の表面張力が10mN/m以上40mN/m以下、及び、該分散液に5重量%以上含有する、該金属薄膜前駆体を除く化合物の沸点が150℃以上400℃以下である、若しくは該化合物の焼失温度が150℃以上400℃以下であることを特徴とする金属薄膜前駆体分散液。
(2) 前記分散液が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含むことを特徴とする(1)に
記載の金属薄膜前駆体分散液。
(3) 前記分散液が多価アルコールを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載
の金属薄膜前駆体分散液。
(4) 前記金属薄膜前駆体が金属酸化物微粒子であることを特徴とする(1)〜(3)いずれかに記載の金属薄膜前駆体分散液。
(5) 前記金属酸化物が酸化第一銅であることを特徴とする(4)に記載の金属薄膜前駆体分散液。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の金属薄膜前駆体分散液を、基板の上に塗布し、加熱処理して、金属薄膜を形成することを特徴とする金属薄膜の製造方法。
(7) 前記基板が、ポリイミド基板であることを特徴とする(6)に記載の金属薄膜の製造方法。
本発明の分散液を加熱処理することにより、バルクの金属薄膜と同等程度の導電性を有し、かつピンホールの少ない金属薄膜を形成することができる。また、本発明によると、金属の膜厚を任意にコントロールすることができ、薄膜の金属膜も容易に形成できるので、フレキシブル回路基板材料等として好適に使用することが可能である。さらに、基板上に金属薄膜を形成する際の、従来技術における前記の問題点が解決される。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の分散液は、金属薄膜前駆体を含有する分散液であって、表面張力が40mN/m以下、及び、該分散液に5重量%以上含まれる、該金属薄膜前駆体を除く化合物の沸点が150℃以上400℃以下、若しくは該化合物の焼失温度が150℃以上400℃以下であることを特徴とする。ここで沸点は、大気圧下での沸点を指す。
金属薄膜前駆体とは、加熱処理等の後処理によって金属薄膜が形成できる化合物を指し、例えば加熱処理によって互いに融着する金属薄膜前駆体微粒子や、加熱処理によって金属に還元され金属薄膜を形成する金属錯体などを例示できる。
比較的厚い金属薄膜を形成するためには、金属薄膜前駆体を含有する分散液または溶液の中で特に好ましいものは、一次粒子径200nm以下の金属薄膜前駆体微粒子の分散液である。
加熱処理によって互いに融着する金属薄膜前駆体粒子とは、この前駆体粒子を含む分散液を膜状に塗布し、加熱することによって金属粒子同士が相互に接合して、見かけ上、連続した金属層で形成された薄膜を形成する粒子である。
金属薄膜前駆体粒子は、加熱処理によって緻密な金属薄膜が得るという観点から、一次粒子径が200nm以下が好ましく、さらに好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下である。また、分散液の粘度、取り扱い性の観点から、1次粒子径は1nm以上であることが好ましい。
本発明で用いられる金属薄膜前駆体粒子としては、加熱処理によって金属薄膜を形成する限り制限は無く、好ましくは、金属粒子、金属水酸化物粒子および金属酸化物粒子が挙げられる。
金属粒子としては、湿式法やガス中蒸発法等の手法により形成される1次粒径が10nm以下の金属微粒子が好ましく、特に銅微粒子が好ましい。
金属水酸化物粒子としては、水酸化銅、水酸化ニッケル、水酸化コバルト等の化合物からなる粒子を例示できるが、特に銅薄膜を与える金属水酸化物粒子としては、水酸化銅粒子が好ましい。
金属酸化物粒子は、加熱処理による金属薄膜形成の容易性から、特に好ましい。金属酸化物粒子としては、例えば、酸化銅、酸化銀、酸化パラジウム、酸化ニッケル等が挙げられる。加熱処理によって銅を与えることが可能な酸化銅としては、酸化第一銅、酸化第二銅、その他の酸化数をもった酸化銅のいずれも使用可能である。酸化第一銅粒子は、容易に還元が可能であるので特に好ましい。中でも、一次粒径が200nm以下の金属酸化物微粒子は分散媒への分散性も極めて高いので、特に好ましい。
これらの金属酸化物微粒子は、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法を用いて合成することも可能である。例えば、粒子径が100nm未満の酸化第一銅超微粒子の合成方法としては、アセチルアセトナト銅錯体をポリオール溶媒中で200℃程度で加熱して合成する方法が公知である(アンゲバンテ ケミ インターナショナル エディション、40号、2巻、p.359、2001年)。
本発明の分散液の表面張力は40mN/m以下である必要があり、好ましくは10mN/m以上40mN/m以下、特に好ましい表面張力は20mN/m以上35mN/m以下である。
分散液の表面張力の調整は、表面張力の異なる化合物を分散液に添加することによって行われ、例えば、分散液の表面張力を下げるためには、低表面張力の化合物を必要量添加することで達成される。多価アルコールの例で説明すると、ジプロピレングリコール(32mN/m)、ヘキシレングリコール(27mN/m)、2,3−ブタンジオール(31mN/m)等は、エチレングリコール(47mN/m)、1,4−ブタンジオール(45mN/m)などより低く、これらを組み合わせることで、液の表面張力を調整することができる。
本発明の分散液は、分散液中に5重量%以上含まれる化合物の沸点が150℃以上400℃以下、若しくは該化合物の焼失温度が150℃以上400℃以下であると好ましい。焼失温度とは、ここでは化合物の99重量%以上が揮発もしくは熱分解によって焼失する温度を指す。
化合物の沸点は150℃以上350℃以下、若しくは該化合物の焼失温度が150℃以上350℃以下である場合には、比較的低温での加熱処理によって低抵抗の金属薄膜を得ることができるので特に好ましい。
分散液の表面張力及び分散液に5重量%以上含まれる、該金属薄膜前駆体を除く化合物の沸点若しくは分散液に5重量%以上含まれる化合物の焼失温度を上記の様に制御することによって、金属薄膜前駆体の分散液を基板上に塗布し加熱処理する過程で、ピンホールが顕著に少ない金属薄膜を形成することができる。
本発明の分散液に含まれる化合物としては、金属薄膜前駆体の溶媒もしくは分散媒、金属薄膜の成膜に寄与する成膜助剤、表面張力を調整するための添加剤などが例示できる。
分散液が多価アルコールを含有すると、加熱処理によって、金属薄膜前駆体から、金属薄膜を形成するときの成膜性を向上させるので、好ましい。
多価アルコールは、分子中に複数の水酸基を有する化合物である。多価アルコールの中で好ましいのは、炭素数が10以下の多価アルコ−ルであり、その中でも、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ヘキシルグリコール等が特に好ましい。これらの多価アルコールは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
分散液が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を含有すると、金属薄膜形成時の成膜性を向上させる効果に加えて、加熱処理して得られる金属薄膜の抵抗値が低減するので好ましい。直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が成膜性を向上させ、かつ抵抗値を低減させる理由は、直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物が易分解・易焼失性バインダーとして加熱処理中の金属薄膜前駆体微粒子の局所的な造粒を防ぐためと考えられる。
直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物の好ましい数平均分子量は、150〜600である。分子量がこの範囲にあると、金属薄膜形成時の成膜性が極めて高く、一方、容易に分解・焼失するので得られる金属薄膜の体積抵抗率が下がりやすい。数平均分子量が150より小さいと、焼成して金属薄膜を得るときの成膜性が低下する傾向があり、数平均分子量が600を越えると、得られる金属薄膜の体積抵抗率が高くなる傾向がある。
直鎖状脂肪族ポリエ−テル化合物は、繰り返し単位が炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状脂肪族ポリエ−テル化合物、2元以上のポリエ−テルコポリマ−やポリエ−テルブロックコポリマ−であってもよい。
具体的には、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ルのようなポリエ−テルホモポリマ−のほかに、エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ル/ブチレングリコ−ルの2元コポリマ−、エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル/エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル/エチレングリコ−ル/プロピレングリコ−ル、エチレングリコ−ル/ブチレングリコ−ル/エチレングリコ−ル等の直鎖状の3元コポリマ−が挙げられるがこれらに限定されるものではない。ブロックコポリマ−としては、ポリエチレングリコ−ルポリプロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルポリブチレングリコ−ルのような2元ブロックコポリマ−、さらにポリエチレングリコ−ルポリプロピレングリコ−ルポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルポリエチレングリコ−ルポリプロピレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルポリブチレングリコ−ルポリエチレングリコ−ル等の直鎖状の3元ブロックコポリマ−のようなポリエ−テルブロックコポリマ−が挙げられる。
直鎖状脂肪族ポリエ−テル化合物の末端の構造は、微粒子の分散性や分散媒への溶解性に悪影響を与えない限り制限は無いが、少なくとも一つの末端がアルキル基であると、焼成時におけるポリエーテル化合物の分解・焼失性が向上し、得られる金属薄膜の体積抵抗率が下がるので好ましい。アルキル基の長さが長すぎると、微粒子の分散性を阻害して分散液の粘度が増大する傾向があるので、アルキル基の長さとしては、炭素数1〜4が好ましい。少なくとも一つの末端がアルキル基であることによって、焼成時の分解・焼失性が向上する理由は定かではないが、微粒子とポリエーテル化合物の間、またはポリエーテル化合物とポリエーテル化合物間の水素結合等に基づく相互作用の力が弱まることが寄与しているものと推察される。
直鎖状脂肪族ポリエ−テル化合物の特に好ましい構造は、一つの末端がアルキル基であり、もう一方の末端が水酸基である構造であり、例えば、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリプロピレングリコールメチルエーテル等が挙げられる。
分散液中の金属薄膜前駆体微粒子の割合に制限はないが、分散液総量に対して、重量%で、好ましくは5〜90%、より好ましくは10〜80%、特に好ましくは20〜50%である。分散液中の微粒子の重量がこれらの範囲にある場合には、微粒子の分散状態が良好であり、また、1回の塗布・加熱処理によって適度な厚さの金属薄膜が得られるので好ましい。
分散液中の多価アルコールの割合は、分散液総量に対して、重量%で、好ましくは5〜70%、より好ましくは10〜50%である。
分散液中の直鎖状脂肪族ポリエ−テル化合物の割合は、分散液総量に対して、重量%で、好ましくは0.1〜70%、より好ましくは1〜50%、特に好ましくは3〜20%である。この範囲にポリエーテル化合物を調整することで、金属薄膜の密着性が高く、また、分散液の粘度が好ましい範囲に保たれるので好ましい。 金属薄膜前駆体微粒子に対するポリエーテル化合物の好ましい重量比は、用いる微粒子の種類とポリエーテル化合物の種類により異なるが、通常は0.01〜10の範囲である。この範囲にあると得られる金属薄膜の緻密性が向上し、その体積抵抗率がさらに低下する。
本発明では、上記分散液に、必要に応じ、消泡剤、レベリング剤、粘度調整剤、安定剤等の添加剤を添加してもよい。
上記分散液の製造には、粉体を液体に分散する一般的な方法を用いることができる。例えば、金属薄膜前駆体微粒子と分散媒と直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物等の構成原料を混合した後、超音波法、ミキサー法、3本ロール法、ボールミル法で分散を施せばよい。これらの分散手段のうち、複数を組み合わせて分散を行うことも可能である。これらの分散処理は室温で行ってもよく、分散液の粘度を下げるために、加熱して行ってもよい。金属薄膜前駆体微粒子以外の構成物が固体である場合には、これらを液状になる温度に加熱しながら微粒子を加え、上記操作を行うことが好ましい。分散液が流動可能な固体となる場合には、ずり応力を加えながら分散を行うことが好ましく、3本ロール法、ミキサー法等が好ましい。
金属薄膜は、絶縁基板上に金属薄膜前駆体を含有する分散液を塗布し、さらに加熱処理することで形成される。分散液の塗布の後、塗布膜を乾燥する工程を含んでも良い。
絶縁基板は、有機材料および無機材料のいずれでもよいが、金属薄膜を形成する際に加熱処理を行うことから、耐熱性のものが好ましい。例えば、セラミックスやガラスなどの無機材料、ポリイミドフィルム等の耐熱性樹脂が好適に用いられる。
絶縁基板は、電気配線回路基板に通常用いられている程度の絶縁性を有するものであればよく、好ましくは、体積抵抗率として1013Ωcm以上を有するものである。
本発明で、絶縁基板として特に好適に使用される基板は熱硬化性ポリイミドフィルムである。ポリイミドフィルムはピロメリット酸またはピロメリット酸誘導体と、芳香族ジアミンとを縮合してなるもの、例えば、カプトン(登録商標、東レ・デュポン株式会社製)、アピカル(登録商標、鐘淵化学株式会社製)等、ビフェニルテトラカルボン酸またはビフェニルテトラカルボン酸誘導体と、芳香族ジアミンとを縮合してなるもの、例えば、ユーピレックス(登録商標、宇部興産株式会社製)等である。ポリイミドフィルムの膜厚は限定されないが、通常、15〜100μm程度のものを用途に応じて適宜選択して用いることができる。
本発明では、このような基板をそのまま用いてもよいが、金属薄膜層との密着性の向上を図るための密着層を形成しても良い。密着層としては、イミド結合および/またはアミド結合を有する熱可塑性絶縁性樹脂層などが例示される。また、絶縁基板は、脱脂処理、酸若しくはアルカリによる化学処理、熱処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、サンドブラスト処理等の表面処理を行ってもよい。
金属薄膜前駆体の分散液を塗布する方法として、例えば、ディップコーティング方法、スプレー塗布方法、スピンコーティング方法、バーコーティング方法、ロールコーティング方法、インクジェット方法、コンタクトプリンティング方法、スクリーン印刷方法等が挙げられる。分散液の粘度にあわせ、最適な塗布手法を適宜選択すればよい。塗布する分散液の膜厚を調整することによって、最終的に得られる金属薄膜の膜厚を調整することが可能である。
金属薄膜前駆体の分散液を、回路形状に塗布し加熱処理すると、金属回路パターンを形成でき、本用途には、例えば、インクジェットプリンターやディスペンサー等、ドロップオンデマンドタイプの塗布装置が用いられる。
インクジェット法においては、分散液をインクジェットプリンターヘッドに入れて、ピエゾ素子等に電気駆動によって微小振動を加えることによって分散液液滴が吐出される。ディスペンサー法においては、分散液を先端に吐出針のついたディスペンサーチューブに入れ、空気圧を加えることによって分散液が吐出される。
回路パターンは、インクジェットヘッドやディスペンサー吐出針をロボットによって平面方向に動かすことにより任意のパターンを形成することができる。これらの塗布手法においては、段差を有する基板においても、ロボットを垂直方向に動かすことで、段差に追従した回路を形成することも可能である。
インクジェット法においては、描画される配線パターンの線幅は、インクジェットプリンターヘッドから吐出される分散液液滴サイズとその着弾パターンを制御することにより、またディスペンサー法においては吐出針から吐出される分散液の幅を吐出針の内外径や、吐出圧、描画スピード等によってコントロールすることにより、描画される配線パターンの線幅を調整することが可能である。
回路形状に塗布する用途においては、塗布する分散液の線幅は、通常は1〜400μmの範囲であり、得られる金属配線の線幅は0.5〜300μmである。また、塗布する分散液の厚みを調整することによって、最終的に得られる金属配線の厚みを調整することが可能である。通常は、塗布する分散液の厚みは0.1〜100μmであり、得られる金属配線の厚みは0.05〜50μmである。 加熱処理は、金属薄膜前駆体の金属薄膜への変換温度よりも高い温度で行う必要があるが、通常は、100℃以上400℃以下の温度で行われる。
加熱処理の雰囲気は、不活性雰囲気、還元雰囲気、酸化性雰囲気など例示されるが、得られる金属薄膜が酸化されやすい場合には、不活性雰囲気や還元雰囲気が好ましい。この際、不活性雰囲気や還元雰囲気中に酸素を2000ppm程度含んでいても構わない。分散液中の直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物を分解する場合には、不活性または還元ガス中に20〜2000ppmの酸素を含むことが好ましい。不活性雰囲気とは、例えば、アルゴン、窒素等の不活性ガスの雰囲気を指す。還元雰囲気は水素や一酸化炭素などの雰囲気を指す。
これらの加熱処理には、遠赤外線、赤外線、マイクロ波、電子線等の放射線加熱炉や、電気炉、オーブン等の加熱手段が用いられる。
以下に、本発明の実施例および比較例を示す。本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
金属薄膜前駆体微粒子の粒子径、分散液の表面張力、金属薄膜の体積抵抗率、焼失温度及び、ピンホールの測定法は以下のとおりである。
(1)金属薄膜前駆体微粒子の粒子径
カーボン蒸着された銅メッシュ上に、溶解・希釈した微粒子分散液を1滴たらし、減圧乾燥したサンプルを作成する。(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡(JEM−4000FX)を用いて観察し、視野の中から、粒子径が比較的そろっている個所を3ヶ所選択し、被測定物の粒子径測定に最も適した倍率で撮影する。おのおのの写真から、一番多数存在すると思われる粒子を3点選択し、その直径をものさしで測り、倍率をかけて一次粒子径を算出する。これらの値の平均値を粒子径とする。
(2)表面張力は協和界面科学株式会社製界面張力計DropMaster 700を用いて、23℃でペンダント・ドロップ法により測定し、Young-Laplace法により導出した。
(3)金属薄膜の体積抵抗率
低抵抗率計「ロレスタ−(登録商標)」GP(三菱化学株式会社製)を用いて測定した。
(4)ピンホールの検査は以下のとおり行った。金属薄膜の裏側から、高周波点灯蛍光灯による透過照明し、表側に7500ビットの高速高感度ラインカメラを用いてスキャンし、ピンホールの検査を行った。スキャン面積内(20cm×30cm)において、直径25μm以上のピンホール数を画像から計数した。
(5)化合物の焼失温度は、セイコーインスツルメント社製TG−DTA220を用いて、250mL/分で窒素フローさせながら、10℃/分の昇温速度で昇温し、化合物の重量減少をモニターし、重量減が99%になった温度を読み取って見積もった。
[実施例1]
(酸化第一銅微粒子の合成と分散液の調製)
精製水50mlとエタノール15mlの混合溶媒に無水酢酸銅(和光純薬工業(株)製)8gを加え、20℃で攪拌しながらヒドラジン1水和物(和光純薬工業(株)製)を加えてさらに15分間攪拌・反応させた後、混合溶媒を除去し、一次粒径が8nmの酸化第一銅微粒子を得た。同微粒子2.5gにジエチレングリコール(沸点245℃)2.0g、ヘキシレングリコール(沸点197℃)4.8g、ポリエチレングリコール(数平均分子量200、アルドリッチ製)(焼失温度350℃)1.0gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は32mN/mであった。
(銅薄膜の形成とピンホール測定)
20×30cm角に切り出したポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトンフィルム、膜厚50μm)をバーコーターにセットし、前述の酸化第一銅分散液を滴下した後、膜厚20μmになるように塗布した。次に、この塗布膜を、酸素を100ppm含む窒素雰囲気において、350℃×30分の条件で加熱処理した。すると、膜厚1μm、体積抵抗率5.3×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は4個であった。
[実施例2]
実施例1と同一の酸化第一銅微粒子2.5gにジエチレングリコール(沸点245℃)2.0g、ジプロピレングリコール(沸点232℃)4.8g、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量300、アルドリッチ製)(焼失温度345℃)1.0gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は35mN/mであった。実施例1と同様の操作でポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成し、体積抵抗率4.5×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は3個であった。
[実施例3]
実施例1と同一の酸化第一銅微粒子1.5gにジエチレングリコール(沸点245℃)1.2g、ヘキシレングリコール(沸点197℃)6.0g、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量300、アルドリッチ製)(焼失温度345℃)0.5gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は29mN/mであった。実施例1と同様の操作でポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成し、体積抵抗率4.8×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は4個であった。
[比較例1]
実施例1と同一の酸化第一銅微粒子1.5gにジエチレングリコール(沸点245℃)5.5g、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量300、アルドリッチ製)(焼失温度345℃)0.5gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は44mN/mであった。実施例1と同様の操作でポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成し、体積抵抗率6.8×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は120個であった。
[比較例2]
実施例1と同一の酸化第一銅微粒子2.0gにジエチレングリコール(沸点245℃)1.2g、ブタノール2.5g(沸点118℃)、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量300、アルドリッチ製)(焼失温度345℃)0.7gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は33mN/mであった。実施例1と同様の操作でポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成し、体積抵抗率6.8×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は80個であった。
[比較例3]
実施例1と同一の酸化第一銅微粒子2.0gにジエチレングリコール(沸点245℃)1.2g、1−ペンタノール2.5g(沸点138℃)、ポリエチレングリコールメチルエーテル(数平均分子量300、アルドリッチ製)(焼失温度345℃)0.7gとを加え、超音波分散を施して酸化第一銅分散液を得た。表面張力は34mN/mであった。実施例1と同様の操作でポリイミドフィルム上に銅薄膜を形成し、体積抵抗率6.8×10-6Ωcmの銅薄膜を有する基板が得られた。ピンホールの数は80個であった。
本発明の積層体は、バルクの金属薄膜と同等程度の高い導電性を有し、かつ加熱処理時に金属薄膜に発生するピンホールの数がきわめて少ない。また、金属膜の膜厚を任意にコントロールすることができ、薄膜の金属膜も容易に形成できるので、フレキシブル回路基板材料等として特に好適に使用することが可能である。
また、金属薄膜前駆体分散液を用いて、インクジェット法等で配線パターン形状を直接描画し、これを加熱処理することによって、接着性の高い金属配線を形成することが可能である。従って、プリント配線板の回路形成だけでなく、プラズマディスプレイパネルや液晶パネル等のフラットパネルディスプレイ製造におけるガラス基板上に形成されたバス電極、アドレス電極の製造にも使用することができる。

Claims (5)

  1. 金属薄膜前駆体を含有する分散液であって、該分散液の表面張力が40mN/m以下、及び、該分散液に5重量%以上含有する、該金属薄膜前駆体を除く化合物の沸点が150℃以上400℃以下である、若しくは該化合物の焼失温度が150℃以上400℃以下である金属薄膜前駆体分散液であって、前記分散液が直鎖状脂肪族ポリエーテル化合物と表面張力の異なる2種の多価アルコールを含むことを特徴とする金属薄膜前駆体分散液
  2. 前記金属薄膜前駆体が金属酸化物微粒子であることを特徴とする請求項に記載の金属薄膜前駆体分散液。
  3. 前記金属酸化物が酸化第一銅であることを特徴とする請求項に記載の金属薄膜前駆体分散液。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の金属薄膜前駆体分散液を、基板の上に塗布し、加熱処理して、金属薄膜を形成することを特徴とする金属薄膜の製造方法。
  5. 前記基板が、ポリイミド基板であることを特徴とする請求項に記載の金属薄膜の製造方法。
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