JP2008108716A - 低温焼成用導電性ペースト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウムを特定の比率で含有する低コストの低温焼成用導電性ペースト組成物を提供すること。
【解決手段】導電成分が、銀粉末が10〜40重量部で、アルミニウム粉末が60〜90重量部で、銀粉末とアルミニウム粉末の合計が100重量部である銀とアルミニウムの混合粉末である。
【選択図】なし
【解決手段】導電成分が、銀粉末が10〜40重量部で、アルミニウム粉末が60〜90重量部で、銀粉末とアルミニウム粉末の合計が100重量部である銀とアルミニウムの混合粉末である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ガラス基板やSi基板の配線、スルーホール電極、ビア充填物、抵抗器の電極、サーマルヘッドなどのグレーズ基板状の電極、コンデンサーの電極、磁器誘電体の電極およびガラスセラミックス誘電体の電極などに適用できる低温焼成用導電性ペースト組成物に関するものである。
導体材料としてMoやW等の高融点金属材料を用いると、導体の酸化防止のために還元雰囲気で焼成しなければならず、電気抵抗値も比較的高いという欠点がある。
一方、銀、銀−白金、銀−パラジウム等の銀系導体は空気中で焼成可能で、電気抵抗値が低くて電気特性に優れているという比較的安価な導体材料であるが、さらに、低コスト化を図るために、アルミニウム粉末が導体材料として用いられている。例えば、特許文献1には、アルミニウム粉末と、アルミニウム粉末に対して0.5〜10容積%のガラスフリットと、ビヒクルとを含有するシリコン太陽電池のp型半導体基板の電極用導電性ペーストが開示されている。
また、特許文献2には、50.0〜75.0重量%のアルミニウム粉末と、0.5〜5.0重量%のガラスフリットと、20.0〜30.0重量%の有機質ビヒクルと、1.0〜15.0重量%のアルミニウム含有有機化合物とを含有するシリコン太陽電池のp型半導体基板の電極用導電性ペーストが開示されている。
さらに、特許文献3には、p電極およびn電極として、銀、アルミ銀、アルミペーストなどの材料を組み合わせて用い、pn接合の電気的分離を行う工程と、p電極およびn電極をpn接合の表面もしくは表面及び裏面のpn接合上の領域外に形成し焼成する工程とを含むシリコン太陽電池の製造方法が開示されている。
特開2000−90733号公報
特開2000−90734号公報
特開2005−167291号公報
特許文献1および2の実施例によれば、導電成分としてアルミニウム粉末を主として含有する導電性ペーストが印刷されたp型半導体基板を、近赤外線焼成炉を用いて750℃で焼成して、p型電極を形成することが記載されている。また、特許文献3の実施例によれば、アルミ銀またはアルミペーストをp型シリコン基板に印刷し、銀ペーストをn型シリコン基板に印刷し、それらの基板を、空気中で700〜800℃で焼成して、p型電極とn型電極とを形成することが記載されている。
アルミニウムを主として含有する材料を700℃以下の温度で焼成する場合、アルミニウム粒子同士の焼結性が悪く、緻密な焼成膜が形成されにくいので、特許文献1ないし3に記載のように、700℃以上の温度で焼成されている。特に、アルミニウムの融点である660.4℃以下の低温でアルミニウムを主として含有する材料を焼成する場合、顕著にこの問題が発生し、ときには焼成膜の剥離が起こることもある。ガラス基板上に導電性ペーストからなる配線パターンを形成する場合、高温で焼成するとガラスが変形するため、焼成温度は650℃以下の低温であることが好ましい。しかしながら、この温度は、アルミニウムを主たる導電成分として含有する導電性ペーストでは実行が困難な温度である。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、アルミニウムを特定の比率で含有する低コストの低温焼成用導電性ペースト組成物を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明の低温焼成用導電性ペースト組成物は、導電成分が、銀粉末が10〜40重量部で、アルミニウム粉末が60〜90重量部で、銀粉末とアルミニウム粉末の合計が100重量部である銀とアルミニウムの混合粉末であることを特徴としている。
さらに、本発明の低温焼成用導電性ペースト組成物は、導電成分が、銀成分が10〜40重量部で、アルミニウム成分が60〜90重量部で、銀成分とアルミニウム成分の合計が100重量部である銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉であることを特徴としている。
本発明者は、融点が660.4℃のアルミニウムと融点が961.93℃の銀とを、アルミニウム対銀の重量比率を72対28とした銀とアルミニウムの混合粉末または銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉の融点は566℃となり、銀粉末とアルミニウム粉末とを上記重量比率で混合した混合粉末または銀成分とアルミニウム成分とを上記重量比率でアトマイズ化したアトマイズ合金粉を導電成分とするペーストを560〜650℃の低温で焼成することにより、緻密な焼成膜が得られることを見出し、本発明に到達したのである。
本発明によれば、アルミニウムを特定の比率で含有する低コストの低温焼成用導電性ペースト組成物を提供することができる。
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について説明する。
銀とアルミニウムの混合粉末100重量部中のアルミニウム粉末または銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉100重量部中のアルミニウム成分が90重量部を超えると、560〜650℃の低温焼成で緻密な焼成膜を形成することができず、導電性も低下してしまう。一方、銀とアルミニウムの混合粉末100重量部中のアルミニウム粉末または銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉100重量部中のアルミニウム成分が60重量部未満であると、560〜650℃の低温で焼成しても緻密な焼成膜を形成することは可能であるが、銀の比率が増えるので高価になってしまう。
銀粉末とアルミニウム粉末が上記重量比率の混合粉末または銀成分とアルミニウム成分が上記重量比率のアトマイズ合金粉を用いても、焼成温度が560℃未満であると、一様で緻密な焼成膜を形成することは困難であり、一方、焼成温度が650℃を超えると、ガラス成分が溶融を開始するので、低温焼成用導電性ペーストの主要な用途であるガラス製品に適用することができず、また、アルミニウムの融点近くになるため、焼成膜の表面付近のアルミニウム成分が球状を呈するようになるという不具合も発生する。
銀粉末の平均粒径は、0.2〜10.0μmが好ましく、1.0〜5.0μmがより好ましい。銀粉末の平均粒径が0.2μm未満であると、560℃未満の温度で一部の銀が焼結を開始し、全体として一様で緻密な焼成膜を形成しにくくなるからである。一方、銀粉末の平均粒径が10.0μmを超えると、微細な配線パターンを形成することが困難となるからである。
アルミニウム粉末の平均粒径は、0.5〜20.0μmが好ましく、1.0〜15.0μmがより好ましい。アルミニウム粉末の平均粒径が0.5μm未満であると、銀粉末と同様に、560℃未満の温度で一部のアルミニウムが焼結を開始し、全体として一様で緻密な焼成膜を形成しにくくなるからである。一方、アルミニウム粉末の平均粒径が20.0μmを超えると、銀粉末と同様に、微細な配線パターンを形成することが困難となるからである。
銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉の平均粒径は、1.0〜10.0μmが好ましく、2.0〜7.0μmがより好ましい。銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉の平均粒径が1.0μm未満であると、銀粉末やアルミニウム粉末と同様に、560℃未満の温度で一部のアトマイズ合金粉が焼結を開始し、全体として一様で緻密な焼成膜を形成しにくくなるからである。一方、銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉の平均粒径が10.0μmを超えると、銀粉末やアルミニウム粉末と同様に、微細な配線パターンを形成することが困難となるからである。
なお、本明細書において、平均粒径とは、マイクロトラック粒度分析計で測定した累積グラフにおける50容積%での粒径をいう。
アトマイズとは、材料組成や組織を改善し、均質で微細な組織を得るために金属の溶湯を噴霧し、急冷微細化する処理方法であり、次に説明する水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、真空アトマイズ法のいずれでも採用することができる。水アトマイズ法とは、金属溶湯の流れに高圧水の水ジェットを噴射して粉末を得る方法であるが、得られる粒子は不定形であることが多く、酸化されるので、純度を要する粉末の製造には好ましくない。ガスアトマイズ法は水アトマイズ法における水の代わりに、N2やArガスや空気を噴霧する方法で、特にN2やArガスを用いれば酸化が少なく好ましい。真空アトマイズ法は、H2を十分吸藏させた溶湯を真空中に差圧によって噴出させる方法である。
粉末の形状は、球状、フレーク状(薄片状)、又はその他のいずれの形状でもよい。
導電性ペースト中には、ガラスフリットを30重量%以下の比率で含むことができる。ガラスフリットが30重量%を超えると、導電性が低下するからである。そのガラスフリットとしては、焼成温度より低い軟化点のものを使用することができる。なお、環境に対する影響を考慮して、ホウケイ酸亜鉛系、ホウケイ酸バリウム系、ホウケイ酸亜鉛バリウム系、リン酸系、ホウ酸ビスマス系等の鉛を含まないガラスフリットが好ましい。
導電成分をペースト化するのに必要な有機ビヒクルを構成する有機溶剤およびバインダー樹脂としては、限定されるものではないが、例えば、有機溶剤としては、ターピネオール、ブチルカルビトールアセテートなどを用いることができ、塗布後の乾燥処理で揮発しやすいものが好ましい。また、バインダー樹脂としては、エチルセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができるが、焼成温度で完全に燃焼および分解するものが好ましい。
所定の配合の導電性ペースト成分を、例えば、3本ロールミルのようなミキシング装置を用いて十分に混練・分散することにより、導電性ペーストを得ることができるが、導電成分と有機ビヒクルとガラスフリットを一様に分散できる装置であれば、他の装置を用いることもできる。
導電性ペーストにおける導電成分と有機ビヒクルとの割合は、一般的な配合割合が採用できる。例えば、導電成分重量部:有機ビヒクル重量部=70:30〜90:10が好ましい。導電成分が70重量部未満(有機ビヒクルが30重量部超)では、導体の電気抵抗値が高くなり、電気特性が低下するので好ましくない。導電成分が90重量部超(有機ビヒクルが10重量部未満)では、適正なペースト粘度が得られず、配線パターン形成の作業効率が低下するので好ましくない。
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
下記の表1と表2に示す配合の導電性ペーストを作製し、そのペースト組成物を3本ロールミルを用いて混練し、得られたペーストをソーダガラス基板上に、図1に示すようなパターンでスクリーン印刷し、熱風乾燥機により150℃で10分間乾燥した後、ペースト乾燥後のソーダガラス基板を空気雰囲気のベルト式焼成炉にて、ピーク温度580℃、ピーク温度保持時間10分の条件で焼成した。そして、焼成後のソーダガラス基板上の配線パターンの比抵抗と、同基板に対するペーストの密着性を以下のような方法で調査した。
表1は、銀粉末とアルミニウム粉末の混合粉末が導電成分である場合を示し、表2は、銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉が導電成分である場合を示す。また、公知の空気アトマイズ法によりアトマイズ合金粉を得た。
表1および表2におけるガラスフリットとしては、ホウ酸ビスマス系を用い、有機ビヒクルとしては、エチルセルロースをターピネオールに溶解したものを用いた。
なお、図1において、1と2は正方形状の枕電極、枕電極1から枕電極2に至る線長は、187mmで、その線幅Wは一定で1000μm(1mm)、線間隔dは1000μm(1mm)である。従って、アスペクト比(線長/線幅)は、187である。
(1)比抵抗
ソーダガラス基板上の焼成後の配線パターンの膜厚を測定し、さらに、配線パターンの両端部の枕電極1と2に端子を接して電気抵抗を測定し、その結果にもとづいて比抵抗を算出した。この比抵抗が、8.0×10-4Ω・cm以下のものは導電性良好であると評価でき、本発明の用途に好ましく用いることができる。さらに、比抵抗は、4.0×10-4Ω・cm以下であることがより好ましい。この比抵抗の数値を以下の表3に示す。
(2)密着性〔セロテープ(登録商標)剥離テスト〕
ソーダガラス基板上の焼成後の配線パターンに対して、上辺Uから下辺Lにかけて配線パターンを横断するようにセロテープ(登録商標)を押し付けて密着させ、次に、一気にセロテープ(登録商標)を引き剥がし、このとき、セロテープ(登録商標)とともにソーダガラス基板から配線パターンが全く剥がされなかったものを基板に対するペーストの密着性が良好であると評価し、セロテープ(登録商標)とともにソーダガラス基板から配線パターンが少しでも剥がされたものを基板に対するペーストの密着性が不良であると評価して以下の表3に示す。
なお、図1において、1と2は正方形状の枕電極、枕電極1から枕電極2に至る線長は、187mmで、その線幅Wは一定で1000μm(1mm)、線間隔dは1000μm(1mm)である。従って、アスペクト比(線長/線幅)は、187である。
(1)比抵抗
ソーダガラス基板上の焼成後の配線パターンの膜厚を測定し、さらに、配線パターンの両端部の枕電極1と2に端子を接して電気抵抗を測定し、その結果にもとづいて比抵抗を算出した。この比抵抗が、8.0×10-4Ω・cm以下のものは導電性良好であると評価でき、本発明の用途に好ましく用いることができる。さらに、比抵抗は、4.0×10-4Ω・cm以下であることがより好ましい。この比抵抗の数値を以下の表3に示す。
(2)密着性〔セロテープ(登録商標)剥離テスト〕
ソーダガラス基板上の焼成後の配線パターンに対して、上辺Uから下辺Lにかけて配線パターンを横断するようにセロテープ(登録商標)を押し付けて密着させ、次に、一気にセロテープ(登録商標)を引き剥がし、このとき、セロテープ(登録商標)とともにソーダガラス基板から配線パターンが全く剥がされなかったものを基板に対するペーストの密着性が良好であると評価し、セロテープ(登録商標)とともにソーダガラス基板から配線パターンが少しでも剥がされたものを基板に対するペーストの密着性が不良であると評価して以下の表3に示す。
表3に明かなように、本発明の実施例1ないし12のものは、比抵抗が4.0×10-4Ω・cm以下で導電性に優れており、セロテープ(登録商標)剥離テストで配線パターンが剥がされることはなく、本発明の導電性ペーストはソーダガラス基板に対して優れた密着性を有していることが分かる。
しかし、比較例1ないし3は、銀とアルミニウムの混合粉末中のアルミニウム粉末の含有量が多すぎ(銀粉末の含有量が少なすぎ)、比較例4と5は、銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉中のアルミニウム成分の量が多すぎるので(銀成分の量が少なすぎるので)、緻密な焼成膜を形成することができずに、ソーダガラス基板に対するペーストの密着性が不良であり、導電性が良くない。
本発明の低温焼成用導電性ペースト組成物は、基板上への配線パターンの形成、各種電子部品の電極などに適用することができる。
1 枕電極
2 枕電極
2 枕電極
Claims (2)
- 導電成分が、銀粉末が10〜40重量部で、アルミニウム粉末が60〜90重量部で、銀粉末とアルミニウム粉末の合計が100重量部である銀とアルミニウムの混合粉末であることを特徴とする低温焼成用導電性ペースト組成物。
- 導電成分が、銀成分が10〜40重量部で、アルミニウム成分が60〜90重量部で、銀成分とアルミニウム成分の合計が100重量部である銀とアルミニウムのアトマイズ合金粉であることを特徴とする低温焼成用導電性ペースト組成物。
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