JP5215914B2 - 抵抗体膜の製造方法、抵抗体膜、及び抵抗器 - Google Patents

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本発明は、抵抗体膜の製造方法、この製造方法で作製された抵抗体膜、及びこの抵抗体膜を備えた抵抗器に関するものである。
各種電子機器の電子回路や電源回路において、電流検出用の抵抗器が用いられている。そして電気・電子機器の小型化、高機能化に伴なって、抵抗体ペーストをセラミックなどの耐熱絶縁性基板の上に印刷し、これを焼成して形成される厚膜型チップ抵抗器のニーズが高まっている。このような電流検出用の抵抗器に求められる特性は、抵抗値が低いことと、TCR(Temperature Coefficient of Resistance:抵抗値温度係数)が低いことである。
このような低抵抗値、低TCRを満足する材料として、銅−マンガン合金が知られている。そして例えば特許文献1には、銅粉体及びマンガン粉体を含む金属粉体と、ガラス粉体と、樹脂ビヒクルからなる抵抗体組成物が提案されており、この抵抗体組成物を用いて低抵抗値及び低TCRの抵抗体膜を作製できることが報告されている。
特開2005−353620号公報
しかし上記の特許文献1の抵抗体組成物で作製される抵抗体膜は、抵抗率が同種の合金で作製されるものより高く、低抵抗性が不十分であるという問題があった。また本出願人が追試験をしたところ、この抵抗体組成物を焼成して作製される抵抗体膜は焼結状況が悪く、このため抵抗体膜と基板との密着性が低いなど、良好な抵抗特性、耐久性、信頼性を有する抵抗器を得ることが難しいという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力を得ることができる抵抗体膜の製造方法及び抵抗体を提供することを目的とするものであり、またこの抵抗体を設けて形成した抵抗器を提供することを目的とするものである。
本発明に係る抵抗体膜の製造方法は、銅及びマンガンを少なくとも含む導電性金属粉体と、ガラス粉体と、有機ビヒクルとを含有する抵抗体ペーストを用いて、抵抗体膜を製造する方法であって、抵抗体ペーストを絶縁基板に塗布する工程と、絶縁基板に塗布された抵抗体ペーストを酸化性雰囲気下200〜240℃で加熱して酸化処理する工程と、酸化処理された抵抗体ペーストを750℃以上の温度で焼成する工程とを有することを特徴とするものである。
このように、絶縁基板に塗布した抵抗体ペーストを、酸化性雰囲気下200〜240℃で加熱して酸化処理した後、750℃以上の温度で焼成することによって、ガラス成分による焼結阻害を受けることなく焼結を行なうことができ、銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力を有する抵抗体膜を形成することができるものである。
また本発明は、上記の酸化処理の温度が210〜230℃であることを特徴とするものである。
このように酸化処理の温度を210〜230℃の範囲に設定することによって、上記のガラス成分による焼結阻害をより有効に防ぐことができるものである。
また本発明は、上記の導電性金属粉体が、ニッケル、鉄、アルミニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属をさらに含むことを特徴とするものである。
この発明によれば、低抵抗値を維持しながら、TCRを低減する効果をより高く得ることができるものである。
また本発明において、上記の導電性金属粉体の成分比率は、導電性金属粉体の総量を100質量部としたとき、銅が70〜90質量部、マンガンが5〜30質量部、残量がニッケル、鉄、アルミニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属であることを特徴とするものである。
この発明によれば、より低抵抗率、低TCRの抵抗体膜を形成することができるものである。
また本発明において、上記の導電性金属粉体は、中心粒径が0.8μm以下の微細銅粉を、導電性金属粉体全量の10〜30質量%含有することを特徴とするものである。
このように中心粒径が0.8μm以下の微細銅粉を含有することによって、抵抗体膜の密着性をより高めることができるものである。
また本発明に係る抵抗体膜は、上記の方法で作製された抵抗体膜であって、体積抵抗率が10〜200μΩ・cmであることを特徴とするものである。
銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力を有する抵抗体膜を得ることができるものである。
また本発明に係る抵抗器は、上記方法で作製された抵抗体膜を備えて形成されたことを特徴とするものである。
銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持した抵抗体膜を高い密着力で絶縁基板に形成した抵抗器を得ることができるものである。
本発明によれば、絶縁基板に塗布した抵抗体ペーストを、酸化性雰囲気下200〜240℃で加熱して酸化処理した後、750℃以上の温度で焼成することによって、ガラス成分による焼結阻害を受けることなく焼結を行なうことができ、銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持しながら、高い密着力を有する抵抗体膜を形成することができるものである。そして銅−マンガン系合金の低抵抗率、低TCRを維持した抵抗体膜を高い密着力で絶縁基板に形成した抵抗器を得ることができるものである。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明は、導電性金属粉体として銅粉体とマンガン粉体を含むものを用いるものである。銅−マンガン系合金は低抵抗率、低TCRを有するものであり、このように導電性金属粉体として銅粉体とマンガン粉体を含有することによって、低抵抗率、低TCRを有する抵抗体膜を作製することができるものである。
そしてこの銅粉体及びマンガン粉体を含む導電性金属粉体と、ガラス粉体と、有機ビヒクルとを含有する抵抗体ペーストを調製し、この抵抗体ペーストを絶縁基板に塗布し、これを焼成することによって、抵抗体膜を作製することができるものである。
ここで、ガラス粉体を含む銅−マンガン系合金の抵抗体膜を作製する焼成過程においては、一般に次のような現象が起こっていると推測され、これにより焼結が阻害されて抵抗体膜の密着性等が低下すると考えられる。
まず、マンガンは高温の作用下で、酸化物であるガラス粉体により酸化されて酸化マンガンになり、これによってマンガンと銅との合金化が大きく阻害され、良好な銅−マンガン合金が得られなくなる。この結果、焼成した抵抗体膜は十分な膜強度が得られないのみならず、銅とマンガンが合金化することではじめて得られる所望の低抵抗特性も得られない。
一方、ガラス粉体は、マンガンにより部分的に還元されることになり、これに加えて上記のように生成された酸化マンガンがガラス中に拡散することによって、大きく変質される。これにより、ガラス本来の焼結促進効果や、焼結抵抗体膜と絶縁基板との接合効果が著しく低下する。
そこで本発明では、絶縁基板に塗布した抵抗体ペーストを焼成する前に、酸化性雰囲気下で加熱して酸化処理を行なうようにしている。酸化性雰囲気は、特に限定されるものではなく、例えば空気中で加熱するようにすればよく、このように酸化処理することによって、導電性金属粉体の表面を酸化させ、導電性金属粉体の表面に非活性の難焼結層を形成する。加熱温度は200〜240℃の範囲に設定されるものであり、210〜230℃の範囲がより好ましい。加熱温度がこの範囲より低いと、導電性金属粉体の表面に非活性の難焼結層を形成する作用が不十分なる。逆に加熱温度がこの範囲を超えて高いと、導電性金属粉体の酸化が進み過ぎ、それにより焼結性が低下して、抵抗体膜の密着性が低下し、体積抵抗率が増大する。またこの酸化処理の工程での加熱時間は、特に限定されるものではないが、30〜120分程度が好ましい。
このように酸化処理をした後、抵抗体ペーストを750℃以上の温度で本焼成する。この本焼成の工程での昇温過程において、ガラス粉体の軟化点温度域(通常400〜650℃)では、上記のように表面に形成された難焼結層の存在により、導電性金属粉体の焼結は阻害される。この一方、ガラス粉体は、軟化点温度域で溶融し、絶縁基板の表面へと移動し、これが焼結によって形成される抵抗体膜と絶縁基板の間の結合剤として機能する。続いてさらなる昇温に伴なって、難焼結層で表面が被覆された導電性金属粉体も焼結し始めるが、この段階ではガラス成分の大部分は上記のように絶縁基板の表面へと移動しているため、ガラス成分によるマンガンの酸化、つまり酸化マンガンの生成は、大きく抑制される。この結果、ガラス成分による抵抗体膜と絶縁基板の間の接合効果を確保しつつ、ガラス成分による焼結阻害を受けない銅−マンガン系合金の抵抗体膜を形成することが可能になるものである。
この焼成工程での焼成温度は、上記のように750℃以上に設定されるものであり、焼成温度が750℃未満であると、焼結が不十分であったり、抵抗体膜と絶縁性基板間の密着力が低下したりする恐れがある。一方、焼成温度の上限は特に限定されるものではないが、焼成温度が1000℃を超えると過焼結になり、一部の金属が溶融し、不均一な抵抗体膜になる恐れがある。またこの焼成工程での焼成時間は、特に限定されるものではないが、10〜30分程度が好ましい。
ここで、上記の銅粉体としては、中心粒径が0.8μm以下の微細銅粉を含むものが好ましい。このような微細銅粉は、酸化処理の際に容易に酸化されて酸化銅となり、上記のような抵抗体膜の密着性向上に寄与するものである。中心粒径の下限は特に設定されるものではないが、実用的には0.05μm程度が下限である。中心粒径が0.8μm以下の微細銅粉の量は、導電性金属粉体全量の10〜30質量%の範囲に設定されるものである。微細銅粉の量が10質量%未満であると、微細銅粉を配合することによる密着性向上の効果を十分に得ることができない。逆に30質量%を超えると、生成される酸化銅が過剰になり、抵抗体膜の抵抗率が上昇することなる。中心粒径0.8μm以下の微細銅粉以外の、銅−マンガン系合金の抵抗体膜を形成する銅粉体については、特に粒径は限定されないが、通常、中心粒径3〜15μm程度が好ましい。尚、本発明において中心粒径とは、粒子径の分布曲線における最大ピークの粒子径をいうものであり、また粒子径分布の測定はレーザー回折・散乱法によるものである。
また上記のマンガン粉体は、中心粒径が3〜15μmであることが好ましい。マンガン粉体の中心粒径が3μm未満であると、酸化マンガンが生成され易くなり、抵抗体膜の焼結性や密着性が低下するおそれがある。逆に中心粒径が15μmを超えるマンガンは、ペーストをスクリーン印刷する場合に弊害となるおそれがある。
本発明において導電性金属粉体として、上記の銅及びマンガンの他に、ニッケル、鉄、アルミニウムを含有していてもよい。ニッケル、鉄、アルミニウムのうちいずれか1種を用いる他、2種以上を併用してもよい。これらのニッケル、鉄、アルミニウムを含有することによって、低抵抗値を維持しながら、TCRを低減する効果をより高く得ることができるものである。
導電性金属粉体の上記の各成分の比率は、導電性金属粉体の総量を100質量部としたとき、銅が70〜90質量部、マンガンが5〜30質量部、残量がニッケル、鉄、アルミニウムから選ばれる金属となるように設定するのが好ましい。銅が70質量部未満であると、抵抗体膜の抵抗値が高過ぎて所要の低抵抗膜が得られないおそれがある。一方、90質量部を超えると、抵抗体膜のTCRが高くなり、所要の低TCRが得られない。マンガンは抵抗体膜のTCR低減に寄与する成分であり、5質量部未満であるとTCR低減効果は不十分であり、良好な抵抗特性が得られない。一方、30質量部を超えると、抵抗体膜の抵抗値が高過ぎて所要の低抵抗膜が得られないおそれがある。
ここで本発明において導電性金属粉体としては、上記の銅、マンガン、さらにニッケル、鉄、アルミニウムの単一の金属の粉体を混合して用いるようにしてもよく、またこれらの金属の任意の2種以上組み合わせからなる合金の粉体を用いるようにしてもよい。
また本発明においてガラス粉体としては、特に限定されることなく任意のものを用いることができるが、軟化点が400〜650℃のものが好ましい。例えば、ホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ビスマス系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸カルシウム系ガラス、ホウケイ酸バリウムカルシウム系ガラス、ホウケイ酸マグネシウム系ガラスなどを挙げることができる。ガラス粉体の粒径は、特に限定されるものではないが、中心粒径で0.1〜20μm程度が好ましく、抵抗体ペーストをスクリーン印刷する場合には、中心粒径5μm以下であることがより好ましい。
抵抗体ペーストは、上記の導電性金属粉体と、ガラス粉体と、有機ビヒクルとを主成分として形成されるものである。有機ビヒクルとしては、有機バインダーを有機溶剤に溶解したものを用いることができる。有機バインダーとしては特に限定されるものではないが、焼成過程で容易に焼失させられ且つ灰分の少ない有機化合物、例えば、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル類、ニトロセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、ブチルセルロース等のセルロース類、ポリオキシメチレン等のポリエーテル類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のポリビニル類などを使用することができるものであり、これらは1種を単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、抵抗体ペーストに適度な粘性を与え且つ抵抗体ペーストを基板に塗布した後に乾燥処理によって容易に揮発させられる有機化合物、例えばカルビトール、カルビトールアセテート、テレピネオール、メタクレゾール、ジメチルイミダゾール、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルホルムアミド、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、乳酸エチル、イソホロン等の高沸点の有機溶剤を使用することができるものであり、これらは1種を単独で用いる他、2種類以上を混合して用いることもできる。
各材料の配合割合は特に制限されるものではないが、導電性金属粉体100質量部に対して、有機バインダー1〜20質量部、有機溶剤5〜20質量部の範囲に設定するのが好ましい。
そして上記のように、抵抗体ペーストを絶縁基板の表面に塗布し、これを焼成して抵抗体膜を形成することによって、電流検出用抵抗器などの抵抗器を作製することができるものである。絶縁基板としては、電気絶縁性を有し、抵抗体ペーストを塗布した後に焼成する高温に耐えるものであれば特に限定されない。例えば、セラミックス基板、ガラス基板、シリコーン基板などの耐熱性基板が挙げられる。セラミックスとしては、アルミナ、ジルコニア、ベリリア、ムライト、ホルステライト、コーディライト、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛等の酸化物系セラミックス、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素等の非酸化物系セラミックス等を挙げることができるが、これらの中でも、アルミナは機械的特性、電気特性、コストなどに優れているので、特に好ましい。
低抵抗抵抗器の製造に適する抵抗体膜としては、体積抵抗率が10〜200μΩ・cmの範囲であることが好ましい。抵抗体膜の体積抵抗率がこの範囲にあると、抵抗値が50mΩ以下、特に10mΩ以下の低抵抗チップ抵抗器を容易に製造することができるものであり、本発明の抵抗体ペーストを用いることによって、このような低抵抗率を容易に得ることができるものである。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。
導電性金属粉体として、中心粒径が4.5μmの銅粉体と中心粒径が0.5μmの銅粉体(いずれも三井金属鉱業(株)製)、中心粒径が10μmのマンガン粉体((株)高純度化学研究所製)、中心粒径が0.3μmのニッケル粉体、中心粒径が3μmの鉄粉体を用いた。ここで、中心粒径はレーザー回折散乱粒度分布計を用いて測定した値である。
ガラス粉体として、軟化点450℃のホウケイ酸ビスマスガラス(Bi2O3-ZnO-B2O3-SiO2-R2O)、軟化点570℃のホウケイ酸亜鉛ガラス(ZnO-SiO2-B2O3-R2O)、軟化点600℃のホウケイ酸ガラス(SiO2-B2O3-R2O)を用いた。尚、ガラス組成のRは、Li,Na,K等から選ばれる少なくとも1種の元素である。またこれらのガラス粉はいずれも、中心粒径が3μmである。
有機ビヒクルとして、ターピネオールとブチルカルビトールの質量比1:1の混合溶媒にアクリル樹脂を30質量%濃度に溶解して調製したものを用いた。
そして表1の配合に従って、導電性金属粉体とガラス粉体を混合し、さらに有機ビヒクルを添加して、この混合物を自動乳鉢で20分間攪拌混合した後、3本ロールで5回混練することによって、抵抗体ペーストの配合例1〜9を調製した。
上記のように調製した抵抗体ペーストを、96%アルミナ基板の上に所定パターンにスクリーン印刷した。次に、この印刷基板を120℃の送風乾燥機で20分間乾燥して溶媒を除去した後、連続加熱炉に投入し、空気中で180℃、200℃、220℃、230℃、250℃の各温度条件で、60分間加熱して酸化処理をした。
Figure 0005215914
次に120℃の乾燥だけで酸化処理をしていない印刷基板と、180〜250℃で酸化処理をした印刷基板を、連続焼成炉に投入し、窒素雰囲気下でピーク温度900℃にて10分間焼成することによって、抵抗体膜を作製した。
このようにして得られた抵抗体膜について、焼結性、密着性、体積抵抗率を次の方法で測定した。結果を表2に示す。
(焼結性)
焼成した抵抗体膜の表面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し、大部分の焼結粒子が10μm以上に成長しているものを「○」、5μm以下の焼結粒子が大量に存在するものを「×」、5μm以下と10μm以上の焼結粒子が混在するものを「△」と評価した。
(密着性)
L形に曲げた直径0.6mmの錫メッキ銅線を用い、アルミナ基板上に形成された2mm×2mmの抵抗体膜の中心に銅線の曲げた角を合わせて、抵抗体膜に銅線を半田付け固定した。そして引っ張り試験機(西進商事社製「SS15WD」)によって、銅線をアルミナ基板の面と垂直な方向に引っ張り、この引っ張り試験機の測定値を抵抗体膜の密着力とし、4kg以上の場合を「○」、4kg未満で2kgを超える場合を「△」、2kg以下の場合を「×」と評価した。
(体積抵抗率)
アルミナ基板の上に形成された10mm×10mmの抵抗体膜について、四端子抵抗率計を用いて抵抗値を測定し、さらに抵抗体膜の厚さを触針式膜厚計で測定し、これらの結果から体積抵抗率を求めた。
Figure 0005215914
表2にみられるように、酸化処理を行なわない場合や、酸化処理温度が180℃の場合は、焼結性の低下により、密着性が低下し、体積抵抗率の増大もみられるものであった。また酸化処理温度が250℃の場合は、金属粉体の酸化が進行し過ぎ、これにより焼結性が低下して密着性が低下し、体積抵抗率も増大するものであった。
これに対して、200〜240℃の温度で酸化処理を行なうことによって、焼結性が向上し、密着性が高くなると共に、低抵抗率を維持できるものであった。

Claims (7)

  1. 銅及びマンガンを少なくとも含む導電性金属粉体と、ガラス粉体と、有機ビヒクルとを含有する抵抗体ペーストを用いて、抵抗体膜を製造する方法であって、抵抗体ペーストを絶縁基板に塗布する工程と、絶縁基板に塗布された抵抗体ペーストを酸化性雰囲気下200〜240℃で加熱して酸化処理する工程と、酸化処理された抵抗体ペーストを750℃以上の温度で焼成する工程とを有することを特徴とする抵抗体膜の製造方法。
  2. 酸化処理の温度が210〜230℃であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗体膜の製造方法。
  3. 導電性金属粉体が、ニッケル、鉄、アルミニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の抵抗体膜の製造方法。
  4. 導電性金属粉体の成分比率は、導電性金属粉体の総量を100質量部としたとき、銅が70〜90質量部、マンガンが5〜30質量部、残量がニッケル、鉄、アルミニウムから選ばれる少なくとも1種以上の金属であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の抵抗体膜の製造方法。
  5. 導電性金属粉体は、中心粒径が0.8μm以下の微細銅粉を、導電性金属粉体全量の10〜30質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の抵抗体膜の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法で作製された抵抗体膜であって、体積抵抗率が10〜200μΩ・cmであることを特徴とする抵抗体膜。
  7. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法で作製された抵抗体膜を備えて形成されたことを特徴とする抵抗器。
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