JP2011144077A - 高導電性ペースト組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛フリーで、かつ半導体やガラス基板中に移動して抵抗値を変化させる成分を含まない、ガラス組成物を結合剤として含む高導電性ペースト組成物を提供する。
【解決手段】アルカリ金属を含まないビスマス系導電ガラス(A)を結合剤として含み、さらに、導電性金属粉末および金属含有化合物(B)、高分子物質(C)、及び(C)を溶解もしくは分散させることのできる溶剤もしくは液状物質(D)を含む高導電性ペースト組成物とする。
【選択図】なし

Description

本発明は高導電性組成物に関する。
高導電性ペースト組成物は、ハイブリットアイシー(HIC),低温焼成多層基板(LTCC)、電子部品の厚膜配線回路剤や電極形成剤等として電気業界に広く使われている。セラミックス等の絶縁性基材に導体部形成材料として不可欠な材料である。今日の高度情報化時においては、信頼性、大容量情報伝達、高速化情報処理ニーズにより、回路および電極部は、より高い導電性が求められている。
従来、これらの分野においては、焼成型ペーストが用いられてきた。焼成型ペースト組成物とは、高分子物質を溶剤に溶解された溶液に金属粉末とガラス組成物(フリットガラス)を分散したペーストである。このペーストをスクリーン印刷にて塗布(印刷)、乾燥させ、溶剤成分を揮発除去させる。その後、高温にて焼成しし高分子物質を熱分解除去させる。基材表面には金属とガラス組成物が残ることになる。この時、ガラス組成物が結合剤として働き、金属が導電剤として働いており、ガラス組成物と金属が最も重要な成分である。
これらのガラス組成物は珪酸塩を主体としたガラス組成物であり絶縁体である。またこれらの焼成型ペースト組成物は、省エネルギーのニーズにより、低温焼成型に対応されて、鉛含有ガラスがガラス組成物として用いられてきた。
近年においては、RoHS規制により、鉛フリー化が求められ、Bi系のフリットガラスを用いるようになってきた。しかし、Bi系のフリットガラスは、アルカリ金属を添加して、低融点化されているが、アルカリ金属は半導体やガラス基板中に移動し、抵抗値を変化させるため、好ましくはアルカリ金属を含まない鉛フリーの組成物にする事が好ましい。更にBiは鉛生産工程の副産物であり、稀少元素であり、産業界への供給不安が懸念される。また従来のガラス組成物は、絶縁ガラス組成物であり、導電性は有していない。
近年RoHS規制にともない鉛フリー化が多くみられる。導電性ペーストにも鉛フリーが必要になってきている。鉛フリー導電性ペーストとして、特開2009−043516号公報(特許文献1)、特開2008−117790号公報(特許文献2)がある。
特開2009−043516号公報 特開2008−117790号公報
近年においては、RoHS規制により、鉛フリー化が求められ、Bi系のフリットガラスを用いるようになってきた。しかし、Bi系のフリットガラスは、アルカリ金属を添加して、低融点化されているが、アルカリ金属は半導体やガラス基板中に移動し、抵抗値を変化させるため、好ましくはアルカリ金属を含まない鉛フリーの組成物にする事が好ましい。更にBiは鉛生産工程の副産物であり、稀少元素であり、産業界への供給不安が懸念される。
また従来のガラス組成物は、絶縁性であり、導電性は有していない。ガラス組成物は金属粉末間の結合剤として、また金属粉末と基材間の結合剤として働いている。このガラス組成物は絶縁体のため、金属本来の導電性を阻害していることが考えられる。
本発明者は、導電性ペースト組成物中のガラス組成物として、バナジウム系の導電ガラス組成物を用いることにより、導電性ペースト組成物の導電性が向上すること見出した。以後、このバナジウム系のガラス組成物を導電ガラス組成物という。
本発明は、導電ガラス組成物(A)と導電性金属粉末および金属含有化合物(B)と高分子物質(C)を溶解もしくは分散させることのできる溶剤もしくは液状物質(D)を含む高導電性ペースト組成物である。本発明は、導電ガラス組成物(A)を結合剤また機能性フィラーとして機能するように設計された高導電性ペースト組成物である。また導電ガラス組成物と導電性金属粒子および金属含有化合物の分散性を良くするために分散剤を、スクリーン印刷した時の塗布面を良くするためのレべリング剤、消泡剤等の界面活性剤を使用する事が可能である。
本導電性ペースト組成物は、導電ガラス組成物を結合剤として、また機能性フィラーとして機能するように設計された高導電性ペースト組成物である。本高導電性ペースト組成物は、鉛フリーでありRoHS規制に対応しており、またアルカリ金属を含有していない。また低温焼成型である。
本高導電性ガラスペース組成物は、スクリーン印刷またはメタルマスクおよびディスペンサーにて任意な基材に塗布が可能である。更に低温焼成で導電性皮膜の形成が可能であり、形成された導電性皮膜は耐熱性も高い。
本高導電性ペースト組成物は、導電ガラス組成物(A)を結合剤として、また機能性フィラーとして機能するように設計された導電性ペースト組成物である。本導電性ペース組成物とは、導電ガラス組成物(A)導電性金属粉末および金属含有化合物(B)を高分子物質(C)と溶剤(D)等を含んだ溶液に分散された高導電性ペースト組成物である。また導電ガラス組成物(A)、導電性金属粉末および金属含有化合物(B)の分散性を良くするために分散剤を、スクリーン印刷した時の塗布面と良くするためのレべリング剤、消泡剤等の界面活性剤を使用する事が可能である。
本発明に用いられる導電ガラス組成物(A)とは、酸化バナジウム、酸化バリウム,
酸化鉄を含む。当該導電性バナジン酸塩ガラスとしては、酸化バナジウムを25モルより多く含み、好適には25〜95モル%含有し、より好適には40〜80モル%含有し、酸化バリウムを好適には1〜40モル%含有し、酸化鉄を1〜20モル%含有するものが好ましい。更に、酸化バリウム(b)と酸化バナジウム(v)のモル比(b:v)は、好適には5:90〜35:50である。また、酸化鉄(f)と酸化バナジウム(b)のモル比(f:v)は、好適には5:90〜15:50である。さらに、SiO2,Al2O3,ZrO2、B2O3等を含んでいてもよい。これらの酸化物の合計含有量は0〜30モル%が好適である。
本導電ガラス組成物は上記組成のガラスを白金るつぼ中で1,000〜1,300℃で溶融し、急冷してガラス化する。得られた導電ガラス組成物を乳鉢で粗粉砕した後、ボールミル等で1〜3μmまで粉砕してフリットガラスを製造することができる。またまた本導電ガラス組成物は、株式会社東海産業より購入することも可能である。
導電性金属粉末および金属含有化合物(B)について説明する。導電性金属粉末とは、金、銀、白金、銅、ニッケル、アルミニウム等の導電性の金属の粉末およびこれらの金属を含む合金が上げられる。これらは単独ももしくは混合物で用いられる。金属粉末の粒径は平均粒径で10ミクロン以下、好ましくは3ミクロン以下が好ましい。形状は球状、針状、フレーク状のいずれでも用いることができる。また球状、フレーク状の混合物でも用いることができる。
金属含有化合物とは、焼成条件にて還元されて導電性の金属を生成する金属化合物があげられる。金属化合物の例として、酸化銀、塩化銀、酢酸銀等が上げられる。これは単独もしくは混合物で用いることができる。金属化合物の粉末の粒径は平均粒径で10ミクロン以下、好ましくは3ミクロン以下が好ましい。形状が球状、針状、フレーク状のいずれでも用いることができる。また球状、フレーク状の混合物でも用いることができる。
本発明に用いられ高分子物質(C)とは、熱可塑性樹脂としては、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用することができる。これら熱可塑性樹脂以外に熱硬化性樹脂、活性エネルギー線(UV/EB)硬化樹脂、オリゴマー、モノマーなども用いることができる。バインダーの補助剤として脂肪酸エステル類、ポリアルキレングリコール類等を持いる事ができる。脂肪酸エステルとしては、ステアリン酸エステル、パルミチン酸エステル、オレイン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、セバシン酸エステル、カプリル酸エステル、カプリン酸エステルを単独あるいは混合して使用することが好ましい。ポリアルキレングリコールとしては、アルコール、脂肪酸にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物およびそのエステル等があげられる。これらの脂肪酸エステル、ポリアルキレングリコール類であれば、脱バインダー性を低下させることなく、塗付膜の乾燥速度を緩やかにして塗付膜のレベリング性を向上させることができる。これらの含有量は0.1〜25質量%、特に1〜20質量%の範囲にあることが好ましい。
本発明の溶剤(D)は材料をペースト化(液状化)するための材料であり、その含有量は5〜70質量%、特に15〜50質量%の範囲にあることが好ましい。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
また、上記成分以外にも、必要に応じて、可塑剤、無機フィラー粉末等を加えることもできる。可塑剤は、塗付膜の乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分であり、20質量%まで添加することができる。但し、可塑剤の含有量が多くなると、脱バインダー性が著しく低下し、焼成膜中に泡が残存しやすくなるため、0〜10質量%の範囲にあることが特に好ましい。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
無機フィラー粉末は、ペーストの流動性、焼結性、或いは熱膨張係数を調整する成分であり、40質量%まで添加ことができる。但し、無機フィラー粉末の含有量が多くなると、十分に焼結が行えず、緻密な膜を形成することが難しくなるため、0〜30質量%の範囲にあることが特に好ましい。無機フィラー粉末としては、例えばアルミナ、ジルコニア、ジルコン、チタニア、コージエライト、ムライト、シリカ、ウイレマイト、酸化錫、酸化亜鉛等を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本高導電性ペースト組成物の焼成温度は、450℃〜800℃であり、好ましくは500〜700℃である。焼成は空気中でも不活性ガス気流中のいずれでも良い。金属が酸化され易い銅の場合は不活性ガス気流中の焼成が好ましい。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ガラスの調整>
導電ガラス組成物(A)の配合組成をV25:74質量%(71モル%)、Fe23:11質量%(12モル%)、BaO:15質量%(17モル%)として原料を配合し、白金製ルツボを用いて大気中1200℃、30分間保持して配合物を溶解し、その後、冷却化してガラス化することにより、導電ガラス組成物(A)を調製した。
得られた導電ガラス組成物(A)を乳鉢で粗粉砕した後、さらにボールミルを用いて微粉化した。得られた導電ガラス組成物の平均粒子径は、レーザー光学式の粒度分布測定装置SALD−2000(島津製作所製)を用いて、平均粒径が1.5μmであることを確認した。
<高導電性ガラスペースト組成物の作製>
上述の平均粒子径の導電ガラス組成物(A)を用いて、以下のように高導電性ペースト組成物を作製した。
ヒドロキシエチルセルロースをターピネオールに溶解して得たビヒクル溶液(ヒドロキシエチルセルロース含有量:20質量%)26.65gに導電ガラス組成物6.67g、金属粉末66.67gを添加し、乳鉢上で混合した後、2軸式自転・公転型高速回転分散機で混練して、高導電性ペースト組成物を得た。同様にして、ヒドラキシエチルセルロースの変わりに、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂を用いて、それぞれ高導電性ペースト組成物を得た。この結果を表―1にまとめた。
<評価用試料の作製1>
水平にした縦50mm×横50mm×厚さ2mmのセラミックス板の上面、スクリーン印刷法により、導電性ガラスペースト組成物を幅10mm、長さ20mm、厚さ0.2mmに塗布した。
上記試料を、室温で10分間静置してペースト塗膜をレベリングした後、150℃で30分間加熱して、ペースト塗膜中の有機溶剤を揮発させた。次いで加熱炉に入れて昇温速度10℃/分で600℃に昇温し、同温度にて60分間焼成した。焼成後、450℃に温度下げ、2時間アニーリングした。
<評価結果>
焼成後セラミック基板上の導電性ガラスペースト組成物の抵抗値を、四端子四探針抵抗測定器にて測定した。測定した抵抗値を表―2にまとめた。
比較例を用いて、実施例との比較により本発明の効果を説明する。
比較例
<導電性ガラスペースト組成物の作製>
市販のガラス組成物(Bi系ガラス組成物)を用いて、以下のようにペーストを作製した。
ヒドロキシエチルセルロースをターピネオールに溶解して得たビヒクル溶液(ヒドロキシエチルセルロース含有量:20質量%)26.66gに ガラス組成物6.67g、金属粉末(B)66.67gを添加し、乳鉢上で混合した後、2軸式自転・後転型高速回転分散機で混練して、導電性ガラスペースト組成物を得た。同様にして、ヒドラキシエチルセルロースの変わりに、ポリビニルブチラール(PVB)、アクリル樹脂を用いて、それぞれ高導電性ペースト組成物を得た。この結果を表―1にまとめた。
<評価用試料の作製1>
水平にした縦50mm×横50mm×厚さ2mmのセラミックス板の上面、スクリーン印刷法により、導電性ペースト組成物を幅10mm、長さ20mm、厚さ0.2mmに塗布した。
上記試料を、室温で10分間静置してペースト塗膜をレベリングした後、150℃で30分間加熱して、ペースト塗膜中の有機溶剤を揮発させた。次いで加熱炉に入れて昇温速度10℃/分で600℃に昇温し、同温度にて60分間焼成した。焼成後、450℃に温度下げ、2時間アニーリングした。
<評価結果>
焼成後セラミック基板上の導電性ペースト組成物の皮膜の抵抗値を、四端子四探針抵抗測定器にて測定した。測定した抵抗値を表―2にまとめた。
Figure 2011144077


Figure 2011144077

本高導電性ペースト組成物は、スクリーン印刷またはメタルマスクおよびディスペンサーにて任意な基材に塗布が可能である。塗布後、乾燥、焼成、アニリーングを経て高導電性皮膜の形成可能であり、形成された導電性皮膜は耐熱性も高い。
高導電性ペースト組成物は、ハイブリットアイシー(HIC),低温焼成多層基板(LTCC)、電子部品等の厚膜配線回路形成剤や電極形成剤等として電気業界に広く使われる。セラミックス等の絶縁性基材に導体部形成材料として不可欠な材料である。今日の高度情報化時においては、信頼性、大容量情報伝達、高速化情報処理ニーズにより、回路および電極部は、より高い導電性が求められている。

Claims (2)

  1. 導電ガラス(A)と導電性金属粉末および金属含有化合物(B)を含む高導電性ペースト組成物。
  2. 導電ガラス(A)と導電性金属粉末および金属含有化合物(B)と高分子物質(C)を溶解もしくは分散させることのできる溶剤もしくは液状物質(D)を含む請求項1記載の高導電性ペースト組成物。
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