JP2015105203A - ガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペースト - Google Patents

ガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】ガラス組成中にPbOを多量に含まなくても、840℃以下の温度で焼成可能であると共に、基板の反りや基板からの剥離が生じ難く、しかもメッキ溶液によって侵食され難いガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストを創案すること。
【解決手段】本発明のガラス組成物は、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、B 4超〜15%、ZrO 5〜15%、ZnO 1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.5〜20%、LiO+NaO+KO 0.5〜15%、Al 0〜10%を含有し、モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)が2.8より大きいことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストに関し、例えば、電子回路等にオーバーコート層を形成するためのガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストに関する。
オーバーコート層は、ソーダライムガラス基板、アルミナ基板等に形成された電極、抵抗体等を保護、絶縁するために形成される。従来から、オーバーコート層の形成には、粉末材料ペーストが用いられている。この粉末材料ペーストは、一般的に、ガラス粉末とビークルの混合物であり、必要に応じて、セラミック粉末が添加される場合がある。
オーバーコート層は、粉末材料ペーストを電極等に塗布した後、焼成することにより形成される。ここで、焼成温度は、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化する事態を防止するために、840℃以下に制限される。このため、粉末材料(粉末材料ペースト)には、840℃以下の温度で焼成可能であることが要求される。また、粉末材料には、焼成後に、基板から容易に剥離しないことも要求される。
従来まで、上記の要求特性を満たす粉末材料として、PbO−B−SiO系ガラスが使用されてきた(特許文献1参照)。
近年、環境保護の観点から、環境負荷物質の削減、例えばPbOの削減が推進されており、PbO−B−SiO系ガラスに代わって、各種無鉛ガラスが提案されるに到っている。例えば、特許文献2には、Bi−ZnO−B系ガラスが開示されており、特許文献3には、SiO−B−ZnO系ガラスが開示されている。
特開昭58−64245号公報 特開2002−60064号公報 特開2005−314201号公報
ところで、オーバーコート層が形成された電子回路には、防食性、光学特性、機械的特性、電気的特性等の特性を付与するために、メッキ処理が施される場合がある。このメッキ処理では、オーバーコート層がメッキ溶液に浸漬される。
メッキ溶液は、通常、酸性溶液である。このため、メッキ処理が施される場合、オーバーコート層には、耐酸性が要求される。すなわち粉末材料には、耐酸性が要求される。特許文献1に記載の鉛ガラスは、ガラス組成中に多量のPbOを含むため、耐酸性が良好である。
しかしながら、特許文献2、3に記載の無鉛ガラスは、耐酸性が低いため、メッキ溶液によって侵食され易く、絶縁性等の特性を維持し難いという問題を有している。
そこで、本発明は上記事情に鑑み成されたものであり、その技術的課題は、ガラス組成中にPbOを多量に含まなくても、840℃以下の温度で焼成可能であると共に、基板の反りや基板からの剥離が生じ難く、しかもメッキ溶液によって侵食され難いガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストを創案することである。
本発明者は、種々の実験を行った結果、ガラス系としてSiO−B−ZrO系ガラスを採択すると共に、ガラス組成中のモル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)を所定値以上に規制することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のガラス組成物は、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、B 4超〜15%、ZrO 5〜15%、ZnO 1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.5〜20%、LiO+NaO+KO 0.5〜15%、Al 0〜10%を含有し、モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)が2.8より大きいことを特徴とする。ここで、「MgO+CaO+SrO+BaO」は、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量である。「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量である。「SiO+ZrO」は、SiOとZrOの合量である。「B+ZnO」は、BとZnOの合量である。
本発明のガラス組成物は、SiOの含有量を50モル%以上、且つZrOの含有量を5モル%以上に規制すると共に、Bの含有量を15モル%以下、且つZnOの含有量を10モル%以下に規制し、更にモル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)を2.8超に規制している。これにより、ガラス組成中にPbOを多量に含まなくても、所望の耐酸性を確保することができる。
本発明のガラス組成物は、MgOの含有量が5モル%以下、CaOの含有量が20モル%以下、SrOの含有量が15モル%以下、且つBaOの含有量が15モル%以下であることが好ましい。
本発明のガラス組成物は、LiOの含有量が2モル%以下、NaOの含有量が10モル%以下、且つKOの含有量が10モル%以下であることが好ましい。
本発明のガラス組成物は、実質的にPbOを含まないことが好ましい。ここで、「実質的にPbOを含まない」とは、不純物レベルでのPbOの混入を許容するものの、積極的な導入を回避する趣旨であり、具体的にはガラス組成中のPbOの含有量が1000ppm未満(0.1モル%未満)の場合を指す。
本発明の粉末材料は、上記のガラス組成物からなるガラス粉末とセラミック粉末とを含有する粉末材料であって、ガラス粉末の含有量が50〜100質量%、セラミック粉末の含有量が0〜50質量%であることが好ましい。なお、本発明の粉末材料は、セラミック粉末を含む場合だけでなく、セラミック粉末を含まず、ガラス粉末のみで構成される場合も含む。
本発明の粉末材料は、軟化点が840℃以下であることが好ましい。ここで、「軟化点」は、マクロ型示差熱分析計(DTA)で測定した第四の変曲点の値を指す。
本発明の粉末材料は、オーバーコート層の形成に用いることが好ましい。
本発明の粉末材料ペーストは、粉末材料とビークルとを含有する粉末材料ペーストにおいて、粉末材料が上記の粉末材料であることが好ましい。
本発明の粉末材料ペーストは、実質的にフタル酸系化合物を含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にフタル酸系化合物を含有しない」とは、粉末材料ペースト中のフタル酸系化合物の含有量が1000ppm未満(0.1質量%未満)の場合を指す。
本発明のガラス組成物は、ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、B 4超〜15%、ZrO 5〜15%、ZnO 1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.5〜20%、LiO+NaO+KO 0.5〜15%、Al 0〜10%を含有し、モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)が2.8より大きいことを特徴とする。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を以下に説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、モル%であることを意味する。
SiOは、ガラス骨格を形成する成分であると共に、耐酸性を高める成分である。SiOの含有量は50〜70%であり、好ましくは55〜65%、より好ましくは56〜64%、特に好ましくは57〜63%である。SiOの含有量が少なくなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。一方、SiOの含有量が多くなると、軟化点が不当に上昇して、840℃以下の温度で焼成し難くなる。
は、ガラス骨格を形成して、ガラス化範囲を広げる成分であるが、その含有量が多くなると、耐酸性が大幅に低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。よって、Bの含有量は4超〜15%であり、好ましくは5〜13%、特に好ましくは6〜11%である。
ZrOは、耐酸性を高める成分である。ZrOの含有量は5〜15%であり、好ましくは6〜13%、特に好ましくは7〜11%である。ZrOの含有量が少なくなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。一方、ZrOの含有量が多くなると、溶解性、溶融性が低下するとともに、軟化点が不当に上昇して、840℃以下の温度で焼成し難くなる。
ZnOは、軟化点を低下させる成分であるが、耐酸性を低下させる成分である。ZnOの含有量は1〜10%であり、好ましくは2〜9%、より好ましくは2.5〜7%、特に好ましくは3〜6%である。ZnOの含有量が少なくなると、軟化点が不当に上昇して、840℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、ZnOの含有量が多くなると、耐酸性が大幅に低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
MgO+CaO+SrO+BaOの含有量は0.5〜20%であり、好ましくは1〜17%、より好ましくは2〜14%、特に好ましくは3〜12%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が少なくなると、ガラスを安定化することが困難になる。一方、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多くなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
MgOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、好ましくは0〜5%、より好ましくは0〜4%、特に好ましくは0〜3%である。MgOの含有量が多くなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
CaOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。CaOの含有量は、好ましくは0〜20%、好ましくは1〜18%、より好ましくは1.5〜14%、特に好ましくは2〜10%である。CaOの含有量が多くなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
SrOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。SrOの含有量は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0.5〜14%、特に好ましくは1〜13%である。SrOの含有量が多くなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
BaOは、軟化点を低下させる成分であり、またガラスを安定化させる成分である。BaOの含有量は、好ましくは0〜15%、より好ましくは0.5〜14%、特に好ましくは1〜13%である。BaOの含有量が多くなると、耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
LiO+NaO+KOは0.5〜15%であり、好ましくは1〜13%、より好ましくは2〜12%、更に好ましくは3〜10%、特に好ましくは5〜9%である。LiO+NaO+KOの含有量が少なくなると、軟化点が不当に上昇して、840℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、LiO+NaO+KOの含有量が多くなると、焼成時に、オーバーコート層と電極、抵抗体とが反応して、ガラスの絶縁抵抗が低下する傾向にあり、電子回路の絶縁耐圧特性が劣化する虞がある。また熱膨張係数の調整が困難になり、焼成後に、基板から容易に剥離し、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
LiOは、軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分である。LiOの含有量は、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1.5%、特に好ましくは0〜1%である。LiOの含有量が多くなると、焼成時に、オーバーコート層と電極、抵抗体とが反応して、ガラスの絶縁抵抗が低下する傾向にあり、電子回路の絶縁耐圧特性が劣化する虞がある。また耐酸性が低下して、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなり、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
NaOは、軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分である。NaOの含有量は、好ましくは0〜10%、より好ましくは1〜10%、更に好ましくは2〜9%、特に好ましくは3〜8%である。NaOの含有量が多くなると、熱膨張係数が高くなり、焼成後に、基板から容易に剥離し、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
Oは、軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分である。KOの含有量は、好ましくは0〜10%、より好ましくは0.1〜7%、特に好ましくは1〜5%である。KOの含有量が多くなると、熱膨張係数が高くなり、焼成後に、基板から容易に剥離し、結果として電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。
Alは、ガラスを安定化させる成分である。Alの含有量は0〜10%であり、好ましくは0.1〜9%、より好ましくは1〜8%、特に好ましくは2〜7である。Alの含有量が少なくなると、ガラスが不安定になり易い。一方、Alの含有量が多くなると、軟化点が不当に上昇して、840℃以下の温度で焼成し難くなる。
モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)は、2.8より大きく、好ましくは3以上、より好ましくは3.5以上、更に好ましくは4以上、特に好ましくは4.5〜10.5である。モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)が過少になると、耐酸性が低下し易くなる。
上記成分以外にも、要求特性を損なわない範囲で種々の成分を導入してもよい。例えば、軟化点を低下させるために、CsO、RbO等を合量又は単独で5%まで、特に1%まで導入してもよい。またガラスを安定化させたり、耐水性、耐酸性を高めるために、Y、La、Ta、SnO、TiO、Nb、P、CuO、CeO、V等を合量又は単独で10%まで、特に1%まで導入してもよい。
PbOは、耐酸性を高めると共に、軟化点を低下させる成分であるが、環境負荷物質であるため、実質的な導入を回避することが好ましい。
本発明の粉末材料は、上記のガラス組成物からなるガラス粉末とセラミック粉末とを含有する粉末材料であって、ガラス粉末の含有量が50〜100質量%、セラミック粉末の含有量が0〜50質量%であることが好ましい。
ガラス粉末は、例えば、溶融ガラスをフィルム状に成形した後、得られたガラスフィルムを粉砕、分級することにより作製することができる。
ガラス粉末の平均粒径D50は3.0μm以下が好ましく、最大粒径Dmaxは20μm以下が好ましい。ガラス粉末の粒度が大き過ぎると、焼成膜中に大きな泡が残存し易くなる。ここで、「平均粒径D50」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。また「最大粒径Dmax」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒子径を表す。
セラミック粉末の含有量は、好ましくは40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、特に1質量%未満である。セラミック粉末が多過ぎると、相対的にガラス粉末の割合が少なくなり過ぎて、緻密なオーバーコート層を形成し難くなり、メッキ溶液により、オーバーコート層が侵食され易くなる。結果として、電子回路の電極等の保護や絶縁を確保し難くなる。なお、セラミック粉末を添加すると、粉末材料の熱膨張係数、機械的強度、耐酸性を調整することが可能になる。
セラミック粉末として、種々の材料が使用可能であり、例えば、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、ムライト、シリカ、コーディエライト、チタニア、酸化スズ等を一種又は二種以上を添加することができる。
本発明の粉末材料において、軟化点は、好ましくは840℃以下、より好ましくは830℃以下、更に好ましくは820℃以下、特に好ましくは810℃以下である。軟化点が高過ぎると、緻密なオーバーコート層を得るためには、焼成温度を上昇させなければならず、その場合、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化し易くなる。
本発明の粉末材料において、熱膨張係数は、55〜80×10−7/℃、特に60〜75×10−7/℃が好ましい。このようにすれば、ソーダライムガラス基板やアルミナ基板上にオーバーコート層を形成した後に、基板の反りやオーバーコート層の剥離を防止し易くなる。ここで、「熱膨張係数」は、熱機械分析装置(TMA)により30〜300℃の温度範囲で測定した平均値である。
本発明の粉末材料ペーストは、粉末材料とビークルとを含有する粉末材料ペーストにおいて、粉末材料が上記の粉末材料であることを特徴とする。ここで、「ビークル」は、ガラス粉末を分散させて、ペースト化するための材料であり、通常、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等により構成される。
粉末材料ペーストは、粉末材料とビークルを用意し、これらを所定の割合で混合、混練することにより作製することができる。
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高める成分であり、また柔軟性を付与する成分である。粉末材料ペースト中の熱可塑性樹脂の含有量は0.1〜20質量%が好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が好ましく、これらの内、一種又は二種以上を用いることが好ましい。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。粉末材料ペースト中の可塑剤の含有量は、好ましくは0〜10質量%、特に0.1〜10質量%である。可塑剤として、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジカプリル、フタル酸ジブチル等のフタル酸系化合物を実質的に含まないことが好ましい。このようにすれば、環境負荷を軽減することができる。環境的観点から、可塑剤として、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジブトキシエチル等のアジピン酸系化合物、セバシン酸ジブチルやセバシン酸ジ2エチルヘキシル等のセバシン酸化合物、アセチレンクエン酸トリブチル等のクエン酸系化合物等が好ましく、これらの内、一種又は二種以上を用いることが好ましい。
溶剤は、熱可塑性樹脂を溶解させるための成分である。粉末材料ペースト中の溶剤の含有量は10〜30質量%が好ましい。溶剤として、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等が好ましく、これらの内、一種又は二種以上を用いることが好ましい。
粉末材料ペーストを用いて、電子回路にオーバーコート層を形成するには、まず電極、抵抗体等が形成された電子回路上に、スクリーン印刷法、一括コート法等により粉末材料ペーストを塗布し、所定の膜厚の塗布層を形成した後、乾燥させて、乾燥膜を得る。その後、乾燥膜を740〜840℃の温度で5〜20分間焼成することにより、所定のオーバーコート層(焼成膜)を形成することができる。なお、焼成温度が低過ぎたり、焼成時間(保持時間)が短過ぎると、乾燥膜が十分に焼結せず、緻密な焼成膜を形成し難くなる。一方、焼成温度が高過ぎたり、保持時間が長過ぎると、電極等と粉末材料が反応して、電極等の特性が劣化し易くなる。
オーバーコート層の形成方法として、粉末材料ペーストを用いる方法を例にして説明したが、それ以外の方法を採択することもできる。例えば、グリーンシート法、感光性ペースト法、感光性グリーンシート法等の方法を採択してもよい。
本発明のガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストは、オーバーコート層の形成に用いることが好ましく、サーミスターのオーバーコート層の形成に用いることが好ましい。サーミスターでは、サーミスター素材に電極が形成されると共に、その上にオーバーコート層が形成される。そして、オーバーコート層の形成後に、メッキ溶液によるメッキ処理が施される。上記のように、本発明のガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストは、PbOを多量に含まなくても、840℃以下の温度で焼成可能であると共に、サーミスター素材からの剥離が生じ難く、しかもメッキ溶液によって侵食され難いため、本用途に特に好適である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。以下の実施例は単なる例示である。
表1は、本発明の実施例(試料No.1〜4)及び比較例(試料No.5、6)を示している。
次のようにして、各試料を調製した。まず表中に示すガラス組成になるように、原料を調合して、均一に混合した。次いで、白金ルツボに入れて1400〜1550℃で2時間溶融した後、フィルム状に成形し、ボールミルにて粉砕した後、気流分級して平均粒径D503.0μm以下、最大粒径Dmax20μm以下のガラス粉末を得た。得られたガラス粉末を用いて、軟化点及び熱膨張係数を評価した。
軟化点は、マクロ型示差熱分析計で測定した場合の第四の変曲点の値である。
熱膨張係数は、各ガラス粉末を加圧形成し、(軟化点+10)℃の温度で緻密に焼結した後、直径5mm、長さ20mmに加工して、測定試料とした上で、熱機械分析装置(TMA)により30〜300℃の温度範囲で測定した平均値である。
次に、上記ガラス粉末とビークル(エチルセルロースを5質量%含み、且つアセチルクエン酸トリブチルを3質量%含むターピネオール)を混合し、3本ロールミルにて混練して、粉末材料ペーストを得た。更に、約10μmの焼成膜(オーバーコート層)が得られるように、粉末材料ペーストをサーミスター素材上にスクリーン印刷法で塗布した後、塗布膜を乾燥し、電気炉で(軟化点+10)℃の温度で10分間焼成して、焼成膜を形成した。得られた焼成膜付き基板を用いて、耐酸性を評価した。具体的には、焼成膜付き基板を40℃の5質量%硫酸に1時間浸漬した上で、水洗、乾燥した後、質量減少を測定し、浸漬前後の質量減少の割合を評価した。なお、質量減少の割合が大きい程、耐酸性が低いことを意味する。
表から明らかなように、試料No.1〜4は、軟化点や熱膨張係数が低く、耐酸性が良好であった。一方、試料No.5は、軟化点は低かったが、耐酸性が不良であった。試料No.6は、耐酸性が良好であったが、熱膨張係数が高かった。
本発明のガラス組成物、粉末材料及び粉末材料ペーストは、オーバーコート層の形成、特にサーミスターのオーバーコート層の形成に特に好適であるが、それ以外にも、例えば、電子部品材料用バインダ(結合材料)、封着材料等の用途に適用することもできる。

Claims (9)

  1. ガラス組成として、モル%で、SiO 50〜70%、B 4超〜15%、ZrO 5〜15%、ZnO 1〜10%、MgO+CaO+SrO+BaO 0.5〜20%、LiO+NaO+KO 0.5〜15%、Al 0〜10%を含有し、モル比(SiO+ZrO)/(B+ZnO)が2.8より大きいことを特徴とするガラス組成物。
  2. MgOの含有量が5モル%以下、CaOの含有量が20モル%以下、SrOの含有量が15モル%以下、且つBaOの含有量が15モル%以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス組成物。
  3. LiOの含有量が2モル%以下、NaOの含有量が10モル%以下、且つKOの含有量が10モル%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス組成物。
  4. 実質的にPbOを含まないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のガラス組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載のガラス組成物からなるガラス粉末とセラミック粉末とを含有する粉末材料であって、ガラス粉末の含有量が50〜100質量%、セラミック粉末の含有量が0〜50質量%であることを特徴とする粉末材料。
  6. 軟化点が840℃以下であることを特徴とする請求項5に記載の粉末材料。
  7. オーバーコート層の形成に用いることを特徴とする請求項5又は6に記載の粉末材料。
  8. 粉末材料とビークルとを含有する粉末材料ペーストにおいて、
    粉末材料が請求項5〜7の何れかに記載の粉末材料であることを特徴とする粉末材料ペースト。
  9. 実質的にフタル酸系化合物を含有しないことを特徴とする請求項8に記載の粉末材料ペースト。
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